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特許7190984光重合可能な物質のステレオリソグラフィ固化による成形本体の層ごとの構築
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】光重合可能な物質のステレオリソグラフィ固化による成形本体の層ごとの構築
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20221209BHJP
   B29C 64/129 20170101ALI20221209BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20221209BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20221209BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20221209BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/129
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019139542
(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公開番号】P2020029093
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-11-15
(31)【優先権主張番号】18190700.7
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501151539
【氏名又は名称】イフォクレール ヴィヴァデント アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Ivoclar Vivadent AG
【住所又は居所原語表記】Bendererstr.2 FL-9494 Schaan Liechtenstein
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】イエルク エーベルト
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ガイスビューラー
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-298989(JP,A)
【文献】特開2008-096500(JP,A)
【文献】特開2018-051950(JP,A)
【文献】特開平09-141747(JP,A)
【文献】特開2004-258666(JP,A)
【文献】特表2017-524563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続層における光重合可能な物質のステレオリソグラフィ固化による成形本体の層ごとの構築のための方法であって、前記層ごとの構築は、各層のために予め規定された層輪郭を有する露光領域内での露光のために露光ユニットを利用し、
前記露光ユニットは、所定の露光フィールドにおいて複数の画素を露光するために構成されており、前記露光ユニットは、複数の画素を選択的に露光するように制御ユニットによって制御されることによって露光を行うように構成されており、前記複数の画素は、各それぞれの層のための前記予め規定された層輪郭を有する前記露光領域を集合的に規定し、
前記露光ユニットは、ゼロ~最大強度の間で調節可能な露光強度で各画素のための露光光を発生させるように前記制御ユニットによって制御可能であるように構成されており、前記露光光は、関連付けられた画素に結像オプティクスによって投射され、
前記制御ユニットは、前記露光ユニットを制御する場合、先だって決定された均質化係数を使用し、
各画素は、先だって決定される均質化係数に関連付けられており、それによって、露光光を発生させるために、各それぞれの画素に関連付けられた前記均質化係数で乗算された均一な基本強度によって決定された各画素のための露光強度が使用されると、各画素のために実際にもたらされる強度は、前記露光フィールドにおける位置とは無関係に各画素に対して同じであり、
露光領域を露光する前に、前記制御ユニットは、前記露光ユニットの最大強度と現在の露光領域に存在する最大露光強度との間の比率として明度調整係数を決定し、前記露光ユニットを制御するために、それぞれの露光領域を露光するための前記明度調整係数で乗算された前記露光強度を使用することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記明度調整係数を使用しない露光のための前記露光領域における層の固化に必要とされるであろう露光時間が、前記明度調整係数で除算され、前記除算された露光時間を使用する前記露光領域の短縮された露光が行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記明度調整係数を使用しない露光領域における層の固化に必要とされるであろう前記露光ユニットの光源の強度が、前記露光領域の露光を前記光源の低減した強度で行うために、前記明度調整係数で除算することによって低減させられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
露光領域の露光を行う前に、前記露光領域の画像は、所定の変換マトリクスを使用して、前記露光ユニットを制御するために利用される予歪みした画像に変換され、前記所定の変換マトリクスは、前記露光ユニットの前記結像オプティクスの結像歪みに対して逆である変換を行い、それによって、前記露光領域の画像の予歪みが、前記露光領域上への前記露光ユニットの結像によって反転され、それによってキャンセルされることを特徴とする、請求項1~3のいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の方法を行うためのデバイスであって、前記デバイスは、制御ユニット(10,20,30,40)によって規定される輪郭を有する露光領域を露光するための露光ユニットを含み、
前記露光ユニットは、所定の露光フィールドを集合的に覆う複数の画素を露光するために構成されており、前記露光ユニットは、前記制御ユニットの制御下で、それぞれ規定された層輪郭を有する露光領域を一緒に規定する複数の画素を選択的に露光することによって、前記露光フィールド内の前記露光領域の露光を行うように配置されており、前記露光ユニットは、ゼロと最大強度との間で調節可能な露光強度で各画素のための露光光を発生させることが可能であり、前記露光光は、それぞれの画素に前記露光ユニットの投射オプティクス(74)によって投射され、
