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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】フックキーパーおよび魚釣り用リール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/01 20060101AFI20221209BHJP
   A01K 89/015 20060101ALI20221209BHJP
   A01K 97/06 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
A01K89/01 Z
A01K89/015 Z
A01K97/06
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018136408
(22)【出願日】2018-07-20
(65)【公開番号】P2020010658
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100174573
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 知美
(72)【発明者】
【氏名】楠田 周
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0040375(KR,A)
【文献】登録実用新案第3216209(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0201600(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/01
A01K 89/015
A01K 97/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚釣り用リールに装着可能であり、係止部および保持部を備えるフックキーパーであって、
前記係止部は、
前記係止部を貫通する穴と、前記穴から前記係止部の外側面まで貫通し、かつ、前記穴の中心軸方向の前記係止部の一方の端面から他方の端面に到るスリットと、が形成され、
前記保持部は、
前記係止部を保持し、前記保持部を魚釣り用リールに装着可能な接合部を有し、
前記穴の中心軸方向の前記係止部の前記一方の端面の前記スリットの中心と前記他方の端面の前記スリットの中心とを結ぶ線が、前記穴の中心軸に対してねじれの位置にある、フックキーパー。
【請求項2】
前記保持部は、前記係止部を、前記保持部に対して、前記穴の中心軸と交わる軸の周りに回転可能に支持する、請求項1に記載のフックキーパー。
【請求項3】
魚釣り用リールであって、
リール本体と、
前記リール本体に支持され、釣り糸が巻回されるスプールと、
前記リール本体に回転可能に支持され、前記スプールに釣り糸を巻回する巻回機構を構成する駆動軸と、
前記駆動軸の一端に装着され、前記駆動軸を回転させるハンドルと、
請求項1または2に記載のフックキーパーと、
備え、
前記フックキーパーは、前記保持部が有する前記接合部で、前記リール本体または前記ハンドルに装着される、魚釣り用リール。
【請求項4】
前記ハンドルは、
前記駆動軸の一端に装着される装着部と、
前記装着部から、前記駆動軸に交わる方向に延びるハンドルアームと、
前記ハンドルアームの先端部から前記駆動軸に平行な方向に延びる把手軸と、
前記把手軸に回転可能に装着されるハンドル把手と、
を有し、
前記フックキーパーは、前記保持部が有する前記接合部で、前記ハンドル把手に装着される、
請求項に記載の魚釣り用リール。
【請求項5】
前記魚釣り用リールは、スピニングリールであって、
前記リール本体は、前記駆動軸の他端を支持する第1支持部を有し、
前記フックキーパーは、前記保持部が有する前記接合部で、前記リール本体に装着されて、前記第1支持部の少なくとも一部を覆う、請求項に記載の魚釣り用リール。
【請求項6】
前記魚釣り用リールは、スピニングリールであって、
前記リール本体は、
前記駆動軸の他端を支持する第1支持部と、
前記第1支持部の少なくとも一部を覆い、前記第1支持部から離れる方向に延びる延伸部を有するリールスタンドと、
を有し、
前記フックキーパーは、前記保持部が有する前記接合部で、前記延伸部の先端部に装着される、請求項に記載の魚釣り用リール。
【請求項7】
前記魚釣り用リールは、両軸受けリールであって、
前記リール本体は、前記駆動軸の一端を支持する第2支持部を有し、
前記フックキーパーは、前記保持部が有する前記接合部で、前記リール本体に装着されて、前記第2支持部の少なくとも一部を覆う、請求項に記載の魚釣り用リール。
【請求項8】
前記魚釣り用リールは、両軸受けリールであって、
前記ハンドルは、
