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特許7191253パケット交換ネットワークにおいて通信エンティティのコンピューター手段によって実施される方法、並びにそのコンピュータープログラム及びコンピューター可読非一時的記録媒体、並びにパケット交換ネットワークの通信エンティティ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】パケット交換ネットワークにおいて通信エンティティのコンピューター手段によって実施される方法、並びにそのコンピュータープログラム及びコンピューター可読非一時的記録媒体、並びにパケット交換ネットワークの通信エンティティ
(51)【国際特許分類】
   H04L 47/56 20220101AFI20221209BHJP
   H04L 47/6295 20220101ALI20221209BHJP
【FI】
H04L47/56
H04L47/6295
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021566781
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2020009281
(87)【国際公開番号】W WO2020222289
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-07-27
(31)【優先権主張番号】19305557.1
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】マンガン、クリストフ
【審査官】鈴木 香苗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0215743(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0093162(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0039278(US,A1)
【文献】特開2005-033804(JP,A)
【文献】特表2017-532870(JP,A)
【文献】特開平06-053996(JP,A)
【文献】国際公開第2018/174302(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 47/56
H04L 47/6295
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケット交換ネットワークにおいて通信エンティティのコンピューター手段によって実施される方法であって、前記通信エンティティは、通信信号フレームを送信する少なくとも1つの出口ポート(EgP)を備え、前記フレームは、
エクスプレストラフィックとして、トラフィックシェーピングによって定義される複数のバーストにおいて送信されることが意図される第1のタイプのフレームと、
スポラディックトラフィックとして、トラフィックシェーピングによって定義されない第2のタイプのフレームと、
を含み、
前記通信エンティティは、
前記第1のタイプのフレームの複数の第1のキューであって、該第1のキューは、前記複数のバーストにそれぞれ関連付けられる、複数の第1のキューと、
前記第2のタイプのフレームのための少なくとも1つの第2のキューと、
を記憶するように構成され、
前記バーストは、各バーストに先行するシグナリングフレームとともにそれぞれの第1のキューに格納され、前記シグナリングフレームは、前記バーストの生成のタイムスタンプを含み、
前記第1のキューに格納された前記バーストの中から送信すべき第1のバーストを選択するために、前記通信エンティティは、
各第1のキューのヘッドに位置する各シグナリングフレームの前記タイムスタンプを読み取ることと、
全ての前記シグナリングフレームの中で最も古いタイムスタンプを有する前記シグナリングフレームを決定することと、
そのように決定された前記シグナリングフレームを有する前記バーストを前記送信すべき第1のバーストとして選択することと、
を行うように構成される、方法。
【請求項2】
前記第1のバーストの送信中、第2のタイプのフレームの送信は、該第1のバースト送信が完了しない限り延期される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のバーストの送信中、該第1のバーストの前記キュー以外の第1のタイプのキューの第1のタイプのフレームの送信は、該第1のバースト送信が完了しない限り延期される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記送信すべき第1のバーストが送信のために選択されると、該第1のバーストの該送信の前に、
前記第2のタイプのフレームが前記出口ポートによって送信されているか否かが判断され、送信されている場合、
所定の最小サイズを有する、その第2のタイプのフレームのフラグメントが、前記第1のバーストの前記送信の直前に、前記出口ポートの次の送信のためにスケジューリングされる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記キューは、先入れ先出しメモリバッファに格納される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
複数の通信エンティティが、前記ネットワークにおいて前記第1のタイプのフレームバーストの送信機として提供され、前記通信エンティティのそれぞれは、前記ネットワークにおける共通クロック基準に従って、対応するシグナリングフレーム内に第1のタイプのフレームバーストの生成のタイムスタンプを追加するように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも前記通信エンティティの一部は、前記バーストの発信者として機能し、前記生成のタイムスタンプは、前記対応するバーストの作成のタイムスタンプである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも前記通信エンティティの一部は、前記バーストのトランスポンダーとして機能し、前記生成のタイムスタンプは、前記対応するバーストの作成のタイムスタンプである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記シグナリングフレームは、前記第1のバーストの前記第1のフレーム全体内のデータの第1の数に対応するデータを更に含み、前記通信エンティティは、前記第1のバーストのフレームの送信中、
