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特許7191046アイランドネットワークを動作させるための方法、及びアイランドネットワーク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】アイランドネットワークを動作させるための方法、及びアイランドネットワーク
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20221209BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20221209BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20221209BHJP
   H02M 7/493 20070101ALI20221209BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02J3/32
H02M7/48 E
H02M7/493
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019568233
(86)(22)【出願日】2018-06-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2018065894
(87)【国際公開番号】W WO2019001986
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】102017114306.8
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ファルク,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ハルト,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ベヒテル,ナイトハルト
(72)【発明者】
【氏名】ヘルメリング,ディルク
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/157632(WO,A1)
【文献】特開昭56-071430(JP,A)
【文献】特表2004-506575(JP,A)
【文献】国際公開第2014/103192(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 1/00 - 1/32
C25B 1/34 - 9/77
C25B 13/00 - 15/08
H01M 8/04 - 8/0668
H02J 3/00 - 5/00
H02J 13/00 - 15/00
H02M 7/42 - 7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 接続された再生型電源(3a、3b)の電力を周波数-電力特性曲線(20a、20b)に従ってAC電力に変換するように構成された電圧制御コンバータ(9a、9b)のグループにおいて、前記グループは少なくとも1つのコンバータ(9a、9b)を含む、電圧制御コンバータ(9a、9b)のグループと、
- 電力消費量がアイランドネットワーク(1)のAC電圧の電圧振幅Uに依存する負荷(6)と、
- 前記電圧振幅Uのデフォルト値を電圧制御コンバータ(9a、9b)の前記グループに伝送する制御ユニット(11)と、
を含むアイランドネットワーク(1)を動作させるための方法において、
前記方法は、前記負荷(6)によって消費される電力PLastを適合させるための以下のステップ、すなわち、
- 前記再生型電源(3a、3b)の利用可能な電力の関数として前記少なくとも1つのコンバータ(9a、9b)の前記周波数-電力特性曲線(20a、20b)を修正するステップにおいて、
- 前記周波数-電力特性曲線(20a、20b)は、前記再生型電源(3a、3b)の前記利用可能な電力が現在の電力より上にあるかどうか検査するために、所与の電力でより高い周波数に、少なくとも部分的に修正され、
- 前記周波数-電力特性曲線(20a、20b)は、前記再生型電源(3a、3b)が前記周波数-電力特性曲線(20a、20b)に従って前記現在の周波数と関連付けられた前記電力を生成することができない場合、所与の電力でより低い周波数に、少なくとも部分的に修正される、
ステップと、
- 前記制御ユニット(11)による前記周波数-電力特性曲線(20a、20b)への前記修正の結果として、前記アイランドネットワーク(1)における前記AC電圧の周波数fを決定するステップと、
- 前記制御ユニット(11)を用いて、前記電圧振幅Uのデフォルト値を再決定し、前記再決定されたデフォルト値を電圧制御コンバータ(9a、9b)の前記グループに伝送するステップにおいて、前記決定された周波数fが公称周波数fnomより上にある場合、前記デフォルト値は増加され、前記決定された周波数fが前記公称周波数fnomより下にある場合、前記デフォルト値は低減される、ステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記電圧振幅Uの前記デフォルト値を増加させる前に、
- 前記少なくとも1つのコンバータ(9a、9b)を通って流れる電力P、Pが前記対応するコンバータ(9a、9b)の極限電力Pmax,a、Pmax,bを超えるか、若しくは超えるおそれがあるかどうかについて、検査が実行され、前記検査において、前記電圧振幅Uのデフォルト値が増加しても、前記対応するコンバータ(9a、9b)の前記極限電力Pmax,a、Pmax,bを超えることが防止されると前記検査が示唆する場合にのみ、前記電圧振幅Uの前記デフォルト値は増加され、又は、
- 前記負荷(6)の前記電力Lastが前記負荷(6)の最大許容消費量Pmax,Lastを超えるか、若しくは超えるおそれがあるかどうかについて、検査が実行され、前記検査において、前記電圧振幅Uのデフォルト値が増加しても、前記負荷(6)の前記最大許容消費量Pmax,Lastを超えることが防止されると前記検査が示唆する場合にのみ、前記電圧振幅Uの前記デフォルト値は増加される
