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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】層間紙巻き取り装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/055 20060101AFI20221209BHJP
   H01R 43/048 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
H01R43/055
H01R43/048 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019011042
(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公開番号】P2020119806
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】久野 勝
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-115420(JP,A)
【文献】特開2007-66534(JP,A)
【文献】特開2009-218068(JP,A)
【文献】特開2002-308534(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0293780(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/048
B65H 18/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子帯と前記端子帯に重ねられた層間紙とが巻かれた端子リールが取り付けられ、前記端子リールを回転可能に支持する支持軸と、
前記支持軸に支持され、前記端子リールの回転力を受けて回転する回転体と、
前記回転体の回転力を駆動力として前記層間紙を巻き取る巻き取り機構と、
を備えた、層間紙巻き取り装置。
【請求項2】
前記端子リールは、前記端子帯および前記層間紙が巻かれる軸部と、前記軸部に対して前記軸部の軸方向の一方に設けられ円板部と、を有し、
前記円板部は、前記軸部が配置された側の面と反対側に位置する第1回転面を含み、
前記回転体は、前記端子リールの前記第1回転面に対向する第2回転面を有し、
前記第1回転面から前記第2回転面に回転力が伝わることによって前記回転体が前記端子リールと共に回転するように構成されている、請求項1に記載の層間紙巻き取り装置。
【請求項3】
前記巻き取り機構は、前記層間紙が巻き取られる巻き取り軸と、前記巻き取り軸の軸方向の一方に設けられ、前記巻き取り軸が固定された巻き取り円板部と、を有し、
前記回転体から前記巻き取り円板部に回転力が伝わることによって前記巻き取り円板部および前記巻き取り軸が前記回転体と共に回転するよう、前記回転体の外周面と前記巻き取り円板部の外周面とが接触している、請求項1または2に記載の層間紙巻き取り装置。
【請求項4】
前記巻き取り円板部は、前記回転体の外周面と接触する前記外周面を有する第1円板部と、前記巻き取り軸が固定され、前記第1円板部と重ねられた第2円板部と、を含み、
前記巻き取り機構は、前記第1円板部から前記第2円板部に伝達される回転力が所定値を超えると、前記回転力が前記所定値以下となるよう前記第1円板部を前記第2円板部に対して滑らせるスリップ機構を備えている、請求項3に記載の層間紙巻き取り装置。
【請求項5】
前記巻き取り機構は、前記回転体の回転中心から外れた部分から軸方向に延び、前記回転体の回転に伴って旋回する旋回棒と、前記回転体に向かって軸方向に延びる静止棒と、を有し、
前記旋回棒に、前記層間紙が取り付けられる取付部が設けられている、請求項1または2に記載の層間紙巻き取り装置。
【請求項6】
前記巻き取り機構は、前記回転体の回転中心から外れた部分から軸方向に延び、前記回転体の回転に伴って旋回する旋回棒と、前記回転体に向かって軸方向に延びる静止棒と、を有し、
前記静止棒に、前記層間紙が取り付けられる取付部が設けられている、請求項1または2に記載の層間紙巻き取り装置。
【請求項7】