前記制御ユニット(10,20,30,40)は、露光されるべき層の露光領域を規定するデータを使用して、固化されるべき層のそれぞれの露光領域を一緒に規定する複数の画素を選択的に活性にするために前記露光ユニットを制御し、所定の均質化係数を利用することによって前記露光ユニットを制御するために配置されており、各画素は、均質化係数に関連付けられており、前記均質化係数は、露光光を発生させるために、それぞれの画素に関連付けられた均質化係数で乗算された均一な基本強度によって決定される露光強度が各画素のために使用されると、露光の部位における実際に有効な強度は、前記露光フィールド内の位置とは無関係に各画素に対して等しい様式で予め決定されており、
前記制御ユニット(10,20,30,40)が、露光領域の各露光の前に、前記それぞれの露光領域における最大露光強度に対する前記露光ユニットの最大強度の比率として規定される明度調整係数を決定し、前記それぞれの露光領域の露光のために前記明度調整係数で乗算された前記露光強度を使用するようにさらに配置されていることを特徴とする、デバイス。
【請求項6】
前記露光ユニットは、光源(62)と空間光変調器(50)と前記光源(62)と前記空間光変調器との間の光学素子(64, 66, 68, 70, 72)と、前記空間光変調器と前記露光領域との間の投射オプティクス(74)とを含み、前記空間光変調器は、前記光源の光経路に位置しかつ前記制御ユニットによって制御され前記空間光変調器は、露光素子の二次元アレイを含み、各露光素子に対して、前記露光ユニットの露光フィールドにおける画素が割り当てられており、前記投射オプティクスは、前記空間光変調器(50)の画像を前記露光フィールド上に投射することを特徴とする、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記露光ユニットは、前記制御ユニット(10,20,30,40)および前記空間光変調器(50)を協働するように配置することによって、ゼロと最大強度との間で調節可能な露光強度で各画素のための露光光を発生させ得るように構成されており、それによって、それぞれの画素に関連付けられた前記空間光変調器の前記露光素子は、前記露光領域における前記それぞれの画素を露光するために、露光強度ゼロのための強度ゼロを有する光と、前記露光ユニットの最大露光強度における最大強度を有する光とを前記投射オプティクスに方向付けることを特徴とする、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記空間光変調器(50)は、アレイ状に配置されている複数のマイクロミラーアクチュエーターを有するマイクロビラーデバイスであるか、またはアレイ状に配置されている複数のディスプレイ素子を有する液晶ディスプレイであり、各マイクロミラーアクチュエーターまたは各ディスプレイ素子は、それぞれ、前記露光フィールドにおける画素に関連付けられていることを特徴とする、請求項6~のいずれかに記載のデバイス。
【請求項9】
前記光源(62)は、LED光源であり、前記LED光源の光は、断面において閉じられ、光路を形成するミラー付きの外側ガラス壁構造から構成されている光ミキシングバー(64)に方向付けられ、前記LED光源(62)から発せられた光は、前記ミラー付きの外側ガラス壁構造の内側表面上での多数の反射によって均質化され、前記光ミキシングバー(64)を離れる光は、投射光学素子(72)によって、マイクロミラーアクチュエーターを有するマイクロミラーデバイス上に方向付けられ、前記マイクロミラーデバイスの前記マイクロミラーアクチュエーターは、露光素子として、前記露光フィールドにおける前記関連付けられた画素または不活性領域に光を選択的に方向付け、それによって、後者の場合、前記マイクロミラーアクチュエーターに関連付けられた前記画素が、前記関連付けられたマイクロミラーアクチュエーターからの光を受け取らないことを特徴とする、請求項6~のいずれかに記載のデバイス。
【請求項10】
前記光ミキシングバー(64)によって発せられた光は、TIRプリズム(72)上に方向付けられ、TIRプリズム(72)は、前記LED光源(62)から発生し、前記光ミキシングバーにおいて均質化された光線を前記マイクロミラーデバイス上に方向付け、前記制御ユニットは、各マイクロミラーアクチュエーターを計時様式で周期的に傾けるために配置されており、それによって、各マイクロミラーアクチュエーターが、デューティーサイクルに従ってゼロと最大露光強度との間の露光強度で光を伝えることを特徴とする、請求項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記光ミキシングバー(64)と前記TIRプリズム(72)との間において、1つ以上の集光レンズおよび開口部(68)および1つ以上の焦点レンズ(70)が、この順序で位置し、前記露光領域に投射されるべき光は、前記TIRプリズム(72)上に方向付けられ、前記TIRプリズムを通過した後、前記露光フィールド上に前記マイクロミラーデバイスを投射する投射レンズ(74)を通過することを特徴とする、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記制御ユニットは、前記明度調整係数を使用しない露光領域における層の固化に必要とされるであろう露光時間を前記明度調整係数で除算するようにさらに配置されており、それによって、短縮された露光が行われることを特徴とする、請求項5~11のいずれかに記載のデバイス。
【請求項13】
前記制御ユニットは、露光時間中に露光領域における層を固化する場合、前記明度調整係数を使用しない露光に必要とされる強度を前記明度調整係数で除算することによって、前記露光ユニットの前記光源の強度を低減させるように配置されており、一方で、前記露光時間は、前記明度調整係数を使用しない露光と比較して、変化しないように維持されることを特徴とする、請求項6~11のいずれかに記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続層における光重合可能な物質のステレオリソグラフィ固化による成形本体の層ごとの構築のための方法に関し、層ごとの構築は、各層のために個々に予め規定された層輪郭を有する露光領域内での露光のために露光ユニットを利用し、露光ユニットは、所定の露光フィールドにおける複数の画素を露光するために構成され、制御ユニットによって制御され、画素を選択的に露光する露光を行ように構成され、画素は、各それぞれの層のために予め規定された層輪郭を有する露光領域を集合的に規定し、露光ユニットは、ゼロ~最大強度の間の調節可能な露光強度を有する各画素のための露光光を発生させるために、制御ユニットによって制御可能であるように構成され、その露光光は、結像オプティクスによって、関連付けられた画素に投射され、制御ユニットは、露光ユニットを制御する場合、先だって決定された均質化係数を使用し、各画素は、先だって決定された均質化係数に関連付けられ、それによって、露光光の発生のために、各それぞれの画素に関連付けられた均質化係数で乗算された均一な基本強度によって決定される露光強度が各画素のために使用されると、各画素のために実際にもたらされる強度は、露光フィールドにおける位置とは無関係に各画素のために同じである。
