(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】水中で使用されるコーティングされた導光器
(51)【国際特許分類】
G02B 6/00 20060101AFI20221209BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20221209BHJP
B63B 59/04 20060101ALI20221209BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221209BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20221209BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20221209BHJP
【FI】
G02B6/00 326
F21S2/00 433
F21S2/00 439
B63B59/04 C
F21Y115:10
F21Y115:30
F21Y115:15
(21)【出願番号】P 2018568240
(86)(22)【出願日】2017-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2017066103
(87)【国際公開番号】W WO2018002205
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-06-26
(32)【優先日】2016-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2017-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヒートブリンク ローラント ボウデワイン
(72)【発明者】
【氏名】サルテルス バート アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】デ ワイス ウィレム‐ヤン アレンド
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/001227(WO,A1)
【文献】特表2010-509175(JP,A)
【文献】特開2005-208262(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0048877(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0237676(US,A1)
【文献】特表2017-526573(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0137276(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00- 6/036
G02B 6/245-6/25
G02B 6/44- 6/54
B63B 59/04
B08B 17/02
A01K 61/00-61/65
A01K 61/80-63/10
F21S 2/00
F21V 8/00
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光器を備える導光器エレメントであって、前記導光器は、第1の導光器面及び第2の導光器面を有し、前記第1の導光器面及び前記第2の導光器面の間にはUV線透過性導光器材料が配置され、前記導光器エレメントはさらに、
前記第1の導光器面と接触する第1の層エレメントであって、UV線に対して透過性である第1の層エレメントと、
前記第1の層エレメントの面と接触する第2の層エレメントであって、前記第1の層エレメント及び前記導光器を保護する、第2の層エレメントと、を備え、
前記第1の層エレメントは、光学層を含み、
前記光学層は、UV放射の波長に対し、海水の屈折率より少なくとも5%小さい屈折率を有する、導光器エレメント。
【請求項2】
前記第1の層エレメントは、(a)シリコーン及び(b)フルオロポリマーのうちの1つ又は複数を含み、前記導光器とは異なる組成を有する、請求項1に記載の導光器エレメント。
【請求項3】
前記第2の層エレメントは、フッ素化エチレン、フッ素化プロピレン、フッ素化エチレンプロピレン、及びフッ素化プロピレンアセテートのうちの1つ又は複数を含む、請求項2に記載の導光器エレメント。
【請求項4】
前記第2の層エレメントは、前記導光器よりも高い機械的強度を有するシリコーンを含む、請求項2又は3に記載の導光器エレメント。
【請求項5】
前記第2の層エレメントは
、前記導光器エレメントを補強す
る機能を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の導光器エレメント。
【請求項6】
前記第2の層エレメントは、前記導光器へのUV光吸収性有機分子の進入を妨げるように構成され、前記第1の層エレメントは、前記導光器よりも(i)大きい圧縮強度、(ii)大きい接線係数、及び(iii)大きい靭性のうちの1つ又は複数を有する、請求項5に記載の導光器エレメント。
【請求項7】
前記光学層は、前記第1の導光器面の少なくとも一部と接触し、前記光学層は光学層材料を含み、前記光学層は、280nmで1.36未満の第1の屈折率を有し、前記光学層は、5~70%の範囲内の空隙率を有する多孔質光学層であり、前記光学層材料はゾルゲル材料を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の導光器エレメント。
【請求項8】
前記第2の
導光器面と接触する第3の層エレメン
トを含み
、前記第
3の層エレメン
トは、(a)UV線を反射する、及び(b)前記導光器を物体に付着させるための接着性を有する、からなる群から選択される1つ又は複数の機能を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の導光器エレメント。
【請求項9】
前記第1の層エレメント及び前記第2の層エレメントの両方が、前記導光器よりも低い屈折率を有する層を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の導光器エレメント。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の導光器エレメントと、光源とを備える生物付着防止システムであって、前記生物付着防止システムは、前記第1の導光器面を有する放射線出口窓を有し、前記光源は、UV線を前記導光器内に供給し、前記放射線出口窓は、UV線の少なくとも一部を透過する、生物付着防止システム。
【請求項11】
前記光源は発光面を有し、前記発光面は、前記導光器内に構成され、前記第1の導光器面と前記第2の導光器面との間の距離は、前記導光器の厚さを定め、前記厚さは最大で5mmであり、前記導光器エレメントは、前記第1の層エレメント及び前記第2の層エレメントを備え、前記第1の層エレメント及び前記第2の層エレメントのうちの1つ又は複数は、フッ素化エチレン、フッ素化プロピレン、フッ素化エチレンプロピレン、及びフッ素化プロピレンアセテートのうちの1つ又は複数を含む層を含む、請求項10に記載の生物付着防止システム。
【請求項12】
外面と、前記外面に関連付けられた請求項10又は11に記載の生物付着防止システムとを含む、物体。
【請求項13】
請求項10又は11に記載の生物付着防止システムを物体に提供する方法であって、前記物体に前記生物付着防止システムを提供するステップを含む、方法。
【請求項14】
請求項1
2に記載の物体の前記外面に関連付けられた導光器エレメントの表面における生物付着を防止及び/又は低減する方法であって、前記方法は、UV線を発生させるステップと、前記UV線を前記表面に供給するステップとを含み、前記UV線の少なくとも一部は、前記表面を介して前記導光器エレメントから出る、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光器エレメントに関する。本発明は、更に、このような導光器エレメントを有する生物付着防止システムに関する。本発明は、また、このような生物付着防止システムを含む、使用の間において少なくとも部分的に水中に沈む物体、特に船舶又は基盤施設物体にも関する。更に、本発明は、このような生物付着防止システムを物体、特に船舶又は基盤施設物体に設ける方法に関する。更に、本発明は物体の外部表面における生物付着を防止及び/又は低減する方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
生物付着防止(anti-biofouling)方法は従来技術において知られている。例えば、米国特許出願公開第2013/0048877号は、保護される面の生物付着防止のためのシステムを記載しており、該システムは、紫外光を発生するように構成された紫外光源と、保護される面の近傍に配置されると共に紫外光を受光するように結合された光媒体とを有し、該光媒体は保護される面に垂直な厚み方向を有し、該厚み方向に垂直な該光媒体の2つの直交方向は保護される面に対して平行であり、該光媒体は紫外光の伝搬経路を、紫外光が上記厚み方向に垂直な2つの直交する方向のうちの少なくとも一方において該光媒体内を進行すると共に該光媒体の表面に沿う点において紫外光の各部分が該光媒体を離脱するように設けるよう構成される。
【0003】
米国特許出願公開第2013/048877号は、UV光源と、該UV光源からUV光を受光するように結合された光媒体とを含むシステムを記載している。該光媒体は、生物付着から防止されるべき表面の近傍にUV光を放出するように構成される。
【0004】
米国特許出願公開第2004/022050号は、一次光源から出力される光を伝送するための導光器の屈折率がngであり、該導光器が光入力端面と、伝送された光が出力される光出力面と、該光出力面とは反対の背面とを有することを記載している。漏れ光線変調器が、上記光出力面又は背面の少なくとも何れかに設けられる。該漏れ光線変調器は、上記光出力面又は背面上に設けられると共に屈折率n1(ng>n1)を有する第1の屈折率領域及び屈折率n2(n2>n1)を有する第2の屈折率領域からなる複合層と、該複合層上に設けられると共に屈折率n3(n3>n1)を有する第3の屈折率層とを有する。前記導光器の背面に隣接して反射板が設けられる。
【0005】
国際特許出願公開第2012/125271号(D3)は、基板上に多孔性低屈折率コーティングを形成するための方法及び組成物を記載している。一実施態様において、基板上に多孔性コーティングを形成する方法が提供される。該方法は、基板を少なくとも1つの自己集合(組織化)分子ポロゲンを有するゾル-ゲル組成物でコーティングするステップ及び上記少なくとも1つの自己集合分子ポロゲンを除去して多孔性コーティングを形成するために該コーティングされた基板を焼きなますステップを有する。自己集合分子ポロゲンの使用の結果、安定した孔の一層大きなボリュームでの形成及び当該コーティングの屈折率の更なる低減が得られる。更に、当該孔の寸法及び相互接続性を、自己集合分子ポロゲン構造、全体のポロゲンの割合、分子及び溶媒の極性並びにゲル相の他の物理化学特性の選択を介して制御することができる。
【0006】
国際特許出願公開第2014/188347号は、表面が液体環境内に少なくとも部分的に沈められている間の該表面の生物付着防止方法を記載しており、該方法は、生物付着防止光を供給するステップと、該光の少なくとも一部をシリコン樹脂(シリコーン)材料及び/又はUV等級石英ガラスを有する光学材料を介して供給するステップと、上記生物付着防止光を上記光学材料から及び上記表面から放出するステップとを有する。
【0007】
米国特許第6418257号は、UVC放射を伝送するための液体導光器であって、シース内に同軸的に配置されたフッ素重合体層の全内部反射被覆を備えるテフロン(登録商標)導光管から形成され、これらシースと導光管の間に水又は他の水溶液が配置された液体導光器を記載している。上記導光管はNaH2PO4の水溶液を収容する。該装置を作製する方法も開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
生物付着(biofouling)又は生物学的汚染(biological fouling){ここでは、“汚染”又は“生物付着”としても示される}は、表面上への微生物、植物、藻及び小動物等の蓄積である。生物付着有機体の多様性は非常に広く、フジツボ及び海藻の付着を遙かに超えて広がる。幾つかの推定によれば、4000を超える有機体を含む1700を超える種が、生物付着の原因となっている。生物付着は、バイオフィルム(菌膜)形成及び細菌付着を含むミクロ生物付着、並びに一層大きな有機体の付着を含むマクロ生物付着に分割される。何が有機体の定着を防止するかを決定する異なる化学及び生物学により、これら有機体は、硬いもの又は軟らかい汚染タイプとしても分類される。石灰質(硬い)生物付着有機体は、フジツボ、外皮形成コケムシ、軟体動物、多毛類及び他のチューブワーム並びにゼブラ貝を含む。非石灰質(軟らかい)生物付着有機体の例は、海藻、ヒドロ虫、藻及びバイオフィルム“ヘドロ”等である。一緒になって、これらの有機体は汚染共同体を形成する。
【0009】