前記第1のバーストの送信されるデータの第2の数をカウントすることと、
前記第2の数が前記第1の数に達するまで、前記第1のバーストのデータの前記送信を継続することと、
を行うように更に構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記通信エンティティは、前記第2の数が前記第1の数に達すると、
前記第1のバーストのデータの前記送信を終了することと、
前記対応する第1のキューから、前記第1のバーストの一切の可能な残りのデータをフラッシュすることと、
を行うように更に構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
同じ第1のキュー内の異なるバーストは、該バーストのそれぞれのシグナリングフレームによって表現される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記シグナリングフレームは、タグのデータを宣言する1つのイーサタイプフィールドから構成される少なくとも1つの該タグを含むEthernetフレームとすることができ、前記データは、少なくとも前記タイムスタンプに対応する、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の方法の少なくとも一部を実施するように構成されたコンピューティング回路を含む、パケット交換ネットワークの通信エンティティ。
【請求項14】
コンピューターソフトウェアであって、該ソフトウェアがプロセッサによって実行されると、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法の少なくとも一部を実施する命令を含む、コンピューターソフトウェア。
【請求項15】
ソフトウェアがプロセッサによって実行されると、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実施するために該ソフトウェアが登録されているコンピューター可読非一時的記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気通信に関し、より詳細には、データフレーム送信に関する。
【背景技術】
【0002】
パケット交換ネットワークは、厳格に制限されたレイテンシー及び転送遅延変動で制御データのトランスポートを可能にするレイヤー2特徴の導入により、産業制御応用のためにますます使用されてきている。
【0003】
例えば、低レイテンシーサンプリングデータ、(閉ループ)制御及び画像ストリーミング(例えば、リアルタイム画像処理)は、非常に厳格なレイテンシー要件を有する。制御ループの一部としての画像ストリーミング及び関連付けられた処理は、収束ネットワークにおいてベストエフォートトランスポートがもたらし得るよりも多大な要件を有する。
【0004】
同時に、ベストエフォートストリームはタイムクリティカルではなく、むしろタイムクリティカルストリームに対する干渉の一定の発生源を提供する。
【0005】
特に産業分野のバス、すなわちEtherCAT、Ethernet Powerlink、TCnet、PROFINET等の要件に対する交換Ethernetの適合のために、解決策が漸進的に開発されている。
【0006】
これら全ての解決策は、スケジューリングされたストリーム、特にサイクリック通信を構成するストリームのためのサポートを提供する、標準Ethernetプロトコルへの特定の追加規格に依拠する。
【0007】
これらの適合によって用いられる共通のスキームは、時間ウィンドウにおける送信多重化の編成に頼っており、各ウィンドウは、特定のストリームのために予約されている。時間ウィンドウの数及び反復周波数は、応用の要件に従って決定される。
【0008】
スケジューリングされたストリームを生成する典型的な応用(例えば産業制御)が周期的活動を有することを考慮して、送信多重化は、周期的サイクル単位で編成されるに至り、各サイクルは、スケジューリングされた(低レイテンシー)ストリームのために予約された時間ウィンドウの系列と、スケジューリングされていないストリームのために予約された時間ウィンドウの系列(図1の例では破線で表されている)とを含む。
【0009】
スケジューリングされたストリームとスケジューリングされていないストリームとの間の干渉に起因する潜在的なレイテンシーの発生源を更に低減するために、プリエンプション(pre-emption)機構も導入される。プリエンプションは、スケジューリングされていないストリーム時間ウィンドウとスケジューリングされたストリーム時間ウィンドウとの間の移行に介入する。「スケジューリングされたストリーム」は、以降「エクスプレストラフィック」とも呼ばれる。「スケジューリングされていないストリーム」は、以降、TSN標準規格(「TSN」は、「プリエンプション(Preemption)」:IEEE 802.3条項99、IEEE 802.1Qにおける「タイムセンシティブネットワーキング(Time Sensitive Networking)」の省略である)における「スポラディックトラフィック」又は単に「ノーマルストリーム」とも呼ばれ、及びスケジューリングされたストリームは、TSN標準規格において「エクスプレスストリーム」とも呼ばれる。
【0010】
スケジューリングされていないストリームとスケジューリングされたストリームとの間のそのような移行時に、スケジューリングされたストリームの先頭は、直前のスケジューリングされていないストリームの時間ウィンドウ中に開始されたフレームの送信の末尾と同時となる可能性がある。そのような事例において、スケジューリングされたフレームは、現在のスケジューリングされていないフレーム送信が終了するまで送信することができない。
【0011】
この状況は、図2に示されており、図2では、提示される例において、2つのスケジューリングされたフレームがスケジューリングタイミングからずれている。
【0012】
スケジューリングされていないフレームの残りの部分の送信機会をプリエンプトすることによって、スケジューリングされたストリームに更なる遅延が課されることを回避することが可能である。プリエンプション動作を促進するために、スケジューリングされていないフレームは(図3の例において示されているようにf1及びf2に)細分化することができ、これにより、残りのフラグメント(複数の場合有り)の送信が、スケジューリングされたストリームの送信が完了するまで遅延されることになる。
【0013】
全てのタイプのストリームをトランスポートすることが可能である、収束ネットワークのサポートのための単一の標準規格を提供するために、IEEEは、2つの機構を定義している。
