(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】体毛のエクステンション方法、エクステンション・システム、光硬化性ジェルおよびライト装置
(51)【国際特許分類】
A41G 5/02 20060101AFI20221209BHJP
【FI】
A41G5/02
(21)【出願番号】P 2018129075
(22)【出願日】2018-07-06
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】518242271
【氏名又は名称】菅谷 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【氏名又は名称】篠原 淳司
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 綾子
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-099957(JP,A)
【文献】特開2017-119935(JP,A)
【文献】特開2011-026551(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0316840(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
UVA~可視光波長で硬化する光開始剤と、前記光開始剤により重合可能な化合物と、前記光開始剤により硬化する反応性希釈剤と、美容ジェル成分とを含む、体毛のエクステンションに使用する、光硬化性ジェルを
毛状体に付着し、前記毛状体を体毛に接触させ、光を照射して前記毛状体を前記体毛に固定する、体毛のエクステンション方法。
【請求項2】
前記光は、UVライト、LED、CCFLまたは可視光光源から照射される、請求項1に記載のまつ毛エクステンション方法。
【請求項3】
UVA~可視光波長で硬化する光開始剤と、前記光開始剤により重合可能な化合物と、前記光開始剤により硬化する反応性希釈剤と、美容ジェル成分とを含む、体毛のエクステンションに使用する、光硬化性ジェルを
毛状体に付着する手段と、
光硬化性ジェルが付着した前記毛状体と、体毛とが接触した状態で、光を照射する手段と
を備え、前記毛状体を光硬化により装着する、エクステンション・システム。
【請求項4】
一方の手で
被施術者の体毛を固定する手段、他方の手で前記毛状体を
掴み、前記体毛に接触させ
る手段、及び、前記毛状体を前記体毛に接触させた状態で前記光を照射する手段を備える、請求項3に記載のまつ毛エクステンション・システム。
【請求項5】
UVA~可視光波長で硬化する光開始剤と、前記光開始剤により重合可能な化合物と、前記光開始剤により硬化する反応性希釈剤と、美容ジェル成分とを含む、体毛のエクステンションに使用する、光硬化性ジェルを毛状体に付着し、前記毛状体を体毛に接触させ、光を照射して前記毛状体を前記体毛に固定する、体毛のエクステンション方法で用いるための光硬化性ジェルを硬化させるための波長特性を有する光を照射する手段を備えるライト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容技術に関し、より詳細には、まつ毛、まゆ毛、毛髪などの体毛のエクステンション技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年付けまつ毛に代わり、一本のまつげとほぼ同等の形状で長さや太さにボリュームを持たせる、カールをつける、色を変える、自まつ毛の感覚とは異なる印象を与えるなどの種々の目的から、いわゆるまつ毛エクステンションと呼ばれる新たな美容技術が提案されている。まつ毛エクステンション技術においては、人工まつげや、人間のまつ毛が使用され、瞼ではなく、被施術者のまつげに接着するため、装着感がよく、皮膚がかぶれるおそれが少ない。このような技術としては、例えば、特許第6,096,361号明細書(特許文献1)を挙げることができる。
【0003】
一般に、まつげエクステンション用のグルー(接着剤)は、主成分としてシアノアクリレート系接着剤を含んでいる。シアノアクリレート系接着剤は、瞬間的に接着できることから、様々の分野で使用されてきた。しかしながら、空気中の水分と反応して固まる際に、ホルムアルデヒドが発生・揮発し、目や鼻に刺激を与える場合もあった。また、シアノアクリレート系接着剤は、硬化後に水分との反応により白化し見栄えを悪くする場合もあった。
【0004】
また、近年、癌その他の治療に伴う脱毛に対して対応するために、まゆ毛や、毛髪のボリュームを増やすことが要求される医療美容技術も注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、体毛のエクステンション技術における上述した問題を解決し、施術環境を改善すると共に美容効果の高い体毛のエクステンション方法、エクステンション・システム、光硬化性ジェルおよびライト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1実施形態においては、
毛状体に光硬化性ジェルを付着し、前記毛状体を体毛に接触させ、光を照射して前記毛状体を前記体毛に固定する、体毛のエクステンション方法が提供される。前記光は、UVライト、LED、CCFLまたは可視光光源から照射されることが好ましい。
【0008】
また、1実施形態では、
毛状体に光硬化性ジェルを付着する手段と、
光硬化性ジェルが付着した前記毛状体と、体毛とが接触した状態で、光を照射する手段と
