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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】箔が埋め込まれたレンズを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/00 20060101AFI20221209BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20221209BHJP
   G02B 5/10 20060101ALI20221209BHJP
   B29D 11/00 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
G02B3/00 Z
G02B5/08 D
G02B5/10 C
B29D11/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019522802
(86)(22)【出願日】2017-11-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2017078230
(87)【国際公開番号】W WO2018087011
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-11-04
(31)【優先権主張番号】EP16196974.6
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522175587
【氏名又は名称】メタマテリアル インク
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ピオトロフスキー
(72)【発明者】
【氏名】レネ ヨーゼフ ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ルツス ケルナー
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/021466(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/077339(WO,A1)
【文献】特開2012-120985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 3/00
G02B 5/08
G02B 5/10
B29D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箔が埋め込まれたレンズを製造する方法であって、 第1の型(30)を用意する工程と、 箔固定保持具(20)を用意する工程と、 第2の型(120)を用意する工程と、 湾曲面(13、14)である少なくとも一つの領域を有する箔(10)を用意する工程と、 前記箔(10)を前記箔固定保持具(20)上に位置決めする工程と、 付着ドット(41)を形成する接着剤の塗布により、前記箔固定保持具(20)と反対側の前記箔(10)の面部分(12)に、又は前記第1の型(30)の下側(31)に、前記付着ドット(41)を設ける工程と、 前記箔固定保持具(20)と対向するように前記第1の型(30)を位置決めする工程と、 前記箔固定保持具(20)に向かって前記第1の型(30)を移動させて、前記第1の型(30)又は前記箔(10)の表面それぞれと、前記付着ドット(41、141)との接触を確実にする工程と、 前記箔固定保持具(20)を退避させる工程と、 前記第2の型(120)から前記箔(10)を離隔させて、前記第1の型(30)と対向するように該第2の型(120)を位置決めする工程と、 注入口を備える型キャビティ(45、155)を形成するために、前記第1の型(30)と前記該第2の型(120)とを、両者の周囲において、封止架橋要素(90)により連結し、前記箔(10)の縁(11)が前記封止架橋要素(90)から離隔し前記付着ドット(41、141)と前記箔(10)と前記第1の型(30)の下側(31)との間に経路(112)を含む組立体を構築する工程と、 前記型キャビティ(45、155)にモノマーを注入する工程と、 前記モノマーを硬化してポリマーブロック又は完成したレンズにする工程と、 