(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】重送検出装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B65H 7/12 20060101AFI20221209BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20221209BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20221209BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20221209BHJP
B41J 29/48 20060101ALI20221209BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
B65H7/12
G03G15/00 480
G03G15/00 107
G03G21/00 370
B41J29/38 302
B41J29/48 Z
H04N1/00 567J
(21)【出願番号】P 2021506107
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(86)【国際出願番号】 JP2019011831
(87)【国際公開番号】W WO2020188811
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】下坂 喜一郎
(72)【発明者】
【氏名】堺 雅晃
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-204130(JP,A)
【文献】特開2013-063843(JP,A)
【文献】特開2012-111565(JP,A)
【文献】特開2013-082539(JP,A)
【文献】特開2009-137716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00-7/20
B65H 43/00-43/08
G03G 15/00
G03G 21/00
B41J 29/38
B41J 29/48
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置台と、
前記載置台に載置された媒体を給送する給送部と、
超音波を発信する超音波発信部、及び、前記超音波発信部と対向して配置され且つ受信した超音波に応じた超音波信号を生成する超音波受信部を含む超音波センサと、
前記超音波信号の信号値が第1閾値以上である場合、媒体の給送が正常であると判定し、前記超音波信号の信号値が前記第1閾値未満である場合、媒体の重送が発生したと判定する重送判定部と、
前記超音波信号の信号値が前記第1閾値より小さい第2閾値未満である場合、給送された媒体を前記載置台の方向に戻すように前記給送部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記超音波信号の信号値が前記第1閾値未満であり
、前記第2閾値以上であ
り、且つ、給送された媒体がカードでない場合、媒体の搬送を停止し又は利用者に警告を通知する
、
ことを特徴とする重送検出装置。
【請求項2】
前記超音波信号の信号値が前記第1閾値未満であり且つ前記第2閾値以上である場合、給送された媒体がカードであるか否かを判定するカード判定部をさらに有し、
前記制御部は、給送された媒体がカードである場合、媒体の搬送を継続させる、請求項1に記載の重送検出装置。
【請求項3】
前記給送部より媒体搬送方向の下流側に設けられ、且つ、前記給送部により給送された媒体を搬送する搬送部をさらに有し、
前記制御部は、給送される媒体の先端が前記搬送部を通過した後は、給送された媒体を前記載置台の方向に戻さない、請求項
1または2に記載の重送検出装置。
【請求項4】
利用者による設定指示を受け付けた場合、前記載置台に載置されている媒体を給送させて、前記超音波センサにより生成された超音波信号に基づいて、前記第1閾値又は前記第2閾値を設定する設定部をさらに有する、請求項1~
3の何れか一項に記載の重送検出装置。
【請求項5】
載置台と、前記載置台に載置された媒体を給送する給送部と、超音波を発信する超音波発信部、及び、前記超音波発信部と対向して配置され且つ受信した超音波に応じた超音波信号を生成する超音波受信部を含む超音波センサと、を有する重送検出装置の制御方法であって、前記重送検出装置が、
前記超音波信号の信号値が第1閾値以上である場合、媒体の給送が正常であると判定し、
前記超音波信号の信号値が前記第1閾値未満である場合、媒体の重送が発生したと判定し、
前記超音波信号の信号値が前記第1閾値より小さい第2閾値未満である場合、給送された媒体を前記載置台の方向に戻すように前記給送部を制御し、
前記超音波信号の信号値が前記第1閾値未満であり
、前記第2閾値以上であ
り、且つ、給送された媒体がカードでない場合、媒体の搬送を停止し又は利用者に警告を通知する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項6】
載置台と、前記載置台に載置された媒体を給送する給送部と、超音波を発信する超音波発信部、及び、前記超音波発信部と対向して配置され且つ受信した超音波に応じた超音波信号を生成する超音波受信部を含む超音波センサと、を有するコンピュータの制御プログラムであって、
前記超音波信号の信号値が第1閾値以上である場合、媒体の給送が正常であると判定し、
前記超音波信号の信号値が前記第1閾値未満である場合、媒体の重送が発生したと判定し、
前記超音波信号の信号値が前記第1閾値より小さい第2閾値未満である場合、給送された媒体を前記載置台の方向に戻すように前記給送部を制御し、
前記超音波信号の信号値が前記第1閾値未満であり
、前記第2閾値以上であ
り、且つ、給送された媒体がカードでない場合、媒体の搬送を停止し又は利用者に警告を通知する、
ことを前記コンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、重送検出装置、制御方法及び制御プログラムに関し、特に、超音波を用いて重送を検出する重送検出装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
原稿等の媒体を給送し、給送した媒体の画像を読み取るスキャナ等の装置は、複数の媒体が重なって給送される重送が発生したか否かを検出する機能を有している。一般に、スキャナ等の重送検出装置は、超音波を発信する超音波発信部と、受信した超音波に応じた信号を生成する超音波受信部とを備え、媒体が給送された時に超音波受信部が出力した信号に基づいて重送を検出する。このような重送検出装置では、利用者の利便性を向上させるために、重送が発生した場合に、重なって給送された媒体を載置台に自動的に戻すことが望まれている。しかしながら、給送された媒体が薄紙等である場合、媒体を載置台に自動的に戻そうとすると、媒体の損傷又はジャム等が発生する可能性がある。
【0003】
