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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04664 20160101AFI20221209BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20221209BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20221209BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20221209BHJP
   H01M 8/2475 20160101ALI20221209BHJP
【FI】
H01M8/04664
H01M8/0438
H01M8/04537
H01M8/12 101
H01M8/2475
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019053291
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020155333
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】大西 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】岩見 潤
(72)【発明者】
【氏名】稻葉 貴則
(72)【発明者】
【氏名】日名子 浩二
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-191710(JP,A)
【文献】特開2013-254564(JP,A)
【文献】特開2007-335286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
改質水ポンプにより供給される改質水を蒸発させる蒸発器と、原燃料ポンプにより供給される原燃料と前記蒸発器から供給される水蒸気とを改質反応させて水素含有ガスを生成する改質器と、前記改質器から水素含有ガスが燃料極に供給され且つ空気ブロアにより空気が酸素極に供給されて発電する複数のセルを積層状態に有するセルスタックと、前記燃料極から排出される燃料極排ガス中の可燃成分を前記酸素極から排出される酸素極排ガス中の酸素にて燃焼させて、その燃焼熱により前記改質器及び前記蒸発器を加熱する燃焼部と、前記蒸発器、前記改質器、前記セルスタック及び前記燃焼部を内部空間に収容する収納容器と、運転を制御する制御部とを備え、
前記セルスタックが、前記改質器から水素含有ガス路を通して供給される水素含有ガスを各セルの燃料極に分配供給可能なマニホールドを備え、
前記収納容器には、前記空気ブロアからの空気を前記収納容器の内部空間に供給可能な空気供給路が接続され、
前記収納容器の内部空間において、前記セルスタックの複数のセルが、各セルの周縁部の一部のガス排出縁部を介して、各セルの燃料極からの燃料極排ガス及び各セルの酸素極からの酸素極排ガスを周囲空間に排出可能で、且つ、各セルにおける前記ガス排出縁部から離れた空気導入部を介して、周囲空間からの空気を各セルの酸素極に導入可能に構成された燃料電池システムであって、
前記空気ブロアにより送出する空気を清浄化する空気フィルター、前記空気ブロア及び前記空気供給路を含む空気供給系統における空気通流状態を改善すべき改善必要タイミングを検知するタイミング検知手段が設けられ、
前記制御部が、前記タイミング検知手段により前記改善必要タイミングが検知されると、前記改質水ポンプ、前記原燃料ポンプ及び前記空気ブロアを作動させる通常運転を終了して、前記改質水ポンプを作動させ、且つ、前記原燃料ポンプ及び前記空気ブロアを停止させる空気通流改善運転を実行するように構成されている燃料電池システム。
【請求項2】
前記空気供給系統に、前記空気供給路を通して供給される空気の流量を検出する空気流量計が含まれ、
前記制御部が、前記空気流量計にて検出される流量が所定の通常流量になるように、前記空気ブロアの出力を制御するように構成され、
前記タイミング検知手段が、前記空気ブロアの出力が所定の設定上位出力に達することに基づいて、前記改善必要タイミングを検知するように構成されている請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記空気通流改善運転の開始後、所定の設定改善運転時間が経過すると、前記空気ブロアを作動させ、且つ、前記改質水ポンプ及び前記原燃料ポンプを停止させると共に、前記空気流量計にて検出される流量が前記通常流量になるように前記空気ブロアの出力を制御する改善確認運転に切り換えるように構成され、並びに、
前記改善確認運転中の前記空気ブロアの出力が、前記設定上位出力よりも低い設定下位出力以下の場合は、前記通常運転に切り換えるように構成されている請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記改善確認運転中の前記空気ブロアの出力が前記設定下位出力よりも高い場合は、前記改善確認運転を終了するように構成され、
