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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】油圧駆動装置及び作業機械
(51)【国際特許分類】
   F03C 1/253 20060101AFI20221209BHJP
【FI】
F03C1/253
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018163934
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020037872
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】清家 雄二
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-029037(JP,A)
【文献】特開2001-048047(JP,A)
【文献】特開2006-090507(JP,A)
【文献】特開2001-255335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03C 1/00-99/00
F04B 1/00- 7/06
F16C 41/00-41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、斜板を含み前記回転軸を駆動するモータ機構と、その内部に前記回転軸及び前記モータ機構を収容するケースと、前記ケースにおける回転軸方向の一方側の部分に取り付けられるカバーとを備え、前記カバーは貫通孔を有し、前記ケースから前記回転軸方向の一方側に突出する前記回転軸の一部が前記貫通孔内に位置し、前記カバーは、その回転軸方向の一方側の壁面に、前記回転軸方向の他方側へ凹となる、前記回転軸と同軸状の第一の嵌合穴部を有する油圧モータと、
前記回転軸方向の他方側の壁面に、前記回転軸方向の一方側へ凹となる、前記回転軸と同軸状の第二の嵌合穴部を有するブロックと、
外輪が、前記第一の嵌合穴部及び前記第二の嵌合穴部に跨がるように嵌め込まれ、内輪が、前記回転軸を支持する、軸受と、を備え、
前記ブロックには、前記カバーに形成されたポートに連通する油路が形成される、油圧駆動装置。
【請求項2】
前記回転軸は、カップリングを介して前記内輪に支持されている、請求項1に記載の油圧駆動装置。
【請求項3】
前記カップリングと前記回転軸とは、一方が他方に対して前記回転軸方向に沿って挿入されることで連結し、
前記外輪が前記第一の嵌合穴部の底面に接するまで前記第一の嵌合穴部に挿入された際の前記カップリングに対する前記回転軸の端部の挿入長さは、前記第一の嵌合穴部の深さよりも大きくなっている、請求項に記載の油圧駆動装置。
【請求項4】
前記内輪は、前記回転軸の端部を前記回転軸方向に沿って挿入されるようになっており、
前記外輪が前記第一の嵌合穴部の底面に接するまで前記第一の嵌合穴部に挿入された際の前記内輪に対する前記回転軸の端部の挿入長さは、前記第一の嵌合穴部の深さよりも大きくなっている、請求項1に記載の油圧駆動装置。
【請求項5】
回転軸を備え、回転軸方向の一方側に、前記回転軸方向の他方側へ凹となる、前記回転軸と同軸状の第一の嵌合穴部を有する油圧モータと、
前記回転軸方向の他方側に、前記回転軸方向の一方側へ凹となる、前記回転軸と同軸状の第二の嵌合穴部を有するブロックと、
外輪が、前記第一の嵌合穴部及び前記第二の嵌合穴部に跨がるように嵌め込まれ、内輪が、前記回転軸を支持する、軸受と、
前記ブロックの前記油圧モータの側とは反対の側に配置されるカウンタバランス弁と、を備えている、圧駆動装置。
【請求項6】
前記軸受は、回転センサを一体に有する回転センサ付き軸受である、請求項1乃至のいずれかに記載の油圧駆動装置。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれかに記載の油圧駆動装置を備える作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動油の給排に応じて駆動する油圧モータを有する油圧駆動装置及び作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の油圧駆動装置における一般的な油圧モータは、油圧モータ機構を収容するケースと、ケースの開放部分を閉鎖するリッドとを有し、リッドに形成された作動油ポートを介した作動油の給排に応じて油圧モータ機構を駆動する。このような油圧モータでは、上記作動油ポートに連通する油路が形成されたブロックをリッドに取り付けて、当該ブロックの油路及びリッドの作動油ポートを介して作動油を給排する場合がある。