前記組立体を分解することにより、前記第1の型(30)及び前記第2の型(120)を前記ポリマーブロック又は前記完成したレンズから取外す工程とを含み、 前記方法は、前記第1の型(30)を移動させて前記付着ドット(41、141)との接触を確実にする工程の後に、さらなる工程として、 前記第1の型(30)を移動させて、接触した前記付着ドット(41、141)を伸縮させることにより、前記第1の型(30)と前記箔(10)との間隔を所望の距離に調整する工程を含み、 前記第1の型の前記移動が、前記第1の型の環状下側(31)と、前記箔固定保持具の外側上面(24)との間に係合するように構成された距離調整スプレッダーにより行われることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第1の型(30)は表型前記第2の型(120)は裏型又はその逆である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記湾曲面(13、14)である少なくとも一つの領域を有する箔(10)を用意する工程は、 平面状の箔(10)を一つ以上の所定の位置に付する工程と、 前記箔(10)の少なくとも一つの領域が湾曲面となるように前記箔(10)を変形する工程とを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記箔固定保持具(20)上に前記箔(10)を位置決めする工程は、真空ポンプに接続される一つ以上の凹部(25)を含む前記箔固定保持具(20)の平坦な面(23)上に、前記箔(10)の平坦な面部分(12)を位置決めして、前記平坦な面(23)に対する前記箔(10)の前記平坦な面部分(12)の吸引を確実にする工程を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記箔固定保持具(20)上に前記箔(10)を位置決めする工程は、前記箔固定保持具(20)の平坦な面(23)上に前記箔(10)の平坦な面部分(12)を位置決めする工程を含み、前記箔(10)の前記縁(11)は、前記箔固定保持具(20)の肩部(26)に当接する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
等角度間隔で互いに離隔させて、付着ドット(41)が設けられる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記付着ドット(41)は、前記箔(10)の平坦リング部(12)上の固定領域である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記付着ドット(41)は、前記箔(10)の上方から見て円形の液滴である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
4個から20個の付着ドット(41)が設けられる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記箔(10)の縁(11)及び前記封止架橋要素(90)が、それらの間に環状経路を画定し、この環状経路(112)は、前記箔(10)と周囲の型面(32132)との間の最小距離よりも小さくない直径を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の型(30)の位置決め工程の後に、さらなる工程として、 前記箔固定保持具(20)上の前記箔(10)に対して前記第1の型(30)の位置を調整する工程を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
生成物がポリマーブロックの場合、前記組立体を分解した後に、さらなる工程として、 所望の処方に従って、裏面及び/又は表面を研削及び研磨する工程と、 前記ポリマーブロックから前記箔が埋め込まれたレンズを切り出し、フレームに嵌め込む工程とを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記接着剤は硬化性の接着剤であり、それぞれ前記付着ドット(41、141)を前記第1の型(30)の面(31)又は前記箔(10)と接触させ 