(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】歯科治療電気器具
(51)【国際特許分類】
A46B 13/04 20060101AFI20221209BHJP
A61C 17/02 20060101ALI20221209BHJP
A61C 17/22 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
A46B13/04
A61C17/02 B
A61C17/02 H
A61C17/22 F
(21)【出願番号】P 2020570062
(86)(22)【出願日】2019-04-23
(86)【国際出願番号】 GB2019051129
(87)【国際公開番号】W WO2019243764
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-12-15
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス ピーター ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】カーライル トーマス アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント クリストファー グラハム
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0266396(US,A1)
【文献】特開2016-214844(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0028296(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 13/04
A61C 17/02
A61C 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯清掃電気器具であって、
ハンドルと、
作動流体を貯蔵する流体リザーバと、
作動流体を前記流体リザーバから受入れて作動流体をユーザの口腔に送出する流体送出システムと、
ブラシユニットと、
駆動ユニットと、を含み、
前記ブラシユニットは、毛支持部と、前記毛支持部に取り付けられた複数の毛を含み、
前記駆動ユニットは、
前記毛支持部をハンドルに対して移動させるように駆動し、モータを有し、
前記ハンドルは、歯清掃電気器具の使用中にユーザが把持するグリップ部分と、前記ブラシユニットに近接した端部分を含み、
前記端部分が前記モータの少なくとも前記毛支持部寄りの端部を収容し、
前記流体リザーバは、前記端部分の周りに延びる、
歯清掃電気器具。
【請求項2】
前記
端部分は、前記ハンドルのグリップ部分よりも小さい断面を有する、請求項1
に記載の歯清掃電気器具。
【請求項3】
更に、前記ブラシユニットと前記ハンドルの間を延びるステムを含み、
前記駆動ユニットは、前記ステムを前記ハンドルに対して移動させるように構成される、請求項1
又は2に記載の歯清掃電気器具。
【請求項4】
更に、前記ステムが取付けられる伝達ユニットを含み、
前記流体リザーバの外壁の一部分は、前記伝達ユニットが貫通する孔を構成する、請求項
3に記載の歯清掃電気器具。
【請求項5】
前記流体リザーバの外壁は、実質的に球形又は回転楕円形の曲率を有する、請求項
4に記載の歯清掃電気器具。
【請求項6】
前記伝達ユニットは、前記流体送出システムの一部を収容する、請求項
4又は
5に記載の歯清掃電気器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療電気器具に関する。治療電気器具は、好ましくは、手持ち式治療電気器具であり、好ましくは、表面治療電気器具である。本発明の好ましい実施形態では、治療電気器具は、歯科治療電気器具である。好ましい実施形態では、治療電気器具は、流体をユーザの口腔に送出する流体送出システムを有する電気歯ブラシである。この流体は、練り歯磨き粉であってもよいし、改善された隣接歯間清掃のための流体であってもよい。変形例として、治療電気器具は、歯をブラッシングする毛やその他の要素を含んでいなくてもよいし、隣接歯間専用の治療電気器具の形態をなしていてもよい。
【背景技術】
【0002】
電気歯ブラシは、一般的には、ハンドルに連結されたツールを含む。ツールは、ステムと、歯をブラッシングする毛を支持するブラシヘッドを含む。ブラシヘッドは、ステムに連結される静的な部分と、静的な部分に対して移動可能である少なくとも1つの移動可能部分を含み、移動可能部分は、それに取付けられる毛にブラシ運動を付与するために、例えば、往復運動、振動、枢動又は回転運動のうちの1つを有する。ステムは、ハンドル内の伝達ユニットと結合された駆動シャフトを収容する。伝達ユニットは、ハンドル内に収容されたバッテリによって駆動されるモータに連結される。駆動シャフト及び伝達ユニットは、モータの回転又は振動運動を、ブラシヘッドの静的な部分に対するブラシヘッドの移動可能部分の所望の運動に変換する。
【0003】
