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特許7190932サンシェード装置、当該サンシェード装置を備える自動車及びサンシェード装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】サンシェード装置、当該サンシェード装置を備える自動車及びサンシェード装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/00 20060101AFI20221209BHJP
【FI】
B60J7/00 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019025110
(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公開番号】P2019142489
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2018030673
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509069892
【氏名又は名称】株式会社HOWA
(74)【代理人】
【識別番号】100117503
【弁理士】
【氏名又は名称】間瀬 ▲けい▼一郎
(72)【発明者】
【氏名】波江 正貴
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-084069(JP,A)
【文献】特開2002-029264(JP,A)
【文献】特開2001-138744(JP,A)
【文献】特開2008-024037(JP,A)
【文献】特開2006-205376(JP,A)
【文献】特開2004-231030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/00-3/06
B60J 7/00-7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向或いはその逆方向に移動可能に構成されるサンシェード装置において、
基材を所定の形状に賦形してなるシェードと、
前記基材の前記一方向側の端部の中央部位に形成してなるスリット部内に介装されるU字状窪み部及び当該U字状窪み部の開口部から前記基材の一側面に沿い環状に延出する鍔部を有する指掛け部と、前記U字状窪み部の外周部から前記基材の他側面に沿い環状に延出するフランジ部とを備え、前記基材の前記シェードとしての前記賦形の際に、前記指掛け部及び前記フランジ部を樹脂による一体成形でもって前記シェードに形成してなる取っ手部材とを備えることを特徴とするサンシェード装置。
【請求項2】
一方向或いはその逆方向に移動可能に構成されるサンシェード装置において、
矩形状の基材本体、当該基材本体の前記一方向側の端部の前記一方向に対する直角方向両側端部から互いに逆向きに外方へ延出されて前記一方向に沿い両開口部を形成してなる一方向側両基材片、及び前記基材本体の前記逆方向側の端部の前記逆方向に対する直角方向両側端部から互いに逆向きに外方へ延出されて前記一方向に沿い両開口部を形成してなる逆方向側両基材片からなる基材のうちの前記矩形状の基材本体を所定の形状に賦形してなるシェード本体と、前記一方向側両基材片からなる一方向側両シェード片と、前記逆方向側両基材片からなる逆方向側両シェード片とを備えるシェードと、
前記基材本体の前記一方向側の端部の中央部位に形成してなるスリット部内に介装されるU字状窪み部及び当該U字状窪み部の開口部から前記基材本体の一側面に沿い環状に延出する鍔部を有する指掛け部と、前記U字状窪み部の外周部から前記基材本体の他側面に沿い環状に延出するフランジ部とを備え、前記基材本体の前記シェード本体としての前記賦形の際に、前記指掛け部及び前記フランジ部を前記基材本体に対し樹脂による一体成形でもって形成してなる取っ手部材と、
前記基材本体の前記シェード本体としての前記賦形の際に、前記一方向側両シェード片に樹脂による一体成形でもって形成してなる一方向側両摺動部材と、
前記基材本体の前記シェード本体としての前記賦形の際に、前記逆方向側両シェード片に樹脂による一体成形でもって形成してなる逆方向側両摺動部材とを備えており、
前記一方向側両摺動部材の各々は、前記一方向側両シェード片のうちの対応一方向側シェード片の前記両開口部を埋めるとともに当該対応一方向側シェード片を覆うように形成してなる摺動部材本体と、当該摺動部材本体にその両面側から隆起する両側押圧部とを一体的に有するように構成されており、
前記逆方向側両摺動部材の各々は、前記逆方向側両シェード片のうちの対応逆方向側シェード片の前記両開口部を埋めるとともに当該対応逆方向側シェード片を覆うように形成してなる摺動部材本体と、当該摺動部材本体にその両面側から隆起する両側押圧部とを一体的に有するように構成されていることを特徴とするサンシェード装置。
【請求項3】
前記基材本体の前記シェード本体としての前記賦形の際に、前記基材本体の前記逆方向側の端部に沿いその裏面側から樹脂による一体成形でもって形成してなる補強板部を備えることを特徴とする請求項2に記載のサンシェード装置。
【請求項4】
前記基材は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなる発泡ウレタン材料により形成される板状の主材と、当該主材にその表面側から積層されるガラス繊維マットと、当該ガラス繊維マットにその表面側から積層される表皮と、当該主材にその裏面側から積層されるガラス繊維マットと、当該ガラス繊維マットにその裏面側から積層される裏皮とからなることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載のサンシェード装置。
【請求項5】
窓を形成してなるサンルーフを有する車体と、
請求項2或いは3に記載のサンシェード装置と、
当該サンシェード装置をその前記各摺動部材を介し前記窓に対し摺動可能に支持する案内レール装置とを備える自動車。
【請求項6】
一方向或いはその逆方向に移動可能に構成されるサンシェード装置の製造方法において、
基材を、その前記一方向側の端部の中央部位に形成してなるスリット部を有する基材として準備し、
前記基材をシェードとして賦形するとともに、当該賦形の際に前記基材の前記スリット部を押し広げる第1工程と、
前記第1工程にて賦形された前記基材の前記押し広げられたスリット部内に介装されるU字状窪み部及び当該U字状窪み部の開口部から前記基材の一側面に沿い環状に延出する鍔部を有する指掛け部と、前記U字状窪み部の外周部から前記基材の他側面に沿い環状に延出するフランジ部とを備える取っ手部材の前記フランジ部及び前記指掛け部に対応して前記基材の裏面から前記押し広げられたスリット部を介し前記基材の表面にかけて形成されるキャビティ内に、前記基材の前記シェードとしての前記賦形の際に、溶融樹脂を充填することで、前記取っ手部材を前記シェードに一体的に形成する第2工程とを備えることを特徴とするサンシェード装置の製造方法。
【請求項7】
一方向或いはその逆方向に移動可能に構成されるサンシェード装置の製造方法において、
基材を、その前記一方向側の端部の中央部位に形成してなるスリット部を有する基材本体と、当該基材本体の前記一方向側の端部の前記一方向に対する直角方向両側端部から互いに逆向きに外方へ延出されて前記一方向に沿い両開口部を形成してなる一方向側両基材片、及び前記基材本体の前記逆方向側の端部の前記逆方向に対する直角方向両側端部から互いに逆向きに外方へ延出されて前記一方向に沿い両開口部を形成してなる逆方向側両基材片からなる基材として準備し、
前記基材本体をシェード本体として賦形するとともに当該シェード本体と共にシェードを構成するように前記一方向側両基材片及び前記逆方向側両基材片を一方向側両シェード片及び逆方向側両シェード片とし、当該賦形の際に前記基材本体の前記スリット部を押し広げる第1工程と、
前記第1工程にて賦形された前記基材本体の前記押し広げられたスリット部内に介装されるU字状窪み部及び当該U字状窪み部の開口部から前記基材本体の一側面に沿い環状に延出する鍔部を有する指掛け部と、前記U字状窪み部の外周部から前記基材本体の他側面に沿い環状に延出するフランジ部とを備える取っ手部材の前記フランジ部及び前記指掛け部に対応して前記基材本体の裏面から前記押し広げられたスリット部を介し前記基材本体の表面にかけて形成される第1キャビティ部内に、前記基材本体の前記シェード本体としての前記賦形の際に、溶融樹脂を充填することで、前記取っ手部材を前記シェード本体の前記一方向側の端部の中央部位に一体的に形成する第2工程と、
一方向側両摺動部材及び逆方向側摺動部材に対応して前記一方向側両シェード片及び前記逆方向側両シェード片を覆うように形成される第2及び第3のキャビティ部内に、前記基材本体の前記シェード本体としての前記賦形の際に、溶融樹脂を充填することで、前記一方向側両摺動部材及び前記逆方向側摺動部材を前記一方向側両シェード片及び前記逆方向側両シェード片に形成する第3工程とを備えることを特徴とするサンシェード装置の製造方法。
【請求項8】
前記基材本体の前記逆方向側の端部に沿いその裏面側から形成される補強板部に対応して前記基材本体の前記逆方向側の端部に沿い形成される第4キャビティ部内に、前記基材本体の前記シェード本体としての前記賦形の際に、溶融樹脂を充填することで、前記補強板部を前記シェード本体の前記逆方向側の端部に沿い前記補強板部を一体的に形成する第4工程を備えることを特徴とする請求項7に記載のサンシェード装置の製造方法。
【請求項9】
前記基材は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなる発泡ウレタン材料により形成される板状の主材と、当該主材にその表面側から積層されるガラス繊維マットと、当該ガラス繊維マットにその表面側から積層される表皮と、当該主材にその裏面側から積層されるガラス繊維マットと、当該ガラス繊維マットにその裏面側から積層される裏皮とからなり、