前記巻き取り機構は、前記静止棒が固定された静止板と、前記支持軸に支持され、前記静止板に重ねられた支持板と、前記静止板から前記支持板に伝達される回転力が所定値を超えると、前記回転力が前記所定値以下となるよう前記静止板を前記支持板に対して滑らせるスリップ機構と、を備えている、請求項5または6に記載の層間紙巻き取り装置。
【請求項8】
前記旋回棒および前記静止棒は、それぞれ複数設けられている、請求項5~7のいずれか一つに記載の層間紙巻き取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リールに巻かれた端子帯および層間紙から端子帯を引き出す際に、端子帯と共に繰り出される層間紙を巻き取る層間紙巻き取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワイヤハーネスを製造する電線処理装置などにおいて、電線に端子を圧着する処理(以下、端子圧着処理という)が行われている。端子圧着処理は、端子圧着機によって連続的に順次行われる。そのため、複数の端子が連なった端子帯を予めリールに巻いた状態で準備しておき、その端子帯をリールから端子圧着機に向けて順次送り出すこととしている。リール内で重ねられた端子同士が引っ掛からないように、端子帯の間には層間紙が挟まれている。リールから端子帯を引っ張り出すと、端子帯と共に層間紙が繰り出される。リールから繰り出された層間紙が邪魔にならないよう、層間紙を巻き取る層間紙巻き取り装置が用いられる。
【0003】
特許文献1には、層間紙を巻き取る巻き取りロールをモータで回転駆動する層間紙巻き取り装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、端子帯が巻かれたリール(以下、端子リールという)の外周面と転がり接触するように設けられた回転軸と、当該回転軸と一体の巻き取りロールとを備えた層間紙巻き取り装置が開示されている。特許文献2に開示された層間紙巻き取り装置によれば、端子リールの回転に伴って巻き取りロールが回転するので、巻き取りロールを回転駆動するモータがなくても、層間紙を自動的に巻き取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-218068号公報
【文献】特開2007-66534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、端子リールは消耗品のため、安価な段ボール紙等にて形成されている場合が多く、回転軸との転がり接触により、端子リールの外周面が傷み変形しやすい。そのため、端子リールの回転と巻き取りロールの回転とがうまく同期せず、層間紙を良好に巻き取ることができない場合があった。また、端子リールの外周面が傷み変形しやすいので、端子リールを他の装置で再利用することが難しかった。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、層間紙を巻き取るための専用の駆動源が不要であり、層間紙を良好に巻き取ることができ、端子リールを再利用しやすい層間紙巻き取り装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る層間紙巻き取り装置は、端子帯と前記端子帯に重ねられた層間紙とが巻かれた端子リールが取り付けられ、前記端子リールを回転可能に支持する支持軸と、前記支持軸に支持され、前記端子リールの回転力を受けて回転する回転体と、前記回転体の回転力を駆動力として前記層間紙を巻き取る巻き取り機構と、を備える。
【0009】
上記層間紙巻き取り装置によれば、回転体は端子リールの回転力(言い換えるとトルク)を受けて回転し、巻き取り機構は、その回転体の回転力を駆動力として層間紙を巻き取る。そのため、層間紙を巻き取るための専用の駆動源は不要である。また、回転体は、端子リールが支持される支持軸に支持されており、端子リールの外周面と転がり接触しない。そのため、端子リールが段ボール紙等にて形成されている場合であっても、端子リールの外周面は傷みにくい。したがって、層間紙を良好に巻き取ることができる。また、端子リールの再利用が容易となる。
【0010】