隣接歯間清掃のための作動流体の噴流を発生させる流体送出システムを電気歯ブラシに組込むことが知られている。例えば、特許文献1は、ハンドル及びブラシヘッドを有する歯ブラシを記載し、ブラシヘッドは、作動流体をユーザの口腔に配送するノズルを含む。電気器具をユーザの歯に沿って移動させるとき、ノズルは、ハンドルに対して移動可能である。歯ブラシは、異なる2つのモードのうちの選択された1つで作動可能である。第1のモードでは、ユーザは、ボタンを押下げ、ノズルからの作動流体の配送を作動させる。第2のモードでは、制御回路は、ハンドルに対するノズルの移動、例えば、ノズルがユーザの歯の隣接歯間隙間の中への移動又はその外への移動を検出するセンサから受信した信号に応じて、ノズルへの作動流体の配送を自動的に作動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
歯ブラシは、流体リザーバを含み、流体リザーバは、ハンドルとブラシヘッドの間を延びるステムの周りを包囲する。流体リザーバは、流体送出システムに接続可能な流体ポートを含み、ハンドルは、作動流体が流体リザーバから漏れることを阻止するように流体ポートを包囲するシールを含む。流体リザーバは、流体リザーバを補充することを可能にするために流体ポートを露出させるようにステムの周りを回転可能である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の側面では、本発明は、歯清掃電気器具を提供し、かかる歯清掃電気器具は、ハンドルと、作動流体を貯蔵する流体リザーバと、作動流体を流体リザーバから受入れて作動流体をユーザの口腔に送出する流体送出システムと、を含み、流体リザーバは、流体ポートを含み、流体ポートが流体送出システムに接続される第1の位置と、流体ポートが流体リザーバの補充のために露出される第2の位置の間をハンドルに沿って移動可能である。
【0007】
特許文献1に開示された電気器具と比較すると、本発明の第1の側面は、流体リザーバが第1の位置にあるときに流体リザーバに係合して作動流体が流体リザーバから漏れることを阻止するシールの寿命を、ハンドルに対する流体リザーバの運動の変化によって増大させることができる。流体リザーバを第1の位置と流体ポートを露出させる第2の位置との間でハンドルの長さに沿って移動させることによって、流体リザーバをステムの周りに回転させることとは対照的に、シールの摩耗を減少させることができる。
【0008】
流体リザーバは、第1の位置と第2の位置の中間の多数の異なる位置の1つに自由に移動してもよい。変形例として、流体リザーバは、ハンドルに対する位置に応じて、第1の位置又は第2の位置の何れかに向かって付勢されてもよい。例えば、電気器具は、流体リザーバを第1の位置又は第2の位置に向かって付勢するばね機構、例えば、オーバーセンター機構を有していてもよいし、ハンドルに対する現在の位置に応じて流体リザーバを第1の位置又は第2の位置に向かって引きつける磁石構成を有していてもよい。流体リザーバは、好ましくは、ハンドルに沿って摺動可能である。
【0009】
流体リザーバの容量を最大にするために、及び、電気器具の長手方向軸線周りの重量配分を比較的均一にするために、流体リザーバは、好ましくは、ハンドルの少なくとも一部の周りを延びる。好ましい実施形態では、流体リザーバは、ハンドルを包囲する。流体リザーバは、好ましくは、環状の形状を有する。
【0010】
流体送出システムは、好ましくは、作動流体をユーザの口腔に配送するためのノズルを含む。流体送出システムは、好ましくは、更に、ポンプとコントローラを含み、コントローラは、作動流体を流体リザーバから引いて作動流体をノズルに向かって配送するようにポンプを作動させる。ノズルをユーザの隣接した歯の間に移動させるとき、ユーザが、ハンドルに設けられたユーザインタフェースのボタンを押下げると、ポンプを作動させて、作動流体をノズルから放出させる。変形例として、電気器具は、ユーザの口腔への作動流体の配送を、例えば0.5~5Hzの固定された周波数で自動的に行うように構成されてもよい。コントローラは、好ましくは、作動流体の噴流をノズルに向かって放出するようにポンプを作動させるように構成される。流体送出システムによって発生させる作動流体の噴流の各々の容積は、好ましくは、1mlよりも少なく、更に好ましくは、0.5mlよりも少ない。好ましい実施形態では、流体送出システムによって発生させる作動流体の噴流の容積は、0.1~0.4mlの範囲内にある。流体送出システムは、好ましくは、作動流体の噴流をノズルに3~10バール(300~1000kPa)の範囲内の静圧で送出するように構成される。
【0011】
ハンドルは、好ましくは、多数のセクション又は部分を含み、多数のセクションは、好ましくは、互いに一体である。ハンドルは、好ましくは、保持し又は把持する第1のセクション、即ち、「グリップ部分」を含む。グリップ部分は、好ましくは、電気器具の使用中にユーザが係わるユーザインタフェースを含み、例えば、ユーザインタフェースにより、流体送出システムからの作動流体の配送を行う。ハンドルは、好ましくは、更に、グリップ部分から間隔をあけた第2のセクションを含み、流体リザーバがハンドルに対して第2のセクションに沿って移動する。ハンドルの第2のセクションは、好ましくは、ハンドルの端部、好ましくは、ハンドルのうちのノズルに最も近い端部の近くに配置され、ハンドルの端部セクション又は端部分とも称される。端部セクションは、好ましくは、ハンドルのうちしノズルに最も近い端部を少なくとも部分的に構成する。流体リザーバは、それが第1の位置にあるとき、好ましくは、ハンドルの端部セクションを包囲するので、それを電気器具のユーザは見ることができない。
