(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】光電変換装置、積層用基板及びカメラ
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20221209BHJP
【FI】
H01L27/146 F
(21)【出願番号】P 2021041641
(22)【出願日】2021-03-15
(62)【分割の表示】P 2016131041の分割
【原出願日】2016-06-30
【審査請求日】2021-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 孝教
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 和宏
(72)【発明者】
【氏名】領木 達也
(72)【発明者】
【氏名】山崎 善一
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-006561(JP,A)
【文献】特開2013-038112(JP,A)
【文献】特開2012-256736(JP,A)
【文献】特開2009-170448(JP,A)
【文献】特開2012-244101(JP,A)
【文献】特開2013-168419(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0193940(US,A1)
【文献】特開2014-107448(JP,A)
【文献】特開2011-204797(JP,A)
【文献】特開2012-015276(JP,A)
【文献】特開2014-220653(JP,A)
【文献】特開2012-015277(JP,A)
【文献】特開2012-015274(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0106027(US,A1)
【文献】特開2013-084991(JP,A)
【文献】特開2014-041972(JP,A)
【文献】特開2012-164870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが光電変換素子を含む複数の画素が配された第1半導体領域と、
前記光電変換素子で生じた電荷に基づく信号を処理する信号処理回路、および、前記複数の画素へ制御信号を供給する制御回路の少なくとも一方を含む回路が配された第2半導体領域と、
それぞれ
が互いに接触した2つの導電部を含み、かつ、前記複数の画素の少なくとも1つと前記回路とを電気的に接続する、複数の接続部と、を備え、
前記第1半導体領域、前記複数の接続部の1つに含まれる前記2つの導電部、および、前記第2半導体領域が第1方向に沿ってこの順に並び、
複数の接続部に含まれる第1個数の第1の接続部が第1電気ノードを構成し、
複数の接続部に含まれる前記第1個数とは異なる
2以上の第2個数の第2の接続部が、前記第1電気ノードとは電気的に分離された第2電気ノードを構成
し、
前記複数の画素は、前記第2電気ノードを介して前記制御信号を供給される
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記回路は前記信号処理回路を含み、
前記複数の画素のそれぞれは、前記光電変換素子で生じた電荷に基づく信号を受けるゲートを有するトランジスタを含み、
前記第1電気ノードは、前記トランジスタと前記信号処理回路との間の信号経路に含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記回路は前記制御回路を含み、
前記第2電気ノードは、前記複数の画素の1つと前記制御回路との間の信号経路に含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記回路は前記信号処理回路および前記制御回路を含み、
前記複数の画素のそれぞれは、前記光電変換素子で生じた電荷に基づく信号を受けるゲートを有するトランジスタを含み、
前記第1電気ノードは、前記トランジスタと前記信号処理回路との間の信号経路に含まれ、
前記第2電気ノードは、前記複数の画素の1つと前記制御回路との間の信号経路に含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記複数の画素のそれぞれは、前記制御回路から供給される前記制御信号を受けるゲートを有するトランジスタを含み、
前記第
2電気ノードは、前記トランジス
タと前記制御回路との間の信号経路に含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記トランジスタは、前記光電変換素子で生じた電荷を転送する転送トランジスタである
ことを特徴とする請求項5に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記第1個数が前記第2個数より少ない
ことを特徴とする請求項2乃至