本発明の好ましい一態様によれば、前記端子リールは、前記端子帯および前記層間紙が巻かれる軸部と、前記軸部の軸方向の一方に設けられ円板部と、を有している。前記円板部は、前記軸部が配置された側の面と反対側に位置する第1回転面を含んでいる。前記回転体は、前記端子リールの前記第1回転面に対向する第2回転面を有している。前記層間紙巻き取り装置は、前記第1回転面から前記第2回転面に回転力が伝わることによって前記回転体が前記端子リールと共に回転するように構成されている。
【0011】
上記態様によれば、第1回転面と第2回転面との間に発生する摩擦力により、端子リールから回転体に回転力が伝達される。ここで、端子リールの円板部の回転面(第1回転面)は、円板部の外周面よりも丈夫である。そのため、端子リールが段ボール紙等にて形成されている場合であっても、端子リールは傷みにくい。
【0012】
本発明の好ましい一態様によれば、前記巻き取り機構は、前記層間紙が巻き取られる巻き取り軸と、前記巻き取り軸の軸方向の一方に設けられ、前記巻き取り軸が固定された巻き取り円板部と、を有している。前記回転体から前記巻き取り円板部に回転力が伝わることによって前記巻き取り円板部および前記巻き取り軸が前記回転体と共に回転するよう、前記回転体の外周面と前記巻き取り円板部の外周面とが接触している。
【0013】
上記態様によれば、回転体の回転力が回転体の外周面から巻き取り円板部の外周面に伝達され、巻き取り軸が回転する。これにより、回転体の回転力を駆動力として、層間紙が巻き取り軸に巻き取られる。
【0014】
本発明の好ましい一態様によれば、前記巻き取り円板部は、前記回転体の外周面と接触する前記外周面を有する第1円板部と、前記巻き取り軸が固定され、前記第1円板部に重ねられた第2円板部と、を含んでいる。前記巻き取り機構は、前記第1円板部から前記第2円板部に伝達される回転力が所定値を超えると、前記回転力が前記所定値以下となるよう前記第1円板部を前記第2円板部に対して滑らせるスリップ機構を備えている。なお、第2円板部は第1円板部に直接重ねられていてもよく、他の部材を介して間接的に重ねられていてもよい。
【0015】
巻き取り機構が層間紙を引っ張る力が大きすぎると、層間紙が破断してしまうおそれがある。しかし、上記態様によれば、第1円板部から第2円板部に伝達される回転力が所定値を超えると、第1円板部は第2円板部に対して滑る。そのため、巻き取り軸に過大な回転力は伝達されないので、巻き取り機構が層間紙を引っ張る力が過大になることは防止される。したがって、層間紙の破断を防止することができる。
【0016】
本発明の好ましい一態様によれば、前記巻き取り機構は、前記回転体の回転中心から外れた部分から軸方向に延び、前記回転体の回転に伴って旋回する旋回棒と、前記回転体に向かって軸方向に延びる静止棒と、を有している。前記旋回棒に、前記層間紙が取り付けられる取付部が設けられている。
【0017】
上記態様によれば、回転体が回転すると、旋回棒が層間紙を引っ張りながら回転体の回転中心周りに旋回し、層間紙が旋回棒および静止棒に巻き取られる。これにより、回転体の回転力を駆動力として、層間紙が巻き取られる。
【0018】
本発明の好ましい一態様によれば、前記巻き取り機構は、前記回転体の回転中心から外れた部分から軸方向に延び、前記回転体の回転に伴って旋回する旋回棒と、前記回転体に向かって軸方向に延びる静止棒と、を有している。前記静止棒に、前記層間紙が取り付けられる取付部が設けられている。
【0019】
上記態様によれば、回転体が回転すると、旋回棒が回転体の回転中心周りに旋回し、層間紙における端子リールと静止棒との間の部分を旋回方向に向けて引っ張る。層間紙は、旋回棒および静止棒に巻き取られるが、旋回棒によって折り返された状態となる。そのため、折り返し部分の長さの分だけ、回転板が回転したときの巻き取り量を増加させることができる。
【0020】
本発明の好ましい一態様によれば、前記巻き取り機構は、前記静止棒が固定された静止板と、前記支持軸に支持され、前記静止板に重ねられた支持板と、前記静止板から前記支持板に伝達される回転力が所定値を超えると、前記回転力が前記所定値以下となるよう前記静止板を前記支持板に対して滑らせるスリップ機構と、を備えている。なお、支持板は静止板に直接重ねられていてもよく、他の部材を介して間接的に重ねられていてもよい。
【0021】
