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▶ グァンジョウ ブルームーン インダストリアル カンパニー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】トイレ洗浄剤の遅延放出方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/02 20060101AFI20221209BHJP
   E03D 9/03 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
E03D9/02
E03D9/03
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021529095
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 CN2020077526
(87)【国際公開番号】W WO2020215896
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】201910339454.4
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910339489.8
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910340269.7
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911229853.1
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911228402.6
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911229742.0
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521220080
【氏名又は名称】グァンジョウ ブルームーン インダストリアル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU BLUE MOON INDUSTRIAL CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ライ ジャンチォウ
(72)【発明者】
【氏名】フ リリ
(72)【発明者】
【氏名】ワン チャンチャン
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-537414(JP,A)
【文献】特開2006-022267(JP,A)
【文献】特表2007-530829(JP,A)
【文献】特開昭61-095099(JP,A)
【文献】特表2012-526876(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0303186(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1788564(CN,A)
【文献】特表2015-532658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00- 9/16
C11D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の便鉢内に作用するトイレ洗浄剤の遅延放出方法であって、
便鉢内に水が入り、トイレ洗浄剤と混合して初期溶液を形成し、初期溶液が放出を開始し、便鉢内の水位が常態に戻り、その後に放出が終了するまで初期溶液を放出し続けるステップを含み、
初期溶液の体積は10ml以上であり、かつ、便鉢内に存在する初期溶液と水との混合液体である一次溶液中のトイレ洗浄剤の有効成分の含有量は2ppm以上であり、
一次溶液の溶質の含有量m1と初期溶液の溶質の含有量m0の関係は、m1/m0=0.5~1であり、
便鉢内に水が入り始めてから便鉢内の水位が常態に戻るまでの時間を便器の洗い流し時間t1と定義し、
初期溶液の放出開始から放出終了までの時間を初期溶液の流出時間t3と定義し、
便鉢内の水位が常態に戻ってから初期溶液の放出が終了するまでの時間を一部の初期溶液の遅延放出時間t4と定義すると、t4=t3-t1、及び/又はt4≧3分間、及び/又はt4≧t1、t3≦40分間、及び/又はt3≧2t1であることを特徴とする、トイレ洗浄剤の遅延放出方法。
【請求項2】
前記トイレ洗浄剤は、ケース内に設けられ、前記方法は、
ケース内に水が入る前に、ケース内に貯蔵された水とトイレ洗浄剤が密度ρ1の初期溶液をケース内に形成し、ケース内に水が再度入ると、水が初期溶液を密度ρ2の置換溶液に希釈し、置換溶液がケースの側面の開口から徐々に流出し、便鉢内に入るステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載のトイレ洗浄剤の遅延放出方法。
【請求項3】
前記初期溶液中のトイレ洗浄剤の25℃の水に対する溶解度は10g/L以下であり、或いは初期溶液中のトイレ洗浄剤の20℃の水に対する溶解度は5g/L以下であることを特徴とする、請求項に記載のトイレ洗浄剤の遅延放出方法。
【請求項4】
t3=4~25分間であることを特徴とする、請求項に記載のトイレ洗浄剤の遅延放出方法。
【請求項5】
前記トイレ洗浄剤自体又はトイレ洗浄剤が水に溶解して放出した有効漂白成分は、構造式(1)を有する化学物質を含み、
【化1】
式中、RとRは、それぞれ独立してC-Cアルキル置換基、水素から選択されるいずれか1つであり、かつRとRのうちの少なくとも1つは、C-Cアルキル基であり、XとYは、それぞれ独立して臭素、塩素、水素から選択されるいずれか1つであり、かつXとYのうちの少なくとも1つは、ハロゲン元素であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のトイレ洗浄剤の遅延放出方法。
【請求項6】
前記トイレ洗浄剤自体又はトイレ洗浄剤が水に溶解して放出した有効漂白成分は、構造式(2)を有する化学物質を含み、
【化2】
式中、RとRは、それぞれ独立してC-Cアルキル置換基から選択され、XとYはそれぞれ独立して臭素、塩素、水素から選択されるいずれか1つであり、かつXとYのうちの少なくとも1つはハロゲン元素であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のトイレ洗浄剤の遅延放出方法。
【請求項7】
トイレ洗浄剤の遅延放出装置であって、
前記装置は、便器の便鉢(500)内に適用され
前記装置は、便器の便鉢(500)に吊り下げられた便鉢フック(300)、便鉢フック(300)に接続されたケースフック(200)、及びケースフック(200)の底部に吊り下げられたケース(100)を含み、
前記ケース(100)はトイレ洗浄剤を置くためのものであり、ケース(100)の上部に入水口(130)が設けられ、ケース(100)の下部に出水用の隙間が設けられ、
前記ケースフック(200)の可撓性は便鉢フック(300)の可撓性より大きいことを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のトイレ洗浄剤の遅延放出方法に用いられるトイレ洗浄剤の遅延放出装置。
【請求項8】
前記ケース(100)は、互いに嵌合された左側ケース(110)及び右側ケース(120)を含み、左側ケース(110)及び/又は右側ケース(120)の嵌合位置に突起部が設けられ、前記突起部により、左側ケース(110)と右側ケース(120)を係合させた後に出水用の隙間が残ることを特徴とする、請求項に記載のトイレ洗浄剤の遅延放出装置。
【請求項9】
前記ケース(100)内にトイレ洗浄剤の移動を制限する位置制限部(140)が設けられることを特徴とする、請求項に記載のトイレ洗浄剤の遅延放出装置。
【請求項10】
前記ケースフック(200)とケース(100)は回転接続又は可撓性接続を採用することを特徴とする、請求項に記載のトイレ洗浄剤の遅延放出装置。
【請求項11】
前記便鉢フック(300)は順に接続された垂直板(310)、水平板(320)、回転角遷移板(330)及び傾斜板(340)を含み、前記回転角遷移板(330)の剛性は垂直板(310)又は水平板(320)の剛性以下であることを特徴とする、請求項に記載のトイレ洗浄剤の遅延放出装置。
【請求項12】
前記垂直板(310)の可撓性は、傾斜板(340)の可撓性より小さいことを特徴とする、請求項11に記載のトイレ洗浄剤の遅延放出装置。
【請求項13】
前記ケースフック(200)とケース(100)の接続端の曲げ方向は、便器の便鉢(500)の噴水溝孔(520)に向かうことを特徴とする、請求項12のいずれか1項に記載のトイレ洗浄剤の遅延放出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ洗浄剤の投入の技術分野に関し、より具体的に、トイレ洗浄剤の遅延放出方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家であっても公衆衛生領域であっても、水洗便器に対して洗浄、脱臭処理などを行って、水洗便器の衛生及び環境衛生を保つ必要がある。一般的な処理方式は2種類に分けられてよい。第1種について、水洗便器の水タンク内に清潔性又は芳香性などの有効物質を置き、水タンク内に徐々に溶解させ、便器を洗い流す場合、有効物質を含有する水が水タンクから便器内に入り、便器の内壁を洗い流すことにより、洗浄を実現し、便器内に残っている一部の水中の有効物質が香りを放ち、環境を改善する。第2種について、有効物質、例えば、固体塊又はゲル状のペーストを便器の内部に直接的に貼り付け、水タンク内の水が便器に入った後、便器の内壁を洗い流すと同時に固体塊又はゲル状の物質を洗い流すことにより、洗浄又は脱臭の目的を達成する。以上の2種類の方式は、いずれも水洗便器を連続的に処理するという目的を達成するために、手で操作し置くか又は短期間で新しい有効物質を交換する必要があり、手で操作するとき、腐食性又は染色しやすい物質が手に付着し、ユーザに不便さらに傷害をもたらすことがある。
【0003】
第1種の一般的な処理方式について、有効物質は、水タンク内の水に長期的に浸漬され、便器を使用するか否かに関わらず、持続的な溶解状態にあり、それにより有効物質の溶解が速くなり、かつ水タンク内の溶解水が便器の内壁を洗い流す場合、大量の溶解水が下水道へ流れ、僅かな部分のみが便器内に残る。要するに、有効物質の使用期間が短く、かつ便器の使用回数とは関係がなく、ほとんどの有効物質が浪費される。
【0004】
第2種の一般的な処理方式について、大きい塊の有効物質が洗い流されることを回避するために、常に固体物質はその溶解速度が遅く、水タンク内の水が便器の内壁に貼り付けられた有効物質を流れた後、得られた溶解水中の有効成分が不足であり、この部分の溶解水もほとんど下水道に入り、便器内に残っている量も僅かであり、浪費をもたらす一方で、溶解水の有効物質の濃度が極めて低く、所望の洗浄、脱臭処理などの効果を達成することができない。
【0005】
したがって、水洗便器に対する洗浄、脱臭の従来の手段はいずれも有効物質の放出量が多すぎたり、不十分だったり、不均一だったり、大量に流失したりするという欠点を有し、浪費をもたらし、かつ理想的な効果に遠く及ばない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の少なくとも1つの欠陥を解消するために、トイレ洗浄剤の有効成分が水流により迅速に流されることを防止することにより、便鉢内のトイレ洗浄剤の有効物質の含有量を保証し、ほとんどの溶液を便器内に残し、浪費を減少させ、実用的な効果を向上させることができるトイレ洗浄剤の遅延放出方法を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、ケース内に置かれたトイレ洗浄剤を遅延放出し、ほとんどの溶液を便器内に残し、便鉢中のトイレ洗浄剤の有効物質の含有量を保証し、浪費を減少させ、使用効果を向上させるトイレ洗浄剤の遅延放出装置を提供することである。
【0008】
便器の便鉢内に作用するトイレ洗浄剤の遅延放出方法は、便鉢内に水が入り、トイレ洗浄剤と混合して初期溶液を形成し、初期溶液が放出を開始し、便鉢内の水位が常態に戻り、その後に放出が終了するか又は一部の残液を保留するまで初期溶液を放出し続けるステップを含み、便鉢内に存在する初期溶液と水との混合液体が一次溶液と呼ばれる。