前記改善確認運転中の前記空気ブロアの出力が前記設定下位出力よりも高い場合に、警報出力を出力する警報手段が設けられている請求項3に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改質水ポンプにより供給される改質水を蒸発させる蒸発器と、原燃料ポンプにより供給される原燃料と蒸発器から供給される水蒸気とを改質反応させて水素含有ガスを生成する改質器と、改質器から水素含有ガスが燃料極に供給され且つ空気ブロアにより空気が酸素極に供給されて発電する複数のセルを積層状態に有するセルスタックと、燃料極から排出される燃料極排ガス中の可燃成分を酸素極から排出される酸素極排ガス中の酸素にて燃焼させて、その燃焼熱により改質器及び蒸発器を加熱する燃焼部と、蒸発器、改質器、セルスタック及び燃焼部を内部空間に収容する収納容器と、運転を制御する制御部とを備え、セルスタックが、改質器から水素含有ガス路を通して供給される水素含有ガスを各セルの燃料極に分配供給可能なマニホールドを備え、収納容器には、空気ブロアからの空気を収納容器の内部空間に供給可能な空気供給路が接続され、収納容器の内部空間において、セルスタックの複数のセルが、各セルの周縁部の一部のガス排出縁部を介して、各セルの燃料極からの燃料極排ガス及び各セルの酸素極からの酸素極排ガスを周囲空間に排出可能で、且つ、各セルにおけるガス排出縁部から離れた空気導入部を介して、周囲空間からの空気を各セルの酸素極に導入可能に構成された燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
かかる燃料電池システムは、セルスタックに備えられた複数のセルにおいて、改質器から供給される水素含有ガスと空気ブロアから供給される空気とを発電反応させて発電するものである。
燃焼部において、各セルのガス排出縁部を介して排出される燃料極排ガス中の可燃成分を、同じく各セルのガス排出縁部を介して排出される酸素極排ガス中の酸素にて燃焼させて、その燃焼熱により、改質部及び蒸発器を加熱する。
原燃料を水素含有ガスに改質処理する改質器、供給される改質水を蒸発させて、改質処理用の水蒸気を生成する蒸発器、改質部及び蒸発器を加熱する燃焼部、及び、セルスタックは、収納容器の内部空間に収容されている。
【0003】
改質器で生成された水素含有ガスは、水素含有ガス路を通してマニホールドに供給され、そのマニホールドからセルスタックの複数のセルの燃料極に分配供給される。
一方、空気は、空気ブロアにより空気供給路を通して収納容器の内部空間に供給され、収納容器の内部空間に供給された空気は、セルスタックの複数のセル夫々の空気導入部を介して、各セルの酸素極に供給される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-191710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、空気ブロアにより空気供給路を通して収納容器の内部空間に供給される外気には、塵埃、PM2.5、黄砂等の微粒子状物質が含まれている。そこで、空気ブロア及び空気供給路を含む空気供給系統には、空気ブロアにより送出する空気を清浄化する空気フィルターも含まれている。
そして、燃料電池システムを運転するのに伴って、空気供給系統、例えば、空気フィルターに微粒子状物質が付着するので、燃料電池システムの運転時間の経過に伴って、空気供給系統の圧損が大きくなって空気供給系統の空気通流状態が悪化する。
【0006】
従来では、空気供給系統の空気通流状態を改善するために、メンテナンス作業者を燃料電池システムの設置場所に派遣して、空気フィルター等から付着物を除去する作業を行っていた。
しかしながら、空気供給系統の空気通流状態改善のためのメンテナンス作業者の派遣は、燃料電池システムの運転経費の上昇に繋がるので、そのようなメンテナンス作業者の派遣を抑制したいという課題があった。
【0007】
又、メンテナンス作業者の派遣は、例えば、定期的、あるいは、燃料電池システムの累積運転時間に応じて行うことになるが、大気中の微粒子状物質の含有度は地域によって様々である。従って、空気供給系統の空気通流状態の改善作業が、空気通流状態の悪化程度が軽度で未だ必要でないのに不必要に行われたり、空気通流状態が過度に悪化してから行われたりして、空気供給系統の空気通流状態の改善作業をタイムリーに行うことができないという問題もあった。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、空気供給系統の空気通流状態の改善をタイムリーに且つ自動的に行い得る燃料電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る燃料電池システムは、改質水ポンプにより供給される改質水を蒸発させる蒸発器と、原燃料ポンプにより供給される原燃料と前記蒸発器から供給される水蒸気とを改質反応させて水素含有ガスを生成する改質器と、前記改質器から水素含有ガスが燃料極に供給され且つ空気ブロアにより空気が酸素極に供給されて発電する複数のセルを積層状態に有するセルスタックと、前記燃料極から排出される燃料極排ガス中の可燃成分を前記酸素極から排出される酸素極排ガス中の酸素にて燃焼させて、その燃焼熱により前記改質器及び前記蒸発器を加熱する燃焼部と、前記蒸発器、前記改質器、前記セルスタック及び前記燃焼部を内部空間に収容する収納容器と、運転を制御する制御部とを備え、
