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特許7191053乗客コンベア用スカートモール先端キャップ
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  • 特許-乗客コンベア用スカートモール先端キャップ 図1
  • 特許-乗客コンベア用スカートモール先端キャップ 図2
  • 特許-乗客コンベア用スカートモール先端キャップ 図3
  • 特許-乗客コンベア用スカートモール先端キャップ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】乗客コンベア用スカートモール先端キャップ
(51)【国際特許分類】
   B66B 23/22 20060101AFI20221209BHJP
   B66B 29/04 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
B66B23/22 G
B66B29/04 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020011182
(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公開番号】P2021116165
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 周平
(72)【発明者】
【氏名】仲條 勇人
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-206425(JP,A)
【文献】特開平11-034757(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0029837(US,A1)
【文献】特開2014-156353(JP,A)
【文献】特開2013-216403(JP,A)
【文献】特開2013-133176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 23/22
B66B 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スカートモールの両端部に取り付けられる乗客コンベア用スカートモール先端キャップであって、
前記スカートモールの長手方向に直交する端面の外形に適応する断面外形を有し、
前記スカートモールの前記端面から奥行方向に形成された開口に対応して嵌着可能な複数の差し込み部を備え、
該複数の差し込み部のうち少なくとも1つは、欄干下方内側面に前記スカートモールが取り付けられて形成される内部空間に前記端面から嵌入される爪状の差し込み部であり、
該爪状の差し込み部は、差し込み方向が前記欄干下方内側面に平行な係止爪と、
該係止爪から前記欄干下方内側面から遠ざかる方向に突設され、前記スカートモールに形成されたキャップ固定穴に嵌着係止される凸部と、
を有する、
乗客コンベア用スカートモール先端キャップ。
【請求項2】
前記爪状の差し込み部と嵌合するために設けられている前記スカートモールのキャップ固定穴を目隠し可能な位置関係と大きさで形成された差し込み部を有しており、
該差し込み部は前記スカートモールとの接合面から端部へと遠ざかるにつれて断面外形が先細りに小さくなるテーパ形状を有している、
請求項1に記載の乗客コンベア用スカートモール先端キャップ。
【請求項3】
前記欄干下方内側面は内デッキとスカートガードの少なくとも何れかで形成され、
前記スカートモールの端部に取り付けた状態で、前記内デッキ及び前記スカートガードに固定された取り付け完成状態では、前記内デッキの表面に対する前記係止爪及び前記凸部を有した前記差し込み部の対峙面までの隙間よりも、前記凸部の高さの方が大きい、
請求項1に記載の乗客コンベア用スカートモール先端キャップ。
【請求項4】
前記スカートモールの長手方向に直交する前記端面のエッジは面取りされ、該面取りにより元の外形から小さくなった外形に適合させるように、前記スカートモールの断面外形よりも0.3mm以上0.5mm以内の範囲で小さい断面外形にした、
請求項1に記載の乗客コンベア用スカートモール先端キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータや動く歩道等の乗客コンベアの欄干に用いられる乗客コンベア用スカートモールに関する。
