IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・ボーイング・カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許-複合材製造プロセスのプロセス制御 図1
  • 特許-複合材製造プロセスのプロセス制御 図2
  • 特許-複合材製造プロセスのプロセス制御 図3
  • 特許-複合材製造プロセスのプロセス制御 図4
  • 特許-複合材製造プロセスのプロセス制御 図5
  • 特許-複合材製造プロセスのプロセス制御 図6
  • 特許-複合材製造プロセスのプロセス制御 図7
  • 特許-複合材製造プロセスのプロセス制御 図8
  • 特許-複合材製造プロセスのプロセス制御 図9
  • 特許-複合材製造プロセスのプロセス制御 図10
  • 特許-複合材製造プロセスのプロセス制御 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】複合材製造プロセスのプロセス制御
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/54 20060101AFI20221209BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20221209BHJP
   B29C 70/30 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
B29C70/54
G05B19/418 Z
B29C70/30
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018024891
(22)【出願日】2018-02-15
(65)【公開番号】P2018187916
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-02-08
(31)【優先権主張番号】15/581,432
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・リー・マルコー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ウェイ・パン
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05562788(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/54
G05B 19/418
B29C 70/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材製造プロセスのプロセス制御のためのシステム(202)であって、
複合材料(210)をレイダウンするように構成された自動複合材配置ヘッド(204)と、
前記自動複合材配置ヘッド(204)に接続され、かつ前記複合材料(210)の検査中に画像データ(212)を生成するように構成されたビジョンシステム(206)であって、前記検査が、前記複合材料(210)のレイダウン中又はレイダウン後の少なくともいずれかにおいて行われるビジョンシステム(206)と、
前記画像データ(212)内に見える、前記複合材料(210)の異常(214)を特定するように構成され、前記異常(214)に基づいて複数の計測決定(225)を行うコンピュータシステム(208)と
を備え、
前記複数の計測決定(225)が、異常許容閾値(226)を修正することを含み、前記コンピュータシステム(208)が、前記複合材料(210)を撮像しながら前記異常許容閾値(226)を修正するために確率的手法を採用するように構成されており、前記異常許容閾値(226)が、前記画像データ(212)において特定された前記異常(214)の少なくとも1つの性質に基づいて修正され、前記異常(214)の性質が、サイズ(230)、密度(232)、位置(234)、異常タイプ(236)、又はランダム性(238)のうちの少なくとも1つを含み、
前記コンピュータシステム(208)は、ディスプレイ上の前記画像データ内に見える異常の各々に幅及び長さを重ね合わせて、前記ディスプレイ上に前記画像データをリアルタイムで示すように構成される、システム(202)。
【請求項2】
前記コンピュータシステム(208)が、前記異常(214)に関するデータ(216)をデータベース(218)に格納し、前記データベース(218)を使用して機械学習データセット(220)及び確率情報(222)を構築し、前記複合材料(210)を含む、構成要素(224)の部分の品質を予測するために前記機械学習データセット(220)及び前記確率情報(222)を使用するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム(202)。
【請求項3】
前記コンピュータシステム(208)が、前記自動複合材配置ヘッド(204)が前記複合材料(210)をレイダウンしている最中に前記複数の計測決定(225)を行うように構成されている、請求項2に記載のシステム(202)。
【請求項4】
前記複合材料(210)が、構成要素(224)の一部であり、前記コンピュータシステム(208)が、前記画像データ(212)において特定される前記異常(214)の位置を前記構成要素(224)の設計(252)と比較するように構成されている、請求項1に記載のシステム(202)。
【請求項5】
前記複数の計測決定(225)が、前記複合材料(210)又は未来のプライに関する複合材レイダウンパラメータ(227)を調整することを含む、請求項1に記載のシステム(202)。
【請求項6】
画像データ(212)を生成するために、複合材料(210)のレイダウン中又はレイダウン後にビジョンシステム(206)を使用して前記複合材料(210)を自動的に撮像するステップと、
コンピュータシステム(208)によって、前記画像データ(212)内に見える前記複合材料(210)の異常(214)をリアルタイムで特定するステップと、
前記コンピュータシステム(208)によって、前記異常(214)に基づいて複数の計測決定(225)を行うステップと
表示される前記画像データ(212)内に見える前記異常(214)の各々に幅及び長さを重ね合わせて、前記画像データ(212)をリアルタイムで表示するステップと、
を含み、
前記複数の計測決定(225)を行う前記ステップが、
前記複合材料(210)を撮像しながら異常許容閾値(226)を修正するステップであって、前記異常許容閾値(226)が、前記異常(214)の位置(234)、前記異常(214)の量、前記異常(214)の密度(232)、又は前記異常(214)のランダム度(238)のうちの少なくとも1つを含む、前記画像データ(212)において特定される前記異常(214)の性質に基づいて修正されるステップ
を含む、方法。
【請求項7】
前記異常(214)に関するデータ(216)をデータベース(218)に格納するステップと、
前記データベース(218)を使用して機械学習データセット(220)及び確率情報(222)を構築するステップと、
前記複合材料(210)を含む構成要素(224)の部分の品質を予測するために前記機械学習データセット(220)及び前記確率情報(222)を使用するステップと
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の計測決定(225)を行う前記ステップが、
前記画像データ(212)において特定された前記異常(214)のうちの所定の異常が異常許容閾値(226)に違反したときに警告を出すステップ
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記複合材料(210)が構成要素(224)の一部であり、前記異常許容閾値(226)が、前記構成要素(224)の、前のレベルの複合材料(254)において特定された異常の数、前記構成要素(224)の、前のレベルの複合材料(254)において特定された異常のタイプ、又は前記構成要素(224)の、前のレベルの複合材料(254)において特定された異常の位置のうちの少なくとも1つを考慮に入れる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記画像データ(212)において特定された前記異常(214)の各々に異常タイプを前記コンピュータシステム(208)によって割り当てるステップ
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記画像データ(212)において特定された前記異常(214)を測定するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の計測決定(225)が、前記複合材料(210)又は未来のプライに関する複合材レイダウンパラメータ(227)を調整することを含む、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に検査に関し、より具体的には、複合材料の検査に関する。さらにより詳細には、本開示は、複合材製造プロセス(composite fabrication process)のプロセス制御のための検査データの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
複合材料は、自動材料配置プロセスによって、プライと呼ばれる層にレイダウンされる。プライをレイダウンした後、プライは、異常に関して手動で検査される。異常は、複合材製造プロセスの一部として発生し得るものであり、異物破片(FOD)、毛羽塊(fuzz ball)、樹脂塊(resin ball)、ねじれたトウ、折り重なったトウ、スリットテープトウの「欠片」、トウ欠損、トウ損傷、しわ、ひだ、プライ端部異常、隙間、くぼみ、又はプライに生じる他の望ましくない特徴のうちの少なくとも1つを含み得るものである。各構成要素は、許容可能な異常サイズの許容範囲を有する。検査後、異常のサイズは、構成要素の許容範囲と比較され得る。
