(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】釣糸ガイドのガイドフレーム及び釣糸ガイド並びに釣竿
(51)【国際特許分類】
A01K 87/04 20060101AFI20221209BHJP
【FI】
A01K87/04 Z
(21)【出願番号】P 2019080018
(22)【出願日】2019-04-19
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】神納 芳行
(72)【発明者】
【氏名】谷口 一真
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-046640(JP,A)
【文献】特開2007-320407(JP,A)
【文献】特開2017-038532(JP,A)
【文献】特許第5736527(JP,B2)
【文献】特開2015-146766(JP,A)
【文献】特開昭54-097286(JP,A)
【文献】特開昭60-033101(JP,A)
【文献】特開平10-313744(JP,A)
【文献】特開2012-100616(JP,A)
【文献】特開2001-238577(JP,A)
【文献】特開2012-075363(JP,A)
【文献】国際公開第2011/102398(WO,A1)
【文献】特開2012-024075(JP,A)
【文献】特開平05-228539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣糸を案内するためのガイドリングを保持するためのガイドフレームであって、
前記ガイドフレームは、中空状のフレーム本体と、前記フレーム本体の少なくとも一部に挿入された芯材とを備え、
前記フレーム本体は、前記ガイドリングの全周のうち所定角度領域に当接する枠部と、釣竿に取り付けるための取付脚部と、前記枠部の周方向の両端部と前記取付脚部とを連結する支持脚部とを有し
、
前記フレーム本体は、前記芯材が挿入された有芯部と、前記芯材が挿入されていない空芯部とを有し、
前記枠部は、前記空芯部であり、
前記支持脚部の少なくとも一部は、前記有芯部であり、
前記取付脚部は、前記空芯部であって且つ扁平状に押し潰されている、
釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項2】
前記支持脚部は、湾曲部を有しており、前記芯材は、前記支持脚部の前記湾曲部に挿入されている請求項
1記載の釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項3】
前記芯材は、前記芯材と前記フレーム本体の内周面との間の接触により、前記フレーム本体の所定位置に保持されている請求項1
又は2に記載の釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項4】
前記支持脚部のうち前記枠部側の部分は、前記空芯部である請求項
1乃至3の何れかに記載の釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項5】
前記フレーム本体は、前記支持脚部のうち前記取付脚部に近い部分に前記有芯部を有している請求項
4記載の釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項6】
前記フレーム本体の材質と前記芯材の材質は、互いに異なっている請求項1乃至
5の何れかに記載の釣糸ガイドのガイドフレーム。
【請求項7】
釣糸を案内するためのガイドリングと、
前記ガイドリングを保持する請求項1乃至
6の何れかに記載のガイドフレームと、を備えている釣糸ガイド。
【請求項8】
請求項7記載の釣糸ガイドを備えている釣竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸を案内するための釣糸ガイドのガイドフレームと、釣糸ガイドと、釣糸ガイドを備えた釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
