(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】有機塩素化合物の生分解処理方法
(51)【国際特許分類】
B09C 1/10 20060101AFI20221209BHJP
C02F 3/34 20060101ALI20221209BHJP
C02F 11/02 20060101ALI20221209BHJP
C12N 1/20 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
B09C1/10 ZAB
C02F3/34 Z
C02F11/02
C12N1/20 D
C12N1/20 F
(21)【出願番号】P 2019123204
(22)【出願日】2019-07-01
【審査請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2018126717
(32)【優先日】2018-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019002393
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 亮哉
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲史
(72)【発明者】
【氏名】瀧 寛則
【審査官】中田 光祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-094455(JP,A)
【文献】特開平09-276841(JP,A)
【文献】国際公開第2016/181802(WO,A1)
【文献】生物工学会誌,2017年,第95巻, 第9号,第547頁
【文献】Chemosphere,2013年,Vol. 91,pp. 88-92
【文献】Environmental Science & Technology,2016年08月,Vol. 50,pp. 9599-9607
【文献】Environmental Science & Technology Letters,2018年12月,Vol. 6,pp. 49-54
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00- 5/00
B09C 1/00- 1/10
C02F 3/28- 3/34;
11/00- 11/20
C12N 1/00- 7/08
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受託番号NITE BP-02032として寄託されたN23株を、好気環境下で有機塩素化合物と接触させる工程を含
み、
前記有機塩素化合物が、炭素原子数1~3、塩素原子数1~3であることを特徴とする有機塩素化合物の生分解処理方法。
【請求項2】
前記有機塩素化合物が、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロエチレン、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロプロパン、1,3-ジクロロプロペン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレンの1種以上であることを特徴とする請求項
1に記載の生分解処理方法。
【請求項3】
前記有機塩素化合物と、環状エーテル化合物とを
同時に処理することを特徴とする請求項1
または2に記載の生分解処理方法。
【請求項4】
前記環状エーテル化合物が、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、2-メチル-1,3-ジオキソラン、2-クロロメチル-1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフランの1種以上であることを特徴とする請求項
3に記載の生分解処理方法。
【請求項5】
前記有機塩素化合物を含む汚染土壌に、前記N23株を注入する工程、スパージング処理により酸素を供給する工程を含むことを特徴とする請求項1~
4のいずれかに記載の生分解処理方法。
【請求項6】
地中から前記有機塩素化合物を含む汚染水を揚水する工程、該汚染水を前記N23株を用いた標準活性汚泥法により処理する工程を含むことを特徴とする請求項1~
4のいずれかに記載の生分解処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機塩素化合物の構成型1,4-ジオキサン分解菌N23株を用いた生分解処理に関する。
【背景技術】
【0002】
1,1,1-トリクロロエタン(以下、1,1,1-TCAともいう)は、様々な有機化合物を溶解することができるため、溶剤、洗浄剤等として広く利用されていた。1,1,1-TCAは、オゾン層破壊物質の一つとされ、1995年に製造が禁止されたが、それ以前に製造されたTCAによる汚染が問題となっている。また、主に、1,1,1-TCAが使用される前と1,1,1-TCAが禁止された後においては、トリクロロエチレン(TCE)が、溶剤、洗浄剤として使われているが、TCEによる汚染も1,1,1-TCAと同様に問題視されている。1,1,1-TCA及びTCEは、嫌気性環境下で微生物により、1,1-ジクロロエチレン(以下、1,1-DCEともいう)やクロロエチレン(以下、VCともいう)等に脱塩素される場合がある。1,1-DCE、VCの水への溶解度は、1,1,1-TCA(300mg/L水)やTCE(1,200mg/L水)より大きい(1,1-DCE:2,500mg/L水、VC:8,800mg/L水)。すなわち、1,1,1-TCA及びTCEは、脱塩素されるに従って、地下水に溶解して拡散しやすくなるため、汚染範囲が拡大してしまう。
【0003】