前記駆動軸の一端に装着される装着部と、
前記装着部から、前記駆動軸に交わる方向に延びるハンドルアームと、
前記ハンドルアームの先端部から前記駆動軸に平行な方向に延びる把手軸と、
前記把手軸に回転可能に装着されるハンドル把手と、
を有し、
前記フックキーパーは、前記保持部が有する前記接合部で、前記装着部に装着される、請求項に記載の魚釣り用リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フックキーパーおよび魚釣り用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
魚釣りにおいて、ポイントを移動したり釣り竿を替えたりするときに、魚釣り用リールを用いた釣り竿に仕掛けを付けたまま、持ち歩いたり置いたりする場合がある。このような場合、竿先から先の釣り糸の部分が固定されていないと自由に動いてしまい、釣り針が衣服に引っかかったり、仕掛けによってリール本体が損傷したり、釣り糸が絡んだりすることがある。これを防止するため、魚釣り用リールに装着され、釣り針を係止することができるフックキーパーがある。例えば、特許文献1に記載のスピニングリールは、リール本体のハンドルの駆動軸上のハンドルが装着されない側に、釣針係止部を有するフックキーパーが外方へ向けて設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-172298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のフックキーパーは、釣針係止部が環状になっているため、針先の出ないオフセットフックの場合は係止できない。また、ダウンショットリグの場合は、釣り針だけを固定しても、その先のシンカーは固定されないので、シンカーによってリール本体が損傷したり、釣り糸が絡んだりする問題は解消されない。
【0005】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであって、魚釣り用リールにおいて、針先の出ている釣り針だけでなく、オフセットフックおよびシンカーも係止できるフックキーパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係るフックキーパーは、魚釣り用リールに装着可能であり、係止部および保持部を備えるフックキーパーであって、係止部は、係止部を貫通する穴と、穴から係止部の外側面まで貫通し、かつ、穴の中心軸方向の係止部の一方の端面から他方の端面に到るスリットと、が形成され、保持部は、係止部を保持し、保持部を魚釣り用リールに装着可能な接合部を有し、穴の中心軸方向の係止部の一方の端面のスリットの中心と他方の端面のスリットの中心とを結ぶ線が、穴の中心軸に対してねじれの位置にある
【0008】
さらに好ましくは、保持部は、係止部を、保持部に対して、穴の中心軸と交わる軸の周りに回転可能に支持する。
【0009】
本発明の第2の観点に係る魚釣り用リールは、リール本体と、リール本体に支持され、釣り糸が巻回されるスプールと、リール本体に回転可能に支持され、スプールに釣り糸を巻回する巻回機構を構成する駆動軸と、駆動軸の一端に装着され、駆動軸を回転させるハンドルと、第1の観点に係るフックキーパーと、備え、フックキーパーは、保持部が有する接合部で、リール本体またはハンドルに装着される。
【0010】
好ましくは、ハンドルは、駆動軸の一端に装着される装着部と、装着部から、駆動軸に交わる方向に延びるハンドルアームと、ハンドルアームの先端部から駆動軸に平行な方向に延びる把手軸と、把手軸に回転可能に装着されるハンドル把手と、を有し、フックキーパーは、保持部が有する接合部で、ハンドル把手に装着される。
【0011】
好ましくは、魚釣り用リールは、スピニングリールであって、リール本体は、駆動軸の他端を支持する第1支持部を有し、フックキーパーは、保持部が有する接合部で、リール本体に装着されて、第1支持部の少なくとも一部を覆う。
【0012】
あるいは、魚釣り用リールは、スピニングリールであって、リール本体は、駆動軸の他端を支持する第1支持部と、第1支持部の少なくとも一部を覆い、第1支持部から離れる方向に延びる延伸部を有するリールスタンドと、を有し、フックキーパーは、保持部が有する接合部で、延伸部の先端部に装着されてもよい。
【0013】
好ましくは、魚釣り用リールは、両軸受けリールであって、リール本体は、駆動軸の一端を支持する第2支持部を有し、フックキーパーは、保持部が有する接合部で、リール本体に装着されて、第2支持部の少なくとも一部を覆う。
【0014】