原稿の重送を検知したときに、原稿を逆送するか搬送を中止するかの選択を促す報知を行う原稿搬送装置が開示されている(特許文献1)。この原稿搬送装置は、原稿の逆送の指示を受け付けた場合は、原稿を逆送させて原稿供給トレイに排出させ、搬送の中止の指示を受け付けた場合は、原稿の搬送を中止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
重送検出装置では、重送が発生した場合に、給送された媒体を載置台の方向に戻すか否かを適切に決定することが望まれている。
【0006】
重送検出装置、制御方法及び制御プログラムの目的は、重送が発生した場合に、給送された媒体を載置台の方向に戻すか否かを適切に決定することを可能とすることにある。
【0007】
実施形態の一側面に係る重送検出装置は、載置台と、載置台に載置された媒体を給送する給送部と、超音波を発信する超音波発信部、及び、超音波発信部と対向して配置され且つ受信した超音波に応じた超音波信号を生成する超音波受信部を含む超音波センサと、超音波信号の信号値が第1閾値以上である場合、媒体の給送が正常であると判定し、超音波信号の信号値が第1閾値未満である場合、媒体の重送が発生したと判定する重送判定部と、超音波信号の信号値が第1閾値より小さい第2閾値未満である場合、給送された媒体を載置台の方向に戻すように給送部を制御する制御部と、を有する。
【0008】
また、実施形態の一側面に係る制御方法は、載置台と、載置台に載置された媒体を給送する給送部と、超音波を発信する超音波発信部、及び、超音波発信部と対向して配置され且つ受信した超音波に応じた超音波信号を生成する超音波受信部を含む超音波センサと、を有する重送検出装置の制御方法であって、重送検出装置が、超音波信号の信号値が第1閾値以上である場合、媒体の給送が正常であると判定し、超音波信号の信号値が第1閾値未満である場合、媒体の重送が発生したと判定し、超音波信号の信号値が第1閾値より小さい第2閾値未満である場合、給送された媒体を載置台の方向に戻すように給送部を制御する。
【0009】
また、実施形態の一側面に係る制御プログラムは、載置台と、載置台に載置された媒体を給送する給送部と、超音波を発信する超音波発信部、及び、超音波発信部と対向して配置され且つ受信した超音波に応じた超音波信号を生成する超音波受信部を含む超音波センサと、を有するコンピュータの制御プログラムであって、超音波信号の信号値が第1閾値以上である場合、媒体の給送が正常であると判定し、超音波信号の信号値が第1閾値未満である場合、媒体の重送が発生したと判定し、超音波信号の信号値が第1閾値より小さい第2閾値未満である場合、給送された媒体を載置台の方向に戻すように給送部を制御することをコンピュータに実行させる。
【0010】
本実施形態によれば、重送検出装置、制御方法及び制御プログラムは、重送が発生した場合に、給送された媒体を載置台の方向に戻すか否かを適切に決定することが可能となる。
【0011】
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る重送検出装置100を示す斜視図である。
【
図2】重送検出装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【
図3】重送検出装置100の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】記憶装置140及びCPU150の概略構成を示す図である。
【
図5】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図6】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図7】超音波信号の特性について説明するための模式図である。
【
図8A】媒体の再給送について説明するための模式図である。
【
図8B】媒体の再給送について説明するための模式図である。
【
図8C】媒体の再給送について説明するための模式図である。
【
図9】設定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図10】他の処理回路260の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の一側面に係る重送検出装置、制御方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0014】
図1は、イメージスキャナとして構成された重送検出装置100を示す斜視図である。重送検出装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙、カード又はパスポート等である。カードは、例えばプラスチック製の樹脂カードである。特に、カードは、ISO(International Organization for Standardization)/IEC(International Electrotechnical Commission)7810で規定されるID(Identification)カードである。なお、カードは、他の種類のカードでもよい。重送検出装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、重送検出装置100はプリンタ等でもよい。
【0015】
重送検出装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0016】
上側筐体102は、重送検出装置100の上面を覆う位置に配置され、下側筐体101に係合している。載置台103は、給送される媒体を載置可能に下側筐体101に係合している。排出台104は、排出された媒体を保持可能に下側筐体101に係合している。
【0017】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0018】
図2は、重送検出装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0019】
重送検出装置100内部の搬送経路は、第1媒体センサ111、給送ローラ112、ブレーキローラ113、超音波発信器114a、超音波受信器114b、第2媒体センサ115、第1サイドセンサ116、第2サイドセンサ117、第1搬送ローラ118、第2搬送ローラ119、第3媒体センサ120、第1撮像装置121a、第2撮像装置121b、第3搬送ローラ122及び第4搬送ローラ123等を有している。なお、各ローラの数は一つに限定されず、各ローラの数はそれぞれ複数でもよい。
【0020】
下側筐体101の上面は媒体の搬送路の下側ガイド107aを形成し、上側筐体102の下面は媒体の搬送路の上側ガイド107bを形成する。
図2において矢印A1は媒体の搬送方向を示す。以下では、上流とは媒体の搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体の搬送方向A1の下流のことをいう。
【0021】
第1媒体センサ111は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。第1媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1検出信号を生成して出力する。
【0022】
給送ローラ112及びブレーキローラ113は、給送部の一例であり、載置台103に載置された媒体を分離して給送する。