また、1,1,1-TCAやTCEには、安定剤として、1,4-ジオキサン(以下、ジオキサンともいう)が2~4%程度添加されていた。ジオキサンは、急性毒性及び慢性毒性を有する上、発がん性も指摘されていることから、日本国では、水道水質基準(0.05mg/L以下)、環境基準(0.05mg/L以下)、排水基準(0.5mg/L以下)が設けられている。ジオキサンは、水溶性であるため、水環境中へ放出されると広域に拡散してしまう。
そのため、1,1,1-TCA、TCEの汚染サイトは、1,1,1-TCA、TCE、1,1-DCE、VC等の有機塩素化合物、ジオキサンによる深刻な複合汚染が発生している場合がある。
【0004】
また、1,1,2-トリクロロエタン(以下、1,1,2-TCAともいう)は、主に、1,1-DCEの原料として用いられており、その他の用途として塩素化ゴムの溶剤、油脂、ワックス、天然樹脂などの溶剤、アルカロイドの抽出剤がある。1,1,2-TCAは、急性毒性及び慢性毒性を持っており、水質汚濁に係る環境基準(0.006mg/L)、地下水の水質汚濁に係る環境基準(0.006mg/L)、土壌汚染に係る環境基準(0.006mg/L)、土壌汚染対策法(土壌溶出量基準0.006mg/L)が設けられている。1,1,2-TCAは、好気条件での生分解性はないとされている。一方で、嫌気条件では1,1,2-TCAは分解されるが、より毒性の強いVCをはじめ、1,2-ジクロロエタン、1,1-DCE、シス-1,2-ジクロロエチレン(以下、シス-1,2-DCEともいう)等に変換されてしまう。
【0005】
1,1,1-TCA、TCE等の有機塩素化合物で汚染された汚染土壌を掘削しないで浄化する方法(原位置浄化)としては、(1)コンプレッサー等で空気を送り揮発させることで除去するスパージング処理。(2)過酸化水素と鉄分を添加してヒドロキシラジカルにより酸化分解させるフェントン法。(3)酸素や栄養剤を送り込んで土壌中の微生物を活性化させて浄化する生物処理(バイオレメディエーション)。等が挙げられる。これらの中では、スパージング処理が一般的であるが、有機塩素化合物は高濃度では揮発するが、低濃度となると揮発性が低下してしまう。
【0006】
一方、1,4-ジオキサンは、上記した浄化方法で水中から除去することが困難であり、過酸化水素を添加してのオゾン処理(O3/H2O2)、紫外線照射下でのオゾン処理(O3/UV)、放射線や超音波照射下でのオゾン処理等、複数の物理化学的な酸化方法を併用する促進酸化法においてのみ、処理の有効性が確認されている。しかし、非特許文献1には、1,4-ジオキサン以外の有機物が存在すると、促進酸化法による1,4-ジオキサンの処理効率が低下することが報告されている。
【0007】
有機塩素化合物とジオキサンの複合汚染において、有機塩素化合物とジオキサンとを同時に処理することは難しく、有機塩素化合物の処理後に、1,4-ジオキサンを処理する方法が用いられている。しかし、処理化合物ごとに異なる処理方法を採用することは、処理装置、オペレータ、薬品の種類等が増加するため高コストであり、また、処理工程の上流または下流でトラブルが起こると、全ての工程がストップしてしまう。そのため、有機塩素化合物とジオキサンを単一工程で除去可能な技術が求められている。
【0008】
ここで、近年、ジオキサン分解菌を使ったジオキサンの生物処理の検討がされている。有機塩素化合物存在下でのジオキサン分解菌の働きについては、非特許文献2、3に、ジオキサン分解菌であるCB1190株が、1,1-DCE等の塩素化エチレンを分解できないこと、CB1190株によるジオキサンの分解が、1,1-DCE、cis-1,2-DCE、TCE等の塩素化エチレンにより阻害されることが記載されている。そのため、CB1190株は、ジオキサンと塩素化エチレンの複合汚染に対して、塩素化エチレンを処理できないのはもちろんであるが、塩素化エチレンにより阻害されるためジオキサンを処理することもできない。
【0009】
また、非特許文献4に、有機塩素化合物の分解菌が記載されているが、有機塩素化合物の分解菌は好気条件下では共代謝菌が多く、資化菌、特に、複数の有機塩素化合物を分解できる資化菌は、ほとんど報告されていない。有機塩素化合物による汚染浄化分野で研究されてきた菌は、ほぼ共代謝菌である。しかし、有機塩素化合物が低濃度だと、分解が思うように進まなかったり、トルエンやフェノールといった誘導物質自体が汚染の原因になるという問題がある。他にも有機塩素化合物(TCEやDCE)が誘導物質として作用する共代謝菌もいるが、この場合、有機塩素化合物濃度が低くなると、分解速度が低下し、基準値まで下がらない事がある。そのため、有機塩素化合物による汚染浄化は、好気ではなく、嫌気での処理に注目が集まっている。
【0010】
本発明者らは、特許文献1において、構成型1,4-ジオキサン分解菌であるN23株を報告している。N23株は、これまでに報告されている構成型1,4-ジオキサン分解菌の中で、最も高い1,4-ジオキサン最大比分解速度を示し、1,4-ジオキサンを始めとする環状エーテルの生分解に非常に有望である。
また、本発明者らは、特許文献2において、N23株は、酸性環境下で活性がほとんど低下しないため、pH3.0以上5.5以下の酸性環境下での有機化合物の生分解処理に用いることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特許第6117450号公報
【文献】特開2019-000831号公報
【非特許文献】
【0012】
【文献】K. KOSAKA, H. YAMADA, S. MATSUI, and K. SHISHIDA: The effects of the co-existing compounds on the decomposition of micropollutants using the ozone/hydrogen peroxide process. Water Sci. Technol., 42, pp.353-361, 2000.