前記箔固定保持具(20)を取外す前に、前記接着剤を硬化させる請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記付着ドット(41)を設ける工程において、前記付着ドット(41)を形成する接着剤を全て同時に塗布する工程を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記付着ドット(41)を設ける工程は、箔(10)から第1の型(30)までの距離を広げることができるように、複数の付着ドットを、順に互いの上に重ねて設ける2つ以上のサブ工程と、ドットの各層間での間欠的な硬化/固化工程とを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箔が埋め込まれたレンズを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学的ヘッドマウントディスプレイは、投影された画像を反射すると同時に、ユーザがそれを通して見ることで、拡張現実(オーグメンテッド・リアリティ)を生じさせることのできるウェアラブルデバイスに関する。
【0003】
米国特許第6,353,503号は、眼鏡への内蔵に適した大きさにヘッドマウントディスプレイ光学系を縮小することに関し、光学素子は、眼鏡のレンズ内側に設けられ、眼鏡のレンズの表面でかなりの程度屈折して外部光学系に連結される。これにより、軸上の光学系からのずれの程度をかなり低減でき、収差を同程度に低減できる。図6によれば、上記レンズは、射出成型、鋳造、又は切削、及び研磨を含む、当該技術に公知の種々の技術により形成される、2つの部品を用いて組立て可能である。これらの部品のうちの一方の表面に、所望の偏光又は波長を反射するように設計された多層薄膜を被覆する。例えば、画像ソースが、狭帯域の赤、緑、及び青の光によって映ずる場合、これらの膜は、こうした特定の波長域を反射し、それ以外を透過するように設計される。あるいは、多くのアクティブ・マトリックス型液晶ディスプレイのように、画像ソースが直線偏光を発する場合、上記多層は、一方の直線偏光を反射し、直交する直線偏光を透過させるように選択される。偏光選択被膜及び波長選択被膜のいずれも光学技術分野においては周知である(例えば、W. J. Smith、”Modern Optical Engineering,” McGraw-Hill、p.192.を参照)。第3の選択肢は、正確な厚さは使用する材料により決まるが、例えば、数百オングストロームのオーダの厚みを有するアルミニウム、クロム、又は銀の層により形成され得るような、光の約半分を透過し、光の約半分を反射する薄い金属被膜を用いることである。多層被膜の代わりに又はこれに加えて、回折層又はホログラフィ層を使用することも可能である。そのような場合、まず、ホログラフィ層又は回折層を別個に形成し、次に、2つの湾曲した、傾斜した、又は平坦な部品の間に配置する。その曲率又は傾斜は、所望の光学設計による。
【0004】
欧州特許公報第2930013号は、装飾部品を有する眼鏡レンズを製造する方法であって、一つ以上の装飾部品を、平面状の箔の一箇所以上の所定の位置に付ける工程と、その後、平坦な境界帯を残しつつ、箔の少なくとも一つの領域が湾曲面となるように、箔を永久的に変形する工程と、その後、変形した箔を表型と裏型との間に位置決めし、箔の平坦な境界帯を接着剤で該2つの型のうちの一方に接続して、注入口を備える型キャビティを形成するために複合体を構成する工程とを含み、変形した箔は、表型及び裏型から離隔しており、さらにその後、型キャビティにモノマーを注入する工程と、その後、モノマーを硬化してモノマーブロックにする工程と、その後、複合体を分解することにより、モノマーブロックから該2つの型を取外す工程と、その後、眼鏡レンズをモノマーブロックから切り出す工程とを含む方法に関する。
【0005】
米国特許出願公開公報第2016/0176131号は、請求項1の前文に記載の特徴を備える、箔が埋め込まれたレンズを製造する方法を開示する。
【発明の開示】
【0006】
本発明の目的は、光学フィルムを挟んだ2つの部品を用いる先行技術に内在する制約を克服することであり、また、本発明の目的は、硬化されたモノマーを用いてレンズを作製する場合に、型キャビティ内側の箔の位置決めを改良することである。
【0007】
