(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】健康情報処理方法、健康情報処理装置、コンピュータプログラム、及び学習モデル
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20221209BHJP
G16H 20/00 20180101ALI20221209BHJP
【FI】
G06Q30/02 398
G16H20/00
(21)【出願番号】P 2018189440
(22)【出願日】2018-10-04
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】植村 九十九
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 基一
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼淵 崇亘
【審査官】岸 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-174168(JP,A)
【文献】特許第4897937(JP,B2)
【文献】特開2011-164670(JP,A)
【文献】特開2003-248721(JP,A)
【文献】特開2004-240792(JP,A)
【文献】特開2006-155411(JP,A)
【文献】特開2011-258080(JP,A)
【文献】特開2009-031973(JP,A)
【文献】特開2012-018450(JP,A)
【文献】特表2018-514026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータがユーザの健康に関する情報を送信する健康情報処理方法であって、
前記コンピュータが、
前記ユーザのユーザ識別情報に対応する健康診断データを取得し、
前記ユーザのユーザ識別情報に対応付けて複数の目的又は改善項目の内の何れかの選択を受け付け、
選択された目的又は改善項目、及び取得された健康診断データに基づいて、
予め前記目的又は改善項目毎に、健康診断データの結果の各項目に対する数値範囲と、それぞれの数値範囲に対して追加されるべきものとして記憶してある測定項目又は問診内容との対応を規定した情報を参照することによって前記ユーザに追加されるべき測定項目又は問診内容を決定し、
決定した測定項目又は問診内容を前記ユーザ宛てに送信し、
前記測定項目についての測定結果、又は前記問診内容に対する回答を取得し、
取得された前記健康診断データ、及び、取得された前記測定結果又は回答に基づいて、前記ユーザに対する商品又はサービスを特定する
処理を含む健康情報処理方法。
【請求項2】
前記コンピュータが、特定した商品又はサービスに関する情報を前記ユーザ宛てに送信する
請求項
1に記載の健康情報処理方法。
【請求項3】
前記コンピュータは、
取得された前記健康診断データ、及び、取得された前記測定結果又は回答に基づいて前記ユーザの症状を特定し、
特定したユーザの症状を示す情報を前記ユーザ宛てに送信する
請求項1
又は2に記載の健康情報処理方法。
【請求項4】
前記コンピュータは、
取得された前記健康診断データ、及び、取得された前記測定結果又は回答に基づいて、前記ユーザが実施すべき運動メニューを特定し、
特定したユーザの運動メニューを示す情報を前記ユーザ宛てに送信する
請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の健康情報処理方法。
【請求項5】
前記コンピュータは、
追加されるべき前記測定項目として測定に必要なセンサ、又は検査キットを決定する
請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の健康情報処理方法。
【請求項6】
前記コンピュータは、
取得された前記健康診断データ、及び、取得された前記測定結果又は回答を医師宛てに送信し、
医師からのコメントを受け付け、
受け付けたコメントを含む情報を
前記ユーザ宛てに送信する
請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の健康情報処理方法。
【請求項7】
前記コンピュータは、
ユーザに対し特定された商品又はサービスを用いた後の前記ユーザの健康に関する改善の有無、又は改善の程度を含む事後状況に関する情報を取得し、
取得した前記事後状況に関する情報を用いて前記ユーザに対するアドバイス、商品、又はサービスを特定し、
特定したアドバイス、商品、又はサービスを示す情報を
前記ユーザ宛てに送信する
請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の健康情報処理方法。
【請求項8】
前記コンピュータは、対象となるユーザに対して取得された前記健康診断データ、及び、取得された前記測定結果又は回答を、前記対象となるユーザのユーザ識別情報に対応付けて記憶してある他のユーザ識別情報にて識別されるユーザ宛てに通知する
請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載の健康情報処理方法。
【請求項9】
前記健康診断データ、及び、取得された前記測定結果又は回答は項目毎に、前記他のユーザ識別情報にて識別されるユーザとの共有の可否が設定されており、
前記コンピュータは、
共有可である前記健康診断データ、及び、取得された前記測定結果又は回答を通知する
請求項
8に記載の健康情報処理方法。
【請求項10】
対象となるユーザに対して取得される前記健康診断データは、前記対象となるユーザのユーザ識別情報に対応付けて記憶してある他のユーザ識別情報に対応する健康診断データを含む
請求項1から請求項
9のいずれか1項に記載の健康情報処理方法。
【請求項11】
前記コンピュータは、取得された前記健康診断データ、及び、追加の測定項目についての測定結果、又は追加の問診内容に対する回答を入力し、前記ユーザに対する商品又はサービスを出力する
ように学習済みの学習モデルによって、該商品又はサービスを抽出する
請求項1から
10のいずれか1項に記載の健康情報処理方法。
【請求項12】
前記コンピュータは、
前記健康診断データ
を、対象となるユーザ又は該ユーザにより許可された他のユーザからの入力操作を受け付けることで取得し、
前記入力操作に対して前記ユーザに、入力される情報の数、頻度、又は重要度に応じてポイントを発行する
請求項1から
11のいずれか1項に記載の健康情報処理方法。
【請求項13】
前記コンピュータは、
前記ユーザに発行されたポイント
について、前記ユーザのユーザ識別情報に対応付けて記憶してある他のユーザ識別情報にて識別されるユーザとの間で
の共有
を許可する
請求項
12に記載の健康情報処理方法。
【請求項14】
前記ポイントの発行は、ブロックチェーンを用いて発行される
請求項
12又は
13に記載の健康情報処理方法。
【請求項15】
ユーザの健康に関する情報を処理する健康情報処理装置であって、
前記ユーザのユーザ識別情報に対応する健康診断データを取得する取得部と、
前記ユーザのユーザ識別情報に対応付けて複数の目的又は改善項目の内の何れかの選択を受け付ける受付部と、
選択された目的又は改善項目、及び取得された健康診断データに基づいて、
予め前記目的又は改善項目毎に、健康診断データの結果の各項目に対する数値範囲と、それぞれの数値範囲に対して追加されるべきものとして記憶してある測定項目又は問診内容との対応を規定した情報を参照することによって前記ユーザに追加されるべき測定項目、又は問診内容を決定する決定部と、
決定した測定項目又は問診内容を前記ユーザ宛てに送信する送信部と、
決定した測定項目についての測定結果、又は問診内容に対する回答を取得する追加情報取得部と、
前記取得部にて取得された前記健康診断データ、及び、前記追加情報取得部にて取得された前記測定結果又は回答に基づいて、前記ユーザに対する商品又はサービスを特定する特定部と
を備える健康情報処理装置。
【請求項16】
コンピュータに、
ユーザのユーザ識別情報に対応する健康診断データを取得し、
前記ユーザのユーザ識別情報に対応付けて複数の目的又は改善項目の内の何れかの選択を受け付け、
選択された目的又は改善項目、及び取得された健康診断データに基づいて、
予め前記目的又は改善項目毎に、健康診断データの結果の各項目に対する数値範囲と、それぞれの数値範囲に対して追加されるべきものとして記憶してある測定項目又は問診内容との対応を規定した情報を参照することによって前記ユーザに追加されるべき測定項目、又は問診内容を決定し、
決定した測定項目又は問診内容を前記ユーザ宛てに送信し、
前記測定項目についての測定結果、又は前記問診内容に対する回答を取得し、
