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特許7191144気密端子およびその気密端子を用いた接点装置
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  • 特許-気密端子およびその気密端子を用いた接点装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】気密端子およびその気密端子を用いた接点装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/14 20060101AFI20221209BHJP
【FI】
H01H50/14 B
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021038967
(22)【出願日】2021-03-11
(65)【公開番号】P2021153045
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2020047810
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】300078431
【氏名又は名称】ショット日本株式会社
(72)【発明者】
【氏名】間宮 興
(72)【発明者】
【氏名】森川 哲志
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-069144(JP,A)
【文献】特開2010-062140(JP,A)
【文献】特開2015-130260(JP,A)
【文献】特開2002-242802(JP,A)
【文献】実開昭55-087652(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 45/00 - 45/14
H01H 50/00 - 50/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通孔を有する金属容器と、前記通孔に挿通したパイプリードと、前記金属容器と前記パイプリードとを封着する絶縁材と、前記パイプリードを貫通し前記パイプリードに固着した低抵抗金属からなる端子台とを備え、前記端子台は、少なくとも胴部と頭部とからなり、さらに前記頭部は固定部を有し、この固定部は、螺旋締結のための貫通孔からなり前記固定部の軸は、前記胴部の軸と同軸に配置されていないことを特徴とした気密端子。
【請求項2】
前記端子台は、低抵抗金属からなる請求項1に記載の気密端子。
【請求項3】
前記端子台は、銅、アルミニウムまたは銅系合金、アルミニウム系合金からなる請求項1または請求項2に記載の気密端子。
【請求項4】
前記絶縁材は、ガラスまたはエポキシ樹脂からなる請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の気密端子。
【請求項5】
前記頭部は、端子台のアウタ側に設けられた請求項1ないし請求項4の何れか1つに記載の気密端子。
【請求項6】
前記頭部は、端子台を延伸させて設けた請求項1ないし請求項5の何れか1つに記載の気密端子。
【請求項7】
前記頭部は、平板状に設けられた請求項1ないし請求項6の何れか1つに記載の気密端子。
【請求項8】
前記頭部は、所望の角度に折り曲げられたことを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れか1つに記載の気密端子。
【請求項9】
前記固定部は、貫通孔、非貫通穴、螺旋孔または螺旋穴、ノッチ、突起、凸状部の何れか1つ以上で構成された請求項1ないし請求項8の何れか1つに記載の気密端子。
【請求項10】
前記固定部の中心軸は、前記胴部の中心軸と直交するように設けられた請求項1ないし請求項9の何れか1つに記載の気密端子。
【請求項11】
前記胴部の中心軸と前記固定部の中心軸とが異なる方向に配置された請求項1ないし請求項9の何れか1つに記載の気密端子。
【請求項12】
前記固定部は、前記胴部の中心軸と隔離した位置で外部装置に固定できるように配置された請求項1ないし請求項9の何れか1つに記載の気密端子。
【請求項13】
