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特許7191212プリアンブルシンボル生成器及びその生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】プリアンブルシンボル生成器及びその生成方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20221209BHJP
【FI】
H04L27/26 114
H04L27/26 313
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021515664
(86)(22)【出願日】2019-11-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 JP2019044982
(87)【国際公開番号】W WO2020105565
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】18306531.7
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】ブティエ、アルノー
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/178871(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/171341(WO,A1)
【文献】特表2018-504800(JP,A)
【文献】特開2010-283823(JP,A)
【文献】特開2017-169239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプリアンブルシンボルを生成するシンボル生成器であって、
前方部、中央部、及び後方部を有するベクトルを供給するバッファであって、前記中央部は第1の部分及び第2の部分をそれぞれ含む複数の連続するブロックに配置される、バッファと、
時間領域において、
前記前方部に前方パイロットサンプルを、
前記中央部に複数の連続するサンプルのブロックを、
前記後方部に後方パイロットサンプルを
挿入するシンボルプロセッサであって、
前記前方パイロットサンプル及び前記後方パイロットサンプルは、類似の相関系列を搬送するよう構成され、
前記複数の連続するサンプルのブロックのそれぞれは、前記中央部の前記第1の部分及び前記第2の部分にそれぞれ適合するように構成された第1部及び第2部に配置され、各前記第1部は所定の基準情報を搬送するように構成されたパイロットサンプルを含み、少なくとも1つの前記第2部は信号データを搬送するように構成されたデータサンプルを含む、シンボルプロセッサと、
所定のオーバーサンプリングレートに従って前記ベクトルのDFT-拡散-OFDM変調を実行する、第1の変調プロセッサであって、
前記ベクトルの時間領域サンプルは、離散フーリエ変換、DFT、演算によって、周波数領域に変換され、それにより、周波数領域サンプルが生成され、
前記周波数領域サンプルは、逆離散フーリエ変換、IDFT、演算によって、時間領域に変換され、それによって、オーバーサンプルされた時間領域サンプルが生成される、第1の変調プロセッサと、
を含む、シンボル生成器。
【請求項2】
前記バッファは、さらに、前記前方部に巡回ポストフィックス部を提供し、前記後方部に第1の巡回プレフィックス部を提供するように構成され、
前記シンボルプロセッサはさらに、前記時間領域において、
巡回ポストフィックスパイロットサンプルを前記巡回ポストフィックス部に、
巡回プレフィックスパイロットサンプルを前記第1の巡回プレフィックス部に、
挿入するよう構成され、
前記巡回ポストフィックスパイロットサンプルは、前記前方部の所定の複数の前方パイロットサンプルのコピーを含み、
前記巡回プレフィックスパイロットサンプルは、前記後方部の所定の複数の後方パイロットサンプルのコピーを含む、請求項1に記載のシンボル生成器。
【請求項3】
前記DFT-拡散-OFDM変調を実行する前に、所定のスクランブル系列に従って、前記プリアンブルシンボルの前記複数の連続するサンプルのブロックをスクランブルするよう構成される、スクランブル部をさらに含む、請求項1または2に記載のシンボル生成器。
【請求項4】
前記DFT-拡散-OFDM変調を実行する前に、前記前方部に関係づけられた第1の元のサンプルが前記DFT-拡散-OFDM変調のサンプリング時点に整列されるように、前記後方部に関係づけられた第1の元のサンプルが前記DFT-拡散-OFDM変調のサンプリング時点に整列されるよう、前記後方部の前記時間領域サンプルを、前記時間領域で遅延させるよう構成される、遅延部をさらに含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のシンボル生成器。
【請求項5】
前記第1の変調プロセッサは、前記後方部に対する別個のDFT-拡散-OFDM変調を実行するようさらに構成され、
該シンボル生成器は、前記前方部に関係づけられた第1の元のサンプルが前記DFT-拡散-OFDM変調のサンプリング時点に整列されるように、前記後方部に関係づけられた第1の元のサンプルが該DFT-拡散-OFDM変調のサンプリング時点に整列されるよう、前記後方部に関係づけられた前記周波数領域サンプルに、周波数領域において、線形移相を適用する、線形移相器をさらに含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のシンボル生成器。
【請求項6】
信号を送信する送信機であって、
少なくとも1つのプリアンブルシンボルを生成する、請求項1から5のいずれか1項に記載のシンボル生成器と、
前記生成されたプリアンブルシンボルを含む少なくとも1つの信号フレームを供給する、信号フレームプロセッサと、
所定の多重化スキームに従って、前記信号フレームを変調し、それにより、変調信号を生成する、第2の変調プロセッサと、
少なくとも1つの送信チャネルを介して、前記変調信号を送信する、送信部と