【文献】Mahendra S., Grostern A., & Alvarez-Cohen L.:The impact of chlorinated solvent co-contaminants on the biodegradation kinetics of 1, 4-dioxane. Chemosphere, 91(1), pp 88-92, 2013.
【文献】Zhang S., Gedalanga P. B.& Mahendra S.: Biodegradation kinetics of 1, 4-dioxane in chlorinated solvent mixtures. Environmental science & technology, 50(17), pp 9599-9607, 2016
【文献】Dolinova I., Strojsova M., Cernik M., Nemecek J., Machackova J., Sevcu A.:Microbial degradation of chloroethenes: a review. Environmental Science and Pollution Research, 24(15), pp 13262-13283,2017.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
有機塩素化合物の好気での生分解処理方法、特に、有機塩素化合物と環状エーテル化合物とを生分解する生分解処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の課題を解決するための手段は以下の通りである。
1.受託番号NITE BP-02032として寄託されたN23株を、好気環境下で有機塩素化合物と接触させる工程を含むことを特徴とする、有機塩素化合物の生分解処理方法。
2.前記有機塩素化合物が、炭素原子数1~3、塩素原子数1~3であることを特徴とする1.に記載の生分解処理方法。
3.前記有機塩素化合物が、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロエチレン、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロプロパン、1,3-ジクロロプロペン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレンの1種以上であることを特徴とする1.または2.に記載の生分解処理方法。
4.前記有機塩素化合物と、環状エーテル化合物とを処理することを特徴とする1.~3.のいずれかに記載の生分解処理方法。
5.前記環状エーテル化合物が、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、2-メチル-1,3-ジオキソラン、2-クロロメチル-1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフランの1種以上であることを特徴とする4.に記載の生分解処理方法。
6.前記有機塩素化合物を含む汚染土壌に、前記N23株を注入する工程、スパージング処理により酸素を供給する工程を含むことを特徴とする1.~5.のいずれかに記載の生分解処理方法。
7.地中から前記有機塩素化合物を含む汚染水を揚水する工程、該汚染水を前記N23株を用いた標準活性汚泥法により処理する工程を含むことを特徴とする1.~6.のいずれかに記載の生分解処理方法。
【発明の効果】
【0015】
N23株により、有機塩素化合物を好気環境下で生分解処理することができる。特に、炭素原子数1~3、塩素原子数1~3の有機塩素化合物は、水への溶解度が大きいもの、毒性が高いものが多いが、N23株により、低コストで高い効率で生分解処理することができる。
N23株は、複数の有機塩素化合物を生分解することができ、また、事前に誘導物質による馴養が不要である。また、N23株は、有機塩素化合物と環状エーテル化合物を同時に生分解することができる。そのため、本発明の生分解処理方法は、1,1,1-TCAの汚染サイト等、有機塩素化合物と環状エーテル化合物との複合汚染が広がっている汚染サイトに好適に用いることができる。
【0016】
有機塩素化合物は、その種類により生分解性に差があるが、土壌へのスパージング処理および/または活性汚泥法における曝気処理と、N23株による生分解を組み合わせることにより、複数種の有機塩素化合物、環状エーテル化合物を、効率的に同時に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】実験1における各条件の1,4-ジオキサン濃度の経時変化を示す図。
【
