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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】管内操作装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/28 20060101AFI20221209BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
F16L55/28
F16L55/00 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019046280
(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公開番号】P2020148259
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】綱崎 勝
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-57140(JP,A)
【文献】実開昭62-79759(JP,U)
【文献】実開平4-110298(JP,U)
【文献】特開平2-3796(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103025224(CN,A)
【文献】国際公開第2011/030632(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/086311(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/28
F16L 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の内部で操作可能な管内操作具と、当該管内操作具を先端として基端側へ延設される線状体と、前記管内操作具及び前記線状体を外囲する形態で金属線材を第1螺旋軸周りで螺旋状に形成した第1螺旋状体とを備える管内操作装置であって、
前記第1螺旋状体は、前記管内操作具及び前記線状体とは独立して、基端側から先端側を視る基端側方向視で前記第1螺旋軸の周りの第1回転方向で回転しながら前記管の内部を挿通するものであり、
先端側端部を前記管内操作具の基端側端部に固定されると共に前記基端側端部を内部に配設される前記線状体に固定された状態で、前記基端側方向視で前記第1回転方向とは逆方向である第2巻き方向で基端側から先端側へ向けて巻かれる金属線材を螺旋状に形成した第2螺旋状体を備える管内操作装置。
【請求項2】
前記線状体は、複数の細線状体を撚って形成したものであり、
複数の前記細線状体は、前記基端側方向視で前記第1回転方向と逆方向である第2撚り方向で基端側から先端側へ向けて撚られている請求項1に記載の管内操作装置。
【請求項3】
前記管内操作具は、先端側から基端側へ向けて徐々に拡径する外形を有する拡径部と当該拡径部の基端側に連接され先端側から基端側へ向けて徐々に縮径する外形を有する縮径部とを有し、
前記拡径部の基端側の大径部位の周りに、前記第1螺旋状体の内面に接触する状態で前記第1螺旋状体の前記第1回転方向での回転に伴って回転可能な軸受が設けられている請求項1又は2に記載の管内操作装置。
【請求項4】
前記線状体は、前記線状体の長手方向で少なくとも前記第2螺旋状体よりも基端側において、先端側と基端側との相対回転を許容する相対回転許容機構を有する請求項1~3の何れか一項に記載の管内操作装置。
【請求項5】
前記第1螺旋状体は、前記基端側方向視で前記第1回転方向と同一方向である第1巻き方向で基端側から先端側へ向けて巻かれたものである請求項1~4の何れか一項に記載の管内操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管の内部で操作可能な管内操作具と、当該管内操作具を先端として基端側へ延設される線状体と、前記管内操作具及び前記線状体を外囲する形態で金属線材を第1螺旋軸周りで螺旋状に形成した第1螺旋状体とを備える管内操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図3に示すように、ガス管(図示せず)等の内部で種々の操作を実行する管内操作具50を有する管内操作装置200が知られている。管内操作具50は、例えば、管の内部を撮影可能なカメラKと、撮像対象を照らす複数のライトRと、それらを外囲する外囲筐体GKとを有し、管内操作装置200は、当該管内操作具50及び管内操作具50から基端側へ延設される複数の電力線及び通信線からなる線状体40を、外囲する形態で金属線材を第1螺旋軸P周りで螺旋状に形成した第1螺旋状体SSW1を備えて構成されている。