【0003】
複合材プライの手動検査は、完了するために望ましくない量の時間を要し得る。検査が完了するまで、さらなるプライはレイダウンされない。このように、プライの手動検査は、全体の製造時間に望ましくない量の時間を追加し得る。
【0004】
大きな構成要素の場合、手動検査のために複合材プライに接近することは、不都合なことに困難であり得る。一部の大きな部品には、持ち上げプラットフォームを使用することができる。大きな部品に対して持ち上げプラットフォームを動かすことは、検査プロセスに望ましくない量の時間を追加し得る。
【0005】
さらに、一部の大きな構成要素では、プライは、構成要素を歩いて横切るオペレータによって検査される場合がある。構成要素の表面を歩いて横切ることによって、オペレータは、構成要素のプライ又は他のプライに別の異常を発生させる可能性がある。したがって、上述の問題の少なくとも一部及び他の可能性のある問題を考慮に入れた方法及び装置を有することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的な実施形態は、複合材製造プロセスのプロセス制御のためのシステムを提供する。このシステムは、自動複合材配置ヘッド、ビジョンシステム、及びコンピュータシステムを備える。自動複合材配置ヘッドは、複合材料をレイダウンするように構成される。ビジョンシステムは、自動複合材配置ヘッドに接続され、また、複合材料のレイダウン中又はレイダウン後の少なくともいずれかにおいて行われる、複合材料の検査中に画像データを生成するように構成される。コンピュータシステムは、画像データ内の異常を特定し、異常に基づいて複数の計測決定を行うように構成される。
【0007】
本開示の別の例示的な実施形態は、方法を提供する。複合材料は、画像データを生成するために、複合材料のレイダウン中又はレイダウン後にビジョンシステムを使用して自動的に撮像される。コンピュータシステムは、画像データ内に見える複合材料の異常をリアルタイムで特定する。コンピュータシステムは、異常に基づいて複数の計測決定を行う。
【0008】
本開示のさらなる例示的な実施形態は、方法を提供する。複合材料の画像データは、ビジョンシステムを使用して生成される。コンピュータシステムは、画像データ内に見える複合材料の異常をリアルタイムで特定する。画像データは、ディスプレイ上の画像データ内に見える異常の各々に幅及び長さを重ね合わさせて、リアルタイムでディスプレイ上に表示される。
【0009】
特徴及び機能は、本開示のさまざまな実施形態において単独で達成され得るし、さらに他の実施形態では組み合わされ得る。なお、さらなる詳細は、以下の説明及び図面を参照して理解され得る。
【0010】
例示的な実施形態の特性と考えられる新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されている。しかしながら、例示的な実施形態並びにその好ましい使用態様、さらなる目的、及び特徴は、添付の図面と併せて、本開示の例示的な実施形態に関する以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】例示的な実施形態が実施され得る航空機の図である。
図2】例示的な実施形態による製造環境のブロック図である。
図3】例示的な実施形態による製造環境の図である。
図4】例示的な実施形態による異常の図である。
図5】例示的な実施形態による、幅及び長さが重ね合わされた異常の図である。
図6】例示的な実施形態による、各々に幅及び長さが重ね合わされた複数の異常の図である。
図7】例示的な実施形態による、複合材製造にプロセス制御を提供するための方法のフローチャートの図である。
図8】例示的な実施形態による、異常を特定して表示するための方法のフローチャートの図である。
図9】例示的な実施形態による、ブロック図の形式のデータ処理システムの図である。
図10】例示的な実施形態による、ブロック図の形式の航空機の製造及び保守点検方法の図である。
図11】例示的な実施形態が実施され得るブロック図の形式の航空機の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
例示的な実施形態では、1つ以上の異なる問題点が認識され、考慮に入れられる。例えば、例示的な実施形態では、自動複合材検査の方法が存在することが認識され、考慮に入れられる。例示的な実施形態では、従来の検査方法が異常位置、異常サイズ、又は異常タイプを返すことができることも認識され、考慮に入れられる。一方、例示的な実施形態では、従来の自動複合材検査があらゆるタイプの異常を特定することができないことも認識され、考慮に入れられる。さらに、例示的な実施形態では、従来の自動複合材検査が、検査されたプライの異常に関するデータのみを使用して許容範囲内又は許容範囲外の判定を提供することが認識され、考慮に入れられる。
【0013】
例示的な実施形態では、従来の検査プロセスよりも多くの変数を考慮に入れた複合材検査を提供することが望ましい場合があることが認識され、考慮に入れられる。例示的な実施形態では、他の複合材構成要素の履歴データ又は同じ複合材構造の他の層の異常データを考慮に入れることが複合材検査において望ましい場合があることが認識され、考慮に入れられる。例えば、構成要素の同じ相対位置の、他の複合材プライの異常の数を考慮に入れることが望ましい場合がある。別の例として、現在の構成要素と実質的に同じ位置に同様の数又はタイプの異常を有する他の構成要素の性能データを考慮に入れることが望ましい場合がある。
【0014】
例示的な実施形態では、複合材構成要素の製造中にプロセス制御を提供することが望ましい場合があることが認識され、考慮に入れられる。例示的な実施形態では、複合材構成要素の製造中のプロセス制御が、他の複合材構造の製造のための情報を提供し得ることが認識され、考慮に入れられる。例えば、例示的な実施形態では、プロセス制御の利用が、複合材構成要素及び他の複合材構造の製造コスト又は製造時間の少なくとも一方を低減することが認識され、考慮に入れられる。
【0015】
例えば、例示的な実施形態では、複合材製造中のプロセス制御の利用により、製造環境で製造される各複合材構成要素の検査及び再加工の労働コストを低減することができることが認識され、考慮に入れられる。各複合材構成要素は、検査時間を短縮するためにプロセス制御と組み合わせて現場検査を受けることができる。プロセス制御を使用して製造設備の状態を監視することによって、製造設備が整備により予防可能であり得る異常を発生させる前に整備を行うことで、再加工を低減することができる。
【0016】
さらに、例示的な実施形態では、プロセス制御を使用して製造設備の状態を監視することによって、設備検査のための設備のダウンタイムを低減する又はなくすことで、工場のスループットを増加させることができることが認識され、考慮に入れられる。例示的な例では、現場で検査を実施することにより、複合材構成要素の検査のための設備のダウンタイムが低減されることが認識され、考慮に入れられる。例示的な実施形態では、複合材構成要素の検査のための設備のダウンタイムを低減することによって工場の生産率を高めることができることが認識され、考慮に入れられる。
【0017】
次に図面を参照するが、特に図1を参照すると、例示的な実施形態が実施され得る航空機の図が示されている。この例示的な例では、航空機100は、胴体106に接続された翼102及び翼104を有する。航空機100は、翼102に接続されたエンジン108と、翼104に接続されたエンジン110とを含む。
【0018】
胴体106は、尾部112を有する。水平安定版114、水平安定版116、及び垂直安定版118は、胴体106の尾部112に接続されている。
【0019】
航空機100は、複合材製造プロセスのプロセス制御を使用して製造される航空機の一例である。例えば、胴体106、翼102、又は翼104のうちの少なくとも1つは、複合材料を含む。例示的な実施形態は、プロセス制御を提供するために、胴体106、翼102、又は翼104のうちの少なくとも1つの製造中に利用されてもよい。例えば、説明するようなコンピュータシステムは、胴体106、翼102、又は翼104のうちの少なくとも1つに関する画像データ内に見える複合材料の異常を特定し、その異常に基づいて複数の計測決定を行うことができる。本明細書で使用される場合、「複数の(a number of)」項目は、1つ以上の項目を意味する。例えば、「複数の計測決定」は、1つ以上の計測決定である。
【0020】
航空機100のこの図は、異なる例示的な実施形態が実施され得る1つの環境を例示するために提供されている。図1の航空機100の図は、異なる例示的な実施形態が実施され得る方法に関する構造上の限定を含意するものではない。例えば、航空機100は、民間旅客機として示されている。異なる例示的な実施形態は、自家用旅客機、回転翼機、又は他の適切なタイプの航空機などの他のタイプの航空機にも適用され得る。
【0021】
例示的な実施形態の例示的な例は、航空機に関して説明されているが、例示的な実施形態は、他のタイプの構造にも適用され得る。この構造は、例えば、移動構造体、固定構造体、陸上構造体、水中構造体、又は宇宙構造体であってもよい。より具体的には、この構造は、水上船舶、戦車(tank)、人員運搬車、列車、宇宙船、宇宙ステーション、衛星、潜水艦、製造設備、建物、又は他の適切な構造であってもよい。
【0022】
次に図2を参照すると、例示的な実施形態による製造環境のブロック図が示されている。製造環境200は、航空機100などの航空機又は航空機の構成要素が製造され得る環境の表現である。
【0023】
