IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星電子株式会社の特許一覧

特許7190844レファレンスセルを含む抵抗性メモリ装置及びそれの動作方法
<>
  • 特許-レファレンスセルを含む抵抗性メモリ装置及びそれの動作方法 図1
  • 特許-レファレンスセルを含む抵抗性メモリ装置及びそれの動作方法 図2
  • 特許-レファレンスセルを含む抵抗性メモリ装置及びそれの動作方法 図3
  • 特許-レファレンスセルを含む抵抗性メモリ装置及びそれの動作方法 図4
  • 特許-レファレンスセルを含む抵抗性メモリ装置及びそれの動作方法 図5
  • 特許-レファレンスセルを含む抵抗性メモリ装置及びそれの動作方法 図6
  • 特許-レファレンスセルを含む抵抗性メモリ装置及びそれの動作方法 図7A
  • 特許-レファレンスセルを含む抵抗性メモリ装置及びそれの動作方法 図7B
  • 特許-レファレンスセルを含む抵抗性メモリ装置及びそれの動作方法 図7C
  • 特許-レファレンスセルを含む抵抗性メモリ装置及びそれの動作方法 図7D
  • 特許-レファレンスセルを含む抵抗性メモリ装置及びそれの動作方法 図8A
  • 特許-レファレンスセルを含む抵抗性メモリ装置及びそれの動作方法 図8B
  • 特許-レファレンスセルを含む抵抗性メモリ装置及びそれの動作方法 図8C
  • 特許-レファレンスセルを含む抵抗性メモリ装置及びそれの動作方法 図9
  • 特許-レファレンスセルを含む抵抗性メモリ装置及びそれの動作方法 図10
  • 特許-レファレンスセルを含む抵抗性メモリ装置及びそれの動作方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】レファレンスセルを含む抵抗性メモリ装置及びそれの動作方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 7/14 20060101AFI20221209BHJP
   G11C 7/04 20060101ALI20221209BHJP
   G11C 11/16 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
G11C7/14
G11C7/04
G11C11/16 230
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018155434
(22)【出願日】2018-08-22
(65)【公開番号】P2019053812
(43)【公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2017-0118844
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0020007
(32)【優先日】2018-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】アルトゥル アントニャン
(72)【発明者】
【氏名】表 錫洙
【審査官】堀田 和義
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0343421(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0062032(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0265820(US,A1)
【文献】特開2017-134625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 7/14
G11C 7/04
G11C 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読出コマンドに応答してメモリセルに保存された値を出力する抵抗性メモリ装置であって、
メモリセル及びレファレンスセルを含むセルアレイと、
前記レファレンスセルと電気的に連結されるように構成されたレファレンス抵抗回路と、
前記レファレンスセルを通過する読出電流にオフセット電流を付け加えるか、引き出すことで、前記レファレンス抵抗回路を通過するレファレンス電流を生成するように構成されたオフセット電流源回路と、
前記メモリセルの抵抗値の変動を補償するように、前記オフセット電流源回路を制御するように構成された制御回路と、を含む抵抗性メモリ装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記抵抗性メモリ装置の温度に基づいて前記オフセット電流の大きさを調節するように、さらに構成されたことを特徴とする請求項1に記載の抵抗性メモリ装置。
【請求項3】
前記オフセット電流源回路は、制御信号に従って前記オフセット電流の大きさを調節するように、さらに構成され、
前記制御回路は、
温度に比例する第1信号を生成するように構成された第1信号生成器と、
温度に反比例する第2信号を生成するように構成された第2信号生成器と、
前記第1信号及び前記第2信号の加重和として前記制御信号を生成する組合わせ回路と、を含み、
前記加重和の加重値は、前記メモリセルの抵抗値の温度変動特性によって決定されることを特徴とする請求項2に記載の抵抗性メモリ装置。
【請求項4】
前記オフセット電流源回路は、制御信号に従って前記オフセット電流の大きさを調節するように、さらに構成され、
前記制御回路は、ルックアップテーブルを含み、前記ルックアップテーブルを参照することで、前記抵抗性メモリ装置の温度に従った温度信号から前記制御信号を生成するように、さらに構成されたことを特徴とする請求項2に記載の抵抗性メモリ装置。
【請求項5】
前記制御回路によってアクセスされ、工程情報を保存するように構成された不揮発性メモリをさらに含み、
前記制御回路は、前記工程情報に基づいて前記オフセット電流の大きさを調節するように、さらに構成されたことを特徴とする請求項1に記載の抵抗性メモリ装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記抵抗性メモリ装置の正の供給電圧の大きさに基づいて前記オフセット電流の大きさを調節するように、さらに構成されたことを特徴とする請求項1に記載の抵抗性メモリ装置。
【請求項7】
読出コマンドに応答してメモリセルに保存された値を出力する抵抗性メモリ装置であって、
第1読出電流が通過するメモリセル及び第2読出電流が通過するレファレンスセルを含むセルアレイと、
前記第1読出電流及び前記第2読出電流を生成する電流源回路と、
前記第2読出電流にオフセット電流を付け加えるか、引き出すことで、レファレンス電流を生成するように構成されたオフセット電流源回路と、
前記レファレンスセルと電気的に連結され、前記レファレンス電流が通過するレファレンス抵抗回路と、
前記メモリセルの抵抗値の変動を補償するように、前記オフセット電流源回路を制御する制御回路と、を含む抵抗性メモリ装置。
