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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】衣料用液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/72 20060101AFI20221209BHJP
   C11D 3/30 20060101ALI20221209BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20221209BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
C11D1/72
C11D3/30
C11D3/20
C11D17/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018090680
(22)【出願日】2018-05-09
(65)【公開番号】P2018188641
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2017093084
(32)【優先日】2017-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】藤原 久美子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 遥
(72)【発明者】
【氏名】小倉 弘嗣
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-508445(JP,A)
【文献】国際公開第2017/051776(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0177518(US,A1)
【文献】特開2017-008303(JP,A)
【文献】特開2016-124985(JP,A)
【文献】特開2003-138300(JP,A)
【文献】特開昭60-190595(JP,A)
【文献】特開2016-168336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:ヒドロキシカルボン酸、
(B)成分:フェノール系抗菌剤(b-2)、及び
(C)成分:下記式(c-1)で表されるポリ(オキシアルキレン)アルキルエーテルを含むノニオン界面活性剤、を含有し、
前記(A)成分の含有量が、衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対し5~20質量%であり、
(A)成分/(C)成分で表される質量比が、0.2~1であり、
25℃におけるpHが2~6である、衣料用液体洗浄剤組成物。
12 -X-[(EO) /(PO) ]-R 13 ・・・(c-1)
式(c-1)中、R 12 は炭素数8~18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、Xは-O-であり、R 13 は水素原子である。sはEOの平均繰返し数を表し、3~20の数である。tはPOの平均繰返し数を表し、0である。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を表し、EOとPOとは混在して配列してもよい。
【請求項2】
前記(A)成分がクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、及び乳酸からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記(C)成分の含有量が、衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対し30質量%以下である、請求項1又は2に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
介護用品用、ペット用、又は乳幼児用である、請求項1~3のいずれか一項に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料用液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者や要介護者のいる家庭や介護施設では、衣類に付着した尿臭が問題となっている。さらに、尿臭は通常の洗濯では落としにくいという問題がある。
【0003】
特許文献1には、(A)8-シクロヘキサデセン-1-オン、(B)カンファー、ボルネオール、l-メントン等から選ばれる1種以上の香料、(C)界面活性剤、(D)過炭酸ナトリウム、及び(E)漂白活性化剤を含有する洗濯前処理剤組成物について提案している。特許文献1によれば、尿臭、便臭に対する高い消臭性能を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-39871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の洗濯前処理剤組成物では、当該洗濯前処理剤組成物の希釈液に被洗物を浸漬させた後、洗浄剤で処理する必要があり、使用方法が煩雑である。また、尿臭除去効果も充分ではない。
また、洗浄剤組成物には抗菌性(特に洗浄後の被洗物を部屋干ししたときの、菌の付着による異臭の抑制効果)も要求される。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、尿臭除去効果及び抗菌性に優れた衣料用液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、尿臭は尿由来のp-クレゾールが原因の一つであり、p-クレゾールがリン酸塩やタンパク質からなる尿石用汚垢と一緒になることで、尿臭が洗濯しても落ちにくくなっていることをつきとめた。
本発明者らは以下の衣料用液体洗浄剤組成物が、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、以下の態様を有する。
[1](A)成分:ヒドロキシカルボン酸、
(B)成分:下記(b-1)成分、(b-2)成分及び(b-3)成分からなる群から選択される少なくとも1種の抗菌剤、及び
(C)成分:ノニオン界面活性剤、を含有し、