基材を形成するにあたっては、前記主材に、その表面側から前記ガラス繊維マット及び前記表皮を順に積層し、その裏面側から前記ガラス繊維マット及び前記裏皮を積層することにより、前記基材を形成することを特徴とする請求項6~8のいずれか1つに記載のサンシェード装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンシェード装置、当該サンシェード装置を備える自動車及びサンシェード装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のサンシェード装置においては、下記特許文献1に記載のサンシェード装置が提案されている。当該サンシェード装置はシェードプレートを備えており、このシェードプレートは、サンシェード装置における日よけとしての主体的役割を果たす。
【0003】
また、サンシェード装置は、ノブ及び4つの摺動部材を備えている。ノブは、室外側部材及び室内側部材でもって構成されており、これら室外側部材及び室内側部材は、シェードプレートの前側左右方向中央部に形成した取り付け孔部にその両側から取り付けられている。
【0004】
この組み付けは、室内側部材の指掛け部をシェードプレートの取り付け孔部を通して室外側部材の受け部内に嵌装するとともに、室内側部材の左右両側係止突起をシェードプレートの取り付け孔部の左右両側部位を介し室外側部材の左右両側係止孔部に係止することによりなされている。
【0005】
また、4つの摺動部材は、それぞれ、シェードプレートの左右両側端部にその各前後部位にて取り付けられている。
【0006】
以上によれば、サンシェード装置が、その各摺動部材にて、自動車の屋根に案内レールを介し前後方向に摺動可能に支持されたとき、ノブを指賭け部に指を掛けて前後方向に移動させることで、各摺動部材によりサンシェード装置を案内レールに沿い前後方向に摺動させる。
【0007】
また、当該サンシェード装置は、通常、帯状補強板を備えており、当該帯状補強板は、シェードプレートの後部に沿いリベット等でもって固着されている。これにより、当該帯状補強版は、シェードプレートをその後部側から補強する役割を果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2008-24037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述したサンシェード装置においては、取っ手、各摺動部材や帯状補強板は、共に、シェードプレートとは別部品となっている。従って、サンシェード装置を完成させるにあたっては、取っ手、各摺動部材或いは帯状補強板を、シェードプレートに別途組付けなければならず、このような組み付け作業は、余分な作業であるのは勿論のこと、サンシェード装置の完成に際して作業効率の低下を招く。
【0010】
例えば、取っ手を例に挙げると、当該取っ手は、上述したごとく、室外側部材と室内側部材という別体の2部品によって構成されている。このため、これら2部品を製造するにはそれぞれ別々の金型が必要になって、製造コストの増大を招く。また、取っ手をシェードプレートに組み付ける作業は、余分な作業であるのは勿論のこと、サンシェード装置としての製造工程数が増加してしまう。また、上述のような組み付け作業にあたっては、作業台も必要となり、製造コストが増大する。
【0011】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、シェードを賦形するときに、取っ手部材、摺動部材及び補強板部の少なくとも1つをシェードと一体的に形成するようにしたサンシェード装置、当該サンシェード装置を備える自動車及びサンシェード装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題の解決にあたり、本発明に係るサンシェード装置は、請求項1の記載によれば、一方向或いはその逆方向に移動可能に構成される。
【0013】
当該サンシェード装置において、
基材(80)を所定の形状に賦形してなるシェード(30)と、
基材の上記一方向側の端部の中央部位に形成してなるスリット部(80g)内に介装されるU字状窪み部(41)及び当該U字状窪み部の開口部から基材の一側面に沿い環状に延出する鍔部(42)を有する指掛け部(40a)と、上記U字状窪み部の外周部から基材の他側面に沿い環状に延出するフランジ部(40b)とを備え、基材のシェードとしての上記賦形の際に、上記指掛け部及び上記フランジ部を樹脂による一体成形でもってシェードに形成してなる取っ手部材(40)とを備えることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、取っ手部材が、基材のシェードとしての賦形の際に、指掛け部及びフランジ部を樹脂による一体成形でもってシェードに形成されている。従って、取っ手部材のシェードに対する組み付け作業が不要となる。また、指掛け部及びフランジ部用の各金型装置が不要となるので、製造コストの軽減につながる。
【0015】
また、本発明に係るサンシェード装置は、請求項2の記載によれば、一方向或いはその逆方向に移動可能に構成される。
【0016】
当該サンシェード装置において、
矩形状の基材本体、当該基材本体の前記一方向側の端部の前記一方向に対する直角方向両側端部から互いに逆向きに外方へ延出されて前記一方向に沿い両開口部を形成してなる一方向側両基材片、及び前記基材本体の前記逆方向側の端部の前記逆方向に対する直角方向両側端部から互いに逆向きに外方へ延出されて前記一方向に沿い両開口部を形成してなる逆方向側両基材片からなる基材のうちの前記矩形状の基材本体を所定の形状に賦形してなるシェード本体と、前記一方向側両基材片からなる一方向側両シェード片と、前記逆方向側両基材片からなる逆方向側両シェード片とを備えるシェードと、
前記基材本体の前記一方向側の端部の中央部位に形成してなるスリット部内に介装されるU字状窪み部及び当該U字状窪み部の開口部から前記基材本体の一側面に沿い環状に延出する鍔部を有する指掛け部と、前記U字状窪み部の外周部から前記基材本体の他側面に沿い環状に延出するフランジ部とを備え、前記基材本体の前記シェード本体としての前記賦形の際に、前記指掛け部及び前記フランジ部を前記基材本体に対し樹脂による一体成形でもって形成してなる取っ手部材と、
前記基材本体の前記シェード本体としての前記賦形の際に、前記一方向側両シェード片に樹脂による一体成形でもって形成してなる一方向側両摺動部材と、
前記基材本体の前記シェード本体としての前記賦形の際に、前記逆方向側両シェード片に樹脂による一体成形でもって形成してなる逆方向側両摺動部材とを備えており、
前記一方向側両摺動部材の各々は、前記一方向側両シェード片のうちの対応一方向側シェード片の前記両開口部を埋めるとともに当該対応一方向側シェード片を覆うように形成してなる摺動部材本体と、当該摺動部材本体にその両面側から隆起する両側押圧部とを一体的に有するように構成されており、
前記逆方向側両摺動部材の各々は、前記逆方向側両シェード片のうちの対応逆方向側シェード片の前記両開口部を埋めるとともに当該対応逆方向側シェード片を覆うように形成してなる摺動部材本体と、当該摺動部材本体にその両面側から隆起する両側押圧部とを一体的に有するように構成されていることを特徴とする。
【0017】
これによれば、基材を基材本体、一方向側両基材片及び逆方向側両基材片でもって構成するとともに、シェードをシェード本体、一方向側両シェード片及び逆方向側シェード片でもって構成し、基材本体のシェード本体としての賦形の際に、基材本体のスリット部を介し取っ手部材を請求項1の場合と同様に形成するだけでなく、一方向側両基材片に対応する一方向側両シェード片に一方向側両摺動部材を樹脂による一体成形でもって形成するとともに逆方向側両シェード片に逆方向側両摺動部材を樹脂による一体成形でもって形成するようにした。
【0018】
これに伴い、サンシェード装置が、シェードに取っ手部材だけでなく、一方向側両摺動部材及び逆方向側両摺動部材をも、樹脂による一体成形のもとに備える装置として形成され得る。その結果、取っ手部材だけでなく一方向側両摺動部材及び逆方向側両摺動部材のシェードに組み付ける作業が全く不要となる。
【0019】
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項2に記載のサンシェード装置において、
基材本体の前記シェード本体としての前記賦形の際に、前記基材本体の前記逆方向側の端部に沿いその裏面側から樹脂による一体成形でもって形成してなる補強板部を備えることを特徴とする。
【0020】
これにより、補強板部をも、基材本体の前記シェード本体としての前記賦形の際に、シェード本体の逆方向端部に樹脂による一体成形でもって形成するので、補強板部のシェードに対する組み付け作業が全く不要となる。
【0021】
また、本発明は、請求項4の記載によれば、請求項1~3のいずれか1つに記載のサンシェード装置において、
基材は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなる発泡ウレタン材料により形成される板状の主材(70)と、当該主材にその表面側から積層されるガラス繊維マット(71)と、当該ガラス繊維マットにその表面側から積層される表皮(73)と、当該主材にその裏面側から積層されるガラス繊維マット(64)と、当該ガラス繊維マットにその裏面側から積層される裏皮(75)とからなることを特徴とする。
【0022】
このような構成によれば、基材は、主として、発泡ウレタン材料からなる板状の主材を、その両側からガラス繊維マットでサンドイッチ状態にしたものによって形成される。このため、サンシェード装置を軽量化することができる。
【0023】
また、本発明に係る自動車は、請求項5の記載によれば、
窓(W)を形成してなるサンルーフ(20)を有する車体(10)と、
請求項2或いは3に記載のサンシェード装置(SD、SD1)と、
当該サンシェード装置をその前記各摺動部材を介し前記窓に対し摺動可能に支持する案内レール装置を備える。
【0024】
このような構成によれば、請求項2或いは3に記載の発明の作用効果を達成し得るサンシェード装置を備えた自動車の提供が可能となる。
【0025】
また、本発明に係るサンシェードの製造方法は、請求項6の記載によれば、一方向或いはその逆方向に移動可能に構成されるサンシェード装置の製造方法である。
【0026】
当該製造方法において、
基材を、その前記一方向側の端部の中央部位に形成してなるスリット部を有する基材として準備し、
前記基材をシェードとして賦形するとともに、当該賦形の際に前記基材の前記スリット部を押し広げる第1工程と、