【0012】
ハンドルの端部セクションは、好ましくは、ハンドルの長手方向軸線に対して垂直な平面内の断面を有し、かかる断面は、ハンドルのグリップ部分の断面よりも小さい。このことにより、流体リザーバが第1の位置にあるときに電気器具が比較的一様な外観を有することを可能にし、例えば、流体リザーバの外径は、ハンドルのグリップ部分の外径と同じである。変形例として又はそれに加えて、このことはまた、流体リザーバの容量が固定されている場合、流体リザーバの幅を最小にすることを可能にする。
【0013】
電気器具は、好ましくは、流体リザーバが第1の位置と第2の位置の間を移動するときに流体リザーバの回転を阻止する手段を含む。これにより、流体ポートが第1の位置と第2の位置の間を移動するときに流体ポートが流体送出システムの流体入口と角度方向に整列したままであることを確保する。例えば、流体リザーバは、ハンドルの端部セクションに形成され且つ軸線方向に整列したスロット又は溝に沿って移動する。好ましい実施形態では、ハンドルの端部セクションは、管状の外面を含み、流体リザーバは、流体リザーバが第1の位置にあるときにハンドルの端部セクションの外面を包囲する管状の内面を含む。ハンドルの端部セクションの管状の外面の形状は、好ましくは、流体リザーバの管状の内面の形状と実質的に同じであり、かかる形状は、好ましくは、ハンドルの長手方向軸線に対して垂直な平面において非円形である。好ましい実施形態では、端部セクションの外面は、かかる平面において不規則な形状、即ち、2つの対向する平行な面と2つの対向する湾曲面を含み、「競技トラック」形状を構成する。しかしながら、外面は、矩形又は異径多角形等の任意所望の形状を有していてもよく、かかる形状は、それと流体リザーバの内面が一致するとき、ハンドルに対する流体リザーバの回転を阻止する。
【0014】
ハンドルは、好ましくは、第1の位置にあるときの流体リザーバを受入れる座部を含む。座部は、好ましくは、流体送出システムの流体入口を含み、流体入口は、第1の位置にあるときの流体リザーバから流体を受入れる。好ましい実施形態では、流体リザーバの流体ポートは、座部に面する流体リザーバのベースに配置される。座部は、好ましくは、グリップ部分とハンドルの端部セクションの間に配置され、好ましくはハンドルの長手方向軸線に対して垂直に配列される。座部と流体リザーバのベースの各々は、好ましくは、環状の形状を有する。座部及び流体リザーバのベースは、好ましくは、実質的に同じ外径を有する。
【0015】
座部は、好ましくは、ハンドルのグリップ部分に対して局所的に拡大された断面を有する。座部と流体リザーバの隣接した外面は、好ましくは、実質的に同じ曲率を有し、その結果、流体リザーバが第1の位置にあるとき、流体リザーバと座部は一緒に、湾曲した単一のユニットとして見える。好ましい実施形態では、座部と流体リザーバの隣接した外面は、好ましくは、球又は回転楕円体の曲率を有する。
【0016】
上述したように、流体リザーバは、好ましくは、流体リザーバの流体ポートが流体送出システムに接続される第1の位置に付勢される。これにより、電気器具使用中に流体リザーバが不意にノッキングしたりその他の衝撃を受けたりした場合、電気器具の使用中に流体リザーバがその第1の位置から移動するおそれを減少させることができる。このことはまた、電気器具の使用中に流体リザーバからの流体の望ましくない漏れのおそれを減少させることができる。
【0017】
第2の側面において、本発明は、歯清掃電気器具を提供し、かかる歯清掃電気器具は、ハンドルと、作動流体を貯蔵する流体リザーバと、作動流体を流体リザーバから受入れて作動流体をユーザの口腔に送出する流体送出システムと、を含み、流体リザーバは、流体ポートを含み、流体ポートが流体送出システムに接続される第1の位置と、流体ポートが流体リザーバを補充することを可能にするために露出される第2の位置の間をハンドルに対して移動可能であり、歯清掃電気器具は、流体リザーバを第1の位置に向かって付勢する手段を含む。
【0018】
好ましくは、付勢手段は、流体リザーバを第1の位置に向かって磁気的に引きつけるように構成される。好ましい実施形態では、付勢手段は、流体リザーバによって支持された少なくとも1つの永久磁石を含む。流体ポートと少なくとも1つの磁石は、好ましくは、流体リザーバの共通壁に配置され、本実施形態では、共通壁は流体リザーバのベースである。上述したように、流体リザーバのベースは、好ましくは、環状の形状を有し、したがって、流体ポート及び磁石は、好ましくは、流体リザーバのベースの周りに角度方向に間隔をあける。好ましい実施形態では、流体リザーバは、直径方向反対側に互いに位置する2つの同じ極性の磁石を含む。
【0019】
付勢手段は、更に、ハンドルに配置された反対の極性の少なくとも1つの永久磁石を含み、流体リザーバの磁石は、かかる永久磁石に引きつけられる。変形例として、ハンドルは、流体リザーバの磁石が引きつけられる強磁性材料を含むのがよい。強磁性材料は、好ましくは、ハンドルの座部の上に又はそれに隣接して配置され、好ましくは、ハンドルの長手方向軸線の周りに延びるループ又はリングの形態をなす。
【0020】