を含む、送信機。
【請求項7】
前記変調信号に第2の巡回プレフィックス部を供給し、
時間領域において、巡回プレフィックスパイロットサンプルを、前記変調信号の該第2の巡回プレフィックス部に挿入する、
巡回プレフィックスプロセッサをさらに含み、
前記巡回プレフィックスパイロットサンプルは、前記プリアンブルシンボルの前記前方部の前記前方パイロットサンプルに関係づけられた所定の複数のオーバーサンプリングされた時間領域サンプルのコピーを含む、
請求項6に記載の送信機。
【請求項8】
請求項7に記載の送信信号を受信する受信機であって、
前記受信した受信信号を復調し、それにより復調信号を生成する、復調部と、
前記復調信号から信号フレームを検出する、信号フレーム検出器であって、前記信号フレームは、請求項1から5のいずれか1項に記載の生成されたプリアンブルシンボルを含む、信号フレーム検出器と、
前記信号フレームの前記検出は、前記復調信号と前記復調信号の遅延したものとの間の自己相関値の計算に基づいて粗時間同期を実行することを含み、前記復調信号の遅延したものには、前記復調信号の前記プリアンブルシンボルの前記前方部が、前記遅延した前記復調信号の前記プリアンブルシンボルの前記後方部と一致するように、所定の遅延が付与され、
前記信号フレームの前記検出の後に、前記信号フレームの前記第2の巡回プレフィックス部と前記プリアンブルシンボルとに基づいて、チャネル推定を実行する、チャネル推定器と、
前記信号フレームの前記検出の後に、所定のスクランブル系列に従って、前記プリアンブルシンボルの前記複数の連続するサンプルのブロックを逆スクランブルする、逆スクランブル部と、
を含む、受信機。
【請求項9】
前記プリアンブルシンボルの前記前方部及び前記後方部に関係づけられたサンプルをゼロにし、それにより、変更されたプリアンブルシンボルを得て、
DFT演算により、前記変更されたプリアンブルシンボルの前記時間領域サンプルを、周波数領域サンプルに変換し、
前記変更されたプリアンブルシンボルの複数の連続するサンプルのブロックの各々に関連付けられた前記周波数領域サンプルの振幅の平均化に基づいて、粗周波数同期を実行する、信号プロセッサをさらに含む、請求項8に記載の受信機。
【請求項10】
少なくとも1つのプリアンブルシンボルを生成するシンボル生成方法であって、
前方部、中央部、及び後方部を有するベクトルを供給すること、前記中央部は第1の部分と第2の部分とをそれぞれ含む複数の連続するブロックに配置され、
時間領域において、
前記前方部に前方パイロットサンプルを、
前記中央部に複数の連続するサンプルのブロックを、
前記後方部に後方パイロットサンプルを
挿入すること、
前記前方パイロットサンプル及び前記後方パイロットサンプルは、類似の相関系列を搬送するよう構成され、
前記複数の連続するサンプルのブロックのそれぞれは、前記中央部の前記第1の部分及び前記第2の部分にそれぞれ適合するように構成された第1部及び第2部に配置され、各前記第1部は所定の基準情報を搬送するように構成されたパイロットサンプルを含み、少なくとも1つの前記第2部は信号データを搬送するように構成されたデータサンプルを含み、
所定のオーバーサンプリングレートに従って前記ベクトルのDFT-拡散-OFDM変調を実行すること、
前記ベクトルの時間領域サンプルは、離散フーリエ変換、DFT、演算によって、周波数領域に変換され、それにより、周波数領域サンプルが生成され、
前記周波数領域サンプルは、逆離散フーリエ変換、IDFT、演算によって、時間領域に変換され、それによって、オーバーサンプルされた時間領域サンプルが生成される、
を含む、シンボル生成方法。
【請求項11】
請求項10に記載のシンボル生成方法であって、
前記前方部は巡回ポストフィックス部を含み、前記後方部は第1の巡回プレフィックス部を含み、前記方法はさらに、
時間領域において、
巡回ポストフィックスパイロットサンプルを前記巡回ポストフィックス部に、
巡回プレフィックスパイロットサンプルを前記第1の巡回プレフィックス部に
挿入することを含み、
前記巡回ポストフィックスパイロットサンプルは、前記前方部の所定の複数の前方パイロットサンプルのコピーを含み、
前記巡回プレフィックスパイロットサンプルは、前記後方部の所定の複数の後方パイロットサンプルのコピーを含む、シンボル生成方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載のシンボル生成方法であって、
前記DFT-拡散-OFDM変調を実行する前に、該方法はさらに、所定のスクランブル系列に従って、前記プリアンブルシンボルの前記複数の連続するサンプルのブロックをスクランブルすること、
を含む、シンボル生成方法。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか1項に記載のシンボル生成方法であって、
前記DFT-拡散-OFDM変調を実行する前に、前記方法はさらに、
前記前方部に関係づけられた第1の元のサンプルが前記DFT-拡散-OFDM変調のサンプリング時点に整列されるように、前記後方部に関係づけられた第1の元のサンプルが前記DFT-拡散-OFDM変調のサンプリング時点に整列されるよう、前記後方部の前記時間領域サンプルを、時間領域で遅延させること
を含む、シンボル生成方法。
【請求項14】
請求項10から12のいずれか1項に記載のシンボル生成方法であって、
前記DFT-拡散-OFDM変調を実行することは、
前記後方部に対する別個のDFT-拡散-OFDM変調を実行することと、
前記前方部に関係づけられた第1の元のサンプルが前記DFT-拡散-OFDM変調のサンプリング時点に整列されるように、前記後方部に関係づけられた第1の元のサンプルが前記DFT-拡散-OFDM変調のサンプリング時点に整列されるよう、前記後方部に関係づけられた前記周波数領域サンプルに、周波数領域において、線形移相を適用すること、をさらに含む、シンボル生成方法。
【請求項15】
信号を送信する送信方法であって、
請求項10から14のいずれか1項に記載のプリアンブルシンボルを供給すること、