前記第1工程にて賦形された前記基材の前記押し広げられたスリット部内に介装されるU字状窪み部及び当該U字状窪み部の開口部から前記基材の一側面に沿い環状に延出する鍔部を有する指掛け部と、前記U字状窪み部の外周部から前記基材の他側面に沿い環状に延出するフランジ部とを備える取っ手部材の前記フランジ部及び前記指掛け部に対応して前記基材の裏面から前記押し広げられたスリット部を介し前記基材の表面にかけて形成されるキャビティ内に、前記基材の前記シェードとしての前記賦形の際に、溶融樹脂を充填することで、前記取っ手部材を前記シェードに一体的に形成する第2工程とを備えることを特徴とする。
【0027】
このような構成によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を達成し得るサンシェード装置の提供が可能となる。
【0028】
また、本発明に係るサンシェード装置の製造方法は、請求項7の記載によれば、一方向或いはその逆方向に移動可能に構成されるサンシェード装置の製造方法である。
【0029】
当該製造方法において、
基材を、その前記一方向側の端部の中央部位に形成してなるスリット部を有する基材本体と、当該基材本体の前記一方向側の端部の前記一方向に対する直角方向両側端部から互いに逆向きに外方へ延出されて前記一方向に沿い両開口部を形成してなる一方向側両基材片、及び前記基材本体の前記逆方向側の端部の前記逆方向に対する直角方向両側端部から互いに逆向きに外方へ延出されて前記一方向に沿い両開口部を形成してなる逆方向側両基材片からなる基材として準備し、
前記基材本体をシェード本体として賦形するとともに当該シェード本体と共にシェードを構成するように前記一方向側両基材片及び前記逆方向側両基材片を一方向側両シェード片及び逆方向側両シェード片とし、当該賦形の際に前記基材本体の前記スリット部を押し広げる第1工程と、
前記第1工程にて賦形された前記基材本体の前記押し広げられたスリット部内に介装されるU字状窪み部及び当該U字状窪み部の開口部から前記基材本体の一側面に沿い環状に延出する鍔部を有する指掛け部と、前記U字状窪み部の外周部から前記基材本体の他側面に沿い環状に延出するフランジ部とを備える取っ手部材の前記フランジ部及び前記指掛け部に対応して前記基材本体の裏面から前記押し広げられたスリット部を介し前記基材本体の表面にかけて形成される第1キャビティ部内に、前記基材本体の前記シェード本体としての前記賦形の際に、溶融樹脂を充填することで、前記取っ手部材を前記シェード本体の前記一方向側の端部の中央部位に一体的に形成する第2工程と、
一方向側両摺動部材及び逆方向側摺動部材に対応して前記一方向側両シェード片及び前記逆方向側両シェード片を覆うように形成される第2及び第3のキャビティ部内に、前記基材本体の前記シェード本体としての前記賦形の際に、溶融樹脂を充填することで、前記一方向側両摺動部材及び前記逆方向側摺動部材を前記一方向側両シェード片及び前記逆方向側両シェード片に形成する第3工程とを備えることを特徴とする。
【0030】
これによれば、請求項2に記載の発明と同様の作用効果を達成し得るサンシェード装置の提供が可能となる。
【0031】
また、本発明は、請求項8の記載によれば、請求項7に記載のサンシェード装置の製造方法において、
基材本体の前記逆方向側の端部に沿いその裏面側から形成される補強板部に対応して前記基材本体の前記逆方向側の端部に沿い形成される第4キャビティ部内に、前記基材本体の前記シェード本体としての前記賦形の際に、溶融樹脂を充填することで、前記補強板部を前記シェード本体の前記逆方向側の端部に沿い前記補強板部を一体的に形成する第4工程を備えることを特徴とする。
【0032】
これによれば、請求項3に記載の発明と同様の作用効果を達成し得るサンシェード装置の提供が可能となる。
【0033】
また、本発明は、請求項9の記載によれば、請求項6~8のいずれか1つに記載のサンシェード装置の製造方法において、
基材は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなる発泡ウレタン材料により形成される板状の主材(70)と、当該主材にその表面側から積層されるガラス繊維マット(71)と、当該ガラス繊維マットにその表面側から積層される表皮(73)と、当該主材にその裏面側から積層されるガラス繊維マット(74)と、当該ガラス繊維マットにその裏面側から積層される裏皮(75)とからなり、
基材を形成するにあたっては、主材に、その表面側からガラス繊維マット及び表皮を順に積層し、その裏面側からガラス繊維マット及び裏皮を積層することにより、基材を形成することを特徴とする。
【0034】
このような構成によれば、請求項6~8のいずれか1つに記載の発明と同様の作用効果を達成し得る。
【0035】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する各実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明に係るサンシェード装置の第1実施形態を適用した自動車の部分破断による模式的概略斜視図である。
図2図1の自動車の要部を示す模式的縦断面図である。
図3図1のサンシェード装置に備えられたシェードを示す概略平面図である。
図4】上記第1実施形態における案内レール装置を示す斜視図である。
図5図3の5-5線に沿うサンシェード装置の取っ手部材及びその周辺部分を示す拡大断面図である。
図6図3にて示すサンシェード装置の製造工程を示す工程図である。
図7図6の基材形成工程にて基材が形成される手順を示す模式図である。
図8図6の基材形成工程にて形成された基材を示す縦断面図である。
図9図6の基材投入工程にて基材が金型装置に投入される状態を示す部分断面図である。
図10図6の基材賦形工程にて基材がシェードの形状に賦形される状態を示す部分断面図である。
図11図6の基材賦形工程に進行した直後の基材のスリット部近傍のキャビティ部を示す拡大断面図である。
図12】可動駒が図11の初期位置から下降し、基材のスリット部に当接する直前の基材のスリット部近傍のキャビティ部を示す拡大断面図である。
図13】可動駒が図12の位置からさらに下降し、基材のスリット部を押し広げているときの基材のスリット部近傍のキャビティ部を示す拡大断面図である。
図14】可動駒が図13の位置からさらに下降し、基材のスリット部をさらに押し広げているときの基材のスリット部近傍のキャビティ部を示す拡大断面図である。
図15図14の型締め状態が保持されたまま、可動駒のみ、所定の高さだけ上昇したときの基材のスリット部近傍のキャビティ部を示す拡大断面図である。
図16】一方の射出ゲートからの溶融樹脂が基材のスリット部近傍のキャビティ部内を流れる様子を示す模式的拡大断面図である。
図17図15にて示す状態にて溶融樹脂が充填されたときの基材のスリット部近傍の溶融樹脂の充填状態を示す拡大断面図である。
図18図6の溶融樹脂充填工程にて、射出成形機から射出される溶融樹脂がキャビティ部内に充填される状態を示す部分断面図である。
図19図6の一体成形品取出し工程にて、金型装置から取り出された一体成形品としてのサンシェード装置を示す縦断面図である。
図20】本発明に係るサンシェード装置の第2実施形態におけるシェード、取っ手部材及び各摺動部材を示す拡大斜視図である。
図21図20のシェードの部分破断平面図である。
図22図20の22-22線に沿うシェード及び摺動部材の断面図である。
図23図20の23-23線に沿うシェードの部分断面図である。
図24図20の24-24線に沿うシェード及び補強部材の部分断面図である。
図25図20の25-25線に沿うシェード及び両摺動部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の各実施形態を図面により説明する。
【0038】
(第1実施形態)
図1は、自動車に適用された本発明に係るサンシェードの第1実施形態を示している。当該自動車は、車体10を備えており、この車体10の屋根20には、窓Wが設けられている。なお、屋根20は、窓Wを有する当該自動車のサンルーフとしての役割を果たすもので、当該屋根20は、図2にて示すごとく、外板21及び内板22でもって構成されている。
【0039】
窓Wは、図1或いは図2にて示すごとく、透明パネルW1と、窓用開口部W2とでもって構成されており、透明パネルW1は、屋根20の外板21に形成した嵌め込み用開口部21a(図2参照)に嵌め込まれている。
【0040】
窓用開口部W2は、図2にて示すごとく、透明パネルW1に下方から対向するように屋根20の内板22に形成されている。詳細には、当該窓用開口部W2は、図2にて示すごとく、車体10の車室11内における前側座席(図示しない)にその上方から対向するように、屋根20の内板22に開口形成されている。
【0041】
本第1実施形態では、各符号M1、M2は、それぞれ、上記前後両側座席に着座した各乗員を示す(図2参照)。なお、図1及び図2において、図示右側及び左側が、それぞれ、車体20の前側及び後側に対応する。
【0042】
本第1実施形態にいうサンシェード装置(以下、サンシェード装置SDという)は、案内レール装置GR(図4参照)を介し、窓Wの窓用開口部W2に対し前後方向に移動可能に支持されるようになっている。本第1実施形態において、案内レール装置GRは、屋根20の外板21と内板22との間にて窓用開口部W2に組み付けられており、当該案内レール装置GRは、図4にて示すごとく、左右両側レールGRaと、前後両側帯状支持板GRbでもって構成されている。左右両側レールGRaは、それぞれ、金属材料、例えば、アルミニウムにより、上側レール壁GR1、下側レール壁GR2及び底側レール壁GR3でもって、形成されている。
【0043】
本第1実施形態では、上側レール壁GR1、下側レール壁GR2及び底側レール壁GR3は、共に、平板状壁であることから、左右両側レールGRaの各々は、直線状レールとなっている。
【0044】
ここで、左側レールGRaでは、上側レール壁GR1及び下側レール壁GR2が、底側レール壁GR3の上下両側縁部から右方へ互いに平行に延出している。これにより、左側レールGRaは、上側レール壁GR1、下側レール壁GR2及び底側レール壁GR3でもって、横断面横U字状に形成されており、当該左側レールGRa内には、溝部GR4が、右方へ開口するように形成されている。
【0045】
一方、右側レールGRaでは、上側レール壁GR1及び下側レール壁GR2が、底側レール壁GR3の上下両側縁部から左方へ互いに平行に延出している。これにより、右側レールGRaは、上側レール壁GR1、下側レール壁GR2及び底側レール壁GR3でもって、横断面横U字状に形成されており、当該右側レールGRa内には、溝部GR4が、左方へ開口するように形成されている。
