(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】超音波内視鏡および超音波内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20221209BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20221209BHJP
A61B 1/12 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
A61B8/12
A61B1/00 530
A61B1/00 715
A61B1/12 510
(21)【出願番号】P 2021136259
(22)【出願日】2021-08-24
【審査請求日】2021-08-24
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義久
【審査官】最首 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/151968(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/010283(WO,A1)
【文献】特開2007-089811(JP,A)
【文献】国際公開第2011/108157(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブを備える超音波内視鏡であって、
超音波内視鏡を操作する操作部と、
前記操作部に連結し、被検体に挿入される挿入部と、
前記操作部および前記挿入部が延びる方向に沿って形成され、当該超音波内視鏡に取り付けられるバルーン内に供給する流体が流通する中空部が形成されたバルーンチャンネルと、
を備え、
前記挿入部は、前記操作部側と反対側の端部に設けられた先端硬質部を有し、
前記バルーンチャンネルは、
前記挿入部とともに延びる管路部と、
前記先端硬質部内で前記管路部の先端部に対して屈曲して前記管路部の中空部および外部と連通する中空部が形成されたチャンネル先端部と、
を有し、
前記チャンネル先端部の中空部は、屈曲位置から外部に面する開口へ向けて広がっており、
前記管路部の先端部が延びる方向と、前記チャンネル先端部の先端側の屈曲位置から先端側の開口端に至る直線とがなす第1の角度は、前記管路部の先端部が伸びる方向と、前記チャンネル先端部の基端側の屈曲位置から基端側の開口端に至る直線とがなす第2の角度よりも小さ
く、
前記先端硬質部は、
前記バルーンが取り付けられるバルーン装着部であって、当該バルーン装着部にバルーンが装着された状態において、該バルーンが当該先端硬質部の先端部を覆う位置に設けられるバルーン装着部、
を有し、
前記バルーン装着部には、第1隔壁と第2隔壁とによって形成されるバルーン溝が設けられ、
前記第1隔壁が前記チャンネル先端部の先端側に形成され、前記第2隔壁が前記チャンネル先端部の基端側上に形成され、
前記チャンネル先端部の開口は、前記バルーン溝の一部から前記第1隔壁を経て先端側に延びる、
超音波内視鏡。
【請求項2】
前記チャンネル先端部の開口は、前記先端硬質部の側面に形成される、
請求項
1に記載の超音波内視鏡。
【請求項3】
前記チャンネル先端部を経て前記先端硬質部からの挿抜可能な硬質性の先端部を有する洗浄ブラシ、
をさらに備える請求項
2に記載の超音波内視鏡。
【請求項4】
前記バルーン装着部には、前記バルーンの基端部が装着される、
請求項1に記載の超音波内視鏡。
【請求項5】
前記バルーンの基端部に設けられるバルーンバンド、
をさらに備える請求項4に記載の超音波内視鏡。
【請求項6】
前記バルーンバンドは、前記チャンネル先端部の基端側の開口端の外周側に配置される、
請求項5に記載の超音波内視鏡。
【請求項7】
超音波プローブを備える超音波内視鏡であって、
超音波内視鏡を操作する操作部と、
前記操作部に連結し、被検体に挿入される挿入部と、
前記挿入部の先端に取り付けられるバルーンと、
前記操作部および前記挿入部が延びる方向に沿って形成され、当該超音波内視鏡に取り付けられるバルーン内に供給する流体が流通する中空部が形成されたバルーンチャンネルと、
を備え、
前記挿入部の前記操作部側と反対側の端部には、本体部、前記本体部から突出する突起部、および、前記バルーンが取り付けられるバルーン装着部を有する先端硬質部が設けられ、
前記バルーンチャンネルは、
前記挿入部とともに延びる管路部と、
前記先端硬質部内で前記管路部の先端部に対して屈曲して前記管路部の中空部および外部と連通する中空部が形成されたチャンネル先端部と、
を有し、
前記チャンネル先端部の中空部は、屈曲位置から外部に面する開口へ向けて広がっており、
前記管路部の先端部が延びる方向と、前記チャンネル先端部の先端側の屈曲位置から先端側の開口端に至る直線とがなす第1の角度は、前記管路部の先端部が伸びる方向と、前記チャンネル先端部の基端側の屈曲位置から基端側の開口端に至る直線とがなす第2の角度よりも小さ
く、
前記バルーン装着部は、バルーン溝を含み、
