(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
A01D 41/12 20060101AFI20221209BHJP
A01D 69/00 20060101ALI20221209BHJP
A01D 69/10 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
A01D41/12 R
A01D69/00 303Z
A01D69/10
A01D69/00 303D
(21)【出願番号】P 2019174112
(22)【出願日】2019-09-25
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】石田 翔己
(72)【発明者】
【氏名】川野 正裕
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-049954(JP,A)
【文献】特開2009-092046(JP,A)
【文献】特開2011-155907(JP,A)
【文献】特開2015-166585(JP,A)
【文献】特開2016-036264(JP,A)
【文献】特開2013-138628(JP,A)
【文献】特開2015-008633(JP,A)
【文献】特開2013-155719(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0511396(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/00 - 41/16
A01D 69/00 - 69/12
B60K 11/02 - 11/04
F01P 5/02 - 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に設けられ、エンジンを冷却する冷媒が流通するラジエータと、
前記機体における前記ラジエータの外側に設けられ、前記機体の外側から前記ラジエータ側への塵埃の進入を規制する防塵部と、
前記機体における前記ラジエータの内側に設けられ、前記防塵部側から前記ラジエータ側へ向けて空気を流通させる正流運転状態と、前記ラジエータ側から前記防塵部側へ向けて前記空気を流通させる逆流運転状態とに切り替え可能なファンと、
刈り取られた刈取穀稈の脱穀処理を行う脱穀ユニットと、
前記脱穀ユニットに対する前記エンジンから出力される動力の入力を断接可能な脱穀クラッチと、
前記ファンの運転状態を、前記正流運転状態から前記逆流運転状態へ切り替える切り替え指示を受け付ける操作具と、
を備え
、
前記脱穀クラッチが前記動力の入力を遮断する遮断状態である場合に前記切り替え指示が有効とされ、前記脱穀クラッチが前記動力の入力を伝達する伝達状態である場合に前記切り替え指示が無効とされる作業車。
【請求項2】
機体に設けられ、エンジンを冷却する冷媒が流通するラジエータと、
前記機体における前記ラジエータの外側に設けられ、前記機体の外側から前記ラジエータ側への塵埃の進入を規制する防塵部と、
前記機体における前記ラジエータの内側に設けられ、前記防塵部側から前記ラジエータ側へ向けて空気を流通させる正流運転状態と、前記ラジエータ側から前記防塵部側へ向けて前記空気を流通させる逆流運転状態とに切り替え可能なファンと、
前記ファンの運転状態を、前記正流運転状態から前記逆流運転状態へ切り替える切り替え指示を受け付ける操作具と、
を備え、
前記機体の走行速度を制御する変速レバーが前記機体の駆動輪に対する前記エンジンから出力される動力の入力を遮断する中立位置である場合に前記切り替え指示が有効とされ、前記変速レバーが前記中立位置以外の位置である場合に前記切り替え指示が無効とされる
作業車。
【請求項3】
機体に設けられ、エンジンを冷却する冷媒が流通するラジエータと、
前記機体における前記ラジエータの外側に設けられ、前記機体の外側から前記ラジエータ側への塵埃の進入を規制する防塵部と、
前記機体における前記ラジエータの内側に設けられ、前記防塵部側から前記ラジエータ側へ向けて空気を流通させる正流運転状態と、前記ラジエータ側から前記防塵部側へ向けて前記空気を流通させる逆流運転状態とに切り替え可能なファンと、
前記ファンの運転状態を、前記正流運転状態から前記逆流運転状態へ切り替える切り替え指示を受け付ける操作具と、
を備え、
前記機体に設けられる駐車ブレーキが制動状態である場合に前記切り替え指示が有効とされ、前記駐車ブレーキが解除状態である場合に前記切り替え指示が無効とされる
作業車。
【請求項4】
前記機体の状態が、前記切り替え指示が前記有効とされた状態から前記無効とされる状態に移行された場合に、前記ファンは前記逆流運転状態から前記正流運転状態に切り替わる請求項
1から
3のいずれか一項に記載の作業車。
【請求項5】
前記操作具は、前記機体の運転部に設けられるオルタネイト型の入力ユニットである請求項1から
4のいずれか一項に記載の作業車。
【請求項6】
前記ファンは前記エンジンからの動力により駆動され、
前記ファンが前記逆流運転状態である場合に、前記エンジンの回転数を変更可能な回転数変更部を備える請求項1から