【0046】
しかして、当該左右両側レールGRaは、その各溝部GR4の開口部でもって互いに対向するように、外板21及び内板22との間において、内板22の窓用開口部W2の左右両側縁部にその前後方向に沿い互いに平行となるように組み付けられている。
【0047】
前後両側帯状支持板GRbのうち、前側帯状支持板GRbは、その長手方向両端部にて、左右両側レールGRaの各上側レール壁GR1の前側端部位上にスポット溶接等により固着されている。一方、後側帯状支持板GRbは、その長手方向両端部にて、前側帯状支持板GRbに対し平行に位置するように、左右両側レールGRaの各上側レール壁GR1の後端近傍部位上にスポット溶接等により固着されている。これにより、前後両側帯状支持板GRbは、左右両側レールGRaをその長手方向に沿い平行に維持する役割を果たす。
【0048】
サンシェード装置SDは、図3にて示すごとく、シェード30と、取っ手部材40と、前側及び後側の各左右一対の摺動部材50と、補強部材60とを備えている。
【0049】
シェード30は、複数の部材を積層して矩形板状に構成されており、当該シェード30は、図8にて示すシェード用基材80を後述のように賦形して形成される。当該シェード用基材80は、シェード30の基になるものであって、具体的には、例えばスタンピング成形によりシェード30の形状に賦形する前のものである。ここで、シェード30は、図10にて示す賦形済みのシェード用基材80の前後方向縦断面形状に相当する前後方向縦断面形状を有している。
【0050】
当該シェード用基材80は、図8にて示すごとく、発泡ウレタンからなる主材80aに、その表面側からガラス繊維マット80b、接着フィルム80c及び表皮80dを順に積層するととともに、その裏面側からガラス繊維マット80e及び接着フィルム付きの裏皮80fを順に積層して構成されている。
【0051】
主材80aの形成材料である発泡ウレタンは、本第1実施形態では、熱硬化性樹脂を発泡させたものを用いているが、これに限らず、熱可塑性樹脂を発泡させたものを用いてもよい。
【0052】
ガラス繊維マット80b、80eは、主材80aをその両側から挟持するように当該主材80aに積層されて、当該シェード用基材80の剛性を向上させている。なお、主材80aとガラス繊維マット80b、80eとは、本第1実施形態では、主材80aの表面に塗布した触媒と樹脂とにより接着されている。
【0053】
また、表皮80dは、織物、レザー或いは不織布等からなり、裏皮80fは、不織布からなる。なお、表皮80dは、その表面(車室11内側の面)にて、車室11内を臨んでいる。
【0054】
本第1実施形態では、上述したごとく、ガラス繊維マット80bと表皮80dとの接着は、接着フィルム80cによってなされ、ガラス繊維マット80eと裏皮80fとの接着は、裏皮80fに付けられた接着フィルムによってなされている。いずれにしても、当該接着は、接着フィルムにてなされているが、これに限らず、接着剤を用いてもよい。
【0055】
取っ手部材40は、図3にて示すごとく、シェード30の前側左右方向中央部に設けられている。なお、図3において、図示左側及び右側が、それぞれ、シェード30の前側及び後側に対応する。
【0056】
取っ手部材40は、図3にて示すごとく、シェード30の前側端部の左右方向中央部位に設けられており、当該取っ手部材40は、指掛け部40a、フランジ部40b及びリブ部40c(以下、フランジリブ部40cともいう)を一体的に有するように、樹脂による一体成形でもって形成されている。
【0057】
指掛け部40aは、U字状窪み部41及び鍔部42を有している。U字状窪み部41は、シェード30の前側端部の左右方向中央部位に形成してなるスリット部31(図5参照)にその表面側から裏面側にかけて縦断面U字状となるように形成されて嵌着されており、当該U字状窪み部41は、シェード30のスリット部31の表面側へ開口するように、底壁部41aと、この底壁部41aの外周部から筒状に延出する周壁部41bとにより構成されている。なお、周壁部41bは、シェード30のスリット部31内に嵌着されている。
【0058】
鍔部42は、U字状窪み部41の開口端部(周壁部41bの外端部)からシェード30の表面30aに沿い外方へ環状に延出するように形成されている。これにより、当該鍔部42は、後述のように、フランジ部40bと共にシェード30のスリット部31の外周部を挟持するとともに、当該スリット部31の周壁部41bからの抜け止めを防止する役割を果たす。
【0059】
フランジ部40bは、シェード30の前側端部にて、当該シェード30の裏面30bに沿い指掛け部40aの周壁部41bの底側外周部位から外方へ環状に延出するように形成されており、当該フランジ部40bは、シェード30の前側端部の左右方向中央部位をその裏面側から受承して支持するとともに、シェード30をそのスリット部31の外周部にて挟持する。本第1実施形態において、フランジ部40bのうちの指掛け部41の図5にて図示右側側部位43aは、フランジ部40bのうちの指掛け部41の図5にて図示左側側部位43bよりも厚肉状に形成されることで、フランジ部40bの強度を向上させている。なお、指掛け部41の肉厚は、フランジ部40bのうちの指掛け部41の図5にて図示左側側部位と同様である。
【0060】
フランジリブ部40cは、フランジ部40bをその裏面側から補強する役割を果たすもので、当該フランジリブ部40cは、フランジ部40bの指掛け部41の前側部位からその裏面側へ延出するように形成されている。ここで、当該フランジリブ部40cは、フランジ部40bの上記前側部位にその裏面に沿い左右方向に延出するように形成されている。
【0061】
前側及び後側の各左右一対の摺動部材50のうち、前左右両側摺動部材50は、図3から分かるように、シェード30の左右両側端部の各前側部位に組み付けられており、一方、後左右両側摺動部材50は、図3から分かるように、シェード30の左右両側端部の各後側部位に組み付けられている。なお、本第1実施形態において、前左右両側摺動部材50は、それぞれ、前左側摺動部材50及び前右側摺動部材50といい、後左右両側摺動部材50は、それぞれ、後左側摺動部材50及び後右側摺動部材50ともいう。
【0062】
しかして、前左側摺動部材50及び後左側摺動部材50が、案内レール装置GRの左側レールGRa内に挿入される一方、前右側摺動部材50及び後右側摺動部材50が案内レール装置GRの右側レールGRa内に挿入される。このような状態において、乗員がその手により車室11内にて取っ手部材40の指掛け部40aに指をかけて、前後方向に力を加えると、サンシェード装置SDは前後方向へ案内レール装置GRに沿い摺動する(図1及び図2参照)。
【0063】
なお、補強部材60は、補強板からなるもので、当該補強部材60は、シェード30の後端部にその裏面側に沿いリベット等により組み付けられて、シェード30をその後端部側から補強する役割を果たす。
【0064】
次に、サンシェード装置SDの製造方法について図6を参照して説明する。まず、基材形成工程S1において、シェード30の基となる基材80(図7参照)が次のようにして形成される。
【0065】
当該基材形成工程S1においては、図7にて示すごとく、まず、発泡ウレタンからなる板状の主材70を準備する。このとき、主材70の表面と裏面には、上述した触媒と樹脂が塗布されているものとする。
【0066】
次に、ガラス繊維マット71、接着フィルム72及び表皮73を、主材70にその表面側から順次積層するととともに、ガラス繊維マット74及び接着フィルム付きの裏皮75を主材70にその裏面側から順次積層する(図7参照)。なお、ガラス繊維マット71、接着フィルム72、表皮73、ガラス繊維マット74及び接着フィルム付きの裏皮75は、以下、それぞれ、基材構成部材71、72、73、74及び75ともいう。また、上述のような主材70と、この主材70に積層される各基材構成部材71、72、73、74及び75とからなる構成は、以下、積層構成体ともいう。なお、主材70は、両ガラス繊維マット71、74の間に挟持されるように、これらガラス繊維マット71、74の全長に合せた長さを有する。
【0067】
しかして、このような積層構成体を所定の長さで切断すると、シェード30の基になる上述のシェード用基材80が形成される(図7参照)。ここで、当該シェード用基材80は、主材70に対応する主材80a、並びにガラス繊維マット71、接着フィルム72、表皮73、ガラス繊維マット74及び接着フィルム付きの裏皮75にそれぞれ対応するガラス繊維マット80b、接着フィルム80c、表皮80d、ガラス繊維マット80e及び接着フィルム付きの裏皮80fでもって構成される(図8参照)。
【0068】
そして、上述した切断と同時に、スリット部80g(シェード30のスリト孔部31に対応)が、シェード用基材80のうちの取っ手部材40が形成される部位、すなわち前端側左右方向中央部にて、シェード用基材80の表面から裏面にかけて形成される(図7及び図8参照)。
【0069】
次に、上述した基材形成工程S1の処理後基材投入工程S2において、上型110を下型150から上動させることで、金型装置100を開く。このような段階にて、シェード用基材80を、上型110と下型150との間に投入する(図9参照)。但し、シェード用基材80の金型装置100への投入前においては、シェード用基材80は、賦形のために加熱軟化されるが、当該加熱軟化工程についての詳細な説明は、省略する。
【0070】
ここで、金型装置100の構成について説明すると、当該金型装置100は、図8或いは図9にて示すごとく、上型110(可動型110)及び下型150(固定型150)を備えて、スタンピング成形と樹脂射出成形とを略同時に行うように構成されている。
【0071】
上型110は、矩形状の上型本体111を備えており、当該上型本体111は、4本のガイドポスト112の内側にて、矩形状の取り付け板113にその下面側から固定されている。一方、下型150は、矩形状の下型本体151を備えており、当該下型本体151は、複数のガイドブッシュ152の内側にて、マニホールド板153にその上面から固定されている。なお、マニホールド板153は、取り付け板154にその上面側から固定されている。
【0072】
しかして、当該金型装置100は、上型110の下型150への下動に伴い、上型本体111を、後述のように、シェード用基材80を介し、下型本体151に押圧して、当該シェード用基材80をシェード30の形状となるようにスタンピング成形するとともに、シェード用基材80を介し上型本体111と下型本体151との間に形成されるキャビティC内に溶融樹脂を充填することで、シェード30と取手40との一体成形を行うようになっている。
