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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】ピアツーピアの位置更新
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/021 20180101AFI20221209BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20221209BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20221209BHJP
【FI】
H04W4/021
H04W92/18
H04W84/10 110
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020561678
(86)(22)【出願日】2019-05-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 US2019030550
(87)【国際公開番号】W WO2019213485
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】16/162,902
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/666,416
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/666,451
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】パイラッパン,シージョー
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-341684(JP,A)
【文献】特開2010-166155(JP,A)
【文献】特開2010-011394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ可読命令が記憶されているメモリと、
1つ以上のプロセッサと
を備えるデバイスであって、
前記1つ以上のプロセッサは、前記コンピュータ可読命令を実行して、
第1の位置又は前記第1の位置付近に位置する前記デバイスに対してネットワーク接続を提供しようと試みる第1の基地局から第1の位置更新情報を受信するステップと、
前記デバイスが、前記第1の位置に来た後に前記第1の基地局又は第2の基地局から第2の位置更新情報を受信していないことを判定するステップであって、前記第1の位置は、前記デバイスと前記第1の基地局との接続又は前記デバイスと前記第2の基地局との接続が確立不可能な閉じられたエリアである、ステップと、
前記デバイスが前記第1の基地局又は前記第2の基地局から前記第2の位置更新情報を受信していないと判定されると、前記デバイスの近くのデバイスから位置更新情報を受信するためのデバイス間通信を有効とするステップと、
前記デバイス間通信により、少なくとも1つの前記近くのデバイスから前記第2の位置更新情報を受信するステップと、
業者のデバイスに到着情報を送るためのサーバに前記第2の位置更新情報を送信するステップと
を行う、デバイス。
【請求項2】
前記第1の基地局及び前記第2の基地局の各々は、携帯電話の基地局又は固定された無線アクセスポイントである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記1つ以上のプロセッサは、前記コンピュータ可読命令を実行し、或るトリガ条件が満たされた場合に前記第2の位置更新情報が受信されていないことを判定する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記トリガ条件は、前記第1の位置更新情報が受信されてからの時間と、前記第2の位置更新情報を受信するための時間の満了と、前記デバイスが前記第2の位置更新情報を受信する前に移動した基準距離とのいずれかである、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記デバイス間通信は、近距離無線通信方式とビーコンに基づく伝送とのいずれかである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記近くのデバイスの少なくとも1つが、前記デバイスとの前記デバイス間通信の確立前の基準時間内に前記閉じられたエリアに入ったモバイルデバイスである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記閉じられたエリアが、地下にある交通の駅又は関連する接続トンネルである、請求項2に記載のデバイス。
【請求項8】
前記サーバが、前記第2の位置更新情報に基づき、注文品を受け取るための店の場所への前記デバイスの到着時刻を示す到着情報を用いて、前記業者のデバイスを更新する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
デバイスが、第1の位置又は前記第1の位置付近に位置する前記デバイスに対してネットワーク接続を提供しようと試みる第1の基地局から第1の位置更新情報を受信するステップと、
前記デバイスが前記第1の位置に来た後に前記第1の基地局又は第2の基地局から第2の位置更新情報を受信していないことを前記デバイスが判定するステップであって、前記第1の位置は、前記デバイスと前記第1の基地局との接続又は前記デバイスと前記第2の基地局との接続が確立不可能な閉じられたエリアである、ステップと、
前記デバイスが前記第1の基地局又は前記第2の基地局から前記第2の位置更新情報を受信していないと判定されると、前記デバイスが、前記デバイスの近くのデバイスから前記第2の位置更新情報を受信するためにデバイス間通信を有効にするステップと、
前記デバイス間通信により、少なくとも1つの前記近くのデバイスから前記第2の位置更新情報を受信するステップと、
前記デバイスが目的地に着くまでの残り時間を前記目的地に通知する到着アラートをサーバが定めることができるように、前記サーバに前記第2の位置更新情報を送信するステップと
を含む方法。
【請求項10】
前記第1の位置更新情報を前記サーバに送信するステップと、
前記第1の位置更新情報の送信に応じて、前記サーバからトリガ条件を受信するステップと
を更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の位置更新情報が受信されていないことの判定は、前記トリガ条件が満たされたか否かに基づくものである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記トリガ条件が、前記第1の位置更新情報が受信されてからの時間と、前記第1の基地局又は前記第2の基地局から前記第2の位置更新情報を受信するための予定された時間の満了と、前記デバイスが前記第2の位置更新情報を受信する前に移動した基準距離とのいずれかである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記デバイス間通信が、近距離無線通信方式とビーコンに基づく伝送とのいずれかである、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記近くのデバイスの少なくとも1つが、前記デバイスとの前記デバイス間通信の確立前の基準時間内に前記閉じられたエリアに入ったモバイルデバイスである、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記閉じられたエリアが、地下にある交通の駅又は関連する接続トンネルである、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
コンピュータ可読命令が記憶されている1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ可読命令は、追跡デバイス内の1つ以上のプロセッサにより実行されると、前記1つ以上のプロセッサに対し、
第1の位置又は前記第1の位置付近に位置する前記追跡デバイスに対してネットワーク接続を提供しようと試みる第1の基地局から第1の位置更新情報を受信するステップと、
前記追跡デバイスが、前記第1の位置に来た後に前記第1の基地局又は第2の基地局から第2の位置更新情報を受信していないことを判定するステップであって、前記第1の位置は、前記追跡デバイスと前記第1の基地局との接続又は前記追跡デバイスと前記第2の基地局との接続が確立不可能な閉じられたエリアである、ステップと、