幾つかの状況において、生物付着はかなりの問題を引き起こす。機械が動作を停止し、取水口が詰まり、船殻が増加した抗力を被る。従って、生物付着防止の話題、即ち生物付着を除去又は防止する処理は良く知られている。工業処理においては、生物付着を管理するために生物分散剤を使用することができる。余り管理されない環境において、有機体は、殺生剤を用いたコーティング、熱処理又はエネルギパルスにより死滅され又は撃退される。有機体が表面に被着することを防止する非毒性の機械的方法は、表面を滑り易くさせる材料又はコーティングを選択すること、又は劣った固着点しか提供しない鮫及び海豚の皮膚に類似したナノ寸法の表面形態を形成することを含む。船殻上への生物付着は、抗力の著しい増加、従って燃料消費の増加の原因となる。燃料消費の40%までもの増加が生物付着に起因し得ると推定される。大きな油送船又はコンテナ輸送船は燃料に一日当たり200,000ユーロまでも消費し得るので、生物付着防止の効果的方法により大幅な節約が可能である。
【0010】
驚くべきことに、海水又は湖、河川、運河等における水に接触する表面上の生物付着を大幅に防止するためにUV放射を効果的に使用することができるように思われる。ここで、特に紫外光又は放射(UV)を用いる光学的アプローチに基づいたアプローチが提供される。殆どの微生物は十分なUV光により死滅され、不活性にされ又は再生することができなくなると思われる。この効果は、UV光の合計線量により主に支配される。特定の微生物の90%を死滅させるための典型的な線量は10mW/h/m2である。
【0011】
過去において、保護される表面の生物付着防止のための照明モジュールが提案されており、該照明モジュールは、生物付着防止光を発生する少なくとも1つの光源と、自身を介して前記生物付着防止光の少なくとも一部を分配する光媒体(光学材料)とを有し、該光媒体は前記照明モジュールが保護される表面内、上及び/又は近傍に配置された場合に前記分配される生物付着防止光を該保護される表面から離れる方向に放出するための放出面を有し、該放出面は実質的に平らな面である。特に、前記光媒体はシリコン樹脂(シリコーン)材料、特にはメチル・シリコン樹脂を有する群から選択されるシリコン樹脂材料、及び/又はUV等級シリカ材料を有する。導光器に関する共通の問題は過度に多くの光が幾つかの部分において出射し(漏れ)得ることであり、このことは、出射した光の最適以下の分配につながり得る。例えば、当該表面上における光が出射する又は例えばLEDに一層近付く必要がある位置に依存して、該光は導光器として機能する(シリコン樹脂)層内に維持される必要がある。後者は幾つかの方法で実施することができる。例えば、当該LEDの近傍に小さな反射器又はレンズを適用することによるコリメーションを用いることができる。しかしながら、この方法は追加の光学エレメントを含み得るもので、当該モジュールを一層高価にし得ると共に、製造工程を一層複雑にさせ得る。更に、当該モジュールの寸法も大幅に増加し得る。
【0012】
更に、導光器は、化学物質に接触すると劣化し得るか、又は相対的に薄い(しかしながら、UV透過性の)層として設けられる場合に十分な強度を有し得ない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明の1つの態様は生物付着の防止又は低減のための代替システム又は方法であって、好ましくは上述の欠点の1つ又は複数をさらに少なくとも部分的に解消する方法を提供することである。
【0014】
本明細書において、実施形態では、シリコーン導光器等の導光器の外側の材料を変更することに基づき得るソリューションが提案される。導光器は、導光器の片側に1つ又は複数の層、及び/又は導光器の反対側に1つ又は複数の層を備え、これにより、(i)導光器から出るUV放射の制御、(ii)導光器からUV放射が出る導光器の面(側)の制御、(iii)強度、(iv)化学的安定性、(v)寿命、(vi)接着性などの特性を提供及び/又は改善する。
【0015】
したがって、第1の側面において、本発明は、導光器を備える導光器エレメントであって、前記導光器は、第1の導光器面及び第2の導光器面を有し、前記第1の導光器面及び前記第2の導光器面の間にはUV放射透過性導光器材料が配置され、前記導光器エレメントはさらに、(i)前記第1の導光器面と接触する第1の層エレメント(「第1のスタック」又は「第1の層スタック」とも称され得る)であって、UV放射に対して透過性である第1の層エレメントと、(ii)前記第2の導光器面と接触する第2の層エレメント(「第2のスタック」又は「第2の層スタック」とも称され得る)であって、具体的実施形態では(a)UV放射に対して反射性である、(b)前記導光器を物体に付着させるための接着性を有する、(c)前記導光器エレメントを補強する、及び(d)前記導光器を保護する、からなる群から選択される1つ又は複数の機能を有する第2の層エレメントとのうちの1つ又は複数を備える、導光器エレメントを提供する。
【0016】
このような導光器エレメントによれば、導光器に入る分子を本質的にブロックすることが可能であり得る。有機分子などのかかる分子は、(経時的に)導光器のUV透過率を低下させる可能性がある。さらに、このような導光器エレメントによれば、外部結合側において、光の一部が全内部反射により反射されることによりUV放射がさらに導光器中で広がるので、UV放射を導光器中で(より良好に)広げることが可能である。さらに、このような導光器によれば、導光器の透過率を高めることが可能であり、これは一部の実施形態では、機械的により弱いがUVの透過率がより高いシリコーンを使用することを示唆し得る。層エレメントによって、機械的強度が保持されるか、又は改善さえされ得る。また、導光器の厚さを減少させることができる。さらに、このような導光器によれば、望ましくない面から出るUV放射を、導光器内に反射して戻すことができる(例えば、第2の導光器面から出る可能性があるUV放射)。さらに、このような導光器によれば、接着層を提供することが可能である。例えば、シリコーン導光器は、物体に接着する際に困難を招くことがある。しかしながら、導光器と良好に結合し、接着特性を有する追加層が提供されれば、この問題は解決される。1つ又は複数の層が1つ又は複数の機能を有し得ることに留意されたい。例えば、接着層はさらに、導光器に(全内部)反射特性を提供することができる。
【0017】
上述したように、導光器エレメントは光源を備える。導光器は、第1の導光器面及び第2の導光器面を備え、また、特に板状の形状を有することができる。さらに、導光器は、第1の導光器面と第2の導光器面との間にUV放射透過性光導光器材料を含む。したがって、UV放射透過性導光器材料は、特に、第1の導光器面及び(その反対側の)第2の導光器面を有するプレートとして構成され得る。したがって、導光器は、本質的にUV放射透過性材料からなり得る。導光器の詳細は、以下に記述される。
【0018】
導光器エレメントは、第1の層エレメント及び第2の層エレメントのうちの1つ又は複数をさらに備える。各層エレメントが1つ又は複数の層を含み得る。実施形態では、層の数は、互いに独立して選択されてもよい。導光器エレメントは、一方又は両方の層エレメントを含むことができる。一部の実施形態では、導光器エレメントは第1の層エレメントを含む。一部の実施形態では、導光器エレメントは第2の層エレメントを含む。特に、導光器エレメントは、第1の層エレメント及び第2の層エレメントの両方を含むことができる。その場合、強度、光学特性、接着性、バリア機能などの特徴の特に有用な組合せを得ることができる。
【0019】
本明細書に記載される層は、連続層であってもよく、又はパターン化された層であってもよい。さらに、1つ以上の連続層及び1つ以上のパターン化された層の組み合わせが適用されてもよい。特に、層は連続層である。
【0020】
第1の層エレメントは、第1の導光器面と接触する。さらに、第1の層エレメントはUV放射に対して透過性である。定義上、特に、導光器内に供給されるUV放射の少なくとも一部は、第1の導光器面を介して出射される。したがって、第1の層エレメントは、UV放射の少なくとも一部を透過するように構成される。
【0021】
第2の層エレメントは、第2の導光器面と接触する。特に、第2の層エレメントは、(a)UV放射に対して反射性である、(b)前記導光器を物体に付着させるための接着性を有する、(c)前記導光器エレメントを補強する、及び(d)前記導光器を保護する、からなる群から選択される1つ又は複数の機能を有する。しかしながら、他の機能も排除されない。
【0022】
驚くべきことに、光学特性に関して、限られた数の材料が上部コーティングとして、又は第1の層エレメントに含まれる層として特に適するようである。特に、シリコーン材料が有用であり得る。代替的又は追加的に、フルオロポリマーが有用であると思われる。かかる材料は、UV放射に対して比較的良好な透過率を有し、適切な屈折率を有し、例えばシリコーン導光器上のコーティングとして使用され得る。したがって、一部の実施形態では、前記導光器エレメントは、少なくとも前記第1の層エレメントを備え、前記第1の層エレメントは、(a)シリコーン及び(b)フルオロポリマーのうちの1つ又は複数を含む第1の層を含み、前記第1の層及び前記導光器は異なる組成を有する。したがって、導光器はシリコーンを含み、第1の層はシリコーンを含み得る。しかし、両者の組成は異なる。特に後者は、より多くのネットワーク又はネットワーク生成分子を架橋可能な有機側基とともに含み得る。導光器内のシリコーン分子との違いは、はるかに少ない有機側基を含み、また、より高いUV透過性及びより低い機械的強度を提供することである。
【0023】
特定の実施形態では、第1の層は、フッ素化エチレン、フッ素化プロピレン、フッ素化エチレンプロピレン、フッ素化プロピレンアセテートなどのうちの1つ以上を含む。他の実施形態では、第1の層はポリエチレンテレフタレートを含み得る。「第1の層」という用語及び類似の用語は、実施形態では複数の層も指し得ることに留意されたい。さらに、第1の層は、異なる複数のポリマーのブレンドを含み得る。さらに別の実施形態では、異なる複数のポリマーのコポリマーが使用され得る。
【0024】
代替的又は追加的に、導光器はシリコーンを含むことができる。
【0025】
特に、第1の層は、導光器よりも高い機械的強度を有するシリコーンを含み得る(導光器は、本質的に、例えばLumisil L400のようなシリコーンからなり得る)。例えば、導光器及び第1の層の両方がシリコーンを含むことができる。しかし、導光器のUV透過率がより高くてもよく、一方、シリコーン層のUV透過率は(導光器の)透過率よりも低くてもよい。
【0026】
第1の層エレメントは、UV放射の少なくとも一部を透過するように構成される。しかし、第1の層エレメントは、UV放射の一部を反射してもよい。とりわけ、これは、導光器の材料の屈折率よりも小さい(UVにおける)屈折率を有するUV放射透過層によって得ることができる(以下も参照されたい)。
【0027】
代替的又は追加的に、第1の層エレメントは、導光器内の分子の浸透を阻止する1つ又は複数の層を含むことができる。外部から導光器中への分子の(小さい)拡散が存在し得るので、これは、UV透過率の低減をもたらし得る。なぜなら、一般的に、そのような分子、例えば(UV吸収性)有機分子は、分解生成物をもたらし、及び/又は導光器材料の構造を弱める可能性があるからである。したがって、実施形態では、第1の層エレメントは、導光器内への有機分子の進入を妨げるように構成される。したがって、第1の層エレメントは保護機能を有し得る。
【0028】
代替的又は追加的に、第1の層エレメントは、無機分子の進入を妨げるように構成されてもよい。さらに、代替的又は追加的に、第1の層エレメントは、イオンの進入を妨げるように構成されてもよい。実施形態において、「イオン」との用語は、荷電有機分子(例として、荷電有機分子は例えば酢酸塩である)又は無機分子(例として、荷電無機分子はケイ酸塩である)を指し得る。
【0029】
特に、ブロックされるべき種類は、UV-C光を吸収する種類、例えばUV光吸収(有機)分子である。特に、ブロックされるべき有機分子は、典型的には、エステル、カルボニル、ビニル、アルキン、ウレタンなどの少なくとも1つの二重結合を含むが、これらに限定されない。これらの分子は、海中の生物によって生成される可能性もあるし、外的影響(油の流出及び他の産業活動)により海中に存在する可能性もある。
【0030】
代替的又は追加的に、第1の層エレメントは、導光器及び/又は第1の導光器エレメントの層内への水の浸入を防止するために適用され得る(例えば、ゾルゲル光学層が適用される場合)(以下も参照されたい)。
【0031】
特定の実施形態では、第1の層エレメントは、光学層(本明細書の別の箇所でより詳細に定義される)と、光学層の少なくとも一部と接触する第2の層とを含む層スタックを含み、第2の層は水不透過性であり、及び/又は本質的に有機分子に対して不透過性である。さらに、かかる第2の層は(も)UV放射透過性層材料を含む。
【0032】
さらに、代替的又は追加的に、第1の層エレメントは、導光器エレメントに強度をもたらし得る。導光器は比較的薄く、比較的弱い可能性があるので、(第1の導光器面の側及び/又は第2の導光器面の側に)補強層を設けることが望ましい場合がある。したがって、一部の実施形態では、第1の層エレメントは、導光器よりも(i)大きい圧縮強度、(ii)大きい接線係数(ヤング率)、及び(iii)大きい靭性のうちの1つ以上を有する。例えば少なくとも5%、例えば少なくとも10%、例えば少なくとも20%、より大きくてもよい。このようにすることで、導光器エレメントの強度を高めることができる。
【0033】