因みに、管内操作具50は、外囲筐体の外周部位に軸受Bを設けており、第1螺旋状体SSW1を第1螺旋軸P周りで回転させたときに、第1螺旋状体SSW1が管内操作具50とは独立して回転可能に構成されている。また、線状体40は、樹脂製の被覆部材KKにて被覆されている。
当該管内操作装置200は、上記構成を有することにより、管の内部を挿通するときには、第1螺旋状体SSW1が、管のエルボ等の湾曲形状部を通過する際に、その湾曲形状に合わせて変形できるから、湾曲形状部を良好に通過することができる。
さらに、湾曲形状部等の管内壁には、配管とエルボの結合部位としての段差部が存在する場合があるが、管内操作装置200において、第1螺旋状体SSW1を第1螺旋軸P周りで回転しながら管の内部を挿通させることで、第1螺旋状体SSW1の先端部位が、回転しながら上記段差部を乗り越えることで、段差部に先端部位が詰まることがなく、良好な挿通状態を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示の管内操作装置200にあっては、図3に示すように、第1螺旋状体SSW1に外囲される管内操作具50と当該管内操作具50に基端側から接続される電力線や通信線等の線状体40との接続部位がゴムブッシュGB等の保護膜にて外囲される構成が採用される場合が多い。
このような構成において、管内操作装置200の第1螺旋状体SSW1を、管内操作具50及び線状体40とは独立して、第1螺旋軸P周りで回転しながら管の内部に挿通させると、例えば、管の湾曲形状部を通過する際に、第1螺旋状体SSW1の内壁と線状体40とが接触して、管内操作具50及び線状体40を第1螺旋状体SSW1と同一回転方向に回転させようとする力が働き、線状体40が断線する場合があり、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、第1螺旋状体を第1螺旋軸周りで回転しながら管の内部を挿通させる場合であっても、管内操作具に接続される線状体に生じる虞のある断線を効果的に抑制できる管内操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための管内操作装置は、
管の内部で操作可能な管内操作具と、当該管内操作具を先端として基端側へ延設される線状体と、前記管内操作具及び前記線状体を外囲する形態で金属線材を第1螺旋軸周りで螺旋状に形成した第1螺旋状体とを備える管内操作装置であって、その特徴構成は、
前記第1螺旋状体は、前記管内操作具及び前記線状体とは独立して、基端側から先端側を視る基端側方向視で前記第1螺旋軸の周りの第1回転方向で回転しながら前記管の内部を挿通するものであり、
先端側端部を前記管内操作具の基端側端部に固定されると共に前記基端側端部を内部に配設される前記線状体に固定された状態で、前記基端側方向視で前記第1回転方向とは逆方向である第2巻き方向で基端側から先端側へ向けて巻かれる金属線材を螺旋状に形成した第2螺旋状体を備える点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、まずもって、先端側端部を管内操作具の基端側端部に固定されると共に基端側端部をその内部に配設される線状体に固定された螺旋状に形成された第2螺旋状体を金属線材により構成するから、例えば、第1螺旋状体を第1回転方向で回転している状態で、管内挿通装置が、管のエルボ等の湾曲形状部を通過する場合に、第1螺旋状体が湾曲形状部に沿って湾曲して、第1螺旋状体の内面が第2螺旋状体の外面と接触するときにも、金属同士の低い摩擦抵抗により、第2螺旋状体に対して第1螺旋状体を滑り回転させて、第2螺旋状体に伝達する第1回転方向での力を低減することができる。
また、第2螺旋状体は、基端側方向視で第1回転方向とは逆方向である第2巻き方向で基端側から先端側へ向けて巻かれる螺旋状に形成されるから、仮に、第1回転方向に回転する第1螺旋状体の内面が線状体に接触して、線状体を第1回転方向で回転させる力が伝達したとしても、第2螺旋状体が締り方向へ回転することになり、管内操作具と線状体との接続部位が第2螺旋状体により径方向で外側から内側へ締め込まれ、接続部位での断線を効果的に防止できる。