を備え、前記毛状体を光硬化により装着する、エクステンション・システムが提供される。一方の手で前記毛状体を掴み、他方の手で前記毛状体を前記体毛に接触させた状態で前記光を照射する手段を備えることができる。
【0009】
さらに1実施形態では、
UVA~可視光波長で硬化する光開始剤と、前記光開始剤により重合可能な化合物と、前記光開始剤により硬化する反応性希釈剤と、美容ジェル成分とを含む、体毛のエクステンションに使用する、光硬化性ジェルが提供される。
【0010】
さらに1実施形態では、体毛のエクステンションに使用され、ハンドフリーまたは施術中にまつ毛を両手で固定した状態で、光硬化性ジェルを硬化させるための波長特性を有する光を照射する手段を備えるライト装置が提供される。さらに、UVランプ、LED、CCFLからの光を切替えて、または同時に前記硬化光として照射することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、施術環境を改善すると共に美容効果の高い体毛のエクステンション方法、エクステンション・システム、光硬化性ジェルおよびライト装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】1実施形態であるまつ毛エクステンション技術を概略的に示した図。
【
図2】1実施形態である人工まつ毛120に光硬化性ジェルを付着させる際の概略図。
【
図3】1実施形態において施術者が毛状物体を被施術者100に装着した後、光硬化性ジェル140を硬化させる実施形態を示した図。
【
図4】限定した範囲での光照射を行うため、ライト170として、UVA領域の紫外線を照射する、ペンライト200を使用する実施形態を示す図。
【
図5】
図5は、1実施形態において使用することができる例示的なライト装置の実施形態を示す図。
【
図6】
図6は、1実施形態のライト装置を配置する場合に実施形態を示した図。
【
図7】
図7は、1実施形態であるまつ毛エクステンション方法の手順を示した図。
【
図8】
図8は、本実施形態の他の実施形態のまつ毛エクステンション方法の手順を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施形態を使用して説明するが、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではない。
図1は、本開示の1実施形態として、体毛として、まつ毛を対象としたまつ毛エクステンション技術を概略的に示した図である。本開示においては、用語「人工まつ毛」とは、ポリエステル、ナイロンその他合成高分子により形成された毛状体および人間のまつ毛といった体毛を、まつ毛エクステンション用に用意した毛状体を含む。
【0014】
まつ毛エクステンション技術における施術は、有料または無料によらず、施術者(美容師、美容師の指導の下で施術を行う者、または自分のまつ毛に人工まつ毛を装着する者、講習会の講師などの無償で施術を行う者を含む)が、ツイーザー110に毛状体である人工まつ毛120を挟み、本実施形態では、光硬化性ジェルを接着剤(グルー)として付着させる。
【0015】
人工まつ毛120に光硬化性ジェルを付着させた後、施術者は、ピンセット様器具(以下、ツイーザーとして参照する。)を使用し、一方の手で被施術者100のまつ毛を固定し、他方の手で人工まつ毛120を掴みながら接触させる。その状態で、グルーが硬化するまで、室温下で光照射を行って硬化させ、その後次のまつ毛エクステンションの施術に移り、これを所定の回数繰り返して、まつ毛エクステンションの施術が完了する。なお、被施術者100が、エクステンションの施術を自分自身に対して施術する場合、施術者は、被施術者100と一体の実施形態となる。
【0016】
従来使用されているシアノアクリレート系のグルーは、硬化時にホルムアルデヒドを放出し、目や鼻に刺激を与える場合があった。特にまつ毛エクステンションは、成人女性では例えば、被施術者の要望に応じて数百本以下、例示的には数十本~200本の人工まつ毛をつけなければいけないので、施術開始から終了まで数十分~数時間を要する期間中、施術者や被施術者100は、この間刺激に耐えなければならなかった。
【0017】
本実施形態では、まつ毛エクステンション技術の施術において使用されるグルーとして、シアノアクリレート系の組成物ではなく、光硬化性のジェルを使用する。光硬化性のジェルは、適切な粘度を有していると共に、紫外線ライトや紫外線~可視光を放出するLEDといった光硬化性ジェルが硬化可能な活性光線による照射で硬化し、またその際に目や鼻に対する刺激も与えることが無いので、施術環境が改善できる。
【0018】
本実施形態において使用することができる光重合性モノマーとしては、光により架橋や重合できる基を有するモノマーを挙げることができ、そのような光重合性基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイル基を含むものであれば、特に制限なく使用することができる。このような光重合性モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N,N’-メチレンビスアクリルアミドなどを挙げることができる。
【0019】
