(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】コンパクト容器
(51)【国際特許分類】
A45D 33/00 20060101AFI20221209BHJP
【FI】
A45D33/00 615A
A45D33/00 615C
(21)【出願番号】P 2019068864
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】古原 裕嗣
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-064123(JP,A)
【文献】実開平02-119104(JP,U)
【文献】実開平06-013708(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0283870(US,A1)
【文献】中国実用新案第208354873(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00~33/38
B65D 43/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される中皿と、
前記中皿が収容される収容部を有する容器本体と、
前記収容部を開放可能に閉塞する蓋体と、
前記中皿を径方向外側から覆う周壁を有し、前記中皿とともに前記収容部に収容される薄肉の介在部材と、を備え、
前記周壁には、径方向外側に向けて突出して前記収容部の内面に接する外側凸部と、径方向内側に向けて突出して前記中皿に接する内側凸部と、が形成され
、
前記介在部材は、フィルムを加工することで形成されている、コンパクト容器。
【請求項2】
前記外側凸部および前記内側凸部は前記周壁に周方向に間隔を空けて複数形成されている、請求項1に記載のコンパクト容器。
【請求項3】
前記外側凸部および前記内側凸部の周方向における位置は互いに異なっている、請求項1または2に記載のコンパクト容器。
【請求項4】
前記外側凸部は、前記周壁の上下方向における一方側の端部から前記周壁の上下方向における中間部にかけて形成され、
前記内側凸部は、前記周壁の上下方向における他方側の端部から前記周壁の上下方向における中間部にかけて形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のコンパクト容器。
【請求項5】
前記介在部材は、前記周壁の下端部を閉塞する底壁を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のコンパクト容器。
【請求項6】
前記周壁には、少なくとも一対の上下方向に延びるスリットが形成されており、
前記一対のスリットは周方向に間隔を空けて配置されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のコンパクト容器。
【請求項7】
前記容器本体には、径方向内側に向けて突出し、前記介在部材の前記容器本体に対する上昇を規制する第1規制突起が形成されている、請求項1から6のいずれか1項に記載のコンパクト容器。
【請求項8】
前記介在部材には、径方向内側に向けて突出し、前記中皿の前記介在部材に対する上昇を規制する第2規制突起が形成されている、請求項1から7のいずれか1項に記載のコンパクト容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクト容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、内容物が収容される中皿と、中皿が収容される収容部を備えた容器本体と、収容部を開放可能に閉塞する蓋体と、を備えたコンパクト容器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のコンパクト容器では、使用後の分別廃棄や内容物のリフィル等のために、中皿を収容部から取り外したり、装着したりする操作性について改善の余地があった。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、コンパクト容器の中皿を収容部から着脱する操作性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るコンパクト容器は、内容物が収容される中皿と、前記中皿が収容される収容部を有する容器本体と、前記収容部を開放可能に閉塞する蓋体と、前記中皿を径方向外側から覆う周壁を有し、前記中皿とともに前記収容部に収容される薄肉の介在部材と、を備え、前記周壁には、径方向外側に向けて突出して前記収容部の内面に接する外側凸部と、径方向内側に向けて突出して前記中皿に接する内側凸部と、が形成され、前記介在部材は、フィルムを加工することで形成されている。
