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特許7190845ロープロファイル型の電動静油圧アクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】ロープロファイル型の電動静油圧アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/18 20060101AFI20221209BHJP
   F15B 15/14 20060101ALI20221209BHJP
   B64C 13/40 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
F15B15/18
F15B15/14 380A
B64C13/40
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018157895
(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公開番号】P2019074203
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】15/689,862
(32)【優先日】2017-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ブランディング, デーヴィット イー.
(72)【発明者】
【氏名】コフマン, ジェフリー シー.
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0022672(US,A1)
【文献】米国特許第05109672(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0077183(US,A1)
【文献】特開2009-264525(JP,A)
【文献】特開2015-001297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/18
F15B 15/14
B64C 13/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動静油圧アクチュエータ(100)であって、
ピストンヘッド(26)及び前記ピストンヘッドから延びるピストンロッド(22)を有する、ピストンアセンブリ(20)と、
油圧シリンダ(30、210)であって、前記ピストンアセンブリが内部に可動式に位置しており、前記油圧シリンダが、ピストン側チャンバ(32)及びロッド側チャンバ(34)を含む油圧流体チャンバ領域(28)を含んでいる、油圧シリンダ(30、210)と、
前記電動静油圧アクチュエータ内に位置する油圧流体を貯蔵するためのリザーバ(36)であって、前記油圧流体チャンバ領域と流体連通しており、
前記リザーバが、リザーバ壁(364)の内表面(364A)と前記油圧シリンダの外周の外表面(362A)との間に形成されており、
前記リザーバが、ベローアセンブリによって、第1の圧力コンパートメント(350A)及び第2の圧力コンパートメント(350B)に分割され、前記第1の圧力コンパートメントが第1のガス圧力コンパートメントを含み、前記第2の圧力コンパートメントが油圧コンパートメントを含み、
前記ベローアセンブリが、外側ベロー(352)と内側ベロー(354)を含み、
前記ベローアセンブリ(351)の内側は、高圧でガスが充填されている圧力貯蔵チャンバ(356)である、リザーバ(36)と、
前記リザーバ内及び前記油圧流体チャンバ領域内で油圧流体を移動するための油圧ポンプシステム(40)であって、前記油圧流体チャンバ領域内の油圧流体の方向と流量の大きさを制御するために、油圧シリンダボス(39、211)内の流動制御ネットワーク(38)と流体連通している、油圧ポンプシステム(40)と、
前記油圧ポンプシステム(40)を駆動するために前記電動静油圧アクチュエータで前記油圧ポンプシステム(40)に隣接して位置し動作可能に連結されている電動モータ(50)とを備える、
電動静油圧アクチュエータ(100)。
【請求項2】
制御信号を受信して、前記制御信号を前記電動モータが前記油圧ポンプシステムを駆動する値である設定点値に変換するために、前記電動静油圧アクチュエータ内に位置している、一体型制御モジュール(60)をさらに備える、請求項1に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【請求項3】
前記電動モータが、固定式または角度可変式のスウォッシュプレート(42、224、408)を回転して、前記油圧ポンプシステムを駆動し、
油圧流体の流動方向は前記固定式または角度可変式のスウォッシュプレートの動作方向によって決定されるのと、油圧流体の前記油圧流体チャンバ領域への流量の大きさは、前記スウォッシュプレートを傾斜させている角度によって制御され、前記電動静油圧アクチュエータは、前記角度可変式のスウォッシュプレートの動作方向及び、前記角度可変式のスウォッシュプレートの傾斜角度を制御する制御電気信号を受信するために、前記電動静油圧アクチュエータ内に位置している一体型制御モジュール(60)をさらに含むことと、
前記油圧ポンプシステムは、前記電動静油圧アクチュエータ内で回転可能である油圧ポンプシリンダブロック(214、402)を備え、前記油圧ポンプシリンダブロックは、前記固定式または角度可変式のスウォッシュプレートの回転によって可動な複数のピストン(216、406)を備え、前記複数のピストンは、前記スウォッシュプレートに連結されて、前記電動静油圧アクチュエータの中心軸(X)の方向に沿って前記油圧ポンプシリンダブロック内で摺動することの、少なくとも1つである、
請求項1に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【請求項4】
前記リザーバを、前記第1の圧力コンパートメント(350A)と前記第2の圧力コンパートメント(350B)とに分離する、前記油圧シリンダ内に位置する分離部材(330、351)をさらに備え、
前記分離部材は、膜(330)である請求項1~3のいずれか一項に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【請求項5】
前記ピストンアセンブリが、前記ロッド側チャンバと前記リザーバのうちの少なくとも1つから前記ピストン側チャンバ内へと油圧流体を圧送することによって、収縮位置から伸長位置へと第1の方向に動き、流体を前記ロッド側チャンバから前記リザーバ内へと押し、
記ピストンアセンブリが、前記ピストン側チャンバと前記リザーバのうちの少なくとも1つから前記ロッド側チャンバ内へと油圧流体を圧送することによって、第1の方向とは反対の第2の方向に動き、油圧流体を前記ピストン側チャンバから前記リザーバ内へと押す、
請求項1~4のいずれか一項に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【請求項6】
前記油圧ポンプシステムがバルブプレート(44、404)を含む、請求項1に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【請求項7】
前記油圧ポンプシステムによって供給される、または前記油圧ポンプシステムに戻る前記油圧流体の流動方向は、前記バルブプレートによって制御され、
前記バルブプレートが前記油圧シリンダボスに機械的に取り付けられているかまたは前記油圧シリンダボスに一体化されているのと、
前記バルブプレート(212、404)が前記油圧シリンダボス(211)内で回転可能であるのとのうちの少なくとも1つである、
請求項6に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【請求項8】
前記電動モータはサーボモータであり、前記油圧ポンプシステムは双方向の容積移送式ポンプであり、
前記油圧シリンダ内の前記ピストンアセンブリの位置、及び前記ピストンアセンブリによって生み出される出力は、前記サーボモータの速度、前記容積移送式ポンプの速度、またはこれらの組み合わせのうちの1つを調整することによって制御され、前記ピストンアセンブリの位置及び出力は、前記サーボモータの速度及び方向を変更することによって制御されるのと、
前記流動制御ネットワークは前記油圧シリンダボスに一体化されているのと
のうちの少なくとも1つである、請求項1~7のいずれか一項に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【請求項9】
前記電動静油圧アクチュエータの外周上のホットスポットを取り囲むように配置された、熱管理(70)をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【請求項10】
前記電動静油圧アクチュエータの位置を監視する位置センサ(62)をさらに備え、前記電動モータの速度と方向のうちの少なくとも1つは、前記電動静油圧アクチュエータの前記位置によって制御される、請求項1~9のいずれか一項に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【請求項11】
請求項1に記載の前記電動静油圧アクチュエータ(100)を有する、航空機(600)。
【請求項12】
前記電動静油圧アクチュエータが、
制御信号を受信して、前記制御信号を前記電動モータが前記油圧ポンプシステムを駆動する値である設定点値に変換するために、前記電動静油圧アクチュエータ内に位置している、一体型制御モジュール(60)と、
前記リザーバを、前記第1の圧力コンパートメント(350A)と前記第2の圧力コンパートメント(350B)とに分離する、前記油圧シリンダ内に位置する分離部材(350、351)と、
前記油圧シリンダボス(211)内で回転可能なバルブプレート(212、404)と、
のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項11に記載の航空機。
【請求項13】
前記電動モータが、
固定式または角度可変式のスウォッシュプレート(42、224、408)を回転して前記油圧ポンプシステムを駆動するのと、
サーボモータであり、前記油圧ポンプシステムが双方向の容積移送式ポンプであるのと、
のうちの少なくとも1つである、請求項11又は請求項12に記載の航空機。