箔が埋め込まれたレンズを製造する方法であって、表型を用意する工程と、箔固定保持具を用意する工程と、裏型を用意する工程と、湾曲面である少なくとも一つの領域を有する箔を用意する工程と、前記箔を前記箔固定保持具上に位置決めする工程と、付着ドットを形成する接着剤の塗布により、前記箔固定保持具と反対側の前記箔の面部分上に付着ドットを設ける工程と、前記箔固定保持具と対向するように前記表型を位置決めする工程と、前記箔固定保持具に向かって前記表型を移動させて、前記表型の表面と前記付着ドットとの接触を確実にする工程と、前記箔固定保持具を退避させる工程と、前記裏型から前記箔を離隔させて、前記表型と対向するように前記裏型を位置決めする工程と、注入口を備える型キャビティを形成するために、表型と裏型とを、両者の周囲において、封止架橋要素により連結しし、箔の縁が架橋要素から離隔し、付着ドットと箔と表型の裏側との間に経路を含む組立体を構築する工程と、前記型キャビティにモノマーを注入する工程と、前記モノマーを硬化してポリマーブロックにする工程と、前記組立体を分解することにより、前記ポリマーブロックから表型及び裏型を取外す工程と、前記箔が埋め込まれたレンズをモノマーブロックから切り出す工程とを含み、上記方法は、第1の型を移動させて付着ドットとの接触を確実にする工程の後に、さらなる工程として第1の型を変位させて、第1の型と箔との間隔を所望の距離に調整する工程を含む。
【0008】
裏型又は下側の固定型を最初に用意する工程にとって有利であるのは、型と箔とに接触した付着ドットを伸縮させ、第1の型から箔までの最終的な距離を規定するために、表型から箔までの距離を調整する型と保持具の移動工程を以て、複数の付着ドットを介して、表型の裏側に明確に規定された領域に、箔を確実に位置決めできることにある。
【0009】
任意で傾斜角度を調整してもよい、レンズの表面から箔までの距離を規定する調整工程を追加することにとって有利であるのは、この方法により、本発明では、最終的な光学レンズの両面に対して、直接箔を位置合わせすることができることを以て、最終的なレンズの処方に対して適切な2つの型を選択することで、処方に従うレンズを直接鋳造することができることである。本発明に従う当該手順は、レンズ両面との正確な距離が、偏光箔よりも極めて重要である、拡張現実の用途に対して一定の利益がある。
【0010】
2つの型についての表及び裏という文言は、交換可能であり、箔の固定は、接着剤ドット(点)を裏型又は形成された箔に吐出することにより、裏型に対して行ってもよいことは明らかである。この場合、(図7と比較して)凸側が下向きになる。これは、表型を第1の型と呼び、裏型を第2の型と呼ぶ、請求項の文言に反映されている。
【0011】
付着ドット(アタッチメント・ドット)は、接着剤ドット、すなわち硬化性、特にレンズのモノマーがキャビティを充填する前に硬化される紫外線硬化性の接着剤ドットであってもよい。好ましくは、これらのドットは、等角度間隔で互いに離隔させて配置される。4個から20個の固定ドット(フィクセーション・ドット)があってもよい。これらは、箔の周縁付近のリング部であってもよい。上記湾曲した箔は、平坦な外側リング部を含むと有利である。しかしながら、箔全体が湾曲していてもよい。この時に好ましくは、表型の裏側だけでなく裏型の対応する付着面が同じく相補的に湾曲している。
【0012】
湾曲面である少なくとも一つの領域を有する箔を用意する工程は、平面状の箔を一つ以上の所定の位置に付する工程と、箔の少なくとも一つの領域が湾曲面となるように箔を変形する工程とを含む。
【0013】
箔固定保持具上に箔を位置決めする工程は、真空ポンプに接続される一つ以上の凹部を含む箔固定保持具の平坦な面上に箔の平坦な面部分を位置決めして、上記平坦な面に対する箔の平坦な面部分の吸引を確実にする工程を含む。
【0014】
箔固定保持具上に箔を位置決めする工程は、箔固定保持具の平坦な面上に箔の平坦な面部分を位置決めする工程を含み、箔の縁は、箔固定保持具の肩部に当接する。
【0015】
第1の型の位置決め工程の後に、さらなる工程として、箔固定保持具上の箔に対して第1の型を角度方向及び横方向に位置を調整する工程を含んでいてもよい。
【0016】
第1の型を移動させて付着ドットの接触を確実にした後に、第1の型をさらに移動させて、第1の型と箔との間隔を所望の距離に調整してもよい。したがって、第1の型の環状下側と箔固定保持具の外側上面との間に係合するように、距離調整スプレッダーを設けてもよい。型と箔との間に付着ドットを接触させるので、距離調整スプレッダーは、例えば、型と保持具との間の距離を増減することができ、それにより付着ドットを伸縮し、接着剤を固化、又は好ましくは硬化させたとき、型と保持具上の箔との間の当該距離(及び角度関係)を最終的に確定することができる。