【0007】
上記態様によれば、介在部材は薄肉であるため、外側凸部が収容部の内面に接すること、および内側凸部が中皿に接することにより、外側凸部および内側凸部が弾性変形する。そして、外側凸部が収容部の内面に与える径方向外側に向けた弾性力、および内側凸部が中皿に与える径方向内側に向けた弾性力により、中皿が介在部材とともに収容部内に取り付けられた状態となる。このように、薄肉の介在部材を介して中皿が容器本体に取り付けられているため、例えば中皿を容器本体に接着固定する場合と比較して、中皿を容器本体の収容部から取り外す操作が容易となっている。
【0008】
ここで、前記外側凸部および前記内側凸部は前記周壁に周方向に間隔を空けて複数形成されていてもよい。
【0009】
この場合、複数の外側凸部が収容部の内面にそれぞれ接した状態となるため、容器本体に対する介在部材のがたつきを抑制することができる。また、複数の内側凸部が中皿にそれぞれ接した状態となるため、介在部材に対する中皿のがたつきを抑制することができる。
【0010】
また、前記外側凸部および前記内側凸部の周方向における位置は互いに異なっていてもよい。
【0011】
この場合、外側凸部と内側凸部との間の間隔を大きくすることができる。したがって、外側凸部および内側凸部の一方の弾性変形が他方に影響することを抑制することができる。
【0012】
また、前記外側凸部は、前記周壁の上下方向における一方側の端部から前記周壁の上下方向における中間部にかけて形成され、前記内側凸部は、前記周壁の上下方向における他方側の端部から前記周壁の上下方向における中間部にかけて形成されていてもよい。
【0013】
この場合、例えば外側凸部および内側凸部を介在部材の周壁の上下方向における全長にわたって形成する場合と比較して、外側凸部および内側凸部が上下方向に対して折れ曲がるように変形することが抑えられる。したがって、外側凸部および内側凸部による弾性力をより確実に生じさせて、中皿および介在部材の収容部への取り付けの強度を安定させることができる。
また、例えば外側凸部および内側凸部が、周壁の上下方向における同じ側の端部に形成されている場合と比較して、外側凸部と内側凸部との間の間隔を大きくして、外側凸部および内側凸部の一方の弾性変形が他方に影響することを抑制することができる。
【0014】
また、前記介在部材は、前記周壁の下端部を閉塞する底壁を有してもよい。
【0015】
この構成によれば、中皿を介在部材の内側にセットした状態で中皿および介在部材を収容部に収容する場合に、中皿が介在部材から下方に脱落してしまうことを抑制できる。したがって、中皿を介在部材の内側にセットする際の操作性をより良好にすることができる。
【0016】
また、前記周壁には、少なくとも一対の上下方向に延びるスリットが形成されており、前記一対のスリットは周方向に間隔を空けて配置されていてもよい。
【0017】
この構成によれば、分別廃棄や内容物のリフィルなどを目的として介在部材から中皿を離脱させる際に、介在部材のうち一対のスリット同士の間に位置する部分が径方向外側に向けて移動可能であるため、離脱させる操作が容易となっている。また、中皿および介在部材を収容部内に収容する前に予め中皿を介在部材にセットする場合に、介在部材のうち一対のスリット同士の間に位置する部分が径方向外側に向けて移動可能であるため、中皿を介在部材の内側にセットする操作がより容易となる。
一方、中皿および介在部材を収容部内に収容すると、一対のスリット同士の間の部分が収容部の内面に押されて径方向内側に向けて復元変位する。したがって、中皿および介在部材が収容部内に収容されている状態においては、外側凸部および内側凸部の弾性力を安定して発生させることができる。したがって、当該弾性力による中皿および介在部材の収容部への取り付けの強度を安定させることができる。
【0018】
また、前記容器本体には、径方向内側に向けて突出し、前記介在部材の前記容器本体に対する上昇を規制する第1規制突起が形成されていてもよい。
【0019】
この場合、介在部材が容器本体に対して意図せず上昇してしまうことを抑制することができる。