したがって、具体的実施形態では、前記第1の層エレメントは、(a)UV放射に対して部分的に反射性である、(b)前記導光器エレメントを補強する、及び(c)前記導光器を保護する、からなる群から選択される1つ又は複数の機能を有する。そのような1つ以上の機能は、1つ以上の層によって提供されてもよい。
【0034】
特に良好な結果がフルオロポリマーで得られた。かかるポリマーを含む層は、第1の層エレメントの層として及び/又は第2の層エレメントとして使用され得る。したがって、一部の実施形態では、第1の層エレメント及び第2の層エレメントのうちの1つ又は複数は、フッ素化エチレン、フッ素化プロピレン、フッ素化エチレンプロピレン、フッ素化プロピレンアセテートなどのうちの1つ又は複数を含む層を含む。
【0035】
特定の実施形態では、前記導光器エレメントは、導光器及び第1の層エレメントを含む導光器エレメント(「エレメント」)を含み、前記導光器(「光学媒体」とも称される)は第1の導光器面を有し、前記第1の層エレメントは光学層を含み、前記光学層は、前記第1の導光器面の少なくとも一部と接触し、前記光学層は第1の屈折率(n1)を有し、前記第1の屈折率は具体的実施形態では280nmで1.36未満であり、前記導光器は、UV放射透過性導光器材料(「導光器材料」)を含む。他の側面では、本発明は、導光器及び第1の層エレメントを含む導光器エレメントを提供し、前記導光器は第1の導光器面を有し、前記第1の層エレメントは光学層を含み、前記光学層は前記第1の層交代面の少なくとも一部と接触し、前記光学層は、25℃(及び大気圧)における水の屈折率より小さい(特に、少なくとも2%だけ小さい)第1の屈折率(n1)を有し、前記導光器は、UV放射透過性導光器材料を含む。光学層は、UV放射透過性であり得る光学層材料を含む。
【0036】
このような導光器によれば、当該導光器内の放射の出力結合を該導光器(面)上の第1の層エレメントにより減少させることができる。更に、前記第1の層エレメントを光源から遙かに離れて設けるのではなく、該第1の層エレメントを、例えば光源の近くに設けることにより、当該放射の出力結合(導出)を制御することができ、導出される光を当該導光器エレメントにわたって(一層)均一に分布させることができる。このような導光器は、生物付着防止光(生物付着防止放射としても示され得る)を供給するために、特にUV放射の光源との組み合わせで使用することができる。このような光(もっと正確には、このような放射)は、特にUV放射を含む。本発明によれば、(導出される)光の分布を一層良好に制御することができる。
【0037】
したがって、特定の実施形態では、第1の層エレメントは光学層を含み、光学層は第1の導光器面の少なくとも一部と接触し、光学層は光学層材料を含む。特に、光学層は、280nmで1.36未満の第1の屈折率(n1)を有する。代替的又は追加的に、光学層は、5~70%の範囲内の空隙率を有する多孔質光学層である。空隙率は当該技術分野で知られる方法を用いて、例えば比重に基づき又はポロシメトリーを用いて測定され得る。特定の実施形態では、光学層材料はゾルゲル材料を含む。以下において、さらなる詳細を見つけることができる。
【0038】
代替的又は追加的に、導光器エレメントは第2の層エレメントを含み得る。上記したように、第2の層エレメントは、特に(a)UV放射に対して反射性である、(b)前記導光器を物体に付着させるための接着性を有する、(c)前記導光器エレメントを補強する、及び(d)前記導光器を保護する、からなる群から選択される1つ又は複数などの機能を提供し得る。他の又は追加の機能も可能である。
【0039】
UV放射に対する反射性は、例えばアルミニウムコーティングに基づく反射層によって提供されてもよい。代替的又は追加的に、UV放射の反射性は、導光器に全内部反射を与える層によって提供されてもよい。例えば、第2の導光器面においてより小さい屈折率を有する層が、導光器内の全内部反射により、光の一部を導光器内に戻し得る。したがって、全内部反射を利用する場合、第2の導光器面における層の屈折率は、本質的に、導光器材料の屈折率よりも小さい可能性がある。例えば、第2の層エレメントによって含まれる(光学)層の材料の屈折率は(特に、かかる層は第2の導光器面と物理的に接触している)、少なくとも0.02、例えば少なくとも0.04だけ、導光器(材料)の屈折率よりも小さい。
【0040】
さらに、第2の層エレメントは、特に、導光器エレメントの接着性を提供するために使用されてもよい。例えば、シリコーン導光器は物体、例えば船体に容易に付着しない可能性があるので、接着層が設けられ得る。したがって、特定の実施形態では、前記第2の層エレメントは1つ又は複数の第2の層エレメント層を含み、前記1つ又は複数の第2の層エレメント層は、(a)UV放射を反射する、及び(b)前記導光器を物体に付着させるための接着性を有する、からなる群から選択される1つ又は複数の機能を有する。一部の実施形態では、第2の層エレメントは、第2の導光器面と接触する第1の反射層と、第2の層エレメントの外層として構成された第1の接着層とを含むことができる。
【0041】
さらに、単一の層が複数の機能を提供してもよい。これは、第1の層エレメント及び第2の層エレメントの両方に適用され得る。
【0042】
例えば、特定の実施形態では、本発明は接着層を提供し(特に、かかる層は第2の導光器面と物理的に接触している)、接着層の材料は基本的にUV放射に対して透過性であるが、導光器材料の屈折率よりも小さい屈折率、特に少なくとも0.02、例えば少なくとも0.04たけ小さい屈折率を有する。
【0043】
したがって、特定の実施形態では、前記導光器エレメントは、前記第1の層エレメント及び前記第2の層エレメントの両方を備え、前記第1の層エレメント及び前記第2の層エレメントの両方が、前記導光器よりも低い屈折率を有する層を含む。
【0044】
紫外(UV)光は、電磁光における可視スペクトルの下側波長極限及びX線放射帯域により境界を区切られる部分である。UV光のスペクトル範囲は定義により約100及び400nm(1nm=10-9m)の間であり、人の目には見えない。CIE分類を用いて、UVスペクトルは3つの帯域、即ち、315~400nmのUVA(長波);280~315nmのUVB(中波);及び100~280nmのUVC(短波)に分割される。実際に、多くの光生物学者は、しばしば、UV暴露に起因する皮膚の影響を320nmの上下の波長の重み付けされた影響として語っている(従って、他の定義を提供する)。“可視”、“可視光”又は“可視放射”なる用語は、約380~780nmの範囲内の波長を持つ光を指す。
【0045】
短波長UVC帯域内の光により、強い殺菌効果がもたらされる。加えて、この形態の光によっては、紅斑(皮膚の赤化)及び結膜炎(目の粘膜の炎症)も生じ得る。このような理由により、殺菌UV光ランプが使用される場合、UVCの漏れを排除し、かくして、これらの影響を防止するようにシステムを設計することが重要である。沈められる光源の場合、水によるUV光の吸収は、UVCの漏れが液面より上の人に対して問題とならないほど強い。従って、一実施態様において、当該UV放射(生物付着防止光)はUVC光を有する。更に他の実施態様において、当該UV放射は100~300nmの、特には200~300nm(230~300nm等)の波長範囲から選択された放射を有する。従って、当該UV放射は、特に、UVC及び約300nmの波長までの他のUV放射から選択することができる。良好な結果は、100~300nm(200~300nm等)の範囲内の波長により得られる。
【0046】
当該導光器は、特に、光に対する高い透過性(permittivity)及び一般的に高い屈折率を備えた誘電体材料であり得る。以下にも更に説明されるように、当該導光器は、例えばシリコン樹脂(シリコーン)又は石英ガラスを含むことができるのみならず、他の材料も適用することができる。幾つかの実施態様において、当該導光器は、シリコン樹脂材料、特にはメチル・シリコン樹脂を含む群から選択されたシリコン樹脂材料及び/又はUV等級のシリカ材料を有する。特に、UV放射が当該導光器を介して透過されることを可能にするような材料が適用されると共に寸法を適用することができる。従って、幾つかの実施態様において、当該導光器は、シリコン樹脂、(溶融)シリカ、石英等のUV放射透過性導光器材料を有する。しかしながら、シリコン樹脂、(溶融)シリカ、石英のうちの1以上のものの範囲内のUV透過度を持つ他の(固体)材料又は(固体)材料の組み合わせも適用することができる。例えば、石英の少なくとも50%のUV透過度を持つ導光器材料も適用することができる。従って、当該導光器は実質的に透明であり得る。従って、幾つかの実施態様において、前記光源は当該導波器(シリコン樹脂導波器等)に埋め込むことができる。該導波器は、特に、ガラス、石英、(溶融)シリカ、シリコン樹脂、フッ素重合体等の放射透過性材料を有する。
【0047】
当該導光器は、特に、プレート状の形状を有することができる。該プレート状形状は、幾つかの実施態様においては1若しくは2方向に湾曲することができ、又はシリコン樹脂の場合に当てはまるように1若しくは2方向に湾曲可能とすることができる。特に、当該導光器は、長さ又は幅よりも大幅に小さい(少なくとも5倍小さい、更に特別には少なくとも10倍小さい等)高さを有する。当該面のうちの(当該導光器の高さを定める2つの面のうちの)少なくとも1つ、又は斯かる第1の導光器面の少なくとも一部は、光導出面として用いることができる。この面は、ここでは、第1の導光器面としても示される。UV放射は、この面から離脱することができる。当該放射の生物付着防止機能の観点から幾らかの離脱は望ましいが、当該第1の導光器面の不適切な箇所において過度に多い放射が離脱するか又は離脱し得る。
【0048】
この目的のために、本発明は、実施形態において、前記第1の導光器面の少なくとも一部と接する光学層を設ける。この光学層は、特に当該導光器と組み合わせて用いられる光源により使用されるUV放射に対して、水より小さな屈折率を有する(後述も更に参照)。該光学層は当該導光器の少なくとも一部と光学的及び/又は物理的に接触する。特に、該光学層は前記第1の導光器面の少なくとも一部と物理的に接触する。
【0049】
幾つかの実施態様において、当該光学層の屈折率は海水の屈折率より少なくとも2%小さい(少なくとも5%小さい等)。幾つかの実施態様において、該光学層は280nmにおいて1.36より小さな第1の屈折率(n1)を有する。280nmにおいて、海水を含む、水の屈折率は1.36以上である。従って、該光学層の屈折率は、この値より(少なくとも上述した5%)小さくなければならない。従って、より特定の実施態様において、第1の屈折率(n1)は、280nmにおいて1.35以下(例えば、280nmにおいて1.34以下、280nmにおいて1.30以下、特には280nmにおいて1.25以下、280nmにおいて1.22以下等)である。特に、当該光学層の第1の屈折率は、(280nmにおいて)少なくとも約1{(280nmにおいて)少なくとも約1.10、(280nmにおいて)少なくとも約1.15等}とすることができる。特定の実施態様において、該光学層の屈折率は、当該導光器(材料)の屈折率より少なくとも0.02(少なくとも0.04等)小さい。
【0050】
280nmにおいて屈折率を定める選択は、生物付着防止光を供給するために使用される前記光源が必ず280nmの放射を供給する又は280nmに主要な波長を有する放射を供給することを意味するものではない。この波長は、定義のためにのみ選択される。例えば、200nm又は300nmが使用される場合、当該光学層の斯かる波長における屈折率は、特に、1.39又は1.35より各々小さい。
【0051】
ここで使用される屈折率は、特に、大気圧及び25℃において測定される。水の基準値に関しては、文献「George M. Hale他, Applied Optics, 1973, Vol. 12, No.3, 頁555-563」が参照され、該文献は参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0052】
特に、当該光学層は25℃(及び大気圧)における水の屈折率より特には少なくとも2%小さい(例えば、少なくとも5%小さい)、例えば25℃(及び大気圧)における水の屈折率の約80~98%の範囲内(約85~95%の範囲内等)の第1の屈折率(n1)を有する。ここに示される水の屈折率又は複数の屈折率は、特に脱塩水に関するものである。勿論、このことは、本発明が脱塩水に適用されるべきということに該当するものではない。当該光学層の屈折率のみを、該光学層の屈折率が(脱塩された)水の屈折率(25℃及び大気圧における)より少なくとも2%低い等のように、脱塩水に関して定義することができる。当該光学層及び水の屈折率は、(このように)特に実質的に同一の条件(25℃及び大気圧等)下で評価される。水の場合、基準値は、例えばHale他(前記参照)により定義されているように用いることができる。
【0053】
当該光学層の屈折率に関する先に示された値は、当該光学層材料が斯様な屈折率を有することを意味し得る。しかしながら、後に明らかにされるように、該光学層に多孔性を導入する場合、当該光学層材料は(僅かに)大きな屈折率を有することもできる。該光学層自体は、水より低い屈折率及び/又は280nmにおいて1.36より低い屈折率を有する。
【0054】
前記UV放射透過性光学層材料の化学組成及び/又は前記光学層の形態は、特に、前記導光器材料の化学組成及び/又は前記導光器の形態とは相違する。従って、当該導光器と当該光学層との間には(明瞭な)界面が存在する。