【背景技術】
【0002】
乗客搬送用の乗客コンベア、例えば、エスカレータは、建屋に据え付けられたトラスに、乗客搬送用のステップ列が組み込まれて構成されている。ステップ列は、多数のステップが無端状に連結して構成されており、このステップ列の両側に欄干が設けられている。
【0003】
エスカレータは、各ステップが、建屋の下階から上階あるいは上階から下階に向って順次無端走行することで、乗客を下階から上階あるいは上階から下階に搬送することができる。ステップの側方には、僅かな隙間をあけてスカートガードが、ステップに対してほぼ垂直に設けられている。このスカートガードは、トラスに固定された欄干固定部材から延出するように設けられているブラケットを介して、その上下部が支持されている。
【0004】
また、欄干固定部材の上には欄干パネルが立設され、この欄干パネルの内面とスカートガードの上部側の縁部との間には、内側デッキがステップに向かって傾斜するように設けられている。この内側デッキの上部側の縁部は、欄干パネルの内面に目地部材を介して固定され、内側デッキの下部側にはステップ側に突出する折り曲げ部が構成されている。内側デッキの下部側の縁部は、スカートガードの上に重ね合わされ、ネジでブラケットに固定されている。
【0005】
さらに、内側デッキの下部側の縁部とスカートガードが重なるところには、スカートモールが取り付けられている。このスカートモールは、内デッキ下部側に設けられた折り曲げ部とスカートガードとを固定しているネジが、使用中に緩みステップ側にはみ出して衣服等を損傷させないように、ステップ側へ突出するように形成され、内側デッキの下部側の縁部とスカートガード固定用ネジを覆うようになっている。
【0006】
また、このスカートモール端部は、スカートモールと同様の断面形状を有したキャップを取り付けることにより、端部処理をしている。キャップは、スカートモールに凹設された差込受部に、キャップに突設された差し込み部を差し込む構造となっている。さらに、キャップの差し込み部は、仕込みナット構造となっており、スカートモールに差し込んだ後、ボルト固定する構造となっている。
【0007】
キャップは、先端及び外側全体の形状が内側デッキの表面及びスカートガードの表面が延在する方向に滑らであるように成形及び表面処理させている。これにより、乗客の乗り降り時の衣服等、特に衣類の裾(以下、単に「衣服等」と総称する)の引っ掛かりを防止する構造となっている。しかし、従来構成の場合、上述のとおり、キャップの差し込み部は、仕込みナット構造となっているため、スカートモールに差し込んだ後、キャップを固定する。あるいは取り外しを行う際にボルトの取り外し作業が発生する。限られた時間の中での現場作業を改善するため、作業の簡易化が必要となっている。
【0008】
なお、特許文献1には、バット本体の先端部に樹脂キャップを接着剤を介して装着する金属バットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平6-292746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に開示された金属バットに樹脂キャップを装着する目的は、硬式野球ボールに対する甲高い打撃音を低減することである。そのため、音響特性の観点から、嵌着面に対する接着剤の塗布又は充填が不可欠である。このように、樹脂キャップを金属バットに装着する作業は、接着剤も併用して外れないようにするため、最適な作業環境が整えられた工場内の専用設備により、組み立て完成まで効率良く実施される。
【0011】
これに対し、乗客コンベア用スカートモールにキャップを取り付ける作業は、設備の完備した工場内でなく、ネジ等を紛失し易い現地で実施される。特に、破損したキャップのみを交換する作業については、取り付け位置が床面近くの低位置なこともあり、作業員にとって窮屈な姿勢を強いられるので、簡単に済ませる作業内容にすることが望まれていた。