前記チャンネル先端部の前記開口が、前記バルーン溝の一部を含んで先端側に延びる、
超音波内視鏡。
【請求項8】
前記チャンネル先端部の前記開口は、前記バルーン溝形成位置を含む第1の部分と、当該チャンネル先端部の先端部に位置する第2の部分とを含む、
請求項
7に記載の超音波内視鏡。
【請求項9】
前記バルーン溝は、
前記チャンネル先端部に設けられ、当該バルーン溝の一端を形成する第1隔壁と、
前記第1隔壁よりも基端側に設けられ、当該バルーン溝の他端を形成する第2隔壁と、
前記第1隔壁および前記第2隔壁の間に設けられる溝底部と、
を有
し、
前記チャンネル先端部の開口は、前記バルーン溝の一部から前記第1隔壁を経て先端側に延びる、
請求項
7に記載の超音波内視鏡。
【請求項10】
前記チャンネル先端部の前記開口は、
前記第1隔壁を通過し、前記溝底部および前記第1隔壁の形成位置に位置する第1部分と、
前記第1隔壁よりも先端側に位置する第2部分と、
を有する請求項
9に記載の超音波内視鏡。
【請求項11】
前記チャンネル先端部の前記開口は、当該
先端硬質部の側面に位置する、
請求項
7に記載の超音波内視鏡。
【請求項12】
前記第1の部分の前記バルーンチャンネルの前記先端硬質部における長手方向の幅は、前記バルーン溝の幅の半分である、
請求項
8に記載の超音波内視鏡。
【請求項13】
前記チャンネル先端部の屈曲部分を通過する断面において、第1の曲げ角度を規定する上部壁および第1斜辺部、ならびに、第2の曲げ角度を規定する下部壁および第2斜辺部を含み、
前記第2斜辺部は、前記バルーンチャンネルの長手方向と
平行な方向に対して、前記第1斜辺部よりも傾斜角度が大きい、
請求項
7に記載の超音波内視鏡。
【請求項14】
前記バルーン装着部に前記バルーンを装着した状態において、前記チャンネル先端部が前記バルーンの内部に位置する、
請求項
7に記載の超音波内視鏡。
【請求項15】
前記バルーンチャンネルは、チャンネル先端部の中空部分が、屈曲部分から当該チャンネル先端部の開口に向かって次第に大きくなる、
請求項
7に記載の超音波内視鏡。
【請求項16】
前記第1隔壁の外径は、前記第2隔壁の外径よりも大きく、
前記先端硬質部は、前記第1隔壁の外径より大きい外径を有する部分を有する、
請求項
9に記載の超音波内視鏡。
【請求項17】
前記バルーンチャンネルを洗浄する硬質性の先端部を有し、前記バルーンチャンネルに挿入可能な洗浄ブラシ、
をさらに備える請求項
7に記載の超音波内視鏡。
【請求項18】
前記バルーンは、
前記バルーンチャンネルを経て流体が供給される、または、当該バルーン内の前記流体が排出され、
前記流体によって膨張または収縮する、
請求項
7に記載の超音波内視鏡。
【請求項19】
前記バルーンチャンネルは、
前記チャンネル先端部に連なり、前記挿入部および前記操作部の内部に延びる管路部、
有し、
前記管路部は、前記チャンネル先端部側の端部が、当該バルーンチャンネルの長手方向において、前記バルーン溝よりも基端側に位置する、
請求項
7に記載の超音波内視鏡。
【請求項20】
前記バルーンチャンネルを洗浄する硬質性の先端部を有し、前記バルーンチャンネルに挿入可能な洗浄ブラシ、
を備え、
前記洗浄ブラシは、前記バルーンチャンネルを経て前記バルーン溝の形成位置を通過可能である、
請求項
7に記載の超音波内視鏡。
【請求項21】
超音波プローブを備える超音波内視鏡であって、
超音波内視鏡を操作する操作部と、
前記操作部に連結し、被検体に挿入される挿入部と、
前記操作部および前記挿入部が延びる方向に沿って形成され、当該超音波内視鏡に取り付けられるバルーン内に供給する流体が流通する中空部が形成されたバルーンチャンネルと、
を備え、
前記挿入部は、前記操作部側と反対側の端部に設けられた先端硬質部を有し、
前記バルーンチャンネルは、
前記挿入部とともに延びる管路部と、
前記先端硬質部内で前記管路部の中空部および外部と連通する中空部が形成されたチャンネル先端部と、
を有し、
前記先端硬質部は、
前記バルーンが取り付けられるバルーン溝が形成され、
前記操作部側に設けられる本体部と、
前記本体部から前記操作部に連なる側と反対側に突出する突出部と、
を有し、
前記チャンネル先端部の開口は、
前記バルーン溝形成位置を含む第1の部分と、
前記突出部上に位置する第2の部分と、
を含
み、
前記バルーン溝は、
当該バルーン溝と前記突出部とを隔てる第1隔壁と、
前記バルーン溝と前記本体部とを隔てる第2隔壁と、
前記第1隔壁と前記第2隔壁との間に設けられる溝底部と、
を有し、
前記チャンネル先端部の開口は、前記バルーン溝の一部から前記第1隔壁を経て先端側に延びる、
超音波内視鏡。
【請求項22】
前記チャンネル先端部は、前記先端硬質部内で前記管路部の先端部に対して屈曲し、
前記管路部の先端部が延びる方向と、前記チャンネル先端部の先端側の屈曲位置から先端側の開口端に至る直線とがなす第1の角度は、前記管路部の先端部が伸びる方向と、前記チャンネル先端部の基端側の屈曲位置から基端側の開口端に至る直線とがなす第2の角度よりも小さい
請求項
21に記載の超音波内視鏡。
【請求項23】
前記第1の部分は、前記第1隔壁を貫通し、前記溝底部および前記第1隔壁上に位置する
