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特許7191027X線検出パネルとその製造方法およびX線検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】X線検出パネルとその製造方法およびX線検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/20 20060101AFI20221209BHJP
   H01L 27/144 20060101ALI20221209BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
G01T1/20 E
H01L27/144 K
A61B6/00 300Q
A61B6/00 300S
G01T1/20 G
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019536549
(86)(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 CN2018107600
(87)【国際公開番号】W WO2019148861
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】201810102744.2
(32)【優先日】2018-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】507134301
【氏名又は名称】北京京東方光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Xihuanzhonglu, BDA, Beijing, 100176, P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲華▼ ▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】米 磊
(72)【発明者】
【氏名】薛 ▲艶▼娜
(72)【発明者】
【氏名】▲包▼ 智▲穎▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 勇
(72)【発明者】
【氏名】白 ▲ル▼
(72)【発明者】
【氏名】王 景棚
(72)【発明者】
【氏名】方 浩博
(72)【発明者】
【氏名】林 ▲堅▼
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-172101(JP,A)
【文献】特開2016-032053(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0302969(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/20
H01L 27/144
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトダイオードと、
自らを経由して前記フォトダイオードに主バイアス電圧を供給するように配置された主バイアス電圧信号線と、
自らを経由して前記フォトダイオードに補助バイアス電圧を供給するように配置された補助バイアス電圧信号線と、を備え、
前記補助バイアス電圧信号線は前記主バイアス電圧信号線と電気的に接続される、X線検出パネルであって、
前記補助バイアス電圧信号線が前記主バイアス電圧信号線と電気的に接続される位置で前記主バイアス電圧を補償することができる前記補助バイアス電圧を前記補助バイアス電圧信号線に供給するように配置された補助バイアス電圧信号源をさらに含む、X線検出パネル
【請求項2】
前記補助バイアス電圧信号線の延出方向は前記主バイアス電圧信号線の延出方向に垂直である、請求項1に記載のX線検出パネル。
【請求項3】
前記主バイアス電圧信号線のある層を覆う第1のパッシベーション層をさらに備え、
前記補助バイアス電圧信号線は前記第1のパッシベーション層に設けられ、
前記補助バイアス電圧信号線は前記第1のパッシベーション層を貫通する第1のビアを介して、前記主バイアス電圧信号線と電気的に接続される、請求項1に記載のX線検出パネル。
【請求項4】
前記第1のパッシベーション層に設けられるボンディングパッドと、
前記第1のパッシベーション層の下方に設けられるリードと、をさらに備え、
前記ボンディングパッドは少なくとも前記第1のパッシベーション層を貫通する第2のビアを介して前記リードと電気的に接続され、
前記補助バイアス電圧信号線は前記ボンディングパッドと同一の層に設けられ、
前記補助バイアス電圧信号線と前記ボンディングパッドは透明電極材料からなる、請求項3に記載のX線検出パネル。
【請求項5】
スイッチングトランジスタをさらに備え、
前記スイッチングトランジスタの第1極は前記フォトダイオードのアノードと電気的に接続される、請求項2~4のいずれか一項に記載のX線検出パネル。
【請求項6】
前記主バイアス電圧信号線が金属材料からなり、前記スイッチングトランジスタを覆う、請求項5に記載のX線検出パネル。
【請求項7】
前記フォトダイオードのある層を覆う平坦化層と、
前記平坦化層を覆う第2のパッシベーション層と、を備え、
前記主バイアス電圧信号線は前記第2のパッシベーション層に形成され、前記第2のパッシベーション層と前記平坦化層を貫通する第3のビアを介して、前記フォトダイオードのカソードと電気的に接続される、請求項3または4に記載のX線検出パネル。
【請求項8】
前記X線検出パネルの入光面に設けられ、X線を可視光に変換することができるシンチレータ層をさらに備えた、請求項1~4のいずれか一項に記載のX線検出パネル。
【請求項9】
複数のフォトダイオードと、
自らを経由して前記複数のフォトダイオードの各々に主バイアス電圧を供給するように配置された複数本の主バイアス電圧信号線と、
自らを経由して前記複数のフォトダイオードの一部に補助バイアス電圧を供給するように配置された少なくとも1本の補助バイアス電圧信号線と、を備え、
前記少なくとも1本の補助バイアス電圧信号線はそれぞれ前記複数本の主バイアス電圧信号線の各々と電気的に接続される、X線検出パネルであって、