さらに、ジェルの特性を調整する上で、光反応性希釈剤を使用することができる。本実施形態で使用できる光反応性希釈剤としては例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングルコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(#200)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(#400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(#600)ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノールA-EO(エチレンオキサイド)付加物ジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、メタクリル酸イソボルニルなどを使用することができる。
【0020】
この他にも使用できる光反応性希釈剤としては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。本実施形態で使用できる反応性希釈剤の添加量は、光硬化性ジェル中、20~60質量%とすることができる。
【0021】
また、光重合性成分としては、上記モノマーだけではなく、光重合性官能基を有するものであれば、オリゴマーやポリマーであってもよく、例えば、ポリウレタン(メタ)アクリロイルオリゴマーや、ウレタン構造を有するその他のポリマーなどを挙げることができる。これらの光重合性成分は、本実施形態の光重合性組成物中に20~70質量%程度で含有させることができる。
【0022】
本実施形態で使用できる溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルや、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤及びこれらのアセテート系溶剤、酢酸メチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ヒドオキシメチルフェニルプロパノン、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのケトン系溶剤などが好適に挙げられる。その添加量は、約1~10質量%とすることができる
【0023】
本実施形態で使用できる光重合開始剤としては、例えば、UBAの波長領域で感度を有する紫外線反応型の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3-ジメチル-4-メトキシ-ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体;アントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、tert-ブチルアントラキノンなどのアントラキノン誘導体;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル誘導体;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノン誘導体;2-クロロチオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン誘導体;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、4’-イソプロピル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルホリノ-1-プロパンなどのアセトフェノン誘導体;ミヒラーズケトン、2,4,6-(トリハロメチル)トリアジン、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾリル二量体、9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス(9-アクリジニル)ペンタン、1,3-ビス(9-アクリジニル)プロノパン、ジメチルベンジルケタール、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、トリブロモメチルフェニルスルホン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0024】
この他にも可視光反応性の光重合開始剤は、可視光吸収がある2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフォンオキサイド系の開始剤を使用することが好ましい。
【0025】
上述した可視活性を有する光重合開始剤は、従来公知の光重合開始剤と適宜併用することができる。一例を挙げると、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマーなどのアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾイン類;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-N,N-ジメチル-N-[2-(1-オキソ-2-プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4-ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリドなどのベンゾフェノン類;2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-(3-ジメチルアミノ-2-ヒドロキシ)-3,4-ジメチル-9H-チオキサントン-9-オンメソクロリドなどのチオキサントン類;アシルフォスフォンオキサイド類などが挙げられる。これらの光重合開始剤は1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの光重合開始剤は、本実施形態の光硬化性ジェル中に、0.1~15質量%で添加することができる。