請求項
21に記載の超音波内視鏡。
【請求項24】
前記チャンネル先端部の前記開口は、当該
先端硬質部の側面に位置する、
請求項
21に記載の超音波内視鏡。
【請求項25】
前記チャンネル先端部の屈曲部分を通過する断面において、第1の曲げ角度を規定する上部壁および第1斜辺部、ならびに、第2の曲げ角度を規定する下部壁および第2斜辺部を含み、
前記第2斜辺部は、前記バルーンチャンネルの長手方向と
平行な方向に対して、前記第1斜辺部よりも傾斜角度が大きい、
請求項
22に記載の超音波内視鏡。
【請求項26】
当該超音波内視鏡に前記バルーンを装着した状態において、前記チャンネル先端部が前記バルーンの内部に位置する、
請求項
21に記載の超音波内視鏡。
【請求項27】
前記バルーンチャンネルは、チャンネル先端部の中空部分が、屈曲部分から当該チャンネル先端部の開口に向かって次第に大きくなる、
請求項
21に記載の超音波内視鏡。
【請求項28】
請求項1~
27のいずれか一つに記載の超音波内視鏡と、
前記超音波内視鏡が出力する信号を処理する超音波内視鏡センターと、
前記超音波内視鏡と、前記超音波内視鏡センターとを着脱自在に接続する超音波ケーブルと、
を備える超音波内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波内視鏡および超音波内視鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バルーンを用いる超音波内視鏡(以下、「バルーン超音波内視鏡」ともいう)が知られている。バルーン超音波内視鏡は、当該超音波内視鏡を操作する操作部と、操作部から延びて被検体に挿入される挿入部とを備える(例えば、特許文献1~3を参照)。挿入部は、細長い可撓性を有する可撓管部と、先端硬質部とを含む。先端硬質部は、挿入部の先端に設けられ、超音波プローブが固定される。超音波プローブは、検査時に、弾性材料からなるバルーンによって覆われる。挿入部には、超音波プローブと可撓管部との間に、バルーンを装着するためのバルーン装着部が設けられる。
【0003】
操作部および挿入部の内部には、バルーンチャネルが形成される。バルーンチャンネルは、独立した管路を形成しており、バルーン内の流体等を吸引する吸引導管、およびバルーン内を洗浄する流体を流通させるバルーン洗浄導管として機能する。バルーンチャンネルは、バルーン装着部に開口部を有する。バルーンチャンネルを経て開口部からバルーン内に流体を送ることによって、バルーンを膨らませる。膨張したバルーンを被検体の体腔壁に接触させ、超音波プローブからバルーンを経て被検体に超音波を伝達することによって超音波診断を行う。
【0004】
超音波診断後、バルーンを収縮させて超音波内視鏡を被検体から取り出す必要がある。この際、被検体の汚染物(体液等)が、負圧状態のバルーンチャンネルに吸引され、バルーンチャンネルや、チャンネルと繋がっている場所に留まることがあった。このため、操作部側からバルーンチャンネルに洗浄ブラシを挿入して、バルーンチャンネルの内表面に付着した汚染物を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-156903号公報
【文献】特開2019-41884号公報
【文献】特許第3437318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、超音波内視鏡に対し、先端硬質部を小型化し、かつ、バルーンチャンネルを確実に洗浄することが求められる。しかしながら、従来の技術では、先端硬質部の小型化と、洗浄容易なバルーンチャンネルの形成とを両立することは困難であった。特に、汚染の目詰まりを除去する性能が高い硬質性の洗浄ブラシを使用する際には、洗浄ブラシが先端硬質部へ出入りしやすくするため、先端硬質部を長手軸方向に長くする必要があった。一方、小型化のために先端硬質部を短くすると、洗浄ブラシの硬質先端がバルーンチャンネル内に残るため、洗浄ブラシの位置の観察が困難となる。その結果、洗浄ブラシの操作性が低下し、バルーンチャンネルの洗浄性が低下する。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、先端硬質部の小型化と、バルーンチャンネルの洗浄性の向上とを両立できる超音波内視鏡および超音波内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る超音波内視鏡は、超音波プローブを備える超音波内視鏡であって、超音波内視鏡を操作する操作部と、前記操作部に連結し、被検体に挿入される挿入部と、前記挿入部の先端に取り付けられるバルーンと、前記操作部および前記挿入部が延びる方向に沿って形成され、当該超音波内視鏡に取り付けられるバルーン内に供給する流体が流通する中空部が形成されたバルーンチャンネルと、を備え、前記挿入部の前記操作部側と反対側の端部には、本体部、前記本体部から突出する突起部、および、前記バルーンが取り付けられるバルーン装着部を有する先端硬質部が設けられ、前記挿入部は、前記操作部側と反対側の端部に設けられた先端硬質部を有し、前記バルーンチャンネルは、前記挿入部とともに延びる管路部と、前記先端硬質部内で前記管路部の先端部に対して屈曲して前記管路部の中空部および外部と連通する中空部が形成されたチャンネル先端部と、を有し、前記チャンネル先端部の中空部は、屈曲位置から外部に面する開口へ向けて広がっており、前記管路部の先端部が延びる方向と、前記チャンネル先端部の先端側の屈曲位置から先端側の開口端に至る直線とがなす第1の角度は、前記管路部の先端部が伸びる方向と、前記チャンネル先端部の基端側の屈曲位置から基端側の開口端に至る直線とがなす第2の角度よりも小さい。
