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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】包装緩衝材
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/05 20060101AFI20221209BHJP
   B65D 5/50 20060101ALI20221209BHJP
   B65D 85/30 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
B65D81/05 500A
B65D5/50 101A
B65D85/30 300
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019173790
(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公開番号】P2021050019
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-03-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.令和1年2月9日に日本盛株式会社に販売の申出 2.令和1年5月24日に公益社団法人日本包装技術協会主催の2019年日本パッケージングコンテストに出品 3.令和1年9月11日に日本トーカンパッケージ株式会社のウェブサイトに掲載
(73)【特許権者】
【識別番号】506100990
【氏名又は名称】日本トーカンパッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】矢島 正裕
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3034264(JP,U)
【文献】特開2011-11749(JP,A)
【文献】特開2018-150057(JP,A)
【文献】特開2002-321728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/05
B65D 85/30
B65D 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
瓶体とともに外箱内に収納され前記瓶体に加わる衝撃を緩衝する包装緩衝材であって、
前記瓶体が載置される底板部と、前記底板部の周縁に第1折曲線を介して連設され前記外箱内に収納された状態において前記外箱の周側壁に当接する複数の外側板部と、隣接する2つの外側板部間に位置された複数の内側板部とを備え、
前記内側板部は、前記第1折曲線と交差する方向に延びるように前記底板部に形成された第2折曲線で折り曲げ可能に設けられるとともに隣接する2つの外側板部の各々に対して切目線を介して分離可能に設けられていることを特徴とすることを特徴とする包装緩衝材。
【請求項2】
前記内側板部は、前記外箱内に収納された状態において、内面が前記瓶体の外周面と当接し、外面における両側端部が前記外面に面する2つの外側板部の内面に当接するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の包装緩衝材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば瓶体とともに外箱内に収納され瓶体に加わる衝撃を緩衝する包装緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、清酒等を充填したいわゆる一升瓶からなるガラス瓶を出荷する場合に、そのままであると外部からの衝撃によってガラス瓶が割れることがあるため、物流の途中で衝撃によって割れないように包装緩衝材によって緩衝するようにしている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数枚の段ボール紙が接着剤で貼り合わせられ、瓶体の底部が嵌合し得る嵌合孔が形成された構成の包装緩衝材が提案されている。
また、特許文献2には、複数枚の平板を180°折曲可能に連設し、それぞれの平板に、瓶体のテーパーに応じて径が順次変化する挿通穴を並べて穿設した構成の包装緩衝材が提案されている。
さらにまた、特許文献3には、重なり合う基板の周囲に側板を連設して枡形の形状とし、側板の端縁から延出した折曲片を内側へ折り曲げる瓶の緩衝材において、2枚の基板を、その一方の基板の一側から切り込んで形成した連結片を介して繋ぎ、各基板の一組の対向端縁から側板及び折曲片を順次延出し、一方の基板と連結片との境界の折目線を、この基板の角部から斜め方向に延びるものとし、他方の基板と連結片との境界の折目線を、他の折目線とは逆方向に折れ曲がるようにし、基板同士を90°捻って重ねた構成の包装緩衝材が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-043966号公報
【文献】特開2004-168338号公報
【文献】特開2007-153368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の包装緩衝材では、複数枚の段ボール紙を接着剤で貼り合わせる作業が必要であり、また、段ボール紙を折り曲げて積重させる際に、瓶体の外周面に当接して瓶体を高さ方向において保持する保持部を形成する複数の段ボール紙の連設部の折れが発生する可能性がある。
一方、特許文献2および特許文献3に記載の包装緩衝材では、折曲げ回数が非常に多く、組立て作業が面倒になる欠点がある。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、容易に組み立て可能であり、簡単な構成でありながら、外部からの衝撃から瓶体を確実に保護することができ、コスト的にも有利に作製することのできる包装緩衝材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、瓶体とともに外箱内に収納され前記瓶体に加わる衝撃を緩衝する包装緩衝材であって、前記瓶体が載置される底板部と、前記底板部の周縁に第1折曲線を介して連設され前記外箱内に収納された状態において前記外箱の周側壁に当接する複数の外側板部と、隣接する2つの外側板部間に位置された複数の内側板部とを備え、前記内側板部は、前記第1折曲線と交差する方向に延びるように前記底板部に形成された第2折曲線で折り曲げ可能に設けられるとともに隣接する2つの外側板部の各々に対して切目線を介して分離可能に設けられた構成とすることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0008】
