IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハンコック タイヤ カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-補強構造部を含む非空気入りタイヤ 図1
  • 特許-補強構造部を含む非空気入りタイヤ 図2
  • 特許-補強構造部を含む非空気入りタイヤ 図3
  • 特許-補強構造部を含む非空気入りタイヤ 図4
  • 特許-補強構造部を含む非空気入りタイヤ 図5
  • 特許-補強構造部を含む非空気入りタイヤ 図6
  • 特許-補強構造部を含む非空気入りタイヤ 図7
  • 特許-補強構造部を含む非空気入りタイヤ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】補強構造部を含む非空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 5/00 20060101AFI20221209BHJP
【FI】
B60C5/00 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021007750
(22)【出願日】2021-01-21
(65)【公開番号】P2021127108
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0019144
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514040088
【氏名又は名称】ハンコック タイヤ アンド テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANKOOK TIRE & TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】286,Pangyo-ro,Bundang-gu,Seongnam-si,Gyeonggi-do,13494,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソン テ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ソク ジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン ホン
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-517438(JP,A)
【文献】特表2013-522110(JP,A)
【文献】特表2014-502575(JP,A)
【文献】国際公開第2018/130783(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/091754(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0009916(US,A1)
【文献】特開2008-260514(JP,A)
【文献】特開2017-190128(JP,A)
【文献】特開2016-007863(JP,A)
【文献】特開平05-208458(JP,A)
【文献】特開2018-099776(JP,A)
【文献】特開昭62-241704(JP,A)
【文献】実開昭52-034870(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 7/00-7/28
B60B 9/00-9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に屈曲されたパターンが形成されるトレッド部(110)と、
前記トレッド部の内部に挿入されるように前記トレッド部(110)の外周面と前記トレッド部(110)の内周面との間に位置する少なくとも1つの補強構造部(120)と、
タイヤの中心を基準に放射状に形成されて前記トレッド部の内周面と結合するスポーク部(130)と、
前記スポーク部(130)の内周面よりも小さい直径を有し、外周面が前記スポーク部(130)と結合するリム部(140)と、を備え、
前記補強構造部(120)はエラストマーで包まれた平織(plain weave)の形で、前記トレッド部(110)の周方向に巻き取られ、
前記補強構造部(120)は、
前記トレッド部(110)の周方向に配置され、互いに所定距離離隔される少なくとも1つの第1のコード(121)と、
前記第1のコード(121)と垂直な方向に配置され、互いに所定距離離隔される少なくとも1つの第2のコード(122)と、
前記少なくとも1つの第1のコード(121)、及び前記少なくとも1つの第2のコード(122)を取り囲むように形成されて、前記トレッド部(110)の内部に挿入されるエラストマー層(123)と、を含み、
前記第1のコード(121)及び前記第2のコード(122)は、それぞれ帯状を有し、