・標準規格802.1Qbvにおいて仕様化されている、異なるタイプのストリーム(スケジューリングされたもの及びスケジューリングされていないもの)のための時間ウィンドウの予約に依拠するスケジューリングスキーム、
・標準規格802.3br及び802.1buにおいて提示されている、いわゆる「エクスプレス」フレームの同時送信に際したいわゆる「ノーマル」フレームの細分化スキームを特定するプリエンプションスキーム。
【0014】
802.1Qbvは、周期的カレンダー表に基づいており、この周期的カレンダー表の各エントリは、図4に示されているように特定のクラスのストリーム、例えば、スケジューリングされたもの又はスケジューリングされていないものの送信のために予約された時間ウィンドウを規定している。
【0015】
したがって、これらの標準規格は、上記の産業標準規格によって提供されるサービスと同様のサービスを提供することができる、最小レイテンシーでの周期的にスケジューリングされたストリームのトランスポートの完全なフレームワークを提供する。
【0016】
より一般的には、ネットワーク全体を通じた異なるリンク上の時間ウィンドウの同期の実施には、以下のことが必要となる。
・スケジューリングされたストリームを搬送するリンク及びポートに沿ったリソースの配分をオフラインで計算して解く集中構成ツールの使用、
及び、以下の能力:
・クロックの正確性、レイテンシー及びジッタの観点で、標準化された又は十分に特性評価されたブリッジ及び端局のタイミング特性、
・各リンクのタイミング特性評価、
それにより、構成ツールは、ストリーム経路にわたって一貫したリソース配分を生み出すことができる。
【0017】
加えて、得られたネットワーク構成は、新たなオフライン計算を実行し、その新たな構成を全ての関与するノードに再配信することによってのみでしか変更することができない。その場合、そのような固定的なスケジューリングスキームは、非常に厳格なタイミング制約(レイテンシー及びジッタ)を有する、ライン又はバスのような限られたトポロジー複雑度のネットワーク内でのアプリケーションをサポートするストリームに対して保たれる。
【0018】
標準規格802.1Qbvを通じてスケジューリングされたストリームを実施することは、スケジューリングされたストリームに予約された異なる時間ウィンドウを定義するために使用されるカレンダー表の性質に起因して何らかの制限も課す。典型的には、標準規格802.1Qbvは、順次的かつ周期的(リストの末尾に達するとそのリストの先頭からその実行が再度開始される)に実行されるゲートオープン/ゲートクローズコマンドの有限リストに依拠する。その場合、各時間ウィンドウの生起は、必然的に周期的であり、その周期は、リスト全体の実行の持続時間によって定義されるサイクルの整数分の1である。
【発明の概要】
【0019】
本発明は、この状況を改善することを目的とする。
【0020】
そのため、本発明は、パケット交換ネットワークにおいて通信エンティティのコンピューター手段によって実施される方法を提案し、上記通信エンティティは、通信信号フレームを送信する少なくとも1つの出口ポートを備え、上記フレームは、
エクスプレストラフィックとして、トラフィックシェーピングが定義される複数のバーストにおいて送信されることが意図される第1のタイプのフレームと、
スポラディックトラフィックとして、トラフィックシェーピングが定義されない第2のタイプのフレームと、
を含み、
通信エンティティは、
第1のタイプのフレームの複数の第1のキューであって、当該第1のキューは、上記複数のバーストにそれぞれ関連付けられる、複数の第1のキューと、
第2のタイプのフレームのための少なくとも1つの第2のキューと、
を記憶するように構成される。
【0021】
より具体的には、上記バーストは、各バーストに先行するシグナリングフレームとともにそれぞれの第1のキューに格納され、上記シグナリングフレームは、上記バーストの生成のタイムスタンプを含み、
上記第1のキューに格納されたバーストの中から送信すべき第1のバーストを選択するために、通信エンティティは、
各第1のキューのヘッドに位置する各シグナリングフレームのタイムスタンプを読み取ることと、
全てのシグナリングフレームの中で最も古いタイムスタンプを有するシグナリングフレームを決定することと、
そのように決定されたシグナリングフレームを有するバーストを送信すべき第1のバーストとして選択することと、
を行うように構成される。
【0022】
それゆえ、その特性評価が過度に保守的な計算規則及びネットワーク接続のリソースの無駄に至り得る一連のノード及びリンクのタイミングパラメーターに依拠する、集中化した計算及び構成に頼ることなくネットワークを通して予約時間ウィンドウを配分する別の方法が提案される。
【0023】
一実施形態では、上記第1のバーストの送信中、第2のタイプのフレームの送信は、上記第1のバースト送信が完了しない限り延期される。
【0024】
同様に、一実施形態では、上記第1のバーストの送信中、第1のバーストのキュー以外の第1のタイプのキューの第1のタイプのフレームの送信は、上記第1のバースト送信が完了しない限り延期される。
【0025】
一実施形態では、送信すべき第1のバーストが送信から選択されると、第1のバーストの送信の前に、
第2のタイプのフレームが出口ポートによって送信されているか否かが判断され、送信されている場合、
所定の最小サイズを有する、その第2のタイプのフレームのフラグメントが、上記第1のバーストの送信の直前に、上記出口ポートの次の送信のためにスケジューリングされる。
【0026】
そのような最小フラグメントサイズの詳細は、国際公開第2018/174302号において見出すことができる。
【0027】
典型的には、上記キュー(第1のキュー及び第2のキュー)は、先入れ先出しメモリバッファに格納することができる。
【0028】
一実施形態では、複数の通信エンティティが、上記ネットワークにおいて上記第1のタイプのフレームバーストの送信機として提供され、上記通信エンティティのそれぞれは、上記ネットワークにおける共通クロック基準に従って、対応するシグナリングフレーム内に第1のタイプのフレームバーストの生成のタイムスタンプを追加するように構成される。
【0029】
その実施形態では、これらの通信エンティティの一部は、上記バーストの発信者として機能することができ、上記生成のタイムスタンプは、対応するバーストの作成のタイムスタンプである。
【0030】
その実施形態においてさらに、これらの通信エンティティの一部は、上記バーストのトランスポンダー(本明細書の以下で「ブリッジ」とも呼ばれる)として機能することができ、上記生成のタイムスタンプは、依然として対応するバーストの作成のタイムスタンプである。