【0009】
本発明の方法は、主に水洗便器内に作用し、より具体的に、水洗便器の便鉢内に作用し、便鉢は、下水管路間のU字管に接続され、ユーザが毎回便器を洗い流した後、最終的に便鉢とU字管内の水の組成が同等になる傾向がある。また、ほとんどの便器は、補水管を有し、その作用は、便器の水タンクの水が全て排出され、水タンク内に水位が戻る過程において、同時に水を便鉢に直接的に導入し、便鉢の水位が安定するように維持し、便鉢内の水位が便鉢の排水の慣性作用により水位の高さの違いを生じず、かつ便鉢と便器の水タンクの補水が同時に終了することを可能にすることである。次に、本発明における便鉢内のトイレ洗浄剤が溶解した後に形成した初期溶液が便鉢内の貯水の量に対して非常に小さい場合、便鉢内又は便器の水タンク内に補水を停止すると、便鉢内の水位の高さに対する初期溶液の放出の影響を無視することができ、便鉢内又は便器の水タンク内の補水の停止が、便鉢内の水位が常態に戻ることに相当すると認定することができる。補水管を備えない便器にとって、最終的に便器の便鉢内の水位が明らかに上昇しない限り、便鉢内の水位が常態に戻ると認定することができる。本技術的解決手段を用いる場合、トイレ洗浄剤を便器の内壁に固定し、ユーザが水洗便器の出水ボタンを押すと、水タンク内の出水弁が開き、水タンク内の水が便鉢の縁部の開孔を通って便鉢内に入る。便鉢の出水方向によって、水洗便器をほぼ2種類、すなわち便鉢が縦方向に出水する水洗便器と便鉢が横方向に出水する水洗便器に分けることができる。どのような構造の水洗便器を用いても、いずれも水とトイレ洗浄剤を混合できる必要があり、ここでのトイレ洗浄剤は、不織布袋などの透水性袋で包装することができる粒子状であってよい。水とトイレ洗浄剤を混合すると、初期溶液を形成することができ、混合時間の延長に伴い、初期溶液中のトイレ洗浄剤の有効溶質の含有量がますます高くなり、遅いほど放出された初期溶液に含まれる溶質の含有量が高くなり、次に、洗浄剤を一定の時間溶解させて高濃度の初期溶液を形成した後に放出する必要がある場合、トイレ洗浄剤の溶解速度又は均一混合速度を制御することにより実現することができる。
【0010】
初期溶液が放出を開始する場合、便鉢内の水位が徐々に上昇し、最後に洗い流さない場合の常態に戻るとともに、便鉢内の水面も徐々に安定し、その後、初期溶液を一定の時間放出し続け、水とトイレ洗浄剤を混合して初期溶液を形成した後に放出が終了する。この段階では、便鉢内の水位が常態に戻った時点から初期溶液の放出が終了した時点までの時間はトイレ洗浄剤の遅延放出時間である。初期溶液の溶解速度を制御して、その溶解に必要な時間を適宜延長することにより、洗い流す初期に溶解し直接的に流されたトイレ洗浄剤の溶質の量を減少させ、かつ初期溶液の体積が一定である場合、放出時間を遅延することにより、初期溶液中のトイレ洗浄剤の溶質の便鉢内に残っている量がより高くなり、つまり、溶液が洗い流す過程で水流により流されることを回避し、溶液が便器内に大量に残り、浪費を減少させ、かつ便鉢内の一次溶液の濃度及び使用効果を保証する。
【0011】
さらに、前記トイレ洗浄剤がケース内に置かれ、ケース内に水を貯蔵する場合、ケース内に水が入る前に、トイレ洗浄剤は、密度ρ1の初期溶液をケース内に形成し、ケース内に水が再度入ると、水は、初期溶液を密度ρ2の置換溶液に希釈し、置換溶液は、ケースの側面の開口から徐々に流出し、便鉢内に入る。
【0012】
さらに、ケース内に水を貯蔵しない場合、便鉢内の水位が常態に戻った後に、放出が終了するまでその初期溶液を放出し続け、便鉢内に存在する初期溶液と水との混合液体は、一次溶液と呼ばれる。
【0013】
さらに、上記方法では、初期溶液の体積は、10ml以上であり、かつ一次溶液中のトイレ洗浄剤の有効成分の含有量は、2ppm以上である。
【0014】
さらに、前記初期溶液中のトイレ洗浄剤の25℃の水に対する溶解度は10g/L以下であり、或いは初期溶液中のトイレ洗浄剤の20℃の水に対する溶解度は5g/L以下である。
【0015】
さらに、前記方法では、便鉢内に水が入ってから便鉢内の水位が常態に戻るまでの時間を便器の洗い流し時間t1と定義し、初期溶液の放出開始から放出終了までの時間を初期溶液の流出時間t3と定義し、便鉢内の水位が常態に戻ってから初期溶液の放出が終了するまでの時間を一部の初期溶液の遅延放出時間t4と定義すると、t4=t3-t1である。実際の使用過程において、トイレ洗浄剤が一定の体積の容器に置かれるため、容器内に入った水の体積は一定であり、便鉢内の水位が常態に戻る前に、便鉢内に流入した初期溶液の濃度が低く、容器内の水が少なくなり、かつトイレ洗浄剤を溶解させるか又は希釈する時間が長くなるほど、便鉢内に流入した初期溶液の濃度が高くなり、このようにして便鉢内の水位が常態に戻った後、最後に便鉢に流入する初期溶液の濃度が最も高いことを保証し、便鉢内のトイレ洗浄剤の有効物質をほとんど便器内に残し、浪費を減少させることができる。
【0016】
さらに、便鉢内の水位が常態に戻ってから初期溶液の放出が終了するまでの時間を一部の初期溶液の遅延放出時間t4と定義すると、t4≧3分間、及び/又はt4≧t1である。市販の従来の便器を洗い流してボタンを一回押すと、水タンク内の水が流出してから便器の便鉢内の水面が安定するまでの時間t1=5~120秒であり、便器の便鉢内に残っている初期溶液の含有量を向上させ、すなわち一次溶液中の溶質の含有量を向上させるために、できるだけ便鉢内の水面が安定した後に初期溶液を放出し、次に、水洗便器の使用時間が長くなるにつれて、水タンク内の出水弁に緩み劣化が発生し、便器を洗い流してボタンを一回押すと、水流が水タンク内から便鉢内に流入する時間が明らかに延長され、すなわち便鉢内の水面が安定するのに必要な時間が長くなるため、洗い流しが終了した後に初期溶液を少なくとも3分間放出するように設定する。次に、便鉢に水が入り始める場合、水が同時にトイレ洗浄剤と混合して初期溶液を形成し放出を開始するため、初期溶液の放出開始時間から遅延放出時間t4の開始時刻までの期間は、基本的に便器の洗い流し時間t1と同じであり、初期溶液を放出した後、便鉢内に存在する一次溶液の有効成分の含有量ができるだけ多いことを保証するために、t4≧t1、すなわち初期溶液の遅延放出の時間長を便器の洗い流し時間t1以上に設定し、かつトイレ洗浄剤の溶解時間が長くなるにつれて、初期溶液の濃度がますます高くなるため、少なくとも50%の初期溶液が便鉢内に残り、すなわち便鉢内の初期溶液の有効物質の含有量の少なくとも50%が一次溶液に存在し、トイレ洗浄剤の溶質を便鉢内にできるだけ多く残す。
【0017】
さらに、初期溶液の放出開始から放出終了までの時間を初期溶液の流出時間t3と定義すると、t3≦40分間、及び/又はt3≧2t1である。t4=t3-t1、t1=5~120秒、かつt4≧3分間であるため、好ましくは、t3=4~25分間である。初期溶液の体積の大きさに応じて、初期溶液の放出速度を制御して初期溶液の完全放出時間を調整し、異なる場合の便器の使用頻度を考慮して、初期溶液の放出開始から放出終了までの時間を4~25分間に設定することにより、便器を2回連続して使用する期間に、初期溶液を十分に放出することができ、毎回便鉢内に入った一次溶液に含まれる溶質が十分であることを保証し、トイレ洗浄剤の使用効果を向上させる。次に、t4=t3-t1、t4≧t1のため、t3≧2t1であり、初期溶液の遅延放出の時間長t4が便器の洗い流し時間t1以上であることを保証し、かつトイレ洗浄剤の溶解時間が長くなるにつれて、初期溶液の濃度がますます高くなるため、少なくとも50%の初期溶液が便鉢内に残り、すなわち便鉢内の初期溶液の有効物質の含有量の少なくとも50%が一次溶液に存在し、トイレ洗浄剤の溶質を便鉢内にできるだけ多く残す。
【0018】
さらに、一次溶液の溶質の含有量m1と初期溶液の溶質の含有量m0の関係は、m1/m0=0.5~1である。
【0019】
異なるサイズの水洗便器は、便鉢の貯水体積が異なるが、同じタイプのトイレ洗浄剤は、時間t2内に形成した初期溶液の体積が一定であり、すなわち初期溶液の溶質の含有量m0が一定である。実質的に便鉢内に作用するものは一次溶液の溶質であり、便鉢内の一次溶液の作用効果を保証するために、溶質の含有比率を用いて判断し、すなわちm1/m0=0.5~1であり、好ましくは、m1/m0=0.5又は0.6又は0.7又は0.8又は0.9又は1である。便鉢がU字管に連通し、わずかな溶質がU字管内に入ることが避けられないため、m1/m0の比が0.5以上である必要がある。実際に検出する場合、以下のステップを含む。2つの同じ便器(便器Aと便器B)を選択し、便器の水タンク及び便鉢をきれいに洗浄し、便器の水タンクに水を満たし、便鉢内の水位が常態に戻り、2つの同じケース(aとb)をそれぞれ、便器の水タンクから便鉢内に流入した水を受けることができるように2つの便器の同じ位置に吊り下げ、洗浄成分Mを含有し質量が同じでいずれも固体であるトイレ洗浄剤をそれぞれケースaとbに入れ、便器Aの水洗ボタンを押し、便器Aに吊り下げられたケースaが初期溶液の放出を開始するとき、容器を用いてケースaから放出された初期溶液を全て受け、容器によって受けられた初期溶液中のMの質量を測定し、m0と記す。便器Bの水洗ボタンを押し、便器Bに吊り下げられたケースbが初期溶液の放出を終了するとき、便鉢内の一次溶液中のMの質量を測定し、m1と記し、それによりm1/m0の比を得る。一定の体積の初期溶液と一次溶液を取得することにより、乾燥などの物理的、化学的方法で対応する体積の初期溶液と一次溶液中の溶質の含有量を取得し、全体積の初期溶液と一次溶液の溶質の含有量に換算すれば、実際のm1とm0の比を取得することができ、それによりトイレ洗浄剤と水の混合比及び初期溶液の放出量を調整する。
【0020】
さらに、前記トイレ洗浄剤は、ケース内に置かれ、水洗便器の構造特徴に基づいて、水をケース内に導入し、トイレ洗浄剤と混合して初期溶液を形成する。
【0021】
本技術的解決手段において、トイレ洗浄剤をケース付きのボックス内に置き、さらにボックスを便器の便鉢の縁部に固定し、ボックスによりユーザが便器を使用することに影響を与えることを回避するために、ボックスの構造サイズが小さく、この場合、洗い流した後に水がケース内にスムーズに流入することができないため、水をケース内に導入して、トイレ洗浄剤とスムーズに混合して初期溶液を形成する必要がある。
【0022】
さらに、便鉢が縦方向に出水し、ケース内に水が入らない場合、トイレ洗浄剤は、自重の作用下でケース内の底部に位置し、水は、斜め下向きに流れるように案内され、ケースの上部から導入され、トイレ洗浄剤を溶解させるか又は希釈して、初期溶液を形成してケースから流出する。
【0023】
便鉢が縦方向に出水し、すなわち水洗便器の水タンクから便鉢に入った水が便鉢の内壁に沿って下向きに流入する場合、水流が内壁に沿って下向きに流れるため、ケースの入水口を上部に設け、かつ便鉢の内壁に向け、水流を内壁から下向きに案内して内壁に寄りかかったケース内に入り、ケース内の底部のトイレ洗浄剤と混合し、トイレ洗浄剤を溶解させるか又は希釈し、ケースに入った水の量が増加するにつれて、ケース内に水で満され、トイレ洗浄剤がケース内に浮遊するか又は依然としてケース内の底部に位置し、両方とも最終的に初期溶液を形成してケースから流出する。この過程において、ケースに細長い案内管を設けるか又は狭くて長い出水チャネルを開設することにより、液体の張力の作用下で、徐々に放出し、遅延の効果を実現する。
【0024】
さらに、便鉢が横方向に出水し、ケース内に水が入らない場合、トイレ洗浄剤は、自重の作用下でケース内の底部に位置し、水は、斜め上向きに流れるように案内され、ケースの上部から導入され、ケース内の底部のトイレ洗浄剤と混合し、トイレ洗浄剤を溶解させるか又は希釈して、初期溶液を形成してケースから流出する。
【0025】
便鉢が横方向に出水し、すなわち水洗便器の水タンクの水が便鉢の縁部に水平に配置された1~2つの出水口から便鉢に入る場合、洗い流す時に水が横方向に排出され、重力の作用下で流れ便鉢の壁に沿って渦を形成し、このように便鉢の壁に対する水流の洗浄力を向上させる。したがって、斜め上向きの案内方式を用いて、横方向に排出された水流は勢いに応じてケース内に入り、ケースに入った水の量が増加するにつれて、ケース内に水で満され、トイレ洗浄剤がケース内に浮遊するか又は依然としてケース内の底部に位置し、両方とも最終的に初期溶液を形成してケースから流出する。
【0026】
さらに、前記ケース内の初期溶液の体積が最大となる時刻から初期溶液の放出終了時刻までの間に、初期溶液の濃度又は溶質の含有量は徐々に高くなる。