本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、接着剤やボルト固定が不要で、現地での取り付け、又は交換作業を簡単に済ませられる乗客コンベア用スカートモール先端キャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は、スカートモールの両端部に取り付けられる乗客コンベア用スカートモール先端キャップであって、スカートモールの長手方向に直交する端面の外形に適応する断面外形を有し、スカートモールの端面から奥行方向に形成された開口に対応して嵌着可能な複数の差し込み部を備え、複数の差し込み部のうち少なくとも1つは、欄干下方内側面にスカートモールが取り付けられて形成される内部空間に端面から嵌入される爪状の差し込み部であり、爪状の差し込み部は、差し込み方向が欄干下方内側面に平行な係止爪と、係止爪から欄干下方内側面から遠ざかる方向に突設され、スカートモールに形成されたキャップ固定穴に嵌着係止される凸部と、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、接着剤やボルト固定が不要で、現地での取り付け、又は交換作業を簡単に済ませられる乗客コンベア用スカートモール先端キャップを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る乗客コンベア用スカートモール先端キャップ(以下、単に「キャップ」ともいう)について、視点を変えた2種類の斜視図である。
図2図1のキャップの平面、正面、基端、及び先端を視認した4面図である。
図3図1のキャップを乗客コンベア用スカートモール(以下、単に「スカートモール」ともいう)に取り付ける前後3段階の状態を示す斜視図である。
図4図1のキャップをスカートモールに取り付けた状態を長手方向に直交する断面図であり、内デッキ及びスカートガードとの位置関係も明示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る乗客コンベア用スカートモール先端キャップを図に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るキャップについて、嵌入方向に対して異なる2方向の視点からそれぞれ視認した斜視図である。なお、嵌入方向は、スカートモールの長手方向と概ね一致する。図2は、図1のキャップの平面、正面、基端、及び先端を視認した4面図である。つまり、6面図のうち、底面、裏面を除く4方向からキャップを視認した4面図を示している。
【0016】
図1及び図2において、キャップ1は、スカートモール5の断面形状に適応する相似形の断面形状となっている。したがって、両者は緊密に嵌合する。しかし、嵌合が断面方向にずれていると、端面のエッジ1f,5f(図3参照)がわずかながら露出する。特に、スカートモール5の端面のエッジ5fを滑らかにするため、好ましくはスカートモール5の端面に0.3mm程度の面取り加工が施されていると良い。この面取りによって、乗客の衣服等が引っ掛かる不具合を防止できる。面取り加工後は、当接平面が元の外形より小さくなる。その小さくなったスカートモール5の断面形状に合わせて、キャップ1の断面形状も、0.3mm以上0.5mm以下の範囲で小さくすることが好ましい。
【0017】
図1、及び図2に示す通り、キャップ1の端面からは、3種類の差し込み部2~4が設けられている。差し込み部2は、その大部分を構成する係止爪2bと、それをスカートモール5へ差し込んだ状態で、キャップ1の抜けや外れを防止するための凸部2aが、係止爪2bの平坦面から正面に向けて突設されている。凸部2aは、スカートモール5に設けられているキャップ固定穴5aに嵌着係合する。係止爪2bは、その差し込み方向、すなわち長手方向が欄干下方内側面に平行であり、挿入方向に長い板状で、正面と奥行方向に弾力性を有する。弾力性は、キャップ1の材料が樹脂又は金属であることに由来する。
【0018】
差し込み部3は、差し込み部2とキャップ固定穴5aが外部正面から見えてしまい意匠的に問題があるため、キャップ固定穴5aの目隠しする効果がある。さらに、乗客の衣服の引っ掛かりを防止するため、スカートモール5側へテーパをかけた構造、すなわち、先端に向かって先細りして、その先端は丸みを帯びた形状となっている。なお、キャップ1は、スカートモール5の両端部に取り付けて両端部のエッジ5fを滑らかにすることが主目的である。
【0019】
しかし、そのためのキャップ1自身も、引っ掛かりの原因となり得る。したがって、そのような可能性の高い箇所である差し込み部3に対し、上述のように、スカートモール5側へテーパをかけた構造とすることにより滑らかにしている。差し込み部4は、スカートモール5に設けられている差込受部5eに差し込まれ、嵌着強度を保たせる構造となっている。
【0020】