電磁石装置によって接点装置を開閉する電磁継電器において、少なくとも、通孔を設けた金属容器と、前記通孔に挿通したパイプリードと、このパイプリードと前記金属容器とを封着する絶縁材と、前記パイプリードを貫通し前記パイプリードに固着した端子台と、この端子台に支持された固定接点と、前記金属容器の開口部周縁を覆って密閉する蓋体と、この蓋体を貫通したシャフトに支持された可動接触子と、この可動接触子に設けられた可動接点を備え、前記端子台は、少なくとも胴部と頭部とからなり、さらに前記頭部は固定部を有し、この固定部は、螺旋締結のための貫通孔からなり前記固定部の軸は、前記胴部の軸と同軸に配置されていないことを特徴とした接点装置。
【請求項14】
前記端子台は、低抵抗金属からなる請求項13に記載の接点装置。
【請求項15】
前記端子台は、銅、アルミニウムまたは銅系合金、アルミニウム系合金からなる請求項13または請求項14に記載の接点装置。
【請求項16】
前記絶縁材は、ガラスまたはエポキシ樹脂からなる請求項13ないし請求項15の何れか1つに記載の接点装置。
【請求項17】
前記頭部は、端子台のアウタ側に設けられた請求項13ないし請求項16の何れか1つに記載の接点装置。
【請求項18】
前記頭部は、端子台を延伸させて設けた請求項13ないし請求項17の何れか1つに記載の接点装置。
【請求項19】
前記頭部は、平板状に設けられた請求項13ないし請求項18の何れか1つに記載の接点装置。
【請求項20】
前記頭部は、所望の角度に折り曲げられたことを特徴とする請求項13ないし請求項19の何れか1つに記載の接点装置。
【請求項21】
前記固定部は、貫通孔、非貫通穴、螺旋孔または螺旋穴、ノッチ、突起、凸状部の何れか1つ以上で構成された請求項13ないし請求項20の何れか1つに記載の接点装置。
【請求項22】
前記固定部の中心軸は、前記胴部の中心軸と直交するように設けられた請求項13ないし請求項21の何れか1つに記載の接点装置。
【請求項23】
前記胴部の中心軸と前記固定部の中心軸とが異なる方向に配置された請求項13ないし請求項22の何れか1つに記載の接点装置。
【請求項24】
前記固定部は、前記胴部の中心軸と隔離した位置で外部装置に固定できるように配置された請求項13ないし請求項23の何れか1つに記載の接点装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高電気容量のリレー装置に搭載される気密端子を含む気密端子全般およびその気密端子を用いたリレー用接点装置を含む気密端子を有するリレー装置全般に関する。
【背景技術】
【0002】
国内外の自動車メーカは、地球温暖化などの環境問題への対策として、ハイブリッド車(以下、HEVと略記)を実用化し、現在、大型車やRV車などにも展開されている。さらに、電気自動車(以下、EVと略記)の開発も活発化している。HEVやEVは、大きなモータ出力を要し、搭載されるバッテリーも高容量のものとなる。このためHEVやEVを安定かつ効率的に駆動させるには、高性能な高容量リレーが不可欠である。車載用の高容量リレーは、限られたスペースに取り付けるため小型軽量化が要求される。またリレーの通電性能を向上させるため、通電部分に低抵抗金属を用いながらも連続通電時の温度上昇を極力抑制する必要がある。さらに車載部品のため、過酷な振動や温度負荷に耐える頑健性、信頼性も求められる。
【0003】
このようなリレーとして、例えば、特許文献1に記載される電磁継電器がある。この電磁継電器は、第1の励磁コイルと可動子と第1の固定子とを有し、第1の励磁コイルへの通電時に生じる磁束によって第1の固定子に可動子を吸引し、この可動子を第2の位置から第1の位置へ移動させる電磁石装置と、固定接点および可動接点を有し、可動子の移動に伴って可動接点が移動することにより、可動子が第1の位置にあるときに可動接点が固定接点に接触する閉状態となり、可動子が第2の位置にあるときおよび第3の位置にあるときに可動接点が固定接点から離れた開状態となる接点装置と、接点装置と直列に接続された第2の励磁コイルを有し、可動子が第1の位置にある状態で接点装置を通して流れる規定値以上の異常電流により第2の励磁コイルで生じる磁束によって、可動子を第3の位置へ移動させるトリップ装置とを備え、接点装置と電磁石装置とトリップ装置とは一方向に並べて配置されており、トリップ装置は、電磁石装置に対して接点装置とは反対側に配置されている。
【0004】
