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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】情報処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01V 1/00 20060101AFI20221209BHJP
   G08B 21/10 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
G01V1/00 D
G08B21/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019143642
(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公開番号】P2021025870
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】中里 直人
(72)【発明者】
【氏名】穴太 聖哉
(72)【発明者】
【氏名】平賀 優介
(72)【発明者】
【氏名】森畑 崇
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 博久
(72)【発明者】
【氏名】久米村 秀明
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-134413(JP,A)
【文献】特開2007-155347(JP,A)
【文献】特開2018-205176(JP,A)
【文献】特開2018-189617(JP,A)
【文献】特開2005-99490(JP,A)
【文献】特開2017-150193(JP,A)
【文献】特開平11-84017(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0115384(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00-15/00;99/00
G08B 21/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置位置の振動を検知する感震センサの出力情報を取得する取得手段と、
前記出力情報又は当該出力情報を処理して生成した情報を、地震動情報として前記感震センサに対応する地図上の位置に表示させる場合に、地図上に表示されている管路の位置には当該地震動情報を表示させる一方で、当該管路以外の位置には当該地震動情報を表示させないように制御する表示制御手段と
を有する情報処理システム。
【請求項2】
地図上に表示される前記管路の指定を受け付ける受付手段を更に有する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記感震センサの設置位置が前記管路から予め定めた距離以内である場合、当該感震センサに対応する前記地震動情報を表示の対象に加える、請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記予め定めた距離の指定を受け付ける第2の受付手段を更に有する、請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記管路から前記予め定めた距離以内に位置する前記感震センサに対応する前記地震動情報を表示する領域の指定を受け付ける第3の受付手段を更に有する、請求項3又は4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
コンピュータに、
設置位置の振動を検知する感震センサの出力情報を取得する機能と、
前記出力情報又は当該出力情報を処理して生成した情報を、地震動情報として前記感震センサに対応する地図上の位置に表示させる場合に、地図上に表示されている管路の位置には当該地震動情報を表示させる一方で、当該管路以外の位置には当該地震動情報を表示させないように制御させる機能と
