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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/515 20060101AFI20221209BHJP
   A61F 13/475 20060101ALI20221209BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20221209BHJP
   A61F 13/512 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
A61F13/515
A61F13/475 120
A61F13/511 300
A61F13/512
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018173481
(22)【出願日】2018-09-18
(65)【公開番号】P2020043968
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104927
【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 久志
(72)【発明者】
【氏名】永島 真里子
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-501723(JP,A)
【文献】特開2010-220913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/515
A61F 13/475
A61F 13/511
A61F 13/512
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌側の表面シートと非肌側の裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、両側部にそれぞれ長手方向に沿ってサイドシートが配設された吸収性物品であって、
前記表面シートが非熱融着性繊維を含むとともに、前記サイドシートが熱融着性樹脂を含み、
前記吸収体より幅方向の外方側に、複数に積層された前記サイドシートの間に前記表面シートが介在することにより、肌側から順にサイドシート、表面シート、サイドシート及び裏面シートが積層されたサイドフラップ部が形成され、
前記サイドフラップ部の少なくとも吸収性物品の前後端部を含む領域に、該サイドフラップ部を形成するシートが一体的に熱融着された融着部が設けられており、
前記表面シートの肌側に配設された前記サイドシートは複数層から構成され、複数に積層された積層シート内部に弾性伸縮部材が配設されることにより、吸収性物品の長手方向中間部で肌側に起立する立体ギャザーが形成され、
前記吸収性物品の前後端部で、前記立体ギャザーを形成する前記サイドシートの積層シートが外側に折り返され、この折り返されたサイドシートの積層シートで、前記融着部の肌側が覆われていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記融着部は、吸収性物品の前側領域及び後側領域にそれぞれ設けられている請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記融着部は、吸収性物品の前側端縁と後側端縁とを結ぶ吸収性物品の長手方向の全長に亘って設けられている請求項1記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記融着部が所定の領域を全面に亘って連続的に熱融着されるか、前記融着部が所定の領域を間欠的に熱融着されている請求項1~3いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記表面シートに肌側と非肌側とを貫通する多数の開孔が形成され、前記融着部が前記開孔と重なる領域に設けられている請求項1~4いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記表面シートの肌側に配設された前記サイドシートと、前記表面シートの非肌側に配設された前記サイドシートとは、同一の素材で形成されている請求項1~5いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記表面シートの肌側に配設された前記サイドシートと、前記表面シートの非肌側に配設された前記サイドシートとは、前記表面シートの側縁を巻き込むようにして折り返された1枚のシートで形成されている請求項1~6いずれかに記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品に係り、詳しくはコットン繊維などの非熱融着性繊維を含む表面シートを備えた吸収性物品において、前後端部からの剥離やそれに伴う破れを防止した吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、前記吸収性物品として、ポリエチレンシートまたはポリエチレンシートラミネート不織布などの不透液性の裏面シートと、透液性の表面シートとの間に粉砕パルプ等の紙綿からなる吸収体を介在したものが知られている。
