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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】グリル装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20221209BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
A47J37/06 366
F24C3/12 S
F24C3/12 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018151025
(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公開番号】P2020025633
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 宏治
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-237570(JP,A)
【文献】特開2011-000315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/06
F24C 3/12
F23N 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を収容するグリル庫と、該グリル庫内の被調理物を上方から加熱する上火バーナと、前記グリル庫内の被調理物を下方から加熱する下火バーナと、前記各バーナに点火するための点火手段と、前記各バーナの着火を検出する着火検出手段と、前記各バーナの燃焼を制御するグリルバーナ制御手段とを備えるグリル装置において、
前記グリルバーナ制御手段は、前記上火バーナと前記下火バーナとの燃焼を開始させるとき、前記上火バーナへの点火動作により前記着火検出手段が前記上火バーナの着火の有無の検出を開始し、前記上火バーナの着火有りを検出した後に、前記下火バーナへの点火動作を行うことを特徴とするグリル装置。
【請求項2】
被調理物を収容するグリル庫と、該グリル庫内の被調理物を上方から加熱する上火バーナと、前記グリル庫内の被調理物を下方から加熱する下火バーナと、前記各バーナに点火するための点火手段と、前記各バーナの着火を検出する着火検出手段と、前記各バーナの燃焼を制御するグリルバーナ制御手段とを備えるグリル装置において、
前記グリルバーナ制御手段は、前記上火バーナと前記下火バーナとの燃焼を開始させるとき、前記上火バーナの火力レベルを大とし、前記下火バーナの火力レベルを小として両バーナへの点火動作を行うことを特徴とするグリル装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のグリル装置において、
前記グリルバーナ制御手段は、前記下火バーナの燃焼中に、消火状態にあった前記上火バーナの燃焼を開始させるとき、前記上火バーナへの点火動作に先立って前記下火バーナを消火させ、次いで、前記上火バーナへの点火動作により前記着火検出手段が前記上火バーナの着火の有無の検出を開始し、前記上火バーナの着火有りを検出した後に、前記下火バーナへの再点火動作を行うことを特徴とするグリル装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載のグリル装置において、
前記グリルバーナ制御手段は、前記下火バーナの燃焼中に、消火状態にあった前記上火バーナの燃焼を開始させるとき、前記下火バーナの火力レベルを小として該下火バーナの燃焼状態を維持し、その後、前記上火バーナの火力レベルを大として該上火バーナへの点火動作を行うことを特徴とするグリル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上火バーナと下火バーナとを備えるグリル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のグリル装置として、調理中に被調理物を裏返すことなく被調理物の上下両面を加熱するために、上火バーナと下火バーナとを備えているものが知られている。
【0003】
更に、この種のグリル装置においては、上火バーナと下火バーナとを各別に制御するようにしたものが知られている(下記特許文献1参照)。このものでは、上火バーナを消火して下火バーナによって被調理物を加熱することにより、被調理物の焦げ過ぎを防止しながらグリル庫内の温度を比較的高くして、所謂オーブン調理を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-223361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、グリル装置による調理を開始するとき、上火バーナと下火バーナとを同時に点火する、或いは、下火バーナが燃焼状態で上火バーナに点火すると、上火バーナへの着火(火移り等)が円滑に行われず点火不良となる場合がある。