【0031】
したがって、この実施形態により、第1のタイプのフレームバーストが多くのホップを伴うとともに多くの連続した送信エンティティによって送信されることになっても、ネットワークを通るこのバースト送信は、より最近の第1のタイプのフレームバーストの送信に勝る優先度を有することになる。
【0032】
一実施形態では、シグナリングフレームは、上記第1のバーストの第1のフレーム全体内のデータの第1の数に対応するデータを更に含み、通信エンティティは、上記第1のバーストのフレームの送信中、
上記第1のバーストの送信されるデータの第2の数をカウントすることと、
第2の数が第1の数に達するまで、第1のバーストのデータの送信を継続することと、
を行うように更に構成される。
【0033】
以下で言及される図5において提示されるように、同じバーストの第1のタイプのフレームは、異なる長さ(それゆえ、内部に異なる「データの数」)を有する可能性がある。それゆえ、この実施形態では、最終的に、バーストが有するデータの数(又はその全「長」)と、場合によってはそこからEBSフレームのコンテンツを減算した数とをカウントすることが選択される。
【0034】
この実施形態により、送信スケジューリングを維持することが可能になる。
【0035】
典型的には、その実施形態では、通信エンティティは、上記第2の数が第1の数に達すると、
第1のバーストのデータの送信を終了することと、
対応する第1のキューから、第1のバーストの一切の可能な残りのデータをフラッシュする(flushing)ことと、
を行うように更に構成することができる。
【0036】
一実施形態では、同じ第1のキュー内の異なるバーストは、当該バーストのそれぞれのシグナリングフレームによって表現される(delineated)。
【0037】
それゆえ、バーストの末尾に達すると、キューが完全に空でなくても、次のフレームはシグナリングフレームであるべきであるか、又はそうでなければ本明細書の上記の前述の実施形態に従ってフラッシュされることになる。
【0038】
一実施形態では、シグナリングフレームは、タグのデータを宣言する1つのイーサタイプ(Ethertype)フィールドから構成される少なくとも1つの当該タグを含むEthernetフレームとすることができ、上記データは、少なくとも上記タイムスタンプに対応する(及び場合によっては、これらのデータの一部は、上記で説明されたようにバースト内のデータの第1の総数に関係付けることができる)。
【0039】
この実施形態により、シグナリングフレーム内の他の任意のデータタイプのために他のイーサタイプフィールド(同様に他のタグによって宣言される)を予約することが可能になる。
【0040】
本発明は、上記で提示されたような方法の少なくとも一部を実施するように構成されたコンピューティング回路を備える、パケット交換ネットワークの通信エンティティも目的とする(そのようなコンピューター回路の実施形態の一例は、以下で言及される図9に示されている)。
【0041】
本発明は、コンピューターソフトウェアであって、当該ソフトウェアがプロセッサによって実行されると、上記で提示されたような方法の少なくとも一部を実施する命令を含む、コンピューターソフトウェアも目的とする(そのようなコンピュータープログラムのフローチャートの一例が、以下で言及される図8A及び図8Bに示されている)。
【0042】
本発明は、ソフトウェアがプロセッサによって実行されると、上記で提示されたような方法を実施するためにソフトウェアが登録されているコンピューター可読非一時的記録媒体も目的とする。
【0043】
他の特徴、詳細及び利点について、以下の詳細な説明においてかつ図に示す。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】スケジューリングされたストリーム及びスケジューリングされていないストリームの一例を示す図である。
図2】不利な状況の一例を示す図である。
図3】プリエンプション動作の一例を示す図である。
図4】標準規格802.1Qbvにおいて仕様化されているスケジューリングスキームを示す図である。
図5】第1のキューコンテンツの一例を示す図であり、その第1のキューは、ここでは、それぞれのシグナリングフレーム(「EBS」フレームとして指定される)によって分離されるいくつかのエクスプレスバーストを含む。
図6A】シグナリングフレーム構造の一例を示す図である。
図6B】シグナリングフレーム構造の一例を示す図である。
図7】管理すべき異なる第1のタイプの(エクスプレスストリーム)キュー及び第2のタイプの(ノーマルストリーム)キューを有する出口ポートのアーキテクチャの一例の概略図である。
図8A】本明細書による方法の主要ステップの実施形態の一例のフローチャートである。
図8B】本明細書による方法の主要ステップの実施形態の一例のフローチャートである。
図9】本明細書による通信エンティティのコンピューティング回路の一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、いわゆるリアルタイムEthernetネットワーク、例えば、産業オートメーション応用、車両内制御応用又は列車制御応用において使用されるリアルタイムEthernetネットワークを対象とする。本発明は、各エクスプレスバーストの先頭をシグナリングするためにそれぞれ使用される特定の短フレームによって表現されるフレーム列として、低レイテンシー通信のフレームの(プリエンプションに対してEthernet TSN標準規格によって定義される意味における)「エクスプレスバースト」を編成することを提案する。この明示的な帯域内エクスプレスバースト表現は、エクスプレスバーストと干渉する可能性がある(プリエンプションに対してTSN標準規格において定義されるような)「ノーマルフレーム」に対するプリエンプション動作をトリガーするとともに、場合によっては、同時の偶発的なエクスプレスバーストの多重化を管理するのに使用される。
【0046】
エクスプレスバーストの送信は、ネットワーク全体に共通のサイクルと同期させることができる。この事例では、エクスプレスバーストは、そのサイクル中に所与の共通時点においていわゆる「トーカー(Talkers)」(発信者)によって送信することができ、当該エクスプレスバーストは、バースト表現フレームによって提供される明示的な表現を使用して当該エクスプレスバーストが衝突するポートにおいて多重化される。
【0047】
本発明により、そのオープン時点及びクローズ時点が通信の全ての参加者(トーカー、リスナー及びブリッジ)間で固定的に同期される送信ウィンドウに頼ることなく、エクスプレスフェーズ及びノーマルフェーズにおける送信多重化を柔軟に編成することが可能になる。