【0009】
また、本発明に係る超音波内視鏡は、超音波プローブを備える超音波内視鏡であって、当該超音波内視鏡を操作する操作部と、前記操作部に連結し、被検体に挿入される挿入部と、前記操作部および前記挿入部の内部に設けられ、当該超音波内視鏡に取り付けられるバルーン内に供給する流体が流通するバルーンチャンネルと、前記挿入部の先端に取り付けられるバルーンと、を備え、前記挿入部の前記操作部側と反対側の端部には、本体部、前記本体部から突出する突起部、および、前記バルーンが取り付けられるバルーン装着部を有する先端硬質部が設けられ、前記バルーンチャンネルは、前記先端硬質部において当該バルーンチャンネルの延在方向を屈曲させる屈曲部と、前記先端硬質部と外部とを連通する先端側開口部と、を有し、前記屈曲部は、当該バルーンチャンネルの長手方向と平行な平面を切断面とする断面において、互いに対向する二つの屈曲位置のうちの一方の屈曲位置の第1の曲げ角度が、他方の屈曲位置の前記第2の曲げ角度よりも大きく、前記先端側開口部は、前記屈曲部から前記開口に向かって孔の大きさが大きくなっている。
【0010】
また、本発明に係る超音波内視鏡システムは、上記の発明に係る超音波内視鏡と、前記超音波内視鏡が出力する信号を処理する超音波内視鏡センターと、前記超音波内視鏡と、前記超音波内視鏡センターとを着脱自在に接続する超音波ケーブルと、を備える。
【0011】
追加の特徴及び利点は、以下の記述に示され、部分的には記述から明らかであるか、又は本発明の実践によって学習され得る。開示された入力デバイスの目的および他の利点は、文書による説明およびその主張において特に指摘された構造および添付図によって実現および達成されるであろう。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、先端硬質部の小型化と、バルーンチャンネルの洗浄性の向上とを両立できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る超音波内視鏡を含む超音波内視鏡システムの概略構成を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、実施の形態1に係る超音波内視鏡の先端硬質部の構成を示す斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aに示すB-B線断面を該B-B線に対して20°傾斜した角度で観察した断面図である。
【
図4A】
図4Aは、
図3Aに示すB-B線断面図であって、洗浄ブラシを、バルーンチャネルを通して先端硬質部から突出させた図である。
【
図4B】
図4Bは、
図3Aに示すB-B線断面図であって、洗浄ブラシを、バルーンチャネルを通して先端硬質部内に収容させた図である。
【
図5A】
図5Aは、実施の形態2に係る超音波内視鏡の先端硬質部の構成を示す斜視図である。
【
図6B】
図6Bは、
図6Aに示すB-B線断面を該B-B線に対して20°傾斜した角度で観察した断面図である。
【
図7A】
図7Aは、
図6Aに示すB-B線断面図であって、洗浄ブラシを、バルーンチャネルを通して先端硬質部から突出させた図である。
【
図7B】
図7Bは、
図6Aに示すB-B線断面図であって、洗浄ブラシを、バルーンチャネルを通して先端硬質部内に収容させた図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る超音波内視鏡を含む超音波内視鏡システムの概略構成を示す図である。
図1に示す超音波内視鏡システム1は、内視鏡画像の撮影、および被検体内を走査して超音波画像を取得する超音波内視鏡2と、超音波画像を処理する超音波観測装置3と、内視鏡画像を処理する内視鏡観察装置4と、被検体内で検査する領域を照明するために超音波内視鏡2に照明光を供給する光源装置5と、内視鏡画像および超音波画像を表示する表示装置6とを備える。
【0016】
超音波内視鏡2は、例えば、コンベックス型の超音波内視鏡を用いることができる。超音波内視鏡2は、被検体内に挿入される挿入部10と、挿入部10の基端部側に接続され、医療従事者等の術者が把持して超音波内視鏡2を操作する操作部11と、操作部11に接続されるユニバーサルコード14とを含む。ユニバーサルコード14は、超音波内視鏡2がそれぞれ超音波観測装置3、内視鏡観察装置4、及び光源装置5にそれぞれ接続するコネクタ14A、14B及び14Cを有する。
【0017】