【0003】
例えば作動油の供給停止後に作動油の流動を制御するカウンタバランス弁を設置する場合、カウンタバランス弁には複数の油路や弁部材等が設けられることから、カウンタバランス弁内に追加の油路や部材を設けることが困難となる状況が生じ得る。このような場合に、カウンタバランス弁とリッドとの間にブロックを設け、ブロックに作動油ポートに連通する油路を形成するとともに、例えば追加が望まれる油路等を別途形成してもよい。
【0004】
一方で、油圧駆動装置では、油圧モータの回転を検出するための回転センサの設置が求められる場合がある(例えば特許文献1参照)。回転センサは、極力コンパクトに配置することが望まれるが、油圧駆動装置では、油圧モータ及びカウンタバランス弁等が多くの部材を有し、且つ各部材の形状も比較的複雑となり得る。そのため、回転センサの設置スペースが制約されて、当該センサの設置に伴う装置全体の大型化が生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-257815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようにブロックをリッドに取り付ける構成では、当該ブロックをリッドに対して厳密に位置決めして、ブロックの油路をリッドの作動油ポートに連通させることが求められる場合がある。また回転センサを設ける場合には、当該センサを極力コンパクトに組み込むことが望まれる。
【0007】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであって、油圧モータにブロックを高精度に位置決めすることができる油圧駆動装置及び作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる油圧駆動装置は、回転軸を備え、回転軸方向の一方側に、前記回転軸方向の他方側へ凹となる、前記回転軸と同軸状の第一の嵌合穴部を有する油圧モータと、前記回転軸方向の他方側に、前記回転軸方向の一方側へ凹となる、前記回転軸と同軸状の第二の嵌合穴部を有するブロックと、外輪が、前記第一の嵌合穴部及び前記第二の嵌合穴部に跨がるように嵌め込まれ、内輪が、前記回転軸を支持する、軸受と、を備える、油圧駆動装置である。
前記油圧モータはカバーを含み、前記カバーは前記第一の嵌合穴部を有してもよい。
前記油圧モータは、前記回転軸を収容するケースを含み、前記カバーは、前記ケースに取り付けられてもよい。
【0009】
前記回転軸は、カップリングを介して前記内輪に支持されていてもよい。
【0010】
前記カップリングと前記回転軸とは、一方が他方に対して前記軸方向に沿って挿入されることで連結し、前記外輪が前記第一の嵌合穴部の底面に接するまで前記第一の嵌合穴部に挿入された際の前記カップリングに対する前記回転軸の端部の挿入長さは、前記第一の嵌合穴部の深さよりも大きくなっていてもよい。
【0011】
前記内輪は、前記回転軸の端部を前記軸方向に沿って挿入されるようになっており、前記外輪が前記第一の嵌合穴部の底面に接するまで前記第一の嵌合穴部に挿入された際の前記内輪に対する前記回転軸の端部の挿入長さは、前記第一の嵌合穴部の深さよりも大きくなっていてもよい。
【0012】
また本発明にかかる油圧駆動装置は、前記ブロックの前記油圧モータの側とは反対の側に配置されるカウンタバランス弁をさらに備えていてもよい。
【0013】
また前記軸受は、回転センサを一体に有する回転センサ付き軸受であってもよい。
【0014】
また、本発明にかかる作業機械は、前記油圧駆動装置を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、油圧モータにブロックを高精度に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態にかかる油圧駆動装置を示す図である。
図2図1に示す油圧駆動装置に設けられる回転検出ユニットの周辺の拡大図である。
図3図1に示す油圧駆動装置に設けられる回転検出ユニットの要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施の形態にかかる油圧駆動装置1について説明する。本実施の形態にかかる油圧駆動装置1は、作業機械の一例である作業車両に設置されるウインチユニットを駆動するために利用されるが、その用途はこれに限られることはなく、例えば作業車両の走行ユニットや旋回ユニットの駆動においても利用され得る。