前記少なくとも1つの第1のコード(121)、及び前記少なくとも1つの第2のコード(122)は互いに交差されて、前記平織の形で形成されるコードシートであり、
前記第1のコード(121)及び前記第2のコード(122)は、その材質、前記タイヤの半径方向に沿ったコードの厚さ、コードの幅が同一である
ことを特徴とする、非空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記補強構造部(120)の少なくとも1つが形成され、前記トレッド部(110)の周方向に巻き取られることを特徴とする、
請求項1に記載の非空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記補強構造部(120)は1つであり、
前記補強構造部(120)は、前記トレッド部(110)の幅の50%以上の幅で形成されることを特徴とする、
請求項2に記載の非空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記補強構造部の内周面(120)は、前記トレッド部(110)の内周面と前記トレッド部(110)の外周面との間の距離である前記トレッド部(110)の高さの20%以下の高さに位置することを特徴とする、
請求項3に記載の非空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記エラストマー層(123)は、0.5mm~10mmの厚さで形成されることを特徴とする、
請求項3に記載の非空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1のコード(121)のうち互いに隣接する第1のコード(121)は、少なくとも0.15mm以上離隔されることを特徴とする、
請求項3に記載の非空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1のコード(121)のうち互いに隣接する第1のコード(121)の間隔は、前記少なくとも1つの第2のコード(122)のうち互いに隣接する第2のコード(122)の間隔より短く離隔されることを特徴とする、
請求項6に記載の非空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記第1のコード(121)及び前記第2のコード(122)の線密度が同一であることを特徴とする、
請求項1に記載の非空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記第1のコード(121)及び前記第2のコード(122)は、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、
レーヨン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維(カーボンファイバー)、スチールコードのうちいずれか1つの材質で構成されることを特徴とする、
請求項8に記載の非空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記第2のコード(122)は、前記第1のコード(121)よりも線密度が小さいことを特徴とする、
請求項1に記載の非空気入りタイヤ。
【請求項11】
前記補強構造部(120)には、前記補強構造部(120)の一側部が前記補強構造部(120)の他側部の少なくとも一部を覆うようにオーバーラップされるオーバーラップ部が形成されることを特徴とする、
請求項2に記載の非空気入りタイヤ。
【請求項12】
前記オーバーラップ部の周方向への長さは50mm以下で形成されることを特徴とする、
請求項11に記載の非空気入りタイヤ。
【請求項13】
前記オーバーラップ部は、前記トレッド部(110)の中心軸と平行するように形成されることを特徴とする、
請求項11に記載の非空気入りタイヤ。
【請求項14】
前記オーバーラップ部は、前記トレッド部(110)の中心軸と垂直な垂直線を基準に20°~70°の傾き(勾配)を有するように傾斜したことを特徴とする、
請求項11に記載の非空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強構造部を含む非空気入りタイヤに関し、より詳しくは、トレッド部の周方向に沿ってトレッド部の内部に挿入される織物の形態の補強構造部を適用して荷重を支持しながら、スポーク部の耐疲労性を向上させる補強構造部を含む非空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
今の時代に、 一般的に使用されるタイヤは、構造に応じてラジアルタイヤ、バイアスタイヤ、及びソリッドタイヤなどに分類することができるが、その中で、乗用車及び特殊な目的を除いた自動車には、ほとんどラジアルタイヤ、つまり、空気入り(又は空気圧)タイヤが使用されている。しかし、このような空気圧タイヤは、構造が複雑な上に、製造工程数が8段階などで多く、さらにこれに伴う有害物質の排出量が無視できない程度だけでなく、空気圧タイヤの性能発揮と安全性に絶対的に重要な空気圧を頻繁にチェックしなければならない管理の不便さと走行中の外部物質による突刺さり(突き刺さること)及び衝撃からタイヤが破損され得る安全性の問題が常に内在しているのが事実である。