【請求項8】
前記第1読出電流及び前記第2読出電流は、近似的に等しいことを特徴とする請求項7に記載の抵抗性メモリ装置。
【請求項9】
読出コマンドに応答してメモリセルに保存された値を出力する抵抗性メモリ装置であって、
第1読出電流が通過するメモリセル及び第2読出電流が通過するレファレンスセルを含むセルアレイと、
前記第2読出電流にオフセット電流を付け加えるか、引き出すことで、レファレンス電流を生成するように構成されたオフセット電流源回路と、
前記レファレンスセルと電気的に連結され、前記レファレンス電流が通過するレファレンス抵抗回路と、
前記メモリセルの抵抗値の変動を補償するように、前記オフセット電流源回路を制御するように構成された制御回路と、を含む抵抗性メモリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術的思想は、抵抗性メモリ装置に係り、詳細には、レファレンスセルを含む抵抗性メモリ装置及び抵抗性メモリ装置の動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗性メモリ装置は、可変抵抗値素子(variable resistance element)を含むメモリセルにデータを保存することができる。抵抗性メモリ装置のメモリセルに保存されたデータを検出するために、例えばメモリセルに読出電流が供給され、読出電流及びメモリセルの可変抵抗値素子による電圧が検出される。
【0003】
特定値が保存されたメモリセルで可変抵抗値素子の抵抗値は、分布を有し、分布は、PVT(Process Voltage Temperature)などに基づいて変わる。かような抵抗値分布の変動は、メモリセルに保存された値の正確な読出を妨害する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の技術的課題は、メモリセルの抵抗値の変動を補償することで、メモリセルに保存された値を正確に読出可能な抵抗性メモリ装置及びメモリ装置の動作方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本開示の技術的思想の一側面によって、読出コマンドに応答して、メモリセルに保存された値を出力する抵抗性メモリ装置は、メモリセル及びレファレンスセルを含むセルアレイ、前記レファレンスセルと電気的に連結されるように構成されたレファレンス抵抗回路、前記レファレンス抵抗回路に提供される読出電流にオフセット電流を付け加えるか、引き出すように構成されたオフセット電流源回路、前記メモリセルの抵抗値の変動を補償するように、前記オフセット電流源回路を制御するように構成された制御回路を含むことができる。
【0006】
また、本開示の技術的思想の一側面によって、読出コマンドに応答してメモリセルに保存された値を出力する抵抗性メモリ装置は 第1読出電流が通過するメモリセル及びレファレンス電流が通過するレファレンスセルを含むセルアレイ、前記第1読出電流及び第2読出電流を生成する電流源回路、前記第2読出電流にオフセット電流を付け加えるか、引き出すことで、前記レファレンス電流を生成するように構成されたオフセット電流源回路、前記メモリセルの抵抗値の変動を補償するように、前記オフセット電流源回路を制御する制御回路を含むことができる。
【0007】
また、本開示の技術的思想の一側面によって、読出コマンドに応答して、メモリセルに保存された値を出力する抵抗性メモリ装置は、第1読出電流が通過するメモリセル及び第2読出電流が通過するレファレンスセルを含むセルアレイ、前記第2読出電流にオフセット電流を付け加えるか、引き出すことで、レファレンス電流を生成するように構成されたオフセット電流源回路、前記レファレンスセルと電気的に連結され、前記レファレンス電流が通過するレファレンス抵抗回路、前記メモリセルの抵抗値の変動を補償するように、前記オフセット電流源回路を制御するように構成された制御回路を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の例示的な実施例によるメモリ装置及びコントローラを示すブロック図である。
図2】本開示の例示的な実施例によって、図1のメモリセルの例示を示す図面である。
図3】本開示の例示的な実施例によって、図2のメモリセルが提供する抵抗値分布を示すグラフである。
図4】本開示の例示的な実施例によって、図1のメモリ装置の例示を示すブロック図である。
図5】本開示の例示的な実施例によって、図1のメモリ装置の例示を示すブロック図である。
図6】本開示の例示的な実施例によって、図1のメモリ装置の例示を示すブロック図である。
図7A】本開示の例示的な実施例による図1の制御回路の例示を示すブロック図である。
図7B】本開示の例示的な実施例による図1の制御回路の例示を示すブロック図である。
図7C】本開示の例示的な実施例による図1の制御回路の例示を示すブロック図である。
図7D】本開示の例示的な実施例による図1の制御回路の例示を示すブロック図である。
図8A】本開示の例示的な実施例による図1のオフセット電流回路の例示を示すブロック図である。
図8B】本開示の例示的な実施例による図1のオフセット電流回路の例示を示すブロック図である。
図8C】本開示の例示的な実施例による図1のオフセット電流回路の例示を示すブロック図である。
図9】本開示の例示的な実施例によるメモリ装置の動作方法を示す順序図である。
図10】本開示の例示的な実施例によるメモリ装置を含むシステム・オン・チップを示すブロック図である。
図11】本開示の例示的な実施例によるメモリ装置を含むメモリシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本開示の例示的な実施例によるメモリ装置100及びコントローラ200を示すブロック図である。図1を参照すれば、メモリ装置100は、コントローラ200と通信する。メモリ装置100は、コントローラ200から、例えば、書込み(write)コマンド、読出(read)コマンドのようなコマンドCMD及びアドレスADDRを受信し、コントローラ200からデータDATA(すなわち、書込みデータ)を受信するか、コントローラ200にデータDATA(すなわち、読出データ)を伝送する。たとえ図1において、コマンドCMD、アドレスADDR、及びデータDATAそれぞれは、分離されて図示されているとしても、一部の実施例において、コマンドCMD、アドレスADDR、及びデータDATAのうち、少なくとも2つ以上が同じチャネルを通じて伝達される。図1に示されたように、メモリ装置100は、セルアレイ110、電流源回路120、レファレンス抵抗回路130、オフセット電流回路140、増幅回路150、及び制御回路160を含む。
【0010】