【0055】
特に、当該光学層はUV放射に対して透過性である。従って、該光学層の材料はUV放射に対して透過性である。かくして、この材料は本明細書ではUV放射透過性光学層材料としても示される。例えば、該光学層の層厚により、前記光源からのUV放射の導出を制御することができる(後述も参照)。ここで、“透過性”とは、例えば、当該光源のUV放射(当該導光器から離脱する)の少なくとも5%、特には少なくとも10%、更に一層特別には少なくとも20%、40~95%の範囲における等の少なくとも40%、又はそれ以上等、が当該光学層を介して透過されることを示し得る。従って、この透過は、例えば入射角により当該導光器内に維持されない放射に当てはまることに注意されたい。この場合、透過の値は、層厚に対して垂直に伝搬する放射に対して特に引用するものである。該透過性又は透光性は、光を当該材料に対し特定の波長において第1の強度で供給すると共に、該材料を透過後に測定される上記波長における光の強度を、該材料に前記特定の波長で供給された当該光の第1の強度に関係付けることにより決定することができる(CRC Handbook of Chemistry and Physics, 69th edition, 1088-1989のE-208及びE-406も参照)。特定の実施態様において、UVにおける1以上の波長に対する透過度は当該導光器の長さにわたり少なくとも1%(少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%等)である。
【0056】
特定の実施態様において、材料は、UV内の波長における(特に、280nm等の本明細書に記載される放射源により発生される放射の波長範囲内又は1つの波長における)UV放射、又はUVB及び/又はUVC放射の、当該材料(シリコン樹脂又は水等)の1mm厚の層を介しての(特には、斯かる材料の5mm厚の層を介しての)該UV放射による垂直照射の下での透過が少なくとも約80%(少なくとも約85%、更には少なくとも約90%等)である場合にUV透過性と考えることができる。従って、幾つかの実施態様において、UV放射(特には、280nm)に対する当該透過度は、少なくとも80%/mm、更に特別には少なくとも80%/5mmである。
【0057】
当該光学層は、特に、当該導光器内に光が維持される入射角を拡大するために用いることができる。例えば、光学層を備えないシリコン樹脂製の導光器は、水中に沈められた場合に、実質的に非常に浅い角度においてのみであるが(水とシリコン樹脂との間の屈折率の差は非常に小さいからである)幾らかのTIRを示し得ることに注意されたい。該シリコン樹脂(又は他の材料)上に水より低い屈折率の当該光学層を追加することは、実際にTIRにより反射する“角度範囲”を増加させる。従って、より多くの光が導光器内に留まるであろう。
【0058】
当該光学層は、前記全第1の導光器面上に形成することができるが、他の実施態様では該第1の導光器面の一部上でのみ利用可能にすることもできる。更に、該光学層は当該第1の導光器面の異なる部分上に異なる厚さで設けることもできる。このようにして、(より多くの)UV放射が当該導光器内に反射して戻されるべき箇所(又は複数の箇所)を、前記層を設けることにより得ることができる一方、(より少ない)UV放射しか当該導光器内に反射して戻されるべきでない箇所(又は複数の箇所)を、層を設けないことにより得ることができる。この方法において(他の方法においても)、特に前記第1の導光器面から離脱する光源光の均一な分布を促進するためにパターン形成された層を設けることができる。従って、幾つかの実施態様において、前記光学層は、前記光学層材料を第1の層厚(h1)で有する1以上の第1の領域及び前記光学層材料を0≦h2≦h1の範囲内の第2の層厚(h2)で有する1以上の第2の領域を備えるパターン形成された光学層である。h2=0によれば、光学層は存在しない。第1の層の厚さは、特には少なくとも100nm、更に一層特別には少なくとも200nm、更に一層特別には少なくとも300nm、少なくとも400nm等、400nm~20μm(1~15μm、2~10μm等)の範囲内等である。しかしながら、約2mmまでもの、約1mmまで(及び、少なくとも300nm等の少なくとも200nm)等の一層厚い層も可能である。このような厚さによれば、特に1以上の本明細書に記載された材料が使用される場合、UV放射は当該光学層を透過され得る。従って、当該光学層は、本明細書で示される透過性が得られるように選択される。このことは、当業者によれば分かるものである。
【0059】
上述したように、当該光学層材料は特に水より低い等の低屈折率を有することができる。
【0060】
当該光学層は孔を含むことができる。“孔”なる用語は“キャビティ”を指すこともできる。このような孔は、希ガス、CO2又は空気等の気体を含むことができる。このような孔構造により、当該光学層の屈折率は相対的に低くもなり得る。
【0061】
特に、これら孔は気体を内包する孔である。例えば、当該光学層の作製の間において、該層内に気体が捕捉され得、これにより、一種の多孔構造を備える光学層を形成する(このような孔には外部からアクセスすることはできないが)。
【0062】
代わりに又は加えて、幾つかの実施態様において、斯かる孔に外部からアクセスすることはできるが、このようなアクセスは、耐水層又は遮水(防水)層等の層により実質的に阻止される。
【0063】
代わりに又は加えて、上記孔は気体により外部からアクセス可能であるが、これら孔は、オプションとして該孔内の撥水性材料との組み合わせで、水が該孔に実質的にアクセスしないような寸法を有することができる。
【0064】
幾つかの実施態様において、前記光学層は5~70%(10~50%等)の範囲内の多孔率を有する多孔性光学層である。該多孔率は、例えば、当該層の体積、当該光学層材料に関して既知の体積質量密度、及び当該層の重量を用いて決定することができる。これらに基づいて、多孔率を決定することができる。占有される体積は、重量及び多孔性がないと仮定することに基づく理論的体積より大きいからである。特定の実施態様において、当該孔の寸法は約300nmより小さい(約200nmより小さい等)。特定の実施態様において、該寸法は、当該導光器エレメントとの組み合わせで使用することができる光源の放射の主たる波長より小さいものとすることができる。
【0065】
幾つかの実施態様において、前記光学層材料はゾル-ゲル材料を有する。ゾル-ゲル層又は多孔層を作製する方法は、当業技術において知られており、例えば文献W02012/125271, US2011/0111203, US4,271,210, Guangming Wu他, Materials Science Engineering B78, 135-139に記載されている(これら文献は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0066】
従って、幾つかの実施態様において、前記低屈折性材料は微少孔性材料である。該材料は、幾つかの実施態様においては、例えばMTMS/TEOS(メチル・トリメトキシ・シラン/テトラ・エトキシ・シラン)からゾル-ゲル法により作製することができ、その場合、微少孔性は石鹸(例えば、ポリエチレンオキシド)を使用することにより達成することができる。当該ゾルゲルにおける微少孔は、UV光の波長より小さな寸法を有し、散乱による高い損失を防止する。当該低屈折性材料は薄い層として適用することができる。このような低屈折性層は全反射の角度を増加させ、これにより、前記出力結合を減少させる。当該光学層は、幾つかの実施態様では、アルミン酸塩及びケイ酸塩のうちの1以上を有することができる。
【0067】
“光学層”なる用語は、積層体として構成されて光学積層部(本明細書では、“第1の光学積層部”、“第1の積層部”、“積層部”又は“第1の積層部”としても示される)を形成する複数の(異なる)光学層も指すことができる。このような光学積層部は、ここでは、単に“光学層”として示される。従って、幾つかの実施態様において、前記第1の層エレメントは単一の層又は積層された複数の層を含むことができる。
【0068】
更に他の実施態様において、前記第1の層エレメントは前記光学層及び防水層又は撥水層等の1以上の他の層を含むことができる。従って、幾つかの実施態様において、当該第1の層エレメントは前記光学層を有すると共に該光学層の少なくとも一部と接する第2の層を更に有する積層部を有し、該第2の層は、幾つかの実施態様では、防水性(又は撥水性)とすることができる。同様に、該第2の層はUV放射透過性光学層材料を有する。従って、材料及び厚さは、UV放射が透過されるように選択することができる。撥水層に対する他の用語は、疎水性層である。撥水性材料は、例えば、ポリ・テトラフルオロ・エチレンを含むことができる。
【0069】
代わりに又は加えて、前記第2の層は保護層として構成することができる。例えば、第2の層は1以上の点において前記光学層より高い強度を有することができる。前記光学層及び第2の層の組み合わせは、前記光学層単独よりも、大きな圧縮強度、大きな接線係数(ヤング率)、大きな強靱性、大きなヴィッカース硬度等の1以上を有することができる。
【0070】
代わりに又は加えて、第2の層は一層高い歪点及び/又は一層高い焼鈍点をもたらすことができる。更に、第2の層は一層平らな表面を提供することができる。例えば、第2の層は10nm以下(5nm以下、2nm以下等)の表面粗さRaの平らな表面を提供することができる。このことは、例えば前記光学層がパターン形成される実施態様において重要であり得る。“第2の層”なる用語は、複数の層も示し得る。本質的に、第2の層の各々はUV放射に対して透過性である。
【0071】
従って、幾つかの実施態様において、前記第1の積層部全体がUV放射に対して透過性である。例えば、UV放射(特に、280nm)に対する当該透過度は、少なくとも80%/nm、更に一層特別には少なくとも80%/5nmである。
【0072】
更に他の実施態様においては、(更に)当該導光器の他の側に層(ここでは、第3の層として示される)を設けることができる。従って、幾つかの実施態様において、当該導光器エレメントは前記第2の導光器面の少なくとも一部に接する第3の層を更に有する。
【0073】
前記第1の導光器面と第2の導光器面との間の距離(h3)は当該導光器の厚さを定める。この厚さは一定であり得るか又は変化し得る。一般的に、該厚さは当該導光器にわたり実質的に一定である。上記第3の層は、幾つかの実施態様では、接着層及び反射層のうちの1以上として構成される。第3の層は、当該導光器エレメントを配置することができる表面に取り付けるために接着層として用いることができる。例えば、シリコン樹脂は十分に接着的ではない。従って、第3の層を物体に接着するために用いることができる。代わりに又は加えて、第3の層は反射層として用いることができる。このようにして、当該導光器内に光を維持することができる。幾つかの実施態様において、第3の層がUV放射透過性である場合、該第3の層の屈折率は当該導光器(材料)の屈折率より小さい。幾つかの実施態様において、第3の層はゾル-ゲル層とすることができる。(非常に)特定的な実施態様において、該第3の層及び前記第2の層は同一の材料を有する。
【0074】
幾つかの実施態様において、“第3の層”なる用語は複数の層を指すこともできる。従って、幾つかの実施態様において、前記導光器エレメントは、前記第2の導光器面に配置されると共に1以上の層を有し、少なくとも1つの層が該第2の導光器面の少なくとも一部と接するような第2の積層部を更に有することができる。幾つかの実施態様において、前記第2の導光器面に接する上記第2の積層部内の第1の層はUV放射に対して反射性であり、当該第2の積層部における該積層部の外側層として構成された(第2の導光器面から最も遠い)他の層は接着層である。
【0075】
上記では、前記光学層のための幾つかの可能性のある材料を説明した。更に他の実施態様において、当該導光器は導光器材料として水を使用する。該水を取り囲む材料は、上記に定義した通りとすることができる(該材料はUV放射に対して透過性であり、及び/又は導光特性を有さなければならないからである)。例えば、水又はメタノール、エタノール及びジエチルエーテルのうちの1以上等の他の液体により充填された閉じたプレートを適用することができる。しかしながら、水、メタノール、エタノール及びジエチルエーテルのうちの1以上のものの範囲内のUV透過度を有する他の液体又は液体の組み合わせも適用することができる。例えば、水の少なくとも50%のUV透過度を有する導光器材料を適用することもできる。他の実施態様においては、閉じたチャンネル(導溝)を適用することもできる。更に、オプションとして、当該導光器を介して水を流すこともできる。この構成は、内部表面を綺麗に保つ及び/又は冷却目的のために有益であり得る。更に、オプションとして、光源光の導出(出力結合)を制御するための手段として乱流も導入することができ、小さな乱流は一層少ない出力結合を生じる一方、一層多い乱流は一層多い出力結合を生じる。従って、幾つかの実施態様において、当該導光器はUV放射透過性流体(特には、液体)により充填された閉じたキャビティを有する。前記水は、特には淡水、更に一層特別には脱塩水とすることができる。従って、特定の実施態様において、当該導光器は前記キャビティを画定するシリコン樹脂を有する第1の材料を有し、前記UV放射透過性液体は水を有する。かくして、水を光媒体(又は導光器媒体)として用いることができる。
【0076】