【0018】
本実施の形態にかかる油圧駆動装置1は、図1に示されるように、減速機付き油圧モータ2と、カウンタバランス弁3と、油路ブロック4と、回転検出ユニット5と、を備え、減速機付き油圧モータ2とカウンタバランス弁3との間に油路ブロック4を配置し、油路ブロック4と減速機付き油圧モータ2との間に回転検出ユニット5を収容している。油路ブロック4は、減速機付き油圧モータ2とカウンタバランス弁3との間の作動油の通流を中継する油路を有するとともに、回転検出ユニット5を収容する機能を有する。回転検出ユニット5は、減速機付き油圧モータ2の回転軸21の回転を検出するために設けられる。なお図1においては、減速機付き油圧モータ2の一部、カウンタバランス弁3及び油路ブロック4が、説明の便宜上、回転軸21の回転軸方向に沿う断面で示されている。
【0019】
上述した回転軸21の回転軸方向とは、回転軸21の中心軸線C1上に延びる方向又はこれに沿う方向を意味する。以下の説明においては、単に軸方向という場合、その方向は回転軸21の回転軸方向を意味する。また中心軸線C1に直交する方向を径方向と呼び、中心軸線C1を中心として回転する方向を周方向と呼ぶ。また径方向のうちの1つの所定の方向であって、図1の上下方向に沿う方向を「第1方向d1」と定義する。第1方向d1が示す方向は、以下の説明に用いる図面に適宜示されている。以下、油圧駆動装置1の各構成要素について詳述する。
【0020】
減速機付き油圧モータ2は、油圧モータ2Aと減速機2Bとを一体化させて構成されている。油圧モータ2Aは、回転軸21と、作動油の給排に応じて回転軸21を駆動する油圧モータ機構22と、回転軸21と同軸状に配置される円筒形状に形成され、その内部に回転軸21及び油圧モータ機構22を収容する固定ケース23と、固定ケース23に軸方向の一方側(図1の左側)で隣接して取り付けられるリッド24と、を有している。なお、本実施の形態では、固定ケース23が回転軸21の一部を収容している。
【0021】
回転軸21は、固定ケース23から軸方向の一方側に突出するとともに、固定ケース23から軸方向の他方側(図1の右側)に突出している。回転軸21における固定ケース23から軸方向の一方側に突出する部分はリッド24に形成された貫通孔24A内に位置し、リッド24は貫通孔24Aに挿入保持した第1軸受24Bを介して回転軸21を回転自在に支持している。なお図示はしないが、回転軸21は、固定ケース23の内部においても軸受を介して固定ケース23に回転自在に支持されている。
【0022】
また貫通孔24Aにおいては、第1軸受24Bよりも軸方向の一方側の位置に環状のオイルシール24Cが挿入保持されている。オイルシール24Cは、その内周面で回転軸21の外周面に当接することにより固定ケース23の内部からリッド24の外部への作動油の漏出を抑制している。本実施の形態では、回転軸21がオイルシール24Cから軸方向の一方側に突出し、当該一方側の端部には、回転検出ユニット5を構成する後述のカップリング50Bとの連結のための平板状のキー部21Aが形成されている。
【0023】
油圧モータ機構22は、カウンタバランス弁3、油路ブロック4及びリッド24を介してカウンタバランス弁3の外部から作動油を供給されるとともに、リッド24、油路ブロック4及びカウンタバランス弁3を介してカウンタバランス弁3の外部に作動油を排出するようになっている。詳しくは、油圧モータ機構22は、カウンタバランス弁3等を介して、カウンタバランス弁3の外部に配置される油圧ポンプからの作動油を供給されるとともに、カウンタバランス弁3等を介して、カウンタバランス弁3の外部に配置される排出タンクに作動油を排出するようになっている。
【0024】
上述のような作動油の給排に応じて、油圧モータ機構22は固定ケース23に対して回転軸21を回転させることが可能となっている。なお本実施の形態における油圧モータ2Aはプランジャモータであり、油圧モータ機構22はシリンダブロックや斜板等を有するが、油圧モータ2Aはベーンモータや歯車モータであってもよい。
【0025】
減速機2Bは、回転軸21における固定ケース23から軸方向の他方側(図1の右側)に突出する部分に結合される減速機構26と、回転軸21と同軸状に配置される円筒形状に形成され、その内部に減速機構26を収容する回転ケース27と、を有している。回転ケース27は、その軸方向の一方側の部分で固定ケース23の軸方向の他方側の部分を覆い、その軸方向の他方側の部分の内部において減速機構26を収容している。回転ケース27と固定ケース23との間には2つの第2軸受28が介装され、これにより回転ケース27は固定ケース23に回転自在に支持されている。