【0003】
前記表面シートは肌当接面を形成するものであるため、柔軟であることや、排泄液の吸収後でも乾燥した肌触りが得られること、肌に対して刺激が少ないこと等が要求されている。吸収性物品の分野では、合成繊維の不織布や樹脂製メッシュシートが広く採用されているが、合成繊維からなる表面シートは、痒みやかぶれ等の原因となるなどの問題があるため、これを解決するものとして、綿繊維(コットン繊維)を素材とした表面シートが提案されている。
【0004】
このような表面シートに綿繊維を用いた吸収性物品としては、下記特許文献1などを挙げることができる。下記特許文献1では、非熱融解性繊維を含む表面シートを含み、前記表面シートの肌対向面に配置されるとともに、横方向に離間する一対のサイドシートと、前記表面シートと吸収体との間に配置され、前記表面シートを介して前記サイドシートに重なる熱融解性シートとを含み、前記サイドシートおよび熱融解性シートは、熱可塑性樹脂を含む合成繊維によって形成され、前記サイドシートと熱融解性シートとの間には、前記表面シートを介して熱融解によってこれらを互いに接合する溶着部が形成された吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-66614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の吸収性物品では、図11に示されるように、表面シート50と吸収体51との間に配置された熱融解性シート52が、表面シート50の肌対向面に配置されたサイドシート53との間において、表面シート50を介して熱融解によって互いに接合された溶着部55が形成されているため、表面シート50がサイドシート53と熱融解性シート52との間において接合されるものの、これらを接合する溶着部55が裏面シート54にまで達していないため、装着時にサイドシート53や表面シート50が引っ張られた際、熱融解性シート52とともに表面シート50やサイドシート53が浮き上がりやすく、端部から剥離して、破れやすいという問題があった。特に、吸収性物品の前後端部は、前記サイドシート、表面シート及び熱融解性シートが積層された端部が外面に露出しているため、この部分からの剥離や破れが生じやすかった。また、吸収性物品を身体の前後方向の丸みに沿って前後方向に湾曲させたとき、肉厚な吸収体の厚みによる内周と外周の周長差が大きくなり、表面シートと裏面シートの積層部分が動きやすく、表面シートの浮きが生じやすいという問題があった。
【0007】
そこで本発明の主たる課題は、表面シートに非熱融着性繊維を用いた吸収性物品において、表面シートの剥離やそれに伴う破れを防止した吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、肌側の表面シートと非肌側の裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、両側部にそれぞれ長手方向に沿ってサイドシートが配設された吸収性物品であって、
前記表面シートが非熱融着性繊維を含むとともに、前記サイドシートが熱融着性樹脂を含み、
前記吸収体より幅方向の外方側に、複数に積層された前記サイドシートの間に前記表面シートが介在することにより、肌側から順にサイドシート、表面シート、サイドシート及び裏面シートが積層されたサイドフラップ部が形成され、
前記サイドフラップ部の少なくとも吸収性物品の前後端部を含む領域に、該サイドフラップ部を形成するシートが一体的に熱融着された融着部が設けられており、
前記表面シートの肌側に配設された前記サイドシートは複数層から構成され、複数に積層された積層シート内部に弾性伸縮部材が配設されることにより、吸収性物品の長手方向中間部で肌側に起立する立体ギャザーが形成され、
前記吸収性物品の前後端部で、前記立体ギャザーを形成する前記サイドシートの積層シートが外側に折り返され、この折り返されたサイドシートの積層シートで、前記融着部の肌側が覆われていることを特徴とする吸収性物品が提供される。
【0009】
上記請求項1記載の発明では、前記表面シートとして、コットン繊維などの非熱融着性繊維を含むものを用いるとともに、前記サイドシートとして合成繊維などの熱融着性樹脂を含むものを用いている。そして、前記吸収体より幅方向外方側に、複数に積層された前記サイドシートの間に前記表面シートが介在することにより、肌側から順にサイドシート、表面シート、サイドシート及び裏面シートが積層されたサイドフラップ部が形成されている。更に、このサイドフラップ部の少なくとも吸収性物品の前後端部を含む領域に、該サイドフラップ部を形成するシートが一体的に熱融着された融着部が設けられている。このため、前記融着部において、前記表面シートに含まれる非熱融着性繊維は溶融しないが、この表面シートの肌側及び非肌側にそれぞれ配設された熱融着性繊維を含むサイドシートが、加熱により溶融して前記表面シートの繊維間空隙等に入り込み、固化することにより、サイドシート、表面シート及び裏面シートが一体的に接合されるようになる。これによって、前記サイドフラップ部の少なくとも吸収性物品の前後端部から表面シートが剥がれるのが防止できるとともに、表面シートの剥離に伴うシートの破れが防止できるようになる。