前記追跡デバイスが前記第1の基地局又は前記第2の基地局から前記第2の位置更新情報を受信していないと判定されると、前記追跡デバイスの近くのデバイスから前記第2の位置更新情報を受信するために、内蔵されているデバイス間通信コンポーネントを起動するステップと、
前記デバイス間通信コンポーネントにより、少なくとも1つの前記近くのデバイスから前記第2の位置更新情報を受信するステップと、
前記追跡デバイスが目的地に着くまでの残り時間を前記目的地に通知する到着アラートをサーバが特定できるように、前記サーバに前記第2の位置更新情報を送信するステップと
を実行させる、1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記1つ以上のプロセッサは、前記コンピュータ可読命令の実行により、
前記サーバに前記第1の位置更新情報を送信するステップと、
前記第1の位置更新情報の送信に応じて、前記サーバからトリガ条件を受信するステップと
をさらに行う、請求項16に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記コンピュータ可読命令の実行により、前記1つ以上のプロセッサは、前記トリガ条件が満たされていない場合に前記第2の位置更新情報が受信されていないと判定し、前記トリガ条件は、前記第1の位置更新情報が受信されてからの時間と、基準距離と、満了前に前記追跡デバイスが前記サーバに前記第2の位置更新情報を送信すべき基準時間とのいずれかである、請求項17に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、到着アラートのためのシステム及び方法に関し、より具体的には、到着アラートの正確な作成及び送信のためにサーバへ送られる位置更新情報を得るためにピアツーピア通信を用いることに関する。
【0002】
本願は、2018年5月3日に出願された米国仮特許出願第62/666,416号と、2018年5月3日に出願された米国仮特許出願第62/666,451号と、2018年10月17日に出願された米国非仮特許出願第16/162,902号とに基づく優先権を主張するものであり、これらの出願の全内容は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0003】
到着アラートを提供する現在のサービスは、多くの場合、動いている対象(例えば、車両)の目的地(例えば、店舗)への到着をその目的地に通知するタイミングを可能な限り正確に特定するために、動いている対象から継続的に位置更新情報を受信することに依拠している。例えば、ユーザが注文品を受け取るために或る店舗の場所に向かって車を運転しているとき、システムの目的は、店舗の担当者が、ユーザが到着したときにユーザが注文品を受け取ることができるよう準備ができていることを確実なものとすることができるように、担当者に対して正確な事前アラート(到着アラート)を提供することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さらに、このようなタイミングアラートの特定及びその向上する精度は、動いている対象にとっての、その対象の位置を特定するための信号の利用可能性と、到着アラートを定めて送信するために使用されるこの位置更新情報をシステムのサーバに送信する能力によって決まる。この信号の利用可能性は、動いている対象が取る経路における信号の受信状況によって悪影響を受ける。例えば、動いている対象が、店舗に行くために地下の交通網を利用している場合、地下で動いている対象にとっての信号の受信可能性は低いか又は存在しない。同じことが、動いている対象が長時間、地下トンネルを車で通過している可能性のあるシナリオにも当てはまる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
信号受信可能性の低いエリアにおいて自己の位置を特定するための十分な信号受信状況にない、動いている対象と、比較的最近、信号受信可能性の低い同エリアに入り、比較的正確な位置情報を有するデバイスとの間のピアツーピア通信のための実施形態の例が提供される。動いている対象は、ピアツーピア通信により、到着アラートを生成するためにサーバへ送られるべき位置更新情報を特定することができる。
【0006】
1つの態様において、本方法は、
デバイスが、ネットワークコンポーネントから第1の位置更新情報を受信するステップと、
前記デバイスが、第2の位置更新情報を特定するためのトリガ条件が満たされたかどうかを判定するステップと、
前記トリガ条件が満たされた場合、前記デバイスが、前記デバイスの近くのデバイスから前記第2の位置更新情報を受信するためのデバイス間通信を有効にするステップと、
前記デバイス間通信により、少なくとも1つの前記近くのデバイスから前記第2の位置更新情報を受信するステップと、
前記デバイスが目的地に着くまでの残り時間を前記目的地に通知する到着アラートをサーバが特定するために、前記サーバに前記第2の位置更新情報を送信するステップと
を含む。
【0007】
1つの態様において、サーバは、コンピュータ可読命令が記憶されているメモリと、1つ以上のプロセッサとを備える。前記1つ以上のプロセッサは、前記コンピュータ可読命令を実行して、
ネットワークコンポーネントから第1の位置更新情報を受信するステップと、
第2の位置更新情報を受信する前に、トリガ条件が満たされたかどうかを判定するステップと、
前記トリガ条件が満たされた場合、前記デバイスの近くのデバイスから位置更新情報を受信できるようにデバイス間通信を有効にするステップと、
前記デバイス間通信により、少なくとも1つの前記近くのデバイスから前記第2の位置更新情報を受信するステップと、
前記第2の位置更新情報をサーバに送信するステップと
を行う。
【0008】
1つの態様において、1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体には、コンピュータ可読命令が記憶されている。前記コンピュータ可読命令は、1つ以上のプロセッサにより実行されると、前記1つ以上のプロセッサに対し、
ネットワークコンポーネントから第1の位置更新情報を受信するステップと、
第2の位置更新情報を特定するためのトリガ条件が満たされたかどうかを判定するステップと、
前記トリガ条件が満たされた場合、前記追跡デバイスの近くのデバイスから前記第2の位置更新情報を受信するために、内蔵されているデバイス間通信コンポーネントを起動するステップと、
前記デバイス間通信コンポーネントにより、少なくとも1つの前記近くのデバイスから前記第2の位置更新情報を受信するステップと、
前記追跡デバイスが目的地に着くまでの残り時間を前記目的地に通知する到着アラートをサーバが特定するために、前記サーバに前記第2の位置更新情報を送信するステップと
を実行させる。
【0009】
本技術の上記に挙げた利点及び特徴並びに他の利点及び特徴は、添付図面に示す具体的な実施態様を参照することによって明らかになる。当業者であれば、これらの図面は、本技術のいくつかの例を示しているにすぎず、本技術の範囲をこれらの例に限定するものでないことを理解するであろう。さらに、当業者であれば、添付図面を用いて更に具体的、且つ詳細に記載及び説明されている本技術の原理を理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一態様によるシステム例を示す図である。
図2】本開示の一態様によるシステム例を示す図である。
図3】本開示の1つの態様による、信号が弱い区域における経路の一例の図である。
図4】本開示の1つの態様による、ピアツーピアにより位置更新情報を取得する方法例の図である。
図5】本開示の一態様による目的地別モデルを作成する方法例を示す図である。
図6】本開示の一態様による追跡デバイスの目的地への到着のタイミングを推定する際に使用される等時線の一例を示す図である。
図7】本開示の一態様による到着アラートを提供する方法例を示す図である。
図8】本開示の1つの態様による本技術を実施するシステムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本技術の様々な例を以下に詳細に説明する。具体的な実施態様を説明するが、これは例示を目的として行われるものにすぎないことが理解されるべきである。当業者であれば、本技術の趣旨及び範囲から逸脱することなく他のコンポーネント及び構成を用いることができることを認識するであろう。
【0012】
