(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】交通制御システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/07 20060101AFI20221209BHJP
G08G 5/00 20060101ALI20221209BHJP
G08G 1/0955 20060101ALI20221209BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20221209BHJP
B64C 13/20 20060101ALI20221209BHJP
B64D 1/18 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
G08G1/07
G08G5/00 A
G08G1/0955
B64C39/02
B64C13/20
B64D1/18
(21)【出願番号】P 2020504817
(86)(22)【出願日】2019-01-08
(86)【国際出願番号】 JP2019000237
(87)【国際公開番号】W WO2019171749
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-01-06
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】柴田 英貴
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-176050(JP,A)
【文献】特開2003-6798(JP,A)
【文献】特開2001-266300(JP,A)
【文献】特開平4-245400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/07
G08G 5/00
G08G 1/0955
B64C 39/02
B64C 13/20
B64D 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの交通信号と、
位置センサと無線通信装置とを含む航空機と、
電子的コントローラと無線通信装置とを含む地上制御局と、
前記少なくとも1つの交通信号の近くでの通行者の存在を検知する通行者検知器と、
を備え、
前記電子的コントローラは、前記航空機の位置データと前記航空機の方向データとの少なくとも一方に基づいて、前記少なくとも1つの交通信号を制御し、
前記電子的コントローラは、前記通行者検知器の検知結果と、前記少なくとも1つの交通信号の状態との少なくとも一方を、前記無線通信装置によって、前記航空機に送信する、
交通制御システム。
【請求項2】
前記電子的コントローラは、さらに、前記位置データと前記方向データとの両方に基づいて、前記少なくとも1つの交通信号を制御する、
請求項1に記載の交通制御システム。
【請求項3】
前記電子的コントローラは、さらに、前記航空機の速度データに基づいて、前記少なくとも1つの交通信号を制御する、
請求項1または2に記載の交通制御システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの交通信号は、交通信号灯を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の交通制御システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの交通信号は、交通標識を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の交通制御システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの交通信号は、可動式である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の交通制御システム。
【請求項7】
前記地上制御局は、前記少なくとも1つの交通信号と一体化されている、
請求項1~6のいずれか1項に記載の交通制御システム。
【請求項8】
追加の地上制御局をさらに備え、
前記少なくとも1つの交通信号は、2つの交通信号を含み、
前記地上制御局と前記追加の地上制御局とは、前記2つの交通信号をそれぞれ制御する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の交通制御システム。
【請求項9】
前記航空機を手動で制御するリモートコントローラをさらに備える、
請求項1~8のいずれか1項に記載の交通制御システム。
【請求項10】
前記航空機は、少なくとも1つの農薬散布タンクを含む、
請求項1~9のいずれか1項に記載の交通制御システム。
【請求項11】
前記電子的コントローラは、前記航空機が区域及び道路の少なくとも一方に向かって移動している時、前記区域及び道路の少なくとも一方の閉鎖を標示するために、前記少なくとも1つの交通信号を制御する、
請求項1~10のいずれか1項に記載の交通制御システム。
【請求項12】
前記電子的コントローラは、前記航空機が区域及び道路の少なくとも一方から離れるように移動している時、前記区域及び道路の少なくとも一方の非閉鎖状態を維持するために、前記少なくとも1つの交通信号を制御する、
請求項1~11のいずれか1項に記載の交通制御システム。
【請求項13】
前記電子的コントローラは、前記航空機が区域及び道路の少なくとも一方から第1所定距離以内に位置している時、前記区域及び道路の少なくとも一方の閉鎖を標示するために、前記少なくとも1つの交通信号を制御し、
前記電子的コントローラは、前記航空機が前記区域及び道路の少なくとも一方から第2所定距離より外側に位置している時、前記区域及び道路の少なくとも一方の非閉鎖状態を維持するために、前記少なくとも1つの交通信号を制御する、
請求項1~12のいずれか1項に記載の交通制御システム。
【請求項14】
前記位置センサは、GPSセンサを含む、
請求項1~13のいずれか1項に記載の交通制御システム。
【請求項15】
前記航空機は、ヘリコプタである、
請求項1~14のいずれか1項に記載の交通制御システム。
【請求項16】
前記航空機は、無人航空機である、
請求項1~15のいずれか1項に記載の交通制御システム。
【請求項17】
前記航空機は、オートパイロット制御プログラムを有するオンボードコントローラを含む、
請求項1~16のいずれか1項に記載の交通制御システム。
【請求項18】
前記電子的コントローラは、前記通行者検知器の検知結果と、前記少なくとも1つの交通信号の状態とを、前記無線通信装置によって、前記航空機に送信する、
請求項
1~17のいずれか1項に記載の交通制御システム。
【請求項19】
前記航空機は、前記通行者の存在を示す前記通行者検知器の検知結果と、区域及び道路の少なくとも一方の閉鎖を標示する前記少なくとも1つの交通信号の状態とを前記地上制御局から受信したことに応じて、前記区域又は道路に向かう移動を中止する、
請求項
18に記載の交通制御システム。
【請求項20】
前記通行者検知器の検知結果が、前記通行者の存在を示し、前記少なくとも1つの交通信号の状態が、区域及び道路の少なくとも一方の閉鎖を標示している間には、前記電子的コントローラは、前記少なくとも1つの交通信号のスピーカーから音を発生させるように、前記少なくとも1つの交通信号を制御する、
請求項
1~19のいずれか1項に記載の交通制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通制御システムに関するものである。より具体的には、本発明は、交通信号を制御する交通制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、無人航空機技術の急速な開発により、無人航空機は、液剤散布、種まきなどを含む農業用途などの産業用途に幅広く用いられるようになっている。
【0003】
農業用途では、無人航空機は、地上の所定の作業区域を飛行する。具体的に、農業用途では、無人航空機は、所定の作業区域内の所定の目標経路に追従するように手動により又は自律的に制御される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、無人航空機が所定の作業区域を飛行中は、車両や歩行者などの通行者が所定の作業区域に近づくのを防止するために、所定の作業区域の周辺の道路は閉鎖される必要がある。例えば、所定の作業区域に散布を行う間は、監視人を周辺の道路に配置して、所定の作業区域に近づく通行者を見張ったり、通行者を停止させる。しかしながら、作業区域が広くなると多くの監視人が必要となる。
【0006】
基本的に本開示は、交通信号を制御する交通制御システムの様々な特徴に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のひとつの態様としての交通制御システムは、少なくとも1つの交通信号と、航空機と、地上制御局とを含む。航空機は、位置センサと無線通信装置とを含む。地上制御局は、電子的コントローラと無線通信装置とを含む。電子的コントローラは、航空機の位置データと航空機の方向データとの少なくとも一方に基づいて、少なくとも1つの交通信号を制御する。
【0008】
本願の交通制御システムの他の特徴、態様及び利点は、添付の図面と共に、様々な特徴を有する交通制御システムについての実施形態を開示する以下の詳細な説明によって、交通制御システムの分野の当業者に明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
出願当初の開示の一部を構成する添付の図面は、以下のものである。
【0010】