【0010】
前記表面シートの肌側に配設された前記サイドシートは複数層から構成され、複数に積層された積層シート内部に弾性伸縮部材が配設されることにより、吸収性物品の長手方向中間部で肌側に起立する立体ギャザーが形成される。そして、前記吸収性物品の前後端部で、前記立体ギャザーを形成する前記サイドシートの積層シートが外側に折り返され、この折り返されたサイドシートの積層シートで、前記融着部の肌側が覆われている。従って、前記折り返された積層シートによって融着部の肌側が覆われるようにしているため、熱融着によって硬化した融着部が直接肌に触れるのが防止でき、装着感が低下するのが軽減できる。
【0011】
請求項2に係る本発明として、前記融着部は、吸収性物品の前側領域及び後側領域にそれぞれ設けられている請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0012】
上記請求項2記載の発明では、表面シートの剥離が生じやすい吸収性物品の前側領域及び後側領域にそれぞれ前記融着部を設けることにより、吸収性物品の前後端部からの剥離を防止するとともに、これらの間の吸収性物品前後方向の中間領域には、融着部が硬化することにより吸収性物品の装着時に着用者に不快感を与えるのを防止する観点から設けないようにしている。
【0013】
請求項3に係る本発明として、前記融着部は、吸収性物品の前側端縁と後側端縁とを結ぶ吸収性物品の長手方向の全長に亘って設けられている請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0014】
上記請求項3記載の発明では、前記表面シートの剥離をより確実に防止するため、前記融着部を吸収性物品の前側端縁と後側端縁とを結ぶ吸収性物品の長手方向の全長に亘って設けている。
【0015】
請求項4に係る本発明として、前記融着部が所定の領域を全面に亘って連続的に熱融着されるか、前記融着部が所定の領域を間欠的に熱融着されている請求項1~3いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0016】
上記請求項4記載の発明では、前記融着部における接合強度を高めるため、前記融着部が所定の領域を全面に亘って連続的に熱融着するか、前記融着部の硬化による装着性の低下を軽減するため、前記融着部が所定の領域を千鳥格子状又は平行する複数の線状のパターンなどによって間欠的に熱融着している。
【0017】
請求項に係る本発明として、前記表面シートに肌側と非肌側とを貫通する多数の開孔が形成され、前記融着部が前記開孔と重なる領域に設けられている請求項1~いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0018】
上記請求項記載の発明では、肌側と非肌側とを貫通する多数の開孔が形成された表面シートを用いた場合において、前記融着部を前記開孔と重なる領域に設けることにより、前記開孔を通じて、表面シートの肌側及び非肌側にそれぞれ積層されたサイドシート同士を熱融着できるため、接合強度を更に高めることができるようになる。
【0019】
請求項に係る本発明として、前記表面シートの肌側に配設された前記サイドシートと、前記表面シートの非肌側に配設された前記サイドシートとは、同一の素材で形成されている請求項1~いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0020】
上記請求項記載の発明では、表面シートの肌側及び非肌側にそれぞれ積層されたサイドシートを同一の素材で形成することにより、熱融着時に一定の温度で両者を溶融させることができるなど、熱融着効果をより一層高めることができるようになる。
【0021】
請求項に係る本発明として、前記表面シートの肌側に配設された前記サイドシートと、前記表面シートの非肌側に配設された前記サイドシートとは、前記表面シートの側縁を巻き込むようにして折り返された1枚のシートで形成されている請求項1~いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0022】
上記請求項記載の発明では、前記表面シートの肌側及び非肌側に配設されたサイドシートを、表面シートの側縁を巻き込むようにして折り返された1枚のシートで形成しているため、製造が簡略化できるとともに、保水しやすい表面シートの側縁がサイドシートで包まれるため、表面シートに保水された体液が側縁から滲出するのが防止できる。
【発明の効果】
【0023】
以上詳説のとおり本発明によれば、表面シートに非熱融着性繊維を用いた吸収性物品において、表面シートの剥離やそれに伴う破れが防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る生理用ナプキン1の一部破断展開図である。
図2図1のII-II線矢視図である。
図3図1のIII-III線矢視図である。
図4】融着部10の拡大断面図(図1のIV-IV線矢視図)である。
図5】変形例に係る生理用ナプキン1の平面図である。