複合材製造プロセスのプロセス制御のためのシステム202は、製造環境200内に存在する。システム202は、自動複合材配置ヘッド204、ビジョンシステム206、及びコンピュータシステム208を備える。自動複合材配置ヘッド204は、複合材料210をレイダウンするように構成される。複合材料210は、プリプレグテープ、乾燥繊維、プリプレグ繊維、乾燥プリフォーム、トウ、スリット、シート、又は任意の他の望ましい形態の複合材料のうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない任意の望ましい形態をとってもよい。自動複合材配置ヘッド204は、上記タイプの複合材料210用の任意の望ましい配置システムの形態をとってもよい。例えば、自動複合材配置ヘッド204は、自動繊維配置(AFP)、外形テープ積層機(CLTM)、自動積層機(ALM)、自動繊維配置機(AFPM)、又は任意の他の望ましいタイプの複合材配置システムのうちの少なくとも1つから選択されてもよい。
【0024】
ビジョンシステム206は、自動複合材配置ヘッド204に接続され、複合材料210の検査中に画像データ212を生成するように構成される。ビジョンシステム206は、任意の望ましい形態をとってもよい。ビジョンシステム206は、スチルカメラ、ビデオカメラ、後方散乱ビジョンシステム、赤外線カメラ、超スペクトル撮像カメラ、光検出及び測距(LiDAR)センサ、又は任意の他の望ましいタイプのビジョンセンサのうちの少なくとも1つを含んでもよい。検査は、複合材料210のレイダウン中又はレイダウン後の少なくとも一方において行われる。コンピュータシステム208は、画像データ212内に見える複合材料210の異常214を特定し、異常214に基づいて複数の計測決定225を行うように構成される。
【0025】
コンピュータシステム208は、複数の計測決定225をリアルタイムで行うように構成される。レイダウン中に複合材料210が撮像されるとき、コンピュータシステム208は、複合材料210がレイダウンされている最中にインプロセスの複数の計測決定225を行うように構成される。コンピュータシステム208は、オペレータの介入なしに自動的に複数の計測決定225を行うように構成される。
【0026】
異常214は、任意のタイプの異常であり得る。例えば、異常214は、異物破片(FOD)、毛羽塊、樹脂塊、ねじれたトウ、折り重なったトウ、スリットテープトウの「欠片」、トウ欠損、トウ損傷、しわ、ひだ、プライ端部異常、隙間、くぼみ、又はプライに生じる他の望ましくない特徴のうちの少なくとも1つを含む。一部の例示的な例では、コンピュータシステム208は、あらゆるタイプの異常を特定するように構成される。
【0027】
一部の例示的な例では、コンピュータシステム208は、指定されたタイプの異常のみを特定するように構成される。例えば、コンピュータシステム208は、異物破片(FOD)を特定するように構成されてもよい。別の例として、コンピュータシステム208は、異物破片(FOD)、毛羽塊、又は樹脂塊を特定するように構成されてもよい。
【0028】
一部の例示的な例では、コンピュータシステム208は、あらゆるタイプの異常を特定するように構成されるが、指定されたタイプの異常をさらに処理しないように構成される。例えば、コンピュータシステム208は、指定されたタイプの異常の測定又はマーキングのみを行うように構成されてもよい。
【0029】
コンピュータシステム208は、複合材料のタイプ、構成要素の設計/構成、構成要素224における位置、又は任意の他の望ましい特性のうちの少なくとも1つに基づいて構成を変更してもよい。例示的な一例では、コンピュータシステム208は、前のレベルの複合材料254と複合材料210との間で構成を変更してもよい。
【0030】
一部の例示的な例では、コンピュータシステム208は、異常214を測定するようにさらに構成される。異常214の測定値は、任意の望ましい許容範囲を有してもよい。一部の例示的な例では、画像データ212において特定される異常214の測定は、±0.01インチの範囲内での異常214の測定を含む。一部の例示的な例では、画像データ212において特定される異常214の測定は、±0.10インチの範囲内での異常214の測定を含む。
【0031】
一部の例示的な例では、異常214の各々は、画像処理を使用して特定されたそれぞれの外形から直接測定される。他の例示的な例では、異常214に重ね合わされたマーカーが、幅及び長さを特定するために測定されてもよい。
【0032】
コンピュータシステム208は、異常214に関するデータ216をデータベース218に格納するようにさらに構成される。コンピュータシステム208は、データベース218を使用して機械学習データセット220及び確率情報222を構築するように構成される。コンピュータシステム208は、複合材料210を含む、構成要素224の部分の品質を予測するために機械学習データセット220及び確率情報222を使用するようにさらに構成される。
【0033】
一部の例示的な例では、自動複合材配置ヘッド204が複合材料210をレイダウンするときに検査が行われる。これらの例示的な例では、コンピュータシステム208は、自動複合材配置ヘッド204が複合材料210をレイダウンしている最中に複数の計測決定225を行うように構成される。
【0034】
複数の計測決定225は、任意の望ましい動作であってもよい。一例では、複数の計測決定225は、警告の送信であってもよい。別の例示的な例では、複数の計測決定225は、構成要素224に関する異常許容閾値226の修正であってもよい。さらに別の例では、複数の計測決定225は、複数の構成要素に関する異常許容閾値の修正であってもよい。一部の例示的な例では、計測決定は、特定のツールの使用の停止であってもよい。複数の計測決定225は、「数に入れない」への異常の設定、「数に入れる」への異常の設定、再加工する構成要素224の特定、又は特定のツールの整備の要求のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0035】
一部の例示的な例では、計測決定は、現在又は未来のプライに関する複合材レイダウンパラメータ227の調整を含む。例えば、計測決定は、現在又は未来のプライのレイダウン速度、レイダウン角度、複合材圧縮圧力、レイダウン中に加えられる熱、切断速度、切断角度のうちの少なくとも1つを変更することであってもよい。一部の例示的な例では、現在のプライの複合材レイダウンパラメータ227はリアルタイムで変更される。これらの例示的な例では、複合材料に関する複合材レイダウンパラメータ227は、複合材料がレイダウンされるにつれて変更される。一部の例示的な例では、複数の計測決定225は、複合材料210又は未来のプライに関する複合材レイダウンパラメータを調整することを含む。
【0036】
コンピュータシステム208は、人間のオペレータから独立して画像データ212を分析し、複合材レイダウンパラメータ227を変更する決定を行うように構成される。コンピュータシステム208は、リアルタイムで、画像データ212を分析し、複合材レイダウンパラメータ227を変更することが望ましいかどうかを判定するように構成される。
【0037】
複数の計測決定225は、構成要素224に関する異常許容閾値226を修正することを含む。複数の計測決定225が複数の構成要素に関する異常許容閾値を修正することを含む場合、これらの構成要素は、複合材レベル、特定のツール、異常のタイプ、又は任意の他の望ましい基準に基づいて選択されてもよい。
【0038】
一部の例示的な例では、複数の計測決定225は、「数に入れない」又は「数に入れる」に異常を設定することを含む。異常が「数に入れない」に設定されている場合、これらの異常は、異常許容閾値226などの異常許容閾値に対して構成要素224を評価する際に使用されない。異常が「数に入れる」に設定されている場合、これらの異常は、異常許容閾値226などの異常許容閾値に対して構成要素224を評価する際に使用される。一部の例示的な例では、異常が「数に入れない」に設定されている場合、これにより、構成要素224を評価するために使用される異常許容閾値の数を低減することができる。「数に入れない」に設定される異常は、任意の望ましい特性の組み合わせによって記述され得る。例えば、「数に入れない」に設定される異常は、異常のタイプ、異常のサイズ、構成要素224の特定レベルの複合材料における異常のタイプ、構成要素224の特定レベルの複合材料における異常のサイズ、構成要素224の設計内の異常の位置、又は任意の他の望ましい特性によって記述され得る。
【0039】
コンピュータシステム208は、複合材料210を撮像しながら異常許容閾値226を修正するために確率的手法を採用するように構成される。異常許容閾値226は、画像データ212において特定される異常214の少なくとも1つの性質に基づいて修正され、異常214の性質228は、サイズ230、密度232、位置234、異常タイプ236、又はランダム性238のうちの少なくとも1つを含む。
【0040】
異常許容閾値226は、構成要素224を評価するために使用される。異常許容閾値226を超える値は、警告をトリガするか、レポートを生成するか、複合材料210のレイダウンを停止するか、又は再加工をトリガすることができる。
【0041】
異常許容閾値226は、異常214などの異常の任意の望ましい特性を含んでもよい。異常許容閾値226は、複合材料210の全部又は一部に関連してもよい。
【0042】
異常許容閾値226は、異常の総数240、特定タイプの異常の数242、異常のサイズ244、特定タイプの異常のサイズ246、異常の密度248、又は特定タイプの異常の密度250のうちの少なくとも1つを含む。異常許容閾値226は、構成要素224の任意の部分に対して設定されてもよい。一部の例示的な例では、異常許容閾値226は、複合材料210の全部に適用される。別の例示的な例では、異常許容閾値226は、複合材料210の一部にのみ適用される。
【0043】
異常許容閾値226を修正する際、異常許容閾値226の値が増減される。例えば、異常許容閾値226が特定タイプの異常の数242を含む場合、異常許容閾値226を修正するために、その特定タイプの異常に関する許容数が増減されてもよい。別の例として、異常許容閾値226が異常のサイズ244である場合、異常許容閾値226を修正するために、異常に関する最大許容サイズが増減される。