このような車載用の高電気容量のリレーを構成する接点装置には、従来から、接点オフ時に発生するアークを迅速に消弧するために、固定接点および可動接点が配置された空間を構成し、該空間内に消弧性ガス(絶縁性ガス)を充填した接点装置が使用されている。例えば、特許文献2に記載の接点装置は、ハウジング、連結体、プレート、プランジャキャップを接合して、固定接点および可動接点を収容する空間を形成している。すなわち、接点装置は、ハウジング、連結体、プレート、プランジャキャップで囲まれる空間を設け、この空間には水素を主成分とする消弧性ガスが密封されている。
【0005】
接点装置には、特許文献3に記載されるような気密端子を有する金属容器に収容されたものがあり、その接点装置は、電磁石装置によって接点装置を開閉する電磁継電器であって、通孔を有する金属容器と、この通孔に挿通したパイプリードと、該金属容器とパイプリードとを封着する絶縁ガラスと、パイプリードを貫通し該パイプリードに固着した低抵抗金属からなる端子台と、該端子台に支持された固定接点と、金属容器の開口部周縁を覆って密閉する蓋体と、この蓋体を貫通したシャフトに支持された可動接触子と、可動接触子に設けられた可動接点から構成されている。この接点装置に含まれる気密端子は、通孔を有する金属容器と、この通孔に挿通したパイプリードと、該金属容器とパイプリードとを封着する絶縁ガラスと、パイプリードを貫通し該パイプリードに固着した低抵抗金属からなる端子台とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-046377号公報
【文献】特開2015-049939号公報
【文献】特開2017-069144号公報
【文献】特開2014-017086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の接点装置の端子台には、特許文献4の端子台(固定端子33)に示されるように端子台の外端頭部に外部装置と電気接続を図るための螺旋穴がこの端子の軸方向に同軸に設けられている。この螺旋穴に外部配線をボルトで締結して電気接続されるが、螺旋穴は気密端子の絶縁ガラスの封止孔と同軸に配置されており、螺旋止めの回転トルクが直にガラス封止部に掛かってしまう構成となっているため、端子台に外部装置を締結および電気接続する際に絶縁ガラスが破損してしまう恐れがあった。
【0008】
本発明の目的は、上記課題を解消するため提案するものであり、高電気容量のリレー(高電気容量の電磁継電器)に用いられる接点装置において、より気密性の高い接点装置を実現する気密端子および該気密端子を適用したリレー用接点装置を実現し、併せて従来構成に起因する絶縁材の頑健性を向上することにある。また、これと同時に気密信頼性に係る問題も解決できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、通孔を有する金属容器と、この通孔に挿通したパイプリードと、該金属容器とパイプリードとを封着する絶縁材と、パイプリードを貫通し該パイプリードに固着した低抵抗金属からなる端子台とを備え、前記端子台は、少なくとも胴部と頭部とからなり、さらにこの頭部は固定部を有し、固定部の軸は、胴部の軸と同軸に配置されていないことを特徴としたリレー用気密端子が提供される。例えば、上記固定部は、端子台の棒状胴部のアウタ部(金属容器の外側に配置される端子台の部分)の少なくとも一部を頭部として、この頭部の軸の側面に貫通孔や非貫通穴または突起等を設けて固定部とする。あるいは、端子台の棒状胴部のアウタ部(金属容器の外側に配置される端子台の部分)の少なくとも一部を延伸させて頭部とし、その側面に貫通孔や非貫通穴または突起等を設けて、これを固定部とすると、固定部は、棒状胴部の軸と同軸に配置されていないため、端子台の軸方向と端子台の螺旋締結の回転軸とが異なる位置または方向に配置され、この気密端子と外部装置とを固定する際に、螺旋締結の回転トルクなどの応力が絶縁材に負荷されないようになる。
【0010】