【0027】
さらに、前記ケース内の初期溶液の体積が最大となる時刻から一次溶液の放出終了時刻までの間に、初期溶液の濃度又は溶質の含有量は徐々に高くなる。
【0028】
ケース内のトイレ洗浄剤は、水が1回目に入る前に乾燥状態であり、水がケースに入った瞬間にケース内の溶液の濃度がゼロであり、ケース内のトイレ洗浄剤に水が2回目以上に入る前に、固体状又は粒子状のトイレ洗浄剤は湿潤状態であり、かつケース内に前回の初期溶液が残り、この場合、ケース内の溶液濃度が一定の初期値を有する。水が徐々にケース内に入る場合、トイレ洗浄剤を徐々に溶解させ希釈して、初期溶液を形成し、その後、初期溶液をケース内から放出する。水がケースに入った瞬間から初期溶液の放出を開始した瞬間の時点txまでの間に、初期溶液の濃度は全体的に徐々に高くなる傾向がある。
【0029】
水洗便器内の水がケース内に入った直後、トイレ洗浄剤が固体でありケースの底部に置かれ、一定の重量があるため、ケース内に入る水の量により生成された浮力がトイレ洗浄剤自体の重力より小さい場合、トイレ洗浄剤はケースの出口を塞ぎ、この期間内に、トイレ洗浄剤は徐々に溶解し、ケース内の初期溶液の液体濃度は絶えず高くなり、ケース内に入る水の量により生成された浮力がトイレ洗浄剤自体の重力より大きい場合、トイレ洗浄剤はケースの出口から離れるが、ケース内の水が絶えず注入され、この段階で、ケース内の初期溶液の液体濃度が絶えず低くなり、最後に、ケース内に水がもはや入らない場合、ケースからの初期溶液の流出量がケース内の水の注入量よりはるかに小さいため、この場合にトイレ洗浄剤はケース内の水に溶解し続け、ケースから流出する初期溶液の濃度がさらに高くなり、したがって、前記ケース内の初期溶液の濃度は、まず高くなってから低くなり、それから高くなるように変化する。実際の実験過程において、トイレ洗浄剤をケース内に置き、一定の時間ごとにケースから流出した適量の液体を収集して、その中のトイレ洗浄剤の有効含有量を測定すればよい。
【0030】
さらに、前記トイレ洗浄剤自体又はトイレ洗浄剤が水に溶解して放出した有効漂白成分は、構造式(1)を有する化学物質を含み、
【化1】
式中、RとRは、それぞれ独立してC-Cアルキル置換基、水素から選択されるいずれか1つであり、かつRとRのうちの少なくとも1つは、C-Cアルキル基であり、XとYは、それぞれ独立して臭素、塩素、水素から選択されるいずれか1つであり、かつXとYのうちの少なくとも1つは、ハロゲン元素である。
【0031】
さらに、前記トイレ洗浄剤自体又はトイレ洗浄剤が水に溶解して放出した有効漂白成分の化学物質は、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、1-クロロ-3-ブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、1,3-ジクロロ-5-メチル-5-エチルヒダントイン、1,3-ジブロモ-5-メチル-5-エチルヒダントイン、1-ブロモ-3-クロロ-5-メチル-5-エチルヒダントイン、1-クロロ-3-ブロモ-5-メチル-5-エチルヒダントイン、1,3-ジブロモ-5-メチル-5-イソブチルヒダントイン、1,3-ジブロモ-5-メチル-5-プロピルヒダントインから選択されるいずれか1種、又は2種以上の混合物である。
【0032】
さらに、前記トイレ洗浄剤自体又はトイレ洗浄剤が水に溶解して放出した有効漂白成分は、構造式(2)を有する化学物質を含み、
【化2】
式中、RとRは、それぞれ独立してC-Cアルキル置換基から選択され、XとYはそれぞれ独立して臭素、塩素、水素から選択されるいずれか1つであり、かつXとYのうちの少なくとも1つはハロゲン元素である。
【0033】
さらに、前記トイレ洗浄剤自体又はトイレ洗浄剤が水に溶解して放出した有効漂白成分の化学物質は、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、1-クロロ-3-ブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、1,3-ジクロロ-5-メチル-5-エチルヒダントイン、1,3-ジブロモ-5-メチル-5-エチルヒダントイン、1-ブロモ-3-クロロ-5-メチル-5-エチルヒダントイン、1-クロロ-3-ブロモ-5-メチル-5-エチルヒダントインから選択されるいずれか1種、又は2種以上の混合物である。
【0034】
本発明の他の態様では、便器の便鉢内に適用されるトイレ洗浄剤の遅延放出装置を提供し、前記装置は、便器の便鉢に吊り下げられた便鉢フック、便鉢フックに接続されたケースフック、及びケースフックの底部に吊り下げられたケースを含み、前記ケースはトイレ洗浄剤を置くためのものであり、ケースの上部に入水口が設けられ、ケースの下部に出水用の隙間が設けられ、前記ケースフックの可撓性は便鉢フックの可撓性より大きい。
【0035】
本発明の技術的解決手段は、固体のトイレ洗浄剤、例えば、トイレ洗浄用の有効物質を含有する固体塊、又はトイレ洗浄用の有効物質の固体粒子が充填された透水性包装袋に適用され、それをケース内に置いた後、ケースを便器の便鉢の内側に貼り付けて配置し、フックでケースを吊り下げて固定する。ユーザが便器のボタンを押して洗い流す場合、便器の水タンク内の水は便器の便鉢内からケースの入水口に入り、便器の洗い流し時間が一般的に5~120秒であるため、十分な水がケース内に入ることを保証するために、好ましくは、入水口を大開口構造として設ける。ケース内に水が入った後、ケース内に置かれた固体の洗浄用有効物質を溶解させ、有効溶液を形成し、かつ左側ケースと右側ケースを係合した後に残っている隙間から便鉢内に徐々に滴下する。この過程において、有効溶液が一定の張力を有し、張力と液体圧力が相互関係を有するため、液位が徐々に低下するとき、溶液の滴下速度も徐々に低下するが、溶液の濃度が絶えず高くなり、これは遅延放出の利点である。さらに、ほとんどの溶液を便器内に残し、便鉢中のトイレ洗浄剤の有効物質の含有量を保証し、浪費を減少させ、使用効果を向上させる。
【0036】
次に、ケースフックと便鉢フックの可撓性を制御することにより、ケースフックの可撓性は便鉢フックの可撓性よりも大きくなる。このように設けることは、異なるブランドの便器や同じブランドの異なるタイプの便器について、その便鉢の上縁の幅、高さ、便鉢の内壁の弧度、及び便鉢の上縁と便器の内壁との遷移部がいずれも異なり、マッチングする過程において、ケースと便鉢フックが異なる相対位置にあるため、ケースフックが引き伸ばされるか又は圧縮されて変形し、この過程において便鉢フックが牽引されるからである。ケースフックの可撓性が便鉢フックの可撓性より大きいため、ケースフックの変形は便鉢フックの吊り下げ安定性に影響を与えない。同時に、ケースの上部を大開口構造として設け、トイレ洗浄剤が置かれたケースをケースフックの底部に吊り下げ、便鉢フックを便器の便鉢の上縁に吊り下げることにより、ケース及びケースフックが便鉢の領域内に位置し、ユーザが洗い流す場合、水がケースの上部の大開口からケース内に入り、ケース内の液体が溢れる状態にあり、この過程において、ケースフックに吊り下げられたケースの総重量が徐々に増加するが、ケースフックの強度によりケースの変位を一定の範囲内に制御することができる。したがって、ケースフックと便器のフックの相対的に異なる可撓性及び強度設計は、ケース取付位置の安定性を保証し、さらに使用効果を保証する。次に、本発明の技術的解決手段は、追加的に設けられた構造ではなく、フックモジュール自体の設計によって実現され、さらに普遍性の利点があり、部品数が減少し、故障が発生する確率が低下し、フックモジュールの耐用年数が向上する。
【0037】
さらに、前記ケースは、互いに嵌合された左側ケース及び右側ケースを含み、左側ケース及び/又は右側ケースの嵌合位置に突起部が設けられ、前記突起部により、左側ケースと右側ケースを係合させた後に出水用の隙間が残る。
【0038】
ケースが左側ケースと右側ケースを係合させて形成されるため、係合後の隙間の大きさを制御することにより、有効溶液の形成から滴下終了までの時間を制御することができ、すなわち放出の周期を延長する。具体的には、左側ケース及び/又は右側ケースの嵌合位置に突起部を設け、突起部の高さを制御することにより、ケースの軸方向間隔及び径方向間隔を制御し、かつ突起部は、左側ケース又は右側ケースと一体成形することができ、製造しやすく、出水用の隙間の大きさを簡単かつ効果的に制御することができる。液体の張力と液体の圧力の相互作用下で、ケース内の液位が徐々に低下するとき、有効溶液の滴下速度も徐々に低下するが、溶液の濃度が絶えず高くなり、高濃度の有効溶液を後続に放出し、つまり、高濃度の有効溶液を、便鉢内の水面が安定する傾向があった後に便鉢内に放出し、トイレ洗浄剤の有効成分をほとんど便器内に残し、便鉢中のトイレ洗浄剤の有効物質の含有量を保証し、浪費を減少させ、使用効果を向上させる。
【0039】
さらに、水がケースに入った後、ケース内に置かれたトイレ洗浄剤が水の浮力の作用下で、ケースの大開口部から落下することを回避するために、前記ケース内にトイレ洗浄剤の移動を制限する位置制限部を設ける。
【0040】
さらに、本発明に係る装置の適用性を向上させ、ケースの角度をより柔軟にさせるために、前記ケースフックと前記ケースが回転接続又は可撓性接続を採用するように設ける。前記可撓性接続は、ケースフックをケースに接続することができ、かつケースが一定の範囲内でサスペンション角度を変更することができる接続である。
【0041】
さらに、前記便鉢フックは、順に接続された垂直板、水平板、回転角遷移板及び傾斜板を含み、便鉢の上縁の頂面と内側面が直角に遷移するため、前記垂直板と水平板を直角に近くするように設ける。
【0042】
前記回転角遷移板の剛性は、垂直板又は水平板の剛性以下であり、前記垂直板の可撓性を傾斜板の可撓性より小さくするように設定する。このように、どのようなタイプとサイズの便器の便鉢にマッチングする場合にもかかわらず、いずれも回転角遷移板を適度に変形させ、かつ便鉢の縁部をクランプするが、垂直板と便鉢の縁部の相対位置がいずれも変更せず、ケースフックを吊り下げるのに必要な安定性を提供する。
【0043】
さらに、前記ケースフック全体は、倒置されたフック状構造であり、ケースとの接続端の曲げ方向が便器の便鉢の噴水溝孔に向かう。
【0044】
つまり、ケースフックとケースの接続端の曲げ方向が便器の便鉢の噴水溝孔に向かい、垂直板から離れるため、ケースは、対応するサイズの大きい便器の便鉢に貼り合わせることができ、便器の便鉢の対応するサイズが小さい場合、ケースフックは、便器の便鉢の内壁に向かって変形し、より多くのタイプの便器に適合することができる。次に、ケースフックとケースの接続端の曲げ方向は便器の便鉢の噴水溝孔に向かい、大サイズの便鉢又は小サイズの便鉢にマッチングすることに関係なく、いずれも吊り下げられたケースを噴水溝孔にさらに近づけ、水が入水口からケース内に入ることを容易にする。
【0045】
さらに、前記ケースフックと便鉢フックは固定的に接続され、一体型フック構造であり、前記ケースフックは便器の便鉢内に向かって曲げ、つまり、ケースフックとケースの接続端の曲げ方向が便器の便鉢の噴水溝孔に向かい、垂直板から離れるため、ケースは、対応するサイズの大きい便器の便鉢に貼り合わせることができ、便器の便鉢の対応するサイズが小さい場合、ケースフックは適度に変形し、より多くのタイプの便器に適合することができる。
【0046】
さらに、前記ケースフックと便鉢フックはスライド可能に接続され、ケースフックは垂直板に沿って上下にスライドすることができ、好ましくは、ケースフックと便鉢フックとの間に1回定量的にスライドし、かつ繰り返してスライドできる構造があるように設ける。スライド構造の設置について、一方では、ケースフックと便鉢フックは、取り外し可能な構造であり、包装し輸送する場合、包装体積を減少させることができ、他方では、ユーザが取り付ける場合、取り付け過程により本実用新案におけるフックモジュールの調整方式を了解することができ、ユーザが自家の便器の実際の状況に応じて調整しやすく、フックモジュールと異なるタイプの便器との間のマッチング度を向上させ、より優れた使用効果を達成する。また、ケースフックは便器の便鉢内に向かって曲げ、つまり、ケースフックは便器の便鉢の噴水溝孔に向かって曲げ、その曲げ方向が垂直板から離れるため、ケースは、対応するサイズの大きい便器の便鉢に貼り合わせることができ、便器の便鉢の対応するサイズが小さい場合、ケースフックは、便器の便鉢の内壁に向かって変形し、より多くのタイプの便器に適合することができる。