5のいずれか一項に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンとラジエータとファンとを備えた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンに設けられた冷却経路(冷媒流路)を流通する冷媒を冷却するためのラジエータと、当該ラジエータにおける風向きを設定するファンとが備えられた作業車が利用されてきた。このような作業車として、例えば下記に出典を示す特許文献1に記載のものがある。
【0003】
特許文献1に記載のコンバインは、ファンを正転状態で回転することによって防塵部を介してラジエータに向けて外気を導入し、ファンを逆転状態で回転することによって防塵部に付着した塵埃を吹き飛ばすように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、作業車にあっては、機体の各部のメンテナンス作業を行う場合がある。しかしながら、特許文献1に記載の技術は、機体の各部のメンテナンス作業におけるファンの制御まで想定されておらず、改良の余地がある。
【0006】
そこで、機体のメンテナンス作業を適切に行うことが可能な作業車が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る作業車の特徴構成は、機体に設けられ、エンジンを冷却する冷媒が流通するラジエータと、前記機体における前記ラジエータの外側に設けられ、前記機体の外側から前記ラジエータ側への塵埃の進入を規制する防塵部と、前記機体における前記ラジエータの内側に設けられ、前記防塵部側から前記ラジエータ側へ向けて空気を流通させる正流運転状態と、前記ラジエータ側から前記防塵部側へ向けて前記空気を流通させる逆流運転状態とに切り替え可能なファンと、刈り取られた刈取穀稈の脱穀処理を行う脱穀ユニットと、前記脱穀ユニットに対する前記エンジンから出力される動力の入力を断接可能な脱穀クラッチと、前記ファンの運転状態を、前記正流運転状態から前記逆流運転状態へ切り替える切り替え指示を受け付ける操作具と、を備え、前記脱穀クラッチが前記動力の入力を遮断する遮断状態である場合に前記切り替え指示が有効とされ、前記脱穀クラッチが前記動力の入力を伝達する伝達状態である場合に前記切り替え指示が無効とされる点にある。
【0008】
このような特徴構成とすれば、オペレータが操作具を操作することで、ファンの運転状態を正流運転状態から逆流運転状態へ切り替えることが可能となる。したがって、機体のメンテナンス作業時に、ファンを逆流運転状態にして防塵部に付着した塵埃を取り除くことができるので、機体のメンテナンス作業を適切に行うことが可能となる。
【0009】
【0010】
ここで、脱穀クラッチが伝達状態である場合には脱穀ユニットが脱穀処理を行っていることが想定される。そこで、上記構成とすれば、脱穀クラッチが伝達状態である場合における操作具の操作は誤操作であるとして、切り替え指示を無効にすることが可能となる。
【0011】
また、本発明に係る作業車の他の特徴構成は、機体に設けられ、エンジンを冷却する冷媒が流通するラジエータと、前記機体における前記ラジエータの外側に設けられ、前記機体の外側から前記ラジエータ側への塵埃の進入を規制する防塵部と、前記機体における前記ラジエータの内側に設けられ、前記防塵部側から前記ラジエータ側へ向けて空気を流通させる正流運転状態と、前記ラジエータ側から前記防塵部側へ向けて前記空気を流通させる逆流運転状態とに切り替え可能なファンと、前記ファンの運転状態を、前記正流運転状態から前記逆流運転状態へ切り替える切り替え指示を受け付ける操作具と、を備え、前記機体の走行速度を制御する変速レバーが前記機体の駆動輪に対する前記エンジンから出力される動力の入力を遮断する中立位置である場合に前記切り替え指示が有効とされ、前記変速レバーが前記中立位置以外の位置である場合に前記切り替え指示が無効とされると好適である。
【0012】
変速レバーが中立位置以外の位置にある場合には機体が走行することが想定される。そこで、上記構成とすれば、変速レバーが中立位置以外の位置にある場合における操作具の操作は誤操作であるとして、切り替え指示を無効にすることが可能となる。
【0013】
また、本発明に係る作業車の他の特徴構成は、機体に設けられ、エンジンを冷却する冷媒が流通するラジエータと、前記機体における前記ラジエータの外側に設けられ、前記機体の外側から前記ラジエータ側への塵埃の進入を規制する防塵部と、前記機体における前記ラジエータの内側に設けられ、前記防塵部側から前記ラジエータ側へ向けて空気を流通させる正流運転状態と、前記ラジエータ側から前記防塵部側へ向けて前記空気を流通させる逆流運転状態とに切り替え可能なファンと、前記ファンの運転状態を、前記正流運転状態から前記逆流運転状態へ切り替える切り替え指示を受け付ける操作具と、を備え、前記機体に設けられる駐車ブレーキが制動状態である場合に前記切り替え指示が有効とされ、前記駐車ブレーキが解除状態である場合に前記切り替え指示が無効とされると好適である。