セルアレイ110は、複数のメモリセルを含む。メモリセルMは、可変抵抗値素子(例えば、図2のMTJ)を含み、可変抵抗値素子は、メモリセルMに保存された値に対応する抵抗値を有する。これにより、メモリ装置100は、抵抗性(resistive)メモリ装置、RRAM(登録商標(Resistive Random Access Memory))(またはReRAM)装置と指称されても良い。例えば、メモリ装置100は、非限定的な例示としてPRAM(Phase Change Random Access Memory)、FRAM(登録商標(Ferroelectric Random Access Memory))のような構造のセルアレイ110を含み、STT-MRAM(Spin-Transfer Torque Magnetic Random Access Memory)、Spin-RAM(Spin Torque Transfer Magnetization Switching RAM)及びSMT-RAM(Spin Momentum Transfer)のようにMRAM(Magnetic Random Access Memory)構造のセルアレイ110を含む。図2に基づいて後述するように、本開示の例示的な実施例は、MRAMを主に参照して説明されるが、本開示の例示的な実施例が、これに限定されないという点に留意せねばならない。
【0011】
セルアレイ110は、メモリセルMに保存された値の判定に使用されるレファレンスセルRを含む。例えば、図1に図示されたように、セルアレイ110は、ワードラインWLiに共通連結された複数のメモリセルM及びレファレンスセルRを含み、これにより、ワードラインWLiに共通連結された複数のメモリセルM及びレファレンスセルRは、活性化されたワードラインWLiによって同時に選択される。たとえ図1では、1つのレファレンスセルRのみ図示されているとしても、一部の実施例において、セルアレイ110は、ワードラインWLiに連結された2以上のレファレンスセルを含むことができる。一部の実施例において、図4図6に基づいて後述するように、レファレンスセルRは、可変抵抗値素子のような抵抗素子を含まない短絡されたセル(shorted cell)であってもよい。
【0012】
電流源回路120は、セルアレイ110に第1読出電流I_RD1及び第2読出電流I_RD2を提供することができる。例えば、電流源回路120は、読出コマンドに応答して、メモリセルMに第1読出電流I_RD1を提供し、レファレンスセルRに第2読出電流I_RD2の少なくとも一部を提供することができる。一部の実施例において、電流源回路120は、同じ大きさの第1読出電流I_RD1及び第2読出電流I_RD2を生成することができる。また、一部の実施例において、電流源回路120は、制御回路160の制御によって、第1読出電流I_RD1及び/または第2読出電流I_RD2の大きさを調節することができる。
【0013】
レファレンス抵抗回路130は、読出コマンドに応答して、レファレンスセルRと電気的に連結され、レファレンス電流I_REFが通過する抵抗を提供することができる。後述されるように、レファレンス電流I_REFは、電流源回路120が生成する第2読出電流I_RD2からオフセット電流I_OFFが付け加えられるか、引き出された電流であってもよい。例えば、図1に図示されたように、レファレンス抵抗回路130は、レファレンス電流I_REFが供給される第1ノードN1及びレファレンス電流I_REFが出力される第2ノードN2の間のレファレンス抵抗値RREFを有する抵抗を提供することができる。また、一部の実施例において、レファレンス抵抗回路130は、制御回路160の制御によってレファレンス抵抗値RREFを調節することができる。レファレンス抵抗回路130の抵抗は、セルアレイ110内部で形成される抵抗(例えば、図2のMTJ)と互いに異なる特性を有し、例えば、セルアレイ110内部で形成される抵抗よりも良好な特性、例えば、PVT変動にさらに鈍感な特性を有することができる。
【0014】
オフセット電流回路140は、第2読出電流I_RD2にオフセット電流I_OFFを付け加えるか、引き出すことで、レファレンス電流I_REFを生成することができる。オフセット電流回路140は、オフセット電流I_OFFを生成する少なくとも1つの電流源を含み、制御回路160から提供される制御信号CTRLによってオフセット電流I_OFFの大きさが調節される。後述されるように、オフセット電流I_OFFは、メモリセルMに含まれる可変抵抗値素子の変動に対応する大きさ及び方向を有する。一部の実施例において、図4に基づいて後述するように、第2読出電流I_RD2がレファレンスセルRを通過してもよく、一部の実施例において、図5及び図6に基づいて後述するように、レファレンス電流I_REFがレファレンスセルRを通過してもよい。
【0015】
増幅回路150は、読出電圧V_RD及びレファレンス電圧V_REFを受信し、読出電圧V_RD及びレファレンス電圧V_REFに基づいてメモリセルMに保存された値を判定する。例えば、増幅回路150は、読出電圧V_RD及びレファレンス電圧V_REFを比較することにより、メモリセルMに保存された値に対応する信号を出力する。読出電圧V_RDは、電流源回路120が提供する第1読出電流I_RD1がメモリセルMを通過することで発生した電圧降下(voltage drop)を含む。また、読出電圧V_RDは、メモリセルMによる電圧降下のみならず、第1読出電流I_RD1が通過する経路における寄生抵抗(例えば、図4のカラムデコーダ170a、ソースラインSLj、ビットラインBLj)によって発生する電圧降下をさらに含んでもよい。
【0016】
読出電圧V_RDと同様に、レファレンス電圧V_REFは、電流源回路120が提供する第2読出電流I_RD2または、レファレンス電流I_REFがレファレンスセルRのみならず、電流が通過する経路の寄生抵抗(例えば、図4のカラムデコーダ170a、短絡ソースラインSSL、短絡ビットラインSBL)によって発生する電圧降下を含んでもよい。また、レファレンス電圧V_REFは、レファレンス抵抗回路130で提供するレファレンス抵抗値RREFによって発生する電圧降下をさらに含んでもよい。これにより、レファレンス電流I_REF及びレファレンス抵抗回路130のレファレンス抵抗値RREFを制御することで、レファレンス電圧V_REFが調節され、メモリセルMに保存された値を判定する基準が調節される。
【0017】
制御回路160は、制御信号CTRLを通じてオフセット電流回路140を制御することができる。一部の実施例において、制御回路160はPVT変動などに基づいてメモリセルMに含まれた可変抵抗値素子が有する抵抗値変動を補償するために、制御信号CTRLを生成してもよい。例えば、メモリセルMに含まれた可変抵抗値素子が温度に比例する抵抗値を有する場合、すなわち、正の温度係数(positive temperature coefficient)を有する場合、制御回路160は、温度上昇に従って、レファレンス抵抗回路130に供給されるレファレンス電流I_REFが増加するように、制御信号CTRLを通じて、第2読出電流I_RD2から引き出されるオフセット電流I_OFFの大きさを減少させるか、第2読出電流I_RD2に付加するオフセット電流I_OFFの大きさを増加させる。他方、メモリセルMに含まれた可変抵抗値素子が温度に反比例する抵抗値を有する場合、すなわち、負の温度係数(negative temperature coefficient)を有する場合、制御回路160は、温度上昇に従って、レファレンス抵抗回路130に供給されるレファレンス電流I_REFが減少するように、制御信号CTRLを通じて第2読出電流I_RD2から引き出されるオフセット電流I_OFFの大きさを増加させるか、第2読出電流I_RD2に付加するオフセット電流I_OFFの大きさを減少させる。