流体リザーバが第1の位置から第2の位置に向かって移動するとき、流体リザーバは、座部から遠ざかるように、好ましくは、ノズルに向かって移動する。電気器具は、好ましくは、ハンドルとノズルの間を延びるステムを含むのがよい。流体リザーバが第2の位置にあるとき、好ましくは、流体リザーバの少なくとも一部分が、ステムの周りに延びる。好ましい実施形態では、流体リザーバのベースだけが、流体リザーバが第2の位置にあるときにハンドルの周りに延びるように連続する。流体リザーバがハンドルから完全に取外されることを防止するために、流体リザーバが第1の位置の位置から遠ざかるように移動するとき、ステムは、好ましくは、第2の位置を越える流体リザーバの移動を阻止する手段を含む。
【0021】
第3の側面では、本発明は、歯清掃電気器具を提供し、かかる歯清掃電気器具は、ハンドルと、作動流体を貯蔵する流体リザーバと、作動流体を流体リザーバから受入れ、作動流体をユーザの口腔に送出するノズルを含む流体送出システムと、ハンドルとノズルの間を延びるステムと、を含み、流体リザーバは、流体ポートを含み、流体リザーバは、流体ポートが流体送出システムに接続される第1の位置と、流体ポートが流体リザーバを補充することを可能にするために露出される第2の位置の間を移動可能であり、ステムは、第2の位置を越える流体リザーバの移動を阻止する手段を含む。
【0022】
阻止手段は、好ましくは、ステムの外面から突出する停止部材を含む。流体リザーバが第2の位置に到達すると、停止部材は、流体リザーバの一部に係合し、第2の位置を越える流体リザーバの移動を阻止する。停止部材は、流体リザーバの内壁に係合するように配置されるのがよく、かかる内壁は、例えば、流体リザーバの管状の内面を構成する壁である。好ましい実施形態では、停止部材は、流体リザーバが第2の位置にあるときに流体リザーバの外壁に係合するように配置されてもよい。上述したように、流体リザーバの外部壁は、好ましくは、実質的に球又は回転楕円体の曲率を有る。外部壁は、好ましくは、外部壁の一部分が、流体リザーバが第2の位置にあるときにステムが貫通する孔を有するように形状決めされる。停止部材は、好ましくは、流体リザーバが第2の位置にあるときに外部壁のかかる部分に係合するように構成される。
【0023】
ステムは、好ましくは、ハンドルに取外し可能に連結される。これにより、ステムを交換することを可能にし、例えば、ノズルが摩耗したときに異なる寸法又は形状を有する交換用ステムをハンドルに連結させてもよいし、異なるユーザが、個人用ステムをハンドルに取付けてもよい。ステムは、好ましくは、ハンドルと締り嵌めを形成する。
【0024】
流体リザーバは、好ましくは、ハンドルに取外し可能に連結される。流体リザーバは、例えば、流体リザーバの交換のために、ハンドルから取外されてもよい。好ましくは、流体リザーバは、ステムをハンドルから取外した後にのみ、ハンドルから取外し可能である。
【0025】
電気器具は、ユーザの歯の隙間の間をクリーニングする隣接歯間清掃専用の電気器具の形態をなしていてもよい。変形例として、電気器具は、隣接歯間の隙間の中への作動流体の放出による改良された隣接歯間清掃の追加機能を有する歯ブラシの形態をなしていてもよい。電気器具が歯ブラシの形態をなしている場合、クリーニングツール又はステムは、好ましくは、複数の毛を含む。毛は、好ましくは、ノズルの周りに配列され、ノズルの周りに且つその周囲に配列されるのがよい。複数の毛は、ハンドルに対して移動不能であるクリーニングツールの静的な部分に取付けられるのがよい。変形例として又はそれに加えて、複数の毛は、ハンドルに対して移動可能であるクリーニングツールの移動可能な部分に取り付けられてもよい。
【0026】
好ましい実施形態では、電気器具は、ブラシユニットを有し、ブラシユニットは、毛支持部と、毛支持部に取付けられた複数の毛を有し、毛支持部は、ハンドルに対して移動可能である。電気器具は、ハンドルに対して毛支持部を移動させるように駆動する駆動機構を有する。駆動機構は、好ましくは、毛支持部に連結された伝達ユニットと、毛支持部をハンドルに対して移動させるように伝達ユニットを駆動する駆動ユニットを含む。駆動ユニットは、好ましくは、ハンドル内に位置し、更に好ましくは、ハンドルの端部セクション内に位置する。流体リザーバは、好ましくは、駆動ユニットの少なくとも一部分の周りを延びる。好ましい実施形態では、駆動ユニットは、モータを含み、流体リザーバは、駆動ユニットのモータの周りを延びる。モータをハンドルの端部セクション内に収容することにより、ハンドルのグリップ部分内に収容される電気器具の構成要素の数を減少させることができ、それにより、グリップ部分の形状を、ユーザが握るのに最適にすることができる。
【0027】
第4の側面では、本発明は、歯清掃電気器具を提供し、かかる歯清掃電気器具は、ハンドルと、作動流体を貯蔵する流体リザーバと、作動流体を流体リザーバから受入れてユーザの口腔に配送する流体送出システムと、毛支持部及び毛支持部に取付けられた複数の毛を含むブラシユニットと、ハンドルに対する毛支持部の移動を駆動する駆動ユニットを含み、流体リザーバは、駆動ユニットの少なくとも一部分の周りを延びる。
【0028】
駆動ユニットは、毛支持部をステムに対して移動させるように構成されるのがよい。変形例として、駆動ユニットは、ステム、したがって、毛支持部をハンドルに対して移動させるように構成されてもよい。ステムは、好ましくは、伝達ユニットに取付けられる。流体リザーバは、好ましくは、伝達ユニットの少なくとも一部の周りに延びる。