【0014】
駐車ブレーキが解除状態である場合には機体が走行することが想定される。そこで、上記構成とすれば、駐車ブレーキが解除状態である場合における操作具の操作は誤操作であるとして、切り替え指示を無効にすることが可能となる。
【0015】
また、前記機体の状態が、前記切り替え指示が前記有効とされた状態から前記無効とされる状態に移行された場合に、前記ファンは前記逆流運転状態から前記正流運転状態に切り替わると好適である。
【0016】
このような構成とすれば、オペレータが操作具を操作することなく、自動的にファンの運転状態を正流運転状態から逆流運転状態に切り替えることが可能となる。したがって、オペレータの作業を簡素化することができる。
【0017】
また、前記操作具は、前記機体の運転部に設けられるオルタネイト型の入力ユニットであると好適である。
【0018】
このような構成とすれば、操作具が運転部に設けられているので、オペレータが作業車の乗員でも良く、運転部に居ながら操作具を操作することが可能となる。また、操作具への入力後、オペレータが運転部から離れた場合でもファンの逆流運転状態を維持することができる。したがって、オペレータが運転部から離れた状態で機体のメンテナンス作業を行うことが可能となる。
【0019】
また、前記ファンは前記エンジンからの動力により駆動され、前記ファンが前記逆流運転状態である場合に、前記エンジンの回転数を変更可能な回転数変更部を備えると好適である。
【0020】
このような構成とすれば、メンテナンス作業時のファンの回転数を調整することができる。したがって、ファンの風量を、メンテナンス作業に適したものに調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図6】ファンの運転状態の切り替えに係る処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る作業車は、機体のメンテナンス作業を適切に行うことができるように構成される。以下、本実施形態の作業車1について説明する。
【0023】
図1は作業車1の全体側面図であり、
図2は作業車1の平面図である。なお、以下では、本実施形態の作業車1について所謂普通型コンバインを例に挙げて説明する。もちろん、作業車1は自脱型コンバインであっても良い。
【0024】
ここで、理解を容易にするために、本実施形態では、特に断りがない限り、「前」(
図1に示す矢印Fの方向)は機体前後方向(走行方向)における前方を意味し、「後」(
図1に示す矢印Bの方向)は機体前後方向(走行方向)における後方を意味するものとする。また、「上」(
図1に示す矢印Uの方向)及び「下」(
図1に示す矢印Dの方向)は、機体の鉛直方向(垂直方向)での位置関係であり、地上高さにおける関係を示すものとする。更に、左右方向または横方向は、機体前後方向に直交する機体横断方向(機体幅方向)、すなわち、「左」(
図2に示す矢印Lの方向)及び「右」(
図2に示す矢印Rの方向)は、夫々、機体の左方向及び右方向を意味するものとする。
【0025】
図1及び
図2に示すように、作業車1は、収穫搬送部2と、運転部3と、脱穀装置(「脱穀ユニット」の一例)5と、穀粒タンク6と、エンジン7と、排藁細断装置8と、左右一対の前車輪9と、左右一対の後車輪10とを備える。
【0026】
収穫搬送部2は圃場の植立穀稈を刈り取って、刈取穀稈(収穫物)を後方に搬送する。運転部3にはキャビン4が設けられる。脱穀装置5は機体の左右方向における中央部に設けられ、収穫搬送部2によって刈り取られた刈取穀稈の脱穀処理を行う。脱穀装置5は、エンジン7から出力される動力に基づいて駆動される。そこで、作業車1には、脱穀装置5に対するエンジン7から出力される動力の入力を断接可能な脱穀クラッチ(図示せず)が備えられる。脱穀クラッチが接続状態(係合状態)である場合には、エンジン7から出力される動力が脱穀装置5に入力され、脱穀装置5において脱穀処理が行うことが可能となる。一方、脱穀クラッチが遮断状態(離間状態)である場合には、エンジン7から出力される動力が脱穀装置5に入力されず、脱穀装置5において脱穀処理が行えなくなる。穀粒タンク6は、脱穀装置5の上方に設けられ、脱穀装置5によって脱穀された穀粒を貯留する。排藁細断装置8は脱穀装置5の後方に設けられ、脱穀処理後の排藁を細断する。
【0027】
前車輪9は操向不能に構成され、エンジン7から出力される動力に基づいて回転駆動される。したがって、本実施形態では、前車輪9が駆動輪に相当する。具体的には、エンジン7から出力される動力は、無段変速式の主変速装置とギア変速式の副変速装置とを介して前車輪9へ伝達される。主変速装置は、公知の静油圧式無段変速装置を有し、前進走行速度及び後進走行速度を無段階に変速操作可能に構成される。副変速装置は、ギア咬み合い式の変速機構であって、高速変速状態と低速変速状態と中立状態とに切り換え可能に構成される。後車輪10は操向操作可能に構成される。したがって、本実施形態では、後車輪10が操向輪に相当する。穀粒タンク6の機体左方には、穀粒タンク6に貯留されている穀粒を機体外部に搬送するスクリューコンベア式の穀粒排出装置18が備えられる。