【0018】
一部の実施例において、制御回路160は、コントローラ200からオフセット電流I_OFFに係わる情報を受信する。例えば、コントローラ200は、メモリ装置100の工程変動を補償するために、メモリ装置100の読出動作に使用されるオフセット電流I_OFFの大きさを推定し、推定されたオフセット電流I_OFFに係わる情報をメモリ装置100に提供する。オフセット電流I_OFFに係わる情報は、メモリ装置100に含まれた不揮発性メモリ素子(例えば、図7BのNVM)に保存され、制御回路160は不揮発性メモリ素子に保存されたオフセット電流I_OFFに係わる情報によって制御信号CTRLを生成することができる。
【0019】
PVT変動などに基づいてメモリセルMに含まれた可変抵抗値素子が有する抵抗値変動を補償するために、レファレンス抵抗回路130のレファレンス抵抗値RREFが調節される場合、調節可能な有限な抵抗値によって抵抗値の量子化が発生し、これにより、補償の正確度が減少する。また、調節可能な多数のレファレンス抵抗値を提供するために、レファレンス抵抗回路130は、多数の抵抗及びスイッチ素子を含み、これにより、レファレンス抵抗回路130による空間及び電力消費が増加する。他方、オフセット電流回路140のオフセット電流I_OFFを通じてメモリセルMに含まれた可変抵抗値素子が有する抵抗値変動を補償する場合、後述されるように単純な構造としてオフセット電流I_OFFの連続した特性に基づいて高い正確度の補償が可能である。
【0020】
図2は、本開示の例示的な実施例によって、図1のメモリセルMの例示を示す図面であり、図3は、本開示の例示的な実施例によって、図2のメモリセルMが提供する抵抗値分布を示すグラフである。具体的に、図2は、可変抵抗値素子としてMTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子を含むメモリセルM’を示し、図3は、図2の可変抵抗値素子MTJの抵抗値分布を示す。
【0021】
図2に図示されたように、メモリセルM’は、ビットラインBLj及びソースラインSLjの間で直列接続された可変抵抗値素子MTJ及びセルトランジスタCTを含む。一部の実施例において、図2に図示されたように、ビットラインBLj及びソースラインSLjの間で可変抵抗値素子MTJ及びセルトランジスタCTの順に連結されもし、一部の実施例において、図3の図示とは異なって、ビットラインBLj及びソースラインSLjの間でセルトランジスタCT及び可変抵抗値素子MTJの順に連結されもする。
【0022】
可変抵抗値素子MTJは、自由層(free layer)FL及び固定層(pinned layer)PLを含み、自由層FLと固定層PLとの間に障壁層(barrier layer)BLを含む。図2で矢印で表示されたように、固定層PLの磁化方向は固定され、一方、自由層FLは、固定層PLの磁化方向と同一であるか、逆の磁化方向を有することができる。固定層PL及び自由層FLが同じ方向の磁化方向を有する場合、可変抵抗値素子MTJは、平行(parallel)状態Pにあると指称され、一方、固定層PL及び自由層FLが互いに逆方向の磁化方向を有する場合、可変抵抗値素子MTJは、反平行(anti-parallel)状態APにあると指称される。一部の実施例において、可変抵抗値素子MTJは、固定層PLが固定された磁化方向を有するように、反強磁性層(anti-ferromagnetic layer)をさらに含んでもよい。
【0023】
可変抵抗値素子MTJは、平行状態Pで相対的に低い抵抗値Rを有し、一方、反平行状態APで相対的に高い抵抗値RAPを有する。本明細書において、平行状態Pの可変抵抗値素子MTJが低い抵抗値Rを有する場合、メモリセルM’は「0」を保存し、反平行状態APの可変抵抗値素子MTJが高い抵抗値RAPを有する場合、メモリセルM’は「1」を保存すると仮定される。また、本明細書において、「0」に対応する抵抗値Rは、平行抵抗値Rとして指称され、「1」に対応する抵抗値RAPは、反平行抵抗値RAPとして指称される。
【0024】
セルトランジスタCTは、ワードラインWLiに連結されたゲート、ソースラインSLj及び可変抵抗値素子MTJに連結されたソース及びドレインを有する。セルトランジスタCTは、ワードラインWLiに印加された信号によって可変抵抗値素子MTJ及びソースラインSLjを電気的に連結するか、遮断する。例えば、書込動作において、メモリセルM’に「0」を書込むために、セルトランジスタCTは、ターンオンされ、ビットラインBLjからソースラインSLjに向う電流が可変抵抗値素子MTJ及びセルトランジスタCTを通過する。また、メモリセルM’に「1」を書込むために、セルトランジスタCTは、ターンオンされ、ソースラインSLjからビットラインBLjに向う電流がセルトランジスタCT及び可変抵抗値素子MTJを通過する。読出動作において、セルトランジスタCTは、ターンオンされ、ビットラインBLjからソースラインSLjに向う電流、または、ソースラインSLjからビットラインBLjに向う電流、すなわち、第1読出電流I_RD1がセルトランジスタCT及び可変抵抗値素子MTJを通過する。本明細書において、第1読出電流I_RD1は、ソースラインSLjからビットラインBLjに向けて流れると仮定される。
【0025】
図3を参照すれば、可変抵抗値素子MTJの抵抗値は、分布を有する。例えば、図3に図示されたように、「0」を保存するメモリセルにおいて平均R’を有する平行抵抗値Rの分布が存在し、「1」を保存するメモリセルで平均(RAP’またはRAP”)を有する反平行抵抗値RAPの分布が存在する。また、平行抵抗値Rの分布及び反平行抵抗値RAPの分布の間で平均RREF’を有するレファレンス抵抗値RREFの分布が存在する。図3に図示されたように、レファレンス抵抗回路130の特性に基づいて、レファレンス抵抗値RREFは、可変抵抗値素子MTJの抵抗値R、RAPより相対的に良好な分布、すなわち、さらに低い分散を有する分布を有する。また、一部の実施例において、図3に図示されたように、反平行抵抗値RAPは、平行抵抗値Rよりも劣化された分布、すなわち、さらに高い分散を有する分布を有する。
【0026】