ユニバーサルコード14は、超音波内視鏡2に着脱可能に接続することができるため、超音波内視鏡2の取扱い性をよくし、再処理および保管を容易とする。
【0018】
超音波内視鏡システム1は、超音波観測装置3、内視鏡観察装置4、および光源装置5の少なくとも1つを含む制御装置を備えてもよい。制御装置は、例えば、超音波内視鏡センターとして、超音波観測装置3および内視鏡観察装置4の機能を持たせることによって、超音波処置に関する情報を明確し、病変の高精度な特性評価を支援したり、リニア電子走査式超音波内視鏡およびラジアル型の超音波小型プローブとの互換性を持たせたりすることができる。
【0019】
挿入部10は、挿入部10の基部端から延びる可撓部15と、可撓部15から先端側に延びる湾曲部16と、湾曲部16の先端側に設けられる先端硬質部20を有する。ここで、挿入部10の基端側とは、操作部11に接続する側に相当し、先端側とは先端硬質部20側に相当する。
【0020】
可撓部15は、挿入部10の挿入ルートにならって屈曲する柔軟性を有する。湾曲部16は、操作部11のアングルノブ21の操作によって、上下左右方向、または、これらの方向を組合せた方向に曲がることができる。
【0021】
(実施の形態1)
図2Aは、実施の形態1に係る超音波内視鏡2の先端硬質部20の構成を示す斜視図である。先端硬質部20は、湾曲部16から先端側に延び、挿入部10の遠位端に設けられる。本実施の形態1では、先端硬質部20は細長形状なし、硬質性を有する。先端硬質部20は、例えば、硬質樹脂材料または他の適当な硬質性材料で形成される。先端硬質部20は、突出部31と、本体部32と、突出部31および本体部32の間に設けられるバルーン装着部33とを備える。
【0022】
突出部31は、本体部32から先端側に突出し、先端硬質部20の先端部を構成する。突出部31は、超音波振動子等を用いて構成されるプローブ34を有する。本体部32は、鉗子チャンネル開口41、超音波観察窓42、対物レンズ43、およびライトガイドレンズ44を有する。
【0023】
鉗子チャンネル開口41は、本体部32において、超音波観察窓42よりも基端側に設けられる。鉗子チャンネル開口41は、一般に、操作部11の鉗子チャンネル入口25から挿入部10内の鉗子チャンネル45(
図3Aおよび
図3B参照)に挿入された処置具150を、超音波内視鏡2を伴う処置の際に、挿入部10の外部に導く。
【0024】
本体部32は、先端硬質部20において最も基端側に位置し、対物レンズ、ライトガイドレンズ、照明窓、超音波観察窓、および、給気/給水用のノズルを任意に含むが、これらに限定されない任意のさらなる所望の要素を含んでもよい。
【0025】
図2Bは、
図2Aに示す領域Qの拡大図である。
図2Cは、
図2Aに示す先端硬質部20の上面図である。
図2Dは、
図2Aの先端硬質部20の側面図である。
図2Cおよび
図2Dは、突出部31、バルーン装着部33および本体部32の例示的な構造配置を示す。本実施の形態1では、バルーン装着部33は、バルーン溝50を含む(
図3B参照)。このバルーン溝50は、第1隔壁51と、第2隔壁52と、第1隔壁51および第2隔壁52の間に設けられる溝底部53とによって形成される。第1隔壁51は、バルーン溝50の一端を形成し、当該バルーン溝50と突出部32とを隔てる。第2隔壁52は、第1隔壁51よりも基端側に設けられ、バルーン溝50の他端を形成し、当該バルーン溝50と本体部31とを隔てる。なお、バルーン装着部33は、バルーンリングを含んでもよい。
【0026】
第1隔壁51は、外周のなす径に相当する第1外径を有する。また、第2隔壁52は、外周のなす径に相当する第2外径を有する。第1隔壁51の第1外径は、第2隔壁52の第2外径よりも大きい。
図3Bおよび
図3Cに示すように、第1隔壁51は、断面において、外側への突出高さが、第2隔壁52の突出高さよりも高くなっている。
【0027】
バルーン60は、第1隔壁51と第2隔壁52との間の溝底部53上にバルーンバンド61を取り付けることによって、バルーン溝50上に着脱可能に取り付けられる。本実施の形態1において、本体部32は、第1隔壁51および第2隔壁52のそれぞれの第1外径および第2外径よりも大きい外径を有する円筒形をなす。
【0028】
【0029】
バルーンチャンネル70は、操作部11および挿入部10が延びる方向に沿って形成され、当該超音波内視鏡2に取り付けられるバルーン内に供給する流体が流通する中空部が形成される。バルーンチャンネル70は、操作部11および挿入部10の内部において、独立した管路を形成しており、バルーン内の流体等を吸引する吸引導管、およびバルーン内を洗浄する流体を流通させるバルーン洗浄導管として機能する。バルーンチャンネル70は、チャンネル先端部71と、管路部70aとを有する。管路部70aは、操作部11および挿入部10とともに延び、該延在方向に貫通する中空部を有する。
【0030】
チャンネル先端部71は、先端硬質部20内で管路部70aの先端部に対して屈曲して管路部70aの中空部および外部と連通する中空部が形成される。チャンネル先端部71は、先端硬質部20の一端側の側面にバルーンチャンネル70の開口を導く。溝底部53上のバルーンバンド61を取り付けることによって、バルーン60がバルーン装着部33に取り付けられた場合、チャンネル先端部71は、バルーン60の内部に連通する。