図1は、一実施形態に係る交通制御システムの全体構成を示す概略図であり、複数の交通信号制御局及び航空機制御局と通信する航空機、交通信号制御局と通信する制御モジュール、及び航空機制御局と通信し、電波信号により航空機を手動制御するリモートコントローラを示す。
【0011】
図2は、
図1に示す交通信号制御局のブロック図であり、交通信号制御局と交通信号との間の有線接続、交通信号制御局と通行者検知器との間の有線接続、交通信号制御局と制御モジュールとの間の無線接続、及び交通信号制御局と航空機との間の無線接続を示す。
【0012】
図3は、
図1に示す航空機のブロック図であり、航空機と交通信号制御局との間の無線接続、及び航空機とリモートコントローラとの間の無線接続とを示す。
【0013】
図4は、航空機の飛行区域の上面図であり、制限区域が所定の飛行区域の周辺道路又は区域に対して設定されている様子を示す。
【0014】
図5は、航空機の飛行区域の上面図であり、交通信号の赤色信号灯を点灯させるアルゴリズムを説明するために、航空機が所定の飛行区域内を飛行している様子を概略的に示す。
【0015】
図6は、航空機の飛行区域の上面図であり、交通信号の緑色信号灯を点灯させるアルゴリズムを説明するために、航空機が所定の飛行区域内を飛行している様子を概略的に示す。
【0016】
図7は、交通信号制御局により実行される交通信号制御方法の全体的な処理のフローチャートである。
【0017】
図8は、
図7に示す交通信号制御方法における交通信号の信号状態を更新する処理のフローチャートである。
【0018】
図9は、変形例に係る交通信号の斜視図であり、同じ交通信号の交通標識が回転して交通標識の反対の面が見えるようになる様子を示す。
【0019】
図10は、別の変形例に係る交通信号の斜視図であり、交通信号の表示部が交通標識を表示する様子を示す。
【0020】
これらの図面は、実施形態で用いられる方法、構造及び/又は材料の一般的な特徴を例示し、以下の記載を補足するように意図されているものである。しかしながら、これらの図面は、正確な縮尺ではなく、所与の実施形態の性能特性や正確な構造を正確に反映していないこともあるが、実施形態に包含される特性や値の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。それぞれの図面では、同じ又は同様の符号を用いることにより、同じ又は同様の要素や特徴を有することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を用いて選択された実施形態を説明する。この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、以下の実施形態の記載は、単なる例示であって、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定められる本発明を限定するものではない。図面において同様の符号は、同様の又は同じ要素又は特徴を示すので、後段の実施形態においては、同様の又は同じ要素又は特徴の説明は省略する。
【0022】
まず
図1を参照して、一実施形態に係る交通制御システム10について説明する。
図1に示すように、交通制御システム10は、航空機12と、複数の交通信号制御局14A、14B(地上制御局及び追加の地上制御局の一例)と、複数の交通信号16A、16B(少なくとも1つの交通信号の一例)とを含む。ここで本実施形態では、交通制御システム10は、2つの交通信号16A、16Bにそれぞれ対応する2つの交通信号制御局14A、14Bしか含まない。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、交通制御システム10は、具体的なシステムの必要及び/又は要望に応じて、単一の交通信号16A、16Bに対応する単一の交通信号制御局14A、14Bしか含まないように、又は2つより多い交通信号16A、16Bに対応する2つより多い交通信号制御局14A、14Bを含むように構成されてもよい。さらに、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、交通制御システム10は、具体的なシステムの必要及び/又は要望に応じて、1つより多い交通信号16A、16Bに対応する単一の交通信号制御局14A、14Bを含むように構成されてもよい。
【0023】
図1に示すように、航空機12は、ヘリコプタとして例示されている。具体的に、本実施形態では、航空機12は、無人ヘリコプタである。具体的に、航空機12は、メインボディの上部に回転可能に設けられたメインロータと、テールボディの後部に回転可能に設けられたテールロータとを有する。さらに、本実施形態では、航空機12は、一対の農薬散布タンク12A、12B(少なくとも1つの農薬散布タンクの一例)を有する。農薬散布タンク12A、12Bは、化学薬品や肥料などの、作物のための農業材料を保持する。本実施形態では、航空機12は、さらに、内燃エンジン60(
図3)、吸気システム、排気システム及び燃料タンクなどの従来の物理的構成をメインボディ内に有する。もちろん、エンジン60の代わりに、航空機12は、電動モータなどの他の種類の原動機を有していてもよい。また、航空機12は、複数(例えば5つ)のサーボ62(
図3)を有し、そのうちの3つ(すなわち、エルロンサーボ、エレベータサーボ及びピッチサーボ)は、メインロータのメインブレードのピッチ(角度)を変更するためにリンク機構を介してスウォッシュプレートに接続され、そのうちの1つ(すなわち、ラダーサーボ)は、テールロータのテールブレードのピッチ(角度)を変更するためにリンク機構を介してテールロータのテールブレードに接続され、そのうちの1つ(すなわち、スロットルサーボ)は、エンジン60のスロットルを制御するためにリンク機構を介してエンジン60に接続される。航空機12のこれらの物理的構成は比較的従来から知られたものであるので、説明の簡略化のため詳細な説明は行わない。本実施形態では、航空機12は、ヘリコプタとして例示される。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、航空機12は、飛行機など他の種類の有人又は無人航空機であってもよく、特定の航空機に限定されるものではない。
【0024】
本実施形態では、航空機12は、地面GD上の所定の飛行区域又は作業区域FA内を飛行し、化学薬品、肥料及び種などの、作物のための農業材料を散布する。具体的に、航空機12は、所定の飛行区域FA内の目標飛行経路に追従するように手動により又は自律的に制御される。本実施形態では、航空機12は、農業用途で用いられる。しかしながら、航空機12は、農業用途以外の産業用途に幅広く用いられてもよい。
【0025】
本実施形態では、航空機12は、交通信号制御局14A、14Bと無線通信を行うように構成されている。本実施形態では、航空機12と交通信号制御局14A、14Bとは、900MHz電波信号を用いてその間に通信データリンクを確立する。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、無線通信は、必要及び/又は要望に応じて他の無線技術を用いて行われてもよい。
【0026】
図1に示すように、交通信号制御局14A、14Bは、それぞれモバイル又はポータブルGCS(地上制御局)の一例である。交通信号制御局14A、14Bは、例えば、航空機12の位置(位置データの一例)、航空機12の方位、航空機12の速度(速度データの一例)、航空機12の姿勢、エンジン60のエンジン回転数(又はエンジンRPM)など、航空機12と交通信号制御局14A、14Bとの間の通信データリンクを介して取得される、航空機12の動作ステータスに基づいて、交通信号16A、16Bをそれぞれ制御するように構成されている。具体的に、交通信号制御局14A、14Bは、電線によってそれぞれ交通信号16A、16Bに相互に接続され、その間の通信を行う。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、交通信号制御局14A、14Bは、必要及び/又は要望に応じて、無線によりそれぞれ交通信号16A、16Bに相互に接続されてもよい。また、本実施形態では、交通信号制御局14A、14Bは、それぞれ交通信号16A、16Bとは別体の装置として独立に設けられている。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、交通信号制御局14A、14Bは、それぞれ交通信号16A、16Bと一体化されていてもよい。本実施形態では、交通信号制御局14A、14Bは、基本的に同一である。しかしながら、もちろん、必要及び/又は要望に応じて、交通信号制御局14A、14Bは異なっていてもよい。
【0027】
図1に示すように、交通信号16A、16Bは、それぞれ、赤色、黄色及び緑色信号灯を有する交通信号灯又はランプと、交通信号灯を支持するスタンドとを含む。本実施形態では、交通信号16A、16Bは、それぞれ、ポータブル交通信号の一例であり、必要及び/又は要望に応じて任意の場所に設置することができる。具体的に、本実施形態では、交通信号16A、16Bは、所定の飛行区域FAの周辺道路又は区域の離れた場所に設置され、周辺道路又は区域の閉鎖又は開放を標示する。具体的に、交通信号16A、16Bは、電線を通じて交通信号制御局14A、14Bから制御信号を取得し、制御信号に基づいて赤色、黄色及び緑色信号灯の点灯/消灯を行う。
【0028】
特に、