【0026】
さらに、本実施形態では、ゲル化剤を添加し、光重合性組成物をジェルとして構成することが好ましい。モノマー、オリゴマー、反応性希釈剤、光重合開始剤などの比較的低分子量化合物だけで光重合性組成物を構成すると、チキソトロピー性がなく、まつ毛から目に組成物が流れ込み、刺激や炎症を生じさせる可能性も想定されるためである。また、まゆ毛や毛髪のエクステンションの場合には、皮膚の他の領域に付着し、硬化後に剥離するなどの無駄を省くことが可能となる。
【0027】
本実施形態で使用することができるゲル化剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、クィーンスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、タラガム、タマリンド、ファーセレラン、カラヤガム、トロロアオイ、キャラガム、トラガントガム、ペクチン、ペクチン酸及びナトリウム塩などの塩、アルギン酸及びナトリウム塩などの塩、マンナン;コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギなどのデンプン;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸及びその塩、ザンサンガム、プルラン、ジェランガム、キチン、キトサン、寒天、カッソウエキス、コンドロイチン硫酸塩、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びそのナトリウムなどの塩、メチルヒドロキシプロピルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、結晶セルロース、セルロース末などのセルロース及びその誘導体;可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン、メチルデンプンなどのデンプン系高分子、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンアルミニウムなどのデンプン誘導体;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなど、アルギン酸誘導体またはステアリン酸誘導体;ポリビニルピドリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピドリドン・ビニルアルコール共重合体、ポリビニルメチルエーテル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体;(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマーなどの両性メタクリル酸エステル共重合体;(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP;ポリ酢酸ビニル部分けん化物、マレイン酸共重合体;ビニルピロリドン・メタクリル酸ジアルキルアミノアルキル共重合体;アクリル樹脂アルカノールアミン;ポリエステル、水分散性ポリエステル;ポリアクリルアミド;ポリアクリル酸エチルなどのポリアクリル酸エステル共重合体、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸及びそのナトリウム塩などの塩、アクリル酸・メタアクリル酸エステル共重合体;アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体;ポリクオタニウム-10などのカチオン化セルロース、ポリクオタニウム-7などのジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、ポリクオタニウム-22などのアクリル酸・ジアリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体、ポリクオタニウム-39などのアクリル酸・ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、アクリル酸・カチオン化メタアクリル酸エステル共重合体、アクリル酸・カチオン化メタアクリル酸アミド共重合体、ポリクオタニウム-47などのアクリル酸・アクリル酸メチル・塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム共重合体、塩化メタクリル酸コリンエステル重合体;カチオン化オリゴ糖、カチオン化デキストラン、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドなどのカチオン化多糖類;ポリエチレンイミン;カチオンポリマー;ポリクオタニウム-51などの2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの重合体及びメタクリル酸ブチル共重合体などとの共重合体;アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス、合成ラテックスなどの高分子エマルジョン;ニトロセルロース;ポリウレタン類及び各種共重合体;各種シリコーン類;アクリル-シリコーングラフト共重合体などのシリコーン系各種共重合体;各種フッ素系高分子;12-ヒドロキシステアリン酸及びその塩;パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリンなどのデキストリン脂肪酸エステル;無水ケイ酸、煙霧状シリカ(超微粒子無水ケイ酸)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、金属石鹸、ジアルキルリン酸金属塩、ベントナイト、ヘクトライト、有機変性粘土鉱物、ショ糖脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステルを挙げることができる。さらに具体的には、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウムを挙げることができる。