図6】融着部10の平面パターンを示す生理用ナプキン1の右上部分を拡大した平面図である。
図7】変形例(その1)に係る生理用ナプキン1の横断面図である。
図8】変形例(その2)に係る生理用ナプキン1の横断面図である。
図9】立体ギャザーBSの加工要領を示す、生理用ナプキン1の横断面図である。
図10】変形例(その3)に係る生理用ナプキン1の横断面図である。
図11】従来の吸収性物品を示す拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
本発明に係る生理用ナプキン1は、図1図3に示されるように、ポリエチレンシートなどからなる不透液性の裏面シート2と、肌当接面をなし、体液を速やかに透過させる表面シート3と、これら両シート2、3間に介装された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4と、前記表面シート3の両側部にそれぞれ長手方向に沿って配設されたサイドシート7とから主に構成されている。前記吸収体4の周囲においては、その上下端縁部の少なくとも一部で、裏面シート2と表面シート3との外縁部をホットメルトなどの接着剤によって接合してもよく、またその両側縁部の少なくとも一部で、吸収体4よりも側方に延出しているサイドシート7、表面シート3及び裏面シート2をホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接合手段によって接合してもよい。ただし、後述する融着部10を設ける区間においては、これらの接合手段を用いた接合を行わなくてもよい。
【0026】
図1に示されるように、本生理用ナプキン1は、長手方向に対して、着用者の体液排出部Hに対応する区間、つまり生理用ナプキン1を長手方向に4等分した際の中2つ分の区間を中央領域9aとし、これより前側を前側領域9b、後側を後側領域9cとして区画することができる。
【0027】
<裏面シート>
前記裏面シート2は、ポリエチレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、近年ではムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。
【0028】
また、前記裏面シート2は、熱融着性繊維を含むのが好ましい。前記熱融着性繊維としては、加熱によって溶融し相互に接着性を発現する任意の繊維を用いることができる。この熱融着性繊維は、単一繊維からなるものでもよいし、2種以上の合成樹脂を組み合わせた複合繊維等であってもよい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビニルアルコール等のポリオレフィン系単一繊維や、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート-エチレン・プロピレン共重合体、低融点ポリエステル-ポリエステルなどからなる鞘部分が相対的に低融点とされる芯鞘型複合繊維または偏心芯鞘型複合繊維、またはポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ナイロン、ポロプロピレン/ポリエチレンからなる各成分の一部が表面に露出している分割型複合繊維、あるいはポリエチレンテレフタレート/エチレン-プロピレン共重合体からなる一方の成分の熱収縮により分割する熱分割型複合繊維などを用いることができる。この場合、生産性および寸法安定性を重視する場合は芯鞘型複合繊維が好ましく、不織布のボリューム感を重視するならば偏心型複合繊維が好ましい。また、柔軟性を重視するならば、分割型複合繊維や熱分割型複合繊維を用いると、高圧水流処理時に各成分が容易に分割して極細繊維化されるようになる。
【0029】
<表面シート>
前記表面シート3は、吸収体4の肌側を覆う部分である肌当接面を形成するものであり、非熱融着性繊維によって形成されている。前記非熱融着性繊維としては、加熱しても溶融せず非熱融着性繊維同士では接着性を発現しない任意の繊維を用いることができる。前記非熱融着性繊維としては、コットン(綿)、パルプ、シルク(絹)、リヨセル等の天然繊維や、レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維、又はアセテート等の半合成繊維等を用いることができる。これらのうち、肌触りの良さから天然繊維を用いるのがよく、天然繊維の中でも特に肌触りが良く、吸水性及び吸湿性に優れたコットン繊維やリヨセル繊維を用いるのが好ましい。前記表面シート3としては、コットン繊維100重量%からなるスパンレース不織布によって形成してもよいし、肌側層をコットン繊維100重量%とし、非肌側層に熱融着性繊維を配置したスパンレースの積層不織布によって形成してもよい。スパンレース不織布は、接着剤を使用しない、柔軟性を有する等の利点を有する。
【0030】
前記コットン繊維としては、木綿の原綿、精錬・漂白したコットン繊維あるいは精錬・漂白後、染色を施したコットン繊維、精錬・漂白した脱脂綿繊維、さらには糸もしくは布帛になったものを解繊した反毛等、あらゆるコットン繊維を使用できるが、特にコットン繊維の表面に付着しているコットンワックスの天然油脂により、繊維の状態でも若干撥水性を備えた未脱脂綿を使用するのが好ましい。