【0028】
収穫搬送部2は、機体の前部において、昇降シリンダ(不図示)によって上下昇降可能に支持されている。収穫搬送部2は、収穫ヘッダ11とフィーダ12とを備えている。収穫ヘッダ11は、圃場の植立穀稈を刈り取り、刈り取った穀稈を刈幅方向の中央部に寄せ集める。フィーダ12は、刈り取られて中央に寄せ集められた穀稈を脱穀装置5に向けて搬送する。
【0029】
収穫ヘッダ11には、回転リール13、刈刃14、及び横送りオーガ15が備えられる。回転リール13は収穫対象となる作物の穂先側を後方に向けて掻込む。刈刃14はバリカン型に形成され、作物の株元を切断して刈り取る。横送りオーガ15は、収穫した作物を収穫ヘッダ11の刈幅方向の中央部に寄せ集める。横送りオーガ15により寄せ集められた作物は、搬送コンベア16を介して脱穀装置5に搬送される。
【0030】
脱穀装置5により脱穀された穀粒は、揚穀ユニット19によって穀粒タンク6へ搬送される。また、例えば枝付き穀稈等の二番物は、二番物還元装置20によって脱穀装置5における作物の入口に搬送され、再び脱穀処理される。
【0031】
エンジン7は、穀粒タンク6の後方であって、脱穀装置5の上方に備えられる。エンジン7はエンジンボンネット21により覆われる。また、エンジンボンネット21よりも内側には、エンジン7と共に、過給機22と排気処理装置23とが備えられる。エンジンボンネット21の機体右側には、エアクリーナ24と冷却装置25とが備えられる。エンジン7は、脱穀装置5の上方において冷却装置25に隣接して設けられる。
【0032】
冷却装置25は、インタークーラ25A、ラジエータ25B、オイルクーラ25C、及びファン25Dを有する。インタークーラ25A、ラジエータ25B、及びオイルクーラ25Cは機体の前後方向において後側から順番に並んだ状態で冷却装置用ケース31に収容され、ファン25Dと機体の横方向に並んで設けられる。ファン25Dは機体におけるラジエータ25Bの内側に設けられる。本実施形態では、ファン25Dはエンジン7からの動力により駆動される。冷却装置25の下方には、エンジン7の燃料を貯留する燃料タンク30が、二番物還元装置20との干渉を避けた状態で設けられる。
【0033】
機体におけるラジエータ25Bの外側、具体的には冷却装置用ケース31の機体横外側には、揺動開閉可能に防塵カバー(「防塵部」の一例)60が設けられる。ファン25Dは、機体左右方向における外側から内側へ向かって冷却風を生じさせるように駆動する。
【0034】
防塵カバー60はメッシュ状の網を有し、当該メッシュ状の網の形状は、機体側面視における冷却装置用ケース31の形状に基づいて設定される。これにより、冷却装置用ケース31の側面をメッシュ状の網で覆うことが可能となる。防塵カバー60は、このメッシュ状の網によって冷却風を通過させると共に、メッシュ状の網によって機体の外側からラジエータ25B側への塵埃の進入を規制するように構成されている。即ち、防塵カバー60は、冷却装置25への塵埃の進入を防ぐ。
【0035】
この構成により、ファン25Dが駆動すると、防塵カバー60よりも機体外側の空気が、防塵カバー60よりも機体内側へ吸い込まれる。そして、吸い込まれた空気は、冷却風として、冷却装置25を通過する。
【0036】
インタークーラ25Aでは、過給機22によって圧縮加熱された燃焼用空気が下側から上側へ流通しながら冷却され、冷却された燃焼用空気はエンジン7へ供給される。ラジエータ25Bでは、エンジン7に設けられる冷却経路を流通する冷媒が上側から下側へ流通しながら冷却される。また、オイルクーラ25Cでは、エンジン7に設けられる潤滑油経路を流通する潤滑油が上側から下側へ流通しながら冷却される。
【0037】
ファン25Dは、正流運転状態と逆流運転状態とに切り替え可能に構成される。正流運転状態は、防塵カバー60側からラジエータ25B側へ向けて空気を流通させる運転状態である。これにより、上述したように、防塵カバー60よりも機体外側の空気を、防塵カバー60よりも機体内側へ吸い込むことが可能となる。一方、逆流運転状態は、ラジエータ25B側から防塵カバー60側へ向けて空気を流通させる運転状態である。これにより、防塵カバー60よりも機体内側の空気を、防塵カバー60よりも機体外側へ吐き出すことが可能となる。
【0038】
ここで、作業車1の通常運転時には冷却装置25の冷却効率を高める観点からファン25Dは正流運転状態で運転されることが多い。しかしながら、機体内側へ空気を吸い込む際に、排藁細断装置8により細断された排藁が防塵カバー60の機体外側に吸い寄せられて付着した状態となる場合がある。係る場合、機体内側へ吸い込まれる空気の量が減少するので冷却装置25の冷却効率が悪化するおそれがある。また、作業車1の機体の各部のメンテナンス作業を行う場合には、防塵カバー60に付着した排藁を除去したり、更には機体から塵埃を吐き出したりしたい場合もある。
【0039】
そこで、ファン25Dの運転状態を、正流運転状態から逆流運転状態へ切り替える切り替え指示を受け付ける操作ボタン(「操作具」の一例)50が機体の運転部3に設けられる。本実施形態では、操作ボタン50は運転座席29の右方の操作ボックス部27に設けられ(