開示する技術は、様々な目的地に対して、動いている対象(例えば、モバイルデバイス)に関連するユーザの目的地への到着時刻をその目的地に対応する各担当者に通知する到着アラートを提供するサービス提供者に、より正確な位置更新情報を提供するために、動いている対象の位置を特定する能力を向上させる、本技術分野における必要性に対処するものである。特に、動いている対象が、近くの携帯電話基地局、アクセスポイント等と通信することにより位置更新情報を取得することのできない閉じられた空間(enclosure)の中にいるとき、動いている対象の、その位置を特定する能力は、最近その閉じられた空間の中に入り、最新の位置情報を有する近くのモバイルデバイスから、斯かる位置更新情報を取得することにより向上する。この最新の位置情報は、動いている対象によって取得されると、動いている対象が自己の位置を更新することが可能となる。
【0013】
本開示は、本明細書に記載する概念を実施することができるいくつかのシステム例の説明から始める。
【0014】
図1に、本開示の1つの態様によるシステムの例を示す。図1に示すように、システム100は、追跡デバイス104(ユーザデバイス104又は顧客デバイス104)に関連するユーザ102を含む。追跡デバイス104は、ユーザ102(及び関連する移動体)の動きを追跡し、その動きを、セルラネットワーク又はWiFi接続によるもの等、有線及び/又は無線の通信プラットフォームによってサーバ112に伝えることができる、任意の既知の、又は今後開発される電子デバイスとすることができる。追跡デバイス104の例としては、限定されないが、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ラップトップ、タブレット、リストバンド型追跡物体(wristband tracking object)等が挙げられる。1つの例では、追跡デバイス104は、位置サービス105を有する。位置サービス105は、いかなる時点においても追跡デバイス104の地理座標(例えば、緯度及び経度)を記録することができる全地球測位システム(GPS)デバイス等、任意の既知の又は今後開発される内蔵センサ、デバイス及び/又は位置特定コンポーネントとすることができる。
【0015】
図1には示していないが、追跡デバイス104、サーバ112、及びシステム100の他の任意のコンポーネントは、送受信部等の、他のコンポーネントとの通信を可能にする別のコンポーネントを有する。
【0016】
システム100は、目的地106を更に含む。目的地106は、目的地106の担当者に対してユーザ102の目的地106への到着のタイミングを通知する到着アラートをサーバ112から受信する、対象となる目的地とすることができる。例えば、目的地106は、オンライン上ではない実際の店舗とすることができ、ユーザ102は、購入するべくその店舗に(複数の)商品を注文しており、その店舗から注文品を受け取る途中である。目的地106の他の例としては、限定されないが、レストラン、デパート、ドライクリーニングサービス等の他のタイプのサービス提供者、図書館等が挙げられる。したがって、ユーザ102が目的地106に到着したときに(複数の)注文品の用意ができていることを確実にするために、ユーザ102の到着の基準時間前(例えば、ユーザの目的地106への到着の8分前)に、サーバ112が目的地106に到着アラートを提供することが重要である。したがって、到着アラートは、ユーザ102及び/又は目的地106の担当者が感じる不便さ(例えば、到着後の或る時間、(複数の)注文品の準備ができるのを待つこと)を回避し又は低減できるように、可能な限り正確である必要がある。
【0017】
目的地106は、従業員等の、目的地106に関連する担当者108を有することができる。さらに、目的地106は、コンピューティングデバイス110を有することができ、担当者108は、コンピューティングデバイス110を用いて、到着アラートを受信し、識別情報をサーバ112及び/又は追跡デバイス104との間で送受信し、注文の確認、キャンセル、調整などを行う。コンピューティングデバイス110は、目的地106によって使用され、WiFi接続等、有線及び/又は無線接続によりサーバ112と通信することができる、任意の既知の又は今後開発されるデバイスとすることができる。コンピューティングデバイス110の例としては、限定されないが、タブレット、据置型コンピュータデバイス、モバイルデバイス、他の任意の既知の又は今後開発される販売時点情報管理(POS:Point of Sale)デバイス等が挙げられる。
【0018】
システム100はサーバ112をも有する。サーバ112は、メモリ116等の1つ以上のメモリに記憶されるコンピュータ可読命令の1つ以上の組を実施することができるプロセッサ114等の、1つ以上のプロセッサを有することができる。これらの命令の組のうちの任意の1つ以上の実行により、サーバ112は、図3図5を参照して後述する方法の機能を実施することができる。これらの機能としては、限定されないが、機械学習を用いて、後に到着予測サービスを提供するために用いることができる目的地別モデル(destination specific model)を構築すること、位置の更新を受信した位置に対するスマートシグナリングを定めること等が挙げられる。
【0019】
図1に示すように、サーバ112は、(移動履歴データベース118とも呼ぶことができる)データベース118をも有することができる。データベース118に記憶されたデータは、後述するように、サーバ112により目的地別モデルを構築し到着予測サービスを実行するために実施される機械学習アルゴリズムにより使用される。
【0020】
システム100は、経路エンジン120をも含むことができる。経路エンジン120は、一般に地図作成アプリケーションに関連するもの等の、従来の任意の経路エンジンとすることができる。こうした経路エンジンは、サーバ112に推定到着時間を提供する際に、目的地までの距離及び制限速度、並びに場合によっては、現在の交通状況、天候状況及び時刻状況を考慮することができ、推定到着時間は、サーバ112及びサーバ112で実施されるロジックにより、到着アラートの精度を高め、修正し、目的地106に提供するために使用される。さらに、経路エンジン120は、サーバ112において目的地に応じて目的地別モデルを生成するために、目的地までの最も可能性の高い経路、可能性の高い途中の立寄り、及び他の任意の学習されたファクタ等の、他の、位置に応じたファクタを考慮する場合もあれば考慮しない場合もある。
【0021】
サーバ112及びルーチンエンジン120は、物理的に同じ場所に配置し、又は、有線及び/又は無線ネットワークで通信するように構成することができる。さらに、システム100内に示されている各コンポーネントは、システム100内の別のコンポーネントと、及び/又は、現時点で既知の又は今後開発されるセルラ及び/又は無線通信技術及びプラットフォームを使用して、他の任意の外部コンポーネントと通信することができる。
【0022】
図2に、本開示の1つの態様によるシステム例を示す。図2のシステム200は、図1のシステム100と同じであるが、図1に示したように注文された(複数の)商品、(複数の)サービスを受けるためにユーザ102が目的地106に移動するのではなく、目的地106等の目的地が、配送サービス(例えば、運転手の配送サービス)を利用して、ユーザ102の(複数の)注文品をユーザ102に配送する点で異なる。したがって、図1の要素と同じ符号を有するシステム200内の要素については、簡単のため、これ以上説明しない。
【0023】
図2に示すシステム200においては、目的地106及びその対応する要素の代わりに、関連する追跡デバイス208を有する運転手206が示されている。図2の状況では、運転手206及び関連する追跡デバイス208は、ユーザ102に向かって動いているが(図1のユーザ102及び追跡デバイス104と同様)、ユーザ102は移動していない(図1の目的地106と同様)。したがって、図2の状況では、ユーザ102に対して、運転手206の到着をユーザ102に通知する到着アラートが提供される。したがって、追跡デバイス208の位置を特定し、ユーザ102への到着を推定するために、本明細書に記載の位置特定のための様々なタイプの計算が行われる。
【0024】
運転手206及び追跡デバイス208は、運転手206が運転する車両等の、移動体に関連付けることができる。追跡デバイス208は、運転手206(及び関連する移動体)の動きを追跡することができる、任意の既知の又は今後開発される電子デバイスであり、セルラネットワーク又はWiFi接続による等の、有線及び/又は無線通信プラットフォームによりサーバ112に追跡結果を伝えることができる。追跡デバイス208の例としては、限定されないが、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ラップトップ、タブレット、リストバンド型追跡物体等が挙げられる。追跡デバイス208の位置サービス210は、図1を参照して上述した追跡デバイス104(図2において顧客デバイス104として示されている)の位置サービス105と同じとすることができる。