【0044】
複合材料210が構成要素224の一部である場合、コンピュータシステム208は、画像データ212において特定される異常214の位置と構成要素224の設計252とを比較するように構成される。構成要素224の設計252は、構成要素224の部分の所望の位置を含む。設計252は、構成要素224内の複合材料210の寸法及び配置を含む。設計252は、構成要素224の付加的な部分の寸法及び配置も含む。例えば、構成要素224は、金属構成要素、電子構成要素、又は他の複合材構成要素を含むこともできる。構成要素224の設計252は、データベース218内のモデル253として表現されてもよい。
【0045】
例示的な一例では、構成要素224は、前のレベルの複合材料254を含む。前のレベルの複合材料254は、複合材料210の前にレイダウンされる。異常許容閾値226は、構成要素224の、前のレベルの複合材料254において特定された異常の数、構成要素224の、前のレベルの複合材料254において特定された異常のタイプ、又は構成要素224の、前のレベルの複合材料254において特定された異常の位置のうちの少なくとも1つを考慮に入れてもよい。異常許容閾値226は、前のレベルで特定された異常に応じて修正されてもよい。例えば、異常許容閾値226は、前のレベルの複合材料254の異常に応じて高く又は低くされてもよい。
【0046】
データベース218は、複数の計測決定225を行うためのデータを含む。図示のように、計測データ256及び履歴性能データ258は、データベース218内にある。
【0047】
前のレベルの複合材料254に関するデータは、データベース218内の計測データ256に存在する。計測データ256は、構成要素224に関する任意の他の望ましい検査データも含む。一部の例示的な例では、異常許容閾値226は、計測データ256に基づいて修正される。
【0048】
一部の例示的な例では、異常許容閾値226は、他の構成要素の履歴性能データ258に基づいて修正される。履歴性能データ258は、構成要素224と同じ設計を有する構成要素の性能結果を含む。
【0049】
図示のように、システム202は、ディスプレイ260も含む。一部の例示的な例では、コンピュータシステム208は、ディスプレイ260上の画像データ212内に見える異常214の各々に幅及び長さを重ね合わせて、ディスプレイ260上に画像データ212をリアルタイムで示すように構成される。図示のように、異常214は、異常262及び異常264を含む。異常262は、幅266及び長さ268を異常262に重ね合わせてディスプレイ260上にリアルタイムで示される。異常264は、幅270及び長さ272を異常264に重ね合わせてディスプレイ260上にリアルタイムで示される。
【0050】
一部の例示的な例では、指定されたタイプの異常214に、幅及び長さが重ね合わされる。これらの例示的な例では、ディスプレイ260上の画像データ212内で、一部のタイプの異常214にはマーキングされ得ない。以下の図5において一例を見ることができる。
【0051】
コンピュータシステム208は、互いに通信し得る1つ以上のコンピュータから構成されてもよい。コンピュータシステム208は、データベース218を含んでもよい。実施態様に応じて、コンピュータシステム208は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせを使用して実施されてもよい。
【0052】
コンピュータシステム208は、異常214を特定して測定するために、画像データ212に対して任意の望ましい画像処理を実行してもよい。一部の例示的な例では、画像処理は、色をグレーに設定すること、ガウスぼかしを実行すること、キャニーエッジ検出器を使用すること、ダイレーションを使用すること、又はエロージョンを使用することのうちの少なくとも1つを含んでもよい。画像処理中に、異常214のそれぞれの異常ごとに、コンピュータシステム208は、異常の外形の発見、外形の分類、又は外形サイズの確認のうちの少なくとも1つを実行する。ディスプレイ260上に異常214を表示する前に、外形の境界ボックスの少なくとも1つが計算され、中間点が算出され、中間点間に線が引かれ、メトリックスケーリング当たりの画素が設定される。
【0053】
開示されている画像処理技術は、限定を含意するものではない。任意の望ましい画像処理技術が、任意の所望の順序で実行されてもよい。
【0054】
図2の製造環境200の図は、例示的な実施形態が実施され得る方法に対する物理的又は構造的な限定を含意するものではない。図示の構成要素に加えて、又は図示の構成要素の代わりに、他の構成要素が使用されてもよい。一部の構成要素は任意選択であってもよい。また、ブロックは、一部の機能的構成要素を示すために提示されている。これらのブロックのうちの1つ以上は、例示的な実施形態で実施されるときに組み合わされてもよいし、分割されてもよいし、異なるブロックに組み合わされて分割されてもよい。
【0055】
例えば、コンピュータシステム208は、製造環境200に存在するものとして示されているが、他の例示的な例では、コンピュータシステム208は、製造環境200の外部に存在してもよい。さらに、データベース218は、コンピュータシステム208上に示されているが、他の例示的な例では、データベース218は、別個のコンピュータシステム上に存在してもよい。
【0056】
別の例として、画像データ212内の異常214は、複合材料210において特定された異常276のサブセットである。異常許容閾値226が異常214の性質228に基づいて修正される場合、異常許容閾値226は、すべての異常276の性質に基づいて修正されてもよい。例えば、異常許容閾値226を修正することは、異常214のランダム性238だけでなく、すべての異常276のランダム性も考慮に入れてもよい。別の例として、異常許容閾値226を修正することは、異常214の異常タイプ236及び異常276に存在する異常タイプの両方を考慮に入れてもよい。
【0057】
次に図3を参照すると、例示的な実施形態による製造環境の図が示されている。製造環境300は、図2のブロック図形式で示した製造環境200の物理的な実施態様である。航空機100の一部は、製造環境300で製造され得る。
【0058】
製造環境300は、構成要素302及び自動複合材配置ヘッド304を含む。自動複合材配置ヘッド304は、構成要素302上に複合材料306をレイダウンするように構成される。図示のように、複合材料306は、プリプレグテープの形態をとっている。しかしながら、複合材料306は、プリプレグテープ、乾燥繊維、プリプレグ繊維、乾燥プリフォーム、トウ、スリット、又はシートを含むが、これらに限定されない任意の望ましい形態をとってもよい。
【0059】
この例示的な例では、ビジョンシステム308は、自動複合材配置ヘッド304に接続されている。自動複合材配置ヘッド304が構成要素302上に複合材料306をレイダウンするときに、ビジョンシステム308は、複合材料306を撮像してもよい。このように、検査ステップは、複合材レイダウンステップと実質的に同時に行われてもよい。ビジョンシステム308は、自動複合材配置ヘッド304に接続されているが、検査ステップは、複合材料306が完全にレイダウンされた後に行われてもよい。このように、検査ステップは、複合材料レイダウンステップの後に行われてもよい。
【0060】
製造環境300は、ディスプレイ310も含む。複合材料306が検査されるとき、ディスプレイ310上に画像データが示される。画像データ内に見える複合材料306の異常は、ディスプレイ310上に示される。
【0061】
次に図4を参照すると、例示的な実施形態による異常の図が示されている。異常400は、図2の異常214のうちの1つの物理的な実施態様である。画像データ402は、図2の画像データ212の実施態様であってもよい。画像データ402は、図3の構成要素302の一部の画像であってもよい。画像データ402は、図1の航空機100の構成要素の検査中に生成されてもよい。
【0062】
異常400は、複合材料404の画像データ402内に見える。図示のように、異常400は、異物破片406である。図示のように、異物破片406は、異物破片406の周りに隙間408を形成している。
【0063】
次に図5を参照すると、例示的な実施形態による、幅及び長さが重ね合わされた異常の図が示されている。表示500は、異常400が複合材料404の画像データ402において特定された後の異常400の表示である。幅502及び長さ504は、異常400に重ね合わされている。
【0064】
表示500において、幅502及び長さ504は、異物破片406に重ね合わされている。表示500において、異物破片406によって形成された隙間408には、測定値が重ね合わされていない。隙間408はマーキングされていない。一部の例示的な例では、隙間408は、特定されて測定されるが、マーキングされない。一部の例示的な例では、隙間408は、画像データ402において特定されるが、測定もマーキングもされない。一部の例示的な例では、隙間408は、特定も、測定も、マーキングもされない。
【0065】
図2のコンピュータシステム208などのコンピュータシステムは、任意の望ましいタイプの異常を検出するように構成される。一部の例示的な例では、一部の異常のタイプは、画像データ内に特定されないように指定されてもよい。一部の例示的な例では、一部の異常のタイプは、測定されないように指定されてもよい。このような異常のタイプは、図2のコンピュータシステム208などのコンピュータシステムによって、又は人間のオペレータによって指定されてもよい。
【0066】
一部の例示的な例では、一部の異常のタイプは、測定値が画像データに重ね合わされないように指定されてもよい。このような異常のタイプは、図2のコンピュータシステム208などのコンピュータシステムによって、又は人間のオペレータによって指定されてもよい。一部の例示的な例では、図2のコンピュータシステム208などのコンピュータシステムは、画像データ内の指定されたタイプの異常にマーキングするだけである。