前記補助バイアス電圧信号線が前記主バイアス電圧信号線と電気的に接続される位置で前記主バイアス電圧を補償することができる前記補助バイアス電圧を前記補助バイアス電圧信号線に供給するように配置された補助バイアス電圧信号源をさらに含む、X線検出パネル
【請求項10】
前記複数本の主バイアス電圧信号線のある層を覆う第1のパッシベーション層をさらに備え、
前記少なくとも1本の補助バイアス電圧信号線は前記第1のパッシベーション層に設けられ、
前記少なくとも1本の補助バイアス電圧信号線は前記第1のパッシベーション層を貫通する第1のビアを介して、それぞれ前記複数本の主バイアス電圧信号線の各々と電気的に接続される、請求項9に記載のX線検出パネル。
【請求項11】
前記X線検出パネルは検出領域と、前記検出領域の少なくとも一方に位置する周辺領域とに分けられ、
前記検出領域は複数の検出ユニットに分けられ、前記複数の検出ユニットの各々には、いずれも前記複数のフォトダイオードのうちの1つのフォトダイオードが設けられており、
同一列における複数の検出ユニット内の複数のフォトダイオードのカソードは、同一の主バイアス電圧信号線と電気的に接続される、請求項9に記載のX線検出パネル。
【請求項12】
前記周辺領域に設けられた少なくとも1組のリードと、
第2のビアを介して前記1組のリードと電気的に接続される複数のボンディングパッドと、をさらに備え、
前記複数本の主バイアス電圧信号線は同一の層に設けられ、
前記少なくとも1本の補助バイアス電圧信号線は前記複数のボンディングパッドと同一の層に設けられ、
前記少なくとも1本の補助バイアス電圧信号線と前記複数のボンディングパッドは透明電極材料からなる、請求項11に記載のX線検出パネル。
【請求項13】
請求項9に記載のX線検出パネルと、
前記主バイアス電圧信号線を介して前記複数のフォトダイオードの各々に主バイアス電圧を印加するように配置された主バイアス電圧信号源と、を備えるX線検出装置。
【請求項14】
複数本のデータ線と、
複数本のゲート線と、をさらに備え、
前記複数本のデータ線は前記複数本のゲート線と交差して設けられて、前記X線検出パネルを、複数行の検出ユニットと複数列の検出ユニットとに分け、前記複数行の検出ユニットと複数列の検出ユニットの各々に1つのフォトダイオードと1つのスイッチングトランジスタが設けられ、
各列のスイッチングトランジスタは同一のデータ線に接続され、
各行のスイッチングトランジスタは同一のゲート線に接続され、
前記1つのスイッチングトランジスタの第1極は前記検出ユニットにおけるフォトダイオードのアノードと電気的に接続され、
前記1つのスイッチングトランジスタの第2極は複数本のデータ線のうちの1本と電気的に接続され、
前記1つのスイッチングトランジスタのゲートは複数本のゲート線のうちの1本と電気的に接続される、請求項13に記載のX線検出装置。
【請求項15】
前記X線検出パネルは検出領域と、前記検出領域の少なくとも一方に位置する周辺領域とに分けられ、
前記複数行の検出ユニットと複数列の検出ユニットは前記検出領域に設けられ、
前記補助バイアス電圧信号源と前記主バイアス電圧信号源は前記周辺領域に設けられる、請求項13に記載のX線検出装置。
【請求項16】
ベース基板を提供する段階と、
前記ベース基板にフォトダイオードを形成する段階と、
前記フォトダイオードに、主バイアス電圧信号線を含むパターンを形成する段階であって、前記主バイアス電圧信号線は前記フォトダイオードのカソードと電気的に接続される段階と、
前記主バイアス電圧信号線のパターン上に、補助バイアス電圧信号線を含むパターンを形成する段階であって、前記補助バイアス電圧信号線は前記主バイアス電圧信号線と電気的に接続される段階と、を含む、X線検出パネルの製造方法であって、
前記補助バイアス電圧信号線が前記主バイアス電圧信号線と電気的に接続される位置で前記主バイアス電圧を補償することができる前記補助バイアス電圧を前記補助バイアス電圧信号線に供給する補助バイアス電圧信号源を提供する段階をさらに含む、製造方法
【請求項17】
前記主バイアス電圧信号線を含むパターンを形成する段階と、前記補助バイアス電圧信号線を含むパターンを形成する段階との間に、
前記主バイアス電圧信号線のある層に第1のパッシベーション材料層を形成する段階と、
前記補助バイアス電圧信号線を含むパターンを形成する段階で得られた前記補助バイアス電圧信号線が、第1のビアを介して前記主バイアス電圧信号線と電気的に接続されるように、第1のパッシベーション材料層を貫通する前記第1のビアを形成する段階と、をさらに備える、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記第1のパッシベーション材料層を形成する段階の前に、少なくとも1組のリードを含むパターンを形成する段階と、
前記第1のパッシベーション材料層を形成した後、前記リードが露出するように、少なくとも前記第1のパッシベーション材料層を貫通する第2のビアを形成する段階であって、前記第1のビアと前記第2のビアは1回の構図工程により形成される段階と、
前記第2のビアを形成した後、前記第2のビアを介して前記リードと電気的に接続されるボンディングパッドを含むパターンを形成する段階であって、前記補助バイアス電圧信号線のパターンと前記ボンディングパッドのパターンは1回の構図工程により形成される段階と、をさらに含む、請求項17に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年2月1日に中国特許庁へ提出された第201810102744.2号の特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容を参照により本願に援用する。
【0002】
本願は、X線検出デバイス分野に関わっており、具体的にX線検出パネル、当該X線検出パネルの製造方法および当該X線検出パネルを含むX線検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