【0048】
以降:
-「トーカー」という単語は、ストリームの送信元又は生成者である端局を指し;
-「リスナー」という単語は、ストリームの宛先、受信機、又は消費者である端局を指し;
-「ブリッジ」という単語は、トーカー(又はブリッジ)からフレームを受信し、そのフレームをリスナー(又はブリッジ)に送信する、ネットワーク内の中間ノードを指し;
-「ストリーム」という単語は、トーカーから1つ以上のリスナーへのデータの一方向のフローを指し;
-「エクスプレスバースト」という表現は、エクスプレスバースト開始(EBS:Express Burst Start)フレームが先行するフレームの系列を指す。エクスプレスバーストに属するフレームは、一連のフレームとして、立て続けに送信される;
-「エクスプレスバースト開始フレーム」という表現は、エクスプレスバーストの先頭に挿入されるフレームを指し;
-「エクスプレスバーストゲート」という表現は、エクスプレスバーストが送信中であることを示す、ポートにローカルの信号(又はステータス)を指す。
【0049】
ネットワークの全ての端局及びブリッジは、例えばIEEE802.1AS(-Rev)又はIEEE1588等のプロトコルによる(例えばネットワークのクロックからの)共通基準時間を維持する。
【0050】
トーカーがエクスプレスストリームを生成する場合、トーカーは、フレームの系列の先頭にEBSフレームを挿入することによって、フレームの生成された系列をエクスプレスバーストに編成する。
【0051】
図5に示されるように、EBSフレームを含むエクスプレスバーストの全てのフレームは、例えば、例として媒体アクセス標準規格IEEE802.3によって仕様化されているような、最小所定フレーム間ギャップのみによって分離されて、立て続けに(フレーム#1、フレーム#2、フレーム#3)送信される。
【0052】
リスナーがエクスプレスバーストを受信した場合、リスナーは、EBSフレームを識別して破棄し、そのエクスプレスバーストの有効なフレームを上位レイヤーに渡す。
【0053】
図6Aに示される一般的な実施形態では、EBSフレームは、典型的には以下のようなデータを含むことができる。
-宛先MACアドレス、
-送信元MACアドレス、
-場合によって、VLAN-ID、
-上記で提示される実施形態によれば:
図6AにおいてEBSInitTxDateとして参照される、バーストの作成のタイムスタンプ、
*及び図6AにおいてEBLengthとして参照されるその長さ(すなわち、バースト内に含まれるデータの総数)。
【0054】
Ethernetバックグラウンドにおいて、EBSフレームは、図6Bに示される構造のような構造を有することができ、例えば、標準Ethernetフレームの最小サイズ(64バイト長)を有することができ、その場合、ストリームのフレームと同じ、以下の情報(典型的にはレイヤー2の情報)を含む。
-宛先MACアドレス、
-送信元MACアドレス、及び、
-VLANタグ、及び場合によって、
-自身のそれぞれのイーサタイプによって識別される他のタグ。
【0055】
しかしながら、EBSフレームは、図6Bに示されるように、特定のイーサタイプ値(EBSタグイーサタイプ)によって識別される追加タグによって、そのバーストの他のフレームから区別される。
【0056】
EBSタグは、以下の(EBSタグイーサタイプフィールドを含めて)3つの情報を含む。
-EBLength:EBSフレーム自体を除く、フレームのエクスプレスバーストの長さ。例えばバイト数として表現される、
-EBSInitTxDate:上記「トーカー」によって挿入される、(例えばネットワーク内の基準クロックによって与えられる)ネットワーク全体に共通である時刻を基準とした、EBSフレームの初期送信日付。
【0057】
EBSフレーム内の利用可能なペイロードは、場合によって、EBSタグに後続するそれ自身のイーサタイプによってシグナリングされる他の任意のアプリケーション(例えば、ネットワーク制御)のために使用することができる。
【0058】
以降、入口ポート上でエクスプレスバーストを受信し、そのエクスプレスバーストを出口ポートに送信するブリッジの動作が説明される。典型的には、エクスプレスバーストに属する全てのフレームがフィルタリングされて、(他の受信フレームと同様に)ブリッジの入口ポート(複数の場合有り)から転送される。エクスプレスバーストの処理は、ブリッジの出口ポート(複数の場合有り)においてより具体的に行われる。
【0059】
図7に示されるように、エクスプレスバーストのフレームは、宛先出口ポート内で、FIFO順序において、エクスプレスストリームごとに専用のキューに格納される。
【0060】
ノーマルフレームも同様に、FIFO順序において、ノーマルストリームに配分された1つ又はいくつかのキューに格納される。宛先キュー(複数の場合有り)の選択は、ネットワーク管理によって定義される基準(例えば、トラフィッククラス、優先度等)に基づいて行われる。
【0061】
エクスプレスストリームごとに、出口ポートは、ストリームに関係付けられた他の情報の中でもとりわけ、以下のエクスプレスバースト関係データを含むコンテキストを維持する。
-EBActive:エクスプレスストリームのアクティビティを参照し、エクスプレスストリームキューが空ではないか又はそのストリームのEBSフレームが受信されていることを示す;
-HeadEBSFrameTrxDate:ストリームキューのヘッドにおいて格納されるEBSフレームの初期送信日付(例えばタイムスタンプとして示される)を参照する。EBSフレームが出口ポート上で受信され、かつそのストリームに関連付けられたキューが空である場合、EBSフレーム内に含まれる初期送信日付(EBSInitTxDate)がストリームコンテキスト内のHeadEBSFrameTrxDateに格納される;
-RemEBLength:送信されることになるエクスプレスバーストの残りの部分の長さを参照する。このパラメーターの値は、EBSフレームの送信時に、そのフレームのEBLengthフィールドに格納された値に初期化される。この値は、同じバーストの後続のエクスプレスバーストフレームの送信中、継続的にデクリメントされ(decremented)、同一のフレームの送信中一定に保たれる。
【0062】
さらに、出口ポートは、以下の2つのフラグを維持する。
-XpressBurstGate:ポートがエクスプレスバーストを現在送信していることを示す。XpressBurstGateは、出口ポートによるEBSフレームの送信時にセットされ、RemEBLengthが0に達するとリセットされる;