図1には示されていないが、交通信号16A、16Bは、それぞれ、制御信号を取得し、制御信号に基づいて交通信号灯を制御するために、通信ユニットを有するオンボードの制御モジュールを含んでいてもよい。交通信号16A、16Bのオンボードの制御モジュールは、赤色信号灯を点灯させて周辺道路又は区域の閉鎖を標示するとともに、緑色信号灯を点灯させて周辺道路又は区域の開放を標示する。さらに、交通信号16A、16Bのオンボードの制御モジュールは、黄色信号灯を点灯させて赤色信号灯がもうすぐ点灯することを標示する。本実施形態では、交通信号16A、16Bは、それぞれ、赤色、黄色及び緑色信号灯を含む。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、交通信号16A、16Bは、必要及び/又は要望に応じて、赤色及び緑色信号灯のみを含むものであってもよい。
【0029】
さらに、交通信号16A、16Bは、それぞれ、例えばバッテリや太陽電池パネルなど、交通信号16A、16Bの各部に電気エネルギーを供給する電源を含む。もちろん、交通信号16A、16Bは、外部電源から電気エネルギーを取得してもよい。本実施形態では、交通信号16A、16Bは、基本的に同一である。しかしながら、もちろん、交通信号16A、16Bは、必要及び/又は要望に応じて異なっていてもよい。
【0030】
また
図1に示すように、交通制御システム10は、さらに、制御モジュール18と、複数の通行者検知器20A、20Bを含む。
図1に示すように、制御モジュール18は、タブレット型コンピュータ又はタブレットとして例示されている。制御モジュール18は、制御モジュール18のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)により、所定の飛行区域FAの周辺道路又は区域に対して制限区域を設定し、制限区域を示す制限区域情報を交通信号制御局14A、14Bに送信するように構成されている。また、制御モジュール18は、交通信号制御局14A、14Bをそれぞれ介して、交通信号16A、16Bの現在の交通信号灯状態を取得し、制御モジュール18の画面に交通信号16A、16Bの現在の交通信号灯状態を表示する。本実施形態では、制御モジュール18は、無線により交通信号制御局14A、14Bに相互に接続される。例えば、交通信号制御局14A、14Bと制御モジュール18とは、2.4GHz帯を用いてその間にWiFi接続を確立する。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、制御モジュール18は、必要及び/又は要望に応じて、他の無線又は有線技術を用いて交通信号制御局14A、14Bに相互に接続されていてもよい。本実施形態では、制御モジュール18は、タブレット型コンピュータとして例示されている。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、制御モジュール18は、例えばポータブルPCや携帯電話など、他の電子機器で構成されていてもよい。本実施形態では、交通制御システム10は、2つの交通信号制御局14A、14Bに対して単一の制御モジュール18を含む。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、交通制御システム10は、具体的なシステムの必要及び/又は要望に応じて、交通信号制御局14A、14Bにそれぞれ対応する2つの制御モジュール18を含むように構成されてもよい。
【0031】
図1によれば、通行者検知器20A、20Bは、それぞれ、交通信号16A、16Bが設置されている所定の飛行区域FAの周辺道路又は区域に接近する又は侵入する、例えば車両(自動車、単車、自転車など)や歩行者などの通行者を検知するリモートセンシング装置の一例である。本実施形態では、通行者検知器20A、20Bは、画像センサを有するビデオカメラとして例示されている。通行者検知器20A、20Bは、それぞれ交通信号16A、16Bの近くに据え付けられ、周辺道路又は区域に接近する又は侵入する通行者の映像を撮影するように構成されている。通行者検知器20A、20Bは、それぞれ電線により交通信号制御局14A、14Bに相互に接続され、撮影した映像及び/又は検知結果を交通信号制御局14A、14Bにそれぞれ送信する。本実施形態では、通行者検知器20A、20Bは、ビデオカメラとして例示されている。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、通行者検知器20A、20Bは、例えば、レーダーやライダーなどを用いた装置など他のリモートセンシング装置であってもよい。また、本実施形態では、通行者検知器20A、20Bは、それぞれ交通信号16A、16Bとは別体の装置として例示されている。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、通行者検知器20A、20Bは、交通信号16A、16Bとそれぞれ一体化されていてもよい。
【0032】
また
図1に示すように、交通制御システム10は、さらに、リモートコントローラ22と航空機制御局24とを含む。リモートコントローラ22は、航空機12を遠隔的に手動で制御するために制御信号を送信する送信機として例示されている。本実施形態では、例えば、リモートコントローラ22は、72MHz帯の電波信号として制御信号を送信する。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、リモートコントローラ22は、必要及び/又は要望に応じて異なる周波数帯を用いてもよい。また、リモートコントローラ22は、航空機制御局24を介して航空機12から取得される、航空機12の動作ステータスを表示する表示モジュールを有する。
【0033】
また、航空機制御局24は、モバイル又はポータブルGCS(地上制御局)の一例である。航空機制御局24は、航空機12から航空機12の動作ステータスを取得し、航空機12の動作ステータスをリモートコントローラ22に送信するように構成されている。具体的に、航空機12は、航空機制御局24と無線通信を行うように構成されている。本実施形態では、例えば、航空機12と航空機制御局24とは、900MHz電波信号を用いてその間に通信データリンクを確立する。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、無線通信は、必要及び/又は要望に応じて他の無線技術を用いて行われてもよい。また、航空機制御局24は、リモートコントローラ22(例えば、リモートコントローラ22の表示モジュール)と無線で相互に接続されている。例えば、リモートコントローラ22と航空機制御局24とは、2.4GHz帯を用いてその間にWiFi接続を確立する。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、航空機制御局24は、必要及び/又は要望に応じて、他の無線技術を用いてリモートコントローラ22に相互に接続されてもよい。
【0034】
ここで
図2を参照して、交通信号制御局14A、14Bについてより詳細に説明を行う。交通信号制御局14A、14Bは、基本的に同一である。そのため、説明の簡略化のために交通信号制御局14A、14Bの各部に同じ参照符号を付す。
【0035】
図2に示すように、交通信号制御局14A、14Bは、それぞれ、メインコントローラ30(電子的コントローラの一例)、データリンクモジュール32(無線通信装置の一例)、WiFiモジュール34及びコンピュータメモリ36を含む。
【0036】
基本的に、交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、それぞれ交通信号制御局14A、14Bのデータリンクモジュール32を介して、航空機12から航空機12の動作ステータスを取得するとともに、それぞれ交通信号制御局14A、14Bのデータリンクモジュール32に指令信号を出力し、さらにデータリンクモジュール32から航空機12に指令信号を送信させる。さらに、交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、それぞれ交通信号制御局14A、14BのWiFiモジュール34を介して、制御モジュール18から制限区域情報を取得するとともに、それぞれ交通信号制御局14A、14BのWiFiモジュール34に交通信号16A、16Bの現在の交通信号灯状態を出力し、さらにWiFiモジュール34から制御モジュール18にそれぞれ交通信号16A、16Bの現在の交通信号灯状態を送信させる。また、交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、それぞれ交通信号16A、16Bから交通信号16A、16Bの現在の交通信号灯状態を取得するとともに、それぞれ通行者検知器20A、20Bから撮影された映像及び/又は検知結果を取得し、それぞれ交通信号16A、16Bに制御信号を出力する。
【0037】
交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、それぞれ基本的に、交通信号16A、16Bの動作をそれぞれ制御する少なくとも1つの制御プログラムを有する少なくとも1つのプロセッサを有する。より好適には、メインコントローラ30は、それぞれ少なくとも1つのプロセッサに加えて、例えば入力インターフェイス回路、出力インターフェイス回路、及びROM(Read Only Memory)装置やRAM(Random Access Memory)装置、フラッシュメモリなどの記憶装置などの他の従来から知られた構成をさらに含むマイクロコンピュータである。例えば、それぞれのメインコントローラ30の内部RAMは、メインコントローラ30の処理結果を記憶する。それぞれのメインコントローラ30の内部ROMは、様々な操作のためのプログラムや情報を記憶する。この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、メインコントローラ30の詳細な構造やアルゴリズムとしては、ここで述べる交通制御システム10の機能を実行するハードウェア及びソフトウェアのいずれの組み合わせを用いてもよい。