【請求項14】
油圧流体の流動方向は固定式または角度可変式のスウォッシュプレートの動作方向によって決定され、前記油圧流体の前記油圧流体チャンバ領域への流量の大きさは、前記スウォッシュプレートを傾斜させている角度によって制御される、請求項11~13のいずれか一項に記載の航空機。
【請求項15】
前記ピストンアセンブリが、前記ロッド側チャンバと前記リザーバのうちの少なくとも1つから前記ピストン側チャンバ内へと油圧流体を圧送することによって、収縮位置から伸長位置へと第1の方向に動き、流体を前記ロッド側チャンバから前記リザーバ内へと押
前記ピストンアセンブリが、前記ピストン側チャンバと前記リザーバのうちの少なくとも1つから前記ロッド側チャンバ内へと油圧流体を圧送することによって、第1の方向とは反対の第2の方向に動き、流体を前記ピストン側チャンバから前記リザーバ内へと押す、
請求項11~14のいずれか一項に記載の航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して流体圧アクチュエータに関し、具体的には、電動静油圧アクチュエータに関する。電動油圧アクチュエータ(EHA)は、操縦翼面、着陸装置の脚上げまたは脚下げ、操向または制動といった、航空機の操作、及び様々なビークルの昇降機構に動力を与えるものとして知られる。典型的なEHAシステムは、複数の構成要素、例えば、アクチュエータを作動させるために、油圧ポンプを駆動して、油圧流体をリザーバから油圧シリンダに移動する電動モータを含む。しかし、現行部品に基づくEHAシステムは、大きさは嵩張り、また重量は重く、製造に際してより多くのコストがかかり、設置に際して組み立て及び配管を必要とする。
【0002】
したがって、すべての構成要素を1つの一体化されたパッケージ内に内包しつつ、なおより長い油圧動作寿命の間にわたって構成要素の耐久性強化を提供する、ロープロファイル型のEHAに対する需要が存在する。
【発明の概要】
【0003】
以下は、本開示の特定の実施例の基本的な理解を与えることを目的とした、本開示の簡潔な要約を示すものである。この要約は、本開示の広範な概観ではなく、本開示の主要な/重大な要素を特定するものでも、また本開示の範囲を線引きするものでもない。この要約の唯一の目的は、以降に示すより詳細な説明に対する前置きとして、簡略化した形で、本書が開示するいくつかの概念を提示することにある。
【0004】
概して、本開示の特定の実施例は、電動静油圧アクチュエータを提供する。様々な実施例によると、ピストンヘッド及びピストンヘッドから延びるピストンロッドを有するピストンアセンブリ、並びに油圧シリンダであって、ピストンアセンブリが内部に可動式に位置している、油圧シリンダを備える、電動静油圧アクチュエータが提供される。油圧シリンダは、ピストン側チャンバとロッド側チャンバを含む、油圧流体チャンバ領域を含む。電動静油圧アクチュエータは、油圧シリンダ内に位置する油圧流体を貯蔵するためのリザーバであって、油圧流体チャンバ領域と流体連通しているリザーバをさらに備える。電動静油圧アクチュエータは、リザーバ内及び油圧流体チャンバ領域内で油圧流体を移動するための、油圧ポンプシステムをさらに備える。油圧ポンプシステムは、油圧流体チャンバ領域内の油圧流体の方向と流量の大きさを制御するための、流動制御ネットワークと流体連通していてよい。電動静油圧アクチュエータは、油圧ポンプシステムを駆動するために油圧シリンダ内に位置している、電動モータをさらに備える。
【0005】
ある実施例では、電動静油圧アクチュエータは、制御信号を受信して、その制御信号を電動モータが油圧ポンプシステムを駆動する値である設定点値に変換するために、油圧シリンダ内に位置している、一体型制御モジュールをさらに備える。ある実施形態では、電動モータは、固定式または角度可変式のスウォッシュプレートを回転して、油圧ポンプシステムを駆動する。ある実施例では、油圧流体の流動方向は、固定式または角度可変式のスウォッシュプレートの動作方向によって決定され、油圧流体の油圧流体チャンバ領域への流量の大きさは、スウォッシュプレートを傾斜させている角度によって制御される。
【0006】
ある実施例では、電動静油圧アクチュエータは、固定式または角度可変式のスウォッシュプレートの動作方向及び固定式または角度可変式のスウォッシュプレートの傾斜角度を制御する、制御電気信号を受信するために油圧シリンダ内に位置している、一体型制御モジュールをさらに備える。ある実施例では、油圧ポンプシステムは、電動静油圧アクチュエータ内で回転可能な油圧ポンプシリンダブロックを備える。油圧ポンプシリンダブロックは、固定式または角度可変式のスウォッシュプレートの回転によって動くことができる、複数のピストンを備えていてよい。ある実施例では、複数のピストンは、スウォッシュプレートに連結されており、電動静油圧アクチュエータの中心軸(X)の方向に沿って、回転する油圧ポンプシリンダブロック内で、摺動する。
【0007】
ある実施例では、電動静油圧アクチュエータは、リザーバを、圧縮ガスチャンバエリアと油圧流体チャンバエリアとに分離する、油圧シリンダ内に位置する分離部材をさらに備える。ある実施例では、分離部材は、膜である。ある実施例では、分離部材は、ベロー(bellow)形状を有する。ある実施例では、分離部材は、油圧シリンダ内に可動式に配置されている。
【0008】
ある実施例では、ピストンアセンブリは、ロッド側チャンバとリザーバのうちの少なくとも1つからピストン側チャンバ内へと油圧流体を圧送し、流体をロッド側チャンバからリザーバ内へと押すことによって、収縮位置から伸長位置へと第1の方向に移動する。ピストンアセンブリは、さらに、ピストン側チャンバとリザーバのうちの少なくとも1つからロッド側チャンバ内へと油圧流体を圧送し、流体をピストン側チャンバからリザーバ内へと押すことによって、第1の方向とは反対の第2の方向に動いてよい。
【0009】
ある実施例では、油圧ポンプシステムは、バルブプレートを含む。ある実施例では、油圧ポンプシステムによって供給される、または油圧ポンプシステムに戻る油圧流体の流動方向は、バルブプレートによって制御される。ある他の実施形態では、バルブプレートは、油圧シリンダボスに機械的に取り付けられているか、または油圧シリンダボスに一体化されている。ある実施形態では、バルブプレートは、油圧シリンダボス内で回転可能である。ある実施形態では、流動制御ネットワークは、油圧シリンダボス内に一体化されている。
【0010】
ある実施例では、電動モータはサーボモータであり、油圧ポンプシステムは双方向の容積移送式ポンプである。ある実施例では、油圧シリンダ内のピストンアセンブリの位置、及びピストンアセンブリによって生み出される出力は、電気サーボモータの速度、容積移送式ポンプの速度、またはこれらの組み合わせのうちの1つを調整することによって制御される。ある実施例では、ピストンアセンブリの位置及び出力は、サーボモータの速度及び方向を変更することによって制御される。
【0011】
ある実施例では、電動静油圧アクチュエータは、アクチュエータの外周上のホットスポット(thermal hot spots)を取り囲むように配置された、熱管理システムをさらに備える。ある実施例では、電動静油圧アクチュエータは、アクチュエータの位置を監視する位置センサをさらに備えており、電動モータの速度と方向のうちの少なくとも1つは、このアクチュエータの位置によって制御される。
【0012】
本開示のさらに別の実施例では、静油圧アクチュエータの一体型アキュムレータ・マニフォールドシステムが提供される。様々な実施形態では、静油圧アクチュエータの一体型アキュムレータ・マニフォールドシステムは、ピストンヘッド及びピストンヘッドから伸びるピストンロッドを有するピストンアセンブリを含む、油圧シリンダのハウジングの外周を取り囲む、内表面を備える。ハウジングは、ピストン側チャンバとロッド側チャンバを含む、油圧流体チャンバ領域を含んでいてよい。一体型アキュムレータ・マニフォールドシステムは、外表面をさらに備えており、外表面と内表面との間にリザーバが画定されている。リザーバは油圧流体チャンバ領域と流体連通しており、流体流動制御ネットワークは、油圧流体チャンバ領域内で油圧流体の方向と流量の大きさを制御するための、アクチュエータの油圧ポンプシステムと流体連通しており、油圧ポンプシステムは、リザーバ内及び油圧流体チャンバ流体内で油圧流体を移動する。
【0013】
ある実施例では、流体流動制御ネットワークは、油圧ポンプシステムと、油圧流体チャンバ領域と、リザーバとのインターフェースとして配置された、バルブプレートを備える。ある実施例では、バルブプレートは、油圧ポンプシステムを駆動するモータの方向を変更することなく、油圧ポンプシステムへのまたは油圧ポンプシステムからの流体の流動方向を制御するために、操作される。
【0014】
ある実施例では、一体型アキュムレータ・マニフォールドシステムは、リザーバを、圧縮ガスチャンバエリアと油圧流体チャンバエリアとに分離する、内表面と外表面内に位置する分離部材をさらに備える。ある実施例では、一体型アキュムレータ・マニフォールドシステムは、静油圧アクチュエータ内に一体化されている。
【0015】
本開示のさらなる別の実施例では、電動静油圧アクチュエータを有する航空機が提供される。様々な実施例によると、電動静油圧アクチュエータは、ピストンヘッド及びピストンヘッドから伸びるピストンロッドを有する、ピストンアセンブリを備える。電動静油圧アクチュエータは、油圧シリンダであって、ピストンアセンブリが内部に可動式に位置している、油圧シリンダをさらに備えていてよい。油圧シリンダは、ピストン側チャンバとロッド側チャンバを含む、油圧流体チャンバ領域を含む。油圧シリンダは、油圧シリンダ内に位置する油圧流体を貯蔵するためのリザーバであって、油圧流体チャンバ領域と流体連通しているリザーバをさらに含む。電動静油圧アクチュエータは、リザーバ内及び油圧流体チャンバ領域内で油圧流体を移動するための、油圧ポンプシステムをさらに含んでいてよい。油圧ポンプシステムは、油圧流体チャンバ領域内の油圧流体の方向と流量の大きさを制御するための、流動制御ネットワークと流体連通していてよい。電動静油圧アクチュエータは、油圧ポンプシステムを駆動するために油圧シリンダ内に位置している、電動モータをさらに備えていてよい。電動静油圧アクチュエータは、油圧シリンダボス内で回転可能なバルブプレートを、さらに備えていてよい。
【0016】