前記生成されたプリアンブルシンボルを含む少なくとも1つの信号フレームを供給すること、
所定の多重化スキームに従って、前記信号フレームを変調し、それにより、変調信号を生成すること、及び、
少なくとも1つの送信チャネルを介して、前記変調信号を送信すること、
を含み、
前記信号フレームは、第2の巡回プレフィックス部を供給し、
前記信号フレームを生成することは、時間領域において、巡回プレフィックスパイロットサンプルを、前記信号フレームの前記第2の巡回プレフィックス部に挿入することを含み、
前記巡回プレフィックスパイロットサンプルは、前記プリアンブルシンボルの前記前方部の所定の複数の前方パイロットサンプルのコピーを含む、送信方法。
【請求項16】
請求項15に記載の送信信号を受信する、受信方法であって、
前記受信した受信信号を復調し、それにより復調信号を生成すること、
前記復調信号から信号フレームを検出すること、前記信号フレームは、請求項10乃至14のいずれか1項に記載の方法に従って生成されたプリアンブルシンボルを含む、
前記信号フレームを検出することは、前記復調信号と前記復調信号の遅延したものとの間の自己相関値の計算に基づいて粗時間同期を実行することを含み、
前記復調信号の遅延したものには、前記復調信号の該プリアンブルシンボルの前記前方部が、前記遅延した前記復調信号の該プリアンブルシンボルの前記後方部と一致するように、所定の遅延が付与され、
前記信号フレームの前記検出の後に、前記信号フレームの前記第2の巡回プレフィックス部と前記プリアンブルシンボルとに基づいて、チャネル推定を実行すること、及び、
前記信号フレームの前記検出の後に、所定のスクランブル系列に従って、前記プリアンブルシンボルの前記複数の連続するサンプルのブロックを逆スクランブルすること、
を含む、受信方法。
【請求項17】
前記プリアンブルシンボルの前記前方部及び前記後方部に関係づけられたサンプルをゼロにし、それにより、変更されたプリアンブルシンボルを得ること、
DFT演算により、前記変更されたプリアンブルシンボルの前記時間領域サンプルを、周波数領域サンプルに変換すること、及び、
前記変更されたプリアンブルシンボルの複数の連続するサンプルのブロックの各々に関連付けられた前記周波数領域サンプルの振幅の平均化に基づいて、粗周波数同期を実行すること、をさらに含む、請求項16に記載の受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、プリアンブルシンボルを生成し、プリアンブルシンボルを含む信号を送信及び受信する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
広帯域通信システムにおいては、直交周波数分割多重(OFDM)技術が広く採用されている。有望な技術として、OFDMは、欧州第二世代デジタルビデオ放送規格(DVB-T2)及び他のデジタルテレビ放送ソリューションに適用されている。
【0003】
固定、ハンドヘルド及びモバイル受信のような様々なアプリケーションシナリオに対応するため、DVB-T2は、通常のOFDMシンボルの各データフレームに先行するP1シンボルと呼ばれるプリアンブルシンボルを導入する。P1シンボルは、時間及び粗い周波数同期を可能にし、その後に到来するデータを復号するための信号データを搬送する。
【0004】
P1シンボルは、S1及びS2と呼ばれる2組の直交相補系列を利用することにより、異なる信号データを伝達する。受信機において、両方の組における全ての可能な系列は、整合されたケースを見出すために、受信した信号系列と関係づけられている。したがって、多数の相関が必要であり、このため、信号検出のためには、高度に複雑化された計算が必要になる。
【0005】
しかし、チャネル推定及びデータ復調のような後続の処理を実行する受信機にとって、信号データの迅速で信頼性のある検出が重要である。
【0006】
したがって、同等以上の同期化機能を提供しつつ、より低い複雑性で、P1シンボルの少なくとも同等の信号化の目的を達成するプリアンブルシンボルが必要である。さらに、衛星伝送のような電力制約のある状況下では、低ピーク対平均電力比(PAPR)を有するプリアンブルシンボルも必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願は、添付の請求の範囲に記載されるように、プリアンブルシンボルを生成するための装置及び方法を提供する。本出願はまた、添付の請求の範囲に記載されるように、このプリアンブルシンボルを含む信号を送信及び受信する装置及び方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
提案された解決策のさらなる詳細、態様及び実施形態は、例としてのみ、図面を参照して説明される。図面において、類似またはほぼ同じ参照番号は、類似または機能的にほぼ同じ要素を識別するために用いられる。図面中の要素は、単純化及び明瞭化のために図示されており、必ずしも縮尺どおりに描かれてはいない。また、一般に、点線で示される機能ボックスは任意である。
【0009】
図1図1は、本出願の実施形態による、例示的な通信システムを示すブロック図である。
図2図2は、本出願の実施形態による、例示的な送信機を示すブロック図である。
図2A図2Aは、本出願の実施形態による、例示的な複数の信号フレームを示す。
図2B図2Bは、図2Aの信号フレームに関係づけられた変調信号を示す。
図3図3は、本出願の実施形態による、例示的なシンボル生成器を示すブロック図である。
図3A図3Aは、本出願の実施形態による、例示的なベクトルを示す。
図3B図3Bは、本出願の実施形態による、例示的なベクトルを示す。
図3C図3Cは、本出願の実施形態による、例示的なベクトルを示す。
図4図4は、本出願の実施形態による、例示的な受信機を示す。
図4A図4Aは、本出願の実施形態による、例示的な復調信号及びこの復調信号の遅延した信号を示すブロック図である。
図5図5は、本出願の実施形態による、シンボル生成方法のフローチャートである。
図6図6は、本出願の実施形態による、送信方法のフローチャートである。