本請求項1に係る発明の包装緩衝材によれば、内側板部の作用によって瓶体の周面側または底面側からの衝撃に対する緩衝機能を得ることができるので、簡単な構成でありながら、外部からの衝撃から瓶体を確実に保護することができる。
また、包装緩衝材の組み立てに際しては、内側板部および外側板部を軽く折り曲げるだけでよいので、組み立て時の変形が少なく極めて容易に組み立てることが可能となり、しかも、段ボールシートを積重させ貼り合わせる構造の包装緩衝材に比して作業コスト及び材料コストの低減が可能となる。
【0009】
本請求項2に記載の構成によれば、外側板部と内側板部とを協働させて周面側からの衝撃を緩和する2重緩衝構造が構成されるので、瓶体を確実に保護することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る包装緩衝材の一例における構成を示す平面図である。
図2図1に示す包装緩衝材が組み立てられた状態を示す斜視図である。
図3図1に示す包装緩衝材を用いた瓶体の梱包過程を概略的に示す斜視図である。
図4図1に示す包装緩衝材が瓶体とともに外箱内に収納された状態を概略的に示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の包装緩衝材は、瓶体とともに外箱内に収納され瓶体に加わる衝撃を緩衝するものであって、瓶体の底部を緩衝するものとして用いられるものである。
瓶体としては、例えば、清酒等を充填したガラス瓶(一升瓶)、ワインボトルやその他の洋酒のガラス瓶などを例示することができるが、瓶体の種類は特に限定されるものではなく、陶磁器や瀬戸物からなる花瓶などの各種の瓶体であってもよい。また、瓶体の底部の断面形状についても特に限定されるものではなく、円形状、矩形状およびその他の形状のいずれであってもよい。さらにまた、瓶体の大きさについても、特に制限はなく、ブランク材のサイズを適宜変更することで種々のサイズの瓶体に対応することが可能となる。
外箱は、例えば、段ボールや厚紙など各種の紙材料が直方体状をなすように折り曲げられて形成されたものを用いることができる。
【実施例1】
【0012】
本発明に係る包装緩衝部材100は、1枚のブランク材から形成され、図1に示すように、瓶体が載置される略矩形状の底板部110と、底板部110の4辺の各々に第1折曲線L1を介して連設された4つの外側板部120と、隣接する2つの外側板部120間に位置された4つの内側板部130とを有する。底板部110の中央部には、円形の開口111が形成されている。
【0013】
本実施形態の包装緩衝材100は、例えば段ボールからなるものであるが、緩衝性が得られるものであれば、段ボール以外の紙、樹脂等のシート部材を用いてもよい。
また、第1折曲線L1の各々は、作業の容易性、強度、緩衝性を考慮して、シート状のブランク材に対して予め折り目を付したもの、厚みに達しない切れ込みを入れたもの、ミシン目を入れたもの等、いかなるものであってもよい。
【0014】
内側板部130は、隣接する2つの外側板部120に対して切目線C1を介して分離可能に連設されているとともに底板部110の平面領域内に形成された第2折曲線L2で折り曲げ可能に設けられている。第2折曲線L2は、内側板部130が折り曲げられたときに内側板部130が瓶体に当接する位置に設けられている。
切目線C1は、第1折曲線L1を越えて内側に向かって延びるよう形成されており、切目線C1の端部位置において、第2折曲線L2が第1折曲線L1と交差する方向に延びるように設けられている。
【0015】
この包装緩衝材100は、例えば1枚の段ボール紙を打ち抜き機で打ち抜くことにより製造され、図2に示すように、4つの内側板部130を第2折曲線L2で折り曲げるとともに4つの外側板部120を第1折曲線L1で折り曲げることで組み立てられる。
このように、本実施形態に係る包装緩衝材100は、組み立て時の変形が少なく極めて容易に組み立てることが可能であり、しかも、包装緩衝材100を大きく変形させる必要がないため、様々な板厚、板の強度、外箱の形状のものに対応することが可能となる。また、段ボールシートを積重させ貼り合わせる構造の包装緩衝材に比して1枚のブランク材を打抜くために必要な資材面積が小さくて済み、無駄になる原紙も少なく、作業コスト及び材料コストの低減が可能となる。
【0016】
そして、図3に示すように、包装緩衝材100を外箱150の開口部に位置させ瓶体Bによって外箱150内に押し込むことで、包装緩衝材100が外箱150内に瓶体Bとともに収納される。外箱150内に収納された状態においては、図4に示すように、外側板部120が外箱150の周側壁151に当接し、内側板部130の内面が瓶体Bの外周面と当接するとともに外面における両側端部が該外面に面する互いに隣接した2つの外側板部120の内面に当接する。このとき、外側板部120の内面と瓶体Bの外周面とは当接していることが望ましいが、図4に示すように、外側板部120の内面と瓶体Bの外周面との間には間隙Sが形成されていてもよい。
【0017】
このように、本実施形態の包装緩衝材100においては、外側板部120と内側板部130とを協働させて外箱150の周側壁151側からの衝撃を緩和するいわば2重緩衝構造を構成することができる。すなわち、外箱150の周側壁151に加わる衝撃は、包装緩衝材100の外側板部120によって緩衝されるとともに外側板部120の内面に当接する内側板部130によって緩衝されるので、瓶体Bを確実に保護することが可能となる。また、外側板部120が瓶体Bに接触していないので、周側壁151側からの衝撃が外側板部120を介して直接的に瓶体Bに伝達されることを回避することができ、周側壁151側からの荷重や衝撃に対して、充分な緩衝や保護を図ることが可能となる。
【0018】
以上、本発明に係る包装緩衝材の一実施形態について詳述したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、底板部の平面形状は矩形状である必要はなく、例えば8角形など多角形状であってもよい。
また、本発明に係る包装緩衝材においては、内側板部をその内面が底板部の内面と接するように折り曲げ、瓶体の高さ方向に対して底板部と内側板部を積重させた状態で用いられてもよい。このような場合には、底面側からの荷重や衝撃に対して、充分な緩衝や保護を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0019】
100 ・・・ 包装緩衝部材
110 ・・・ 底板部
111 ・・・ 開口
120 ・・・ 外側板部
130 ・・・ 内側板部
150 ・・・ 外箱
151 ・・・ 周側壁
B ・・・ 瓶体
C1 ・・・ 切目線
L1 ・・・ 第1折曲線
L2 ・・・ 第2折曲線
S ・・・ 間隙
図1
図2
図3
図4