釣糸を案内するための釣糸ガイドは、例えば下記特許文献1所載のように、金属板を打ち抜くことによって形成されたガイドフレームと、該ガイドフレームの孔に取り付けられて釣糸を案内するガイドリングとを備えたものが一般的である。しかしながら、ガイドフレームが金属板を打ち抜いて形成されたものであるため、強度を確保しつつ軽量化を図ることには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ガイドフレームの強度確保と軽量化を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る釣糸ガイドのガイドフレームは、ガイドリングを保持する。ガイドリングは、釣糸を案内する。ガイドフレームは、フレーム本体と、芯材とを備えている。フレーム本体は、中空状である。芯材は、フレーム本体の少なくとも一部に挿入されている。フレーム本体は、枠部と、取付脚部と、支持脚部とを有している。枠部は、ガイドリングの全周のうち所定角度領域に当接する。取付脚部は、釣竿に取り付けられる。支持脚部は、枠部の周方向の両端部と取付脚部とを連結する。
【0006】
この構成によれば、ガイドフレームが中空状のフレーム本体と芯材とを備えているので、ガイドフレームを軽量化でき、ガイドフレームの強度を確保できる。
【0007】
好ましくは、支持脚部の少なくとも一部に芯材が挿入されている。
【0008】
好ましくは、支持脚部は、湾曲部を有している。芯材は、支持脚部の湾曲部に挿入されている。
【0009】
好ましくは、芯材は、芯材とフレーム本体の内周面との間の接触により、フレーム本体の所定位置に保持されている。
【0010】
好ましくは、フレーム本体は、有芯部と、空芯部とを有している。有芯部は、フレーム本体に芯材が挿入された部分である。空芯部は、フレーム本体に芯材が挿入されていない部分である。
【0011】
好ましくは、枠部は、空芯部である。
【0012】
好ましくは、支持脚部のうち枠部側の部分は、空芯部である。
【0013】
好ましくは、フレーム本体は、支持脚部のうち取付脚部に近い部分に有芯部を有している。
【0014】
好ましくは、取付脚部は、空芯部である。
【0015】
好ましくは、取付脚部は、扁平状に押し潰されている。
【0016】
好ましくは、フレーム本体の材質と芯材の材質は、互いに異なっている。
【0017】
また、本発明に係る釣竿は、ガイドリングと、上述したガイドフレームとを備えている。ガイドリングは、釣糸を案内する。
【0018】
また、本発明に係る釣竿は、このような釣糸ガイドを備えている。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、ガイドフレームを軽量化でき、ガイドフレームの強度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態における釣糸ガイドを後側から見た斜視図。
【
図11】同釣糸ガイドを釣竿に取り付けた状態を示す
図9に対応した一部破断線を含む断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド1について
図1~
図11を参酌しつつ説明する。本実施形態における釣糸ガイド1は、釣糸を直接案内するためのガイドリング2と、該ガイドリング2を保持すると共に釣竿の竿体5に取り付けられるガイドフレーム3と、ガイドリング2の外周面に係合するスペーサ4とを備えている。
【0022】
図11のように、釣糸ガイド1は、釣竿の竿体5の外周面に固定される。釣糸ガイド1は固定ガイドである。釣糸ガイド1は、図示しないリールシートを備えた種々の釣竿に取り付けられて使用される。
【0023】
尚、以下の説明において、釣竿の中心線51の方向を前後方向とし、竿先側を前側、竿元側を後側とする。また、釣竿の径方向を上下方向とし、釣竿の外周面から径方向に離れる方向を上側とし、それとは逆の方向であって釣竿の外周面に接近する方向を下側とする。上下方向は、ガイドリング2の中心線50と竿体5の中心線51を通る平面上において、前後方向と直交する方向である。前後方向と上下方向とに直交する方向を左右方向とする。左右方向は、釣竿の外周面を径方向外側から見た場合において前後方向と直交する方向であり、釣竿の外周面の周方向である。図中、左右方向を矢印Xで示す。前後方向を矢印Y1、Y2で示し、前側を矢印Y1で示し、後側を矢印Y2で示す。上下方向を矢印Z1、Z2で示し、上側を矢印Z1で示し、下側を矢印Z2で示す。
【0024】
尚、