前記(A)成分の含有量が、衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対し5質量%以上であり、
25℃におけるpHが2~6である、衣料用液体洗浄剤組成物。
(b-1)成分:4級窒素原子の置換基として、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~16のアルキル基、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~16のアルケニル基、炭素数1~16のヒドロキシアルキル基又は炭素数1~16のフェニルアルキル基を有する第4級アンモニウム塩。
(b-2)成分:フェノール系抗菌剤。
(b-3)成分:ビグアニド化合物。
[2]前記(A)成分がクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、及び乳酸からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
[3]前記(C)成分の含有量が、衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対し30質量%以下である、請求項1又は2に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
[4]介護用品用、ペット用、又は乳幼児用である、請求項1~3のいずれか一項に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、尿臭除去効果及び抗菌性に優れた衣料用液体洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、以下の(A)~(C)成分を含有する。
【0009】
<(A)成分>
(A)成分はヒドロキシカルボン酸である。本明細書において、ヒドロキシカルボン酸とは、ヒドロキシ基を有するカルボン酸のことをいう。ヒドロキシカルボン酸としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、グリコール酸等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸の中でも、性能や供給性の観点から、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸が好ましく、クエン酸、酒石酸がさらに好ましく、クエン酸が特に好ましい。
(A)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組合わせて用いてもよい。
【0010】
(A)成分の含有量は、衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対し、5質量%以上である。5質量%以上であれば、尿臭除去効果を向上できる。(A)成分の含有量は、5~20質量%が好ましく、7~12質量%がより好ましい。
上記下限値以上であると、尿臭除去効果を向上しやすい。
上記上限値以下であると、安定性を向上しやすい。
【0011】
<(B)成分>
(B)成分は下記(b-1)成分、(b-2)成分及び(b-3)成分からなる群から選択される少なくとも1種の抗菌剤である。
(B)成分の中で好ましくは(b-2)成分、(b-3)成分、より好ましくは(b-2)成分である。(b-2)成分、(b-3)成分を使用することで、低濃度で抗菌性を発現することが可能になり、さらに(b-2)成分は外観安定性が良好である。
(b-1)成分:4級窒素原子の置換基として、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~16のアルキル基、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~16のアルケニル基、炭素数1~16のヒドロキシアルキル基又は炭素数1~16のフェニルアルキル基を有する第4級アンモニウム塩。
(b-2)成分:フェノール系抗菌剤。
(b-3)成分:ビグアニド化合物。
【0012】
(b-1)成分としては、下記式(b-1-1)、(b-1-2)、(b-1-3)で表される第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0013】
【化1】
【0014】
式(b-1-1)中、R~Rのうちの2つ以上は、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基、又は炭素数1~3のヒドロキシアルキル基であり、それ以外は、炭素数8~16の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数8~16の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。Zは、ハロゲンイオン又はアルキル硫酸イオンである。
【0015】
式(b-1-1)で表される化合物としては、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化アルキル(炭素数12)トリメチルアンモニウム、塩化アルキル(炭素数14)トリメチルアンモニウム、塩化アルキル(炭素数16)トリメチルアンモニウムが挙げられ、塩化アルキル(炭素数12)トリメチルアンモニウムが好ましい。
【0016】
【化2】
【0017】
式(b-1-2)中、Rは、炭素数8~16の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数8~16の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。Rは、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のヒドロキシアルキル基、又は炭素数5~20の芳香族炭化水素基である。x及びyは、オキシエチレン基の平均繰り返し数を示し、それぞれ独立して0以上の整数であって、x+yが10以上である。Zは、ハロゲンイオン又はアルキル硫酸イオンである。
【0018】
【化3】
【0019】
式(b-1-3)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のヒドロキシアルキル基であり、Rは、炭素数8~16の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり、R10は、炭素数1~3のアルキレン基である。Zは、ハロゲンイオン又はアルキル硫酸イオンである。