デジタル医療の普及に伴い、一般的な医療機器におけるX線検出器には徐々にフラットパネルX線検出器が用いられるようになっている。通常のフラットパネルX線検出器では、フォトダイオードの電流がX線の影響を受け、バイアス電圧信号線における電流を検出することでX線の強度を確認することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の一形態では、フォトダイオードと、自らを経由して前記フォトダイオードに主バイアス電圧を供給するように配置された主バイアス電圧信号線と、自らを経由して前記フォトダイオードに補助バイアス電圧を供給するように配置された補助バイアス電圧信号線と、を備え、前記補助バイアス電圧信号線が前記主バイアス電圧信号線と電気的に接続されるX線検出パネルを提供する。
【0005】
一実施例において、前記補助バイアス電圧信号線の延出方向は前記主バイアス電圧信号線の延出方向に垂直である。
【0006】
一実施例において、第1のパッシベーション層は前記主バイアス電圧信号線のある層を覆う。前記補助バイアス電圧信号線は前記第1のパッシベーション層に設けられ、前記補助バイアス電圧信号線は前記第1のパッシベーション層を貫通する第1のビアを介して、前記主バイアス電圧信号線と電気的に接続される。
【0007】
一実施例において、ボンディングパッドは前記第1のパッシベーション層に設けられる。リードは前記第1のパッシベーション層の下方に設けられる。前記ボンディングパッドは少なくとも前記第1のパッシベーション層を貫通する第2のビアを介して前記リードと電気的に接続される。前記補助バイアス電圧信号線は前記ボンディングパッドと同一の層に設けられる。前記補助バイアス電圧信号線と前記ボンディングパッドは透明電極材料からなる。
【0008】
一実施例において、前記スイッチングトランジスタの第1極は前記フォトダイオードのアノードと電気的に接続される。
【0009】
一実施例において、前記主バイアス電圧信号線は金属材料からなり、前記スイッチングトランジスタを覆う。
【0010】
一実施例において、平坦化層は前記フォトダイオードのある層を覆う。第2のパッシベーション層は前記平坦化層を覆う。前記主バイアス電圧信号線は前記第2のパッシベーション層に形成され、前記第2のパッシベーション層と前記平坦化層を貫通する第3のビアを介して、前記フォトダイオードのカソードと電気的に接続される。
【0011】
一実施例において、シンチレータ層は前記X線検出パネルの入光面に設けられ、X線を可視光に変換することができる。
【0012】
本願の一形態では、複数のフォトダイオードと、自らを経由して前記複数のフォトダイオードの各々に主バイアス電圧を供給するように配置された複数本の主バイアス電圧信号線と、自らを経由して前記複数のフォトダイオードの一部に補助バイアス電圧を供給するように配置された少なくとも1本の補助バイアス電圧信号線と、を備え、前記少なくとも1本の補助バイアス電圧信号線がそれぞれ前記複数本の主バイアス電圧信号線の各々と電気的に接続される、X線検出パネルを提供する。
【0013】
一実施例において、第1のパッシベーション層は前記複数本の主バイアス電圧信号線のある層を覆う。前記少なくとも1本の補助バイアス電圧信号線は前記第1のパッシベーション層に設けられる。前記少なくとも1本の補助バイアス電圧信号線は前記第1のパッシベーション層を貫通する第1のビアを介して、それぞれ前記複数本の主バイアス電圧信号線における各々と電気的に接続される。
【0014】
一実施例において、前記X線検出パネルは検出領域と、前記検出領域の少なくとも一方に位置する周辺領域とに分けられる。前記検出領域は複数の検出ユニットに分けられ、前記複数の検出ユニットの各々には、いずれも前記複数のフォトダイオードの1つのフォトダイオードが設けられている。同一列における複数の検出ユニット内の複数のフォトダイオードのカソードは、同一の主バイアス電圧信号線と電気的に接続される。
【0015】
一実施例において、少なくとも1組のリードが前記周辺領域に設けられる。複数のボンディングパッドは第2のビアを介して前記1組のリードと電気的に接続される。前記複数本の主バイアス電圧信号線は同一の層に設けられる。前記少なくとも1本の補助バイアス電圧信号線は前記複数のボンディングパッドと同一の層に設けられる。前記少なくとも1本の補助バイアス電圧信号線と前記複数のボンディングパッドは透明電極材料からなる。
【0016】
本願の一形態では、上記X線検出パネルと、前記主バイアス電圧信号線を介して前記複数のフォトダイオードの各々に主バイアス電圧を印加するように配置された主バイアス電圧信号源と、前記少なくとも1本の補助バイアス電圧信号線を介して前記複数のフォトダイオードの一部に補助バイアス電圧を印加するように配置された補助バイアス電圧信号源と、を備えるX線検出装置を提供する。
【0017】
一実施例において、X線検出装置は複数本のデータ線と、複数本のゲート線と、をさらに備える。前記複数本のデータ線は、前記複数本のゲート線と交差して設けられて、前記X線検出パネルを、複数行の検出ユニットと複数列の検出ユニットとに分け、前記複数行の検出ユニットと複数列の検出ユニットの各々に1つのフォトダイオードと1つのスイッチングトランジスタが設けられる。各列のスイッチングトランジスタは同一のデータ線に接続される。各行のスイッチングトランジスタは同一のゲート線に接続される。前記1つのスイッチングトランジスタの第1極は前記検出ユニットにおけるフォトダイオードのアノードと電気的に接続される。前記1つのスイッチングトランジスタの第2極は複数のデータ線のうちの1本と電気的に接続される。前記1つのスイッチングトランジスタにおけるゲートは複数のゲート線のうちの1本と電気的に接続される。
【0018】
一実施例において、前記X線検出パネルは検出領域と、前記検出領域の少なくとも一方に位置する周辺領域とに分けられる。前記複数行の検出ユニットと複数列の検出ユニットは前記検出領域に設けられる。前記補助バイアス電圧信号源と前記主バイアス電圧信号源は前記周辺領域に設けられる。
【0019】
本願の一形態では、ベース基板を提供する段階と、前記ベース基板にフォトダイオードを形成する段階と、前記フォトダイオードに、主バイアス電圧信号線を含むパターンを形成する段階であって、前記主バイアス電圧信号線は前記フォトダイオードのカソードと電気的に接続される段階と、前記主バイアス電圧信号線のパターン上に、補助バイアス電圧信号線を含むパターンを形成する段階であって、前記補助バイアス電圧信号線は前記主バイアス電圧信号線と電気的に接続される段階と、を含む、X線検出パネルの製造方法を提供する。
【0020】