図3参照)、作業車1に乗車する作業者が操作ボタン50を押下することにより、ファン25Dの運転状態を、正流運転状態から逆流運転状態へ切り替え可能に構成される。
【0040】
本実施形態では、操作ボタン50は、オルタネイト型の入力ユニットで構成される。オルタネイト型の入力ユニットは、一旦、操作ボタン50を押下すると閉状態となり、操作ボタン50から作業者の手が離れた場合であっても、操作ボタン50の閉状態を維持するように構成されたものである。したがって、本実施形態では、一旦、操作ボタン50を押下するとファン25Dの運転状態が、正流運転状態から逆流運転状態へ切り替える切り替え指示を受け付けることになる。なお、操作ボタン50は、閉状態の際、再度、押下することで、開状態になるように構成することが可能であって、係る場合、ファン25Dの運転状態が、逆流運転状態から正流運転状態へ切り替える切り替え指示を受け付けるように構成することが可能である。また、操作ボタン50は、プッシュスイッチを用いて構成することも可能であるし、トグルスイッチを用いて構成することも可能である。
【0041】
また、上述したようにファン25Dはエンジン7からの動力により駆動される。このため、エンジン7の運転状態によっては、防塵カバー60に吸い寄せられて付着した排藁を吹き飛ばすための風量が不足する可能性がある。そこで、ファン25Dが逆流運転状態である場合に、エンジン7の回転数を変更可能な設定ダイヤル(「回転数変更部」の一例)41を、運転部3に備えておくと好適である。これにより、作業者が操作ボタン50を押下してファン25Dの運転状態を正流運転状態から逆流運転状態に切り替えた際に、ファン25Dの風量が所期の風量でない場合には作業者が設定ダイヤル41を操作してエンジン7の回転数を変更し、ファン25Dの風量を増大させることが可能となる。この設定ダイヤル41も、
図3に示されるように操作ボックス部27に設けておくと好適である。
【0042】
図2に示されるように、キャビン4内には運転座席29が設けられ、運転座席29の前方には後車輪10を操向操作可能なステアリングホイール26が備えられる。ステアリングホイール26の下方には、ブレーキペダル39(「駐車ブレーキ」に相当)とアクセルペダル38とが横並びの状態で備えられる。運転座席29の右方に、上述した操作ボックス部27が備えられる。操作ボックス部27の上部には操作パネル部27Aが設けられ、操作パネル部27Aには、
図3に示されるように種々の操作具や表示ランプ等が配置されたパネル面が設けられる。操作ボックス部27の上部には、手動操作に基づいて走行に関する操作を可能な主変速レバー(「変速レバー」に相当)28が備えられる。主変速レバー28は機体の前後方向に沿って操作することにより、静油圧式無段変速装置(不図示)を変速操作し、機体の走行速度(車速)を制御可能に構成されている。
【0043】
操作ボックス部27の上方にはメータパネル37が支持される。メータパネル37は、例えば液晶表示パネルや有機エレクトロルミネッセンス等の映像表示装置を有する。メータパネル37は、例えばエンジン7の回転数や潤滑油の油温、冷却水の水温、走行速度、アワーメータ、バッテリの充電状態等を表示可能に構成されている。
【0044】
ブレーキペダル39は走行装置を制動操作する足踏みペダルである。ブレーキペダル39が運転者(作業者)の足踏みによって下方向に押されると、主変速レバー28が、後車輪10に対するエンジン7から出力される動力の入力を遮断する中立位置に強制的に移動するように構成されている。
【0045】
主変速レバー28は、操作ボックス部27において前後方向に揺動可能に構成されている。主変速レバー28は、前後方向に揺動操作されることによって静油圧式無段変速装置(不図示)を変速操作する。主変速レバー28が中立位置から前方側に揺動操作されるほど、前進走行速度が無段階に増速され、主変速レバー28が中立位置から後方側に揺動されるほど、後進走行速度が無段階に増速される。主変速レバー28は、前後揺動によって前進領域と後進領域と中立位置との三箇所に亘って揺動可能に構成されている。前進領域と後進領域との間の箇所に中立位置が位置する。
【0046】
主変速レバー28の握り部28Aには、
図4に示されるように副変速スイッチ28Bが設けられる。作業者は、副変速スイッチ28Bの操作によって副変速装置を、高速状態(移動走行用)と、低速状態(収穫作業用)との何れかに変速操作できる。
【0047】
また、操作パネル部27Aには、エンジン7に関する操作を行うことが可能な操作具や、脱穀クラッチ操作具40が備えられる。
【0048】
脱穀クラッチ操作具40は、シーソースイッチ型が用いられる。作業者が脱穀クラッチ操作具40を運転座席29に対して斜め前側に操作すると、脱穀装置5に対するエンジン7から出力される動力が脱穀クラッチ(図示せず)を介して脱穀装置5に伝達されるように構成されている。また、作業者が脱穀クラッチ操作具40を手前側に操作すると、エンジン7からの動力が脱穀装置5に伝達されないように構成されている。
【0049】