図3の例示において、可変抵抗値素子MTJの反平行抵抗値RAPは、可変抵抗値素子MTJの温度が上昇するほど減少する。また、かような抵抗値の変動は、平行抵抗値Rより反平行抵抗値RAPでさらに顕著に示される。例えば、図3において矢印で表示されたように、低温での反平行抵抗値RAPの分布は、高温での反平行抵抗値RAPの分布に向けて温度上昇によって左側に移動し、反平行抵抗値RAPの分布の平均は、RAP’からRAP”に移動する。これにより、高温でレファレンス抵抗値RREFを使用して反平行抵抗値RAPを検出するためのセンシングマージンは減少し、例えば、図3で点線で図示されたように、レファレンス抵抗値RREFの分布及び反平行抵抗値RAPの分布が重畳される部分が発生することがある。
【0027】
高温でも、メモリセルM’に保存された「1」を正確に読出すために、高温でレファレンス抵抗値RREFの分布が左側に移動する。図1を参照して前述されたように、高温でレファレンス抵抗値RREFの分布を左側に移動させるために、レファレンス抵抗回路130のレファレンス抵抗値RREFが減少する代わりに、高温でオフセット電流I_OFFによってレファレンス電流I_REFの大きさが減少する。すなわち、メモリセルM’に保存された値の判定は、読出電圧V_RD及びレファレンス電圧V_REFに基づくので、レファレンス電流I_REFの減少によるレファレンス電圧V_REFの減少は、図3のレファレンス抵抗値RREFの分布が左側に移動すると同じ効果を誘発する。たとえ図3は、温度による可変抵抗値素子MTJの抵抗値の変動を例示しているとしても、可変抵抗値素子MTJの抵抗値の変動を誘発する他の要素、例えば、工程、供給電圧なども、温度と同様にレファレンス電流I_REFの調節を通じて補償される。
【0028】
以下、図4図6を参照して、読出動作で図1のメモリ装置100の例示が説明される。図4図6の例示で、オフセット電流I_OFFは、正の値または負の値を有する。すなわち、レファレンス電流I_REFは、下記数式(1)のように、第2読出電流I_RD2及びオフセット電流I_OFFの和と同一である。
【0029】
【数1】
これにより、正のオフセット電流I_OFFは、第2読出電流I_RD2にオフセット電流I_OFFの大きさに対応する電流が付け加えられることで、レファレンス電流I_REFが生成されること(すなわち、I_REF>I_RD2)を意味し、一方、負のオフセット電流I_OFFは、第2読出電流I_RD2にオフセット電流I_OFFの大きさに対応する電流が引き出されることで、レファレンス電流I_REFが生成されること(すなわち、I_REF<I_RD2)を意味する。また、制御信号CTRLによって、オフセット電流I_OFFの大きさが零(zero)であることもある。
【0030】
図4は、本開示の例示的な実施例によって、図1のメモリ装置100の例示を示すブロック図である。具体的に、図4は、レファレンスセルR及びレファレンス抵抗回路130aの間に配置されたオフセット電流回路140aを含むメモリ装置100aを図示する。図4に図示されたように、メモリ装置100aは、セルアレイ110a、電流源回路120a、レファレンス抵抗回路130a、オフセット電流回路140a、増幅回路150a及びカラムデコーダ170aを含む。
【0031】
セルアレイ110aは、ワードラインWLiに共通連結されたメモリセルM及びレファレンスセルRを含む。メモリセルMは、ビットラインBLj及びソースラインSLjにそれぞれ連結され、レファレンスセルRは、短絡ビットラインSBL及び短絡ソースラインSSLにそれぞれ連結され得る。ビットラインBLj、ソースラインSLj、短絡ビットラインSBL及び短絡ソースラインSSLは、カラムデコーダ170aに延長され得る。メモリセルMは、ビットラインBLj及びソースラインSLjの間で直列接続された可変抵抗値素子MTJ及びセルトランジスタCTを含み、一方、レファレンスセルRは、短絡ビットラインSBL及び短絡ソースラインSSLに連結されたセルトランジスタCTを含む。これにより、レファレンスセルRのセルトランジスタCTによって短絡ビットラインSBL及び短絡ソースラインSSLは電気的に短絡されるか、開放され、かように抵抗素子のないレファレンスセルRは、短絡されたセル(shorted cell)と指称される。
【0032】
メモリセルMに連結されたビットラインBLj及びソースラインSLjなどによる電圧降下を補償するために、図4に図示されたように、短絡ビットラインSBL及び短絡ソースラインSSLに連結されたレファレンスセルRが、セルアレイ110aに配置され得る。図4に図示されたように、レファレンスセルRは、短絡されたセルであって、これにより、メモリセルMの可変抵抗値素子MTJによる電圧降下は、セルアレイ110aの外部に配置されるレファレンス抵抗回路130aによる電圧降下と比較され得る。セルアレイ110の空間構造的制約から外れることにより、セルアレイ110aの外部に配置されるレファレンス抵抗回路130aは、PVTなどに鈍感なレファレンス抵抗値RREFを提供し、これにより、レファレンス電圧V_REFは、レファレンス電流I_REFによって正確に調節される。
【0033】
カラムデコーダ170aは、カラムアドレスCOLによってビットラインBLj、ソースラインSLj、短絡ビットラインSBL、及び短絡ソースラインSSLをルーティングすることができる。カラムアドレスCOLは、図1のコントローラ200から受信されたアドレスADDRから生成され、カラムデコーダ170aは、セルアレイ110aで活性化されたワードラインWLiによって選択されたメモリセル及びレファレンスセルのうち、少なくとも一部をカラムアドレスCOLによって選択することができる。例えば、図4に図示されたように、カラムデコーダ170aは、メモリセルMのビットラインBLjを負の供給電圧VSSに連結し、ソースラインSLjを電流源回路120aに連結することができる。また、カラムデコーダ170aは、レファレンスセルRの短絡ビットラインSBLをレファレンス抵抗回路130aとオフセット電流回路140aとが連結されたノードに連結し、短絡ソースラインSSLを電流源回路120aに連結することができる。これにより、第1読出電流I_RD1は、ソースラインSLj、メモリセルM及びビットラインBLjを通過して負の供給電圧VSSに流れ、第2読出電流I_RD2は、短絡ソースラインSSL、レファレンスセルR、及び短絡ビットラインSBLを通過し、第2読出電流I_RD2及びオフセット電流I_OFFの和であるレファレンス電流I_REFが、レファレンス抵抗回路130aを通過して負の供給電圧VSSに流れる。
【0034】
増幅回路150aは、電流源回路120aから第1読出電流I_RD1及び第2読出電流I_RD2が出力されるノードにそれぞれ連結され、ノードの電圧、すなわち読出電圧V_RD及びレファレンス電圧V_REFによって出力信号Qを生成する。読出電圧V_RDは、メモリセルMの可変抵抗値素子MTJの抵抗値及び第1読出電流I_RD1によって決定され、一方、レファレンス電圧V_REFは、レファレンス抵抗値RREF及びレファレンス電流I_REFによって決定される。増幅回路150aは、読出電圧V_RDがレファレンス電圧V_REFより高い場合「1」に対応する出力信号Qを生成し、一方、読出電圧V_RDがレファレンス電圧V_REFより低い場合「0」に対応する出力信号Qを生成する。
【0035】