【0023】
超音波発信器114a及び超音波受信器114bは、それぞれ超音波発信部及び超音波受信部の一例である。超音波発信器114a及び超音波受信器114bは、給送ローラ112及びブレーキローラ113の下流側且つ第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119の上流側、即ち第1撮像装置121a及び第2撮像装置121bの上流側に設けられる。超音波発信器114a及び超音波受信器114bは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで相互に対向して配置される。超音波発信器114aは、超音波を発信する。一方、超音波受信器114bは、超音波発信器114aにより発信され、媒体を通過した超音波を受信し、受信した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。以下では、超音波発信器114a及び超音波受信器114bを総じて超音波センサ114と称する場合がある。
【0024】
第2媒体センサ115は、媒体搬送方向A1において超音波センサ114より下流側且つ第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119より上流側に配置される。また、第2媒体センサ115は、媒体搬送方向と直交する方向A2(
図1を参照)において中央部に配置される。例えば、給送ローラ112が、媒体搬送方向と直交する方向A2に二つ並べて配置されている場合、第2媒体センサ115は、媒体搬送方向と直交する方向A2において二つの給送ローラ112の外側の端部より内側に配置される。
【0025】
第2媒体センサ115は、その位置に媒体が存在するか否かを検出する。第2媒体センサ115は、媒体の搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられたミラー等の反射部材とを含む。発光器は、搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、発光器により照射され、反射部材により反射された光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号である第2検出信号を生成して出力する。第2媒体センサ115の位置に媒体が存在する場合、発光器により照射された光はその媒体により遮光されるため、第2媒体センサ115の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで第2検出信号の信号値は変化する。なお、発光器及び受光器は、搬送路を挟んで相互に対向する位置に設けられ、反射部材は省略されてもよい。
【0026】
第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117は、媒体搬送方向A1において超音波センサ114より下流側且つ第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119より上流側に配置される。特に、第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117は、媒体搬送方向A1において第2媒体センサ115と略同一位置に配置される。また、第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117は、媒体搬送方向と直交する方向A2において第2媒体センサ115の外側に且つ第2媒体センサ115の両側に分けて配置される。特に、第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117は、それぞれ第2媒体センサ115から、外側に、ISO/IEC7810で規定されるIDカードの長辺の長さ(85.6mm)の1/2より離れた位置に配置される。また、第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117は、それぞれ第2媒体センサ115から、外側に、A6サイズの用紙の長辺の長さ(148mm)の1/2以内の位置に配置される。
【0027】
第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117は、それぞれ第2媒体センサ115と同様の構成を有し、その位置に媒体が存在するか否かを検出する。第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117は、それぞれ受光器が受光した光の強度に応じた電気信号である第1サイド信号及び第2サイド信号を生成して出力する。
【0028】
第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119は、第2媒体センサ115より媒体搬送方向A1の下流側に、即ち給送ローラ112及びブレーキローラ113より媒体搬送方向A1の下流側に設けられる。また、第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119は、第3媒体センサ120より媒体搬送方向A1の上流側に、即ち第1撮像装置121a及び第2撮像装置121bより媒体搬送方向A1の上流側に設けられる。第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119は、搬送部の一例であり、給送ローラ112及びブレーキローラ113により給送された媒体を、第1撮像装置121a及び第2撮像装置121bに向けて搬送する。
【0029】
第1撮像装置121aは、主走査方向に直線状に配列されたCCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサを有する。また、第1撮像装置121aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置121aは、搬送された媒体の裏面を撮像した入力画像を生成して出力する。
【0030】
同様に、第2撮像装置121bは、主走査方向に直線状に配列されたCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを有する。また、第2撮像装置121bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置121bは、搬送された媒体の表面を撮像した入力画像を生成して出力する。
【0031】
なお、重送検出装置100は、第1撮像装置121a及び第2撮像装置121bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CCDの代わりにCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)を利用することもできる。以下では、第1撮像装置121a及び第2撮像装置121bを総じて撮像装置121と称する場合がある。
【0032】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ112が