前述したように、光源と組み合わされる当該導光器は、特に、船殻等の汚染する表面に生物付着防止光を供給するために用いることができる。更に一層特別には、後に更に解説されるように、当該導光器エレメントは船舶等の物体上の外被として用いることができる。船殻等の物体の外側表面(“汚染表面”)は生物付着を被り得るが、当該導光器エレメントが斯様な物体上の外被として使用される場合、当該汚染表面は該導光器エレメントにより提供される導光器面(追加の層を含む)に転換される。従って、当該物体の少なくとも一部に対して、該導光器エレメントは該物体の外側表面(従って、潜在的に汚染を受けること)となり得る。
【0077】
従って、更に他の態様において、本発明は本明細書に記載される導光器エレメント及び光源を有する生物付着防止システム(“システム”)も提供し、前記光源は前記UV放射を前記導光器内に供給するように構成され、当該生物付着防止システムは前記UV放射の少なくとも一部を前記第1の導光器面から下流に(及び、オプションとして、前記光学層から下流に)供給するように構成される。従って、UV放射は当該導光器から前記第1の導光器面の少なくとも一部を介して導出され、かくして該第1の導光器面から下流に(及び、オプションとして、前記光学層から下流に)供給される。特に、本発明は、本明細書に記載される導光器エレメント及び光源を有する生物付着防止システムを提供し、該生物付着防止システムは前記第1の導光器面を有する放射出射窓を有し、前記光源は前記導光器内に前記UV放射を供給するように構成され、前記放射出射窓は該UV放射の少なくとも一部を透過させるように構成される。このように、該放射出射窓は、幾つかの実施態様では、前記第1の層エレメントも有することができる。
【0078】
当該導光器エレメントに関して特定の実施態様が上記にも定義されたが、完全さのために以下に幾つかが繰り返し説明される。
【0079】
特定の実施態様において、前記光源は発光面を有し、該発光面は前記導光器内に配置される。例えば、固体光源を導光器内に埋め込むことができる。実質的に、該固体光源全体を導光器(材料)内に埋め込むことができる。
【0080】
前述したように、前記第1の導光器面と前記第2の導光器面との間の距離(h3)が当該導光器の厚さを規定する。特に、該厚さ(h3)は最大で5mm(0.5~2.5mm、1~2mmの範囲内等)である。
【0081】
前述したように、前記導光器エレメントは前記第1の層エレメント及び前記第2の層エレメントの1以上、特には両方の層エレメントを有することができる。更に、前述したように、第1の層エレメント及び第2の層エレメントの1以上は、フッ化エチレン、フッ化プロピレン、フッ化エチレンプロピレン及びフッ化プロピレンアセテート等のうちの1以上を有する層を備える。更に、幾つかの実施態様において、前記第1の層エレメントは前記導光器よりも大きな圧縮強度、大きな接線係数及び大きな強靱性のうちの1以上を有する。圧縮強度、接線係数及び強靱性は、当業技術において既知の方法により測定することができる。
【0082】
幾つかの実施態様において、前記システムは前記導光器を介して液体を流すように構成されたポンプを有する(液体ベースの導光器が使用される場合。前述も参照)。
【0083】
前記光源は、特に、LED等の固体光源を有する。導光器及び光源の組み合わせは、ここでは、UV放射エレメントとしても示される。
【0084】
幾つかの実施態様において、前記光源は前記導光器の外部に配設される。このような実施態様において、当該光源は光源光を前記導光器の面に供給するように構成され、これにより、該光源の光が該導光器に導入(入力結合)される(該導光器の端面を介して等)。当該光源及び導光器は特に放射的に結合される。“放射的に結合される”なる用語は、特に、当該光源及び導光器が、該光源により放出された放射の少なくとも一部が該導光器により受光される(及び該導光器から少なくとも部分的に離脱する)ように互いに関連付けられることを意味する。
【0085】
更に他の実施態様において、前記光源は発光面を有し、該発光面は前記導光器内に配置される。例えば、LEDをシリコン樹脂内に埋め込むことができる。後者の実施態様の例は、例えば国際特許出願公開第2014/188347号に記載されており、該文献は参照により本明細書に組み込まれる。勿論、異なる実施態様を組み合わせることもできる。
【0086】
前記導光器に関して説明した特定の実施態様は、このように、当該生物付着防止システムに含まれる導光器に関しても当てはまり得る。従って、特定の実施態様において、前記光学層は光学層材料を第1の層厚(h1)で有する1以上の第1の領域及び前記光学層材料を0≦h2≦h1の範囲内の第2の層厚(h2)で有する1以上の第2の領域を備えるパターン形成された光学層であり、特にはh2=0であり(実際に、これらの第2の領域には光学層は存在しない)、該パターン形成された光学層は前記放射出射窓から下流に前記UV放射の均一な分布をもたらすように構成される。幾つかの実施態様においては、複数の第1の領域及び複数の第2の領域が存在し得る。これらの領域は、幾つかの実施態様では、規則的に配置することができる。
【0087】
更に他の実施態様において、前記導光器はUV放射透過性液体により充填された閉じたキャビティを有し、該導光器は前記キャビティを画定するシリコン樹脂を有する第1の材料を有し、前記UV放射透過性液体は水を有し、前記第1の屈折率(n1)は280nmにおいて1.25以下である(前記も更に参照)。
【0088】
前記光学層は、前記光源光を前記導光器にわたって分散させることを助け得る。加えて、前記導光器により完全に内包される光学構造、及び/又は前記第1の導光器面又は該第1の導光器面の反対側の面等の前記導光器の(複数の)面内又は面上の光学構造等の該導光器により含まれ得る光学構造も適用することができる。従って、幾つかの実施態様において、前記導光器は前記放射出射窓から下流に前記UV放射の均一な分布をもたらすように構成された光学構造を更に有する。
【0089】
前記第1の導光器面の反対側の(当該導光器の、又は配置された)面は、例えば、反射性コーティング等の反射材料を有することができる。更に、特に前記高さを定める面の1以上、即ち1以上のエッジを前記光源(又は複数の光源)により照明することができる。従って、特にエッジライティングが適用される。当該光源(又は複数の光源)により照明されない1以上の面が存在するなら、このような1以上の面は反射性コーティング等の反射材料を有することができる。
【0090】
導光器及び光源の組み合わせは、ここでは、UV放射エレメントとしても示すことができる。更に、前記第1の導光器面は放射出射窓としても示すことができる。幾つかの実施態様において、該放射出射窓は前記導光器面を有することができる。
【0091】
前述したように、当該生物付着防止システムはUV放射エレメントを有する。“UV放射エレメント”なる用語は、複数のUV放射エレメントを指すこともできる。従って、当該システムは複数の斯様なエレメントを含むことができる。該システムは、電気エネルギ源を含むことができるが、(使用の間に)電気エネルギ源に機能的に結合することもできる。幾つかの実施態様において、各UV放射エレメントはエネルギ源に機能的に結合することができる。このことは、UV放射エレメントの分散的給電を可能にする。当該エネルギ源は、特に、前記光源に給電するために使用される。
【0092】
本明細書において、前記UV放射エレメントは“照明モジュール”としても示され得る。該UV放射エレメントはプレート状のモジュール(ここでは、“光媒体”又は“導光器”としても示される)とすることができ、1以上の関連するエレメントが少なくとも部分的に又は完全にさえ埋め込まれる。従って、幾つかの実施態様において、該UV放射エレメントは、シリコン樹脂等の透光性(固体)材料を有する。しかしながら、該UV放射エレメントは、1以上の関連するエレメントを少なくとも部分的に又は完全にさえ取り囲むハウジングを含むこともできる。該1以上の関連するエレメントは、少なくとも前記光源を有し、該光源は光源光、特に前記UV放射を供給するように構成される。該UV放射エレメントは、平らな又は湾曲した放射出射窓を有することができる。“UV放射エレメント”なる用語は、特に該エレメントが使用の間においてUV放射を供給するように構成されることを示す。
【0093】
前記UV放射エレメントは、UV放射出射窓を有する。該UV放射出射窓は、前記光源のUV放射の少なくとも一部を透過させるように構成される。従って、該出射窓はUV放射に対して透過性である。一般的に、該窓は可視光に対しても透過性であろう。前述したように、そして更に後述されるように、幾つかの実施態様において、当該エレメントは放射透過性プレートとすることができる。このように事例において、該窓は当該エレメントの面(又は平面)であり得る。更に他の実施態様において、当該エレメントは、このような窓を有するハウジングを備える。このような実施態様において、該放射出射窓は(も)、シリコン樹脂等の透光性(固体)材料を有する。“放射透過性”なる用語は、放射に対して、特にはUV放射に対して及び、オプションとして、可視光に対して透過性であることを指す。
【0094】
上記UV放射出射窓は、上流窓側(上流窓面)及び下流窓側(下流窓面)を有する。“上流”及び“下流”なる用語は、光発生手段(ここでは、特に前記光源)からの光の伝搬に対する物品又は特徴構造の配置に関するものであり、前記光発生手段からの光ビーム内の第1の位置に対して、該光ビームにおける上記光発生手段に一層近い第2の位置は“上流”であり、該光ビームにおける上記光発生手段から一層遠い第3の位置は“下流”である。従って、前記上流窓面(“上流面”)は特に前記エレメントの内部に向けられ、光源光を直接的に(又は内部反射の後に)受け得る。前記下流窓面(“下流面”)は特に前記エレメントの外部に向けられ得る。この窓面は、例えば、当該システムの使用の間において水と(一時的に)接触され得る。当該エレメントのプレート状の実施態様においては、前記上流窓面及び下流窓面は(同一の)エッジ(又は面)の両側であり得ることに注意されたい。ハウジングが適用される実施態様において、当該窓は、上記上流窓面と下流窓面との間にゼロでない厚さを有し得る。上記下流窓面は前記光学層を有することができる。特に、該光学層は該下流窓面上に配設される。
【0095】
幾つかの実施態様において、当該システムはTIR(全内部反射)の原理に基づくものとすることができる。当該光源(前記導光器の内部又は外部に配設される)は、前記UV放射(及び/又は他のタイプの放射;下記を参照)を全内部反射の原理に基づいて前記放射出射窓へ供給するように構成することができる。
【0096】
前記エレメントは、少なくともUV放射のための光源を有する。このUV放射は生物付着防止のために使用される。従って、該UV放射は生物付着防止放射として使用される。ここで、光源における“光”なる用語及び同様の用語は、従って、UV放射も指すことができる。
【0097】
前述したように、他の態様において、本発明は、外部表面及び該外部表面に関連付けられた、本明細書で定義される前記生物付着防止システムを有する物体を提供する。特に、一態様において、本発明は使用の間において少なくとも部分的に水中に沈められる物体を提供し、該物体は本明細書で定義される前記生物付着防止システムを有し、前記UV放射エレメントは、照射段階の間においてUV放射により(i)当該物体の外部表面の一部及び(ii)前記外部表面の前記一部に隣接する水のうちの1以上を照射するように構成される。本明細書に示されるように、当該物体は特に船舶及び基盤設備物体からなる群のみならず他の物体からも選択することができる。“使用の間において少なくとも部分的に水中に沈められる”なる語句は、淡水、海水又はこれらの混合物(汽水)を参照することができる。従って、本発明は、なかでも、海洋用途等の水上(中)用途のために用いることができる。
【0098】
幾つかの実施態様において、前記導光器エレメントは前記第2の導光器面に接する第2の層エレメントを有し、該第2の層エレメントは前記外部表面(前記物体の)に接する第1の接着層を有する。
【0099】
ここで、“使用の間において少なくとも部分的に水中に沈められる物体”なる語句は、特に、船舶及び水上(水中)用途を持つ基盤設備物体等の物体を指す。従って、このような物体は、使用の間において、海、湖、運河、川又は他の水路における船舶等のように、一般的に水に接触するであろう。
【0100】
“船舶”なる用語は、例えば、帆船、油送船、クルーズ船、ヨット、フェリー、潜水艦等のボート又は船を指すことができる。
【0101】
“基盤設備物体”なる用語は、特に、ダム、水門、浮き桟橋、油田掘削装置等の一般的に実質的に静止して配置される水上(水中)用途物を指すことができる。また、基盤設備物体”なる用語は、パイプ(例えば、海水を例えば発電所に汲み上げるための)及び(水力)発電所の他の部分(冷却システム、タービン等)を指すこともできる。
【0102】
“物体”なる用語は、幾つかの実施態様では、海上移動又は海上基地風力発電機のための支持構造物、油田掘削装置、波/潮エネルギ収穫のための構造物、浮き装置等も指すことができる。
【0103】
“外部表面”なる用語は、特に、水と物理的に接触し得る表面を指す。パイプの場合、これは内部パイプ面及び外部パイプ面の1以上に当てはまり得る。従って、“外部表面”なる用語の代わりに、“汚染表面”なる用語も適用することができる。更に、このような実施態様において、“喫水線”なる用語は、例えば充填レベル(液面レベル)を指すこともできる。
【0104】