図7図7は、本出願の実施形態による、受信方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
埋め込まれた信号データの低い複雑性での迅速かつ確実な検出と共に、頑強で簡単なフレーム検出及び同期を達成するプリアンブルシンボルを提供するために、本出願の実施形態は、前方部分、中央部分及び後方部分を示す3つの部分を有するプリアンブルシンボルを提案する。この前方部分及び後方部分は、プリアンブル検出、粗時間同期及び分数周波数誤差推定に使用される類似の相関系列を含む。一方、中央部分は、所定の基準情報、及び、粗周波数同期及びデータ搬送に使用される信号データを含むサンプルの連続したブロックを含む。
【0011】
本出願は、OFDMのための従来の検出及び同期技術が、本出願のプリアンブルを含む信号に直ちに適用され得るという効果を有する。実際、本出願のプリアンブルシンボルは、OFDM変調の変形である従来のDFT-s-OFDMシンボルとして生成されるので、本出願のプリアンブルシンボルは、従来のOFDMベースのシンボルである。これに対して、本明細書の最初で言及したP1シンボルは、従来のOFDMシンボルではない。実際には、P1シンボルは、(部分Aで示す)OFDMシンボルであり、前方(部分Cで示す)及び後方(部分Bで示す)の2つのガードインターバルが付加されている。部分C及び部分Bは、所定のシフト周波数を有する部分Aの、最初の542個のサンプルと残りの482個のサンプルのコピーである。
【0012】
さらに、本出願のプリアンブルシンボルは、従来のDFT-s-OFDMシンボルとして生成されるので、プリアンブルシンボルは、粗い周波数同期にデータが間接的に寄与する基準サンプルと並行して信号データを搬送することができる。対照的に、P1シンボルでは、系列はシグナリングを示すために使用され、高度に複雑な計算を必要とする。
【0013】
また、提案されたプリアンブルシンボルのもう一つの利点は、DFT-s-OFDM変調が、送信されるオリジナルサンプルを循環的にオーバーサンプリングするので、生成された信号のピーク対平均パワー比(PAPR)を低く維持できることである。実際、これは、省電力のための低入力バックオフで電力増幅器を動作させることが要求される衛星伝送システムに特に適している。
【0014】
最後に、本出願は、チャネル推定の実行を可能にするプリアンブルシンボルの前方部から導出された特定の巡回プレフィックスを提案する。
【0015】
図1は、本出願のアプリケーションが実施される例示的な通信システム10を示す。図1において、通信システム10は、1つの送信機100と、1つの受信機200と、通信ネットワーク20とを備えているが、一般に、通信システム10は、1つ以上の送信機100及び受信機200を備えてもよい。
【0016】
通信ネットワーク20は、送信機100と受信機200との間のデータ転送をサポートするように構成され、一例では、通信ネットワーク20は、衛星または地上通信ネットワークである。しかしながら、放送通信ネットワークのような他の通信ネットワークを企図することができる。
【0017】
図2は、本出願とともに用いられる例示的な送信機100を示す。図2において、送信機100は、シンボル生成器110と、信号フレームプロセッサ120と、変調プロセッサ130と、送信部150とを備える。
【0018】
本出願では、信号フレームプロセッサ120、変調プロセッサ130及び送信部150は、従来の広帯域通信システムで使用されるような、従来のプロセッサである。
【0019】
送信機100が動作中であるとき、シンボル生成器110は、少なくとも1つのプリアンブルシンボルPrを生成するように構成される。さらに、信号フレームプロセッサ120は、少なくとも1つの生成されたプリアンブルシンボルPrを含む少なくとも1つの信号フレームを供給するように構成される。
【0020】
図2Aは、プリアンブルシンボルPr及びデータフレームDi-1、Di、Di+1、Di+2を含む、例示的な複数の信号フレームFi-1、Fi、Fi+1、Fi+2を示す。図2Aにおいて、プリアンブルシンボルPrは、信号フレームFi-1、Fi、Fi+1、Fi+2の先頭に位置する。しかし、別の実施形態において、プリアンブルシンボルPrは、信号フレームFi-1、Fi、Fi+1、Fi+2の末尾に位置してもよい。この場合、プリアンブルシンボルPrはポストアンブルとして知られている。
【0021】
図2に戻って、変調プロセッサ130は、所定の多重化スキームに従って信号フレームを変調し、それにより、変調信号Sを生成するように構成される。一例では、この多重化スキームは、符号分割多重(CDM)、時分割多重(TDM)、周波数分割多重(FDM)または直交周波数分割多重(OFDM)である。しかし、広帯域通信システムの当業者によって知られている他の多重化スキームを企図することができる。
【0022】
最後に、送信部150は、少なくとも1つの伝送チャネルを介して変調信号Sを送信するように構成される。
【0023】
一つの実施形態において、送信機100は、
・変調信号Sに巡回プレフィックス部を供給し、
・時間領域において、巡回プレフィックスパイロットサンプルを、変調信号の巡回プレフィックス部に挿入するよう構成された巡回プレフィックスプロセッサ140をさらに備える。特に、この巡回プレフィックスパイロットサンプルは、プリアンブルシンボルPrの前方部の前方パイロットサンプルに関係づけられた所定の複数のオーバーサンプリングされた時間領域サンプルのコピーを含む。オーバーサンプリングされた時間領域サンプルに関して、図3に関連して以下に詳細に説明する。
【0024】
図2Bは、変調信号Siの先頭に付加された巡回プレフィックスCPを有する、図2Aの信号フレームFiに関係づけられた変調信号Siを示す。図2Bの例では、巡回プレフィックスパイロットサンプルは、変調信号Siの前に挿入される信号フレームFiのプリアンブルシンボルPrの前方部のエンドサンプルのコピーに対応する。
【0025】
図3は、少なくとも1つのプリアンブルシンボルPrを生成するために使用することができる例示的なシンボル生成器110を示す。図3において、シンボル生成器110は、バッファ111と、シンボルプロセッサ112と、変調プロセッサ115とを備える。