一実施例において、前記主バイアス電圧信号線を含むパターンを形成する段階と、前記補助バイアス電圧信号線を含むパターンを形成する段階との間に、前記主バイアス電圧信号線のある層に第1のパッシベーション材料層を形成する段階と、前記補助バイアス電圧信号線を含むパターンを形成する段階で得られた前記補助バイアス電圧信号線が、第1のビアを介して前記主バイアス電圧信号線と電気的に接続されるように、第1のパッシベーション材料層を貫通する前記第1のビアを形成する段階と、をさらに備える。
【0021】
一実施例において、前記製造方法は、前記第1のパッシベーション材料層を形成する段階の前に、少なくとも1組のリードを含むパターンを形成する段階と、前記第1のパッシベーション材料層を形成した後、前記リードが露出するように、少なくとも前記第1のパッシベーション材料層を貫通する第2のビアを形成する段階であって、前記第1のビアと前記第2のビアは1回の構図工程により形成される段階と、第2のビアを形成した後、前記第2のビアを介して前記リードと電気的に接続されるボンディングパッドを含むパターンを形成する段階であって、前記補助バイアス電圧信号線のパターンと前記ボンディングパッドのパターンは1回の構図工程により形成される段階と、をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面は、本願をよりよく理解するために提供するものであり、明細書の一部を構成し、下記の具体的な実施の形態とともに本願を解釈するものであるが、本願を限定するものではない。
【0023】
図1図1は本願の実施例に係るX線検出パネルの線路模式図である。
図2図2は本願の実施例に係るX線検出パネルにおける複数の検出ユニットの部分模式図である。
図3図3は本願の実施例に係るX線検出パネルの単一の検出ユニットの模式図である。
図4図4図3の単一の検出ユニットの部分断面図である。
図5図5は本願の実施例に係るX線検出パネルの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を組み合わせて本願の具体的な実施の形態について詳細に説明する。ここに記載する具体的な実施の形態は本願を説明及び解釈するためだけに用いられるものであって、本願を限定するものではない。
【0025】
図1は本願が提供するX線検出パネルの線路模式図である。図1に示す通り、前記X線検出パネルは主バイアス電圧信号線100とフォトダイオード(図示せず)とを備え、前記フォトダイオードのカソードは主バイアス電圧信号線100に電気的に接続され、前記X線検出パネルは少なくとも1本の補助バイアス電圧信号線200をさらに含み、当該少なくとも1本の補助バイアス電圧信号線200は主バイアス電圧信号線100に電気的に接続される。
【0026】
前記X線検出パネルを用いて信号を検出する際は、主バイアス電圧信号源110を用いて主バイアス電圧信号線100に主バイアス電圧を供給し、補助バイアス電圧信号源210を用いて補助バイアス電圧信号線200に補助バイアス電圧を供給する。
【0027】
図1には、4本の補助バイアス電圧信号線200および14本の主バイアス電圧信号線100が示されているが、本願はこれに限定されない。この4本の補助バイアス電圧信号線200における1本目200-1は14本の主バイアス電圧信号線100における各1本に電気的に接続されており、この4本の補助バイアス電圧信号線200における2本目200-2は14本の主バイアス電圧信号線100における各1本に電気的に接続されており、この4本の補助バイアス電圧信号線200における3本目200-3は14本の主バイアス電圧信号線100における各1本に電気的に接続されており、この4本の補助バイアス電圧信号線200における4本目200-4は14本の主バイアス電圧信号線100における各1本に電気的に接続されている。
【0028】
主バイアス電圧信号源110が主バイアス電圧信号線100に主バイアス電圧を供給する際は、X線検出パネルの頂部の主バイアス電圧が好ましい。線路上の負荷により、1本目の補助バイアス電圧信号線200-1部分の主バイアス電圧は小さくなり、1本目の補助バイアス電圧信号線200-1が供給する補助バイアス電圧で、1本目の補助バイアス電圧信号線200-1部分の主バイアス電圧が補償される。線路上の負荷により、2本目の補助バイアス電圧信号線200-2部分の主バイアス電圧は小さくなり、2本目の補助バイアス電圧信号線200-2が供給する補助バイアス電圧で、2本目の補助バイアス電圧信号線200-2部分の主バイアス電圧が補償される。線路上の負荷により、3本目の補助バイアス電圧信号線200-3部分の主バイアス電圧は小さくなり、3本目の補助バイアス電圧信号線200-3が供給する補助バイアス電圧で、3本目の補助バイアス電圧信号線200-3部分の主バイアス電圧が補償される。線路上の負荷により、4本目の補助バイアス電圧信号線200-4部分の主バイアス電圧は小さくなり、4本目の補助バイアス電圧信号線200-4が供給する補助バイアス電圧で、4本目の補助バイアス電圧信号線200-4部分の主バイアス電圧が補償される。
【0029】
補助バイアス電圧信号源210は補助バイアス電圧信号線200を介して主バイアス電圧信号線100に補助バイアス電圧を供給できることから、主バイアス電圧信号線100の内部抵抗によるエネルギー消費を軽減、ひいては除去することができ、さらには電流検出が主バイアス電圧信号線100の内部抵抗による電圧降下(RC loading)の影響を受けないようするか、またはバイアス電圧信号線の内部抵抗による電圧降下の影響を少なくとも低減することができ、電流検出が、フォトダイオード300を照射する光信号の強弱の影響だけを受けるようにして、X線検出パネルの検出精度を高める。
【0030】
なお、補助バイアス電圧信号線は必要に応じて1本または複数本設けることができるという点に注意する必要がある。複数本の補助バイアス電圧信号線を設けた場合、そのうちの1本の補助バイアス電圧信号線が断線したとしても、依然として残りの補助バイアス電圧信号線を介して主バイアス電圧の補償を行うことができ、信頼性を高めることができる。
【0031】
