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特許7191051車両システム、自動運転車両、車両制御方法、プログラム、およびサーバ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】車両システム、自動運転車両、車両制御方法、プログラム、およびサーバ装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/127 20060101AFI20221209BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20221209BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20221209BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20221209BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20221209BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20221209BHJP
【FI】
G08G1/127 A
G08G1/01 A
G01C21/34
G06Q30/06 350
G06Q50/30
G06Q50/10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020006723
(22)【出願日】2020-01-20
(62)【分割の表示】P 2019525556の分割
【原出願日】2018-06-15
(65)【公開番号】P2020074169
(43)【公開日】2020-05-14
【審査請求日】2021-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2017118915
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 瞬
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 峰史
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 将行
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】福島 理恵
(72)【発明者】
【氏名】山根 久和
(72)【発明者】
【氏名】小野田 正明
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-238831(JP,A)
【文献】特開2015-191264(JP,A)
【文献】特開2014-006890(JP,A)
【文献】特開2017-191371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
G08B 21/02、25/00、25/04
G08G 1/00-99/00
G06Q 10/00-10/10、30/00-30/08、
50/00-50/20、50/26-99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転車両の運行領域を規定する領域指示部と、
前記自動運転車両に対する利用者を判別する判別部と、
前記判別部により前記自動運転車両を利用可能な利用者であると判別された利用者に対し前記自動運転車両の少なくとも一部を占有利用させる利用許可部と、
前記利用者の端末装置と通信する通信部と、
前記運行領域内を予め決められた経路で巡回走行する規定経路と、前記通信部により受信された情報に基づくオンデマンド経路とのうち一方または双方に基づいて、前記自動運転車両に経路を指示する経路指示部と、を備え、
前記経路指示部は、前記規定経路の優先度と、前記オンデマンド経路の優先度とを比較し、何れかの経路を前記自動運転車両に指示する、
車両システム。
【請求項2】
前記領域指示部は、前記規定経路を前記自動運転車両に指示する場合に、前記運行領域内において、時間帯に応じて異なる経路を指示する、
請求項1に記載の車両システム。
【請求項3】
前記経路指示部は、前記規定経路に対応した前記自動運転車両の利用状況に基づいて、前記オンデマンド経路の走行期間を割り当てる、
請求項1または2に記載の車両システム。
【請求項4】
前記自動運転車両には、前記利用者の端末装置と通信し、利用可能な状況であるか否かを示す情報を送信する車載通信部が搭載される、
請求項1から3のうち何れか1項に記載の車両システム。
【請求項5】
複数の前記自動運転車両を、前記運行領域内を巡回走行するために割り当てる車両割当部を更に備える、
請求項1から4のうち何れか1項に記載の車両システム。
【請求項6】
前記自動運転車両は、車内または車外を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像の特徴データをサーバ装置に送信する車載通信部と、
前記サーバ装置に少なくとも一時的に記憶される特徴データに基づいてイベントを判定するイベント判定部と、
前記イベント判定部により判定されたイベント情報および前記判別部により判別された利用者情報に基づいて通知を提供する提供部と、を更に備える、
請求項1から5のうち何れか1項に記載の車両システム。
【請求項7】
行領域を規定する領域指示部と、
利用者を判別する判別部と、
前記判別部により利用可能な利用者であると判別された利用者に対し車室内の少なくとも一部を占有利用させる利用許可部と、
前記利用者の端末装置と通信する通信部と、
前記運行領域内を予め決められた経路で巡回走行する規定経路と、前記通信部により受信された情報に基づくオンデマンド経路とのうち一方または双方に基づいて、走行経路を生成する自律制御部と、を備え、
前記自律制御部は、前記規定経路の優先度と、前記オンデマンド経路の優先度とを比較し、何れかの経路を選択する、
自動運転車両。
【請求項8】
コンピュータが、
運行領域内の自動運転車両に経路を指示し、
前記自動運転車両に対して利用可能な利用者を判別し、
利用可能な利用者であると判別された利用者に、前記自動運転車両の少なくとも一部を占有利用させ、
通信部により前記利用者の端末装置と通信し、
前記運行領域内を予め決められた経路で巡回走行する規定経路と、前記通信部により受信された情報に基づくオンデマンド経路とのうち一方または双方に基づいて、前記自動運転車両に経路を指示し、
更に前記規定経路の優先度と、前記オンデマンド経路の優先度とを比較し、何れかの経路を前記自動運転車両に指示する、
車両制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、
運行領域内の自動運転車両を特定させ、
前記特定された自動運転車両に対し経路を指示させ、
前記自動運転車両に対して利用可能な利用者を判別させ、
利用可能な利用者であると判別された利用者に対する、前記自動運転車両の少なくとも一部を占有利用させ、
通信部により前記利用者の端末装置と通信させ、
前記運行領域内を予め決められた経路で巡回走行する規定経路と、前記通信部により受信された情報に基づくオンデマンド経路とのうち一方または双方に基づいて、前記自動運転車両に経路を指示させ、
更に前記規定経路の優先度と、前記オンデマンド経路の優先度とを比較し、何れかの経路を前記自動運転車両に指示させる、
プログラム。
【請求項10】
利用可能な利用者であると判別された利用者に対して車室内の少なくとも一部を占有利用させる自動運転車両の運行領域を規定する領域指示部と、
前記利用者の端末装置と通信する通信部と、
前記運行領域内を予め決められた経路で巡回走行する規定経路と、前記通信部により受信された情報に基づくオンデマンド経路とのうち一方または双方に基づいて、前記自動運転車両に経路を指示する経路指示部と、を備え、
前記経路指示部は、前記規定経路の優先度と、前記オンデマンド経路の優先度とを比較し、何れかの経路を前記自動運転車両に指示する、
サーバ装置。
【請求項11】
前記領域指示部は、前記規定経路を前記自動運転車両に指示する場合に、前記運行領域内において、時間帯に応じて異なる経路を指示する、
請求項10に記載のサーバ装置。
【請求項12】
前記経路指示部は、前記規定経路に対応した前記自動運転車両の利用状況に基づいて、前記オンデマンド経路の走行期間を割り当てる、
請求項10または11に記載のサーバ装置。
【請求項13】