【0026】
本出願では、バッファ111、シンボルプロセッサ112及び変調プロセッサ115は、従来の広帯域通信システムで使用されるような従来のプロセッサである。
【0027】
シンボル生成器110が動作中である場合、バッファ111は、前方部、中央部、及び後方部を有するベクトルを供給するように構成される。
【0028】
図3Aは、前方部31と、中央部32と、後方部33とを含む例示的なベクトル30を示している。図3Aにおいて、中央部32は、第1の部分321及び第2の部分322をそれぞれ含む複数の連続するブロック320に配置され、第2の部分322のサイズはゼロでもよい。図3Aの例では、前方部31はKa個のサンプルを含み、中央部31はKb個のサンプルを含み、後方部33はKc個のサンプルを含む。したがって、ベクトル30は、
K=Ka+Kb+Kc (1)
であるK個のサンプルを含む。
【0029】
さらに、図3及び図3Aに関連して、シンボルプロセッサ112は、時間領域において、
・前方パイロットサンプルを前方部31に、
・複数の連続するサンプルのブロックを中央部32に、
・後方パイロットサンプルを後方部33に
挿入するよう構成される。
【0030】
特に、前方パイロットサンプル及び後方パイロットサンプルは、類似の相関系列を搬送するように構成される。言い換えると、図3Aに示すように、前方部31及び後方部33は、類似のサンプルの組を含む。一例では、前方部31と後方部33は、Ka=Kcのように、同一のサンプルの組を含む。一例では、この相関系列は、定振幅零自己相関(CAZAC)系列、擬似雑音系列、擬似ランダム符号系列、または良好な相関関係及び低電力変動特性を有する任意の他の適切な相関系列である。
【0031】
さらに、複数の連続するサンプルのブロックの各々は、第1の部分321及び第2の部分322にそれぞれ適合するように構成された第1部及び第2部に配置される。さらに、各第1の部分は、所定の基準情報を搬送するように構成されたパイロットサンプルを含み、第2の部分の少なくとも1つは、信号データを搬送するように構成されたデータサンプルを含む。一例では、この信号データは、高速フーリエ変換(FFT)サイズ、単一入力/単一出力及び多入力/単出力伝送モードなどの送信パラメータを含む。別の例では、この信号データは、デジタル映像放送技術において使用されるような伝送パラメータ信号(Transmission Parameter Signaling)を含む。さらに別の例では、一部の第2部がデータサンプルを含む場合、残りの第2部を様々な所定の詰め物で詰めてもよい。実際には、所定の詰め物は、PRBS系列のような既知の系列の反復であってもよい。
【0032】
一つの実施形態において、複数の連続するサンプルのブロックの各々は、同数のサンプルKblを含む。第1の例では、ベクトル30のK個のサンプルの数は整数である。第2の例では、ベクトル30のK個のサンプルの数は、Kblの倍数である。その場合、連続するサンプルのブロックの数は、次のように定義される。
【数1】
ここで、floor(x)はx以下の最大の整数である。
【0033】
図3に戻って、変調プロセッサ115は、所定のオーバーサンプリングレートに従って、ベクトル30のDFT-拡散-OFDM変調を実施するように構成される。
【0034】
特に、ベクトル30の時間領域サンプルは、離散フーリエ変換(DFT)演算によって周波数領域に変換され、それによって周波数領域サンプルが生成される。そのとき、この周波数領域サンプルは、マルチキャリア通信チャネルのサブキャリアのグループに関連付けられる。さらに、周波数領域サンプルは、逆離散フーリエ変換(IDFT)演算によって時間領域に変換され、それによって、オーバーサンプリングされた時間領域サンプルを生成する。
【0035】
実際、DFT-拡散-OFDM変調において、時間領域サンプルは、DFTによって周波数で最初に拡散される。2つの帯域エッジにヌルサブキャリヤを追加した後、拡散シンボルはIDFTによってOFDM変調され、予想されるスペクトル形状を有する時間領域信号を得る。拡散のためのDFTと、変調のためのIDFTとのこの組み合わせは、連続的時間補間における主要sine関数またはsinc関数のDFT補間における等化物である、ディリクレカーネルとしても知られているディリクレ波形でフィルタリングされる元のサンプルのオーバーサンプリングされたものとして単に理解され得る。
【0036】
すなわち、図3Aの例によれば、変調プロセッサ115は、前方部31、中央部32、後方部33のそれぞれに含まれるサンプルを、OFDMシンボル周期毎にN個のポイントが得られるように、N/Kのオーバーサンプリングレートでオーバーサンプリングする。したがって、図3A(図示せず)の例では、前方部31のオーバーサンプリングされたものはNa個のサンプル(Na=Ka*N/K)を含み、中央部31のオーバーサンプリングされたものはNb個のサンプル(Nb=Kb*N/K)を含み、後方部33のオーバーサンプリングされたものはNc個のサンプル(Nc=Kc*N/K)を含む。したがって、ベクトル30のオーバーサンプリングされたものは、N個のサンプルを含む。
N=Na+Nb+Nc (3)
であるN個のサンプルを含む。さらに、図3Aの例では、前方部31のオーバーサンプリングされたものの持続時間は、Ta(Ta=Ka*N/K*Ts、ただし、TsはDFT-拡散-OFDM変調の後のサンプリング期間である)に等しく、中央部31のオーバーサンプリングされたものの持続時間はTb(Tb=Kb*N/K*Ts)に等しく、後方部33のオーバーサンプリングされたものの持続時間はTc(Tc=Kc*N/K*Ts)に等しい。したがって、ベクトル30のオーバーサンプリングされたものの持続時間は、
T=Ta+Tb+Tc (4)
に等しい。
【0037】
シンボル生成器110の一つの実施形態において、バッファ111は、さらに、前方部31に巡回ポストフィックス部を提供し、後方部33に巡回プレフィックス部を提供するように構成される。
【0038】