【0025】
図1及び図2に、様々な要素が示され記載されているが、本発明の概念はそれらに限定されない。例えば、ユーザ、デバイス、目的地、サーバ等の数は、記載されている数に限定されず、それより多い場合も少ない場合もある。さらに、両システム100及び200に対し、一般的で、及び/又はそれらの適切な動作に必要であり、したがって本開示の範囲内にある追加のコンポーネント、アーキテクチャ及び/又は機能を関連付けることができる。
【0026】
簡単に述べたように、サーバ112は、目的地106の担当者108が、ユーザが目的地106に到着したときにユーザ102が受け取る(複数の)注文品を準備し整えることができるよう、ユーザ102の目的地106への到着の基準時間前に目的地106へアラートを提供するために、ユーザ102に関連する移動体を追跡するという処理が課せられる。斯かる基準時間は、担当者108のフィードバック、ユーザ102のフィードバック、過去の目的地106への移動に基づく自動的なシステムの決定等、様々なファクタに基づいて決められる設定可能なパラメータとすることができる。例えば、担当者108は、ユーザ102が自己の(複数の)注文品を受け取るべく目的地106に到着するまであと8分となると、サーバ112が担当者108にアラートを提供するよう、要求することができる。したがって、サーバ112は、ユーザ102が目的地106に着くまであと8分となると、目的地106の担当者108に到着アラートを可能な限り正確に提供するために、ユーザの位置に関する正確な情報を得る必要がある。
【0027】
前述のとおり、ユーザ102が移動している現在の経路における信号受信可能性が低い場合、ユーザ102の追跡デバイス104が、(1)その位置を正確に特定することと、(2)その位置更新情報を、サーバ112が到着アラートを定めるためにサーバ112に送ることとの少なくともいずれかが、不可能ではないまでも困難であるために、ユーザ102の位置に関する正確な情報を得ることが困難である可能性がある。
【0028】
信号受信可能性の低い経路の一例は、地下交通システムであり、それについて図3を参照しながら後述する。しかし、本開示内容はそれに限定されない。こうした経路の別の例は、複数の入口地点のある、車が通過して移動することができる地下トンネル、又は、複数の入口地点があり2つ以上の連続した入口地点の間の信号受信可能性が低い、他の任意のタイプの既知の若しくは今後開発される交通機構のための他の任意の経路とすることができる。
【0029】
図3は、本開示の1つの態様による、信号受信可能性が低い経路の一例である。
【0030】
図3の状況300は、例として3つの駅がある地下交通システムを示す。乗客はその駅を通って交通システムに入出場することができる。3つの駅302、304及び306は、トンネル308を通じて接続され、複数の(又は1つの)列車310が、トンネル308を通って、駅から駅へと乗客を運んで移動することができる。図3は、例として駅が3つのみの地下交通システムを示すが、本開示はそれに限定されず、こうしたシステムは、乗客が地下交通システムに入出場する際に通ることのできる任意の数の駅を含むことができる。
【0031】
ユーザ102等の乗客は、駅302、304及び306のうちの任意の1つから入場し、地下交通システムを使用して、地点Aから地点Bまで移動することができる。ここで、例示の目的で、ユーザ102は、駅302を通じて地下交通システムに入場し、最終的に、駅306を通じて地下交通システムから出場して目的地106に到着することを想定する。また、地下交通システムを利用している間、追跡デバイス104は、その位置あるいは地理的位置に関する最新情報を得るために近くの携帯電話基地局及び/又はアクセスポイントと通信することができないものとする。追跡デバイス104と列車310に設けられている任意のアクセスポイントとのいかなる接続も、追跡デバイス104に対して位置更新情報を提供することができない。その理由は、こうしたアクセスポイントは列車310とともに移動し、したがって、2つの異なる場所におけるその報告される座標は、バックエンド(例えば、追跡デバイス104のサービス提供者に関連するサーバ)において位置更新情報を得るために使用されないためである。
【0032】
言い換えると、地下交通システムは、追跡デバイス104が近くの携帯電話基地局又は固定アクセスポイントから位置を受信することのできない、閉じられたエリアである。
【0033】
駅302を通じて地下交通システムに入場する直前で、ユーザ102に関連する追跡デバイス104は、追跡デバイス104が通信することができる、携帯電話基地局312のうちの対応する1つなどの、駅302の周囲のエリアに対してセルサービス範囲を提供する近くの携帯電話基地局、又は他の任意のタイプの固定アクセスポイント(例えば、WiFiアクセスポイント)、全地球測位システム(GPS)等と通信することによって、位置更新情報を得ることができる。
【0034】
駅302、304及び306に関連する携帯電話基地局312は、同じである場合もあれば同じでない場合もある。さらに、駅302、304及び306のうちの1つ以上に対してセルサービス範囲を提供する複数の携帯電話基地局が存在し得る。
【0035】
駅302内に入ると、追跡デバイス104を持ったユーザ102は、列車310に乗り込むことができる。1つの例では、駅302、304及び306のそれぞれが、それらに関連する固定アクセスポイントを有することができ、追跡デバイス104は、列車310に乗り込む前に、この固定アクセスポイントに接続して位置更新情報を得ることができる。これらのアクセスポイントは、図3に示すアクセスポイント314、316及び318である。また、駅302、304及び306のそれぞれは、それらに関連する2つ以上の固定アクセスポイントを有していてもよい。[1]
【0036】
列車310に乗り込み、列車310に乗って移動している間、信号受信可能性が低いか又はいかなる信号受信可能性もないため、追跡デバイス104は、いかなる携帯電話基地局又は固定アクセスポイントからも自己の位置に関するそれ以上の最新情報を得ることができない。さらに、列車310が、次の駅304で、何人かの乗客が列車310から降りるか又は列車310に乗り込むために短い時間停車する場合、追跡デバイス104が駅304において、位置更新情報を取得し続いてそれをサーバ112に送るために固定アクセスポイントとの接続を確立するまでの、十分な長さの時間がない可能性がある。
【0037】
その一方で、各駅で、新たな乗客が列車310に乗り込む場合、デバイス320などの、こうした新たに来た乗客に関連する追跡デバイスすなわちモバイルデバイスは、最新の位置情報を有している。その理由は、そうした乗客は、駅304に入場したばかりであり、入場する直前に、駅304を含む地理的エリアに対してセルサービスを提供する携帯電話基地局312のうちの対応する1つ等、任意の1つ以上の近くの携帯電話基地局、及び/又はアクセスポイント314、316及び318のうちの対応する1つ等の、任意の近くの固定アクセスポイントから、位置更新情報を受信しているからである。
【0038】
新たに来た乗客に関係する追跡デバイスあるいはモバイルデバイスにおいて利用できる正確な位置更新情報により、(位置更新情報を得るためにいかなる近くの携帯電話基地局又は固定アクセスポイントにもアクセスすることのできない)追跡デバイス104が、こうした新たに来た追跡デバイスあるいはモバイルデバイスから、任意の既知の又は今後開発される直接通信方法を使用して、それらの新たに到着した追跡デバイスあるいはモバイルデバイスのうちの任意の1つと直接的に通信セッションを確立することにより、ピアツーピア方式でそれ自体の位置更新情報を得ることができる。
【0039】
その後、任意の所与の駅に到着すると(こうした駅が、ユーザ102が地下交通システムから出場する予定の駅ではない場合であっても)、追跡デバイス104は、サーバ112への接続を確立して、(新たに着た追跡デバイスあるいはモバイルデバイスとのピアツーピア通信により得られた)その位置更新情報を報告することができる。この位置更新情報は、その後、サーバ112によって、店108に到着アラートを送信するタイミングを定めるために使うことができる。図4を参照して、ピアツーピアにより位置更新情報を得る方法について以下に説明する。
【0040】
図4は、本開示の1つの態様による、ピアツーピアで位置更新情報を取得する方法例である。図4を、図103を参照して、且つ追跡デバイス104の観点から説明する。しかしら、追跡デバイス104が、コンピュータ可読命令が記憶されている1つ以上のメモリと、1つ以上のメモリに記憶されたコンピュータ可読命令を実行して図4を参照して説明する機能を実施することができる1つ以上のプロセッサとを有することができることが理解されよう。