以上より、第1螺旋状体を第1螺旋軸周りで回転しながら管の内部を挿通させる場合であっても、管内操作具に接続される線状体に生じる虞のある断線を効果的に抑制できる管内操作装置を実現できる。
【0008】
管内操作装置の更なる特徴構成は、
前記線状体は、複数の細線状体を撚って形成したものであり、
複数の前記細線状体は、前記基端側方向視で前記第1回転方向と逆方向である第2撚り方向で基端側から先端側へ向けて撚られている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、仮に、第1回転方向に回転する第1螺旋状体の内面が線状体に接触して、線状体に第1回転方向へ回転させる力が伝達する場合であっても、複数の細線状体に第2撚り方向で締め込まれる方向に力が加わるから、複数の細線状体がばらけることを効果的に抑制して、断線を抑制できる。
【0010】
管内操作装置の更なる特徴構成は、
前記管内操作具は、先端側から基端側へ向けて徐々に拡径する外形を有する拡径部と当該拡径部の基端側に連接され先端側から基端側へ向けて徐々に縮径する外形を有する縮径部とを有し、
前記拡径部の基端側の大径部位の周りに、前記第1螺旋状体の内面に接触する状態で前記第1螺旋状体の前記第1回転方向での回転に伴って回転可能な軸受が設けられている点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、管内操作具は、先端側から基端側へ向けて徐々に拡径する外形を有する拡径部と当該拡径部の基端側に連接され先端側から基端側へ向けて徐々に縮径する外形を有する縮径部とを有するから、管内操作具及び線状体とは独立して第1回転方向に回転する第1螺旋状体が、管の湾曲形状部を通過する場合であっても、管内操作具の先端側や基端側が第1螺旋状体と接触する頻度を低減でき、第1螺旋状体から管内操作具へ伝達する第1回転方向での力を十分に低減できる。
これにより、第1螺旋状体と管内操作具とは、おおよそ軸受を介してのみ接触することになり、第1螺旋状体を、管内操作具及び線状体から独立して、第1回転方向で良好に回転させることができる。
【0012】
管内操作装置の更なる特徴構成は、
前記線状体は、前記線状体の長手方向で少なくとも前記第2螺旋状体よりも基端側において、先端側と基端側との相対回転を許容する相対回転許容機構を有する点にある。
【0013】
特に、管内操作装置を管の内部へ挿通する場合、線状体は、例えば5m以上の長さになる場合があり、このような場合、線状体の長手方向の一部に、第1回転方向に回転する第1螺旋状体の内面との接触により、第1回転方向への力が加わり、第1回転方向に捩じれた状態となることがある。
このような場合であっても、上記特徴構成の如く、相対回転許容機構を設けることにより、線状体の捩じれを良好に解消することで、線状体の断線を効果的に防止できる。
【0014】
管内操作装置の更なる特徴構成は、
前記第1螺旋状体は、前記基端側方向視で前記第1回転方向と同一方向である第1巻き方向で基端側から先端側へ向けて巻かれたものである点にある。
【0015】
上記特徴構成を有することで、第1回転方向に回転する第1螺旋状体の先端部位が、管の湾曲形状部等に設けられる段差部に回転しながら乗り上げることで、段差部に先端部位が詰まることのない良好な挿通状態を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る管内操作装置の一部斜視図である。
図2】実施形態に係る管内操作装置の一部断面図、及び概略構成図である。
図3】従来の管内操作装置の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る管内操作装置100は、第1螺旋状体SSW1を第1回転方向X1で回転しながら管の内部を挿通させる場合であっても、管内操作具50に接続される線状体40に断線を生じさせる負荷を低減できるものに関する。
以下、図面に基づいて管内操作装置100を説明する。
【0018】
管内操作装置100は、図1、2に示すように、ガス管(管の一例:図示せず)の内部で種々の操作を実行可能な管内操作具50と、当該管内操作具50を先端として基端側へ延設される線状体40と、管内操作具50及び線状体40を外囲する形態で金属線材を第1螺旋軸P周りで螺旋状に形成した第1螺旋状体SSW1を備える。
尚、当該実施形態では、管内操作具50が設けられている側(図1、2で矢印Xの矢示先端側)を、管内操作装置100の先端側とし、線状体40が設けられている側(図1、2で矢印Xの矢示基端側)を、管内操作装置100の基端側とする。