(b-1)成分の含有量は、衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対し、0.001~5質量%が好ましく、0.01~3質量%がより好ましく、0.2~2質量%が特に好ましい。
【0020】
(b-2)成分としては、ダイクロサン、トリクロサン、クロルチモール、カルバクロル、クロロフェン、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、クロロキシレノール、クロロクレゾール等のクロロフェノール系抗菌剤;O-フェニルフェノール、イソプロピルメチルフェノールが挙げられ、なかでもダイクロサンが好ましい。
(b-2)成分の含有量は、衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対し、0.001~2質量%が好ましく、0.01~0.5質量%がより好ましく、0.02~0.1質量%が特に好ましい。
【0021】
(b-3)成分としては、下記一般式(b-3-1)で表されるビグアニド系化合物や塩酸クロロヘキシジン(1,1’-Hexamethylene bis [5-(4-chlorophenyl)biguanide] dihedrochloride)などを用いることができる。
-[R11-NH-C(NH)-NH-C(NH)-NH]- n・HY ・・・(b-3-1)
式(b-3-1)中、R11は炭素数2~8のアルキレン基であり、好ましくは炭素数4~8のアルキレン基であり、特にヘキサメチレン基であり、nは2~14であり、好ましくは10~14であり、より好ましくは11~13であり、特に好ましくは12である。HYは有機酸又は無機酸を示し、好ましくは塩酸、グルコン酸又は酢酸であり、特に塩酸が最も好ましい。
(b-3)成分としては、一般式(b-3-1)においてR11がヘキサメチレン基であり、nが10~14であるものが好適であり、更にはnが11~13であるポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩が最も好適である。好ましいポリヘキサメチレンビグアニド抗菌剤は市販のものを用いることが出来き、上記一般式(b-3-1)のR11がヘキサメチレン基であり、nが12であり、HYが塩酸である、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸塩(商品名Proxel IB(登録商標))を使用することが出来る。
(b-3)成分の含有量は、衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対し、0.001~3質量%が好ましく、0.005~0.5質量%がより好ましく、0.01~0.1質量%が特に好ましい。
(B)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組合わせて用いてもよい。
(B)成分としては、(b-2)成分のフェノール系抗菌剤が好ましく、クロロフェノール系抗菌剤がより好ましく、ダイクロサンがさらに好ましい。
【0022】
(B)成分の含有量は、衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対し、0.001質量%以上が好ましく、0.005~5質量%がより好ましく、0.01~3質量%がさらに好ましい。
上記下限値以上であると、尿臭除去効果、抗菌性を向上しやすい。
上記上限値以下であると、再汚染防止効果(汚れが再度被洗物に付着するのを防止する効果)を向上しやすい。
【0023】
(A)成分/(B)成分で表される質量比(以下、A/B比ともいう)は、1~4000が好ましく、10~2000がより好ましく、50~1000が特に好ましい。
A/B比を上記範囲内とすると、尿臭除去効果が高い上、保存安定性も良好という効果が得られる。
【0024】
<(C)成分>
(C)成分はノニオン界面活性剤である。具体的には、下記式(c-1)で表されるポリ(オキシアルキレン)アルキルエーテルが挙げられる。
12-X-[(EO)/(PO)]-R13 ・・・(c-1)
式(c-1)中、R12は炭素数8~18の炭化水素基であり、Xは-O-または-C(O)O-であり、R13は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数2~6のアルケニル基である。sはEOの平均繰返し数を表し、3~20の数である。tはPOの平均繰返し数を表し、0~6の数である。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を表し、EOとPOとは混在して配列してもよい。
【0025】
式(c-1)中、R12である炭化水素基の炭素数は8~18であり、特に良好な洗浄力が得られやすい点で10~18が好ましい。R13は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R12は脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、又は直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基がより好ましい。
12としての炭化水素基は、1級又は2級の高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド等の原料に由来するものが挙げられる。具体的には、1級又は2級の高級アルコールからOH基を除いた残基、高級脂肪酸からC(O)OH基を除いた残基、高級脂肪酸アミドからC(O)NH基を除いた残基等である。
13としてのアルキル基の炭素数は1~6であり、1~3が好ましい。R13としてのアルケニル基の炭素数は2~6であり、2~3が好ましい。
Xは-O-または-C(O)O-である。Xが-O-のとき、(C)成分はアルコールアルコキシレートである。この場合において、洗浄力が良好であることから、R12の炭素数は10~18であることが好ましく、R12は不飽和結合を有していてもよい。また、この場合において、R13は水素原子であることが好ましい。