前記セルスタックが、前記改質器から水素含有ガス路を通して供給される水素含有ガスを各セルの燃料極に分配供給可能なマニホールドを備え、
前記収納容器には、前記空気ブロアからの空気を前記収納容器の内部空間に供給可能な空気供給路が接続され、
前記収納容器の内部空間において、前記セルスタックの複数のセルが、各セルの周縁部の一部のガス排出縁部を介して、各セルの燃料極からの燃料極排ガス及び各セルの酸素極からの酸素極排ガスを周囲空間に排出可能で、且つ、各セルにおける前記ガス排出縁部から離れた空気導入部を介して、周囲空間からの空気を各セルの酸素極に導入可能に構成された燃料電池システムであって、その特徴構成は、
前記空気ブロアにより送出する空気を清浄化する空気フィルター、前記空気ブロア及び前記空気供給路を含む空気供給系統における空気通流状態を改善すべき改善必要タイミングを検知するタイミング検知手段が設けられ、
前記制御部が、前記タイミング検知手段により前記改善必要タイミングが検知されると、前記改質水ポンプ、前記原燃料ポンプ及び前記空気ブロアを作動させる通常運転を終了して、前記改質水ポンプを作動させ、且つ、前記原燃料ポンプ及び前記空気ブロアを停止させる空気通流改善運転を実行するように構成されている点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、改質水ポンプ、原燃料ポンプ及び空気ブロアを作動させる通常運転の実行中に、タイミング検知手段により、空気供給系統の空気通流状態を改善すべき改善必要タイミングが検知されると、通常運転が自動的に終了して、改質水ポンプを作動させ、且つ、原燃料ポンプ及び空気ブロアを停止させる空気通流改善運転が自動的に実行される。
空気通流改善運転では、改質水ポンプにより改質水が改質水供給路を通して蒸発器に供給され、蒸発器において、蒸発器そのものの残熱、燃焼部の残熱及び収納容器内の残熱により改質水が蒸発して、高温の水蒸気が生成される。その水蒸気は、改質器に供給され、更に、水素含有ガス路を通してマニホールドに供給される。
マニホールドに供給された高温の水蒸気は、セルスタックの複数のセル夫々の燃料極に分配供給され、各セルの燃料極を通流して、各セルのガス排出縁部から、収納容器の内部空間に排出されるので、収納容器の内部空間には、高温の水蒸気が充満する。
【0011】
収納容器の内部空間に充満した高温の水蒸気は、空気供給路を逆流して、収納容器外に排出される。
そして、高温の水蒸気が空気供給路を逆流することにより、空気フィルター等、空気供給系統に付着した付着物が水蒸気により溶解して除去されるので、空気供給系統の空気通流状態が改善する。
そのような空気供給系統の空気通流状態を改善するための空気通流改善運転は、タイミング検知手段により改善必要タイミングが検知されるのに伴って実行されるので、空気通流改善運転は、空気供給系統の空気通流状態の改善が早過ぎたり遅過ぎたりするのが抑制されて、タイムリーに実行される。
従って、空気供給系統の空気通流状態の改善をタイムリーに且つ自動的に行い得る燃料電池システムを提供することができる。
【0012】
本発明に係る燃料電池システムの更なる特徴構成は、前記空気供給系統に、前記空気供給路を通して供給される空気の流量を検出する空気流量計が含まれ、
前記制御部が、前記空気流量計にて検出される流量が所定の通常流量になるように、前記空気ブロアの出力を制御するように構成され、
前記タイミング検知手段が、前記空気ブロアの出力が所定の設定上位出力に達することに基づいて、前記改善必要タイミングを検知するように構成されている点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、通常運転中は、空気流量計にて検出される流量が所定の通常流量になるように、空気ブロアの出力が制御され、そのように制御される空気ブロアの出力が設定上位出力に達することに基づいて、タイミング検知手段により改善必要タイミングが検知される。
つまり、空気供給系統の空気通流状態の悪化の度合いに応じて、空気ブロアの出力が上昇することになるので、空気ブロアの出力により、空気供給系統の空気通流状態の悪化の度合いを適切に把握することができる。
そこで、空気ブロアの出力に基づいて改善必要タイミングを検知することにより、改善必要タイミングを、空気供給系統の空気通流状態の改善が早過ぎたり遅過ぎたりすることなく、適切に検知することができるので、空気通流改善運転が一層タイムリーに実行される。
従って、空気供給系統の空気通流状態の改善を一層タイムリーに行うことができる。
【0014】
本発明に係る燃料電池地ステムの更なる特徴構成は、前記制御部は、
前記空気通流改善運転の開始後、所定の設定改善運転時間が経過すると、前記空気ブロアを作動させ、且つ、前記改質水ポンプ及び前記原燃料ポンプを停止させると共に、前記空気流量計にて検出される流量が前記通常流量になるように前記空気ブロアの出力を制御する改善確認運転に切り換えるように構成され、並びに、