【0020】
また、前記介在部材には、径方向内側に向けて突出し、前記中皿の前記介在部材に対する上昇を規制する第2規制突起が形成されていてもよい。
【0021】
この場合、中皿が介在部材に対して意図せず上昇してしまうことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の上記態様によれば、コンパクト容器の中皿を収容部から着脱する操作性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1実施形態に係るコンパクト容器の縦断面図である。
【
図2】
図1のコンパクト容器の蓋体を開いた状態の平面図である。
【
図5】第2実施形態に係るコンパクト容器の平面図である。
【
図8】第2実施形態に係る介在部材を側方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態のコンパクト容器について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、コンパクト容器1Aは、内容物が収容される中皿30と、中皿30が収容される収容部10aを有する容器本体10と、収容部10aを開放可能に閉塞する蓋体20と、中皿30とともに収容部10aに収容される薄肉の介在部材40と、を備えている。容器本体10、中皿30、および介在部材40は有底筒状に形成され、蓋体20は有頂筒状に形成されている。
【0025】
中皿30は、金属材料により扁平な有底筒状に形成されている。中皿30が金属材料により形成されていることで、収容される内容物の種類や内容物の成分などによらず、多くの種類の内容物を収容することができる。
なお、中皿30は、金属材料に限らず例えば、合成樹脂材料等の他の材質で形成されていてもよい。
【0026】
(方向定義)
本実施形態では、容器本体10、蓋体20、中皿30、および介在部材40は、それぞれの中心軸線が共通軸上に配置されている。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向という。
上下方向において、容器本体10の底壁11側を下方といい、開口部側を上方という。上下方向から見た平面視において、容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0027】
なお、
図1に示すコンパクト容器1Aの縦断面は、
図2に示す一点鎖線Iに沿った断面となっている。一点鎖線Iは、後述する本体側係止部12aの周方向における中央部と、容器軸Oと、後述するヒンジHの周方向における中央部と、を通るように折れ曲がった直線となっている。
【0028】
本実施形態では、容器本体10と蓋体20とが合成樹脂材料等によって一体に形成されており、蓋体20と容器本体10とが薄肉のヒンジHによって連結されている。蓋体20は、ヒンジH回りに容器本体10に対して回動可能となっている。ただし、蓋体20は容器本体10に連結されていなくてもよい。例えば容器本体10と蓋体20とを別体に形成し、蓋体20を容器本体10に螺着などさせてもよい。
【0029】
図1に示すように、蓋体20は、上方に向けて凸の曲面状に湾曲した頂壁21と、頂壁21の外周縁から下方に延びる周壁22と、周壁22の下端部から径方向外側に突出した蓋操作突片23と、を有している。蓋体20の内側には、パフなどの塗布具Wが収容されている。
蓋操作突片23の一部は下方に向けて突出しており、当該突出した部分に、蓋側係止部23aが形成されている。蓋側係止部23aは径方向内側に向けて突出している。
【0030】
容器本体10は、円板状の底壁11と、底壁11の外周縁から上方に延びる周壁12と、周壁12の上端面から上方に延びる嵌合筒部13と、を有している。底壁11および周壁12により囲まれた空間が、先述の収容部10aとされている。周壁12は略円筒状であり、周壁12の内径は上下方向に沿って一定となっている。周壁12の外径は上方に向かうに従い漸次大きくなっている。
【0031】
図1および
図2に示すように、周壁12の上端部には、径方向外側に向けて突出する本体側係止部12aおよび本体操作突片15が形成されている。本体側係止部12aおよび本体操作突片15は、周方向で異なる位置に設けられている。本体操作突片15は、平面視において、ヒンジHとの間に容器軸Oを挟むように配置されている。蓋体20が閉じられた状態では、本体操作突片15および蓋操作突片23の周方向における端部同士が上下方向で重なり合う。