取得された前記健康診断データ、及び、取得された前記測定結果又は回答に基づいて、ユーザに対して商品又はサービスを特定する
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項17】
コンピュータに、
健康に関してユーザに対し
、複数の目的又は改善項目の内の何れかの選択を受け付ける画面を表示部に表示し、
選択された目的又は改善項目と、前記ユーザの健康診断データとに基づき、サーバ装置にて決定された追加されるべき健康に関する測定項目、又は問診内容を提示する画面を
前記表示部に表示し、
前記測定項目についての測定結果、又は問診内容に対する回答
を取得し、
取得した前記
測定結果、又は前記回答を前記サーバ装置へ送信し、
前記サーバ装置から、選択された目的又は改善項目に対応して前記ユーザの健康診断データ及び前記測定結果又は問診内容に基づいて特定された商品又はサービスを示す情報を
受信し、
受信した情報を前記表示部に表示する
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項18】
前記コンピュータに、
前記ユーザの健康診断データの送信指示を受け付ける画面を前記表示部に表示し、
前記画面にて送信指示が受け付けられた場合、前記コンピュータが備える記憶媒体に記憶してある健康診断データ、又は、他装置に記憶してある健康診断データを送信する
処理を実行させる請求項
17に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康情報処理方法、健康情報処理装置、コンピュータプログラム、及び学習モデルに関する。
【背景技術】
【0002】
健康情報に関心を持つユーザは多く、個別に適切な健康情報を提示する種々のサービスが提案されている。特許文献1には、ユーザが気になっている症状が改善されることを目的として、自覚症状を問診型で受け付け、受け付けられた自覚症状から摂取されるべき食材を提示する食材提案装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらのサービスをユーザが能動的に利用することで、自覚症状を解消したり、和らげたりするための健康関連情報を提示することが可能である。ただし、自覚症状が無い場合、又は症状が見過ごされている場合等、ユーザの健康状態の低下を防止できないケースが起こり得る。健康診断を受けて診断結果を受けている場合であっても、ユーザ自身が積極的に、生活改善、精密検査を受診、又は通院等の行動を起こさなければそのまま見過ごされる可能性がある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ユーザの健康状態の効果的な維持・増進をより効果的に実現する健康情報処理方法、健康情報処理装置、コンピュータプログラム、及び学習モデルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様における健康情報処理方法は、ユーザの健康に関する情報を送信する健康情報処理方法であって、前記ユーザのユーザ識別情報に対応する健康診断データを取得し、取得された健康診断データに基づいて、追加されるべき測定項目又は問診内容を決定し、決定した測定項目又は問診内容を前記ユーザ宛てに送信し、前記測定項目についての測定結果、又は前記問診内容に対する回答を取得し、取得された前記健康診断データ、及び、取得された前記測定結果又は回答に基づいて、前記ユーザに対する商品又はサービスを特定する処理を含む。
【0007】
本開示の一態様における健康情報処理装置は、ユーザの健康に関する情報を処理する健康情報処理装置であって、前記ユーザのユーザ識別情報に対応する健康診断データを取得する取得部と、取得された健康診断データに基づいて、追加されるべき測定項目、又は問診内容を決定する決定部と、決定した測定項目又は問診内容を前記ユーザ宛てに送信する送信部と、決定した測定項目についての測定結果、又は問診内容に対する回答を取得する追加情報取得部と、前記取得部にて取得された前記健康診断データ、及び、前記追加情報取得部にて取得された前記測定結果又は回答に基づいて、前記ユーザに対する商品又はサービスを特定する特定部とを備える。
【0008】
本開示の一態様におけるコンピュータプログラムは、コンピュータに、ユーザのユーザ識別情報に対応する健康診断データを取得し、取得された健康診断データに基づいて、追加されるべき測定項目、又は問診内容を決定し、決定した測定項目又は問診内容を前記ユーザ宛てに送信し、前記測定項目についての測定結果、又は前記問診内容に対する回答を取得し、取得された前記健康診断データ、及び、取得された前記測定結果又は回答に基づいて、ユーザに対して商品又はサービスを特定する処理を実行させる。
【0009】
本開示の一態様におけるコンピュータプログラムは、コンピュータに、健康に関してユーザに対して追加されるべき健康に関する測定項目、又は問診内容を提示する画面を表示部に表示し、前記測定項目についての測定結果、又は問診内容に対する回答を送信し、選択された目的又は改善項目に対応して前記ユーザの健康診断データ及び前記測定結果又は問診内容に基づいて特定された商品又はサービスを示す情報を前記表示部に表示する処理を実行させる。
【0010】
本開示の一態様における学習モデルは、ユーザの健康診断データ、及び、前記ユーザについて選択された追加されるべき測定項目についての測定結果、又は追加の問診内容に対する回答が入力される入力層と、前記ユーザに対する商品又はサービスを出力する出力層と、前記健康診断データ及び前記測定結果又は回答と、前記商品又はサービスとにより学習した中間層とを備え、前記中間層に基づいて演算し、前記健康診断データ及び前記測定結果又は回答を前記入力層に入力した場合に、商品又はサービスを前記出力層から出力する処理に用いられる。
【0011】
本開示の一態様によれば、選択された目的又は改善項目に対し、ユーザの健康診断の結果をベースとしてどのような検査又は問診が追加で必要か決定され、追加の検査又は問診に基づく情報を加味して、ユーザが利用すべき商品又はサービスが特定される。
【発明の効果】
【0012】
本開示の健康情報処理方法による場合、健康診断データが基本的に用いられる。法定健康診断が実施されない場合等、個人的に受診したデータが利用されてもよい。健康診断の結果は、要治療、要二次精密検査等の緊急的な結果であったとしてもユーザ自身が積極的に、通院、精密検査を受診する行動をしなければそのまま見過ごされる可能性がある。検査結果が要経過観察、要注意である場合にはより顕著である。ユーザ自身が自覚していない症状、また、忙しさ等の理由で見過ごされている症状についても、これを元に何等かの健康食品の摂取、又は健康器具の導入が提示されるため、診断結果が見過ごされるケースを削減することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1における健康情報処理システムの概要を示す図である。
【
図2】実施の形態1における健康情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】データベースに記憶される情報の内容例を示す図である。
【
図4】データベースに記憶される情報の内容例を示す図である。
【
図5】サーバ装置及び端末装置間における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】追加されるべき情報に対する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】変形例における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】端末装置の表示部に表示される画面例を示す図である。
【
図10】端末装置の表示部に表示される画面例を示す図である。
【
図11】端末装置の表示部に表示される画面例を示す図である。
【
図12】端末装置の表示部に表示される画面例を示す図である。
【
図13】端末装置の表示部に表示される画面例を示す図である。
【
図14】記憶部に記憶してある設定情報の内容例を示す図である。
【
図15】端末装置の表示部に表示される画面例を示す図である。
【
図16】健康情報処理システムにて事後的に実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図17】端末装置の表示部に表示される画面例を示す図である。
【