【0073】
ここで、上型110の下型150への下動及び当該下型150からの上動は、上型110の取り付け板113に装着してなる油圧式昇降シリンダ120により行われる。なお、下型150は、油圧式昇降シリンダ120により、所定のストロークだけ昇降駆動される。
【0074】
また、複数のガイドポスト112は、取り付け板113の下面の4隅部に下方へ突出するように設けられており、当該複数のガイドポスト112は、上型110の下動に伴い、マニホールド板153の上面の4隅部から突出する各筒状のガイドブッシュ152に挿入されて、上型110の下型150に対する位置決めを行う役割を果たす。
【0075】
上型本体111の下型本体151に対する対向面114(以下、上側成形面114ともいう)は、賦形済みのシェード用基材80(図9或いは図10参照)、換言すれば、シェード30の図10にて図示上面(室内側面)の前後方向縦断面形状に相当する前後方向縦断面形状を有する。一方、下型本体151の上型本体111に対する対向面154(以下、下型成形面154ともいう)は、賦形済みのシェード用基材80の図10に図示下面(室外側面)の前後方向縦断面形状に対応する前後方向縦断面形状を有する。
【0076】
上述したキャビティCは、フランジ部用キャビティ部C1、リブ部用キャビティ部C2及び指掛け部用キャビティ部C3でもって構成されている。
【0077】
ここで、フランジ部用キャビティ部C1は、取手40のフランジ部40bに対応する中空形状を有し、フランジリブ部用キャビティ部C2は、取手40のフランジリブ部40cに対応する中空形状を有し、指掛け部用キャビティ部C3は、取手40の指掛け部40aに対応する中空形状を有する。
【0078】
しかして、フランジ部用キャビティ部C1は、図10にて示すごとく、賦形済みのサンシェード本体用基材80の図示下面と下型本体151の上型本体111に対する対向面155(以下、下型成形面155ともいう)との間に形成されている。これに伴い、下型成形面155は、図10にて示す断面形状から分かるように、取手40のフランジ部40bの外形形状であるフランジ部用キャビティ部C1の中空形状に対応するように切り欠き形成されている。
【0079】
フランジリブ部用キャビティ部C2は、図10にて例示するごとく、フランジ部用キャビティ部C1から下型本体151内に向け壁状の凹部として形成されている。また、指掛け部用キャビティ部C3は、賦形済みのサンシェード本体用基材80のスリット部80gを後述のように図18にて示すごとく開いた状態にてフランジ部用キャビティ部C1のうちの当該スリット部80gの近傍部位からスリット部80gを介し上型本体111の上型成形面114のうちのスリット部80gの近傍部位にかけて形成される。なお、スリット部80gは、シェード30のスリット部31に対応する。
【0080】
また、マニホールド板153は、流路153a、153bを有しており、これら流動路153a、153bのうち、流路153aは、その外端開孔部にて、樹脂射出成形機200aにその射出ノズルを介し接続されており、当該流路153aは、その内端開孔部にて、下型本体151の流路151aを介しゲート151bに連通する。ここで、流路151aは、ゲート151bを介しフランジ部用キャビティ部C1内に連通する(図10参照)。これに伴い、樹脂射出成形機200aは、溶融樹脂を、両流路153a、151a及びゲート151bを介してフランジ部用キャビティ部C1内に射出する。
【0081】
一方、流路153bは、その外端開孔部にて、樹脂射出成形機200bにその射出ノズルを介し接続されており、当該流路153bは、その内端開孔部にて、下型本体151の流路151cを介しゲート151dに連通する。ここで、流路151cは、ゲート151dを介しフランジ部用キャビティ部C1内に連通する(図10参照)。これに伴い、樹脂射出成形機200bは、溶融樹脂を、両流路153b、151c及びゲート151dを介してフランジ部用キャビティ部C1内に射出する。
【0082】
なお、本第1実施形態では、金型装置100において、上型110及び下型150が、図9にて示すごとく、上下に位置するよう構成されているが、これに代えて、上型110及び下型150が、左右に位置するように構成されていてもよい。
【0083】
上述のように基材投入工程S2の処理をした後、基材賦形工程S3に進む。図10は、当該基材賦形工程S3にて、シェード用基材80が、上型110の下動及び可動駒130の下動のもとに、シェード30の形状に賦形されたときの様子を示している。
【0084】
以下、基材賦形工程S3の処理について詳細に説明する。図11は、基材賦形工程S3に進んだ直後の状態を示している。ここで、可動駒130は、矩形棒状体からなるもので、当該可動駒130は、上型110の取り付け板113及び上型本低111に亘り形成してなる摺動穴部(図示しない)内に上下方向に摺動可能に嵌装されて、シェード用基材80のスリット部80gに対向するように位置している。なお、当該可動駒130は、昇降シリンダ120とは別の油圧装置(図示しない)により、上下方向に摺動される。
【0085】
可動駒130は、後述のごとく、シェード用基材80のスリット部80gを押し広げ孔部H(図13参照)として押し広げるとともに指掛け部用キャビティ部C3を形成する役割を果たす。ここで、指掛け部用キャビティ部C3は、上型本体111の上型成形面114のうちの可動駒130の軸方向中間部位の外周側成形面部に浅い凹状に形成してなる凹部114a(取っ手部材40の指掛け部40aの鍔部42に対応)と、シェード用基材80のスリット部80gの押し広げ孔部Hと可動駒130の先端部との間の環状空隙部G(図15参照)とによって形成される。なお、可動駒130は、その底面130aにて、フランジ部用キャビティ部C1のうち底面130aに対する対応部位の傾きに応じた傾きで傾斜している(図12参照)。
【0086】
しかして、基材賦形工程S3において、可動駒130が、その初期位置(図11参照)から図12にて示すごとく下動を開始し、シェード用基材80のスリット部80gに到達して、当該スリット部80gを押圧する。これにより、スリット部80gは、押し広げ孔部Hとして、可動駒130の底面130a及びその近傍面130bによって下方へ押し広げられる(図13参照)。
【0087】
当該可動駒130の下動に併せて、上型110が下動し、図10或いは図146にて示すごとく、下型150に係合することで金型装置100を閉じる。これに伴い、シェード用基材80が上型本体111及び下型本体151によりシェード30の形状に賦形される。この賦形は、スリット部80gの押し広げ孔部Hとして形成にあわせてなされる。当該押し広げ孔部Hは、可動駒130の先端部との間に上記環状空隙部を形成する役割を果たす。
【0088】
次に、上述のように金型装置100を閉じた状態において、可動駒130のみを上記油圧装置により所定の高さだけ上動させる(図15参照)。これにより、可動駒130とシェード用基材80との密接状態(図14参照)が解消され、可動駒130とシェード用基材80との間に、環状空隙部G(以下、環状空隙部Gという)が形成される。当該環状空隙部Gは、上述したごとく、凹部114aとともに、指掛け部用キャビティ部C3を形成する。
【0089】
また、可動駒130が、上述したごとく、所定の高さだけ上昇することにより、フランジ部用キャビティ部C1が、その可動駒130の底面部130aに対する対応部位にて、可動駒130の底面部130aまで拡張される。ここで、フランジ部用キャビティ部C1の可動駒130の底面部130aに対する対応部位と可動駒130の底面部130aとの間に形成される拡張空間部が取っ手部材40の指掛け部40aの底壁部41aに対応し、当該底壁部41aの剛性を高める役割を果たす。
【0090】
上述のように基材賦形工程S3の処理を行った後、溶融樹脂充填工程S4において、樹脂射出成形機200aから射出される溶融樹脂MSが、流路153a、流路151a及びゲート151bを介し、キャビティCのフランジ部用キャビティ部C1及び複数のリブ部用の複数のキャビティ部C2内に充填されるとともに、樹脂射出成形機200bから射出される溶融樹脂MSが、流路153b、流路151c及びゲート151dを介し、キャビティCのフランジ部用キャビティ部C1、複数のリブ部用の複数のキャビティ部C2及び指掛け部用キャビティ部C3内に順次充填される(図16にて図示矢印参照)。このことは、溶融樹脂MSが、図17及び図18にて示すごとく、キャビティCの内部の全体に亘り充填されることを意味する。
【0091】
然る後、溶融樹脂硬化工程S5において、キャビティC内に充填された溶融樹脂が、当該充填後、冷却されて硬化していく。このことは、キャビティC内の溶融樹脂がその硬化に伴い取っ手部材40として成形されることを意味する。なお、当該硬化後、可動駒130が、さらに、上動されて、キャビティ部C3の中空部内から脱出する。このとき、キャビティC3内の溶融樹脂は、その硬化に伴い、取っ手部材40の指掛け部40aとしての形状を維持し得る。
【0092】
これにより、シェード用基材80からスタンピング形成してなるシェード30が、上型110及び下型150の間において、取っ手部材40と共に、一体的に、樹脂による一体成形でもって、一体成形品として形成される(図19参照)。
【0093】
このような溶融樹脂硬化工程S5の処理後、次の一体成形品取り出し工程S6において、上型110を下型150から上動させて金型装置100を開く。このとき、シェード30と取っ手部材40との一体成形品(図19参照)が、下型150の下型本体151上に留まっている。従って、当該一体成形品が、下型本体151から取り出される。
【0094】
然る後、補強部材組み付け工程S7において、補強部材60が、シェード30の後端部に沿いその裏面側からリベット等により組み付けられる。これにより、当該補強部材60は、シェード30をその後端部側から補強し得る。
【0095】
ついて、摺動部材組み付け工程S8において、前左側摺動部材50及び後左側摺動部材50が、それぞれ、シェード30の左側端部の前側部位及び後側部位に組み付けられるとともに、前右側摺動部材50及び後右側摺動部材50が、それぞれ、シェード30の右側端部の前側部位及び後側部位に組み付けられる。以上により、サンシェード装置SDの製造及び組み立てが完了する。
【0096】