第1螺旋状体SSW1は、断面扁平形状のばね用鋼を螺旋状に成形したものを好適に用いることができ、管内操作具50を外囲する部位を径の大きい大径部とし、線状体40を外囲する部位を径の小さい小径部としている。更に、例えば、大径部は、第1螺旋軸Pの軸心方向で、5mm程度の間隔を有する状態で螺旋が形成されており、小形部は、隙間なく詰められた状態で螺旋が形成されている。
当該第1螺旋状体SSW1は、制御基板Sにて駆動制御されるモータMにて、基端側から先端側を見る基端側方向視で第1螺旋軸Pの周りの第1回転方向(図1でX1の矢示方向:時計周り)で回転しながら管の内部を挿通する。当該実施形態においては、第1螺旋状体SSW1の螺旋方向は、基端側方向視で第1回転方向と同一方向である第1巻き方向であるとする。これにより、第1螺旋状体SSW1が、第1回転方向で回転しながら管の内部を先端側へ進入する場合、その先端部位が、管内の段差部(図示せず)に当接したときには、その先端部位が段差部を乗り越えることができ、以降の螺旋状部位が順次段差部を乗り上げて、段差部を乗り越えて、先へ進入することができる。
尚、当該実施形態においては、第1螺旋状体SSW1は、その内側に配設される管内操作具50及び線状体40とは独立して回転可能に構成されている。換言すると、管内操作具50及び線状体40は、第1螺旋状体SSW1が回転する場合も、通常状態では回転しない状態が維持される。
【0019】
管内操作具50は、ガス管の内部を撮影可能なカメラKと、カメラKのレンズ(図示せず)周りに複数設けられて撮像対象を照らすライトRと、それらを外囲する外囲筐体GKとを有する。当該外囲筐体GKは、先端側から基端側へ向けて徐々に拡径する外形を有する第1円錐台形状部TC1(拡径部の一例)と当該第1円錐台形状部TC1の基端側に連接され先端側から基端側へ向けて徐々に縮径する外形を有する第2円錐台形状部TC2(縮径部の一例)とを有し、第1円錐台形状部TC1の基端側の大径部位TC1aの周りに、第1螺旋状体SSW1の内面に接触する状態で第1螺旋状体SSW1の第1回転方向での回転に伴って外囲筐体GKを回転可能な軸受Bが設けられている。
尚、第1円錐台形状部TC1と第2円錐台形状部TC2とは、第1円錐台形状部TC1の基端側の外径部位に形成される雄螺子部SK2と、第2円錐台形状部TC2の先端側の内径部位に形成される雌螺子部SK1とが螺合する形態で螺合接続される。当該構成を採用することにより、外囲筐体GKの内部に設けられるカメラKやライトR等を、外囲筐体GKの内部から容易に取り出してメンテナンス等を実行でき、経済性の向上を図ることができる。
【0020】
線状体40は、カメラKやライトRに電力を供給する電力線や、当該カメラKと線状体40の基端側に設けられる制御基板S及びコンピュータPCとの間での通信を担う通信線としての複数の細線状体SKと、当該細線状体SKを外囲する被覆部材KKとから構成されている。
制御基板Sは、モータMの回転数をエンコーダEを介して受信可能に構成されていると共に、ライトRの調光のための調光ツマミCBからの信号を受信して当該信号に基づいてライトRの輝度を調整可能に構成されている。また、コンピュータPCは、カメラKからの出力信号を受信してモニタに表示可能に構成されている。
【0021】
さて、以上の如く構成された管内操作装置100は、第1螺旋状体SSW1が第1回転方向で回転している状態で管内を挿通しているときに、例えば、線状体40を外囲する被覆部材KKが、第1螺旋状体SSW1の内壁に接触して、回転せずに固定状態にあった線状体40が急激に第1回転方向に回転する場合がある。この場合、当該線状体40の第1回転方向での回転への管内操作具50の追従が遅れると、当該管内操作具50と線状体40との接続部位で線状体40が断線する虞がある。
【0022】
そこで、当該実施形態に係る管内操作装置100は、図1、2に示すように、先端側端部を管内操作具50の基端側端部(図2でY2)に固定されると共に基端側端部を内部に配設される線状体40の所定位置(図2でY3)に固定された状態で、基端側方向視で第1回転方向X1とは逆方向である第2巻き方向X3で基端側から先端側へ向けて巻かれる金属線材を螺旋状に形成した第2螺旋状体SSW2を備える。
当該第2螺旋状体SSW2は、例えば、断面が円形状のばね用鋼を螺旋状に成形したものを好適に用いることができ、その内径が、線状体40の外径と略同等となるように設けることが好ましい。更に、第2螺旋状体SSW2は、先端側端部から基端側端部まで隙間なく詰められた状態で螺旋が形成されている。