図18】実施の形態2における健康情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図19】実施の形態2におけるサーバ装置及び端末装置間における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における健康情報処理システム100の概要を示す図である。健康情報処理システム100は、サーバ装置1及び複数の端末装置2を含む。サーバ装置1及び複数の端末装置2は、ネットワークNを介して相互に情報を送受信することが可能である。
【0016】
サーバ装置1は例えば、福利厚生サービスの提供者によって管理される。サーバ装置1は、福利厚生サービスを享受するユーザについて健康状態を示す情報を取得し、取得した健康状態に基づき、ユーザが所持する端末装置2を用いて予防を中心とした健康管理サービスを実現する。
【0017】
サーバ装置1はサーバコンピュータを用いる。サーバ装置1はネットワークNを介して端末装置2との間で情報の送受信が可能である。サーバ装置1は、Webサーバ機能を有している。端末装置2は、サーバ装置1が提供するWebサービスにアクセスすることによってサーバ装置1との間で情報を送受信することが可能である。
【0018】
サーバ装置1はデータベース110に対して情報を読み書きすることが可能である。サーバ装置1はデータベース110に、ユーザを識別するユーザ識別情報と対応付けてアカウント及び属性等を含むユーザ情報を記憶する。サーバ装置1はデータベース110に、ユーザ識別情報と対応付けて端末装置2との情報の送受信によって取得できる健康情報を記憶することも可能である。
【0019】
サーバ装置1は、ネットワークNに含まれる専用線N3を介して外部データベース300からユーザの健康情報を取得することが可能である。外部データベース300は例えば、健康診断を実施する検査機関にて管理され、定期的に実施される健康診断の結果が受診者を識別する識別コードに対応付けて記録されている。
【0020】
端末装置2は例えば夫々、スマートフォンである。端末装置2は、タブレット端末、デスクトップ型若しくはラップトップ型のPC(Personal Computer )、又は所謂スマートウォッチ等のウェアラブルデバイスであってもよい。ユーザは端末装置2を用いてサーバ装置1との間で情報を送受信し、サーバ装置1から提供される情報を得ることができる。
【0021】
ネットワークNは、公衆網N1、キャリアネットワークN2及び専用線N3を含む。公衆網N1は所謂インターネットである。キャリアネットワークN2は、次世代又は次々世代高速携帯通信規格等の規格に基づく無線通信を実現する通信キャリアが提供するネットワークである。専用線N3は、サーバ装置1と外部データベース300との間で安全に通信を実現するための通信媒体である。公衆網N1はアクセスポイントAPを含む。キャリアネットワークN2は基地局BSを含む。端末装置2は無線通信機能により、アクセスポイントAP又は基地局BSにより、公衆網N1に通信接続されているサーバ装置1との通信接続が可能である。
【0022】
図2は、実施の形態1における健康情報処理システム100の構成を示すブロック図である。サーバ装置1は、制御部10、記憶部11、及び通信部12を備える。制御部10はCPU(Central Processing Unit )又はGPU(Graphics Processing Unit)を用いたプロセッサであり、内蔵するROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のメモリ、クロック等を含む。制御部10は、記憶部11に記憶されているサーバプログラム1Pに基づいた各処理を実行し、汎用サーバコンピュータを後述する健康情報処理装置として機能させる。
【0023】
記憶部11は、ハードディスクを用いてサーバプログラム1Pのほか、制御部10が参照する設定情報を記憶する。
【0024】
サーバプログラム1Pは、後述するようにサーバ装置1の制御部10に各処理を実行させると共に、Webサーバ機能を実現するプログラムを含む。Webサーバプログラムにより、端末装置2におけるWebブラウザ機能に基づく画面上での操作によって情報の取得を実現する。なおサーバプログラム1Pは、記録媒体19に記録されてあるサーバプログラム19Pを通信部12により外部の任意のサーバ装置から取得して記録したものであってよい。
【0025】
通信部12は、ネットワークカードを含む。制御部10は通信部12により、ネットワークNを介した通信が可能である。
【0026】
端末装置2は、制御部20、記憶部21、表示部22、操作部23、音声入出力部24、及び通信部25を備える。
【0027】
制御部20は、CPU、GPU等のプロセッサと、メモリ等を含む。制御部20は、プロセッサ、メモリ、記憶部21、通信部25を集積した1つのハードウェア(SoC:System On a Chip)として構成されていてもよい。制御部20は、記憶部21に記憶されているアプリプログラム21Pに基づき、サーバ装置1によって提供される健康管理サービスに関する情報を表示部22又は音声入出力部24によって出力する。
【0028】
記憶部21は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。記憶部21は、アプリプログラム21Pを記憶する。アプリプログラム21PはWebブラウザ機能を含むとよい。記憶部21に記憶してある汎用のWebブラウザプログラムが用いられてもよい。記憶部21は、制御部20が参照するデータを記憶する。アプリプログラム21Pは、記憶媒体28に記憶されたアプリプログラム28Pを制御部20が通信部25又は図示しない入出力部を介して読み出して記憶部21に複製したものであってもよい。
【0029】
表示部22は、液晶パネルまたは有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置を含む。操作部23は、ユーザの操作を受け付けるインタフェースであり、物理ボタン、ディスプレイ内蔵のタッチパネルデバイスを含む。操作部23は、物理ボタンまたはタッチパネルにて表示部22で表示している画面上における操作を受け付けることが可能である。
【0030】
音声入出力部24は、スピーカおよびマイクロフォン等を含む。音声入出力部24は、音声認識部を備えて、マイクロフォンにて入力音声から操作内容を認識して操作を受け付けることが可能である。
【0031】
通信部25は、ネットワークNを介して、または所定の移動通信規格によってサーバ装置1との間の情報の送受信を実現する無線通信モジュールである。通信部25は、ネットワークカードを用いてもよい。
【0032】
端末装置2の制御部20は、アプリプログラム21Pに基づき操作部23により、健康情報を管理する健康情報通知サービスへのログイン情報を受け付け、サーバ装置1へ通信接続することが可能である。
【0033】
図3及び
図4は、データベース110に記憶される情報の内容例を示す図である。
図3にはデータベース110に記憶されるユーザ情報及び健康情報の内容例を示す。ユーザ情報は、ユーザが初めて健康情報処理システム100におけるサービスを用いる際にサーバ装置1にて提供される登録用の画面上において、ユーザが端末装置2で登録操作をすることによって収集される。ユーザ情報は、ユーザを識別するユーザ識別情報及び属性情報を含む。属性情報は、ユーザが所属する団体・グループを識別するグループコードを含んでもよい。属性情報は、ユーザの氏名、住所、及び生年月日等の個人情報、後述する健康診断の結果を検査機関から取得するための受診者識別コードを含んでもよい。受診者識別コードは、複数の検査機関に対応して複数含まれてもよい。
【0034】
属性情報は、ユーザ間の関係を示す情報を含んでもよい。関係は例えば家族関係である。
図3の例では、家族であるユーザのユーザ識別情報が続柄と共に記憶されており、相互の対応の把握が可能である。家族会員である「A0003052」のユーザ識別情報が付されているユーザは、「A0001011」のユーザ識別情報が付されているユーザと親子関係であることが示されている。関係は例えばグループ内の管理者とその他との関係である。例えば管理者はある企業における人事・総務の責任者であってその他は従業員である。管理者はその他の従業員の健康面について、必要に応じて産業医への面談、又は医療機関への受診を促すなどの管理の責任を負う。属性情報に関係を示す情報が含まれる場合、関係性を有するユーザ間の情報毎の共有の可否が対応付けられるとよい。家族でも親に対しては共有可であるが、子に対しては共有不可である、又はその逆などがユーザから選択されて設定されているとよい。管理者とその他との関係性においても、全ての個人情報を管理者が共有できないように情報毎に共有の可否が設定できるとよい。また、具体的な数値等ではなく、テキスト化するなどして抽象化した状態での共有であれば管理者に対し共有可能と設定されているとよい。
【0035】