データ信号源を用いてフォトダイオード300のアノード320にデータ電圧を供給し、主バイアス電圧信号線100が前記フォトダイオードのカソード310に電気的に接続されることで、主バイアス電圧信号線100の作用下において、フォトダイオード300は逆バイアス状態(即ち、等価容量を形成する)を呈する。フォトダイオード300を照射する光強度に変化が生じたとき、フォトダイオード300内に蓄えられた電荷量が変化するため、主バイアス電圧信号線100が出力する検出電流も変化し、主バイアス電圧信号線100内の電流を検出することで、X線の強度を確認することができる。
【0032】
本願では、フォトダイオード300の設置方法およびフォトダイオード300の数について特に要求を設けない。具体的な実施の形態として、X線検出画像を得るために、前記X線検出パネルは複数のフォトダイオード300と複数本の主バイアス電圧信号線100とを含む。前記X線検出パネルは、検出領域R1と前記検出領域の少なくとも一方に位置する周辺領域R2とに分けられ、前記検出領域R1は複数の検出ユニット130に分けられ、即ち、複数行の検出ユニットおよび複数列の検出ユニットからなる配列であり、各検出ユニット内にいずれもフォトダイオード300が設けられ、同一列内の検出ユニットにおけるフォトダイオード300のカソード310は同一の主バイアス電圧信号線100に電気的に接続される。
【0033】
補助バイアス電圧信号源210はパネル外部の外接信号源であってよい。代替可能な方法として、別途、外接信号源がない場合、補助バイアス電圧信号線20は主バイアス電圧信号線100の前記周辺領域R2の部分に直接接続することもできるため、主バイアス電圧信号源110により信号の補償を実現する。
【0034】
前記X線検出パネルは対応する信号変換モジュールおよび表示パネルと連携して使用される。前記X線検出パネルの検出ユニットは表示パネルの画素ユニットに対応してよい。例えば、1つの検出ユニットが1つの画素ユニットに対応し、若干の検出ユニットが1つの画素ユニットに対応し、または1つの検出ユニットが若干の画素ユニットに対応する。
【0035】
検出ユニットは当該検出ユニット内のフォトダイオード300に対応する誘導電流を階調電圧に変換して、表示パネル上の対応する画素ユニットを駆動して発光することでスカウト像を表示することができる。
【0036】
上記の通り、同一列内のフォトダイオード300は同一の主バイアス電圧信号線100に接続されているため、データ信号源はスキャンによって、順次に各行のフォトダイオード300のアノード320に、対応するアノード電圧(即ち、前記データ電圧)を供給することができる。主バイアス電圧信号線100が前記フォトダイオードのカソード310に電気的に接続されることで、主バイアス電圧信号線100の作用下において、フォトダイオード300は逆バイアス状態を呈する。フォトダイオード300を照射する光強度に変化が生じたとき、フォトダイオード300内に蓄えられた電荷量が変化するため、主バイアス電圧信号線100が出力する検出電流も変化し、主バイアス電圧信号線内の電流を検出することで、X線の強度を確認することができ、X線の検出を実現することができる。
【0037】
上記の通り、同一列内のフォトダイオード300は同一の主バイアス電圧信号線100に接続されており、これに対応して、複数本の主バイアス電圧信号線100はフォトダイオード300配列の列方向に沿って平行に設けられる。一実施例において、補助バイアス電圧信号線200を配置しやすくし、さらに、各主バイアス電圧信号線100が均一に補償されることを確保するために、図1に示すように、補助バイアス電圧信号線200の延伸方向は主バイアス電圧信号線100の延伸方向に対して垂直または近似的に垂直である。
【0038】
本願では、補助バイアス電圧信号線200の数について特に限定せず、X線検出パネルのサイズ及び主バイアス電圧信号線100の長さに応じて補助バイアス電圧信号線200の数を決定することができる。通常、X線検出パネルのサイズが大きくなるほど、補助バイアス電圧信号線200の本数も多くなる。図1に示す具体的な実施の形態において、前記X線検出パネルは、複数本の補助バイアス電圧信号線200を含む。
【0039】
図2に示されているのは、X線検出パネルの一部の模式図であり、図2では、前記複数の検出ユニットの配列のうち、同一行に位置する3つの異なる検出ユニット130のみが示されている。図3に示すのは、図2の3つの検出ユニットのうちの1つの検出ユニット130であり、主バイアス電圧信号線100と、補助バイアス電圧信号線200と、フォトダイオードのカソード310とがそれぞれ3つの異なる層に位置している。
【0040】
図4は、図3の単一の検出ユニット130の部分断面図である。図3および図4に示すように、複数本の主バイアス電圧信号線100は同一の層に設けられ、前記X線検出パネルは主バイアス電圧信号線100を覆う第1のパッシベーション層400をさらに含み、補助バイアス電圧信号線200は第1のパッシベーション層400に設けられ、第1のパッシベーション層400を貫通する第1のビアH1を介して主バイアス電圧信号線100と電気的に接続される。
【0041】
ここで図1および図2の説明に戻ると、1つまたは複数の補助バイアス電圧信号線200-1、200-2、200-3、220-4における各線は、第1のビアH1を介してそれぞれ複数の主バイアス電圧信号線100と電気的に接続されている。
【0042】
このような実施の形態では、他層パターンを形成するマスクプレートを改良する必要はなく、補助バイアス電圧信号線200を形成するためのマスクプレートを使用するだけでよく、前記X線検出パネルを製造する装置の汎用性を向上させることができる。
【0043】
本実施例において、シリコンの酸化物またはシリコンの窒化物から第1のパッシベーション層400が作製される。
【0044】
なお、前記X線検出パネルは、主バイアス電圧信号線100、補助バイアス電圧信号線200、フォトダイオード300以外に、その他の回路構造も備えているが、ここでは、前記その他の回路構造についての説明は省略する。
【0045】
前記X線検出パネルに信号を提供するために、前記X線検出パネルは、少なくとも1組のリード120とボンディングパッド220(bonding pad)を含んでよい。本願では、ボンディングパッドの数について特に限定せず、前記少なくとも1組のリードにおける各組は、少なくとも1つのボンディングパッドに対応する。また、リードの数、具体的な位置については特に要求を設けない。
【0046】