図11では、釣糸ガイド1が竿体5の上側に位置する状態を図示している。但し、実際の使用状態において、釣糸ガイド1は竿体5に対して上側に位置していてもよいし下側に位置していてもよい。釣糸ガイド1の位置や向きは任意である。例えば、図示しないスピニングリールを使用する場合、通常、スピニングリールは竿体5の下側に位置する。その場合、釣糸ガイド1は竿体5の下側に位置する。図示しない両軸受リールを使用する場合、通常、両軸受リールは竿体5の上側に位置する。その場合、釣糸ガイド1は竿体5の上側に位置する。このように、釣糸ガイド1は、竿体5に対してリールと同じ方向に位置する。
【0025】
<ガイドリング2>
ガイドリング2は、例えば円形の環状であるが、楕円形や長円形等であってもよい。本実施形態においてはガイドリング2が円形の場合について説明する。本実施形態において、ガイドリング2の中心線50は、竿体5の中心線51と平行である。但し、ガイドリング2の中心線50が竿体5の中心線51と平行でなくてもよい。ガイドリング2が前側に傾倒していてもよい。ガイドリング2は耐摩耗性に優れた、種々の硬質材料からなる。ガイドリング2は、本実施形態ではチタンからなる。チタンとしてはチタン合金が好ましい。ガイドリング2は、例えばSiC(シリコンカーバイト)に代表されるセラミックであってもよい。
【0026】
ガイドリング2は曲げ加工された薄肉の金属板からなる。金属板の表裏両面がそれぞれガイドリング2の外周面と内周面になっている。ガイドリング2は、例えばドーナツ状に打ち抜かれた金属板を所定形状にプレス加工することにより形成される。ドーナツ状に打ち抜かれた金属板をプレス加工することにより金属板を筒状に変形させて、ガイドリング2を形成する。ガイドリング2の肉厚は、後述するガイドフレーム3のフレーム本体7の肉厚と略同じかあるいはそれよりも薄いことが好ましい。
【0027】
ガイドリング2は、釣糸が挿通する糸挿通孔を有している。ガイドリング2の内周面を釣糸が摺動する。ガイドリング2は、釣糸を直接案内する。
図8に示しているように、ガイドリング2の内周面は、断面視において、内側凸(中心側凸)となるように前後方向に湾曲した曲面である。また、ガイドリング2の外周面も断面視において内側凸(中心側凸)となるように前後方向に湾曲した曲面である。即ち、ガイドリング2は、ガイドリング2の中心線50の方向に切断した断面視において、中心側凸となるように弧状に湾曲した凸状の内周面と、中心側凸となるように弧状に湾曲した凹状の外周面とを有している。ガイドリング2の内周面と外周面は互いに対応した形状となっている。ガイドリング2の外周面には、凹状の周溝が全周に亘って形成されている。周溝には後述するガイドフレーム3のフレーム本体7の枠部10とスペーサ4が係合する。ガイドリング2の後端部は前端部よりも大径である。
【0028】
<ガイドフレーム3>
ガイドフレーム3は、フレーム本体7と、芯材8とを備えている。フレーム本体7は、中空状である。芯材8は、フレーム本体7の少なくとも一部に挿入されている。芯材8は、フレーム本体7の全長に亘って挿入されていてもよいし、フレーム本体7の全長のうち一部のみに挿入されていてもよい。フレーム本体7は、枠部10と支持脚部11と取付脚部12を有している。枠部10は、ガイドリング2の全周のうち所定角度領域に当接する。取付脚部12は、釣竿に取り付けられる。支持脚部11は、枠部10の周方向の両端部と取付脚部12とを連結する。
【0029】
フレーム本体7は、その全体が中空状である。フレーム本体7は、一本の中空状の金属線材から構成されている。具体的には、フレーム本体7は一本の金属線材をガイドリング2の外径に合わせてU字状に曲げ加工することにより形成されている。金属線材は、例えばチタン合金やステンレス、アルミニウム合金からなる。その中でも特に軽量化の観点からはチタン合金が好ましい。金属線材は、円形の断面形状を有している。金属線材の外径は例えば0.3~6mm、好ましくは1~3mmである。金属線材の両端部は取付脚部12の後端部に位置する。金属線材の両端部は後側を向いて揃えられている。支持脚部11と取付脚部12は、何れも金属線材が左右に二本並んだ構成である。フレーム本体7は、左右対称形状である。
【0030】
<枠部10>
枠部10は、フレーム本体7のうちガイドリング2を保持するための部分である。枠部10は、支持脚部11の上側に位置する。枠部10は、所定の中心角を有する円弧状に形成されている。枠部10は、下側に開口したC字状に形成されている。枠部10は、枠部10のサイズ及び形状は、ガイドリング2に対応している。枠部10は、ガイドリング2の全周のうち上側の所定角度範囲のみに当接する。枠部10の中心角は180度を越える角度であることが好ましい。枠部10において金属線材は押し潰されていない。枠部10において金属線材は断面円形状を維持している。枠部10は湾曲部である。