図3Bは、巡回ポストフィックス部34と巡回プレフィックス部35とを含むベクトル30を示す。図3Bの例は、DFT-拡散-OFDM変調の後では、前方部31と後方部33とが完全に等しくなるわけではないことを考慮している。これは、前方部31と後方部33のそれぞれが互いに広がるように循環的に適用されるオーバーサンプリング操作によるものであり、前方部31と後方部33とが共に中央部32によって干渉される。この状況は、以下に説明するように、受信機200における自己相関演算の性能の低下をもたらす。
【0039】
したがって、図3Bの例は、前方部31と後方部33の両端に大体同じ広がり効果を得るとの効果を有する。実際には、時間TaとTcの間の信号の対応する2つの部分を実際に強く相関させるには少数のサンプルが必要である。導入されるサンプルの量は、前方部31及び後方部33を使用する時間同期のロバスト性と、中央部32を用いて行われる周波数同期化との間のトレードオフとして確定されるべきである。この手法は、前方部31と後方部33の持続時間の延長として見ることができるが、相関を計算するために使用される部分は、実際には、両部の全持続時間よりも小さい。
【0040】
また、図3及び図3Bに関連して、シンボルプロセッサ112は、時間領域において、
巡回ポストフィックスパイロットサンプルを、巡回ポストフィックス部34に挿入し、
巡回プレフィックスパイロットサンプルを、巡回プレフィックス部35に挿入する
よう構成される。
【0041】
特に、巡回ポストフィックスパイロットサンプルは、前方部の所定の複数の前方パイロットサンプルのコピーを含む。また、巡回プレフィックスパイロットサンプルは、後方部の所定の複数の後方パイロットサンプルのコピーを含む。図3Bの例において、巡回ポストフィックスパイロットサンプルは、前方部31の後に挿入される前方部31の開始サンプルのコピーに対応する。また、巡回プレフィックスパイロットサンプルは、後方部33の前に挿入される後方部33の終了サンプルのコピーに対応する。
【0042】
シンボル生成器110の別の実施形態において、DFT-拡散-OFDM変調を実行する前に、シンボル生成器110は、スクランブル部113をさらに備え、スクランブル部113は、所定のスクランブル系列に従って、プリアンブルシンボルの複数の連続するサンプルのブロックをスクランブルするように構成される。一例では、この所定のスクランブル系列は、擬似乱数系列である。
【0043】
図3Cは、スクランブル系列40を含むベクトル30を示す。以下に説明するように、スクランブル動作は、中央部32に存在する反復パターンに起因するプリアンブルシンボルのスペクトルに現れるスペクトル線を平滑化することによって、受信レベルにおいて帯域外(OOB)放射を低減する効果を有する。
【0044】
図3Aを参照すると、DFT-拡散-OFDM変調では、ベクトル30のK個の元のサンプルが最終的な連続時間信号に現れるが、N個の生成されたサンプルの一部ではないことが知られている。例えば、後方部33の第1のサンプルの正規化された位置は、次のように与えられる。
【数2】
さらに、後方部33の第1のサンプルは、τが整数である場合にのみ、N個の生成されたサンプルに属する。したがって、後方部33のサンプルを整数位置に位置させるために、
【数3】
による負の遅延値を適用してもよい。ここで、floor(x)はx以下の最大の整数である。
【0045】
この負の遅延値Δτは、時間領域または周波数領域で適用することができる。
【0046】
例えば、時間領域において、DFT-拡散-OFDM変調を実行する前に、シンボル生成器110は、遅延部114をさらに備える。前方部31に関係づけられた第1の元のサンプルがDFT-拡散-OFDM変調のサンプリング時点に整列されるように、遅延部114は、後方部33に関係づけられた第1の元のサンプルがDFT-拡散-OFDM変調のサンプリング時点に整列されるよう、後方部33の時間領域サンプルを時間領域で遅延させるよう構成される。
【0047】
別の例では、周波数領域において、変調プロセッサ115は、前方部31及び中央部31に対するDFT-拡散-OFDM変調とは別個の、後方部33に対するDFT-拡散-OFDM変調を実行するようにさらに構成される。また、シンボル生成器110は、さらに、線形移相器(図示せず)を備える。前方部31に関係づけられた第1の元のサンプルがDFT-拡散-OFDM変調のサンプリング時点に整列されるように、この線形移相器は、後方部33に関係づけられた第1の元のサンプルがDFT-拡散-OFDM変調のサンプリング時点に整列されるように、後方部33に関係づけられた周波数領域サンプルへの線形移相を周波数領域で適用するよう構成される。最後に、シンボル生成器110は、DFT-拡散-OFDM変調の線形性を利用することにより、別個のDFT-拡散-OFDM変調から得られた出力信号を付加してもよい。
【0048】
送信機100により送信される信号Sを受信するために用いられ得る受信機200を例示的に示す図4に移ろう。図4において、受信機200は、復調部210と、信号フレーム検出器220と、チャネル推定器230とを備える。
【0049】
本出願では、信号フレーム検出器220及びチャネル推定器230は、従来の広帯域通信システムで使用されるような従来の処理部である。さらに、一つの実施形態において、信号フレーム検出器220は、所定の逆スクランブル系列を受信信号Sに適用するように構成される。所定の逆スクランブル系列は、送信機レベルで使用される所定のスクランブル系列に関連付けられる。実際には、所定の逆スクランブル系列のサイズは、受信信号Sに合わせる必要がある。上記の逆スクランブル動作は、中央部32に存在する繰り返しパターンの周期的な文字を復元し、その後、粗周波数同期の実行を容易にする、との効果を有する。
【0050】
受信機200が動作中である場合、復調部210は、受信信号Sを復調するように構成され、それによって復調信号dSを生成する。さらに、信号フレーム検出器220は、復調信号dSから信号フレームを検出するように構成される。この信号フレームは、シンボル生成器110によって生成されたプリアンブルシンボルPrを含む。