【0028】
本実施形態で使用することができるゲル化剤として、油性タイプのものは、例えば、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステートなどの金属セッケン;N-ラウロイル-L-グルタミン酸、α,γ-ジ-n-ブチルアミンなどのアミノ酸誘導体;デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2-エチルヘキサン酸パルミチン酸エステルなどのデキストリン脂肪酸エステル;ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖脂肪酸エステル;フラクトオリゴ糖ステアリン酸エステル、フラクトオリゴ糖2-エチルヘキサン酸エステルなどのフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル;モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトールなどのソルビトールのベンジリデン誘導体;ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレーなどの有機変性粘土鉱物;非変性の部分架橋型オルガノポリシロキサン、アルキル変性部分架橋型オリガノポリシロキサン、シリコーン分岐型アルキル変性部分架橋型オリガノポリシロキサンなどの非変性または変性の部分架橋型オリガノポリシロキサンなどのゲル化成分と、シクロペンタシロキサン、ジメチコン、ミネラルオイル、イソドデカン、トリオクタノイン、スクワランなどの種々のオイル成分とを含むゲル混合物を挙げることができる。
【0029】
これらのゲル化剤は、例えば、良溶媒中にゲル化剤を溶解させておき、例えば、アルコールなどの貧溶媒を攪拌しながら徐々に添加することで、高分子鎖を絡み合わせ、美容ジェルを形成させることができるが、本実施形態では、ジェルの形成方法を特に限定するものではない。形成した美容ジェルは、光硬化性ジェルに対して適切なチキソトロピー性を付与するように、ゲル化剤の濃度や光重合性成分の析出性などを考慮して添加され、まつ毛エクステンション施術用の光硬化性ジェルを製造することができる。
【0030】
その他、必要に応じて添加される任意成分としては、一般に美容装飾分野において配合され得る添加成分を、本発明の効果を損なわない範囲内において任意に配合することができる。このような添加成分としては、例えば、光反応触媒や、顔料、染料、充填剤、消泡剤、緩衝剤、キレート化剤、分散剤、防腐剤、樹脂粉末(ポリ(メタ)アクリル酸、など)、増粘剤、湿潤剤などが挙げられる。
【0031】
この他、光重合性組成物には、フタル酸ジブチル、クエン酸アセチルトリブチル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステルなどの可塑剤、金属酸化物、染料、顔料、酸化防止剤その他の添加剤を0.1~20質量%の範囲で添加することができる。なお、本実施形態において使用できる光重合性モノマーまたはオリゴマー、光重合開始剤、反応性希釈剤、着色料その他の添加剤の含有量には特に制限はなく、施術性を損なわない程度の光硬化性および粘度を有する限り、適宜調整して使用することができる。
【0032】
例えば、本実施形態で使用することができるジェル組成物としては、具体的には、メタクリル酸エチル、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、メタクリル酸イソボルニル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイルイソプロパノールを含む光硬化性組成物に、ヒドロキシアルキルセルロースを含む美容ジェルを添加して光硬化性ジェルを挙げることができる。
【0033】
また、他の具体的なジェル組成物としては、ポリウレタン・アクリレート・オリゴマー、HEMA、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、酸化鉄、コンジョウ、マンガンバイオレット、グンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、酸化チタンなどを含む光硬化性組成物に、例えばヒアルロン酸ナトリウムを含む美容ジェルを添加して形成した光硬化性ジェルを挙げることができる。
【0034】
この他にも例えば、ジカルバミン酸ジHEMAトリメチルヘキシル、アクリレート・オリゴマー、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、酸化鉄、コンジョウ、マンガンバイオレット、酸化チタン、水酸化クロム、グンジョウ、赤色230号、227号、202号などの着色剤を含む光硬化性組成物に、ポリアクリル酸ナトリウムを含む美容ジェルを添加して形成した光硬化性ジェルを挙げることができる。
【0035】
本実施形態の光硬化性ジェルの粘度は、1Pa・s~100Pa・sとすることがる。1Pa・s以下だと、流動性に富みすぎ施術性に劣り、100Pa・sを超えると、まつ毛上での展延性に劣るためである。なお、本実施形態では、光硬化性ジェルの粘度は、室温下、B型回転粘度計で測定される値を言う。