これらの実施例及び他の実施例について、図面を参照して以下でさらに説明する。
【0017】
本開示は、添付の図面と併せて以下の記載を参照することによって、最もよく理解され得る。図面は、本開示の特定の実施例を示したものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の1つ以上の実施例による、電動静油圧アクチュエータの一例の断面図である。
図2】本開示の1つ以上の実施例による、電動静油圧アクチュエータの一例の分解斜視図である。
図3】本開示の1つ以上の実施例による、例示の電動静油圧アクチュエータのリザーバ内に配設された、ベローアセンブリの部分概略図である。
図4】本開示の1つ以上の実施例に従って、例示の電動静油圧アクチュエータの可動式のバルブプレートに隣接して、流動制御ネットワークと流体連通するように配置された、ポンプシステムの部分断面図である。
図5】本開示の1つ以上の実施例による、電動静油圧アクチュエータの一例の、様々な作動流体経路の概略図である。
図6】本開示の1つ以上の実施例による、航空機の概略図である。
図7】本書に記載の方法及びアセンブリを利用し得る、航空機の製造及び保守方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで、本開示を実施するために発明者らによって考えられたベストモードを含む、本開示のいくつかの特定の実施例を詳しく参照する。これらの特定の実施形態の例は、添付の図面に示されている。本開示は、これら特定の実施例に関連して記載されているが、本開示を記載された実施例に限定する意図ではないことは、理解されるだろう。反対に、添付の特許請求の範囲で規定されている本開示の主旨及び範囲内に含まれ得る、代替実施形態、変更実施形態、及び均等物をカバーすることが意図されている。
【0020】
下記の説明では、本開示を徹底的に理解させるために、多数の具体的な詳細が明示される。本開示の特定の実施例は、これらの具体的な詳細の一部または全部を含まなくても、実施され得る。他の事例においては、本開示を不必要に分かりにくくしないように、周知のプロセスの工程については詳細に記載していない。
【0021】
本開示の様々な技法及び機構は、明確性のために、時として単数形で記載されるだろう。しかし、別様の注記がない限り、ある実施例が、ある技法の複数回の繰り返し、またはある機構の複数のインスタンス化を含むことは、留意すべきである。例えば、システムは、様々な文脈において1つのプロセッサを使用する。しかし、別様に注記されていない限り、本開示の範囲内でシステムが複数のプロセッサを使用し得ることは、理解されるであろう。さらに、本開示の技法及び機構について、時として2つの実体の間の接続が記載されるであろう。接続されている2つの実体間には様々な他の実体が介在し得るため、2つの実体間の接続が、必ずしも直接の、妨害のない接続を意味するものではないことは、留意されるべきである。例えば、プロセッサはメモリに接続されていてよいが、このプロセッサとメモリとの間に、様々なブリッジ及びコントローラが介在していてよいことは、理解されるべきである。したがって、接続は、別様の注記がない限り、必ずしも直接の、妨害のない接続を意味するものではない。
【0022】
さらに、図面全体を通じて、同様の参照番号は、一貫して同一の構造的要素、部分、または表面を指すことが意図されているということは留意されるべきである。なぜならば、そうした要素、部分、または表面は、この発明を実施するための形態を不可欠の部分とする本明細書全体によって、さらに記載または説明され得るからである。別様に表示されていない限り、図面(例えばクロスハッチング、部品の配設、比率、角度など)は、本明細書と一緒に読まれ、本発明の記載全体の一部であるとみなされることが意図されている。以下の記載で使われている、「水平」「垂直」「左」「右」「上」及び「下」の各用語、並びにこれらの形容詞的及び副詞的な派生語(例えば、「水平に」「右方に」「上方に」など)は、単に、特定の図面が通常読者に面している状態で、示されている構造の方向を示すものである。同様に、「内側に」及び「外側に」という用語は、適宜、概して長手方向軸または回転軸に対する表面の配向を指す。
【0023】
概要
本開示は、油圧アクチュエータ、リザーバ、電動モータ、及び、油圧流体をリザーバから油圧アクチュエータへと移動してアクチュエータを作動させるために、電動モータによって駆動される油圧ポンプを内蔵する、ロープロファイル型の電動静油圧アクチュエータを提供する。
【0024】
ある実施例では、電動静油圧アクチュエータは、電動モータの停止と方向転換をなくすために、双方向ポンプシステムに適合している。ある実施例では、電動静油圧アクチュエータは、動作温度を維持するための温度管理層にさらに適合している。
【実施例
【0025】
図1は、本開示の1つ以上の実施例による、電動静油圧アクチュエータの一例の断面図である。電動静油圧アクチュエータ100は、本書では、油圧流体チャンバハウジング30-A内に可動式に位置しているピストンアセンブリ20を有する、油圧シリンダ30を含む。電動静油圧アクチュエータ100は、第1の端部11A及び反対側の第2の端部11Bを有し、A-A線における中心軸Xに沿った、概して円筒形の形状をしている。ピストンアセンブリ20は、油圧シリンダ30の油圧流体チャンバ領域28内の端部11Aに、可動式に配設されている。様々な実施例では、油圧シリンダ30は、油圧流体チャンバ領域28を取り囲む油圧流体チャンバハウジング30-A内に、ピストンアセンブリ20を備える。ピストンアセンブリ20は、ピストンヘッド26及びピストンヘッド26から延びるピストンロッド22、並びに、端部11Aに対して動作可能に伸長または収縮するロッドエンド24を備える。ピストンヘッド26は、油圧シリンダ30の油圧流体チャンバ領域28を、ピストン側チャンバ32とロッド側チャンバ34に分割する。ピストン側チャンバ32及びロッド側チャンバ34の容積即ちサイズは、ピストンアセンブリ20が伸長位置にあるか収縮位置にあるかに基づいて、変化する。
【0026】
電動静油圧アクチュエータ100は、一体型制御モジュール60、電動モータ50、バルブプレート44を有するポンプシステム40、流動制御ネットワーク38と流体連通しているリザーバ36、及び油圧流体チャンバ領域28をさらに含む。リザーバ36及び油圧流体チャンバ28は、共に、エンドキャップ30-Cによって封止されていてよい。エンドキャップ30-Cは、ピストンロッド22に封止的に係合していてよく、それによって、リザーバ36または油圧流体チャンバ28からの流体の漏出を防止しながら、ピストンロッド22がX軸に沿って移動するのを可能にしている。電動静油圧アクチュエータ100は、その外周に、生成された動作熱を放散し、動作温度を維持するための、熱管理層70を含んでいる。
【0027】
電動モータ50は、ポンプシステム40に隣接して位置しており、相反する第1の回転方向と第2の回転方向とにポンプシステム40を駆動するために、ポンプシステム40に動作可能に連結されている。ポンプシステム40は、第1の吸入/排出ポート43A、第2の吸入/排出ポート43B、ポンプ駆動シャフト47、及びポンプシステム40の排出量を変更するために複数のポンプピストン46を動作させる、スウォッシュプレート42を含む。ある実施例では、スウォッシュプレート42は、固定式スウォッシュプレートであってよい。他の実施例では、スウォッシュプレートは、角度可変式スウォッシュプレートであってよい。
【0028】
第1の流体通路45Aが、第1の吸入/排出ポート43Aと、ピストン側チャンバ32とを接続している。第2の流体通路45Bが、第2の吸入/排出ポート43Bと、ロッド側チャンバ34とを接続している。様々な実施例では、示されるように、第2の流体通路45Bは、油圧流体チャンバハウジング30-A内に一体化されている。第3の流体通路(図示せず)が、ポンプシステム40から漏出した油圧流体を、集積するためにリザーバ36に戻す。
【0029】
リザーバ36は、ポンプシステム40、流動制御ネットワーク38、及び油圧流体チャンバ領域28と流体連通している。本書に示すように、流動制御ネットワーク38は、図2に関連してさらに記載される油圧シリンダボス211といった、一体型油圧シリンダボス39に一体化されている。膜330が、リザーバ36内の、リザーバ壁の内周の表面332と油圧流体チャンバハウジングの外周の表面334との間にあるように適合している。膜330は、リザーバ36に、より高い流体圧力による貯蔵を提供している。
【0030】
油圧流体リザーバ36は、第1の制御バルブ322を介して第1の流体通路45Aに、また第2の制御バルブ324を介して第2の流体通路45Bに、接続されている。ポンプ40がピストン側チャンバ32に油圧流体を供給する際、第1の制御バルブ332が、リザーバ36内への流体通路を閉鎖する。他方、ピストンロッド22が伸長してロッド側チャンバ34から油圧流体を排出する際、第2の制御バルブ34が、リザーバ36への流体通路を開放する。反対に、ポンプシステム40がロッド側チャンバ34に油圧流体を供給し、ピストン側チャンバ32から流体を排出するときには、制御バルブ322はリザーバ36に対して開放され、一方で制御バルブ324はリザーバ36への通路を閉鎖する。
【0031】
ピストンアセンブリ20は、第1の端部11Aで、ピストンロッド22を油圧シリンダ30に対して伸長または収縮するように動作可能である。ロッド端部24は、通常、外部荷重(図示せず)に接続されており、ピストンロッド22の動きを受けて、外部荷重の動きを作動させる。
【0032】
本書で使用される場合、ポンプシステム40は、回転グループと呼ばれ得る。様々な実施例では、回転グループは、油圧ポンプシリンダブロック41、1つ以上のポンプピストン46、スウォッシュプレート42、バルブプレート44のうちの1つ以上を含んでいてよい。複数のポンプピストン46は、X軸に対してある角度を持つように構成されているスウォッシュプレート42に連結されていてよい。上記のように、スウォッシュプレート42は、固定式スウォッシュプレートであって、ある固定角でセットされていてよい。代わりに、スウォッシュプレート42は、角度可変式スウォッシュプレートであって、その角度の構成は、所望の量に基づいて伸長または収縮し得る、モータ駆動のアジャスタ43によって決定されてよい。
【0033】