【0031】
<支持脚部11>
支持脚部11は、枠部10と取付脚部12とを連結している。支持脚部11は、湾曲部を有していることが好ましい。支持脚部11は、左右一対設けられている。左右一対の支持脚部11は、互いに左右対称形状である。一対の支持脚部11は、枠部10の周方向の両端部と取付脚部12とを連結している。一対の支持脚部11の正面視あるいは背面視における形状について説明する。正面視は、
図3のようにガイドフレーム3を前側から見たときの状態である。背面視は、
図4のようにガイドフレーム3を後側から見たときの状態である。一対の支持脚部11は、正面視あるいは背面視において全体としてV字状である。一対の支持脚部11同士の間の左右方向の離間距離は、取付脚部12から枠部10に向けて徐々に大きくなっている。一対の支持脚部11は、正面視あるいは背面視において、取付脚部12から枠部10に向けて、左右方向に湾曲することなく直線状に延びている。一対の支持脚部11は、根元部分においては、若干の隙間を介して互いに接近した状態、あるいは、互いに当接した状態にある。
【0032】
次に、
図7のように、支持脚部11を左右方向から見た側面視における形状について説明する。支持脚部11は、枠部10と連続する第一脚部21と、第一脚部21と連続する第二脚部22と、第二脚部22と連続する第三脚部23と、第三脚部23と取付脚部12とを連結する第四脚部24とを有している。第一脚部21は、枠部10の周方向の端部から下側に向けて延びている。第一脚部21は、前後方向に湾曲していない。第一脚部21は、枠部10と同一平面上に位置する。第一脚部21は、ガイドリング2の中心線50に対して直交する平面上に位置している。
【0033】
第二脚部22は、第一脚部21と第三脚部23とを連結している。第二脚部22は、支持脚部11の全長のうち大部分を占める。第二脚部22は、前後方向に湾曲している。第二脚部22は、湾曲部である。第二脚部22の枠部10側の端部は上側を向いている。第二脚部22の取付脚部12側の端部は後側を向いている。第三脚部23は、第二脚部22と第四脚部24とを連結している。第三脚部23は、前後方向に湾曲していない。第三脚部23は、取付脚部12と平行である。第三脚部23は枠部10に対して直交している。第三脚部23は、取付脚部12よりも上側に位置する。第三脚部23は、ガイドリング2の中心線50と平行である。第一脚部21から第三脚部23までの範囲において金属線材は押し潰されていない。第一脚部21から第三脚部23までの範囲において金属線材は断面円形を維持している。
【0034】
第四脚部24は、第三脚部23と取付脚部12とを連結している。第四脚部24は、支持脚部11と取付脚部12との間の境界部である。第四脚部24の上下方向の厚さは、取付脚部12側に向けて徐々に薄くなっている。第四脚部24の上面は、取付脚部12側に向けて徐々に下降している。第四脚部24の上面は、取付脚部12側に向けて徐々に下降した傾斜面である。第四脚部24における金属線材は、取付脚部12側に向けて徐々に上下方向に押し潰されている。第四脚部24における金属線材の断面形状は、取付脚部12側に向けて徐々に左右方向に長い扁平形状となっている。
【0035】
<取付脚部12>
取付脚部12は、支持脚部11の端部から後側に延びている。取付脚部12は、前後方向に沿って一直線上に延びている。取付脚部12は、ガイドリング2の中心線50と平行である。取付脚部12において、金属線材の両端部同士は左右に並んでいる。金属線材の両端部は後側を向いている。金属線材の両端部同士は互いに接合されている。接合方法は任意である。接合方法は、好ましくは溶接である。
【0036】
取付脚部12は、扁平状に押し潰されていることが好ましい。取付脚部12は、上下方向の寸法よりも左右方向の寸法が長い扁平形状である。取付脚部12において金属線材は上下方向に押し潰されている。取付脚部12の断面形状は円形ではなく上下方向に押し潰された扁平形状である。取付脚部12の下面は、上側が凸となるように左右方向に沿って湾曲した凹状の湾曲面である。取付脚部12の下面の湾曲形状は、釣竿の外周面の周方向の曲面形状に対応していることが好ましい。取付脚部12の上面は、取付脚部12の下面に対応した形状である。取付脚部12の上面は、上側が凸となるように左右方向に沿って湾曲した凸状の湾曲面である。取付脚部12の上面は、支持脚部11の第三脚部23の上面よりも低い。取付脚部12は、