巻き取り機構が層間紙を引っ張る力が大きすぎると、層間紙が破断してしまうおそれがある。しかし、上記態様によれば、静止板から支持板に伝達される回転力が所定値を超えると、静止板は支持板に対して滑る。そのため、静止棒に過大な力は伝達されないので、巻き取り機構が層間紙を引っ張る力が過大になることは防止される。したがって、層間紙の破断を防止することができる。
【0022】
本発明の好ましい一態様によれば、前記旋回棒および前記静止棒は、それぞれ複数設けられている。
【0023】
上記態様によれば、層間紙の折り返し部分を増やすことができる。よって、回転板が回転したときの巻き取り量を更に増加させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、層間紙を巻き取るための専用の駆動源が不要であり、層間紙を良好に巻き取ることができ、端子リールを再利用しやすい層間紙巻き取り装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態に係る層間紙巻き取り装置の正面図である。
図2】第1実施形態に係る層間紙巻き取り装置の側面図である。
図3】端子帯および層間紙の平面図である。
図4図2の部分拡大図である。
図5】第2実施形態に係る層間紙巻き取り装置の正面図である。
図6】第2実施形態に係る層間紙巻き取り装置の側面図である。
図7】第2実施形態に係る層間紙巻き取り装置において、端子リールの円板部および巻き取り機構の両回転板の一部を拡大した断面図である。
図8】第2実施形態に係る層間紙巻き取り装置において、静止板、中間板、および支持板の一部を拡大した断面図である。
図9】第2実施形態に係る層間紙巻き取り装置において、層間紙が旋回軸および固定軸に巻き取られる様子を表す概念図である。
図10】第2実施形態の変形例に係る層間紙巻き取り装置において、層間紙が旋回軸および固定軸に巻き取られる様子を表す概念図である。
図11】第2実施形態の他の変形例に係る層間紙巻き取り装置の正面図である。
図12】第2実施形態の他の変形例に係る層間紙巻き取り装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。図1は第1実施形態に係る層間紙巻き取り装置1の正面図である。図2は層間紙巻き取り装置1の側面図である。層間紙巻き取り装置1は、端子帯2および層間紙3が巻かれた端子リール4から端子帯2が引き出される際に、端子帯2と共に繰り出される層間紙3を巻き取る装置である。なお、図2では、端子帯2および層間紙3の図示は省略している。
【0027】
図3は端子帯2および層間紙3を表す図である。端子帯2は、図示しない電線に圧着される複数の端子2Aが連なって構成されている。層間紙3は、端子帯2に重ねられた状態で、端子帯2と一緒に端子リール4に巻かれている。
【0028】
層間紙巻き取り装置1は、端子リール4が取り付けられ、端子リール4を回転可能に支持する支持軸11と、支持軸11に支持され、端子リール4の回転力を受けて回転する回転板12と、回転板12の回転力を駆動力として層間紙3を巻き取る巻き取り機構20とを備えている。図2に示すように、本実施形態では、支持軸11に2つの端子リール4が支持されており、回転板12および巻き取り機構20は2つずつ設けられている。しかし、端子リール4、回転板12、および巻き取り機構20の個数は1つでもよい。後述する他の実施形態においても同様である。
【0029】
図2に示すように、端子リール4は、端子帯2および層間紙3が巻かれる軸部4Aと、軸部4Aの軸方向(図2の左右方向)の一方に設けられた円板部4Bと、軸部4Aの軸方向の他方に設けられた円板部4Cとを有している。円板部4Bの軸部4Aと反対側の面4Sは、回転板12と対向している。以下、本実施形態では、円板部4Bの面4Sのことを第1回転面4Sと言う。端子リール4の材料は特に限定されないが、ここでは段ボール紙である。
【0030】