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、地震時の加速度を検出するために建物の複数の階に設置された複数の加速度センサと、建物内で複数の加速度センサからの検出データを受け取って分析し、その分析結果を送信するとともに、記録する記録部と、前記記録部から送信された分析結果を表示する表示器と、を有し、記録部は、各階の震度と、CPU内に有する診断アルゴリズムに基づいて建物の被災評価を演算し、その結果を表示器に送信する建物診断モニタリングシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-254239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、小型かつ安価でありながら通信機能を備え、電池により約10年に亘る動作が可能な感震センサの開発が進められている。この種の感震センサは、本体コストが安いだけでなく、設置や保守に要するコストも少なく済む。
このため、感震センサの設置場所は、今後飛躍的に増加すると予想される。換言すると、地震動に関する情報(以下「地震動情報」という)を出力する感震センサを、今まで以上に高密度で設置できるようになる。すなわち、地震動情報を点ではなく面として取得できるようになる。
【0005】
測定値が高い密度で得られることで、地盤の構造やガス管に被害が出ている箇所を高い確率で推定することが可能になる。一方で、測定点の高密度化は、画面上に震度を表示する場合に視認性を低下させる可能性がある。
例えばユーザがガス管に注目している場合に、ガス管の設置場所とは異なる地点の地震動情報が多数表示される場合である。この場合、注目するガス管の設置場所に対応する地震動情報の視認性が、周辺に表示される地震動情報によって低下してしまうことが起こり得る。
なお、対策の1つとして、地震動情報の表示数を間引くことが考えられるが、表示数を単純に間引いたのでは、ガス管の設置場所に対応する地震動情報も間引かれる可能性があり、好ましくない。
【0006】
本発明は、地震動情報の表示価値を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、設置位置の振動を検知する感震センサの出力情報を取得する取得手段と、前記出力情報又は当該出力情報を処理して生成した情報を、地震動情報として前記感震センサに対応する地図上の位置に表示させる場合に、地図上に表示されている管路の位置には当該地震動情報を表示させる一方で、当該管路以外の位置には当該地震動情報を表示させないように制御する表示制御手段とを有する情報処理システムである。
請求項2に記載の発明は、地図上に表示される前記管路の指定を受け付ける受付手段を更に有する、請求項1に記載の情報処理システムである。
請求項3に記載の発明は、前記表示制御手段は、前記感震センサの設置位置が前記管路から予め定めた距離以内である場合、当該感震センサに対応する前記地震動情報を表示の対象に加える、請求項1又は2に記載の情報処理システムである。
請求項4に記載の発明は、前記予め定めた距離の指定を受け付ける第2の受付手段を更に有する、請求項3に記載の情報処理システムである。
請求項5に記載の発明は、前記管路から前記予め定めた距離以内に位置する前記感震センサに対応する前記地震動情報を表示する領域の指定を受け付ける第3の受付手段を更に有する、請求項3又は4に記載の情報処理システムである。
請求項6に記載の発明は、コンピュータに、設置位置の振動を検知する感震センサの出力情報を取得する機能と、前記出力情報又は当該出力情報を処理して生成した情報を、地震動情報として前記感震センサに対応する地図上の位置に表示させる場合に、地図上に表示されている管路の位置には当該地震動情報を表示させる一方で、当該管路以外の位置には当該地震動情報を表示させないように制御させる機能とを実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、地震動情報の表示価値を高めることができる。
請求項2記載の発明によれば、管路の指定により表示される地震動情報を変更できる。
請求項3記載の発明によれば、指定された管路上に設置されている感震センサの数が少ない場合には表示量を増やすことができる。
請求項4記載の発明によれば、距離の指定の増減により表示量を調整することができる。
請求項5記載の発明によれば、領域を指定して表示量を調整することができる。
請求項6記載の発明によれば、地震動情報の表示価値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1で用いる地震動情報提供システムの構成例を説明する図である。
図2】実施の形態1で用いる地震動情報提供システムの処理動作例を説明する図である。
図3】指定された地域内に設置されている感震センサを測定点とする震度を表示する画面の例を示す図である。