したがって、図1に示すように、リード(図示せず)とボンディングパッド220は、前記X線検出パネルの少なくとも一方の周辺領域R2に設けられ、例えばリード(図示せず)とボンディングパッド220は、X線検出パネル左側の周辺領域R2に設けられるため、検出ユニットへの妨げとはならない。
【0047】
例えば、図4に示すように、前記X線検出パネルは、主バイアス電圧信号線100に主バイアス電圧信号を供給するリード120を含み、当該リード120は、主バイアス電圧信号線100と同一の層に設けてよい。第2のビアH2は、少なくとも部分的に前記第1のパッシベーション層を貫通し、前記リード120を露出する。
【0048】
なお、「第2のビアが少なくとも前記第1のパッシベーション層を貫通する」ということは、第2のビアが、当該第2のビアに対応するボンディングパッド220と、当該ボンディングパッド220に対応するリードとの間のすべての絶縁層を貫通するということを指す。
【0049】
主バイアス電圧信号線100に主バイアス電圧信号を供給する1組のリードに対応するボンディングパッド220は、当該リード120を主バイアス電圧信号源110と電気的に接続する。
【0050】
なお、前記X線検出パネルにはその他の回路構造もさらに存在し、各種回路構造はいずれも対応するリードおよびボンディングパッド220を有する。
【0051】
本願では、透明電極材料を用いてボンディングパッド220を作製する。また、ボンディングパッド220は、第1のパッシベーション層400に設けられ、リード120は第1のパッシベーション層400の下方に位置するため、リードが環境に晒されない。透明電極材料は優れた耐腐食性を有するため、ボンディングパッド220は環境における水蒸気や酸素の腐食に耐え、後続加工での腐食を防ぐことができ、X線検出パネルの寿命を延ばすことができる。
【0052】
補助バイアス電圧信号線200とボンディングパッド220は同一材料で作製することができる。ボンディングパッド220の材料が透明電極材料である場合、補助バイアス電圧信号線200の材料も透明電極材料である。透明電極材料を用いて補助バイアス電圧信号線200を作製することの利点は、検出ユニットを遮ることがないため、X線検出パネルの開口率に影響を及ぼすことがなく、検出精度を高めることができるというものである。
【0053】
図4に示すように、補助バイアス電圧信号線200は、ボンディングパッド220と同一の層に設けられており、材料も同一である。言い換えれば、透明電極材料を用いて補助バイアス電圧信号線200とボンディングパッド220を作製し、同一回の構図工程によってボンディングパッド220と補助バイアス電圧信号線200を得る。また、ボンディングパッド220および補助バイアス電圧信号線200は、第1のパッシベーション400を共有することで、X線検出パネルの製造方法を簡略化し、コストを低減させる。
【0054】
工程の省略、コスト削減という利点のほかに、透明電極材料を用いて補助バイアス電圧信号線200を作製することのもう1つの利点は、フォトダイオード表面に照射される光を遮断することがなく、検出精度を高めることができるというものである。
【0055】
検出精度を高めるために、フォトダイオード300のカソード310は透明電極材料によって作製される。
【0056】
上記の通り、異なる検出ユニットにおけるフォトダイオード300の検出電流を得るために、異なる行のフォトダイオード300にデータ電圧を順次供給することができる。
【0057】
一実施例において、異なる行のフォトダイオード300にデータ電圧を順次供給するために、図2に示す通り、前記X線検出パネルは複数のスイッチングトランジスタ500と、複数本のデータ線600と、複数本のゲート線700とをさらに含む。複数本のデータ線600は複数本のゲート線700と交差して設けられて、前記X線検出パネルを、複数の前記検出ユニット(即ち、複数行の検出ユニットと複数列の検出ユニットからなる配列)に分ける。図2に示す通り、各前記検出ユニット内に1つのスイッチングトランジスタ500が設けられ、各列のスイッチングトランジスタ500は同一のデータ線600に対応し、各行のスイッチングトランジスタ500は同一のゲート線700に対応する。図4に示す通り、スイッチングトランジスタ500の第1極は、当該スイッチングトランジスタ500のある検出ユニットにおけるフォトダイオード300のアノード320と電気的に接続され、図2及び図3に示す通り、スイッチングトランジスタ500の第2極は、当該スイッチングトランジスタ500に対応するデータ線600と電気的に接続され、スイッチングトランジスタ500のゲートはゲート線700に接続される。
【0058】
ゲート駆動回路を介して各行のゲート線700にスキャン信号を順次供給することで、各行のスイッチングトランジスタ500の起動を制御することができ、スイッチングトランジスタ500の第2極は、当該スイッチングトランジスタ500に対応するデータ線600と電気的に接続され、さらに、スイッチングトランジスタ500の第1極は、当該スイッチングトランジスタ500のある検出ユニットにおけるフォトダイオード300のアノード320と電気的に接続されていることから、スイッチングトランジスタ500が起動した後、対応するフォトダイオード300のアノードは対応するデータ線600に接続することができ、当該フォトダイオードのアノードと当該フォトダイオードのカソードとの間に静電容量を形成することができる。
【0059】
本願では、主バイアス電圧信号線100の材料について特に限定しない。検出結果に対する抵抗の影響を低減するために、主バイアス電圧信号線100は金属材料からなる。
【0060】
X線検出パネルの寿命を伸ばすために、金属材料からなる主バイアス電圧信号線100は、スイッチングトランジスタ500を覆うことで、スイッチングトランジスタ500のチャネル領域に光が直接照射することによる劣化現象を最小限に抑え、ひいては除去することができる。
【0061】
本願では、フォトダイオードの具体的な類型について特に要求を設けず、前記フォトダイオードはPINダイオードであってよい。
【0062】
フォトダイオードは比較的大きな厚さを有する。具体的には、主バイアス電圧信号線100の断線を防ぐために、前記X線検出パネルは、平坦化層800と第2のパッシベーション層900とを含む。図4に示すように、平坦化層800はフォトダイオード300を覆い、第2のパッシベーション層900は平坦化層800を覆い、主バイアス電圧信号線100は第2のパッシベーション層900に形成されて、第2のパッシベーション層900と平坦化層800を貫通する第3ビアH3を介してフォトダイオード300のカソード310と電気的に接続される。