【0032】
図1に示すように、本体側係止部12aには、蓋側係止部23aがアンダーカット嵌合により係止されており、これによって蓋体20の容器本体10に対するヒンジH回りの回動が規制されている。蓋側係止部23aと本体側係止部12aとの係止を解除することで、蓋体20をヒンジH回りに上方に回動させることができる。
【0033】
嵌合筒部13は円筒状に形成されている。嵌合筒部13の内径は周壁12の内径より大きく、嵌合筒部13の外径は周壁12の上端部における外径よりも小さい。嵌合筒部13は蓋体20の周壁22によって径方向外側から囲われている。
【0034】
図1に示すように、容器本体10の底壁11には、上方に向けて窪む押上ヒンジ11aと、底壁11を上下方向に貫通する貫通孔11bと、が形成されている。
図2に示すように、押上ヒンジ11aは、平面視で直線状に形成されている。貫通孔11bは、平面視でC字状に形成されている。押上ヒンジ11aは、C字状の貫通孔11bの両端部を結ぶように配置されている。押上ヒンジ11aと貫通孔11bとで囲まれた部分は押上部14とされている。換言すると、押上部14は、押上ヒンジ11aによって底壁11に連結されている。押上部14は平面視において半円形状に形成されている。平面視において、押上部14は容器軸OとヒンジHとの間に位置している。
【0035】
押上ヒンジ11aが形成された部分では、底壁11の肉厚が小さくなっているため、押上部14は押上ヒンジ11a回りに回動可能となっている。蓋体20を開き、押上部14をその下方から上方に向けて押し上げると、押上部14は押上ヒンジ11aの回りに上方に向けて回動する。これに伴い、中皿30および介在部材40を収容部10aから上方移動させることができる。
【0036】
図1に示すように、介在部材40は、円板状の底壁41と、底壁41の外周縁から上方に延びる円筒状の周壁42と、を有している。底壁41は周壁42の下端部を閉塞している。介在部材40は、合成樹脂などのフィルムをサーモフォーミング(熱成形)することで形成されている。このため、介在部材40は全体として薄肉となっている。介在部材40の底壁41は、中皿30の底壁31と容器本体10の底壁11との間に位置している。介在部材40の周壁42は、中皿30の周壁32を径方向外側から覆っている。周壁42は、中皿30の周壁32と容器本体10の周壁12との間に位置している。
【0037】
図1に示すように、介在部材40の周壁42の外径は、容器本体10の周壁12の内径よりも小さい。このため、介在部材40の周壁42と容器本体10の周壁12との間には、周方向の少なくとも一部において隙間が形成されている。介在部材40の周壁42の内径は、中皿30の周壁32の外径よりも大きい。このため、介在部材40の周壁42と中皿30の周壁32との間には、周方向の少なくとも一部において隙間が形成されている。
【0038】
ここで、
図4に示すように、本実施形態の介在部材40の周壁42には、径方向外側に向けて突出する外側凸部43と、径方向内側に向けて突出する内側凸部44と、が形成されている。また、周壁42の上端部には、径方向外側に向けて延びるフランジ部45が形成されている。
外側凸部43は、容器本体10の周壁12の内周面(収容部10aの内面)に接している。内側凸部44は、中皿30の周壁32の外周面に接している。
【0039】
外側凸部43は、周方向に間隔を空けて複数(本実施形態では4つ)形成されている。内側凸部44は、周方向に間隔を空けて複数(本実施形態では4つ)形成されている。
図4A、
図4Bに示すように、外側凸部43および内側凸部44の周方向における位置は互いに異なっている。より詳しくは、平面視において、周方向で隣り合う外側凸部43同士の間に、1つの内側凸部44が位置している。また、平面視において、周方向で隣り合う内側凸部44同士の間に、1つの外側凸部43が位置している。換言すると、外側凸部43および内側凸部44は、周方向において交互に配置されている。
【0040】
図4Aに示すように、各外側凸部43は、周壁42の上端部から下方に向けて延びている。各外側凸部43の下端は、周壁42の上下方向における中間部に位置している。周壁42の内周面のうち、外側凸部43が設けられた部分は、上方に向けて開口している。
各内側凸部44は、周壁42の下端部から上方に向けて延びている。各内側凸部44の上端は、周壁42の上下方向における中間部に位置している。周壁42の外周面のうち、内側凸部44が設けられた部分は、下方に向けて開口している。