上述したエンジン7に関する操作を行うことが可能な操作具とは、エンジン7の出力回転数に関する表示装置や操作具である。具体的には、設定ダイヤル41と自動入切スイッチ42とが備えられている。設定ダイヤル41はダイヤル式のアクセル操作具である。作業者は、設定ダイヤル41を操作することによって、エンジン7の出力回転数を任意の値に設定できる。自動入切スイッチ42は自動アクセル制御のONとOFFとを指令するスイッチである。自動アクセル制御とは、設定ダイヤル41にて設定された設定出力回転数となるようにエンジン7の出力回転数を自動調節する制御である。自動アクセル制御では、車速が設定速度を超えると、エンジン7の出力回転数が設定出力回転数になるように構成されている。
【0050】
また、操作パネル部27Aには、ファン異常表示ランプ43が備えられている。ファン25Dが動作異常である場合、ファン異常表示ランプ43が点滅(または点灯)する。ファン25Dの動作異常とは、例えば、ファン25Dの逆転動作の異常等がある。
【0051】
上述したように、操作ボタン50がON設定されるとファン25Dがエンジン冷却用の正流運転状態とは反対方向に回転する逆流運転状態に切り替えられ、防塵カバー60に付着していた塵埃が機体横外方へ吹き飛ばされる。これにより、防塵カバー60に付着した塵埃を除去することができるが、そのファン25Dの運転状態の切り替えが適切に行われていない場合には、ファン25Dの逆転動作の異常として表示される。
【0052】
また、操作パネル部27Aには、走行距離測定スイッチ55も設けられる。走行距離測定スイッチ55がON設定されると、例えば車速センサ(不図示)や衛星測位情報による計測履歴に基づいて、走行距離の計測が行われる。そこで、作業車1の作業者が、作業車1が作業を行う圃場内において走行を開始する際に、走行距離測定スイッチ55をONにし(
図5における(i)のt=0)、走行を終了する際に走行距離測定スイッチ55をOFFにすることで(
図5における(i)のt=1)、作業に係る走行距離を把握することができる(
図5における(iv)のt=0~1)。係る場合、走行距離と作業に要した時間とに基づいて、圃場内においてコンバインが収穫作業を行った作業面積を算定することができるので、例えば作業に係る工賃を算出することが可能となる。このような算定結果は、例えば外部サーバに伝達して記憶するように構成することで、次回、同じ圃場において作業を行う場合に参照して利用することが可能となる。走行距離の計測は、駆動輪でない後車輪10の回転速度に基づいて行っても良いし、作業車1の車速(例えばVcm/秒)を単位時間毎(例えば1秒毎)に積算して行っても良い。また、走行距離は所定単位(例えばメートル単位)で表示するようにしても良い(例えば0メートルや、250メートル等)。
【0053】
なお、走行距離測定スイッチ55がONに設定されてから(
図5における(i)のt=0)、OFFに設定されるまで(
図5における(i)のt=1)の間に亘って、例えば操作パネル部27AにおいてLEDやランプ等を点滅或いは点灯させることで(
図5における(ii)のt=0~1)、作業者に走行距離の計測中であることを明示することが可能となる(
図5における(iii)のt=0~1)。もちろん、操作パネル部27AへのLEDやランプ等の設置に代えて、メータパネル37に表示して明示するように構成することも可能である。
【0054】
ここで、作業車1にあっては各部のメンテナンス作業を行うこともある。係るメンテナンス作業時の作業性に鑑み、例えば操作ボタン50が押下された場合の状況に応じてファン25Dの運転状態の切り替え条件を具備するか否かを判定し、その判定結果に基づいてファン25Dの運転状態の切り替えを行うように構成することも可能である。
【0055】
例えば、操作ボタン50が押下された際、脱穀クラッチがエンジン7から出力される動力の入力を遮断する遮断状態である場合には、切り替え指示が有効とするように構成することが可能である。係る場合、脱穀クラッチに、エンジン7から出力される動力が入力されないので脱穀装置5が駆動されないことからメンテナンス作業を行う状況であると想定され、ファン25Dの運転状態を、正流運転状態から逆流運転状態に変更することで防塵カバー60に付着する排藁を吹き飛ばし、更にはラジエータ側へ空気が導入されなくなるので、メンテナンス作業を行い易くできる。
【0056】
一方、操作ボタン50が押下された際、脱穀クラッチがエンジン7から出力される動力の入力を伝達する伝達状態である場合には、切り替え指示が無効とするように構成することが可能である。係る場合、脱穀クラッチに、エンジン7から出力される動力が入力されているので、誤って操作ボタン50が押下されたと想定され、ファン25Dの運転状態を、正流運転状態のまま維持するようにすると良い。
【0057】
また、操作ボタン50が押下された際、主変速レバー28が中立位置である場合には、切り替え指示が有効とするように構成することが可能である。主変速レバー28が中立位置にある場合には、作業車1が走行状態にないのでメンテナンス作業を行う状況であると想定され、ファン25Dの運転状態を、正流運転状態から逆流運転状態に変更することで防塵カバー60に付着する排藁を吹き飛ばし、更にはラジエータ側へ空気が導入されなくなるので、メンテナンス作業を行い易くできる。