【0051】
特に、信号フレームの検出は、復調信号dSと復調信号の遅延したものとの間の自己相関値の計算に基づいて粗時間同期を実行することを含む。その場合、復調信号dSのプリアンブルシンボルPrの先頭部31が遅延復調信号のプリアンブルシンボルPrの後方部33と一致するように、復調信号の遅延したものには所定の遅延が付与される。一例では、所定の遅延は、
Δd=(K-KC)*(N/K)*Ts (7)
により規定される。
【0052】
本出願では、粗時間同期は、おおよその同期タイミングを得ること、及び、キャリア周波数オフセットに関する特性を得ることを目的とする。この場合、係数の相関のピークを探索することにより、粗時間同期を求めることができる。さらに、受信機と送信機との間に周波数シフトが存在する場合、相関の最大値での複素サンプルの位相も、相関遅延に関するシフトのいわゆる分数部分を与えることが知られている。
【0053】
図2B及び図4に関連して、図4Aは、復調信号dS、及び、復調信号dSの遅延したものddSを例示的に示す。図4Aはまた、従来の相関及びピーク検出方法で一般に使用されているような、所定の遅延Δd及び従来のスライディング相関ウィンドウWを示す。
【0054】
図4に戻って、チャネル推定器230は、信号フレームの検出後に、信号フレームの巡回プレフィックス部とプリアンブルシンボルPrとに基づいて、チャネル推定を実行するように構成される。実際に、図2Bに示されるように、本出願の特定の巡回プレフィックスは、全体的な信号フレームに関係づけられる代わりに、前方部31の前方パイロットサンプルに関係づけられる。したがって、チャネル推定器230は、プリアンブルシンボルPrの前方部31の前方パイロットサンプルを抽出し、それをチャネル推定のための基準OFDMシンボルとして使用することができる。その場合、前方パイロットサンプルによって搬送される相関系列は、受信機200において既知であるべきである。この原理に従って、チャネル推定器230は、短いOFDMシンボルを使用してチャネルを推定することができる。前記チャネル推定は、ある意味では散乱OFDMパイロットと同様に、規則的に間隔を置いたサブキャリアで実行することができ、生成された信号の良好なPAPR特性を維持する。以下の刊行物は、チャネル推定に関するさらなる詳細を提供する。A.Bouttier and J.Guillet,“A low-PAPR low-pilot overhead Reference Signal for the DFT-spread OFDM Modulation,”2018 25th International Conference on Telecommunications (ICT),St.Malo,2018, pp.110-115.
【0055】
さらに、逆スクランブル部440は、信号フレームの検出の後、所定のスクランブル系列に従ってプリアンブルシンボルPrの複数の連続するサンプルのブロックの第2の部分を逆スクランブルするように構成される。この場合、送信機レベルで使用される所定のスクランブル系列は、受信機200において既知であるべきである。一つの実施形態において、発生しうる時間同期誤差もなく、異なるタイミングのオフセットに逆スクランブルを適用することができる。
【0056】
ここで、粗時間同期が行われると、粗周波数同期を行うことができる。
【0057】
本出願では、粗周波数同期は、送信機100の搬送周波数と受信機200の搬送周波数との間に存在する可能性のあるシフトの推定を目的とする。ただし、その時点で、受信信号から分数周波数誤差が除去されているものとする。そして、単に、周波数領域サンプルの振幅をサンプルのブロック数を法として平均することにより、周波数シフトの整数部分を検出する必要がある この場合、周波数誤差の整数部分は、平均振幅の最大値の指標によって与えられる。
【0058】
受信機200の一つの実施形態において、図4に関連して、受信機200は、信号プロセッサ250をさらに備える。信号プロセッサ250は、
プリアンブルシンボルPrの前方部31及び後方部33に関係づけられたサンプルをゼロにし、それにより、変更されたプリアンブルシンボルを得る、
DFT演算により、変更されたプリアンブルシンボルのオーバーサンプリングされた時間領域サンプルを周波数領域のサンプルに変換する、
変更されたプリアンブルシンボルの複数の連続するサンプルのブロックの各々に関連付けられた周波数領域サンプルの振幅の平均化に基づいて、粗周波数同期を実行する
ように構成される。
【0059】
プリアンブルシンボルPrの中央部32の配置は、エッジ部分をゼロにすることによって、受信したプリアンブルシンボルPrに対して実行されるDFTを用いて整数周波数シフトの検出を可能にすることを意味することを理解すべきである。実際、DFT動作の後、結果として生じる信号は、周波数領域のサンプルを含み、サンプルの各ブロックに関係づけられたサブキャリアごとにスペクトル線を含むことに気付くであろう。その場合、信号データを搬送するサンプルの数は、スペクトル線のレベルより下に位置する所定のレベルのノイズをもたらす。さらに、信号データの挿入は、信号データを搬送させる、繰り返し周期の長さを調整する、OOB放射のレベルを制御するなど、いくつかの他の目的を達成する。
【0060】
最後に、チャネル推定、粗時間同期及び粗周波同期が実行されると、受信機200は、高いレベルの性能を有する信号フレームから信号データを抽出することができ、したがって、信号データの符号化に必要な冗長度を低減できる。さらに、チャネル推定値の知識は、専用パイロットシンボルを挿入する必要なく、受信機200に後続のシンボルを復調させることができる。
【0061】
本出願の適用をより良く理解するために、ここで、提案された解決法を実施する方法の実施形態を示す図5、6、7を参照する。
【0062】
図5は、既に説明したように、プリアンブルシンボルPrを生成するためのシンボル生成方法400を示す。シンボル生成方法400は、
410において、前方部31、中央部32及び後方部33を有するベクトル30を提供することと、該中央部は、それぞれが第1の部分321及び第2の部分322を含む複数の連続したブロック320に配置され、