【0006】
下火バーナが着火すると、下火バーナから発生する燃焼排ガスが上昇する。上火バーナは、このときの燃焼排ガスが当たって煽りを受ける。
【0007】
上火バーナは、下向きに火炎が形成される燃焼面を備える構造であることにより、燃焼面への混合ガス(燃料ガスと燃焼空気とが混合されたもの)の供給速度や燃焼面に沿った火移り速度等が、下火バーナよりも遅い。このため、上火バーナは、火移り途中で下火バーナの燃焼排ガスによる煽りを受けると、上火バーナの火移りの進行が阻害されて点火不良が生じ易い。
【0008】
上記の点に鑑み、本発明は、上火バーナと下火バーナとに点火するとき、下火バーナによる上火バーナの煽りが軽減されて、上火バーナへの着火が円滑に行われるグリル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための本発明は、被調理物を収容するグリル庫と、該グリル庫内の被調理物を上方から加熱する上火バーナと、前記グリル庫内の被調理物を下方から加熱する下火バーナと、前記各バーナに点火するための点火手段と、前記各バーナの着火を検出する着火検出手段と、前記各バーナの燃焼を制御するグリルバーナ制御手段とを備えるグリル装置において、前記グリルバーナ制御手段は、前記上火バーナと前記下火バーナとの燃焼を開始させるとき、前記上火バーナへの点火動作により前記着火検出手段が前記上火バーナの着火の有無の検出を開始し、前記上火バーナの着火有りを検出した後に、前記下火バーナへの点火動作を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、上火バーナが着火した後に、下火バーナへの点火動作が行われる。即ち、上火バーナの火移りが完了して燃焼状態となってから、遅れて下火バーナが燃焼状態となる。これにより、上火バーナは、点火の際の火移りの途中で、下火バーナからの燃焼排ガスの煽りを受けることが回避される。従って、上火バーナを点火したときの着火が円滑に行われ、点火不良の発生を防止することができる。
【0011】
上記目的を達成するための本発明の他の態様は、被調理物を収容するグリル庫と、該グリル庫内の被調理物を上方から加熱する上火バーナと、前記グリル庫内の被調理物を下方から加熱する下火バーナと、前記各バーナに点火するための点火手段と、前記各バーナの着火を検出する着火検出手段と、前記各バーナの燃焼を制御するグリルバーナ制御手段とを備えるグリル装置において、前記グリルバーナ制御手段は、前記上火バーナと前記下火バーナとの燃焼を開始させるとき、前記上火バーナの火力レベルを大とし、前記下火バーナの火力レベルを小として両バーナへの点火動作を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、点火時には、上火バーナの火力レベルを大として比較的多くの燃料ガスを供給する一方、下火バーナの火力レベルを小として燃料ガスの供給を少なく抑える。これにより、上火バーナの点火時(火移り中)に、下火バーナの燃焼排ガスによる煽りを抑えることができる。よって、上火バーナと下火バーナとを同時に点火動作しても、上火バーナの点火不良の発生を抑制することができる。
【0013】
ところで、例えば、被調理物の焦げ過ぎを防止しながらグリル庫内の温度を比較的高く維持する調理モードにおいては、上火バーナが消火状態で下火バーナを燃焼させ、その後、上火バーナの燃焼を開始させることがある。このときには、上火バーナが、下火バーナからの燃焼排ガスの煽りの影響を受けて上火バーナへの着火が円滑に行われないおそれがある。
【0014】
本発明において、前記グリルバーナ制御手段は、前記下火バーナの燃焼中に、消火状態にあった前記上火バーナの燃焼を開始させるとき、前記上火バーナへの点火動作に先立って前記下火バーナを消火させ、次いで、前記上火バーナへの点火動作により前記着火検出手段が前記上火バーナの着火の有無の検出を開始し、前記上火バーナの着火有りを検出した後に、前記下火バーナへの再点火動作を行うことを特徴とする。
【0015】
これによれば、上火バーナへの点火動作に先立って下火バーナを消火されるので、点火によって火移り中の上火バーナは、下火バーナからの燃焼排ガスの煽りを受けることがない。よって、被調理物の焦げ過ぎを防止しながらグリル庫内の温度を比較的高く維持する調理モード等を実行中に、上火バーナの点火不良が防止でき、調理失敗等の発生を防止することができる。