-EBReady:少なくとも1つのエクスプレスバーストのポート上での送信の準備が整っていること、すなわち、エクスプレスストリームキューのうちの少なくとも1つが空ではないことを示す。EBReadyがセットされておらず、かつEBSフレームが受信された場合、EBReadyがセットされる。
【0063】
ネットワークのノードの(ここではフレームバーストを中継する)出口ポート動作は、図8A及び図8Bを参照して以下のように説明することができる。図8Aは、フレームバーストの受信(受信を開始する(Start Rx))時に実行されるステップを参照しており、一方、図8Bは、フレームバーストを送信する(送信を開始する(Start Tx))ために実行されることになるステップを参照している。
【0064】
この例では、概して、他のノーマルフレーム、又はエクスプレスストリームに属するフレームは、現在のエクスプレスバースト送信が完了しない限り送信することができない。
【0065】
したがって、ステップS1及びS9において、送信すべき(すなわち受信(ステップS9)及び再送信すべき)ノーマルトラフィックフレームと、送信すべき(すなわち受信(ステップS1)及び再送信すべき)エクスプレスフレームとの間で区別が行われる。
【0066】
いずれの事例においても、ノードは、受信フレームを読み取り、EBSフレーム(それゆえ、エクスプレスバーストの開始のシグナリング)が出口ポート上で受信されたか否かを判断する。
【0067】
EBSフレームが受信された場合、これは、エクスプレスバーストが存在し、出口ポートから送信される準備が整っていることを意味する。したがって、テストS2において、変数EBActive=1である場合、これは、少なくとも1つのエクスプレスフレームが送信されるために存在することを意味し、さらに(ステップS4において)フラグXpressBurstGateが、出口ポートがエクスプレスフレームを送信する準備が整っている(そして出口ポートがノーマルトラフィックのために現在使用されていない)ことを意味する1に設定される場合、ステップS5において、受信されたエクスプレスバーストフレーム(エクスプレスフレームバースト及びそのヘッドにあるEBSフレームの双方)は、図8Bを参照して以下で説明されるように未来の送信(B)のためにFIFOタイプキュー(i)に取り置いて格納することができる。
【0068】
そうではなく、エクスプレスフレームが送信されることになる(テスト2からの矢印yes)一方で(ステップS4において)XpressBurstGateが0にセットされている場合、ノーマルトラフィックが現在送信されていると判断されるが中断されるべきである(ただし、場合によっては、(図3を参照して上記で説明されたように)ノーマルフレームの直近のフラグメントが送信されることになる)。次に、ステップS6において、ノーマルフレーム送信が現在実行されているか否かが判断される。実行されている場合、ステップS7において(上記で説明されたステップS5におけるように)受信されたエクスプレスフレームバーストがキュー(i)内に取り置かれる。実行されていない場合、ノーマルフレームの直近のフラグメントが送信され、次に、ステップS8において、ノーマルフレームのそのフラグメントの末尾の送信に達すると(フラグメントの全長は所定のものである)、エクスプレスフレームの送信を、図8Bを参照して以下で説明されるように、最後に行うことができる(B)。
【0069】
場合によってステップS8において送信すべきフラグメントの最小サイズは、例えば、国際公開第2018/174302号において提示されている最小サイズである。
【0070】
ノーマルトラフィックの受信時(ステップS9)のそのノーマルトラフィックの処理に関して、まず、ステップS10において、エクスプレスバーストが既に受信されているか否かが判断される(受信されている場合:ステップS11においてEBReady=1)。既に受信されている場合、ノーマルトラフィックフレームは、ステップS13において、エクスプレストラフィックをノーマルトラフィックに対して優先させるプリエンプションのために、未来の送信のためにFIFOタイプキュー(i)に取り置かれて格納される。エクスプレスバーストが受信されていない場合(ステップS11においてEBReady=0)、前のキューから到来するノーマルトラフィックの送信が既に実行されている(ステップS12からの矢印yes:この事例では、ステップS13において、現在受信されているノーマルフレームバーストは一時保存キューに格納される)わけではない限り、ノーマルトラフィック送信を行うことができる(A)。
【0071】
ここで(プロセスの送信部分についての)図8Bを参照すると、ステップS14及びS15において送信される準備が整っているエクスプレスフレームが存在しない場合(EBReady=0)、ステップS17において、ノーマルトラフィックを送信することができる(テストS16からの矢印no)。準備が整っているエクスプレスフレームが存在する場合(EBReady=1)、エクスプレスバーストフレームは、送信されることになり、最初にいずれのキューからエクスプレスフレームが送信されることになるかを判断するために、ステップS18が以下のように実行される。次の送信のために選択されるエクスプレスストリームキューは、そのエクスプレスストリームキューのヘッドにあるEBSフレームがより古いHeadEBSFrameTrxDateを有するようなキューである。次に、ステップS19においてフラグXpressBurstGateが1にセットされ、ステップS20においてそのキューのフレームが送信される。
【0072】
さらに、ステップS21において、カウンターRemEBLength(i)が、EBSフレーム内のEBLengthフィールドから読み取られた値に初期化される。ステップS22において、そのEBSフレームに対応するエクスプレスバーストの各後続のフレームは、リンク速度において送信され、RemEBLength(i)は、バイト単位で表現されるフレーム長の値からデクリメントされる。(ステップS23において)RemEBLength(i)が0に達すると、この状況は、この現在のEBSフレームを有するそのエクスプレスバーストの末尾に対応するべきである。次に、以下の2つのタイプの状況が起こり得る(テストS24)。
-そのエクスプレスバーストのキュー(i)全体が空である、又は、
-同じキュー(i)内の次のエクスプレスバーストが新たなEBSフレームから開始される(すなわち、同じキュー(i)の次の最初のフレームはEBSフレームである)。
【0073】