420において、時間領域において、
該前方部に、前方パイロットサンプルを挿入し、
該中央部に、複数の連続するサンプルのブロックを挿入し、
該後方部に、後方パイロットサンプルを挿入する
こととを含み、
該前方パイロットサンプル及び該後方パイロットサンプルは、類似の相関系列を搬送するように構成され、
該複数の連続するサンプルのブロックのそれぞれは、第1の部分321及び第2の部分322にそれぞれ適合するように構成された第1部及び第2部に配置され、各第1部は、所定の基準情報を搬送するように構成されたパイロットサンプルを含み、少なくとも1つの第2部は、信号データを搬送するように構成されたデータサンプルを含み、
任意で、421において、該前方部は巡回ポストフィックス部を含み、該後方部は第1の巡回プレフィックス部を含む場合、該シンボル生成方法400は、時間領域において、
巡回ポストフィックスパイロットサンプルを該前方部31の巡回ポストフィックス部に挿入し、
巡回プレフィックスパイロットサンプルを、該後方部33の該第1の巡回プレフィックス部に挿入し、
該巡回ポストフィックスパイロットサンプルは、前方部31の予め定められた複数の前方パイロットサンプルのコピーを含み、
該巡回プレフィックスパイロットサンプルは、後方部33の予め定められた複数の後方パイロットサンプルのコピーを含み、
任意で、422において、DFT-拡散-OFDM変調を実行する前に、該シンボル生成方法400は、該プリアンブルシンボルの複数の連続するサンプルのブロックを、予め定められたスクランブル系列に従って、スクランブルすることをさらに含み、
任意で、423において、該前方部31に関係づけられた第1の元のサンプルがDFT-拡散-OFDM変調のサンプリング時点に位置合わせされるように、 DFT-拡散-OFDM変調を実行する前に、該シンボル生成方法400は、該後方部33に関係づけられた第1の元のサンプルがDFT-拡散-OFDM変調のサンプリング時点上に位置合わせされるよう、該時間領域において、該後方部の時間領域サンプルを遅延させることを含み、
430において、所定のオーバーサンプリングレートに従って該ベクトルのDFT-拡散-OFDM変調を実行し、
該ベクトルの該時間領域サンプルは、離散フーリエ変換(DFT)演算により、周波数領域に変換され、これにより、周波数領域のサンプルを生成し、
該周波数領域サンプルは、逆離散フーリエ変換(IDFT)演算によって時間領域に変換され、これにより、オーバーサンプリングされた時間領域サンプルを生成し、
任意で(図示せず)、DFT-拡散-OFDM変調の実行は、
該後方部について別個のDFT-拡散-OFDM変調を実行することと、
該前方部31に関係づけられた該第1の元のサンプルがDFT-拡散-OFDM変調のサンプリング時点上に位置合わせされるように、該後方部に関係づけられた該周波数領域サンプルへの線形移相を、該後方部33に関係づけられた該第1の元のサンプルがDFT-拡散-OFDM変調のサンプリング時点上に整列されるよう、該周波数領域で適用する
ことを含む。
【0063】
図6は、既に説明したように、送信信号Sを生成するための送信方法500を示す。該送信方法500は、
510において、該シンボル生成方法400にしたがってプリアンブルシンボルPrを提供する、
520において、該生成されたプリアンブルシンボルPrを含む少なくとも1つの信号フレームを提供する、
530において、所定の多重方式に従って該信号フレームを変調し、それにより、変調された信号を生成する、
540において、該変調された信号を少なくとも1つの伝送チャネルを介して送信する、
ことを含み、
該信号フレームは巡回プレフィックス部を含み、
該信号フレームを生成することは、該時間領域において、該信号フレームの該巡回プレフィックス部に巡回プレフィックスパイロットサンプルを挿入することを含み、
該巡回プレフィックスパイロットサンプルは、前記プリアンブルシンボルの前方部の予め定められた複数の前方パイロットサンプルのコピーを含む。
【0064】
図7は、既に説明したように、該送信方法500によって送信された信号Sを受信するための受信方法600を示す。該受信方法600は、
610において、該受信信号Sを復調し、それにより復調信号を生成する、
620において、該復調信号から信号フレームを検出する、該信号フレームは該シンボル生成方法400にしたがって生成された該プリアンブルシンボルPrを含む、
該信号フレームの検出は、既に説明したように、該復調信号dSと該復調信号の遅延されたものとの間の自己相関値を計算することに基づいて粗時間同期を実行することを含み、
630において、該信号フレームの検出後、該信号フレームの該巡回プレフィックス部と該プリアンブルシンボルとに基づいてチャネル推定を実行する、
640において、該信号フレームの検出後、該プリアンブルシンボルの該複数の連続するサンプルのブロックを、所定のスクランブル系列に従って逆スクランブルする
ことを含む。
【0065】
該受信方法600の実施形態において、
650において、該プリアンブルシンボルの該前方部及び該後方部に関連付けられた該サンプルをゼロ化し、それにより、変更されたプリアンブルシンボルを得る、
660において、DFT演算によって、該変更されたプリアンブルシンボルのオーバーサンプリングされた時間領域サンプルを、周波数領域のサンプルに変換し、
670において、該変更されたプリアンブルシンボルの該複数の連続するサンプルのブロックの各々に関連付けられた該周波数領域サンプルの該振幅を平均化することに基づいて粗周波数同期を実行する、
ことを含む。
【0066】
上記提案された方法は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に具現化されたコンピュータプログラムによって実行されてもよい。したがって、上記提案された方法を実行するために、コンピュータシステムによって実行可能な命令を含むコンピュータプログラム製品も主張される。
図1
図2
図2A
図2B
図3
図3A
図3B
図3C
図4
図4A
図5
図6
図7