図4】指定された管路と重なる位置に設置されている感震センサを測定点とする震度の表示画面の例を示す図である。
図5】指定された管路と重なる位置に設置されている感震センサを測定点とする震度の表示画面の他の例を示す図である。
図6】指定された管路と重なるとみなされる位置に設置されている感震センサを測定点とする震度の表示画面の例を示す図である。
図7】指定された管路と重なるとみなされる位置に設置されている感震センサを測定点とする震度の表示画面の他の例を示す図である。
図8】実施の形態2で用いる地震動情報提供システムの構成例を説明する図である。
図9】実施の形態2で用いる地震動情報提供システムの処理動作例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
<実施の形態1>
<システムの全体構成>
図1は、実施の形態1で用いる地震動情報提供システム1の構成例を説明する図である。
地震動情報提供システム1は、複数の感震センサ10と、サーバ20と、端末30と、これらを接続するインターネット40とで構成される。
【0011】
<感震センサ10>
本実施の形態で使用する感震センサ10は、MEMS(=Micro Electro Mechanical System)型の加速度センサと、電池と、メモリと、通信モジュールを含み、SI(=Spectral Intensity)値等の地震動情報を出力する。地震動情報は出力情報の一例である。
以下、実施の形態で使用する感震センサ10を、MEMS型センサともいう。
【0012】
SI値は、速度応答スペクトルを、固有周期が0.1秒から2.5秒で、減衰定数が20%の構造物に対して平均化した値として計算される。SI値は、構造物に対する破壊エネルギーの大きさに相当し、計測震度との相関が高いことが知られている。このため、SI値は、震度相当値とも呼ばれる。
本実施の形態で使用するMEMS型の加速度センサは、計測されたゆれ速度の最大値(すなわち速度応答スペクトル)からSI値を計算する機能と、計算されたSI値等を数回分記憶するメモリとを有している。なお、加速度センサの出力には、例えば水平2軸の合成加速度の最大値、各軸方向の最大加速度、応答速度、地震発生時刻、加速度値の生データ等が含まれる。これらの出力も地震動情報の一例である。
【0013】
MEMS型センサは、地震に伴うゆれが測定されない期間は待機状態にあり、この動作条件により待機電力を抑制し、長期間の運用を可能にしている。なお、MEMS型センサは、予め定めた大きさのSI値が計算される地震動が測定された場合に限り、地震動情報の送信を実行する。本実施の形態の場合、震度4相当以上のSI値の算出を送信条件とする。このため、MEMS型センサは、設置される場所によっては、電池の交換なしに10年以上の使用が可能である。
なお、MEMS型センサには、サーバ20等からの要求に従って、メモリに蓄積されている地震動情報を送信する機能も設けられている。メモリには、直近の地震動だけでなく、過去複数回の地震動の情報の記憶が可能である。地震の直後は、大量のデータがインターネット40に一度に流れ込むこと等に起因して通信のやり直しが発生する可能性があるためである。
【0014】
また、MEMS型センサは、直接通信により又はマルチホップ通信によりインターネット40に接続される。インターネット40との接続には、例えばPHS(=Personal Handy-phone System)、第3世代移動通信システム、LTE(=Long Term Evolution)等の第4世代移動通信システム、第5世代移動通信システムを使用する。
MEMS型センサは、電池で動作する。このため、MEMS型センサの設置に際して電源工事は必要なく、管理負担も少なく済む。結果として、MEMS型センサの設置に関する制約が、いわゆる地震計に比して少なく済む。
【0015】
MEMS型センサは、ガスの消費量を計測するガスメータ、ガス圧の調整や地区単位でのガスの供給を管理するガス圧調整器(いわゆる地区ガバナ)の他、契約者による電力の消費量を計測する電力メータ、電圧の変換や電気の供給経路の切り替えに用いる地上設備、ガス管、電線を収容する管(以下「電線管」ともいう)、光ファイバ等の通信線を収容する管(以下「通信管」ともいう)、上水道や下水道の管(以下「水道管」ともいう)等の各管路に対応する地面やその近傍、これらの一部又は全部を収容する共同溝にも設置される。ガス管、電線管、通信管、水道管、共同溝は、管路の一例である。MEMS型センサは、前述した地点に限らず、建物、橋梁、車道、歩道、側溝、マンホール、トンネル、堤防、土手、崖、縁石、植え込み、地下街、連絡通路、案内板等への設置も可能である。