特に、当該物体は海洋用途、即ち海若しくは海洋の中又は近傍での用途のために構成された物体である。このような物体は、使用の間において、少なくとも一時的に又は実質的に常に、少なくとも部分的に水と接触する。斯かる物体は、使用の間において少なくとも部分的に喫水(線)より下に位置し得るか、又は潜水艦用途の場合のように実質的に常に喫水(線)下にあり得る。本発明は、例えば、海洋生物付着防止、湿った表面を綺麗に維持する、沖合での用途、海(中)用途、掘削プラットフォーム等のために適用することができる。
【0105】
この水との接触により、生物付着が前述した不利益を伴って発生し得る。生物付着は、このような物体の外部表面(“表面”)の面において発生するであろう。保護されるべき物体(のエレメント)の表面は、スチール(鋼)を有し得るが、オプションとして、例えば木材、ポリエステル、複合材、アルミニウム、ゴム、ハイパロン、PVC、ガラスファイバ等からなる群から選択されるもの等の他の材料も有し得る。従って、スチール船殻の代わりに、船殻は、PVC船殻又はポリエステル船殻等でもあり得る。スチールの代わりに、(他の)鉄合金等の他の鉄材料を使用することもできる。
【0106】
本明細書において、“汚染(fouling)”又は“生物付着(biofouling)”なる用語は入れ替え可能に使用される。前記には、汚染の幾つかの例が示された。生物付着は、水中の又は水の近傍で水(又は他の導電性水溶液)に一時的に曝される如何なる表面上でも発生し得る。このような表面上では、当該エレメントが水中又は喫水線の直ぐ上等の水の近傍にある場合に(例えば、船首波による等のしぶく水による等)生物付着が発生し得る。回帰線間では、生物付着は数時間内に発生し得る。穏やかな温度においてさえも、初期(段階)の汚染が数時間内に、第1の(分子)レベルの糖及びバクテリアとして発生するであろう。
【0107】
当該生物付着防止システムは少なくともUV放射エレメントを有する。更に、該生物付着防止システムは制御システム(後述も参照)、電気エネルギ供給源等を有することができる。
【0108】
“生物付着防止システム”なる用語は、オプションとして例えば単一の制御システムを介して制御される互いに機能的に結合された複数の斯様なシステムを指すこともできる。更に、当該生物付着防止システムは、複数の前述したようなUV放射エレメントを有することができる。本明細書において、“UV放射エレメント”なる用語は、このように、複数のUV放射エレメントを示すことができる。例えば、一実施態様においては、複数のUV放射エレメントを、船殻等の物体の外部表面に関連付けることができるか、又は斯かる表面に含まれるようにすることができる一方、例えば、制御システムは該物体の何処か(船舶の制御室又は操舵室内等)に配設することができる。
【0109】
汚染が発生され得る前記表面又は領域は、本明細書では、汚染表面としても示される。該表面又は領域は、例えば、船の船殻及び/又は光媒体の放射面であり得る。この目的のために、前記UV放射エレメントは、生物付着の形成を防止し及び/又は生物付着を除去するために印加されるUV放射(生物付着防止光)を供給する。このUV放射(生物付着防止光)は、特に、UV放射(“UV光”としても示される)を少なくとも有する。従って、前記UV放射エレメントは特にUV放射を供給するように構成される。この目的のために、該UV放射エレメントは光源を有する。“光源”なる用語は、2~200個の(固体)光源(LED等)等の複数の光源にも関係し得る。もっとも、幾つかの実施態様においては、一層多くの光源も適用することができる。従って、LEDなる用語は、複数のLEDを指すこともできる。特に、前記UV放射エレメントは複数の光源を有することができる。従って、前述したように、該UV放射エレメントは1以上の(固体)光源を有する。当該LEDは(OLED又は)固体LED(又は、これらLEDの組み合わせ)とすることができる。特に、当該光源は固体LEDを有する。従って、特に、当該光源は、UVA及びUVC光(下記も参照)の1以上を供給するよう構成されたUV LEDを有する。UVAは細胞壁を損傷させるために用いることができる一方、UVCはDNAを損傷させるために用いることができる。従って、当該光源は特にUV放射を供給するように構成される。本明細書において、“光源”なる用語は、特に固体光源を指す。該光源(又は複数の光源)は、固体レーザ(又は複数のレーザ)を含むこともできる。
【0110】
特に、前記光源又は複数の光源はLEDである。従って、幾つかの実施態様において、当該生物付着防止システムは複数の光源を有し、これら光源はLEDを有する。代わりに又は加えて、当該光源は固体レーザを有する。
【0111】
前述したように、前記UV放射エレメントは、特に、前記UV放射により(照射段階の間に)(i)前記外部表面の一部及び(ii)前記外部表面の前記一部に隣接する水のうちの1以上を照射するように構成される。“一部”なる用語は、例えば、船殻又は水門(扉)等の物体の外部表面の一部を指す。しかしながら、“一部”なる用語は、船殻又は水門の外部表面等の、実質的に外部表面全体を指すこともできる。特に、当該外部表面は、1以上の光源のUV光により照射され得る、又は1以上のUV放射エレメントのUV放射により照射され得る複数の部分を有することができる。各UV放射エレメントは1以上の部分を照射することができる。更に、オプションとして、2以上のUV放射エレメントのUV放射を受ける部分も存在し得る。
【0112】
一般的に、2つの主要な実施態様の間で区別することができる。斯かる実施態様の1つは、少なくとも照射段階の間において、前記外部表面の一部が前記UV放射により前記光源とUV放射エレメントとの間に海水等の水(又は、喫水線の上の場合は空気)を伴って照射されるものを含む。このような実施態様において、前記一部は、特に、当該物体の“元来の”外部表面に含まれる。しかしながら、他の実施態様において、上記 “元来の”外部表面は、当該物体の該“元来の”外部表面(例えば、船の船殻等)に取り付けられるモジュール(特には、相対的に平らなモジュール)により拡張することができ、これにより、該モジュール自体が実際に当該外部表面を形成する。例えば、このようなモジュールは船の船殻と組み合わせることができ、これにより、該モジュールは当該外部表面(の少なくとも一部)を形成する。両実施態様において、当該UV放射エレメントは特に放射出射面を有する(後述を更に参照)。しかしながら、特に当該UV放射エレメントが前記外部表面の一部を提供する後者の実施態様においては、該放射出射窓が該一部を提供することができる(該一部及び放射出射窓が実質的に一致し得る;特には同一の面であり得るからである)。
【0113】
従って、一実施態様において、前記UV放射エレメントは前記外部表面に取り付けられる。更に他の特定の実施態様において、当該生物付着防止システムの前記放射出射窓は前記外部表面の一部として構成される。従って、幾つかの実施態様において、当該物体は船殻を備えた船舶を有することができ、前記UV放射エレメントは該船殻に取り付けられる。“放射出射窓”なる用語は、複数の放射出射窓を指すこともできる(下記も参照)。
【0114】
両方の一般的実施態様において、前記UV放射エレメントは、前記UV放射により(照射段階の間において)前記外部表面の前記一部に隣接する水を照射するように構成される。当該モジュール自体が実際に当該外部表面を形成する実施態様において、該UV放射エレメントは少なくとも、当該外部表面の前記一部を(照射段階の間において)前記UV放射により照射するように構成される。これが、実際に、前記外部表面の一部、及びオプションとして該外部表面の該一部に隣接する水ともなるからである。これにより、生物付着を防止及び/又は低減することができる。
【0115】
一実施態様において、汚染から綺麗に保たれるべき保護される表面の相当の量、好ましくは、例えば船の船殻等の保護される表面全体を、殺菌光(“汚染防止光”)、特にはUV光を放出する層により覆うことができる。
【0116】
更に他の実施態様において、当該UV放射(生物付着防止光)は保護されるべき表面に導光器(ファイバ等)を介して供給することができる。
【0117】
従って、一実施態様において、当該生物付着防止システムは光媒体を有することができ、該光媒体は前記UV放射(生物付着防止光)を汚染表面に供給するように構成された光ファイバ等の導光器を有する。例えばUV放射(生物付着防止光)が脱する当該導光器の表面は、ここでは、放射表面としても示される。一般的に、当該導光器の該部分は少なくとも一時的に水中に沈められる。上記放射表面から出射するUV放射(生物付着防止光)により、当該物体における使用の間に少なくとも一時的に液体(海水等)に曝されるエレメントは照射され、これにより汚染が防止される。しかしながら、該放射表面自体も汚染が防止される。このような効果は、以下に記載されるような光媒体を有するUV放射エレメントの実施態様の幾つかにおいて利用される。
【0118】
光媒体を備える実施態様は、国際特許出願公開第2014/188347号にも記載されている。国際特許出願公開第2014/188347号における実施態様も、参照により本明細書に組み込まれる。これら実施態様は、本明細書に記載される制御ユニット及び/又は感水スイッチ(water switch)並びに他の実施態様と組み合わせることができるからである。
【0119】
前述したように、前記UV放射エレメントは特にUV放射出射窓を有することができる。従って、特定の実施態様において、該UV放射エレメントはUV放射出射窓を有し、当該UV放射エレメントの該UV放射出射窓から下流に前記UV放射を供給するように特に構成される。このようなUV放射出射窓は、当該UV放射エレメントから放射が出射する光学窓であり得る。代わりに又は加えて、該UV放射出射窓は導光器(導波器)の表面であり得る。従って、UV放射は該導光器内へと当該UV放射エレメントに導入することができ、該エレメントから該導光器の面(の一部)を介して出射することができる。これも前述したように、幾つかの実施態様において、当該放射出射窓はオプションとして前記物体の外部表面の一部として構成することもできる。
【0120】
前述したように、前記物体又は生物付着防止システムは複数の放射出射窓を有することができる。幾つかの実施態様において、これは複数の生物付着防止システムを示し得る。しかしながら、代わりに又は加えて、幾つかの実施態様において、これは複数のUV放射エレメントを有する生物付着防止システムを示し得る。従って、このような生物付着防止システムは、特に、UV放射を供給するための複数の光源を含み得る。しかしながら、代わりに又は加えて、幾つかの実施態様において、このことはUV放射を供給するように構成された複数の光源を有するUV放射エレメントを(も)示し得る。単一のUV放射出射窓を備えるUV放射エレメントは(それでも)複数の光源を含むことができることに注意されたい。
【0121】
当該生物付着防止システムは、特に、前記物体の一部又は該一部に隣接する水にUV放射を供給するように構成される。このことは、照射段階の間においてUV放射が供給されることを特に意味する。従って、オプションとして、UV放射が全く供給されない期間も存在し得る。これは、(従って)例えば前記UV放射エレメントの1以上の制御システムの切り換えによるものであり得るのみならず、日中及び夜間又は水温等の予め定められた設定によるものでもあり得る。例えば、一実施態様において、UV放射はパルス的に供給される。
【0122】
従って、特定の実施態様又は態様において、当該生物付着防止システムは、使用の間において少なくとも一時的に水に曝される物体の汚染表面上の生物付着を、該汚染表面又は該表面に隣接する水に生物付着防止光(即ち、UV放射)を供給することにより防止又は低減するように構成される。特に、該生物付着防止システムは前記生物付着防止光を前記汚染表面に光媒体を介して供給するように構成することができ、その場合において、前記UV放射エレメントは、前記UV放射(生物付着防止光)の少なくとも一部を受けるように構成された前記光媒体、前記UV放射(生物付着防止光)の少なくとも一部を供給するように構成された放射表面を有する前記光媒体を更に有する。更に、前記光媒体は特には導波器(導光器)及び光ファイバのうちの1以上を有し、前記UV放射(生物付着防止光)は特にはUVB及びUVC光のうちの1以上を有する。これらの導光器及び光媒体は、ここでは、更に詳細には説明しない。
【0123】
上記光媒体は、保護される表面に取り付ける(シリコン樹脂)箔として設けることもでき、該箔は生物付着防止光を発生するための少なくとも1つの光源及びUV放射を当該箔にわたって分散させるためのシート状光媒体を有する。幾つかの実施態様において、該箔は2~3ミリメートルから数センチメートル(0.1~5cm、0.2~2cm等)の大きさの程度の厚みを有する。幾つかの実施態様において、該箔は厚さ方向に垂直な如何なる方向においても実質的に制限されず、かくして、数十又は数百平方メートルの大きさの程度の寸法を有する非常に大きな箔を提供する。当該箔は、該箔の厚さ方向に垂直な2つの直交する方向において大幅に大きさが制限され、かくして、生物付着防止タイルを提供することができるようにする一方、他の実施態様において、当該箔は該箔の厚さ方向に垂直な1方向にのみ大幅に寸法が制限され、かくして、生物付着防止箔の長い細条を提供するようにする。従って、当該光媒体は(及び前記UV放射エレメントも)タイル又は細条として提供することができる。該タイル又は細条は、(シリコン樹脂)箔を有することができる。
【0124】