【0041】
S400において、駅302に入場する直前に、追跡デバイス104は、携帯電話基地局312等の近くの携帯電話基地局又は他の任意の近くの固定アクセスポイントから、位置更新情報(第1の位置更新情報)を受信することができる。S400はまた、追跡デバイスが駅302に入場した直後、及び、列車310に乗りこむ前(例えば、ユーザ102が列車310の到着を待っている間)にも行うことができ、そこでは、追跡デバイス104は、アクセスポイント314から第1の位置更新情報を取得することができる。
【0042】
S402において、追跡デバイス104は、サーバ112に第1の位置更新情報を送信する。サーバ112に第1の位置更新情報が送信されると、S404において、追跡デバイス104は、サーバ112に次の位置更新情報を送信するための、1つ以上のトリガ条件の組み合わせを受信する。こうしたトリガ条件の例としては、限定されないが、追跡デバイス104がサーバ112に次の位置更新情報を送信すべき、第1の位置更新情報が送信されてからの基準移動距離又は基準時間が挙げられる。例えば、サーバ112は、追跡デバイス104に対して、追跡デバイス104が最後に第1の位置更新情報を送信してから、追跡デバイス104が半マイル移動したか、又は5分経過した後に、サーバ112にその追跡デバイス104の次の位置更新情報を送信するように指示することができる。トリガ条件は、限定されないが、目的地に応じたプロファイル(その例については図5を参照して後述する)、追跡デバイス104の目的地106までの時間及び距離等を含む多くのファクタに応じて、サーバ112によって動的に定めることができる。
【0043】
別の例では、トリガ条件は、サーバ112から受信されない場合があり、代わりに、近くの携帯電話基地局又は近くの固定アクセスポイントから次の位置更新情報を受信するための(例えば、追跡デバイス104内部で設定された)期間とすることができる。例えば、S400において第1の位置更新情報を受信した後、追跡デバイス104は、近くの携帯電話基地局又は固定アクセスポイントから次の位置更新情報を受信するべく内部タイマを(例えば、実験及び/又は実証研究に基づいて動的に設定することができる時間で)設定することができる。こうしたタイマの一例は、30秒間、1分間、5分間、10分間等の時間とすることができる。この例では、S404においては、トリガ条件は、上述したように、サーバ112から受信されるのではなく追跡デバイス104によって設定される。
【0044】
S406において、追跡デバイス104は、トリガ条件が満されたか否かを判断する。言い換えれば、追跡デバイス104は、例としての上記内部タイマの満了の前に、又はサーバ112に第1の位置更新情報を送信した後、基準距離の移動若しくは基準時間が経過する前に、その次の位置更新情報を取得するために近くの携帯電話基地局又は固定アクセスポイントへの接続を確立することができるか否かを判断する。ここでは、基準となる距離又は時間は、S404にてサーバ112から受信したトリガ条件を構成する。
【0045】
S406において、追跡デバイス104が、トリガ条件が満たされない(追跡デバイス104が、内部タイマが満了する前に、又は代替的には、サーバ112から受信した(複数の)トリガ条件によって定められた基準となる距離若しくは時点の前に又はその基準となる距離若しくは時点で、次の位置更新情報を受信したことを意味する)場合、プロセスはS402に戻る。そして、追跡デバイス104は、サーバ112に次の位置更新情報を送信し、それに続き、S404においてサーバ112から次の(複数の)トリガ条件の組を受信する。その後、S406が繰り返される。
【0046】
これに対し、S406にて、追跡デバイス104が、トリガ条件が満たされた(追跡デバイス104が、内部タイマが満了する前に、又は代替的に、サーバ112から受信した(複数の)トリガ条件によって定められた基準となる距離若しくは時点の前に又はその基準となる距離若しくは時点で、その次の位置更新情報を受信しなかったことを意味する)場合、S408において、追跡デバイス104は、その内蔵されている(複数の)デバイス間通信コンポーネントを起動し、その近傍にある(例えば、100フィート、200フィート、500フィート、半マイル以内等、追跡デバイス104から基準距離内にある)他の追跡デバイスあるいはモバイルデバイスとのピアツーピア通信セッションを確立する。こうしたピアツーピア通信は、Bluetooth通信セッション、iBeacon(登録商標)通信セッション、又は他の任意の既知の若しくは今後開発される低消費電力(low energy, LE)の近接検知技術又は通信方式とすることができる。
【0047】
セキュリティの目的から、こうしたピアツーピア通信は、(列車310に乗りこむ前に近くの携帯電話基地局又は固定アクセスポイントから最新の位置更新情報を受信しているため正確な位置情報を有する)近くのデバイスの地理座標のみが、追跡デバイス104とこうした近くのデバイスのうちの任意のものとの間で交換されるように、制限するか又は暗号化することができる。例えば、ピアツーピア通信セッションで、こうした近くのデバイスに関連するユーザの個人情報を特定するか又は含んだ情報共有が共有される可能性はなく、同様に、追跡デバイス104に関連するユーザ102の識別情報が、こうした近くのデバイスと交換又は共有される可能性もない。
【0048】
さらに、1つの例では、ピアツーピア通信を通じて位置更新情報を探索する場合、追跡デバイス104は、(その最初のブロードキャストメッセージの一部として、又は、デバイス間通信を確立するための近くの追跡デバイス32との最初のハンドシェイクプロセスの一部として、)こうした近くのデバイス320に利用可能な位置更新情報のパラメータを定めることができる。例えば、追跡デバイス104は、直近の30秒間、1分間、2分間、5分間、10分間等にわたって位置更新情報を受信することのみを対象とすると定めることができる。こうした条件を近くのデバイス320が満たさない場合、追跡デバイス104とこうした近くのデバイス320との間でデバイス間通信が確立されない。
【0049】
S410において、追跡デバイス104は、デバイス間通信により、1つ以上の近くのデバイス320から次の位置更新情報(第2の位置更新情報)を取得する。1つの例では、追跡デバイス104は、近くのデバイス320に対し、位置更新情報を要求する信号のブロードキャストを(例えば、Bluetoothを介して)始める。それに応じて、近くのデバイス320のうちの任意の1つが、ブロードキャストされた信号を受信し、こうした近くのデバイスが利用可能な位置更新情報を有するものとすると、追跡デバイス104との近距離通信セッションを(例えば、Bluetooth等、任意の既知の又は今後開発される無線通信方法により)確立し、その近くのデバイスが有する位置更新情報を追跡デバイス104に提供する。
【0050】
S412において、追跡デバイス104は、サーバ112への接続を確立することができるか否かを判断する。例えば、追跡デバイス104は、列車310が駅302と駅304との間で動いている間、近くのデバイス320からその第2の位置を取得する可能性がある。追跡デバイス104は、サーバ112への接続を確立しようと継続的に試みようとする。駅304にて、追跡デバイス104は、例えばアクセスポイント316を通じて、サーバ112への接続を確立することができる。
【0051】
S412にてサーバ112への接続を確立することができた場合、S414において、追跡デバイス104は、サーバ112へ次の(第2の)位置更新情報を送信あるいは伝送する。サーバ112への接続を確立することができなかった場合、プロセスはS410に戻り、サーバ112は、S410及びS412を繰り返し、それにより、追跡デバイス104は、追跡デバイス104がその最新の位置情報をサーバ112に送信するためにサーバ112と通信セッションを確立することができるまで、近くの(複数の)追跡デバイス320から位置更新情報を受信し続ける。
【0052】
追跡デバイス104から向上した位置更新情報を受信することに加えて、図4の方法によれば、サーバ112は、目的地106に提供される到着アラートの精度を更に向上させる様々な技術を実施する。例えば、サーバ112は、目的地106に対する(複数の)目的地別モデルを作成するために、様々な統計的データに対して機械学習を適用する。様々な統計的データとしては、限定されないが、過去に行われたユーザの目的地106への移動、過去に行われたユーザ102の移動、交通状況、交通手段、ユーザ102(及び/又は図2の運転手206)に関連する移動体のタイプ、天候状況、時刻、目的地106までの途中において又は目的地106にて起きる事象、移動体の速度、任意の建設工事、通行止め及び道路整備等を挙げることができる。統計的データはデータベース118に記憶することができる。