Xが-C(O)O-であるとき、(C)成分は脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤である。この場合において、洗浄力が良好であることから、R12の炭素数は9~18であることが好ましく、より好ましくは11~18である。R12は不飽和結合を有していてもよい。また、この場合において、R13は、炭素数1~3のアルキル基であることが好ましい。
【0026】
式中のsはEO(オキシエチレン基)の平均繰り返し数であり、tはPO(オキシプロピレン基)の平均繰り返し数である。s及びtは、それぞれ加重平均値を意味する。s及びtは、例えばガスクロマトグラフ質量分析計を用いて測定することができる。
sは3~20であり、好ましくは5~18であり、より好ましくは9~16であり、さらに好ましくは14~16である。sが20を超えると、HLB値が高くなりすぎて、洗浄力が低下する傾向にある。一方、sが3未満であると、(C)成分自体の原料臭気が劣化しやすくなる傾向にある。
tは0~6であり、好ましくは0~3の数である。tが6を超えると、高温下での保存安定性が低下する傾向にある。
EOとPOとは混在して配列してもよく、(EO)s/(PO)tは、EOとPOとがランダム状に付加していてもよく、ブロック状に付加していてもよい。
【0027】
また、例えば下式(c-2)で表されるように、EOのブロック鎖-POのブロック鎖-EOのブロック鎖の順に付加したものでもよく、EOとPOのランダム鎖-EOのブロック鎖の順に付加したものでもよい。
14-O-[(EO)/(PO)]-(EO)-H ・・・(c-2)
式(c-2)中、R14は炭素数8~18の炭化水素基である。pはEOの平均繰返し数を表し、qはPOの平均繰返し数を表し、rはEOの平均繰返し数を表し、p、q、rはp>1、r>1、0<q≦3、p+r=10~20を満たす数である。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を表し、(EO)p/(PO)qにおけるEOとPOはランダム状に配列していてもよく、ブロック状に配列していてもよい。
14は式(c-1)のR12と好ましい態様も含めて同様である。
式(c-2)で表される成分は、公知の方法で製造することができる。例えば炭化水素基を有するアルコールに対して、エチレンオキシド、プロピレンオキシドの順に付加反応した後、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとを混合付加(ランダム付加)した後、再度、エチレンオキシドを付加することで製造できる。
式(c-2)で表される(C)成分を用いると、適度な粘度が得られやすくなり、ゲル化も抑制される。また、泡立ち性が向上し、生分解性もより良好になる。
特に式(c-2)におけるEOとPOとの比率は、q/(p+r)で表される比で0.1~0.5であることが好ましく、より好ましくは0.1~0.3である。q/(p+r)で表される比が下限値以上であると、泡が立ちすぎず、泡立ちの適正化が図られやすい。上限値以下であると、適度な粘度が得られやすくなり、ゲル化が抑制されやすい。
【0028】
式(c-1)で表される(C)成分において、EO又はPOの平均繰返し数の分布は、(C)成分を製造する際の反応方法によって変動しやすく、特に限定されない。たとえば、一般的な水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ触媒を用いて、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを、炭化水素基を有する開始化合物(1級又は2級の高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド等)に付加させた場合には、比較的広い分布となる傾向にある。一方、特公平6-15038号公報に記載のAl3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いて、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを該炭化水素基を有する開始化合物に付加させた際には、比較的狭い分布となる傾向にある。
【0029】
(C)成分の具体例としては、三菱化学社製の商品名Diadol(C13、Cは炭素数を示す。以下同様。)、Shell社製の商品名Neodol(C12とC13との混合物)、Sasol社製の商品名Safol23(C12とC13との混合物)等のアルコールに対して、12モル相当、又は15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの;
P&G社製の商品名CO-1214又はCO-1270等の天然アルコールに対して、12モル相当、又は15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの;
ブテンを3量化して得られるC12アルケンをオキソ法に供して得られるC13アルコールに対して、7モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(BASF社製の商品名Lutensol TO7);
ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10アルコールに対して、9モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(BASF社製の商品名Lutensol XP90);
ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10アルコールに対して、7モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(BASF社製の商品名Lutensol XL70);
ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10アルコールに対して、6モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(BASF社製の商品名Lutensol XA60);
炭素数12~14の第2級アルコールに対して、9モル相当、又は15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(日本触媒社製の商品名ソフタノール90、ソフタノール150)等が挙げられる。