前記自動運転車両には、前記利用者の端末装置と通信し、利用可能な状況であるか否かを示す情報を送信する車載通信部が搭載される、
請求項10から12のうち何れか1項に記載のサーバ装置。
【請求項14】
複数の前記自動運転車両を、前記運行領域内を巡回走行するために割り当てる車両割当部を更に備える、
請求項10から13のうち何れか1項に記載のサーバ装置。
【請求項15】
前記通信部は、前記自動運転車両に搭載された車内または車外を撮像する撮像部により撮像された画像の特徴データを受信し、
前記通信部により受信した前記特徴データに基づいてイベントを判定し、判定したイベント情報を前記自動運転車両に送信する、
請求項10から14のうち何れか1項に記載のサーバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両システム、自動運転車両、車両制御方法、プログラム、およびサーバ装置に関する。
本願は、2017年6月16日に、日本に出願された特願2017-118915号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、管理装置によって指示される配車情報にしたがい利用者または荷物を運ぶ、自動走行可能な複数の車両を備えた撮影情報共有システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このシステムでは、車両のそれぞれが、走行中および待機中に撮影した撮影情報を収集する撮影情報取得部を備え、管理装置が、車両と無線通信により、車両のそれぞれから受信した撮影情報を記憶する撮影情報データベースと、利用者の端末または車両から撮影情報の取得要求を受信すると、撮影情報データベースから該当する場所の撮影情報を読出し、撮影情報を要求した利用者の端末または車両へ送信する撮影情報送信部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-179414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、地域に密着した車両の利用態様を提供することができない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、地域に密着した車両の利用態様を提供することができる車両システム、自動運転車両、車両制御方法、プログラム、およびサーバ装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車両システム、自動運転車両、車両制御方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る車両システムは、自動運転車両の運行領域を規定する領域指示部(332)と、前記自動運転車両に対する利用者を判別する判別部(272)と、前記判別部により前記自動運転車両を利用可能な利用者であると判別された利用者に対し前記自動運転車両の少なくとも一部を占有利用させる利用許可部と、を備える車両システムである。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記領域指示部は、前記運行領域内において、時間帯に応じて異なる経路を前記自動運転車両に指示するものである。
【0008】
(3):上記(1)または(2)の態様において、利用者の端末装置(100)と通信する通信部(310)と、前記運行領域内を予め決められた経路で巡回走行する規定経路と、前記通信部により受信された情報に基づくオンデマンド経路との一方または双方に基づいて、前記自動運転車両に経路を指示する経路指示部とを、更に備えるものである。
【0009】
(4):上記(3)の態様において、前記経路指示部は、前記規定経路と、前記オンデマンド経路との優先度を比較し、何れかを前記自動運転車両に指示するものである。
【0010】
(5):上記(4)の態様において、前記経路指示部は、前記規定経路に対応した前記自動運転車両の利用状況に基づいて、前記オンデマンド経路の走行期間を割り当てるものである。
【0011】
(6):上記(1)から(5)のうち何れか1つの態様において、前記自動運転車両には、利用者の端末装置と通信し、利用可能な状況であるか否かを示す情報を送信する車載通信部(220)が搭載される。
【0012】
(7):上記(3)から(6)のうち何れか1つの態様において、複数の前記自動運転車両を、前記運行領域内を巡回走行するために割り当てる車両割当部を更に備えるものである。
【0013】
(8):上記(1)から(7)のうち何れか1つの態様において、前記自動運転車両は、車内または車外を撮像する撮像部(210、280)と、前記撮像部により撮像された画像の特徴データをサーバ装置に送信する車載通信部と、前記サーバ装置に少なくとも一時的に記憶される特徴データに基づいてイベントを判定するイベント判定部(282、360)と、前記イベント判定部により判定されたイベント情報および前記判別部により判別された利用者情報に基づいて通知を提供する提供部(250、270、282、284)と、を更に備えるものである。
【0014】
(9):この発明の一態様に係る自動運転車両は、車載通信部と、前記車載通信部への受信信号により運行領域を規定する領域指示部と、前記運行領域の範囲内において巡回走行する規定経路を生成する自律制御部と、を備え、前記自律制御部は、前記車載通信部により受信された前記運行領域の利用状況に基づき、オンデマンド経路を前記規定経路に代えて選択する、自動運転車両である。
【0015】
(10):この発明の一態様に係る車両制御方法は、コンピュータが、運行領域内の自動運転車両に経路を指示し、前記自動運転車両に対して利用可能な利用者を判別し、利用可能な利用者であると判別された利用者に、前記自動運転車両の少なくとも一部を占有利用させ、前記少なくとも一部の占有利用状態に基づき、前記運行領域内の自動運転車両数を制御する、車両制御方法である。
【0016】
(11):この発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、運行領域内の自動運転車両を特定させ、前記特定された自動運転車両に対し経路を指示させ、前記自動運転車両に対して利用可能な利用者を判別させ、利用可能な利用者であると判別された利用者に対する、前記自動運転車両の少なくとも一部の占有利用を開始させ、前記少なくとも一部の占有利用状態を継続的に監視し、該占有利用状態に基づき前記運行領域内の自動運転車両数を制御させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0017】
(1)~(11)によれば、地域に密着した車両の利用態様を提供することができる。
【0018】
(2)によれば、運行領域内のより多くの道路を巡回走行することができる。したがって、利用者は、車両を容易に発見することができる。
【0019】
(3)~(5)または(7)によれば、規定経路の巡回走行を維持しながら、オンデマンド経路を走行することができる。これにより、利用者のニーズに即したサービスを提供することができる。
【0020】
(6)または(8)によれば、利用者に有効な情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施形態の車両システムの構成図である。
図2】第1の実施形態の車両の構成図である。
図3】自動運転における処理過程について説明するための図である。
図4】利用者情報の内容の一例を示す図である。
図5】端末装置の表示部に表示される乗車リクエスト画面の一例を示す図である。
図6】端末装置に表示される乗車リクエスト結果画面の一例を示す図である。
図7】経路情報の内容の一例を示す図である。
図8】車両が運行領域を巡回走行する様子を説明するための図である。
図9】車両管理装置により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】車両により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】第2の実施形態の車両システムの構成図である。
図12】停留所通信装置の構成図である。
図13】利用者Uが停留所通信装置から乗車リクエストを行う様子を説明する図である。
図14】第3の実施形態の車両システムの構成図である。
図15】第3の実施形態の車両の構成図である。
図16】イベントを判定する処理について説明するための図である。