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、前記再生型電源(3a、3b)が前記周波数-電力特性曲線(20a、20b)に従って前記現在の周波数と関連付けられた前記電力を生成することができるかどうかについての検査中に、前記対応するコンバータ(9a、9b)と関連付けられたDCリンク回路における電圧値が測定されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記測定された電圧値が電圧閾値を下回る場合、前記再生型電源(3a、3b)が前記周波数-電力特性曲線(20a、20b)に従って前記現在の周波数と関連付けられた前記電力を生成することができないと示唆されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項に記載の方法において、前記対応するコンバータ(9a、9b)の前記極限電力Pmax,a、Pmax,bは、前記コンバータ(9a、9b)の最大認可電流及び/又は電圧値に基づいて確認されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項2又は5に記載の方法において、前記負荷(6)によって消費される前記電力は、前記コンバータ(9a、9b)の前記極限電力Pmax,a、Pmax,b、前記コンバータ(9a、9b)と関連付けられた前記再生型電源(3a、3b)の前記極限電力Pmax,a、Pmax,b、及び/又は前記負荷(6)の前記最大許容消費量Pmax,Lastの既知の値の場合に、
- 前記少なくとも1つのコンバータ(9a、9b)を通って流れる電力P、Pが、少なくとも1つの事前設定公差値だけ、前記対応するコンバータ(9a、9b)及び/又は前記コンバータ(9a、9b)と関連付けられた前記再生型電源(3a、3b)の前記極限電力Pmax,a、Pmax,bより下にあり、又は、
- 前記負荷(6)の電力Lastが、少なくとも1つの事前設定公差値だけ、前記負荷(6)の前記最大許容消費量Pmax,Lastより下にある
ように適合されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の方法において、前記周波数-電力特性曲線(20a、20b)の前記修正は、周波数軸の方向への前記周波数-電力特性曲線(20a、20b)の少なくとも一部分の平行移動を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の方法において、前記周波数-電力特性曲線(20a、20b)は、少なくとも一部分において直線で描かれ、前記周波数-電力特性曲線(20a、20b)の変更は、該当する一部分における直線の勾配(α、α)の変更を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の方法において、前記グループには、接続された再生型電源(3a、3b)の電力を周波数-電力特性曲線(20a、20b)に従ってAC電力に変換するようにそれぞれ構成された、多数の電圧制御コンバータ(9a、9b)が含まれ、前記コンバータ(9a、9b)と関連付けられた前記再生型電源(3a、3b)の前記利用可能な電力の関数としての前記周波数-電力特性曲線(20a、20b)の前記修正は、各個々のコンバータ(9a、9b)に対して行われることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載の方法において、前記負荷(6)によって消費される前記電力PLastを修正するための前記ステップは、経時的に前記再生型電源(3a、3b)の最大利用可能電力の変化を追跡するために、又は経時的に前記対応するコンバータ(9a、9b)の極限電力Pmax,a、Pmax,bを追跡するために、繰り返して一通り実行されることを特徴とする方法。
【請求項11】
- DC/AC変換モジュール(8a、8b)を有する少なくとも1つの電圧制御コンバータ(9a、9b)のグループにおいて、前記コンバータの入力は再生型電源(3a、3b)に接続され、前記コンバータの出力はアイランドネットワーク(1)のAC導線(7)に接続され、
- 前記コンバータ(9a、9b)は、前記コンバータ(9a、9b)と関連付けられた周波数-電力特性曲線(20a、20b)の関数として前記アイランドネットワーク(1)におけるAC電圧を制御するように構成される、少なくとも1つの電圧制御コンバータ(9a、9b)のグループと、
- 電力消費量が前記アイランドネットワーク(1)における前記AC電圧の電圧振幅Uに依存する負荷(6)と、
- 前記少なくとも1つの電圧制御コンバータ(9a、9b)の前記グループを制御するための制御ユニット(11)において、前記制御ユニットは、前記アイランドネットワーク(1)の前記AC電圧に対する前記電圧振幅Uのデフォルト値を前記グループに転送するように構成される、制御ユニット(11)と、
- 前記アイランドネットワーク(1)における前記AC電圧の周波数fを決定するための検出ユニット(18)において、前記検出ユニットは、前記制御ユニット(11)に接続されている、検出ユニット(18)と、
を含む、アイランドネットワーク(1)において、
- 前記制御ユニット(11)は、前記少なくとも1つのコンバータ(9a、9b)の前記グループ及び前記コンバータ(9a、9b)に接続された前記再生型電源(3a、3b)と連携して、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成される
ことを特徴とするアイランドネットワーク(1)。
【請求項12】
請求項11に記載のアイランドネットワーク(1)において、前記コンバータ(9a、9b)に接続された前記再生型電源(3a、3b)と連携した前記グループの少なくとも1つのコンバータ(9a、9b)は、太陽光発電(PV)システム又は風力発電システムに使用されることを特徴とするアイランドネットワーク(1)。
【請求項13】
請求項11~12の何れか1項に記載のアイランドネットワーク(1)において、前記負荷(6)は、AC/DC変換モジュール(4)を介して前記アイランドネットワーク(1)の前記AC導線(7)に接続された、DC負荷(14)を含むことを特徴とするアイランドネットワーク(1)。
【請求項14】
請求項11~13の何れか1項に記載のアイランドネットワーク(1)において、前記負荷(6)は、電解槽を含むことを特徴とするアイランドネットワーク(1)。
【請求項15】
請求項11~14の何れか1項に記載のアイランドネットワーク(1)において、前記アイランドネットワーク(1)は、双方向動作可能な電流制御DC/AC変換モジュール(16)を通して前記アイランドネットワーク(1)の前記AC導線(7)に接続された、貯蔵ユニット(15)を含むことを特徴とするアイランドネットワーク(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイランドネットワークを動作させるための方法、及びそのような方法を使用して動作するアイランドネットワークに関する。より詳細には-しかし排他的ではなく-これは、再生型発電ユニットの電力がアイランドネットワークにおける長期エネルギー貯蔵及び負荷としての電解槽に送り込まれる、アイランドネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