オフセット電流回路140aは、ソース電流I_SCを提供する第1電流源141a及びシンク電流I_SKを提供する第2電流源142aを含む。これにより、オフセット電流I_OFFは、下記数式(2)のように、ソース電流I_SC及びシンク電流I_SKの差と同一である。
【0036】
【数2】
第1電流源141a及び/または第2電流源142aは、制御信号CTRLによってソース電流I_SC及び/またはシンク電流I_SKを調節し、これにより、オフセット電流I_OFFが調節される。一部の実施例において、オフセット電流回路140aは、図8B及び図8Cに基づいて後述するように、第1電流源141a及び第2電流源142aのうち、1つのみ含むこともできる。
【0037】
図5は、本開示の例示的な実施例によって、図1のメモリ装置100の例示を示すブロック図である。具体的に、図5は、電流源回路120b及びレファレンスセルRの間に配置されたオフセット電流回路140bを含むメモリ装置100bを図示する。図5に図示されたように、メモリ装置100bは、セルアレイ110b、電流源回路120b、レファレンス抵抗回路130b、オフセット電流回路140b、増幅回路150b及びカラムデコーダ170bを含む。以下、図5に係わる説明のうち、図4に係わる説明と重複される内容は略す。
【0038】
オフセット電流回路140bが電流源回路120b及びレファレンスセルRの間に配置されることにより、第2読出電流I_RD2にオフセット電流I_OFFが反映されたレファレンス電流I_REFが短絡ソースラインSSL、レファレンスセルR、短絡ビットラインSBL、及びレファレンス抵抗回路130bを通過して負の供給電圧VSSに流れる。オフセット電流回路140bは、ソース電流I_SCを提供する第1電流源141b及びシンク電流I_SKを提供する第2電流源142bを含み、オフセット電流I_OFFは、数式2のように決定される。第1電流源141b及び/または第2電流源142bは、制御信号CTRLによってソース電流I_SC及び/またはシンク電流I_SKを調節し、これにより、オフセット電流I_OFFが調節され得る。一部の実施例において、オフセット電流回路140bは、図5の図示とは異なって、第1電流源141b及び第2電流源142bのうち、1つのみ含んでもよい。
【0039】
図6は、本開示の例示的な実施例によって、図1のメモリ装置100の例示を示すブロック図である。具体的に、図6は、電流源回路120c及びレファレンス抵抗回路130cの間に配置されたオフセット電流回路140cを含むメモリ装置100cを図示する。図5のメモリ装置100bと比較するとき、レファレンス抵抗回路130cがレファレンスセルR及び負の供給電圧VSSの間に配置される代わりに、電流源回路120c及びレファレンスセルRの間に配置されても良い。図6に図示されたように、メモリ装置100cは、セルアレイ110c、電流源回路120c、レファレンス抵抗回路130c、オフセット電流回路140c、増幅回路150c及びカラムデコーダ170cを含む。以下、図6に係わる説明のうち、図4及び図5に係わる説明と重複される内容は略す。
【0040】
オフセット電流回路140cが電流源回路120c及びレファレンス抵抗回路130cの間に配置されることにより、第2読出電流I_RD2にオフセット電流I_OFFが反映されたレファレンス電流I_REFがレファレンス抵抗回路130c、短絡ソースラインSSL、レファレンスセルR、及び短絡ビットラインSBLを通過して負の供給電圧VSSに流れる。オフセット電流回路140cは、ソース電流I_SCを提供する第1電流源141c及びシンク電流I_SKを提供する第2電流源142cを含み、オフセット電流I_OFFは、数式2のように決定される。第1電流源141c及び/または、第2電流源142cは、制御信号CTRLによってソース電流I_SC及び/またはシンク電流I_SKを調節し、これにより、オフセット電流I_OFFが調節され得る。一部の実施例において、オフセット電流回路140cは、図6の図示とは異なって、第1電流源141c及び第2電流源142cのうち、1つのみ含んでもよい。
【0041】
図7A図7Dは、本開示の例示的な実施例による図1の制御回路160の例示を示すブロック図である。図1を参照して前述されたように、図7A図7Dの制御回路160a、160b、160c、160dは、制御信号CTRLを生成し、制御信号CTRLを通じて、図1のオフセット電流回路140が生成するオフセット電流I_OFFを制御する。以下、図7A図7Dは、図1を参照して説明される。
【0042】
図7Aを参照すれば、制御回路160aは、第1信号生成器161a、第2信号生成器162a及び組合わせ回路163aを含み、PVT変動によって大きさ(例えば、電圧、電流など)が変わる信号に基づいて制御信号CTRLを生成することができる。一部の実施例において、第1信号生成器161aは、温度に比例する大きさを有する第1信号SIG1を生成し、一方、第2信号生成器162aは、温度に反比例する大きさを有する第2信号SIG2を生成することができる。一部の実施例において、第1信号生成器161aは、供給電圧、例えば、正の供給電圧VDDに比例する大きさを有する第1信号SIG1を生成し、一方、第2信号生成器162aは、正の供給電圧VDDに反比例する大きさを有する第2信号SIG2を生成することができる。組合わせ回路163aは、第1加重値w1及び第2加重値w2によって第1信号SIG1及び第2信号SIG2の加重和として制御信号CTRLを生成することができる。組合わせ回路163aの第1加重値w1及び第2加重値w2は、メモリセルMの抵抗値の変動特性によって決定される。
【0043】
図7Bを参照すれば、制御回路160bは、不揮発性メモリ素子161bを含み、工程情報P_INFOを受信することができる。例えば、図1のメモリ装置100が製造された工程から工程情報P_INFOが生成され、工程情報P_INFOがメモリ装置100の製造過程で提供されても良い。制御回路160bは、工程情報P_INFOを不揮発性メモリ素子161bに保存し、メモリ装置100の読出動作で不揮発性メモリ素子161bに保存された工程情報P_INFOに基づいて制御信号CTRLを生成することができる。一部の実施例において、工程情報P_INFOは、オフセット電流I_OFFに係わる情報を含み、制御回路160bは、オフセット電流I_OFFに係わる情報に基づいて制御信号CTRLを生成することができる。
【0044】
図7Cを参照すれば、制御回路160cは、ルックアップテーブル161cを含み、感知信号SENを受信することができる。感知信号SENは、メモリ装置100の動作環境を感知することで生成された信号であって、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。例えば、メモリ装置100に含まれた温度センサーがメモリ装置100の温度を感知することで感知信号SENを生成してもよく、メモリ装置100に含まれた電圧センサーがメモリ装置100に提供される供給電圧を感知することで感知信号SENを生成してもよい。ルックアップテーブル161cは、感知信号SEN及び制御信号CTRLのマッピング情報を含み、これにより、制御回路160cは、ルックアップテーブル161cを参照することで受信された感知信号SENに対応する制御信号CTRLを生成することができる。