【0047】
さらに、前記スライド構造のスライド抵抗がケースに水で満たされている時の総重量より大きいため、使用周期全体にわたってケースの位置が安定する。
【0048】
さらに、異なるタイプの便器の便鉢の上縁の幅に適合するために、非使用状態で、前記便鉢フックの長さはL1=40~80mmであり、異なるタイプの便器の便鉢の上縁の上面と便器の便鉢の出水位置との間の高さに適合することにより、ケースを便器の便鉢の内壁に局所的に貼り付けることができるために、前記便鉢フックからケースフックの最低点までの距離はL2=30~80mmである。ケースフックと便鉢フックがスライド可能に接続される場合、L2=30~80mmであり、ケースフックと便鉢フックが一体型フック構造である場合、L2=45~80mmである。本発明に係る装置が便器の便鉢に取り付けられた後、ケースが一定の範囲内で回転するとき、案内板を常に便器の便鉢の内壁に貼り合わせることができることを保証するために、前記便鉢フックからケースまでの距離はL3=40~60mmである。便鉢フックが十分なクランプ力を有することを保証するために、前記傾斜板と垂直板の垂直距離dは35mmより小さい。
【0049】
従来技術と比較して、本発明は、以下の有益な効果を有する。
【0050】
本発明に係る遅延放出方法は、トイレ洗浄剤と水で形成された初期溶液を置換し、置換溶液を形成して、置換溶液の放出速度を制御することにより、置換溶液が動的平衡に達し、このように洗い流す過程で溶液が水流により流されることを回避し、かつ便鉢内のトイレ洗浄剤の有効物質の含有量を保証し、溶液を便器内に大量に残し、トイレ洗浄剤の効用を向上させ、同じ分量のトイレ洗浄剤の使用期間を延長し、浪費を減少させることができる。
【0051】
本発明に係る遅延放出装置は、左側ケースと右側ケースの係合後の隙間の大きさを制御することにより、有効溶液の形成から滴下終了までの時間を制御し、すなわち放出の周期を延長し、このようにほとんどの溶液を便器内に残し、便鉢内のトイレ洗浄剤の有効物質の含有量を保証し、浪費を減少させ、使用効果を向上させ、次に、本発明における便鉢フックがどのようなタイプとサイズの便器の便鉢にマッチングする場合にもかかわらず、いずれも回転角遷移板を適度に変形させ、かつ便鉢の上縁をクランプするが、垂直板と便鉢の縁部の相対位置がいずれも変更せず、ケースフックを吊り下げるのに必要な安定性を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明に係る装置の使用状態の概略図である。
図2】本発明の実施例1のケース係合時の構造図である。
図3】本発明の実施例2のケース係合時の構造図である。
図4】本発明の実施例3のケース係合時の構造図である。
図5】本発明の実施例4のケース係合時の構造図である。
図6】本発明の実施例5のケース係合時の構造図である。
図7】本発明の実施例6のケース係合時の構造図である。
図8】実施例1、実施例2、実施例5におけるケースフックとケースの接続構造図である。
図9】実施例3、実施例4、実施例6におけるケースフックとケースの接続構造図である。
図10】本発明における、ケースを開く場合の構造図である。
図11図9の上面図である。
図12】ケースを閉じる場合の側面図である。
図13】実施例1、実施例3におけるケースフックと便鉢フックの接続構造図である。
図14】実施例2、実施例4におけるケースフックと便鉢フックの接続構造図である。
図15】本発明における便鉢フックの構造図である。
図16】実施例5、実施例6におけるケースフックと便鉢フックの斜視図である。
図17】実施例5、実施例6におけるケースフックの斜視図である。
図18】実施例5、実施例6におけるケースフックと便鉢フックの側面図である。
図19】本発明に係る装置のサイズ関係図である。
図20】本発明における、異なる有効塩素成分を含有するトイレ洗浄剤を選択した後の便鉢内の水中の有効塩素の含有量の試験結果である。
図21】本発明に用いられるトイレ洗浄剤の溶解度の状況である。
図22】実施例7における、便鉢が縦方向に出水する場合の水流概略図である。
図23】実施例7におけるケース内の初期溶液の濃度変化のグラフである。
図24】実施例7におけるケース内の初期溶液中のトイレ洗浄剤の有効物質の時間的変化のグラフである。
図25】実施例8における、便鉢が横方向に出水する場合の水流概略図である。
図26】実施例9における、便鉢が縦方向に出水する場合の水流概略図である。
図27】実施例9におけるケース内の初期溶液の濃度変化のグラフである。
図28】実施例10における、便鉢が横方向に出水する場合の水流概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明の図面は、例示的な説明に過ぎず、本発明を限定するものであると理解すべきではない。以下の実施例をよりよく説明するために、図面におけるいくつかの部品を省略、拡大又は縮小する可能性があり、実際の製品の寸法を示すものではなく、図面におけるいくつかの公知の構造及びその説明を省略する可能性があることが、当業者であれば理解されるであろう。
【0054】
実施例1
図1に示すように、トイレ洗浄剤の遅延放出装置は、便器の便鉢500内に適用され、上記装置は、便器の便鉢の上縁510に吊り下げられた便鉢フック300、便鉢フック300に接続されたケースフック200、及びケースフック200の底部に吊り下げられたケース100を含む。
【0055】
上記ケース100はトイレ洗浄剤を置くためのものであり、ケース100の上部に入水口130が設けられ、ケース100の下部に出水用の隙間が設けられ、使用時に、ケース100の入水口130は、便器の便鉢500の内壁に貼り付けられ、水が入水口130からケース100内に入りやすい。
【0056】
次に、異なる便器が異なるサイズの便鉢を有するため、本実施例における装置の適用性を向上させるために、ケースフック200の可撓性を便鉢フック300の可撓性より大きくするように設定することにより、ケースフックは、異なる便器の便鉢にマッチングし、ケース100自体及び溶液の重力を支える場合、いずれも適度に変形することができ、入水口130が便器の便鉢500の内壁に自然に貼り付けられることを保証する。
【0057】
図2図10及び図11から分かるように、上記ケース100は、中間が大きく、両端が小さい水泡状ケースであるか又は略円柱体形状である。好ましくは、上記ケース100は、互いに嵌合された左側ケース110及び右側ケース120を含み、左側ケース110及び/又は右側ケース120の嵌合位置に突起部が設けられ、上記突起部により、左側ケース110と右側ケース120を係合させた後に出水用の隙間が残る。図12に示すように、水泡状ケースの膨出位置をケース100の下から上への高さの1/3~1/2の間に設け、すなわちh1-h2/H=1/3~1/2であり、それによりケース100にトイレ洗浄剤が収納され、かつ水が入った後、重心がケース100の下部に位置し、ケース100が便器の便鉢500内に吊り下げられた後、吊り下げがより安定し、揺れにくく、水が入水口130からケース100内に入りやすい。
【0058】
具体的には、左側ケース110の外縁が突起リングであり、右側ケース120の外縁が凹みリングであり、突起リングと凹みリングが互いに嵌合するように設ける。本実施例では、径方向が突起リング又は凹みリングの円周の径方向であると定義し、軸方向が突起リング又は凹みリングの高さ方向であると定義する。上記突起部は、突起リングに設けられた複数の凸部ブロック181若しくはバンプ、又は凹みリングに設けられた複数の凸部バー182若しくはバンプを含む。上記凸部ブロック181、凸部バー182及び/又はバンプは、左側ケース110と右側ケース120との間の径方向と軸方向に安定した隙間を残すことを保証し、左側ケース110と右側ケース120との間に隙間が形成される。好ましくは、突起部は、いずれも左側ケースと右側ケースを鋳型するときに一体成形されてよく、突起部の高さを予め設定することにより隙間の大きさを制御し、有効溶液の遅延放出の時間を間接的で正確に制御することができる。突起部の高さt=0.1~0.5を設定し、好ましくは、t=0.1又は0.2又は0.3又は0.4又は0.5mmである。
【0059】
上記入水口130は、左側ケース110の頂部に設けられた左開口131と、右側ケース120の頂部に設けられた右開口132とを含む。上記左開口131と右開口132は、共に入水口130を形成する。好ましくは、上記左側ケース110と右側ケース120が互いに嵌合した突起リング又は凹みリングが閉じた環状であるため、嵌合後の隙間は安定した状態にある。さらに、上記左開口131と左側ケース110との間に左側開口接続部が共有され、上記右開口132と右側ケース120との間に右側開口接続部が共有される。上記左開口131は、左右方向のU字形開口であってもよく、U字形孔であってもよく、左開口131では、左側ケース110は完全に分離せず、さらに左側開口接続部112を残す。同様に、上記右開口132は、左右方向のU字形開口であってもよく、U字形孔であってもよく、右開口132では、右側ケース120は完全に分離せず、さらに右側開口接続部122を残す。左側ケース110と右側ケース120が係合した後、2つのU字形開口又はU字形孔は、共に楕円状のような大開口構造を形成し、短時間内に十分な量の水がケース100内に入ることを保証し、また、残された左側開口接続部112及び右側開口接続部122が係合した後、該部分のケースが閉じた環を形成し、このようにして嵌合後の隙間の制御可能性を保証することができる。
【0060】
好ましくは、入水口130の便器の便鉢500の内壁に向かう箇所に案内板190が設けられ、上記案内板190は、左側ケース110の入水口130に向かう側に設けられた左側延長板111、及び右側ケース120の入水口130に向かう側に設けられた右側延長板121を含む。左側ケース110と右側ケース120が係合した後、左側延長板111と右側延長板121は共に案内板190を形成する。具体的には、左側延長板111、右側延長板121により左側ケース110と右側ケース120の側面断面が逆のq字形輪郭を形成し、上記左側延長板111、右側延長板121は、左側ケース110と右側ケース120を延長して形成され、左側ケース110及び右側ケース120を鋳型する時に一体成形することができる。便器の便鉢の水が便器の上部の内壁から流出するため、水が入水口130にスムーズに入ることを保証するために、左側延長板111、右側延長板121を設け、かつ左側延長板111、右側延長板121を円弧面とすることにより、左側ケース110と右側ケース120を係合させて形成された案内板190は左右にわたって緩やかである完全な円弧面であり、便器の便鉢500の内壁に貼り合わせ、ケース100と便器の便鉢500の内壁との間の隙間を小さくし、できるだけ多くの水流が案内板190に沿って入水口130内に入ることを保証することができる。
【0061】
好ましくは、ケース100の底部に左側ケース110と右側ケース120を接続する接続シート170が設けられ、上記容器100の上部に接続構造160が設けられる。上記接続シート170はケース100の底部に固定的に設けられ、左側ケース110と右側ケース120が一対一に対応して係合することに役立ち、マルチモードキャビティ製品が互いに係合する状況を回避するため、嵌合後の隙間がより安定し、製造制御の難しさを低下させる。上記接続構造160はケースの上部に設けられ、すなわち接続シートの他側に対して、左側ケースの突起リングの縁部に設けられた係止部161、及び右側ケースの凹みリングに設けられた嵌込部162を含み、係止部161に係合溝1611が設けられ、嵌込部162に突起した係合ブロック1621が設けられ、左側ケース110と右側ケース120が係合した後、係合ブロック1621が係合溝1611内に嵌め込まれ、接続シート170と係合し、左側ケース110と右側ケース120を係合してケース100を形成する。さらに、係止部161と嵌込部162の外側にいずれも回転溝(図示せず)が設けられる。
【0062】
好ましくは、ケース100内にトイレ洗浄剤の移動を制限する位置制限部140が設けられる。上記位置制限部140は少なくとも1組設けられ、位置制限部140の横断面は矩形又は円形又は十字形である。上記位置制限部140は、左側位置制限ロッド141と右側位置制限ロッド142で構成され、上記左側位置制限ロッド141の一端は左側ケース110内に固定され、右側位置制限ロッド142の一端が右側ケース120内に固定される。好ましくは、左側位置制限ロッド141と右側位置制限ロッド142は当接して設けられてもよく、位置がずれて設けられてもよい。左側位置制限ロッド141と右側位置制限ロッド142の長さは等しく、両者が当接して設けられる場合、隙間はトイレ洗浄剤の小径又はトイレ洗浄剤を収納する包装袋の幅以下であり、かつその長さは、左側ケース110と右側ケース120の係合を妨げない。