【0029】
伝達ユニットは、好ましくは、モータによってハンドルに対して移動させられ、好ましくは、振動させられるシャフトの形態を有する。シャフトの振動周波数は、好ましくは、250~300Hzの範囲内にある。モータは、好ましくは、モータの起動時にシャフトがハンドルに対して振動するように、シャフトの周りに延びる。
【0030】
伝達ユニットは、好ましくは、流体送出システムの一部を構成する。シャフトは、好ましくは、流体送出システムの一部を構成する孔を含む。
【0031】
流体送出システムは、好ましくは、ハンドル導管系と、流体をハンドル導管系から受入れるクリーニングツール導管系を含む。クリーニングツール導管系は、好ましくは、作動流体の噴流をノズルに搬送する少なくとも1つの導管を含む。好ましい実施形態では、ステムは、クリーニングツール導管系の流体導管を構成する孔を含む。ハンドル導管系は、好ましくは、作動流体を流体リザーバの流体ポートから受入れる流体入口と、作動流体を流体入口ポート、ポンプ、及びハンドルの流体出口の間で搬送する複数の導管を含む。複数の導管は、流体を流体入口からポンプに向かって搬送する流体入口導管と、作動流体の噴流をポンプから流体出口に搬送する流体出口導管を含む。流体出口導管の少なくとも一部は、好ましくは、伝達ユニットの孔によって構成され、かくして、好ましくは、モータの中を貫いて延びる。流体入口導管の少なくとも一部は、好ましくは、流体入口からポンプまでモータの外面に隣接して延びる。入口導管の少なくとも一部は、好ましくは、ハンドルの座部によって構成される。
【0032】
流体をポンプまでモータの外面に沿って搬送すること及びそれに引続いて流体をポンプからモータの中に搬送することにより、電気器具の小型化を更に向上させることができる。第5の側面では、本発明は、歯清掃電気器具を提供し、かかる歯清掃電気器具は、ハンドルと、作動流体を貯蔵する流体リザーバと、作動流体を流体リザーバから搬送する流体送出システムを含み、流体送出システムは、ポンプと、作動流体を流体リザーバからポンプに向かって搬送する入口導管と、作動流体をユーザの口腔に配送するノズルと、作動流体をポンプからノズルに向かって搬送する出口導管を含み、歯清掃電気器具は、更に、ブラシユニットを含み、ブラシユニットは、毛支持部と、毛支持部に取付けられた複数の毛を含み、歯清掃電気器具は、更に、ハンドルに対する毛支持部の移動を駆動する駆動ユニットを含み、駆動ユニットは、モータを含み、入口導管の少なくとも一部は、モータの外面に隣接し、出口導管の少なくとも一部は、モータの中を貫いて延びる。
【0033】
本発明の第1の側面と関連して上述した特徴は、本発明の第2~第5の側面に等しく適用可能であり、また、本発明の第2~第5の側面と関連して上述した特徴は、本発明の第1の側面に等しく適用可能である。
【0034】
本発明の好ましい特徴を、添付図面を参照して例示としてのみこれから説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1A】流体リザーバが第1の位置にある歯清掃電気器具を前方から見た斜視図である。
【
図1B】
図1Aの歯清掃電気器具を後方から見た斜視図である。
【
図3】歯清掃電気器具の流体送出システムの概略図である。
【
図7A】流体リザーバが第1の位置から移動した歯清掃電気器具を前方から見た斜視図である。
【
図7B】
図7Aの歯清掃電気器具を後方から見た斜視図である。
【
図9A】流体リザーバが第2の位置にある歯清掃電気器具を前方から見た斜視図である。
【
図9B】
図9Aの歯清掃電気器具を後方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1A~
図2Cは、歯清掃電気器具10の実施形態の外観図である。この実施形態では、電気器具は、電気歯ブラシの形態である手持ち式電気器具の形態をなし、改善された隣接歯間清掃のために作動流体を送出する一体式組立体を有する。
【0037】
歯清掃電気器具10は、ハンドル12と、クリーニングツール14を有する。ハンドル12は、好ましくはプラスチック材料で形成された外本体16を有する。外本体16は、電気器具10の使用中にユーザが握るグリップ部分18を含む。グリップ部分18は、好ましくは、全体的に円筒形の形状を有する。ハンドル12は、ユーザが操作可能なボタン20を含み、ボタン20は、ユーザにアクセス可能であるように、外本体16に形成された孔の中に位置する。選択的には、ハンドル12は、歯清掃電気器具の使用中にユーザに見えるように位置決めされたディスプレイを含んでいてもよい。
【0038】
クリーニングツール14は、ステム22と、ヘッド24を含む。ステム22は、ヘッド24をハンドル12から遠ざける機能を有する細長い形状を有し、それにより、歯清掃電気器具10のユーザ操作性を向上させる。この実施形態では、クリーニングツール14のヘッド24は、ブラシユニット26を含み、ブラシユニット26は、毛支持部28と、毛支持部28に取り付けられた複数の毛30を含む。しかしながら、他の実施形態では、クリーニングツール14は、ブラシユニット26を含んでいなくてもよく、その場合、歯清掃電気器具は、ユーザの歯の間の隙間を清掃するための専用の隣接歯間清掃電気器具の形態をなしてもよい。