【0067】
表示500に示されているように、隙間は、測定値が重ね合わされないように図2のコンピュータシステム208などのコンピュータシステムによって、又は人間のオペレータによって指定される異常タイプであり得る。一部の例示的な例では、隙間は、特定されて測定され得るが、隙間に測定値は重ね合わされない。一部の例示的な例では、隙間は、特定され得るが、測定されない。他の例示的な例では、図2のコンピュータシステム208などのコンピュータシステムは、隙間408などの隙間を特定しないように構成されてもよい。これらの例示的な例の各々において、これらの指定は、図2のコンピュータシステム208などのコンピュータシステムによって、又は人間のオペレータによって設定されてもよい。
【0068】
画像データにおいて特定、測定、又はマーキングされる異常のタイプの少なくとも1つは、材料のタイプ、材料のレベル(level)、構成要素における位置、又は任意の他の望ましい特性のうちの少なくとも1つに基づいて選択されてもよい。画像データにおいて特定、測定、又はマーキングされない異常のタイプの少なくとも1つは、材料のタイプ、材料のレベル(level)、構成要素における位置、又は任意の他の望ましい特性のうちの少なくとも1つに基づいて選択されてもよい。
【0069】
表示500は、複合材料404の検査中にリアルタイムで人間のオペレータに対してディスプレイ(図示せず)上に表示される表示の見本である。ビジョンシステム(図示せず)が複合材料404に対して移動するとき、表示される画像データは変化する。例えば、ビジョンシステム(図示せず)がビデオカメラである場合に、ビジョンシステムが複合材料404に対して移動するとき、異常400はディスプレイスクリーンを横切って移動する。
【0070】
次に図6を参照すると、例示的な実施形態による、各々に幅及び長さが重ね合わされた複数の異常の図が示されている。異常600は、図2の異常214の物理的な実施態様である。画像データ604は、図2の画像データ212の実施態様であってもよい。画像データ604は、図3の構成要素302の一部の画像であってもよい。画像データ402は、図1の航空機100の構成要素の検査中に生成されてもよい。
【0071】
画像データ604内に見える複合材料602の異常600は特定されている。表示605は、複合材料602の検査中にリアルタイムで人間のオペレータに対してディスプレイ上に表示される表示の見本である。複合材料602の検査は、自動複合材配置ヘッド(図示せず)が複合材料602をレイダウンしているときに行われてもよい。別の例では、複合材料602の検査は、自動複合材配置ヘッド(図示せず)が画像データ604内の複合材料602を含む、プライの複合材料のすべてをレイダウンした後に行われてもよい。
【0072】
画像データ604の異常600は、異物破片606、毛羽塊608、毛羽塊610、折り重なったトウ612、及びプライ端部異常614を含む。図示のように、ディスプレイ(図示せず)上の画像データ604内に見える異常600の各々には、幅及び長さが重ね合わされている。
【0073】
例えば、異物破片606には、幅616及び長さ618が重ね合わされている。別の例として、毛羽塊608には、幅620及び長さ622が重ね合わされている。図示のように、異常のそれぞれの幅及び長さは、レイダウンされている複合材料602の軸線を基準としない。さらに、それぞれの幅及び長さは、ディスプレイスクリーンの軸線も基準としない。図示のように、異常のそれぞれの長さは、異常の最長範囲である。幅620及び長さ622は、複合材料602、又は画像データ604のディスプレイスクリーンの向きによって決まってはいない。
【0074】
幅624及び長さ626は、毛羽塊610に重ね合わされている。幅628及び長さ630は、折り重なったトウ612に重ね合わされている。長さ632及び幅634は、プライ端部異常614に重ね合わされている。
【0075】
図1及び図3図6に示されているさまざまな構成要素は、図2の構成要素と組み合わされてもよいし、図2の構成要素と共に使用されてもよいし、これら2つの組み合わせであってもよい。さらに、図1及び図3図6の構成要素の一部は、図2にブロック図形式で示した構成要素が物理的構造として実施され得る仕方の例示的な例であり得る。
【0076】
次に図7を参照すると、例示的な実施形態による、複合材製造にプロセス制御を提供するための方法のフローチャートの図が示されている。方法700は、図1の航空機100の構成要素を検査するために使用され得る。方法700は、図2の複合材料210を撮像し、複合材料210内の、図2の異常214に基づいて複数の計測決定225を行うために使用され得る。方法700は、図3のビジョンシステム308を使用して製造環境300内で実施され得る。方法700は、図4の画像データ402を生成することができる。方法700は、図6の画像データ604を生成することができる。
【0077】
方法700は、画像データを生成するために、複合材料のレイダウン中又はレイダウン後にビジョンシステムを使用して複合材料を自動的に撮像する(工程702)。方法700は、コンピュータシステムによって、画像データ内に見える複合材料の異常をリアルタイムで特定する(工程704)。
【0078】
方法700は、コンピュータシステムによって、異常に基づいて複数の計測決定を行う(工程706)。その後、この方法は終了する。
【0079】
コンピュータシステムは、人間のオペレータからの入力なしに複数の計測決定を行う。コンピュータシステムは、リアルタイムで複数の計測決定を行う。一部の例示的な例では、複合材料がレイダウンされているときに複合材料が撮像されるとき、コンピュータシステムは、インプロセスの複数の計測決定を行う。
【0080】
一部の例示的な例では、複数の計測決定を行うことは、画像データにおいて特定された異常のうちのある異常が異常許容閾値に違反したときに警告を出すことを含む。異常は、異常のサイズ、位置、タイプ、又は異常の何らかの他の性質のうちの少なくとも1つに基づく異常許容閾値に違反し得る。例えば、異常許容閾値がサイズであり、異常が異常許容閾値よりも大きいとき、異常は、異常許容量閾値に違反し得る。
【0081】
別の例では、異常は、他の異常の性質を考慮に入れた場合の異常許容閾値に違反し得る。他の異常を考慮に入れる場合、異常は、グループの異常の密度、間隔、同じタイプ、同じサイズ、又は他の性質などのグループの性質に基づく異常許容閾値に違反し得る。例示的な一例では、異常許容閾値は、異常の密度であり、他の異常に対する異常の位置が、異常許容閾値に違反する異常の密度を成す。別の例示的な例では、異常は、画像データ内の異常の位置、密度、タイプ、及び形状だけでなく異常の数を考慮に入れた頻度に基づく異常許容閾値に違反し得る。
【0082】
一部の例示的な例では、複合材料は、構成要素の一部である。これらの例示的な例では、異常許容閾値は、構成要素の、前のレベルの複合材料において特定された異常の数、構成要素の、前のレベルの複合材料において特定された異常のタイプ、又は構成要素の、前のレベルの複合材料において特定された異常の位置のうちの少なくとも1つを考慮に入れてもよい。
【0083】
異常許容閾値は、前のレベルで特定された異常に応じて高く又は低くされてもよい。例えば、高密度の異常が前のレベルの複合材料のある位置に存在する場合、現在の複合材料のこの位置における異常の許容密度(異常許容閾値として表される)は、高密度の異常がその位置に存在しなかった場合よりも低くされてもよい。別の例として、異常許容閾値として表される、大きな異常の許容数は、前のレベルの複合材料に存在する大きな異常が予測数未満だった場合、より高くされてもよい。
【0084】
一部の例示的な例では、複数の計測決定を行うことは、複合材料を撮像しながら異常許容閾値を修正することを含む。異常許容閾値は、異常の位置、異常の数、異常の密度、又は異常のランダム度(measure of randomness)のうちの少なくとも1つを含む、画像データにおいて特定される異常の性質に基づいて修正される。一部の例示的な例では、異常の頻度が使用されてもよい。頻度は、画像データ内の異常の位置、密度、タイプ、及び形状を考慮に入れてもよい。使用される場合、画像データ内の異常の頻度は、構成要素の他の複合材層の履歴データにおける異常の頻度と比較されてもよい。例えば、構成要素の一部分のいくつかの層における異常の頻度の増加が、異常許容閾値に違反し得る。
【0085】
例示的な一例では、複合材料をレイダウンしている最中に特定された異常の数が予想よりも多い場合、異常許容閾値は、製造プロセス中に早期に警告をトリガするために低くされてもよい。早期に警告をトリガすることによって、廃棄物の低減及び製造時間の短縮が可能になる。例えば、早期に警告をトリガすることによって、複合材料の全部のプライを完成させる前に、複合材料のレイダウンを停止してもよい。複合材料の全部のプライを完成させる前に停止することによって、再加工される材料の量を低減することができ、したがって、廃棄物が低減される。さらに、複合材料の全部のプライを完成させる前に停止することによって、プライを完成させる追加の製造時間が費やされない。
【0086】
別の例示的な例として、1つの位置で異常の密度が高い場合、異常の密度の高い位置によって警告がトリガされないように、異常許容閾値の異常の総数を増加させてもよい。さらなる例として、検出される異常のランダム性の度合いが予想よりも大きくなる場合がある。異常のランダム性の度合いが予想よりもかなり大きい場合、検査中の実際のランダム性の度合いをより正確に表すために、異常許容閾値を増加させてもよい。
【0087】
一部の例示的な例では、複合材料は構成要素の一部であり、異常許容閾値は、構成要素の設計に基づいて修正される。構成要素の設計は、厚さ、歪みの位置、電子構成要素に関連する位置、接合部の位置、必要な強度、外形、外形の複雑さ、貫通孔、又は構成要素の他の設計特徴などの構成要素の任意の望ましい特徴を含んでもよい。
【0088】