【0016】
或いは、本発明において、前記グリルバーナ制御手段は、前記下火バーナの燃焼中に、消火状態にあった前記上火バーナの燃焼を開始させるとき、前記下火バーナの火力レベルを小として該下火バーナの燃焼状態を維持し、その後、前記上火バーナの火力レベルを大として該上火バーナへの点火動作を行うことを特徴とする。
【0017】
この場合には、上火バーナへの点火動作に先立って下火バーナの火力レベルを小とし(燃料ガスの供給を小とし)、上火バーナは、火力レベルを大として(燃料ガスの供給を大として)点火動作を行う。これにより、上火バーナを点火する時の下火バーナからの燃焼排ガスの発生が少なくなって、上火バーナへの煽りを抑えることができる。よって、上火バーナの点火不良による調理失敗等の発生を抑制することができる。更に、上火バーナへの点火の際に、下火バーナの火力レベルを小とすることにより、例えば、燃料ガスの供給路に設けられている弁装置の閉弁動作が不要となるので、開閉動作回数増加に伴う弁装置の耐久性低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態によるグリル装置を模式的に示す説明図。
図2】初期点火動作を示すフローチャート。
図3】初期点火動作の他の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態のグリル装置1の構成を模式的に示している。なお、本実施形態のグリル装置1は、図示しないが、天面に複数のコンロバーナを備えるガスコンロの筐体に組み込まれている。
【0020】
グリル装置1は、図1に示すように、前面開口2を有するグリル庫3と、グリル庫3の前面開口2を開閉自在に閉塞するグリル扉4とを備えている。グリル扉4には受け皿5が支持されている。受け皿5は、グリル扉4の開閉によりグリル庫3内から出し入れされる。受け皿5の上方には、魚等の被調理物を載置する焼網やプレートパン等の載置部6が設けられている。
【0021】
グリル庫3には、載置部6に載置された被調理物を上方から加熱する上火バーナ7と、被調理物を下方から加熱する下火バーナ8とが設けられている。上火バーナ7と下火バーナ8とは、グリルコントローラ9(グリルバーナ制御手段)により制御される。グリル庫3の後端部には、グリル庫3内で発生した水蒸気や煙成分等を含む排気ガス等を機外に排出する排気口10が形成されている。
【0022】
なお、本実施形態において採用されている下火バーナ8は、グリル庫3の奥行き方向に長手で、側方に火炎を形状するタイプのものである。しかし、これ以外に、図示しないが、グリル庫3の底側から円形に火炎を形成するタイプのバーナを下火バーナとして採用してもよい。
【0023】
図示しないコンロ筐体の前面には、グリルコントローラ9に対して各種の設定や自動調理の運転指示を行う設定操作パネル11と、タイマ時間やエラー表示等の各種の情報を表示させる表示器12と、上火バーナ7及び下火バーナ8の点火と消火を指示するためのグリル操作釦13とが設けられている。
【0024】
上火バーナ7への点火は、上火バーナ点火電極14の火花放電により行われる。下火バーナ8への点火は、下火バーナ点火電極16の火花放電により行われる。上火バーナ点火電極14と下火バーナ点火電極16とは、グリルイグナイタ17を駆動することにより火花放電を発生させる。上火バーナ点火電極14、下火バーナ点火電極16、及びグリルイグナイタ17は本発明における点火手段に相当する。
【0025】
また、上火バーナ7の着火の有無は上火バーナ熱電対18により検出され、下火バーナ8の着火の有無は下火バーナ熱電対19により検出される。上火バーナ熱電対18及び下火バーナ熱電対19は本発明における着火検出手段に相当する。
【0026】
上火バーナ7と下火バーナ8とには、ガス供給管21を介して燃料ガスが供給される。ガス供給管21には、上火バーナ7と下火バーナ8とに対して各別に燃料ガスの供給と遮断を切り替える元ガス弁22,23とガス量調節弁24,25とが設けられている。
【0027】
グリルコントローラ9は、記憶部26と、エラー処理部27と、上火バーナ7及び下火バーナ8の燃焼を制御する調理制御部28とを機能的に備えている。記憶部26には、各種の調理を行うための制御プログラムや、後述する点火動作時間データ及び待機時間データが格納されている。グリルコントローラ9には、設定操作パネル11からの信号、グリル操作釦13からの信号、及び各熱電対18,19の燃焼状態検出信号が入力される。
【0028】