前記改善確認運転中の前記空気ブロアの出力が、前記設定上位出力よりも低い設定下位出力以下の場合は、前記通常運転に切り換えるように構成されている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、空気通流改善運転の開始後、設定改善運転時間が経過すると、空気ブロアを作動させ、且つ、改質水ポンプ及び原燃料ポンプを停止させると共に、空気流量計にて検出される流量が通常流量になるように空気ブロアの出力を制御する改善確認運転に自動的に切り換わり、更に、改善確認運転中の空気ブロアの出力が、設定上位出力よりも低い設定下位出力以下の場合は、通常運転に自動的に切り換わる。
つまり、空気通流改善運転の後に実行される改善確認運転中の空気ブロアの出力に基づいて、空気供給系統の空気通流状態の改善度合いを適切に判断することが可能である。
そして、空気通流改善運転により空気供給系統の空気通流状態が適切に改善されたときには、通常運転に自動的に復帰させることが可能となるのである。
ちなみに、空気供給系統の空気通流状態が低下した状態で、通常運転を実行すると、空気ブロアの出力が高くなるので、燃料電池システムのエネルギー効率が低下する。
従って、燃料電池システムを、エネルギー効率の低下を抑制した状態で自動的に継続して運転することができる。
【0016】
本発明に係る燃料電池システムの更なる特徴構成は、前記制御部は、前記改善確認運転中の前記空気ブロアの出力が前記設定下位出力よりも高い場合は、前記改善確認運転を終了するように構成され、
前記改善確認運転中の前記空気ブロアの出力が前記設定下位出力よりも高い場合に、警報出力を出力する警報手段が設けられている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、改善確認運転中の空気ブロアの出力が設定下位出力よりも高い場合は、改善確認運転が自動的に終了して、警報手段により、警報出力が出力される。
そして、警報手段により警報出力が出力されると、空気フィルターの清掃等、空気供給系統の空気通流状態の改善作業を行うために、メンテナンス作業者を派遣することができる。
従って、空気供給系統の空気通流状態が過度に悪化していて、自動的に実行される空気通流改善運転では、空気通流状態を適切に改善できない時には、迅速にメンテナンス作業者を派遣して、空気供給系統の空気通流状態を適切な状態に復帰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る燃料電池システムを通常運転での流体の通流状態にて示すブロック図である。
図2】実施形態に係る燃料電池システムを空気通流改善運転での流体の通流状態にて示すブロック図である。
図3】制御動作のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
図1に示すように、燃料電池システムは、改質水ポンプ1により供給される改質水を蒸発させる蒸発器2と、原燃料ポンプ3により供給される原燃料ガス(例えば、13A等の天然ガスベースの都市ガス)と蒸発器2から供給される水蒸気とを改質反応させて水素含有ガスを生成する改質器4と、改質器4から水素含有ガスが燃料極5aに供給され且つ空気ブロア7により空気が酸素極5cに供給されて発電する複数のセル5を積層状態に有するセルスタック6と、燃料極5aから排出される燃料極排ガス中の可燃成分を酸素極5cから排出される酸素極排ガス中の酸素にて燃焼させて、その燃焼熱により改質器4及び蒸発器2を加熱する燃焼部8と、蒸発器2、改質器4、セルスタック6及び燃焼部8を内部空間9sに収容する収納容器9と、運転を制御する制御部10等を備えて構成されている。
【0020】
セルスタック6には、改質器4から水素含有ガス路11を通して供給される水素含有ガスを各セル5の燃料極5aに分配供給可能なマニホールド12が備えられている。
又、収納容器9には、空気ブロア7からの空気を収納容器9の内部空間9sに供給可能な空気供給路13が接続されている。
更に、収納容器9の内部空間9sにおいて、セルスタック6の複数のセル5が、各セル5の周縁部の一部のガス排出縁部5eを介して、各セル5の燃料極5aからの燃料極排ガス及び各セル5の酸素極5cからの酸素極排ガスを周囲空間に排出可能で、且つ、各セル5におけるガス排出縁部5eから離れた空気導入部5iを介して、周囲空間からの空気を各セル5の酸素極5cに導入可能に構成されている。
【0021】
次に、燃料電池システムの各部について、説明を加える。
セル5及びセルスタック6は周知であるので、詳細な説明及び図示を省略して、簡単に説明する。
セル5は、燃料極5aと酸素極5cとの間に固体電解質層(図示省略)を備えた固体酸化物形に構成されている。ちなみに、固体電解質層としては、例えば酸化ジルコニウムが用いられる。
セルスタック6の各セル5は、概略矩形板状に構成され、燃料極5aの面方向に沿って水素含有ガスを通流させ、酸素極5cの面方向に沿って空気を通流させることが可能に構成されている。