【背景技術】
【0002】
成形本体を構築する方法は、例えば、特に、液体の光重合可能な構成要素を含むセラミックスラリーからの歯科修復物の構築に関するWO 2010/045950 A1から公知である。この従来技術の方法では、構築プラットフォームは、透明であるタンクの底の上を垂直に移動可能に保持される。タンクの底の直ぐ下に、露光ユニットが位置する。構築プラットフォームは、構築プラットフォームとタンクの底との間に所望の層厚を有するただ1層のみが残るまで、スラリーの中へ最初に下げられる。次いで、この層は、所望の形状(規定された外側輪郭を有する1つ以上の別個の領域)で、露光ユニットによって露光され、それによって固化される。構築プラットフォームを上に持ち上げた後、スラリーが、周辺領域から再補充され、構築プラットフォームが、再び下げられ、下げることは、最後の硬化した層とタンクの底との間の距離が所望の厚みを有する層を規定するように制御される。最後のステップは、所望の三次元形状を有する成形本体が、それぞれに予め規定された輪郭を有する層の連続的固化によって構築されるまで、反復される。
【0003】
露光ユニットは、所定の露光フィールドにおける多数の画素を露光するために構成される。露光ユニットは、例えば、光源と、光源によって照射される活性表面を有する空間光変調器を含む。空間光変調器は、露光素子のアレイを含み、各露光素子は、露光ユニットの露光フィールドにおける画素に割り当てられる。空間光変調器は、例えば、いわゆるマイクロミラーデバイスであり得、このデバイスは、多数のマイクロミラーアクチュエーターがアレイ状に配置されたチップであることが公知である。各マイクロミラーアクチュエーターは、それぞれのマイクロミラーが光源から関連付けられた画素上に光を方向付ける露光位置と、露光フィールドにおける関連付けられた画素が関連付けられたマイクロミラーから光を受け取らないように、マイクロミラーが光源の光を不活性領域に逸らす暗い位置との間で切り替えるために、制御ユニットの制御下で個々にかつ選択的に制御され得る。マイクロミラーを各マイクロミラーのために選択的に予め規定されたデューティーサイクルを使用して言及された位置間で傾けることによって、関連付けられた画素のためにこのように生成された露光強度は、デューティーサイクルをそれに応じて設定することによって、平均強度として設定されることができる。空間光変調器の別の例は、光源によって照射されかつ多数の個々の露光素子(それらの各々は、露光ユニットの露光フィールドにおける画素に関連付けられる)のアレイに細分される液晶ディスプレイを含む。
【0004】
露光ユニットの露光素子のアレイは、結像対物レンズによって露光ユニットの露光フィールド上に投射される。露光フィールドは、多数の画素に分割され、露光フィールド内で、露光領域は、露光領域内の画素に関連付けられる露光素子を活性にすることによって露光され得る。代表的な成形本体の構築中の大部分の露光ステップのために、原則的に、露光ユニットによって照射され得る露光フィールド全体より実質的に小さな露光領域が実際には必要とされる。多くの場合、露光フィールドのかなり中心の部分が、露光領域として照射される。
【0005】
露光ユニットの各露光素子の露光強度は、各画素のために実際に生成された露光強度が関連付けられた露光素子をそれに応じて制御することによって設定され得るように、上で説明されるとおりの制御ユニットによって調節可能である。光源と露光ユニットの露光フィールドとの間の光学要素が露光ユニットの露光フィールドにおける全ての画素のために同じではない強度減衰を引き起こすが、それが露光フィールド内の位置に依存することが考慮に入れられなければならない。一般的な結像オプティクスに対して、強度減衰は、露光フィールドの中心領域において最低であり、強度減衰は、露光フィールドの中心からさらに離れるほど高く、露光フィールドの外側縁部において最大である。言い換えると、全ての画素のために、たとえ同じ露光強度が関連付けられた露光素子によって生成されるとしても、結像オプティクスの説明される不均質性は、関連付けられた画素における実際に有効な強度が露光フィールド上の位置に依存して変動しているという影響を有する。この点において、露光ユニットを先だって較正すること、およびいわゆる均質化係数のマトリクスを決定することは公知であり、各露光素子、および、従って露光ユニットの露光フィールドにおける各画素は、均質化係数に関連付けられ、すなわち、均質化係数のマトリクスの中の要素に関連付けられる。均質化係数は、均質化係数で乗算された均一な基本強度で露光素子を制御する場合、実際にもたらされる強度が露光フィールドにおける全ての画素のために同じであるように決定される。
【0006】
均質化係数は、例えば、各画素のために実際に有効な強度を測定することによって先だって決定され得る。各画素のために、それぞれの画素のための実際に有効な強度と露光フィールドにおける画素の最大強度との間の比率は、それぞれの画素に割り当てられ得る。均質化係数は、言及された強度比率の逆数として決定され、個々の画素に割り当てられる。これは、露光フィールドにおける最大強度を有する画素が、割り当てられた均質化係数1を有するのに対して、代表的には露光フィールドの縁部に近くかつ実際に有効な強度が結像オプティクスの減衰に起因してより小さい画素が、1より大きな均質化係数を有することを意味する。それによって、結像オプティクスによって引き起こされるそれぞれの画素への光経路における減衰が高いほど、均質化係数によって増大させられる、関連付けられた露光素子の本来生成された強度の増大によって補償される。
【0007】
本体のステレオリソグラフィ構築のために上で記載されるとおりの方法は、請求項1のプレアンブルのための基礎であるWO 96/00422 A1から公知である。方法は、例えば、結像オプティクスによって露光領域上に投射される640×480露光素子を含む空間光変調器(文書中ではプログラム可能なマスクと称される)を利用する。文書の表2Aでは、画素において実際に有効な強度は、11×11画素を有する露光フィールドの単純化した例のために示され、中心画素は、100の強度を有し、中心領域の外側で、特に縁部で有効な強度は、実質的に低い。11×11画素の角における最小強度は、9である。表2Bでは、相当する均質化係数(文書中では、スケーリング係数と称される)が列挙され、それらスケーリング係数は、中心で1.0の値、角で11.1の値、および残りの画素のための中間の値を有する。