アイランドネットワークで、発電ユニットは、電力を輸送するために1つ又は複数のAC導線を介して1つ又は複数のエネルギー需要家に接続される。アイランドネットワークは、電力を貯蔵するために非常に制約された選択肢を有するだけなので、一方で発電ユニットによって生産される電力と、他方でエネルギー需要家によって消費される電力との等しいバランスが常に維持されるべきである。ここで、アイランドネットワークにおけるAC電圧周波数は、バランスが電力需要家寄りにシフトする傾向がある(公称周波数より低い周波数)か、又は電力生産業者寄りにシフトする傾向がある(公称周波数より高い周波数)かどうかを示唆する。周波数は、偏向的なバランスシフトを相殺するために電力バランスがシフトされなければならない方向-電力生産又は電力消費-に対する尺度として機能する。ここで、電力生産量は通常、従来のアイランドネットワークでそれぞれの電力消費量の関数として調節され、すなわち、電力消費量が電力生産量を定める。
【0003】
しかしながら、いくつかのアイランドネットワークでは、電力生産量を電力消費量の関数として調節するのではなく、逆に、電力消費量を現在利用可能な最大電力生産量の関数として調節することが望ましい。これは特に、アイランドネットワークに再生型発電ユニットが含まれる場合に当てはまり、その生産された電力は、長期貯蔵、例えば負荷としての電解槽に送り込まれるべきである。この場合、目的は、適切なエネルギー媒体(この場合、水素)にこの電力を最大限に貯蔵するために、可能な限りそれぞれ利用可能な電力で1つ又は複数の発電ユニットを常に動作させることである。
【0004】
従来技術は、再生型発電ユニット及び負荷としての電解槽を持つアイランドネットワークを開示している。しかしながら、アイランドネットワークでAC電圧を発生させる目的のために、これらのアイランドネットワークには通常、負荷として動作する長期エネルギー貯蔵に加えて、短期的に可変な動作点を有するエネルギー貯蔵、例えばバッテリが含まれる。短期的に可変なこのエネルギー貯蔵は、以下に単にエネルギー貯蔵と呼ばれ、双方向動作可能なコンバータを通してアイランドネットワークのAC導線に接続される。それは、第1に、アイランドネットワークにおいて一定の電圧振幅でAC電圧を制御し、第2に、充電又は放電によって、再生型発電ユニットの電力生産量が上下する可能性がある場合に負荷への電力流を均等化するという目的を有する。これを目指して、エネルギー貯蔵と関連付けられたコンバータは、電圧制御及び双方向性の実施形態を有する。同じく、エネルギー貯蔵の代わりにディーゼル発電機が設けられ、前記ディーゼル発電機は、エネルギー貯蔵の目的を採用し、第1に、一定の電圧振幅でAC電圧を均等化し、第2に、一次電源(この場合燃料)の対応する変更によって負荷への電力流を均等化する、アイランドネットワークが既知である。
【0005】
したがって、従来のアイランドネットワークは、再生型発電ユニットの激しく上下する可能性のある電力に対してグリッド形成要素及びバッファ貯蔵としてエネルギー貯蔵及び/又はディーゼル発電機を常に必要とする。これは、調達にかなりの投資を伴うだけでなく、加えて運用中の費用(例えば、燃料費)も伴う。その上、多くの保守点検を必要とする場合がある追加の構成要素が必要とされ、その結果としてアイランドネットワークの動作は複雑になる。
【0006】
独国特許出願公開第10140783A1号明細書は、事前に選択された周波数ドループ及び事前に選択された電圧ドループを考慮した少なくとも2つの誘導結合インバータの公平な並列動作のための装置を開示している。
【0007】
文献カナダ国特許出願公開第2950809A1号明細書は、アイランドネットワークのインバータの自動特性曲線制御のための方法を開示する。この方法では、インバータの周波数-電力(f-p)特性曲線及び電圧-無効電力(U-Q)特性曲線の勾配は、負荷が変化する場合でさえも、偏差なくアイランドネットワークにおけるAC電圧の周波数及び電圧を維持するために、能動的に変動する。この方法は、能動的に修正された特性曲線の実現可能性を検証するために小信号安定性解析を使う。
【0008】
欧州特許出願公開第2940826A1号明細書は、電力変換器が他の発電ユニットとともに接続されている、アイランドネットワークの動作が電圧制御から電流制御動作に変更されたときにその電力変換器の制御方法を変更する必要がない、電力変換器を開示する。
【0009】
欧州特許出願公開第3185386A1号明細書は、再生可能発電ユニット及び同期発電機を含むアイランドネットワークを制御するための方法を開示する。再生可能発電ユニットは、アイランドネットワークに特性曲線制御方式で第1の電力を転送するように設計され、アイランドネットワークに第2の電力を転送する同期発電機と並列に動作することができる。アイランドネットワークの周波数が周波数閾値より下にあり、且つ/又はアイランドネットワークの電圧が電圧閾値より下にあるとき、同期発電機は開始される。第2の電力が電力閾値より下にあるとき、同期発電機は停止される。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、負荷と、再生型電源がその入力に接続された少なくとも1つの電圧制御コンバータとを含むアイランドネットワークを動作させるための方法を明らかにするという課題に基づいており、負荷の電力消費量は、電圧制御コンバータ及びそれに接続された再生型電源を含む発電ユニットが、可能な限り最大利用可能電力で動作するように制御される。ここで、方法は、双方向動作可能なエネルギー貯蔵又はディーゼル発電機の形のグリッド形成要素がなくても、アイランドネットワークを動作させるのに適しているべきである。本発明のさらなる課題は、そのような方法を含むアイランドネットワークを明らかにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題は、独立特許請求項1の特徴を有するアイランドネットワークを動作させるための方法によって解決される。従属特許請求項2~10は、本方法の好ましい実施形態を対象とする。独立特許請求項11は、そのような方法を含むアイランドネットワークを対象とする。従属特許請求項12~15は、アイランドネットワークの有利な実施形態を対象とする。
【0012】
発明の説明