【0031】
前記表面シート3の目付けは、20~40g/m2、好ましくは27~34g/m2、より好ましくは29~32g/m2とし、厚みは0.25~0.50mm、好ましくは0.3~0.4mmとするのが好ましい。前記目付けは5cm×4cm×10枚の重量を電子天秤で計り平米換算して算出する。また、前記厚みは、株式会社尾崎製作所製の定圧厚み測定器デジタルタイプFFD-7によって測定することができる。
【0032】
前記表面シート3は、透液性を高めるため、肌側と非肌側とを厚み方向に貫通する多数の開孔が形成されるようにしてもよい。具体的には、前記開孔は、スパンレース製造時の水流交絡工程において、繊維材料をメッシュ状支持体に担持させることで形成することができる。この場合、使用するメッシュの条件を変更することで、個々の開孔サイズ、開孔率を調整することが可能である。もちろん、製造後の不織布にパンチ(打ち抜き)加工を施して開孔を形成しても良い。前記開孔は、少なくとも後述する融着部10が設けられる領域に形成されていればよいが、体液排出部Hにおける透水性の向上などのため体液排出部H及びその近傍にも形成するのが好ましく、表面シート全体に設けるのが特に好ましい。
【0033】
前記表面シート3として、コットン繊維100重量%からなるスパンレース不織布に撥水剤が塗布されてなるとともに、肌側と非肌側とを貫通する多数の開孔が形成されたものを用いた場合には、柔らかい肌触りが得られ、長時間装着しても痒みやかぶれ等装着時の肌トラブルが生じにくくなるとともに、コットン繊維の吸湿性により、体液排出前のムレを感じにくくすることができる点で好ましい。その際に問題となる表面の液残りは、撥水剤の塗布により十分に改善される。また、表面シート3の体液排出部Hを含む領域に、多数の開孔を設けた場合には、この開孔を通じて表面シート3を速やかに体液が透過するようになる。
【0034】
<吸収体4>
前記裏面シート2と表面シート3との間に介在される吸収体4は、たとえば綿状パルプと吸水性ポリマーとにより構成されている。前記吸水性ポリマーは吸収体を構成するパルプ中に、例えば粒状粉として混入されている。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。前記吸収体4の目付は、290~1000g/m、好ましくは390~850g/m、より好ましくは630~720g/mとするのがよい。
【0035】
また、前記吸収体4には合成繊維を混合しても良い。前記合成繊維は、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系、及びこれらの共重合体などを使用することができるし、これら2種を混合したものであってもよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド-バイ-サイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。前記合成繊維は、体液に対する親和性を有するように、疎水性繊維の場合には親水化剤によって表面処理したものを用いるのが望ましい。
【0036】
また、前記吸収体4として、不織布又は紙などからなる上下2層の親水性シート間に粉粒状の高吸水性ポリマーが担持されたポリマーシートを用いてもよい。このポリマーシートは、2層のシート間に高吸水性ポリマーのみが担持され、パルプ繊維を有さないものである。前記パルプシートと表面シート3との間には、必要に応じて親水性の不織布などからなる中間シートを配設することができる。
【0037】
更に、前記吸収体4として、前記ポリマーシートの肌側又は非肌側に、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーから構成された吸収体を積層したものを使用してもよい。前記ポリマーシートと前記パルプ繊維及び高吸水性ポリマーから構成された吸収体との組み合わせは、それぞれ1層ずつ積層したものでもよいし、いずれか一方又は両方を複数層とし、これらを交互に積層したものでもよい。
【0038】
前記高吸水性ポリマーとしては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル-酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。前記吸水性能を有する高吸水性ポリマーは製造プロセスにおいて、架橋密度および架橋密度勾配を調整することにより吸収倍率(吸水力)と吸収速度の調整が可能である。
【0039】
前記吸収体4は、前記パルプ繊維を含有する場合には形状保持およびポリマー粉末保持等のためにクレープ紙や不織布等からなる被包シート5によって囲繞するのが望ましい。
【0040】
前記吸収体4の肌側面には、少なくとも着用者の体液排出部Hに対応する領域と少なくとも幅方向に重なるように配置された適宜の平面形状からなる、前記表面シート3及び吸収体4を一体的に非肌側に窪ませたエンボス溝8が形成されている。前記エンボス溝8を形成することにより、該エンボス溝8内に流入した体液を吸収体4に確実に吸収させることができる。前記エンボス溝8の平面形状としては、例えば、図1に示されるような略長円形の他、略楕円形などでもよく、少なくとも着用者の体液排出部Hに対応する領域と少なくとも幅方向に重なるように配置されれば公知の形状を広く採用することができる。