【0017】
本方法の生成物がポリマーブロックである場合、解体工程の後に、所望の処方に従って裏面及び/又は表面を研削及び研磨することと、箔が埋め込まれたレンズをポリマーブロックから切り出してフレームに嵌め込むこととに関して、さらなる工程を追加することが可能である。
【0018】
付着ドットを設ける工程において、複数の出口及び噴出孔を備える接着剤の吐出ヘッドを用意し、上記付着ドットを形成する接着剤を全て同時に塗布してもよい。
【0019】
付着ドットを設ける工程が、箔から第1の型までの距離を広げることができるように、複数の付着ドットを、順に互いの上に重ねて設ける2つ以上のサブ工程を含む場合、本方法はさらに用途が広がる。これらのサブ工程のいずれかの各付着ドットは、ドットの各層間における間欠的な硬化工程において、間欠的に硬化し、固化される。
【0020】
この発明のさらなる実施形態は、従属クレームに定められる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態に係る方法の開始時における箔の側面図を示す。
図2図2は、図1の箔を上から見た図を示す。
図3図3は、成形工程を経た後の図1の箔の側面図を示す。
図4図4は、図3の箔を上から見た図を示す。
図5図5は、図3の箔及び固定ドットとともに、本発明の実施形態に係る箔固定保持具の断面図を示す。
図6図6は、箔固定保持具を省略した、図5に示す箔を上から見た図を示す。
図7図7は、固定ドットの上方に表型を位置決めした後の、図5の箔と箔固定保持具の断面図を示す。
図8図8は、表型を破線で示した、図7に示す箔を上から見た図を示す。
図9図9は、固定ドットに表型を接触させた後の図7の組立体の断面図を示す。
図10図10は、表型を破線で示した、図9に示す箔を上から見た図を示す。
図11図11は、接着剤ドットの硬化工程中に固定ドットに表型を接触させた後の、図7に示す組立体の断面図を示す。
図12図12は、表型を破線で示した、図9に示す箔を上から見た図を示す。
図13図13は、図9の詳細な断面図を示す。
図14図14は、図9と同様に組立体の断面図を示しており、封止された型キャビティを形成するために、箔固定保持具が裏型と置き換えられている図である。
図15図15は、図14の詳細な断面図を示す。
図16図16は、全ての付着ドットを同時に塗布するための複式ドット吐出ツールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照し以下に記載するが、これらの実施形態は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、これを限定するものでない。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る方法の開始時における箔10の側面図を示す。図2は、図1の箔10を上から見た図を示す。図3は、成形工程を経た後の図1の箔10の側面図を示し、図4は、図3の箔を上から見た図を示す。箔10は、平坦リング部12を含み、内側部分は製造するレンズの要求に応じて湾曲させてある。符号11は、箔10の外側の円形の縁に関する。箔10は、凸面14と凹面13とを含む。先行技術に公知の種々の箔形状成形工程を用いることができる。
【0024】
面14の外側の曲率は、一般的に、例えば、図13に示すように、表型30の内側面及び凹面下側32と同心状になるように予め定められている。面14の外側の曲率は、例えば、図15に示すように、下型120の内側面及び凸面132と同心状になるように設けられてもよい。箔10は、製造するレンズ内に完全に密封される。
【0025】
図5は、図3の箔10、及び固定ドット41とともに、本発明の実施形態に係る箔固定保持具20の断面図を示す。図6は、箔固定保持具20を省略した、図5に示す箔10を上から見た図を示す。
【0026】