アイランドネットワークを動作させるための本発明による方法で、アイランドネットワークは、
- 接続された再生型電源の電力を周波数-電力特性曲線に従ってAC電力に変換するように構成された電圧制御コンバータのグループにおいて、グループは少なくとも1つのコンバータを含む、電圧制御コンバータのグループと、
- 電力消費量がアイランドネットワークのAC電圧の電圧振幅Uに依存する負荷と、
- 電圧振幅Uのデフォルト値を電圧制御コンバータのグループに伝送する制御ユニットとを含む。ここで、本方法は、負荷によって消費される電力PLastを適合させるための以下のステップ、すなわち、
- 再生型電源の利用可能な電力の関数として少なくとも1つのコンバータの周波数-電力特性曲線を修正するステップにおいて、
- 周波数-電力特性曲線は、再生型電源の利用可能な電力が現在の電力より上にあるかどうか検査するために、所与の電力でより高い周波数に、少なくとも部分的に修正され、
- 周波数-電力特性曲線は、再生型電源が周波数-電力特性曲線に従って現在の周波数と関連付けられた電力を生成することができない場合、所与の電力でより低い周波数に、少なくとも部分的に修正される、ステップと、
- 任意選択で検出ユニットと連携した、制御ユニット(11)による周波数-電力特性曲線への修正の結果として、アイランドネットワークにおけるAC電圧の周波数fを決定するステップと、
- 制御ユニットを用いて、電圧振幅Uのデフォルト値を再決定し、再決定されたデフォルト値を電圧制御コンバータのグループに伝送するステップにおいて、決定された周波数fがアイランドネットワークの公称周波数fnomより上にある場合、デフォルト値は増加され、決定された周波数fがアイランドネットワークの公称周波数fnomより下にある場合、デフォルト値は低減される、ステップとを含む。
【0013】
負荷は、線形の電流-電圧特性曲線を持つオーム負荷で形成することができる。しかしながら、それに代わる選択肢として、負荷は、-例えば、電解槽の場合-非線形の電流―電圧特性曲線を同様に有してもよい。制御ユニットは、単独の独立した制御ユニットの形で存在し得る。しかしながら、それに代わる選択肢として、それは同様に、複数の制御ユニットの間で分散することができる。この場合、個々の制御ユニット又は複数の制御ユニットは、専ら本発明による方法の実装のために設けることができる。しかしながら、コンバータの動作制御の範囲内のタスクなどの、他の制御タスクもまた採用することができる制御ユニットは、同様に本発明の範囲内にある。具体的に言うと、制御ユニットは、同様に、複数のコンバータの間で分散されて存在することができ、特に、いずれの場合にも個々のコンバータのコントローラの一部として、そこで実施することができる。この場合に関して、ある一定のコンバータのコントローラは、マスタとして動作することができ、他のコンバータのコントローラは、スレーブとして動作することができる。周波数-電力特性曲線の修正は、複数の電圧制御コンバータの場合、制御ユニットによって協調させることができる。しかしながら、これは代わりに、個々のコンバータをそれら自体の間で協調させることなく、いわば各個々のコンバータで独立して、同様に続行することができる。
【0014】
公共配電網と対照的に、アイランドネットワークではAC電圧の電圧振幅Uは一定でなく、その代わりに、それは制御ユニットによって可変である。可変電圧振幅Uは、まさに負荷によって消費される電力PLastを調整するために、本方法の範囲内で使用される。入力側で接続された電源と連携して、アイランドネットワークに接続された電圧制御コンバータのそれぞれは、それが現在生産されているよりも多くの電力を供給することができるかどうか検査する。これを目指して、その周波数-電力特性曲線は、最初に、同じ電力でより高い周波数に、少なくとも部分的にシフトされる。複数のコンバータの場合、すべてのコンバータの動作点は、その結果として、周波数-電力特性曲線がより高い周波数にシフトされるコンバータが、その電源がより多くの電力を含むという条件でより多くの電力を供給するのに対して、他のコンバータがその周波数-電力特性曲線に従ってわずかにより少ない電力を供給するように、互いの間でシフトする。最初は、これにより、たとえ個々のコンバータの部分的電力が異なっても、総電力は変わらない。しかしながら、総電力は今、より高い周波数でアイランドネットワークの中で輸送される。このより高い周波数は、任意選択で検出ユニットを活用して、制御ユニットによって測定され、より多くの電力を負荷に輸送することができるという信号と解釈される。負荷の電力消費量を増加させるために、電圧振幅Uの新しいデフォルト値が制御ユニットによってコンバータに伝送される。コンバータが今、より高い電圧振幅Uを持つAC電圧を制御することにより、負荷によって消費される電力が増加する。接続された電源と連携したコンバータがその周波数電力特性曲線に従って電力を安定して生成することができない場合、これは、例えば、コンバータの入力及び出力における電力測定によって、又はコンバータと関連付けられたDCリンク回路の両端の電圧の検出によって識別される。それに反応して、該当するコンバータの周波数-電力特性曲線は、同じ電力でより低い周波数に、少なくとも部分的にシフトされる。これにより、コンバータを通って流れる電力が同様に低減される一方で、最初は、たとえ個々のコンバータの部分的電力が異なっても、変わらない総電力が供給されるように、他のコンバータがわずかにより多い電力を供給する。しかしながら、総電力は、より低い周波数でアイランドネットワークの中で輸送される。前に解説したことに類似して、低い周波数は今、制御ユニットによって検出され、負荷によって消費される電力を低減する信号と解釈される。したがって、それに応じて、電圧振幅Uのより低いデフォルト値が電圧制御コンバータのグループに伝送される。複数の電圧制御コンバータの実施例を使用する、上に解説した方法は、同様に、アイランドネットワークに接続された単独の電圧制御コンバータに移行することができる。生じる唯一の相違点は、アイランドネットワークに接続された単独の電圧制御コンバータの場合、周波数-電力特性曲線の変化にコンバータを通って流れる電力の即時の変化が伴わないということである。むしろ、前記電力は、制御ユニットが特性曲線の修正によって直接生じる周波数変化に起因して単独のコンバータに電圧振幅Uに対する新しいデフォルト値を伝送した時点で、ただ変化するだけである。
【0015】