【0038】
交通信号制御局14A、14Bのデータリンクモジュール32は、送信機及び受信機の機能の両方を含み、一体化されたアンテナを有する電波送受信機である。具体的に、本実施形態では、データリンクモジュール32は、それぞれ900MHz電波信号を用いた無線通信のための900MHz無線モデムである。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、必要及び/又は要望に応じて、データリンクモジュール32は、他の種類の無線送受信機であってもよい。
【0039】
交通信号制御局14A、14BのWiFiモジュール34は、送信機及び受信機の機能の両方を含み、一体化されたアンテナを有する電波送受信機である。具体的に、本実施形態では、例えば、WiFiモジュール34は、2.4GHz帯を用いたWiFi接続のためのIEEE802.11 b/g/nモジュールである。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、WiFiモジュール34は、必要及び/又は要望に応じて、他の種類の無線送受信機であってもよい。もちろん、WiFiモジュール34は、必要及び/又は要望に応じて、有線接続により制御モジュール18と相互に接続される他の種類の通信装置であってもよい。
【0040】
交通信号制御局14A、14Bのメモリ36は、フラッシュメモリなどのデータ記憶装置である。特に、本実施形態では、メモリ36は、SD、miniSD又はmicroSDカードである。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、メモリ36は、他の種類のデータ記憶装置であってもよい。メモリ36は、航空機12から得られる航空機12の動作ステータスや交通信号16A、16Bから得られる交通信号16A、16Bの現在の交通信号灯状態のログファイル、制御モジュール18から得られる制限区域情報、及び通行者検知器20A、20Bの検知結果をそれぞれ記憶する。
【0041】
ここで
図3を参照して、航空機12についてより詳細に説明する。航空機12は、オンボードコントローラ40(電子的オンボードコントローラの一例)と、データリンクモジュール42(無線通信装置の一例)と、無線受信機44と、姿勢センサ46と、エンジン回転数センサ48と、方位センサ50と、GPS52(位置センサ又はGPSセンサの一例)とを含む。
【0042】
基本的に、オンボードコントローラ40は、姿勢センサ46、エンジン回転数センサ48、方位センサ50及びGPS52により検出された航空機12の動作ステータスを取得する。オンボードコントローラ40は、航空機12の動作ステータスをデータリンクモジュール42に出力し、さらにデータリンクモジュール42から交通信号制御局14A、14B及び航空機制御局24に航空機12の動作ステータスを送信又はブロードキャストさせる。さらに、オンボードコントローラ40は、データリンクモジュール42を介して交通信号制御局14A、14Bから指令信号を取得し、指令信号に応じて航空機12を制御するためにサーボ62を制御する。また、オンボードコントローラ40は、受信機44を介してリモートコントローラ22から制御信号を取得し、制御信号に応じて航空機12を制御するためにサーボ62を制御する。
【0043】
基本的に、オンボードコントローラ40は、例えば航空機12を自律的に制御するためのオートパイロットプログラムなど、航空機12の動作を制御する少なくとも1つの制御プログラムを有する少なくとも1つのプロセッサを有する。より好適には、オンボードコントローラ40は、少なくとも1つのプロセッサに加えて、例えば入力インターフェイス回路、出力インターフェイス回路、及びROM(Read Only Memory)装置やRAM(Random Access Memory)装置、フラッシュメモリなどの記憶装置などの他の従来から知られた構成をさらに含むマイクロコンピュータである。例えば、オンボードコントローラ40の内部RAMは、オンボードコントローラ40の処理結果を記憶する。オンボードコントローラ40の内部ROMは、様々な操作のためのプログラムや情報を記憶する。この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、オンボードコントローラ40の詳細な構造やアルゴリズムとしては、ここで述べる交通制御システム10の機能を実行するハードウェア及びソフトウェアのいずれの組み合わせを用いてもよい。
【0044】
データリンクモジュール42は、送信機及び受信機の機能の両方を含み、一体化されたアンテナを有する電波送受信機である。具体的に、本実施形態では、例えば、データリンクモジュール42は、900MHz電波信号を用いた無線通信のための900MHz無線モデムである。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、必要及び/又は要望に応じて、データリンクモジュール42は、他の種類の無線送受信機であってもよい。
【0045】
受信機44は、電波受信機であり、一体化されたアンテナを有する。具体的に、本実施形態では、例えば、受信機44は、72MHz帯の電波信号を受信する電波受信機である。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、必要及び/又は要望に応じて、受信機44は、他の種類の電波受信機であってもよい。
【0046】
姿勢センサ46は、3軸ジャイロスコープと3軸加速度計とを有する。ジャイロスコープは、航空機12のX軸、Y軸及びZ軸周りの回転(角速度)を検出する。加速度計は、XYZ軸沿いの加速度を検出する。本実施形態では、航空機12のX軸は、航空機12のロール軸であり、航空機12のY軸は、航空機12のピッチ軸であり、航空機12のZ軸は、航空機12のヨー軸である。姿勢センサ46は、回転及び加速を処理して、航空機12の姿勢をオンボードコントローラ40に出力する。もちろん、姿勢センサ46は、航空機12の姿勢を検知する他の種類のセンサであってもよい。
【0047】
エンジン回転数センサ48は、例えばエンジン60のエンジン回転数を検出するホールセンサを有する。エンジン回転数センサ48は、エンジン回転数をオンボードコントローラ40に出力する。もちろん、エンジン回転数センサ48は、エンジン60のエンジン回転数を検出する他の種類のセンサであってもよい。
【0048】
方位センサ50は、3軸磁力計を有する。磁力計は、XYZ軸沿いの地磁気を検出する。方位センサ50は、航空機12の方位をオンボードコントローラ40に出力する。もちろん、方位センサ50は、航空機12の方位を検出する他の種類のセンサであってもよい。
【0049】
GPS52は、衛星からの衛星信号を受信し、航空機12の位置及び速度をオンボードコントローラ40に出力する。もちろん、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、GPS52は、地上基地局から補正データを受信し、航空機12の位置及び速度を補正するRTK(Real Time Kinematic)GPSであってもよい。さらに、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、航空機12の位置及び速度は、例えばGLONASS、Galileo、BeiDouなどの、GPS以外の衛星測位システム(全地球航法衛星システム:GNSS)から取得されてもよい。本実施形態では、航空機12は、姿勢センサ46、エンジン回転センサ48、方位センサ50及びGPS52を含む。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、航空機12は、必要及び/又は要望に応じて、他の種類のセンサを含んでもよい。
【0050】
本実施形態では、航空機12は、手動遠隔制御又は自律制御を用いて飛行できる。具体的に、手動遠隔制御では、オンボードコントローラ40は、オペレータにより操作されるリモートコントローラ22からの制御信号を受信する。これに対して、オンボードコントローラ40は、リモートコントローラ22からの制御信号に応じてサーボ62を制御する。自律制御では、オンボードコントローラ40は、姿勢センサ46、エンジン回転数センサ48、方位センサ50及びGPS52からの航空機12の動作ステータスと、交通信号制御局14A、14Bからの指令信号とを取得する。オンボードコントローラ40は、予め定められたオートパイロット制御プログラムに従って、航空機12の動作ステータスに基づいてサーボ62を制御する。具体的に、本実施形態では、オンボードコントローラ40は、地面GD上の所定の飛行区域FA内に定義された所定の目標飛行経路に追従するように航空機12を自律的に制御する。また、オンボードコントローラ40は、リモートコントローラ22上で行われる手動選択やリモートコントローラ22と受信機44との間の電波受信状態などに従って、手動遠隔制御と自律制御との間で航空機12の制御モードを選択する。航空機12の手動遠隔制御と自律制御とは、比較的従来から知られたものであるため、詳細な説明は行わない。
【0051】
ここで
図4~6を参照して、交通制御システム10の交通信号制御方法について詳細に説明する。この交通信号制御方法では、交通信号16A、16Bは、航空機12の動作ステータスに基づいて、交通信号制御局14A、14Bによって自動的に制御される。具体的に、
図4~6に示すように、交通制御システム10の交通信号制御方法は、航空機12が所定の飛行区域FA内の目標飛行経路FPに追従するように手動により又は自律的に制御されている間に実行される。