【0031】
バルーンチャンネル70を経て送り込まれる流体によってバルーン60が膨張した場合、膨張したバルーン60を被検体の体腔壁に接触させてプローブ34から超音波を送信することによって超音波診断が実施される。
【0032】
図2Bに戻り、チャンネル先端部71は、溝底部53の形成位置を通過して先端側に延びる。本実施の形態1では、チャンネル先端部71は、突出部31を含む先端硬質部20の一端側に位置している(
図3C参照)。本実施の形態1では、チャンネル先端部71は、平面視で楕円形をなす(
図2D参照)。なお、チャンネル先端部71は、図示する位置とは異なる位置や、内視鏡操作に適した、挿入部10の先端硬質部20を小型化させる他の任意の形状によって構成してもよい。
【0033】
また、チャンネル先端部71は、開口72において、基端側開口端Rおよび先端側開口端Fを有する(
図3D参照)。基端側開口端Rと先端側開口端Fとの間の距離は、バルーンチャンネル70の長手方向(X方向)におけるチャンネル先端部71の開口72の幅Wによって表される。幅Wは、内視鏡手術に適した値に設計されており、その設計によって挿入部10の先端硬質部20のサイズの小型化に寄与する。なお、X方向は、先端硬質部20におけるバルーンチャンネル70の長手軸方向であって、管路部70aの先端部が延びる方向である。
【0034】
チャンネル先端部71は、基端側開口端Rから先端側開口端Fを経由して、溝底部53、第1隔壁51および突出部31の一部を切り落として形成される(
図2Bおよび
図3D参照)。チャンネル先端部71の開口72は、溝底部53(の形成位置)に形成された第1の部分と、突出部31に形成された第2の部分とを含む。ここで、チャンネル先端部71の開口72は、第1隔壁51の仮想線によって定義される先端側部分および基端側部分を有する。開口72の基端側部分は、基端側開口端Rから、切断された第1隔壁51の仮想線までの幅を有する。仮想線は、例えば、第1隔壁51の、先端硬質部20の長手方向の中心を通過する線51aである。
【0035】
本実施の形態1において、基端側開口端Rは、例えば、チャンネル先端部71を形成するための初期切断ポイントであり、溝底部53の中央に位置する。したがって、開口72の基端側部分の幅は、実質的に、バルーン溝50の幅のほぼ半分である。また、開口72の基端側部分の大きさは、開口72の先端側部分の大きさと実質的に同じであってもよい。
【0036】
バルーン溝50においてチャンネル先端部71の一部を形成することによって、先端硬質部20の剛体部分の突出部31の長さを短くすることができる。また、突出部31の側面にチャンネル先端部71の開口72を形成することによって、プローブ34を収容する突出部31において、他の必要な要素に効率的に配置することができる。その結果、先端硬質部20を短く小型化することができる。
【0037】
バルーンチャンネル70は、チャンネル先端部71においてX方向に対して屈曲している。チャンネル先端部71は、バルーンチャンネル70のX方向から離れるように外側に屈曲してバルーンチャンネル70の管路を傾斜させる(
図3B参照)。
【0038】
また、バルーンチャンネル70は、バルーンチャンネル上部側74とバルーンチャンネル下部側75とを含む(
図3D参照)。ここでいう上部とは、先端硬質部20の内部側に相当し、下部とは先端硬質部20の外部側に相当する。バルーンチャンネル70は、バルーンチャネル上部側74において屈曲位置P
Fを含み、バルーンチャンネル下部側75において屈曲位置P
Rを含む。屈曲位置P
Fは、屈曲位置P
Rよりも先端側に位置する。また、屈曲位置P
Fは、先端硬質部20の長手軸方向において、例えば第1隔壁51の形成位置に位置する。屈曲位置P
Rは、先端硬質部20の長手軸方向において、例えば第2隔壁52の形成位置に位置する。
【0039】
屈曲位置P
Fにおいて、チャンネル先端部の曲げ角度は、X方向と平行な直線と、屈曲位置P
Fから先端側開口端Fに至る直線L
F(第1斜辺部)とがなす曲げ角度θ
F(第1の角度)で規定される(
図3D参照)。なお、ここでのX方向と平行な直線は、バルーンチャネル上部側74であり、この上部壁に沿って延びる直線に相当する。また、屈曲位置P
Rにおいて、チャンネル先端部の曲げ角度は、X方向と平行な直線と、屈曲位置P
Rから先端側開口端Rに至る直線L
R(第2斜辺部)とがなす曲げ角度θ
R(第2の角度)で規定される。なお、ここでのX方向と平行な直線は、バルーンチャネル下部側75であり、この下部壁に沿って延びる直線に相当する。なお、曲げ角度θ
Fはバルーンチャンネル外の角度を示し、曲げ角度θ
Rはバルーンチャンネル内の角度を示す。本実施の形態1では、曲げ角度θ
Fおよび曲げ角度θ
Rの双方が鋭角をなし、曲げ角度θ
Fが曲げ角度θ
Rよりも小さくなるように設計される。この構成によって、バルーンチャンネル70の中空部分が、チャンネル先端部71の屈曲位置から開口72に向けて次第に大きくなる。