図3】実験1における各条件の1,1-DCE濃度の経時変化を示す図。
【
図4】実験2における各条件の1,4-ジオキサン濃度の経時変化を示す図。
【
図5】実験2における各条件のDCM濃度の経時変化を示す図。
【
図6】実験3におけるシス-1,2-DCE濃度の経時変化を示す図。
【
図7】実験3におけるクロロエチレン濃度の経時変化を示す図。
【
図8】実験4における塩素化エチレン類濃度の経時変化を示す図。
【
図9】実験4における塩素化メタン、塩素化エタン類濃度の経時変化を示す図。
【
図10】実験5における有機塩素化合物及び1,4-ジオキサンの除去率を示す図。
【
図11】実験6におけるTCE濃度の経時変化を示す図。(A)初期TCE濃度0.1mg/L、(B)初期TCE濃度1mg/L、(C)初期TCE濃度10mg/L。
【
図12】実験7における各条件の1,4-ジオキサン濃度の経時変化を示す図。
【
図13】実験7における各条件のTCE濃度の経時変化を示す図。
【
図14】実験8における1,1,2-TCA濃度の経時変化を示す図(A:ネガティブコントロール、B:N23株添加系)。
【
図15】実験9における1,4-ジオキサン濃度の経時変化を示す図(A:ネガティブコントロール、B:N23株添加系)。
【
図16】実験9における1,1,2-TCA濃度の経時変化を示す図(A:ネガティブコントロール、B:N23株添加系)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
「N23株」
N23株は、受託番号NITE BP-02032として、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NPMD)(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8(郵便番号292-0818))に、2015年4月10日付で国際寄託されている。N23株のSEM画像を
図1に示す。N23株は、グラム染色性が陽性、カタラーゼ反応が陽性である。
【0019】
N23株は、これまでに報告されている構成型資化菌の中で最も高い1,4-ジオキサン最大比分解速度を有する構成型1,4-ジオキサン分解菌である(特許文献1)。
N23株は、ジオキサンを極低濃度まで分解することができる、高濃度のジオキサンを処理することができる、予め馴養する必要がない、ジオキサンだけでなく、1,3-ジオキソラン、2-メチル-1,3-ジオキソラン、2-クロロメチル-1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物を効率よく分解することができる等、環状エーテル化合物の生分解処理に好適に利用することができる。
【0020】
本発明者らは、N23株によるジオキサン汚染土壌処理に際し、汚染土壌中に有機塩素化合物が存在していてもN23株のジオキサン分解活性が低下しないことを発見した。本発明者らは、N23株の有機塩素化合物の生分解性についてさらに研究を進めたところ、N23株が、有機塩素化合物を好気環境下で、誘導物質による馴養をすることなく生分解できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、受託番号NITE BP-02032として寄託されたN23株を用いる、有機塩素化合物の生分解処理方法に関する。
【0021】
「有機塩素化合物」
本発明においてN23株を用いて生分解する有機塩素化合物としては、N23株が生分解できる化合物であれば特に限定されず、また、2種以上の有機塩素化合物であってもよい。N23株が生分解できる有機塩素化合物としては、例えば、炭素原子数1~3、塩素原子数1~3の有機塩素化合物が挙げられ、炭素原子数1~3、塩素原子数1~2の有機塩素化合物が好ましい。具体的には、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロエチレン(塩化ビニルモノマー)、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロプロパン、1,3-ジクロロプロペン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン等が挙げられる。これらの中で、特に、1,2-ジクロロプロパン、1,1,2-トリクロロエタンは、本発明者らが調査したところ、これまでに嫌気性微生物による生分解しか報告されておらず、1,2-ジクロロプロパンの好気性微生物による生分解は、N23株が世界初の事例である。
【0022】
「環状エーテル化合物」