健康情報は、サーバ装置1にて提供される問診用の画面上において、ユーザ(及び家族会員であるユーザ)が端末装置2で回答操作をすることによって収集されるユーザ毎の問診回答情報を含む。問診回答情報には、過去の問診回答の履歴を含む。健康情報は、ユーザが所属するグループに対して実施される定期的な健康診断又は私的に受診した人間ドック等の診断結果を、ユーザ毎に含んでもよい。問診回答情報及び診断結果の情報は履歴としてそれらの情報を特定する識別情報を診断対象であるユーザのユーザ識別情報に対応付けて記憶される。定期的な健康診断の結果は、ユーザからの操作入力によって記録されたものであってもよいし、ユーザの端末装置2又は他装置から送信されて記録されたものであってもよい。例えばユーザの旧所属先の団体にて管理されていた診断結果の履歴を一旦端末装置2に保持し、データベース110に転送して用いることもできる。この場合旧所属先の団体における記憶装置から直接的に、サーバ装置1のデータベース110へ転送されたものであってもよい。健康診断の結果は、外部データベース300から専用線N3を介して取得されて複製されたものであってもよい。健康診断の結果は、過去に実施された複数年に亘る履歴を含むことが望ましい。診断結果はデータベース110に永続的に記録されず、その都度、外部データベース300から取得されてもよい。
【0036】
図3及び
図4に示した情報は、ユーザは端末装置2を用い、ユーザに対して発行されているアカウント情報に対応させてユーザの健康に関する情報を登録することが可能である。
【0037】
例えばユーザが、サーバ装置1が提供するWebサービスに、アカウント情報を用いてログインし、健康情報の登録メニューを選択する。登録メニューが選択された場合、制御部10は健康診断の結果を特定できる情報の登録を、端末装置2にて表示される画面上で受け付ける。ここで健康診断の結果を特定できる情報とは、例えば、ユーザの健康診断の結果を外部データベース300から参照するための受診者識別コードである。
【0038】
サーバ装置1の制御部10は、ユーザの健康診断の結果の登録を、端末装置2の操作によってテキスト又は選択によって受け付けてもよい。受診者識別コードを用いた外部データベース300からの健康診断の結果の参照は、専用線N3を含むネットワークNのセキュリティが確保された状態であれば可能である。しかしながら健康診断の結果は個人情報であるために、健康情報処理システム100からの外部データベース300へのアクセスに制限がかけられる可能性がある。そこで、健康情報処理システム100内でユーザの診断結果を参照できるように、制御部10は健康診断の結果自体の登録を端末装置2にてアプリプログラム21Pに基づく画面上でユーザから受け付けてもよい。この場合制御部10は、診断項目毎の結果である数値、テキスト又は記号の入力を受け付けてもよいし、操作を容易にするために診断結果のデジタル画像(印刷物を撮影したものを含む)の入力を受け付けてもよい。
【0039】
定期的な健康診断の結果自体の登録をユーザから受け付ける場合、その入力操作のモチベーションを高めるべく、サーバ装置1の制御部10は情報入力に対し、健康情報処理システム100に基づく福利厚生サービスで有効なポイントを発行するとよい。ポイントは、提携する医療機関における費用の支払いに用いることが可能であるとよりモチベーションが高まる。この場合医療機関への実際の費用の支払いはそのポイントに応じて福利厚生サービスの実施者、具体的にはユーザを雇用する事業者の福利厚生によって賄われる。またユーザに対して発行されたポイントの累計数に応じて、後述するようにサーバ装置1から提供される情報の量、詳細な情報が含まれるか否かが制御部10にて制御されてもよい。ポイントは、上述したユーザ間の関係を示す情報が属性情報に含まれる場合に、家族関係を有するユーザ間で共有可能か、又は続柄に応じて移転が可能であることが望ましい。家族関係を有するユーザ間において、いずれか決定権を有するユーザ(マスタ)を特定する情報を対応付けて記憶しておき、決定権を有するユーザからの指示が合った場合に移転されるように制御されるとよい。なおポイントの発行は、ブロックチェーン技術を用い、情報の入力を受け付けてポイントを発行するスマートコントラクトによって自動的に実行されるとよい。発行されるポイントは、入力される情報の数、又は重要度に応じて異なるように設定されるとよい。保険加入に関する情報等、より保護すべき情報の登録に対してはより多くのポイントが発行されるように設定されるとよい。
【0040】
また制御部10は、ユーザの健康診断の結果の登録を、上述したように端末装置2における入力操作によらず、端末装置2又は他装置から送信される健康診断の結果を受信することで受け付けてもよい。この場合、端末装置2にて制御部20は、アプリプログラム21Pに基づいて送信指示を受け付ける画面を表示部22に表示させ、操作部23にて健康診断の結果の所在を示す情報の入力を受け付ける。健康診断の結果は、例えば上述したように外部データベース300に記憶してあるか、端末装置2の記憶部21に一時的に記憶してあるか、又は、更に他の記憶装置(クラウドサービス)に記憶してある。制御部20はそれらの記憶装置における健康診断の結果の所在を示す情報(アドレス、ファイル名等)の入力を受け付け、送信指示が選択された場合、記憶部21に記憶してある健康診断の結果、又は他の記憶装置に記憶してある健康診断の結果を一旦取得し、サーバ装置1へ送信する。このようにして健康診断を受けた機関が変わったり、ユーザの所属グループが変わったりした場合であってもデータを引き継ぎ、サーバ装置1は、引き継がれた履歴を元にして適切な内容を提示することができる。
【0041】
制御部10は、受け付けた健康診断の結果を特定するための情報を、ユーザを識別するユーザ識別情報と対応付けてデータベース110に記憶する。これにより、
図3に示したようにデータベース110に記憶されるユーザ情報及び健康情報が作成される。
【0042】
図4は、問診回答情報の内容例を示す図である。問診回答情報は、後述する処理によって選択された改善項目の情報、また追加される情報として追加でされる問診項目に対する回答内容を、1回の問診を夫々識別する識別情報、及び日時と対応付けて問診対象のユーザのユーザ識別情報毎に記憶される。
図4に示す内容例では、識別情報と日時は兼用の情報として使用されている。また問診回答情報は上述のように、ユーザの操作によって診断結果の入力を質問形式で受け付けた場合の内容であってもよい。
図4に示すように、問診に対する回答の内容が履歴として記憶されることで、過去の状態からのユーザの症状の推測も可能になる。
【0043】
サーバ装置1は、
図3及び
図4に示したような情報をデータベース110に記憶、蓄積し、これらの情報を基にしてユーザが用いる端末装置2を介してユーザの健康に関する情報を提示する。
図5は、サーバ装置1及び端末装置2間における処理手順の一例を示すフローチャートである。上述したように健康情報の登録が済んでいる状態で、ユーザ又はユーザの家族が端末装置2を用いてアプリプログラム21Pを選択し、アカウント情報を用いてログインすると、サーバ装置1が提供するWebサービス内で以下の処理が開始される。
【0044】
制御部10は、ログインした対象ユーザのユーザ識別情報に対応する健康診断の結果を特定できる情報をデータベース110から読み出す(ステップS101)。健康診断の結果を特定できる情報とは、例えば
図3に示したようにユーザ情報にてユーザ識別情報に対応付けて記憶されている受診者識別コードである。健康診断の結果を特定できる情報は、健康診断の結果そのもののデータベース110の健康情報に記憶してある診断結果を示す情報であってもよい。
【0045】
制御部10は、読み出した健康診断の結果を特定できる情報に基づいて健康診断の結果を可能な場合には過去複数年分、不可能な場合には直近の分を取得する(ステップS102)。取得先は外部データベース300、又はデータベース110である。ステップS102において制御部10は、外部データベース300から健康診断の結果を取得した場合、可能であればデータベース110に複製して健康診断履歴として記憶してもよい。
【0046】
制御部10は、ユーザが改善したいと希望する改善項目の選択肢を含む画面の画面情報を端末装置2へ送信する(ステップS103)。なお改善項目は例えば、今後の自分が「歩ける」ことを維持するための項目、即ち歩けなくなることを予防するための項目であるのか、「見える」ことを維持するための項目であるのか、あるいは「食べられる」ことを維持するための項目であるのかというテーマである。改善項目として他に、ユーザの年齢及び性別に基づいて、例えば45歳以上の女性に対しては骨粗しょう症の発症を予防したいか、認知症の発症を予防したいか、等の選択肢が挙げられるようにしてもよい。50歳以上の男性に対しては高血圧を予防したいか、糖尿病の発症を予防したいか等の選択肢が挙げられるようにしてもよい。また改善項目はステップS102で取得した健康診断の結果に基づいて抽出されてもよい。