【0003】
しかし、 非空気入りタイヤは、このような空気圧タイヤとは異なり、素材と工程の単純化を通じて生産コストを大幅に節減することができるだけではなく、エネルギーの使用量及び有害物質の発生量を大幅に削減できる新しい概念の工程と構造からなるタイヤで、空気圧の不足などに起因して発生される可能性のある問題から逃れることができる大きな利点を有している。それだけではなく、空気圧タイヤから発生されるスタンディングウェーブ(standing wave、定在波)の現象を防止することができ、回転抵抗を大幅に改善できる利点を有している。
【0004】
非空気入りタイヤは、従来の空気圧式タイヤとは全く異なる構造からなっており、空気圧式と異なり、圧縮空気を全く利用しない設計方式であるため、空気圧の損失又は不足(flat tire)により走行中に発生できる事故の危険から自由である。
【0005】
非空気入りタイヤは、従来からも存在してきた。ずっと前からの馬車の車輪、自転車の車輪のほか、最近の事例を挙げれば大韓民国特許出願2006-0051513号は、タイヤの負荷を幾重ものステープルを含む多数の支持部材により支持する技術であり、大韓民国特許出願2008-0038274号は、弾性材料で製造された本体、接地面として機能する円周方向の延長型クラウン部分、並びにそれに接合される延長型サイドウォールから構成された技術である。なお、タイヤの負荷を支持する補強された環状バンドと、ホイール又はハブ間の負荷力を引張された状態で伝達する多数のウェブスポークと、を含む非空気入りタイヤが大韓民国特許出願2004-0027984号として知られている。最近では、ハニカム(honey Comb)形状の緩衝部を介して緩衝作用をし、タイヤに加わる圧力を支えるようになったエアレスタイヤ(出願番号10-2010-0090015)技術も紹介された。
【0006】
一方、多数のウェブスポークを含む非空気入りタイヤの場合には、荷重を支持(サポート)するために、ウェブスポークが有する引張力によって行われると紹介されている。このような場合では、ウェブスポークと地面に接触するトレッドとの間に構造補強物が含まれて車両の荷重を支持して空気圧タイヤでの空気圧のような機能を行うことができるように役割をする。例として、連続ループ補強組立体を有する構造的支持非空気入りホイール(US9272576B2)は、このような構造補強物として螺旋状に巻き取られたコイルの形態を紹介しており、このような材料では、金属、鋼、炭素繊維、アラミド繊維(カーボンファイバー)、ガラス繊維などを言及している。
【0007】
一方、JP4855646B2は、エラストマー剪断層とエラストマー剪断層の半径方向の内外側に環状補強バンドを備える非空気入りタイヤを紹介しており、このような環状補強バンドでは、10度~45度の角度を有し、その材料としては繊維補強材料が言及されている。
【0008】
また一方、JP4530231B2では、中間環状部(内側環状部)、外側環状部にタイヤの周方向に補強されている非空気入りタイヤを紹介しており、補強材としては繊維補強材料(長繊維、短繊維、織布、不織布などの補強繊維、粒状フィラーなど(例えば、レーヨンコード、ナイロン6.6などのポリアミドコード、ポリエステルコード、アラミドコード、ガラス繊維、カーボンファイバー))及び金属(スチールコード)などを挙げており、外側環状部の補強バンドは、約20度の傾斜角度で平行配列したスチールコード、アラミドコード、レーヨンコードなどを逆方向に交差するように積層して形成され得ることが記載された。
【0009】
したがって、上記したように、タイヤ関連技術の発展に伴い、運転者の安全を確保するために、多様なタイヤが研究開発されており、今後もこのような研究開発を通じて、より良い非空気入りタイヤを量産する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国登録特許第10-0810935号公報
【文献】韓国登録特許第10-1043001号公報
【文献】韓国公開特許第2006-0051513号公報
【文献】韓国公開特許第2008-0038274号公報
【文献】韓国公開特許第2004-0027984号公報
【文献】韓国公開特許第2010-0090015号公報
【文献】米国特許第9272576号明細書
【文献】特許第4855646号公報
【文献】特許第4530231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、非空気入りタイヤについて織物(Weave)の形態の補強構造を適用することにより、構造的剛性で車両の荷重を十分に支えることができるだけでなく、スポーク部と非スポーク部との間の荷重分散を通じたストレス(応力)分散性の改善によりスポーク構造の耐疲労性の向上、並びに振動の分散及び車両の方向転換時のねじれトルクを向上させる補強構造部を含む非空気入りタイヤを提供することにある。
【0012】