さらに、本発明によれば、電磁石装置によって接点装置を開閉する電磁継電器において、その接点装置に前記リレー用気密端子を用いたリレー用接点装置が提供される。すなわち、電磁石装置によって接点装置を開閉する電磁継電器において、通孔を有する金属容器と、この通孔に挿通したパイプリードと、該金属容器とパイプリードとを封着する絶縁材と、パイプリードを貫通し該パイプリードに固着した低抵抗金属からなる端子台と、該端子台に支持された固定接点と、金属容器の開口部周縁を覆って密閉する蓋体と、この蓋体を貫通したシャフトに支持された可動接触子と、可動接触子に設けられた可動接点とを備え、前記端子台は、少なくとも胴部と頭部とからなり、さらにこの頭部は固定部を有し、固定部の軸は、胴部の軸と同軸に配置されていないことを特徴とするリレー用接点装置が提供される。例えば、上記固定部は、端子台の棒状胴部のアウタ部(金属容器の外側に配置される端子台の部分)の少なくとも一部を頭部として、この頭部の軸の側面に貫通孔や非貫通穴または突起等を設けて固定部とする。あるいは、端子台の棒状胴部のアウタ部(金属容器の外側に配置される端子台の部分)の少なくとも一部を延伸させて頭部とし、その側面に貫通孔や非貫通穴または突起等を設けて、これを固定部とすると、固定部は、棒状胴部の軸と同軸に配置されないようになるため、端子台の軸方向と端子台の螺旋締結の回転軸とが異なる位置または方向に配置され、この接点装置と外部装置とを固定する際に、螺旋締結の回転トルクなどの応力が絶縁材に負荷されないようになる。
【0011】
本発明に係る固定部は、気密端子および接点装置が外部装置の電極端子部と固定できればよく、何れの形状や固定手段を用いてもよい。例えば、螺旋締結のための貫通孔、非貫通穴、螺旋孔または螺旋穴、ノッチ、突起、凸状部などの何れか1つ以上で構成されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、気密端子および接点装置の頑健性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るリレー用気密端子10を示し、(a)は平面図を、(b)は正面図および(a)のD-D線に沿って切断した部分断面図を、(c)は下面図を示し、(d)は端子台15の投影図を示す。
図2】本発明に係るリレー用気密端子20を示し、(a)は平面図を、(b)は正面図および(a)のD-D線に沿って切断した部分断面図を、(c)は下面図を示し、(d)は端子台25の投影図を示す。
図3】発明に係るリレー用接点装置30を示し、(a)は閉状態の正面図であり左側端子台35の部分を除く断面図を示し、(b)は開状態の正面断面図を示す。
図4】本発明に係るリレー用接点装置30の接続例を示した正面断面図である。
図5】本発明に係るリレー用接点装置40を示し、(a)は閉状態の正面図であり左側端子台35の部分を除く断面図を示し、(b)は開状態の正面断面図を示す。
図6】本発明に係るリレー用接点装置40の接続例を示した正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のリレー用気密端子および、該気密端子を用いたリレー用接点装置について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
本発明に係るリレー用気密端子10は、図1に示すように、通孔11を有する鉄または鉄系合金製の金属容器12と、この通孔11に挿通した鉄または鉄系合金からなるパイプリード13と、金属容器12とパイプリード13とを封着するガラスまたはエポキシ樹脂製の絶縁材14と、パイプリード13を貫通しパイプリード13に固着した銅、アルミニウムまたは銅系合金、アルミニウム系合金などの低抵抗金属からなる端子台15とを備え、端子台15は、少なくとも胴部16と頭部17とからなり、さらに頭部17は固定部18を有し、固定部18の中心軸は、胴部16の中心軸と同軸に配置されていないことを特徴とする。固定部18は、端子台15の頭部17のアウタ側面(金属容器12の外側に配置された端子台15の側面部分)に胴部16の軸と直交するように設けられており、端子台15は、パイプリード13と取付けられている。気密端子10に外部装置を固定する際には、固定部18を用いて前記外部装置と締結できるようになっており、固定部17は、胴部16の中心軸と固定部18の中心軸とが直交するように取付けられるため、気密端子10と外部装置とを固定する際に、例えば螺旋締結の回転トルクなどの応力が絶縁材14に掛からないようになる。
【0016】
図1の例では、固定部18の内径中心軸が棒状の胴部16の軸と直交してあるが、固定部18の軸が、少なくとも棒状の胴部16の軸の中心と同軸配置となっていなければ事足りる。固定部18の形態が、孔状の場合にはその口径の中心軸が、突起状または凸状の場合は突起の中心軸が、胴部16の中心軸と同軸配置となっていなければよい。従って、本発明に係る固定部18は、固定部18を構成する軸の中心が胴部16の軸と異なる位置に配置されるか、または軸の方向が異なるように配置されていれば何れの形態であってもよい。