各ポンプピストン46は、油圧ポンプシリンダブロック41のチャンバ内に置かれている。油圧ポンプシリンダブロック41は、以下で記載する油圧ポンプシリンダブロック214であってよい。電動モータ50は、ポンプドライブシャフト47を介して、回転グループの1つ以上の構成要素に機械的に連結されていてよい。電動モータ50は、作動する際に、ポンプドライブシャフト47によって油圧ポンプシリンダブロック41とスウォッシュプレート42とをポンプピストン46と共に回転させて、各ポンプピストン46を、油圧ポンプシリンダブロック41内の各チャンバ内で、往復運動させる。これによって、油圧ポンプシステムが駆動され、流体が油圧シリンダ30内へ、または油圧シリンダ30外へ、流動する。
【0034】
ある実施例では、油圧流体の流動方向は、電動モータの動作方向によって決定される。ある実施例では、油圧流体の流動方向は、固定式または角度可変式スウォッシュプレートの動作方向によって決定される。例えば、ピストンロッド22は、電動モータ50がポンプシステム40を第1の方向に駆動するように操作されたときに、中心軸Xに沿って第1の端部11Aに向かって伸長してよく、それによって、例えばオイルなどの油圧流体が、ピストン側チャンバ32内に供給され、ロッド側チャンバ34から排出される。逆に、ピストンロッド22は、電動モータ50がポンプシステム40を第2の方向に駆動するように操作されたときに、中心軸Xに沿って第2の端部11Bに向かって収縮してよく、それによって、油圧流体が、ロッド側チャンバ34内に供給され、ピストン側チャンバ32から排出される。
【0035】
第1の端部11Aに位置している油圧流体チャンバ領域28の開口を閉鎖するためと、第1の端部11Aで突出しているピストンロッド22の周囲を封止するために、様々な封止用構成要素及び封止用機構が使用されてよい。ピストン側チャンバ32とロッド側チャンバ34の間の油圧流体の流動を防止するために、ピストンヘッド26の周囲を封止するための様々な既知の封止機構もまた、使用されてよい。
【0036】
ある他の実施例では、電動モータ50は電動サーボモータであり、ポンプシステム40は双方向の容積移送式油圧ポンプである。アクチュエータの位置、速度、及び出力の制御は、モータ/ポンプの速度の調整、及びモータ/ポンプの回転方向の変更のうちの少なくとも1つによってもたらされる。ここでポンプシステム40は双方向ポンプであり、それぞれ第1の流体通路45A及び第2の流体通路45Bに接続された、第1の吸入/排出ポート43A及び第2の吸入/排出ポート43Bを有する。ポンプシステム40は、第1の吸入/排出ポート43Aから油圧流体チャンバ領域28のピストン側チャンバ32へと加圧流体を供給する一方、ピストンロッド22を第1の方向に伸長するために、流体を油圧流体チャンバ領域28のロッド側チャンバ34から第2の流体通路45Bを通って吸引するように、一方向に動作可能である。ポンプシステム40は、第2の吸入/排出ポート43Bから第2の流体通路45Bを通って油圧流体チャンバ領域28のロッド側チャンバ34に加圧流体を供給する一方、ピストンロッド22を第1の方向と反対の第2の方向に収縮するために、流体を油圧流体チャンバ領域28のピストン側チャンバ32から第1の流体通路45Aを通って吸引するように、第1の方向と反対の第2の方向にもまた、動作可能である。
【0037】
ポンプシステム40が双方向ポンプである場合、ポンプシステム40は、油圧流体を、各ポートを通ってピストン側チャンバ32とロッド側チャンバ34との間で両方向に移動するのに適切な様々なタイプのポンプのうちの、任意の1つであることができる。スウォッシュプレート式ピストンポンプといった油圧サーボポンプが使用されている場合、油圧力は、単方向等速電動モータと油圧サーボポンプとの組み合わせによって提供される。例えば、サーボポンプは、流量の大きさと流動方向を制御するために、固定式または角度可変式のスウォッシュプレートを含んでいることができる。このとき、流動の方向はスウォッシュプレートの動作方向によって決定され、流量の大きさはスウォッシュプレートを傾斜する角度によって制御される。こうして、ピストン行程の逆転は、モータ/ポンプの停止や方向転換なしに達成され得る。
【0038】
ポンプシステム40から油圧シリンダボス39を通って油圧シリンダ30内に至る流体の流動は、バルブプレート44によって管理され得る。様々な実施形態では、バルブプレート44は、ポンプシリンダブロック41内のチャンバと位置合わせされている、一連の腎臓形状の通路を有していてよい。バルブプレート44の構造及び操作は、以下でさらに検討する。ポンプシステム40が双方向ポンプを備える実施形態では、スウォッシュプレート44は、電動静油圧機器100の壁に対して、定位置にアンカーされ固定されていてよい。ある実施形態では、スウォッシュプレート44は、油圧シリンダボス39に対して定位置にアンカーされていてよい。
【0039】
しかし、双方向ポンプシステム40は、回転グループに対してさらなる荷重を生じさせ得るし、回転動作を逆転させることは、モータ50及び他のベアリングといったポンプシステム40の構成要素に対して、さらなる摩耗を加え得る。したがって、ある実施形態では、モータ50に関して単方向モータが実装されてよい。こうした実施例では、モータ50は、ポンプドライブシャフト47及び回転グループを一方向においてのみ回転する。これは、時計回りでも反時計回りでもよい。したがって、油圧流体チャンバ28及びリザーバ36の内外への流体の移動を成功裏に制御するために、スウォッシュプレート44は、油圧シリンダボス39及び回転グループに対して回転するように構成されていてよい。様々な実施形態では、スウォッシュプレート44は、その通路をポンプシリンダブロック41内の特定のチャンバと位置合わせし、それによって、流体が、流動制御ネットワーク38の適切な通路内へ、また適切な通路から外に圧送され得るようにするため、時計回りと反時計回りのどちらに回転されてもよい。
【0040】
ピストンアセンブリと反対側の第2の端部11Bに配置された一体型制御モジュール60は、ポンプシステム40に隣接しており、ポンプシステム40に動作可能に連結されている。ある実施例では、一体型制御モジュール60は、電力電子制御モジュールであってよい。一体型制御モジュール60は、ポンプシステム40、モータ駆動アジャスタ43、電動モータ50、及びバルブプレート44といった構成要素用の制御コマンドを出力する。一体型制御モジュール60はまた、電動モータ50に対して駆動用電力も供給する。制御コマンドは、一体型制御モジュール60に入力される、様々な信号に従って生成される。こうした信号は、ビークル管理用コンピュータ(VMC)といった外部コントローラからの制御信号、またはモータ速度の信号、スウォッシュプレートの角度、ピストンアセンブリ20の出力、などであることができる。例えば、位置センサ62は、ピストンロッド22の位置を検出し、感知した位置情報を、一体型制御モジュール60への信号として入力する。ある実施形態では、一体型制御モジュール60は、制御信号を、電動モータ50がポンプシステム40を駆動するように命令する値である、設定点値に変換する。図1に示すように、位置センサ62は、一体型制御モジュール60を構成する複数の要素のうちの1つであってよい。しかし、ある実施例では、位置センサ62は、油圧シリンダボス、ピストンロッド22、またはピストンアセンブリ20と一体の部分であってよい。
【0041】
本書に示すとおり、熱管理層70は、電動静油圧アクチュエータ100の外周を取り囲むように形成されている。ある実施例では、熱管理層70は、電動静油圧アクチュエータ100の構成要素の特定のインライン構成に応じて、電動静油圧アクチュエータ100の外周を巡って、熱放散の必要があることが分かっている選択的なエリアに配置されている。例えば、こうした熱に敏感なエリアは、電動モータとポンプシステムのうちの少なくとも1つが配設されている油圧シリンダ30の部分に対応する表面であり得る。こうした熱管理層70は、高い熱伝導率を示す、任意の適切な材料から作られていることができる。例えば、熱の層の材料は、限定しないが、金属、炭素、グラファイト、エポキシファイバー、セラミック、金属-母材複合材料、炭素-母材複合材料(例えば炭素繊維上に成長した炭素-ニッケルナノ粒子)、セラミック母材複合材料などを含む。ある実施例では、熱管理層70は、流体の浸透を防止するため、金属のライニング処理がなされている。様々な実施例では、油圧シリンダ30は、炭素繊維複合材料、高性能軽量合金といった、任意の適切な材料から作られていることができる。
【0042】
図2は、本開示の1つ以上の実施例による、電動静油圧アクチュエータの一例の分解斜視図である。電動静油圧アクチュエータ200は、線B-BにおいてX軸に沿った及びその周囲のインライン構成内に配設された、様々な構成要素を有する。様々な実施形態では、電動静油圧アクチュエータ200は、電動静油圧アクチュエータ100であってよい。電動静油圧アクチュエータ200は、一体型油圧シリンダ210を備える。ある実施例では、一体型油圧シリンダ210は油圧シリンダ30であってよく、一体型油圧シリンダ210のピストンアセンブリハウジング内に可動式に装着されたピストン208を含んでいる。ピストンロッドエンド202は、第1の端部200Aへと伸長し、第1の端部200Aから収縮する。さらなる詳細が図3に関連して示されているように、一体型油圧シリンダ210は、その内部に構成されたベローアセンブリエンクロージャ206(またはシェル)を有するリザーバエンクロージャ204(またはシェル)内に収容されていてよく、このリザーバエンクロージャ204(またはシェル)に取り囲まれていてよい。
【0043】
一体型油圧シリンダ210は、油圧シリンダボス211に連結されていてよい。ある実施例では、油圧シリンダボス211は油圧シリンダボス39であってよく、流動制御ネットワーク38といった流動制御ネットワーク(図示せず)を含んでいてよい。様々な実施例では、電動静油圧アクチュエータは、冗長性の要件に応じて、単式、複式、三重、または四重のポンプシステムを収容するように構成されていてよい。油圧シリンダボス211内の(38または420といった)流動制御ネットワークは、特定の流動構造を提供するように構成されていてよい。油圧シリンダボス211は、オプションで、間に配置されたアダプタプレート218を介して、バルブプレート212に接続されていてよい。ある実施例では、バルブプレート212は、油圧シリンダボス211に一体化されているか、または組み立てるために別個の部品として機械加工されていてよい。電動静油圧アクチュエータ200は、スウォッシュプレート224に連結された複数のポンプピストン216、ポンプベアリング222、及びベアリングレース220を収容する、ポンプシリンダブロック214を備える、回転グループをさらに含む。電動静油圧アクチュエータ200は、第2の端部200Bにおいて、電動モータ及び制御モジュール230(別個には図示せず)を含む。制御モジュール230は、一体型制御モジュール60であってよい。電動モータは、電動モータ50であってよい。