【0053】
例えば、或る特定の、オンライン上ではない実際の店舗が、交通状況が時刻に応じて大きく変わる繁華街のエリアに位置する場合がある。サーバ112は、この情報を考慮し、繁華街のエリアに位置する実店舗に対する目的地別モデルを作成する。この実店舗のある繁華街の場所へのユーザ102の到着の予測において、時刻に応じ、サーバ112は、対応する目的地別モデルを用いて、その予測を高め、その到着予測を改善することができる。
【0054】
図5に、本開示の1つの態様による目的地別モデルを作成する方法例を示す。図1を参照して図5について説明する。しかし、示す概念は、図2のシステムにも同様に適用することができる。図3に示す方法は、(複数の)注文品を受け取るための目的地106へのユーザ102の到着予測に関する1つ以上の通知が、目的地のコンピューティングデバイス110に提供された(又は、目的地106までの1回以上の移動がなされた)後に開始する。サーバ112は、データの集合体をデータベース118に記憶することができる。データは、上述の、提供されている統計的データの例のうちの任意の1つ以上とすることができる。さらに、サーバ112は、過去の通知の質及び過去の通知の識別子に関する情報を記憶することができる。例えば、サーバ112は、ユーザ102が8分後に到着するということを示す到着アラートを目的地106に提供する度に、この推定到着時間を、ユーザ102が目的地106に到着するのにかかった実際の時間と比較する。例えば、サーバ112が、時刻T0において、ユーザ102が目的地106に8分後に到着するであろうと予測したが、実際には、ユーザ102が目的地106に到着するのにかかる時間はT0から6分である可能性がある。これは、予測誤差が25%であるということを示す。サーバ112は、この予測誤差をデータベース118に記憶する。次回、予測を行って到着アラートを提供する際に、サーバ112は、到着アラートを提供する前にその予測を25%調整する(例えば、上述した特定の例では、サーバ112は、T0で到着アラートを提供するのではなく、今回はT0より2分早いT1にて到着アラートを提供する)。
【0055】
S502において、サーバ112は、最近提供した到着アラートの質を評価するために目的地106のコンピューティングデバイス110に対して問合せを行う。目的地のコンピューティングデバイス110を操作している担当者108は、この問合せに応答することができる。サーバ112は、この応答を受信すると、S506において評価を記憶する。評価についてコンピューティングデバイス110に問い合わせることに加え、問合せと同時に、又は問合せの代わりに、S504において、サーバ112は、上述したように、到着アラートに関する評価又は予測誤差を計算することができる。同様に、計算された評価はS506にて受信される。
【0056】
S508において、サーバ112は、S502及びS504につき、受信した(複数の)評価を、通知の識別情報(ID)に関連付けてデータベース118に記録することができる。このIDは、ユーザ102と目的地106の業者との間の特定の取引の識別情報とすることができるか、ユーザ102に関連する識別情報とすることができるか、目的地106に関連する識別情報とすることができるか、又はそれらの任意の組合せとすることができる。
【0057】
サーバ112は、最近なされた目的地106までの移動に関連してユーザ102が取った(図3に示した地下交通システムなどの)経路に関する情報と、通知をもたらした移動に関係する他の任意のデータとをデータベース118に記憶することもできる。ユーザ102が取った経路は、ユーザ102及び関連するコンピューティングデバイス104が目的地106まで移動する間に位置サービス105によりサーバ112へ報告されたデータから学習することができる。いくつかの例では、この経路情報から、サーバ112は、ユーザ102が目的地106へ行くまでの間に、何らかの立寄りを行ったかどうかを判定することができる。サーバ112は、通知に関する時刻、曜日及び日付もデータベース118に記録することもできる。サーバ112は、多くのユーザによる移動について上記データを集めることができる。
【0058】
S510において、サーバ112は、データベース118に記憶されている目的地106に応じた履歴データに対して(複数の)機械学習アルゴリズムを適用する。S512において、サーバ112は、記憶されたデータに対してS510にて適用した(複数の)機械学習アルゴリズムに基づいて、目的地106に対する目的地別モデルを生成する。1つの例では、質が優れているとみなされた通知に関連するファクタと、質が不十分とみなされた通知に関連するファクタとを分析することにより、目的地別モデルを作成し又はトレーニングすることができる。目的地別モデルは機械学習を通じて生成されるため、目的地別モデルのいくつかの特徴は、セマンティックな意味を有しない場合がある一方で、いくつかの特徴はセマンティックな重要性を有する場合がある。例えば、セマンティックな意味を有する特徴としては、ユーザが経路に沿って別の立寄りを行う可能性、ユーザが経路に沿って渋滞に遭遇する可能性、目的地への最も可能性の高い経路等を挙げることができる。
【0059】
いくつかの例では、機械学習を、目的地に関わらずデータベース118内の全てのデータに対して最初にトレーニングして、位置に基づかないモデルを得ることができる。こうした例では、目的地別モデルは、位置に基づかないモデルを、目的地106に関連するファクタについて調整した結果とすることができる。
【0060】
これまでの説明から分かるように、サーバ112は、ユーザ102及び関連する追跡デバイス104の目的地106への到着時刻を可能な限り正確に特定あるいは推定できるように、一連の詳細な計算を行う。サーバ112は、追跡デバイス104から位置更新情報を受信する度に、こうしたプロセスを実行する。このプロセスは、少なくとも、天候状況及び交通状況など、目的地106への到着時刻に影響を及ぼすファクタを取り込むための外部データベースとの通信セッションの確立とともに、到着時刻を予測するための詳細な演算の実行及びアルゴリズムの実行を含む。
【0061】
一例として、追跡デバイス104が、目的地106まで1時間の場所に位置し、現在、毎分、位置更新情報を送信するように設定されているとすると、これにより、サーバ112は、上述した計算集約的なプロセスをおよそ60回実行しなければならないことになる。
【0062】
一定間隔で(例えば、毎分)、位置を特定する処理を実施することはできるが、さほど計算集約的ではない位置特定プロセスを実施する間隔を、(動的に)調整するという可能性もある。これは、スマート位置特定処理と呼ぶことができる。
【0063】
追跡デバイス104の位置を特定する精度は、到着アラートが目的地106に送信されるべき時刻に追跡デバイスが近づくにつれ重要となるとすれば、こうした計算集約的なプロセスは、目的地106まで1時間又は30分のところでは実行する必要がない。例えば、到着アラートが、ユーザ102の到着まで8分のところで目的地106のコンピューティングデバイス110に送信されることになっている場合、追跡デバイス104の正確な位置の特定は、追跡デバイス104が11分の地点を通過した(目的地106まで11分のところにいた)後は重要であるが、追跡デバイス104が目的地106まで20分のところにいるとき、又は到着アラートが送信された(例えば、目的地106まで3分のところにいた)後は、さほど重要ではない。
【0064】
追跡アプリケーションに用いる概念を、等時線(isochrone)と呼ぶ。等時線は、典型的には、特定の位置(例えば、目的地106)の周りに作成される輪郭である。各等時線は、位置に関連するおおよその時間を有し、それは、目的地106までの残り時間を示す。当然ながら、目的地106に近づくにつれ、等時線は大きさが小さくなり、目的地106までの残り時間がより短くなることを示す一方で、目的地から離れるにつれ、等時線は大きくなり、残り時間がより長いことを示す。
【0065】
図6に、本開示の一態様による追跡デバイスの目的地への到着のタイミングを推定する際に用いられる等時線の一例を示す。図6の例は、目的地106の周囲にある15本の等時線を示す。説明及び例示を容易にするために、各等時線に対し、目的地106までの推定残り時間に対応するように数字を付している。例えば、追跡デバイスが等時線12に、又はその内側にいる場合、ユーザ102が目的地106に到着するまで、おおよそ12分残っている。
【0066】