N23株は、環状エーテル化合物の有無に関わらず、有機塩素化合物を生分解することができる。そのため、N23株は、有機塩素化合物のみの生分解処理、有機塩素化合物と環状エーテル化合物の両方の生分解処理に用いることができる。本発明において有機塩素化合物とともに生分解する環状エーテル化合物としては、N23株が生分解できるものであれば特に限定されない。また、有機塩素化合物と環状エーテル化合物の両方を生分解する場合、有機塩素化合物、環状エーテル化合物のいずれか、または両方が、2種以上であってもよい。N23株が生分解できる環状エーテル化合物としては、例えば、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、2-メチル-1,3-ジオキソラン、2-クロロメチル-1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。なお、複数の有機化合物を生分解する場合、N23株は、炭素源として利用しやすいものから順に生分解するため、存在する有機化合物の種類や量により、各有機化合物の生分解終了までの時間は異なる。
【0023】
「生分解処理」
本発明の有機塩素化合物の生分解処理方法は、N23株を、好気環境下で有機塩素化合物と接触させる工程を含むことを特徴とする。本発明により生分解処理を行う処理対象は、有機塩素化合物を含むものであれば特に制限されないが、具体的には、不法廃棄現場等の汚染サイト、工場跡地、産業廃棄物処理場等の汚染土壌や、工場排水、一般下水、汚染サイト近辺の地下水等の汚染水等が挙げられる。また、処理対象は、有機塩素化合物と環状エーテル化合物の両方を含むものでもよい。
N23株は、培養液からろ別した菌体、凍結保存した菌体、乾燥保存した菌体、凍結乾燥した菌体、N23株を樹脂等に固定化した固定化担体、あるいは培養液やその濃縮液等のN23株を含む懸濁液等の任意の形態で生分解処理に用いることができる。
【0024】
N23株による生分解処理時のpHは、N23株が活動可能なpHであれば特に制限されないが、pH3.0以上5.5以下であることが好ましい。特許文献2に記載したように、N23株は、酸性環境下であっても、ほとんど活動性が低下しない。それに対し、一般的な雑菌は、中性環境下が至適pHであるため、pH3.0以上5.5以下の酸性環境下では、活動が抑制される。そのため、pH3.0以上5.5以下の酸性環境下では、雑菌の繁殖(コンタミネーション)を抑制することができ、N23株による生分解処理を効率的に行うことができる。
【0025】
N23株により、汚染土壌中の有機塩素化合物を生分解処理することができる。N23株を用いた汚染土壌中の有機塩素化合物の生分解処理方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。例えば、汚染土壌にN23株を加えて混合撹拌する、汚染土壌中に懸濁液等の形態でN23株を注入する等の方法を挙げることができる。汚染土壌にN23株を注入する場合、N23株は、好気性細菌であるため、N23株を注入する工程、スパージングにより土壌中に酸素を供給する工程を含むことが好ましい。また、一般に土壌中には栄養素が不足しているため、汚染土壌中に炭素源、無機塩類等を注入する工程を含むことが好ましい。スパージングを行うことにより、土壌中の有機塩素化合物を揮発させて低濃度とすることができる。そして、スパージングでは取り除けない低濃度の有機塩素化合物をN23株により生分解処理することができるため、浄化処理に必要な時間を短縮することができる。
【0026】
N23株により、汚染水中の有機塩素化合物を生分解処理することができる。N23株を用いた汚染水中の有機塩素化合物の生分解処理方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。例えば、標準活性汚泥法における処理方法を挙げることができる。標準活性汚泥法は、曝気槽に、固定化担体や懸濁液等の形態でN23株を加えるだけで有機塩素化合物を処理することができるため、従来の標準活性汚泥法で用いられる設備をほとんどそのまま活用することができる。また、標準活性汚泥法における曝気により、汚染水中の有機塩素化合物を揮発させて取り除くことができる。
【0027】
標準活性汚泥法における処理は、(1)汚染水のN23株による生分解処理工程、(2)N23株を含む活性汚泥や担体等を沈殿させ、処理後の上澄みを排水する排水工程、(3)新たな汚染水を投入する汚染水投入工程を、(1)→(2)→(3)→(1)→・・・と、この順で繰り返す、いわゆるフェッドバッチプロセス、上流での汚染水の投入と下流での処理水の排水とを同量で連続的に行う工程を有する連続プロセスのいずれの方法でも行うことができる。フェッドバッチプロセスは、曝気槽での初期有機化合物(汚染物)濃度が高いため、生分解処理速度を高く保つことができ、また、排水時にN23株の流出が少なく、プロセスを繰り返す毎にN23株量が増加して1回のプロセスに必要な時間を徐々に短くすることができる。