本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に限定されず、言及されていないもう1つの技術的課題は、下の記載から、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとっては明確に理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記のような目的を達成するための本発明の構成は、外周面に屈曲されたパターンが形成されるトレッド部と、前記トレッド部の内部に挿入されるように前記トレッド部の外周面と前記トレッド部の内周面との間に位置する少なくとも1つの補強構造部と、前記トレッド部の中心を基準に放射状に形成されて前記トレッド部の内部面と結合するスポーク部と、前記スポーク部の内周面よりも小さい直径を有して外周面が前記スポーク部と結合するリム部と、を備え、前記補強構造部はエラストマーで包まれた平織(plain weave)の形で、前記トレッド部の周方向に巻き取られることを特徴とする非空気入りタイヤを提供する。
【0014】
本発明の実施例において、前記補強構造部は、前記タイヤ部の周方向に配置されて互いに所定距離離隔される少なくとも1つの第1のコードと、前記第1のコードと垂直な方向に配置されて互いに所定距離離隔される少なくとも1つの第2のコードと、前記少なくとも1つの第1のコード及び前記少なくとも1つの第2のコードを取り囲むように形成されて前記トレッド部の内部に挿入されるエラストマー層と、を備え、前記第1のコード及び前記第2のコードは、帯(バンド)状を有し、前記少なくとも1つの第1のコードと及び前記少なくとも1つの第2のコードは、互いに交差され、前記平織の形で形成されるコードシートであることを特徴とする。
【0015】
本発明の実施例において、 少なくとも1つの前記補強構造部が形成されて、前記トレッド部の周方向に巻き取られることを特徴とする。
【0016】
本発明の実施例において、前記補強構造部は1つであり、前記補強構造部は、前記トレッド部の幅の50%以上の幅で形成されることを特徴とする。
【0017】
本発明の実施例において、前記補強構造部の内周面は、前記トレッド部の内周面と前記トレッド部の外周面との間の距離である前記トレッド部の高さの20%以下の高さに位置することを特徴とすることができる。
【0018】
本発明の実施例において、前記エラストマー層は0.5mm~10mmの厚さで形成されることを特徴とする。
【0019】
本発明の実施例において、前記少なくとも1つの第1のコードのうち互いに隣接する第1のコードは、少なくとも0.15mm以上離隔されることを特徴とする。
【0020】
本発明の実施例において、前記少なくとも1つの第1のコードのうち互いに隣接する第1のコードの間隔は、前記少なくとも1つの第2のコードのうち互いに隣接する第2のコードの間隔より短く離隔されることを特徴とする。
【0021】
本発明の実施例において、前記第1のコード及び前記第2のコードの材質、サイズ、厚さ、及び線密度が同一であることを特徴とする。ここで線密度とは、当該コードのキロメートル当たりのグラム数を指す。
【0022】
本発明の実施例において、前記第1のコード及び前記第2のコードは、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維(カーボンファイバー)、スチールコードのうちいずれか1つの材質で構成されることを特徴とする。
【0023】
本発明の実施例において、前記第1のコード及び前記第2のコードの材質、サイズ、厚さが同一であり、前記第2のコードは、前記第1のコードよりも小さい線密度を有することを特徴とする。
【0024】
本発明の実施例において、前記補強構造部には、前記補強構造部の一側部が前記補強構造部の他側部の少なくとも一部を覆うようにオーバーラップされるオーバーラップ部が形成されることを特徴とする。
【0025】
本発明の実施例において、前記オーバーラップ部の周方向への長さは50mm以下で形成されることを特徴とする。
【0026】
本発明の実施例において、前記オーバーラップ部は、前記タイヤ部の中心軸と平行するように形成されることを特徴とする。
【0027】
本発明の実施例において、前記オーバーラップ部は、前記トレッド部の中心軸と垂直な垂直線を基準に20°~70°の勾配(gradient、傾き)を有するように傾斜したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
上記のような構成による本発明の効果は、非空気入りタイヤについて織物の形態(Weave)の補強構造を適用することにより、構造的剛性で車両の荷重を十分に支えることができるだけでなく、スポーク部と非スポーク部との間の荷重分散を通じたストレス(応力)分散性の改善により、スポーク構造の耐疲労性の向上、並びに振動の分散及び車両の方向転換時のねじれトルクを向上させることができる。
【0029】