【0017】
例えば、図2に示す本発明に係るリレー用気密端子20は、通孔21を有する鉄または鉄系合金製の金属容器22と、通孔21に挿通した鉄または鉄系合金からなるパイプリード23と、金属容器22とパイプリード23とを封着するガラスまたはエポキシ樹脂製の絶縁材24と、パイプリード23を貫通しパイプリード23に固着した銅、アルミニウムまたは銅系合金、アルミニウム系合金などの低抵抗金属からなる端子台25とを備え、端子台25は、少なくとも胴部26と頭部27とを有し、さらに頭部27は固定部28を有し、固定部28の中心軸は、胴部26の中心軸と同軸に配置されていないことを特徴とする。固定部28は、端子台25の胴部26のアウタ側(金属容器22の外側に配置された端子台25の部分)を延伸させて設けた頭部27の側面に設けられており、さらに端子台25は、パイプリード23と取付けられている。気密端子20と外部装置とを固定する際には、延伸させた頭部27を所望の形に折り曲げて取付けることができ、頭部27の側面に設けた固定部28を用いて、図6に示されるように胴部26の軸と隔離した位置で外部装置700に固定できる。これにより、例えば螺旋締結の回転トルクなどの応力が絶縁材24に掛からないようになる。
【0018】
本発明に係るリレー用接点装置30は、図3に示すように、上述のリレー用気密端子10を利用したリレー用接点装置であって、電磁石装置300によって接点装置を開閉する電磁継電器において、少なくとも、通孔31を設けた鉄または鉄系合金製の金属容器32と、通孔31に挿通した鉄または鉄系合金からなるパイプリード33と、このパイプリード33と金属容器32とを封着するガラスまたはエポキシ樹脂製の絶縁材34と、パイプリード33を貫通しパイプリード33に固着した銅、アルミニウムまたは銅系合金、アルミニウム系合金などの低抵抗金属からなる端子台35と、端子台35に支持された固定接点310と、金属容器32の開口部周縁を覆って密閉する鉄または鉄系合金製の蓋体320と、蓋体320を貫通したシャフト330に支持された可動接触子340と、可動接触子340に設けられた可動接点350を備え、端子台35は、少なくとも胴部36と頭部37とからなり、さらに頭部37は側面に固定部38を有し、固定部38の中心軸は、胴部36の中心軸と同軸に配置されていないことを特徴とする。固定部38は、端子台35の頭部37のアウタ側面(金属容器32の外側に配置された端子台35の側面部分)に胴部36の軸と直交するように設けられており、端子台35は、パイプリード33と取付けられている。図4に示すように、接点装置30に外部装置700を固定する際には、固定部38にバスバー360を用いて外部装置700と固定できるように配置されている。これにより胴部36の中心軸と固定部38の中心軸とが直交して取付けられるため、端子台35の軸方向と端子台35の固定軸とが異なった方向に配置されている。これにより、接点装置30と外部装置700とを固定する際に、例えば螺旋締結の回転トルクなどの応力が絶縁材34に掛からないようになる。
【0019】
本発明に係るリレー用接点装置40は、図5に示すように上述のリレー用気密端子20を利用したリレー用接点装置である。すなわち、電磁石装置400によって接点装置を開閉する電磁継電器において、少なくとも、通孔41を設けた鉄または鉄合金製の金属容器42と、通孔41に挿通した鉄または鉄系合金からなるパイプリード43と、このパイプリード43と金属容器42とを封着するガラスまたはエポキシ樹脂製の絶縁材44と、パイプリード43を貫通しパイプリード43に固着した銅、アルミニウムまたは銅系合金、アルミニウム系合金などの低抵抗金属からなる端子台45と、端子台45に支持された固定接点410と、金属容器42の開口部周縁を覆って密閉する鉄または鉄系合金製の蓋体420と、蓋体420を貫通したシャフト430に支持された可動接触子440と、可動接触子440に設けられた可動接点450を備え、端子台45は、少なくとも胴部46と頭部47とを有し、さらに頭部47は側面に固定部48を有し、固定部48の中心軸は、胴部46の中心軸と同軸に配置されていないことを特徴とする。固定部48は、端子台45の胴部46のアウタ側(金属容器42の外側に配置された端子台45の部分)を延伸させて設けた頭部47に設けられている。端子台45は、パイプリード43と取付けられている。頭部47は、図6に示すように、所望の角度に折り曲げることができ、その外端部に近い位置に固定部48が設けられている。接点装置40と外部装置700とを固定する際には、固定部48を用いて胴部46の軸とは隔離した位置で外部装置700に固定できるように配置されている。これにより接点装置40に外部装置700を固定するときに、例えば螺旋締結の回転トルクなどの応力が絶縁材44に掛からないようになる。