【0036】
以下、
図2~
図7により、本開示の1実施形態としてまつ毛エクステンション・システムを説明する。
図2は、1実施形態において、人工まつ毛に光硬化性ジェルを付着させる際の概略図を示す。
図2(a)に示すように、光硬化性組組成物140は、特定の実施形態ではプレート130上に適切な厚みの層として展開される。なお、プレート130以外にもリング型、シールタイプなどのジェル展開用部材を必要に応じて使用することができる。施術者は、ツイーザー110の先端に人工まつ毛120を挟み、光硬化性ジェル140からなるグルーを人工まつ毛120に付着させる。
【0037】
人工まつ毛120の先端に光硬化性ジェルを付着させるのは、施術者のテクニックに応じて感覚的に行うこともできるし、例えば光硬化性ジェルを所定の深さで保持する溝をプレートに形成しておき、この溝に人工まつ毛120の根本部分を浸漬するか、または溝の間を通過させるかして、付着量をコントロールすることもできる。
【0038】
その他、さらに他の実施形態では、シアノアクリレート系のグルーとは異なり、活性光線を遮断した状態では、比較的長時間放置できることを利用して、施術に必要な人工まつ毛120を準備しておくことができる。具体的には、予め被施術者100のまつ毛の長さを予め測定しておき、概ねその長さに対応するように複数の人工まつ毛120の根本部分に光硬化性ジェル140をネイル施術に使用する刷毛などで塗布して、複数用意しておくことができる。
【0039】
さらに、他の実施形態では、プレート130に被施術者100のまつ毛の長さ程度の幅で光硬化性ジェル140を横長に塗布しておき、この塗布領域に施術予定の人工まつ毛120を並べることで、根元に適切な長さで光硬化性ジェル140が付着した人工まつ毛120を準備しておくことができる。本実施形態によれば、施術中、都度人工まつ毛120に光硬化性ジェル140を付着させる工程を省略できるので、施術効率を改善することができる。
【0040】
図2(b)には、円150付近を拡大して示した図である。ツイーザー110の先端には、人工まつ毛120が挟まれており、光硬化性のグルーは、人工まつ毛120のまつ毛の根本付近に付着し、この部分が被施術者100のまつ毛に接着される。この際、本実施形態の光硬化性ジェルは、ゲル化剤により適切なチキソトロピー性が付与されているので、人工まつ毛120の根元から、被施術者のまつ毛を伝って被施術者の目に流れ込むことはない。
【0041】
光硬化性ジェル140は、UV光またはLED光などの活性光線に照射されなければ、シアノアクリレート系のグルーとは違い硬化しないので、被施術者100のまつ毛に装着するまでの時間に余裕を持つことができる。
【0042】
図3は、1実施形態において美容師が人工まつ毛120を被施術者100に装着した後、光硬化性ジェル140を硬化させる実施形態を示した図である。本実施形態では、被施術者100のまつ毛をライト装置で照射することで人工まつ毛120をまつ毛に装着する。ライト装置は、例えばUV(紫外線)ランプ、UV-LED、可視光LED、またはCCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)といった光源170を備えている。
図3に示した実施形態では、光源170は、ホルダ160に保持されており、ホルダ160は、フレキシブルアーム190、スタンド180を介して支持台180aにより保持されている。他の実施形態では、ライト装置は、壁掛型、シーリングからの吊下げ型とすることができ、ライト装置は、施術場所の状況に応じて種々の形式のものを利用することができる。
【0043】
ライト170をスタンド型として保持する場合、例えばフットスイッチ180bを使用して、施術中にまつ毛を両手で固定した状態で、人工まつ毛120の装着および光照射を手際よく連続させることができる。
【0044】
また、ライト170による照射が広範囲に及ばないよう、被施術者120にはまつ毛部分だけが露出するようにアイパッチを装着してもらうこともできる。照射時間は、典型的には、数秒~数分の間とすることができるが、環境条件や照射有波長によって照射時間を適宜、長短調節することができる。また、後述するペンライト型の光源を使用する場合には、被施術者100の目を保護するように、まつ毛に対して垂直に近い角度で、まつ毛を照射することができる。
【0045】
図4は、限定した範囲での光照射を行うため、ライト170として、UVA領域の紫外線を照射する、ペンライト200を使用する実施形態を示す。被施術者100に対して人工まつ毛120を装着するまでは、
図2、
図3とは同様であるが、光照射を、ペン型のUVA(例えば365nmの光)を放出するペンライト200を使用する。
【0046】
ペンライト200は、施術台に設置したスタンドにフレキシブルアームにより被施術者100のまつ毛の近くに配置しておくことができる。施術者は、人工まつ毛120の装着後、まつ毛のそばに配置したペンライト200を、フットスイッチなどを使用して、ハンドフリーで光照射を行ない、人工まつ毛120の装着を効率的に行うことができる。
【0047】
なお、他の実施形態として、ツイーザー110と、小型のペンライトとをツイーザー110の先端付近にペンライト200の照射光が当たるように配置して、ペンライト200の照射・停止を施術者の手の位置を動かさずに、指の動作だけで行うように、ペンライト200のスイッチを配置することもできる。
【0048】
図4に示した実施形態では、光に照射される部分を限定的とすることができ、場合によっては、まつ毛の接合部分だけを照射することで、効率的な人工まつ毛120の固定が可能となる。なお、