又、各セル5の互いに対向する一対の端縁部の一方が、燃料極5aからの燃料極排ガス及び酸素極5cからの酸素極排ガスを排出するガス排出縁部5eに構成され、他方の端縁部の近傍が、空気を酸素極5cに導入可能な空気導入部5iに構成されている。
又、図示を省略するが、各セル5における近傍に空気導入部5iが構成された端縁部には、燃料極5aに水素含有ガスを導入可能な水素含有ガス導入口が設けられている。
【0022】
そして、複数のセル5が、夫々のガス排出縁部5eを同一方向に向け且つ夫々の水素含有ガス導入口が設けられた端縁部を同一方向に向けた姿勢にて、電気的に直列接続された状態で積層状態に組み付けられることにより、セルスタック6が構成される。
【0023】
マニホールド12は、セルスタック6における各セル5の水素含有ガス導入口が設けられた端縁部が存在する側面部に、各セル5の水素含有ガス導入口がマニホールド12に連通する状態で配設されている。
このように、マニホールド12を備えたセルスタック6において、各セル5の空気導入部5iは周囲空間に露呈する状態であり、各セル5の空気導入部5iに周囲空間からの空気を受け入れ可能に構成されている。
【0024】
このように構成されたセルスタック6が、マニホールド12が下方に位置し、且つ、各セル5のガス排出縁部5eが上向きになって、複数のセル5の積層方向が横向きになる姿勢で、収納容器9内に配設される。
収納容器9の内部空間9sにおいて、セルスタック6の上方には、セルスタック6と間隔を隔てて、蒸発器2と改質器4が横方向に並べて配設される。
【0025】
収納容器9の内部空間9sにおけるセルスタック6と蒸発器2及び改質器4との間の空間14は、各セル5のガス排出縁部5eから燃料極排ガス及び酸素極排ガスが排出されて、燃料極排ガス中の可燃成分を酸素極排ガス中の酸素にて燃焼させることが可能な燃焼空間14に構成されて、この燃焼空間14が燃焼部8として用いられる。
燃焼部8には、燃料極排ガス中の可燃成分を着火させる着火ヒータ15が設けられている。
そして、燃焼空間14にて構成される燃焼部8にて、燃料極排ガス中の可燃成分を酸素極排ガス中の酸素にて燃焼させて、その燃焼により発生する燃焼熱により、収納容器9の内部空間9sに配設された蒸発器2及び改質器4、並びに、セルスタック6を加熱することが可能に構成されている。
【0026】
蒸発器2には、改質水ポンプ1により改質水が圧送される改質水供給路16が、収納容器9の外部から引き込まれて接続され、更に、原燃料ポンプ3により原燃料ガスが圧送される原燃料ガス供給路17も、収納容器9の外部から引き込まれて接続されている。この原燃料ガス供給路17には、原燃料ガスの流量を調節する原燃料調整弁18が設けられている。
【0027】
そして、蒸発器2は、改質水供給路16を通して供給される改質水を、燃焼部8から伝えられる燃焼熱を用いて加熱して蒸発させると共に、改質水の蒸発によって生成された水蒸気を、原燃料ガス供給路17を通して供給される原燃料ガスに混合させるように構成される。
【0028】
改質器4の内部には、改質触媒(図示省略)が充填されている。その改質器4の内部に、蒸発器2において水蒸気が混合された状態の原燃料ガスが導入されるように、蒸発器2と改質器4とが中継路19にて接続されている。
そして、改質器4において、蒸発器2から水蒸気が混合された状態で供給される原燃料ガスを、燃焼部8から伝えられる燃焼熱を用いて水蒸気により改質処理して、水素を含む改質ガス、即ち水素含有ガスに改質処理するように構成されている。
【0029】
改質器4とマニホールド12とは、改質器4で生成された水素含有ガスをマニホールド12に供給すべく、水素含有ガス路11にて接続されている。そして、マニホールド12に供給された水素含有ガスは、セルスタック6の複数のセル5夫々の水素含有ガス導入口から各セル5の燃料極5aに分配供給され、各セル5の燃料極5aを上方に通流して発電反応に供された後、各セル5のガス排出縁部5eから、燃料極排ガスとして、燃焼部8として用いられる燃焼空間14に排出される。
【0030】
収納容器9の底部には、空気受け入れ口20が設けられ、その空気受け入れ口20には、空気ブロア7により空気を送出する空気供給路13が接続されている。
空気供給路13における空気ブロア7よりも上流側の部分には、空気ブロア7により送出する空気を清浄化する空気フィルター21が設けられている。
又、空気供給路13における空気ブロア7よりも下流側の部分には、空気供給路13を通して供給される空気の流量を検出する空気流量計22が設けられている。
つまり、空気供給路13、空気ブロア7、空気フィルター21及び空気流量計22により、セルスタック6の複数のセル5夫々の酸素極5cに空気を供給する空気供給系統23が構成される。
【0031】
そして、空気ブロア7によって、空気が、空気フィルター21により清浄化された後、空気供給路13を通して収納容器9の内部空間9sに供給される。そのように収納容器9の内部空間9sに供給された空気は、セルスタック6の複数のセル5夫々の空気導入部5iから各セル5の酸素極5cに供給され、各セル5の酸素極5cを上方に通流して発電反応に供された後、各セル5のガス排出縁部5eから、酸素極排ガスとして、燃焼部8として用いられる燃焼空間14に排出される。
そして、燃焼部8において、燃料極排ガス中の可燃成分が酸素極排ガス中の酸素にて燃焼する。