さらには、ヤシ脂肪酸メチル(ラウリン酸/ミリスチン酸=8/2)に対して、アルコキシル化触媒を用いて、15モル相当の酸化エチレンを付加したもの(ポリオキシエチレンヤシ脂肪酸メチルエステル(EO15モル)も挙げられる。
【0030】
(C)成分として、特に洗浄性の点で、式(c-1)中、Xが-O-である、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(EOPO型ノニオン)等のポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤;もしくは、式(c-1)中、Xが-C(O)O-である、脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤が好ましい。(C)成分としては、より好ましくはポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤である。
(C)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組合わせて用いてもよい。
【0031】
(C)成分の含有量は、衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対し、5質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。
上記下限値以上であると、充分な洗浄力を付与しやすい。
(C)成分の含有量は、衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対し、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
上記上限値以下であると、安定性を向上しやすい。
【0032】
(A)成分/(C)成分で表される質量比(以下、A/C比ともいう)は、0.15~4が好ましく、0.2~1がより好ましい。
A/C比を上記範囲内とすると、尿臭除去効果が高い上、保存安定性も良好という効果が得られる。
【0033】
(B)成分/(C)成分で表される質量比(以下、B/C比ともいう)は、0.0002~0.1が好ましく、0.0005~0.01がより好ましく0.001~0.005が特に好ましい。
B/C比を上記範囲内とすると、尿臭除去効果が高い上、洗浄効果も良好で部屋干し臭抑制効果も高いという効果が得られる。
【0034】
<その他の任意成分>
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、上記の成分および水以外に、液体洗浄剤に用いられている公知の成分を適宜含有させることができる。
例えば、(C)成分以外のノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、酵素、pH調整剤、水混和性有機溶媒、金属イオン捕捉剤、酸化防止剤、防腐剤、風合い向上剤、移染防止剤、再汚染防止剤、パール剤、ソイルリリース剤、ハイドロトロープ剤、着香剤、着色剤、乳濁剤、蛍光剤、エキス等の任意成分が挙げられる。
その他の任意成分の合計の含有量は特に限定されないが、例えば、衣料用液体洗浄剤の総質量に対し、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
【0035】
アニオン界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩;α-オレフィンスルホン酸塩;直鎖または分岐鎖のアルキル硫酸エステル塩;アルキルエーテル硫酸エステル塩またはアルケニルエーテル硫酸エステル塩;アルカンスルホン酸塩;α-スルホ脂肪酸エステル塩;脂肪酸又はその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルキル(又はアルケニル)アミドエーテルカルボン酸塩、アシルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸型のアニオン界面活性剤;アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル塩等のリン酸エステル型のアニオン界面活性剤等が挙げられる。
これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩などのアルカノールアミン塩等が挙げられる。
これらの中でも、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を用いることが好ましい。アニオン界面活性剤は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。アニオン界面活性剤の含有量は、衣料用液体洗剤組成物の総質量に対し、2.5~20質量%が好ましく、3~10質量%がより好ましい。
【0036】
酸化防止剤としては、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、ビタミンE(トコフェロール)、エリソルビン酸ナトリウム、メトキシフェノール、二酸化硫黄、コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸)、緑茶抽出物(カテキン)、及びローズマリー抽出物が挙げられ、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)が好ましい。酸化防止剤は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。酸化防止剤の含有量は、衣料用液体洗剤組成物の総質量に対し、0.0001~0.2質量%が好ましく、0.001~0.05質量%がより好ましい。
【0037】
pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン、アンモニア等が挙げられる。これらのなかでも、液体洗浄剤の経時安定性の面から、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミンが好ましく、硫酸、水酸化ナトリウムが好ましい。pH調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
「水混和性有機溶媒」とは、25℃のイオン交換水1Lに50g以上溶解する有機溶媒であり、液体洗浄剤において公知のものを使用できる。