【0044】
本書に示すように、様々な構成要素のインライン構成が、中心軸Xの方向に沿っており且つ中心軸Xの周囲にあるので、電動静油圧アクチュエータ200は、その重心が中心軸X上にあるか、またはその付近にあり、より良い重量バランスを実現することが可能である。さらに、ポンプシステムのシリンダブロック214もまた中心軸Xの周囲に配設されているので、こうした構成によって、ポンプの駆動における回転バランスもまた提供される。このどちらも、電動静油圧アクチュエータ200の様々な振動要件の満足を向上するのに貢献するものである。
【0045】
図3は、本開示の1つ以上の実施例による、電動静油圧アクチュエータの一例のリザーバ360内に配設された、ベローアセンブリ351の部分概略図である。ある実施例では、リザーバ360は、図1に関連して既に記載したリザーバ36であってよい。本書に示すとおり、リザーバ360は、(リザーバエンクロージャ204のリザーバ壁といった)リザーバ壁364の内表面364Aと、油圧ピストンアセンブリハウジング362の外周362Aの外表面362Aとの間に形成されている。ある実施形態では、内表面364Aは、図1に記載した表面332に相当する。ある実施形態では、外表面362Aは、図1に記載した表面334に相当する。
【0046】
リザーバ360は、その内面が、分離部材351としても知られるベローアセンブリ351によって、2つの圧力コンパートメント350Aと350Bとに、さらに細かく分割されている。ある実施例では、分離部材351は、図1に示される膜330といった、金属または非金属の膜である。ある他の実施例では、また本書に示すとおり、分離部材351は、外側ベロー352及び内側ベロー354を含む、薄壁の金属または非金属のベローである。外側ベロー352は、リザーバ壁364の内表面364Aに囲まれて嵌合しており、内表面364Aと当接している。一方、内側ベロー354は、ピストンアセンブリハウジング362の外表面362Aを囲んで嵌合しており、外表面362Aと当接している。ある実施例では、ベローアセンブリ351は、収縮または拡張するので、ピストンアセンブリハウジング壁362の外周362Aに沿って、及びリザーバ壁364の内周364Aに沿って、摺動するのに適合している。
【0047】
コンパートメント350Aはピストンロッド端部(図示せず)の方に位置しており、コンパートメント350Bはピストン端部(ここでは図示せず)の方に位置しており、油圧流体チャンバ領域及び流動制御ネットワークと流体連通している。ある実施例では、コンパートメント350Aは、圧力貯蔵を提供するため、典型的には高圧でガスが充填されている。
【0048】
ある実施例では、ベローアセンブリ351の内面は、高圧でガスが充填されていることができる、圧力貯蔵チャンバ356である。そうしたガスは、窒素ガス、または任意の他の不活性ガスであり得る。ベローアセンブリ351は、プリーツ付きベロー、金属膜、非金属膜などといった、任意の適切な形態を取ることができる。
【0049】
図4は、本開示の1つ以上の実施例に従って、例示の電動静油圧アクチュエータの可動式のバルブプレートに隣接して、流動制御ネットワークと流体連通するように配設された、ポンプシステムの部分断面図である。様々な実施例では、ポンプシステムは、図1に関連して既に記載したポンプシステム40であってよい。本書に示すとおり、ポンプシステムは、スウォッシュプレート408と、ポンプシリンダブロック402内に収容された複数のポンプピストン406とを備える、可変排出量式スウォッシュプレートピストンポンプであってよい。ある実施例では、スウォッシュプレート408、ポンプピストン406、及びポンプシリンダブロック402は、回転グループを備えており、ポンプハウジング456内に収容されている。様々な実施例では、スウォッシュプレート408は、固定式または角度可変式のスウォッシュプレート408であってよい。複数のポンプピストン406は、各ポンプシリンダ内で軸方向に摺動するため、各ピストンシューアセンブリ407において、スウォッシュプレート408に装着されている。
【0050】
スウォッシュプレートポンプと一体型油圧シリンダボス421(部分的に図示する)との間に流体連通を提供するため、ポンプシリンダブロック402及び流動制御ネットワーク420とのインターフェースとして、バルブプレート404が配置されている。様々な実施例では、バルブプレート404は、流体吸入口及び流体排出口(図5でさらに記載する)を規定している。流体吸入口及び流体排出口は、ポンプハウジング456またはポンプシリンダブロック402のバックプレート内の通路を通って、それぞれポンプ吸入ポート432及びポンプ排出ポート434と接続されている。ある実施形態では、バルブプレート404は、バックプレートまたはポンプハウジング456にアンカーされていてよい。ある実施形態では、バックプレートは、ポンプハウジング456に一体化された一部分であってよい。しかし、ある実施形態では、バルブ404は、一体型油圧シリンダボス421にアンカーされているか、その一体化された一部分として構成されていてよい。ある実施形態では、バルブプレート404は定位置にアンカーされており、動かない。ある実施例では、バルブプレート404は、1つ以上の吸入ポート及び排出ポートをバックプレート内の通路の任意の組み合わせでポンプシリンダブロック402のポート432及び434に対して位置合わせするために回転し得る、可動式のバルブプレートであってよい。
【0051】
本書に部分的に示すとおり、ポンプシリンダブロック402を通って、線C-Cで中心軸Xに沿って軸方向に延びるポンプシャフト410は、電動モータ(図示せず)によって回転されるため、可動式バルブプレート404及びその基部(図示せず)内の適切なベアリング452-A内に装着されている。ポンプシャフト410は、さらに、ポンプハウジング456内で適切なベアリング452-C内に装着されていてよい。ポンプシリンダブロック402は、ポンプシャフト410に対して回転するのに適合しており、バルブプレート404に対して摺動可能に係合している。ある実施例では、油圧ポンプシリンダブロック402は、ベアリングプレート454内に位置するシャフトベアリング452-Bを介して、バルブプレート404に回転可能に連結されていてよく、それによってバルブプレート404に対する摺動可能な係合が円滑化されてよい。ある実施例では、ベアリングプレート454は、ポンプシリンダブロック402に一体化された一部分であってよい。ある実施例では、ベアリングプレート454は、バルブプレート404に一体化された一部分であってよい。ポンプピストン406が、ポンプシャフト410の周囲に環状に、且つポンプシャフト410と平行に配設されているため、ポンプシャフト410とポンプシリンダブロック402が回転されているときには、スウォッシュプレート408の角度位置によって決定される行程を通って、ポンプピストン406が軸方向に往復運動する。
【0052】
スウォッシュプレート408は、ウォッシュプレートがポンプピストン406に対して直角である排出ゼロ位置と、スウォッシュプレート408がポンプシリンダブロック402の中心軸(例えば中心軸X)からどちらかの方向に傾斜するように制御されている、前方または後方どちらかの完全排出位置との間で、傾斜動作をするように装着されている。このように、スウォッシュプレート408は、角度可変式スウォッシュプレートである。なぜならば、スウォッシュプレート408は、様々な位置において種々の角度で傾斜され得るからである。様々な実施例では、スウォッシュプレート408は、回転グループの他の構成要素と一緒に回転しない。しかし、ピストンシューアセンブリ407は、スウォッシュプレート408のよく潤滑された表面上で、回転グループのポンプシリンダブロック402及びポンプピストン406と共に回転されてよい。
【0053】
ポンプは、双方向または単方向の構成を含んでいてよい。双方向ポンプは、高圧と低圧の油圧流体源の間で交互に切り替えるために、回転グループを第1の方向と第2の方向の両方に回転させ得る、双方向の容積移送式ポンプであってよい。固定式バルブプレートは、双方向ポンプの構成において実装されてよい。例えば、双方向ポンプの構成では、バルブプレート404は、油圧シリンダボス421に、定位置でアンカーされていてよく、回転グループの回転方向を変更することによって、バルブ404内の適切な排出/吸入ポートにおいて油圧の変化が生じる。単方向ポンプの構成では、回転グループは、一方向のみに回転する。それによって、高圧と低圧の油圧流体が、回転グループ内の1つの関連する部分に位置する。可動式バルブプレートは、単方向ポンプの構成において実施されてよい。例えば、可動式バルブプレート404は、油圧式シリンダボス421内に回転可能に位置していてよく、可動式バルブ404は、油圧の流動を制御するために回転されてよい。
【0054】
上記のように、ある実施例では、スウォッシュプレート408は、固定式または角度可変式のスウォッシュプレートであってよい。スウォッシュプレート408が固定式スウォッシュプレートである固定排出量式ポンプでは、傾斜角度及び傾斜方向は可変ではなく、回転グループの回転中の特定の位置における各ポンプチャンバ内の油圧は、同一である。スウォッシュプレート408が角度可変式スウォッシュプレートである可変排出量式ポンプでは、スウォッシュプレート408の傾斜角及び傾斜方向は、油圧流体の流動要件に基づいて制御されてよい。固定式スウォッシュプレート及び角度可変式スウォッシュプレートの実施形態は、図5に関連してさらに検討される。スウォッシュプレートポンプの制御の一部として、スウォッシュプレートの動作方向とスウォッシュプレートの傾斜角度とを制御する制御電気信号を受信するため、制御モジュール60といった一体型制御モジュールが、油圧シリンダ内に設置されている。様々な実施例では、スウォッシュプレートの動作方向が、油圧流体の流動方向を決定する。さらに、油圧流体チャンバ領域458内への油圧流体の流量の大きさは、スウォッシュプレートの傾斜角度によって制御される。