外側凸部43の下端の上下方向における位置は、内側凸部44の上端よりも下方に位置している。ただし、外側凸部43の下端は、上下方向において、内側凸部44の上端より上方に位置していてもよい。
【0041】
フランジ部45は、平面視で環状に形成されている。
図1に示すように、フランジ部45と介在部材40の周壁42との接続部は、上方に向けて凸となるように湾曲している。フランジ部45は、容器本体10の周壁12の上端面に当接若しくは近接している。フランジ部45は、介在部材40の周壁42と容器本体10の周壁12との間の隙間を上方から覆っている。フランジ部45により、当該隙間に内容物(特に粉状の内容物)が進入することを抑制できる。
【0042】
コンパクト容器1Aを組み立てる際には、予め中皿30を介在部材40の内側にセットし、中皿30および介在部材40を一体として容器本体10の収容部10aに収容してもよい。あるいは、容器本体10の収容部10aに予め介在部材40を収容してから、介在部材40の内側に中皿30をセットしてもよい。
【0043】
次に、以上のように構成されたコンパクト容器1Aの作用について説明する。
【0044】
中皿30を介在部材40の内側にセットすると、内側凸部44は中皿30の周壁32に当接して径方向外側に向けて弾性変形する。換言すると、内側凸部44は中皿30の周壁32に径方向内側に向けた弾性力を与えるため、この弾性力によって、中皿30が介在部材40に保持される。
【0045】
介在部材40を容器本体10の収容部10aに収容すると、外側凸部43は容器本体10の周壁12に当接して径方向内側に向けて弾性変形する。換言すると、外側凸部43は容器本体10の周壁12に径方向外側に向けた弾性力を与えるため、この弾性力によって、介在部材40が容器本体10に保持される。
【0046】
中皿30および介在部材40が収容部10aに収容された状態では、介在部材40は、中皿30と容器本体10との間に挟まれた弾性体として作用する。このため、例えばコンパクト容器1Aに衝撃が加えられたときに、衝撃を介在部材40によって吸収し、中皿30の内容物を衝撃から保護することができる。特に、粉体が固められて固形状となっている内容物を採用した場合、衝撃によって内容物が割れることを介在部材40によって抑制することができる。
【0047】
分別廃棄や中皿30の交換等のために、中皿30を容器本体10から取り外す場合には、介在部材40とともに中皿30を容器本体10から取り外せばよい。ここで先述の通り、介在部材40は自身の弾性力によって容器本体10に保持されている。したがって、例えば中皿30が容器本体10に接着固定などされている場合と比較して、中皿30を容器本体10から取り外す操作が容易になっている。さらに本実施形態では、容器本体10の底壁11に押上部14が設けられているため、押上部14を押し上げることで、より容易に中皿30および介在部材40を容器本体10から取り外すことが可能となっている。また、押上部14が、底壁11の径方向の中央部からずれた位置に設けられているため、中皿30に対して径方向中央部からずれた位置において上方に向けた力を集中的に加えることができる。これにより、薄肉に形成された介在部材40を変形させ、中皿30と介在部材40との間に隙間を生じさせて、中皿30を傾かせながら介在部材40から離脱させることができる。したがって、中皿30の取り外しがさらに容易になっている。
【0048】
なお、中皿30をリフィル容器として用いる場合、介在部材40がセットされた状態の中皿30を流通、販売させてもよい。あるいは、中皿30のみを流通、販売させて、介在部材40を再利用してもよい。
【0049】
以上説明したように、本実施形態のコンパクト容器1Aは、薄肉の介在部材40を備えている。介在部材40は、中皿30を径方向外側から覆う周壁42を有し、中皿30とともに収容部10aに収容される。そして介在部材40の周壁42には、径方向外側に向けて突出して収容部10aの内面に接する外側凸部43と、径方向内側に向けて突出して中皿30に接する内側凸部44と、が形成されている。このように、薄肉の介在部材40を介して中皿30が容器本体10に取り付けられているため、例えば中皿30が容器本体10に接着固定された場合と比較して、中皿30を容器本体10の収容部10aから取り外す操作が容易となっている。
【0050】