当該第2螺旋状体SSW2の第1螺旋軸Pに沿う方向での長さは、線状体40の長さ等に応じて適宜変更可能であるが、例えば、10mm以上20mm以下の長さのものが好適に用いられる。
当該構成により、例えば、線状体40が基端側で第1回転方向への力が加えられたときには、第2螺旋状体SSW2には締り方向に力が加えられ、線状体40の径方向で外側から内側へ縮径する方向に力が加えられることになるから、線状体40を電力線や通信線等から成る複数の細線状体SKから構成している場合であっても、当該複数の細線状体SKがばらけることを防止でき、断線を抑制できる。
【0023】
更に、線状体40は、図1に示すように、電力線や通信線等から成る複数の細線状体SKを撚って形成したものから構成し、複数の細線状体SKは、基端側方向視で第1回転方向X1と逆方向である第2撚り方向で基端側から先端側へ向けて撚られている。
当該構成により、第1回転方向X1で回転する第1螺旋状体SSW1の内面が線状体40に接触して、第1回転方向X1へ回転させる力が線状体40へ伝達する場合であっても、複数の細線状体SKに第2撚り方向で締め込まれる方向に力が加わるから、複数の細線状体がばらけることを効果的に抑制できる。
因みに、線状体40が、例えば、5mを越える長さを有する場合には、線状体40の長手方向で少なくとも第2螺旋状体SSW2よりも基端側において、先端側の線状体40と基端側の線状体40との相対回転を許容するスリップリングSR(相対回転許容機構の一例)が設けられることが好ましい。
【0024】
〔実施例〕
内径が28mmで5mで6つのエルボ等の湾曲形成部を有する管に対して、第1回転方向で600rpmで回転させながら行った挿通試験の結果を、以下に示す。
図3に示す従来の管内操作装置100により挿通試験を行った場合、100回の挿通により断線が発生したのに対し、上記実施形態の管内操作装置100により挿通試験を行った場合、50,000回の挿通でも断線は生じなった。これにより、本発明の有効性が確認された。
【0025】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態において、第1回転方向X1は、時計周りであるとしたが、反時計周りであっても構わない。
これに伴って、第1螺旋状体SSW1の第1巻き方向X2、第2螺旋状体SSW2の第2巻き方向X3、線状体40の第2撚り方向X4の夫々は、上記実施形態に示す方向と逆方向になる。
【0026】
(2)上記実施形態では、管内操作具50はカメラKである例を示したが、ガス管を閉止するためのガスバック等も好適に用いることができる。
ガスバッグの本体は、例えば、ジュラコンスムーサーに支持されたバルーン固定パイプにバルーンを装着した構造とされ、当該本体をガス管に挿入してバルーンを膨らませることにより、ガス管を閉止してガスの流れを遮断する。この場合、線状体40は、ウレタンチューブやナイロンチューブなどのチューブとされ、その後端に設けられた操作部(図示せず)により、ガス管の外側からガスを圧送可能に構成される。
また、管内操作具50は、配管の配置角度や位置を計測するためのジャイロスコープであっても構わない。
【0027】
(3)第1螺旋状体SSW1は、大径部と小径部とが設けられる例を示したが、先端から基端まで同一径であっても構わない。
【0028】
(4)上記実施形態において、拡径部の一例として第1円錐台形状部TC1を示したが、拡径部は、例えば、多角錐形状であっても構わない。また、縮径部の一例として第2円錐台形状部TC2を示したが、縮径部についても多角錐形状であっても構わない。
【0029】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の管内操作装置は、第1螺旋状体を第1螺旋軸周りで回転しながら管の内部を挿通させる場合であっても、管内操作具に接続される線状体に生じる虞のある断線を効果的に抑制できる管内操作装置として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0031】
40 :線状体
50 :管内操作具
100 :管内操作装置
GK :外囲筐体
K :カメラ
P :第1螺旋軸
SK :細線状体
SR :スリップリング
SSW1 :第1螺旋状体
SSW2 :第2螺旋状体
TC1 :拡径部
TC1a :大径部位
TC2 :縮径部
X1 :第1回転方向
図1
図2
図3