【0058】
一方、操作ボタン50が押下された際、主変速レバー28が中立位置以外の位置である場合には、切り替え指示が無効とするように構成することが可能である。係る場合、作業車1が走行状態にあるので、誤って操作ボタン50が押下されたと想定され、ファン25Dの運転状態を、正流運転状態のまま維持するようにすると良い。
【0059】
更に、操作ボタン50が押下された際、ブレーキペダル39が制動状態である場合には、切り替え指示が有効とするように構成することが可能である。上述したようにブレーキペダル39が制動状態にある場合には、主変速レバー28が強制的に中立位置に移動される。このため、ブレーキペダル39が制動状態である場合には、作業車1が走行状態にないのでメンテナンス作業を行う状況であると想定され、ファン25Dの運転状態を、正流運転状態から逆流運転状態に変更することで防塵カバー60に付着する排藁を吹き飛ばし、更にはラジエータ側へ空気が導入されなくなるので、メンテナンス作業を行い易くできる。
【0060】
一方、操作ボタン50が押下された際、ブレーキペダル39が解除状態である場合には、切り替え指示が無効とするように構成することが可能である。係る場合、作業車1が走行状態にあるので、誤って操作ボタン50が押下されたと想定され、ファン25Dの運転状態を、正流運転状態のまま維持するようにすると良い。
【0061】
上述した、脱穀クラッチの断接状態、主変速レバー28の位置、及びブレーキペダル39の状態に係る条件は、いずれか一つが成立した場合に、操作ボタン50が押下された際の受け付け指示を無効とするように構成することも可能であるし、いずれか二つが成立した場合に、操作ボタン50が押下された際の受け付け指示を無効とするように構成することも可能であるし、全てが成立した場合に、操作ボタン50が押下された際の受け付け指示を無効とするように構成することも可能である。
【0062】
また、機体の状態が、切り替え指示が有効とされた状態から切り替え指示が無効とされる状態に移行された場合に、ファン25Dは逆流運転状態から正流運転状態に切り替わるように構成すると好適である。切り替え指示が有効とされた状態とは、脱穀クラッチがエンジン7から出力される動力の入力を遮断する遮断状態である場合、主変速レバー28が中立位置である場合、及びブレーキペダル39が制動状態である場合である。切り替え指示が無効とされる状態とは、脱穀クラッチがエンジン7から出力される動力の入力を伝達する伝達状態である場合、主変速レバー28が中立位置でない場合、及びブレーキペダル39が解除状態である場合である。
【0063】
したがって、ファン25Dが逆流運転状態である際に、遮断状態にある脱穀クラッチが伝達状態に変更された場合や、中立位置にある主変速レバー28が中立位置以外の位置に移動された場合や、制動状態にあるブレーキペダル39が解除状態となった場合に、ファン25Dが逆流運転状態から正流運転状態に自動的に切り替わるようにすると良い。これにより、メンテナンス作業の終了後、スムーズに作業車1を走行させることが可能となる。
【0064】
なお、操作ボタン50が押下されて閉状態となった場合には、例えば操作パネル部27AにおいてLEDやランプ等を点滅或いは点灯させることで、作業者に操作ボタン50が押下された状態であることを明示することができ、メンテナンス作業の作業性を向上することが可能となる。もちろん、操作パネル部27AへのLEDやランプ等の設置に代えて、メータパネル37に表示して明示するように構成することも可能である。
【0065】
次に、ファン25Dの運転状態の切り替えに係る処理を
図6のフローチャートを用いて説明する。ファン25Dが正流運転状態である場合において(ステップ#1:Yes)、操作ボタン50が押下された際に(ステップ#2:Yes)、脱穀クラッチが遮断状態であって(ステップ#3:Yes)、主変速レバー28が中立位置であって(ステップ#4:Yes)、ブレーキペダル39が制動状態である場合には(ステップ#5:Yes)、操作ボタン50の押下が有効であることから、ファン25Dの運転状態が、正流運転状態から逆流運転状態に切り替えられる(ステップ#6)。
【0066】
一方、操作ボタン50が押下された際に(ステップ#2:Yes)、脱穀クラッチが伝達状態であるか(ステップ#3:No)、主変速レバー28が中立位置でない位置にあるか(ステップ#4:No)、ブレーキペダル39が解除状態である場合には(ステップ#5:No)、操作ボタン50の押下が無効であることから、ステップ#2に戻り処理が継続される。
【0067】