【0052】
図4に示すように、制限区域RAは、制御モジュール18のGUIによって、所定の飛行区域FAの周辺道路又は区域RDに対して予め設定される。本実施形態では、制限区域RAは、航空機12の動作ステータスに基づいて閉鎖又は開放される、所定の飛行区域FAの周辺道路又は区域RDの制限部分を制限区域RAが取り囲むように、事前に設定される。本実施形態では、交通信号16A、16Bは、所定の飛行区域FAの周辺道路又は区域RDの制限部分の端部位置PA、PB(例えば、入口/出口)に事前に設置される。
【0053】
図4に示すように、制限区域RAは、所定の飛行区域FAを含む地図データ上に定義された多角形状の区域として設定される。具体的に、制限区域RAの地理的な位置は、制御モジュール18のGUIによって、多角形状の区域のそれぞれの頂点/角の北位置(緯度)及び東位置(経度)を指定することにより設定される。本実施形態では、多角形状の区域の頂点/角は、制御モジュール18の画面上に表示された地図データの対応位置にタッチすることにより指定される。本実施形態では、制限区域RAは、5角形状の区域として設定される。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、制限区域RAは、例えば、3角形状、4角形状など他の形状であってもよい。さらに、本実施形態では、制限区域RAは、一連の直線状の線分により境界付けられている。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、制限区域RAは、一連の曲線状の線分により境界付けられてもよい。制限区域RAが制御モジュール18のGUIによって設定されると、制御モジュール18は、制限区域RAを示す制限区域情報を交通信号制御局14A、14Bに送信する。本実施形態では、制限区域情報は、例えば、制限区域RAの頂点/角の座標(緯度及び経度)を含む。
【0054】
ここで
図5及び6を参照して、交通信号16A、16Bの制御のためのアルゴリズムについて詳細に説明する。交通信号制御局14A、14Bは、航空機12から取得した航空機12の動作ステータスと制御モジュール18から取得した制限区域情報とに基づいて、これらのアルゴリズムを実行する。
【0055】
まず
図5を参照して、交通信号16A、16Bの赤色信号灯を点灯させるアルゴリズムを説明する。交通信号制御局14A、14Bは、以下の条件A1及びA2の一方が満たされると判断する場合に、交通信号16A、16Bの赤色信号灯を点灯させる。
条件A1:航空機12の現在位置P
0と航空機12の将来位置P
T1とを結ぶ線分Lが制限区域RAに交差する。
条件A2:航空機12の現在位置P
0と制限区域RAとの間の距離Dが所定の閾値D1よりも小さい。
【0056】
具体的に、条件A1及びA2の判断のために、交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、まず、例えば航空機12の現在位置P0(すなわち、現在の北位置Pn(0)及び現在の東位置Pe(0))、航空機12の方位及び航空機12の速度(すなわち北速度Vn及び東速度Ve)などの航空機12の動作ステータスを航空機12から取得する。そして、メインコントローラ30は、次の方法により、航空機12の動作ステータスに基づいて、T1秒後(時間パラメータT1)の航空機12の将来位置PT1を推定する。
【0057】
具体的に、メインコントローラ30は、まず、航空機12がホバリングしているかどうかを判断する。特に、メインコントローラ30は、次の条件(I)が満たされるかどうかを判断する。
|Ve|<A かつ |Vn|<A (I)
ここで、Ve(m/s)は、航空機12の東速度を表し、Vn(m/s)は、航空機12の北速度を表し、A(m/s)は、閾値を示す。本実施形態では、閾値Aは、例えば、0.05(m/s)に設定される。もちろん、上述の条件(I)を用いる代わりに、航空機12のホバリングは、航空機12の速度ベクトルの大きさ(すなわち√(Ve2+Vn2))を用いて判断してもよい。具体的に、この場合、速度ベクトルの大きさが所定の閾値より小さいとメインコントローラ30が判断した場合に、航空機12がホバリングしていると判断できる。
【0058】
条件(I)が満たされる場合、メインコントローラ30は、航空機12がホバリングしていると判断する。そして、メインコントローラ30は、東速度Veと北速度Vnとがゼロ(Ve=0及びVn=0)であると判断し、T1秒後の将来位置PT1(Pn(T1)、Pe(T1))を次の数式(1)によって計算する。
Pn(T1)=Pn(0)
Pe(T1)=Pe(0) (1)
【0059】
一方、条件(I)が満たされない場合、メインコントローラ30は、航空機12がホバリングしておらず、移動していると判断する。そして、メインコントローラ30は、さらに、航空機12が旋回しているかどうかを判断する。具体的には、メインコントローラ30は、次の条件(II)が満たされるかどうかを判断する。
|Ω|≧B (II)
ここで、Ω(rad/s)は、航空機12のヨーレートを表し、B(rad/s)は、閾値を表す。本実施形態では、閾値Bは、例えば、π/360(rad/s)(=0.5(deg/s))に設定される。
【0060】
条件(II)が満たされる場合、メインコントローラ30は、航空機12が旋回していると判断する。そして、メインコントローラ30は、T1秒後の将来位置PT1(Pn(T1)、Pe(T1))を次の数式(2)によって計算する。
Pn(T1)=Pn(0)+Δn
Pe(T1)=Pe(0)+Δe (2)
ここで、Δnは、T1秒間の北への移動量を表し、Δeは、T1秒間の東への移動量を表す。メインコントローラ30は、移動量(Δn、Δe)を次のように計算する。
Δn=Δx・sinψ+Δy・cosψ
Δe=Δx・cosψ-Δy・sinψ
ここで、Δxは、T1秒間のX軸沿いの移動量を表し、Δyは、T1秒間のY軸沿いの移動量を表し、ψ(rad)は、航空機12が移動する方向を表す(すなわち、地表に対する針路)。メインコントローラ30は、移動量(Δx、Δy)及び方向ψを次のように計算する。
Δx=Rsinθ
Δy=R(1-cosθ)×sign(turn)
ψ=tan-1(Vn/Ve)
ここで、R(m)は、航空機12の旋回半径を表し、θ(rad)は、T1秒間の旋回量を表し、sign(turn)は、旋回方向を表す。メインコントローラ30は、旋回半径R及び旋回量θを次のように計算する。
R=V/|Ω|、ここでV=√(Ve2+Vn2)
θ=Ω・T1
また、符号関数sign(turn)は、航空機12の旋回方向を表し、パラメータ“turn”は、次のように計算される。
turn=sign(Ω)
【0061】
一方、条件(II)が満たされない場合、メインコントローラ30は、航空機12が旋回しておらず、直進していると判断する。そして、メインコントローラ30は、T1秒後の将来位置PT1(Pn(T1)、Pe(T1))を次の数式(3)によって計算する。
Pn(T1)=Pn(0)+Δn
Pe(T1)=Pe(0)+Δe (3)
ここで、移動量(Δn、Δe)は、次のように計算される。
Δn=Vn・T1
Δe=Ve・T1
【0062】
本実施形態では、メインコントローラ30は、航空機12がホバリングしているかどうか及び航空機12が旋回しているかどうかを判断する。しかしながら、メインコントローラ30は、航空機12がホバリングしているかどうか及び航空機12が旋回しているかどうかを判断せず、数式(3)にのみ基づいて、単にT1秒後の将来位置PT1を推定してもよい。本実施形態では、時間パラメータT1は、例えば、30秒に設定される。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、時間パラメータT1は、必要及び/又は要求に応じて異なる値に設定されてもよい。
【0063】
さらに、メインコントローラ30は、現在位置P0と将来位置PT1とを結ぶ線分Lが制限区域RAに交差するかどうかを判断する。具体的に、メインコントローラ30は、メモリ36に記憶された制限区域情報をそれぞれ取得し、線分Lが制限区域RAの線分(境界)のひとつと交差するかどうかを判断する。例えば、メインコントローラ30は、制限区域RAの線分(境界)のそれぞれについて、線分Lに沿って延びる直線と制限区域RAの線分(境界)に沿って延びる直線との交点が、現在位置P0と将来位置PT1との間に位置するとともに制限区域RAの線分(境界)の端点間に位置するかどうかを判断する。もちろん、2本の与えられた線分がお互いに交差するかどうか(すなわち、線分交差判定問題)を判定する様々なアルゴリズムは、計算幾何学の分野ではよく知られているため、ここでは詳細には説明しない。
【0064】
線分Lが制限区域RAと交差する(すなわち、条件A1が満たされる)とメインコントローラ30が判断する場合、メインコントローラ30は、交通信号16A、16Bの赤色信号灯を点灯させるための制御信号を交通信号16A、16Bに送信する。条件A1は、例えば、航空機12が制限区域RAに向かって移動している時に満たされる。そのため、本実施形態では、航空機12が制限区域RAに向かって移動している時に、メインコントローラ30は、交通信号16A、16Bを制御し、赤色信号灯を点灯させることにより制限区域RA(区域及び道路の少なくとも一方の一例)の閉鎖を標示する。具体的に、本実施形態では、メインコントローラ30は、航空機12の現在位置P0(航空機の位置データの一例)と航空機の移動の方向(航空機の方向データの一例)との両方に基づいて、交通信号16A、16Bを制御する。また、メインコントローラ30は、航空機12の速度(航空機の速度データの一例)に基づいて、交通信号16A、16Bを制御する。