本発明の効果は、上記した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明又は特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1の実施例による補強構造部を含む非空気入りタイヤを示した部分斜視図である。
図2】本発明の第1の実施例による補強構造部を含む非空気入りタイヤをトレッド部の中心軸方向に切断した断面図である。
図3】a、bは、本発明の第1の実施例による補強構造部を含む非空気入りタイヤの補強構造部に形成されるオーバーラップ部を表した一方向での斜視図である。
図4】本発明の第1の実施例による補強構造部を含む非空気入りタイヤの第1のコード及び第2のコードの組み合わせでコードシートが形成されることを示した平面図である。
図5図4の変形されたコードシートを示した平面図である。
図6】本発明の第2の実施例による補強構造部を含む非空気入りタイヤを示した一方向での側面図である。
図7】本発明の第1の、第2の実施例による非空気入りタイヤの静特性を解析した結果を示した図である。
図8】補強構造部を適用していない空気圧タイヤの静特性を解析した結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、添付した図面を参照して本発明を説明することにする。しかし、本発明は、複数の異なる形態で実施され、したがってここで説明する実施例に限定されるものではない。そして図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略しており、明細書全体を通して類似した部分については類似した参照符号を付した。
【0032】
明細書全体では、ある部分が他の部分と「連結(接続、接触、結合)」されているとするとき、これは「直接的に連結」されている場合だけではなく、その中間に他の部材を置いて、「間接的に連結」されている場合も含む。なお、ある部分があるコンポーネントを「含む」とするとき、これは、特に反対される記載がない限り、他のコンポーネントを除外するのではなく、他のコンポーネントをさらに備えることができるというのを意味する。
【0033】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに別の意味を示していると判定されない限り、複数の表現を含む。本明細書では、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、コンポーネント、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つ以上の他の特徴、数字、段階、動作、コンポーネント、部品又はこれらを組み合わせたものの存在若しくは付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0034】
以下、添付された図面を参照して本発明について詳細に説明することにする。
【0035】
[1. 第1の実施例]
図1は、本発明の第1の実施例による補強構造部を含む非空気入りタイヤを示した部分斜視図である。
【0036】
図2は、本発明の第1の実施例による補強構造部を含む非空気入りタイヤをトレッド部の中心軸方向に切断した断面図である。
【0037】
本発明の第1の実施例による非空気入りタイヤ100は、トレッド部110、補強構造部120、スポーク部130及びリム部140を含む。
【0038】
トレッド部110は、タイヤに広く使用されている汎用的なトレッドであって、外周面に屈曲されたパターンが多数個形成される。このようなトレッド部110は、トレッド111及びトレッド溝112を含む。
【0039】
トレッド111は、上述したように、汎用的に使用されるタイヤの一部のコンポーネントとして、地面と接する外周面が屈曲されたパターンで形成される。上記した構造は、地面との接触を介した摩擦力を増加させて車両が滑らないようにし、これに対する具体的な説明は省略する。
【0040】
トレッド溝112は、トレッド111の外周面からトレッド111の中心軸方向に陥没形成される。また、トレッド溝112は、トレッド111の周りに沿って陥没形成されることが一般的であるが、これに限定されるものではない。
【0041】
図3のa、bは、本発明の第1の実施例による補強構造部を含む非空気入りタイヤの補強構造部に形成されるオーバーラップ部を表した一方向での斜視図である。図4は、本発明の第1の実施例による補強構造部を含む非空気入りタイヤの第1のコード及び第2のコードの組み合わせでコードシートが形成されることを示した平面図である。図5は、図4の変形されたコードシートを示した平面図である。
【0042】
図2を参照すると、補強構造部120は、トレッド部110の内部に挿入されるようにトレッド部110の外周面とトレッド部110の内周面との間に位置する。
【0043】
構造において、補強構造部120は、エラストマーで包まれた平織(plain weave)の形態のコードシートで構成されてトレッド部110の周方向に巻き取られる。
【0044】