調理制御部28は、上記の各入力信号に基づいて制御プログラムを実行し、上火バーナ7や下火バーナ8の燃焼運転を行う。更に、調理制御部28は、点火制御部29を機能的に備えている。点火制御部29は、点火タイマ30を備えている。点火制御部29は、調理制御部28の点火動作時間データ及び待機時間データを用いて上火バーナ7や下火バーナ8の点火動作を実行する。点火タイマ30には、記憶部26に予め記憶されている点火動作時間データが設定され、この時間がグリルイグナイタ17の駆動時間となる。
【0029】
次に、本実施形態のグリル装置1におけるグリルコントローラ9による点火動作の一例を説明する。グリル装置1の運転は、使用者がグリル操作釦13のON操作(本実施形態では押し操作)を行うことで開始される。グリル操作釦13がON操作されると、点火制御部29の制御によって上火バーナ7及び下火バーナ8の初期点火動作が実行される。点火制御部29の制御による初期点火動作を図2に基づいて説明すると、STEP1で、点火タイマ30による計時を開始する。なお、点火タイマ30は、STEP1での計時に先立ってリセットされる。
【0030】
次いで、点火制御部29は、STEP2へ進み、グリルイグナイタ17の駆動を開始すると同時に上火バーナ7の元ガス弁22を開ける。このときの、グリルイグナイタ17の駆動時間は、記憶部26に予め記憶されている上火バーナ7の初期点火時の点火動作時間データに基づいて点火タイマ30に設定されたものであり、本実施形態においては10秒とされている。
【0031】
続いて、点火制御部29は、STEP3へ進んで上火バーナ熱電対18からの信号に基づいて上火バーナ7の着火の有無を判断する。STEP3で、上火バーナ7の着火が検出されると、STEP4へ進む。STEP3における上火バーナ7の着火の監視は、点火タイマ30が10秒でタイムアップするまで行われる。このときの点火タイマ30におけるタイムアップ監視は、後述するSTEP8により行われる。
【0032】
点火制御部29は、STEP4へ進むと、点火タイマ30による計時を開始する。このとき、点火タイマ30は、計時開始に先立ってリセットされ、下火バーナ7の初期点火時の点火動作時間データに基づく計時を開始する。
【0033】
次いで、点火制御部29は、STEP5へ進んで下火バーナ8の元ガス弁23を開ける。そして、点火制御部29は、STEP6で下火バーナ熱電対19からの信号に基づいて下火バーナ8の着火の有無を判断し、下火バーナ8の着火が検出されると、STEP7へ進んでグリルイグナイタ17の駆動を停止させる。これにより初期点火動作が終了する。
【0034】
以上のように、点火制御部29は、上火バーナ7が着火した後に、下火バーナ8への点火動作を行う。これにより、上火バーナ7は、点火の際の火移りの途中で、下火バーナ8からの燃焼排ガスの煽りを受けることがなく、着火が円滑に行われる。
【0035】
STEP3で、上火バーナ7の着火が検出されず、STEP8で点火タイマ30のタイマのタイムアップが確認された場合には、点火制御部29は、STEP9でグリルイグナイタ17を停止させ、上火バーナ7の元ガス弁22を閉じて、STEP10へ進む。STEP13では、上火バーナ7の点火失敗を示すエラーコード等を表示器12に表示させる。このとき、ブザーや、音声によって上火バーナ7の点火が失敗した旨を報知してもよい。
【0036】
STEP6で、下火バーナ8の着火が検出されずに、STEP11で点火タイマ30のタイマのタイムアップが確認された場合には、点火制御部29は、STEP12でグリルイグナイタ17を停止させ、上火バーナ7の元ガス弁22と下火バーナ8の元ガス弁23とを閉じる。そして、STEP13へ進んで、下火バーナ8の点火失敗を示す表示、或いは、ブザーや音声による報知を行う。
【0037】
なお、グリルコントローラ9による初期点火動作については、上火バーナ7の点火と下火バーナ8の点火とを同時に実行するようにしてもよい。即ち、図3に示すように、使用者がグリル操作釦13のON操作を行うと、点火制御部29は、STEP20で点火タイマ30による計時を開始する。
【0038】
次いで、点火制御部29は、STEP21へ進み、上火バーナ7のガス量調節弁24の開度を大とし、下火バーナ8のガス量調節弁25の開度を小とする。
【0039】
続いて、点火制御部29は、STEP22へ進んで、グリルイグナイタ17の駆動を開始すると同時に上火バーナ7の元ガス弁22と下火バーナ8の元ガス弁23とを開ける。このとき、STEP21が実行されている状態なので、下火バーナ8の火力レベルを小さくして燃焼排ガスの発生量を少なく抑えておきながら、火力レベルを大きく設定した上火バーナ7への点火が行われる。
【0040】