【0065】
また一方、メインコントローラ30は、航空機12の現在位置P
0と制限区域RAとの間の距離Dを計算し、距離Dが所定の閾値D1よりも小さいかどうかを判断する(すなわち、条件A2)。
図5に示すように、距離Dは、航空機12の移動方向に沿った(すなわち、航空機12の速度ベクトルの方向又は方向データに沿った)、航空機12の現在位置P
0とそれに最も近い制限区域RAの線分(境界)との間の距離として計算される。もちろん、距離Dは異なる方法により計算されてもよい。例えば、距離Dは、航空機12の現在位置P
0とそれに最も近い制限区域RAの線分(境界)との間の、この最も近い線分(境界)に直交する方向への距離(すなわち、現在位置P
0からこの最も近い線分への最短距離)として計算されてもよい。メインコントローラ30は、さらに、計算された距離Dが所定の閾値D1よりも小さいかどうかを判断する。本実施形態では、所定の閾値D1は、例えば、5メートルに設定されている。もちろん、所定の閾値D1は、必要及び/又は要望に応じて、他の値に設定されてもよい。
【0066】
距離Dが所定の閾値D1よりも小さい(すなわち、条件A2が満たされる)とメインコントローラ30が判断する場合、メインコントローラ30は、交通信号16A、16Bの赤色信号灯を点灯させるための制御信号を交通信号16A、16Bに送信する。条件A2は、例えば、航空機12が制限区域RAの近くでホバリングしている又はゆっくり移動している時に満たされる。そのため、本実施形態では、航空機12が制限区域RAから所定の閾値D1(第1所定距離の一例)以内に位置している時に、メインコントローラ30は、交通信号16A、16Bを制御し、赤色信号灯を点灯させることにより制限区域RAの閉鎖を標示する。具体的に、本実施形態では、メインコントローラ30は、少なくとも航空機12の現在位置P0(航空機の位置データの一例)に基づいて、交通信号16A、16Bを制御する。
【0067】
ここで
図6を参照して、交通信号16A、16Bの緑色信号灯を点灯させるアルゴリズムを説明する。交通信号制御局14A、14Bは、以下の条件B1及びB2の一方が満たされると判断する場合に、交通信号16A、16Bの緑色信号灯を点灯させる。
条件B1:距離Dが所定の閾値D2よりも大きい場合に、距離Dの時間に対する変化割合S(以下、「時間微分S」)が所定の閾値S1よりも大きい。
条件B2:距離Dが所定の閾値D3よりも大きい。
【0068】
具体的に、条件B1及びB2の判断のために、交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、まず、航空機12の動作ステータスを航空機12から取得する。そして、メインコントローラ30は、上述の方法により、航空機12の現在位置P0と制限区域RAとの間の距離Dを計算する。また、メインコントローラ30は、距離Dの時間微分S(m/s)を計算する。時間微分Sは、航空機12の、制限区域RAから離れる割合又は速度を示す。本実施形態では、所定の閾値S1は、例えば、3メートル毎秒(m/s)に設定される。また、本実施形態では、例えば、所定の閾値D2は、10メートルに設定され、所定の閾値D3は、15メートルに設定される。もちろん、所定の閾値S1、D2、D3は、必要及び/又は要望に応じて、他の値に設定されてもよい。しかしながら、本実施形態では、所定の閾値D1、D2、D3は、効果的にヒステリシスを持たせるために、次のように設定される。
D3>D2>D1
【0069】
そのため、距離Dが所定の閾値D2よりも大きく、かつ時間微分Sが所定の閾値S1よりも大きい(すなわち、条件B1が満たされる)とメインコントローラ30が判断する場合、メインコントローラ30は、交通信号16A、16Bの緑色信号灯を点灯させるための制御信号を交通信号16A、16Bに送信する。条件B1は、例えば、航空機12が制限区域RAの近くで制限区域RAに沿って又は制限区域RAから離れるように移動している時に満たされる。そのため、本実施形態では、航空機12が制限区域RAから離れるように移動している時に、メインコントローラ30は、交通信号16A、16Bを制御し、緑色信号灯を点灯させることにより制限区域RA(区域及び道路の少なくとも一方の一例)の非閉鎖状態を標示又は維持する。具体的に、本実施形態では、メインコントローラ30は、少なくとも航空機12の現在位置P0(航空機の位置データの一例)に基づいて、交通信号16A、16Bを制御する。また、メインコントローラ30は、航空機12の速度(航空機の速度データの一例)に基づいて、交通信号16A、16Bを制御する。
【0070】
一方、距離Dが所定の閾値D3よりも大きい(すなわち、条件B2が満たされる)とメインコントローラ30が判断する場合、メインコントローラ30は、交通信号16A、16Bの緑色信号灯を点灯させるための制御信号を交通信号16A、16Bに送信する。条件B2は、例えば、航空機12が制限区域RAの近くでホバリングしている又はゆっくりと移動している時に満たされる。そのため、本実施形態では、航空機12が制限区域RAから所定の閾値D3(第2所定距離の一例)より外側に位置している時に、メインコントローラ30は、交通信号16A、16Bを制御し、緑色信号灯を点灯させることにより制限区域RA(区域及び道路の少なくとも一方の一例)の非閉鎖状態を維持する。具体的に、本実施形態では、メインコントローラ30は、少なくとも航空機12の現在位置P0(航空機の位置データの一例)に基づいて、交通信号16A、16Bを制御する。
【0071】
ここで
図7及び8を参照して、フローチャートに沿って交通制御システム10の交通信号制御方法について説明する。まず、交通制御システム10の全ての装置に電源が投入される。交通信号制御局14A、14Bに電源が投入されると、交通信号制御局14A、14Bのそれぞれは、交通信号制御タスク(ステップS10~S18)及び通行者検知タスク(ステップS20~S26)を生成又は開始する。本実施形態では、交通信号制御タスク及び通行者検知タスクは、交通信号制御局14A、14Bへの電源の投入に応じて開始し、交通信号制御局14A、14Bの電源が切られるまで繰り返し継続する。
【0072】
まず
図7及び8を参照して、交通信号制御タスクについて詳細に説明する。交通信号制御タスクでは、交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、制限区域RAを示す制限区域情報、時間パラメータT1及び所定の閾値D1、D2、D3、S1を取得する(ステップS10)。制限区域情報は、予め設定され、交通信号制御局14A、14Bのメモリ36に記憶されている。もちろん、制限区域情報は、
制御モジュール18のGUIによる制限区域RAの設定に応じて、制御モジュール18から新たに取得されてもよい。交通信号16A、16Bの初期状態では、交通信号16A、16Bの交通信号灯は消灯されている(すなわち、現在の交通信号灯状態は「オフ」状態)。
【0073】
ステップS10の処理の後、交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、さらに航空機12の動作ステータスを取得する(ステップS12)。航空機12の有効な動作ステータスが取得された場合(ステップS12で「有効」)、交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、航空機12の現在位置P0、航空機12の将来位置PT1、航空機12の現在位置P0と制限区域RAとの間の距離D、及び距離Dの時間微分Sを更新又は計算する(ステップS14)。ここで、例えば、取得された航空機12の動作ステータスが所定の範囲内の値である場合、メインコントローラ30は、取得された航空機12の動作ステータスが有効であると判断する。
【0074】
ステップS14の処理の後、交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、交通信号16A、16Bの交通信号灯状態の更新を開始する(ステップS16)。交通信号16A、16Bの交通信号灯状態の更新の処理については、
図8を参照して後述する。
【0075】
一方、ステップS12において、交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30が所定の時間内(例えば、10秒以内)に航空機12の動作ステータスを取得しない場合(ステップS12で「タイムアウト」)、又は取得された航空機12の動作ステータスが無効である場合(ステップS12で「無効」)、メインコントローラ30は、交通信号16A、16Bの赤色信号灯を点灯させるための制御信号を交通信号16A、16Bに送信する(すなわち、現在の交通信号灯状態は「赤」状態)(ステップS18)。
【0076】
ここで
図8を参照して、ステップS16の交通信号16A、16Bの交通信号灯状態の更新の処理について詳細に説明する。
図7に示すように、ステップS14の処理の後、交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、この処理を開始する。まず、交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、交通信号16A、16Bから取得した現在の交通信号灯状態を確認する(ステップS30)。
【0077】
現在の交通信号灯状態が「赤」状態である場合(ステップS30において「赤」)、メインコントローラ30は、交通信号16A、16Bの緑色信号灯を点灯させるための上述の条件B1及びB2の一方が満たされるかどうかを判断する(ステップS32)。条件B1及びB2の一方が満たされる場合(ステップS32において「はい」)、メインコントローラ30は、ヒステリシスカウンタの値を増加し(ステップS34)、ヒステリシスカウンタの値が所定の値X以上であるかどうかを判断する(ステップS36)。本実施形態では、例えば、所定の値Xは5に設定され、交通信号16A、16Bの交通信号灯の切換が頻繁に行われることを防止している。もちろん、所定の値Xは、異なる値に設定されてもよい。