例えば、構成要素のより薄い領域の異常の密度に関して、異常許容閾値は低くされてもよい。異常許容閾値を低くすることによって、構成要素のこのより薄い領域の許容可能な密度は、構成要素のより厚い領域よりも低くなる。
【0089】
一部の例示的な例では、完成した構成要素に、締め具などの支持構造が存在してもよい。支持構造が構成要素の設計に含まれる場合、異常許容閾値は、締め具用の孔の存在を考慮に入れてもよい。
【0090】
一部の例示的な例では、異常許容閾値は、他の構成要素の履歴性能データに基づいて修正される。例えば、大きな異常の数に関する異常許容閾値は、異常が特定された現在の構成要素の性能の推定に基づいて低くされてもよい。性能の推定は、同様の異常を有する他の構成要素の、強度データなどの性能データに基づく。これらの例では、同じ設計を有する構成要素の履歴性能データが、特定された異常に基づいて現在の構成要素の現在の性能を推定し、現在の構成要素が異常許容閾値に違反しない場合に現在の構成要素が所望の性能特性を満たすように異常許容閾値を修正するために使用される。
【0091】
別の例として、異常許容閾値は、構成要素の設計を修正することに基づいて修正されてもよい。一部の例示的な例では、構成要素の設計に追加の複合材レベルが追加されてもよい。異常許容閾値は、構成要素の厚さを考慮に入れてもよい。より多くの材料が存在する場合、異常許容閾値は大きくされてもよい。このように、異常許容閾値は、異常の頻度、異常のパターン、及び構成要素の厚さを考慮に入れてもよい。構成要素の厚さが変わる場合、異常許容閾値もまた修正されてもよい。
【0092】
別の例示的な例として、複数の計測決定を行うことは、追加の支持構造の使用を示唆することを含む。例えば、複数の計測決定を行うことは、特定された異常に基づいてより多くの数の締め具を構成要素に含めるように推奨することを含んでもよい。
【0093】
次に図8を参照すると、例示的な実施形態による、異常を特定して表示するための方法のフローチャートの図が示されている。方法800は、図1の航空機100の構成要素を検査するために使用され得る。方法800は、図2の複合材料210を撮像し、図2の画像データ212内の複合材料210の異常を表示するために使用され得る。方法800は、図3のビジョンシステム308及びディスプレイ310を使用して製造環境300内で実施され得る。方法800は、図5の表示500又は図6の画像データ604の少なくとも一方を生成することができる。
【0094】
方法800は、ビジョンシステムを使用して複合材料の画像データを生成するが、その場合、画像データは、複合材料のレイダウン中又はレイダウン後の少なくともいずれかにおいて生成される(工程802)。方法800は、コンピュータシステムによって、画像データ内に見える複合材料の異常をリアルタイムで特定する(工程804)。方法800は、ディスプレイ上の画像データ内に見える異常の各々に幅及び長さを重ね合わせて、画像データをディスプレイ上にリアルタイムで表示する(工程806)。その後、この方法は終了する。
【0095】
図示したさまざまな実施形態におけるフローチャート及びブロック図は、例示的な実施形態における装置及び方法の一部の可能な実施態様のアーキテクチャ、機能、及び工程を示している。これに関して、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、モジュール、セグメント、機能、及び/又は工程若しくはステップの一部を表し得る。
【0096】
例示的な実施形態の一部の代替的な実施態様では、ブロックに記載されている機能又は複数の機能は、図に記載されている順序から外れて実行されてもよい。例えば、一部のケースでは、連続して示されている2つのブロックは、関連する機能によっては、実質的に同時に実行される場合もあるし、場合によっては逆の順序で実行される場合もある。また、図示のブロックに加えて、フローチャート又はブロック図に他のブロックが追加されてもよい。
【0097】
例えば、方法700は、異常に関するデータをデータベースに格納すること、データベースを使用して機械学習データセット及び確率情報を構築すること、並びに複合材料を含む、構成要素の部分の品質を予測するために機械学習データセット及び確率情報を使用することをさらに含んでもよい。予測では、他の構成要素の履歴データ、構成要素の設計、又は複合材料に特定された異常のうちの少なくとも1つが考慮に入れられる。
【0098】
別の例示的な例では、方法700は、表示される画像データ内に見える異常の各々に幅及び長さを重ね合わせて、画像データをリアルタイムで表示することをさらに含む。画像データをリアルタイムで表示することにより、オペレータは、異常のタイプ、異常の位置、及び異常のサイズをリアルタイムで監視することができる。
【0099】
例示的な一例では、方法700は、画像データにおいて特定された異常の各々に異常タイプをコンピュータシステムによって割り当てることをさらに含む。異常タイプを割り当てることによって、複合材料に存在する異常に関する追加情報が、コンピュータシステムに提供される。より大量の情報を用いることで、コンピュータシステムは、複合材製造プロセスをより良好に制御及び監視することができる。さらに、異常タイプを割り当てることによって、コンピュータシステムは、特定タイプの材料、特定の製造ツール、又は特定領域の製造環境における許容範囲外の状態を診断することが可能になり得る。
【0100】
別の例示的な例では、画像データにおいて特定された異常は測定される。異常の測定値は、任意の望ましい許容範囲を有してもよい。一部の例示的な例では、画像データにおいて特定される異常の測定は、±0.01インチの範囲内での異常の測定を含む。一部の例示的な例では、画像データにおいて特定される異常の測定は、±0.10インチの範囲内での異常の測定を含む。
【0101】
別の例として、方法800は、コンピュータシステムによって、複合材料が構成要素の一部である構成要素の異常、履歴性能データ、及び設計に基づいて複数の計測決定を行うことをさらに含んでもよい。一部の例示的な例では、複数の計測決定は、複合材料又は未来のプライに関する複合材レイダウンパラメータを調整することを含む。例えば、計測決定は、現在又は未来のプライのレイダウン速度、レイダウン角度、複合材圧縮圧力、レイダウン中に加えられる熱、切断速度、切断角度のうちの少なくとも1つを変更することであってもよい。一部の例示的な例では、現在のプライの複合材レイダウンパラメータはリアルタイムで変更される。これらの例示的な例では、複合材料に関する複合材レイダウンパラメータは、複合材料がレイダウンされるにつれて変更される。
【0102】
一部の例示的な例では、コンピュータシステムは、人間のオペレータから独立して画像データを分析し、複合材レイダウンパラメータを変更する決定を行うように構成される。コンピュータシステムは、リアルタイムで、画像データを分析し、複合材レイダウンパラメータを変更することが望ましいかどうかを判定するように構成される。
【0103】
別の例として、方法800は、コンピュータシステムによって、複合材料を撮像しながら異常許容閾値を修正することをさらに含んでもよく、その場合、異常許容閾値は、画像データにおいて特定される異常に基づいて修正される。
【0104】
次に図9を参照すると、例示的な実施形態による、ブロック図の形式のデータ処理システムの図が示されている。データ処理システム900は、図2のコンピュータシステム208を実施するために使用されてもよい。図示のように、データ処理システム900は、通信フレームワーク902を含み、通信フレームワーク902は、プロセッサユニット904と、記憶装置906と、通信ユニット908と、入力/出力ユニット910と、ディスプレイ912との間の通信を提供する。場合によっては、通信フレームワーク902は、バスシステムとして実施されてもよい。
【0105】
プロセッサユニット904は、複数の動作を実行するためにソフトウェアの命令を実行するように構成される。プロセッサユニット904は、実施態様に応じて複数のプロセッサ、マルチプロセッサコア、及び/又は何らかの他の適切なタイプのプロセッサを備えてもよい。場合によっては、プロセッサユニット904は、回路システム、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス、又は何らかの他の適切なタイプのハードウェアユニットなどのハードウェアユニットの形態をとってもよい。
【0106】
プロセッサユニット904によって実行されるオペレーティングシステム、アプリケーション、及び/又はプログラムの命令は、記憶装置906に配置されてもよい。記憶装置906は、通信フレームワーク902を介してプロセッサユニット904と通信することができる。本明細書で使用される場合、コンピュータ可読記憶装置とも呼ばれる記憶装置は、一時的及び/又は永続的に情報を格納することができる任意の1個のハードウェアである。この情報は、データ、プログラムコード、及び/又は他のタイプの情報を含み得るが、これらに限定されない。
【0107】
メモリ914及び永続ストレージ916は、記憶装置906の例である。メモリ914は、例えばランダムアクセスメモリ又は何らかのタイプの揮発性若しくは不揮発性記憶装置の形態をとってもよい。永続ストレージ916は、任意の数の構成要素又はデバイスを備えてもよい。例えば、永続ストレージ916は、ハードドライブ、フラッシュメモリドライブ、書換型光ディスク、書換型磁気テープ、又はこれらの何らかの組み合わせを備えてもよい。永続ストレージ916によって使用される媒体は、取り外し可能であってもなくてもよい。
【0108】
通信ユニット908は、データ処理システム900が他のデータ処理システム及び/又はデバイスと通信することを可能にする。通信ユニット908は、物理及び/又は無線通信リンクを使用して通信を提供することができる。
【0109】