【0041】
<サイドシート>
図示例では、表面シート3は吸収体4の幅よりも所定幅だけ広く形成され、表面シート3の幅方向外側には、表面シート3の両側部から延在するサイドシート7(表面シート3とは別の部材)が配設されている。
【0042】
前記サイドシート7は、前記裏面シート2と同様に、熱融着性繊維によって形成されている。前記熱融着性繊維としては、加熱によって溶融し相互に接着性を発現する任意の繊維を用いることができる。この熱融着性繊維は、前記裏面シート2と同様に、単一繊維からなるものでもよいし、2種以上の合成樹脂を組み合わせた複合繊維等であってもよい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビニルアルコール等のポリオレフィン系単一繊維や、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート-エチレン・プロピレン共重合体、低融点ポリエステル-ポリエステルなどからなる鞘部分が相対的に低融点とされる芯鞘型複合繊維または偏心芯鞘型複合繊維、またはポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ナイロン、ポロプロピレン/ポリエチレンからなる各成分の一部が表面に露出している分割型複合繊維、あるいはポリエチレンテレフタレート/エチレン-プロピレン共重合体からなる一方の成分の熱収縮により分割する熱分割型複合繊維などを用いることができる。この場合、生産性および寸法安定性を重視する場合は芯鞘型複合繊維が好ましく、不織布のボリューム感を重視するならば偏心型複合繊維が好ましい。また、柔軟性を重視するならば、分割型複合繊維や熱分割型複合繊維を用いると、高圧水流処理時に各成分が容易に分割して極細繊維化されるようになる。
【0043】
サイドシート7としては、体液などが浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの目的に応じて、適宜の撥水処理または親水処理を施した不織布素材を用いることができる。
【0044】
前記サイドシート7は、図2および図3に示されるように、幅方向中間部より外側部分を吸収体4の内側位置から吸収体側縁を若干越えて裏面シート2の外縁までの範囲に配置され、適宜の領域がホットメルトなどの接着剤によって接着されている。前記サイドシート7の接着剤による接着は、後述する融着部10が設けられる部分では、熱溶融によるサイドシート7、7同士の溶着を低下させないように、接着しないのが好ましいが、このような溶着を妨げない範囲であれば接着しても構わない。
【0045】
前記サイドシート7は、図2及び図3に示されるように、複数に積層されて配設されている。図示例では、生理用ナプキン1の幅方向端部位置で折り返されることにより、2層に積層されている。この2層に積層されたサイドシート7、7間には、幅方向内側から延在する表面シート3の側部が介在している。これによって、吸収体4より幅方向の外方側に、肌側から順に、サイドシート7、表面シート3、サイドシート7及び裏面シート2が積層されたサイドフラップ部SFが形成されている。すなわち、サイドフラップ部SFにおいて、表面シート3の肌面側及び非肌面側がそれぞれサイドシート7によって覆われている。
【0046】
前記表面シート3の肌側に配設されたサイドシート7及び表面シート3の非肌側に配設されたサイドシート7はいずれも、生理用ナプキン1の幅方向中央で離隔し、生理用ナプキン1の両側部にそれぞれ長手方向に沿って配設されている。表面シート3の肌側に配設されたサイドシート7を生理用ナプキン1の幅方向中央まで延在させた場合には、コットン繊維などからなる表面シート3の肌触りの良さが失われるため好ましくない。また、表面シート3の非肌側に配設されたサイドシート7を生理用ナプキン1の幅方向中央まで延在させた場合には、表面シート3と吸収体4との間にサイドシート7が介在することとなり、表面シート3から吸収体4への体液の移行が低減するおそれがあるため好ましくない。
【0047】
図示例では、1枚のサイドシート7を表面シート3の側縁を巻き込むようにして生理用ナプキン1の幅方向端部位置で折り返すことにより、2層に積層しているが、表面シート3の肌側面及び非肌側面にそれぞれ別体のサイドシート7を配設することにより、2層に積層してもよい。別体のサイドシート7を配設する場合、同じ素材からなるものを用いるのが望ましいが、表面シート3の肌側に配設されたサイドシート7より非肌側に配設されたサイドシート7の方が溶融温度が低い繊維を多く配合することにより、肌側の表面シート3と非肌側の裏面シート2との接合強度を高めることができるようにするなどの効果を期待して、異なる素材からなるものを用いてもよい。
【0048】