【0020】
本発明に係る固定部は、気密端子および接点装置が外部装置の電極端子部と固定できればよく、何れの形状や固定手段を用いてもよい。例えば、螺旋締結のための貫通孔、非貫通の穴、螺旋孔、螺旋穴、ノッチ、突起、凸状の部分などの何れか1つ以上で構成されてもよい。
【0021】
本発明に係るリレー用接点装置は、さらに必要に応じて金属容器および蓋体の内壁面に、耐熱性や絶縁性を強化する目的で耐熱絶縁材を装着または耐熱絶縁材のライニングを設けてもよい。
【実施例
【0022】
本発明に係る実施例1のリレー用気密端子10は、図1に示すように、通孔11を有する鉄製の金属容器12と、この通孔11に挿通したFe-Ni合金からなるパイプリード13と、金属容器12とパイプリード13とを気密に封着するソーダバリウムガラスの絶縁材14と、パイプリード13を貫通し該パイプリード13に気密に固着した銅合金からなる端子台15とを備え、端子台15は、円柱状の胴部16と平板状の頭部17とからなり、さらに頭部17に貫通孔からなる固定部18とを有し、固定部18の内径中心軸は、胴部16の外径中心軸と同軸に配置されていないことを特徴とする。固定部18を構成する貫通孔は、端子台15の頭部17のアウタ側面に棒状胴部16の軸と直交するように設けられており、端子台15は、筒状底部に通孔を設けた形状を有するパイプリード13に挿通した状態でロウ材を用いて気密に取付けられている。気密端子10と外部装置とを固定する際には、貫通孔を用いて前記外部装置と締結できるように配置されている。これにより固定部18は、棒状胴部16の中心軸と貫通孔の中心軸とが直交して配置されるため、端子台15の軸方向と端子台15の螺旋締結の回転軸とが異なった方向に配置されており、気密端子10と外部装置とを固定する際に螺旋締結の回転トルクが絶縁材14に掛からないようになる。平板状の頭部27は電気接続の接触抵抗を低減できる利点がある。
【0023】
本発明に係る実施例2のリレー用気密端子20は、図2に示すように、通孔21を有するステンレス鋼の金属容器22と、この通孔21に挿通したFe-Ni合金からなるパイプリード23と、金属容器22とパイプリード23とを気密に封着するソーダバリウムガラスの絶縁材24と、パイプリード23を貫通しパイプリード23に気密に固着した銅からなる端子台25とを備え、端子台25は、円柱状の胴部26と平板状に延伸させて設けた頭部27とを有し、さらに頭部27に貫通孔からなる固定部28とを有し、固定部28は、棒状胴部26の軸と同軸に配置されていないことを特徴とする。固定部28を構成する貫通孔は、端子台25の棒状胴部26のアウタ側を延伸させて平板状に設けた頭部27を貫通して設けられており、端子台25は、筒状底部に通孔を設けた形状を有するパイプリード23に挿通した状態でロウ材を用いて気密に取付けられている。板状に延伸させたアウタ側の頭部27は、所望の角度に折り曲げることができ、その外端部に近い側面に固定部28を設けている。気密端子20と外部装置とを固定する際には、固定部28を用いて棒状胴部26の軸とは隔離した位置で外部装置700に締結できるように配置されており、螺旋締結の回転トルクが絶縁材24に掛からないようになる。延伸させた平板状の頭部37は、電気接続の接触抵抗を低減することの他に、所望方向の曲げ加工を容易にし、所望方向以外への屈曲を防止する効果がある。またバスバーも省略できるので部品点数と組立工数の削減に寄与する。
【0024】