入力/出力ユニット910は、データ処理システム900に接続された他のデバイスからの入力/への出力の受信/送信を可能にする。例えば、入力/出力ユニット910は、キーボード、マウス、及び/又は何らかの他のタイプの入力デバイスを介してユーザ入力が受信されることを可能にすることができる。別の例として、入力/出力ユニット910は、データ処理システム900に接続されたプリンタに出力が送信されることを可能にすることができる。
【0110】
ディスプレイ912は、ユーザに情報を表示するように構成される。ディスプレイ912は、例えば、モニタ、タッチスクリーン、レーザディスプレイ、ホログラフィックディスプレイ、仮想ディスプレイデバイス、及び/又は何らかの他のタイプのディスプレイデバイスを備えてもよいが、これらに限定されない。
【0111】
この例示的な例では、さまざまな例示的な実施形態のプロセスは、コンピュータ実施命令を使用してプロセッサユニット904によって実行されてもよい。これらの命令は、プログラムコード、コンピュータ使用可能プログラムコード、又はコンピュータ可読プログラムコードと呼ばれ得るものであり、プロセッサユニット904の1つ以上のプロセッサによって読み取られて実行され得る。
【0112】
これらの例では、プログラムコード918は、選択的に取り外し可能であるコンピュータ可読媒体920に関数形式で配置され、プロセッサユニット904による実行のためにデータ処理システム900にロード又は伝送され得る。プログラムコード918及びコンピュータ可読媒体920は一緒にコンピュータプログラム製品922を形成する。この例示的な例では、コンピュータ可読媒体920は、コンピュータ可読記憶媒体924又はコンピュータ可読信号媒体926であってもよい。
【0113】
コンピュータ可読記憶媒体924は、プログラムコード918を伝達又は伝送する媒体ではなく、プログラムコード918を格納するために使用される物理的な又は有形の記憶装置である。コンピュータ可読記憶媒体924は、例えば、光若しくは磁気ディスク、又はデータ処理システム900に接続される永続記憶装置であってもよいが、これらに限定されない。
【0114】
あるいは、プログラムコード918は、コンピュータ可読信号媒体926を使用してデータ処理システム900に伝送されてもよい。コンピュータ可読信号媒体926は、例えば、プログラムコード918を含む伝達されるデータ信号であってもよい。このデータ信号は、電磁信号、光信号、並びに/又は物理及び/若しくは無線通信リンクを介して伝送され得る何らかの他のタイプの信号であってもよい。
【0115】
図9のデータ処理システム900の図は、例示的な実施形態が実施され得る方法に対して構造上の制限を与えることを意味しない。さまざまな例示的な実施形態は、図示の構成要素に加えて、又はそれらの代わりに処理システム900のための構成要素を含むデータ処理システムにおいて実施されてもよい。さらに、図9に示されている構成要素は、図示の例示的な例から変更されてもよい。
【0116】
本開示の例示的な実施形態は、図10に示すような航空機の製造及び保守点検方法1000並びに図11に示すような航空機1100との関連で説明され得る。最初に図10を参照すると、例示的な実施形態による、航空機の製造及び保守点検方法の図が示されている。試作中に、航空機の製造及び保守点検方法1000は、図11の航空機1100の仕様及び設計1002並びに材料調達1004を含み得る。
【0117】
生産中に、航空機1100の構成要素及び部分組立品の製造1006並びにシステム統合1008が行われる。その後、航空機1100は、就航1012させるために認証及び搬送1010を経ることができる。顧客による就航中1012の間に、航空機1100は、改修、再構成、改造、及び他の整備又は保守点検を含み得る定期的な整備及び保守点検1014を予定される。
【0118】
航空機の製造及び保守点検方法1000の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータによって実行又は遂行され得る。これらの例では、オペレータは顧客であってもよい。この説明のために、システムインテグレータは、任意の数の航空機の製造業者及び主システムの下請業者を含んでもよいが、これらに限定されず、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含んでもよいが、これらに限定されず、オペレータは、航空会社、リース会社、軍隊、及び保守点検業者などであってもよい。
【0119】
次に図11を参照すると、例示的な実施形態が実施され得る航空機の図が示されている。この例では、航空機1100は、図10の航空機の製造及び保守点検方法1000によって生産され、複数のシステム1104及び内部1106と共に機体1102を含み得る。システム1104の例は、推進システム1108、電気システム1110、油圧システム1112、及び環境システム1114のうちの1つ以上を含む。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙産業の例を示したが、さまざまな例示的な実施形態は、自動車産業などの他の産業にも応用され得る。
【0120】
本明細書で具体化されている装置及び方法は、航空機の製造及び保守点検方法1000のうちの少なくとも1つの段階中に使用され得る。本明細書で使用される場合、「のうちの少なくとも1つ」という語句は、項目のリストと共に使用される場合、リストされた項目のうちの1つ以上のさまざまな組み合わせが使用されてもよく、リストの各項目の1つのみが必要であり得ることを意味する。言い換えれば、「のうちの少なくとも1つ」は、項目の任意の組み合わせ及び複数の項目がリストから使用され得るが、リストの項目のすべてが必要なわけではないことを意味する。項目は、特定の物体、物、又はカテゴリーであってもよい。
【0121】
例えば、「項目A、項目B、又は項目Cのうちの少なくとも1つ」は、「項目A」、「項目A及び項目B」、又は「項目B」を含み得るが、これらに限定されない。また、この例は、「項目A、項目B、及び項目C」又は「項目B及び項目C」を含み得る。もちろん、これらの項目の任意の組み合わせがあり得る。他の例では、「のうちの少なくとも1つ」は、例えば、「2つの項目A、1つの項目B、及び10の項目C」、「4つの項目B及び7つの項目C」、又は他の適切な組み合わせであり得るが、これらに限定されない。
【0122】
図10の構成要素及び部分組立品の製造1006中に、1つ以上の例示的な実施形態が使用され得る。例えば、図2のシステム202は、図2の複合材料210を検査するために、構成要素及び部分組立品の製造1006中に使用され得る。図2の画像データ212は、図7の方法700を使用して構成要素及び部分組立品の製造1006中に生成され得る。図2のシステム202は、機体1102又は内部1106の任意の望ましい部分を検査するために使用され得る。一部の例示的な例では、航空機1100のシステム統合1008中に、図2のシステム202を使用して、機体1102又は内部1106の任意の望ましい部分が検査され得る。システム202を使用して検査される図2の構成要素224は、図10の整備及び保守点検1014中に検査される交換構成要素であってもよい。一部の例示的な例では、機体1102又は内部1106の交換構成要素は、図2のシステム202を使用して検査され得る。交換構成要素は、図10の整備及び保守点検1014中に図7の方法700又は図8の方法800を使用して検査され得る。
【0123】
例示的な実施形態は、コンピュータビジョン、ビデオデータ分析/ツール、及び機械学習を使用するインプロセスの経済的なインテリジェントカメラシステムを提示する。単一の非侵入型システムは、異常許容値との比較のために複合材積層プロセス中に異常を認識し、特定し、記録する。さらに、改善されたプロセス性能に基づいて異常の許容値を変更するときにデータ収集を修正するようにこのシステムに教えることができる。例示的な例では、部品の周りを歩くプライシーケンス(ply sequence walk around a part)によってプライシーケンス(ply sequence)を除去し、製造技術者による後の評価のために結果を記録することができる。部品の周りを歩くプライシーケンスによるプライシーケンスの除去によって、労力及びフロータイム(flow-time)が削減される。
【0124】
本発明は、特許請求の範囲と混同されるべきではない以下の項でも言及される。
【0125】
A1.複合材製造プロセスのプロセス制御のためのシステム(202)であって、
複合材料(210)をレイダウンするように構成された自動複合材配置ヘッド(204)と、
複合材料(210)の検査中に画像データ(212)を生成するように構成され、かつ自動複合材配置ヘッド(204)に接続されたビジョンシステム(206)であって、検査が、複合材料(210)のレイダウン中又はレイダウン後の少なくともいずれかにおいて行われるビジョンシステム(206)と、
画像データ(212)内に見える、複合材料(210)の異常(214)を特定し、異常(214)に基づいて複数の計測決定(225)を行うように構成されたコンピュータシステム(208)と
を備えるシステム(202)。
【0126】
A2.コンピュータシステム(208)が、異常(214)に関するデータ(216)をデータベース(218)に格納し、データベース(218)を使用して機械学習データセット(220)及び確率情報(222)を構築し、複合材料(210)を含む、構成要素(224)の部分の品質を予測するために機械学習データセット(220)及び確率情報(222)を使用するようにさらに構成されている、項A1に記載のシステム(202)も提供される。
【0127】
A3.コンピュータシステム(208)が、自動複合材配置ヘッド(204)が複合材料(210)をレイダウンしている最中に複数の計測決定(225)を行うように構成されている、項A2に記載のシステム(202)も提供される。
【0128】