【0032】
更に、収納容器9には、燃焼部8にて発生した燃焼排ガスを外部に排出させる燃焼排ガス排出口24が底部等に形成され、その燃焼排ガス排出口24における収納容器9の内面の開口部付近には、燃焼排ガス排出口24から外部に排出される燃焼排ガス中の一酸化炭素ガスを除去する燃焼触媒(例えば、白金系触媒)を収納した一酸化炭素除去部25が設けられている。
【0033】
次に、制御部10の制御動作について説明する。
この燃料電池システムの操作指令等、各種情報を制御部10に送信する操作部26が設けられ、この操作部26には、各種情報を表示出力するディスプレイ27が備えられている。ちなみに、ディスプレイ27は、LCD(液晶ディスプレイ)にて構成されている。
【0034】
制御部10には、インターネット等の通信ネットワーク28を介して、管理センター(図示省略)のホストコンピュータ29と通信する通信手段30が備えられている。ちなみに、管理センターは、都市ガスの供給会社等に設置され、ホストコンピュータ29は、複数の燃料電池システムの通信手段30と通信可能に構成されている。
【0035】
制御部10は、操作部26からの操作指令、及び、空気流量計22の検出情報等に基づいて、改質水ポンプ1、原燃料ポンプ3、原燃料調整弁18、空気ブロア7及び着火ヒータ15等の作動を制御するように構成されている。
又、制御部10は、通信手段30により、原燃料ガスの消費量、発電量及び異常情報等の燃料電池システムの運転情報を、通信ネットワーク28を介してホストコンピュータ29に通信するように構成されている。
【0036】
本発明では、空気供給系統23における空気通流状態を改善すべき改善必要タイミングを検知するタイミング検知手段31が設けられ、制御部10が、タイミング検知手段31により改善必要タイミングが検知されると、改質水ポンプ1、原燃料ポンプ3及び空気ブロア7を作動させる通常運転を終了して、改質水ポンプ1を作動させ、且つ、原燃料ポンプ3及び空気ブロア7を停止させる空気通流改善運転を実行するように構成されている。
【0037】
空気の供給量を調整するための空気ブロア7の出力の制御について説明を加える。
制御部10は、デューティ制御により空気ブロア7への通電を制御するPWM(Pulse Width Modulation)制御により、空気ブロア7の出力を制御する。
【0038】
通常運転及び空気通流改善運転について、説明を加える。
制御部10は、通常運転では、原燃料ポンプ3、改質水ポンプ1及び空気ブロア7を作動させると共に、原燃料ガスの流量がセルスタック6からの出力電力に応じた流量になるように、原燃料調整弁18を作動させ、改質水の流量が原燃料ガスの流量に応じた流量になるように、改質水ポンプ1の出力を制御し、並びに、空気流量計22にて検出される空気の流量が原燃料ガスの流量に応じた流量になるように、空気ブロア7のデューティを制御する。
【0039】
ここで、セルスタック6からの出力電力が定格出力のときの、セルスタック6からの出力電力に応じた原燃料ガスの流量を、原燃料定格流量とし、原燃料定格流量に応じた改質水の流量を、改質水定格流量とし、原燃料定格流量に応じた空気の流量を、空気定格流量とする。
そして、制御部10は、通常運転において、セルスタック6からの出力電力を定格出力に調整するときは、原燃料ガスの流量が原燃料定格流量になるように、原燃料調整弁18を作動させ、改質水の流量が改質水定格流量になるように、改質水ポンプ1の出力を制御し、並びに、空気流量計22にて検出される空気の流量が空気定格流量になるように、空気ブロア7のデューティを制御する。
【0040】
又、制御部10は、空気通流改善運転においては、原燃料ポンプ3及び空気ブロア7を停止させた状態で、改質水の流量が改質水定格流量になるように、改質水ポンプ1の出力を制御する。
【0041】
この実施形態では、タイミング検知手段31は、制御部10を用いて構成されている。
そして、制御部10が、通常運転において、空気流量計22にて検出される流量が空気定格流量(所定の通常流量の一例)になるように、空気ブロア7のデューティ(空気ブロア7の出力の一例)を制御している状態で、タイミング検知手段31は、空気ブロア7のデューティを監視し、空気ブロア7のデューティが所定の設定上位デューティ(設定上位出力の一例)に達することに基づいて、改善必要タイミングを検知するように構成されている。
【0042】
ここで、空気供給系統23の空気通流状態が正常な場合に、空気流量計22にて検出される流量が空気定格流量になるように制御される空気ブロア7のデューティを、標準デューティとする。
そして、設定上位デューティは、標準デューティよりも所定量大きい値に設定される。
【0043】
制御部10は、空気通流改善運転の開始後、所定の設定改善運転時間が経過すると、空気ブロア7を作動させ、且つ、改質水ポンプ1及び原燃料ポンプ3を停止させると共に、空気流量計22にて検出される流量が空気定格流量になるように空気ブロア7のデューティを制御する改善確認運転に切り換えるように構成されている。
並びに、制御部10は、改善確認運転中の空気ブロア7のデューティが、設定上位デューティよりも低い設定下位デューティ(設定下位出力の一例)以下の場合は、通常運転に切り換えるように構成されている。