これらの2つの状況のうちの一方に遭遇した場合、ステップS26においてエクスプレスバーストゲートを0にリセットすることができ(XpressBurstGate=0)、これは、出口ポートがエクスプレスフレーム送信のために現在アクティブではないことを意味する。その場合、次のステップは、ノーマルフレーム若しくはフラグメント(存在する場合)又は場合によっては別のエクスプレスストリームキューコンテンツ(存在する場合、ステップS27においてテストされる)の送信とすることができる。より具体的には、テストS27において全てのエクスプレスストリームキューが空である場合、フラグEBActiveを0にセットすることができる。
【0074】
テストS24において上記の2つの状況のいずれにも遭遇しない場合(これは、エクスプレスバースト送信全体が完了していない間にRemEBLengthが0に達したことを意味する)、エラーが生じている。その場合、そのキューからのフレームのいずれの現在の送信も打ち切られ、このキュー(i)は、(ステップS25において)次のEBSフレームまでフラッシュされるか、又はEBSフレームがキュー(i)内に存在しない場合全体的にフラッシュされる。
【0075】
図8A及び図8Bに対応するアルゴリズムは、最終的に、以下のように要約することができる。
【0076】
EBSフレームが出口ポート上で受信され、かつEBActive=0である(ストリームに配分されたキューが空である)場合、EBActiveは、1にセットされる。
【0077】
XpressBurstGate=1、すなわち、エクスプレスバーストが送信されている場合、到来しているEBSフレーム及び場合によってはバーストの後続のフレームは、対応するエクスプレスストリームキューに格納される。対応するエクスプレスストリームキューが空である場合、エクスプレスストリームコンテキストのHeadEBSFrameTxDate変数は、EBSフレームのEBSInitTxDateフィールドの値にセットされる。
【0078】
EBReadyが1にセットされている場合、到来しているノーマルストリームは、それぞれのキューに格納される。
【0079】
EBReadyが1にセットされておらず、かつ、ノーマルストリームキューが全て空であるわけではない場合は常に、ノーマルストリームキューのうちの1つのヘッドにあるフレーム若しくはフラグメント又は現在受信されているノーマルフレーム若しくはフラグメントが、送信のために(ネットワーク管理によって固定される規則に従って)選択される。
【0080】
そうではなく、EBReadyが1にセットされている場合:
XpressBurstGate=0かついずれのノーマルフレームも現在送信されていない場合、より古いHeadEBSFrameTxDateを有するESキューのヘッドにあるEBSフレームが送信され、エクスプレスバースト送信ゲートがオープンされて(XpressBurstGate=1)、エクスプレスバーストに属する後続のフレームの送信のためのポート容量全体が予約される。
XpressBurstGate=0かつノーマルフレームが送信されている場合、ノーマルフレームは、802.3br標準規格及び802.1bu標準規格に従ってプリエンプトされる。その後、EBSフレームは、プリエンプション動作の結果生じるノーマルフレームフラグメントの末尾の後に送信され、XpressBurstGateが1にセットされる。
【0081】
上記のデクリメントに関連して、EBSフレームが送信されると、ストリームコンテキスト内のRemEBLengthデータは、EBSフレーム内のEBLengthフィールドから読み取られた値に初期化される。その後、エクスプレスバーストの各後続のフレームが送信され、RemEBLengthがフレーム長の値からデクリメントされる。RemEBLengthが0に達すると、エクスプレスバーストゲートがリセットされる(XpressBurstGate=0)。RemEBLengthがエクスプレスフレームの送信中に0に達した場合、そのエクスプレスフレームの送信は打ち切られる。対応するエクスプレスストリームキューが空ではなく、かつそのヘッドにあるフレームがEBSフレームではない場合、このキューは、次のEBSフレームまでフラッシュされるか、又はEBSフレームがこのキュー内に存在しない場合全体的にフラッシュされる。
【0082】
エクスプレスバースト送信後、エクスプレスストリームキューが空ではない場合、エクスプレスストリームコンテキストの変数HeadEBSFrameTxDateは、その時点でキューのヘッドにおいて格納された新たなEBSフレームのEBSInitTxDateフィールド内に含まれる値に更新される。
【0083】
EBactiveは、エクスプレスストリームキューが全て空である場合、0にリセットされる。
【0084】
プロトコルは、任意の現在のアプリケーション要件に従って、ネットワークを介したサイクリック通信実施に従って動作させることができる。それゆえ、ネットワーク内の全てのリンクに同じサイクルが適用されると仮定される。そのような構成において、共通クロック配信の利益を得て、全てのトーカーは、このサイクルに対して同期させることができ、このサイクルに従ってそれらの送信を編成することができる。その場合、可能な一実施態様において、全てのトーカーが、サイクルの先頭において、それぞれサイクル開始からの異なるオフセットでそれらのエクスプレスバーストを送信する。このオフセットは、エクスプレスバーストのヘッドにあるEBSフレーム内に含まれるEBSInitTxDateによって反映される。その後、このオフセットインジケーションが各ブリッジノードによって使用されて、エクスプレスバーストが共通リンクに転送されるときにこれらのエクスプレスバーストが多重化される。
【0085】
それゆえ、本発明により、静的なオフライン構成を使用する必要なく、タイムクリティカル応用に超低レイテンシーデータ転送を提供することが可能になる。典型的には、本発明は、産業ネットワーク又は自動車ネットワーク等の埋め込み制御ネットワークにおいて適用することができる。
【0086】
本発明による通信デバイス(例えば上記で説明されたような「ブリッジ」等)の可能な一実施態様が、図9において提示される。そのようなデバイスは、本発明による方法のステップ、例えば図8A及び図8Bの実施形態において上記で説明されたようなステップを実施する処理回路を含むことができる。その処理回路は、典型的には、以下のものを含むことができる。
図8A及び図8Bを参照して上記で説明されたようなフレームを送信する出口ポートEgP、
-場合によっては、フレームを受信する(及び場合によってはそれらのフレームの少なくとも一部を出口ポートEgPから再送信する)入口ポートInP、
-本発明によるコンピュータープログラムの少なくとも命令(及び場合によっては例えばFIFOタイプキューによるフレーム)を記憶するメモリMEM、