以上説明した本第1実施形態によれば、上述のように製造及び組み立てが完了したサンシェード装置SDにおいては、取っ手部材40が、シェード用基材80のスリット部80gを有効に活用した樹脂射出成形により、単一の部品として一体的に成形される。このため、当該取っ手部材40を製造するにあたり、従来のように2部品からなる取っ手を製造する場合のように別々の金型を必要とすることなく、製造コストを軽減することができる。
【0097】
また、取っ手部材40が、樹脂を用いた射出成形のもとに、シェード30と一体的に成形されるので、従来のように取っ手をサンシェードとは別途製造した上で、当該取っ手をサンシェードに組み付ける作業は、全く、不必要となり、サンシェード装置SDの製造組み付け作業効率が大幅に改善され得る。
【0098】
ここで、当該サンシェード装置SDにおいて、シェード30は、主として、発泡ウレタンからなる主材70をその両面側からガラス繊維マット71、74により挟持して構成されている。従って、シェード30の軽量化を図ることができる。
【0099】
また、取っ手部材40の指掛け部40aに環状壁部40cを一体的に成形し、当該フランジ部40bによりシェード30をその下方から受承して支持するようにしたので、シェード30の全体としての剛性をさらに高めることができる。
【0100】
ここで、フランジ部40bは、上述のごとく厚肉部43aを有することで部分的な補強を増強してなり、また、当該フランジ部40bにはフランジリブ部40cを上述のごとく一体的に形成することで、シェード30のその裏面側からの支持や当該シェード30の剛性をさらに高めている。
【0101】
その結果、シェード30の全体としての軽量化を確保し得るとともに、当該シェード30の全体として十分な剛性を確保することできる。
【0102】
(第2実施形態)
図20は、本発明に係るサンシェード装置の第2実施形態を示している。本第2実施形態にいうサンシェード装置(以下、サンシェード装置SD1という)は、上記第1実施形態にいうサンシェード装置SDに代えて、上記第1実施形態にて述べた案内レール装置GRを介し、自動車の窓Wの窓用開口部W2に対し前後方向に摺動可能に支持されるようになっている。
【0103】
サンシェード装置SD1は、図20にて示すごとく、シェード160と、上記第1実施形態にて述べた取っ手部材40と、前左右両側摺動部材170及び後左右両側摺動部材170と、補強部材180とを備えている。
【0104】
シェード160は、矩形状のシェード本体160aと、前左右両側シェード片160b及び後左右両側シェード片160bとを備えており、当該シェード160は、シェード本体160a、前左右両側シェード片160b及び後左右両側シェード片160bを一体的に有するように、上記第1実施形態にて述べたシェード用基材80(図7参照)の左右方向幅を幅広にしてなるシェード用幅広基材(図示しない)から形成されている。
【0105】
シェード本体160aは、上記第1実施形態にて述べたシェード30に対応するもので、当該シェード本体160aには、シェード30のスリット部31に対応するスリット部167(図21参照)が形成されている。
【0106】
前左右両側シェード片160b及び後左右両側シェード片160bは、共に同一形状に形成されており、前左右両側シェード片160bは、シェード本体160aの前端部の左右両側端部から互いに左右方向に離れるように延出されており、一方、後左右両側シェード片160bは、シェード本体160aの後端部の左右両側端部から互いに左右方向に離れるように延出されている。なお、前左右両側シェード片160bのシェード本体160aの前端部の左右両側端部からの延出長さは同一となっている。また、後左右両側シェード片160bのシェード本体160aの後端部の左右両側端部からの延出長さは同一となっている。
【0107】
また、前左右両側シェード片160bの各々は、図21にて示すごとく、前側片部161、中側片部162及び後側片部163と、連結片部164とでもって、前側開口部165及び後側開口部166を形成するように、E字状に形成されている。換言すれば、前左側シェード片160bは、シェード本体160aの前端部の左端部、前側片部161、中側片部162及び連結片部164の前側部位で包囲するように、前側開口部165を矩形状に形成するとともに、前右側シェード片160bは、シェード本体160aの前側端部の右端部、中側片部162、後側片部163及び連結片部164の後側部位で包囲するように、後側開口部166を矩形状に形成する。
【0108】
また、後左右両側シェード片160bの各々は、同様に、前側片部161、中側片部162及び後側片部163と、連結片部164とでもって、前側開口部165及び後側開口部166を形成するように、E字状に形成されている。換言すれば、後左側シェード片160bは、シェード本体160aの後側端部の左端部、前側片部161、中側片部162及び連結片部164の前側部位で包囲するように、前側開口部165を矩形状に形成するとともに、後右側シェード片160bは、シェード本体160aの後側端部の右端部、中側片部162、後側片部163及び連結片部164の後側部位で包囲するように、後側開口部166を矩形状に形成する。
【0109】
本第2実施形態において、上記シェード用幅広基材は、その左右両側端部を、前左右両側シェード片160b及び後左右両側シェード片160bに対応する各部位を残すように切除することで、基材本体、前左右両側基材片及び後左右両側基材片を一体的に有するように構成されている。なお、上記基材本体は、シェード本体160aに対応し、上記前左右両側基材片は前左右両側シェード片160bに対応し、かつ、上記後左右両側基材片は後左右両側シェード片160bに対応する。
【0110】
また、本第2実施形態にいう上記シェード用幅広基材において、上記基材本体には、シェード用基材80のスリット部80gに対応するスリット部が形成されており、当該スリット部は、シェード本体160aのスリット部167に対応する。また、上記シェード用幅広基材は、その左右方向幅にて、それぞれ、上記第1実施形態にいうシェード用基材80の左右方向幅を前左右両側シェード片160b及び後左右両側シェード片160bのシェード本体160aからの延出長さだけ広くするように形成されている。
【0111】
これに伴い、上記第1実施形態にて述べた主材70及び各基材構成部材71、72、73、74及び75とからなる積層構成体(図7参照)も、その左右方向幅にて、同様に、前左右両側シェード片160b及び後左右両側シェード片160bの延出長さだけ幅広となっている。
【0112】
また、本第2実施形態においては、上記第1実施形態にて述べた取っ手部材40(図5参照)が採用されており、当該取っ手部材40は、上記第1実施形態にて述べたシェード30に代えて、シェード本体160aの前側端部の左右方向中央部位に左右方向に沿い形成されている。
【0113】
本第2実施形態にいう取っ手部材40は、上記第1実施形態にいう取っ手部材と同様に、指掛け部40aと、フランジ部40bと、フランジリブ部40cとにより構成されている。
【0114】
本第2実施形態にいう取っ手部材40において、指掛け部40aは、そのU字状窪み部41(図5参照)にて、シェード本体160aのスリット部167(図21参照)にその表面側から裏面側にかけてU字状となるように形成されて嵌着されており、当該U字状窪み部41は、シェード本体160aのスリット部167の表面側へ開口するように、底壁部41a及び周壁部41bでもって構成されている。ここで、周壁部41bは、図5から理解されるように、シェード30に代わるシェード本体160aのスリット部167内に介装されている。また、鍔部42は、スリット部31に代わるスリット部167の開口端部からシェード本体160aの表面に沿うように外方へ環状に延出されている。
【0115】
また、本第2実施形態にいう取っ手部材40において、フランジ部40bは、シェード本体160aの裏面に沿い指掛け部40aの周壁部41bの底側外周部位から外方へ環状に延出するように形成されており、当該フランジ部40bは、シェード本体160aの前側端部をその裏面側から受承して支持する。また、当該フランジ部40bは、指掛け部40aの鍔部42と共に、シェード本体160aのスリット部167の外周部を挟持する。
【0116】
また、本第2実施形態では、フランジ部40bは、左右両側連結板部90a(図20参照)を介し補強部材180の補強板部181(後述する)に一体的に連結されている。
【0117】
ここで、左右両側連結板部90aは、図22にて例示するごとく、細幅板状に形成されており、当該左右両側連結板部90aのうち左側連結板部90aは、フランジ部40bの左側端部からシェード本体160aの前側端部にその裏面に沿い左側方向に延出するとともに、シェード本体160aの前側端部の左端部からL字状に折れ曲がってシェード本体160aの左側端部にその裏面に沿い後側方向に延出して補強部材180の補強板部181の左端部に一体的に連結されている。これにより、当該左側連結板部90aは、シェード本体160aを、その前側端部のうちの左側部にてその下方から受承して支持することで、補強する役割を果たす。
【0118】
一方、右側連結板部90aは、フランジ部40bの右側端部からシェード本体160aの前側端部にその裏面に沿い右側方向に延出するとともに、シェード本体160aの前側端部の右端部からL字状に折れ曲がってシェード本体160aの右側端部にその裏面に沿い後側方向に延出して補強部材180の補強板部181の右端部に一体的に連結されている。これにより、当該右側連結板部90aは、シェード本体160aを、その前側端部のうちの右側部にてその下方から受承して支持することで、補強する役割を果たす。
【0119】
本第2実施形態では、左右両側リブ部90bが、図22にて例示するごとく、左右両側連結板部90aにその各裏側へ板状に延出するように形成され、かつ、左右両側連結板部90aの各長手方向に沿い延在するように形成されている。これにより、当該左右両側リブ部90bは、左右両側連結板部90aを補強する役割を果たす。なお、左右両側リブ部90bは、取っ手部材40のフランジリブ部40cから互いに逆方向に延出されており、当該左右両側リブ部90bは、その各延出端部にて、補強部材180の中央リブ部182の左右両端部に一体的に連結されている。また、左右両側リブ部90bは、以下、左右両側連結板リブ部90bともいう。
【0120】