6の何れか1項に記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記複数の接続部は、前記第1方向に交差する第2方向に並んだ少なくとも2つの前記第1の接続部を含み、
前記少なくとも2つの前記第1の接続部の間に、絶縁部材が配されている、
ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記複数の接続部は、前記第1方向に交差する第2方向に並んだ少なくとも2つの前記第2の接続部を含み、
前記少なくとも2つの前記第2の接続部の間に、絶縁部材が配されている、
ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記複数の接続部のそれぞれは、前記接続部と前記第1半導体領域との間に配され、前記2つの導電部の一方に接する第1プラグと、前記接続部と前記第2半導体領域との間に配され、前記2つの導電部の他方に接する第2プラグと、を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の光電変換装置。
【請求項11】
前記複数の接続部と前記第1半導体領域との間に配され、前記複数の接続部の少なくとも1つと前記複数の画素の少なくとも1つとを電気的に接続する第1導電パタンと、
前記複数の接続部と前記第2半導体領域との間に配され、前記複数の接続部の少なくとも1つと前記回路とを電気的に接続する第2導電パタンと、を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記信号処理回路は、前記光電変換素子で生じた電荷に基づく信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換回路を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の光電変換装置。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置によって得られた信号を処理する信号処理部と、
を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項14】
積層用の基板であって、
光電変換素子で生じた電荷に基づく信号を処理するための信号処理回路、および、前記光電変換素子を含む画素へ制御信号を供給する制御回路の少なくとも一方を含む回路と、
それぞれが前記基板の表面を成す複数の導電部と、を備え、
複数の導電部に含まれる第1個数の第1の導電部が第1電気ノードを構成し、
複数の導電部に含まれる前記第1個数とは異なる
2以上の第2個数の第2の導電部が、前記第1電気ノードとは電気的に分離され
、前記画素へ前記制御信号を供給する第2電気ノードを構成する、
ことを特徴とする積層用の基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置、積層用基板及びカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2つの基板を重ねることによって構成された撮像装置が提案されている。それぞれの基板の一方の面にはパッドが形成されており、両方の基板のパッド同士が接触することによって、一方の基板に形成された回路と他方の基板に形成された回路とが互いに電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、パッド及び配線層の平面レイアウトについて記載されていない。本発明は、2つの基板が重なった光電変換装置における新規な平面レイアウトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑みて、それぞれが光電変換素子を含む複数の画素が配された第1半導体領域と、前記光電変換素子で生じた電荷に基づく信号を処理する信号処理回路、および、前記複数の画素へ制御信号を供給する制御回路の少なくとも一方を含む回路が配された第2半導体領域と、それぞれが互いに接触した2つの導電部を含み、かつ、前記複数の画素の少なくとも1つと前記回路とを電気的に接続する、複数の接続部と、を備え、前記第1半導体領域、前記複数の接続部の1つに含まれる前記2つの導電部、および、前記第2半導体領域が第1方向に沿ってこの順に並び、複数の接続部に含まれる第1個数の第1の接続部が第1電気ノードを構成し、複数の接続部に含まれる前記第1個数とは異なる2以上の第2個数の第2の接続部が、前記第1電気ノードとは電気的に分離された第2電気ノードを構成し、前記複数の画素は、前記第2電気ノードを介して前記制御信号を供給される、ことを特徴とする光電変換装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
上記手段により、2つの基板が重なった光電変換装置において、第1電気ノードを構成する接続部の数と、第2電気ノードを構成する接続部の数との関係が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一部の実施形態に係る撮像装置の構成例を説明するブロック図。