【0047】
端末装置2では制御部20が、画面情報を受信し(ステップS201)、Webブラウザ機能により、受信した画面情報に基づき改善項目の選択肢を含む画面を表示部22に表示させる(ステップS202)。制御部20は、操作部23にて画面上で改善項目の選択操作、又は入力操作を受け付け(ステップS203)、操作に基づき選択又は入力された改善項目を特定する情報をサーバ装置1へ通信部25から送信する(ステップS204)。
【0048】
サーバ装置1の制御部10は、端末装置2からユーザの改善項目を取得する(ステップS104)。制御部10は、ステップS102で取得した健康診断の結果、及び、ステップS104で取得したユーザが希望する改善項目に基づいて、ユーザに対して追加されるべき情報を決定する(ステップS105)。ステップS105にて制御部10は例えば、ユーザに対して更に検査すべき検査項目、検査項目に対応するセンサ又は検査キットを決定する。制御部10は、予め記憶部11に設定情報として記憶してあるセンサを特定する情報に基づき、例えば血圧計、心拍計、体重計、又は骨密度計等のいずれかのヘルスデータセンサを決定する。特に、日常的に検査が可能なウェアラブルデバイスを決定するとよい。制御部10はステップS105において、唾液、血液、尿、又は便等、いずれかを用いて検査を行なう検査キットの種別を決定してもよい。制御部10はステップS105において、予め記憶部11に設定情報として記憶してある問診票に含まれる項目から、追加して問うべき項目を決定してもよい。
【0049】
ステップS105で制御部10は第1例として、健康診断の結果の各項目の数値の数値範囲、テキスト、又は記号の設定範囲と、追加されるべき検査項目又は問診項目との対応関係を示すテーブルを記憶部11に設定情報として記憶しておき、健康診断の結果から検査項目又は問診項目を決定する。ステップS105で制御部10は第2例として、記憶部11に設定情報として追加されるべき検査項目又は問診項目の候補と、健康診断の結果の各項目の数値の数値範囲、テキスト、又は記号の設定範囲、及び前記候補への優先度の付与の対応テーブルとを記憶しておく。第2例では制御部10は、取得したユーザの健康診断の結果の各項目の数値の数値範囲、テキスト、又は記号の設定範囲に応じて候補へ加点し、合計点数の多い順に優先度を付与し、優先度の高い順に複数の検査項目又は問診項目を追加されるべき検査項目又は問診項目として決定する。例えば制御部10は、健康診断の結果に含まれる1つの項目の数値が、閾値以上であるか、閾値からどの程度乖離しているか等によって前記1つの項目に対応付けられている追加されるべき検査項目又は問診項目に対応する点数を付与する。追加されるべき検査項目又は問診項目の決定方法は第1例及び第2例に限らない。制御部10は、追加されるべき検査項目又は問診項目と、健康診断の結果との相関に基づいて決定してもよいし、予め健康診断の結果を複数の種別に分類し、分類された種別に対応付けて検査項目又は問診内容を予め記憶部11に設定情報として記憶しておき、これを読み出して決定したものとしてもよい。
【0050】
制御部10はステップS105で決定した追加されるべき情報を提示する画面の画面情報を作成し、ユーザが使用する端末装置2へ送信する(ステップS106)。
【0051】
端末装置2にて制御部20は画面情報を通信部25にて受信し(ステップS205)、受信した画面情報に基づき、追加されるべき情報を提示する画面を表示部22に表示させ(ステップS206)、処理を終了する。
【0052】
サーバ装置1の制御部10は、ステップS106の処理で終了してもよいが、対象ユーザのユーザ識別情報に対応付けられている関係を有する他のユーザへ通知すべく以下の処理を追加的に実行するとよい。制御部10は、対象ユーザと関係を有する他のユーザ識別情報を抽出し、更に共有の可否に基づいて、共有が可であるユーザ識別情報を抽出する(ステップS107)。制御部10は、抽出されたユーザ識別情報にデータベース110のユーザ情報にて対応付けられている通知先の情報に基づいて、他のユーザが使用している端末装置2へ対象ユーザに対して追加されるべき情報、又は健康診断の結果の内容を通知する(ステップS108)。これにより、家族又はユーザが所属するグループの管理者がユーザの健康を把握し、健康診断を受診して結果を受けたそのままで放置しないよう、医療機関における受診を勧めるべく休暇を取らせたり、健康に関する生活習慣の改善を促したりすることができる。他のユーザ、家族又は管理者へ通知される健康診断の結果の内容は、概要を表すテキストへ抽象化されていることが好ましい。
【0053】
ステップS206において端末装置2の表示部22に表示されるアプリプログラム21Pの画面には例えば、追加して検査すべき項目を検査できるヘルスデータセンサ、又は検査キットを特定する情報が示されるとよい。この場合、画面には、ヘルスデータセンサ、又は検査キットのいずれかの選択を受け付けるコントロールが含まれていてもよい。ヘルスデータセンサ又は検査キットが提示される場合、サーバ装置1にていずれかの購入又はレンタルを受け付け、ユーザ宛てに配送されるように制御部10がユーザ情報から届け先を特定して配送手続きを実行してもよい。
【0054】
またステップS206において受信した画面情報に基づき表示される画面には、追加して問うべき問診項目が含まれており、その項目に対して回答が可能な入力欄又は選択可能なチェックボックス等のコントロールが含まれているとよい。
【0055】
なおステップS103からS104における改善項目の受け付けは必須ではない。この場合、ステップS105において制御部10は、改善項目に関係なく、ユーザの健康診断データに基づいてユーザの健康状態においてリスクが高そうな項目について検査項目等を決定するとよい。
【0056】
ユーザは、ユーザ自身又は家族が端末装置2の表示部22に表示された画面を視認して得られるユーザに対して提示されたヘルスデータセンサ、又は検査キットを用いて自宅で実行できる検査を行なう。検査は1回に限らず、複数回行なわれてもよい。ヘルスデータセンサを用いる場合には、日常的に測定して得られる測定結果がユーザ又はユーザの家族が用いる端末装置2にて回収されるとよい。またユーザ又はユーザの家族は、追加されるべき情報として問われる問診項目に対して端末装置2を用いて回答するとよい。
【0057】
図6は、追加されるべき情報に対する処理手順の一例を示すフローチャートである。ユーザ又はユーザの家族が追加の検査を実施した後、又は追加の問診に対する回答を行なうために端末装置2を用いてアプリプログラム21Pを選択し、アカウント情報を用いてログインする。その場合にサーバ装置1の制御部10は、提供するWebサービス内で以下の処理を開始する。
【0058】
制御部10は、ユーザのアカウント情報でログインした端末装置2から追加の検査結果又は追加の問診項目への回答を取得する(ステップS111)。制御部10は、取得した検査結果又は問診回答を、ユーザのユーザ識別情報に対応付けてデータベース110に記憶する(ステップS112)。これによりデータベース110の健康情報に、検査結果又は問診回答の履歴が記憶される。
【0059】
制御部10は、ユーザのユーザ識別情報に対応付けてデータベース110に記憶されている健康情報に含まれる健康診断の結果、選択された改善項目、及び、ステップS112で追加された情報に基づき、ユーザの健康状態(症状)を特定する(ステップS113)。健康状態の特定は必須ではない。
【0060】
制御部10は、特定した健康状態に対して適切な健康に関する商品又はサービスを抽出する(ステップS114)。ステップS114において制御部10は、健康診断の結果又は追加された情報に対し、その項目毎に効果があるとして対応付けられている商品又はサービスを記憶部11に記憶してある設定情報から抽出するとよい。例えば記憶部11には、肝臓、血糖等の項目、症状、数値範囲、又は改善項目として選択される項目毎に、効果を奏するものとしてサプリメント等の健康食品を特定する商品名、商品番号等の情報が設定情報として記憶されている。また項目、症状、数値範囲毎に、効果が期待できるものとして運動メニュー、健康器具等を特定する情報が記憶部11に設定情報として記憶されている。運動メニューには提携するジムのメニューであってもよい。健康器具は例えば転倒時の骨折予防のプロテクターであってもよい。制御部10は、記憶部11に記憶されている設定情報から、それらを特定する情報をユーザ毎の健康診断の結果又は追加された情報に基づいて抽出する。制御部10は、健康診断の結果に含まれる項目毎の内容に対応する商品名、商品番号、運動メニュー、健康器具等を特定する情報に対して優先度を付与し、優先度の高い順の所定数分を抽出してもよい。