【0055】
ポンプシリンダブロック402と、油圧シリンダボス421の流動制御ネットワーク420との間に配置されたバルブプレート404は、油圧シリンダボス421に定位置でアンカーされていてよい。他の実施例では、バルブプレート404は、双方向の回転式バルブプレートであってよい。バルブプレート404は、第1のポート432及び第2のポート434を含む。ある実施例では、シリンダブロック402が、ポンプシャフト410によって中心軸Xを中心に回転するのに伴って、複数のポンプピストン406のそれぞれが、中心軸Xを中心にして回転し、中心軸Xに沿った方向に往復運動する。複数のポンプピストン406の回転及び往復運動に伴って、油圧流体は、第1のポート432または第2のポート434を通って、排出されるかまたは戻される。
【0056】
具体的には、図4に示すとおりスウォッシュプレート408が第1の方向に傾斜しているときには、第1のポート432は低圧の吸入口として機能し、第2のポート434は高圧の排出口として機能する。この動作では、低圧の油圧流体が、第1の流体通路438を通り、バルブプレート404の第1のポート432を通って吸引され、ポンプシリンダブロック402に戻される。ポンプシリンダブロック402からの高圧流体は、第2のポート434を通って流動制御ネットワーク420の第2の流体通路436内に排出され、アクチュエータ(図示せず)の油圧流体チャンバに供給される。
【0057】
反対に、スウォッシュプレート408が逆の第2の方向に傾斜しているときには、第2のポート434は低圧の吸入口として機能し、第1のポート432は高圧の排出口として機能する。この動作では、低圧の油圧流体が、第2の流体通路436を通り、バルブプレート404の第2のポート434を通って吸引され、ポンプシリンダブロック402に戻される。ポンプシリンダブロック402からの高圧流体は、第1のポート432を通り、流動制御ネットワーク420の第1の流体通路438を通って排出され、アクチュエータ(図示せず)の油圧流体チャンバに供給される。
【0058】
本書に示すように、第1のチェック/抗キャビテーションバルブ426、第2のチェック/抗キャビテーションバルブ422、及びシャトルバルブ424が、流動制御ネットワーク420内に配置されている。これらの詳細は、図5に関連して以下で記載される。
【0059】
さらに、本書に示すとおり、バルブプレートシャフト412が、ポンプシャフト410のボアを通って軸方向に伸長し、バルブプレート404の中心に機械的に連結されるように、構成されている。バルブプレートシャフト412が回転するのに伴って、バルブプレート404は、双方向に動作可能である。具体的には、バルブプレートシャフト412が第1の方向に回転しているときには、バルブプレート404は、第1の方向に回転され、第1のポート432と第2のポート434の開放と閉鎖が変更される。反対に、バルブプレートシャフト412が反対の第2の方向に回転しているときには、バルブプレート404は、第2の方向に回転され、第1のポート432と第2のポート434の開放と閉鎖が変更される。
【0060】
ある実施形態では、バルブプレート404は、バルブ駆動モータによって駆動される。ある他の実施例では、バルブプレート404は、バルブプレート404を駆動するための精密な機構として一体型油圧シリンダボス内に配置されている、ピエゾモータによって駆動される。ある実施形態では、バルブプレート404は、別個の部品として機械加工されており、油圧シリンダボスに機械的に取り付けられる。ある他の実施形態では、バルブプレートは、油圧シリンダボスに一体化された一部分として機械加工されている。
【0061】
さらに詳しくは、バルブプレート404は、ポンプシリンダブロック402内の流体の吸入口及び排出口を制御する、複数の半円形のポート(腎臓形状のもの)を伴って構成されている。ポンプシリンダブロック402が中心軸Xを中心にして回転するのにつれて、複数のポンプピストン406の露出端は、スウォッシュプレート408に取り付けられた傾斜面の表面を辿るように強いられる。傾斜面が回転軸Xに対してある角度を有しているため、複数のピストン406は、中心軸Xの周囲で軸方向に往復運動する。
【0062】
ピストンの軸方向運動は正弦曲線であり、それによってピストン406は往復運動を行う。ピストンの往復運動サイクル中の上昇部分では、ピストン406はバルブプレート404に向かって移動し、バルブプレート404の閉鎖された表面とピストン406との間の封入流体は、バルブプレートの半円形ポートのうちの1つを通ってポンプの排出ポートへと排出される(このとき流体は押しやられる)か、またはバルブプレート及びポンプハウジングの排出ポートを通って押し出される。
【0063】
往復運動サイクルが続くのに伴って、封入流体チャンバとポンプの排出ポートとの間の接続は閉鎖される。その後まもなくすると、この同じチャンバは、ポンプの吸引ポートに対して開口される。ピストン406がシリンダブロック軸の周りを前進し続けるのにつれて、ピストン406は、バルブプレート404から遠ざかっていく。それによって、封入チャンバの容積が増大する。これが生じると、流体がポンプの吸引ポートからチャンバに流入し、空隙が充填される。この処理は、ピストン406が往復運動シリンダブロックの底部に到達するまで続く。ポンピングチャンバと吸引ポートとの間の接続は、閉鎖される。その後まもなくすると、チャンバは、再び排出ポートに対して開口され、ポンピングサイクルが再スタートされる。
【0064】
図5は、本開示の1つ以上の実施例による、電動静油圧アクチュエータの一例の様々な動作流体通路の概略図である。本書に示すとおり、外部荷重(図示せず)が、電動静油圧アクチュエータ500から離れていく矢印Jの線に沿った方向か、または電動静油圧アクチュエータ500に向かう矢印Kの線に沿った方向に動くように、動作可能になっている。ピストンヘッド502B及びピストンロッド端部502Aを有するピストンアセンブリ502は、矢印Iの線に沿った方向に伸長し、矢印Hの線に沿った方向に収縮する。このように、油圧流体は、荷重に逆らって収縮する、荷重と共に収縮する、荷重に逆らって伸長する、荷重と共に伸長する、というアクチュエータの動作の4つのモードに応じて、流体通路を通って移動する。
【0065】
具体的には、バルブプレート560は、所定の位置にアンカーされた固定バルブプレートであってよい。ピストンアセンブリ502を矢印Hの線に沿った方向に動かすことによって、電動静油圧アクチュエータ500を収縮させるために、モータ(ここでは図示せず)によって駆動されるポンプ(ここでは図示せず)が、ポンプシステム40といった回転グループを、湾曲した矢印の線Aに沿った方向(図5では時計回り)に回転し、それによって、高圧の油圧流体を、バルブプレート560の第2の(排出)ポート564から第1の流体通路551を通って(矢印Cの線の方向に沿って)排出させ、ロッド側チャンバ506内へと供給させる。同時に、第2の流体通路553がより低圧下にある状態で、チェック/抗キャビテーションバルブ552によって、第1の流体通路551内の制御されていない流体の流動が、第2の流体通路553へと漏出することが制限される。さらに、抗キャビテーションバルブ552を使用することで、吸入圧力が不十分なことに関連するキャビテーションによってポンプが損傷するリスクを低減することができる。第1の流体通路551と第2の流体通路553との間のチェック/抗キャビテーションバルブ552のチェックバルブは、動作中にポンプへの吸入圧力が低下しすぎたときには、油圧流体をポンプに流動させる。
【0066】
逆に、ピストンアセンブリ502を矢印Iの線に沿った方向に動かすことによって、油圧アクチュエータ500を伸長させるために、モータ(ここでは図示せず)によって駆動されるポンプ(ここでは図示せず)が、湾曲した矢印の線Bに沿った方向(図5では反時計回り)に回転し、それによって、高圧の油圧流体を、バルブプレート560の第1の(吸入)ポート562から第2の流体通路553を通って(矢印Eの線の方向に沿って)排出させ、ピストン側チャンバ504内へと供給させる。同時に、第1の流体通路551がより低圧下にある状態で、チェック/抗キャビテーションバルブ554によって、第2の流体通路553内の制御されていない流体の流動が、第1の流体通路551へと漏出することが制限される。さらに、抗キャビテーションバルブ554を使用することで、吸入圧力が不十分なことに関連するキャビテーションによってポンプが損傷するリスクを低減することができる。第1の流体通路551と第2の流体通路553との間のチェック/抗キャビテーションバルブ554のチェックバルブは、動作中にポンプへの吸入圧力が低下しすぎたときには、油圧流体をポンプに流動させる。
【0067】
示されているように、ピストンスロット565は、第2のポート564と位置合わせされている。ピストンスロット565は、ポンプピストンによって高圧の油圧流体が生成されている、ポンプシリンダブロックのピストンチャンバに対応していてよい。第1のポート562及び第2のポート564は、さらなるピストンスロット(図示せず)とさらに位置合わせされていてよい。
【0068】
ある実施例では、ポンプシステムは、バルブプレート560を貫通する第3の(ケースドレン)ポート568を含んでおり、それによってバイパス油圧流体と制御油圧流体のうちの少なくとも1つが、第3の流体通路555を通って(矢印Gの線の方向に沿って)流れ、流体リザーバ508に戻るようにさせる。概して、第3のポート568において流体の流量が増加することは、ポンプ効率の低下とポンプ部品の損耗のうちの、少なくとも1つを表し得る。さらに、油圧流体の粘度と動作部品間のクリアランスとが異なる温度の下で変化するという事実もまた、第3のポート568における流体の流量の増加に寄与する。ある実施例では、第3のポート568内に圧力補償及び温度補償された流動制御バルブ558が配置されており、第3のポート568から特定の閾値を超過する量の流体の流動が排出されたときに、警報が発せられる。
【0069】