回転板12は、端子リール4と同様に支持軸11に支持されているので、端子リール4と同軸上に配置されている。回転板12の回転中心CRと端子リール4の回転中心とは一致している。回転板12は、端子リール4の第1回転面4Sに対向する第2回転面12Sを有している。第1回転面4Sと第2回転面12Sとは面接触している。これら第1回転面4Sと第2回転面12Sとの間に生じる摩擦力により、回転板12は端子リール4と共に回転するようになっている。本実施形態では、回転板12の直径は端子リール4の直径(詳しくは円板部4B,4Cの直径)よりも大きい。ただし、限定される訳ではない。回転板12の直径は端子リール4の直径と等しくてもよく、端子リール4の直径よりも小さくてもよい。回転板12の厚みは、端子リール4の厚みよりも小さい。ただし、限定される訳ではない。回転板12の材料は特に限定されないが、端子リール4の材料よりも強度の大きな材料が好ましい。回転板12の材料は、例えば、金属(ステンレスやアルミニウムなど)、合成樹脂、木材、ゴムであってもよい。回転板12は単一の部材によって構成されていてもよく、複数の部材を組み合わせることによって構成されていてもよい。
【0031】
巻き取り機構20は、層間紙3が巻き取られる巻き取り軸21,22と、巻き取り軸21,22の軸方向の一方に設けられた巻き取り円板部23とを有している。巻き取り軸21には、層間紙3が取り付けられる。巻き取り軸21は、層間紙3が取り付けられる取付部21aを有している。巻き取り円板部23が回転すると、巻き取り軸21,22は、巻き取り円板部23の回転中心周りに旋回する。その結果、層間紙3は、巻き取り軸21,22に巻き取られる。巻き取り円板部23の外周面23Tと、回転板12の外周面12Tとは、回転板12から巻き取り円板部23に回転力が伝わるように接触している。本実施形態では、回転板12の外周面12Tおよび巻き取り円板部23の外周面23Tは、周方向に凹凸がない円周面によって形成されている。回転板12が回転すると、回転板12の外周面12Tと巻き取り円板部23の外周面23Tとの間の摩擦力により、巻き取り円板部23が回転する。
【0032】
なお、本実施形態では、上記摩擦力によって回転板12から巻き取り円板部23に回転力が伝達されるが、特に限定されない。回転板12の外周面12Tと巻き取り円板部23の外周面23Tとは、回転板12から巻き取り円板部23に回転力が伝わることによって巻き取り円板部23および巻き取り軸21,22が回転板12と共に回転するように接触していればよい。他の接触態様、例えば、回転板12および巻き取り円板部23が歯車状に形成され、それらの外周面に形成された凹凸部が互いに噛み合っていてもよい。この場合も、回転板12から巻き取り円板部23に回転力が伝達され、巻き取り円板部23および巻き取り軸21,22は回転板12と共に回転する。
【0033】
図4図2の一部を拡大した図である。図4に示すように、巻き取り円板部23は、回転板12の外周面12Tと接触する前記外周面23Tを有する第1円板部23Aと、巻き取り軸21,22が固定された第2円板部23Bとを含んでいる。第2円板部23Bは第1円板部23Aに重ねられている。本実施形態では、第2円板部23Bは第1円板部23Aに直接重ねられており、第1円板部23Aおよび第2円板部23Bは互いに面接触している。ただし、第1円板部23Bは他の部材を介して第1円板部23Aに間接的に重ねられていてもよい。
【0034】
図4において、第2円板部23Bは第1円板部23Aの右側に配置されている。第2円板部23Bの右側には、第2円板部23Bを第1円板部23Aに向けて押しつける付勢機構9が設けられている。付勢機構9は、押しつけ部材7と、押しつけ部材7に係合するボルト6と、押しつけ部材7とボルト6との間に配置されたばね5とを有している。第2円板部23Bは、押しつけ部材7を介してばね5から左向きの力を受け、第1円板部23Aに向けて押しつけられている。ボルト6を回転させることにより、第2円板部23Bに対する押しつけ力を調整することができる。
【0035】
第2円板部23Bが第1円板部23Aに向かって押しつけられていることにより、第1円板部23Aと第2円板部23Bとの間に摩擦力が発生する。この摩擦力により、第1円板部23Aから第2円板部23Bに回転力が伝達され、第2円板部23Bは第1円板部23Aと共に回転する。一方、第1円板部23Aから第2円板部23に伝達される回転力が所定値を超えると、第1円板部23Aは第2円板部23Bに対して滑り、上記回転力は前記所定値以下となる。なお、上記所定値は、ボルト6を回転させることによって第2円板部23Bに対する押しつけ力を調整することにより、適宜に調整することができる。本実施形態では、付勢機構9により、第1円板部23Aから第2円板部23Bに伝達される回転力が所定値以下となるよう第1円板部23Aを第2円板部23Bに対して滑らせるスリップ機構が構成されている。なお、上記所定値の調整が不要な場合、付勢機構9のばね5およびボルト6は必ずしも必要ではない。