そして、点火制御部29は、STEP23へ進んで上火バーナ熱電対18及び下火バーナ熱電対19からの信号に基づいて上火バーナ7及び下火バーナ8の着火の有無を判断する。STEP23で、上火バーナ7と下火バーナとの両方の着火が検出されると、STEP24へ進んで、グリルイグナイタ17の駆動を停止させる。これにより初期点火動作が終了する。
【0041】
以上のように、点火制御部29は、初期点火動作で上火バーナ7と下火バーナ8とを同時に点火させる場合に、下火バーナ8の着火時に発生する燃焼排ガスの発生量を少なく抑える一方、上火バーナ7の火力レベルを大として点火する。これによって、上火バーナ7と下火バーナ8とを同時に点火しても、下火バーナ8から発生する燃焼排ガスによる上火バーナ7の着火(特に火移り)への悪影響を極めて小さく抑えることができる。
【0042】
しかも、上火バーナ7と下火バーナ8とを同時に点火させることができるので、上火バーナ7と下火バーナ8とで点火動作の時間差を設ける場合に比べて、点火動作を短時間で完了させることができ、グリルイグナイタ17の駆動時の火花放電時間が比較的長時間に及んで使用者に不快感を付与する等の不都合もない。
【0043】
なお、上火バーナ7と下火バーナ8とを同時に点火させるときに、下火バーナ8の火力レベルは、燃焼排ガスの発生量が、上火バーナ7の着火に悪影響を与えない程度であればよく、上火バーナ7においては、そのときに着火可能となる火力レベルであればよい。従って、STEP21における上火バーナ7のガス量調節弁24の開度は最大であるとは限らず(最大火力レベルとは限らず)、また、下火バーナ8のガス量調節弁25の開度は最小であるとは限らない(最小火力レベルとは限らない)。
【0044】
また、STEP23で、上火バーナ7と下火バーナ8との少なくとも一方の着火が検出されずに、STEP25で点火タイマ30のタイマのタイムアップが確認された場合には、点火制御部29は、STEP26でグリルイグナイタ17を停止させ、上火バーナ7の元ガス弁22と下火バーナ8の元ガス弁23とを閉じる。そして、STEP27へ進んで、下火バーナ8の点火失敗を示す表示、或いは、ブザーや音声による報知を行う。
【0045】
ところで、本実施形態のグリル装置1においては、グリルコントローラ9の調理制御部28の制御によって、自動調理の一つとして所謂オーブン調理を行うことができるようになっている。調理制御部28は、オーブン調理を実行すると、当初は上火バーナ7と下火バーナ8との両方を燃焼状態として調理を進め、次いで、上火バーナ7を消火して下火バーナ8のみを燃焼状態とし、その後、点火制御部29を介して上火バーナ7に点火する。
【0046】
下火バーナ8が燃焼状態であるときに上火バーナ7に点火しようとしても、上火バーナ7が下火バーナ8の燃焼排ガスの煽りを受けて、上火バーナ7が点火不良となる場合がある。
【0047】
そこで、本実施形態のグリル装置1においては、下火バーナ8が燃焼状態であった場合に、点火制御部29は、図示しないが、先ず、下火バーナ8の元ガス弁23を閉じて下火バーナ8を消火させ、次いで、グリルイグナイタ17の駆動を開始すると同時に上火バーナ7の元ガス弁22を開ける。その後は、図2のSTEP3以降の処理を行う。
【0048】
これによれば、燃焼していた下火バーナ8を消火させて、上火バーナ9に対する燃焼排ガスの悪影響をなくすことができ、オーブン調理等の自動調理における失敗を防止することができる。
【0049】
また、これ以外に、下火バーナ8が燃焼状態であるときに上火バーナ7に点火するとき、点火制御部29は、図示しないが、先ず、上火バーナ7のガス量調節弁24の開度を大とする。次いで、下火バーナ8の燃焼状態は維持するが、下火バーナ8のガス量調節弁25の開度を小として火力レベルを小とする。そして、グリルイグナイタ17の駆動を開始すると同時に上火バーナ7の元ガス弁22を開ける。その後は、図3のSTEP23以降の処理を行う。
【0050】
これによっても、上火バーナ7に点火する際には、下火バーナ8の燃焼排ガスによる煽りを少なくすることができるので、上火バーナ7の点火不良を低減することができる。しかも、上火バーナ7への点火の際に、下火バーナ8の火力レベルを小とすることで元ガス弁23の開閉動作回数を少なくすることができるので、元ガス弁23の耐久性の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0051】
1…グリル装置、3…グリル庫、7…上火バーナ、8…下火バーナ、9…グリルコントローラ(グリルバーナ制御手段)、14…上火バーナ点火電極(点火手段)、16…下火バーナ点火電極(点火手段)、17…グリルイグナイタ(点火手段)、18…上火バーナ熱電対(着火検出手段)、19…下火バーナ熱電対(着火検出手段)。
図1
図2
図3