【0008】
記載されるステレオリソグラフィ法の欠点は、たとえ実際の露光領域が露光フィールドの小さな小領域しか形成しないとしても、露光ユニットの露光フィールド全体が露光されるかのような様式で露光領域の露光が均質化されることである。これは、特に、露光フィールド内の中心領域にかなり制限される層領域を有するか、または露光フィールドの外側縁部における画素まで少なくとも拡がらない層に対する多くの構築ステップのために、不利である。このような中心露光領域の露光に関与する露光素子は、中心露光領域の均質化をもたらすために実質的な増幅を必要としないかまたは少なくとも必要としない。しかし、露光ユニットは、仮定として、縁部における画素が、高増幅(大きな均質化係数)を必要とする、同時に露光され得るような様式で制御されることから、仮定として、点において同じ実際に有効な強度をもたらすために、中心露光領域の画素に対する露光素子のダイナミックレンジは、有効な様式で活用されない。これは、中心露光領域に関連付けられた露光素子が、比較的低い増幅において動作させられ、従って比較的低い、従って、大部分では、1露光素子あたりの最大強度よりかなり低い絶対強度において動作させられるという事実に起因する。もっぱらまたは大部分は、1よりかなり大きいわけではない均質化係数を有する露光素子のみが利用されるこのような露光では、露光ユニットの能力は、このような露光領域に有効に利用されることができない。言い換えると、光源の光は、このような露光領域に有効に利用されない。なぜなら、常に、潜在的能力は、原則的に、非常に高い均質化係数を有する画素(縁部画素)も露光し得る準備ができた状態で維持されるからである。比較的低い均質化係数を有する露光領域において、これは、画素のために、例えば、パルス幅変調を伴うマイクロミラーデバイスが使用される場合、光源の光が、実質的な程度まで露光のために利用されず、不活性領域に逸らされなければならないことを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2010/045950号
【文献】国際公開第96/00422号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、露光ユニットの作業能力がより有効に活用されるような様式において、成形本体のステレオリソグラフィ構築法を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1の特徴を包含する方法によって達成される。好ましい実施形態は、請求項2~4に示される。本発明に従う方法を実施するためのデバイスは、請求項5に規定され、デバイスの好ましい実施形態は、請求項6~13に示される。
【0012】
本発明に従うステレオリソグラフィ構築法において、露光領域を露光する前に、明度調整係数を決定するための準備が行われる。ここで明度調整係数は、露光ユニットの最大強度と現在の露光領域における露光素子の最大強度との間の比率として定義される。露光領域における画素の露光強度は、明度調整係数で乗算され、このスケーリングの後、現在の露光領域を露光するための露光ユニットを制御するために使用される。このようにして、各露光領域の露光中、この特定の露光領域において、少なくとも1つの露光素子が露光ユニットの1露光素子あたり最大強度において動作させられることが担保される。これは、特に、露光ユニットの露光フィールドの中心に位置する露光領域のために、露光ユニットの作業能力は、実質的により効率的な様式で活用されることを意味する。
【0013】
4×3画素を含む露光フィールドの単純化した模式例が、図2に示される。1を含む4つの画素のグレーの影を付けた正方形を露光することが意図される。露光ユニットの露光素子は、1露光素子あたり0~最大強度255の間の8ビットスケールで強度を設定されるように制御可能である。図2の中央では、均質化係数のマトリクスが示される。代表的な結像オプティクスに対して通常であるように、中央領域の減衰は、縁部においてより低く、それは、縁部においてより高い均質化係数が存在することを意味する。露光されるべき正方形の中で均一な基本強度1を有する左側のマトリクスを均質化係数で乗算すると、右側に示される露光強度のマトリクスを生じる。認められ得るように、露光領域の露光素子における最大露光強度は、200である;1露光素子あたりの最大調節可能強度255は、従って、効率的に利用されない。この理由から、1露光素子あたりの最大露光強度255と現在の露光領域に存在する最大露光強度200との間の配分として定義される明度調整係数が、決定される:明度調整係数=255/200。この露光領域のための露光素子を制御するために使用される露光強度は、この露光領域のために、右下のマトリクスに示される露光強度が生じるように、この明度調整係数で乗算される。
【0014】
好ましい実施形態において、露光領域における露光のための明度調整係数によって増大した強度により、明度調整係数を使用しない露光において必要とされる露光時間は、露光時間にわたって積分された1露光素子あたりの強度が同じままであるように、露光時間を明度調整係数で除算することによって短縮される。このようにして、構築プロセスは加速される。
【0015】
さらに好ましい実施形態において、明度調整係数を使用しない露光領域における層を固化するために必要とされる強度は、光源の低減した強度で露光領域の露光を行うために、光源の強度を明度調整係数で除算することによって、露光ユニットの光源の強度を低減させることによって低減させられる。
【0016】
LED光源および空間光変調器としてのマイクロミラーデバイスを含む露光ユニットのために、本発明に従う方法は、LED光源の耐用年数を延ばし得る。これは、露光素子(個々のミラー)の強度を均質化するために、露光ユニットの露光フィールド全体が常に均質化されているわけではなく、現在露光されるべき層のための実際の露光領域の内部にある画素に関連付けられるそれら露光素子のみが考慮されるという事実に起因する。マイクロミラーデバイスに対して、均質化は、個々のミラーのデューティーサイクルの個々の設定を包含する。均質化することなしに、露光領域において最低の有効強度を有する画素(最も暗い画素)は、デューティーサイクル100%を得る(露光時間中は常にオン)。他の画素(より正確には、関連付けられた露光素子)は、最も暗い露光素子と比較して、それらの明るさの比率に相当するデューティーサイクルを割り当てられる(例えば、最も暗い露光素子の強度の150%を有する露光素子は、同じ平均強度を得るために、デューティーサイクル66%を割り当てられる)。LED光源の電圧印加を調節することによって、構築プロセスが一定の平均強度で行われるか、または構築プロセスが短縮された露光時間で、最大の処理速度で、LED光源の一定の電圧印加で行われるかのいずれかが、さらに担保され得る。