図2の矢印A3の方向に回転することによって、下側ガイド107aと上側ガイド107bの間を媒体搬送方向A1に向かって給送される。ブレーキローラ113は、媒体給送時、矢印A4の方向に回転する。給送ローラ112及びブレーキローラ113の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ112と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の給送が制限されるように動作する(重送の防止)。
【0033】
媒体は、下側ガイド107aと上側ガイド107bによりガイドされながら、第1搬送ローラ118と第2搬送ローラ119の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119がそれぞれ矢印A5及び矢印A6の方向に回転することによって、第1撮像装置121aと第2撮像装置121bの間に送り込まれる。撮像装置121により読み取られた媒体は、第3搬送ローラ122及び第4搬送ローラ123がそれぞれ矢印A7及び矢印A8の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
【0034】
図3は、重送検出装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0035】
重送検出装置100は、前述した構成に加えて、駆動装置131、インタフェース装置132、記憶装置140及びCPU(Central Processing Unit)150、処理回路160等をさらに有する。
【0036】
駆動装置131は、1つ又は複数のモータを含み、CPU150からの制御信号によって、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ118、第2搬送ローラ119、第3搬送ローラ122及び第4搬送ローラ123を回転させて媒体を搬送させる。
【0037】
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
【0038】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、重送検出装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0039】
CPU150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、CPU150に代えて、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)等が用いられてもよい。また、CPU150に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0040】
CPU150は、操作装置105、表示装置106、第1媒体センサ111、超音波センサ114、第2媒体センサ115、第1サイドセンサ116、第2サイドセンサ117、第3媒体センサ120、撮像装置121、駆動装置131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路160等と接続され、これらの各部を制御する。CPU150は、駆動装置131の駆動制御、撮像装置121の撮像制御等を行い、画像を取得し、インタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置に送信する。また、CPU150は、超音波センサ114により生成される超音波信号に基づいて、給送される媒体の重送を検出するとともに、重送して給送された媒体を載置台103の方向に戻す。
【0041】
処理回路160は、撮像装置121により撮像された画像に所定の画像処理を実行し、画像処理が実行された画像を記憶装置140に格納する。なお、処理回路160の代わりに、DSP、LSI,ASIC又はFPGA等が用いられてもよい。
【0042】
図4は、記憶装置140及びCPU150の概略構成を示す図である。
【0043】
図4に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141、重送判定プログラム142、画像取得プログラム143、カード判定プログラム144及び設定プログラム145等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。CPU150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、CPU150は、制御部151、重送判定部152、画像取得部153、カード判定部154及び設定部155として機能する。
【0044】
図5及び
図6は、重送検出装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0045】
以下、
図5及び
図6に示したフローチャートを参照しつつ、重送検出装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主にCPU150により重送検出装置100の各要素と協働して実行される。
図5に示す動作のフローは、定期的に実行される。
【0046】
最初に、制御部151は、利用者により操作装置105を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0047】
次に、制御部151は、第1媒体センサ111から受信する第1検出信号に基づいて載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。
【0048】
載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、ステップS101へ処理を戻し、操作装置105から新たに操作信号を受信するまで待機する。
【0049】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部151は、駆動装置131を駆動して、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1~第4搬送ローラ118、119、122及び123を回転させて、媒体を給送及び搬送させる(ステップS103)。制御部151は、給送ローラ112を、媒体を給送する方向A3に、ブレーキローラ113を、媒体を給送する方向の反対方向A4に回転させて、載置台103に載置された媒体を分離して給送させるように給送ローラ112及びブレーキローラ113を制御する。また、制御部151は、第1~第4搬送ローラ118、119、122及び123を、それぞれ媒体を搬送する方向A5、A6、A7及びA8に回転させて、給送された媒体を搬送させるように第1~第4搬送ローラ118、119、122及び123を制御する。
【0050】
次に、重送判定部152は、媒体の先端が第2媒体センサ115の位置に到達するまで待機する(ステップS104)。重送判定部152は、第2媒体センサ115から第2検出信号を定期的に受信し、受信した第2検出信号に基づいて、媒体の先端が第2媒体センサ115の位置に到達したか否かを判定する。重送判定部152は、第2検出信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第2媒体センサ115の位置に到達したと判定する。