【0026】
減速機構26は、回転軸21の回転を減速させて回転ケース27に伝達し、回転ケース27は、固定ケース23に回転自在に支持されることで、減速機構26から回転を伝達された際に中心軸線C1を中心に回転する。回転ケース27には、径方向の外側に張り出した環状のフランジ部27Aが形成され、フランジ部27Aには図示しないドラムが取り付けられ、ドラムが回転することで図示しないウインチユニットが駆動されることになる。
【0027】
本実施の形態におけるカウンタバランス弁3は、リッド24に隣接して配置される油路ブロック4を挟んでリッド24に対向するように配置されている。カウンタバランス弁3は、油圧モータ2Aを駆動するために作動油を給排するとともに、油圧モータ2Aへの作動油の供給停止後において油圧モータ2Aの慣性又は負荷の慣性や自重による作動油の流動を抑制して、油圧モータ2Aの停止を制御するために設けられている。
【0028】
カウンタバランス弁3は、複数の油路が形成された弁ボディ31と、弁ボディ31に収容されたチェック弁33などを備えている。弁ボディ31には、第1給排油路と、第2給排油路とが形成されている。第1給排油路は、上述した油圧ポンプ又は排出タンクに選択的に連通される外部連通口と、油圧モータ2Aに連通される内部連通口とを有し、第2給排油路は、上述した油圧ポンプ又は排出タンクに選択的に連通される外部連通口と、油圧モータ2Aに連通される内部連通口とを有している。
【0029】
第1給排油路の外部連通口及び第2給排油路の外部連通口は、図示しない切換弁の動作に応じて、一方が油圧ポンプに接続された場合に、他方が排出タンクに接続される。第1給排油路の外部連通口が油圧ポンプに接続された場合には、第1給排油路の内部連通口が油路ブロック4及びリッド24を介して油圧モータ機構22に接続して作動油を供給する。一方で、第2給排油路の外部連通口が油圧ポンプに接続された場合には、第2給排油路の内部連通口が油路ブロック4及びリッド24を介して油圧モータ機構22に連通して作動油を供給する。本例では、前者においてウインチユニットが巻き上げられ、後者においてウインチユニットが巻き下げられることになる。
【0030】
なお図示はしないが、リッド24には、作動油を給排するための2つのポートが形成されており、油圧モータ機構22は、一方のポートから作動油を供給され、他方のポートに作動油を排出するようになっている。
【0031】
次に図2は、図1における油路ブロック4及び回転検出ユニット5の周辺の拡大図である。以下では、油路ブロック4及び回転検出ユニット5について、図1及び図2を参照しつつ説明する。油路ブロック4は、固定ケース23側とは反対の側でリッド24に対して軸方向に隣接して配置される。これにより油路ブロック4は、カウンタバランス弁3とリッド24との間に配置される。本実施の形態では、油路ブロック4が、カウンタバランス弁3とともにボルト締結されてリッド24に取り付けられている。
【0032】
回転検出ユニット5は、油路ブロック4とリッド24との間に保持される回転センサ付き軸受50Aと、回転センサ付き軸受50A及び回転軸21の間に介装されるカップリング50Bと、を有しており、このうちの回転センサ付き軸受50Aは、軸受部51と、軸受部51に一体化された回転センサ52とを含んでいる。軸受部51は、外輪51Aと、内輪51Bと、外輪51A及び内輪51Bに保持された転動体51Cと、を有しており、外輪51Aが油路ブロック4とリッド24によって保持される一方、内輪51Bがカップリング50Bを介して間接的に回転軸21を支持している。
【0033】
図3は、回転センサ52の拡大断面図であり、回転センサ52は一例として、外輪51Aに支持されて外輪51Aと同軸状に位置する環状の磁気センサ52Aと、内輪51Bに支持されて内輪51Bと同軸状に位置する環状の磁気エンコーダ52Bとを有し、磁気センサ52Aと磁気エンコーダ52Bとは、径方向で互いに対向するように配置されている。磁気エンコーダ52Bには、周方向に交互に極性の異なる磁極が配列され、磁気センサ52Aは、磁極の変化を検出することで、内輪51B乃至回転軸21の回転を検出することができる。このような回転センサ52としては、例えば特開2012-53002号公報に開示されたものを用いることができる。
【0034】