【0017】
均質化がローカルに実施されない場合、具体的には、現在露光されている露光領域に対して実施されず、従来技術のように全体的に露光フィールド全体に実施される場合、最も明るい露光素子と最も暗い露光素子との間の最大バリエーションが存在し、バリエーションは、補償されなければならない。この場合、相応してより多くの光が不活性のオフ経路に逸らされなければならず、「利用される光」の量は低減させられ、すなわち、効率が低減させられる。この理由から、LED光源は、1露光サイクルあたりより強い時間効果を受ける。
【0018】
方法の好ましい実施形態において、露光領域の露光を行う前に、露光領域の画像が、所定の変換マトリクスを使用して、露光ユニットを制御するために利用される予歪みした画像に変換されるという準備が行われる。ここで所定の変換マトリクスは、露光ユニットの結像オプティクスの結像歪みに対して逆である変換を行い、それによって、露光領域の画像の予歪みが、露光領域上への露光ユニットの投射によって反転され、かつそれによってキャンセルされる。
【0019】
本発明に従う方法を実施するためのデバイスは、以下を伴って提供される:
制御ユニットによって規定される輪郭を有する露光領域を露光するための露光ユニットであって、露光ユニットは、所定の露光フィールドを集合的に覆う複数の画素を露光するために構成され、制御ユニットの制御下で、それぞれ規定された層輪郭を有する露光領域を一緒に規定する画素を選択的に露光することによって、露光フィールド内の露光領域の露光を行うように配置され、露光ユニットは、ゼロと最大強度との間で調節可能な露光強度で各画素のための露光光を発生させ得、露光光は、それぞれの画素に露光ユニットの結像オプティクスによって投射され、制御ユニットは、露光されるべき層の露光領域を規定するデータを使用して、固化されるべき層のそれぞれの露光領域を一緒に規定する画素を選択的に活性にするために露光ユニットを制御し、かつ所定の均質化係数を利用することによって露光ユニットを制御するために配置され、各画素は、均質化係数に関連付けられ、この均質化係数は、露光光を発生させるために、それぞれの画素に関連付けられた均質化係数で乗算された均一な基本強度によって決定される露光強度が各画素のために使用されると、露光の部位において実際に有効な強度が、露光フィールド内の位置とは無関係に各画素に対して等しいような様式で予め決定されており、
制御ユニットは、露光領域の各露光の前に、それぞれの露光領域における最大露光強度に対する露光ユニットの最大強度の比率として規定される明度調整係数を決定し、それぞれの露光領域の露光のために明度調整係数で乗算された露光強度を使用するためにさらに配置されることを特徴とする。
【0020】
デバイスの好ましい実施形態において、露光ユニットは、光源と、光源の光経路に位置し、制御ユニットによって制御される空間光変調器であって、空間光変調器は、露光素子の二次元アレイを含み、各露光素子に対して、露光ユニットの露光フィールドにおけるそれぞれの画素が割り当てられる、空間光変調器と、光源と空間光変調器との間の光学要素と、空間光変調器と露光領域との間の結像オプティクスとを含む。
【0021】
好ましい実施形態において、露光ユニットは、制御ユニットおよび空間光変調器を協働するように配置することによって、0と最大強度との間の硬化可能な露光強度で各画素のための露光光を発生させ得るように構成され、それによって、それぞれの画素に関連付けられた空間光変調器の露光素子は、露光領域におけるそれぞれの画素を露光するために、露光強度0に対する強度0を有する光と、露光ユニットの最大露光強度に対する最大強度を有する光とを結像オプティクスに方向付ける。
【0022】
好ましい実施形態において、制御ユニットは、明度調整係数の使用なしで露光領域における層を固化するために必要とされるであろう露光時間を分割するようにさらに配置される。
【0023】
好ましい実施形態において、制御ユニットは、露光領域における層を固化する場合、明度調整係数を使用しない露光に必要とされる強度を明度調整係数で除算することによって、露光ユニットの光源の強度を低減させるように配置され、一方で、露光時間は、明度調整係数を使用しない露光と比較して、変化しないように維持される。
【0024】
好ましい実施形態において、空間光変調器は、アレイ状に配置された複数のマイクロミラーアクチュエーターを有するマイクロミラーデバイスを含むか、またはアレイ状に配置された複数のディスプレイ素子を有する液晶ディスプレイを含み、各マイクロミラーアクチュエーターまたは各ディスプレイ素子は、それぞれ、露光フィールドにおけるそれぞれの画素に割り当てられる。
【0025】
好ましい実施形態において、光源はLED光源であり、LED光源から発せられる光は、例えば、断面において閉じられているミラー付きの外側ガラス壁構造から構成される光ミキシングバーに方向付けられ、LED光源から発せられた光は、ミラー付きガラス壁構造の内側表面上での多数の反射によって均質化され、光ミキシングバーから離れる光は、結像光学要素によって、マイクロミラーデバイス上に方向付けられ、マイクロミラーデバイスのマイクロミラーアクチュエーターは、露光素子として、露光フィールドにおける関連付けられた画素または不活性領域に光を選択的に方向付け、それによって、後者の場合、マイクロミラーアクチュエーターに関連付けられた画素は、関連付けられたマイクロミラーアクチュエーターからの光を受け取らない。
【0026】
好ましい実施形態において、光ミキシングバーによって発せられた光は、TIRプリズム上に方向付けられ、TIRプリズムは、LED光源から発生し、光ミキシングバーにおいて均質化された光線をマイクロミラーデバイス上に方向付ける、制御ユニットは、各マイクロミラーアクチュエーターを計時様式で周期的に傾けるように配置され、それによって、各マイクロミラーアクチュエーターは、各マイクロミラーアクチュエーターのデューティーサイクルに従って、0と最大露光強度との間の露光強度で光を伝える。
【0027】
好ましい実施形態において、1つ以上の集光レンズ、開口部および1つ以上の焦点レンズは、光ミキシングバーとTIRプリズムとの間にこの順序で位置し、それによって、露光領域に方向付けられるべきマイクロミラーデバイスからの光は、TIRプリズム上に方向付けられ、TIRプリズムを通過した後、露光フィールド上にマイクロミラーデバイスを投射する投射レンズを通過する。