前記表面シート3の肌側に配設されたサイドシート7と前記表面シート3の非肌側に配設されたサイドシート7とは、同一の素材で形成するのが好ましい。同一の素材で形成することによって、後段で説明する融着部10の熱融着時に一定の温度で両者を熱溶融させることができるとともに、熱溶融したサイドシート7、7同士が表面シート3を浸透して互いに接合しやすくなるなど、熱融着の効果をより一層高めることができるようになる。
【0049】
図1図4に示されるように、前記表面シート3の肌側に配設されたサイドシート7と、前記表面シート3の非肌側に配設されたサイドシート7とは、表面シート3の側縁を巻き込むようにして折り返された1枚のシートで形成するのが好ましい。これにより、製造が簡略化できるとともに、保水しやすいコットン繊維などからなる表面シート3の側縁がサイドシート7で完全に覆われるため、表面シート3に保水された体液が側縁から滲出するのが防止できるようになる。
【0050】
図1図3に示される例では、表面シート3の肌側に配設された前記サイドシート7は1層で構成されているが、後段で詳述するように、複数層としてもよいし(図7参照)、二重に折り返した二重シート内部に弾性伸縮部材11…を配設することによって、生理用ナプキン1の長手方向中間部で肌側に起立する立体ギャザーBSが形成されるようにしてもよい(図8参照)。
【0051】
<融着部>
本生理用ナプキン1では、図1図3及び図4に示されるように、前記サイドフラップ部SFの少なくとも生理用ナプキン1の前後端部を含む領域に、該サイドフラップ部SFを形成するシート(肌側から順に、サイドシート7、表面シート3、サイドシート7及び裏面シート2)が一体的に熱融着された融着部10が設けられている。前記融着部10では、表面シート3の非熱融着性繊維は溶融しないが、この表面シート3の肌側及び非肌側にそれぞれ積層された熱融着性樹脂を含むサイドシート7、7が、加熱により溶融し、この溶融した繊維が表面シート3の繊維間空隙や、前記表面シート3に形成された多数の開孔に入り込んで固化することにより、サイドシート7、7及び表面シート3が一体的に接合されるとともに、表面シート3の非肌側に配設されたサイドシート7と裏面シート2とが接合される。これによって、サイドフラップ部SFを形成する全てのシートが、前記融着部10によって一体的に接合されるようになる。特に、前記表面シート3に多数の開孔を形成した場合には、この開孔を通じて表面シート3の肌側及び非肌側に配設された溶融したサイドシート7、7の熱融着性繊維同士が接合できるため、より強固に接合できるようになる。前記融着部10による接合は、サイドシート7、7を構成する熱融着性繊維が溶融して固化することにより構造的に接合したものであるため、接着剤の塗布による2層間の接着より強固に接合でき、これらの剥離が確実に防止できる。
【0052】
前記融着部10は、前記吸収体4より幅方向の外方側であって、吸収体4と厚み方向に重ならない領域において、前記吸収体4が介在しないサイドシート7、表面シート3、サイドシート7及び裏面シート2が肌側からこの順で積層されたサイドフラップ部SFに形成されている。
【0053】
また、前記融着部10は、少なくとも生理用ナプキン1の前後端部を含む領域に形成されている。「生理用ナプキン1の前後端部を含む」とは、生理用ナプキン1の長手方向(前後方向)の端縁から形成されていることを意味している。これによって、生理用ナプキン1の前後端縁に配置された表面シート3の端縁がサイドシート7、7にしっかりと固着され、この端縁からの剥離が確実に防止できる。
【0054】
前記融着部10を形成するには、図4に示されるように、前記サイドシート7、表面シート3及び裏面シート2を、表面にエンボス凸部が備えられたエンボスロールと表面がフラットなアンビルロールとの間に導入し、サイドシート7の肌側から加圧すると同時に、前記サイドシート7及び裏面シート2を構成する熱融着性繊維の融点以上の温度に加熱することにより、前記熱融着性繊維を溶融する。前記融着部10において前記サイドシート7、表面シート3及び裏面シート2は非肌側に圧搾され、前記サイドシート7の肌側面に非肌側に窪む凹部が形成されるようになる。
【0055】
前記融着部10の一実施形態例として、図1に示されるように、生理用ナプキン1の前側領域9b及び後側領域9cにそれぞれ設けられ、中央領域9aには設けられないようにすることができる。これにより、表面シート3の剥離が生じやすい生理用ナプキン1の前後端部において剥離が防止できるとともに、中央領域9aにおいて熱溶融によって硬化した融着部10が肌面に当たって生理用ナプキン1の装着時に不快感や肌トラブルを与えるのが防止できる。
【0056】
また、前記融着部10の他の実施形態例として、図5に示されるように、生理用ナプキン1の前側端縁と後側端縁とを結ぶ生理用ナプキン1の長手方向の全長に亘って設けるようにすることができる。これにより、融着部10による接合強度を高めることができ、生理用ナプキン1の全長に亘って表面シート3の剥離が防止できるようになる。また、吸収体4の両側部に生理用ナプキン1の全長に亘って熱融着した部分が形成されるので、生理用ナプキン1の側縁からの漏れが確実に防止できるようになる。
【0057】