箔10は、箔固定保持具20の内側上面23上に位置決めされ、これは図13に見やすくなっている。箔固定保持具20は、前記内側上面に連なる円形の側方肩部22に囲まれた基面21を含む。図13は、好適に設けられた円形の当接肩部26を示す。箔10の外縁11が肩部26に当接する状態が図示される。より大きい径の箔固定保持具20を設けることにより、必ずしも箔10の縁11が肩部26に接する必要がないようにすることも可能である。いずれにせよ、平坦リング部12の下側が、内側上面23上に位置し、特に好ましくは環状の凹部25を覆う。凹部25は、完全な環状とせずに、いくつかの部分、例えば、互いに120度の角度で隔てられた3か所に設けられているだけでもよい。これらの凹部25は、平坦リング部12により凹部の上開口部が塞がれたときに、凹部から流体を吸い出して、凹部25内を真空にするポンプに接続される。多数の隔てられた孔を設けることも可能である。これにより、箔10は、箔固定保持具20上の所定位置に保持され、箔10が埋め込まれたレンズの次の製造工程で使用可能となる。
【0027】
他の実施形態では、基面21は落ち窪んではおらず、内側上面23と基面21とは同じ高さにある。なお、表型30ではなく、その代わりに裏型120に箔10を付着する場合、平坦リング部12の下になる肩部22とともに、落ち窪んだ部分を設ける。そして、この落ち窪んだ部分に、箔10の凸部を入り込ませる。
【0028】
箔10の平坦リング部12上には、30度の等角度間隔で互いに離隔させた12個の固定ドット41が設けられる。固定ドット41は、円形の液滴として示される。それらは、吐出弁と針とを含む図5に示すような固定ドット塗布器42により塗布され得る。これらは、紫外線硬化性接着剤を含むか、又は紫外線硬化性接着剤からなっていてもよい。2つの異なる固定ドット41の間の距離はそれぞれ、好ましくは、近似するか、又は等しい。もちろん、例えば、8個又は6個などのより少ない数の固定ドットを用いても、又は20個などのより多い数の固定ドット41を用いてもよい。しかしながら、固定ドット41の間には、角度方向に空いたスペースを残すことが重要である。別の実施形態では、平坦リング部12上に固定領域(フィクセーション・エリア)を設けることも可能である。すなわち、平坦リング部12上の図5の固定ドット41のうち2つの間の環状の部分の全部を埋めてもよい。固定部塗布工程は、箔10を内側上面23に保持して吸引しながら行う。
【0029】
表型30の環状下側31上に、固定ドット41を設けることも可能である。そのような場合、図5及び図6は、箔10の位置決めのみを含むことになり、ドット41の塗布は、表型30に対して行われることになる。これは、図7のドット41を、箔10に付着させるのではなく、その代わりに表型30に付着させることを意味する。さらなる実施形態(図示せず)において、箔固定保持具20とともに使用するときの表型30と裏型120との役割が逆になる場合、すなわち、箔固定保持具20が、表型30とではなく、その代わりに裏型120と連結されて使用される場合には、固定ドット41を、箔10に付着させるのではなく、その代わりに裏型120に付着させる。
【0030】
図7は、固定ドット41の上方に表型30を位置決めした後の、図5に従う箔10と箔固定保持具20の断面図を示しており、型30の環状下側31は、固定ドット41の表面から、まだ少し離れている。図8は、表型30を破線で示した、図7に示す箔10を上から見た図を示す。箔固定保持具20と表型30との間の箔10の位置によって空間ができる。すなわち、箔10の上側14と凹面下側32との間に表型キャビティ45ができ、箔10の下側13と箔固定保持具20の基面21との間に裏型キャビティ55ができる。
【0031】
図9は、付着した固定ドット(アタッチド・フィクセーション・ドット)141となったそれの表型30への接触/濡れがなされた後の、図7の組立品の断面図を示し、図10は、表型30を破線で示した、図9に示す箔10を上から見た図を示す。この工程では、箔固定保持具20に対する直進運動によって、表型30を移動させることにより、表型30の環状下側面31との固定ドット41の接触/濡れを確実にして、すなわち箔10と型30とに接触させて、付着した固定ドット141とする。
【0032】
付着した固定ドット141を硬化する前に、第1の型又は固定保持具をさらに移動させて、第1の型と箔との間隔を所望の距離に調整することができる。したがって、表型30の環状下側31と箔固定保持具の外側上面との間に係合するように距離調整スプレッダー(図示せず)を設けてもよい。表型30と箔10との間に付着した固定ドット141を接触させたので、距離調整スプレッダーは、型30と保持具との間の距離を増減することにより、付着した固定ドット141を伸縮させることができる。ここで、接着剤が固化するか、又は好ましくは以下に説明するように硬化するとき、型30と保持具上の箔10との間の上記距離(及び角度の関係)を最終的に確定することができる。