本発明は、以下の項目をさらに提供する。
(項目1)
連続層における光重合可能な物質のステレオリソグラフィ固化による成形本体の層ごとの構築のための方法であって、前記層ごとの構築は、各層のために予め規定された層輪郭を有する露光領域内での露光のために露光ユニットを利用し、
前記露光ユニットは、所定の露光フィールドにおいて複数の画素を露光するために構成され、前記露光ユニットは、選択的に画素を露光するように制御ユニットによって制御されることによって露光を行うように構成され、前記画素は、各それぞれの層のための前記予め規定された層輪郭を有する前記露光領域を集合的に規定し、
前記露光ユニットは、ゼロ~最大強度の間で調節可能な露光強度で各画素のための露光光を発生させるように前記制御ユニットによって制御可能であるように構成され、前記露光光は、関連付けられた画素に結像オプティクスによって投射され、
前記制御ユニットは、前記露光ユニットを制御する場合、先だって決定された均質化係数を使用し、
各画素は、先だって決定される均質化係数に関連付けられ、それによって、露光光を発生させるために、各それぞれの画素に関連付けられた前記均質化係数で乗算された均一な基本強度によって決定された各画素のための露光強度が使用されると、各画素のために実際にもたらされる強度は、前記露光フィールドにおける位置とは無関係に各画素のために同じであり、
露光領域を露光する前に、前記制御ユニットは、前記露光ユニットの最大強度と現在の露光領域に存在する最大露光強度との間の比率として明度調整係数を決定し、前記露光ユニットを制御するために、それぞれの露光領域を露光するための前記明度調整係数で乗算された前記露光強度を使用することを特徴とする、方法。
(項目2)
前記明度調整係数を使用しない露光のための前記露光領域における層の固化に必要とされるであろう露光時間が、前記明度調整係数で除算され、前記除算された露光時間を使用する前記露光領域の短縮された露光が行われることを特徴とする、上記項目に記載の方法。
(項目3)
前記明度調整係数を使用しない露光領域における層の固化に必要とされるであろう前記露光ユニットの光源の強度が、前記露光領域の露光を前記光源の低減した強度で行うために、前記明度調整係数で除算することによって低減させられることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目4)
露光領域の露光を行う前に、前記露光領域の画像は、所定の変換マトリクスを使用して、前記露光ユニットを制御するために利用される予歪みした画像に変換され、前記所定の変換マトリクスは、前記露光ユニットの前記結像オプティクスの結像歪みに対して逆である変換を行い、それによって、前記露光領域の画像の予歪みが、前記露光領域上への前記露光ユニットの結像によって反転され、それによってキャンセルされることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
上記項目のいずれか一項の方法を行うためのデバイスであって、前記デバイスは、制御ユニット(10,20,30,40)によって規定される輪郭を有する露光領域を露光するための露光ユニットを含み、
前記露光ユニットは、所定の露光フィールドを集合的に覆う複数の画素を露光するために構成され、前記制御ユニットの制御下で、それぞれ規定された層輪郭を有する露光領域を一緒に規定する画素を選択的に露光することによって、前記露光フィールド内の前記露光領域の露光を行うように配置され、前記露光ユニットは、ゼロと最大強度との間で調節可能な露光強度で各画素のための露光光を発生させることが可能であり、その露光光は、それぞれの画素に前記露光ユニットの投射オプティクス(74)によって投射され、
前記制御ユニット(10,20,30,40)は、露光されるべき層の露光領域を規定するデータを使用して、固化されるべき層のそれぞれの露光領域を一緒に規定する画素を選択的に活性にするために前記露光ユニットを制御し、所定の均質化係数を利用することによって前記露光ユニットを制御するために配置され、各画素は、均質化係数に関連付けられ、前記均質化係数は、露光光を発生させるために、それぞれの画素に関連付けられた均質化係数で乗算された均一な基本強度によって決定される露光強度が各画素のために使用されると、露光の部位における実際に有効な強度は、前記露光フィールド内の位置とは無関係に各画素に対して等しい様式で予め決定されており、
前記制御ユニット(10,20,30,40)が、露光領域の各露光の前に、前記それぞれの露光領域における最大露光強度に対する前記露光ユニットの最大強の比率として規定される明度調整係数を決定し、前記それぞれの露光領域の露光のために前記明度調整係数で乗算された前記露光強度を使用するようにさらに配置されていることを特徴とする、デバイス。
(項目6)
前記露光ユニットは、光源(62)と、前記光源の光経路に位置しかつ前記制御ユニットによって制御される空間光変調器(50)であって、前記空間光変調器は、露光素子の二次元アレイを含み、各露光素子に対して、前記露光ユニットの露光フィールドにおける画素が割り当てられている、空間光変調器と、前記光源(62)と前記空間光変調器との間の光学素子(64, 66, 68, 70, 72)、および前記空間光変調器と前記露光領域との間の投射オプティクス(74)とを含み、前記投射オプティクスは、前記空間光変調器(50)の画像を前記露光フィールド上に投射することを特徴とする、上記項目に記載のデバイス。
(項目7)
前記露光ユニットは、前記制御ユニット(10,20,30,40)および前記空間光変調器(50)を協働するように配置することによって、ゼロと最大強度との間で調節可能な露光強度で各画素のための露光光を発生させ得るように構成され、それによって、それぞれの画素に関連付けられた前記空間光変調器の前記露光素子は、前記露光領域における前記それぞれの画素を露光するために、露光強度ゼロのための強度ゼロを有する光と、前記露光ユニットの最大露光強度における最大強度を有する光とを前記投射オプティクスに方向付けることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目8)
前記制御ユニットは、前記明度調整係数を使用しない露光領域における層の固化に必要とされるであろう露光時間を前記明度調整係数で除算するようにさらに配置され、それによって、短縮された露光が行われることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目9)
前記制御ユニットは、露光領域における層を固化する場合、前記明度調整係数を使用しない露光に必要とされる強度を前記明度調整係数で除算することによって、前記露光ユニットの前記光源の強度を低減させるように配置され、一方で、前記露光時間は、前記明度調整係数を使用しない露光と比較して、変化しないように維持されることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目10)