あるいは、魚釣り用リールは、両軸受けリールであって、ハンドルは、駆動軸の一端に装着される装着部と、装着部から、駆動軸に交わる方向に延びるハンドルアームと、ハンドルアームの先端部から駆動軸に平行な方向に延びる把手軸と、把手軸に回転可能に装着されるハンドル把手と、を有し、フックキーパーは、保持部が有する接合部で、装着部に装着されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、針先の出ている釣り針だけでなく、オフセットフックおよびシンカーも係止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態1に係る魚釣用リールの側面図
図2】実施の形態1に係る魚釣用リールの背面図
図3】実施の形態1に係るフックキーパーの斜視図
図4】実施の形態1に係るフックキーパーの正面図
図5】実施の形態1に係るフックキーパーにオフセットフックを係止した例を示す魚釣用リールの斜視図
図6】実施の形態1に係るフックキーパーにシンカーを係止した例を示す魚釣用リールの斜視図
図7】実施の形態1に係る回転可能なフックキーパーを装着した魚釣用リールの斜視図
図8】実施の形態1に係るフックキーパーをリールスタンドに装着した魚釣用リールの斜視図
図9】実施の形態1に係るリールスタンドに装着したフックキーパーにシンカーを係止した例を示す魚釣用リールの斜視図
図10】本発明の実施の形態2に係るフックキーパーの斜視図
図11】実施の形態2に係る魚釣用リールの斜視図
図12】実施の形態2に係るフックキーパーにオフセットフックを係止した例を示す魚釣用リールの斜視図
図13】本発明の実施の形態3に係るフックキーパーの斜視図
図14】実施の形態3に係る魚釣用リールの斜視図
図15】実施の形態3に係るフックキーパーにシンカーを係止した例を示す魚釣用リールの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係るフックキーパーおよび魚釣り用リールについて図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0018】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る魚釣用リールの側面図である。実施の形態1の魚釣用リールはスピニングリール100である。スピニングリール100は、図1に示すように釣り竿Rに取り付けられる。スピニングリール100は、釣り竿Rの長手方向(図1の左右方向)に沿った軸回りに釣り糸を巻き取るリールであって、リール本体110と、ハンドル120と、スプール130と、ロータ140と、ベールアーム150と、を備える。
【0019】
リール本体110は、ハンドル120の回転を受けて、ロータ140をリール本体110に対して回転させながらスプール130をリール本体110に対して前後に移動させる巻回機構を有する。スプール130には、釣り糸が巻かれる。
【0020】
ハンドル120は、リール本体110に回転可能に支持される駆動軸160の一端に装着される。駆動軸160は、巻回機構を構成する部材である。ハンドル120は、駆動軸160の一端に装着される装着部121と、装着部121から駆動軸160に交わる方向に延びるハンドルアーム122と、ハンドルアーム122の先端部から駆動軸160に平行な方向に延びる把手軸に回転可能に装着されるハンドル把手123と、を有する。
【0021】
ベールアーム150は、ロータ140に取り付けられ、釣り糸を案内するベール151を支持する。ベールアーム150は、ロータ140とともにリール本体110に対して回転する。
【0022】
図2は、実施の形態1に係る魚釣用リールの背面図である。リール本体110の左右両側には、ハンドル120が着脱可能に装着される駆動軸160の一端を支持する支持部111aと他端を支持する支持部111bとが形成されている。ハンドル120は、ユーザの好みにより駆動軸160の左右のいずれかの端に装着可能であり、図2では支持部111aの側に装着されている。スピニングリール100は、ハンドル120が装着されていない支持部111bに、フックキーパー3が装着されている。図2の例では、支持部111bが、本発明における第1支持部である。ハンドル120が支持部111bの側に装着されている場合には、支持部111aが、本発明における第1支持部である。
【0023】
図3は、実施の形態1に係るフックキーパーの斜視図である。フックキーパー3は、穴311およびスリット312が形成された係止部31と、係止部31を保持し、接合部321を有する保持部32と、を備えている。穴311は、係止部31を貫通する。スリット312は、穴311から係止部31の外側面まで貫通し、かつ、穴311の中心軸方向の係止部31の一方の端面S1から他方の端面S2に到る。フックキーパー3は、保持部32の接合部321で魚釣り用リールに装着可能である。
【0024】