等時線の概念は、本開示では、到着通知が目的地106に提供されるべき時刻に比較的近いいくつかの等時線が選択され目的地106の付近に「ドーナツ」又は「ゾーン」が形成されるように、利用される。
【0067】
一例として、担当者108に対して、ユーザ102の到着まで正確にあと8分(到着基準の一例)のところで通知がなされるべきであるとする。この例では、等時線6から等時線10までのドーナツを定めることができる。このドーナツあるいはゾーンを、図6において影付きエリア602として示す。したがって、この例では、等時線6~10による下位群(サブグループ)は、8分地点の到着基準の周りに時間窓(目的地106まで10分から6分)を形成する。
【0068】
以下に、サーバ112が、追跡デバイス104が目的地106に近づくにつれ、追跡デバイス104が等時線10の境界を通過して(境界に入って)から、等時線6の境界を通過する(境界から出る)までの、追跡デバイス104の正確な位置を特定する、詳細且つ計算集約的なプロセスを実施する例について説明する。この計算集約的なプロセスは、内部のデータベース118に記憶されている(例えば、過去の移動に対応するデータ)か、又は、公的な若しくは民間の天気データベース及び交通データベース等の外部データ源から取り込むかに関わらず、サーバ112が全ての関連するファクタを取り込むプロセスとして定めることができる。
【0069】
しかし、定められたドーナツの外側にて追跡デバイス104から位置更新情報を受信すると、サーバ112は、追跡デバイスの位置と目的地106までの残り時間との大まかな推定値を求める最小限の計算を行う。追跡デバイス104の位置の大まかな推定値を得る最小限の計算の実行は、限定はされないが、サーバ112に記憶されている履歴データ、交通状況、天候状況、時刻等を含む、目的地106までの残り時間に影響を及ぼす他のファクタを考慮せずに、追跡デバイス104の現在の位置と追跡デバイス104の目的地106までの距離とに基づくものと考えることができる。
【0070】
以下、このプロセスを、サーバ112が、追跡デバイス104が定められたドーナツの範囲内にあるか否かに応じて、追跡デバイス104の正確な位置、したがって目的地106までの残り時間を求めるために、計算集約的なプロセスを合理的かつ選択的に適用する、スマート位置特定と呼ぶ。
【0071】
図7に、本開示の一態様によるスマート位置特定を実施する方法の例を示す。図7の方法は、サーバ112の観点から、且つ図1を参照して説明する。しかし、図7の方法は、図2のシステムに等しく適用可能である。さらに、当業者であれば、サーバ112のプロセッサ114等の1つ以上のプロセッサが、メモリ116等の1つ以上のメモリに記憶されたコンピュータ可読命令を実行して、後述する機能を実施できることは明らかである。
【0072】
S700において、サーバ112は、追跡デバイス104から位置更新情報を受信する。位置更新情報は、全地球測位システム(GPS)信号の形態で提供することができる。この信号は、追跡デバイス104から、近くの携帯電話基地局へ、そしてその後(例えば、ネットワークへのセルラネットワークバックエンドゲートウェイを通じて)サーバ112に対して、あるいは、追跡デバイス104がWiFi接続で通信しているときは接続された近くのアクセスポイントへ送信される。
【0073】
1つの例では、追跡デバイス104は、図4を参照しながら述べたように、ピアツーピアの位置更新方法によりサーバ112に送信されるべき位置更新情報を割り出す。
【0074】
S702において、サーバ112は、目的地106付近のゾーン(ドーナツ)の詳細を、自動的に定めるか、あるいは受け付ける。サーバ112は、目的地106に関連する、場所に応じたモデル、地理的状況に対応する様々な履歴及びライブデータ、目的地106の周辺の交通状況及び天候状況等に基づいて、ゾーンを自動的に特定あるいは定めることができる。
【0075】
ゾーン602等のゾーンは、上述したように、追跡デバイス014に関連するユーザ102の来るべき到着についての到着アラートが目的地106に提供されるべき到着基準に対応する等時線の周りにある等時線のサブグループとして定めることができる。この等時線のサブグループは、到着基準(例えば、上述した例としての8分地点から+2分あるいは-2分)の周りに時間窓を定めることができる。時間窓のサイズは、実験及び/又は実証研究に基づいて定めることのできる設定可能なパラメータとすることができる。
【0076】
S700にて位置更新情報を受信し、S704にてゾーンの詳細を受信したのち、サーバ112は、位置更新情報を受信した時点で追跡デバイス104が位置する現在の等時線を特定する。等時線は、S500にて受信した追跡デバイス104の位置更新情報の、目的地106の周りに定められた等時線の地図あるいはデータベースとの比較に基づいて特定される(サーバ112は、利用可能な目的地106の等時線地図を有するものとする。)。
【0077】
その後、S706において、サーバ112は、S704にて特定された現在の等時線が、S702にて定められたゾーン内にあるかどうかを判定する。
【0078】
特定された等時線がゾーン内にある場合、S708において、サーバ112は、追跡デバイス104の位置と目的地106までの残り時間とを可能な限り正確に特定する詳細な(且つ計算集約的な)プロセス(第1のプロセス)を実行する。そこでは、こうしたプロセスは、S700において受信された追跡デバイス104の最新の位置だけではなく、ユーザ(及び対応する追跡デバイス104)が目的地に向かって移動している経路あるいは進路における現在の交通状況、(経路における、又は経路に地理的に近い範囲内の)現在の天候状況、追跡デバイス104が目的地106に着くまでに取る現在の経路に関連する具体的な状況等、1つ以上の外部データ源から取り込まれる様々な他のファクタとともに、データベース118に記憶された過去の移動データに基づいてサーバ112によって構築され、かつサーバに記憶された目的地別モデル等も考慮する。一例では、追跡デバイス104の位置のこうした正確かつ詳細な計算により、サーバ112は、目的地106に対し、より正確な到着アラートを提供することができる。
【0079】
その後、S710において、サーバ112は、目的地106に対し、到着アラートを提供すべきか否かを判断する。この判断は、特定された追跡デバイスの位置と関連する残り時間が、到着アラートが目的地106に提供されるべき到着基準と合致するかどうかに基づく。上記の例において、この判断は、追跡デバイス104の現在の位置が、サーバ112が到着アラートを提供することにより目的地106に通知をすべきものとして追跡デバイス104及びユーザ102が目的地106まで8分(到着基準の例)の地点にいることを示すかどうかを判断することである。
【0080】
サーバ112がS710にて、到着アラートを提供すべきと判断した場合、S712において、任意の既知の又は今後開発される通信方式を使用して、到着アラートを目的地106に(例えば、目的地106に関連するコンピューティングデバイス110に)送る。
【0081】
これに対し、S710にてサーバ112が到着アラートを提供すべきではないと判断した場合、プロセスはS706に戻り、S706、S708、S710、S712及びS714が、適切かつ適宜に繰り返される。
【0082】
再びS706を参照すると、特定された等時線がS702にて定められたゾーンの外側にある場合、S714において、サーバ112は、例えば、(例えば、追跡デバイス104による、図4のピアツーピアの位置更新方法に基づいて特定されサーバ112に送られた)追跡デバイス104の現在の位置及び追跡デバイス104の目的地106までの距離のみを用いて、追跡デバイスの位置のおおよその推定結果のみを求める(第2のプロセス)。その後、プロセスはS700に戻ることができる。
【0083】
図8に、本開示の1つの態様に従って本技術を実施するシステムの一例を示す。図8のシステム例を使用し、限定されるわけではないが、追跡デバイス104、任意の近くの携帯電話基地局312、任意のアクセスポイント314、316又は318、サーバ112等を含む、図1図6を参照して述べたネットワークコンポーネントのうちの任意の1つを実施することができる。
【0084】
図8に、システムのコンポーネントが接続部805を用いて互いに通信するコンピューティングシステム800を示す。接続部805は、バスを介した物理接続とすることもできるし、チップセットアーキテクチャ等におけるプロセッサ810内への直接接続とすることもできる。接続部805は、仮想接続、ネットワーク接続、又は論理接続とすることもできる。
【0085】