【0045】
図7Dを参照すれば、制御回路160dは、信号処理回路161dを含み、感知信号SENを受信する。図7Cを参照して前述されたように、感知信号SENは、メモリ装置100の動作環境を感知することで生成された信号である。一部の実施例において、感知信号SENはアナログ信号であり、信号処理回路161dは、感知信号SENを増幅、減衰のように処理することで制御信号CTRLを生成する。一部の実施例において、感知信号SENはデジタル信号であり、信号処理回路161dは、感知信号SENを演算、変換のように処理することで制御信号CTRLを生成してもよい。
【0046】
図8A図8B、及び図8Cは、本開示の例示的な実施例による図1のオフセット電流回路140の例示を示すブロック図である。図1を参照して前述されたように、図8A図8B、及び図8Cのオフセット電流回路140d、140e、140fは、制御信号CTRLによって大きさが調節されるオフセット電流I_OFFを生成する。以下、図8A図8B、及び図8Cは、図1を参照して説明される。
【0047】
図8Aを参照すれば、一部の実施例において、オフセット電流回路140dは、2個の電流源を含む。例えば、図8Aに図示されたように、オフセット電流回路140dは、ソース電流I_SCを生成するPMOSトランジスタPT及びシンク電流I_SKを生成するNMOSトランジスタNTを含んでもよい。PMOSトランジスタPTは、制御回路160eから第1制御信号CTRL1を受信するゲート、正の供給電圧VDDに連結されたソース及びNMOSトランジスタNTと連結されたドレインを有する。また、NMOSトランジスタNTは、制御回路160eから第2制御信号CTRL2を受信するゲート、負の供給電圧VSSに連結されたソース及びPMOSトランジスタPTと連結されたドレインを有する。PMOSトランジスタPTのドレイン及びNMOSトランジスタNTのドレインが連結されたノードを通じてオフセット電流I_OFFが出力され、これにより、図8Aに図示されたように、オフセット電流I_OFFは、ソース電流I_SCとシンク電流I_SKとの差と一致する。制御回路160eは、第1制御信号CTRL1及び第2制御信号CTRL2を通じて、正のオフセット電流I_OFF、すなわち、第2読出電流I_RD2よりも大きなレファレンス電流I_REFを生成し、一方、負のオフセット電流I_OFF、すなわち、第2読出電流I_RD2よりも小さなレファレンス電流I_REFを生成してもよい。
【0048】
図8Bを参照すれば、一部の実施例において、オフセット電流回路140eは、1つの電流源を含む。例えば、図8Bに図示されたように、オフセット電流回路140eは、ソース電流I_SCを生成するPMOSトランジスタPTを含む。PMOSトランジスタPTは、制御回路160fから制御信号CTRLを受信するゲート、正の供給電圧VDDに連結されたソース及びオフセット電流I_OFFを出力するドレインを有する。これにより、オフセット電流I_OFFは、ソース電流I_SCと一致する。一部の実施例において、メモリセルMに含まれた可変抵抗値素子が正の温度係数を有し、レファレンス抵抗値RREFが低い温度(例えば、常温)での可変抵抗値素子の抵抗値の判定に適した大きさを有するように設定された場合、制御回路160fは、温度上昇によって制御信号CTRLの電圧を減少させることで、オフセット電流I_OFFの大きさを増加させる。これにより、高温でレファレンス電流I_REFの大きさが増加し、結果としてレファレンス電圧V_REFが増加する。
【0049】
図8Cを参照すれば、一部の実施例において、オフセット電流回路140fは、1つの電流源を含む。例えば、図8Cに図示されたように、オフセット電流回路140fは、シンク電流I_SKを生成するNMOSトランジスタNTを含む。NMOSトランジスタNTは、制御回路160gから制御信号CTRLを受信するゲート、負の供給電圧VSSに連結されたソース及びオフセット電流I_OFFを出力するドレインを有する。これにより、オフセット電流I_OFFは、シンク電流I_SKと大きさが一致し、シンク電流I_SKとは逆方向を有してもよい。一部の実施例において、メモリセルMに含まれた可変抵抗値素子が負の温度係数を有し、レファレンス抵抗値RREFが低い温度(例えば、常温)において可変抵抗値素子の抵抗値の判定に適した大きさを有するように設定された場合、制御回路160gは、温度上昇によって制御信号CTRLの電圧を増加させることで、オフセット電流I_OFFの大きさを増加させる。これにより、高温でレファレンス電流I_REFの大きさが減少し、結果として、レファレンス電圧V_REFが減少する。
【0050】
図9は、本開示の例示的な実施例によるメモリ装置の動作方法を示す順序図である。具体的に、図9は、読出コマンドに応答したメモリ装置の読出動作の例示を示す。一部の実施例において、図9の方法は、図1のメモリ装置100によって行われ、以下、図9は、図1を参照して説明される。
【0051】
段階S200において、第1読出電流I_RD1及び第2読出電流I_RD2を生成する動作が行われる。例えば、メモリ装置100の電流源回路120は、読出コマンドに応答して、第1読出電流I_RD1及び第2読出電流I_RD2を生成することができる。第1読出電流I_RD1は、セルアレイ110のメモリセルMに提供され、第2読出電流I_RD2の少なくとも一部は、セルアレイ110のレファレンスセルRに提供され得る。一部の実施例において、第1読出電流I_RD1及び第2読出電流I_RD2は、実質的に同じ大きさを有してもよい。
【0052】
段階S400において、メモリセルMの抵抗値変動に従ってオフセット電流I_OFFを生成する動作が行われる。例えば、メモリ装置100の制御回路160は、メモリ装置100が製造された工程、メモリ装置100が動作する環境(例えば、供給電圧、温度)などに基づいてメモリセルMの抵抗値変動を補償するように制御信号CTRLを生成し、オフセット電流回路140は、制御信号CTRLに従ってオフセット電流I_OFFを生成する。オフセット電流I_OFFによって、第2読出電流I_RD2が増加するか、減少したレファレンス電流I_REFが生成される。
【0053】
段階S600において、読出電圧V_RD及びレファレンス電圧V_REFを生成する動作が行われる。例えば、第1読出電流I_RD1がメモリセルMを通過することで読出電圧V_RDが生成され得る。また、一部の実施例において、第2読出電流I_RD2がレファレンスセルRを通過し、レファレンス電流がレファレンス抵抗回路130を通過することで、レファレンス電圧V_REFが生成され得る。一部の実施例において、レファレンス電流I_REFがレファレンスセルR及びレファレンス抵抗回路130を通過することで、レファレンス電圧V_REFが生成されても良い。
【0054】