図4の実施形態においても、被施術者100には、まつ毛部分だけが露出するアイパッチを装着してもらうことができ、この場合、さらに施術性を改善できる。
【0049】
図5は、1実施形態において使用することができる例示的なライト装置の実施形態を示す。ライト装置は、
図5(a)は、ライト装置の正面図であり、
図5(a)に示すように、ホルダ160と、LED160aと、UV-LED160bと、UVランプ160cと、CCFL160dを備えることができる。LED160aは、光硬化ジェル140を硬化させる機能を提供するのではなく、昼光色を発生し、施術時の照明光を発生する。また、UV-LED160bは、LED160aの内側に配置されていて、被施術者100のまつ毛に向けて硬化のためのUVA付近~可視光範囲の光線を発生させる。なお、この実施形態では、UV-LED160bは、被施術者100のまつ毛付近にUV光を集中させるような角度配置で配列することができる。
【0050】
さらに、
図5(a)に示す実施形態では、UVランプ160c、CCFL160dが、UV-LED160bの内側に配置されており、ホルダ160が、照明光から硬化光までを照射することが可能とされている。なお、本実施形態では、ライト装置160は、LED160a~CCFL160dまでの全光源を備えることは必要ではなく、少なくとも硬化光を発生させることができる限り、その組み合わせには制限はない。さらに、1実施形態では、光硬化性ジェル140の組成により硬化時間や硬化性が影響されないように、UVランプ、UV-LED、CCFLからの硬化光を同時に発生させる構成を用いることもできる。また、UV-LEDの波長が、可視光およびUVAの両方を発生させることができる場合、LED160aと、UV-LED160bとを共用し、1光源で、照明光および硬化光を発生させることができる。
【0051】
図5(b)は、ライト装置の断面構成を示した図であり、ランプシェードに隠されたUVランプ、CCFL160c,dを破線で示している。ライト装置は、照明光を発生させるLED160aをドーナツ状に覆うランプシェードを備え、LED160aの光を適切に拡散させ、施術時の照明を提供する。また、ドーナツ状のランプシェードの内側には、UV-LED160b、UVランプ160c、CCFL160dがシェードに覆われることなく配置されていて、本実施形態の光硬化性ジェル140を硬化する。
【0052】
ランプシェードの適切な位置には、ランプ切替スイッチ160eを配置することもでき、使用する光硬化性ジェル140の感光特性に応じて、LED160a、UV-LED160b、UVランプ160c、CCFL160dを切替え点灯させることができる。なお、ランプ切替スイッチ160eは、LED160aのスイッチが別にある場合には、UV-LED160b、UVランプ160c、CCFL160dを切替えるために3つ配置されていても良い。また、各硬化光を発生させる光源は、施術上の照明光を同時に発生させる態様とすることで、スムーズな施術が可能とされる。
【0053】
図6は、1実施形態においてライト装置を配置する場合に実施形態を示した図である。
図6(a)がスタンド式、
図6(b)が、壁掛け式、
図6(c)が、シーリング取付け式の実施形態を示す。
図5に示した形式を備えるホルダ160は、床300に配置された固定台180a、壁310またはシーリング320に固定された固定部材190aから延びたフレキシブルアーム190により、ピボット連結されていて、被施術者100に対して適切な位置および角度で配置することができるようにされている。また、フレキシブルアーム190は、固定台180a、固定部材190aに対して回転可能に取り付けることもでき、施術以外の場合には、ホルダ160をフレキシブルアーム190と共に回転させて邪魔にならない位置に配置させておくことができる。
【0054】
なお、
図6では、被施術者100は、椅子に座った状態で、施術されるものとして記載するが、被施術者100は、施術台に横になり、寝そべった状態で施術することも当然ながら可能である。
図5および
図6に示したライト装置を使用することで、施術時の照明光と硬化光とを切替え操作なくスムーズに切替できるため施術効率を改善することができる。
【0055】
図7は、本実施形態のまつ毛エクステンション方法の手順を示した図である。本方法は、ステップS100から開始し、被施術者100の用意ができた後、ステップS101で人工まつ毛120の根本付近に光硬化性ジェルを適量付着させる。
【0056】
その後、ステップS102で人工まつ毛120を被施術者のまつ毛に付着させ、ステップS103で光照射し、光硬化性ジェルを硬化させ、人工まつ毛を固定する。さらにステップS104で所定本数のまつ毛に対して繰り返してまつ毛エクステンションを施術し、所定本数装着した後、ステップS105で終了する。
【0057】
この繰り返しは、成人女性であれば、被施術者のまつ毛のグロスなどの要望に応じて施術開始から施術終了まで、約数十分~2時間程度で終了する。また、人工まつ毛120を除去する場合には、アセトン、エタノールその他適切なジェル化剤などを含む液体タイプ、ジェルタイプ、クリームタイプの市販のオフ剤を使用し、被施術者100のまつ毛から人工まつ毛120を除去することができる。
【0058】