【
図2】
図1の撮像装置の単位セルの一例を説明する等価回路図。
【
図3】
図1の撮像装置の断面構造の一例を説明する図。
【
図4】
図1の撮像装置の一方の基板の平面レイアウトの一例を説明する図。
【
図5】
図1の撮像装置の他方の基板の平面レイアウトの一例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態について以下に説明する。様々な実施形態を通じて同様の要素には同一の参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、各実施形態は適宜変更、組み合わせが可能である。本発明は例えば固体撮像装置に適用されるが、他にも撮像以外を目的とする光電変換装置に適用可能である。本発明は、例えば、測距、光量測定などの用途にも用いることができる。以下では固体撮像装置を例に挙げて本発明の一部の実施形態について説明する。
【0009】
図1を参照して、本発明の一つの実施形態の固体撮像装置100の構成例について説明する。固体撮像装置100は、
図1(a)に示される基板S1と
図1(b)に示される基板S2とを重ね合わせることによって構成される。基板S1は画素アレイ10を含む。画素アレイ10には、所定の面に沿って配置された複数の単位セルUNTを有する。複数の単位セルUNTは、複数の行および複数の列を構成するように配置される。画素アレイ10は、第1グループ(例えば奇数列)を構成する複数の単位セルUNTおよび第2グループ(例えば偶数列)を構成する複数の単位セルUNTを含みうる。複数の単位セルUNTの各々は、光電変換素子を含む。よって、画素アレイ10は、第1グループを構成する複数の光電変換素子および第2グループを構成する複数の光電変換素子を含みうる。
【0010】
基板S2は、例えば、AD変換回路(ACDU)31、32と、パラレルシリアル変換回路(PSD)41、42と、垂直走査回路20と、処理回路(DSP)70と、タイミング発生回路(TG)80と、クロック発生回路(CGEN)90とを含む。
【0011】
AD変換回路31は、画素アレイ10の第1グループを構成する複数の単位セルUNTから出力される複数の信号をそれぞれAD変換して複数のデジタル信号を生成する。AD変換回路32は、画素アレイ10の第2グループを構成する複数の単位セルUNTから出力される複数の信号をそれぞれAD変換して複数のデジタル信号を生成する。
【0012】
パラレルシリアル変換回路41は、AD変換回路31からの複数のデジタル信号をパラレルシリアル変換してシリアル信号を出力する。パラレルシリアル変換回路42は、AD変換回路32からの複数のデジタル信号をパラレルシリアル変換してシリアル信号を出力する。パラレルシリアル変換回路41、42は、水平走査回路を含みうる。
【0013】
垂直走査回路20は、画素アレイ10の複数の行の転送トランジスタを駆動する制御信号を生成する駆動回路である。具体的には、垂直走査回路20は、画素アレイ10の複数の行にそれぞれ対応する複数の制御信号を所定の順で選択(活性化)する。垂直走査回路20は、例えば、シフトレジスタ等で構成される走査回路(SC)21と、走査回路21から出力される信号をバッファリングして複数の制御信号を生成するバッファ(BUF)22とを含みうる。
【0014】
処理回路(DSP)70は、デジタルシグナルプロセッサで構成され、パラレルシリアル変換回路41、42から供給されるシリアル信号を処理(例えば、ノイズ低減、色処理、補正、圧縮)する。タイミング発生回路(TG)80は、クロック発生回路(CGEN)90から供給されるクロック信号に基づいて、垂直走査回路20、AD変換回路31、32、パラレルシリアル変換回路41、42及び処理回路70を制御する制御信号を生成する。クロック発生回路90は、例えば、DLL(ディレイ・ロック・ループ)を含み、外部から供給されるクロック信号に同期したクロック信号を発生してタイミング発生回路80に供給する。
【0015】
図1(b)の破線10´は、基板S1と基板S2とを積層した場合の画素アレイ10の外周の位置を示す。
図1(b)に示されるように、画素アレイ10の少なくとも一部と処理回路70の少なくとも一部とが重っている。また、画素アレイ10の少なくとも一部とクロック発生回路90の少なくとも一部とが重なり合っている。
【0016】
続いて、
図2を参照して、
図1の単位セルUNTの詳細について説明する。
図2は、1つの単位セルUNTの等価回路図を示す。単位セルUNTは、2つの光電変換素子PD1、PD2と、2つの転送トランジスタTTX1、TTX2と、フローティングディフュージョンFDと、リセットトランジスタTRESと、増幅トランジスタTAMPとを有する。
【0017】