【0039】
クリーニングツール14はまた、作動流体を貯蔵する流体リザーバ32と、歯清掃電気器具10の使用中に作動流体をユーザの口腔内に送出するノズル34を含む。作動流体は、好ましくは、液体の作動流体であり、この実施形態では、水である。後で詳細に説明するように、流体リザーバ32は、ハンドル12の端部セクション又は端部分36の周りを延びるように、ハンドル12の端部分36に取付けられる。ブラシユニット26を含むこの実施形態では、ブラシユニット26は、ノズル34の周りを少なくとも部分的に延びる。
【0040】
ノズル34は、歯清掃電気器具10の使用中に作動流体を流体リザーバ32から受入れて作動流体の噴流をユーザの口腔に送出するための流体送出システム40の一部を形成する。作動流体の各噴流は、好ましくは、1mlよりも小さい容積、更に好ましくは、0.5mlよりも小さい容量しか有しない。流体送出システム40を
図3に概略的に示す。ノズル34の先端は、作動流体の噴流がユーザの口腔に送出される流体出口42を含む。概略的には、流体送出システム40は、作動流体を流体リザーバ32から受入れる流体入口44を含む。この実施形態では、作動流体は、液体の作動流体であり、好ましくは、水である。流体送出システム40は、作動流体を流体入口44を介して流体リザーバ32から引いて作動流体の噴流をノズル34に送出するためのポンプ組立体を含む。ポンプ組立体は、ハンドル12のグリップ部分18の中に配置され、容積式ポンプ46と、容積式ポンプ46を駆動する駆動部を含む。駆動部は、好ましくは、ポンプ用モータ48を含む。電力をポンプ用モータ48に供給するバッテリ50も、ハンドル12内に配置される。バッテリ50は、好ましくは、交換可能なバッテリである。
【0041】
第1の導管52が、流体送出システム40の流体入口44をポンプ46の流体入口54に接続する。第1の一方向弁56が、流体入口44とポンプ46の間に配置され、水がポンプ46から流体リザーバ32に戻ることを阻止する。第2の導管58が、ポンプ46の流体出口60をノズル34に接続する。第2の一方向弁62が、ポンプ46とノズル34の間に配置され、水がポンプ46に戻ることを阻止する。制御回路64が、ポンプ用モータ48の作動を制御し、ポンプ用モータ48及び制御回路64は、ポンプ46を駆動する駆動部を構成する。バッテリ50は、電力を制御回路64に供給する。制御回路64は、電力をポンプ用モータ48に供給するモータコントローラを含む。
【0042】
この実施形態では、制御回路64は、ユーザが歯清掃電気器具10のハンドル12のボタン20を押下げたときに発生する信号を受信する。変形例として又は追加の例として、制御回路64は、歯清掃電気器具10内に配置されたセンサが発生させた信号を受信してもよいし、ディスプレイ又は個人用装置等の遠隔装置からの信号を受信してもよい。簡略表現のために、以下の説明では、制御回路64は、ユーザがボタン20を操作したときに発生する信号を受信する。
【0043】
クリーニングツール14は、ハンドル12に取外し可能に結合されている。
図4~
図6も参照すれば、ハンドル12は、好ましくは差込み部66の形態を有する雄コネクタを含み、雄コネクタは、好ましくはクリーニングツール14の凹部コネクタ68の形態を有する相補的な雌コネクタに受入れられる。差込み部66は、ハンドル12の端部分36から外方に、好ましくは、ハンドル12の長手方向軸線と平行な方向に、更に好ましくは、ハンドル12の長手方向軸線と整列して突出する。
【0044】
歯清掃電気器具10は、ステム22、かくして、毛支持部28をハンドル12に対して移動させる駆動機構を含む。駆動機構は、伝達ユニットと、ステム22をハンドル12に対して移動させるように伝達ユニットを駆動する駆動ユニットを含む。駆動ユニットは、ハンドル12の端部分36の中に配置された駆動モータ70を含む。伝達ユニットは、シャフト72を含み、シャフト72は、ハンドル12に対して振動するように駆動モータ70によって駆動される。差込み部66は、シャフト72に連結され、好ましくは、シャフト72と一体である。制御回路64は、電力を駆動モータ70に供給するモータコントローラを含む。ボタン20はまた、駆動モータ70を作動させたり不作動にしたりするのに使用され、例えば、ボタン20を所定の持続期間にわたって押下げることによって、歯清掃電気器具10を使用するクリーニング期間を停止させる。変形例として、駆動モータ70を作動させたり不作動にしたりする別のボタン(図示せず)が設けられてもよい。駆動モータ70は、好ましくは、ステム22を振動させるように構成され、それにより、毛30を横方向運動で、即ち、ハンドル12の長手方向軸線と垂直に且つ250~300Hzの範囲の周波数で湾曲掃除運動をさせ、かくして、毛30の角度方向の移動は、5~15度の範囲内にある。
【0045】
ハンドル12は、流体リザーバ32を受入れる座部74を含む。座部74は、ハンドル12のグリップ部分18と端部分36の間に配置される。座部74は、流体送出システム40の流体入口44を含む。流体入口44は、流体を流体リザーバ32の流体ポート76から受入れる。流体送出システムの第1の導管52は、流体ポート76からポンプ46に向かって座部74を貫通する入口部分78を含む。かくして、第1の導管52の入口部分78は、ポンプ46に向かって、駆動モータ70の外面に隣接して、駆動モータ70の外側に沿って延びる。