カップリング50Bは、回転軸21に連結するとともに軸受部51に回転自在に支持され、すなわち、軸受部51は、カップリング50Bを介して間接的に回転軸21を回転自在に支持している。カップリング50Bは概略円柱状に形成され、回転軸21のキー部21Aが軸方向に沿って挿入されるキー溝53Aを回転軸21側の端部に有している。キー溝53Aは、径方向の両側に開放しており、軸方向に沿う断面において矩形状に形成されている。本実施の形態では、キー溝53Aがキー部21Aを遊び嵌めしており、つまり隙間をもって挿入している。回転軸21の回転時においてはキー部21Aからキー溝53Aに周方向の力が伝わるようになっており、これによりカップリング50Bは、回転軸21と一体に回転する。
【0035】
回転軸21の支持状態及び回転検出ユニット5の全体的な収容状態について詳述すると、図2に示すように、リッド24の軸方向の一方側を向く壁面、言い換えると油圧モータ2Aの軸方向の一方側を向く壁面には、その貫通孔24Aの油路ブロック4側の端部に第一の嵌合穴部61が形成されている。第一の嵌合穴部61は、固定ケース23側(軸方向の他方側)へ凹となり、回転軸21と同軸状に形成されている。第一の嵌合穴部61は、軸方向において固定ケース23側に位置する環状の底面61Aと、底面61Aから軸方向に沿って延びる径方向の断面視で円形状の内周面61Bとを有している。一方で、油路ブロック4には、リッド24と対向する面に第二の嵌合穴部62が形成され、第二の嵌合穴部62は、固定ケース23側或いはリッド24側とは反対の側(軸方向の一方側)へ凹となり、回転軸21と同軸状に形成されている。第二の嵌合穴部62は、軸方向において固定ケース23側とは反対の側に位置する環状の底面62Aと、底面62Aから軸方向に沿って延びる径方向の断面視で円形状の内周面61Bとを有している。
【0036】
ここで、軸受部51の外輪51Aが、第一の嵌合穴部61及び第二の嵌合穴部62に跨がるように嵌め込まれ、且つ、外輪51Aは、第一の嵌合穴部61の底面61A及び第二の嵌合穴部62の底面62Aによって軸方向の両側から挟み込まれている。そして本実施の形態では、油路ブロック4がカウンタバランス弁3とともにボルト締結されてリッド24に取り付けられた際に、底面61A,62Aが、外輪51Aを軸方向の両側から押圧する状態で挟み込むようになっている。これにより、外輪51Aが、第一の嵌合穴部61及び第二の嵌合穴部62に対する周方向の回転を制約された状態で保持されている。
【0037】
一方で、カップリング50Bは、外周面における回転軸21側とは反対の側の部分を内輪51Bに圧入している。これにより、内輪51Bは、カップリング50Bと一体に回転可能となる。以上のようにして、本実施の形態では、回転軸21が軸受部51によって回転自在に支持される。なお、本実施の形態では、第一の嵌合穴部61と第二の嵌合穴部62とが同一の形状であり、その深さが同一となっている。しかしながら、第一の嵌合穴部61の深さと第二の嵌合穴部62の深さとが異なっていてもよい。
【0038】
また油路ブロック4には、第二の嵌合穴部62に軸方向に隣接して連通するセンサ収容部63が形成され、センサ収容部63は径方向の断面視で円形状の空間を形成し、その内部に回転センサ52を収容している。また油路ブロック4には、センサ収容部63から径方向の外側(第1方向d1)に延びて、油路ブロック4の外面から開口するケーブル通路64が形成されている。ケーブル通路64には、回転センサ52から電気信号を取り出すためのケーブル52Cが通されている。
【0039】
また、油路ブロック4には、カウンタバランス弁3からの作動油を油圧モータ2Aへ通流させるとともに、油圧モータ2Aからの作動油をカウンタバランス弁3へ通流させるための図示しない第1油路及び第2油路が形成されている。第1油路及び第2油路は、第二の嵌合穴部62及びセンサ収容部63を挟んで対向するように形成され、第1油路は、カウンタバランス弁3の上述した第1給排油路と連通するとともにリッド24に形成された2つのポートのうちの一方に連通している。第2油路は、カウンタバランス弁3の上述した第2給排油路と連通するとともにリッド24に形成された2つのポートのうちの他方に連通している。
【0040】