【0040】
超音波診断後、バルーン60を収縮させて超音波内視鏡2を被検体から取り出す必要がある。この際、被検体の汚染物(体液等)が、負圧状態のバルーンチャンネル70に吸引され、バルーンチャンネル70や、チャンネルと繋がっている場所に留まることがある。このため、操作部11側からバルーンチャンネル70に洗浄ブラシ80を挿入して、バルーンチャンネル70の内表面に付着した汚染物を除去する。
【0041】
図4Aは、
図3Aに示すB-B線断面図であって、洗浄ブラシ80を、バルーンチャンネルを通して先端硬質部20から突出させた図である。
図4Bは、
図3Aに示すB-B線断面図であって、洗浄ブラシ80を、バルーンチャンネルを通して先端硬質部20内に収容させた図である。
【0042】
洗浄ブラシ80は、硬質性の先端部81と、先端部81に連結される可撓性の本体部82とを備える。洗浄ブラシ80は、鉗子チャンネル入口25(
図1参照)からバルーンチャンネル70に挿入され、管路部70aを経て、
図4Aおよび
図4Bに示すように、チャンネル先端部71に到達する。
【0043】
以上説明した本実施の形態1では、チャンネル先端部71において、曲げ角度LFを曲げ角度LRよりも大きくして、バルーンチャンネル70の先端の中空部分が、開口72に向かって次第に大きくなって外側に向かって広がる。本実施の形態1によれば、チャンネル先端部71の先端の中空部分を開口72に向かって大きくすることによって、硬質性の先端部81を有する洗浄ブラシ80を、先端硬質部20の内外を容易に移動させることができ、かつ先端硬質部20の長さを短くして小型化することができる。
【0044】
(実施の形態2)
図5Aは、実施の形態2に係る超音波内視鏡の先端硬質部の構成を示す斜視図である。
図5Aに示すように、先端硬質部20は、湾曲部16から延び、挿入部10の遠位端に設けられる。本実施の形態2において、実施の形態1と同様に、先端硬質部20は、細長形状をなし、硬質性を有し、硬質樹脂材料または他の適当な材料で形成される。先端硬質部20は、突出部31、本体部32、および、突出部31と本体部32との間に配置されるバルーン装着部33を備えることができる。
【0045】
また、突出部31は、超音波振動子等のプローブ34を有する。本体部32は、鉗子チャンネル開口41、超音波観察窓42、対物レンズ43、およびライトガイドレンズ44を含む。鉗子チャンネル開口41は、超音波観察窓42よりも基端側に設けられる。鉗子チャンネル開口41は、一般に、操作部11の鉗子チャンネル入口25から挿入部10内の鉗子チャンネル45(
図6Aおよび
図6B参照)に挿入された処置具150を、超音波内視鏡2を伴う処置の際に、挿入部10の外側に導く。
【0046】
本体部32は、実施の形態1と同様、先端硬質部20において挿入部10に最も基端側に位置し、対物レンズ、ライトガイドレンズ、照明窓、超音波観察窓、および、給気/給水用のノズルを任意に含むが、これらに限定されない任意のさらなる所望の要素を含んでもよい。
【0047】
図5Bは、
図5Aに示す領域Qの拡大図であり、
図5Cは、
図5Aに示す先端硬質部20の上面図であり、
図5Dは、
図2Aの先端硬質部20の側面図である。
図5Bに示すように、本実施の形態2において、バルーン装着部33は、バルーン溝50を含む。バルーン溝50は、実施の形態1と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0048】
【0049】
バルーンチャンネル70´は、バルーンチャンネル70と同様に、操作部11および挿入部10が延びる方向に沿って形成され、当該超音波内視鏡2に取り付けられるバルーン内に供給する流体が流通する中空部が形成される。バルーンチャンネル70´は、管路部70aと、チャンネル先端部71´とを含む。溝底部53上のバルーンバンド61を取り付けることによって、バルーン60がバルーン装着部33に取り付けられた場合、チャンネル先端部71´の中空部分が、バルーン60の内部に連通する。
【0050】
バルーンチャンネル70´を経て送り込まれる流体によってバルーン60が膨張した場合、膨張したバルーン60を被検体の体腔壁に接触させてプローブ34から超音波を送信することによって超音波診断が実施される。
【0051】
また、チャンネル先端部71´は、開口72´において、基端側開口端R´および先端側開口端F´を有する(
図6D参照)。基端側開口端R´と、先端側開口端F´との距離は、バルーンチャンネル70´の長手方向(X方向)におけるチャンネル先端部71´の開口72´の幅W´によって表される。チャンネル先端部71´の幅W´は、内視鏡手術に適した値に設計されており、その設計によって挿入部10の先端硬質部20のサイズの小型化に寄与する。なお、本実施の形態2におけるX方向は、先端硬質部20におけるバルーンチャンネル70´の長手軸方向であって、管路部70aの先端部が延びる方向である。
【0052】
チャンネル先端部71´は、基端側開口端R´から先端側開口端F´を経て突出部31の一部を切り落として形成される(
図5Bおよび