なお、図2を参照すると、補強構造部120の内周面は、トレッド部110の内周面とトレッド部110の外周面との間の距離であるトレッド部110の高さH1の20%以下の高さH3に位置する。
【0045】
もし、補強構造部120の位置がトレッド部110の高さH1の20%を超える場合には、スポークの荷重支持及びストレス分散に起因して補強構造部120の補強効果が劣ることになる。
【0046】
従って、本発明の補強構造部120の内周面は、トレッド部110の高さH1の20%以下の高さH3に位置することが望ましい。
【0047】
さらに、補強構造部120は、トレッド部110の幅の50%以上の幅で形成される。
【0048】
もし、補強構造部120の幅がトレッド部110の幅の50%未満で形成される場合には、スポークの荷重支持及びストレス分散により補強構造部120の補強に効果的ではない。
【0049】
従って、本発明では、トレッド部110の幅の50%以上の幅で形成されることが望ましい。
【0050】
また、補強構造部120は、少なくとも1つが形成されてトレッド部110の周方向に巻き取られる。具体的には補強構造部120は、1つ~3つ形成され得る。
【0051】
図3のa、bを参照すると、補強構造部120には、補強構造部120の一側部が補強構造部の他側部の少なくとも一部を覆うようにオーバーラップされるオーバーラップ部Sが形成される。
【0052】
このとき、オーバーラップ部Sの周方向への長さは50mm以下で形成されることが望ましい。もし、オーバーラップ部Sの周方向への長さが50mm以上でオーバーラップされる場合には、タイヤユニフォーミティ(Uniformity)に不利である。
【0053】
図3のaを参照すると、オーバーラップ部Sは、トレッド部110の中心軸と平行するように形成される。
【0054】
一方、図3のbを参照すると、オーバーラップ部Sは、トレッド部110の中心軸と垂直な垂直線を基準に20°~70°の傾きを有するように傾斜することができる。
【0055】
上記したように、本発明でのオーバーラップ部Sは、図3のa及びbに示したように、異なる形態で形成され得る。
【0056】
上記した補強構造部120は、第1のコード121、第2のコード122及びエラストマー層123を含む。
【0057】
図1及び図4を参照すると、第1のコード121は、トレッド部110の周方向(図4及び図5でタイヤの長さ方向)に配置され、互いに所定距離離隔される。具体的には図4を参照すると、第1のコード121は、少なくとも1つ形成される。
【0058】
具体的には、少なくとも1つの第1のコード121のうち、互いに隣接する第1のコード121の間隔aは、少なくとも1つの第2のコード122のうち、互いに隣接する第2のコード122の間隔bより短く離隔される。特に、互いに隣接する第1のコード121の間隔aは、0.15mm以上離隔されることが望ましい。もし、互いに隣接する第1のコード121の間隔aが0.15mm未満の場合には、互いに隣接する第1のコード121の間隔aを有する補強構造部120は、互いに隣接する第1のコード121の間隔aが0.15mm以上である補強構造部120よりも耐久性が劣る短所がある。
【0059】
第2のコード122は、第1のコード121と垂直な方向(図4及び図5でタイヤの幅方向)に配置され、互いに所定距離離隔され、図4に示したように少なくとも1つが形成される。
【0060】
なお、少なくとも1つの第2のコード122のうち、互いに隣接する第2のコード122の間隔は、少なくとも1つの第1のコード121のうち、互いに隣接する第1のコード121の間隔よりも長く離隔される。
【0061】
具体的には、互いに隣接する第2のコード122の間隔bが互いに隣接する第1のコード121の間隔aより小さいほど、第1のコード121と第2のコード122との間の空間(a×bの面積)が十分でないだけではなく、単位面積当たりの第1のコード121及び第2のコード122の接点の個数が多くなって耐久に不利であり、タイヤの周方向への補強に効果的ではない。
【0062】
上記した第1のコード121及び第2のコード122は、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維(カーボンファイバー)、スチールコードのうちいずれか1つの材質で構成され得る。
【0063】
なお、図4及び図5に示されたように、前記した第1のコード121及び第2のコード122は、帯(バンド)状を有し、少なくとも1つの第1のコード121及び少なくとも1つの第2のコード122は、互いに交差されて平織の形で形成されるコードシートである。
【0064】
図4は、本発明の第1の実施例による第1のコード121及び第2のコード122を示す。図4に示された第1のコード121及び第2のコード122の材質、サイズ、厚さ及び線密度が同一に形成される。
【0065】
一方、図5は、第2のコード122が変形されたシートコードである補強構造部120を示す。図5に図示された第1のコード121及び第2のコード122の材質、サイズ、厚さが同一であるが、第2のコード122は、第1のコード121よりも小さい線密度を有するという点で違いがある。