【0016】
このように、MEMS型センサは、従来型の地震計では設置自体が困難な場所にも設置できる。
基本的に、MEMS型センサは地面に設置するが、壁面や柱等に取り付けることも可能である。ただし、地面以外に設置されたMEMS型センサから出力されるSI値等は、地面に設置される場合と異なる値になる。このため、地面以外に設置されたMEMS型センサが出力するSI値は、補正して使用する。補正処理は、MEMS型センサで行ってもよいし、サーバ20で行ってもよい。
【0017】
<サーバ20>
本実施の形態におけるサーバ20は、感震センサ10から出力されるSI値等の地震動情報を収集する機能と、収集されたSI値から算出された震度を含む情報を端末30の画面上に表示する機能とを有する。ここでのサーバ20は、情報処理システムの一例である。
図1に示すサーバ20は、コンピュータ21と、地震動DB(=Data Base)22と、地図DB23と、管路DB24と、センサ位置DB25とを有している。
コンピュータ21は、CPU(=Central Processing Unit)と、BIOS(=Basic Input Output System)等が記憶されたROM(=Read Only Memory)と、ワークエリアとして用いられるRAM(=Random Access Memory)と、基本プログラムやアプリケーションプログラムを記憶するハードディスク装置等を有している。
【0018】
コンピュータ21は、アプリケーションプログラムの実行を通じ、データ取得部211と、表示制御部212と、表示切替受付部213として機能する。
データ取得部211は、感震センサ10に対応するSI値等を地震動DB22から取得する機能に対応する。ここでのデータ取得部211は、取得手段の一例である。本実施の形態における感震センサ10は、識別番号等により管理されており、個々の感震センサ10から出力される地震動情報には識別番号等が含まれている。
感震センサ10の設置場所は、センサ位置DB25で管理されている。感震センサ10の設置場所は、例えば地番で管理してもよいし、緯度、経度、高度で管理してもよい。もっとも、感震センサ10の設置場所は、設置場所に対応する図面や地図上の地点として管理してもよい。
【0019】
表示制御部212は、端末30のディスプレイに震度等の情報を表示する機能に対応する。震度は、SI値から算出が可能である。震度の算出には、表示制御部212や不図示の演算部が用いられる。なお、端末30に表示する情報の内容は、端末30から受け付ける。表示制御部212は、表示制御手段の一例である。
【0020】
表示切替受付部213は、端末30のディスプレイに表示する情報の指示や切り替えを受け付ける機能に対応する。表示切替受付部213には、端末30を通じてディスプレイに表示する地域の指定を受け付ける機能と、震度等の表示の方法を受け付ける機能とが設けられている。
本実施の形態の場合、震度等の表示の方法には、指定された地域内に存在する全ての感震センサ10に対応する震度を表示する方法、ユーザの指定した種類の管路と設置位置が重なる感震センサ10に対応する震度を表示する方法がある。
【0021】
ここで、設置位置が管路と重なる感震センサ10には、物理的な位置が重なる場合だけでなく、管路との距離が予め定めた距離以内である感震センサ10を含めてもよい。
予め定めた距離は、サーバ20側で初期値として与えられてもよいが、端末30から指示できるようにしてもよい。予め定めた距離は、管路の表面又は中心軸を起点とする。本実施の形態の場合、予め定めた距離には、例えば50センチメートル、1メートルを使用する。言うまでもなく、これらの数値は一例であり、これらの数値に限る意図ではない。
【0022】
物理的な位置が重なるとみなす距離の設定は、端末30のディスプレイに表示される管路の全体に適用してもよいが、ユーザが指定する特定の領域に限定してもよい。
因みに、ここでの距離は、ユーザの指定とは関係がなく、端末30のディスプレイに表示される地図の縮尺に応じて自動的に変更されるようにしてもよい。例えば地図の縮尺が大きい場合には、管路上に重なるとみなす距離も小さくし、地図の縮尺が小さい場合には管路上に重なるとみなす距離を大きくしてもよい。ただし、距離が大きすぎると、管路の設置場所の震度を表示するという本来の目的を達成できない。そこで、地図の縮尺に応じて管路上に重なるとみなす距離を変更する場合には、距離の上限値を設けることが好ましい。この上限値もサーバ20が指定する距離を用いてもよいし、ユーザが指定する距離を用いてもよい。