【0036】
端子圧着装置8は、端子2Aの圧着動作を順次繰り返し行うように構成されている。端子圧着装置8の構成は周知であるため、その説明は省略する。端子圧着装置8は、図示しない電線に端子2Aを圧着すると同時に、当該端子2Aを端子帯2から切り離す。次に、端子圧着装置8は、端子帯2を引っ張り、次の端子2Aを所定の位置に搬送する。そして、端子圧着装置8に搬送されてきた次の電線に、上記端子2Aを圧着する。以下、同様の動作を繰り返す。
【0037】
端子圧着装置8が端子帯2を引っ張ると、図1に矢印で示すように、端子帯2は端子リール4から引き出される。これに伴い、端子リール4が回転する。このように、端子リール4は、端子圧着装置8が端子帯2を引っ張ることによって自動的に回転する。この端子リール4の回転に伴って回転板12が回転する。回転板12の回転力は、回転板12の外周面12Tから巻き取り円板部23の外周面23Tに摩擦によって伝達され、巻き取り円板部23が回転する。巻き取り円板部23が回転すると、巻き取り軸21,22は巻き取り円板部23の回転中心周りに旋回し、層間紙3を巻き取る。以上のようにして、端子帯2が引き出される度に、層間紙3は自動的に巻き取られる。端子圧着装置8は端子帯2を間欠的に引っ張るため、上記の層間紙3の巻き取りも間欠的に行われる。
【0038】
ところで、端子リール4に巻かれた端子帯2が順次引き出されていくにつれて、端子リール4における端子帯2の巻き径は徐々に小さくなっていく。その結果、端子圧着装置8の1回の引っ張り動作当たりの端子リール4の回転量は、徐々に大きくなっていく。そのため、巻き取り機構20の巻き取り円板部23の回転量も徐々に大きくなっていく。一方、層間紙3が巻き取り機構20に順次巻き取られていくにつれて、巻き取り機構20における層間紙3の巻き径は徐々に大きくなっていく。その結果、端子圧着装置8の1回の引っ張り動作につき、巻き取り円板部23に必要な回転量は、徐々に小さくなっていく。したがって、巻き取り円板部23は必要以上に回転することになり、そのままでは層間紙3を強い力で引っ張ってしまうことになる。しかし、層間紙3を引っ張る力が過大になると、層間紙3が破断してしまうおそれがある。
【0039】
本実施形態では、巻き取り機構20が層間紙3を引っ張る力が大きくなると、巻き取り円板部23の第1円板部23Aから第2円板部23Bに伝達される回転力が大きくなる。そして、この回転力が所定値を超えると、第1円板部23Aは第2円板部23Bに対して滑る。そのため、第1円板部23Aから第2円板部23Bに対し、所定値を超える回転力は伝達されない。よって、第2円板部23Bに設けられた巻き取り軸21,22が層間紙3を過大な力で引っ張ることは防止される。したがって、層間紙3の破断は防止される。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る層間紙巻き取り装置1によれば、回転板12が端子リール4の回転力(トルク)を受けて回転し、巻き取り機構20が回転板12の回転力を駆動力として層間紙3を巻き取るため、層間紙3を巻き取るための専用の駆動源(モータ等)は不要である。また、回転板12は、端子リール4が支持される支持軸11に支持されており、端子リール4の外周面4T(図2参照)と転がり接触しない。そのため、端子リール4は段ボール紙で形成されているため傷みやすい傾向があるが、端子リール4が傷んでしまうことを抑制することができる。したがって、層間紙3を良好に巻き取ることができる。また、端子リール4が傷みにくいので、端子リール4の再利用が容易となる。
【0041】
本実施形態によれば、端子リール4の第1回転面4Sと回転板12の第2回転面12Sとの間に発生する摩擦力により、端子リール4から回転板12に回転力が伝達される。端子リール4の円板部4Bの第1回転面4Sは、円板部4Bの外周面4Tよりも丈夫である。そのため、端子リール4は段ボール紙で形成されているが、端子リール4を傷めることなく、端子リール4から回転板12に回転力を伝達することができる。