【0046】
ポンプ46をノズル34に接続する第2の導管58は、ハンドル12内に配置されたハンドル導管部分と、クリーニングツール14内に配置されたクリーニングツール導管部分を含む。ハンドル導管部分は、ポンプ46の流体出口60から、差込み部66の端部に配置されたハンドル流体出口80まで延びる。ハンドル導管部分は、シャフト72のボアによって定められる出口部分82を含み、出口部分82は、駆動モータ70を貫通してクリーニングツール14に向かう。かくして、作動流体は、ポンプ46に向かう第1の方向に駆動モータ70の外部を通り、引き続いて、ポンプ46から遠ざかる、即ち、第1の方向と反対の第2の方向に駆動モータ70の中を通る。クリーニングツール導管部分は、クリーニングツール14の凹部コネクタ68によって定められるクリーニングツール流体入口ポートからノズル34に向かって延びる。クリーニングツール導管部分は、クリーニングツール14のステム22のボアによって定められる導管84を含む。
【0047】
流体リザーバ32は、好ましくは、5~50mlの範囲の容量を有し、本実施形態では、10mlの容量を有する。流体リザーバ32は、流体ポート76が形成されたベース90を含む。ベース90は、管状の形状を有し、流体リザーバ32の管状の内壁92から外方に延びる。
図6を特に参照すれば、流体リザーバ32の内壁92は、ハンドル12の端部分36の外面を包囲する管状の内面を含む。外面と内面の各々は、好ましくは、ハンドル12の長手方向軸線に対して垂直な非円形断面を有する。この実施形態では、外面と内面の各々は、「競技場トラック」の形状のような断面を有し、かかる断面形状は、対向する2つの平行な側面と、対向する2つの湾曲した側面を有する。
【0048】
図4及び
図5に示すように、ハンドル12の端部分36は、好ましくは、ハンドル12の長手方向軸線と垂直な平面内の断面を有し、この断面は、ハンドル12のグリップ部分18の断面よりも小さい。これにより、流体リザーバ32の所定の固定された容量に対して、流体リザーバ32の幅を最小にすることを可能にする。
【0049】
流体リザーバ32は、更に、ベース90の縁部から、内壁92のうちのベース90から遠い方の端部まで延びる外壁94を含む。流体リザーバ32の外壁94の少なくとも一部分は、好ましくは、透明であり、それにより、ユーザが流体リザーバ32の内容物を監視して、歯清掃電気器具10の使用を望む前に流体リザーバ32が補充を必要としているかどうかを評価することを可能にする。外壁94は、好ましくは、ハンドル12の長手方向軸線の周りに軸対称な形状を有する。外壁94は、好ましくは、湾曲した形状を有し、更に好ましくは、凸状の湾曲形状を有するけれども、変形例として、外壁94は、多角形状であってもよいし、多数のカット面を有する形状であってもよい。この実施形態では、外壁94は、球形の湾曲を有する。外壁94に隣接した座部74の外側面の部分も、同様の球形の湾曲を有し、その結果、
図2a~
図2cに示すように、流体リザーバ32と座部74が一緒に球形に湾曲したユニットとしてユーザに見える。外壁94のうちのベース90から遠い方の端部は、駆動機構のシャフト72が貫通する円形孔96を構成する。
【0050】
流体リザーバ32はまた、ダイアフラム98を含む。ダイアフラム98は、管状の形状を有し、流体リザーバ32の内壁92を包囲する。(
図4及び
図5に示すように)ダイアフラム98の上端部は、内壁92と外壁94の間に保持され、ダイアフラム98の下端部は、流体リザーバ32のベース90の上を延びる環状シール100によって保持される。環状シール100は、流体が流体リザーバ32から流体送出システム40に入ることを可能にする孔102を有し、Oリングシール104が、ベース90と環状シール100の間のシールを形成して、ベース90と環状シール100の間から流体が漏れることを阻止する。
【0051】
ダイアフラム98は、かくして、流体リザーバ32の外壁94に面する外面を有し、この外面は、外壁94及び環状シール100と一緒に、流体リザーバ32の容量を定める。ダイアフラム98は、外壁94の少なくとも一部分を通してユーザに見えるので、ダイアフラム98の外面は、クリーニングツール14のユーザによる識別のための識別子の役割を有していてもよい。
【0052】
特許文献1の内容を本明細書に援用し、その特許文献1に記載されているように、ダイアフラム98の厚さ及びダイアフラム98を形成する材料は、作動流体がポンプ46によって流体リザーバ32から引かれたときにダイアフラム98の少なくとも一部分がダイアフラム98の両側に生じた圧力差に応答して外壁94に対して移動可能であるように選択される。内壁92とダイアフラム98の間に配置された膨張チャンバが、大気に通じ、それにより、作動流体が流体送出システム40に供給されてダイアフラム98が外壁94に向かって移動するとき、大気が膨張チャンバに入ることを許す。1つ又は2つ以上の孔(図示せず)が、内壁92に形成され、それにより、大気が、例えば、流体リザーバ32とハンドル12の端部分36の間を延びる空気流路から、膨張チャンバに入ることを可能にする。ダイアフラム98がその完全膨張形態に向かって膨張するとき、ダイアフラム98の寸法及び形状は、外壁94の寸法及び形状に近づく。言い換えれば、ダイアフラム98が、流体リザーバ32が実質的に空であるときに生じる完全膨張形態にあるとき、ダイアフラム98の寸法及び形状は、流体リザーバ32の外壁94の寸法及び形状と実質的に同じになる。かくして、膨張チャンバの最大容積は、好ましくは流体リザーバ32の最大容積と実質的に等しい。