【0028】
有機塩素化合物の中で、ジクロロメタン(13,200mg/L水)、1,2-ジクロロエタン(8,600mg/L水)、クロロエチレン(8,800mg/L水)、シス-1,2-ジクロロエチレン(5,100mg/L水)、1,2-ジクロロプロパン(2,800mg/L水)、1,3-ジクロロプロペン(2,000mg/L水)は、水への溶解度が高い。また、エーテル結合による極性を有する環状エーテルは、水に易溶解性である。そのため、有機塩素化合物による汚染サイト、または、有機塩素化合物と環状エーテルによる汚染サイトでは、処理対象である有機化合物が地下水に溶解して汚染範囲が広範囲に亘る場合がある。汚染が広範囲に亘る場合は、汚染土壌へのN23株の注入と、揚水した地下水(汚染水)の標準活性汚泥法による生分解処理の両方を行うことが、汚染の拡大を防ぎ、また、処理期間を短くすることができるため好ましい。この際、スパージングを行うことが、N23株への酸素を供給するのみならず、水への溶解度が低く揮発性の高い有機塩素化合物を取り除くことができるため、好ましい。
【実施例】
【0029】
「N23株」
300mL容量のバッフル付の三角フラスコにMGY培地(Malt Extract:10g/L、グルコース:4g/L、Yeast Extract:4g/L、pH7.3)を100mL添加し、オートクレーブにて滅菌処理(121℃、15分)を行った。その後、N23株を一白金耳で植菌し、回転振盪培養(28℃、120rpm)を7日間行った(前々培養)。
培養後、MGY培地に植え継ぎ、同様の条件にて培養を行った(前培養)。
前培養にて得られた培養液を遠心分離によって集菌・回収し、無機塩培地(組成:1g/L K2HPO4、1g/L (NH4)2SO4、50mg/L NaCl、200mg/L MgSO4・7H2O、10mg/L FeCl3、50mg/L CaCl2、pH:7.3)を加えて、菌体の洗浄を行った。洗浄後の菌体を、無機塩培地で懸濁したものを植菌液とした。
【0030】
「分析方法」
・濃度測定
1,4-ジオキサン及び有機塩素化合物は、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー質量分析装置(島津製作所社製、GC/MS QP-2010 plus)を用いてJIS K0125に準じて行った。
【0031】
・菌体濃度
N23株の菌体タンパク濃度は、既報(Meyers et al., Novel method for rapid measurement of growth of mycobacteria in detergent-free media, J. Clin. Microbiol.,36 (9) 2752~2754 (1998))に準じて測定した。
N23株の乾燥菌体重量及び微生物濃度は、ガラス繊維濾紙GF/B(粒子保持能 1.0μm、Whatman)を用いて試料をろ過し、105℃にて2時間乾燥した後の重量から、ろ過前のフィルター重量を差し引いて求めた。
【0032】
「実験1」
120ml容のバイアル瓶にN23株(菌体濃度:500mg-dry cell/L)、1,4-ジオキサン(1.0mg/L)、1,1-DCE(1.0、5.0、10.0mg/L)、無機塩培地を条件毎に合計で24mLとなるように添加した。その後、ブチルゴム栓で密栓し30℃、120rpmの条件で振盪しながら試験を行った(N=2)。
実験は下記5つの条件を用意して行った。
条件1:N23株及び1,1-DCEを加えない(コントロール)
条件2:1,1-DCEを加えない(ポジティブコントロール)
条件3:1,1-DCE濃度が1.0mg/L
条件4:1,1-DCE濃度が5.0mg/L
条件5:1,1-DCE濃度が10.0mg/L
【0033】
培養開始3日後、4日後、5日後にサンプリングを行い、溶液中の1,1-DCE、1,4-ジオキサン濃度を測定した。
各条件の1,4-ジオキサン濃度及び1,1-DCE濃度の経時変化を
図2、3に示す。なお、数値は2連の平均値を用いている。
【0034】
N23株が、1,1-DCEを生分解できることが確かめられた。
N23株は、CB1190株ではジオキサン分解を最も強く阻害する1,1-DCEの存在下でも、1,4-ジオキサンが分解できることが確かめられ、さらに、ジオキサンよりも先に1,1-DCEを分解することが確認できた。1,1-DCE濃度が5.0mg/L以下程度であれば、1,4-ジオキサンを問題なく環境基準値まで分解すると共に1,1-DCEも分解できることが確認できた。
【0035】
「実験2」
1,1-DCEをジクロロメタン(DCM)とした以外は、実験1と同様にして下記5つの条件を用意して行った。