【0051】
次に、重送判定部152は、媒体の先端が第2媒体センサ115の位置に到達した場合、超音波センサ114から超音波信号を受信する(ステップS105)。
【0052】
図7は、超音波信号の特性について説明するための模式図である。
【0053】
図7のグラフ700の横軸は時間を示し、縦軸は超音波信号の信号値を示す。グラフ700において、ライン701は媒体として一枚のPPC(Plain Paper Copier)用紙が給送されている場合の超音波信号の特性を示す。また、ライン702はPPC用紙の重送が発生している場合の超音波信号の特性を示す。重送が発生していることにより、ライン702の超音波信号の信号値が低下している。また、ライン703は、PPC用紙よりも薄い薄紙の重送が発生している場合の超音波信号の特性を示す。薄紙は、約款用紙のように曲がりやすく損傷しやすい媒体であり、厚さが所定厚さ未満(例えばメートル坪量が40[g/m
2]未満)である用紙である。以下では、薄紙以外の用紙、即ち厚さが所定厚さ以上である用紙を非薄紙と称する場合がある。薄紙の重送が発生している場合の超音波信号の信号値は、非薄紙の重送が発生している場合の超音波信号の信号値より大きいが、一枚の非薄紙が給送されている場合の超音波信号の信号値より小さい。
【0054】
したがって、重送検出装置100は、一枚の非薄紙が給送されている場合の超音波信号の信号値と、薄紙の重送が発生しているときの超音波信号の信号値との間に第1閾値T1を設定することにより、媒体の重送が発生しているか否かを判別できる。また、重送検出装置100は、薄紙の重送が発生しているときの超音波信号の信号値と、非薄紙の重送が発生している場合の超音波信号の信号値との間に第2閾値T2を設定することにより、重送して給送されている媒体が非薄紙であるか薄紙であるかを判別できる。
【0055】
ライン704は、プラスチック製のIDカードが一枚だけ給送されている場合の超音波信号の特性を示す。カードが給送されている場合、重送が発生している場合と同様に、超音波信号の信号値は小さくなる。さらに、カードが給送されている場合の超音波信号の信号値は、薄紙の重送が発生している場合の超音波信号の信号値と近似しており、超音波信号により、カードが搬送されているか薄紙の重送が発生しているかを判別することは困難である。
【0056】
次に、重送判定部152は、受信した超音波信号の信号値が第2閾値未満であるか否かを判定する(ステップS106)。第2閾値は、媒体の重送が発生したか否かを判定するための第1閾値より小さい値に設定される。
【0057】
超音波信号の信号値が第2閾値未満である場合、重送判定部152は、媒体の重送、特に非薄紙の重送が発生したと判定する(ステップS107)。
【0058】
次に、制御部151は、駆動装置131を駆動して、給送ローラ112及びブレーキローラ113を媒体給送方向と反対方向に回転させて、給送された媒体を載置台103に向けて逆送させる(ステップS108)。制御部151は、給送ローラ112を、媒体を給送する方向A3の反対方向に、ブレーキローラ113を、媒体を給送する方向の反対方向A4に回転させて、給送された媒体を載置台103の方向に戻すように給送ローラ112及びブレーキローラ113を制御する。
【0059】
このように、制御部151は、超音波信号の信号値が第2閾値未満である場合に、給送された媒体を載置台103の方向に戻す。即ち、制御部151は、給送された媒体が複数の非薄紙である場合に、媒体を載置台103の方向に戻す。これにより、利用者は、重送して給送された媒体を載置台103に再載置する必要がなくなり、重送検出装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。また、制御部151は、給送された媒体が一枚の用紙又はカードである場合には、媒体を載置台103に戻さない。これにより、重送検出装置100は、媒体読取処理の処理時間が増大してしまうことを防止できる。また、制御部151は、給送された媒体が二枚の非薄紙である場合にも、媒体を載置台103に戻さない。これにより、重送検出装置100は、媒体の損傷又はジャム等が発生することを防止できる。
【0060】
次に、制御部151は、媒体の先端が給送ローラ112及びブレーキローラ113のニップ位置を通過して載置台103に戻るまで待機する(ステップS109)。制御部151は、第2媒体センサ115から第2検出信号を定期的に受信し、受信した第2検出信号に基づいて、媒体の先端が第2媒体センサ115の位置を通過したか否かを判定する。制御部151は、第2検出信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の先端が第2媒体センサ115の位置を通過したと判定する。制御部151は、媒体の先端が第2媒体センサ115の位置を通過してから所定時間経過したときに、媒体の先端が給送ローラ112及びブレーキローラ113のニップ位置を通過して載置台103に戻ったと判定する。所定時間は、媒体が第2媒体センサ115の位置から給送ローラ112及びブレーキローラ113のニップ位置まで移動する時間に予め設定される。
【0061】
媒体の先端が給送ローラ112及びブレーキローラ113のニップ位置を通過して載置台103に戻った場合、制御部151は、処理をステップS103へ戻し、載置台103に戻した媒体を再給送させる。
【0062】
【0063】
図8A、
図8B及び
図8Cは、再給送に係る媒体の動きを模式的に示している。
図8Aは、複数の媒体M1、M2が、先端E1、E2が揃っていない状態で載置台103に載置されている状態、特にブレーキローラ113側(上側)の媒体M2の先端E2が給送ローラ112側(下側)の媒体M1の先端E1より下流側に位置している状態を示す。この場合、媒体M2の先端E2が、媒体M1の先端E1より先に給送ローラ112及びブレーキローラ113のニップ位置Nに到達し、媒体M2がニップ位置Nを通過する。一方、媒体M1は、給送ローラ112に接触しており、給送ローラ112により下流側に向けて給送される。これにより、
図8Bに示すように、媒体M1及び媒体M2は重送して給送される。このように、複数の媒体M1、M2の先端E1、E2が揃っていない場合、重送が発生する可能性が高い。
【0064】
その後、給送ローラ112が媒体を給送する方向A3の反対方向に、ブレーキローラ113が媒体を給送する方向の反対方向A4に回転すると、重送して給送された媒体M1及び媒体M2は給送ローラ112及びブレーキローラ113に挟持されながら載置台103に戻っていく。各媒体M1及び媒体M2は、ニップ位置Nを通過した時点で、給送ローラ112及びブレーキローラ113に挟持されなくなり、停止する。したがって、
図8Cに示すように、載置台103に戻された媒体M1の先端E1及び媒体M2の先端E2は、ニップ位置Nの手前の位置で揃えられる。そのため、載置台103に戻した媒体を再給送させた場合、重送が再発生する可能性が低下する。
【0065】