段階S800において、メモリセルMに保存された値を判定する動作が行われる。例えば、増幅回路150は、読出電圧V_RD及びレファレンス電圧V_REFを受信し、読出電圧V_RD及びレファレンス電圧V_REFを比較することにより、メモリセルMに保存された値に対応する出力を生成することができる。オフセット電流I_OFFによって、メモリセルMの抵抗値変動がレファレンス電圧V_REFに反映されることで、メモリセルMに保存された値は、正確に読出される。
【0055】
図10は、本開示の例示的な実施例によるメモリ装置を含むシステム・オン・チップ300を示すブロック図である。システム・オン・チップ(System on Chip; SoC)300は、コンピューティングシステムや他の電子システムの部品を集積した集積回路を指称する。例えば、システム・オン・チップ300のうち、1つとしてアプリケーションプロセッサ(application Processor;AP)は、プロセッサ及び他の機能のための部品を含んでもよい。図10に図示されたように、システム・オン・チップ300は、コア310、DSP(Digital Signal Processor)320、GPU(Graphic Processing Unit)330、内蔵メモリ340、通信インターフェース350、及びメモリインターフェース360を含む。システム・オン・チップ300の構成要素は、バス370を通じて互いに通信可能で有る。
【0056】
コア310は、命令語を処理し、システム・オン・チップ300に含まれた構成要素の動作を制御する。例えば、コア310は一連の命令語を処理することで、オペレーティングシステムを駆動し、オペレーティングシステム上でアプリケーションを実行することができる。DSP320は、デジタル信号、例えば、通信インターフェース350から提供されるデジタル信号を処理することで、有用なデータを生成することができる。GPU330は内蔵メモリ340またはメモリインターフェース360から提供されるイメージデータからディスプレイ装置を通じて出力される映像のためのデータを生成することもでき、イメージデータをエンコーディングすることもできる。
【0057】
内蔵メモリ340は、コア310、DSP320、及びGPU330の動作に必要なデータを保存することができる。内蔵メモリ340は、本開示の例示的な実施例による抵抗性メモリ装置を含み、これにより、内蔵メモリ340は、可変抵抗値素子の変動を補償することで、高い動作信頼度を有することができる。
【0058】
通信インターフェース350は、通信ネットワークまたは一対一通信のためのインターフェースを提供する。メモリインターフェース360は、システム・オン・チップ300の外部メモリ、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリなどに係わるインターフェースを提供することができる。
【0059】
図11は、本開示の例示的な実施例によるメモリ装置を含むメモリシステム400を示すブロック図である。図11に図示されたように、メモリシステム400は、ホスト500と通信し、コントローラ410及びメモリ装置420を含む。
【0060】
メモリシステム400及びホスト500が通信するインターフェース600は、電気信号及び/または光信号を使用し、非限定的な例示として、SATA(serial advanced Technology attachment)インターフェース、SATAe(SATA express)インターフェース、SAS(serial attached Small computer System interface; Serial attached SCSI)、PCIe(peripheral component interconnect express)インターフェース、NVMe(non-volatile Memory Express)インターフェース、AHCI(advanced host controller interface)またはこれらの組合わせによって具現されても良い。
【0061】
一部の実施例において、メモリシステム400は、ホスト500と取り外し可能に(removable)組み合わせられることで、ホスト500と通信することができる。抵抗性メモリとしてメモリ装置420は、不揮発性メモリであり、メモリシステム400は、ストレージシステムとして指称されても良い。例えば、メモリシステム400は、非限定的な例示としてSSD(solid-state drive or Solid-state disk)、エンベデッドSSD(embedded SSD;eSSD)、マルチメディアカード(multimedia card;MMC)、エンベデッドマルチメディアカード(embedded Multimedia card;eMMC)などとしても具現される。
【0062】
コントローラ410は、インターフェース600を通じてホスト500から受信された要請に応答して、メモリ装置420を制御することができる。例えば、コントローラ410は、書込み要請に応答して、書込み要請に伴われて受信されたデータをメモリ装置420に書込んでもよく、読出要請に応答してメモリ装置420に保存されたデータをホスト500に提供してもよい。
【0063】
メモリシステム400は、少なくとも1つのメモリ装置420を含み、メモリ装置420は、レファレンスセル及び可変抵抗値素子を有するメモリセルを含む。本開示の例示的な実施例を参照して前述されたように、メモリ装置420の製造工程による変動、メモリ装置420、またはメモリシステム400の動作環境に起因するメモリセルの抵抗値変動は、レファレンスセルに連結されたレファレンス抵抗に流れるレファレンス電流を調節することで、単純かつ正確に補償され得る。これにより、メモリ装置420は、コントローラ410の読出コマンドに応答して、メモリセルに保存された値を正確にコントローラ410に提供し、結果としてメモリシステム400の動作信頼度を向上させることができる。
【0064】
前述したように図面及び明細書において、例示的な実施例が開示された。本明細書において特定の用語を使用して実施例が説明されているが、これは、単に本開示の技術的思想を説明するための目的で使用されたものであって、意味限定や特許請求の範囲に記載の本開示の範囲を限定するために使用されたものではない。したがって、本技術分野の通常の知識を有する者であれば、それらから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本開示の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
【符号の説明】
【0065】
100 メモリ装置
110 セルアレイ
120 電流源回路
130 レファレンス抵抗回路
140 オフセット電流回路
150 増幅回路
160 制御回路
200 コントローラ
CMD コマンド
ADDR アドレス
DATA データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11