前記空間光変調器(50)は、アレイ状に配置された複数のマイクロミラーアクチュエーターを有するマイクロビラーデバイスであるか、またはアレイ状に配置された複数のディスプレイ素子を有する液晶ディスプレイであり、各マイクロミラーアクチュエーターまたは各ディスプレイ素子は、それぞれ、前記露光フィールドにおける画素に関連付けられていることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目11)
前記光源(62)は、LED光源であり、前記LED光源の光は、断面において閉じられ、光路を形成するミラー付きの外側ガラス壁構造から構成された光ミキシングバー(64)に方向付けられ、前記LED光源(62)から発せられた光は、前記ミラー付きガラス壁構造の内側表面上での多数の反射によって均質化され、前記光ミキシングバー(64)を離れる光は、投射光学素子(72)によって、マイクロミラーデバイス上に方向付けられ、そのマイクロミラーデバイスのマイクロミラーアクチュエーターは、露光素子として、前記露光フィールドにおける前記関連付けられた画素または不活性領域に光を選択的に方向付け、それによって、後者の場合、前記マイクロミラーアクチュエーターに関連付けられた前記画素が、前記関連付けられたマイクロミラーアクチュエーターからの光を受け取らないことを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目12)
前記光ミキシングバー(64)によって発せられた光は、TIRプリズム(72)上に方向付けられ、TIRプリズム(72)は、前記LED光源(62)から発生し、前記光ミキシングバーにおいて均質化された光線を前記マイクロミラーデバイス上に方向付け、前記制御ユニットは、各マイクロミラーアクチュエーターを計時様式で周期的に傾けるために配置され、それによって、各マイクロミラーアクチュエーターが、デューティーサイクルに従ってゼロと最大露光強度との間の露光強度で光を伝えることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目13)
前記光ミキシングバー(64)と前記TIRプリズム(72)との間において、1つ以上の集光レンズ、開口部(68)および1つ以上の焦点レンズ(70)が、この順序で位置し、前記露光領域に投射されるべき光は、前記TIRプリズム(72)上に方向付けられ、前記TIRプリズムを通過した後、前記露光フィールド上に前記マイクロミラーデバイスを投射する投射レンズ(74)を通過することを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載のデバイス。
(摘要)
本発明は、各層のためのそれぞれ予め規定された層輪郭を有する予め規定された露光領域における露光ユニットによる露光による連続層におけるステレオリソグラフィによる成形本体の層ごとの構築のための方法に関し、露光ユニットは、所定の露光フィールドにおいて複数の画素を露光するために構成され、露光ユニットは、選択的に画素を露光するように制御ユニットによって制御されることによって露光を行うように構成され、画素は、予め規定された層輪郭を有する露光領域を集合的に規定し、露光ユニットは、0と最大強度との間の硬化可能な露光強度で各画素のための露光光を発生させるように制御ユニットによって制御可能であるように構成され、露光光は、露光ユニットの結像対物レンズ(74)によって、関連付けられた画素上に投射され、露光ユニットの制御において、決定されている所定の均質化係数が使用され、それによって、露光光を発生させるために、各それぞれの画素に関連付けられた均質化係数で乗算された均一な基本強度によって決定される露光強度が各画素のために使用される場合、各画素のために実際にもたらされる強度は、上記露光フィールドにおける位置とは無関係に、各画素のために同じであり、方法は、露光領域を露光する前に、制御ユニットが、上記露光ユニットの最大強度と現在の露光領域に存在する最大露光強度との間の比率として明度調整係数を決定し、露光ユニットを制御するために、それぞれの露光領域を露光するための明度調整係数で乗算された露光強度を使用することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明は、図面を参照しながら以下に記載される。
図1図1は、本発明に従う方法を実施するために適したデバイスを図示するブロック図を示す。
図2図2は、4×3画素を有する露光フィールドを表すマトリクスの単純化された表現を示し、実際の露光領域におけるローカル均質化を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明に従うステレオリソグラフィ構築法に使用される露光ユニットの模式的全体像と、層を選択的に露光するために露光ユニットを制御するために使用される構成要素とを示す。露光ユニットを制御するために使用されるボックスとして図1の上の部分に示される構成要素は、必ずしも別個のデータ処理ユニットではないが、以下に記載される機能を実施するために役立つソフトウェアモジュールであり得る。
【0030】
図1において、露光されるべき層の輪郭100は、星として象徴的に示される。この点について、本発明の意味において露光されるべき層の「輪郭(contour)」が単一の連続した領域である必要はなく、隣同士に配置された、いくつかの別個の領域部分を含むこともあることが注意されなければならない。露光されるべき層のデータモデルは、先だってメモリの中に記憶されるか、または連続して供給される。露光されるべき層輪郭100のデータは、任意の画像データフォーマット、例えば、PNGデータフォーマットにおいて存在し得る。露光されるべき層の輪郭100のデータは、PNGデコーダー10において、各場合において、1画素あたり1ビット(黒/白)を含むビットマップに変換される。次いで、露光されるべき層の輪郭100のビットマップは、均質化モジュール20において変換され、それによって、露光領域において、本来「白」のビットは、次いで、同じ(「白」)強度を実際に有し、本来「黒」のビットは、実際に暗く、すなわち、避けられない光の散乱によって引き起こされる最小限の残余強度のみを有する。露光ユニットの露光フィールドにおける各画素に対して均質化係数が割り当てられ、均質化係数は、関連付けられた露光素子の強度を制御し、それによって、この露光素子は、次いで、結像オプティクスによる結像後、露光フィールド全体にわたる画素の均質な露光をもたらすような強度を提供する。
【0031】