ある実施例では、流体リザーバ508は、圧力貯蔵を強化するため、その内部に構成されたベロー510を、リザーバ壁の内周とピストンアセンブリハウジングの外周との間に含んでいる。図5に示すとおり、流動制御ネットワーク550は、第1の流動通路551、第2の流動通路553、第3の流動通路555、チェック/抗キャビテーションバルブ552のチェックバルブ、チェック/抗キャビテーションバルブ554のチェックバルブ、シャトルバルブ556、並びに、圧力補償及び温度補償された流動制御バルブ558を含む。ある実施例では、流動制御ネットワークは、図1の流動制御ネットワーク38、または図4の流動制御ネットワーク420として実装されていてよい。
【0070】
ある実施例では、電動静油圧アクチュエータ500は、ピストンアセンブリ502の位置を監視する位置センサ520をさらに備えており、その結果、電動静油圧アクチュエータ500の電動モータの速度と方向のうちの少なくとも1つは、ピストンアセンブリ502の位置によって制御される。ある実施例では、位置センサ520によって生成されるピストン位置信号は、電動モータとポンプシステムのうちの少なくとも1つを制御するため、電動静油圧アクチュエータ500の制御モジュールに供給される。ある実施例では、位置センサは、線形可変差動変圧器(LVDT)である。
【0071】
ある実施例では、不均衡エリアアクチュエータ(unequal area actuator)を伸長するのに必要な流体の流動を低減するために、シャトルバルブ556が使用される。それによって、作動力の低下が、一方向において許容され得る。収縮ラインが加圧されているときには、シャトルバルブ556が往復して、収縮ラインを伸長ラインから分離する。伸長ラインが加圧されているときには、シャトルバルブ556は収縮ラインをブロックし、それによってピストンの収縮側から伸長側への流動を可能にする。
【0072】
上記のように、ポンプシステムは、回転グループが1方向にのみ回転し得る単方向のシステムであってよい。単方向のシステムにおいては、角度可変式スウォッシュプレートが実施されてよく、バルブプレート560に対する特定の箇所において油圧を変更するように制御されてよい。固定式または角度可変式のスウォッシュプレートを用いる単方向のポンプシステムは、可動式バルブプレートと共にでも、実装可能である。ある実施例では、可動式バルブプレートは、双方向ポンプの構成においても、実装されてよい。
【0073】
ある実施例では、バルブプレート560は可動式バルブプレートであってよく、バルブプレート560の動作は、バルブシャフト412といったバルブシャフトによって制御されてよい。そうした実施例では、モータ(本書では図示せず)によって駆動されるポンプ(本書では図示せず)は、湾曲した矢印AまたはBのどちらかに沿った単一の方向に、持続的に回転し得る。ポンプが単一の方向に回転するため、スウォッシュプレート(図示せず)の傾斜に基づいて、ポンプの片側に高圧流体が生成されてよく、ポンプの別の側に低圧流体が生成されてよい。このように、スウォッシュプレート560は、第1のポート562または第2の出口ポート564のどちらかを流体通路551または553と位置合わせするために、湾曲した矢印の線AまたはBのどちらに回転してもよく、それによって高圧流体は、ポンプシリンダブロック内のピストンチャンバから、ポート562または564を通って通路551または553に入ってよい。さらにまたは代わりに、スウォッシュプレート560は、低圧流体が流体通路551または553からポート562または564を通ってポンプシリンダブロック内のピストンチャンバ内に入るようにして、位置合わせされてよい。
【0074】
例えば、スウォッシュプレート408といったスウォッシュプレートの傾斜角度に基づいて、バルブプレート560の左側のある地点に位置するポンプシリンダブロックのポンプピストンによって、高圧流体が生成されてよい。第1のポート562が高圧の油圧流体を生成するポンプピストンと位置合わせされ、それによって、高圧の油圧流体が矢印Eの線の方向に第2の通路553内へと流動するように、バルブプレート560は、矢印Aの線または矢印Bの線の方向に回転されてよい。これによって、ピストン側チャンバ504が流体で満たされ、アクチュエータが矢印Iの線の方向に伸長することが可能になってよい。別の例として、バルブプレート560は、中実部563がポンプピストンと位置合わせされて高圧の油圧流体が生成され、それによって高圧の流体が第2の通路553内に進入するのをブロックするように、回転されてよい。
【0075】
航空機、及び航空機を製造及び運航する方法の実施例
記載のシステム及び技法の実施形態の様々な態様をより良く理解するため、ここで航空機及び航空機翼の簡単な説明が示される。図6は、ある実施例による航空機600の概略図である。図6に示すように、航空機600は、長手軸(X軸)、横軸(Y軸)、及び垂直軸(Z軸)によって規定される。様々な実施例では、航空機600は、内面670を有する機体650を備える。航空機600は、機体650に連結された翼620を含む。航空機600は、翼620によって支持されたエンジン630もまた含み得る。ある実施形態では、航空機600は、電気検査システム640及び環境検査システム660といった、複数の高レベル検査システムをさらに含む。他の実施例では、任意の数の他の検査システムが含まれていてよい。
【0076】
図6に示す航空機600は、その構成要素が、示されている例によるアクチュエータ100及び200のうちの少なくとも1つを含むようにして製造され、改造され、機械加工されていてよい、ビークルの一例である。航空宇宙産業の例が示されているが、本書で開示されている原理は、自動車産業といった他の産業にも適用され得る。したがって、本書で開示されている原理は、航空機600に加え、陸上ビークル、海洋ビークル、宇宙ビークルなど他のビークルにも適用され得る。
【0077】
本開示の例は、図7に示す航空機の製造及び保守方法700、並びに図6に示す航空機600に照らして説明され得る。例示の方法700は、製造前段階で、航空機600の仕様及び設計(ブロック704)、並びに材料調達(ブロック706)を含んでいてよい。製造段階では、航空機600のコンポーネント及びサブアセンブリの製造(ブロック708)、並びに検査システムインテグレーション(ブロック710)が行われてよい。記載の装置及びアセンブリ、並びに対応する方法は、少なくとも1つの航空機600の仕様及び設計(ブロック704)、材料の調達(ブロック706)、コンポーネント及びサブアセンブリの製造(ブロック708)、及び航空機600の検査システムインテグレーション(ブロック710)の、いずれにおいても使用可能である。
【0078】
その後、航空機600は認可及び納品(ブロック712)を経て運航(ブロック714)に供され得る。運航中、航空機600には、定期的な整備及び保守(ブロック716)が予定され得る。定期的な整備及び保守は、航空機600の1つ以上の検査システムの改良、再構成、改修などを含み得る。記載されている装置及びアセンブリ、並びに対応する方法は、認可及び納品(ブロック712)、運航(ブロック714)、並びに定期的な整備及び保守(ブロック716)の、いずれにおいても使用可能である。
【0079】
例示の方法700の各プロセスは、検査システムインテグレータ、第三者、または事業者(例えば、顧客)によって、実行または実施されてよい。本明細書の目的に関しては、検査システムインテグレータは、限定しないが、任意の数の航空機製造業者及び主要検査システムの下請業者を含んでいてよく、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含んでいてよく、事業者は、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであってよい。
【0080】
本書で示され、説明されている機器及びそれに対応する方法は、製造及び保守方法(例示の方法700)の、1つ以上の任意の段階において用いられ得る。例えば、コンポーネント及びサブアセンブリの製造(ブロック708)に対応するコンポーネントまたはサブアセンブリは、航空機600の運航(ブロック714)中に生産されるコンポーネントまたはサブアセンブリと同様の方法で、作製または製造されてよい。また、装置、方法またはそれらの組み合わせの1つ以上の実施例は、例えば、航空機600の組立てを実質的に効率化するか、またはそのコストを削減することによって、製造段階(ブロック708及びブロック710)において利用され得る。同様に、機器または方法を実現する1つ以上の実施例、またはその組み合わせは、限定しないが例として、航空機600の、運航(ブロック714)中、並びに整備及び保守(ブロック716)中のうちの少なくとも1つの間に利用され得る。
【0081】
さらに、本開示は、下記の条項による実施例を含む。
【0082】
条項1.ピストンヘッド及びピストンヘッドから延びるピストンロッドを有するピストンアセンブリと、油圧シリンダであって、ピストンアセンブリが内部に可動式に位置しており、油圧シリンダがピストン側チャンバ及びロッド側チャンバを含む油圧流体チャンバ領域を含んでいる、油圧シリンダと、油圧シリンダ内に位置する油圧流体を貯蔵するためのリザーバであって、油圧流体チャンバ領域と流体連通しているリザーバと、リザーバ内及び油圧流体チャンバ領域内で油圧流体を移動するための油圧ポンプシステムであって、油圧流体チャンバ領域内の油圧流体の方向と流量の大きさを制御するために、油圧シリンダボス内の流動制御ネットワークと流体連通している、油圧ポンプシステムと、油圧ポンプシステムを駆動するために油圧シリンダ内に位置している電動モータとを備える、電動静油圧アクチュエータ。
【0083】
条項2.制御信号を受信して、その制御信号を電動モータが油圧ポンプシステムを駆動する値である設定点値に変換するために、油圧シリンダ内に位置している一体型制御モジュールをさらに備える、条項1に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0084】
条項3.電動モータが、固定式または角度可変式のスウォッシュプレートを回転して、油圧ポンプシステムを駆動する、条項1に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0085】
条項4.油圧流体の流動方向は固定式または角度可変式のスウォッシュプレートの動作方向によって決定され、油圧流体の油圧流体チャンバ領域への流量の大きさは、スウォッシュプレートを傾斜させている角度によって制御される、条項3に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0086】