ここでの表示切替受付部213は第2の受付手段の一例であると共に第3の受付手段の一例である。
【0023】
図1の場合、サーバ20内には、地震動DB22、地図DB23、管路DB24、センサ位置DB25の4つが設けられている。もっとも、DBの全て又は一部は、サーバ20の外部に存在してもよい。これらのDBは、例えばハードディスク装置で構成される。なお、地震動DB22、地図DB23、管路DB24、センサ位置DB25は、それぞれ独立したハードディスク装置に記憶されている必要はなく、1台のハードディスク装置の記憶領域に分散的に記憶されていてもよい。
本実施の形態の場合、地震動DB22には、インターネット40を通じて感震センサ10から収集された地震動情報が記憶される。各地震動情報には、測定元である感震センサ10の識別情報が含まれる。
【0024】
図DB23には、サーバ20が提供するサービスの提供範囲に対応する地図データが記憶される。
管路DB24には、管路の竣工図や完成図、付属する設備の台帳等が記憶される。なお、これらの図面等の全てが、サービスの提供者である事業者(以下「サービス事業者」という)が管理するシステムに記憶されている必要はない。例えば図面等の一部は、サービス事業者と資本や人的な関係が認められる事業者が管理するシステムから取得してもよいし、設置等の工事を行った事業者や工事の発注者が管理するシステムから取得してもよいし、地方自治体が管理するシステムから取得してもよい。
センサ位置DB25には、地震動情報を収集する感震センサ10の個別の識別情報と、設置場所を示す情報とが記憶されている。
【0025】
<端末30>
端末30は、サービスの利用者や提供者が操作するコンピュータである。図1では、ノート型のコンピュータを例示しているが、デスクトップ型のコンピュータでもよいし、タブレット型のコンピュータやスマートフォン等の携帯可能なコンピュータでもよい。
なお、図1では、説明の都合上、端末30を1台だけ表しているが、実際には複数台の端末30がインターネット40に接続されている。
【0026】
<処理動作>
図2は、実施の形態1で用いる地震動情報提供システム1の処理動作例を説明する図である。なお、図中に示すPは処理を意味する。
感震センサ10は、予め定めた震度以上の地震の発生をMEMS型の加速度センサを通じて検出すると、SI値等の地震動情報を地震動DB22に送信する(P1)。ここでの送信は、通信が可能になった感震センサ10がランダムに実行する。
なお、感震センサ10が設置されている場所の地質や地盤、設置先である構造物の強度等は一様でない。例えば軟弱地盤でも地盤改良されている場所では、地盤改良されていない場所に比べて震度が小さくなる可能性がある。また、盛土で造成された場所では、切土で造成された場所よりも震度が大きくなる可能性がある。また、地面に直接設置されている場合と共同溝等の構造物内に設置される場合とでは、計算される震度が異なる可能性がある。
【0027】
図2の場合、コンピュータ21は、地震の直後から地震動DB22に対してデータを要求し(P2)、その応答としてデータを取得する(P3)。取得されたデータは、不図示のハードディスク装置等に記憶される。なお、コンピュータ21から地震動DB22へのデータの要求は、例えばコンピュータ21に対する感震センサ10からの地震動情報の入力をトリガーとしてもよいし、地震動DB22からの地震動情報の収集の通知をトリガーとしてもよいし、外部装置からの地震の発生の通知をトリガーとしてもよい。また、コンピュータ21から地震動DB22へのデータの要求は、例えば地震の発生とは関係なく、一定間隔に常時行ってもよい。
この後、コンピュータ21は、端末30から震度を表示する地域と管路の指定を受信する(P4)。指定には、表示する地図の縮尺、表示する管路の種類、震度の表示に関する条件等が含まれる。
次に、コンピュータ21は、指定された地域と管路のデータを取得する(P5)。ここでのデータは、地図DB23や管路DB24から取得される。
続いて、コンピュータ21は、測定点が管路と重なる地震動情報を抽出し(P6)、抽出した震度を管路上にマッピングした地図を生成して端末30に送信する(P7)。
なお、端末30は、受信した地図をディスプレイに表示する。
【0028】
<画面例>
以下では、図3図7を使用して、端末30のディスプレイ31に表示される地震動情報の画面例を説明する。