一実施態様において、前記UV放射エレメントはUV放射を発生するための光源の二次元格子を有する一方、前記光媒体は該光源の二次元格子からのUV放射の少なくとも一部を該光媒体にわたって分散させ、かくして当該光モジュールの光放出面から出射するUV放射の二次元分布をもたらすように構成される。上記光源の二次元格子は、金網構造、稠密構造、行/列構造、又は何らかの他の好適な規則的若しくは不規則な構造で配置することができる。当該格子における隣接する光源の間の物理的距離は、該格子にわたり一定とすることができるか、又は例えば当該生物付着防止効果を提供するために必要とされる光出力パワーの関数として若しくは保護される表面上のUV放射エレメントの位置(例えば、船の船殻上の位置)の関数として変化することができる。光源の二次元格子を設ける利点は、UV放射をUV放射照明により保護されるべき領域の近くで発生させることができること、当該光媒体又は導光器における損失を減少させること、及び光分布の均一性を増加させることを含む。好ましくは、当該UV放射は放射表面にわたって概ね均一に分布されるものとする。このことは、さもなければ生物付着が発生し得る照明不足領域を減少又は回避さえもする一方、同時に、生物付着防止のために必要とされるよりも多い光での他の領域の過剰照明によるエネルギ浪費を減少又は防止する。一実施態様において、上記格子は前記光媒体内に含まれる。更に他の実施態様において、該格子は(シリコン樹脂)箔内に含まれ得る。
【0125】
更に、一実施態様において、当該光媒体は保護される表面の近傍に配置される(オプションとして、取り付けられることを含む)と共に前記UV光を受けるように結合することができ、その場合において、該光媒体は上記保護される表面に垂直な厚さ方向を有し、該光媒体の該厚さ方向に直交する2つの直交方向は該保護される表面に平行であり、該光媒体は前記UV放射の伝搬経路を、該UV放射が当該光媒体内において前記厚さ方向に直交する2つの直交方向のうちの少なくとも1つの方向に進行すると共に、当該光媒体の表面に沿う点において前記紫外光の各部分が当該光媒体から出射するように設けるよう構成される。
【0126】
他の態様において、本発明は、使用の間において少なくとも一時的に水に曝される物体の外部表面(の一部)のための(生物)付着防止方法を提供し、該方法は、前記物体に対し本明細書に規定される生物付着防止システムを設けるステップと、(前記物体の使用の間において)前記UV放射を、オプションとして、(i)フィードバック信号及び(ii)前記UV放射(生物付着防止光)の強度を(周期的に)変化させるためのタイマのうちの1以上の関数として発生させるステップと、(照射段階の間において)前記UV放射を前記外部表面(の前記一部)に供給するステップと、を有する。上記のようなフィードバック信号は、センサにより供給することができる。
【0127】
更に他の態様において、本発明は、使用の間において少なくとも一時的に水に曝される物体に生物付着防止システムを設ける方法を提供し、該方法は、前記生物付着防止システムを前記物体(船舶等)に、前記UV放射エレメントが前記UV放射を前記物体の外部表面の一部及び(使用の間に)該一部に隣接する水の1以上に供給するように配置されるようにして設ける(前記物体に組み込む及び/又は外部表面に取り付ける)ステップを有する。特に、前記UV放射エレメントが前記外部表面に取り付けられるか、又は該表面の(第1の)部分として構成され得る。
【0128】
本明細書に記載される本発明によれば、表面は生物付着防止放射により生物付着が低減又は防止されるように処理され得る。従って、更に他の態様において、本発明は、本明細書に定義されるような物体の外部表面に組み合わされる導光器エレメントの表面における生物付着を防止及び/又は低減する方法も提供し、該方法は、UV放射を発生するステップ、及び前記UV放射を前記表面に該UV放射の少なくとも一部が前記導光器エレメントから該表面を介して出射する際に供給するステップを有する。更に他の態様において、本発明は、物体の外部表面における生物付着を防止及び/又は低減する方法であって、前記外部表面が前記物体の使用の間において少なくとも一時的に水に曝される方法を提供し、当該方法は、生物付着防止システム(本明細書に記載されるような)によりUV放射を発生するステップと、該UV放射を前記物体の前記外部表面及び該外部表面に隣接する水に供給するステップとを有し、前記生物付着防止システムは本明細書に記載されるような導光器エレメントを有する。前記導光器エレメントはUV放射を前記物体の表面に供給するために使用することができ、又は該導光器エレメントは前記物体の表面を形成することができる。
【0129】
“組み合わせる(関連付ける)”なる用語及び同様の用語は、エレメントの機能的結合を指すことができる。例えば、前記導光器エレメントは、物体を被覆することができ、又は物体に機械的手段、接着、粘着等の1以上により取り付けることができる。光源の前後関係における“組み合わせる(関連付ける)”なる用語及び同様の用語は、エレメント及び光源が、該エレメントが該光源の放射の少なくとも一部を受けるように関連付けられ得るという意味で放射的結合を指すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【
図3】
図3は、オプションとして組み合わせで適用することができる幾つかの変形例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0131】
以下、本発明の実施態様を、添付概略図面を参照して例示のみとして説明するが、図面において対応する符号は対応する部分を示している。尚、図面は必ずしも寸法通りではない。
【0132】
図1Aは、UV放射エレメント210を有する生物付着防止システム200の一実施態様を概略的に示す。UV放射エレメント210はUV放射出射窓230を有する。UV放射エレメント210は、UV放射(生物付着防止光)221を供給するように構成された光源220を少なくとも部分的に取り囲む。ここでは、例示として3つの光源220が図示されている。この場合、UV放射エレメント210は、埋め込まれた素子を備える導波器又は導光器として構成されている。従って、この概略的に示された実施態様において、光源220は当該導波器内に埋め込まれている。UV照射出射窓230は、光源220のUV放射211の少なくとも一部を透過するように構成される。該UV放射出射窓230は、上流側窓面231(ここでは、前記光源に向けられた)及び下流側窓面232を有している。
図1Aにおいては、導光器300又は光媒体及び第1の層エレメント30を有する導光器エレメント1300が概略的に図示されている。導光器300は第1の導光器面301を有し、該導光器面が前記放射出射窓230を有している。導光器300は、特には、第1の導光器面301及び該面の反対側の第2の導光器面302により示された面を備えるプレートであり得る。これらの面の間の距離は、当該導光器300の厚さ又は高さを規定することができ、符号h3により示されている(長さ及び幅(
図2Eも参照)は該高さより大幅に大きいものであり得る)。第2の面302は反射層を含むことができる。
【0133】
第1の層エレメント30は光学層310を有する。該光学層310は、第1の導光器面301の少なくとも一部と接する。該光学層は該第1の導光器面の少なくとも一部と物理的に接触する。特に、光学層310は280nmにおいて1.36より小さい第1の屈折率n1を有する。更に、当該導光器300はUV放射透過性導光器材料(シリコン樹脂等)305を有する。光学層310は光学層材料315を有する。この光学層材料315は、特にUV放射に対して透過性であるが、水より小さな屈折率を有する。この様にして、該層は、導光器エレメント1300が水性環境に適用される場合はUV放射の導出を減少させる一方、第1の導光器面における他の部分においては放射の導出を向上させることができる。光学層310は、下流側窓面232上に形成される。ここでは、例示として、導光器300は光学構造7を有する。これらは、当該導光器内に存在し得るか、又は導光器300の面に存在し得る。光学構造7は、UV放射エレメント210から出射する(漏れる)UV放射211の均一な分布をもたらすように構成することができる。ここで、光源220は導光器エレメント1300により含まれるように図示されているが、これは必ずしもそのようである必要はない(
図2Cも参照)。
【0134】
光源(又は複数の光源)220と組み合わされた導光器エレメント1300は、例えば(保護される)表面の生物付着防止のための照明モジュールとして使用することができる。このようなモジュールは、(従って)、生物付着防止光を発生するための少なくとも1つの光源と、自身を介して上記生物付着防止光の少なくとも一部を供給するための光媒体とを有することができ、該光媒体は、当該照明モジュールが保護される表面内、上及び/又は近傍に配置される場合に、供給される生物付着防止光を当該保護される表面から離れる方向に放出するための放出(放射)面を有する。該放出面は実質的に平らな表面とすることができる。該放出面は、第1の層エレメント30を含むUV放射出射窓230であり/第1の層エレメント30を含む第1の導光器面301である。
【0135】
図1B~
図1Dは、使用の間において少なくとも部分的に水2中に沈む(喫水線13参照)物体10の実施態様を概略的に示す。船舶又は水門等(下記も参照)の物体10は、生物付着防止システム200を更に有し、該システムは、特にUV放射221を船殻又は船殻の一部等の物体10の外部表面11の部分111に供給するためのUV放射エレメント210を有する。ここでは、生物付着防止システム200、更に詳細にはUV放射エレメント210が外側表面の一部分であり、これにより実際に当該外側表面の一部分を形成するか(
図1B)、又はUV放射エレメント210が当該外側表面を照射するように構成され、必ずしも外側表面の一部分(船の船殻等)を形成することはない(
図1C)2つの実施態様が示されている。例えば、物体10は、船舶1及び基盤施設物体15(下記参照)からなる群から選択される。とりわけ
図1Bにおける符号400は制御システムを示し、該制御システムは、幾つかの実施態様において生物付着防止システム200の光源(又は複数の光源)220を制御することができる。
【0136】
UV放射エレメント210は、1以上の光源220を有し、従って、照射段階においてUV放射221により(i)前記外部表面11の前記部分111及び(ii)前記外部表面11の前記一部分111に隣接する水のうちの1以上を照射するように構成することができる。前者の変形例は
図1Cに当てはまり、後者の実施態様は
図1B~
図1Cの両実施態様に特に当てはまる。しかしながら、UV放射エレメント210の外部表面が物体10の外部表面として構成される場合、勿論、前記部分111それ自体がUV放射221により照射されることに注意されたい。
【0137】
従って、UV放射エレメント210はUV放射出射窓230を有し、該UV放射エレメント210は前記UV放射221を該UV放射エレメント210の前記UV放射出射窓230から下流に供給するよう構成される。
【0138】
前述したように、符号1により示される“船舶”なる用語は、例えば
図1Dに概略的に示されるような帆船、油送船、クルーズ船、ヨット、フェリー、潜水艦(
図1Dの10d参照)等のボート又は船を指すことができる。符号15により示される“基盤設備物体”なる用語は、特に、ダム/水門(
図1Dの符号10e/10f)、はしけ(
図1Dの符号10c)、油田掘削装置(
図1Dの符号10b)等の一般的に実質的に静止して配置される水性応用例を指すことができる。
【0139】
図1Eは生物付着防止システム200の一実施態様を更に詳細に示すもので、ここでは、例示として統合された制御システム300及び統合されたセンサ310を含んでいる。
【0140】
図1Fは、船舶の壁又は基盤設備物体の壁等の物体10の外側表面11を概略的に示すもので、例示として複数のUV放射エレメント210を備えている(この場合は、船舶1の船殻21に関連されている)。代わりに又は加えて、複数の機能的に結合された又は独立に機能する生物付着防止システム200を適用することもできる。
【0141】
図1Fは、また、生物付着防止システム200が複数のUV放射エレメント210(複数の光源を備える)、複数の放射出射窓230及び複数の前記部分111を有する実施態様を概略的に示しており、前記複数の光源220は前記UV放射221を前記複数の放射出射窓230を介して前記複数の部分111に供給するように構成され、前記複数の部分111は当該物体10の異なる高さに設定され、前記制御システム300は前記光源220を前記入力情報の関数として個別に制御するように構成される。例えば、一実施態様において、制御システム300は光源220を水に対する外部表面11の部分111の位置の関数として個別に制御するように構成することができる。
【0142】
図1Gは、物体10の実施態様としての船舶1が、複数のUV放射エレメント210を備える複数の生物付着防止システム200及び/又は1以上の斯様な生物付着防止システム200を有する一実施態様を概略的に示す。例えば水(喫水線)に対しての特定の斯様な生物付着防止システム200の高さ及び/又はUV放射エレメント210の高さに依存して、対応するUV放射エレメント210をオンすることができる。
【0143】