ちなみに、設定改善運転時間は、例えば1分間に設定され、設定下位デューティは、標準デューティに等しい値か、設定上位デューティよりも低くなる条件で、標準デューティよりも所定量高い値に設定される。
【0044】
又、制御部10は、改善確認運転中の空気ブロア7のデューティが設定下位デューティよりも高い場合は、空気ブロア7を停止させて、改善確認運転を終了するように構成されている。
そして、改善確認運転中の空気ブロア7の出力が設定下位デューティよりも高い場合に、警報出力を出力する警報手段32が設けられている。
【0045】
この実施形態では、制御部10は、改善確認運転中の空気ブロア7のデューティが設定下位デューティよりも高い場合は、ディスプレイ27に、空気供給系統23の異常を示す空気供給異常情報を表示すると共に、通信手段30により、空気供給異常情報を通信ネットワーク28を介してホストコンピュータ29に送信するように構成されている。
ちなみに、図示を省略するが、ホストコンピュータ29にはディスプレイが備えられ、通信ネットワーク28を介して送信されてきた空気供給異常情報が、ホストコンピュータ29のディスプレイに表示される。
つまり、空気供給異常情報が警報出力に相当し、警報手段32が、ディスプレイ27やホストコンピュータ29により構成されている。
【0046】
次に、図3に示すフローチャートに基づいて、通常運転、空気通流改善運転及び改善確認運転における制御部10の制御動作を説明する。
尚、図3に示すフローチャートでは図示を省略するが、操作部26等から燃料電池システムの運転開始の指令が送信されると、制御部10は、所定の手順で改質水ポンプ1、原燃料ポンプ3及び空気ブロア7を作動させる起動制御を実行して、通常運転を開始するように構成されている。
【0047】
制御部10が通常運転を実行中は、タイミング検知手段31は、空気ブロア7のデューティを監視し、空気ブロア7のデューティが設定上位デューティよりも低くて、タイミング検知手段31が改善必要タイミングを検知しない間は、制御部10は通常運転を継続し、空気ブロア7のデューティが設定上位デューティ以上になることに基づいて、タイミング検知手段31が改善必要タイミングを検知すると、制御部10は、通常運転を終了して、空気通流改善運転を開始する(ステップ#1~3)。
【0048】
制御部10は、空気通流改善運転の開始後、設定改善運転時間が経過すると、改善確認運転に切り換える(ステップ#3~5)。
制御部10は、改善確認運転中の空気ブロア7のデューティが設定下位デューティ以下の場合は、通常運転に切り換え、改善確認運転中の空気ブロア7のデューティが設定下位デューティよりも高い場合は、空気ブロア7を停止させて、改善確認運転を終了し、空気供給異常情報をディスプレイ27に表示すると共に、通信ネットワーク28を介してホストコンピュータ29に送信する(ステップ#5~8)。
【0049】
尚、図3に示すフローチャートでは図示を省略するが、通常運転の実行中に、操作部26等から燃料電池システムの運転停止の指令が送信されると、制御部10は、所定の手順で改質水ポンプ1、原燃料ポンプ3及び空気ブロア7を停止させる停止制御を実行して、燃料電池システムの運転を停止するように構成されている。
【0050】
次に、通常運転及び空気通流改善運転夫々における流体の通流状態について、説明する。
図1において矢印にて示すように、通常運転では、改質水ポンプ1及び原燃料ポンプ3が作動して、改質水が改質水供給路16を通して蒸発器2に供給されると共に、原燃料ガスが原燃料ガス供給路17を通して蒸発器2に供給される。
そして、蒸発器2において、燃焼部8から伝えられる燃焼熱により、改質水が蒸発すると共に、改質水の蒸発によって生成された水蒸気が原燃料ガスと混合される。
改質器4には、中継路19を通して、水蒸気が混合された状態で原燃料ガスが供給され、改質器4において、水素含有ガスに改質処理される。
【0051】
改質器4で生成された水素含有ガスは、水素含有ガス路11を通してマニホールド12に供給され、マニホールド12に供給された水素含有ガスは、セルスタック6の複数のセル5夫々の燃料極5aに分配供給され、各セル5の燃料極5aを上方に通流して、各セル5のガス排出縁部5eから、燃料極排ガスとして燃焼部8に排出される。
【0052】
並びに、空気ブロア7が作動して、空気が空気フィルター21を通過して清浄化されながら、空気供給路13を通して収納容器9の内部空間9sに供給される。
そして、収納容器9の内部空間9sに供給された空気は、セルスタック6の複数のセル5夫々の空気導入部5iから各セル5の酸素極5cに供給され、各セル5の酸素極5cを上方に通流して、各セル5のガス排出縁部5eから、酸素極排ガスとして燃焼部8に排出される。
【0053】
燃焼部8においては、燃料極排ガス中の可燃成分が酸素極排ガス中の酸素にて燃焼して、その燃焼熱により、蒸発器2及び改質器4、並びに、セルスタック6が加熱される。
燃焼部8で発生した燃焼排ガスは、燃焼排ガス排出口24から収納容器9外に排出される。
【0054】