【0063】
好ましくは、異なるタイプの便器の洗浄水量が異なるため、ケース100内に入る総水量を制御するために、上記左側ケース110と右側ケース120の側面にいずれも小孔150が設けられ、ケース100内に入った水の最高液位を制御し、ケース100の形状と合わせて、異なるタイプの便器に応用する場合にケース100内に入った総水量が一定であることを保証し、偏差を低下させ、それによりトイレ洗浄剤を溶解させて形成された有効溶液の濃度が一致することを保証することができ、有効溶液が便鉢に滴下された後の使用効果が一致し、トイレ洗浄剤の使用期間が異なるタイプの便器の間で一致することを保証することもできる。
【0064】
好ましくは、小孔150を下向きに凹む円弧状孔として設け、小孔150は、ケース100内に入った水の体積が10~50mlであることを保証するように設けられる必要がある。好ましくは、円弧状孔は傾斜して設けられ、案内板190に向かう側は高い端であり、このように設けることは、本発明が異なるタイプの便器に用いられる場合、案内板190の上縁を便器の便鉢の内壁に貼り合わせると、ケース100が案内板190の上縁に沿って、かつ案内板190から離れる側に向かって偏向するからであり、この場合、傾斜して設けられた円弧状孔の最低点の位置の偏差が大きくないことにより、ケース100内の初期貯水量が一致する傾向があることを保証する。
【0065】
図15に示すように、上記便鉢フック300は、順に接続された垂直板310、水平板320、回転角遷移板330及び傾斜板340を含む。上記垂直板310と水平板320を直角に近くするように設け、上記回転角遷移板330の剛性は垂直板310又は水平板320の剛性以下である。このように、どのようなタイプとサイズの便器の便鉢にマッチングする場合にもかかわらず、いずれも回転角遷移板330を適度に変形させ、かつ便鉢の縁部をクランプするが、垂直板310と便鉢の縁部の相対位置がいずれも変更せず、ケースフック200を吊り下げるのに必要な安定性を提供する。
【0066】
回転角遷移板330の剛性が最小になることを実現する方式は、回転角遷移板330の横断面積を垂直板310又は水平板320又は傾斜板340の横断面積より小さくするように設定することである。好ましくは、回転角遷移板330の横断面積を、両端が大きく、中間が小さい傾向があるように設定し、製造時に、回転角遷移板330の可撓性を簡単かつ効果的に定量的に制御することができる。便鉢フック300が一定の変形を生じる場合、水平板320を便器の便鉢の上縁510の上面にできるだけ貼り合わせることを保証し、傾斜板340と便器の便鉢500の外壁の貼り合わせ面積を保証できるために、以下の構成が好ましい。
【0067】
すなわち、好ましくは、上記垂直板310の可撓性を傾斜板340の可撓性より小さくするように設定する。使用時に、どのようなタイプとサイズの便器の便鉢にマッチングする場合にもかかわらず、いずれも回転角遷移板330及び傾斜板340を適度に変形させ、便鉢の縁部を便鉢フックでクランプするが、垂直板310と便鉢の縁部の相対位置がいずれも変更せず、ケースフック200を吊り下げるのに必要な安定性を提供する。
【0068】
好ましくは、工字形又はT字形構造が最大限材料を節約し、かつ便鉢フックを便器の上縁に貼り合わせるのに十分な強度を保証できるため、上記便鉢フック300の横断面を工字形又はT字形構造として設け、横断面が工字形である場合、工字形上面板の幅を制御することにより便鉢フック300全体の可撓性を調整し、横断面がT字形構造である場合、T字形垂直板の高さを調整することにより便鉢フック300全体の可撓性を調整し、この2種類の調整方式は、いずれも便鉢フック300と便器の便鉢500又は便器の便鉢の上縁510の一側との貼り合い面積を保証することができ、トイレ洗浄剤が置かれたケース100の使用時の位置をより安定させることができる。また、便鉢フックの横断面を一字形として設けてもよく、すなわち、便鉢フックは、板状構造である。
【0069】
図1図2図8及び図15から分かるように、上記ケースフック200全体は、倒置されたフック状構造であり、ケース100との接続端の曲げ方向が便器の便鉢500の噴水溝孔520に向かう。つまり、ケースフック200の曲げ方向が垂直板310から離れるため、ケース100は、対応する縁部の断面サイズの大きい便器の便鉢に貼り合わせることができ、便器の便鉢500の対応する縁部の断面サイズが小さい場合、ケースフック200は、内壁に向かって適度に変形し、より多くのタイプの便器に適合することができる。次に、ケースフック200とケース100の接続端の曲げ方向は便器の便鉢500の噴水溝孔520に向かい、大サイズの便鉢又は小サイズの便鉢にマッチングすることに関係なく、いずれも吊り下げられたケース100を噴水溝孔520にさらに近づけ、水が入水口からケース内に入ることを容易にする。
【0070】
図8に示すように、上記ケースフック200の下端に回転部230が設けられ、上記回転部230は、回転軸231により、係止部161及び嵌込部162の外側に設けられた回転溝内に挿入されることにより、接続構造160に対して回転する。具体的には、上記回動部230は、ケースフック200の下端に固定的に接続されたΠ型構造であり、Π型構造の2つの垂直板の内側に1対の回転軸231が対向して設けられ、それにより回転軸231が溝内で回転することができ、構造が簡単で組み立てやすく、かつケース100が一定の範囲内で回転することができ、ケースフック200とケース100が着脱可能な構造であり、包装体積を減少させ、貯蔵し輸送しやすい。
【0071】
図1及び図13に示すように、ケースフック200の横断面を一字形又はT字形として設け、横断面が一字形であり、すなわちケースフック200が板状構造である場合、板状構造の幅を調整することによりケースフック200全体の可撓性を調整し、横断面がT字形構造である場合、T字形垂直板の高さを調整することによりケースフック200全体の可撓性を調整し、上記ケースフック200の横断面の面積が便鉢フック300の横断面の面積より小さく、同じ材質で製造する場合、ケースフック200全体の可撓性が便鉢フック300の可撓性より大きいことを保証することができる。
【0072】
図13に示すように、上記ケースフック200と便鉢フック300はスライド可能に接続され、ケースフック200は垂直板310に沿って上下にスライドすることができる。具体的には、上記垂直板310の外面に収納溝410が設けられ、上記収納溝410は、両側の断面が対向して設けられたL字形構造であり、底部がシール板で構成されたU字形構造であり、ケースフック200の上部には、収納溝410とマッチングするスライダ420が設けられ、上記スライダ420は、U字形構造内で上下にスライドすることができ、さらに、L字形構造を歯状として設けることにより、スライダ420は、隣接する2つの歯の間に係止することができ、1回定量的にスライドし、かつ複数回スライドできるという目的を達成し、ユーザが調整量を直感的に見ることを容易にする。
【0073】
さらに、上記スライド構造のスライド抵抗がケース100に水で満たされている時の総重量より大きいため、使用周期全体にわたってケース100の位置が安定する。
【0074】
図19に示すように、異なるタイプの便器の便鉢の上縁510の幅に適合するために、上記便鉢フック300の長さL1=40~80mmを設定し、好ましくは、L1=40mm又は50mm又は60mm又は70mm又は80mmである。
【0075】
異なるタイプの便器の便鉢の上縁510の上面と便器の便鉢の出水位置との間の高さに適合することにより、ケースを便器の便鉢500の内壁に局所的に貼り付けることができるために、上記便鉢フック300からケースフック200の最低点までの距離L2=30~80mmを設定する。
【0076】
本発明に係る装置が便器の便鉢500に取り付けられた後、ケース100が一定の範囲内で回転するとき、案内板190を常に便器の便鉢500の内壁に貼り合わせることができることを保証するために、上記便鉢フック300からケース100までの距離L3=40~60mmを設定する。
【0077】
便鉢のフックが十分なクランプ力を有することを保証するために、上記傾斜板340と垂直板310の垂直距離dは35mmより小さく、図15に示すように、本実施例において上記傾斜板340と垂直板310の垂直距離は20mmである。
【0078】
実施例2
図3に示すように、本実施例と実施例1の相違点は、上記ケースフック200が板状構造であり、かつケースフック200と便鉢フック300がスライド可能に接続され、ケースフック200が垂直板310に沿って上下にスライドすることができることのみである。
【0079】
具体的には、図14に示すように、上記垂直板310の外面にスライドロッド430が固定され、上記スライドロッド430はT字形構造とT字形構造の底部に設けられたシール板で構成され、上記T字形構造の垂直板は垂直板310に垂直に固定接続され、T字形構造の水平板は垂直板310に沿って延長し、ケースフック200の上部にスライドロッド430に沿って上下にスライド可能なスライド溝440が設けられ、上記スライド溝440はスライドロッド430と締り嵌めされ、かつスライド溝440は2つの対向して設けられたL字形のもので構成され、かつ該2つの対向して設けられたL字形のものはケースフック200の上部が延長して形成された2つの分岐で構成され、2つの分岐の間に一定の隙間がある。さらに、スライドロッド430のT字形構造の垂直板を歯状として設けることにより、スライド溝440が隣接する2つの歯の間に係止することができ、1回定量的にスライドし、かつ複数回スライドできるという目的を達成し、ユーザが調整量を直感的に見ることを容易にする。
【0080】
実施例3
図4に示すように、本実施例と実施例1の相違点は、ユーザが使用する際の組み立てステップを削減するために、ケースフック200とケース100が可撓性接続を採用するように設け、着脱ステップを減少させ、ユーザの使用を容易にすることのみである。
【0081】
具体的には、図9に示すように、上記ケースフック200は、嵌込部162に固定的に接続された尾部210、及び尾部210に接続された円弧状部220を含み、上記円弧状部220の可撓性は尾部210の可撓性より小さく、上記円弧状部220の曲げ方向は垂直板310から離れる側に向かい、すなわち、円弧状部220は便器の便鉢500の中心に向かって曲げて、ケース100を対応するサイズの大きい便器の便鉢500に貼り合わせることができ、便器の便鉢500の対応するサイズが小さい場合、ケースフック200は、適度に変形し、より多くのタイプの便器に適合することができる。ケース100内に水が入る場合、ケース100及びトイレ洗浄剤の重量によりケースの重心が変化し、この場合、可撓性のある尾部210は重心の変化に適応して曲げ変形することにより、ケース100の入水口を便鉢の内壁に貼り合わせる。円弧状部の強度は、ケースと溶液の重量を支えることができ、ケース100の相対的な高さ位置が大きく変化しないことを保証し、便鉢の噴水溝孔520に貼り付けることを維持する。この設計により、便器の便鉢の噴水溝孔520から流出した水は、トイレの内壁500に沿ってケースにスムーズで大量に流入する。
【0082】
図9における拡大図に示すように、尾部210の可撓性をさらに増大させて、水が入ったケース100の重力の作用下での調整範囲をより大きくするために、上記尾部210の嵌込部162に近い部分に、さらに凹部領域が設けられる。上記円弧状部220の横断面は、倒置されたT字形構造であり、上記尾部210の横断面は、平板構造である。好ましくは、上記円弧状部220のT字形構造の水平板と尾部210は一体成形され、円弧状部220内にT字形構造の垂直板を設けることにより、ケースフック200の構造に用いられる材料をより節約し、かつ簡単で効果的である。
【0083】
実施例4
図5に示すように、本実施例と実施例3の相違点は、上記ケースフック200が板状構造であり、かつケースフック200と便鉢フック300がスライド可能に接続され、ケースフック200が垂直板310に沿って上下にスライドすることができることのみである。実施例2との相違点は、ケースフック200とケース100の接続が可撓性固定接続であり、接続位置の局所的な可撓性変形により回転軸の構造に代わることである。