【0078】
ヒステリシスカウンタの値が所定の値X以上である場合(ステップS36において「はい」)、メインコントローラ30は、ヒステリシスカウンタの値をクリアし(ステップS38)、交通信号16A、16Bの緑色信号灯を点灯させるように交通信号16A、16Bの交通信号灯状態を更新する(すなわち、現在の交通信号灯状態は「緑」状態に更新される)(ステップS40)。特に、メインコントローラ30は、交通信号16A、16Bの緑色信号灯を点灯させるための制御信号を交通信号16A、16Bに送信する。その後、処理は、
図7のステップS12に戻る。
【0079】
一方、条件B1及びB2のいずれも満たされない場合(ステップS32において「いいえ」)、メインコントローラ30は、ヒステリシスカウンタの値をクリアし(ステップS42)、交通信号16A、16Bの赤色信号灯を点灯させるように交通信号16A、16Bの交通信号灯状態を維持する(すなわち、現在の交通信号灯状態は「赤」状態に維持される)(ステップS44)。特に、メインコントローラ30は、交通信号16A、16Bの赤色信号灯を点灯させるための制御信号を交通信号16A、16Bに送信する。その後、処理は、
図7のステップS12に戻る。
【0080】
同様に、ヒステリシスカウンタの値が所定の値X以上でない場合(ステップS36において「いいえ」)、メインコントローラ30は、交通信号16A、16Bの赤色信号灯を点灯させるように交通信号16A、16Bの交通信号灯状態を維持する(すなわち、現在の交通信号灯状態は「赤」状態に維持される)(ステップS44)。その後、処理は、
図7のステップS12に戻る。
【0081】
さらに、現在の交通信号灯状態が「緑」状態である場合(ステップS30において「緑」)、メインコントローラ30は、交通信号16A、16Bの赤色信号灯を点灯させるための上述の条件A1及びA2の一方が満たされるかどうかを判断する(ステップS52)。条件A1及びA2の一方が満たされる場合(ステップS52において「はい」)、メインコントローラ30は、ヒステリシスカウンタの値を増加し(ステップS54)、ヒステリシスカウンタの値が所定の値X以上であるかどうかを判断する(ステップS56)。本実施形態では、例えば、所定の値Xは5に設定され、交通信号16A、16Bの交通信号灯の切換が頻繁に行われることを防止している。もちろん、所定の値Xは、異なる値に設定されてもよい。
【0082】
ヒステリシスカウンタの値が所定の値X以上である場合(ステップS56において「はい」)、メインコントローラ30は、ヒステリシスカウンタの値をクリアし(ステップS58)、交通信号16A、16Bの赤色信号灯を点灯させるように交通信号16A、16Bの交通信号灯状態を更新する(すなわち、現在の交通信号灯状態は「赤」状態に更新される)(ステップS60)。特に、メインコントローラ30は、交通信号16A、16Bの赤色信号灯を点灯させるための制御信号を交通信号16A、16Bに送信する。その後、処理は、
図7のステップS12に戻る。
【0083】
一方、条件A1及びA2のいずれも満たされない場合(ステップS52において「いいえ」)、メインコントローラ30は、ヒステリシスカウンタの値をクリアし(ステップS62)、交通信号16A、16Bの緑色信号灯を点灯させるように交通信号16A、16Bの交通信号灯状態を維持する(すなわち、現在の交通信号灯状態は「緑」状態に維持される)(ステップS64)。特に、メインコントローラ30は、交通信号16A、16Bの緑色信号灯を点灯させるための制御信号を交通信号16A、16Bに送信する。その後、処理は、
図7のステップS12に戻る。
【0084】
さらに、ヒステリシスカウンタの値が所定の値X以上でない場合(ステップS56において「いいえ」)、メインコントローラ30は、交通信号16A、16Bの緑色信号灯を点灯させるように交通信号16A、16Bの交通信号灯状態を維持する(すなわち、現在の交通信号灯状態は「緑」状態に維持される)(ステップS64)。その後、処理は、
図7のステップS12に戻る。
【0085】
さらに、現在の交通信号灯状態が「オフ」状態である場合(ステップS30において「オフ」)、メインコントローラ30は、ヒステリシスカウンタの値をクリアし(ステップS70)、交通信号16A、16Bの赤色信号灯を点灯させるように交通信号16A、16Bの交通信号灯状態を更新する(すなわち、現在の交通信号灯状態は「赤」状態に更新される)(ステップS72)。その後、処理は、
図7のステップS12に戻る。
【0086】
図7に戻って、通行者検知タスクについて詳細に説明する。通行者検知タスクでは、交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、通行者検知器20A、20Bの検知結果を取得し、制限区域RAに接近する又は侵入する通行者の存在を確認する(ステップS20)。通行者が存在すると判断された場合、交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、さらに、交通信号16A、16Bから取得される現在の交通信号灯状態を確認する(ステップS22)。
【0087】
現在の交通信号灯状態が「赤」状態の場合(ステップS22において「赤」)、メインコントローラ30は、交通信号16A、16Bのスピーカから警告音を発生させるように交通信号16A、16Bに制御信号を送信する(ステップS24)。警告音は、警告音が通行者に聞こえるならば、例えば、音声警告やビープ音などどのような種類の音であってもよい。もちろん、通行者検知器20A、20Bの一方のみが通行者の存在を検知した場合には、この通行者検知器20A、20Bの一方に接続されたメインコントローラ30のみが対応する交通信号16A、16Bに制御信号を送信し、この対応する交通信号16A、16Bのスピーカから警告音を発生させてもよい。
【0088】
その後、交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、通行者検知器20A、20Bの検知結果と現在の交通信号灯状態とを航空機12に送信する(ステップS26)。これに対して、航空機12のオンボードコントローラ40は、航空機12を制御し、制限区域RAに向かう移動を中止する、及び/又はリモートコントローラ22のオペレータに制限区域RA近辺の通行者の存在を通知するためにリモートコントローラ22に警告メッセージを送信することができる。その後、処理は、ステップS20に戻る。
【0089】
一方、通行者が存在すると判断されなかった場合(ステップS20)、又は現在の交通信号灯状態が「緑」状態又は「オフ」状態の場合(ステップS22において「緑」又は「オフ」)、処理は、ステップS26に進む。交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、通行者検知器20A、20Bの検知結果と現在の交通信号灯状態とを航空機12に送信する(ステップS26)。その後、処理は、ステップS20に戻る。
【0090】
本実施形態では、交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、
図7及び8に示された全ての処理を実行する。しかしながら、いくつかの処理については、交通信号制御局14A、14B以外の交通制御システム10の装置によって実行されてもよい。例えば、本実施形態では、メインコントローラ30は、航空機12の将来位置P
T1を推定する。しかしながら、航空機12のオンボードコントローラ40が航空機12の将来位置P
T1を推定し、航空機12の将来位置P
T1を、データリンクモジュール42を介して、航空機12の動作ステータスとして送信又はブロードキャストしてもよい。
【0091】
本実施形態では、交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、
図7及び8に示された全ての処理を独立して実行する。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、交通信号制御局14A、14Bの一方(すなわち、主制御局)のみが
図7及び8に示された全ての処理を実行し、交通信号制御局14A、14Bの他の一方(すなわち、従制御局)に、その間の無線又は有線接続により処理結果を伝達することで、交通信号制御局14A、14Bの一方の処理結果に応じて、交通信号制御局14A、14Bの他の一方が対応する交通信号16A、16Bを制御できるようにしてもよい。
【0092】
さらに、交通制御システム10は、さらに、交通信号制御局14A、14B以外のコンピュータ装置を主制御局として含んでもよい。コンピュータ装置は、
図7及び8に示された処理の少なくともいくつかを実行するように構成されてもよい。これに応じて、交通信号制御局14A、14Bは、さらに、コンピュータ装置の処理結果に応じて、交通信号16A、16Bを制御するように構成されてもよい。より具体的に、コンピュータ装置は、インターネットなどのコンピュータネットワークにより、交通制御システム10の各部と相互に接続されたクラウドコンピューティングプラットフォームや仮想コンピュータとして設けられてもよい。特に、航空機12、交通信号制御局14A、14B、交通信号16A、16B、制御モジュール18、通行者検知器20A、20B、リモートコントローラ22及び航空機制御局24の少なくともひとつは、このクラウドコンピューティングプラットフォームに各種データを送信するように構成されてもよい。例えば、航空機12、リモートコントローラ22及び航空機制御局24の少なくともひとつは、航空機12の動作ステータスをクラウドコンピューティングプラットフォームに送信するように構成されてもよい。交通信号16A、16Bは、現在の交通信号灯状態をクラウドコンピューティングプラットフォームに送信するように構成されてもよい。制御モジュール18は、制限区域情報をクラウドコンピューティングプラットフォームに送信するように構成されてもよい。また、通行者検知器20A、20Bは、撮影した映像及び/又は検知結果をクラウドコンピューティングプラットフォームに送信するように構成されてもよい。これに応じて、クラウドコンピューティングプラットフォームは、