アイランドネットワーク内で、本方法は、少なくとも1つの発電機と負荷との間のAC結合を使用する。AC伝送路は、一般に、-特に、電源と負荷との間の距離を考慮するとき-それに応じて設計されるDC伝送路よりも著しく費用効果が高い。多くの場合、いずれにしても存在するAC伝送路は、本方法の範囲内で使用することさえできる。今、本発明に従って再生型電源がコンバータと連携してグリッド形成要素として動作することにより、グリッド形成要素として利用可能なエネルギー貯蔵又はディーゼル発電機を保持することを省くことが可能である。この結果として、アイランドネットワークの経費は、調達及び運用に関してともに、最小化することができる。
【0016】
本発明の有利な実施形態で、少なくとも1つのコンバータを通って流れる電力P、Pが対応するコンバータ(9a、9b)の極限電力Pmax,a、Pmax,bを超えるか、又は超えるおそれがあるかどうかについて、電圧振幅Uのデフォルト値を増加させる前に検査が実行される。それに代わる選択肢として、又はそれに加えて、負荷の消費量PLastが負荷の最大許容消費量Pmax,Lastを超えるか、又は超えるおそれがあるかどうかについて、検査が実行される。検査の後に、電圧振幅Uのデフォルト値が増加しても、対応するコンバータの極限電力Pmax,a、Pmax,b又は負荷の最大許容消費量Pmax,Lastを超えることが防止されると検査が示唆する場合にのみ、電圧振幅Uのデフォルト値は増加される。これにより、少なくとも1つのコンバータ及び/又は負荷のオーバードライブを前もって回避することができる。
【0017】
1つの実施形態で、対応するコンバータと関連付けられたDCリンク回路における電圧値が測定されるような方法で、再生型電源が周波数-電力特性曲線に従って現在の周波数と関連付けられた電力を生成することができるかどうかについての検査がある。このようにして、いずれにしてもDCリンク回路に存在する電圧測定をこの目的に使用することができる。この場合、測定された電圧値が電圧閾値を下回る場合、この降下は、再生型電源が周波数-電力特性曲線に従って現在の周波数と関連付けられた電力を生成することができないことを示唆する。現在の周波数において周波数-電力特性曲線と関連付けられた電力を生成することができないことは、必ずしも、電源がこの電力を利用可能でないという結果である訳ではない。その代わりに、電源及びコンバータのアセンブリは、対応するコンバータの極限電力Pmax,a、Pmax,bに到達したために、必要とされる電力を生成することができない可能性が同様にある。ここで、対応するコンバータの極限電力Pmax,a、Pmax,bは、コンバータの-温度に依存する可能性のある-最大認可電流及び/又は電圧値に基づいて確認することができる。本方法の1つの実施形態で、コンバータの極限電力Pmax,a、Pmax,bの値、コンバータと関連付けられた再生型電源の極限電力Pmax,a、Pmax,bの値、及び/又は負荷の最大許容消費量Pmax,Lastの値は、少なくともおおよそ既知である。この場合、負荷によって消費される電力は、少なくとも1つのコンバータを通って流れる電力P、Pが、少なくとも1つの事前設定公差値だけ、対応するコンバータ及び/又はコンバータと関連付けられた再生型電源の極限電力Pmax,a、Pmax,bより下にあるように適合させることができる。それに代わる選択肢として、又はそれに加えて、負荷によって消費される電力は、負荷の消費量PLastが、少なくとも1つの事前設定公差値だけ、負荷の最大許容消費量Pmax,Lastより下にあるように適合させることができる。このようにして、コンバータ及び電源で作られた発電ユニットのある一定の正の制御マージンで利用可能に保つことが常に可能である。これにより、発電ユニットが、別のコンバータの周波数-電力特性曲線の修正に起因して、必要とされる電力を発電ユニットが生成することができない状態に操作されるのを防止することができる。これにより、本方法は特にロバストになる。
【0018】
本方法の1つの実施形態で、周波数-電力特性曲線の修正は、周波数軸の方向への周波数-電力特性曲線の少なくとも一部分の平行移動を含む。ここで、周波数-電力特性曲線は、原則として、任意の関数-有利には任意の単調関数-で形成することができる。本発明の範囲は、少なくとも一部分において直線で描かれる周波数-電力特性曲線を含む。この場合、周波数-電力特性曲線の変更は、該当部分における直線の勾配の変更を含み得る。
【0019】
本方法の1つの実施形態で、グループには、単独の電圧制御コンバータだけでなく、接続された再生型電源の電力を周波数-電力特性曲線に従ってAC電力に変換するようにそれぞれ構成された、多数の電圧制御コンバータが含まれ、コンバータと関連付けられた電源の利用可能な電力の関数としての周波数-電力特性曲線の修正は、各個々のコンバータに対して行われる。ここで、周波数-電力特性曲線の修正は、-例えば制御ユニットによって-グループ内の複数のコンバータで協調した方式で行うことができる。しかしながら、これは必須ではなく、互いの間で協調しないやり方で、いわば各個々のコンバータ内で独立して、同様に行うことができる。これにより、制御ユニットのタスクを最小化することができ、その結果として、制御ユニットは費用効果がより高くなる。
【0020】
本方法の有利な変形形態で、負荷によって消費される電力PLastを修正するためのステップは、経時的に再生型電源の最大利用可能電力又は対応するコンバータの極限電力Pmax,a、Pmax,bの変化を追跡するために、繰り返して一通り実行される。
【0021】
本発明によるアイランドネットワークは、
- DC/AC変換モジュールを有する少なくとも1つの電圧制御コンバータのグループを含み、前記コンバータの入力は再生型電源に接続され、前記コンバータの出力はアイランドネットワークのAC導線に接続される。ここで、コンバータは、コンバータと関連付けられた周波数-電力特性曲線の関数としてアイランドネットワークにおけるAC電圧を制御するように構成される。アイランドネットワークはさらにまた、
- 電力消費量がアイランドネットワークにおけるAC電圧の電圧振幅Uに依存する負荷と、
- 少なくとも1つの電圧制御コンバータのグループを制御するための制御ユニットであって、前記制御ユニットは、アイランドネットワークのAC電圧に対する電圧振幅Uのデフォルト値をグループに転送するように構成される、制御ユニットと、
- アイランドネットワークにおけるAC電圧の周波数fを決定するための検出ユニットであって、前記検出ユニットは、制御ユニットに接続されている、検出ユニットとを含む。ここで、制御ユニットは、少なくとも1つのコンバータのグループ及びコンバータに接続された再生型電源と連携して、本発明による方法を実行するように構成される。本方法と関連して既に解説した利点が生じる。
【0022】