【0066】
エラストマー層123は、少なくとも1つの第1のコード121及び少なくとも1つの第2のコード122を取り囲むように形成されて、トレッド部110の内部に挿入される。
【0067】
このとき、エラストマー123は、0.5mm~10mmの厚さで形成されることが望ましい。
【0068】
スポーク部130は、トレッド部110の中心を基準に放射状に形成されてトレッド部の内部面と結合する。本発明でのスポーク部130の形状は、例として図示及び説明されており、その他の形態でもいくらでも適用可能である。
【0069】
上記したスポーク部130は、図2に示されたようにトレッド部110及びリム部140を連結して、トレッド部110から伝達される荷重を支持しながらリム部140に伝達する。
【0070】
このようなスポーク部130は、従来の技術に該当するため、具体的な説明は省略する。
【0071】
リム部140は、スポーク部130の内周面よりも小さい直径を有し、リム部140の外周面がスポーク部130と結合する。これにより、リム部140は、最内側に位置してトレッド部110及びスポーク部130から伝達される荷重を支持する。
【0072】
[2.第2の実施例]
以下、図6図8を参照して、本発明の第2の実施例による補強構造部を含む非空気入りタイヤを説明するが、第1の実施例のコンポーネントと他のコンポーネントに対して集中的に説明する。
【0073】
図6は、本発明の第2の実施例による補強構造部を含む非空気入りタイヤを示した一方向での側面図である。
【0074】
本発明の第2の実施例による補強構造部を含む非空気入りタイヤ100は、第1の実施例の補強構造部120の位置が異なり、スポーク部130の下位コンポーネントをさらに含み、残りのコンポーネントは、第1の実施例のコンポーネントと同一である。
【0075】
補強構造部120は、トレッド部110の内周面に結合される。
【0076】
スポーク部130は、補強構造部120の内周面と結合し、このようなスポーク部130は、上部スポーク131及び下部スポーク132を含む。
【0077】
上部スポーク131は、補強構造部120の内周面と結合する。また、上部スポーク131は、トレッド部110の中心を向いて放射状に形成され得る。さらに上部スポーク131は、互いに所定距離離隔されるように多数個形成される。
【0078】
下部スポーク132の一端が上部スポーク131と結合し、その他端がリム部140と結合する。また、下部スポーク132は、トレッド部110の中心を向いて放射状で形成され得る。さらに下部スポーク132は、互いに所定距離離隔されるように多数個形成される。これによる下部スポーク132は、上部スポーク131とリム部140とを連結して荷重を支持する。
【0079】
図7は、本発明の第1の、第2の実施例による非空気入りタイヤの静特性を解析した結果を示した図である。図8は、補強構造部を適用していない空気圧タイヤの静特性を解析した結果を示した図である。
【0080】
図7は、本発明の第1の、第2の実施例による構造補強部を含む非空気入りタイヤ100に対する静特性の性能評価の中の1つに変形の程度を静特性解析したものであり、図8は、補強構造部が適用されていない一般的な空気圧のタイヤを静特性解析したものである。
【0081】
図7及び図8に示されたように、補強構造部120の適用を介してねじれのときに、変形の程度が空気圧タイヤで示されたものと類似した接地形状を示していることが分かる。
【0082】
【表1】
【0083】
図7図8及び表1を参照すると、本発明の第2の実施例による補強構造部120を適用した非空気入りタイヤ100の場合には、比較例に比べ静特性の性能が向上したことを確認しており、周方向にのみ位置した補強材に比べ小幅の制動性能が向上したことを確認した。
【0084】
前述した本発明の説明は、例としてのためのものであり、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須的特徴を変更せずに、他の具体的な形態に容易に変形が可能であることが理解できよう。したがって、以上で記述した実施形態は、すべての面で例としてのものであり、限定的ではないものと理解しなければならない。例えば、単一形で説明されている各コンポーネントは、分散されて実施されることもあり、同様に分散されたものと説明されているコンポーネントも結合された形態で実施される。
【0085】
本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導き出されるすべての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0086】
100:非空気入りタイヤ
110:トレッド部
111:トレッド
112:トレッド溝
120:補強構造部
121:第1のコード
122:第2のコード
123:エラストマー層
130:スポーク部
131:上部スポーク
132:下部スポーク
140:リム部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8