A4.複数の計測決定(225)が、異常許容閾値(226)を修正することを含み、コンピュータシステム(208)が、複合材料(210)を撮像しながら異常許容閾値(226)を修正するために確率的手法を採用するように構成されており、異常許容閾値(226)が、画像データ(212)において特定された異常(214)の少なくとも1つの性質に基づいて修正され、異常(214)の性質が、サイズ(230)、密度(232)、位置(234)、異常タイプ(236)、又はランダム性(238)のうちの少なくとも1つを含む、項A1に記載のシステム(202)も提供される。
【0129】
A5.異常許容閾値(226)が、異常の総数(240)、特定タイプの異常の数(242)、異常のサイズ(244)、特定タイプの異常のサイズ(246)、異常の密度(248)、又は特定タイプの異常の密度(250)のうちの少なくとも1つを含む、項A4に記載のシステム(202)も提供される。
【0130】
A6.複合材料(210)が、構成要素(224)の一部であり、コンピュータシステム(208)が、画像データ(212)において特定される異常(214)の位置と構成要素(224)の設計(252)とを比較するように構成されている、項A1に記載のシステム(202)も提供される。
【0131】
A7.ディスプレイ(260)
をさらに備え、コンピュータシステム(208)が、ディスプレイ(260)上の画像データ(212)内に見える異常(214)の各々に幅及び長さを重ね合わせて、ディスプレイ(260)上に画像データ(212)をリアルタイムで示すように構成されている、
項A1に記載のシステム(202)も提供される。
【0132】
A8.複数の計測決定(225)が、複合材料(210)又は未来のプライに関する複合材レイダウンパラメータ(227)を調整することを含む、項A1に記載のシステム(202)も提供される。
【0133】
本発明のさらなる態様によれば、以下が提供される。
B1.方法であって、
画像データ(212)を生成するために、複合材料(210)のレイダウン中又はレイダウン後にビジョンシステム(206)を使用して複合材料(210)を自動的に撮像するステップと、
コンピュータシステム(208)によって、画像データ(212)内に見える複合材料(210)の異常(214)をリアルタイムで特定するステップと、
コンピュータシステム(208)によって、異常(214)に基づいて複数の計測決定(225)を行うステップと
を含む方法。
【0134】
B2.異常(214)に関するデータ(216)をデータベース(218)に格納するステップと、
データベース(218)を使用して機械学習データセット(220)及び確率情報(222)を構築するステップと、
複合材料(210)を含む、構成要素(224)の部分の品質を予測するために機械学習データセット(220)及び確率情報(222)を使用するステップと
をさらに含む、項B1に記載の方法も提供される。
【0135】
B3.複数の計測決定(225)を行うステップが、
画像データ(212)において特定された異常(214)のうちのある異常が異常許容閾値(226)に違反したときに警告を出すステップを含む、項B1に記載の方法も提供される。
【0136】
B4.複合材料(210)が、構成要素(224)の一部であり、異常許容閾値(226)が、構成要素(224)の、前のレベルの複合材料(254)において特定された異常の数、構成要素(224)の、前のレベルの複合材料(254)において特定された異常のタイプ、又は構成要素(224)の、前のレベルの複合材料(254)において特定された異常の位置のうちの少なくとも1つを考慮に入れる、項B3に記載の方法も提供される。
【0137】
B5.複数の計測決定(225)を行うステップが、
複合材料(210)を撮像しながら異常許容閾値(226)を修正するステップであって、異常許容閾値(226)が、異常(214)の位置(234)、異常(214)の数、異常(214)の密度(232)、又は異常(214)のランダム度(238)のうちの少なくとも1つを含む、画像データ(212)において特定される異常(214)の性質に基づいて修正されるステップ
を含む、項B1に記載の方法も提供される。
【0138】
B6.複合材料(210)が、構成要素(224)の一部であり、異常許容閾値(226)が、構成要素(224)の設計に基づいて修正される、項B5に記載の方法も提供される。
【0139】
B7.異常許容閾値(226)が、他の構成要素の履歴性能データ(258)に基づいて修正される、項B6に記載の方法も提供される。
【0140】
B8.表示される画像データ(212)内に見える異常(214)の各々に幅及び長さを重ね合わせて、画像データ(212)をリアルタイムで表示するステップ
をさらに含む、項B1に記載の方法も提供される。
【0141】
B9.画像データ(212)において特定された異常(214)の各々に異常タイプをコンピュータシステム(208)によって割り当てるステップ
をさらに含む、項B1に記載の方法も提供される。
【0142】
B10.画像データ(212)において特定された異常(214)を測定するステップ
をさらに含む、項B1に記載の方法も提供される。
【0143】
B11.複数の計測決定(225)が、複合材料(210)又は未来のプライに関する複合材レイダウンパラメータ(227)を調整することを含む、項B1に記載の方法も提供される。
【0144】
本発明のさらなる態様によれば、以下が提供される。
C1.方法であって、
ビジョンシステム(206)を使用して複合材料(210)の画像データ(212)を生成するステップであって、画像データ(212)が、複合材料(210)のレイダウン中又はレイダウン後の少なくともいずれかにおいて生成されるステップと、
コンピュータシステム(208)によって、画像データ(212)内に見える複合材料(210)の異常(214)をリアルタイムで特定するステップと、
ディスプレイ(260)上の画像データ(212)内に見える異常(214)の各々に幅及び長さを重ね合わせて、ディスプレイ(260)上に画像データ(212)をリアルタイムで表示するステップと
を含む方法。
【0145】
C2.コンピュータシステム(208)によって、複合材料(210)が構成要素(224)の一部である構成要素(224)の異常(214)、履歴性能データ(258)、及び設計に基づいて複数の計測決定(225)を行うステップ
をさらに含む、項C1に記載の方法も提供される。
【0146】
C3.複数の計測決定(225)が、複合材料(210)又は未来のプライに関する複合材レイダウンパラメータ(227)を調整することを含む、項C2に記載の方法も提供される。
【0147】
C4.コンピュータシステム(208)によって、複合材料(210)を撮像しながら異常許容閾値(226)を修正するステップであって、異常許容閾値(226)が、画像データ(212)において特定される異常(214)に基づいて修正されるステップ
をさらに含む、項C1に記載の方法も提供される。
【0148】
さまざまな例示的な実施形態の説明は、例示及び説明のために提示されたものであり、網羅的であること又は開示した形態の実施形態に限定されることを意図したものではない。当業者には多くの修正及び変形は明らかであろう。さらに、異なる例示的な実施形態は、他の例示的な実施形態と比べて異なる特徴を提供し得る。選択された実施形態又は複数の実施形態は、実施形態の原理、実際の適用を最もよく説明するために、また、考えられる特定の使用に適したさまざまな修正を伴うさまざまな実施形態の開示を当業者が理解できるようにするために選び出されて説明されている。
【符号の説明】
【0149】
100 航空機
102 翼
104 翼
106 胴体
108 エンジン
110 エンジン
112 尾部
114 水平安定版
116 水平安定版
118 垂直安定版
200 製造環境
202 システム
204 自動複合材配置ヘッド
206 ビジョンシステム
208 コンピュータシステム
210 複合材料
212 画像データ
214 異常
216 データ
218 データベース
220 機械学習データセット
222 確率情報
224 構成要素
225 複数の計測決定
226 異常許容閾値
227 複合材レイダウンパラメータ
228 性質
230 サイズ
232 密度
234 位置
236 異常タイプ
238 ランダム性
240 異常の総数
242 特定タイプの異常の数
244 異常のサイズ
246 特定タイプの異常のサイズ
248 異常の密度
250 特定タイプの異常の密度
252 設計
253 モデル
254 前のレベルの複合材料
256 計測データ
258 履歴性能データ
260 ディスプレイ
262 異常
264 異常
266 幅
268 長さ
270 幅
272 長さ
276 異常
300 製造環境
302 構成要素
304 自動複合材配置ヘッド
306 複合材料
308 ビジョンシステム
310 ディスプレイ
400 異常
402 画像データ
404 複合材料
406 異物破片
408 隙間
500 表示
502 幅
504 長さ
600 異常
602 複合材料
604 画像データ
605 表示
606 異物破片
608 毛羽塊
610 毛羽塊
612 折り重なったトウ
614 プライ端部異常
616 幅
618 長さ
620 幅
622 長さ
624 幅
626 長さ
628 幅
630 長さ
632 長さ
634 幅
900 データ処理システム
904 プロセッサユニット
906 記憶装置
908 通信ユニット
910 入力/出力ユニット
912 ディスプレイ
914 メモリ
916 永続ストレージ
918 プログラムコード
920 コンピュータ可読媒体
922 コンピュータプログラム製品
924 コンピュータ可読記憶媒体
926 コンピュータ可読信号媒体
1000 保守点検方法
1002 設計
1004 材料調達
1006 製造
1008 システム統合
1010 搬送
1012 就航中
1014 保守点検
1100 航空機
1102 機体
1104 システム
1106 内部
1108 推進システム
1110 電気システム
1112 油圧システム
1114 環境システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11