【0042】
また、層間紙3の巻き取りが進んで層間紙3の引っ張り力が大きくなると、巻き取り円板部23の第1円板部23Aが第2円板部23Bに対して滑るため、層間紙3の引っ張り力が過大になることを防止することができる。よって、層間紙3の破断を防止することができる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る層間紙巻き取り装置1Aについて説明する。図5図6は、それぞれ第2実施形態に係る層間紙巻き取り装置1Aの正面図、側面図である。図6では、端子帯2および層間紙3の図示は省略している。以下の説明では、第1実施形態と同様の部分には同様の符号を付し、それらの詳しい説明は省略する。
【0044】
本実施形態に係る層間紙巻き取り装置1Aは、端子リール4を回転可能に支持する支持軸11と、支持軸11に支持された回転板12Aと、支持軸11に支持された静止板33と、回転板12Aの回転中心CRから外れた部分から軸方向(図6の右方向)に延びる旋回棒31と、静止板33から回転板12Aに向かって軸方向(図6の左方向)に延びる静止棒32とを備えている。
【0045】
端子リール4の円板部4Bの軸部4A側と反対側には、付勢板34が配置されている。付勢板34は、円板部4Bの軸部4A側と反対側の面(図6の左側の面)に接触している。
【0046】
回転板12Aは、端子リール4の円板部4Cに対して、軸部4Aと反対側に配置されている。回転板12Aは、ステンレスやアルミニウムなどの金属によって形成されている。図7に拡大して示すように、回転板12Aと円板部4Cとの間には、ゴム製の回転板12Bが設けられている。円板部4Cと回転板12Bとは面接触している。本実施形態では、回転板12Aおよび回転板12Bにより、本発明に係る「回転体」が構成されている。円板部4Cの回転板12Bに対向する面、回転板12Bの円板部4Cに対向する面は、それぞれ第1回転面4S、第2回転面12Sを構成している。端子リール4が回転すると、その回転力は第1回転面4Sから第2回転面12Sに伝わり、回転板12A,12Bが回転する。
【0047】
静止板33は、ステンレスやアルミニウムなどの金属によって形成されている。静止板33の回転板12A側と反対側(図6の右側)には、ステンレスやアルミニウムなどの金属によって形成された支持板38が配置されている。支持板38は支持軸11に固定されており、回転しないように構成されている。図8に拡大して示すように、静止板33と支持板38との間には、合成樹脂製の中間板36が介在している。静止板33は中間板36を介して支持板38に間接的に重ねられている。図6に示すように、回転板12Aと静止板33との間には、ばね35が配置されている。ばね35は、静止板33を支持板38の方(図6の右方向)に向けて押しつけている。静止板33と中間板36とは面接触し、中間板36と支持板38とは面接触している。静止板33、中間板36、および支持板38の相互の間には摩擦力が発生するので、静止板33に多少の回転力が加わっても、静止板33および中間板36は支持板38と共に静止したままとなる。一方、静止板33に所定値を超える大きな回転力が加わると、静止板33と中間板36との間、または、中間板36と支持板38との間に滑りが生じる。そのため、静止板33は、所定値を超える回転力が加わると回転するようになっている。巻き取り機構20には、静止板33から支持板38に伝達される回転力が所定値を超えると、前記回転力が所定値以下となるよう静止板33を支持板38に対して滑らせるスリップ機構が構成されている。なお、静止板33および支持板38の材料を適宜に選定することにより、中間板36を省略することが可能である。中間板36は必ずしも必要ではなく、静止板33は支持板38に直接的に重ねられていてもよい。
【0048】
旋回棒31および静止棒32は、層間紙3が巻かれる軸部である。旋回棒31は、回転板12Aに固定されており、回転板12Aが回転すると回転板12Aの回転中心CR周りに旋回する。静止棒32は静止板33に固定されている。
【0049】