本発明に係る実施例3のリレー用接点装置30は、図3に示すように、電磁石装置300によって接点装置を開閉する電磁継電器において、通孔31を設けたステンレス鋼の金属容器32と、通孔31に挿通したFe-Ni合金からなるパイプリード33と、パイプリード33と金属容器32とを気密に封着するソーダバリウムガラスの絶縁材34と、パイプリード33を貫通しパイプリード33に気密に固着した銅合金からなる端子台35と、端子台35に支持された固定接点310と、金属容器32の開口部周縁を覆って密閉するFe-Ni合金製の蓋体320と、蓋体320を貫通しかつバネによる弾発力が発揮できるように取付けられたシャフト330に支持された可動接触子340と、可動接触子340に設けられた可動接点350を備え、端子台35は、円柱状の胴部36と平板状の頭部37とからなり、さらに頭部37に貫通孔からなる固定部38とを有し、固定部38の内径中心軸は、胴部36の外径中心軸と同軸に配置されていないことを特徴とする。固定部38を構成する貫通孔は、端子台35の頭部37のアウタ側面に棒状胴部36の軸と直交するように設けられており、端子台35は、筒状底部に通孔を設けた形状を有するパイプリード33にロウ材を用いて気密に取付けられている。図4に示すように、接点装置30に外部装置700を固定する際には、固定部38に螺旋370で締結して固定したバスバー360を介して外部装置700の電極部710と螺旋370により締結できるように配置されている。これにより胴部36の中心軸と固定部38の中心軸とが直交して取付けられるため、端子台35の軸方向と端子台35の螺旋締結の回転軸とが異なる方向に配置されている。これにより螺旋締結の回転トルクが絶縁材34に掛からないようになる。
【0025】
本発明に係る実施例4のリレー用接点装置40は、図5に示すように、電磁石装置400によって接点装置を開閉する電磁継電器において、通孔41を設けた鉄製の金属容器42と、通孔41に挿通したFe-Ni合金からなるパイプリード43と、パイプリード43と金属容器42とを気密に封着するソーダバリウムガラスの絶縁材44と、パイプリード43を貫通しパイプリード43に気密に固着した銅からなる端子台45と、端子台45に支持された固定接点410と、金属容器42の開口部周縁を覆って密閉するFe-Ni合金製の蓋体420と、蓋体420を貫通しかつバネによる弾発力が発揮できるように取付けられたシャフト430に支持された可動接触子440と、可動接触子440に設けられた可動接点450を備え、端子台45は、円柱状の胴部46と平板状の頭部47とを有し、さらに頭部47に貫通孔からなる固定部48とを有し、固定部48は、棒状胴部46の軸と同軸に配置されていないことを特徴とする。固定部48を構成する貫通孔は、端子台45の棒状胴部46のアウタ側を板状に延伸させて設けた板状の頭部47を貫通して設けられており、端子台45は、筒状底部に通孔を設けた形状を有するパイプリード43にロウ材を用いて気密に取付けられている。板状に延伸させたアウタ側の頭部47は、所望の角度に折り曲げることができ、その外端部に近い側面に固定部48を設けている。図6に示すように、接点装置40と外部装置700とを固定する際には、頭部47を折り曲げることで、バスバーが無くても固定部38と外部装置700の電極部710とを螺旋470により直接締結して固定できるようになる。固定部48は、棒状胴部46の軸と隔離した位置で外部装置700に固定できるように配置されているので、螺旋締結の回転トルクが絶縁材44に掛からないようになる。
【0026】
上述した各実施例の固定部は、貫通孔に替えて頭部の側面に突起を設けて、この突起を用いて外部装置700と接続できるように変形することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、HEVやEV等の車載用システムメインリレー装置に搭載される気密端子を含む気密端子全般およびHEVやEV等に搭載されるシステムメインリレーを含むリレー装置全般に利用できる。
【符号の説明】
【0028】
気密端子10、通孔11、金属容器12、パイプリード13、絶縁材14、端子台15、胴部16、頭部17、固定部18、気密端子20、通孔21、金属容器22、パイプリード23、絶縁材24、端子台25、胴部26、頭部27、固定部28、接点装置30、通孔31、金属容器32、パイプリード33、絶縁材34、端子台35、胴部36、頭部37、固定部38、電磁石装置300、固定接点310、蓋体320、シャフト330、可動接触子340、可動接点350、バスバー360、螺旋370、接点装置40、通孔41、金属容器42、パイプリード43、絶縁材44、端子台45、胴部46、頭部47、固定部48、電磁石装置400、固定接点410、蓋体420、シャフト430、可動接触子440、可動接点450、螺旋470、外部装置700、電極部710。
図1
図2
図3
図4
図5
図6