図11のように巻糸6によって釣竿の竿体5の外周面に巻き付けられる。
【0037】
<芯材8>
フレーム本体7の内側に芯材8が挿入されている。フレーム本体7には、芯材8が左右一対挿入されている。芯材8は合計二本である。一対の芯材8は左右対称に配置されている。一対の芯材8は互いに同じ長さである。本実施形態におあいて、芯材8は、フレーム本体7の全体のうち一部のみに挿入されている。芯材8は、金属線材の全長のうちの一部のみに挿入されている。芯材8は、支持脚部11の少なくとも一部に挿入されていることが好ましい。芯材8は、支持脚部11の第二脚部22に挿入されていることが好ましい。
【0038】
芯材8は好ましくは金属製である。芯材8は好ましくはチタン製である。芯材8の材質は、フレーム本体7の材質と異なっていてもよい。芯材8の材質は、フレーム本体7の材質と同じであってもよい。芯材8の断面は円形である。芯材8の直径は、フレーム本体7の内径に対応している。芯材8の外周面は、フレーム本体7の内周面に接触している。芯材8は、芯材8とフレーム本体7の内周面との間の接触により、フレーム本体7の所定位置に保持されていることが好ましい。
【0039】
フレーム本体7は、有芯部30と、空芯部31とを有している。有芯部30は、フレーム本体7に芯材8が挿入された部分である。空芯部31は、フレーム本体7に芯材8が挿入されていない部分である。有芯部30は、中実状である。空芯部31は、中空状である。
【0040】
枠部10は、空芯部31であることが好ましい。支持脚部11は、空芯部31と有芯部30とに区分されることが好ましい。支持脚部11のうち枠部10側の部分は、空芯部31であることが好ましい。有芯部30は、支持脚部11のうち取付脚部12に近い部分に設けられていることが好ましい。有芯部30は、支持脚部11のうち第二脚部22に設けられていることが好ましい。有芯部30は、支持脚部11の第二脚部22の一部のみに設けられていることが好ましい。フレーム本体7のうち一対の芯材8同士の区間は、空芯部31であることが好ましい。芯材8は、フレーム本体7の全長のうちの中途部に挿入されていることが好ましい。芯材8とフレーム本体7の端部との間の区間は空芯部31であることが好ましい。
【0041】
詳細には、支持脚部11のうち取付脚部12側の部分は有芯部30である。支持脚部11の上側半分以上の部分は空芯部31である。第一脚部21は空芯部31である。第二脚部22は空芯部31と有芯部30とに区分される。第二脚部22のうち枠部10側の部分は空芯部31である。第二脚部22のうち取付脚部12側の部分は有芯部30である。第二脚部22のうち上側半分以上の部分は空芯部31である。第二脚部22の大部分は空芯部31である。第二脚部22のうち第三脚部23に近い部分は有芯部30である。第三脚部23は有芯部30である。第三脚部23の第四脚部24に近い部分に、空芯部31を有していてもよい。支持脚部11の第四脚部24は空芯部31である。取付脚部12は、空芯部31である。
【0042】
芯材8は、支持脚部11の湾曲形状に対応して湾曲している。芯材8の後端部は後側を向いている。芯材8の前端部は斜め上方を向いている。芯材8は、支持脚部11の湾曲した部分に位置している。芯材8は、支持脚部11の第二脚部22に位置している。そのため、芯材8は、支持脚部11の第二脚部22の湾曲形状に対応して湾曲している。芯材8は、フレーム本体7の内周面との間の摩擦抵抗により、フレーム本体7の所定位置に保持されている。
【0043】
ガイドフレーム3の製法の概略を説明する。まず、一本の金属線材からフレーム本体7を形成する。一本の金属線材をU字状に曲げ加工すると共に前後方向に湾曲させる。金属線材の両端部近傍の領域を左右に揃えて並べる。次に、金属線材の両端部の開口部から一対の芯材8をフレーム本体7に挿入する。芯材8をフレーム本体7に挿入していくと、芯材8はフレーム本体7の内周面に摺動する。芯材8はフレーム本体7の湾曲形状に沿って湾曲しながら枠部10側へと進む。芯材8とフレーム本体7の内周面との間の摩擦抵抗は、芯材8がフレーム本体7の内側に挿入されるにつれて徐々に増加する。摩擦抵抗が所定値まで増加したところで、芯材8の挿入作業が終了する。芯材8は、フレーム本体7の内周面との間の摩擦抵抗によって所定位置に留まる。その後、フレーム本体7の両端部近傍を上下方向に押し潰す。そして、フレーム本体7の両端部近傍の領域同士を溶接する。