均質化のプロセスは、図2に図示される。図2は、4×3画素のみの露光フィールドを有する露光ユニットに対する大きく単純化した例を示す(例えば、マイクロミラーデバイスを含む露光ユニットは、代表的には、約10画素を有する)。図2は、左側に、4×3マトリクスとして、PNGデコーダー10によって供給されるビットマップを示す。露光フィールド内の露光領域は、露光されるべき4つの画素の正方形を含み、4つの画素は、ビット値1を有する。
【0032】
図2の中央に、均質化係数の4×3マトリクスが示される。露光ユニットにおいて、露光フィールドの各画素に対して、結像オプティクスを通して関連付けられた画素に光を投射する露光素子が割り当てられる。図2の例では、各露光素子は、0~255の露光強度によって示され得る、8ビットスケールで調節可能な強度で動作させられ得ることが想定される。結像オプティクスが、露光強度を露光フィールド全体にわたって均質に投影しないので、露光フィールド全体にわたって均質な露光強度を達成するために、結像オプティクスを通る過程にある光がより著しく減衰させられるそれらの画素は、より顕著な減衰に対して反比例するより高い平均露光強度を供給されなければならない。図2の例では、角に位置する画素は、全ての露光素子が同じ露光強度を提供する場合、最低の有効露光強度を受け取る。均質化係数は、全ての露光素子が露光フィールドにわたって均質な露光強度を供給する場合、画素の有効露光強度に反比例する。従って、露光フィールドの角における画素に割り当てられている均質化係数は、最高の均質化係数255(関連付けられた露光素子の最高の露光強度)を有するのに対し、2つの中心画素は、低い均質化係数180を有する。
【0033】
2×2画素の二次の露光領域を表す左側のマトリクスは、露光されるべき画素に割り当てられた露光素子を制御するための基礎を形成する右側のマトリクスを得るために、均質化マトリクスの係数で乗算される。従来技術では、このように均質化された露光強度が、関連付けられた露光素子を制御するために使用された。大抵の場合、露光領域は、むしろ露光フィールドの中心にあるかまたは中心に近く、均質化係数は、露光フィールドの外側縁部におけるより小さい。本発明によれば、実際に露光されるべき露光領域の露光強度は、露光領域内の画素に割り当てられる少なくとも1つの露光素子が、1露光素子あたりの最高の可能な露光強度を有するような様式で、共通の因子によって調整される。図2の例では、これは、右上にあるマトリクスにおける露光素子の露光強度が、実際の露光領域に存在する露光素子の最大露光強度(例で示されるのは、200)に対する1露光素子あたりの可能な最大露光強度(すなわち、255)の比率として規定される明度調整係数(brightening factor)で乗算されることを意味する(明度調整係数=255/200)。2×2画素の二次の露光領域を露光するために露光素子を制御するために使用される露光強度の得られるマトリクスは、図2の右下にあるマトリクスに示される。
【0034】
均質化が均質化モジュールにおいて行われた後、得られたビットマップは、8ビットグレー値ビットマップとして、歪み補正モジュール30に供給される。このモジュールにおいて、均質化モジュール20からの均質化した画像は、例えば、xおよびy変換マトリクスによって、結像ユニットの結像オプティクスによって引き起こされる歪みが補償されるような様式で、先だって決定されている予歪み座標系に変換される。例示的な歪み補正方法は、EP 1 048 441 B1およびUS 2001/0048184 A1(特に、図8に付随する説明)に記載される。
【0035】
歪み補正モジュール30のグレー値ビットマップ出力は、次いで、空間光変調器(デジタル光プロセッサ)50、例えば、マイクロミラーデバイスを制御するDLP制御器に伝送される。
【0036】
均質化係数の決定において、次の歪み補正の変換は、均質化および歪み補正の組み合わせの効果が露光フィールドにわたって画素の均質な強度を生じるように、考慮に入れられる。
【0037】
露光ユニットは、LEDドライバー60によって制御されるLED光源62を含む。LED光源の強度は、LEDドライバー60に繋がる外部ラインによって示される制御シグナルを提供する上位制御器によって予め設定され得る。さらに、均質化モジュール20とLEDドライバー60との間にライン6を介した接続が存在する。一実施形態によれば、これは、明度調整係数に従ってLED光源の強度を低減させることを可能にする(明度調整係数で除算することによる)。なぜなら、露光強度に明度調整係数(≧1)を乗算することによって、露光時間が一定に維持される場合、各画素に対する所望のエネルギー線量が、LED光源の低い強度を使用して達成されることができ;LED光源の強度の低減が、耐用年数を増大させるからである。
【0038】
ライン8は、露光時間をDLP制御器40に伝えるために役立つ。しかし、図2に示されるように、一実施形態において、明度調整係数に従って露光時間を低減させ、それによって、露光時間にわたって積分された露光強度を一定に維持することを可能にするために、均質化モジュール20とDLP制御器40(DLP:デジタル光プロセッサ)との間の通信接続が存在することも可能である。
【0039】
LED光源62によって発せられた光は、中空の光ミキシングバー64を最初に通過する。この光ミキシングバー64は、ミラー付きガラス壁構造によって形成される閉じた側面を有し、それは、例えば、矩形断面を有し、露光フィールドの辺長比(side ratio)に適合される。ガラス壁構造は、例えば、いくつかのミラー付きのガラスプレートから形成され得る。
【0040】
光ミキシングバー64は、LED光源62によって発せられる光の大部分を受け取り、光ミキシングバー64に沿ったミラー付き表面上での多数反射によって光を均質化する。
【0041】
光ミキシングバー64に、集光レンズ66、開口部68および焦点レンズ70が続く。その後、光は、TIRプリズム72(TIR:全内反射)に達する。TIRプリズム72は、狭いエアギャップによって分離された2つのプリズム部分を含む。TIRプリズム72は、狭いエアギャップに面するプリズム表面上での全内反射を利用することによって、前に焦点レンズ70を通過した露光光線を空間光変調器50上に逸らす。全内部反射は、エアギャップに面しているプリズム表面への臨界角まで全ての平らな入射角に対して起こる。空間光変調器50(例えば、マイクロミラーデバイス)によって反射される光は、エアギャップに面しているプリズム表面を通過する。なぜなら、反射した光の入射する角度が、臨界角を上回るからである。
【0042】
TIRプリズム72および空間光変調器50の後、露光光線は、空間光変調器50の活性表面を露光ユニットの露光フィールド上に投射する結像対物レンズ74を通過する。
図1
図2