【0033】
図11は、付着した接着剤固定ドット41の硬化工程中に、固定ドット41に表型30を接触させた後の、図7の組立体の断面を示す。すなわち、図11は、硬化中/硬化後であり、時期が遅いだけで、図10と同じ状況を示す。図12は、表型30を破線で示した、図11に示す箔10を上から見た図である。実質的に紫外線光を透過する表型30の上に、硬化ランプ100を位置させる。その後、付着した固定ドット141が表型30に固定され、凹部25内を吸引するポンプを停止することで、真空が解除される。そして、以下に説明するような箔が埋め込まれたレンズを製造するために、箔固定保持具20が取り外されて、裏型120と置き換えられる。
【0034】
図13は、図9の詳細な断面図であって、箔固定保持具20が、基面21と、平行な内側上面23及び外側上面24、これらを接続する二つの円形の肩部22及び26を有することを示す。もちろん、箔10と製造するレンズとが円形ではなく、例えば、楕円形である場合、箔固定保持具20と型30とは、同様の例えば楕円形の外側領域を有する。ドット41の固定が、下側31の内側部分で行われることと、箔10の縁11が下側31の下で終端し、表型30の外縁面33まで延在しないこととに留意することが重要である。これは、とりわけ箔固定保持具20の当接肩部26により確実にされる。同じ特徴は、箔10を表型30に付着させる代わりに裏型120に付着させる場合にも当てはまる。
【0035】
製造するレンズの光学軸は、内側上面23に対して垂直であり、かつ、表型30の外縁面33に平行である。
【0036】
しかしながら、箔10全体が湾曲し、平坦リング部分12がなくてもよい。この時、これに対応する表型30の裏側31だけでなく裏型20の付着面23も、好ましくは同じく相補的に湾曲する。そして、箔10の縁部の曲率に従って、固定ドット41及び塗布器42も傾斜する。同じことが、固定ドット41を表型30の環状下側31上に塗布してから、箔10と相補的に湾曲させる場合にも当てはまるが、本方法の基本として、表型30の代わりに裏型120を用いたい場合、固定ドット41を裏型120に付着させることも可能である。
【0037】
図14は、図9と同様に組立体の断面図を示しており、封止要素(テープ又はガスケット)90を用いてレンズを製造するために、箔固定保持具20が、裏型120に置き換えられている。そして、図15は、図14の詳細な断面図を示す。換言すれば、固定ドット141を硬化した後、箔固定保持具20は、移動され、製造するレンズの縦軸と平行に縦方向に遠ざけられて、図14に示すように裏型120と置き換えられる。次に、2つの型30と型120との間の位置関係、したがって硬化した固定ドット141を介して表型30に付着されて、内側に位置決めされた箔10の位置関係が一定となるようにして、製造組立品を構成する型30と型120との周囲にテープ90を巻きつける。図15からわかるように、この製造組立体は、後にレンズ体積を規定する内側表型キャビティ45と内側裏型キャビティ155とを規定する。平坦リング部12の外縁11は、周囲においてテープ90と接触していない。その代わりに、少なくとも一部分において、箔10と、周囲の型面32及び型面132との間の最小距離の範囲内の、特に、箔10と、周囲の型面32及び型面132との間の最小距離よりも小さくない直径を有する環状経路112が存在する。
【0038】
硬化した固定ドット141により箔10が付着した表型30を裏型120と組合せ、封止要素(テープ又はガスケット)90で封止し、閉鎖された型キャビティを構築する。そのような閉鎖した型キャビティの構築は、例えば、国際公開第2006/003099号に記載されている。
【0039】
次に、製造工程において、型120と型30との間の符号91で示される領域、好ましくは裏型キャビティ155側の領域で、テープ90又は対応するガスケットに、開口部を設ける。組立体は、後のレンズの光学軸が水平方向になるように位置決めされて、キャビティ45及び155が概ね垂直に配置されるようにするのが好ましい。キャビティ45及び155は、相互に連通しているので、これらは一つのキャビティを形成する。次に、開口部からキャビティ内に、液体モノマーを注入する。通気口としての第2の開口部をテープ、好ましくは組立体の上側に位置するテープに設ける。
【0040】