図17】第4の実施形態の車両の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照し、本発明の車両システム、自動運転車両、車両制御方法、プログラム、およびサーバ装置の実施形態について説明する。車両システムは、所望の利用者に車両を利用させることを支援するためのシステムである。この車両は、例えば、基本的には運転操作を必要としない自動運転車両である。以下、自動運転車両が用いられるものとして説明するが、手動運転車両が用いられても構わない。
【0023】
<第1の実施形態>
[全体構成]
図1は、第1の実施形態の車両システム1の構成図である。車両システム1は、一以上の利用者Uにより使用される一以上の端末装置100と、一以上の車両200と、車両管理装置300とを備える。これらの構成要素は、ネットワークNWを介して互いに通信可能である。ネットワークNWは、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、公衆回線、プロバイダ装置、専用回線、無線基地局等を含む。なお、「利用者Uにより使用される」とは、ネットカフェの端末装置等、不特定多数によって使用され得る端末装置が、利用者Uにより一時的に使用されることを含んでよい。また、車両管理装置300は、「サーバ装置」の一例である。
【0024】
[端末装置]
端末装置100は、例えば、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。端末装置100では、車両システム1を利用するためのアプリケーションプログラム、或いはブラウザ等が起動し、以下に説明する車両利用サービス等をサポートする。以下の説明では端末装置100がスマートフォンであり、アプリケーションプログラム(車両制御アプリ)が起動していることを前提とする。車両制御アプリは、利用者Uの操作に応じて車両管理装置300と通信し、利用者Uのリクエストを車両管理装置300に送信したり、車両管理装置300から受信した情報に基づくプッシュ通知を行ったりする。
【0025】
[車両]
車両200は、例えば、複数の利用者Uが利用可能な四輪以上の車輪を有する車両であるが、自動二輪車その他の車両であっても構わない。図2は、第1の実施形態の車両200の構成図である。車両200は、例えば、外界監視ユニット210と、通信装置220と、ナビゲーション装置230と、推奨車線決定装置240と、自動運転制御ユニット250と、駆動力出力装置260と、ブレーキ装置262と、ステアリング装置264と、乗降者管理装置270とを備える。また、乗降者管理装置270は、例えば、判別部272と、利用許可部273と、乗車制御部274とを備える。自動運転制御ユニット250および乗降者管理装置270は、例えば、車両200内の記憶部(不図示)に格納されたプログラム(ソフトウェア)を実行するCPU等のプロセッサを有する。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶部に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置(不図示)に装着されることで記憶部にインストールされてもよい。外界監視ユニット210の一部および後述する車室内カメラ280は、「撮像部」の一例である。また、通信装置220は、「車載通信部」の一例である。また、自動運転制御ユニット250と、乗降者管理装置270と、後述するイベント判定装置282と、情報出力装置284とを合わせたものが「提供部」の一例である。
【0026】
外界監視ユニット210は、例えば、カメラやレーダ、LIDAR(Light Detection and Ranging)、これらの出力に基づいてセンサフュージョン処理を行う物体認識装置等を含む。外界監視ユニット210は、車両200の周辺に存在する物体の種類(特に、車両、歩行者、および自転車)を推定し、その位置や速度の情報と共に自動運転制御ユニット250に出力する。
【0027】
通信装置220は、例えば、ネットワークNWに接続したり、端末装置100や車両管理装置300、他車両等と直接的に通信したりするための無線通信モジュールである。通信装置220は、Wi-Fi、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、Bluetooth(登録商標)、その他の通信規格に基づいて無線通信を行う。通信装置220として、用途に応じた複数のものが用意されてもよい。例えば、通信装置220は、端末装置100と通信し、車両200が利用可能な状況であるか否かを示す情報を送信する。
【0028】
ナビゲーション装置230は、例えば、HMI(Human machine Interface)232と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機234と、ナビ制御装置236とを備える。HMI232は、例えば、タッチパネル式ディスプレイ装置やスピーカ、マイク等を含む。GNSS受信機234は、GNSS衛星(例えばGPS衛星)から到来する電波に基づいて自機の位置(車両200の位置)を測位する。ナビ制御装置236は、例えば、CPU(Central Processing Unit)や各種記憶装置を備え、ナビゲーション装置230全体を制御する。記憶装置には、地図情報(ナビ地図)が格納されている。ナビ地図は、ノードとリンクで道路を表現した地図である。
【0029】
ナビ制御装置236は、GNSS受信機234によって測位された車両200の位置から、HMI232を用いて指定された目的地までの経路を、ナビ地図を参照して決定する。また、ナビ制御装置236は、車両200の位置と目的地とを、通信装置220を用いてナビゲーションサーバ(不図示)に送信し、ナビゲーションサーバから返信された経路を取得してもよい。
【0030】
また、第1の実施形態の場合、経路は、車両管理装置300によって指定される場合もある。この場合の経路には、運行領域内を予め決められた経路で巡回して走行する規定経路、または車両200に乗車する利用者が所持する端末装置100までの経路と乗車した利用者が設定した目的地までの経路とを含むオンデマンド経路のうち、一方または双方が含まれる。運行領域内とは、市区町村ごとの範囲や、市区町村内における特定の地域、或いは、複数の市区町村にまたがる地域であってもよい。巡回には、例えば、同一経路を周回する場合や時間帯で異なる経路を周回する場合が含まれる。また、巡回には、例えば、A市とB市とを行ったり来たりするような場合も含まれる。以下では、規定経路の一例として、定期的に決められた経路を巡回して走行する定期経路を用いて説明する。オンデマンド経路とは、端末装置100からの乗車リクエストがあった場合に車両管理装置300で生成される経路である。また、それぞれの経路には、利用者を乗車または降車させるために停止する地点および到達目標時刻の情報が付随されていてもよい。また、それぞれの経路には、目的地点または経路を、ある時間範囲で通過したり、ある地点をある時間範囲に発着する等の情報が付随されていてもよい。
【0031】
ナビ制御装置236は、上記何れかの方法で決定した経路の情報を推奨車線決定装置240に出力する。
【0032】
推奨車線決定装置240は、例えば、MPU(Map Positioning Unit)と各種記憶装置を備える。記憶装置には、ナビ地図よりも詳細な高精度地図情報が格納されている。高精度地図情報には、例えば、車線ごとの道路幅や勾配、曲率、信号の位置等の情報が含まれている。推奨車線決定装置240は、ナビゲーション装置230から入力された経路に沿って走行するために好ましい推奨車線を決定し、自動運転制御ユニット250に出力する。
【0033】
自動運転制御ユニット250は、CPUやMPU(Micro Processing Unit)等の一以上のプロセッサと各種記憶装置を備える。自動運転制御ユニット250は、推奨車線決定装置240により決定された推奨車線を走行することを原則として、外界監視ユニット210から位置や速度が入力された物体との接触を避けるように、車両200を自動的に走行させる。自動運転制御ユニット250は、例えば、各種制御を順次実行する。制御には、一定速度で同じ走行車線を走行する定速走行制御、前走車両に追従する追従走行制御、車線変更制御、合流制御、分岐制御、緊急停止制御、料金所を通過するための料金所制御、自動運転を終了して手動運転に切り替えるためのハンドオーバ制御等がある。また、これらの制御の実行中に、車両200の周辺状況(周辺車両や歩行者の存在、道路工事による車線狭窄等)に基づいて、回避のための行動が計画される場合もある。
【0034】