図3は、指定された地域内に設置されている感震センサ10を測定点とする震度を表示する画面の例を示す図である。図中の丸付き数字は震度を表している。例えば丸付きの「4」は震度4を示している。なお、震度3以下に相当するSI値しか検知しなかった感震センサ10は、そもそもSI値等の地震動情報を出力していない。
【0029】
図3に示す画面は、表示する管路としてガス管が指定されている。このため、画面の右上隅に表示の対象であるガス管との文字が示されている。図3の場合、10メートル四方に1個以上の割合で感震センサ10が設置されている。この密度での設置は、MEMS型センサを用いることで可能になる。
ユーザは、ガス管と重なる測定点における震度に関心があるが、図3に示す画面の例では、ガス管以外の場所に設置された感震センサ10に対応する震度も表示されており、全体として視認性が悪い。特に、注目するガス管の管路と関係のない震度の表示が多いことで雑多感があり、視認性が低下している。
【0030】
図4は、指定された管路と重なる位置に設置されている感震センサ10を測定点とする震度の表示画面の例を示す図である。
図4の場合、震度が表示される測定点が、ガス管と重なる位置に設置されている感震センサ10に限られている。結果的に、震度の表示が見やすくなり、ガス管が設置されている場所の実際の震度を直接確認することが可能になる。
なお、MEMS型センサを用いない場合には、1キロメートル四方に1個程度しか測定点が存在しないので、ガス管が設置されている場所の震度は予測値でしかない。しかも、震度は地盤等の状況に依存する。また、地盤等の状況は一様ではあり得ない。このため、演算により求められる震度の推定値は信頼性が高くない。
これに対し、本実施の形態の場合には、ガス管に沿うように高い密度で測定された震度をそのまま表示できるので、推定値とは異なり、実際の震度に基づいた被害の状況の予測が容易になる。例えば復旧場所を絞り込む場合にも、震度6以上のゆれが測定された箇所のガス管を集中的に点検することが可能になる。
【0031】
図5は、指定された管路と重なる位置に設置されている感震センサ10を測定点とする震度の表示画面の他の例を示す図である。
図4の場合はガス管を表示の対象にしているが、図5は水道管を表示の対象にしている。図5の場合も、実際の水道管の管路と重なる位置に設置されている感震センサ10を測定点とする震度だけが表示されている。この表示は、水道管の設置場所で実際に測定された震度を表している。このため、水道管に被害が出ている可能性が高い場所の特定が容易になる。
表示の対象として他の管路、例えば電線管、通信管、共同溝等を指定すれば、各管路の設置場所の震度を容易に確認できる。
【0032】
ところで、感震センサ10の設置場所は、必ずしも管路と重なるとは限らない。例えば設置場所の制約等により、感震センサ10を必ずしも管路の直上に設置できるとは限らない。
この場合、指定された管路上に震度がほとんど表示できないことが起こり得る。また、より高い密度で震度を確認したい場合も起こり得る。
このような場合に備え、本実施の形態では、管路の位置と重なるものとみなすことが可能な範囲を指定することで、画面上の震度の表示を増やす機能が用意されている。
【0033】
図6は、指定された管路と重なるとみなされる位置に設置されている感震センサ10を測定点とする震度の表示画面の例を示す図である。図6も、ガス管を表示の対象としている。
図6の例では、ガス管に対して予め定めた距離以内に設置されている感震センサ10の震度の表示が追加されている。図6では、追加された震度の表示の一部を破線で囲んで示している。
前述したように、地盤の状況によってゆれの伝わり方に差が生じることがあるが、ガス管と重なるとみなす距離の範囲を指定することにより、現地に向かう前に被害の状況をある程度予測することが可能になる。なお、ガス管と重なるとみなす範囲は、数値として直接入力してもよいし、複数の選択肢の中から指定してもよい。
【0034】
この場合も、管路とは無関係に全ての測定点の震度を表示してしまうと、震度の表示の数が増えすぎ、かえって注目する管路について震度の確認が難しくなる可能性がある。しかし、本実施の形態のように、管路からユーザが指定した距離の範囲内に存在する感震センサ10を測定点とする震度だけを表示に加えることにより、注目する管路における震度の確認と視認性との両立が実現される。
なお、管路と重なる位置に設置されている感震センサ10と、管路と重なるとみなす位置に設置されている感震センサ10とで、表示される震度の表示の仕方に差を設けてもよい。例えば表示色、表示のサイズ、表示上の前後関係を変更してもよい。