条件6 :N23株及びDCMを加えない(コントロール)
条件7 :DCMを加えない(ポジティブコントロール)
条件8 :DCM濃度が1.0mg/L
条件9 :DCM濃度が5.0mg/L
条件10:DCM濃度が10.0mg/L
培養開始1日後、4日後、7日後にサンプリングを行い、溶液中のDCM、1,4-ジオキサン濃度を測定した。
各条件の1,4-ジオキサン濃度及びDCM濃度の経時変化を
図4、5に示す。なお、数値は2連の平均値を用いている。
【0036】
N23株が、DCMを生分解できることが確かめられた。
また、N23株は、DCMの存在下でも、1,4-ジオキサンが分解できることが確かめられたが、DCMよりもジオキサンを先に分解することが確認できた。DCM濃度が10.0mg/L以下程度であれば、1,4-ジオキサンを問題なく環境基準値まで分解できることが確かめられたが、本条件では、DCM濃度が5.0mg/L以上では、DCMを環境基準値まで分解できなかった。
【0037】
「実験3」
120ml容のバイアル瓶にN23株(菌体濃度:150mg-dry cell/L)、シス-1,2-DCE(10mg/L)あるいはクロロエチレン(2mg/L)、無機塩培地を合計で40mLとなるように添加した。その後、ブチルゴム栓で密栓し30℃、120rpmの条件で振盪しながら試験を行った(N=2)。実験は菌を入れた条件と入れていない条件(コントロール)の2通り実施した。
培養開始0日後、1日後、2日後、3日後、4日後、7日後にサンプリングを行い、溶液中のシス-1,2-DCEあるいはクロロエチレン(VCM)濃度を測定した。
1,4-ジオキサン濃度及びDCM濃度の経時変化を
図6、7に示す。なお、数値は2連の平均値を用いている。
【0038】
N23株は、ジオキサンの非存在下で、シス-1,2-DCE、VCMを分解できることが確認できた。すなわち、N23株は、ジオキサン等を誘導物質として馴養することなく、有機塩素化合物を分解できることが確かめられた。
【0039】
「実験4」
120ml容のバイアル瓶にN23株(菌体濃度:500mg-dry cell/L)、VOC(1,1-DCE、シス-1,2-DCE、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、DCM、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタンの7物質を各1mg/L)、無機塩培地を合計で24mLとなるように添加した。その後、ブチルゴム栓で密栓し30℃、120rpmの条件で振盪しながら試験を行った(N=2)。
培養開始0日後、1日後、3日後、7日後にサンプリングを行い、溶液中のVOCの各濃度を測定した。
各有機塩素化合物濃度の経時変化を
図8、9に示す。なお、数値は2連の平均値を用いている。
【0040】
N23株が、複数種の有機塩素化合物を同時に分解できることが確かめられた。特に、炭素原子数1~3、塩素原子数1~2の有機塩素化合物である1,1-DCE、シス-1,2-DCE、DCM、1,2-ジクロロエタンに対して優れた生分解性を示した。
【0041】
「実験5」
120ml容のバイアル瓶にN23株(菌体濃度:1000mg-dry cell/L)、1,4-ジオキサン(添加濃度1mg/L)、VOC(クロロエチレン、1,1-DCE、シス-1,2-DCE、DCM、1,2-ジクロロエタン、1,2-ジクロロプロパン、1,3-ジクロロプロペンの7物質を各1mg/L)、無機塩培地を条件毎に合計で30mLとなるように添加した。その後、ブチルゴム栓で密栓し30℃、120rpmの条件で振盪しながら試験を行った(N=2)。条件は、菌を添加しない系(control)と菌を添加した系(1000ppm)を用意した。
培養開始0日後、4日後にサンプリングを行い、溶液中の1,4-ジオキサン及びVOCの各濃度を測定した。
図10に0日目に対する4日目の各物質の除去率を示す。なお、数値は2連の平均値を用いている。
【0042】
N23株が1,4-ジオキサンと複数種の有機塩素化合物を同時に分解できることが確かめられた。また、シス-1,2-DCE、1,2-ジクロロプロパン以外の有機塩素化合物は環境基準値以下まで低減された。
controlにおいて、0日目と4日目で大きく濃度が変化した物質が見られるが、これは0日目のサンプリングの際に、一部の物質では気相と液相の平衡移動が完了する前に採取した影響であると考えられる。特に、1,1-DCEは初期の添加濃度が高くなってしまったことも除去率が高い原因であると考えられる。また、1,3-ジクロロプロペンは加水分解される特徴を持っているため、controlでも大きく除去されたと思われる。
【0043】
「実験6」