ステップS106で、超音波信号の信号値が第2閾値以上であった場合、重送判定部152は、媒体の先端が第3媒体センサ120の位置に到達したか否かを判定する(ステップS110)。重送判定部152は、第3媒体センサ120から第3検出信号を定期的に受信し、受信した第3検出信号に基づいて、媒体の先端が第3媒体センサ120の位置に到達したか否かを判定する。重送判定部152は、第3検出信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第3媒体センサ120の位置に到達したと判定する。
【0066】
媒体の先端が第3媒体センサ120の位置に到達していない場合、重送判定部152は、処理をステップS105へ戻し、ステップS105~S110の処理を繰り返す。これにより、給送される媒体の先端が第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119を通過するまでは、重送判定部152は、重送の判定を継続し、制御部151は、非薄紙の重送が発生した場合にその媒体を載置台103の方向に戻す。
【0067】
一方、媒体の先端が第3媒体センサ120の位置に到達した場合、制御部151は、給送ローラ112及びブレーキローラ113の回転を停止させて、媒体の給送を停止させる(ステップS111)。給送ローラ112及びブレーキローラ113によって給送された媒体は、以降、第1~第4搬送ローラ118、119、122及び123により搬送される。
【0068】
次に、画像取得部153は、撮像装置121に、給送された媒体の撮像を開始させる(ステップS201)。
【0069】
次に、重送判定部152は、超音波センサ114から超音波信号を受信する(ステップS202)。
【0070】
次に、重送判定部152は、受信した超音波信号の信号値が第1閾値未満であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0071】
超音波信号の信号値が第1閾値以上である場合、重送判定部152は、媒体の重送が発生しておらず、媒体の搬送が正常であると判定し、媒体の搬送を継続させる(ステップS204)。
【0072】
一方、超音波信号の信号値が第1閾値未満である場合、重送判定部152は、超音波信号の信号値が第2閾値未満であるか否かをさらに判定する(ステップS205)。
【0073】
超音波信号の信号値が第2閾値未満である場合、重送判定部152は、媒体の重送、特に非薄紙の重送が発生していると判定する(ステップS206)。
【0074】
一方、超音波信号の信号値が第2閾値以上である場合、即ち超音波信号の信号値が第1閾値未満であり且つ第2閾値以上である場合、カード判定部154は、給送された媒体がカードであるか否かを判定する(ステップS207)。カード判定部154は、第2媒体センサ115、第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117から定期的に第2検出信号、第1サイド信号及び第2サイド信号を受信し、受信した各信号に基づいて、給送された媒体がカードであるか否かを判定する。カード判定部154は、各信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が、各信号を生成したセンサを通過したと判定する。
【0075】
カード判定部154は、媒体の先端が第2媒体センサ115を通過したときに、第1、第2サイドセンサ116、117の両方を通過しなかった場合、媒体は、第1サイドセンサ116と第2サイドセンサ117の間の距離より小さく、カードであると判定する。一方、カード判定部154は、媒体の先端が第2媒体センサ115を通過したときに、第1、第2サイドセンサ116、117の何れかを通過した場合、媒体は、第1サイドセンサ116と第2サイドセンサ117の間の距離より大きく、カードでないと判定する。
【0076】
なお、カード判定部154は、他の方法により、媒体がカードであるか否かを判定してもよい。例えば、カード判定部154は、撮像装置121が撮像した画像に基づいて、媒体がカードであるか否かを判定する。その場合、カード判定部154は、撮像装置121から、媒体内のラインセンサと対向する領域(ライン)が撮像されたライン画像を取得する。カード判定部154は、公知の画像処理技術を利用して、ライン画像からエッジ画素を検出し、最も左端側及び右端側に検出されたエッジ画素で挟まれる領域を媒体領域として検出する。カード判定部154は、検出した媒体領域の画素数が所定数以下であるか否かにより、媒体がカードであるか否かを判定する。所定数は、ISO/IEC7810で規定されるIDカードの長辺の長さに相当する画素数にマージンを加えた値に設定される。
【0077】
また、カード判定部154は、媒体の厚さに基づいて、媒体がカードであるか否かを判定してもよい。例えば、重送検出装置100は、反射光センサ、圧力センサ又は機械式センサを有する。反射光センサは、媒体の表面に光を照射してから反射光を受光するまでの時間を検出し、カード判定部154は、検出された時間によって媒体の厚さを検出する。圧力センサは、媒体の厚さに応じて変化する圧力を検出し、カード判定部154は、検出された圧力によって媒体の厚さを検出する。機械式センサは、媒体に接するローラの移動量を検出し、カード判定部154は、検出された移動量によって媒体の厚さを検出する。カード判定部154は、検出した媒体の厚さが所定厚さ以上であるか否かにより、媒体がカードであるか否かを判定する。所定厚さは、一般的なIDカードの厚さとPPC用紙の厚さとの間の値(例えば0.5mm)に設定される。
【0078】
給送された媒体がカードである場合、制御部151は、媒体の重送が発生しておらず、媒体の搬送が正常であると判定し、媒体の搬送を継続させる(ステップS204)。これにより、重送検出装置100は、カードが給送された場合に、媒体の搬送を停止することを防止し、その結果、媒体読取処理の処理時間が増大してしまうことを防止できる。
【0079】
一方、給送された媒体がカードでない場合、制御部151は、媒体の重送、特に薄紙の重送が発生したと判定する(ステップS206)。
【0080】
次に、制御部151は、利用者に警告を通知する(ステップS208)。制御部151は、媒体の重送が発生したことを示す情報を表示装置106に表示することにより、又は、インタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置に送信することにより、利用者に警告を通知する。これにより、利用者は、媒体の重送が発生したことを認識し、薄紙を重送検出装置100から自身の手によって安全に取り出して、載置台103に再載置することができる。
【0081】
次に、制御部151は、駆動装置131を停止して媒体の搬送を停止させるとともに、撮像装置121による撮像を終了させて(ステップS209)、一連のステップを終了する。
【0082】