条項5.電動静油圧アクチュエータは、固定式または角度可変式のスウォッシュプレートの動作方向及び固定式または角度可変式のスウォッシュプレートの傾斜角度を制御する制御電気信号を受信するために油圧シリンダ内に位置している、一体型制御モジュールをさらに含む、条項4に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0087】
条項6.油圧ポンプシステムが、電動静油圧アクチュエータ内で回転可能な油圧ポンプシリンダブロックを備え、油圧ポンプシリンダブロックが、固定式または角度可変式のスウォッシュプレートの回転によって動くことが可能な複数のピストンを備える、条項3に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0088】
条項7.複数のピストンが、スウォッシュプレートに連結されており、電動静油圧アクチュエータの中心軸の方向に沿って、油圧ポンプシリンダブロック内で摺動する、条項6に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0089】
条項8.リザーバを、圧縮ガスチャンバエリアと油圧流体チャンバエリアとに分離する、油圧シリンダ内に位置する分離部材をさらに備える、条項1に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0090】
条項9.分離部材が膜である、条項8に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0091】
条項10.分離部材がベロー形状を有する、条項8に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0092】
条項11.分離部材が油圧シリンダ内に可動式に配置されている、条項8に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0093】
条項12.ピストンアセンブリが、ロッド側チャンバとリザーバのうちの少なくとも1つからピストン側チャンバ内へと油圧流体を圧送し、流体をロッド側チャンバからリザーバ内へと押すことによって、収縮位置から伸長位置へと第1の方向に動き、ピストンアセンブリが、ピストン側チャンバとリザーバのうちの少なくとも1つからロッド側チャンバ内へと油圧流体を圧送し、流体をピストン側チャンバからリザーバ内へと押すことによって、第1の方向とは反対の第2の方向に動く、条項1の電動静油圧アクチュエータ。
【0094】
条項13.油圧ポンプシステムがバルブプレートを含む、条項1に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0095】
条項14.油圧ポンプシステムによって供給される、または油圧ポンプシステムに戻る油圧流体の流動方向は、バルブプレートによって制御される、条項13に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0096】
条項15.バルブプレートが油圧シリンダボスに機械的に取り付けられているか、または油圧シリンダボスに一体化されている、条項13に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0097】
条項16.バルブプレートが油圧シリンダボス内で回転可能である、条項13に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0098】
条項17.電動モータはサーボモータであり、油圧ポンプシステムは双方向の容積移送式ポンプである、条項1に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0099】
条項18.油圧シリンダ内のピストンアセンブリの位置、及びピストンアセンブリによって生み出される出力は、電動サーボモータの速度、容積移送式ポンプの速度、またはこれらの組み合わせのうちの1つを調整することによって制御される、条項17に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0100】
条項19.ピストンアセンブリの位置及び出力は、サーボモータの速度及び方向を変更することによって制御される、条項17に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0101】
条項20.流動制御ネットワークが油圧シリンダボス内に一体化されている、条項1に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0102】
条項21.アクチュエータの外周上のホットスポットを取り囲むように配置された熱管理システムをさらに備える、条項1に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0103】
条項22.電動静油圧アクチュエータは、アクチュエータの位置を監視する位置センサをさらに備え、電動モータの速度と方向のうちの少なくとも1つは、このアクチュエータの位置によって制御される、条項1に記載の電動静油圧アクチュエータ。
【0104】
条項23.油圧シリンダのハウジングの外周を取り囲む内表面であって、油圧シリンダは、ピストンヘッド及びピストンヘッドから延びるピストンロッドを有するピストンアセンブリを含み、ハウジングは、ピストン側チャンバ及びロッド側チャンバを含む油圧流体チャンバ領域を含む、内表面と、外表面であって、外表面と内表面との間にリザーバが画定されており、リザーバが油圧流体チャンバ領域と流体連通している、外表面と、油圧流体チャンバ領域内で油圧流体の方向と流量の大きさを制御するために、アクチュエータの油圧ポンプシステムと流体連通している流体流動制御ネットワークであって、油圧ポンプシステムがリザーバ内及び油圧流体チャンバ流体内で油圧流体を移動する、流体流動制御ネットワークと、を備える、静油圧アクチュエータの一体型アキュムレータ・マニフォールドシステム。
【0105】
条項24.流体流動制御ネットワークは、油圧ポンプシステムと、油圧流体チャンバ領域と、リザーバとのインターフェースとして配置されたバルブプレートを備える、条項23に記載の一体型アキュムレータ・マニフォールドシステム。
【0106】
条項25.バルブプレートは、油圧ポンプシステムを駆動するモータの方向を変更することなく、油圧ポンプシステムからの、または油圧ポンプシステムへの、流体の流動方向を制御するために操作される、条項24に記載の一体型アキュムレータ・マニフォールドシステム。
【0107】
条項26.リザーバを、圧縮ガスチャンバエリアと油圧流体チャンバエリアとに分離する、内表面と外表面内に位置する分離部材をさらに備える、条項23に記載の一体型アキュムレータ・マニフォールドシステム。
【0108】
条項27.静油圧アクチュエータ内に一体化されている、条項23に記載の一体型アキュムレータ・マニフォールドシステム。
【0109】
条項28.ピストンヘッド及びピストンから延びるピストンロッドを有する、ピストンアセンブリと、油圧シリンダであって、ピストンアセンブリが内部に可動式に位置しており、油圧シリンダが、ピストン側チャンバ及びロッド側チャンバを含む油圧流体チャンバ領域を含んでいる、油圧シリンダと、油圧シリンダ内に位置する油圧流体を貯蔵するためのリザーバであって、油圧流体チャンバ領域と流体連通しているリザーバと、リザーバ内及び油圧流体チャンバ領域内で油圧流体を移動するための油圧ポンプシステムであって、圧流体チャンバ領域内の油圧流体の方向と流量の大きさを制御するための、油圧シリンダボス内の流動制御ネットワークと流体連通している、油圧ポンプシステムと、油圧ポンプシステムを駆動するために油圧シリンダ内に位置している電動モータとを備える、電動静油圧アクチュエータを有する、航空機。
【0110】
条項29.電動静油圧アクチュエータが、制御信号を受信して、その制御信号を電動モータが油圧ポンプシステムを駆動する値である設定点値に変換するために、油圧シリンダ内に位置している、一体型制御モジュールをさらに備える、条項28に記載の航空機。
【0111】
条項30.電動モータが、固定式または角度可変式のスウォッシュプレートを回転して油圧ポンプシステムを駆動する、条項28に記載の航空機。
【0112】
条項31.油圧流体の流動方向は固定式または角度可変式のスウォッシュプレートの動作方向によって決定され、油圧流体の油圧流体チャンバ領域への流量の大きさは、スウォッシュプレートを傾斜させている角度によって制御される、条項28に記載の航空機。
【0113】
条項32.電動静油圧アクチュエータが、リザーバを、圧縮ガスチャンバエリアと油圧流体チャンバエリアとに分離する、油圧シリンダ内に位置する分離部材をさらに備える、条項28に記載の航空機。
【0114】
条項33.ピストンアセンブリが、ロッド側チャンバとリザーバのうちの少なくとも1つからピストン側チャンバ内へと油圧流体を圧送し、流体をロッド側チャンバからリザーバ内へと押すことによって、収縮位置から伸長位置へと第1の方向に動き、ピストンアセンブリが、ピストン側チャンバとリザーバのうちの少なくとも1つからロッド側チャンバ内へと流体を圧送し、流体をピストン側チャンバからリザーバ内へと押すことによって、第1の方向とは反対の第2の方向に動く、条項28の航空機。
【0115】
条項34.電動モータはサーボモータであり、油圧ポンプシステムは双方向の容積移送式ポンプである、条項28に記載の航空機。
【0116】
条項35.電動静油圧アクチュエータが、油圧シリンダボス内で回転可能なバルブプレートをさらに備える、条項28に記載の航空機。
【0117】
本開示を、特定の実施例を参照しながら具体的に図示及び説明してきたが、当業者であれば、本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、開示されている実施例の形態及び詳細を変更することが可能であることを理解するだろう。したがって、本開示が、本開示の真の主旨及び範囲に含まれる、全ての変形形態及び均等物を含むものとして解釈されるべきであることが、意図されている。構成要素とプロセスの多くは、便宜上単数形で記載されているが、本開示の技法を実践するために、複数の構成要素及びプロセスの繰り返しもまた用いられ得ることは、当業者に理解されるだろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7