例えば、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール等の炭素数2~4の一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、平均分子量約200~5000のポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、グリセリン等の炭素数2~4の多価アルコール;及び
エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ダイセル社製セルトールEDGAC(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)等のグリコールエーテル系溶剤が挙げられる。
【0039】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、25℃におけるpHが2~6であり、2.5~5.5が好ましく、3~5がさらに好ましい。pHがこのような範囲にあると、尿臭除去効果を向上しやすくなる。
衣料用液体洗浄剤組成物のpHは、必要に応じて、pH調整剤を添加することにより調整できる。
なお、本明細書において、pHは、測定対象を25℃とし、pHメーター(製品名:HM-30G、東亜ディーケーケー株式会社製)により測定される値を意味する。
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物の各成分の含有量の合計は、100質量%を超えない。
【0040】
<製造方法>
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、従来公知の液体洗浄剤の製造方法に準じて製造することができる。例えば、分散媒である水の一部に、pH調整剤を除く各成分を加えて混合した後、pH調整剤を添加して任意のpHに調整した後、水の残部を加えて全体量を100質量%として、衣料用液体洗浄剤組成物とする。
【0041】
<使用方法>
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物の使用方法としては、例えば、衣料用液体洗浄剤組成物を単独で、又は公知の漂白剤や柔軟剤と共に水に入れて洗浄液とし、この洗浄液に被洗物を入れ洗濯機で洗浄する方法、洗浄液に被洗物を一定時間漬け置きした後、その後、洗濯機で洗浄する方法等が挙げられる。
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、高齢者や要介護者の衣料(以下、介護用品ともいう)を洗浄するために好ましく用いられる。また発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、高齢者や要介護者の衣料の洗浄に限定されるものでなく、尿汚れのある衣類、例えば軽失禁による尿汚れ衣類、乳幼児の尿汚れ衣類、またはペットの尿汚れ衣類やマット等にも好適に用いることができる。
【0042】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(A)成分がクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、及び乳酸からなる群から選択される少なくとも1種であり、(B)成分が上記式(b-1-1)、(b-1-2)又は(b-1-3)で表される第4級アンモニウム塩、フェノール系抗菌剤、及びビグアニド化合物からなる群から選択される少なくとも1種であり、(C)成分が上記式(c-1)又は(c-2)で表されるノニオン界面活性剤であり、(A)成分の含有量が衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対し5~20質量%であり、25℃におけるpHが2~6であることが好ましい。
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(A)成分がクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、及び乳酸からなる群から選択される少なくとも1種であり、(B)成分が上記式(b-1-1)、(b-1-2)又は(b-1-3)で表される第4級アンモニウム塩、フェノール系抗菌剤、及びビグアニド化合物からなる群から選択される少なくとも1種であり、(C)成分が上記式(c-1)で表されるノニオン界面活性剤であり、(A)成分の含有量が衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対し5~20質量%であり、25℃におけるpHが2~6であることが好ましい。
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(A)成分がクエン酸、及び酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種であり、(B)成分が上記式(b-1-1)、(b-1-2)又は(b-1-3)で表される第4級アンモニウム塩、フェノール系抗菌剤、及びビグアニド化合物からなる群から選択される少なくとも1種であり、(C)成分が上記式(c-1)で表されるノニオン界面活性剤であり、(A)成分の含有量が衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対し5~20質量%であり、(C)成分の含有量が衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対し5~30質量%であり、25℃におけるpHが2~6であることが好ましい。
【実施例
【0043】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
表1及び2に示す組成に従い各成分を混合し、pH調整剤を加えてpHが表1及び2に示す値となるよう調製して各組成物を得た。
表中の配合量の単位は「質量%」であり、いずれの成分も純分換算量を示す。
表中の空欄はその成分が配合されていないことを示す。
「バランス」は、各例の組成物に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように水が配合されていることを意味する。
以下に、表中に示した成分について説明する。なお、実施例5~7、12及び13は参考例である。