また、外側凸部43は、介在部材40の周壁42に、周方向に間隔を空けて複数形成されている。このため、複数の外側凸部43が収容部10aの内面にそれぞれ接した状態となり、容器本体10に対する介在部材40のがたつきを抑制することができる。
【0051】
また、内側凸部44は、介在部材40の周壁42に、周方向に間隔を空けて複数形成されている。このため、複数の内側凸部44が中皿30にそれぞれ接した状態となり、介在部材40に対する中皿30のがたつきを抑制することができる。
【0052】
また、外側凸部43および内側凸部44の周方向における位置は互いに異なっている。これにより、外側凸部43と内側凸部44との間の間隔を大きくすることができる。したがって、外側凸部43および内側凸部44の一方の弾性変形が、他方に影響することを抑制することができる。
【0053】
また、外側凸部43は、周壁42の上端部から下方に向けて延びており、内側凸部44は、周壁42の下端部から上方に向けて延びている。この構成によれば、介在部材40を熱成形によって形成する際に、型の構造をシンプルにすることができる。
【0054】
また、外側凸部43は、介在部材40の周壁42の上下方向における一方側の端部(上端部)から周壁42の上下方向における中間部にかけて形成され、内側凸部44は、周壁42の上下方向における他方側の端部(下端部)から周壁42の上下方向における中間部にかけて形成されている。このため、例えば外側凸部43および内側凸部44を介在部材40の周壁42の上下方向における全長にわたって形成する場合と比較して、外側凸部43および内側凸部44が上下方向に対して折れ曲がるように変形することが抑えられる。したがって、外側凸部43および内側凸部44による弾性力をより確実に生じさせて、中皿30および介在部材40の収容部10aへの取り付けの強度を安定させることができる。また、例えば外側凸部43および内側凸部44が、周壁42の上下方向における同じ側の端部に形成されている場合と比較して、外側凸部43と内側凸部44との間の間隔を大きくして、外側凸部43および内側凸部44の一方の弾性変形が他方に影響することを抑制することができる。
【0055】
また、介在部材40は、周壁42の下端部を閉塞する底壁41を有しているため、特に中皿30を介在部材40にセットしたうえで収容部10aに収容する場合に、中皿30が介在部材40から下方に脱落してしまうことを抑制できる。したがって、中皿30を介在部材40の内側にセットする際の操作性をより良好にすることができる。
【0056】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0057】
図5に示すように、本実施形態のコンパクト容器1Bでは、容器本体10に第1規制突起16が形成されており、介在部材40に第2規制突起46が形成されている。第1規制突起16は、周方向に間隔を空けて2つ形成されている。平面視において、2つの第1規制突起16は、容器軸Oを間に挟むように配置されている。第2規制突起46は、周方向に間隔を空けて2つ形成されている。平面視において、2つの第2規制突起46は、容器軸Oを間に挟むように配置されている。ただし、第1規制突起16および第2規制突起46の配置や数は適宜変更してもよい。
【0058】
図6に示すように、第1規制突起16は、容器本体10の嵌合筒部13の内周面から、径方向内側に向けて突出している。第1規制突起16は介在部材40のフランジ部45の上方に位置している。平面視において、第1規制突起16はフランジ部45にオーバーラップしている。この構成により、介在部材40が容器本体10に対して上昇しようとすると、第1規制突起16が介在部材40のフランジ部45に当接することで、介在部材40の上昇が規制される。
【0059】
図7に示すように、第2規制突起46は、介在部材40の周壁42の上端部(周壁42とフランジ部45との接続部)から、径方向内側に向けて突出している。第2規制突起46は中皿30の周壁32の上方に位置している。平面視において、第2規制突起46は中皿30の周壁32にオーバーラップしている。この構成により、中皿30が介在部材40に対して上昇しようとすると、第2規制突起46が中皿30の周壁32に当接することで、中皿30の上昇が規制される。
【0060】