前記融着部10の寸法について図1に基づいて説明する。生理用ナプキン1の長手方向の長さaは、生理用ナプキン1の前後端縁からそれぞれ8mm以上とするのが好ましい。8mmより短いと融着部10の接合強度が低く、剥離を生じやすい。前記融着部10が前側領域9b及び後側領域9cにそれぞれ設けられる場合、生理用ナプキン1の長手方向内側の端部が前記中央領域9aにかからない程度の長さとするのがよい。また、前記融着部10は、前述の通り、生理用ナプキン1の全長に亘って設けることも可能である。
【0058】
前記融着部10の幅bは、サイドフラップ部SFの幅より小さく、具体的には2~15mmとするのが好ましい。2mmより小さいと融着部10の接合強度が低く、剥離を生じやすい。15mmより大きいと融着部10が硬くなりすぎて、装着感が悪化する。前記融着部10の幅bが確保できるように、前記サイドシート7、表面シート3及び裏面シート2がそれぞれ吸収体4より幅方向の外方側に所定の長さだけ延在されている。前記融着部10は、生理用ナプキン1の側縁まで達しない、吸収体4より幅方向外側のサイドフラップ部SFの幅方向の中間部に設けられている。つまり、融着部10より幅方向の外側には、前記融着部10が形成されない、少なくとも2層のサイドシート7と裏面シート2とが積層されたフラップ部が形成されている。このため、生理用ナプキン1の装着時に生理用ナプキン1の側縁の肌当たりが柔らかなものとなり、装着感が低下するのが抑えられる。
【0059】
前記融着部10は、図1に示されるように、所定の領域を全面に亘って連続的に加圧加熱融着することにより形成することができる。これにより、融着部10の接合強度が高められ、表面シート3の剥離が確実に防止できる。
【0060】
また、図6に示されるように、前記融着部10は、所定の領域を間欠的に加圧加熱融着することにより形成してもよい。図6において、黒塗り部分が加圧加熱融着した部分で、それ以外の部分は加圧加熱融着をしていない間欠部である。具体的に、図6(A)は千鳥格子状パターン、図6(B)は幅方向に沿った縞状パターン、図6(C)は斜め方向に沿った縞状パターン、図6(D)は長手方向に沿った縞状パターンで形成したものである。融着部10を間欠的に形成することにより、融着部10の硬化による装着性の低下を軽減することができる。また、間欠的に形成した場合、融着部10の全体の面積に対して、加圧加熱融着した部分の面積は、接合強度を確保するため、50%以上、好ましくは50~70%であるのが好ましい。
【0061】
前述したように、前記表面シート3の肌側に配設されたサイドシート7は、図3に示されるように、1層で構成することができる。この場合には、構造が簡略化でき、製造コストが低減できるが、横漏れを防止する効果には乏しい。
【0062】
一方、図7に示されるように、表面シート3の肌側に配設されたサイドシート7を2層以上の複数層に積層して構成してもよい。これにより、サイドフラップ部SFが肌側に高く形成されるようになり、幅方向外側への防漏性を高めることができるようになる。このように表面シート3の肌側に複数層のサイドシート7…を積層する場合、前記融着部10は、表面シート3の肌側に配設されたサイドシート7…のうち、少なくとも最下層のサイドシート7を含んでいればよく、これより上層のサイドシート7は、図10に示されるように、融着部10の肌側を覆うようにホットメルト接着剤などによって接着してもよい。これによって、融着部10の肌側がサイドシート7によって覆われるため、融着部10が直接肌に接触しなくなり、肌当たりが改善される。
【0063】
また、図8に示されるように、サイドシート7を二重に折り返した二重シート内部に、その高さ方向中間部に両端または長手方向の適宜の位置が固定された1又は複数本の、図示例では3本の糸状弾性伸縮部材11、11…が配設され、この二重シート部分が前後端部で外側に1回折り返して積層された状態で裏面シート2側(サイドシート7の肌側面)に接着されることによって、生理用ナプキン1の長手方向中間部で外側に傾斜しながら肌側に起立する直線状の立体ギャザーBS、BSが左右対で形成されるようにしてもよい。これにより、幅方向外側への防漏性を更に高めることができるようになる。
【0064】
図8に示される立体ギャザーBSを形成するには、図9(A)に示されるように、先ず、二重シートを幅方向内方側に延在させた状態で、所定の位置に前記融着部10を形成した後、図9(B)に示されるように、二重シート部分を外側に1回折り返し、生理用ナプキン1の前後端部において、裏面シート2側(サイドシート7の肌側面)にホットメルト接着剤などによって接着する。これによって、長手方向の中間部が、図8に示されるように、肌側に起立する立体ギャザーBSとなる。
【0065】
このとき、図9(B)に示されるように、外側に1回折り返した二重シート部分が、生理用ナプキン1の前後端部で前記融着部10の肌側を覆うようにするのが好ましい。これによって、熱溶融によって硬化した融着部10が直接肌に触れるのが防止でき、装着感の低下が抑制できる。
【符号の説明】
【0066】
1…生理用ナプキン、2…裏面シート、3…表面シート、4…吸収体、5…被包シート、7…サイドシート、8…エンボス溝、9a…中央領域、9b…前側領域、9c…後側領域、10…融着部、11…糸状弾性伸縮部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11