一方で、カップリング50Bは、リッド24の貫通孔24Aの内部に収容され、貫通孔24Aの内部で回転軸21と連結している。本実施の形態では、図2に示すように、外輪51Aが第一の嵌合穴部61の底面61Aに接するまで第一の嵌合穴部61に挿入された際のカップリング50Bに対する回転軸21の端部の挿入長さL1、すなわち、キー部21Aの挿入長さL1が、第一の嵌合穴部61の深さL2よりも大きくなっている。本実施の形態では、組み付け態様の一例として、油路ブロック4に回転センサ付き軸受50Aを保持するとともに、軸受部51の内輪51Bにカップリング50Bを保持した状態で、カップリング50Bを回転軸21に連結させるとともに、外輪51Aをリッド24の第一の嵌合穴部61に挿入することが可能となる。この際、上述のような寸法関係であると、カップリング50Bに対する回転軸21の端部の挿入を開始した後に、回転センサ付き軸受50Aの外輪51Aが第一の嵌合穴部61に挿入されるため、回転軸21をガイドとして、外輪51Aを第一の嵌合穴部61に容易に位置決めして嵌め込むことができる。
【0041】
以上に説明した本実施の形態にかかる油圧駆動装置1では、回転軸21を回転自在に支持する軸受部51に回転センサ52が一体化され、油路ブロック4とリッド24との間に収容される。また軸受部51の公差を利用して、油路ブロック4をリッド24に対して位置決めすることが可能となる。これにより、回転センサ52をコンパクトに組み込むことができるとともに、リッド24に隣接して配置される油路ブロック4を、回転センサ52、正確にはそれに一体化された軸受部51を利用して高精度に位置決めすることができる。なお、本実施の形態では、軸受部51に回転センサ52が一体化された回転センサ付き軸受50Aが用いられるが、回転センサ52を有さない軸受を用いた場合においても、油路ブロック4を高精度に位置決めできるという効果は得られる。
【0042】
また回転軸21は、カップリング50Bを介して軸受部51の内輪51Bに支持されている。これにより、カップリング50Bを回転軸21に対して着脱することで、回転軸21を軸受部51に対して着脱することができるため、組み立て及び分解の作業が容易となる。
【0043】
またカップリング50Bは、回転軸21の端部(キー部21A)に軸方向に沿って挿入されるようになっており、外輪51Aが第一の嵌合穴部61の底面61Aに接するまで第一の嵌合穴部61に挿入された際のカップリング50Bに対する回転軸21の端部の挿入長さL1が、第一の嵌合穴部61の深さL2よりも大きい。これにより、回転センサ付き軸受50Aの内輪51Bにカップリング50Bを取り付けた状態で、カップリング50Bを回転軸21に連結させるように組み付ける際に、カップリング50Bに対する回転軸21の端部の挿入を開始した後に、外輪51Aが第一の嵌合穴部61に挿入されるようになるため、回転軸21をガイドとして外輪51Aを第一の嵌合穴部61に容易に位置決めして嵌め込むことができる。
【0044】
また油圧駆動装置1は、油路ブロック4の固定ケース23側とは反対の側に配置されるカウンタバランス弁3をさらに備えている。そしてカウンタバランス弁3の油路を油路ブロック4の油路を介して油圧モータに連通させる。これにより、カウンタバランス弁3に近い位置に回転センサ52を設けた場合にあっても装置全体の大型化を抑制しつつ効率的な作動油の給排が可能となる。また、回転センサ付き軸受50Aによって、油路ブロック4の油路を油圧モータ2Aのリッド24に対して容易に精度良く位置決めすることが可能となる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、上述の各実施の形態においては、各種の変更が行われてもよい。
【0046】
例えば、上述の実施の形態では、カップリング50Bと回転軸21とが、カップリング50Bのキー溝53Aに対するキー部21Aの挿入により連結されるが、キー溝とキー部との形成位置を逆にしてもよい。また、内輪51Bがカップリング50Bを介して回転軸21を支持するが、内輪51Bは、回転軸21を直接的に挿入して回転軸21を支持してもよい。この場合、外輪51Aが第一の嵌合穴部61の底面61Aに接するまで第一の嵌合穴部61に挿入された際の内輪51Bに対する回転軸21の端部の挿入長さを、第一の嵌合穴部61の深さよりも大きくすることが好ましい。
【符号の説明】
【0047】
1…油圧駆動装置
2…減速機付き油圧モータ
2A…油圧モータ
3…カウンタバランス弁
4…油路ブロック(ブロック)
5…回転検出ユニット
21…回転軸
22…油圧モータ機構
23…固定ケース(ケース)
24…リッド
50A…回転センサ付き軸受
50B…カップリング
51…軸受部
51A…外輪
51B…内輪
52…回転センサ
61…第一の嵌合穴部
61A…底面
61B…内周面
62…第二の嵌合穴部
62A…底面
62B…内周面
図1
図2
図3