他の実施形態においては、硬化性ジェルの光硬化性およびチキソトロピー性を利用して、ツイーザー装着タイプのUV-LEDを使用し、人工まつ毛をまつ毛に装着した後、活性光線、すなわち光重合を開始させることができる波長範囲の光を1秒~数秒程度の短時間照射して仮接着させることができる。前に装着した人工まつ毛を仮接着状態として、次の人工まつ毛装着の施術に移り、再度仮接着して、次の人工まつ毛を施術し、所定本数のまつ毛エクステンションの施術が終了後、本硬化のために比較的長時間の活性光線照射を数分行うこともできる。この実施態様の場合、施術性は、ほぼ従来のシアノアクリレート系のグルーを使用する場合と遜色なく、また、シアノアクリレートのように瞬時に硬化する性質ではないので、人工まつ毛120の装着を時間を持ってより美容上好ましい配置としながら効率的な施術が可能となる。
【0059】
図8は、本実施形態の他の実施形態のまつ毛エクステンション方法の手順を示した図である。本方法は、ステップS200から開始し、被施術者100の用意ができた後、ステップS201で人工まつ毛120の根本付近に光硬化性ジェルを適量付着させる。
【0060】
その後、ステップS202で人工まつ毛120を被施術者のまつ毛に付着させ、ステップS203で短時間光照射し、光硬化性ジェルを仮硬化させ、人工まつ毛を固定する。さらにステップS204で繰り返してまつ毛エクステンションを施術し、所定本数装着した後、本硬化して人工まつ毛を固定し、ステップS205で終了する。
【0061】
また、光硬化性ジェルは、光硬化性を阻害しない限り各種のカラーを付与し、被施術者の要求に対応することができる。また、本実施形態によれば、シアノアクリレート系のグルーとは異なり、アルデヒド化合物の発生がないので、施術環境改善、白化防止などの点で、より満足度の高いまつ毛エクステンション方法を提供することができる。
【0062】
なお、可視光領域に感度を有する光重合開始剤を使用して、可視光重合ジェルを形成し、硬化のために可視光を使用することもできる。また、本実施形態は、まつ毛ではなく、体毛としてまゆ毛、頭髪などに対して毛状体を付着させるために使用することができることは言うまでもないことである。
【実施例】
【0063】
以下、本実施形態を具体的な実施例をもって説明するが、実施例は本実施形態の理解のために記載するものであって、本実施形態を制限するものではない。
【0064】
実施例1
メタクリル酸エチル、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、メタクリル酸イソボルニル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイルイソプロパノールを含有する光硬化性組成物に、美容ジェルを添加し、UV-LED光での人工まつ毛120の固定時間が約1分、粘度約20Pa・sとなるように調整し、光硬化性ジェルを得た。
【0065】
このジェル組成物を、プレート130上に展開し、ツイーザー110に挟んだ人工まつ毛120の根本付近に付着させた。その後、ツイーザー110に挟んだ人工まつ毛120を被施術者のまつ毛に接触させ、UV-LED光約1分照射したところ、人工まつ毛120は、まつ毛に良好に接着できた。また、装着後、手鏡でまつ毛観察したところ、白化などが見られず、さらに施術時の刺激もなく良好な施術環境が提供できた。また施術期間中、光硬化性ジェルは、被施術者の目に流れ込むことはなく、良好に施術ができた。
【0066】
実施例2
ポリウレタン・アクリレート・オリゴマー、HEMA、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、酸化鉄、コンジョウ、マンガンバイオレット、グンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、酸化チタンを含む光硬化性組成物に美容ジェルを添加し、UV-LED光での人工まつ毛120の固定時間が約1分、粘度約20Pa・sとなるように調整し、光硬化性ジェルを得た。
【0067】
このジェル組成物を、実施例1と同様にしてまつ毛に装着したところ、良好に接着できた。また、装着後、手鏡でまつ毛観察したところ、白化などが見られず、さらに施術時の刺激もなく良好な施術環境が提供できた。また施術期間中、光硬化性ジェルは、被施術者の目に流れ込むことはなく、良好に施術ができた。
【0068】
実施例3
ジカルバミン酸ジHEMAトリメチルヘキシル、アクリレート・オリゴマー、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、酸化鉄、コンジョウ、マンガンバイオレット、酸化チタン、水酸化クロム、グンジョウ、赤色230号、227号、202号を含む光硬化性組成物に、美容ジェルを添加し、UVランプでの人工まつ毛120の固定時間が約2分、粘度約30Pa・sとなるように調整し、光硬化性ジェルを得た。
【0069】
このジェル組成物を、実施例1と同様にしてまつ毛に接触させ、光照射して仮接着し、所定本数の仮接着が終了した後、数分間光照射して本接着したところ、良好に接着できた。また、装着後、手鏡でまつ毛観察したところ、白化などが見られず、さらに施術時の刺激もなく良好な施術環境が提供できた。また施術期間中、光硬化性ジェルは、被施術者の目に流れ込むことはなく、短時間で良好な施術ができた。
【0070】
以上、例示的な本実施形態によれば、施術環境を改善すると共に美容効果の高い体毛のエクステンション方法およびエクステンション・システムを提供することができる。
【0071】
これまで本発明を、例示的な実施形態をもって説明してきたが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
100・・・被施術者、110・・・ツイーザー、120・・・人工まつ毛、130・・・プレート、140・・・光硬化性ジェル(グルー)、160・・・ホルダ、170・・・光源、スタンド・・・180、フレキシブルアーム・・・190