いくつかの例では、コンピューティングシステム800は、本開示において説明した機能を、1つのデータセンタ、複数のデータセンタ、ピアネットワーク等内に分散させることができる分散システムである。いくつかの実施形態では、説明したシステムコンポーネントのうちの1つ以上は、多くのそのようなコンポーネントを表し、各コンポーネントは、そのコンポーネントが説明されている機能の一部又は全てを実行する。いくつかの実施形態では、コンポーネントは、物理デバイス又は仮想デバイスとすることができる。
【0086】
例示のシステム800は、少なくとも1つの処理ユニット(CPU又はプロセッサ)810と、リードオンリメモリ(ROM)及びランダムアクセスメモリ(RAM)等のシステムメモリ815を含む様々なシステムコンポーネントをプロセッサ810に接続する接続部805とを備える。コンピューティングシステム800は、高速メモリキャッシュ812を備えることができる。このキャッシュは、プロセッサ810と直接接続されているか、プロセッサ810に近接して配置されているか、又はプロセッサ810の一部として統合されている。
【0087】
プロセッサ810は、任意の汎用プロセッサと、プロセッサ810を制御するように構成され、記憶デバイス830に記憶されたサービス832、834、及び836等のハードウェアサービス又はソフトウェアサービスとを含むことができ、加えて、ソフトウェア命令が実際のプロセッサ設計内に組み込まれた専用プロセッサを含むこともできる。プロセッサ810は、本質的に、複数のコア又はプロセッサ、バス、メモリコントローラ、キャッシュ等を収容する完全自立型のコンピューティングシステムとすることができる。マルチコアプロセッサは、対称型又は非対称型とすることができる。
【0088】
ユーザとのインタラクションを可能にするため、コンピューティングシステム800は、入力デバイス845を備える。この入力デバイスは、音声用のマイクロフォン、ジェスチャ入力又はグラフィカル入力用のタッチ画面、キーボード、マウス、モーション入力、音声等の任意の数の入力メカニズムを表すことができる。コンピューティングシステム800は、出力デバイス835も備えることができる。この出力デバイスは、当業者に既知の複数の出力メカニズムのうちの1つ以上とすることができる。いくつかの場合には、マルチモードシステムは、ユーザが、コンピューティングシステム800と通信する複数のタイプの入出力を提供することを可能にすることができる。コンピューティングシステム800は、一般にユーザ入力及びシステム出力を制御及び管理することができる通信インタフェース840を備えることができる。特定のハードウェア構成上で動作することに対する制限はなく、したがって、ここでの基本的な特徴は、展開されているような改良されたハードウェア構成又はファームウェア構成に容易に取り替えることができる。
【0089】
記憶デバイス830は、不揮発性メモリデバイスとすることができ、ハードディスク、又は、コンピュータによってアクセス可能なデータを記憶することができる他のタイプのコンピュータ可読媒体とすることができる。このコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気カセット、フラッシュメモリカード、固体メモリデバイス、デジタル多用途ディスク、カートリッジ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、及び/又はこれらのデバイスの或る組み合わせである。
【0090】
記憶デバイス830は、ソフトウェアサービス、サーバ、サービス等を含むことができ、これらは、そのようなソフトウェアを規定するコードがプロセッサ810によって実行されると、システムに機能を実行させるものである。いくつかの実施形態では、特定の機能を実行するハードウェアサービスは、この機能を実行するプロセッサ810、接続部805、出力デバイス835等の必要なハードウェアコンポーネントに関連してコンピュータ可読媒体に記憶されたソフトウェアコンポーネントを含むことができる。
【0091】
説明を理解しやすくするために、いくつかの場合には、本技術は、デバイス、デバイスコンポーネント、ソフトウェアで具現化される方法におけるステップ若しくはルーチン、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを備えた機能ブロックを含む個別の機能ブロックを含むものとして提示される場合がある。
【0092】
本明細書において説明したステップ、動作、機能、又はプロセスのいずれも、ハードウェアサービス及びソフトウェアサービス又はサービスの組み合わせによって、単独で、又は他のデバイスとの組み合わせによって実行又は実施することができる。いくつかの実施形態では、サービスは、コンテンツ管理システムのクライアントデバイス及び/又は1つ以上のサーバのメモリに存在するソフトウェアとすることができ、プロセッサがこのサービスに関連付けられたこのソフトウェアを実行すると、1つ以上の機能を実行することができる。いくつかの実施形態では、サービスは、特定の機能を実行するプログラム又はプログラムの集合体である。いくつかの実施形態では、サービスはサーバとみなすことができる。メモリは非一時的なコンピュータ可読媒体とすることができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、コンピュータ可読記憶デバイス、媒体及びメモリは、ケーブル、又はビットストリーム等を含む無線信号を含むことができる。しかし、言及される場合、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、エネルギー、キャリア信号、電磁波、及び信号それ自体等の媒体を、明示的に除外する。
【0094】
上述の例による方法は、コンピュータ可読媒体に記憶された、又は別の方法でコンピュータ可読媒体から利用可能な、コンピュータ実行可能命令を使用して実施することができる。そのような命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は専用処理デバイスに、或る特定の機能又は機能のグループを実行させるか、又は別の方法で或る特定の機能又は機能のグループを実行するように汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は専用処理デバイスを構成する、命令及びデータを含むことができる。使用されるコンピュータリソースの一部は、ネットワークを介してアクセス可能であってもよい。コンピュータ実行可能命令は、例えば、バイナリ、アセンブリ言語等の中間フォーマットの命令、ファームウェア、又はソースコードであってよい。命令、使用される情報、及び/又は説明された例による方法の実行中に作成された情報を記憶するために使用することができるコンピュータ可読媒体の例には、磁気又は光学ディスク、固体メモリデバイス、フラッシュメモリ、不揮発性メモリが設けられたUSBデバイス、ネットワーク接続型記憶デバイス等が含まれる。
【0095】
これらの開示による方法を実施するデバイスは、ハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアを備えることができるとともに、種々のフォームファクタのいずれかを取ることができる。そのようなフォームファクタの典型例には、サーバ、ラップトップ、スマートフォン、スモールフォームファクタパーソナルコンピュータ、携帯情報端末等が含まれる。本明細書で説明された機能は、周辺機器又はアドインカードにおいて具現化することもできる。そのような機能は、更なる例として、単一のデバイスで達成する異なるチップ間又は異なるプロセス間の回路ボード上で実施することもできる。
【0096】
命令、そのような命令を搬送する媒体、それらを実行するコンピューティングリソース、及びそのようなコンピューティングリソースをサポートする他の構造は、これらの開示において説明された機能を提供する手段である。
【0097】
添付の特許請求の範囲に含まれる態様を説明するために種々の例及び他の情報を用いたが、当業者であれば多種多様な実施態様を導くためにこれらの例を使用できるため、そのような例における特定の特徴又は構成に基づいて特許請求の範囲が限定されるべきではない。さらに、構造的な特徴及び/又は方法のステップの例に応じた表現でいくつかの主題が説明されている場合があるが、添付の特許請求の範囲に規定された主題は、それらの説明された特徴又は動作に必ずしも限定されないことが理解される。例えば、そのような機能は、別々に分散されてもよいし、本明細書で特定したコンポーネントとは別のコンポーネントで実行されてもよい。むしろ、上述の特徴及びステップは、添付の特許請求の範囲に含まれるシステム及び方法のコンポーネントの例として示したものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8