フックキーパー3に、オフセットフックを含む釣り針を係止する場合、釣り針のシャンクまたはベンドをスリット312に通して穴311の中に押し込んで係止する。スリット312は、釣り針のシャンクおよびベンドの太さよりも広い幅で形成されており、穴311は、スリット312の幅よりも広い直径で形成されている。針先の出ている釣り針を係止する場合には、針先を穴311の周縁の係止部31にひっかけてもよい。
【0025】
フックキーパー3に、シンカーを係止する場合、釣り糸をスリット312に通して穴311の中に押し込む。穴311は、シンカーの幅よりも狭い直径で形成されており、シンカーは、穴311の外に係止される。このとき、穴311の直径がシンカーのアイの幅よりも広い場合は、シンカーのアイのみが穴311の中に収容される。
【0026】
図4は、実施の形態1に係るフックキーパーの正面図である。フックキーパー3は、穴311の中心軸方向の係止部31の一方の端面S1のスリット312の中心と他方の端面S2のスリット312の中心とを結ぶ線Lが、穴311の中心軸Aに対してねじれの位置にある。このように、穴311およびスリット312を形成することで、フックキーパー3に係止された釣り針やシンカーが外れにくくなる。
【0027】
図5は、実施の形態1に係るフックキーパーにオフセットフックを係止した例を示す魚釣用リールの斜視図である。フックキーパー3にオフセットフック4を係止する場合、釣り糸6の先に装着されたオフセットフック4のシャンク41またはベンド42をスリット312に通し、穴311に係止する。スリット312は、シャンク41およびベンド42の太さよりも広い幅で形成されている。図5の例では、釣り糸6の張力により、オフセットフック4のベンド42が穴311にひっかかって、オフセットフック4が係止されている。
【0028】
図6は、実施の形態1に係るフックキーパーにシンカーを係止した例を示す魚釣用リールの斜視図である。フックキーパー3にシンカー5を係止する場合、釣り糸6をスリット312に通し、シンカー5を穴311に係止する。図6の例では、穴311の直径がシンカー5のアイ51の幅よりも広いので、アイ51のみが穴311の中に収容された状態で、シンカー5が係止されている。
【0029】
図7は、実施の形態1に係る回転可能なフックキーパーを装着した魚釣用リールの斜視図である。フックキーパー3の保持部32は、係止部31を、保持部32に対して穴311の中心軸と交わる軸の周りに回転可能に支持してもよい。これにより、ユーザが釣り針や釣り糸をスリット312に通しやすい角度にすることができる。また、釣り針やシンカーを係止した状態で、係止部31を、釣り糸を引っ張る方向に回転させると、釣り糸の張力を大きくすることができるので釣り針やシンカーが外れにくくなる。図7の例では、保持部32は、係止部31を、保持部32に対して穴311の中心軸と垂直に交わる軸の周り(図中、矢印Aの方向)に回転可能に支持しているが、これに限らず、保持部32は、係止部31を、保持部32に対して穴311の中心軸と斜めに交わる軸の周りに回転可能に支持してもよい。
【0030】
図8は、実施の形態1に係るフックキーパーをリールスタンドに装着した魚釣用リールの斜視図である。リール本体110は、支持部111bに装着され支持部111bから離れる方向に延びる延伸部を有するリールスタンド112を備える。フックキーパー3は、保持部32の接合部321で、リールスタンド112の延伸部の先端部に装着される。図8の例では、リールスタンド112の延伸部は、駆動軸の軸方向にまっすぐ延びているが、これに限らず、リールスタンド112の延伸部は、支持部111bから離れる方向であれば、駆動軸の軸方向に対して斜めに延びていてもよいし、湾曲して延びていてもよい。
【0031】
図9は、実施の形態1に係るリールスタンドに装着したフックキーパーにシンカーを係止した例を示す魚釣用リールの斜視図である。リールスタンド112の延伸部の先端部に装着したフックキーパー3にシンカー5を係止した場合、図6に示した、支持部111bに装着したフックキーパー3にシンカー5を係止した場合よりも、釣り糸6がリール本体110から離れる。軌跡Tは、ロータ140およびベールアーム150が回転したときのベール151の軌跡である。
【0032】
図9に示すように、リールスタンド112の延伸部の先端部に装着したフックキーパー3にシンカー5を係止すると、ベール151が支持部111b側にある状態で止まっていたとしても、釣り糸6とベール151とが干渉しない。図9では、リールスタンド112の延伸部の先端部に装着したフックキーパー3にシンカー5を係止した場合の例を示したが、オフセットフックを含む釣り針を係止した場合も、同様に釣り糸6とベール151とが干渉しない。
【0033】
リールスタンド112の延伸部の先端部に装着したフックキーパー3についても、保持部32が、係止部31を、保持部32に対して穴311の中心軸と交わる軸の周りに回転可能に支持してもよい。
【0034】
実施の形態2.