次に、スカートモール5へキャップ1を取り付ける過程について、図3図4を用いて説明する。図3は、図1のキャップ1をスカートモール5に取り付ける前後3段階の状態を示す斜視図である。図4は、図1のキャップ1をスカートモール5に取り付けた状態を長手方向に直交する断面図であり、内デッキ及びスカートガードとの位置関係も明示している。
【0021】
図3に示すように、スカートモール固定穴5bが一定間隔で設けられている。図4に示すように、スカートモール5には、それを欄干下方内側面にボルト固定される。すなわち、欄干下方内側面において、内側デッキ6の下部側の縁部とスカートガード7が重なるところに、スカートモール5がネジ止めされる。このように、スカートモール5を固定する前に、キャップ1をスカートモール5へ取り付ける必要がある。ただし、スカートモール5を外さずに、止めネジを緩めて欄干下方内側面から浮かせるだけでも、キャップ1のみを破損交換することが可能である。
【0022】
キャップ1の取り付けは、次のとおりである。キャップ1の差し込み部2をスカートモール内面凹部5cへ差し込む。次に、差し込み部2をスカートモール5の固定方向へ、撓ませながら差し込む。このとき、スカートモール5の端部側に穿設されているキャップ固定穴5aに凸部2aを引っ掛ける。同時に、キャップ差し込み部3をスカートモール開口部5dへ差し込む。同時に、差し込み部4をスカートモール差込受部5eへ差し込む。なお、上述のように、適宜に止めネジを緩めれば、逆の手順でキャップ1を取り外せる。
【0023】
図4には、キャップ1の付いたスカートモール5が、内デッキ6及びスカートガード7に固定された取り付け完成状態に示している。この完成状態において、内デッキ6の表面に対す差し込み部2の対峙面までの隙間8よりも、凸部2aの高さ9の方が大きいことが好ましい。この構成は、変形等により隙間8がゼロになるときがあっても、元から隙間8より大きい高さ9により係止状態が維持されるので、凸部2aはキャップ固定穴5aから外れない。
【0024】
なお、隙間8を設ける理由は、欄干下方内側面の平坦面に多少のうねりがあっても、誤差吸収できる余裕を持たせるためである。つまり、図3に示すように、一定間隔で設けられたスカートモール固定穴5bに対し、適宜締め強度でネジ止めすることによって、欄干下方内側面とスカートモール5との隙間が平面視認されないように誤差吸収すれば良い。
【0025】
本発明の実施形態に係る乗客コンベア用キャップ1は、以下のように総括できる。
[1]乗客コンベア用キャップ1は、スカートモール5の両端部に取り付けて両端部のエッジ5fを滑らかにするものである。スカートモール5は、その長手方向を乗客コンベアの搬送方向に一致させて、乗客コンベアの欄干下方内側面に取り付けられる。キャップ1は、スカートモール5の長手方向に直交する端面の外形に適応して相似する断面外形を有する。
【0026】
また、キャップ1は、スカートモール5の端面に差し込んで固定するため、複数の差し込み部2~4を備える。これらの差し込み部2~4に対応するように、スカートモール5の端面には、奥行方向に深さを有する複数の開口が形成されている。これには、複数の開口に差し込み部2~4が嵌入可能な嵌着構造である。
【0027】
複数の差し込み部2~4のうち少なくとも1つは、爪状の差し込み部2である。爪状の差し込み部2は、スカートモール5の端面から、内部空間へと嵌入されることにより、キャップ1をスカートモール5に取り付け固定する。ここでいう内部空間とは、欄干下方内側面に樋状のスカートモール5を被せる姿勢で取り付けたことにより、樋状空間に設けられた仕切りによって形成される内部空間である。この内部空間は、アルミダイキャスト製のスカートモール5を引き出し成形する際に用いられる金型で規定される。
【0028】
爪状の差し込み部2は、その大部分である係止爪2bと、凸部2aと、を有する。係止爪2bは、その差し込み方向、すなわち長手方向が欄干下方内側面に平行であり、スカートモール5の端面から、内部空間へと嵌入されることにより、キャップ1をスカートモール5に係止固定する。凸部2aは、係止爪2bから欄干下方内側面から直角に遠ざかる方向に突設され、スカートモール5に形成されたキャップ固定穴5aに嵌着係止される。
【0029】
スカートモール5は、例えば、自動で昇降する階段状の踏み面(不図示のステップ)と欄干との間で生じ易い、衣服等の引っ掛かりを防ぐための安全機能の一種である。そのスカートモール5は、定尺材料から必要長さに切り出された金属性帯状部材を、欄干下方内側面の要防護部に取り付けることにより、衣服等の引っ掛かりを阻止できる。ここでいう要防護部とは、引っ掛かり対策を要する箇所をいう。