【0044】
<(A)成分>
・a-1:クエン酸:関東化学株式会社製、試薬「くえん酸」。
・a-2:L(+)-酒石酸、和光純薬社製、L(+)-Tartaric Acid。
・a’-1:1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、ローディア社製、商品名「BRIQUEST ADPA」。
・a’-2:塩酸::関東化学株式会社製、試薬。
<(B)成分>
・b-1:塩化アルキル(炭素数12)トリメチルアンモニウム、ライオンアクゾ社製、商品名「アーカード12-37W」。
・b-2:ダイクロサン(4,4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル)、商品名「TINOSAN HP100」、BASF社製。
・b-3:ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸塩、ロンザジャパン株式会社製、商品名「Proxel IB」。
・b’-1:塩化アルキル(炭素数16~18)トリメチルアンモニウム、ライオンアクゾ社製、商品名「アーカードT-800」。
<(C)成分>
・c―1:LMAO:天然アルコール(プロクター・アンド・ギャンブル社製、商品名「CO-1214」)に、15モル相当のエチレンオキシドを付加した化合物。式(c-1)において、R12が炭素数12のアルキル基または炭素数14のアルキル基、R13がH、-X-が-O-、sが15、tが0である。
<任意成分>
・PEG:ポリエチレングリコール(水混和性有機溶媒)、ライオン社製、商品名「PEG1000」。
・PTS-H:パラトルエンスルホン酸(ハイドロトロープ剤)、協和発酵工業(株)製、商品名:PTS酸。
・安息香酸ナトリウム:安息香酸ナトリウム(防腐剤)、東亜合成株式会社製。
・BHT:ジブチルヒドロキシトルエン(酸化防止剤)、商品名「SUMILZER BHT-R」、住友化学株式会社製。
・香料:着香剤、特開2002-146399号公報の表11~18に記載の香料組成物A。
・pH調整剤(NaOH):鶴見曹達(株)製、商品名:水酸化ナトリウム。
・水。
【0045】
<尿臭除去効果の評価>
(1)尿臭を有する衣料の調製
介護家庭10家庭から、綿パジャマ下穿きを尿モレ後に回収して用いた。
回収対象は、1年以上使用しており、尿モレ頻度が3回以上/週、かつ普段洗濯をしても尿臭が落ちていない衣類とした。
回収後パネラーが下記(3)の官能評価に従い、臭気強度0点もしくは1点を選定した上で、さらに、p-クレゾール量が多い衣類に特長的な“重く独特で重く陰鬱なニオイ”がする衣類4家庭分を選定して、試験布として用いた。
回収衣類を一辺が4cmの正方形に裁断し、布4枚を試験布とした。
(2)組成物による洗浄
この試験布について下記のように洗浄試験を行った。
洗浄試験器として、Terg-O-tometer(UNITED STATES TESTING社製)を用いた。洗浄液としては、水900mLに表1および2の液体洗浄剤が833ppmになるように加え30秒間撹拌して調製したものを用いた。前記洗浄試験器に、前記洗浄液900mLと、前記試験布5枚と、洗浄メリヤス布とを投入し、浴比20倍に合わせて、120rpm、15℃で20分間洗浄した。次に、二槽式洗濯機(三菱電機社製:製品名CW-C30A1-H1)に移し、1分間脱水後、水道水(15℃、4゜DH)30L中で3分間濯ぎ、再度1分間脱水した。
(3)尿臭の官能評価
各パネラーが1家庭分の試験布4枚を1組として4組の臭いを嗅いで、下記の評価基準に基づいて臭気強度を6段階で評価し、各パネラー毎に4組の臭気強度の平均点を算出する方法で行った。臭気強度の点数が高いほど臭気が弱いことを表す。
また官能評価の平均点(6名の平均点)に基づいて、下記の基準で消臭効果を評価した。
(臭気強度の評価)
5点:異臭が全くしない。
4点:異臭がやっと感知できる程度に感じられる。
3点:異臭が弱く感じられる。
2点:異臭がやや強く感じられる。
1点:異臭が強く感じられる。
0点:異臭が強烈に感じられる。
(評価基準)
◎:官能評価の平均点が3.0以下。
○:官能評価の平均点が2.5~2.9。
△:官能評価の平均点が2.0~2.4。
×:官能評価の平均点が1.9以下。
【0046】
<抗菌効果の評価>
(1)用いるサンプル
尿臭除去効果評価後の試験布を用いた。
(2)部屋干し条件
洗浄後の試験布を、24℃、相対湿度95%RHの室内に8時間網上に並べて部屋干し条件とした。
(3)尿臭の官能評価
尿臭除去性能評価と同様に行った。各パネラーが1家庭分の試験布4枚を1組として4組の臭いを嗅いで、下記の評価基準に基づいて臭気強度を6段階で評価し、各パネラー毎に4組の臭気強度の平均点を算出する方法で行った。臭気強度の点数が高いほど臭気が弱いことを表す。
また官能評価の平均点(6名の平均点)に基づいて、下記の基準で抗菌効果を評価した。
(臭気強度の評価)
5点:異臭が全くしない。
4点:異臭がやっと感知できる程度に感じられる。
3点:異臭が弱く感じられる。
2点:異臭がやや強く感じられる。
1点:異臭が強く感じられる。
0点:異臭が強烈に感じられる。
(評価基準)
◎:官能評価の平均点が3.0以下。
○:官能評価の平均点が2.5~2.9。
△:官能評価の平均点が2.0~2.4。
×:官能評価の平均点が1.9以下。
【0047】
<安定性の評価>
透明のガラス製瓶に、各例の衣料用液体洗浄剤組成物100gをそれぞれ充填し、蓋を閉めて密封した。この状態で50℃の恒温槽に24時間静置して保存した。
かかる24時間の保存の後、液の外観を目視で観察し、下記評価基準に従って、衣料用液体洗浄剤組成物の保存安定性を評価した。
≪評価基準≫
○:配合直後無色透明で、50℃保存後も無色透明であった。
△:配合直後無色透明で、保存後析出・濁りが認められた。
×:配合直後から沈殿・分離が認められた。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
本発明を適用した実施例1~13はいずれも、尿臭除去効果及び抗菌効果に優れていた。
(A)成分の含有量が5質量%未満である比較例1は、尿臭除去効果において劣っていた。
(A)成分としてヒドロキシカルボン酸以外の酸を使用した比較例2及び3は、尿臭除去効果において劣っていた。
(B)成分を含まない比較例4は、抗菌効果において劣っていた。
pHが6超である比較例5は、尿臭除去効果において劣っていた。