【0044】
<スペーサ4>
釣糸ガイド1は、スペーサ4を備えている。スペーサ4は、ガイドリング2の外周面の周溝を埋める。フレーム本体7の枠部10は下方に開口したC字状である。枠部10は、ガイドリング2の外周面の全周のうち上側の所定角度領域のみに当接している。フレーム本体7は、ガイドリング2の外周面のうち下側の所定角度領域には当接していない。ガイドリング2の外周面のうち下側の所定角度領域は、フレーム本体7によって支持されていない。ガイドリング2の外周面のうち下側の所定角度領域に、スペーサ4が設けられている。
【0045】
スペーサ4は、ガイドリング2の外周面の周溝に係合している。スペーサ4は、円弧状の棒状体である。スペーサ4は、ガイドリング2の外周面のうち下側の所定角度領域に対応した長さを有している。スペーサ4は、ガイドリング2の外周面のうち下側の所定角度領域に対応した中心角を有している。スペーサ4はガイドリング2に接着されている。スペーサ4はガイドリング2に対して径方向外側に僅かにはみ出している。スペーサ4の断面形状は、半円状である。スペーサ4の周方向の両端部は、ガイドフレーム3のフレーム本体7に接近している。スペーサ4の周方向の両端部は、フレーム本体7には当接していない。スペーサ4の周方向の両端部とフレーム本体7との間には僅かな隙間が存在している。スペーサ4の材質は、比重の小さいものが好ましい。スペーサ4は、例えば硬質樹脂製や繊維強化樹脂製とすることができる。スペーサ4は、射出成形により形成できる。スペーサ4が繊維強化樹脂製である場合、繊維強化樹脂の強化繊維はカーボン繊維であることが好ましい。スペーサ4は金属製であってもよい。尚、ガイドリング2がガイドフレーム3に装着される前に、ガイドリング2にスペーサ4が装着されることが好ましい。ガイドリング2がガイドフレーム3に装着された後に、ガイドリング2にスペーサ4が装着されてもよい。
【0046】
本実施形態の釣糸ガイド1のガイドフレーム3は、中空状のフレーム本体7と芯材8とを備えている。そのため、ガイドフレーム3を軽量化しつつ強度を確保することができる。フレーム本体7は、一本の中空状の金属線材から構成されている。そのため、ガイドフレーム3を軽量化することができる。支持脚部11に芯材8が挿入されていると、支持脚部11の強度を向上させることができる。支持脚部11の第二脚部22に芯材8が挿入されていると、第二脚部22を補強できる。芯材8が支持脚部11の第二脚部22に位置していて湾曲していると、芯材8が安定する。芯材8がフレーム本体7の内周面との間の摩擦抵抗により、フレーム本体7の第二脚部22に保持されていると、芯材8が安定する。特に、芯材8が枠部10側に移動しないため、好ましい。
【0047】
フレーム本体7が有芯部30と空芯部31とを有していると、ガイドフレーム3を軽量化しつつ強度を確保できる。特に、枠部10が空芯部31であると、ガイドフレーム3を軽量化できる。支持脚部11のうち枠部10側の部分が空芯部31であると、ガイドフレーム3を軽量化できる。支持脚部11の上側半分以上の部分が空芯部31であると、ガイドフレーム3を軽量化できる。取付脚部12が空芯部31であると、ガイドフレーム3を軽量化できる。
【0048】
フレーム本体7が支持脚部11のうちの取付脚部12に近い部分に有芯部30を有していると、支持脚部11を効果的に補強できる。また、支持脚部11の取付脚部12に近い根元部分の強度を向上させることができる。そして、フレーム本体7の金属線材を細いものとすることで、曲げ加工が容易になり、ガイドリング2を小径化することができる。細い金属線材を使用しても、強度が必要な箇所は芯材8で効果的に補強できる。
【0049】
取付脚部12の全体が上下方向に押し潰されているので、釣竿に安定して取り付けることができる。取付脚部12が空芯部31であるので、取付脚部12を容易に押し潰して扁平状にすることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 釣糸ガイド
2 ガイドリング
3 ガイドフレーム
4 スペーサ
5 竿体
6 巻糸
7 フレーム本体
8 芯材
10 枠部(湾曲部)
11 支持脚部
12 取付脚部
21 第一脚部
22 第二脚部(湾曲部)
23 第三脚部
24 第四脚部
30 有芯部
31 空芯部
50 ガイドリングの中心線
51 竿体の中心線