【0063】
有機樹脂材料を用いて平坦化層800を作製することにより、比較的大きな厚さを有する平坦化層800が得られ、平坦化という効果をより好ましく実現することができる。金属材料は樹脂材料で作られた平坦化層に直接堆積するのが難しいため、第2のパッシベーション層900を設ければ、金属材料で作られた主バイアス電圧信号線100の堆積に有利になる。
【0064】
X線を検出する際には、X線を可視光に変換してから、フォトダイオードを用いて可視光の強度を検出し、可視光の強度からX線の強度を確認する必要がある。
【0065】
一実施例において、シンチレータ層を用いてX線を可視光に変換することができる。
【0066】
本願が提供するX線検出パネルは、前記シンチレータ層を含んでよく、前記シンチレータ層を含まなくてもよい。前記X線検出パネルが前記シンチレータ層を含まない場合、前記シンチレータ層の代わりにシンチレータ層フィルムを使用してもよく、前記X線検出パネルを使用する際に、前記X線検出パネルの表面に前記シンチレータ層フィルムを貼り付けてX線検出を行うことができる。
【0067】
図4に示すように、前記X線検出パネルは、前記X線検出パネルの入光面に設けられたシンチレータ層1000をさらに含む。
【0068】
本願の別の形態として、X線検出パネルと主バイアス電圧信号源とを含むX線検出装置であって、前記X線検出パネルは本願が提供する上記X線検出パネルであり、前記X線検出装置は補助バイアス電圧信号源をさらに含み、前記主バイアス電圧信号源は前記主バイアス電圧信号線と電気的に接続され、前記補助バイアス電圧信号源は前記補助バイアス電圧信号線と電気的に接続されるX線検出装置を提供する。
【0069】
上記の通り、補助バイアス電圧信号源を設けたあと、X線を検出する際に、補助バイアス電圧信号線を介して主バイアス電圧信号線に補助電圧を供給することで、主バイアス電圧信号線の内部抵抗による圧力降下を補償して、X線の検出精度を高めることができる。
【0070】
上記の通り、一実施の形態として、前記X線検出パネルは、検出領域と前記検出領域の少なくとも一方側に位置する周辺領域とに分けられ、前記フォトダイオードは前記検出領域に設けられ、検出領域の有効面積を高めるために、前記補助バイアス電圧信号源と前記主バイアス電圧信号源は前記周辺領域に設けられる。
【0071】
本願の第三形態として、X線検出パネルを製造する製造方法を提供する。前記製造方法は、
ステップS510において、ベース基板を提供する段階と、
ステップS520において、フォトダイオードを形成する段階と、
ステップS530において、主バイアス電圧信号線を含むパターンを形成する段階であって、前記主バイアス電圧信号線は前記フォトダイオードのカソードと電気的に接続される段階と、
ステップS540において、少なくとも1本の補助バイアス電圧信号線を含むパターンを形成する段階であって、前記補助バイアス電圧信号線は前記主バイアス電圧信号線と電気的に接続される段階と、
を含む。
【0072】
本願が提供する製造方法は、本願が提供するX線検出パネルに用いられるものであり、上記の通り、前記補助バイアス電圧信号線は、前記主バイアス電圧信号線に補助バイアス電圧を供給するために使用されて、主バイアス電圧信号線の内部抵抗による圧力降下を補償することで、X線の検出精度を高めることができる。
【0073】
本願では、ステップS530およびステップS540の順序について特に制限しない。
【0074】
例えば、ステップS530とステップS540を同時に実行しても良いし、先にステップS530を実行してからステップS540を実行しても良く、先にステップS540を実行してからステップS530を実行しても良い。
【0075】
本願では、ステップS530をどのように実行するかについて特に要求を設けない。例えば、リソグラフィという方式を介して前記主バイアス電圧信号線を含むパターンを得ることができる。これに対応して、ステップS530は、
第1の導電材料層を形成する段階と、
前記第1の導電材料層に第1のレジスト層を形成する段階と、
前記第1のレジスト層を露光現像して第1のマスクを得る段階と、
ウェットエッチングして、前記主バイアス電圧信号線を含むパターンを得る段階と、
を含んでよい。
【0076】
同様に、本願では、ステップS540をどのように実行するかについても特に要求を設けず、リソグラフィという方式を介して補助バイアス電圧信号線を含むパターンを得ることができる。これに対応して、ステップS540は、
第2の導電材料層を形成する段階と、
前記第2の導電材料層に第2のレジスト層を形成する段階と、
前記第2のレジスト層を露光現像して第2のマスクを得る段階と、
ウェットエッチングして、前記補助バイアス電圧信号線を含むパターンを得る段階と、
を含んでよい。
【0077】
上記の通り、前記X線検出パネルは、複数のフォトダイオードと複数本のバイアス電圧信号線を含んでよく、これに対応して、前記複数本の補助バイアス電圧信号線は複数本の補助バイアス電圧信号線と複数本の主バイアス電圧信号線とを含む。前記X線検出パネルは、検出領域と前記X線検出パネルの少なくとも一方側に位置する周辺領域とに分けられ、前記検出領域は複数の検出ユニットに分けられ、各前記検出ユニット内にいずれも前記フォトダイオードが設けられ、同一列における検出ユニットのフォトダイオードのカソードは、同一の前記主バイアス電圧信号線と電気的に接続されており、複数の前記主バイアス電圧信号線は同一の層に設けられる。
【0078】
開発工程を省くために、従来の製造技術を改善することができ、本願が提供する製造方法を得られる。すなわち、従来の製造技術を用いて、ベース基板、フォトダイオードおよび主バイアス電圧信号線を含む半製品を製造した後、当該半製品に、1本または複数本の補助バイアス電圧信号線を含むパターンを直接形成する。
【0079】
このほか、前記製造方法は、ステップS530とステップS540との間に行われる、
第1のパッシベーション層400を形成する段階と、
前記第1のパッシベーション層400を貫通する第1のビアH1を形成する段階と、
をさらに含む。
【0080】