このように、制御部151は、給送される媒体の先端が第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119を通過した後は、媒体の重送が発生している場合でも、給送された媒体を載置台103に戻さない。媒体の先端が第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119を通過した後は、その媒体は、第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119に挟持されて搬送される。したがって、給送ローラ112及びブレーキローラ113によってその媒体を載置台103の方向に戻すためには、第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119の構造又は制御が複雑になる。重送検出装置100は、媒体の先端が第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119を通過した後に重送が発生した場合は、重送が発生した媒体を利用者に安全に取り出させて、媒体の損傷の発生を防ぐことができる。
【0083】
一方、超音波信号の信号値が第1閾値以上であり、又は、給送された媒体がカードであり、ステップS204で媒体の搬送を継続させていた場合、重送判定部152は、媒体の後端が超音波センサ114を通過したか否かを判定する(ステップS210)。重送判定部152は、第2媒体センサ115から第2検出信号を定期的に受信し、受信した第2検出信号に基づいて、媒体の後端が第2媒体センサ115の位置を通過したか否かを判定する。重送判定部152は、第2検出信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の後端が第2媒体センサ115の位置を通過したと判定し、超音波センサ114を通過したと判定する。
【0084】
媒体の後端が超音波センサ114を通過していない場合、重送判定部152は、処理をステップS202へ戻し、ステップS202~S210の処理を繰り返す。これにより、重送判定部152は、給送される媒体の先端が第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119を通過した後も、重送の判定を継続する。そのため、重送判定部152は、先端が重なって搬送される媒体だけでなく、先端がずれた状態で重なっている媒体、又は、付箋紙等が貼付された媒体についても、媒体の重送が発生したと判定することができる。
【0085】
一方、媒体の後端が超音波センサ114を通過した場合、画像取得部153は、媒体の後端が撮像装置121を通過したか否かを判定する(ステップS211)。画像取得部153は、第3媒体センサ120から第3検出信号を定期的に受信し、受信した第3検出信号に基づいて、媒体の後端が第3媒体センサ120の位置を通過したか否かを判定する。画像取得部153は、第3検出信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の後端が第3媒体センサ120の位置を通過したと判定する。画像取得部153は、媒体の後端が第3媒体センサ120の位置を通過してから所定時間経過したときに、媒体の後端が撮像装置121を通過したと判定する。所定時間は、媒体が第3媒体センサ120の位置から撮像装置121まで移動する時間に予め設定される。
【0086】
媒体の後端が撮像装置121を通過した場合、画像取得部153は、撮像装置121から入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置へ送信する(ステップS212)。また、画像取得部153は、撮像装置121による撮像を終了させる。なお、情報処理装置と接続されていない場合、画像取得部153は、入力画像を記憶装置140に記憶しておく。
【0087】
次に、制御部151は、第1媒体センサ111から受信する第1検出信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS213)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、ステップS103へ処理を戻し、ステップS103~S213の処理を繰り返す。
【0088】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、駆動装置131を停止し(ステップS214)、一連のステップを終了する。
【0089】
なお、ステップS106~S107の処理が実行される前に、重送判定部152は、超音波信号の信号値が第1閾値以上であるか否かを判定してもよい。その場合、重送判定部152は、超音波信号の信号値が第1閾値以上である場合、媒体の給送が正常であると判定し、超音波信号の信号値が第1閾値未満である場合、媒体の重送が発生したと判定する。そして、重送判定部152は、媒体の重送が発生したと判定した場合に限り、ステップS106において、超音波信号の信号値が第2閾値未満であるか否かを判定する。
【0090】
また、ステップS108~S109の処理において、制御部151は、媒体を載置台103に戻した場合、媒体を再給送せずに、一連のステップを終了してもよい。その場合も、利用者は、媒体を載置台103に再載置する必要がなくなり、重送検出装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0091】
また、ステップS205、S207の処理が省略され、超音波信号の信号値が第1閾値未満である場合、重送判定部152は、給送された媒体がカードであるか否かに関わらず、媒体の重送が発生したと判定してもよい。その場合も、重送検出装置100は、カード以外の媒体が給送された場合に、給送された媒体の重送が発生しているか否かを適切に判定することができる。
【0092】
また、ステップS208又はステップS209の処理の内の何れか一方の処理が省略され、制御部151は、利用者に警告を通知する処理又は媒体の搬送を停止する処理の内の何れか一方のみを実行してもよい。
【0093】
図9は、設定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0094】
以下、
図9に示したフローチャートを参照しつつ、重送検出装置100の設定処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主にCPU150により重送検出装置100の各要素と協働して実行される。
【0095】
最初に、設定部155は、利用者により操作装置105を用いて第1閾値又は第2閾値の設定指示が入力されて、設定指示に対応する操作信号を操作装置105から受信するまで待機する(ステップS301)。設定指示において、設定処理で使用される媒体の種類が利用者により指定される。指定される媒体の種類は、一枚の非薄紙、一枚のカード、二枚の薄紙又は二枚の非薄紙の内の何れかである。利用者は、通常使用する媒体の内、指定した種類の媒体を載置台103に載置するとともに、設定指示を入力する。設定部155は、設定指示に対応する操作信号を操作装置105から受信した場合、利用者による設定指示を受け付ける。
【0096】
利用者による設定指示を受け付けた場合、設定部155は、
図5のステップS102~S104の処理と同様にして、ステップS302~S304の処理を実行し、載置台103に載置されている媒体を給送させる。なお、設定指示で指定された媒体の種類が二枚の非薄紙又は二枚の薄紙である場合、ステップS303において、制御部151は、ブレーキローラ113を、媒体を給送する方向の反対方向A4に回転させず、媒体を分離させずに給送させる。
【0097】