図1Hは、UV LED等の光源210が格子状に配置されると共に一連の並列接続構成で接続された金網状の実施態様を示す。これらLEDは、半田付け、接着又は当該LEDを金網に接続するための何らかの他の既知の電気的接続技術により各節部に取り付けることができる。各節部には1以上のLEDを配置することができる。DC又はAC駆動を実施することができる。ACが使用される場合、逆並列構成のLEDの対を用いることができる。当業者であれば、各節部に逆並列構成の2対以上のLEDを用いることができることが分かる。金網格子の実際の寸法及び格子内でのUV LEDの間の距離は、当該ハーモニカ構造を伸展させることにより調整することができる。当該金網格子は、光媒体内に埋め込むことができる。上記には、水との接触、センサの信号等に依存して生物付着防止システム200がオフになり又は特定のUV放射エレメント210若しくは特定の光源220をオフする特別な能動的防止応用例が説明された。しかしながら、代わりに又は加えて、人に危険を警告するために警報信号又はメッセージを用いることもできる。
【0144】
図2Aは、光学層310がパターン形成された光学層310である一実施態様を概略的に示す。1以上の第1の領域311は、前記光学層材料315を第1の層厚h1で有することができる。1以上の第2の領域312は前記光学層材料315を0≦h2<h1の範囲内の第2の層厚h2で有することができる。ここで、h2≠0である。異なる領域は、異なる光学層材料315か又は同一の光学材料を有することができることに注意されたい。特に、全第1の導光器面が光学層310と物理的に接触する場合、該光学層はUV放射透過性の光学層材料315を有する。該層の厚さ(h1又はh1及びh2)は最も近い光源までの距離に依存し得、特に、光源に一層近い場合はh1≠0であり、光源から一層遠い実施態様ではh2=0である。当該光学層を介しての(即ち、高さh1(及び/又はh2)を介しての)UV放射の透過は、特には少なくとも10%、更に一層特別には少なくとも20%、40~95%の範囲内等の少なくとも40%、又はそれ以上とする(即ち、導光器300内へと戻るように向けられないUV放射に関して)。このことは、特に、第1の導光器面301に対し実質的に垂直な方向(当該導光器から離れる方向の、従って図示された層の高さh1(又は、存在するならh2)の光学層を経る)のUV放射伝搬に当てはまる。
【0145】
更に、ここでは、例示として第1の領域及び第2の領域が示されている。また、3以上の異なる領域も適用可能である。
【0146】
図2Bは実施態様の組み合わせを概略的に示す。とりわけ、この図は多孔性光学層310を概略的に示している。該光学層は、符号313により示された孔又はキャビティを含んでいる。これらは、希ガス又は空気等の気体で満たされ得る。更に、第1の層エレメント30は、前記光学層310を有すると共に該光学層310の少なくとも一部と接する第2の層320を更に有する積層部3を備える。実施態様において、上記第2の層320は不透水性である。特に、該第2の層が実質的に全第1の導光器面を覆う場合、該第2の層320はUV放射透過性光学層材料325を有する。前述したように、当該光学層は、
図2Bにおけるもののように、全第1の導光器面上に形成することができるが、他の実施態様では、
図1Aにおけるもののように、第1の導光器面の一部上でのみ利用可能とすることもできる。
【0147】
図2Cは、光源220が導光器300の外部に配置される(左)と共に、少なくとも部分的に該導光器300内に配置されるような変形例を概略的に示す。光源220は発光面227を有する。後者の変形例において、発光面227は導光器300内に配置される。
【0148】
図2Dは、導光器300がUV透過性液体305aにより充填された閉じたキャビティ350を有する実施態様を概略的に示す。導光器300は、この実施態様では、第1の材料(特には、シリコン樹脂を有する)305bを有する。該第1の材料305bは上記キャビティ350を画定することができる。この場合、実際には光学層310がキャビティ350を画定することができる。UV透過性液体305aは、例えば脱塩水を有することができる。このような導光器エレメント1300が生物付着防止システムに使用される場合、該システムは当該液体305aを移動(循環、等)させるためのポンプを含むことができる。このようなポンプは、本発明で述べられた制御システムにより制御することができる。
【0149】
図2E及び
図2Fは、シリコン樹脂プレート(効果的には、物体上へのコーティングであり得る)等の長尺プレート又はチャンネル状の系を備える、導光器300の2つの変形例を非常に概略的に示す。後者の直径はd1と定められる。該直径の寸法は、本明細書において導光器300の高さh3に関して定義されるものと実質的に同一であり得る。前者の変形例に関して、該導光器は長さ又は幅より大幅に小さな(少なくとも5倍小さい等)高さを有することができる。
図2Eにおいて、当該プレートの長さは符号l1により示され、幅はw1により示されている。特に、w1/h3≧5、且つ、l1/h3≧5である。上面、ここでは第1の導光器面301(光学層は示されていない)は導出(出力結合)面として使用することができる。導光器面301の反対側の面は、符号302により示され、ここでは底面である。この面は反射器を含むことができる。エッジ(又は複数のエッジ)303は、光源が導光器300の外側にあると仮定して、該導光器300にUV放射を導入(入力結合)するために使用することができる。エッジが使用されない場合、及び/又は光源が導光器300内に発光面を有する実施態様において、エッジ(又は複数のエッジ)303は反射材料を含むことができる。
図2Fにおける導光器300の長さは、直径に対して垂直であると共に、当該導光器の長軸に沿うものである。従って、該導光器は幾つかの実施態様ではファイバであり得る。
【0150】
図3は、独立に使用可能な又は組み合わせで適用可能な複数の変形例が含まれた、導光器エレメント1300及び生物付着防止システム200の他の実施態様を概略的に示す。
【0151】
例えば、この概略的に図示された実施態様において、光源220は少なくとも部分的に(ここでは、実質的に完全に)導光器300内に埋め込まれている。従って、当該光源(又は複数の光源)は導光器300内に配置された発光面227を有している。特に、該発光面は固体光源220のダイである。
【0152】
更に、導光器エレメント1300は少なくとも1つの層(ここでは、例示として2つの層)を有する積層部30を有し、その場合におて、第1の層は光学層310であり、第2の層320は、例えば、保護層として用いることができる。光学層310は第1の導光器面301に接する。光学層材料315及び第2の層材料(符号325で示される)は、特に、UV放射に対して透過性である。
【0153】
代わりに又は加えて、第3の層330として示された、少なくとも1つの層(ここでは、例として単一の層)を有する第2の積層部130が利用可能である。該積層部(ここでは、第3の層130)は第2の導光器面302に接する。該第3の層は第3の層材料335を有することができ、該第3の層材料は、幾つかの実施態様では、光学層材料315と同一とすることができるが、他の実施態様では実質的に反射性とすることができ、及び/又は他の実施態様では接着性とすることができる。例えば、第3の層330は、当該導光器エレメント1300を、更に正確には導光器層300を物体の外部表面11に配置するために適用することができる。
【0154】
導光器300は第1の導光器面301を有する。第1の層エレメント30がある場合、当該導光器エレメント1300の外部表面は、実効的に外部層の表面(ここでは、1301として示される)である。従って、符号1301は導光器エレメント1300の外側層を示す。放射出力窓は、第1の導光器面301と外側層1301との間の層(積層)と考えることができる。
【0155】
従って、上部層若しくは上部箔が存在し得、及び/又は底部層若しくは底部箔が存在し得る。前者は、もっと一般的に光学層として示すことができ、又は、もっと一般的に積層部内に含まれ得る。後者は、もっと一般的に第3の層として示すことができ、又は、もっと一般的に第2の積層部内に含まれ得る。
【0156】
上記上部箔/層は、特に、当該光搬送体を機械的損傷から保護するために適用することができる。更に、該上部箔/層はUVCに対して十分に透明であるべきとすることができる。
【0157】
該光学層又は(第1の)積層部は、当該光搬送体の透明性を損ない得る、望ましくない分子の化学的侵入に対する保護を提供することができる。
【0158】
前記第2の層は、特に、断裂に対する良好な耐性を有することができる。該第2の層は、前記表面に対して放出される前にUVC光を更にシリコン樹脂を介して伝搬させるためにシリコン樹脂と比較して低い屈折率を有することができる。このことは、当該シリコン樹脂層が非常に薄い(≦2mm)か、又は当該シリコン樹脂が高度に透明である場合に一層重要となる。このような効果は、当該光搬送体と前記上部箔(前述したものも参照)との間に前記光学層の実施態様としてのゾルゲル層を追加することによっても得ることができる。
【0159】
前記底部箔は、特に、前記表面に向かって当該導光器内へと光を反射して戻すために適用することができる。該第3の層は、該層に底部側において、配線及び電子回路を担持するリードフレーム等の他の層を取り付けることを可能にする化学界面とすることができる。
【0160】
また、該第3の層は、前記表面に対して放出される前にUVC光を更にシリコン樹脂を介して伝搬させるためにシリコン樹脂と比較して低い屈折率を有することができる。このような効果は、当該光搬送体と該第3の層との間に前記光学層の一実施態様としてのゾルゲル層(前記も参照)を追加することによっても得ることができる。
【0161】
前記第2の層にとり、前記第3の層にとり、又は該第2の層及び第3の層の両方にとり好適な材料は、PET(ポリエチレンテレフタレート)及びFEP(フッ化エチレンプロピレン)の群から選択することができる。フッ化エチレン、フッ化プロピレン、フッ化エチレンプロピレン及びフッ化プロピレンアセテートのうちの1以上等の他の材料も可能であり得る。代わりに又は加えて、前記第2の層にとり、前記第3の層にとり、又は該第2の層及び第3の層の両方にとり好適な材料は、シリコン樹脂(当該導光器材料もシリコン樹脂を有する実施態様では、該導光器材料とは異なる)から選択することもできる。第2の層及び第3の層の材料は異なることができる。
【0162】
“複数”なる用語は、特に、2以上を指す。
【0163】
本明細書において、“実質的に全ての光”における又は“実質的になる”における等の“実質的に”なる用語は当業者により理解されるものであろう。“実質的に”なる用語は、“全体的に”、“完全に”、“全て”等による実施態様も含むことができる。従って、幾つかの実施態様において実質的になる形容詞は削除することもできる。適用可能な場合、“実質的に”なる用語は、100%を含む、95%以上、特には99%以上、更に特別には99.5%以上等の90%以上に関係するものである。“有する”なる用語は、“有する”なる用語が“からなる”を意味する実施態様も含む。“及び/又は”なる用語は、特に、“及び/又は”の前及び後に述べられた項目の1以上に関係する。例えば、“項目1及び/又は項目2”なる語句及び同様の語句は、項目1及び項目2の1以上に関係し得る。“有する”なる用語は或る実施態様では“からなる”を示し得るが、他の実施態様では“少なくとも定義された種を含むと共にオプションとして1以上の他の種を含む”ことも示し得る。
【0164】
更に、当該記載及び請求項における第1、第2、第3等の用語は、同様の要素の間を区別するために使用されるものであり、必ずしも順番又は時系列を記述するために使用されるものではない。そのように使用された用語は適切な状況下では入れ替え可能であり、ここに記載される本発明の実施態様は本明細書に記載され又は図示されたもの以外の順序で動作することもできると理解されるべきである。
【0165】
本明細書における装置は、とりわけ、動作の間において説明されている。当業者にとり明らかなように、本発明は動作の方法又は動作中の装置に限定されるものではない。
【0166】
上述した実施態様は本発明を限定するというよりは解説するものであり、当業者であれば添付請求項の範囲から逸脱することなく多くの代替実施態様を設計することができることに注意すべきである。請求項において、括弧内に示された如何なる符号も当該請求項を限定するものと見なしてはならない。“有する”なる動詞及びその活用形の使用は、請求項に記載されたもの以外の要素又はステップを排除するものではない。単数形の要素は、複数の斯様な要素の存在を排除するものではない。本発明は、幾つかの異なる要素を有するハードウェアにより、及び適切にプログラムされたコンピュータにより実施することができる。幾つかの手段を列挙する装置の請求項において、これら手段の幾つかは1つの同一のハードウェア品目により具現化することができる。特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせを有利に使用することができないということを示すものではない。
【0167】
本発明は、更に、当該記載において説明され及び/又は添付図面に示される特徴的フィーチャの1以上を有する装置にも当てはまる。本発明は、更に、当該記載において説明され及び/又は添付図面に示される特徴的フィーチャの1以上を有する方法又は製造方法にも関係する。
【0168】
本出願において述べられる種々の態様は、更なる利点を提供するために組み合わせることができる。更に、当該フィーチャの幾つかは1以上の分割出願の基礎を形成することができる。