充填が組立体の上側から行われる場合、通気口は、第1の開口部の付近に設ける。充填が組立体の下側から加圧下で行われる場合、通気口は、充填開口部と反対側に設ける。これにより、モノマーは、上から下に流れて、垂直に配置されたキャビティ45及び155に上方から充填されるか、又は下方から開口部を通ってモノマーを押し込みながら、キャビティ45及び155内の残存するガス又は空気を押しのけて置き換わる。
【0041】
いずれの場合も、モノマーが箔10の周りを流れる間、付着した固定ドット141が箔10を予め定められた位置に維持する。そして、モノマーは、箔10の縁11とテープ90との間の経路112を通ってから、付着した固定ドット141同士の間の角度方向の領域を通ってキャビティ空間45に入ることができる。
【0042】
充填工程が終了して、モノマーが通気口から流出したならば、組立体を硬化することができ、箔が埋め込まれたレンズブランクが得られる。組立体の硬化は、硬化照明下で紫外線硬化として行われても、熱硬化として行われてもよい。
【0043】
図16は、全ての付着ドットを同時に塗布するための複式ドット吐出ツールを示す。このツールは、吐出ヘッドの上ケース体202及び下ケース体203を含み、これらは周囲に複数の同心孔206を有する。これらの同心孔206には、ボルトねじ、又はさらなる取付け手段を設けて、2つのケース体部202及び203を互いに固定することができる。上ケース202は、好ましくは、外部の接着剤貯留槽に接続される中央貯留槽接続部205を含み、接着剤は、接続部205を通って上ケース体202内の内部キャビティ204に移送され、接着剤の均一な吐出が行われる。換言すれば、接着剤は、中央接続部205を通って貯留部204を満たし、縁に向かってだんだん浅くなるキャビティ204の周囲に向かって広がっていき、吐出ヘッド200の下部203の開口部に向かって連続的かつ均一に分配されることが可能になる。
【0044】
下ケース体203は、多数の周方向孔209を、好ましくは等角度間隔で備える平坦な上面を有する。図16は、16個のそのような孔209と、孔209の内側に位置する、対応する16個のノズル201とを備え、好ましくは、開口部207が下ケース体203の上面と同一平面にある実施形態を示す。これは、接着剤、融着又は接合による接続であり得る。ノズル201は、同じ長さの中空管である。各ノズル201の口部208がノズル201の長手方向に直角な同じ面内にあるように、全てのノズル201の長さは等しい。すなわち、全てのノズル201の全ての口部208は、付着ドット41としての接着剤が接触する箔までの距離が同じになるように位置決めされ、接着剤は、接続体205、キャビティ204及びノズル201の対称的な配置により均一に吐出される。
【0045】
付着ドット41を設ける工程が、上記付着ドット41を形成する接着剤を全て同時に塗布する工程を含むと、本方法をより速く実行することができる。
【0046】
そのようなドットの同時塗布は、付着ドット41を設ける工程が、複数の付着ドットを、順に互いの上に重ねて設ける2つ以上のサブ工程を含む場合、より好ましい。各ドットの層間で、硬化/固化工程を断続的に行うことにより、箔10から表型30までの距離を広げることができる。
【0047】
上記の付着ドットの同時生成の方法を行う装置は、独立型の装置として使用可能である。
【符号の説明】
【0048】
10 箔
11 縁
12 平坦リング部
13 下側
14 上側
15 移行部
20 箔固定保持具
21 基面
22 側方肩部
23 内側上面
24 外側上面
25 環状の凹部
26 当接肩部
30 表型
31 環状下側
32 凹面下側
33 外縁面
41 塗布された固定ドット
42 固定ドット塗布器
45 表型キャビティ
55 裏型キャビティ
90 封止要素(テープ又はガスケット)
91 開口領域
100 硬化ユニット(紫外線ランプ又は熱ヒーター)
112 環状経路
120 裏型
132 凸面
141 付着した固定ドット
155 裏型キャビティ
200 吐出ヘッド
201 吐出ノズル
202 吐出ヘッドの上部
203 吐出ヘッドの下部
204 接着剤の均一吐出のためのキャビティ
205 貯留槽接続部
206 接続孔
207 吐出ノズルの開口部
208 口部/噴出口
209 ノズル収容孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16