第1のビアH1を設けた後、補助バイアス電圧信号線を含むパターンを形成する段階で得られた補助バイアス電圧信号線200は、前記第1のビアH1を介して前記主バイアス電圧信号線100と電気的に接続されてよい。
【0081】
また、前記製造方法は、前記第1のパッシベーション層を形成する段階の後に、前記第2のビアH2を形成する段階をさらに含み、前記第2のビアH2は、少なくとも前記第1のパッシベーション層400を貫通して、前記リード120を露出する。ここで、前記第1のビアH1と前記第2のビアH2は1回の構図工程によって形成される。
【0082】
第2のビアH2を形成した後に、ボンディングパッド220を含むパターンを形成し、前記ボンディングパッド220は、前記第2のビアH2を介して前記リード120に電気的に接続され、前記補助バイアス電圧信号線200のパターンとボンディングパッド220のパターンは、1回の構図工程によって形成され、製造工程が簡略化される。
【0083】
X線検出パネルを作製する際に、補助バイアス電圧信号線200は、ボンディングパッド220と第1のパッシベーション層400を共有し、同一の構図工程によってボンディングパッド220と補助電圧信号線200を作製することができるため、前記製造方法が必要とするステップを減らし、コストを削減することができる。
【0084】
上記の通り、透明電極材料を用いて、前記ボンディングパッド220と前記補助バイアス電圧信号線200とを作製することができる。本願が提供する製造方法は、本願が提供する上記X線検出パネルを製造するためのものであり、透明電極材料を用いてボンディングパッドおよび補助バイアス電圧信号線を作製する利点については、既に上記で説明したため、ここでは省略する。
【0085】
本願では、ボンディングパッド220と補助バイアス電圧信号線200とを含むパターンが、構図工程によってどのように形成されるかについて特に限定しない。例えば、リソグラフィという方式を介して、ボンディングパッドと補助バイアス電圧信号線を含むパターンを得ることができ、具体的に、
透明電極材料層を形成する段階と、
透明電極材料層にレジスト層を被覆する段階と、
前記レジスト層を露光現像して第3のマスクパターンを得る段階と、
前記第3のマスクパターンが形成された透明電極材料層をウェットエッチングして、補助バイアス電圧信号線200とボンディングパッド220を含むパターンを得る段階と、
を含む。
【0086】
本願では、第1のパッシベーション層400の材料について特に制限せず、例えばシリコンの酸化物および/またはシリコンの窒化物を用いて第1のパッシベーション層を作製することができる。
【0087】
本願において、補助バイアス電圧信号線200の材料は透明電極材料であるため、フォトダイオードを遮ることなく、検出精度を高める。
【0088】
上記の通り、前記ベース基板は複数のスイッチングトランジスタと、複数本のデータ線と、複数本のゲート線とを含み、複数本の前記データ線は複数本の前記ゲート線と交差して設けられて、前記X線検出パネルを複数の前記検出ユニット、即ち、複数列の検出ユニットと複数行の検出ユニットからなる配列に分け、各前記検出ユニット内に1つのスイッチングトランジスタが設けられ、各列のスイッチングトランジスタは同一のデータ線に対応し、各行のスイッチングトランジスタは同一のゲート線に対応し、前記スイッチングトランジスタの第1極は当該スイッチングトランジスタがある検出ユニット内のフォトダイオードのアノードと電気的に接続されており、前記スイッチングトランジスタの第2極は当該スイッチングトランジスタに対応するデータ線と電気的に接続されており、前記スイッチングトランジスタのゲートは当該スイッチングトランジスタに対応するゲートと電気的に接続されている。
【0089】
一実施例において、前記主バイアス電圧信号線は金属材料からなり、前記主バイアス電圧信号線は前記スイッチングトランジスタを覆う。上記の通り、金属材料からなる主バイアス電圧信号線は比較的小さい内部抵抗を有しているため、信号伝達過程における電圧降下を低減することができる。前記主バイアス電圧信号線は前記スイッチングトランジスタを覆い、スイッチングトランジスタのチャンネル領域に光が直接照射するのを防ぐことができるほか、光の照射によるスイッチングトランジスタの劣化を防いでX線検出パネルの寿命を伸ばすことができる。
【0090】
検出精度を高めるために、前記フォトダイオードのカソードは、透明電極材料からなる。
【0091】
X線検出パネルの歩留まりを高めるために、前記製造方法は、ステップS520とステップS530との間に実行される、
前記フォトダイオードが形成されたベース基板に、前記フォトダイオード300のある層を覆う平坦化層800を形成する段階と、
第2のパッシベーション層900を形成する段階と、
前記第2のパッシベーション層900と前記平坦化層800とを貫通する第3のビアH3を形成する段階であって、前記第3のビアH3の位置は前記フォトダイオードのカソード310に対応し、前記第3のビアH3を介して前記フォトダイオード300のカソード310に前記主バイアス電圧信号線100を電気的に接続する段階と、
を含む。
【0092】
前記製造方法は、
前記フォトダイオードの入光側に、X線を可視光に変換することができるシンチレータ層1000を形成する段階
をさらに含む。
【0093】
上記実施の形態は、本願の原理を説明するために用いた、例示としての実施の形態に過ぎず、本願はこれに限定されない。本分野における一般的な技術者は、本願の思想および実質的な情況を逸脱しないという状況において、各種の変形および改善を行うことができ、これらの変形および改善も本願の請求範囲と見なされる。
【符号の説明】
【0094】
100 主バイアス電圧信号線
110 主バイアス電圧信号源
130 検出ユニット
200 補助バイアス電圧信号線
200-1 補助バイアス電圧信号線
200-2 補助バイアス電圧信号線
200-3 補助バイアス電圧信号線
200-4 補助バイアス電圧信号線
210 補助バイアス電圧信号源
220 ボンディングパッド
300 フォトダイオード
310 カソード
400 第1のパッシベーション層
500 スイッチングトランジスタ
600 データ線
700 ゲート線
800 平坦化層
900 第2のパッシベーション層
1000 シンチレータ層
図1
図2
図3
図4
図5