図6D参照)。このチャンネル先端部71´は、突出部31の側面にならって第1隔壁51から延びている(
図5D参照)。また、突出部31の側面に開口72´を形成することによって、プローブ34を収容する突出部31において、他の必要な要素に効率的に配置することができる。その結果、先端硬質部20を短く小型化することができる。
【0053】
本実施の形態2において、チャンネル先端部71´は、溝底部53に形成された第1の部分と、突出部31に形成された第2の部分とを含む、第1隔壁51を切欠いて形成される実施の形態1とは異なり、チャンネル先端部71´は、突出部31上に形成され、第1隔壁51から突出部31を経て延びる(
図5B参照)。
【0054】
実施の形態2において、チャンネル先端部71´は、平面視で楕円形をなす(
図5D参照)。なお、チャンネル先端部71´は、図示する位置とは異なる位置や、内視鏡操作に適した、挿入部10の先端硬質部20を小型化させる他の任意の形状によって構成してもよい。
【0055】
バルーンチャンネル70´は、チャンネル先端部71においてX方向に対して屈曲している。チャンネル先端部71´は、バルーンチャンネル70´のX方向から離れるように外側に屈曲してバルーンチャンネル70´の管路を傾斜させる(
図6B参照)。
【0056】
また、バルーンチャンネル70´は、バルーンチャンネル上部側74とバルーンチャンネル下部側75とを含む(
図6D参照)。バルーンチャンネル70´は、上部バルーンチャネル上部側74において屈曲位置P
F´を含み、バルーンチャネル下部側75において屈曲位置P
R´を含む。また、屈曲位置P
F´は、屈曲位置P
R´よりも先端側に位置する。
【0057】
屈曲位置P
F´において、チャンネル先端部の曲げ角度は、X方向と平行な直線と、屈曲位置P
F´から先端側開口端Fに至る直線L
F´とがなす曲げ角度θ
F´(第1の角度)で規定される(
図3D参照)。また、屈曲位置P
R´において、チャンネル先端部の曲げ角度は、X方向と平行な直線と、屈曲位置P
R´から先端側開口端Rに至る直線L
Rとがなす曲げ角度θ
R´(第2の角度)で規定される。なお、曲げ角度θ
F´はバルーンチャンネル外の角度を示し、曲げ角度θ
R´はバルーンチャンネル内の角度を示す。本実施の形態1では、曲げ角度θ
F´および曲げ角度θ
R´の双方が鋭角をなし、曲げ角度θ
F´が曲げ角度θ
R´よりも小さくなるように設計される。この構成によって、バルーンチャンネル70´の中空部分が、チャンネル先端部71´の屈曲位置から開口72´に向けて次第に大きくなる。
【0058】
超音波診断後、バルーン60を収縮させて超音波内視鏡2を被検体から取り出す必要がある。この際、被検体の汚染物(体液等)が、負圧状態のバルーンチャンネル70´に吸引され、バルーンチャンネル70´や、チャンネルと繋がっている場所に留まることがある。このため、操作部11側からバルーンチャンネル70´に洗浄ブラシ80を挿入して、バルーンチャンネル70´の内表面に付着した汚染物を除去する。
【0059】
図7Aは、
図6Aに示すB-B線断面図であって、洗浄ブラシ80を、バルーンチャンネル70´を通して先端硬質部20から突出させた図である。
図7Bは、
図6Aに示すB-B線断面図であって、洗浄ブラシ80を、バルーンチャンネル70´を通して先端硬質部20内に収容させた図である。洗浄ブラシ80は、鉗子チャンネル入口25(
図1参照)からバルーンチャンネル70´に挿入され、チャンネル先端部71´に到達する。
【0060】
以上説明した本実施の形態2では、チャンネル先端部71´において、曲げ角度LF´を曲げ角度LR´よりも大きくして、バルーンチャンネル70´の先端の中空部分が、開口72´に向かって次第に大きくなって外側に向かって広がる。本実施の形態2によれば、チャンネル先端部71´の先端の中空部分を開口72´に向かって大きくすることによって、硬質性の先端部81を有する洗浄ブラシ80を、先端硬質部20の内外を容易に移動させることができ、かつ先端硬質部20の長さを短くして小型化することができる。
【0061】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲に記載した技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な実施の形態を含みうるものである。
【符号の説明】
【0062】
1 超音波内視鏡システム
2 超音波内視鏡
3 超音波観測装置
4 内視鏡観察装置
5 光源装置
6 表示装置
10 挿入部
11 操作部
14 ユニバーサルコード
15 可撓部
16 湾曲部
20 先端硬質部
25 鉗子チャンネル入口
31 突出部
32 本体部
33 バルーン装着部
34 プローブ
41 鉗子チャンネル開口
42 超音波観察窓
43 対物レンズ
44 ライトガイドレンズ
45 鉗子チャンネル
50 バルーン溝
51 第1隔壁
52 第2隔壁
53 溝底部
60 バルーン
61 バルーンバンド
70 バルーンチャンネル
71、71´ チャンネル先端部
72、72´ 開口
80 洗浄ブラシ
150 処置具
R 基端側開口端
F 先端側開口端
W 幅