図2において矢印にて示すように、空気通流改善運転では、原燃料ポンプ3及び空気ブロア7が停止した状態で、改質水ポンプ1が作動して、改質水が改質水供給路16を通して蒸発器2に供給される。
そして、蒸発器2において、蒸発器2そのものの残熱、燃焼部8の残熱及び収納容器9内の残熱により、改質水が蒸発し、改質水の蒸発によって生成された高温の水蒸気は、中継路19を通して改質器4に供給されて、その改質器4の残熱により加熱され、更に、水素含有ガス路11を通してマニホールド12に供給される。
マニホールド12に供給された高温の水蒸気は、セルスタック6の複数のセル5夫々の燃料極5aに分配供給され、各セル5の燃料極5aを上方に通流して、各セル5のガス排出縁部5eから、燃焼部8に構成される燃焼空間14に排出される。
【0055】
燃焼空間14に排出された高温の水蒸気は、収納容器9の内部空間9sに充満し、内部空間9sに充満した高温の水蒸気の大部分は、空気受け入れ口20から空気供給路13に流入し、空気流量計22及び空気フィルター21を通過しながら空気供給路13を逆流して、収納容器9外に排出され、残部は、燃焼排ガス排出口24から収納容器9外に排出される。
ちなみに、燃焼排ガス排出口24から収納容器9外に排出される水蒸気は、一酸化炭素除去部25を通過するので、燃焼排ガス排出口24を通過する水蒸気の圧損は、空気供給路13を逆流する水蒸気の圧損に比べてかなり大きい。
従って、内部空間9sに充満した水蒸気は、優先的に空気供給路13を逆流して排出される。
【0056】
そして、高温の水蒸気が空気流量計22及び空気フィルター21を通過しながら空気供給路13を逆流することにより、空気フィルター21及び空気流量計22等に付着した付着物(例えば、硫酸アンモニウムを含む付着物等)が水蒸気により溶解して除去されることになり、空気供給系統23の空気通流状態が改善される。
従って、空気供給系統23の空気通流状態の改善をタイムリーに且つ自動的に行うことができる。
【0057】
空気通流改善運転の後に実行される改善確認運転において、空気ブロア7のデューティが設定下位デューティ以下の場合は、空気供給系統23の空気通流状態が適切に改善されたと考えられるので、自動的に通常運転に切り換わる。
【0058】
一方、改善確認運転において、空気ブロア7のデューティが設定下位デューティよりも高い場合は、空気供給系統23の空気通流状態が適切に改善されていないと考えられるので、空気供給異常情報がディスプレイ27に表示されると共に、通信ネットワーク28を介してホストコンピュータ29に送信されて、ホストコンピュータ29のディスプレイに表示される。
【0059】
〔別実施形態〕
(A)タイミング検知手段31が改善必要タイミングを検知するための構成は、上記の実施形態で例示した構成、即ち、通常運転における空気ブロア7のデューティ(空気ブロア7の出力の一例)が設定上位デューティ以上になることに基づいて、改善必要タイミングを検知する構成に限定されるものではない。
例えば、空気ブロア7の出力の具体例として、上記の実施形態では、空気ブロア7のデューティを用いたが、空気ブロア7の回転速度を用いても良い。
この場合は、空気ブロア7の回転速度を検出して、検出した空気ブロア7の回転速度が予め設定した設定回転速度に達することに基づいて、改善必要タイミングを検知するように構成しても良い。
【0060】
又、通常運転の累積運転時間を計時して、計時した累積運転時間が予め設定した運転時間に達することに基づいて、改善必要タイミングを検知するように構成しても良い。
又、PM2.5、黄砂等の微粒子状物質が付着することにより、空気供給系統23の空気通流状態を悪化させると考えられる。そこで、気象庁等から発信される黄砂、PM2.5等の、空気供給系統23の空気通流状態を悪化させると考えられる外気情報を入手するように構成して、そのような外気情報に基づいて、改善必要タイミングを検知するように構成しても良い。
【0061】
(B)上記の実施形態では、空気通流改善運転の実行後、改善確認運転を実行するように構成したが、空気通流改善運転の実行後、直ちに、通常運転に復帰するように構成しても良い。
この場合は、復帰した通常運転において、空気ブロアの出力が設定下位出力よりも高い場合は、通常運転を終了するように構成し、更に、警報手段により警報出力を出力するように構成する。
【0062】
尚、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、又、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明したように、空気供給系統の空気通流状態の改善をタイムリーに且つ自動的に行い得る燃料電池システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 改質水ポンプ
2 蒸発器
3 原燃料ポンプ
4 改質器
5 セル
5a 燃料極
5c 酸素極
5e ガス排出縁部
5i 空気導入部
6 セルスタック
7 空気ブロア
8 燃焼部
9 収納容器
9s 内部空間
10 制御部
11 水素含有ガス路
12 マニホールド
13 空気供給路
21 空気フィルター
22 空気流量計
23 空気供給系統
31 タイミング検知手段
32 警報手段
図1
図2
図3