図5に示すように、本実施形態に係る層間紙巻き取り装置1Aは、端子リール4から繰り出される層間紙3を旋回棒31および静止棒32に向けて折り返す折り返し棒39を備えている。ここでは、折り返し棒39は支持軸11の上方に配置されているが、折り返し棒39の位置は特に限定されない。端子リール4の径方向の外側の任意の位置に、折り返し棒39を配置することが可能である。
【0050】
本実施形態においても、端子圧着装置8が端子帯2を引っ張ると、図5に矢印で示すように、端子帯2は端子リール4から引き出される。これに伴い、端子リール4が回転する。端子リール4の回転力は、端子リール4の円板部4Cの第1回転面4Sから回転板12Bの第2回転面12Sに摩擦によって伝達され、回転板12Bが回転する。この回転板12Bの回転に伴って回転板12Aが回転し、図9(a)および(b)に示すように旋回棒31が旋回する。本実施形態では、層間紙3の端部は旋回棒31に取り付けられている。旋回棒31には、層間紙3が取り付けられる取付部31aが設けられている。旋回棒31は、層間紙3を引っ張りながら、回転中心CR周りに旋回する。これにより、層間紙3は旋回棒31および静止棒32に巻き取られる。
【0051】
本実施形態によれば、金属製の静止板33および支持板38の間に、合成樹脂製の中間板36が介在している(図8参照)。層間紙3の巻き取りが進んで層間紙3から静止棒32に大きな力が加わると、静止板33が中間板36に対して滑るか、あるいは、中間板36が支持板38に対して滑る。そのため、静止板33が支持板38に対して滑り、層間紙3が静止棒32から過大な引っ張り力を受けることが防止される。したがって、層間紙3の破断を防止することができる。
【0052】
なお、層間紙3の端部は静止棒32に取り付けられていてもよい。静止棒32に、層間紙3が取り付けられる取付部32aが設けられていてもよい(図10参照)。この場合、層間紙3は旋回棒31および静止棒32に巻き取られるが、図10(b)に示すように、旋回棒31は層間紙3の中途部分を旋回方向に押すので、層間紙3は旋回棒31において折り返される。そのため、回転板12Aの単位回転量当たりの巻き取り量は、折り返し長さLの分だけ多くなる。これにより、例えば、回転板12Aおよび静止板33の直径を小さくすることができる等の効果を得ることができる。
【0053】
前記実施形態では、旋回棒31および静止棒32はそれぞれ1本ずつ設けられているが、図11および図12に示すように、旋回棒31および静止棒32はそれぞれ複数設けられていてもよい。旋回棒31および静止棒32をそれぞれ複数設けることとすれば、層間紙3の折り返し部分を複数形成することができる。そのため、回転板12Aの単位回転量当たりの巻き取り量を更に多くすることができる。なお、図11および図12に示す変形例では、旋回棒31は2本設けられ、静止棒32は3本設けられているが、それらの本数は何ら限定されない。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、前述の実施形態および変形例は例示に過ぎない。本発明は、他にも種々の形態にて実施することができる。
【0055】
端子リール4の回転力を受けて回転する回転体は、1つまたは複数の回転板に限られない。例えば、回転体は、1つまたは複数の筒状体であってもよい。
【0056】
第2実施形態およびその変形例において、回転板12A,12B、静止板33、中間板36、および支持板38は、円板に限らず、他の板状体(例えば、楕円板、矩形板)であってもよい。また、板状体に限らず、ブロック体などの他の形状を有していてもよい。
【0057】
第2実施形態およびその変形例では、回転板12Aは金属製であり、回転板12Bはゴム製である。静止板33および支持板38は金属製であり、中間板36は合成樹脂製である。しかし、それらの材料は特に限定される訳ではない。
【符号の説明】
【0058】
1,1A 層間紙巻き取り装置
2 端子帯
3 層間紙
4 端子リール
4A 軸部
4B,4C 円板部
4S 第1回転面
5 ばね(付勢部材)
11 支持軸
12 回転板(回転体)
12A,12B 回転板(回転体)
12S 第2回転面
20 巻き取り機構
21,22 巻き取り軸
23 巻き取り円板部
23A 第1円板部
23B 第2円板部
31 旋回棒
32 静止棒
32a 取付部
33 静止板
33a 取付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12