【0061】
また制御部10は、関連度の高い商品又はサービスを統計的処理に基づき、制御部10自身が実行するレコメンドエンジンを用いて抽出してもよい。この場合制御部10は、改善項目、健康診断の結果(数値群)、追加補完された情報(検査項目毎の数値群、問診に対するテキストによる回答)を入力とし、推奨される商品又はサービスを出力とする学習モデルを予め作成して記憶部11に記憶しておき、商品又はサービスの抽出にこの学習モデルを使用してもよい。
図7は、予め作成される学習モデル111の内容例を示す図である。学習モデル111は、例えば複数年にわたる健康診断の項目毎の結果、複数回に亘って追加補完された情報を夫々入力するリカレントニューラルネットワークを用いるとよい。学習モデル111は健康診断又は追加補完された情報の数値、テキスト、又は記号等の結果を入力とし、診断結果及び追加補完された情報から推定される症状に見合った商品又はサービスを出力とする。学習モデル111は、健康診断の結果及び追加補完された情報の両方の内容と、その内容に対応する改善に寄与する実績のある器具又はサプリメント等の商品又はサービスとを含む教師データを作成して学習される。改善に寄与する実績にある器具又はサプリメントは、医療者等の専門家によって選定されたものであってもよいし、後述するように実際に使用したユーザから受け付ける改善状況が良好であったものを用いてもよい。学習モデル111は、選択された改善項目別に複数作成されてもよい。この場合、制御部10は選択された改善項目に応じて複数の学習モデル111からいずれかを選択し、選択した学習モデル111の入力に、健康診断の結果、及び追加補完された情報を与えて、出力される商品又はサービスを特定するようにしてもよい。
【0062】
制御部10は、抽出した商品又はサービスを特定する情報を含む画面の画面情報を作成し(ステップS115)、ユーザが使用する端末装置2へ送信する(ステップS116)。
【0063】
端末装置2にて制御部20は画面情報を通信部25にて受信し(ステップS211)、受信した画面情報に基づき、改善項目に対して商品又はサービスを特定する情報を提示する画面を表示部22に表示させ(ステップS212)、処理を終了する。
【0064】
図5のフローチャートに示した処理手順は、健康診断が行なわれる頻度に応じて実行される一方で、
図6のフローチャートに示した処理手順は、健康診断の結果に対するフォローアップとして健康診断の実施頻度よりも高い頻度で実行される。特に、ステップS111及びS112の処理は、ウェアラブルデバイスからのヘルスデータ取得は週に1度程度の頻度で行なわれるとよい。1ヵ月に1度まとめて回収されるようにしてもよい。ユーザ又はユーザの家族がアカウント情報を用いて積極的にログイン操作を行なった場合のみならず、健康診断の結果に基づいて決定される期間後に、ユーザ情報としてデータベース110に記憶されている通知先(ユーザの住所、連絡先メールアドレス)へ追加の検査情報又は問診の回収処理が実行できるように操作を促してもよい。
【0065】
なおステップS111で取得した追加の検査結果又は追加の問診項目への回答と共に、ユーザの健康診断の結果を、健康情報処理システム100にて登録されている医師が用いる端末装置2へ送信する処理を追加してもよい。
図8は、変形例における処理手順の一例を示すフローチャートである。この場合制御部10は、登録されている医師宛てに、アドバイス等のコメントの入力を依頼する通知を行ない(ステップS117)、医師が用いる端末装置2又は他の装置におけるWebブラウザ経由でコメント(回答)の入力を受け付ける(ステップS118)。そしてステップS115で作成したユーザへの情報提示の画面情報にそのコメントを追加し(ステップS119)、追加後に画面情報を送信して表示させる(S116)。これによりユーザは、医師のコメントを得ることができ、健康情報処理システム100にて提示される情報は信頼性が上がる。なお医師へのコメント依頼及びコメントの追加処理は、特定のユーザ識別情報についてのみ実行されてもよい。
【0066】
具体例を挙げて
図5及び
図6のフローチャートに示した処理手順を説明する。
図9から
図13、
図15は、端末装置2の表示部22に表示される画面例を示す図である。
【0067】
図9に示すアプリプログラム21Pに基づき表示される画面221には、
図5のフローチャートに示した処理手順により、ユーザ又はユーザの家族が用いる端末装置2にて表示される改善項目が選択可能に示されている。
図9の例では、ユーザが以後維持していきたい体の機能を「見える」「歩ける」及び「食べられる」と分別して夫々選択(タップ)可能なインタフェース222,223,224として示されている。選択項目は、これらのテーマに限らず、「最近疲れやすい」「睡眠不足」等の気になる症状、「ダイエット」「改善したい項目であってもよい。また
図9に示す画面例では、ユーザの属性情報を示すテキストが表示されている。テキストに限らず、マーク等が表示されてもよい。
【0068】
ユーザが表示部22に表示されている画面221内でいずれかのインタフェース222,223,224をタップすると、タッチパネルである操作部23により制御部20はいずれかの選択を認識してこれを受け付ける(S203)。
【0069】
図10は、
図9の画面で「食べられる」のインタフェース224が選択されたことで、サーバ装置1が
図5のフローチャートに示したステップS104で決定した追加されるべき情報が画面221に表示されている例を示す。
図10の例では、ユーザが男性であり、糖尿病、高血圧のリスクが高まり、それらの症状が発症した場合には食事制限等が増える。ユーザの健康診断の結果の履歴に含まれる血糖の数値に問題はないが血圧が少し高いという結果が含まれている場合、制御部10はデバイスとして血圧計を提示し、これにより画面221に血圧計を示す情報が表示されている。また、画面221には、追加されるべき情報として、血圧計を用いて1日の朝晩夫々での測定結果を提示している。ユーザ又はユーザの家族がこれを認知して追加検査を自宅で行ない、端末装置2に追加検査の結果を回収させる。端末装置2にて検査デバイスから自動的に無線通信等を利用して検査結果を回収してもよいし、端末装置2の操作部を用いてユーザが登録してもよい。これにより、ユーザの健康診断の履歴に加えて追加情報が補完される。
【0070】
図11は、
図6のフローチャートに示した処理手順のステップS114により、ユーザ又はユーザの家族が用いる端末装置2にて表示される推奨される商品又はサービスを特定する情報を含む画面221の一例を示している。
図11に示すように画面221には、ユーザの現状の症状を特定するメッセージが含まれている。商品の商品名、効能、使用方法が含まれる。
図11の例では商品として、血圧降下を効能に含むサプリメントが提示されている。
図11に示すように、画面221にはサプリメントのWeb上での購入へのリンクが1又は複数含まれているとよい。
【0071】
図12は、
図11同様にユーザに対して推奨される商品又はサービスを特定する情報を含む画面221の他の例を示している。
図12に示すように画面221には、血圧上昇を防ぐための推奨される運動メニューを示している。運動メニューの内容によっては
図10に示すように、健康情報処理システム100にて提携するジム等の運動施設におけるプラン、メニュー等の情報が付加されるとよい。より好ましくは、運動施設の予約等が可能なWebサービスがそのまま実行できるとよい。少なくとも、運動施設が運営するWebページへのリンクが含まれるとよい。
【0072】
図13は、
図9の画面で「歩ける」のインタフェース223が選択されたことで、サーバ装置1が
図5のフローチャートに示したステップS104で決定した追加されるべき情報が画面221に表示されている例を示す。
図13の例では、ユーザの健康診断の結果の履歴に含まれる血圧及び尿酸の数値に基づき、制御部10は追加されるべき情報として骨内伝播速度を決定する。また、健康診断の結果を参照して血圧値が運動を行なっても可能な範囲である場合には、制御部10は追加されるべき情報として運動量、例えば歩数を決定する。そして制御部10は、これらの情報に対応するデバイスとして超音波式骨密度計と歩数計とを提示する。
図13の画面221には、骨密度計と歩数計(スマートフォンのアプリ)とが表示されている。なおユーザの血圧値が収縮期140mmHg以上、又は拡張期血圧90mmHg以上である等、高血圧症が疑われる場合には、運動が推奨されないので、制御部10は追加されるべき情報として運動量(歩数)を除外する。なお、尿酸は痛風の有無を知り、丈夫な骨のために蛋白質を摂取してよいか否かを判断するための指標となる。