【0030】
スカートモール5を、欄干下方内側面に取り付ける作業の前後において、キャップ1を取り付ける作業は、設備の完備した工場内でなく、ネジ等を紛失し易い現地で実施される。特に、破損したキャップ1のみを交換する作業については、取り付け位置が床面近くの低位置なこともあり、作業員にとって窮屈な姿勢を強いられるので、簡単に済ませる作業内容にすることが望まれていた。
【0031】
スカートモール5の両端部は長手方向に直行する角度で切断されて必要な長さに加工されて用いられる。そのため、スカートモール5の両端部は刃物に匹敵するエッジ5fが形成されている。このエッジ5fが露出することによる利用者への危険を予防するため、キャップ1をスカートモール5の両端部に取り付けて滑らかにする。主に危険とはエッジ5fに衣服等が引っ掛かること、エッジ5fによって直接又は間接的に負傷を負わせることをいう。なお、キャップ1側のエッジ1fも衣服等に引っ掛かることがあるので、その対策も下記[4]に示す。
【0032】
キャップ1は、スカートモール5の端面に開口する管状の差込受部5eその他に、差し込み部2,4ほかを嵌着するだけで、スカートモール5に形成されたキャップ固定穴5aに、差し込み部2に形成された凸部2aが嵌着係止される。この嵌着構造は、ボルト固定のほか、接着剤の塗布や充填も不要であるため、現地での取り付け、又は交換作業が簡単に済む。しかも、長手方向や、それに直行する方向のズレを抑制できて外れ難い。
【0033】
[2]上記[1]のキャップ1において、爪状の差し込み部2と嵌合するために設けられているスカートモール5のキャップ固定穴5aを目隠し可能な位置関係と大きさで形成された差し込み部3を有している。差し込み部3はスカートモール5との接合面から端部へと遠ざかるにつれて、断面外形が先細りに小さくなるテーパ形状を有している。
【0034】
これによれば、嵌着機構の一構成要素として形成された差し込み部3は、嵌着機能と、キャップ固定穴5aを目隠しするような審美性と、利用者の衣服等が引っ掛かる等のトラブル回避と、を両立させることが可能である。キャップ1は、このように良好な機能を保証できる。
【0035】
[3]欄干下方内側面は内デッキ6とスカードガード7の少なくとも何れかで形成される。例えば、垂直壁面を構成するスカードガード7の上方に屋根のように被さる内デッキ6の重ね合わせ面に、スカートモール5をボルトで共止めする構成である。上記[1]のキャップ1をスカートモール5の端部に取り付けた状態のものが、内デッキ6及びスカートガード7に固定された取り付け完成状態において、内デッキ6の表面に対する係止爪2b及び凸部2aを有した差し込み部2の対峙面までの隙間8よりも、凸部2aの高さ9の方が大きいことが好ましい。
【0036】
これによれば、キャップ1が隙間8を全部埋める方向へ移動した場合にも、凸部2aの高さ(厚さ)9の方が大きいので、その凸部2aが係合した相手であるキャップ固定穴5aから外れることがない。したがって、キャップ1の付いたスカートモール5を欄干下方内側面に固定した後で、キャップ1だけがスカートモール5から抜け落ちる不具合を防ぐことが可能である。
【0037】
[4]上記[1]のキャップ1は、スカートモール5の断面外形よりも0.3~0.5mm小さい断面外形にすることが好ましい。小さくする理由は、スカートモール5の長手方向に直交する端面のエッジ5fが面取りされている場合、その面取りによって元の外形から小さくなった外形に適合させるためである。
【0038】
断面外形が同一の2面を密着させても、断面と平行な方向へズレた場合は、わずかなズレであってもエッジ5fが表れてバリの影響が不可避であり、利用者の衣服等が引っ掛かる等によるキャップ1の破損、又は抜けの原因となることがあった。そのような不具合も、エッジ5fやバリの悪影響を避けることで防止することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 乗客コンベア用スカートモール先端キャップ(キャップ)、1f,5f エッジ、2~4 差し込み部、2a 凸部、2b 係止爪、5 スカートモール、5a キャップ固定穴、5b スカートモール固定穴、5c スカートモール内面凹部、5d 開口部、5e 差込受部(スカートモール5の差込受部)、6 内デッキ、7 スカードガード、8 (差し込み部2と内デッキ6との)隙間、9 凸部2aの高さ(厚さ)
図1
図2
図3
図4