自動運転制御ユニット250は、車両200が将来走行する目標軌道を生成する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、自車両Mの到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。軌道点は、所定の走行距離ごとの自車両Mの到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度および目標加速度が、目標軌道の一部として生成される。また、軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における自車両Mの到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度の情報は軌道点の間隔で表現される。
【0035】
図3は、自動運転における処理過程について説明するための図である。まず、上図に示すように、ナビゲーション装置230によって経路が決定される。この経路は、例えば車線の区別が付けられていない大まかな経路である。次に、中図に示すように、推奨車線決定装置240が、経路に沿って走行しやすい推奨車線を決定する。そして、下図に示すように、自動運転制御ユニット250が、障害物の回避等を行いながら、なるべく推奨車線に沿って走行するための軌道点を生成し、軌道点(および付随する速度プロファイル)に沿って走行するように、駆動力出力装置260、ブレーキ装置262、ステアリング装置264のうち一部または全部を制御する。なお、このような役割分担はあくまで一例であり、例えば自動運転制御ユニット250が一元的に処理を行ってもよい。また、自動運転制御ユニット250は、乗降者管理装置270による制御により、上述した自動運転に関する各種制御を行ってもよい。
【0036】
駆動力出力装置260は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。駆動力出力装置260は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機等の組み合わせと、これらを制御するパワーECUとを備える。パワーECUは、自動運転制御ユニット250から入力される情報、或いは不図示の運転操作子から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0037】
ブレーキ装置262は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、自動運転制御ユニット250から入力される情報、或いは運転操作子から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置262は、運転操作子に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置262は、上記説明した構成に限らず、自動運転制御ユニット250から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0038】
ステアリング装置264は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、自動運転制御ユニット250から入力される情報、或いは運転操作子から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0039】
乗降者管理装置270は、車両200の利用者の乗車および降車を管理する。また、乗降者管理装置270は、乗員の人数や車両200の定員数を管理する。判別部272は、車両200に対する利用者を判別する。利用許可部273は、判別部272により車両200を利用可能な利用者であると判別された利用者を車両200に乗車させるための制御を行う。具体的には、利用許可部273は、判別部272により車両200を利用可能な利用者であると判別された利用者に対し車両200の少なくとも一部を占有利用させる。少なくとも一部を占有利用させるとは、例えば、車室内にある複数の座席のうち少なくとも一つの座席を占有して利用させることである。また、乗車制御部274は、利用許可部273により車両200の少なくとも一部の占有利用が許可された利用者を乗車または降車させるための制御を行う。判別部272、利用許可部273、および乗車制御部274の機能の詳細については、後述する。
【0040】
[車両管理装置300]
図1に戻り、車両管理装置300は、例えば、通信部310と、利用者登録部320と、取得部330と、領域指示部332と、経路指示部340と、記憶部350とを備える。
【0041】
利用者登録部320、取得部330、領域指示部332、および経路指示部340は、例えば、CPU等のプロセッサが記憶部350に格納されたプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶部350に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置(不図示)に装着されることで記憶部350にインストールされてもよい。
【0042】
通信部310は、例えば、ネットワークNWに接続するためのネットワークカードである。通信部310は、ネットワークNWを介して端末装置100や車両200と通信する。
【0043】
利用者登録部320は、車両システム1による車両利用サービスを利用する利用者の登録を行う。利用者登録部320は、例えば、端末装置100により入力された車両200を利用する曜日、時間帯、および利用区間に関する情報を登録する。利用者登録部320により登録された各種情報は、利用者情報351として記憶部350に記憶される。
【0044】
図4は、利用者情報351の内容の一例を示す図である。利用者情報351には、利用者の識別情報である利用者IDに、利用者の認証に用いられる認証情報であるパスワードと、車両200の利用時間、および利用区間とが対応付けられている。利用時間とは、例えば、曜日および時間帯である。利用区間とは、例えば、乗車地点から目的地までの区間である。乗車地点および目的地は、例えば、それぞれ地図座標で表されている。また、利用者情報351には、利用者に異常が生じた場合の連絡先(通知先)の情報が含まれてもよい。
【0045】
また、利用者登録部320は、利用者情報351の登録完了後に、登録完了を示す情報を端末装置100に送信する。登録完了を示す情報には、例えば、利用者IDやパスワードに関する情報が含まれる。また、登録完了を示す情報には、車両200への乗車を許可するバーコードやQRコード(登録商標)等のコードが含まれてもよい。コードには、例えば、利用者IDや、利用者の目的地等の情報がエンコードされている。また、利用者登録部320は、利用者情報351を車両200に送信してもよい。
【0046】
取得部330は、車両200への乗車を希望する利用者が所持する端末装置100からの乗車リクエストを取得する。
【0047】
領域指示部332は、車両200の運行領域を規定する。また、領域指示部332は、運行領域内において、時間帯に応じて異なる経路を車両200に指示する。領域指示部332の機能の詳細については、後述する。
【0048】
経路指示部340は、例えば、定期経路生成部342と、オンデマンド経路生成部344と、車両割当部346とを備える。定期経路生成部342は、利用者情報351および地図情報352に基づいて、車両200が巡回走行する定期経路を生成する。オンデマンド経路生成部344は、取得部330により得られる乗車リクエストに基づいて、乗車する利用者の位置までの経路と利用者を乗車させてから目的地までの経路とを含むオンデマンド経路を生成する。車両割当部346は、運行領域内を巡回走行するための複数の車両200を割り当てる。定期経路生成部342、オンデマンド経路生成部344、および車両割当部346の機能の詳細については、後述する。
【0049】
記憶部350は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等により実現される。記憶部350には、例えば、利用者情報351、地図情報352、経路情報353、およびその他の情報が格納される。
【0050】
地図情報352には、例えば、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報等が含まれる。道路情報には、高速道路、有料道路、国道、都道府県道といった道路の種別を表す情報や、道路の車線数、非常駐車帯の領域、各車線の幅員、道路の勾配、道路の位置(経度、緯度、高さを含む3次元座標)、車線のカーブの曲率、車線の合流および分岐ポイントの位置、道路に設けられた標識等の情報が含まれる。地図情報352は、通信装置220を用いて他装置にアクセスすることにより、随時、アップデートされてよい。