ファン25Dが逆流運転状態である場合において(ステップ#6)、脱穀クラッチが伝達状態に切り替えられると(ステップ#7:Yes)、ファン25Dの運転状態が、逆流運転状態から正流運転状態に切り替えられる(ステップ#8)。また、ステップ#7において、脱穀クラッチが遮断状態である際に(ステップ#7:No)、主変速レバー28が中立位置でない位置に移動された場合にも(ステップ#9:Yes)、ファン25Dの運転状態が、逆流運転状態から正流運転状態に切り替えられる(ステップ#8)。更に、ステップ#9において、主変速レバー28が中立位置である際に(ステップ#9:No)、ブレーキペダル39が解除状態となった場合にも(ステップ#10:Yes)、ファン25Dの運転状態が、逆流運転状態から正流運転状態に切り替えられる(ステップ#8)。
【0068】
ステップ#8において、ファン25Dが正流運転状態である際に、ファン25Dの運転を終了しない場合には(ステップ#11:No)、ステップ#2に戻り処理が継続され、ファン25Dの運転を終了する場合には(ステップ#11:Yes)、処理を終了する。
【0069】
ステップ#12において、ファン25Dが逆流運転状態である際に、ファン25Dの運転を終了しない場合には(ステップ#12:No)、ステップ#7に戻り処理が継続され、ファン25Dの運転を終了する場合には(ステップ#12:Yes)、処理を終了する。以上のようなフローに沿ってファン25Dの運転状態が制御される。
【0070】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、作業車1として普通型コンバインを例に挙げて説明したが、自脱型コンバインであっても良いし、クローラを備えたコンバインであっても良い。また、作業車1は、コンバイン以外の農機であっても良いし、農機ではなく、建機であっても良い。
【0071】
上記実施形態では、冷却装置25は、インタークーラ25Aと、ラジエータ25Bと、オイルクーラ25Cとが一体的に統合されたユニットであるとして説明したが、例えば、インタークーラ25Aと、ラジエータ25Bと、オイルクーラ25Cとが夫々、別体で構成されていても良い。また、冷却装置25は、インタークーラ25Aと、ラジエータ25Bと、オイルクーラ25Cとのうちの二つが一体的に統合されたユニットであっても良い。
【0072】
上記実施形態では、脱穀クラッチが遮断状態である場合に切り替え指示が有効とされ、脱穀クラッチが伝達状態である場合に切り替え指示が無効とされるとして説明したが、脱穀クラッチの状態に拘らず、主変速レバー28の位置及びブレーキペダル39の状態の少なくともいずれか一方に応じて切り替え指示を有効又は無効にするように構成することは可能である。
【0073】
上記実施形態では、主変速レバー28が中立位置である場合に切り替え指示が有効とされ、主変速レバー28が中立位置以外の位置である場合に切り替え指示が無効とされるとして説明したが、主変速レバー28の位置に拘らず、脱穀クラッチの状態やブレーキペダル39の状態に応じて切り替え指示を有効又は無効にするように構成することは可能である。
【0074】
上記実施形態では、ブレーキペダル39が制動状態である場合に切り替え指示が有効とされ、ブレーキペダル39が解除状態である場合に切り替え指示が無効とされるとして説明したが、ブレーキペダル39の位置に拘らず、脱穀クラッチの状態や主変速レバー28の位置に応じて切り替え指示を有効又は無効にするように構成することは可能である。
【0075】
上記実施形態では、機体の状態が、切り替え指示が有効とされた状態から無効とされる状態に移行された場合に、ファン25Dは逆流運転状態から正流運転状態に切り替えられるとして説明したが、機体の状態が、切り替え指示が有効とされた状態から無効とされる状態に移行された場合であっても、ファン25Dが逆流運転状態から正流運転状態に切り替えられないように構成することも可能である。
【0076】
上記実施形態では、操作ボタン50は、機体の運転部3に設けられるオルタネイト型の入力ユニットであるとして説明したが、操作ボタン50は、機体の運転部3に設けなくても良いし、オルタネイト型とは異なるタイプの入力ユニットで構成しても良い。
【0077】
上記実施形態では、ファン25Dはエンジン7からの動力により駆動され、ファン25Dが逆流運転状態である場合に、エンジン7の回転数を変更可能な設定ダイヤル41を備えるとして説明したが、ファン25Dはモータからの動力により駆動されるものであっても良い。係る場合、ファン25Dが逆流運転状態である場合に、モータの回転数を変更可能な構成とすると好適である。また、ファン25Dがエンジン7からの動力により駆動される場合に、エンジン7の回転数を変更可能な設定ダイヤル41を備えずに構成することも可能であるし、ファン25Dが正流運転状態である場合にも、設定ダイヤル41によりエンジン7の回転数を変更できるように構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、エンジンとラジエータとファンとを備えた作業車に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1:作業車
4:運転部
5:脱穀装置(脱穀ユニット)
7:エンジン
25B:ラジエータ
25D:ファン
28:主変速レバー(変速レバー)
39:ブレーキペダル(駐車ブレーキ)
41:設定ダイヤル(回転数変更部)
50:操作ボタン(操作具)
60:防塵カバー(防塵部)