次に、設定部155は、媒体の先端が第2媒体センサ115の位置に到達した場合、超音波センサ114から超音波信号を受信する(ステップS305)。
【0098】
次に、設定部155は、受信した、超音波センサ114により生成された超音波信号に基づいて、第1閾値及び第2閾値を設定し(ステップS306)、一連のステップを終了する。設定部155は、受信した超音波信号の信号値に第1係数を乗算した値を第1閾値として設定し、受信した超音波信号の信号値に第2係数を乗算した値を第2閾値として設定する。第2係数は第1係数より小さい値に設定される。
【0099】
設定指示で指定された媒体の種類が一枚の非薄紙である場合、第1係数及び第2係数は1より小さい値に設定される。例えば、第1係数は0.9に設定され、第2係数は0.4に設定される。一方、設定指示で指定された媒体の種類が一枚のカード又は二枚の薄紙である場合、第1係数は1より大きい値に設定され、第2係数は1より小さい値に設定される。例えば、第1係数は1.2に設定され、第2係数は0.8に設定される。また、設定指示で指定された媒体の種類が二枚の非薄紙である場合、第1係数及び第2係数は1より大きい値に設定される。例えば、第1係数は4.0に設定され、第2係数は2.0に設定される。
【0100】
重送判定部152は、設定部155により設定された第1閾値及び第2閾値を用いて、媒体の重送が発生したか否かを判定する。これにより、重送検出装置100は、利用者が実際に使用する媒体に応じて適切に閾値を設定することができ、重送の検出精度及び薄紙の判定精度を向上させることができる。
【0101】
なお、設定部155は、媒体を一回だけ搬送させて第1閾値及び第2閾値を設定するのでなく、媒体を複数回搬送させて第1閾値及び第2閾値を設定してもよい。例えば、設定部155は、第1閾値を、一枚の非薄紙を搬送させたときの超音波信号の信号値と、一枚のカード又は二枚の薄紙を搬送させたときの超音波信号の信号値との間の値に設定する。また、設定部155は、第2閾値を、一枚のカード又は二枚の薄紙を搬送させたときの超音波信号の信号値と、二枚の非薄紙を搬送させたときの超音波信号の信号値との間の値に設定する。これにより、重送検出装置100は、利用者が使用する媒体に応じて、より適切に閾値を設定することができる。一方、重送検出装置100は、媒体を一回だけ搬送させて閾値を設定することにより、設定処理における利用者の手間を低減させ、利用者の利便性を向上させることができる。
【0102】
また、設定処理において、設定部155は、第1閾値及び第2閾値の両方を設定するのでなく、第1閾値及び第2閾値の内の何れか一方のみを設定してもよい。また、設定部155は、第1閾値及び/又は第2閾値として、それぞれ複数の閾値を設定しておき、重送判定部152は、媒体読取処理が実行される前に、第1閾値及び/又は第2閾値を選択する指示を利用者から受け付けてもよい。これにより、利用者は、利用シーンに応じて第1閾値及び/又は第2閾値を変更することができ、搬送を停止する処理又は載置台103へ戻す処理を実行すべき媒体と、実行すべきでない媒体とを柔軟に変更することができる。
【0103】
以上詳述したように、重送検出装置100は、超音波信号の信号値が第1閾値未満である場合に媒体の重送が発生したと判定しつつ、第2閾値未満である場合は媒体を非薄紙の重送とみなして載置台103の方向に戻す。即ち、重送検出装置100は、媒体の重送が発生したか否かを判定するための第1閾値とは別に、重送した媒体が、載置台103の方向に戻すべき非薄紙であるか載置台103の方向に戻すべきでない薄紙であるかを判定するための第2閾値を使用する。これにより、重送検出装置100は、超音波センサ114により生成される超音波信号に基づいて、媒体の重送が発生したか否かと、重送した媒体が非薄紙であるか薄紙であるかと、を良好に判定することが可能となった。したがって、重送検出装置100は、重送が発生した場合に、給送された媒体を載置台103の方向に戻すか否かを適切に決定することが可能となった。
【0104】
図10は、他の実施形態に係る重送検出装置における処理回路260の概略構成を示す図である。
【0105】
処理回路260は、重送検出装置100の処理回路160の代わりに使用され、CPU150の代わりに、媒体読取処理及び設定処理を実行する。処理回路260は、制御回路261、重送判定回路262、画像取得回路263、カード判定回路264及び設定回路265等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0106】
制御回路261は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路261は、操作装置105から操作信号を、第1媒体センサ111から第1検出信号を、第2媒体センサ115から第2検出信号を、重送判定回路262から重送及び媒体の判定結果を、カード判定回路264からカードの判定結果を受信する。制御回路261は、受信した各情報に基づいて、駆動装置131を駆動するとともに、媒体を載置台103に戻し、又は、媒体の搬送を停止する。
【0107】
重送判定回路262は、重送判定部の一例であり、重送判定部152と同様の機能を有する。重送判定回路262は、第2媒体センサ115から第2検出信号を、第3媒体センサ120から第3検出信号を、超音波センサ114から超音波信号を受信するとともに、記憶装置140から第1閾値及び第2閾値を読み出す。重送判定回路262は、取得した各情報に基づいて、媒体の重送が発生したか否か、及び、媒体が非薄紙であるか薄紙であるかを判定し、判定結果を制御回路261に出力する。
【0108】
画像取得回路263は、画像取得部の一例であり、画像取得部153と同様の機能を有する。画像取得回路263は、撮像装置121から入力画像を受信し、記憶装置140に記憶するとともに、インタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置へ送信する。
【0109】
カード判定回路264は、カード判定部の一例であり、カード判定部154と同様の機能を有する。カード判定回路264は、第2媒体センサ115から第2検出信号を、第1サイドセンサ116から第1サイド信号を、第2サイドセンサ117から第2サイド信号を受信する。カード判定回路264は、受信した各信号に基づいて、給送された媒体がカードであるか否かを判定し、判定結果を制御回路261に出力する。
【0110】
設定回路265は、設定部の一例であり、設定部155と同様の機能を有する。設定回路265は、操作装置105から操作信号を、第1媒体センサ111から第1検出信号を、第2媒体センサ115から第2検出信号を、超音波センサ114から超音波信号を受信する。設定回路265は、受信した各信号に基づいて、第1閾値及び第2閾値を設定し、記憶装置140に記憶する。
【0111】
以上詳述したように、重送検出装置は、処理回路260を用いる場合においても、重送が発生した場合に、給送された媒体を載置台の方向に戻すか否かを適切に決定することが可能となった。
【符号の説明】
【0112】
100 重送検出装置
103 載置台
112 給送ローラ
113 ブレーキローラ
114 超音波センサ
118 第1搬送ローラ
119 第2搬送ローラ
151 制御部
152 重送判定部
154 カード判定部
155 設定部