【0051】
経路情報353は、車両200ごとに割り当てられる経路に関する情報である、経路情報353には、定期経路またはオンデマンド経路のうち一方または双方が含まれる。経路情報353の詳細については、後述する。
【0052】
[車両システム1による車両利用サービス]
次に、第1の実施形態の車両システム1による車両利用サービスの一例について説明する。まず、利用者は、端末装置100を用いて車両管理装置300にアクセスし、利用者登録部320によって、車両システム1による車両利用サービスを受けるための利用者登録を行う。
【0053】
領域指示部332は、予め登録された利用者情報351に基づいて、どの利用者がどの時間帯に、どの地域で乗車を希望しているかを把握し、把握した情報に基づいて、乗車地点を含む地域を運行領域として規定する。定期経路生成部342は、領域指示部332により規定された運行領域に対し、巡回走行する車両200の台数と、車両200ごとの経路を生成する。この場合、定期経路生成部342は、運行領域を巡回走行する車両200が、運行領域内において、時間帯に応じて異なる経路を走行するような経路を生成する。また、定期経路生成部342は、運行領域を複数の車両で巡回走行する場合に、それぞれの車両200が異なる経路で巡回走行する経路を生成してもよい。
【0054】
定期経路生成部342は、生成した定期経路を車両200に送信する。車両200は、定期経路生成部342により生成された定期経路に基づいて走行を行う。このように、利用者情報351から得られる利用者の時間帯に合わせて、車両200の台数や経路を決定するため、渋滞の抑制と車両稼働率の向上を両立させることができる。また、車両200を時間帯ごと、または車両200ごとに異なる経路を走行させることで、運行領域内のより多くの道路を巡回走行することができる。したがって、利用者は、車両200を容易に発見することができる。また、定期経路を車両200に巡回走行させることで、利用者が車両200に乗車する直前に乗車リクエストを送信しなくても、車両200を速やかに見つけて利用することができるため、利用者にとっての利便性を向上させることができる。
【0055】
また、利用者は、車両200に乗車したい場合に、端末装置100から乗車リクエストを送信してもよい。図5は、端末装置100の表示部に表示される乗車リクエスト画面400の一例を示す図である。乗車リクエスト画面400は、利用者情報入力領域402と、利用時間帯を入力する利用時間帯入力領域404と、利用区間(乗車位置および目的地)の情報を入力する乗降位置入力領域406と、設定した内容の決定もしくはキャンセルを行う確定操作領域408とが示されている。
【0056】
利用者は、乗車リクエスト画面400から、予め登録したユーザ情報を入力するとともに、利用する利用時間および利用区間に関する情報を入力して、確定操作領域408の決定ボタンを選択する。端末装置100は、ネットワークNWを介して車両管理装置300に乗車リクエストを送信する。
【0057】
オンデマンド経路生成部344は、通信部310を介して端末装置100から乗車リクエストを受信した場合に、現時点で端末装置100の近くを走行している車両であって、且つ、利用者が利用可能な車両200を検索し、検索結果で得られた車両200に対するオンデマンド経路を生成する。端末装置100の近くの位置とは、例えば、端末装置100を基準とした所定範囲内の位置であってもよく、他の車両と比較して相対的に端末装置100に近い位置であってもよく、その両方でもよい。また、利用可能とは、例えば、車両200の乗員数が予め定められた定員数未満であることである。
【0058】
経路指示部340は、定期経路生成部342により生成された定期経路と、オンデマンド経路生成部344により乗車リクエストに基づいて生成されたオンデマンド経路とのうち一方または双方に基づいて、車両200に経路を指示する。例えば、経路指示部340は、定期経路生成部342により生成される定期経路の優先度と、オンデマンド経路生成部344により生成されるオンデマンド経路の優先度とを比較し、優先度の高い経路を車両200に指示する。それぞれの経路の優先度は、予め車両管理装置300側で設定されていてもよく、端末装置100からの指示により設定されてもよい。また、それぞれの経路の優先度は、定期経路またはオンデマンド経路を走行する車両200の利用状況に基づいて設定されてもよい。
【0059】
また、オンデマンド経路生成部344は、定期経路に対応した車両200の利用状況に基づいて、オンデマンド経路の走行期間を割り当ててもよい。例えば、オンデマンド経路生成部344は、車両200の定期経路での利用状況に空きがあるか否かを判定する。空きがあるとは、例えば、所定時間以上、利用者による利用予定がないことである。所定時間とは、例えば、予定された定期経路の運行に影響がでないと予測される時間に所定のマージンを含めた時間である。オンデマンド経路生成部344は、生成したオンデマンド経路を、車両200に送信する。車両200は、利用状況の空き時間にオンデマンド経路に基づいて走行を行う。
【0060】
車両割当部346は、例えば、定期経路とオンデマンド経路とを生成した場合に、予め定められた複数の車両200のうち少なくとも一定数の車両200に、定期経路を走行するように台数を調整して、経路を指示してもよい。これにより、定期経路の巡回走行を維持しながら、オンデマンド経路を走行することができる。したがって、利用者のニーズに即した車両利用サービスを提供することができる。
【0061】
また、車両割当部346は、乗車リクエストが、特定の箇所に集中し、特定の経路に車両が集中する場合には、オンデマンド経路を乗車リクエストの利用時間よりも前後に時間をシフトさせたり、経路を分散させたりしてもよい。これにより、配車のスケジュールを最適化することができ、運行領域内における交通の流れを効率化することができる。
【0062】
また、車両割当部346は、運用領域内での需要に対し、余力のある車両数の割り当てを試み、割り当てが不可能である場合に、他領域または第三者の車両利用サービスに対して配車リクエストを出力してもよい。そして、車両割当部346は、配車リクエストの受諾により配車された車両を、その運行領域内の車両として設定し、設定された車両に対して経路指示を行う。
【0063】
また、経路指示部340は、乗車リクエスト結果を端末装置100に送信する。端末装置100は、車両管理装置300から受信した乗車リクエスト結果を表示する。
【0064】
図6は、端末装置100に表示される乗車リクエスト結果画面410の一例を示す図である。乗車リクエスト結果画面410には、乗車リクエスト結果として、利用可能な状況である車両が存在したか否かを示す情報と、利用可能な車両200の識別情報(車両ID)と、車両200が乗車地点への到着予定時間とが示される。利用者は、乗車リクエスト結果画面410を参照することで、リクエストによる乗車の可否を容易に把握することができる。
【0065】
また、経路指示部340は、生成した経路を経路情報353として、記憶部350に記憶する。図7は、経路情報353の内容の一例を示す図である。経路情報353は、車両IDに、時間帯と、巡回走行する地域情報である地域IDと、定期経路の識別情報である定期経路IDと、オンデマンド経路の識別情報であるオンデマンド経路IDとが対応付けられている。定期経路IDおよびオンデマンド経路IDには、それぞれIDに対応付けられた経路が設定されている。車両管理装置300は、経路情報353を管理することで、車両200の各地域への車両200の配車を一元管理することができる。
【0066】
図8は、車両200が運行領域を巡回走行する様子を説明するための図である。図8の例では、地図500上に二つの領域510、512が割り当てられているものとする。また、領域510には四台の車両M-1~M-4が定期経路を走行し、領域512には二台の車両M-5、M-6が定期経路を走行しているものとする。
【0067】
ここで、車両M-1が、定期走行中に、外界監視ユニット210により乗車を希望する利用者Uを検知する。例えば、乗降者管理装置270は、ディープラーニング等の機械学習を用いて、外界監視ユニット210のカメラにより撮像された画像から乗車を希望する利用者Uの特徴を学習し、撮像された画像から乗車を希望する利用者Uを検知する。機械学習は、例えば、CNN(Convolutional Neural Network)やAdaBoost(Adaptive Boosting)等のアルゴリズムを用いる。
【0068】