【0084】
具体的には、図14に示すように、上記垂直板310の外面にスライドロッド430が固定され、上記スライドロッド430はT字形構造とT字形構造の底部に設けられたシール板で構成され、上記T字形構造の垂直板は垂直板310に垂直に固定接続され、T字形構造の水平板は垂直板310と平行であり、ケースフック200の上部にスライドロッド430に沿って上下にスライド可能なスライド溝440が設けられ、上記スライド溝440はスライドロッド430と締り嵌めされ、かつスライド溝440は2つの対向して設けられたL字形のもので構成され、かつ該2つの対向して設けられたL字形のものはケースフック200の上部が延長して形成された2つの分岐で構成され、2つの分岐の間に一定の隙間がある。さらに、スライドロッド430のT字形構造の垂直板を歯状として設けることにより、スライド溝440が隣接する2つの歯の間に係止することができ、1回定量的にスライドし、かつ複数回スライドできるという目的を達成し、ユーザが調整量を直感的に見ることを容易にする。
【0085】
実施例5
図6に示すように、本実施例と実施例1の相違点は、上記ケースフック200と便鉢フック300が固定的に接続され、一体型フック構造であり、上記ケースフック200の剛性が便鉢フック300の剛性より小さいことのみである。上記ケースフック200は便器の便鉢500内に向かって曲げ、つまり、ケースフック200とケース100の接続端の曲げ方向が便器の便鉢の噴水溝孔520に向かい、垂直板から離れるため、ケース100は、対応するサイズの大きい便器の便鉢500に貼り合わせることができ、便器の便鉢500の対応するサイズが小さい場合、ケースフック200は、便器の便鉢500の内壁に向かって変形し、より多くのタイプの便器に適合することができる。
【0086】
具体的には、図16及び図17に示すように、上記便鉢フック300は、順に接続された垂直板310、水平板320、回転角遷移板330及び傾斜板340を含む。上記垂直板310と水平板320を直角に近くするように設け、上記回転角遷移板330の剛性は、垂直板310又は水平板320又は傾斜板340の剛性以下である。このように、どのようなタイプとサイズの便器の便鉢にマッチングする場合にもかかわらず、いずれも回転角遷移板330を適度に変形させ、かつ便鉢の上縁510をクランプするが、垂直板310と便鉢の上縁510の相対位置がいずれも変更せず、ケースフック200を吊り下げるのに必要な安定性を提供する。
【0087】
図18に示すように、ケースフック200の垂直方向の変形量が5mm以下であることを保証するために、ケースフック200及びケース100を垂直板310の中上部に設け、すなわち上記便鉢フック300のケースフック200での接続点から垂直板310の自由端までの高さh4と垂直板310の総高さh5はh4/h5=0.3~0.8を満たし、好ましくは、h4/h5=0.3又は0.4又は0.5又は0.6又は0.7又は0.8である。
【0088】
垂直板310が便器の便鉢の上縁510の内壁に貼り付けられるため、便器の便鉢の上縁510の上面との隣接部分の垂直板310が十分な支持強度を有することを保証するだけでよく、フック自体の総重量及び材料の使用を減少させ、かつ垂直板310の可撓性を増大させるために、少なくとも垂直板310の中下部に、垂直板310の横断面積が徐々に縮小するように設定する。上記垂直板310の横断面積が徐々に縮小する区間の高さh3と垂直板310の総高さh5はh3/h5=0.5~0.7を満たし、好ましくは、h3/h5=0.5又は0.6又は0.7である。
【0089】
図19に示すように、異なるタイプの便器の便鉢の上縁510の幅に適合するために、上記便鉢フック300の長さL1=40~80mmを設定し、好ましくは、L1=40mm又は50mm又は60mm又は70mm又は80mmである。
【0090】
異なるタイプの便器の便鉢の上縁510の上面と便器の便鉢の出水位置との間の高さに適合することにより、ケースを便器の便鉢500の内壁に局所的に貼り付けることができるために、上記便鉢フック300からケースフック200の最低点までの距離L2=45~80mmを設定する。
【0091】
本発明に係る装置が便器の便鉢500に取り付けられた後、ケース100が一定の範囲内で回転するとき、案内板190を常に便器の便鉢500の内壁に貼り合わせることができることを保証するために、上記便鉢フック300からケース100までの距離L3=40~60mmを設定する。
【0092】
実施例6
図7に示すように、本実施例と実施例5の相違点は、ユーザが使用する際の組み立てステップを削減するために、ケースフック200とケース100が可撓性接続を採用するように設け、着脱ステップを減少させ、ユーザの使用を容易にすることのみである。
【0093】
具体的には、図9に示すように、上記ケースフック200全体は、倒置されたフック状構造であり、嵌込部162に固定的に接続された尾部210、及び尾部210に接続された円弧状部220を含み、上記円弧状部220の可撓性は尾部210の可撓性より小さく、上記円弧状部220の曲げ方向は垂直板310から離れる側に向かい、すなわち、円弧状部220は便器の便鉢500の中心に向かって曲げて、ケース100を対応するサイズの大きい便器の便鉢500に貼り合わせることができ、便器の便鉢500の対応するサイズが小さい場合、ケースフック200は、便器の便鉢500の内壁に向かって変形し、より多くのタイプの便器に適合することができる。上記尾部210は、ケース100を吊り下げるためのものであり、円弧状部220の可撓性が尾部210の可撓性より小さいため、ケース100内に水が入る場合、ケース100及びトイレ洗浄剤の重量により、尾部210の変形量が円弧状部220の変形量より大きく、水が入った後に、ケース100も重力の作用下で角度偏向を発生し、入水口130を便鉢の内壁500に貼り合わせるとともに、ケース100の相対的な高さ位置が大きく変化せず、その後に便器の便鉢の噴水溝孔520から流出した水は、便鉢の内壁500に沿ってケース100にスムーズで大量に流入する。
【0094】
図9における拡大図に示すように、尾部210の可撓性をさらに増大させて、水が入ったケース100の重力の作用下での調整範囲をより大きくするために、上記尾部210の嵌込部162に近い部分に、さらに凹部領域が設けられる。上記円弧状部220の横断面は、倒置されたT字形構造であり、上記尾部210の横断面は、平板構造である。好ましくは、上記円弧状部220のT字形構造の水平板と尾部210は一体成形され、円弧状部220内にT字形構造の垂直板を設けることにより、ケースフック200は構造が簡単であり、材料をより節約し、かつ簡単で効果的である。
【0095】
上記6つの実施例では、左側ケースと右側ケースの係合後の隙間の大きさを制御することにより、有効溶液の形成から滴下終了までの時間を制御し、すなわち放出の周期を延長し、このようにほとんどの溶液を便器内に残し、便鉢内のトイレ洗浄剤の有効物質の含有量を保証し、浪費を減少させ、使用効果を向上させ、次に、本発明における便鉢フックがどのようなタイプとサイズの便器の便鉢にマッチングする場合にもかかわらず、いずれも回転角遷移板を適度に変形させ、かつ便鉢の上縁をクランプするが、垂直板と便鉢の縁部の相対位置がいずれも変更せず、ケースフックを吊り下げるのに必要な安定性を提供する。そして、ケースフックは、十分な強度を有し、かつ十分な変形能力を有し、異なるタイプの便器をマッチングする場合に、いずれも適度に変形し、ケースの入水口を便鉢の出水溝孔に近接させ、ケースが十分な量の水を受けることができることを保証することができる。
【0096】
実施例7
本実施例に係るトイレ洗浄剤の遅延放出方法は、便鉢内に水が入り、トイレ洗浄剤と混合して初期溶液を形成し、初期溶液が放出を開始し、便鉢内の水位が常態に戻り、その後に放出が終了するまで初期溶液を放出し続けるステップを含み、便鉢内に存在する初期溶液と水の混合液体が一次溶液と呼ばれる。上記方法では、初期溶液の体積は、10ml以上であり、かつ一次溶液中のトイレ洗浄剤の有効成分の含有量は、2ppm以上である。好ましくは、初期溶液の体積は10~50mlである。
【0097】
好ましくは、上記初期溶液中のトイレ洗浄剤の25℃の水に対する溶解度は10g/L以下であり、或いは初期溶液中のトイレ洗浄剤の20℃の水に対する溶解度は5g/L以下である。
【0098】
本発明では、上記トイレ洗浄剤は、構造式(1)を有する化学物質を含み、
【化3】
式中、RとRは、それぞれ独立してC-Cアルキル置換基、水素から選択されるいずれか1つであり、かつRとRのうちの少なくとも1つは、C-Cアルキル基であり、XとYは、それぞれ独立して臭素、塩素、水素から選択されるいずれか1つであり、かつXとYのうちの少なくとも1つは、ハロゲン元素である。
【0099】
具体的には、上記トイレ洗浄剤の化学物質は、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、1-クロロ-3-ブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、1,3-ジクロロ-5-メチル-5-エチルヒダントイン、1,3-ジブロモ-5-メチル-5-エチルヒダントイン、1-ブロモ-3-クロロ-5-メチル-5-エチルヒダントイン、1-クロロ-3-ブロモ-5-メチル-5-エチルヒダントイン、1,3-ジブロモ-5-メチル-5-イソブチルヒダントイン、1,3-ジブロモ-5-メチル-5-プロピルヒダントインから選択されるいずれか1種、又は2種以上の混合物である。
【0100】
本発明において異なる化学物質を選択するトイレ洗浄剤を、発明に係るトイレ洗浄方法及び装置を配合して使用して得られた最終的な便鉢内のトイレ洗浄剤の有効物質の含有量の状況を検証するために、発明者らは、水に溶解した後に有効漂白成分を放出することができる異なるトイレ洗浄剤の使用状況をテストする。実際のテストでは、30日程度のテストデータを取り、テストデータを図20に示す。便鉢内の水中の有効塩素の含有量のテスト方法は、水に溶解した後に有効漂白成分を放出できるトイレ洗浄剤を包装袋に入れて、便鉢の上縁510に、包装袋が包装設計に必要な水を受けることを確保するように吊り下げ、毎日一定の時間ごとに6回又は10回洗い流し、毎回洗い流した後に便鉢内の水に対して一次溶液中の有効塩素の含有量をテストし、具体的に提供されるデータは当日にテストされた全てのデータのうちの最も低いデータであることである。有効塩素のテストに用いられる方法は、GB/T13173-2008『界面活性剤 洗浄剤試験法』第19章における洗浄剤中の有効塩素の測定(滴定法)を参照して有効塩素のテストを行うことである。本発明においてテストされた有効塩素の含有量が低いため、より正確なテスト結果を得るために、試薬の濃度、サンプル量などを国家標準テスト方法と比較して調整する。
【0101】
具体的には、チオ硫酸ナトリウム(標準滴定溶液)の濃度はc(Na)=0.01mol/Lを採用し、テスト過程において一次溶液中の有効塩素の含有量に基づいてサンプル量を調整し、分析天秤で毎回洗い流した後の便鉢内の一次溶液を60g~70g秤量してテストに用い、質量m(0.001gの桁まで)と記録し、結果計算において、有効塩素の含有量は質量分率Xで計算され、数値はppmで表され、具体的な計算過程は、以下のとおりである。
【数1】
式中、cはチオ硫酸ナトリウム(標準滴定溶液)の濃度であり、単位はモル毎リットル(mol/L)であり、Vは滴定により消費されたチオ硫酸ナトリウム(標準滴定溶液)の体積であり、単位はミリリットル(mL)であり、35.45は塩素の相対原子質量であり、単位はグラム毎モル(g/mol)であり、mは秤量されたテスト用の一次溶液の質量であり、単位はグラム(g)である。
【0102】
2回の反復テストの算術平均値を小数点一位まで表示し、測定結果とする。
【0103】
なお、本願でいう有効塩素の含有量は、純粋な有効塩素の含有量を指すことではなく、サンプルに有効臭素成分を有する場合に有効臭素の含有量も含み、本実験における測定方法を用いて有効塩素と有効臭素の具体的な比率を区別しにくいため、容易に計算するために、図20に提供された実験データにおいて、便鉢内の水中の有効塩素の含有量は、統一して塩素元素のモル質量で算出される。図20の実験データから分かるように、有効塩素の含有量が2ppm以上であることを基準とすれば、本発明に係るトイレ洗浄剤の遅延放出方法を用いて、毎日6回洗い流し、トイレ洗浄剤の有効物質を便鉢内に少なくとも26日以上持続的に放出することを保証することができる。