アイランドネットワークの1つの実施形態で、そのコンバータに接続された再生型電源と連携した、グループの少なくとも1つのコンバータは、太陽光発電(PV)システム又は風力発電システムとして実施される。しかしながら、原則として、コンバータは、同様に他の再生型電源に接続されてもよい。したがって、電源と連携したコンバータは、同様に水力発電システム又は潮力発電システムを形成することができる。
【0023】
有利な一実施形態で、アイランドネットワークは、変圧器を通してアイランドネットワークのAC導線に接続された高電圧導線を備えた高電圧伝送路を含む。有利には、高電圧伝送路は、その両端の両方で、変圧器を通してアイランドネットワークのAC導線に接続されて、これらが、電圧制御コンバータに接続された再生型電源を含む電圧制御コンバータのグループを負荷に接続するようにする。所与の電力は、ケーブル配線に関してより少ない材料経費で高電圧伝送路に沿って輸送することができる。付加的に必要とされる変圧器は、ケーブル配線に関して材料経費がより低い結果として、発電ユニットと負荷との間のある一定の距離を越えて過度に補償され、ひいては償却される。
【0024】
アイランドネットワークにおける負荷は、AC負荷で形成することができる。しかしながら、アイランドネットワークの1つの実施形態で、負荷は、DC負荷として実施され、特に電解槽として実施される。ここで、DC負荷/電解槽は、AC/DC変換モジュールを介してアイランドネットワークのAC導線に接続される。アイランドネットワークが高電圧転送経路を含む限りにおいて、DC負荷/電解槽は、変圧器を通してアイランドネットワークの高電圧導線に接続される。1つの実施形態で、アイランドネットワークは、双方向動作可能なDC/AC変換モジュールを通してアイランドネットワークのAC導線に接続された、貯蔵ユニットを含み得る。これを目指して、双方向動作可能なDC/AC変換モジュールは、必ずしも電圧制御DC/AC変換モジュールである必要がない。むしろ、DC/AC変換モジュールが電流制御実施形態を有すれば十分である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明について、図に例示される好ましい代表的な実施形態に基づいて以下により詳細に説明し、解説する。
【0026】
図1図1は、本発明によるアイランドネットワークの一実施形態を示す。
図2図2は、本発明による方法の一実施形態のフローチャートを示す。
図3a図3aは、周波数-電力特性曲線が周波数軸に平行なシフトを通して修正される、本方法の一実施形態を示す。
図3b図3bは、周波数-電力特性曲線が周波数軸に平行なシフトを通して修正される、本方法の一実施形態を示す。
図4a図4aは、周波数-電力特性曲線が直線で描かれ、周波数-電力特性曲線が直線の勾配の変更を通して修正される、本方法のさらなる実施形態を示す。
図4b図4bは、周波数-電力特性曲線が直線で描かれ、周波数-電力特性曲線が直線の勾配の変更を通して修正される、本方法のさらなる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明によるアイランドネットワーク1の一実施形態を例示する。アイランドネットワーク1は、アイランドネットワーク1のAC導線7に接続された2つの発電ユニット2a、2bを有する。発電ユニット2a、2bのそれぞれは、電源3a、3bとしての太陽光発電(PV)機10a、10b及びそれに接続された電圧制御コンバータ9a、9bを持つ太陽光発電(PV)システムの形で実施される。コンバータ9a、9bは、それぞれのコンバータ9a、9bに記憶された周波数-電力特性曲線に従ってAC電圧を制御するようにそれぞれ構成される。これを目指して、コンバータ9a、9bのそれぞれは、DC/AC変換モジュール8a、8bを有する。さらに、アイランドネットワーク1には、AC/DC変換モジュール4を通してアイランドネットワーク1のAC導線7に接続されたDC負荷14、例えば電解槽の形の負荷6が含まれる。アイランドネットワーク1は、さらにまた、変圧器19を通してAC導線7に接続された、高電圧導線17を含む。電圧制御コンバータ9a、9bを制御するための制御ユニット11が、破線を使用して例示される制御及び通信リンク12を通してこれらに接続され、制御及び通信リンク12を通して、制御ユニット11は同様に、コンバータ9a、9bのグループに電圧振幅Uのデフォルト値を転送する。さらにまた、制御ユニット11は、破線を使用して例示される制御及び通信リンク13を介して、アイランドネットワーク1におけるAC電圧の周波数f、及び任意選択で電圧振幅Uを検出するための検出ユニット18に接続される。検出ユニット18及び負荷6は、同様に、この制御及び通信リンク13を通して制御される。
【0028】
2つの発電ユニット2a、2bのグループが図1に代表的な方式で例示されている。しかしながら、グループには、同様にただ1つの発電ユニット、又は3つ以上の発電ユニットが含まれてもよい。(図1には例示されない)DC/DC変換モジュール、より具体的にはステップアップコンバータを各コンバータ9a、9bのDC/AC変換モジュール8a、8bの上流に配置してもよい。アイランドネットワーク1は、三相であるものとして代表的な方式で例示され、これは、高電圧導線17内に3本の斜線のダッシュで概略的に例示される。しかしながら、アイランドネットワーク1が異なる数の相導線を有しうることは、同様に本発明の範囲内である。さらにまた、バッテリ15の形のエネルギー貯蔵が双方向動作可能な電流制御AC/DC変換モジュール16を通してアイランドネットワーク1のAC導線7に接続される。AC/DC変換モジュール16と連携して、エネルギー貯蔵は、AC電圧の電圧振幅U、ひいては負荷によって消費される電力を必ずしも適合させることなく、再生型電源3a、3bの電力における短期変動の緩和を容易にする。これは、特に反応が遅い負荷6のために有利となり得る。しかしながら、エネルギー貯蔵並びにこれと接続された双方向AC/DC変換モジュール16は、本発明によるアイランドネットワークの任意選択要素にすぎず、前記任意選択要素の存在は、必須ではない。
【0029】