また、乗降者管理装置270は、外界監視ユニット210のカメラにより撮像された画像の各画素に対する輝度情報または色情報(R,G,B)を用いて、人物の形状を推定し、推定した人物が手を挙げている形状を示している場合に、利用者Uが乗車を希望していると判定してもよい。
【0069】
乗降者管理装置270は、乗車を希望する利用者Uが立っている地点で停車するように自動運転制御ユニット250を制御する。次に、判別部272は、利用者ユーザUが車両M-1に乗車することができるか否かを判定する。
【0070】
例えば、判別部272は、乗車時に車外から音声による利用者IDおよびパスワードの発話を受け付けて認証を行ってもよく、車両表面や車内に設けられた端末に利用者IDおよびパスワードを入力させることで、認証を行ってもよい。判別部272は、入力された利用者IDおよびパスワードに基づいて、車両管理装置300から受信した利用者情報351を参照し、利用者情報351に含まれる利用者IDおよびパスワードと合致している場合に、利用可能な利用者であると判定し、合致しない場合に乗車不可能な利用者であると判定する。
【0071】
また、判別部272は、端末装置100の表示部に表示された画像に描画されたバーコードやQRコード等のコードを車両200が備えるコードリーダ(不図示)で読み取り、読み取ったコードが乗車を許可するコードである場合に、利用者Uの乗車が可能であると判定してもよい。この場合、判別部272は、コードリーダに翳されたコードにエンコードされた情報を読み取り、読み取った情報をデコードし、電子情報を取得する。そして、判別部272は、コードリーダにより読み取られた情報と、予め車両管理装置300から受信した情報とが合致する場合、利用者Uの乗車が可能であると判定し、情報が合致しない場合、利用者Uの乗車が不可能であると判定する。なお、判別部272は、取得した情報を車両管理装置300に送信し、利用者Uの乗車の可否判定結果を車両管理装置300から取得してもよい。
【0072】
また、判別部272は、端末装置100と、DSRC(Dedicated Short Range Communications)やFelica(登録商標)等の無線通信により、端末装置100から利用者IDおよびパスワードを読み取り、利用者情報351を参照して、利用者情報351に含まれる利用者IDおよびパスワードと合致している場合に、利用可能な利用者であると判定し、合致しない場合に乗車不可能な利用者であると判定してもよい。なお、判別部272は、無線通信により端末装置100から取得した利用者IDおよびパスワードを車両管理装置300に送信し、車両管理装置300において顔画像の照合が行われた結果である利用者Uの乗車の可否判定結果を車両管理装置300から取得してもよい。
【0073】
利用者Uが利用可能な利用者であると判定された場合、乗車制御部274は、利用者Uを乗車させるとともに、利用者情報351に含まれる目的地に向かって走行させ、目的地で停車して利用者Uを降車させるように、自動運転制御ユニット250を制御する。
【0074】
また、乗車制御部274は、降車する利用者Uに対して、走行距離や走行時間に応じた精算処理を行う。精算処理は、車両200が備える精算機(不図示)により行われてもよく、クレジット決済等により行われてもよい。
【0075】
また、乗車制御部274は、利用者Uを降車させた後、車両200を定期経路に戻して走行を継続する。また、乗車制御部274は、例えば、複数の車両200が団体の利用者を同一地点で降車させた場合には、この地点から分散した経路、またはそれぞれが異なる定期経路に向かって移動して走行を継続してもよい。
【0076】
また、利用者Uが乗車不可能な利用者であると判定された場合、判別部272は、乗車不可能である旨を示す情報を利用者Uに出力し、定期経路の走行を継続する。これにより、利用者情報351で管理されている利用者のみを乗車させるため、他人と相乗りした場合でも安心して乗車することができるため、利用者に利用しやすい環境を提供することができる。
【0077】
また、判別部272は、乗車不可能と判定された利用者Uに対して、別の認証方式で認証を行わせるか、利用者登録を行わせるための情報を出力してもよい。そして、別の認証方式で利用可能な利用者であると判定された場合、または利用者登録が完了した場合、乗車制御部274は、その利用者Uを乗車させるとともに目的地まで車両200を走行するように、自動運転制御ユニット250を制御する。
【0078】
また、判別部272は、利用者Uが乗車不可能な利用者であると判定された場合に、乗車不可能である旨を示す情報を利用者Uに出力するのに代えて、割増料金で乗車するか否かの情報を出力してもよい。そして、利用者Uから割増料金で乗車する旨の情報を受け付けた場合、乗車制御部274は、その利用者Uを乗車させるとともに目的地まで車両200を走行するように、自動運転制御ユニット250を制御する。また、割増料金で乗車するか否かの情報を出力する場合、判別部272は、他の利用者が乗車していないことを条件に加えてもよい。これにより、利用者情報351に登録されていない利用者であっても車両200に乗車することができる。また、誰も乗車していない車両200を有効活用することができる。
【0079】
[処理フロー]
図9は、車両管理装置300により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、経路指示部340は、利用者情報351に基づいて地域(例えば、運行領域)ごとの車両数を決定する(ステップS100)。次に、定期経路生成部342は、地図情報352に基づいて各車両の定期経路を決定する(ステップS102)。次に、定期経路生成部342は、生成した定期経路を車両200に送信する(ステップS104)。
【0080】
次に、経路指示部340は、端末装置100から乗車リクエストを受け付けたか否かを判定する(ステップS106)。乗車リクエストを受け付けたと判定した場合、オンデマンド経路生成部344は、受け付けた乗車リクエストに対するオンデマンド経路を生成し(ステップS108)、オンデマンド経路を走行する車両200に生成した経路情報を送信する(ステップS110)。これにより、本フローチャートの処理が終了する。このように、車両管理装置300は、運行領域内の車両200を特定し、特定された車両200に対して経路を指示するとともに、利用可能な利用者を判別させて、利用可能な利用者に対する車両200の少なくとも一部の占有利用を開始させる。また、車両管理装置300は、図9に示すフローチャートを所定のタイミングで繰り返し実行することで、車両200の少なくとも一部の占有利用状態を継続的に監視し、該占有利用状態に基づき運行領域内の自動運転車両数を制御する。
【0081】
図10は、車両200により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、乗降者管理装置270は、車両管理装置300により経路情報を取得すると(ステップS200)、経路情報に基づいて走行するように、自動運転制御ユニット250を制御する(ステップS202)。経路情報とは、定期経路でもよくオンデマンド経路でもよい。
【0082】
次に、外界監視ユニット210が利用者を検知したか否かを判定する(ステップS204)。利用者を検知したと判定した場合、判別部272は、認証処理を行い(ステップS206)、利用可能な利用者であるか否かを判定する(ステップS208)。利用可能な利用者であると判定した場合、乗車制御部274は、利用者の乗車制御を行い、車両200が利用者を乗車させてから目的地まで走行するように、自動運転制御ユニット250を制御する(ステップS210)。次に、乗車制御部274は、利用者を目的地で降車させた後、経路情報に基づいて車両200が走行するように自動運転制御ユニット250を制御する(ステップS212)。
【0083】
また、利用者が利用可能な利用者でないと判定した場合、判別部272は、乗車ができない旨の情報を出力し(ステップS214)、経路情報に基づいて車両200が走行するように自動運転制御ユニット250を制御する(ステップS216)。これにより、本フローチャートの処理が終了する。なお、ステップS202およびS204の処理において、利用者が検知されないまま経路情報の経路を走行し終えた場合には、本フローチャートの処理が終了する。また、ステップS212およびステップS216の処理が終了後、ステップS204の処理に戻るような処理を行ってもよい。
【0084】