【0053】
流体リザーバ32は、流体リザーバ32を補充する作動流体の専用の流体入口を有していない。その代わりに、流体リザーバ32を流体ポート76から補充する。この観点では、流体リザーバ32は、流体ポート76が流体送出システム40に接続される第1の位置(
図1A~
図6)と、流体ポート76が露出されて流体リザーバ32を補充することを可能にする第2の位置(
図9A~
図13)との間を、ハンドル12の端部分36に沿って移動可能である。
図7A~
図8は、第1の位置と第2の位置の中間の流体リザーバ32を示す。
【0054】
この実施形態では、流体リザーバ32が第1の位置と第2の位置の間を移動するとき、流体リザーバ32は、ハンドル12の端部分36に沿って摺動可能である。ハンドル12に対する流体リザーバ32の回転は、ハンドル12の端部分36の外面及び流体リザーバ32の内壁92の内面に非円形断面形状を採用することによって阻止される。これにより、流体ポート76と流体入口44の角度方向の整列を維持し、流体リザーバ32が第1の位置に戻るときに流体リザーバ32が流体送出システム40に再接続されることを確保する。
【0055】
歯清掃電気器具10の使用中に偶然に流体リザーバ32が第1の位置からずれてしまうおそれを減少させるために、歯清掃電気器具10は、流体リザーバ32を第1の位置に向かって押しやる付勢力を流体リザーバ32に付与するように構成される。この実施形態では、流体リザーバ32は、第1の位置に向かう磁力によって押しやられる。
図4を参照すると、同じ極性の2つの永久磁石106、108が、流体リザーバ32のベース90に取付けられる。これらの磁石106、108は、座部74の上に位置する強磁性材料のループ110に取付けられる。磁石106、108とループ100の間の磁気吸引力を選択することにより、流体リザーバ32が第1の位置から偶然にずれるおそれを減少させるとともに、流体リザーバ32の補充が必要であるときにユーザが流体リザーバ32を損傷させることなしに引いて流体リザーバ32を第1の位置から遠ざけることを可能にする。
【0056】
流体リザーバ32が第2の位置に向かって移動するとき、流体リザーバ32のベース90は、ハンドル12の端部分36に沿ってステム22に向かって移動する。
図11及び
図12に示すように第2の位置にあるとき、流体リザーバ32のベース90とシール100だけが、ハンドル12の端部分36の周りに依然として延び、流体リザーバ32の一部分は、ステム22の周りに延びる。流体リザーバ32を第1の位置から遠ざけるときに流体リザーバ32がハンドル12から完全に分離するようになることを防止するために、歯清掃電気器具10は、流体リザーバ32に係合する停止部材112を含み、停止部材112は、流体リザーバ32が第2の位置にあるときに第2の位置を越える流体リザーバ32の移動を阻止する。停止部材112は、ステム22から突出し、シャフト72が貫通する孔96を構成する外壁94の周囲部分に係合するように構成される。
【0057】
流体リザーバ32を作動流体(本実施形態では、水)で満たすために、ユーザは、歯清掃電気器具10を、
図1A~
図2Cに示す向きから反転させ、流体リザーバ32を歯清掃電気器具10のヘッド24に向かって引いて、流体リザーバ32をその第2の位置に移動させる。ユーザは、露出した流体ポート76を水道の蛇口の吐水口の下に配置して、蛇口をひねると、水が吐水口から流体ポート76を通って流体リザーバ32に入る。流体リザーバ32の外壁94が透明であるので、ユーザは、流体リザーバ32の充填、及び、流体リザーバ32内の水の重量による流体リザーバ32のダイアフラム98の収縮を監視することができる。流体リザーバ32が水で充填されたとき、空気を膨張チャンバから排出する。流体リザーバ32が充填され、ユーザが流体リザーバ32をその第1の位置に戻すと、流体リザーバ32は、磁石106、108とループ110の間の磁気吸引力によって第1の位置に保持される。次いで、ユーザは、使用のために、歯清掃電気器具10を、
図1A~
図2Cに示す向きに戻す。
【0058】
歯清掃電気器具10を作動させるために、ユーザが、ボタン20を押下げることによって、歯清掃電気器具10のスイッチをオンにすると、制御回路64は、ボタン20の作動を検出する。制御回路64は、駆動モータ70を作動させて、ブラシユニット26をハンドル12に対して移動させる。ボタン20を再び押して、水の噴流をノズル34から放射させる。制御回路64は、ポンプ46を作動させて、一定量の水をポンプ46の流体チャンバからノズル34に押しやり、また、一定量の水を流体リザーバ32から引くことによって、流体チャンバを補充する。これを、ユーザがボタン20を使用して歯清掃電気器具10のスイッチをオフにするまで又は流体リザーバ32が空になるまで続ける。
【0059】
流体リザーバ32を交換するために、ユーザは、最初、ステム22を差込み部66から抜く。次いで、ユーザは、流体リザーバ32をハンドル12の端部分36から摺動させるのがよい。