光電変換素子PD1は例えばフォトダイオードであり、入射した光に応じた電荷を発生し、蓄積する。この電荷に応じた値が、固体撮像装置100で得られる画像における画素を構成する。光電変換素子PD1は、転送トランジスタTTX1を通じてフローティングディフュージョンFDに接続される。転送トランジスタTTX1のゲートには、
図1の垂直走査回路20から制御信号φTx1が供給される。制御信号φTx1のレベルに応じて転送トランジスタTTX1のオン・オフが切り替わる。転送トランジスタTTX1がオンになると、光電変換素子PD1から電荷信号がフローティングディフュージョンFDに転送される。フローティングディフュージョンFDにおいて、電荷信号が電荷信号に変換される。光電変換素子PD2、転送トランジスタTTX2及び制御信号φTx2は、光電変換素子PD1、転送トランジスタTTX1及び制御信号φTx1と同様である。
図2の例では、2つの光電変換素子PD1、PD2がフローティングディフュージョンFDを共有する。これにかえて、各単位セルUNTにおいて、1つの光電変換素子のみが1つのフローティングディフュージョンFDに接続されてもよいし、3つ以上(例えば、4つ)の光電変換素子がフローティングディフュージョンFDを共有してもよい。
【0018】
フローティングディフュージョンFDはさらに、リセットトランジスタTRESを通じて電圧源Vdに接続される。リセットトランジスタTRESのゲートには、
図1の垂直走査回路20から制御信号φResが供給される。制御信号φResのレベルに応じてリセットトランジスタTRESのオン・オフが切り替わる。リセットトランジスタTRESがオンになると、電圧源Vdから供給される電圧によってフローティングディフュージョンFDの電圧がリセットされる。リセットトランジスタTRESがオフになると、フローティングディフュージョンFDの電圧がフローティング状態になる。
【0019】
フローティングディフュージョンFDはさらに、増幅トランジスタTAMPのゲートに接続される。増幅トランジスタTAMPの一方の主電極(例えば、ドレイン)は、電圧源Vdに接続される。増幅トランジスタTAMPの他方の主電極(例えば、ソース)は、信号線SIGに接続される。増幅トランジスタTAMPは、信号線SIGに接続された電流源(不図示)とともにソースフォロア回路を構成する。具体的に、増幅トランジスタTAMPは、光電変換素子PD1又は光電変換素子PD2からフローティングディフュージョンFDに転送された信号を増幅して信号線SIGに伝達する。リセットトランジスタTRESに供給される電圧は、VHと、VHよりも低い電位であるVLとを取りうる。VHが供給された状態でリセットトランジスタTRESがオンになると、フローティングディフュージョンFDの電位は相対的に高くなり、VLが供給された状態でリセットトランジスタTRESがオンになると、フローティングディフュージョンFDの電位は相対的に低くなる。相対的に電位が低い状態では画素が非選択状態となり、相対的に高い状態では画素が選択状態となる。このようにフローティングディフュージョンの電位を制御することで特定の画素を選択状態とすることができる。これにかえて、増幅トランジスタTAMPと信号線SIGとの間に選択トランジスタを配することで特定の画素を選択状態とするようにしてもよい。
【0020】
続いて、
図3を参照して、
図1の固体撮像装置100の断面構造について説明する。
図3は、固体撮像装置100のうち、単位セルUNTの構造と、転送トランジスタTTX1のゲートに信号を供給するための配線構造とに着目する。
図3(b)は、
図3(a)のうち破線301で囲まれた部分に着目した図であり、
図3(c)は、
図3(a)のうち破線302で囲まれた部分に着目した図である。
図3は、各要素の接続関係及び図面の上下方向の位置関係の説明を優先するために、後述する
図4の平面レイアウトには対応しない。基板S1の一方の面F1(
図3(a)で下側の面)と、基板S2の一方の面F2(
図3(a)で上側の面)とが向かい合うように基板S1と基板S2とが重なっている。
【0021】
基板S1は、半導体領域310と、絶縁体領域320とを含む。半導体領域310はシリコンなどの半導体で主に形成された領域である。半導体領域310は、素子分離領域(不図示)のような絶縁体の部分を含みうる。絶縁体領域320は、シリコン酸化物やシリコン窒化物などの絶縁体で主に形成された領域である。絶縁体領域320は、後述する導電パタンやプラグなどの導電体を含みうる。
【0022】
半導体領域310は、面F1に近い側に不純物領域311~314を含む。不純物領域311は、光電変換素子PD1を構成する。不純物領域312は、フローティングディフュージョンFDを構成する。不純物領域313は、リセットトランジスタTRESの一方の主電極(例えば、ドレイン)と、増幅トランジスタTAMPの一方の主電極(例えば、ドレイン)とを構成する。不純物領域314は、増幅トランジスタTAMPの他方の主電極(例えば、ソース)を構成する。固体撮像装置100は、基板S1のうち面F1とは反対側の面にマイクロレンズMLを有する。マイクロレンズMLは、
図3(a)の上側からの光を不純物領域311に集光する位置に配される。