以上説明したように、第1の実施形態の車両システム1によれば、地域に密着した車両の利用態様を提供することができる。例えば、第1の実施形態の車両システム1によれば、予め登録された利用者情報351に基づいて、運行領域を巡回走行する車両数や走行経路が決定されるため、利用者が直前に乗車リクエストを行わなくても、容易に利用可能な車両200を見つけて乗車することができる。これにより、利用者にとっての利便性を向上することができる。例えば、第1の実施形態の車両システム1は、例えば、朝夕は通学、昼は高齢者の買い物や通院、夜は習い事等の送迎サービスにも利用することができる。
【0085】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、車両200が運行領域を巡回走行する定期経路に、車両200が停車する停留所を設けるとともに、停留所に通信装置を設置し、設置した通信装置からの乗車リクエストを受け付けてオンデマンド経路を生成する。
【0086】
図11は、第2の実施形態の車両システム2の構成図である。車両システム2では、停留所通信装置600を備え、車両管理装置300Aに取得部330Aを備える。その他の構成要素の機能は、第1の実施形態と同様である。したがって、以下では、車両システム2において、主に第1の実施形態の車両システム1と相違する部分を中心に説明する。
【0087】
停留所通信装置600は、運行領域の予め定められた地点に設置される。図12は、停留所通信装置600の構成図である。停留所通信装置600は、例えば、通信部602と、受付部604と、表示制御部606と、表示部608とを備える。
【0088】
通信部602は、ネットワークNWを介して、車両管理装置300Aと通信する。通信部602は、例えば、無線通信モジュール等の通信インターフェースである。例えば、通信部602は、受付部604により受け付けられた乗車リクエストを車両管理装置300Aに送信する。また、通信部602は、車両管理装置300Aにより送信された乗車リクエストの結果を受信する。乗車リクエストの結果には、利用可能な状況である車両が存在したか否かを示す情報と、車両IDと、到着予定時間とが含まれる。
【0089】
受付部604は、利用者からの乗車リクエストの入力を受け付ける。表示制御部606は、乗車リクエストの受け付け画面を表示するように表示部608を制御する。また、表示制御部606は、車両管理装置300Aにより送信された乗車リクエストの結果を表示するように表示部608を制御する。
【0090】
表示部608は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)表示装置等である。表示部608は、例えば、乗車リクエストの受け付け画面および乗車リクエストの結果画面を表示する。また、表示部608と受付部604は、一体に構成されたタッチパネル式表示装置であってもよい。
【0091】
図13は、利用者Uが停留所通信装置600から乗車リクエストを行う様子を説明する図である。図13の例では、領域510に三つの停留所通信装置600a~600cが設置され、領域512に一つの停留所通信装置600dが設置されているものとする。利用者Uは、停留所通信装置600bの表示部608に表示された乗車リクエスト画面から乗車リクエストを行う。乗車リクエスト画面は、図5に示す乗車リクエスト画面と同様の画面であるが、利用区間の乗車地点には、停留所通信装置600bの位置が予め設定されている。
【0092】
通信部602は、乗車リクエストの入力が行われると、車両管理装置300Aに乗車リクエストを送信する。取得部330Aは、停留所通信装置600から送信されたリクエスト情報を取得する。経路指示部340のオンデマンド経路生成部344は、領域510を定期走行している車両M-1~M-4のうち、現時点で停留所通信装置600bの最も近くを走行している車両であって、且つ、利用者が利用可能な車両を決定する。
【0093】
図13の例において、車両M-4が上記の条件に該当する車両であったとする。オンデマンド経路生成部344は、生成したオンデマンド経路に関する情報を車両M-4に送信するとともに、停留所通信装置600bに乗車リクエスト結果を送信する。表示制御部606は、図6に示すような乗車リクエスト結果画面410を表示するように表示部608を制御する。
【0094】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、利用者が端末装置100を所持していなくても、停留所通信装置600bから乗車リクエストを行うことができる。これにより、利用者にとっての利便性を更に向上することができる。
【0095】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、運行領域を定期的に巡回走行する車両200に乗員がいない場合、または車両200の少なくとも一部を占有している利用者に時間的な余裕がある場合に、巡回走行する地域の見守りサービスにおける通知サービスを提供する。見守りサービスにおける通知サービスとは、例えば、車両200が走行中に外界や車内を監視し、病気やケガをしていたり、異常が生じていると推定される人物等を発見した場合に、外部に情報を出力したり、その人物を乗車させて所定の場所まで走行するサービスである。また、見守りサービスは、不審者、迷子等を検知した場合に、外部に情報を出力するサービスでもよい。見守りサービスは、できるだけ運行領域の全域を監視できた方がよいため、複数の車両200を別経路で巡回させて一定期間ごとに監視する。また、見守りサービスにおいて車両200が余った場合、車両システムは、その車両200を車庫等に待機させる。
【0096】
図14は、第3の実施形態の車両システム3の構成図である。また、図15は、第3の実施形態の車両200Bの構成図である。車両システム3では、車両管理装置300Bに取得部330Bと、イベント判定部360を備える。また、車両システム3では、記憶部350に画像データDB354を備える。また、車両システム3では、車両200Bに、車室内カメラ280と、イベント判定装置282と、情報出力装置284とを備える。その他の構成要素の機能は、第1の実施形態と同様である。したがって、以下では、車両システム3において、主に第1の実施形態の車両システム1と相違する部分を中心に説明する。イベント判定部360またはイベント判定装置282は、「イベント判定部」の一例である。
【0097】
車室内カメラ280は、車両200の座席に着座した乗員の顔を中心として上半身を撮像する。車室内カメラ280により撮像された画像は、イベント判定装置282に出力される。
【0098】
イベント判定装置282は、車室内カメラ280により撮像された画像または外界監視ユニット210のカメラにより撮像された画像に基づいて、イベントを判定する。イベントには、例えば、車両200Bの周辺環境や車内状況に関し、外部に通知が必要な事象が含まれる。例えば、イベントには、車両200Bの周辺に不審者や迷子が存在する、車内外の人物に異常が生じている、道路の一部が閉鎖されるような重大な事故が発生している、器物の損壊やその他の犯罪事象が発生していること等を示すイベントが含まれる。人物に異常が生じているとは、例えば、人物が病気や怪我等により倒れていたり、うずくまっていたり、ふらふらと歩いていると判定される場合である。
【0099】
イベント判定装置282は、外界監視ユニット210のカメラにより撮像された画像に基づいて、例えば、ディープラーニング等の機械学習を用いて、異常が生じている人物の特徴を学習し、撮像された画像から異常が生じている人物を推定する。また、イベント判定装置282は、外界監視ユニット210のカメラにより撮像された画像に基づいて、物体のエッジ部分を抽出し、抽出したエッジ部分で囲まれた領域の形状と、予め設定された人物の形状とを比較し、形状の合致度が所定値以上(例えば、80%以上)である場合に、その物体が人物であると推定してもよい。
【0100】
また、イベント判定装置282は、車室内カメラ280または外界監視ユニット210のカメラにより撮像された画像から読み出した画素情報に基づく次元変換や圧縮等の画像処理を行い、画像処理結果とその画像に対する属性情報とを含む特徴データを生成してもよい。属性情報には、例えば、画像の画角情報、画像を撮像したカメラの識別情報、画像を撮像したときの日時情報、車両200Bの位置情報が含まれる。そして、イベント判定装置282は、生成した特徴データと、予め決められたイベントに対応付けられた特徴データのパターンとを照合し、類似度が最も高いイベントを、車両200Bに対するイベントとして判定する。
【0101】