【0104】
また、図21に示すように、本実施例も上記初期溶液中のトイレ洗浄剤の溶解度状況を提供し、SciFinder Acaden(米国化学文献データベース)からの検索結果は、高級化学開発ソフトウェア(Advanced Chemistry Development(ACD/Labs)Software V11.02)を用いて算出され、その溶解度データ結果から分かるように、本技術的解決手段において用いられたトイレ洗浄剤の溶解度は、25℃の水に対する溶解度が10g/L以下であるか、又は20℃の水に対する溶解度が5g/L以下であることを満たす。
【0105】
本発明の方法は、主に水洗便器内に作用し、より具体的に、水洗便器の便鉢内に作用し、便鉢は、下水管路間のU字管に接続され、ユーザが毎回便器を洗い流した後、最終的に便鉢とU字管内の水の組成が同等になる傾向がある。本実施例を用いる場合、トイレ洗浄剤を便鉢の内壁に固定し、ユーザが水洗便器での出水ボタンを押すと、水タンク内の出水弁が開き、水タンク内の水が便鉢の縁部の開孔を通って便鉢内に入る。便鉢の出水方向によって、水洗便器をほぼ2種類、すなわち便鉢が縦方向に出水する水洗便器と便鉢が横方向に出水する水洗便器に分けることができる。どのような構造の水洗便器を用いても、いずれも水とトイレ洗浄剤を混合できる必要があり、ここでのトイレ洗浄剤は、固体形態であってもよく、不織布袋などの透水性袋で包装することができる粒子状であってもよい。水とトイレ洗浄剤を混合すると、初期溶液を形成することができ、混合時間の延長に伴い、初期溶液中のトイレ洗浄剤の有効溶質の含有量がますます高くなり、遅いほど放出された初期溶液に含まれる溶質の含有量が高くなり、次に、洗浄剤を一定の時間溶解させて高濃度の初期溶液を形成した後に放出する必要がある場合、トイレ洗浄剤の溶解速度又は均一混合速度を制御することにより実現することができる。
【0106】
初期溶液が放出を開始する場合、便鉢内の水位が徐々に上昇し、最後に洗い流さない場合の常態に戻るとともに、便鉢内の水面も徐々に安定し、その後、初期溶液を一定の時間放出し続け、水とトイレ洗浄剤を混合して初期溶液を形成した後に放出が終了する。この段階では、便鉢内の水位が常態に戻った時点から初期溶液の放出が終了した時点までの間の時間はトイレ洗浄剤の遅延放出時間である。トイレ洗浄剤の溶解速度を制御して、その溶解に必要な時間を適宜延長することにより、洗い流す初期に溶解し直接的に流されたトイレ洗浄剤の溶質の量を減少させ、かつ初期溶液の体積が一定である場合、放出時間を遅延することにより、初期溶液中のトイレ洗浄剤の溶質の便鉢内に残っている量がより高くなり、つまり、溶液が洗い流す過程で水流により流されることを回避し、溶液が便器内に大量に残り、浪費を減少させ、かつ便鉢内の一次溶液の濃度及び使用効果を保証する。
【0107】
上記方法では、水とトイレ洗浄剤を混合して初期溶液を形成する時間をt2と定義し、初期溶液の放出開始から放出終了までの時間を初期溶液の流出時間t3と定義し、実際の使用過程において、トイレ洗浄剤が一定の体積の容器に置かれ、水が容器に入ってトイレ洗浄剤を溶解させ始め、かつ初期溶液を放出し、水の放出が終了したら溶解が終了する。水とトイレ洗浄剤が初期溶液を形成した直後に放出される場合、t2=t3である。
【0108】
上記方法では、便鉢内に水が入ってから便鉢内の水位が常態に戻るまでの時間を便器の洗い流し時間t1と定義し、便鉢内の水位が常態に戻ってから初期溶液の放出が終了するまでの時間を一部の初期溶液の遅延放出時間t4と定義すると、t4=t3-t1である。実際の使用過程において、トイレ洗浄剤が一定の体積の容器に置かれるため、容器内に入った水の体積は一定であり、便鉢内の水位が常態に戻る前に、便鉢内に流入した初期溶液の濃度が低く、容器内の水が少なくなり、かつトイレ洗浄剤を溶解させるか又は希釈する時間が長くなるほど、便鉢内に流入した初期溶液の濃度が高くなり、このようにして便鉢内の水位が常態に戻った後、最後に便鉢に流入する初期溶液の濃度が最も高いことを保証し、便鉢内のトイレ洗浄剤の有効物質をほとんど便器内に残し、浪費を減少させることができる。
【0109】
便鉢内の水位が常態に戻ってから初期溶液の放出が終了するまでの時間を一部の初期溶液の遅延放出時間t4と定義すると、t4≧3分間、及び/又はt4≧t1である。市販の従来の便器を洗い流してボタンを一回押すと、水タンク内の水が流出してから便器の便鉢内の水面が安定するまでの時間t1=5~120秒であり、便器の便鉢内に残っている初期溶液の含有量を向上させ、すなわち一次溶液中の溶質の含有量を向上させるために、できるだけ便鉢内の水面が安定した後に初期溶液を放出し、次に、水洗便器の使用時間が長くなるにつれて、水タンク内の出水弁に緩み劣化が発生し、便器を洗い流してボタンを一回押すと、水流が水タンク内から便鉢内に流入する時間が明らかに延長され、すなわち便鉢内の水面が安定するのに必要な時間が長くなるため、洗い流しが終了した後に初期溶液を少なくとも3分間放出するように設定する。次に、便鉢に水が入り始める場合、水が同時にトイレ洗浄剤と混合して初期溶液を形成し放出を開始するため、初期溶液の放出開始時間から遅延放出時間t4の開始時刻までの期間は、基本的に便器の洗い流し時間t1と同じであり、初期溶液を放出した後、便鉢内に存在する一次溶液の有効成分の含有量ができるだけ多いことを保証するために、t4≧t1、すなわち初期溶液の遅延放出の時間長を便器の洗い流し時間t1以上に設定し、かつトイレ洗浄剤の溶解時間が長くなるにつれて、初期溶液の濃度がますます高くなるため、少なくとも50%の初期溶液が便鉢内に残り、すなわち便鉢内の初期溶液の有効物質の含有量の少なくとも50%が一次溶液に存在し、トイレ洗浄剤の溶質を便鉢内にできるだけ多く残す。
【0110】
初期溶液の放出開始から放出終了までの時間を初期溶液の流出時間t3と定義すると、t3≦40分間、及び/又はt3≧2t1である。t4=t3-t1、t1=5~120秒、かつt4≧3分間であるため、好ましくは、t3=4~25分間である。初期溶液の体積の大きさに応じて、初期溶液の放出速度を制御して初期溶液の完全放出時間を調整し、異なる場合の便器の使用頻度を考慮して、初期溶液の放出開始から放出終了までの時間を4~25分間に設定することにより、便器を2回連続して使用する期間に、初期溶液を十分に放出することができ、毎回便鉢内に入った一次溶液に含まれる溶質が十分であることを保証し、トイレ洗浄剤の使用効果を向上させる。次に、t4=t3-t1、t4≧t1のため、t3≧2t1であり、初期溶液の遅延放出の時間長t4が便器の洗い流し時間t1以上であることを保証し、かつトイレ洗浄剤の溶解時間が長くなるにつれて、初期溶液の濃度がますます高くなるため、少なくとも50%の初期溶液が便鉢内に残り、すなわち便鉢内の初期溶液の有効物質の含有量の少なくとも50%が一次溶液に存在し、トイレ洗浄剤の溶質を便鉢内にできるだけ多く残す。
【0111】
好ましくは、上記一次溶液の溶質の含有量m1と初期溶液の溶質の含有量m0の関係は、m1/m0=0.5~1である。
【0112】
異なるサイズの水洗便器は、便鉢の貯水体積が異なるが、同じタイプのトイレ洗浄剤は、時間t2内に形成した初期溶液の体積が一定であり、すなわち初期溶液の溶質の含有量m0が一定である。実質的に便鉢内に作用するものは一次溶液の溶質であり、便鉢内の一次溶液の作用効果を保証するために、溶質の含有比率を用いて判断し、すなわちm1/m0=0.5~1であり、好ましくは、m1/m0=0.5又は0.6又は0.7又は0.8又は0.9又は1である。便鉢がU字管に連通し、わずかな溶質がU字管内に入ることが避けられないため、m1/m0の比が0.5以上である必要がある。実際に検出する場合、以下のステップを含む。2つの同じ便器(便器Aと便器B)を選択し、便器の水タンク及び便鉢をきれいに洗浄し、便器の水タンクに水を満たし、便鉢内の水位が常態に戻り、2つの同じケース100(aとb)をそれぞれ、便器の水タンクから便鉢内に流入した水を受けることができるように2つの便器の同じ位置に吊り下げ、洗浄成分Mを含有し質量が同じでいずれも固体であるトイレ洗浄剤をそれぞれケースaとbに入れ、便器Aの水洗ボタンを押し、便器Aに吊り下げられたケースaが初期溶液の放出を開始するとき、容器を用いてケースaから放出された初期溶液を全て受け、容器によって受けられた初期溶液中のMの質量を測定し、m0と記す。便器Bの水洗ボタンを押し、便器Bに吊り下げられたケースbが初期溶液の放出を終了するとき、便鉢内の一次溶液中のMの質量を測定し、m1と記し、それによりm1/m0の比を得る。一定の体積の初期溶液と一次溶液を取得することにより、乾燥などの物理的、化学的方法で対応する体積の初期溶液と一次溶液中の溶質の含有量を取得し、全体積の初期溶液と一次溶液の溶質の含有量に換算すれば、実際のm1とm0の比を取得することができ、それによりトイレ洗浄剤と水の混合比及び初期溶液の放出量を調整する。さらに、上記トイレ洗浄剤300は、ケース100内に置かれ、水洗便器の構造特徴に基づいて、水をケース100内に導入し、トイレ洗浄剤300と混合して初期溶液を形成する。
【0113】
図22に示すように、便鉢500が縦方向に出水し、ケース100内に水が入らない場合、トイレ洗浄剤300は、自重の作用下でケース100内の底部に位置し、図中の矢印で示すように、水は、斜め下向きに流れるように案内され、ケース100の上部から導入され、トイレ洗浄剤300を溶解させるか又は希釈し、ケース100に入った水の量が増加するにつれて、ケース100内に水で満され、トイレ洗浄剤300がケース100内に浮遊するか又は依然としてケース100内の底部に位置し、両方とも最終的に初期溶液を形成してケース100の底部の排水孔から流出する。
【0114】
便鉢500が縦方向に出水し、すなわち水洗便器の水タンクから便鉢500に入った水が便鉢500の内壁に沿って下向きに流入する場合、水流が内壁に沿って下向きに流れるため、ケース100の入水口を上部に設け、かつ便鉢500の内壁に向け、水流を内壁から下向きに案内して内壁に寄りかかったケース100内に入り、ケース100内の底部のトイレ洗浄剤300と混合し、トイレ洗浄剤300を溶解させるか又は希釈し、初期溶液を形成してケース100から流出する。この過程において、ケース100の底部に細長い案内管を設けるか又は狭くて長い出水チャネルを開設することにより、液体の張力の作用下で、徐々に放出し、遅延の効果を実現する。
【0115】
図23に示すように、上記ケース内の初期溶液の体積が最大となる時刻から初期溶液の放出終了時刻までの間に、初期溶液の濃度又は溶質の含有量は徐々に高くなる。或いは、上記ケース内の初期溶液の体積が最大となる時刻から初期溶液の放出終了時刻までの間に、一次溶液の濃度又は溶質の含有量は徐々に高くなる。
【0116】
ケース内のトイレ洗浄剤は、水が1回目に入る前に乾燥状態であり、水がケースに入った瞬間にケース内の溶液の濃度がゼロであり、ケース内のトイレ洗浄剤に水が2回目以上に入る前に、固体状又は粒子状のトイレ洗浄剤は湿潤状態であり、かつケース内に前回の初期溶液が残り、この場合、ケース内の溶液濃度が一定の初期値を有する。水が徐々にケース内に入る場合、トイレ洗浄剤を徐々に溶解させ希釈して、初期溶液を形成し、その後、初期溶液をケース内から放出する。水がケースに入った瞬間から初期溶液の放出を開始した瞬間の時点txまでの間に、初期溶液の濃度は全体的に徐々に高くなる傾向がある。
【0117】
水洗便器内の水がケース内に入った直後、トイレ洗浄剤が固体でありケースの底部に置かれ、一定の重量があるため、ケース内に入る水の量により生成された浮力がトイレ洗浄剤自体の重力より小さい場合、トイレ洗浄剤はケースの出口を塞ぎ、この期間内に、トイレ洗浄剤は徐々に溶解し、ケース内の初期溶液の液体濃度は絶えず高くなり、ケース内に入る水の量により生成された浮力がトイレ洗浄剤自体の重力より大きい場合、トイレ洗浄剤は底部の出口から離れるが、ケース内の水が絶えず注入され、この段階で、ケース内の初期溶液の液体濃度が絶えず低くなり、最後に、ケース内に水がもはや入らない場合、底部からの初期溶液の流出量がケース内の水の注入量よりはるかに小さいため、この場合にトイレ洗浄剤はケース内の水に溶解し続け、ケースから流出する初期溶液の濃度がさらに高くなり、したがって、上記ケース内の初期溶液の濃度は、まず高くなってから低くなり、それから高くなるように変化する。実際の実験過程において、トイレ洗浄剤をケース内に置き、一定の時間ごとにケースから流出した適量の液体を収集して、その中のトイレ洗浄剤の有効含有量を測定すればよい。