【0023】
絶縁体領域320は、半導体領域310と絶縁体領域320との界面の近くにゲートG1~G3を含む。絶縁体領域320は、ゲートG1~G3と半導体領域310との間にゲート絶縁膜(不図示)を更に含む。ゲートG1は、転送トランジスタTTX1のゲートである。ゲートG2は、リセットトランジスタTRESのゲートである。ゲートG3は、増幅トランジスタTAMPのゲートである。
【0024】
絶縁体領域320は、複数の導電パタンWP1~WP4と、これらの導電パタンを互いに接続する複数のプラグとを更に含む。本実施形態で、絶縁体領域320は4つの導電パタンを含むが、導電パタンの数はこれよりも多くてもよいし少なくてもよい。導電パタンWP4は、複数の導電パタンWP1~WP4のうち面F1に最も近い導電パタンである。導電パタンWP3は、複数の導電パタンWP1~WP4のうち面F1に2番目に近い導電パタンである。
【0025】
基板S2は、半導体領域360と、絶縁体領域370とを含む。半導体領域360はシリコンなどの半導体で主に形成された領域である。半導体領域360は、素子分離領域(不図示)のような絶縁体の部分を含みうる。絶縁体領域370は、シリコン酸化物やシリコン窒化物などの絶縁体で主に形成された領域である。絶縁体領域370は、後述する導電パタンやプラグなどの導電体を含みうる。
【0026】
半導体領域360は、基板S2に形成される各回路のトランジスタの不純物領域などを含む。絶縁体領域370は、トランジスタのゲートと、複数の導電パタンWP5~WP9と、これらの導電パタンを互いに接続する複数のプラグとを更に含む。本実施形態で、絶縁体領域370は5つの導電パタンを含むが、導電パタンの数はこれよりも多くてもよいし少なくてもよい。導電パタンWP5は、複数の導電パタンWP5~WP9のうち面F2に最も近い導電パタンである。導電パタンWP6は、複数の導電パタンWP5~WP9のうち面F2に2番目に近い導電パタンである。
【0027】
続いて、
図3(b)を参照して、破線301で囲まれた部分について詳細に説明する。
図3(b)に示される部分は、
図1の垂直走査回路20からゲートG1(すなわち、転送トランジスタTTX1のゲート)へ供給される信号の伝送経路の一部を構成する。基板S1の絶縁体領域320は、導電部324及び導電部325を更に含む。導電部324及び導電部325はそれぞれ、基板S1の面F1の一部を構成する。本明細書で、導電パタンは基板の絶縁体領域の内部に形成されており、基板の外面の一部を構成する導電部は導電パタンではない。導電部321は、導電パタンWP4に含まれる。導電部321は、転送トランジスタTTX1のゲートG1に電気的に接続される。導電部321と導電部324とは、プラグ322によって互いに電気的に接続される。導電部321と導電部325とは、プラグ323によって互いに電気的に接続される。
【0028】
基板S2の絶縁体領域370は、導電部326及び導電部327を更に含む。導電部326及び導電部327はそれぞれ、基板S2の面F2の一部を構成する。導電部330は、導電パタンWP5に含まれる。導電部330には、垂直走査回路20からの信号が伝達される。導電部330と導電部326とは、プラグ328によって互いに電気的に接続される。導電部330と導電部327とは、プラグ329によって互いに電気的に接続される。
【0029】
導電部324と導電部326とは互いに接触しており、導電部324及び導電部326によって、2つの基板S1、S2を互いに電気的に接続するための1つの接続部が構成される。また、導電部325と導電部327とは互いに接触しており、導電部325及び導電部327によって、2つの基板S1、S2を互いに電気的に接続するための別の1つの接続部が構成される。
図3(b)に示されるように、導電部321と導電部330とは、分離した2つの接続部によって互いに電気的に接続される。導電部321と導電部330とを互いに電気的に接続する接続部は、1つであってもよいし、2つ以外の複数であってもよい。
【0030】
続いて、
図3(c)を参照して、破線302で囲まれた部分について詳細に説明する。
図3(c)に示される部分は、不純物領域314(すなわち、転送トランジスタTTX1のソース)から
図1の処理回路70へ供給される信号の伝送経路の一部を構成する。
【0031】
基板S1の絶縁体領域320は、導電部336を更に含む。導電部336は、基板S1の面F1の一部を構成する。導電部331は、導電パタンWP3に含まれる。導電部331は、不純物領域314に電気的に接続されており、光電変換素子PD1で生じた信号が伝達される。導電部334は、導電パタンWP4に含まれる。導電部331と導電部334とは、2つのプラグ332、333によって互いに接続される。導電部334と導電部336とは、プラグ335によって互いに接続される。
【0032】
基板S2の絶縁体領域370は、導電部337を更に含む。導電部337は、基板S2の面F2の一部を構成する。信号線339は、導電パタンWP5に含まれる。導電部337と信号線339とは、プラグ338によって互いに電気的に接続される。信号線339は、AD変換回路31に電気的に接続される。