120ml容のバイアル瓶にN23株(菌体濃度:500mg-dry cell/L)、TCE(0.1mg/L、1mg/L、10mg/Lの3条件)、無機塩培地を合計で50mLとなるように添加した。また、それぞれについてN23株を含まないネガティブコントロールを調製した。その後、ブチルゴム栓で密栓し30℃、120rpmの条件で振盪しながら試験を行った(N=2)。
培養開始0日後、1日後、2日後、7日後、14日後、21日後にサンプリングを行い、溶液中のTCE濃度を測定した。
TCE濃度の経時変化を
図11に示す。(A)が初期TCE濃度0.1mg/L、(B)が初期TCE濃度1mg/L、(C)が初期TCE濃度10mg/Lである。なお、数値は2連の平均値を用いている。
【0044】
N23株は、分解速度は遅いものの、ジオキサンの非存在下で、TCEを分解できることが確認できた。すなわち、N23株は、ジオキサン等を誘導物質として馴養することなく、TCEを分解できることが確かめられた。
【0045】
「実験7」
120ml容のバイアル瓶にN23株(菌体濃度:500mg-dry cell/L)、1,4-ジオキサン(10mg/L)、TCE(0.1mg/L、1mg/L、10mg/Lの3条件)、無機塩培地を合計で50mLとなるように添加した。その後、ブチルゴム栓で密栓し30℃、120rpmの条件で振盪しながら試験を行った。
実験は下記5つの条件を用意して行った。
条件11:N23株及びジオキサンを加えない(コントロール)
条件12:TCEを加えない(ポジティブコントロール)
条件13:TCE濃度が0.1mg/L、ジオキサン濃度が10mg/L
条件14:TCE濃度が1mg/L、ジオキサン濃度が10mg/L
条件15:TCE濃度が10mg/L、ジオキサン濃度が10mg/L
【0046】
培養開始1日後、2日後、5日後、7日後にサンプリングを行い、溶液中のTCE、1,4-ジオキサン濃度を測定した。
各条件の1,4-ジオキサン濃度及びTCE濃度の経時変化を、それぞれ
図12、13に示す。なお、数値は2連の平均値を用いている。
【0047】
N23株が、ジオキサン存在下でも、TCEを分解できることが確認できた。また、N23株が、TCEとジオキサンとを同時に分解できることが確認できた。
【0048】
「実験8」
120ml容のバイアル瓶にN23株(菌体濃度:500mg-dry cell/L)、1,1,2-TCA(0.1mg/L、1mg/L、10mg/Lの3条件)、無機塩培地を合計で50mLとなるように添加した。また、それぞれについてN23株を含まないネガティブコントロールを調製した。その後、ブチルゴム栓で密栓し30℃、120rpmの条件で振盪しながら試験を行った(N=2)。
培養開始5日後にサンプリングを行い、溶液中の1,1,2-TCA濃度を測定した。
TCE濃度の経時変化を
図14に示す。なお、数値は2連の平均値を用いている。
【0049】
ネガティブコントロールでは、1,1,2-TCA濃度に変化はなかった(
図14A)。一方、N23株を加えた系では、初期1,1,2-TCA添加濃度0.1mg/L、1mg/Lでは、5日目までに検出下限値以下まで減少し、初期1,1,2-TCA濃度10mg/Lの系でも、減少傾向が確認できた(
図14B)。
【0050】
「実験9」
120ml容のバイアル瓶にN23株(菌体濃度:500mg-dry cell/L)、1,4-ジオキサン(10mg/L)、1,1,2-TCE(0.1mg/L、1mg/L、10mg/Lの3条件)、無機塩培地を合計で50mLとなるように添加した。その後、ブチルゴム栓で密栓し30℃、120rpmの条件で振盪しながら試験を行った。条件は、1)N23株無し(ネガティブコントロール)、2)N23株ありの2条件を作成した。各条件、2連で試験を行い、1,4-ジオキサン、1,1,2-TCA濃度を測定した。
【0051】
培養開始1日後、2日後、5日後、7日後にサンプリングを行い、溶液中の1,4-ジオキサン、1,1,2-TCAの濃度を測定した。
各条件の1,4-ジオキサン濃度及び1,1,2-TCA濃度の経時変化を、それぞれ
図15、16に示す。なお、数値は2連の平均値を用いている。
【0052】
ネガティブコントロールではいずれの物質も濃度変化はなかった(
図15A、
図16A)。
N23株を添加した系は、1,1,2-TCAの初期濃度0.1mg/L、1mg/Lの条件では、1,4-ジオキサン、1,1,2-TCAともに3日目までに検出下限値まで減少した。1,1,2-TCAの初期濃度10mg/Lの条件では、1,4-ジオキサンは7日目までに検出下限値まで減少した。一方、1,1,2-TCAは7日目時点においても高い濃度で残存したが、ネガティブコントロールと比較して減少傾向が確認できた(
図15B、
図16B)。