図2は、図1のアイランドネットワークを動作させるための本発明による方法の一実施形態のフローチャートを示す。本方法は、すべてのコンバータ9a、9b及びそれらに接続された電源3a、3bの安定動作点から発し、再生型電源3a、3bは、前記動作点においてコンバータ9a、9bに記憶された周波数-電力特性曲線に従って公称周波数fnomと関連付けられた電力を生成することができる。アイランドネットワーク1におけるAC電圧は、最初に電圧振幅U及び公称周波数fnomを有する。第1のステップS1で、電圧制御コンバータ9a、9bのグループのコンバータ9aの周波数-電力特性曲線は、コンバータ9aと関連付けられた電源3aが現在の電力よりも多くの利用可能な電力を有するかどうか検査するために、同じ電力でより高い周波数にシフトされる。一方のコンバータ9aの周波数-電力特性曲線を同じ電力でより高い周波数にシフトすることは、少なくとも短期的に、対応するコンバータ9aがより高い電力を供給することにつながるのに対して、他方のコンバータ9bは、それに応じてより少ない電力を供給する。その結果、最初に同じ総電力P+Pを持つ2つのコンバータ9a、9bの電力配分P/Pに少なくとも短期的変化がある。ステップS2で、一方のコンバータ9aの電源3aがそのコンバータ9aの周波数-電力特性曲線に従って利用可能な修正された周波数と関連付けられたより高い電力を有するかどうか、又は、換言すると、修正された動作点が安定動作点であるかどうかについて検査が実行される。例として、検査は、コンバータ9aと関連付けられたDCリンク回路における電圧を検出することによって実行することができる。DCリンク回路における電圧が急落して閾値を下回る場合、本方法は、エネルギー源3aが利用可能な対応する電力を有さないと推定する。電源3a及びコンバータ9aで作られた発電ユニット2aの動作点は安定しておらず、本方法はステップS3に分岐し、ステップS3で、周波数-電力特性曲線は同じ電力Pでより低い周波数にシフトされる。再び、ステップS2で、一方のコンバータ9a及びそれに接続されたエネルギー源3aの安定動作点が今度は存在しているかどうかの検査が実行される。方法ステップS2及びS3のループは、動作点が安定したままになるまで、すなわち、一方のコンバータ9aと関連付けられたDCリンク回路の両端の電圧が急落せず、より具体的には閾値を下回らなくなるまで、繰り返される。この場合、本方法は、安定動作点が存在していると推定し、本方法はステップS4に分岐し、ステップS4で、アイランドネットワーク1におけるAC電圧の周波数fが検出される。後続のステップS5で、検出された周波数fがAC電圧の公称周波数fnomよりも大きいか、小さいか、又はこれに等しいかどうかについて、検出された周波数fを公称周波数fnomと比較することを通して検査が実行される。検出された周波数fが公称周波数fnomよりも大きい場合、ステップS6で、電圧振幅Uのデフォルト値は制御ユニット11によって増加される。対称的に、検出された周波数fが公称周波数fnomよりも小さい場合、ステップS7で、電圧振幅Uのデフォルト値は低減される。検出された周波数fが公称周波数fnomに等しい場合には、ステップS8で、電圧振幅Uのデフォルト値は変わらないままである。最終的に、ステップS9で、電圧振幅Uの更新されたデフォルト値は、制御ユニット11からコンバータ9a、9bのグループへ転送される。このステップの結果として、総電力P+P、ひいては負荷によって消費される電力PLastは、アイランドネットワーク1において変動する。図3a及び図3b、又は図4a及び図4bと関連して解説されるように、これは同時に、周波数fを公称周波数fnomに接近させる。本方法はステップS9で終了し、それは、ステップS1から始まって、後に再び実行することができる。一方のコンバータ9aの実施例を使用して説明された方法は、好ましくは時間的に並列に、しかし2つのコンバータ9a、9bのそれぞれにおいて互いに独立して進行する。このようにして、両方の発電ユニット2a、2bの最大利用可能電力の変化が経時的に追跡され、可能な限り、両方のエネルギー発生ユニットの最大利用可能電力P+Pが常に発生させられ且つ抜き取られるように、負荷6によって消費される電力PLastはこのように更新される。
【0030】
図3a及び図3bは、一方のコンバータ9aの周波数-電力特性曲線20aが周波数軸fに平行なシフトを通して修正される、本方法の一実施形態を例示する。両方のコンバータ9a、9bの周波数-電力特性曲線20a、20bは、代表的な方式で直線の形で例示される。しかしながら、それに代わる選択肢として、周波数-電力特性曲線20a、20bのそれぞれは、同様に、異なる単調減少関数で描かれてもよい。第1の状態25で、アイランドネットワーク1のコンバータ9a、9bは、周波数-電力線図内の動作点23にあり、前記動作点は、2つの周波数-電力特性曲線20a、20bの交差点によって決定される。アイランドネットワーク1のAC電圧は、第1の状態25で公称周波数fnom及び電圧振幅Uを有する。第1の状態25で、一方のコンバータ9aは電力Pa,25を供給し、他方のコンバータは電力Pb,25を供給する。両方の電力Pa,25、Pb,25及びそれらの合計Pges,25、Pa,25+Pb,25図2a及び図3bに概略的にスケッチされる。今、一方のコンバータ9aの周波数-電力特性曲線20aは、同じ電力でより高い周波数に、周波数軸に平行にシフトされる。Δf0,aの値によるシフトは、図3a及び図3bに矢印で同じくラベル付けされる。シフトの後に、新しい周波数-電力特性曲線20aがコンバータ9aに対して生じ、それは、図3a及び図3bに一点鎖線を使用して例示される。修正された周波数-電力特性曲線20aは、他方のコンバータ9bの周波数-電力特性曲線20bとの新しい交差点を有する。この新しい交差点は、第1の状態25に続く第2の状態26で採用される、新しい動作点23を定める。第2の状態26で、個々のコンバータ9a、9bの電力Pa,26、Pb,26に変化があったが、それらの総電力Pges,26=Pa,26+Pb,26には変化がなかった。第2の状態26における個々のコンバータ9a、9bの修正された電力Pa,26、Pb,26並びにそれらの総電力Pges,26は、図3a及び図3bに矢印で概略的に例示される。第2の状態26における総電力Pges,26が第1の状態25における総電力Pges,25と等しいにもかかわらず、第2の状態26における総電力Pges,26は今、公称周波数fnomと比較してより高い周波数fでアイランドネットワーク1内で輸送される。第2の状態26の修正された周波数fは、検出ユニット18と連携して制御ユニット11によって測定される。より高い周波数fは、接続された電源3a、3bと連携したコンバータ9a、9bのグループが現在の総電力Pges,26よりも高い利用可能な総電力を有するという推論を可能にする。それに対する反応として、アイランドネットワーク1における電圧振幅Uのデフォルト値は、制御ユニット11によって増加される。増加したデフォルト値は、制御ユニット11によってコンバータ9a、9bのグループに伝送され、その結果として、コンバータ9a、9bのグループの総電力Pges,27=Pa,27+Pb,27は、第2の状態26に続く第3の状態27で増加する。第3の状態27で、コンバータ9a、9bの共通の動作点23は、2つの周波数-電力特性曲線20a、20bの交差点から再び出現する。第3の状態27における共通の動作点23がアイランドネットワーク1におけるAC電圧の公称周波数fnomを再び有することは、図3bから明白である。しかしながら、2つのコンバータ9a、9bの増加した総電力Pges,27=Pa,27+Pb,27に対応して、両方のコンバータ9a、9bの周波数-電力線図は離れている。第3の状態27は、個々のコンバータ9a、9bの対応する電力Pa,27、Pb,27及び生じる総電力Pges,27とともに図3bに例示される。