また、本第2実施形態にいう取っ手部材40においても、フランジリブ部40cは、フランジ部40bをその全体に亘りその裏面側から補強すべく、フランジ部40bの上記前側部位からその裏面側へ壁状に延出するように形成されている。
【0121】
次に、4つの摺動部材170の構成について説明すると、当該4つの摺動部材170のうち、前左右両側摺動部材170は、シェード本体160aの前側端部の左右両端部に対し、上記基材本体のシェード本体160aとしての賦形の際に、前左右両側シェード片160bを介し樹脂による成形でもって形成されている(図20或いは図21参照)。また、後左右両側摺動部材170は、シェード本体160aの後側端部の左右両端部に対し、上記基材本体のシェード本体160aとしての賦形の際に、後左右両側シェード片160bを介し樹脂による成形でもって形成されている(図20或いは図21参照)。
【0122】
前左右両側摺動部材170及び後左右両側摺動部材170は、シェード本体160aに対する各形成位置を除き、共に、同一の構成を有するように形成されている。そこで、これらの摺動部材170のうちの前左側摺動部材170を例にとりその構成について説明する。
【0123】
前左側摺動部材170は、摺動部材本体170a、上側押圧部170b及び下側押圧部170cを有するように、上述した基材本体のシェード本体160aとしての賦形の際に、樹脂による一体成形でもって、前左側シェード片160bに形成されている(図23及び図25のいずれか参照)。
【0124】
摺動部材本体170aは、前左側シェード片160bをその外周及び延出端側から覆うように短冊板状に形成されている。この形成に伴い、前左側シェード片160bが、その前側片部161、中側片部162及び後側片部163並びに連結片部164にて、摺動部材本体170aを形成する樹脂により覆われる。これに伴い、前後両側開口部164、165が、その各中空部にて、摺動部材本体170aを形成する樹脂でもって埋められる(図23参照)。
【0125】
ここで、摺動部材本体170aは、その両面にて、前側片部161、中側片部162及び後側片部163並びに連結片部164の各両面に対し間隔をおいて平行となっている。また、摺動部材本体170aの前端面は、前側片部161の前端面に対し間隔をおいて平行となっており、摺動部材本体170aの後端面は、後側片部163の後端面に対し間隔をおいて平行となっている。
【0126】
上側押圧部170bは、摺動部材本体170aの図23にて図示上面中央側部位から上方へ凸な緩やかな湾曲形状にて膨出するように形成されており、一方、下側押圧部170cは、摺動部材本体170aの図23にて図示下面中央側部位から下方へ凸な緩やかな湾曲形状にて膨出するように形成されている。
【0127】
これに伴い、上側押圧部170b及び下側押圧部170cは、摺動部材本体170aの中央部位及び中側片部162を介し互いに対向するようになっている。ここで、前左側摺動部材170において、上側押圧部170b及び下側押圧部170cは、中側片部162を押圧可能な弾力性を有する。なお、上側押圧部170bの頂部と摺動部材本体170aの上面との間の距離は、下側押圧部170cの頂部と摺動部材本体170aの下面との間の距離と同一である。
【0128】
また、前左側摺動部材170は、図23或いは図25にて示すごとく、前上下両側凸部171及び後上下両側凸部172を有している。前上下両側凸部171は、摺動部材本体170aの前側部位の上下両面から互いに外方へ縦断面半球状に隆起するように、樹脂による一体成形でもって形成されている。一方、後上下両側凸部172は、摺動部材本体170aの後側部位の上下両面から互いに外方へ縦断面半球状に隆起するように樹脂による一体成形でもって形成されている。なお、各凸部171、172の半径は共に同一である。
【0129】
本第2実施形態において、上側押圧部170bの頂部と摺動部材本体170aの上面との間の距離は、前上側凸部171の頂部と摺動部材本体170aの上面との間の距離或いは後上側凸部172の頂部と摺動部材本体170aの上面との間の距離よりも長くなっている。一方、下側押圧部170bの頂部と摺動部材本体170aの下面との間の距離は、前下側凸部171の頂部と摺動部材本体170aの下面との間の距離或いは後下側凸部172の頂部と摺動部材本体170aの下面との間の距離よりも長くなっている。
【0130】
残りの前右側摺動部材170、上述した基材本体のシェード本体160aとしての賦形の際に、後左側摺動部材170及び後右側摺動部材170は、それぞれ、シェード160の前右側シェード片160b、後左側シェード片160b及び後右側シェード片160bに対し、前左側摺動部材170の前左側シェード片160bに対する樹脂による成形と同様に、前左側摺動部材170と同様の構成にて、樹脂による成形でもって形成されている。
【0131】
このように構成してなる前左側摺動部材170及び後左側摺動部材170は、上記第1実施形態にて述べた前左側摺動部材50及び後左側摺動部材50に代えて、案内レール装置GRの左側レールGRa内に挿入される一方、前右側摺動部材170及び後右側摺動部材170は、上記第1実施形態にて述べた前右側摺動部材50及び後右側摺動部材50に代えて、案内レール装置GRの右側レールGRa内に挿入される。
【0132】
これに伴い、前左側摺動部材170が、前上下両側凸部171及び後上下両側凸部172にて、左側レールGRaの上側レール壁GR1及び下側レール壁GR2と摺接可能となるように、上下両側押圧部170b、170cにて、摺動部材本体170aの前後方向中央部位を介し前左側シェード片160bの中央片部162をその両面から押圧しながら、左側レールGRaの上側レール壁GR1及び下側レール壁GR2により挟持される。一方、前右側摺動部材170が、前上下両側凸部171及び後上下両側凸部172にて、右側レールGRaの上側レール壁GR1及び下側レール壁GR2と摺接可能となるように、上下両側押圧部170b、170cにて、摺動部材本体170aの前後方向中央部位を介し前右側シェード片160bの延出部162をその両面から押圧しながら、右側レールGRaの上側レール壁GR1及び下側レール壁GR2により挟持される。
【0133】
また、同様にして、後左側摺動部材170が、前上下両側凸部171及び後上下両側凸部172にて、左側レールGRaの上側レール壁GR1及び下側レール壁GR2と摺接可能となるように、上下両側押圧部170b、170cにて、摺動部材本体170aの前後方向中央部位を介し後左側シェード片160bの延出部162をその両面から押圧しながら、左側レールGRaの上側レール壁GR1及び下側レール壁GR2により挟持される。一方、後右側摺動部材170が、前上下両側凸部171及び後上下両側凸部172にて、右側レールGRaの上側レール壁GR1及び下側レール壁GR2と摺接可能となるように、上下両側押圧部170b、170cにて、摺動部材本体170aの前後方向中央部位を介し後右側シェード片160bの延出部162をその両面から押圧しながら、右側レールGRaの上側レール壁GR1及び下側レール壁GR2により挟持される。
【0134】
以上のようにして、サンシェード装置SD1は、案内レール装置GRに対し安定的に摺動可能に組み付けられる。このような状態において、乗員がその手により車室11内にて本第2実施形態にいう取っ手部材40の指掛け部40aに指をかけて、前後方向に力を加えると、サンシェード装置SD1が、上記第1実施形態にて述べたサンシェード装置SDに代えて、前後方向へ案内レール装置GRに沿い摺動する。
【0135】
補強部材180は、図20にて示すごとく、シェード160のシェード本体160aの後端部に設けられており、当該補強部材180は、図24にて示すごとく、補強板部181及び3つのリブ部182~184でもって、上述した基材本体のシェード本体160aとしての賦形の際に、樹脂による一体成形でもって形成されている。なお、当該リブ部182~184のうち、リブ部182は中央リブ部182ともいい、リブ部183は、前側補助リブ部183ともいい、リブ部184は、後側補助リブ部184ともいう。
【0136】
補強板部181は、シェード本体160aの後端部にその左右方向に沿うように長手状に形成されており、当該補強板部181は、その左右方向両端部にて、左右両側連結板部90aの各延出端部に一体的に連結されている。ここで、当該補強板部181は、シェード本体160aの後端部をその裏面側から受承して支持することにより当該シェード本体160aをその後端部から補強する役割を果たす。
【0137】
3つのリブ部182~184は、補強板部181にその左右方向に沿うように長手状に形成されており、当該3つのリブ部182~184は、補強板部181に直交して当該補強板部181からその裏面側へ延出するように形成されている。
【0138】
当該3つのリブ部182~184のうち、中央リブ部182は、補強板部181の幅方向中央部からその裏面側へ延出するように形成されている(図24及び図25参照)。前側補助リブ部183は、補強板部181の幅方向前側部位からその裏面側へ延出するように形成されており、後側補助リブ部184は、補強板部181の幅方向後側部位からその裏面側へ延出するように形成されている。これにより、3つのリブ部182~184は、補強板部181を補強する役割を果たす。以上のことから、当該補強部材180は、シェード本体160aの後端部をその裏面側から補強する役割を果たすものといえる。
【0139】
次に、サンシェード装置SD1の製造方法について説明する。図6の基材形成工程S1においては、上記第1実施形態にて述べたシェード用基材80と同様の積層構造にて、シェード用幅広基材を形成する。但し、当該シェード用幅広基材は、上述したごとく、シェード用基材80よりも幅広に形成されている。
【0140】
本第2実施形態において、当該シェード用幅広基材は、シェード本体160aに対応する基材本体、前左右両側シェード片160bに対応する前左右両側基材片及び後左右両側シェード片160bに対応する後左右両側基材片を有するように形成される。
【0141】
ここで、上記前左右両側基材片は、上記基材本体の前側端部の左右両側端部から互いに逆向きに外方へ延出するように形成されるとともに、上記後左右両側基材片は、上記基材本体の後側端部の左右両側端部から互いに逆向きに外方へ延出するように形成される。
【0142】
また、上記基材本体には、シェード本体160aのスリット部167に対応するスリット部が形成されるとともに、前左右両側基材片及び後左右両側基材片の各々には、前左右両側シェード片160b及び後左右両側シェード片160bの各々の前後両側開口部165、166に対応する前後両側開口部が形成される(図21参照)。