【0035】
基本的には、管路と重なる位置に対応する震度が目立つように表示し、管路と重なるとみなされる位置に対応する震度はサブ的な表示としてもよい。
例えば管路と重なる位置に対応する震度を手前側に表示し、管路と重なるとみなす位置に対応する震度は奥側に表示してもよい。
また例えば管路と重なる位置に対応する震度の表示サイズを、管路と重なるとみなす位置に対応する震度の表示サイズより大きくしてもよい。
また例えば管路と重なる位置に対応する震度の表示色を、管路と重なるとみなす位置に対応する震度の表示色よりも目立つ色や輝度で表示してもよい。色の変更は文字だけでもよいし、文字を含むマークの全体を対象としてもよい。
また、管路と重なるとみなす位置でも管路からの距離に応じて表示を変更してもよい。
【0036】
ところで、ガス管と重なるとみなす範囲の指定による震度の表示の追加は、画面全体ではなく、ユーザが指定するガス管の一部の領域だけに限定してもよい。なお、領域の指定は、2次元方向に限らず、3次元方向を含めてもよい。
図7は、指定された管路と重なるとみなされる位置に設置されている感震センサ10を測定点とする震度の表示画面の他の例を示す図である。図7では、破線で囲んだ部分にだけ震度の表示が追加されている。この領域の指定により、ユーザは、注目する管路に関するより多くの情報を確認することが可能になる。
なお、図7の例では、領域の指定が1箇所であるが、画面上で複数の領域を指定可能としてもよい。また、指定した領域毎に、ガス管と重なるとみなす距離の範囲が異なっていてもよい。
【0037】
<実施の形態2>
前述の実施の形態1の場合には、震度の表示に関する処理をサーバ20側で実行しているが、該当する処理の全部又は一部を端末30側で実行してもよい。
図8は、実施の形態2で用いる地震動情報提供システム1Aの構成例を説明する図である。図8には、図1との対応部分に対応する符号を付して示している。
図8に示す例は、データ取得部211と、表示制御部212と、表示切替受付部213の全てを端末30で実行する場合に対応する。ここでの端末30は、情報処理システムの一例である。
【0038】
図9は、実施の形態2で用いる地震動情報提供システム1Aの処理動作例を説明する図である。図中に示すPは処理を意味する。
本実施の形態の場合も、予め定めた震度以上の地震の発生をMEMS型の加速度センサを通じて検出した感震センサ10が、SI値等の地震動情報を地震動DB22に送信する(P1)。
本実施の形態の場合、端末30が表示の対象である地域と管路の指定を受け付けることで処理動作が開始される。
【0039】
まず、端末30は、地図DB23及び管路DB24に対し、地域と管路の指定を送信する(P11)。この応答として、端末30は、指定された地域と管路のデータを取得する(P12)。
続いて、端末30は、地震動DB22及びセンサ位置DB25に対し、測定点が管路と重なる地震動情報を要求する(P13)。この応答として、端末30は、対応する地震動情報と位置の情報を取得する(P14)。端末30は、取得された地震動情報から震度を計算する。
この後、端末30は、計算された震度を管路上にマッピングした地図を生成して表示する(P15)。なお、ディスプレイには、実施の形態1と同じ地図等が表示される。
【0040】
<他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、前述の実施の形態に記載の範囲に限定されない。前述した実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0041】
前述の実施の形態においては、サーバ20(図1参照)が扱う地震動情報は、電池を電源として使用するMEMS型センサをから収集される場合を想定しているが、地震動情報を出力する感震センサ10には、電源工事を必要とする地震計から出力される情報が含まれていてもよい。
また、前述の実施の形態においては、サーバ20と端末30のそれぞれを情報処理システムの一例として説明したが、サーバ20と端末30とで機能を分散して実行する場合にはサーバ20と端末30が情報処理システムの一例となる。
【符号の説明】
【0042】
1、1A…地震動情報提供システム、10…感震センサ、20…サーバ、21…コンピュータ、30…端末、31…ディスプレイ、40…インターネット、211…データ取得部、212…表示制御部、213…表示切替受付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9