【0033】
導電部336と導電部337とは互いに接触しており、導電部336及び導電部337によって、2つの基板S1、S2を互いに電気的に接続するための1つの接続部が構成される。
図3(c)に示される各導電部及びプラグは、増幅トランジスタTAMPの出力ノード(不純物領域314)と同一の電気ノードを構成する。
【0034】
続いて、
図4を参照して、
図1の固体撮像装置100の単位セルUNTの平面レイアウトの一例について説明する。
図4の各図は、基板S1の面F1に対する平面視におけるレイアウトを示す。不純物領域311~314、411、ゲートG1~G4は、
図4(a)に示すように配される。不純物領域411は光電変換素子PD2を構成する。ゲートG4は、転送トランジスタTTX2のゲートである。
図4(b)は、
図4(a)に導電部331、プラグ332、333を追加した図である。導電部331は、不純物領域312~314に重なるように配される。
図4(c)は、
図4(b)に導電部334を追加した図である。位置関係を明確にするために、導電部334の輪郭のみを示す。導電部334は、不純物領域312及び導電部331のそれぞれに重なるように配される。
【0035】
図4(d)は、
図4(c)に導電部336及びプラグ335を追加した図である。位置関係を明確にするために、導電部336及びプラグ335の輪郭のみを示す。導電部336は、不純物領域312、導電部331及び導電部334のそれぞれに重なるように配される。
【0036】
基板S1の面F1に対する平面視において、導電部336の面積は、導電部334の面積よりも小さく、導電部331のうち導電部334に重なる部分の面積よりも大きい。さらに、導電部334を
図4に示すものよりも大きくすることによって、基板S1の面F1に対する平面視において、導電部334の面積が導電部331の面積よりも大きくなるようにしてもよい。
【0037】
続いて、
図5を参照して、基板S2のうち、
図1の固体撮像装置100の単位セルUNTに対応する位置における平面レイアウトの一例について説明する。
図5の各図は、基板S2の面F2に対する平面視におけるレイアウトを示す。
図5(a)は、導電部337と、プラグ338と、導電パタンWP5に含まれる導電部との平面レイアウトを示す。導電パタンWP5に含まれる導電部は、信号線339、信号線502、接地線501及び接地線503を含む。信号線339には、列方向に並んだ複数の単位セルUNTのそれぞれの導電部331に電気的に接続される。そのため、信号線339には、複数の単位セルUNTの光電変換素子PD1、PD2で生じた信号が伝送される。接地線501及び接地線503には、接地電圧が供給される。
【0038】
図5(b)は、
図5(a)に導電部504、プラグ505及びプラグ506を追加した図である。導電部504は、導電パタンWP6に含まれる。プラグ505及びプラグ506はそれぞれ、導電部504と接地線501とを互いに電気的に接続する。
図5(b)に示されるように、導電部504は横方向に延在しており、複数の接地線501、503のそれぞれに電気的に接続される。
【0039】
上述の実施形態では、光電変換素子PD1、PD2、転送トランジスタTTX1、TTX2、リセットトランジスタTRES及び増幅トランジスタTAMPが基板S1に形成される。これに変えて、リセットトランジスタTRES及び増幅トランジスタTAMPのうち少なくとも一方が基板S1ではなく基板S2に形成されてもよい。
【0040】
上述の実施形態では、導電部336と導電部334とがプラグ335によって互いに接続される。これにかえて、プラグ335を用いずに導電部336と導電部334とが直接に接続(すなわち、接触)してもよい。プラグ322、323、328、329、338についても同様に省略可能である。
【0041】
以下、上記の各実施形態に係る固体撮像装置100の応用例として、この固体撮像装置100が組み込まれたカメラについて例示的に説明する。カメラの概念には、撮影を主目的とする装置のみならず、撮影機能を補助的に有する装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯端末、自動車等)も含まれる。また、カメラはたとえばカメラヘッドなどのモジュール部品であってもよい。カメラは、上記の実施形態として例示された本発明に係る固体撮像装置100と、この固体撮像装置100から出力される信号を処理する信号処理部とを含む。この信号処理部は、例えば、固体撮像装置100で得られた信号に基づくデジタルデータを処理するプロセッサを含みうる。このデジタルデータを生成するためのA/D変換器を、固体撮像装置100の半導体基板に設けてもよいし、別の半導体基板に設けてもよい。
【符号の説明】
【0042】
100 固体撮像装置、S1 基板、S2 基板、331、334、336、337、339 導電部、