【0143】
基材投入工程S2において、上記シェード用幅広基材を、上記第1実施形態にて述べたシェード用基材80に代えて、上記第1実施形態にて述べた金型装置100を開いた状態にて、上型110と下型150との間に投入する。
【0144】
ついで、金型装置100は、上型110の下型150への下動に伴い、上型本体111を、上記第1実施形態にて述べたシェード用基材80に代わる上記シェード用幅広基材を介し、下型本体151に押圧して、当該シェード用幅広基材をシェード160の形状となるようにスタンピング成形するとともに、上記シェード用幅広基材を介し上型本体111と下型本体151との間に形成されるキャビティ(以下、本第2実施形態においても、キャビティCという)内に溶融樹脂を充填することで、シェード160、取手部材40、各摺動部材170及び補強部材180の一体成形を行う。
【0145】
これに伴い、本第2実施形態にいうキャビティC及び金型装置100の各構成が、上記第1実施形態にいうキャビティC及び金型装置100の各構成から部分的に変更されているので、以下、この変更点について説明する。
【0146】
上記第1実施形態においては、キャビティCが、上述のごとく、フランジ部用キャビティ部C1、フランジリブ部用キャビティ部C2及び指掛け部用キャビティ部C3により構成されている。ここで、フランジ部用キャビティ部C1は、取っ手部材40のフランジ部40cに対応し、フランジリブ部用キャビティ部C2は、取っ手部材40のフランジリブ部40cに対応し、また、指掛け部用キャビティ部C3は、取っ手部材40の指掛け部40aに対応する。
【0147】
一方、本第2実施形態においては、上述したごとく、取っ手部材40のフランジ部40b、左側連結板部90a、補強板部181及び右側連結板部90aは、上述のように連結形成されて、四角環状板構造を構成する(図20参照)。
【0148】
また、取っ手部材40のフランジリブ部40c、左側連結板リブ部90b、補強部材180の中央リブ部182及び右側連結板リブ部90bは、上述のように連結形成されて、四角環状リブ構造を構成する(図20参照)。なお、補強部材180の前後両側補助リブ部183、184は、それぞれ、単独のリブ構造を構成する。
【0149】
これに伴い、本第2実施形態にいうキャビティCは、上記第1実施形態にいうキャビティC、即ち、フランジ部用キャビティ部C1、フランジリブ部用キャビティ部C2及び指掛け部用キャビティ部C3に加えて、左側連結板部用L字状キャビティ部C4(図20及び図22参照)、右側連結板部用L字状キャビティ部C4(図20及び図22参照)、補強板用キャビティ部C5(図20及び図24参照)、左側連結板リブ用キャビティ部C6(図22参照)、右側連結板リブ用キャビティ部C6(図22参照)及び前後両側補助リブ部用キャビティ部C7を有している。そして、これら左側連結板部用L字状キャビティ部C4、右側連結板部用L字状キャビティ部C4、補強板用キャビティ部C5、左側連結板リブ用キャビティ部C6、右側連結板リブ用キャビティ部C6及び前後両側補助リブ部用キャビティ部C7は、フランジ部用キャビティ部C1、フランジリブ部用キャビティ部C2及び指掛け部用キャビティ部C3と共に、上記シェード用幅広基材を介し、金型装置100の上型本体111と下型本体151との間に形成される。
【0150】
さらに、前左右両側摺動部材170及び後左右両側摺動部材170に対応する前左右両側摺動部材用キャビティ部C8及び後左右両側摺動部材用キャビティ部C8(図20参照)が、上述したシェード用幅広基材の前左右両側片及び後左右両側片を介し、上型本体111と下型本体151との間に形成される。なお、左側連結板部用L字状キャビティ部C4、右側連結板部用L字状キャビティ部C4、補強板用キャビティ部C5、左側連結板リブ用キャビティ部C6、右側連結板リブ用キャビティ部C6、左右両側補助リブ部用キャビティ部C7は、それぞれ、左側連結板部90a、右側連結板部90a、補強板部181、左側連結板部用リブ部90b、右側連結板部用リブ部90b、左右両側補助リブ部183、184に対応する。
【0151】
ついで、基材賦形工程S3において、可動駒130が、上記第1実施形態と同様にその初期位置から下動を開始し、上記シェード用幅広基材のスリット部(シェード本体160aのスリット部167に対応)に到達して、当該スリット部を押圧する。これにより、当該スリット部は、押し広げ貫通穴部(本第2実施形態でも、押し広げ貫通穴部Hという)として、可動駒130の底面130a及びその近傍面130bによって下方へ押し広げられる。
【0152】
当該可動駒130の下動に併せて、上型110が下動し、下型150に係合することで金型装置100を閉じる。これに伴い、上記シェード用幅広基材が上型本体111及び下型本体151によりシェード160の形状に賦形される。この賦形は、スリット部の押し広げ貫通穴部Hとしての形成にあわせてなされる。
【0153】
次に、上述のように金型装置100を閉じた状態において、可動駒130のみを上記油圧装置により所定の高さだけ上動させる。これにより、可動駒130と上記シェード用幅広基材との密接状態が解消され、可動駒130と上記シェード用幅広基材との間に、上記第1実施形態と同様に環状空隙部Gが形成される。当該環状空隙部Gは、上記第1実施形態と同様に、凹部114aとともに、指掛け部用キャビティ部C3を形成する。
【0154】
上述のように基材賦形工程S3の処理を行った後、溶融樹脂充填工程S4において、両樹脂射出成形機200a、200bから射出される溶融樹脂MSが、本第2実施形態にいうキャビティC内に次のように充填される。
【0155】
即ち、樹脂射出成形機200aから射出される溶融樹脂MSが、流路153a、流路151a及びゲート151bを介し、フランジ部用キャビティ部C1内に充填されるとともに、樹脂射出成形機200aから射出される溶融樹脂MSが、流路153b、流路151c及びゲート151dを介し、フランジ部用キャビティ部C1内に充填される。
【0156】
ついで、樹脂射出成形機200aからの溶融樹脂MSが、さらに、左側連結板部用L字状キャビティ部C4(図20及び図22参照)、左側連結板リブ用キャビティ部C6(図22参照)、前左側摺動部材用キャビティ部C8及び後左側摺動部材用キャビティ部C8(図20参照)内に充填される。一方、樹脂射出成形機200bからの溶融樹脂MSがさらに右側連結板部用L字状キャビティ部C4(図20及び図22参照)、右側連結板リブ用キャビティ部C6(図22参照)、前右側摺動部材用キャビティ部C8及び後右側摺動部材用キャビティ部C8(図20参照)内に充填される。
【0157】
然る後、樹脂射出成形機200aからの溶融樹脂MSが、左側連結板部用L字状キャビティ部C4から補強板用キャビティ部C5(図20及び図24参照)、中央リブ部用キャビティ部C7、前後両側補助リブ部用キャビティ部C7内に充填されるとともに、樹脂射出成形機200bからの溶融樹脂MSが、右側連結板部用L字状キャビティ部C4から補強板用キャビティ部C5(図20及び図24参照)、中央リブ部用キャビティ部C7、前後右両側補助リブ部用キャビティ部C7内に充填される。
【0158】
このことは、溶融樹脂MSが、本第2実施形態にいうキャビティC内にその全体に亘り充填されることを意味する。
【0159】
然る後、溶融樹脂硬化工程S5において、本第2実施形態にいうキャビティC内に充填された溶融樹脂が、当該充填後、冷却されて硬化していく。このことは、本第2実施形態にいうキャビティC内の溶融樹脂が、その硬化に伴い、一体成形品として成形されることを意味する。
【0160】
このようにして溶融樹脂硬化工程S5の処理がなされた後、次の一体成形品取り出し工程S6において、上記第1実施形態と同様に、上型110を下型150から上動させて金型装置100を開く。このとき、本第2実施形態にいう一体成形品が、下型150の下型本体151上に留まっている。従って、当該一体成形品が、下型本体151から取り出される。
【0161】
ここで、当該一体成形品は、上述のごとく、取っ手部材40、左側連結板部90a及び左側連結板リブ部90b、前後左側摺動部材170、補強部材180、右側連結板部90a及び右側連結板リブ部90b並びに前後右側摺動部材170を樹脂射出成形により一体成形することで、サンシェード装置SD1として、形成される。このことは、サンシェード装置SD1が、取っ手部材40、前後左右両側摺動部材170及び補強部材180を、樹脂による一体成形のもと、一体的に備えることを意味する。
【0162】
以上説明したように、本第2実施形態においては、サンシェード装置SD1が、シェード本体160a、取っ手部材40、前後左右両側摺動部材170及び補強部材180を一体的に備えるように、上記基材本体のシェード本体160aとして賦形の際に、樹脂による射出成形でもって形成されるので、上記第1実施形態にて述べたような補強部材組み付け工程S7及び摺動部材組み付け工程S8の各処理は全く不要となる。その結果、サンシェード装置SD1の製造工程が、上記第1実施形態に比べて、より一層簡単になるのは勿論のこと、各摺動部材170のシェード本体160aに対する組み付け作業及び補強部材180のシェード本体160aの後端部に対する組み付け作業が全く不要となる。その他の作用効果は上記第1実施形態と同様である。
【0163】
なお、本発明の実施にあたり、上記各実施形態に限ることなく、次のような種々の変形例が挙げられる。
【0164】
(1)本発明の実施にあたり、上記実施形態にて述べたサンシェード装置SDは、自動車の前後方向ではなく、左右方向や前後左右を含む一横方向或いはその逆方向に窓Wを開閉するサンシェードであってもよい。
【0165】
(2)本発明の実施にあたり、自動車に限ることなく、バスやトラック等を含めた各種自動車のサンルーフの窓に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0166】
10…車体、20…屋根、30、160…シェード、40a…指掛け部、
40b…フランジ部、50、170…摺動部材、70…主材、
71、74…ガラス繊維マット、73…表皮、75…裏皮、
80…基材、80g、167…スリット部、100…金型装置、
110…上型、150…下型、160a…シェード本体、160b…シェード片、MS…溶融樹脂、SD、SD1…サンシェード装置、W…窓。
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