【0118】
本実施例では、図24における菱形付き濃色線に示すように、それぞれ図20に示すトイレ洗浄剤のサンプル2を透水性包装袋に4g秤量し、シールした後に包装袋内のサンプルをそれぞれ金型1のケース100内に入れ、ケース100の体積は20mLであり、ケースの排水時間を測定する区間は5.5minであり、ケース100に20mLの水道水を加えた直後に計時し、かつ一定の時間ごとにケース100から排出された適量の液体を収集してトイレ洗浄剤中の溶質の含有量をテストし、得られた結果を以下に示す。
【0119】
【表1】
【0120】
本実施例では、さらに別の組の実験があり、図24における方形付き階調線に示すように、それぞれ図20に示すトイレ洗浄剤のサンプル2を透水性包装袋に4g秤量し、シールした後に包装袋内のサンプルをそれぞれ金型2のケース100内に入れ、ケース100の体積は20mLであり、ケースの排水時間を測定する区間は10.5minであり、ケース100に20mLの水道水を加えた直後に計時し、かつ一定の時間ごとにケース100から排出された適量の液体を収集してトイレ洗浄剤中の溶質の含有量をテストし、得られた結果を以下に示す。
【0121】
【表2】
【0122】
実施例8
本実施例と実施例7の相違点は、上記トイレ洗浄剤が水に溶解して放出した有効漂白成分は、構造式(2)を有する化学物質を含み、
【化4】
式中、RとRは、それぞれ独立してC-Cアルキル置換基から選択され、XとYはそれぞれ独立して臭素、塩素、水素から選択されるいずれか1つであり、かつXとYのうちの少なくとも1つはハロゲン元素である。
【0123】
上記トイレ洗浄剤が水に溶解して放出した有効漂白成分の化学物質は、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、1-クロロ-3-ブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、1,3-ジクロロ-5-メチル-5-エチルヒダントイン、1,3-ジブロモ-5-メチル-5-エチルヒダントイン、1-ブロモ-3-クロロ-5-メチル-5-エチルヒダントイン、1-クロロ-3-ブロモ-5-メチル-5-エチルヒダントインから選択されるいずれか1種、又は2種以上の混合物である。
【0124】
図25に示すように、便鉢500が横方向に出水し、ケース100内に水が入らない場合、トイレ洗浄剤300は、自重の作用下でケース100内の底部に位置し、フック200でケース100を便鉢500に吊り下げ、図中の矢印で示すように、水は、斜め上向きに流れるように案内され、ケース100の上部から導入され、ケース100内の底部のトイレ洗浄剤300と混合し、トイレ洗浄剤300を溶解させるか又は希釈して、初期溶液を形成してケース100の底部の排水孔から流出する。
【0125】
便鉢500が横方向に出水し、すなわち水洗便器の水タンクの水が便鉢500の縁部に水平に配置された1~2つの出水口から便鉢500に入る場合、洗い流す時に水が横方向に排出され、重力の作用下で流れ便鉢500の壁に沿って渦を形成し、このように便鉢500の壁に対する水流の洗浄力を向上させる。したがって、斜め上向きの案内方式を用いて、横方向に排出された水流は勢いに応じてケース100内に入り、ケース100に入った水の量が増加するにつれて、ケース100内に水で満され、トイレ洗浄剤300がケース内に浮遊するか又は依然としてケース100内の底部に位置し、トイレ洗浄剤300を溶解させるか又は希釈し、両方とも最終的に初期溶液を形成してケース100から流出する。
【0126】
実施例9
本実施例と実施例7の相違点は、水洗便器の便鉢内に作用するトイレ洗浄剤の遅延放出方法を提供することであり、上記トイレ洗浄剤はケース内に置かれ、上記方法は、ケース100内に水が入る前に、トイレ洗浄剤300が密度ρ1の初期溶液をケース100内に形成し、ケース100内に水が再度入ると、水が初期溶液を密度ρ2の置換溶液に希釈し、置換溶液がケース100の開口から徐々に流出し、便鉢500内に入るステップと、便鉢500内の水位が常態に戻り、その後に放出が終了するまで置換溶液を放出し続けるステップとを含み、便鉢500内に存在する置換溶液と水との混合液体が一次溶液と呼ばれ、上記方法では、初期溶液を収納するケース100の体積が10ml以上であり、かつ一次溶液中のトイレ洗浄剤の有効成分の含有量が2ppm以上である。好ましくは、初期溶液の体積は10~50mlである。
【0127】
本発明において異なる化学物質を選択するトイレ洗浄剤を、発明に係るトイレ洗浄方法及び装置を配合して使用して得られた最終的な便鉢内のトイレ洗浄剤の有効物質の含有量の状況を検証するために、発明者らは、水に溶解した後に有効漂白成分を放出することができる異なるトイレ洗浄剤の使用状況をテストする。図20の実験データから分かるように、有効塩素の含有量が2ppm以上であることを基準とすれば、本発明に係るトイレ洗浄剤の遅延放出方法を用いて、毎日6回洗い流し、トイレ洗浄剤の有効物質を便鉢内に少なくとも27日以上持続的に放出することを保証することができる。
【0128】
本発明の方法の主な原理は、置換の方式で行い、図26に示すように、まずトイレ洗浄剤300をケース100内に置き、ケース100を便器又は便鉢500の適切な位置に配置し、水洗便器の水タンク内の水がケース100内にスムーズに入ってトイレ洗浄剤300と混合し、その後にケース100の開口から流出することである。ケース100が開口のみから水を排出するため、ユーザが1回目に洗い流した後、ケース100内に入った水が完全に流出せず、一部の水がケース100内に残り、この部分の水がトイレ洗浄剤300を部分的又は全体的に浸漬し、トイレ洗浄剤300がケース100内に初期溶液を形成し、かつ初期溶液の水位がケース100の開口の高さ以下である。ユーザが次回に洗い流す場合、水洗便器の水タンク内の水は、再度ケース100内に入り、この部分の水が初期溶液と混合するとともに、水位がケース100の開口の高さを超え始め、つまり、この場合、置換溶液がケース100の開口から流出し始め、便鉢500内に入り、かつ水洗便器の水タンク内の水の持続的な注入に伴って、置換溶液の濃度が徐々に減少するが、置換溶液中のトイレ洗浄剤300の有効物質を依然として持続的に放出し、トイレ洗浄剤300が置換溶液中に徐々に溶解し続けるにつれて、置換溶液中のトイレ洗浄剤300の有効物質が動的平衡に達し、すなわち同じ期間内に、ケース100から流出した置換溶液に含まれるトイレ洗浄剤300の有効物質の含有量とケース100内の置換溶液に再度溶解するトイレ洗浄剤300の有効物質の含有量が等しくなり、その後に、便鉢500内に入るトイレ洗浄剤300の有効物質の含有量が安定することを保証し、トイレルーム300中の有効成分が水流により迅速に流されることを防止し、それにより便鉢500内のトイレ洗浄剤300の有効物質の含有量を保証し、ほとんどの溶液を便器内に残し、浪費を減少させ、実用的な効果を向上させることができる。
【0129】
次に、トイレ洗浄剤300全体をケース100内の水に浸漬することにより、トイレ洗浄剤300を水位下に液封して、トイレ洗浄剤300中の揮発性成分の揮発を回避することができ、異臭の散逸を防止することもできる。
【0130】
さらに、上記方法では、図26に示すように、上記ケース100に開口400が設けられ、かつ開口が一定の高さを有し、置換溶液は、水位が開口400の高さを超える場合、水位が開口の高さに戻るまで開口400から流出し、便鉢500内に入る。
【0131】
さらに、ケース100内の残水量が多すぎることによりトイレ洗浄剤300が過度に溶解して浪費をもたらすことを回避するとともに、ケース100内の残水量が少なすぎることによりその後に置換溶液が動的平衡に達しにくいことを回避するために、上記ケース100の開口400がケース100の高さ方向の1/3~1/2に位置するように設け、すなわち図1又は図10に示すように、h/H=1/3~1/2であり、又はケース100内の残水量の体積がケース100の総容積の1/3~1/2であることを保証する。
【0132】
さらに、上記トイレ洗浄剤300をケース100内に置き、水洗便器の構造特徴に基づいて、水をケース100内に導入し、初期溶液を希釈する。
【0133】
図26に示すように、便鉢500が縦方向に出水する場合、水は、斜め下向きに流れるように案内され、ケース100の上部から導入され、初期溶液を希釈し、形成された置換溶液がケース100から流出する。
【0134】
便鉢500が縦方向に出水し、すなわち水洗便器の水タンクから便鉢500に入った水が便鉢500の内壁に沿って下向きに流入する場合、水流が内壁に沿って下向きに流れるため、ケース100の入水口を上部に設け、かつ便鉢500の内壁に向け、水流を内壁から下向きに案内して内壁に寄りかかったケース100内に入り、ケース100内の底部のトイレ洗浄剤300と混合し、トイレ洗浄剤300を溶解させるか又は希釈し、ケース100に入った水の量が増加するにつれて、ケース100内に水で満され、トイレ洗浄剤300がケース100内に浮遊するか又は依然としてケース100内の底部に位置し、最終的に初期溶液を形成し、ユーザが次回に押して洗い流した後、水は再度ケース100内に入り、初期溶液を希釈して置換溶液を形成し、かつ置換溶液の水位はケース100の開口400より高く、この場合、置換溶液はケース100の開口400から流出する。この過程において、ケース100の底部に細長い案内管を設けるか又は狭くて長い出水チャネルを開設することにより、液体の張力の作用下で、徐々に放出し、遅延放出の効果を実現する。
【0135】
図27に示すように、上記ケース内の液体の濃度又は溶質の含有量は低下した後に上昇する。
【0136】
ケース内に再度水が入る前に、ケース内に一定量の液体が既に存在し、2回の洗い流し時間の間隔が長くなるにつれて、初期溶液の溶質は次回の洗い流し段階の最高値にあり、水が再度ケースに入った後、初期溶液が希釈され、液体の密度がρ1からρ2に変化し、この段階では、大量の洗浄水がケースに入るにつれて、液体の濃度が先に低下し、置換溶液が絶えずに排出されかつ進入が停止するにつれて、ケース内の液体の濃度が徐々に上昇し始め、トイレ洗浄剤が置換溶液に徐々に溶解し続けるにつれて、置換溶液中のトイレ洗浄剤の有効物質が動的平衡に達する。
【0137】
実施例10
図28に示すように、本実施例と実施例9の相違点は、便鉢500が横方向に出水し、水が斜め上向きに流れるように案内され、ケース100の上部から導入され、初期溶液を希釈し、形成された置換溶液がケース100から流出することである。
【0138】
便鉢500が横方向に出水し、すなわち水洗便器の水タンクの水が便鉢500の縁部に水平に配置された1~2つの出水口から便鉢500に入る場合、洗い流す時に水が横方向に排出され、重力の作用下で流れ便鉢500の壁に沿って渦を形成し、このように便鉢500の壁に対する水流の洗浄力を向上させる。したがって、斜め上向きの案内方式を用いて、横方向に排出された水流は勢いに応じてケース100内に入り、ケース100に入った水の量が増加するにつれて、ケース100内に水で満され、トイレ洗浄剤300がケース100内に浮遊するか又は依然としてケース100内の底部に位置し、最終的に初期溶液を形成し、ユーザが次回に押して洗い流した後、水は再度ケース100内に入り、初期溶液を希釈して置換溶液を形成し、かつ置換溶液の水位はケース100の開口400より高く、この場合、置換溶液はケース100の開口400から流出する。この過程において、ケース100の底部に細長い案内管を設けるか又は狭くて長い出水チャネルを開設することにより、液体の張力の作用下で、徐々に放出し、遅延放出の効果を実現する。
【0139】
明らかに、本発明の上記実施例は、本発明の実施例を明確に説明するための単なる例であり、本発明の具体的な実施形態を制限するものではない。本発明の特許請求の範囲の精神及び原則内で行われるいかなる修正、同等置換、改善などは、いずれも本発明の特許請求の範囲の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
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図11
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図20-1】
図20-2】
図20-3】
図20-4】
図21
図22
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図28