【0031】
図3a及び図3bは、修正を概略的にスケッチするだけである。例示された修正は、少なくとも1つのコンバータ9a及びそれに接続された電源3aを含む少なくとも1つの発電ユニット2aのそれぞれ利用可能な電力の経時的変化が追跡されるように、好ましくは定期的な方式で、一定時間後に繰り返される。その上、コンバータ9aの実施例を使用して上述した、周波数-電力特性曲線20aの変更は、同様に他方のコンバータ9bで時間的に並列に行われ、その周波数-電力特性曲線20bがそれに応じて同様に修正される。ここで、時間的に並列は、本方法の各部分ステップが個々のコンバータで同時に進行することを意味しない。むしろ、この場合時間的に並列は、個々の方法ステップが必ずしも常にプロセスにおいて両方のコンバータ9a、9bで同時に行われる必要はなく、方法ステップが全体として両方のコンバータ9a、9bで時間的に並列に行われることを意味する。その結果、それに取り付けられた電源2bと連携したそれぞれの他のコンバータ9bに対して、それぞれの利用可能な電力の時間的変化が同様に追跡される。このようにして、負荷6によって消費される電力PLastは、コンバータ9a、9bのグループのそれぞれ利用可能な電力Pges=P+Pに常に更新される。図3a及び図3bで、所与の電力でより高い周波数に周波数-電力特性曲線20a、20bをシフトすることによって、総電力Pgesが増加される。それと類似したやり方で、所与の電力でより低い周波数に周波数-電力特性曲線20a、20bをシフトすることにより、総電力Pgesが低減される。
【0032】
図4a及び図4bは、本方法の第2の実施形態を概略的に例示する。図4a及び図4bに例示されたグラフは、多くの特徴に関して図3a及び図3bにすでに例示した線図と類似しているので、前記特徴に関連した解説に関して図3a及び図3bの図の説明が参照される。したがって、以下の解説は、すでに上述した図3a及び図3bに対する図4a及び図4bの相違点について主に述べる。
【0033】
図3aと類似したやり方で、図4aは、それぞれのコンバータ9a、9bに割り当てられた周波数-電力特性曲線20a、20bを互いに隣り合って位置している2つのf(P)線図で例示する。2つの周波数-電力特性曲線20a、20bのそれぞれは、直線の形で実施される。個々の直線勾配α、αが各周波数-電力特性曲線20a、20bに割り当てられる。第1の状態25で、2つの電圧制御コンバータ9a、9bの共通の動作点23は、2つの周波数-電力特性曲線20a、20bの交差点から出現する。図3a及び図3bの実施形態と対照的に、一方のコンバータ9aの周波数-電力特性曲線20aは今、周波数軸に平行なシフトを通してではなく、しかしながら、直線の勾配αの変更(この場合、増加)を通して再配置される。このようにしてもまた、第1の状態25に続く第2の状態26で、第1の状態25に対して最初はまだ変わらない総電力Pges,26=Pges,25を伴って、2つのコンバータ9a、9bの新しい動作点23が生じ、式中Pges,25=Pa,25+Pb,25及びPges,26=Pa,26+Pb,26である。ここでもまた、第2の状態26における動作点23は、公称周波数fnomより上にあるアイランドネットワーク1のAC電圧の周波数fによって特徴付けられる。周波数fは、任意選択で検出ユニット18と連携して、制御ユニット11によって測定され、公称周波数fnomと比較される。実施例における測定された周波数fは公称周波数fnomより上にあるから、これは、発電ユニット2a、2bによって現在生産される電力Pges,26=Pa,26+Pb,26よりも多くの電力が利用可能であることを意味すると解釈される。それに応じて、電圧振幅Uの新しいデフォルト値がその後制御ユニット11によってコンバータ9a、9bのグループに伝送される。コンバータ9a、9bが今、より大きい電圧振幅Uを持つAC電圧を制御することにより、同様に、負荷6によって消費される電力PLastが増加し、図4bに例示されるように、2つの線図間の距離が増加する。ここで、アイランドネットワーク1のAC電圧の公称周波数fnomを再び有する動作点23が、第2の状態26に続く第3の状態27で生じる。しかしながら、第3の状態27で、接続された電源3aと連携した一方のコンバータ9aによって供給される電力Pa,27-ひいては同様に総電力Pges,27=Pa,27+Pb,27-は、第1の状態25に対して、及び第2の状態26に対して増加している。
【0034】
本発明は、コンバータと関連付けられた単調増加周波数-電力特性曲線を使用する均等な方式で同じく実行することができ、電圧振幅Uはその場合、公称周波数fnomを超えたとき下げられ、前記公称周波数に達しないとき増加される。それに応じて、特性曲線は、より高い電力の利用可能性を検査するために部分的により低い周波数に同様にシフトされ、又は、特性曲線と関連付けられた電力が得られないとき、特性曲線は、部分的により高い周波数にシフトされる。この変形形態は、特許請求された代替形態ではなく本発明の均等な実施形態であると理解されるべきである。しかしながら、理解性を改善するために、並びに特許請求の範囲及び明細書を簡潔にするために、特許請求の範囲の表現に対応する変形形態のみをより詳細に解説した。
【符号の説明】
【0035】
1 アイランドネットワーク
2a、2b 発電ユニット
3a、3b 電源
4 AC/DC変換モジュール
5 DC導線
6 負荷
7 AC導線
8a、8b DC/AC変換モジュール
9a、9b コンバータ
10a、10b 太陽光発電(PV)機
11 制御ユニット
12 制御及び通信リンク
13 制御及び通信リンク
14 DC負荷
15 バッテリ
16 DC/AC変換モジュール
17 高電圧導線
18 検出ユニット
19 変圧器
20a、20b 周波数-電力特性曲線
23 動作点
25、26、27 状態
S1~S8 方法ステップ
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b