【0073】
このケースにおいて制御部10は、
図6のフローチャートに示したステップS111によって骨密度計及び歩数計から得られた結果に基づき、以下の具体例のようにして「歩ける」という改善項目に対してユーザに推奨すべき商品又はサービスを抽出する(S114)。例えば制御部10は、予め記憶部11に記憶してある数値範囲の組み合わせに基づき、いずれの商品を使用することを推奨するかのアドバイスも含めた設定情報を参照する。
図14は、記憶部11に記憶してある設定情報の内容例を示す図である。
図14の例では、対象のユーザについてステップS102で取得してある尿酸、骨密度計で測定された骨内伝播速度、歩数計で得られた歩数の組み合わせに応じて、提示する情報がテーブル化されて記憶してある。制御部10は、健康診断の結果の尿酸、骨内伝播速度、歩数の組み合わせからテーブルを参照して決定し画面情報を作成する。
【0074】
他の例として、
図9の画面で「歩ける」のインタフェース223が選択された場合、「痛風」を考慮する場合がある。この場合、制御部10は対象のユーザ健康診断の結果の履歴に含まれる血清尿酸値、ヘモグロビンA1c(NGSP(National Glycohemoglobin Standardization Program)値)、及びボディマス指数(BMI:Body Mass Index )の数値を参照する。対象ユーザの健康診断の情報から、制御部10は例えば、追加されるべき情報としてアルコール摂取量を決定する。制御部10は、その他、対象ユーザの直近の健康診断の結果に含まれる血清尿酸値が所定の数値(例えば7.0mg/dL)を超える場合、追加されるべき情報として尿中pHと、関節の痛み評価(NRS:Numerical Rating Scale、又はVAS:Visual Analogue Scale )を決定する。制御部10は、尿中pHを測定するためのデバイスとしてデジタルpH計と、アルコール摂取量及び間接の痛みスケール値の入力をタッチパネル等の簡単な操作で受け付けるためのデバイス、例えばスマートフォンのアプリとを提示する。
【0075】
制御部10は同様に、対象のユーザについて尿中pHの数値、アルコール摂取量の組み合わせに応じて、記憶部11に記憶してある設定情報に基づき、ユーザに推奨すべき商品又はサービスを抽出する。このケースにおいて記憶部11に記憶してある設定情報は、尿中pHについて正常値範囲、境界域の範囲の具体的数値、アルコール摂取量についてはアルコール絶対量(アルコール度数×飲酒量)についての1日あたりの許容範囲の具体的数値を含む。設定情報には
図14同様に、尿中pHが含まれる範囲と、アルコール絶対量の直近7日間の許容範囲との比較結果と、アルコール摂取量の直近3日間とそれ以前例えば8日から10日前の3日間との比較に基づく増減の傾向との組み合わせに応じて、提示する情報がテーブル化されるとよい。制御部10は、健康診断の結果の血清尿酸値、尿中pH値の範囲、アルコール摂取量(絶対量)の許容範囲との比較結果、アルコール摂取量の増減傾向の組み合わせからテーブルを参照して提示する情報を決定し、画面情報を作成するとよい。
【0076】
図15は、ユーザに対して推奨される商品又はサービスを特定する情報を含む画面221の他の例を示している。
図15に示すように画面221には、カルシウム、ビタミンDを含むサプリメントの摂取と、適度な運動を促すアドバイスが表示されている。
【0077】
このように、選択された改善項目に対し、対象ユーザの健康診断の結果をベースとしてどのような処置が適切か、健康情報処理システム100によってユーザへ提供される。ベースとされる健康診断の結果は、直近3年分等の限定的なデータではなく、被雇用者となってからの蓄積データとすることができる。複数の企業、グループを渡り歩き、異なる受診機関で健康診断を受けた場合も、これらの情報を集積してベースとすることが好ましい。また家族会員ユーザの病歴、症状等を参照して遺伝が影響する疾患について重み付けを大きくしてもよい。
【0078】
実施の形態1の健康情報処理システム100によってユーザは、処置として自宅で可能な検査を行なった上で、更に効果的な健康食品又は運動メニュー等を知ることができる。ユーザは症状が無く通院する程でなくとも、選択した改善項目について発症を予防するための生活習慣の改善の方法を具体的に知り、実践することが可能になる。アフターフォローとしてアプリプログラム21Pから、定期的な追加されるべき検査又は問診回答等を通知することで、予防を持続させることも期待できる。
【0079】
このように提示された推奨される商品又はサービスについて、摂取又は使用がされたか否か、それにより改善したか否かをユーザから回収することも可能である。
図16は、健康情報処理システム100にて事後的に実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6のフローチャートに示した処理手順が実行されてから任意の期間後に、ユーザ又はユーザの家族が端末装置2を用いてアプリプログラム21Pを選択してログインすると、サーバ装置1が提供するWebサービス内で以下の処理が開始される。以下の処理が開始されるまでの期間は、ユーザに提示された商品又はサービス、またユーザの症状、例えば追加されるべき情報として提示された検査項目について得られた内容によって異なる。
【0080】
サーバ装置1の制御部10は、ユーザのその後の状況を受け付ける画面の画面情報を端末装置2へ送信する(ステップS121)。その後の状況を受け付ける画面とは例えば、症状の改善が見られたか否かの選択が可能であり、具体的な改善の内容をテキストで受け付けるための入力欄が設けられていてもよい。また追加されるべき情報に対応する検査キットを特定する情報が含まれ、改善を確認するための検査が指示されていてもよい。
【0081】
端末装置2では制御部20が、画面情報を受信し(ステップS221)、Webブラウザ機能により、受信した画面情報に基づきその後の状況を受け付ける画面を表示部22に表示させる(ステップS222)。制御部20は、操作部23にて画面上でその後の状況の選択操作、又は入力操作を受け付け(ステップS223)、操作に基づき選択又は入力された状況を示す情報をサーバ装置1へ通信部25から送信する(ステップS224)。
【0082】
サーバ装置1の制御部10は、端末装置2からユーザの状況を示す情報を受信し(ステップS122)、データベース110に健康情報として記憶する(ステップS123)。制御部10は、ステップS122で受信した情報を加味して、それまでに所得したユーザの健康情報を用いて、追加されるべき情報を決定する(ステップS124)。ステップS124における処理は、
図5のフローチャートに示した処理手順のステップS105同様である。
図5のフローチャートにおける処理手順のステップS106と同様に制御部10は、ユーザに対して追加されるべき情報を提示する画面の画面情報を作成して送信する(ステップS125)。制御部10は、その後、
図6のフローチャートに示した処理手順を実行し、以後、ステップS122で受信した情報も用いてユーザの健康状態を特定し(SS113)、更に健康に関する商品又はサービス等を抽出し(S114)、画面情報を作成して提示してもよい(S115,S116)。これに対して端末装置2でも提示される画面の画面情報に基づいて画面を表示させ(S212)、処理を終了する。
【0083】
このようにして、ユーザのその後の改善状況に応じて、他の商品又はサービスを更に推奨するか、同じ商品又はサービス等を提示して繰り返し商品又はサービスを利用することを促すことも可能である。また、学習モデル111を含むレコメンドエンジンにて商品又はサービスを抽出する方法を採用する場合、制御部10は、改善状況に応じてレコメンドエンジンを更新し、より精度よくユーザの健康を改善又は維持する商品又はサービスを提案するサービスの品質を向上させることができる。具体的には制御部10は、学習モデル111から出力された商品又はサービスについて、該出力された商品又はサービスの提示先のユーザの事後の改善状況でラベル付けする。制御部10は、ラベル付けされた商品又はサービスを出力とし、該商品又はサービスが出力されたときに学習モデル111に入力した同一ユーザの健康診断データ及び追加の測定結果又は回答を入力とした教師データを作成し、データベース110に蓄積するとよい。制御部10は、蓄積された教師データを学習モデル111に与えて再学習し、これにより、事後の改善状況のフィードバックを反映させた学習モデル111が得られる。改善状況のフィードバックを反映させた学習モデル111を用いることで、よりユーザの健康に関し改善させることが可能な商品又はサービスを提示することができる。
【0084】
図17は、端末装置2の表示部22に表示される画面例を示す図である。