図10は、本発明の実施の形態2に係るフックキーパーの斜視図である。実施の形態2では、フックキーパー3を魚釣用リールのハンドルの装着部に装着する。実施の形態2のフックキーパー3は、実施の形態1のフックキーパー3と、主に保持部32の形状が異なる。
【0035】
図10の例では、保持部32は、ハンドルアームを駆動軸に締結するナットを固定するリテーナーの形状で形成されている。フックキーパー3は、保持部32の接合部321の穴H1にハンドルアームを駆動軸に締結するナットを嵌合し、穴H2に固定用ビスを挿通して締め付けることによって、ナットを固定する。実施の形態1と同様に、フックキーパー3は、穴311の中心軸方向の係止部31の一方の端面のスリット312の中心と他方の端面のスリット312の中心とを結ぶ線が、穴311の中心軸に対してねじれの位置にある。
【0036】
図11は、実施の形態2に係る魚釣用リールの斜視図である。実施の形態2の魚釣用リールは両軸受けリール200である。両軸受リール200は、図11に向かって左手前側が釣り竿の先端(前方)に向かうように、釣り竿に取り付けられる。両軸受リール200は、リール本体210と、リール本体210の側方に配置されたハンドル220と、リール本体210に回転可能に支持されたスプール230と、ハンドル220のリール本体210側に配置されたドラグ調整用のスタードラグ240と、を備える。
【0037】
リール本体210は、ハンドル220の回転を受けて、スプール230を回転させ、スプール230に釣り糸を巻き取る巻回機構を有する。ハンドル220は、リール本体210に回転可能に支持される駆動軸の一端に装着される。駆動軸は、巻回機構を構成する部材である。ハンドル220は、駆動軸の一端に装着される装着部221と、装着部221から駆動軸に交わる方向に延びるハンドルアーム222と、ハンドルアーム222の先端部から駆動軸に平行な方向に延びる把手軸に回転可能に装着される一対のハンドル把手223aおよびハンドル把手223bと、を有する(ハンドル把手223bは図示せず)。
【0038】
リール本体210の側方には、ハンドル220が装着される駆動軸の一端を支持する支持部211が形成されている。ハンドル220は、支持部211が支持する動軸の一端に、装着部221で装着される。支持部211は、本発明における第2支持部である。フックキーパー3は、装着部221にリテーナーとして装着されている。図11に示すように、フックキーパー3の穴311およびスリット312は、ハンドルアーム222の駆動軸に直交する短手方向の外面よりも外側にある。図11の例では、フックキーパー3は、ハンドルアーム222の外側に装着されているが、これに限らず、ハンドルアーム222の内側(リール本体210側)に装着されてもよい。
【0039】
図12は、実施の形態2に係るフックキーパーにオフセットフックを係止した例を示す魚釣用リールの斜視図である。フックキーパー3にオフセットフック4を係止する場合、釣り糸6の先に装着されたオフセットフック4のシャンク41またはベンド42をスリット312に通し、ワームがハンドルアーム222に沿うように、穴311に係止する。スリット312は、シャンク41およびベンド42の太さよりも広い幅で形成されている。図12では、フックキーパー3にオフセットフック4を係止した例を示したが、シンカーや針先の出ている釣り針も係止することができる。
【0040】
図10図12に記載のフックキーパー3の係止部31の穴311は、中心軸が駆動軸の軸方向と平行に形成されているが、穴311の中心軸の方向は、これに限らず、穴311の中心軸が駆動軸の軸方向に対して垂直または斜めに形成されていてもよい。また、フックキーパー3の保持部32の形状は、リテーナーの形状に限らず、例えば円環形状で、ハンドル220のリール本体210側の装着部221に装着されてもよい。この場合も、フックキーパー3は、係止部31の穴311およびスリット312が、ハンドルアーム222の駆動軸に直交する短手方向の外面よりも外側に出るように装着される。さらに、フックキーパー3の保持部32が、係止部31を、保持部32に対して穴311の中心軸と交わる軸の周りに回転可能に支持してもよい。
【0041】
実施の形態3.