図8に示すように、本実施形態の介在部材40には、上下方向に延びる一対のスリット42aが形成されている。一対のスリット42aは、周方向に間隔を空けて形成されている。各スリット42aは、介在部材40の周壁42およびフランジ部45を、薄肉に形成された介在部材40の厚さ方向に貫通している。このため、介在部材40における一対のスリット42a同士の間の部分は、一対のスリット42aの下端部同士の間の部分を中心として回動可能となっている。
【0061】
図8の例では、一対のスリット42aは、周壁42の上下方向における全長にわたって形成されている。このため、一対のスリット42a同士の間の部分は、底壁41の外周縁を中心として回動する。
本実施形態では、1つの内側凸部44を間に挟むように一対のスリット42aが形成されている。なお、スリット42aの数および位置は適宜変更可能である。
【0062】
以上説明したように、本実施形態のコンパクト容器1Bによれば、介在部材40の周壁42に少なくとも一対の上下方向に延びるスリット42aが形成されており、一対のスリット42aは周方向に間隔を空けて配置されている。このため、分別廃棄や内容物のリフィルなどを目的として介在部材40から中皿30を離脱させる際に、介在部材40のうち一対のスリット42a同士の間に位置する部分が径方向外側に向けて離脱可能であるため、離脱させる操作が容易となっている。また、中皿30および介在部材40を収容部10a内に収容する前に予め中皿30を介在部材40にセットする場合に、一対のスリット42a同士の間に位置する部分が径方向外側に向けて移動可能であるため、中皿30を介在部材40の内側にセットする操作がより容易となっている。
【0063】
一方、中皿30および介在部材40を収容部10a内に収容すると、一対のスリット42a同士の間の部分が収容部10aの内面に押されて径方向内側に向けて復元変位する。したがって、中皿30および介在部材40が収容部10a内に収容されている状態においては、外側凸部43および内側凸部44の弾性力を安定して発生させることができる。したがって、当該弾性力による中皿30および介在部材40の収容部10aへの取り付けの強度を安定させることができる。また、中皿30および介在部材40が収容部10a内に収容された状態では、一対のスリット42aは隙間を生じさせないように閉塞されるため、スリット42aに内容物(特に粉状の内容物)が進入することが規制される。
【0064】
また、容器本体10には、径方向内側に向けて突出し、介在部材40の容器本体10に対する上昇を規制する一対の第1規制突起16が形成されており、一対の第1規制突起16は周方向に間隔を空けて配置されている。この構成により、介在部材40が容器本体10に対して意図せず上昇してしまうことが抑制される。
【0065】
また、介在部材40には、径方向内側に向けて突出し、中皿30の介在部材40に対する上昇を規制する一対の第2規制突起46が形成されており、一対の第2規制突起46は周方向に間隔を空けて配置されている。この構成により、中皿30が介在部材40に対して意図せず上昇してしまうことが抑制される。
【0066】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0067】
例えば、前記第1実施形態および第2実施形態において、外側凸部43および内側凸部44は、周壁42の上下方向における全長にわたって形成されていてもよい。
また、外側凸部43の数は1つであってもよく、内側凸部44の数は1つであってもよい。
【0068】
また、前記第2実施形態では、第1規制突起16が嵌合筒部13の内周面に形成されていたが、第1規制突起16は容器本体10の周壁12の内周面に形成されていてもよい。この場合、介在部材40にフランジ部45を設けず、介在部材40の周壁42の上端面が第1規制突起16に当接する構成としてもよい。あるいは、介在部材40のフランジ部45が容器本体10の周壁12の内側に収容され、当該フランジ部45の上端面が、容器本体10の周壁12の内周面に形成された第1規制突起16に当接する構成としてもよい。
【0069】
また、前記第2実施形態では、第2規制突起46が、介在部材40の周壁42とフランジ部45との接続部に形成されていたが、第2規制突起46は介在部材40の周壁42の内周面に形成されてもよい。
【0070】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1A、1B…コンパクト容器 10…容器本体 10a…収容部 16…第1規制突起 20…蓋体 30…中皿 40…介在部材 41…底壁 42…周壁 42a…スリット 43…外側凸部 44…内側凸部 46…第2規制突起