また、イベント判定装置282は、通信装置220を介して、カメラ画像から生成した特徴データを車両管理装置300Bに送信し、車両管理装置300Bのイベント判定部360により判定されたイベント情報を取得してもよい。この場合、車両管理装置300Bの取得部330Bは、車両200Bから送信された特徴データを取得する。イベント判定部360は、例えば、取得部330Bにより取得された特徴データと、記憶部350に記憶された特徴データDB354とを照合し、類似度が最も高い特徴データに対応付けられたイベント情報を取得し、取得したイベント情報を車両200Bに送信する。
【0102】
ここで、特徴データDB354は、イベント判定部360により事前に学習されたデータベースである。特徴データDB354には、特徴データにイベントが対応付けられている。学習時において、まず、取得部330Bは、複数の車両から送信された特徴データを記憶部350に少なくとも一時的に記憶させる。そして、イベント判定部360は、記憶部350に記憶された特徴データに対して、例えばディープラーニング等の機械学習や統計処理等を用いて詳細なイベント解析処理を行い、特徴データにイベントを対応付けた特徴データDB354を生成し、記憶部350に記憶させる。
【0103】
図16は、イベントを判定する処理について説明するための図である。図16の例では、画像により推定される人物に異常が生じていると判定する様子を示している。例えば、車両200Bは、定期経路L1を走行している場合に、イベント判定装置282は、外界監視ユニット210のカメラにより撮像された画像を解析することで、撮像された画像から異常が生じている人物を推定する。図16の例において、イベント判定装置282は、物体700および702が人物であると推定する。
【0104】
また、イベント判定装置282は、人物の形状の向きや動作により、その人物が異常状態であるか否かを判定する。例えば、イベント判定装置282は、人物が立っている場合には正常な状態であると判定し、人物が倒れている、うずくまっている、或いはふらふらと歩いている場合には、異常な状態の人物であると判定する。図16の例において、イベント判定装置282は、物体700が正常な状態の人物であると判定し、物体702を異常な状態であると判定する。
【0105】
イベント判定装置282により物体702が異常な状態の人物であると判定された場合、乗降者管理装置270は、判定されたイベントと、判別部272により判別された利用者情報に基づいて所定の通知サービスを提供する。例えば、乗降者管理装置270は、そのイベントに対して予め決められた制御として、その人物(物体702)の位置で停車するように自動運転制御ユニット250を制御する。また、情報出力装置284は、車外用のスピーカまたは車両表面に設けられた端末により、その人物に乗車を促すメッセージを音声により出力または表示する。また、メッセージを出力してから所定時間が経過した後もその人物の反応がなかった場合に、情報出力装置284は、例えば、通信装置220を介して車両管理装置300Bや予め設定された端末装置100、管理者端末、病院等の所定の機関の端末、地域の役所職員の端末のうち、少なくとも一つに対して所定の通知を送信する。ここでの所定の通知とは、例えば、病人やケガ人等がいる旨の情報と、その人物がいる位置と、撮像した画像または映像とを含む情報の通知である。
【0106】
また、乗車制御部274は、倒れていると判定された人物が、判別部272により車両200Bの利用が可能な人物であると判定された場合に、車両200Bへの乗車を許可する。また、乗車制御部274は、倒れていると判定された人物が乗車した場合に、その人物を治療可能な近くの病院に搬送するための経路を車両管理装置300に問い合わせる。乗車制御部274は、車両管理装置300から受信した検索結果の経路に基づいて走行するように自動運転制御ユニット250を制御する。
【0107】
また、イベント判定装置282は、車室内カメラ280により撮像された車室内の乗員の状態を判定してもよい。乗員の状態が異常であると判定した場合に、情報出力装置284は、車内用のスピーカまたは車内に設けられた端末により、その乗員に対して状態を確認するための通知を行う。具体的には、情報出力装置284は、乗員に対して状態を確認するためのメッセージを音声出力したり、HMI232に画面表示を行う。メッセージを出力してから所定時間が経過した後も返答がないと判定された場合に、イベント判定装置282は、乗員に異常が生じていると判定する。乗員に異常が生じていると判定した場合、情報出力装置284は、例えば、判別部272による乗員の利用者情報に対応付けられた通知先や端末装置100、車両管理装置300、管理者端末、病院等の所定の機関の端末、地域の役所職員の端末のうち、少なくとも一つに対して所定の通知を送信する。ここでの所定の通知とは、例えば、病人やケガ人等を搬送している旨の情報と、車室内カメラ280で撮像した画像とを含む情報の通知である。
【0108】
以上説明したように、第3の実施形態によれば、第1および第2の実施形態と同様の効果を奏する他、乗員がいない状態での巡回走行を利用して、地域周辺の人々の見守りサービスを提供することができる。これにより、例えば、急病人や事故等があった人物を早期発見することができるともに、速やかに管理者に連絡したり、病院に搬送したりすることができる。また、第3の実施形態によれば、見守りサービスによる巡回中の車両200を、緊急時の避難場所として利用することができる。また、第3の実施形態によれば、見守りサービスを実行する巡回経路に、運行領域内の監視カメラが設置されていない領域を含めることで、運行領域全体を監視することができる。なお、第3の実施形態の見守りサービスは、例えば、巡回走行する地域の地方自治体の補助金や地域の商店街等からの協力金等を収益源として運用されてもよい。
【0109】
<第4の実施形態>
車両管理装置300の構成のうち一部または全部は、車両200に搭載されてもよい。以下では、車両管理装置300の構成のうち、一部の構成が自律制御部として車両に搭載される実施形態を第4の実施形態として説明する。図17は、第4の実施形態の車両200Cの構成図である。第4の実施形態の車両200Cは、例えば、第1の実施形態の車両200の構成と比較して、自律制御部300Cが設けられている。したがって、以下では、主に、自律制御部300Cの機能を中心に説明するものとする。
【0110】
自律制御部300Cは、例えば、利用者登録部320と、取得部330と、領域指示部332と、経路指示部340と、記憶部350とを備える。これらの構成要素は、第1の実施形態の車両管理装置300における同名の構成と同様の機能を備えるため、ここでの具体的な説明は省略する。なお、利用者登録部320等については、自車両の利用者に対する登録のみを行ってもよく、利用者情報351、地図情報352、および経路情報353については、車両管理装置300からダウンロードすることで取得してもよい。
【0111】
車両200Cは、通信装置220により利用者Uの端末装置100と通信を行う。また、自律制御部300Cの領域指示部332は、例えば、端末装置100からの受信信号や利用者情報351等に基づいて、どの利用者がどの時間帯に、どの地域で乗車を希望しているかを把握し、把握した情報に基づいて、乗車地点を含む地域を運行領域として規定する。また、自律制御部300Cの経路指示部340は、運行領域の範囲内において巡回走行する規定経路を生成する。また、経路指示部340は、通信装置220により受信された信号に含まれる運行領域の利用状況に基づき、オンデマンド経路を生成し、生成したオンデマンド経路を規定経路に代えて選択する。自動運転制御ユニット250は、選択された経路を自動運転により運行する。
【0112】
以上説明したように、第4の実施形態によれば、第1~第3の実施形態と同様の効果を奏する他、車両管理装置300の機能の一部を車両200Cに搭載させることで、運行領域の規定や経路の選択等を車両200Cが自律的に行うことができる。また、第4の実施形態によれば、車両200Cは、車両管理装置300からの指示を受け付けなくても、端末装置100からの指示に基づいて、より適切な経路を運行することができる。第1~第4の実施形態のそれぞれは、他の実施形態の一部または全部を組み合わせてもよい。
【0113】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0114】
また、車両200が手動運転車両である場合、通信部310は、ネットワークNWを介して車両200の運転者の端末装置と通信してもよい。また、上述した車両システム1~3は、例えば、複数の利用者によって一つ以上の車両を共同で利用するライドシェア提供サービスに利用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17