図13は、本発明の実施の形態3に係るフックキーパーの斜視図である。実施の形態3では、フックキーパー3を魚釣用リールのハンドル把手に装着する。実施の形態3のフックキーパー3は、実施の形態1および2のフックキーパー3と、主に保持部32の形状が異なる。このため、保持部32は、ハンドル把手のフックキーパー3を装着する面の形状(略楕円形)に合わせて、係止部31の幅よりも広い長径の略楕円形の接合部321を有する。ハンドル把手のフックキーパー3を装着する面の形状は略楕円形に限らず、例えば、ハンドル把手のフックキーパー3を装着する面の形状が円形であれば、接合部321の形状を係止部31の幅よりも広い直径の円形にするとよい。
【0042】
図13の例では、接合部321に、軽量化のための空洞Cが形成されているが、空洞Cはなくてもよい。また、保持部32は、係止部31を、保持部32に対して穴の中心軸と交わる軸の周りに回転可能に支持してもよい。
【0043】
図14は、実施の形態3に係る魚釣用リールの斜視図である。実施の形態3の魚釣用リールはスピニングリール100であってもよいし、両軸受けリール200であってもよい。図14では、両軸受リール200の例を示す。両軸受リール200の構成は実施の形態2と同様である。ハンドル220は、駆動軸の一端に装着される装着部221と、装着部221から駆動軸に交わる方向に延びるハンドルアーム222と、ハンドルアーム222の先端部から駆動軸に平行な方向に延びる把手軸に回転可能に装着される一対のハンドル把手223aおよびハンドル把手223bと、を有する(ハンドル把手223bは図示せず)。
【0044】
図14の例では、フックキーパー3は、ハンドル把手223aに装着されているが、ハンドル把手223bに装着されてもよいし、ハンドル把手223aおよびハンドル把手223bの両方に装着されてもよい。図14に示すように、フックキーパー3は、接合部321で、ハンドル把手223aの把手軸に直交する端面に装着される。接合部321を、ハンドル把手223aの把手軸に直交する端面の形状(略楕円形)に合わせた形状にすることで、接合強度が高くなる。
【0045】
図15は、実施の形態3に係るフックキーパーにシンカーを係止した例を示す魚釣用リールの斜視図である。両軸受リール200のハンドル把手223aに装着されたフックキーパー3にシンカー5を係止する場合、図15に示すように、釣り糸6をスリット312に通し、シンカー5を穴311に係止する。図15の例では、穴311の直径がシンカー5のアイ51の幅よりも広いので、アイ51のみが穴311の中に収容された状態で、シンカー5が係止される。図15では、フックキーパー3にシンカー5を係止した例を示したが、オフセットフックを含む釣り針も係止することができる。
【0046】
実施の形態3のフックキーパー3を実施の形態1で説明したスピニングリール100のハンドル120のハンドル把手123に装着した場合、ハンドル把手123に装着したフックキーパー3に釣り針やシンカーを係止すると、ベール151が支持部111a側にある状態で止まっていたとしても、釣り糸6とベール151とが干渉しない。
【0047】
上記の実施の形態では、フックキーパー3にオフセットフックを含む釣り針およびシンカーを係止する例について説明したが、フックキーパー3にはシャンクが短い釣り針が付いたルアーを係止することもできる。この場合、釣り糸をスリット312に通して穴311の中に押し込む。穴311は、ルアーの幅よりも狭い直径で形成されており、ルアーは、穴311の外に係止される。このとき、穴311の直径がルアーのアイの幅よりも広い場合は、ルアーのアイのみが穴311の中に収容される。
【0048】
上記の実施の形態で示したフックキーパー3にオフセットフックを含む釣り針およびシンカーを係止する方法は例であり、どの方法で係止するかはユーザの任意である。
【0049】
上記の実施の形態では、フックキーパー3の係止部31のスリット312は、釣り針のシャンクおよびベンドの太さよりも広い幅で形成されていると説明したが、フックキーパー3の係止部31が弾性部材で形成されており、スリット312に釣り針のシャンクおよびベンドを押し込むことで釣り針のシャンクおよびベンドがスリット312を通過可能な場合は、スリット312が釣り針のシャンクおよびベンドの太さ以下の幅で形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0050】
3 フックキーパー
4 オフセットフック
5 シンカー
6 釣り糸
31 係止部
32 保持部
41 シャンク
42 ベンド
51 アイ
100 スピニングリール
110 リール本体
111a,111b 支持部
112 リールスタンド
120 ハンドル
121 装着部
122 ハンドルアーム
123 ハンドル把手
130 スプール
140 ロータ
150 ベールアーム
151 ベール
160 駆動軸
200 両軸受リール
210 リール本体
211 支持部
220 ハンドル
221 装着部
222 ハンドルアーム
223a,223b ハンドル把手
230 スプール
240 スタードラグ
311 穴
312 スリット
321 接合部
図1
図2
図3
図4
図5
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図15