図7や8に示された処理を実行する。具体的に、クラウドコンピューティングプラットフォームは、航空機12の将来位置P
T1の推定(ステップS14)や交通信号状態の更新(ステップS16)などを実行する。これに応じて、交通信号制御局14A、14Bは、交通信号状態の更新などの処理結果をクラウドコンピューティングプラットフォームから取得し、クラウドコンピューティングプラットフォームの処理結果に応じて交通信号状態を更新するために交通信号16A、16Bを制御する。
【0093】
本実施形態では、
図4に示すように、単一の制限区域RAが所定の飛行区域FAの周辺道路又は区域RDに対して設定される。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、必要及び/又は要望に応じて、複数の制限区域RAが所定の飛行区域FAの周辺道路又は区域RDに対して設定されてもよい。この場合、交通信号制御局14A、14B、交通信号16A、16B及び通行者検知器20A、20Bの数は、制限区域RAの数に応じて増加させてもよい。さらに、本実施形態では、制限区域RAは、周辺道路又は区域RDに沿って設定されている。しかしながら、制限区域RAは、所定の飛行区域FAのいずれの場所に設定されてもよい。
【0094】
本実施形態では、交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、条件B1及びB2の両方を確認し、条件B1及びB2の一方が満たされるかどうかを判断する(
図8のステップS32)。しかしながら、メインコントローラ30は、ステップS32において、条件B1及びB2の両方を確認する代わりに、条件B1及びB2の一方のみを確認してもよい。また本実施形態では、メインコントローラ30は、条件A1及びA2の両方を確認し、条件A1及びA2の一方が満たされるかどうかを判断する(
図8のステップS52)。しかしながら、メインコントローラ30は、ステップS52において、条件A1及びA2の両方を確認する代わりに、条件A1及びA2の一方のみを確認してもよい。
【0095】
さらに、交通信号制御局14A、14Bのメインコントローラ30は、ステップS32において条件B1及びB2以外の条件を確認し、ステップS52において条件A1及びA2以外の条件を確認してもよい。例えば、メインコントローラ30は、ステップS32において条件B1及びB2を確認する代わりに、航空機12が制限区域RAから第3所定距離以内に位置し、かつ制限区域RAに向かって移動しているかどうかを確認してもよい。また、メインコントローラ30は、ステップS52において条件A1及びA2を確認する代わりに、航空機12が制限区域RAから第4所定距離以内に位置し、かつ制限区域RAから離れるように移動しているかどうかを確認してもよい。この場合、航空機12が制限区域RAから第3所定距離以内に位置し、かつ制限区域RAに向かって移動している場合、メインコントローラ30は、赤色信号灯を点灯させることにより制限区域RAの閉鎖を標示するように交通信号16A、16Bを制御してもよい。また、航空機12が制限区域RAから第4所定距離以内に位置し、かつ制限区域RAから離れるように移動している場合、メインコントローラ30は、緑色信号灯を点灯させることにより制限区域RAの非閉鎖状態を維持するように交通信号16A、16Bを制御してもよい。この場合、例えば、第3所定距離は、第4所定距離以上であってもよい。
【0096】
本実施形態では、
図1に示すように、交通信号16A、16Bは、それぞれ赤色、黄色及び緑色信号灯を有する交通信号灯を含む。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、交通制御システム10は、他の種類の交通信号を含むように構成されてもよい。
【0097】
具体的に、
図9に示すように、交通制御システム10は、可動式の交通標識118を有する交通信号116を含むように構成されてもよい。本実施形態では、交通標識118は、可動式である。特に、交通標識118は、支持シャフト120により回転可能に支持される。本実施形態では、交通標識118は、円形状のパネルであり、交通標識118の一方の面に制限区域RAの閉鎖を標示する「進入禁止」の文字を有するとともに、交通標識118の他方の面に制限区域RAの非閉鎖状態を表示する「進め」の文字を有する。もちろん、交通標識118は、交通標識118の一方の面に制限区域RAの閉鎖を標示するシンボルを有するとともに、交通標識118の他方の面に制限区域RAの非閉鎖状態を表示するシンボルを有してもよい。交通信号116は、対応する交通信号制御局14A、14Bにより制御され、対応する交通信号制御局14A、14Bからの制御信号に応じて、交通標識118のいずれかの面が見えるように回転する。
【0098】
さらに、
図10に示すように、交通制御システム10は、表示部218を有する交通信号216を含むように構成されてもよい。本実施形態では、表示部218は、例えば、液晶ディスプレイを有する。しかしながら、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、表示部218は、他の種類の表示部を有してもよい。表示部218は、対応する交通信号制御局14A、14Bにより制御され、対応する交通信号制御局14A、14Bからの制御信号に応じて、制限区域RAの閉鎖を標示する文字やシンボル(例えば、
図10では、表示部218に「進入禁止」の文字が表示されている)と、制限区域RAの非閉鎖状態を標示する文字やシンボルとを切り換え可能に表示する。
【0099】
本発明の範囲の理解において、ここで用いられる用語「備える」及びその派生語は、記載された特徴、エレメント、構成、群、構成要素、及び/又はステップがあることを明記するオープンエンドの用語であり、記載されていない特徴、エレメント、構成、群、構成要素、及び/又はステップがあることを排除するものではない。上記は、用語「有する」、「含む」及びそれらの派生語など同様の意味を持つ語にも当てはまる。また、単数形的に用いられる用語「パート」、「部分」、「部」、「部材」又は「エレメント」は、単一のパート又は複数のパーツの2つの意味を持ちうる。また、別に定義の無い限り、ここで用いられる(技術的及び科学的用語を含む)全ての用語は、発明の実施形態が属する交通制御システムの分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。また当然ながら、一般的に用いられる辞書に定義される用語を含め、用語は、関連分野の文脈における意味と一貫性のある意味を持つとして解釈され、別途定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味に解釈されるべきではない。
【0100】
また、当然ながら、エレメントが別のエレメントと「接続」又は「結合」されているという時、それらのエレメントは直接的に接続又は結合されていてもよいし、間に介在するエレメントがあってもよい。一方、エレメントが別のエレメントと「直接接続」又は「直接結合」されているという時には、間に介在するエレメントはない。ここで用いられる用語「及び/又は」は、関連付けて列挙された項目の一つ以上のいずれの組み合わせも含む。さらに、エレメントやレイヤの間の関係を記載するのに用いられる同様の用語も同様に解釈されるべきである(例えば、「~の間に」と「直接的に~の間に」、「~の上方に」と「~の直接上方に」、「~の下方に」と「~の直接下方に」、「~に隣り合う」と「~に直接隣り合う」、「~の上に」と「直接~の上に」、など)。そのため、お互いに直接的に接続され接触されるように図示された部材も、別途明示しない限り、それらの間に配置される中間構造を有していてもよい。
【0101】
またここでは、「前方」、「後方」、「上」、「下」、「真下」、「下方」、「垂直」、「水平」及び「横」などの空間的に相対的な用語は、その他の同様の空間的な用語と同様に、上述の実施形態のひとつのエレメント又は特徴と他のエレメント又は特徴との関係を簡便に記載するのに用いられている。これらの用語が本発明を記載するのに用いられる場合には、水平面上の航空機に対する関係を示すものとして理解される。
【0102】
本発明の説明のために実施形態が選択されたが、この開示により交通制御システムの分野の当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を逸脱することがない範囲で、種々の変更、変形ができる。一つの実施形態の構造や機能は、他の実施形態にも適用可能である。また、全ての利点が同時に特定の実施形態に存在する必要はない。先行技術から区別されるそれぞれの特徴は、それ単独として又は別の特徴と組み合わせて、それらの特徴により実現される構造的及び/又は機能的な思想を含めて、出願人のさらなる発明の別の記載であると考えられる。そのため、上述の本発明の実施形態の記載は、単なる例示のためであり、添付の特許請求の範囲やその均等物によって決まる発明を限定するものではない。