図17に示す画面例は、改善したか否か、改善度はどれほどかの状況を受け付ける(S223)ための画面225の一例を示している。
図17に示すように画面225には、改善したか否か、またその改善度合いを選択するチェックボックス226が含まれている。
【0085】
このようにして、更に推奨された商品又はサービスの摂取又は使用によって、どれほどに改善されたかを、データベース110にてユーザのユーザ識別情報毎に時間情報と対応付けて記憶する。これによって、健康診断の結果、追加された検査結果又は問診回答との相関関係、ユーザ毎の効果の程度等が特定され、ユーザ夫々に対するその後の更なる予防効果を期待できる。また、改善されたか否か、また改善の度合いのフィードバックを回収することで、データベース110全体の解析によって、より改善又は予防に対して精度の高い商品又はサービスの提示が可能になる。
【0086】
(実施の形態2)
実施の形態2では、健康情報処理を美容に特化して実現する。
図18は、実施の形態2における健康情報処理システム200の構成を示すブロック図である。実施の形態2におけるハードウェア構成は、実施の形態1における健康情報処理システム100と同様であるので共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態2では、端末装置2の記憶部21には、アプリプログラム21Pに代替して美容アプリプログラム22Pが記憶されている。美容アプリプログラム22Pは、記憶媒体29に記憶された美容アプリプログラム29Pを制御部20が通信部25又は図示しない入出力部を介して読み出して記憶部21に複製したものであってもよい。サーバ装置1の記憶部11に記憶してあるサーバプログラム1Pも、後述するように美容に特化した処理手順を制御部10に実行させるプログラムである。
【0087】
実施の形態2において端末装置2は、撮像装置26又は肌センサ27と接続されており、撮像装置26から出力される画像データ、又は肌センサ27から出力されるデータを取得することができる。撮像装置26又は肌センサ27と、端末装置2との間は、無線又は有線により通信する。無線は例えば近距離無線通信を用いるとよい。
【0088】
撮像装置26は、ユーザが使用する鏡に取り付けられ、ユーザが鏡を使用した場合にユーザの顔を撮像し、撮像データを端末装置2へ出力する。撮像装置26は、端末装置2に内蔵されるものを用いてもよい。
【0089】
肌センサ27は、例えば水分計を含むポータブルセンサである。肌センサ27は、無線通信部を内蔵し、端末装置2へ測定結果を出力できることが好ましい。肌センサ27は、水分計で測定した水分量を端末装置2へ出力する。肌センサ27は、油分計であってもよいし、弾力計(圧力センサ)であってもよい。肌センサ27は水分計、油分系、及び弾力計のいずれか2つ又は3つ全てを含むものであってもよい。
【0090】
実施の形態2では、サーバ装置1は美容に特化するため、健康診断の結果を必ずしも用いなくともよい。実施の形態2では、実施の形態1におけるサーバ装置1によって実行される
図5のフローチャートに示した処理手順の内、改善項目として「美容」が選択されている状態であり、肌センサ27又は撮像装置26を追加されるべき情報として提示していることと同一である。実施の形態2では、
図3のユーザ情報がデータベース110に記憶されている状態で、サーバ装置1と端末装置2との間で
図6のフローチャートに示した処理手順に対応する以下の示す処理手順を実行する。サーバ装置1は、肌の状態を示す情報を健康情報としてデータベース110に記憶しながら、その日の肌の状態に見合った化粧品、サプリメントを提示する。
【0091】
図19は、実施の形態2におけるサーバ装置1及び端末装置2間における処理手順の一例を示すフローチャートである。ユーザ情報の登録が済んでいる状態で、ユーザが端末装置2を用いて美容アプリプログラム22Pを選択し、アカウント情報を用いてログインすると、サーバ装置1が提供するWebサービス内で以下の処理が開始される。
【0092】
制御部10は、ログインした対象ユーザのユーザ識別情報に対応する蓄積された健康情報を取得する(ステップS301)。健康情報には健康診断の結果が含まれてもよい。制御部10は、追加情報として撮像装置26又は肌センサ27にて測定を行なうことを促すメッセージを含む画面の画面情報を端末装置2へ送信する(ステップS302)。
【0093】
端末装置2の制御部20は、画面情報を通信部25にて受信し(ステップS401)、受信した画面情報に基づき、撮像装置26又は肌センサ27にて測定を行なうことを促すメッセージを含む画面を表示部22に表示する(ステップS402)。
【0094】
ユーザは、撮像装置26を用いて自身を撮像するか、肌センサ27を用いて自身の顔の肌の水分量、油分量、又は弾力を測定する。
【0095】
端末装置2の制御部20は撮像装置26又は肌センサ27から出力される測定結果を取得する(ステップS403)。制御部20は、撮像装置26が用いられる場合は画像データを取得し、肌センサ27が用いられる場合は測定された水分量、油分量、又は弾力を示す数値データを取得する。制御部20は取得した測定結果をサーバ装置1へ通信部25から送信する(ステップS404)。
【0096】
サーバ装置1の制御部10は、端末装置2から測定結果を取得し(ステップS303)、測定結果に対して解析処理を行なって肌の状態を判定する(ステップS304)。撮像装置26が用いられる場合、制御部10は画像データから肌の明るさ、吹き出物などの肌トラブルの有無、シミ、皺等を特定してもよい。肌センサ27が用いられる場合、測定結果に含まれる水分量、油分量、又は弾力の数値から、肌が乾燥しているか否かを特定してもよい。
【0097】
制御部10は取得した測定結果又は判定した肌の状態を示す情報を時間情報に対応付けてデータベース110の健康情報として記憶する(ステップS305)。これにより、ユーザの肌の状態がデータベース110に蓄積される。
【0098】
制御部10は、蓄積されている肌の状態の履歴及び判定した肌の状態に基づいて、ユーザの肌に適合する商品、ここでは化粧品又はサプリメントを記憶部11に予め設定情報として記憶してある商品群から抽出する(ステップS306)。ステップS306において制御部10は、肌の状態に応じて美容サービスを抽出してもよい。
【0099】
制御部10は、抽出した商品を特定する情報を含む画面の画面情報を作成し(ステップS307)、ユーザが使用する端末装置2へ送信する(ステップS308)。ステップS307において制御部10は、化粧品の組み合わせ又は配合を提示する画面の画面情報を作成してもよい。
【0100】
端末装置2にて制御部20は画面情報を通信部25にて受信し(ステップS405)、受信した画面情報に基づき、測定した肌の状態に対応する商品を特定する情報を提示する画面を表示部22に表示させ(ステップS406)、処理を終了する。
【0101】
このように、データベース110に蓄積されたユーザの肌の状態を含む健康情報に基づき、日々追加補完される肌の状態を示す情報を用いて、その日又は翌日における状態に適した化粧品、サプリメント等を提示することが可能である。これにより、蓄積されていく健康情報と日々更新される健康状態に基づく、多角的な商品又はサービスの提供が可能になる。また実施の形態2にて用いられて記憶される肌の状態は、健康状態として蓄積することにより、実施の形態1における健康状態を示すバロメータとして使用することも可能である。
【0102】
実施の形態1及び2においては、サーバ装置1と端末装置2との間の情報の送受信によって、測定結果の取得とこれに対する情報の提示を行なう構成とした。しかしながらサーバクライアントシステムに限らず、端末装置2を用いるユーザ間での情報の交換を実現するシステムとしてもよい。例えばサーバ装置1が仲介する形式によって、第1のユーザの健康情報と似た履歴を持つ第2のユーザに提示した商品又はサービスの情報を提示する。似た健康情報を過去の履歴に持つユーザの複数年に亘る商品又はサービスの摂取又は使用と健康情報の推移をサーバ装置1が提示する。第1のユーザはいずれかの第2のユーザを選択し、第2のユーザは自身の健康情報の推移の情報を、第1のユーザへ提供し、その報酬を受けるユーザ間の情報取引を実現するプラットフォームとなり得る。
【0103】
なお、上述のように開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0104】
1 サーバ装置
10 制御部
11 記憶部
1P サーバプログラム
110 データベース
111 学習モデル
2 端末装置
20 制御部
21 記憶部
21P,28P アプリプログラム
22P,29P 美容アプリプログラム
22 表示部
23 操作部
25 通信部
28,29 記憶媒体