-上記命令を読み出すためにメモリMEMにアクセスし、その後、本発明の方法を実行するプロセッサPROC、
-典型的には、ネットワーク内の共通基準である(及び例えばネットワーク内に提供される通信クロックデバイスによって提供することができる)クロックデータNCLKを受信する入力インターフェースCOM。その基準NCLKにより、通信デバイスCDEが、EBSフレーム(及び対応する後続のエクスプレスフレームのバースト)が未来の送信のために通信デバイスCDEによって生成されたときに、そのようなEBSフレームのフィールド内にタイムスタンプを追加することが可能になる。
【0087】
簡潔さ及び例示の明確さのために、図面は、構築の一般的な方法を示しており、既知の特徴及び技法の説明及び詳細は、本発明の説明された実施形態の論述を無用にわかりにくくするのを避けるために省略される場合がある。或る特定の図面は、例えば現実の条件下では極めて対称性が低く、秩序正しくない可能性が高い直線、鋭い角度、及び/又は平行面等を有する構造が示される場合のように、理解を補助するために理想的な様式で示される場合がある。異なる図面における同じ参照符号は、同じ要素を指す一方、類似の参照符号は、類似の要素を指す場合があるが、必ずしもそうとは限らない。
【0088】
加えて、本明細書における教示は、多様な形式で具現化することができること、及び本明細書において開示されたいずれの特定の構造及び/又は機能も単なる例示にすぎないことが理解されるべきである。特に、当業者であれば、本明細書において開示された一態様は、他のいずれの態様からも独立して実施することができること、及びいくつかの態様を種々の方法で組み合わせることができることを理解するであろう。
【0089】
本開示は、1つ以上の例示的な実施形態による方法、システム及びコンピュータープログラムの機能、エンジン、ブロック図及びフローチャート図を参照して以下で説明される。ブロック図及びフローチャート図の説明される各機能、エンジン、ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、又はそれらの任意の適した組み合わせにおいて実施することができる。ソフトウェアにおいて実施される場合、ブロック図及び/又はフローチャート図の機能、エンジン、ブロックは、コンピュータープログラム命令又はソフトウェアコードによって実施することができ、これらのコンピュータープログラム命令又はソフトウェアコードは、コンピューター可読媒体を介して記憶又は送信することもできるし、汎用コンピューター、専用コンピューター又は他のプログラマブルデータ処理装置にロードして機械を生成することもでき、それにより、コンピューター又は他のプログラマブルデータ処理装置上で実行されるコンピュータープログラム命令又はソフトウェアコードは、本明細書において説明された機能を実施する手段を生成する。
【0090】
コンピューター可読媒体の実施形態は、或る場所から別の場所へのコンピュータープログラムの転送を容易にする任意の媒体を含むコンピューター記憶媒体及び通信媒体の双方を含むが、これらに限定されない。本明細書において使用される場合、「コンピューター記憶媒体」は、コンピューター又はプロセッサがアクセスすることができる任意の物理媒体とすることができる。加えて、「メモリ」及び「コンピューター記憶媒体」という用語は、限定するものではないが、ハードドライブ、フラッシュドライブ若しくは他のフラッシュメモリデバイス(例えば、メモリキー、メモリスティック、キードライブ、SSDドライブ)、CD-ROM若しくは他の光学記憶装置、DVD、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶デバイス、メモリチップ(複数の場合有り)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、スマートカード、若しくはコンピュータープロセッサが読み出すことができる命令若しくはデータ構造の形式においてプログラムコードを搬送若しくは記憶するのに使用することができる他の任意の適した媒体等の任意のタイプのデータ記憶デバイス、又はこれらの組み合わせを含む。また、種々の形式のコンピューター可読媒体が、命令を、ルーター、ゲートウェイ、サーバー、又は他の送信デバイスを含むコンピューターに、有線(同軸ケーブル、ファイバー、ツイストペア線、DSLケーブル)又はワイヤレス(赤外線、無線、セルラー、マイクロ波)で送信又は搬送することができる。命令は、限定するものではないが、アセンブリ、C、C++、Python、Visual Basic、SQL、PHP、及びJAVA(登録商標)を含む任意のコンピュータープログラミング言語からのコードを含むことができる。
【0091】
別段に具体的に明示されない限り、以下の説明を通して、処理、コンピューティング、計算、決定等の用語を利用する論述は、コンピューティングシステムのレジスタ又はメモリ内の電子的な量等の物理的な量として表されるデータを操作するか、又はこのデータを、コンピューティングシステムのメモリ、レジスタ、又は他のそのような情報記憶、送信若しくは表示デバイス内の物理的な量として同様に表される他のデータに変換するコンピューター若しくはコンピューティングシステム、又は同様の電子コンピューティングデバイスのアクション又はプロセスを指すことが理解されるであろう。
【0092】
本明細書において使用される場合、「備える/含む(comprise)」、「含む/備える(include)」、「有する(have)」という用語及びこれらの任意の変形は、非排他的包含を含むことが意図され、それにより、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置が必ずしもそれらの要素に限定されるのではなく、明示的に列挙されていない、又はそのようなプロセス、方法、物品、若しくは装置に内在的な他の要素を含むことができる。
【0093】
加えて、「例示的(exemplary)」という単語は、本明細書において、「例、事例、又例証として機能する」を意味するように使用される。本明細書において「例示的」として説明される任意の実施形態又は設計は、必ずしも他の実施形態又は設計よりも好ましい又は有利であるものと解釈されない。
【0094】
本主題開示において、「ネットワーク」は、デバイス(本明細書において「ノード」又は「通信エンティティ」とも称される)間(例えば、ワイヤレスネットワークを介して結合されたワイヤレスデバイス間を含む)でデータ通信が行われ得るようにそのようなデバイスを結合することができるネットワークを指すと理解されるべきである。ネットワークは、例えば、マスストレージ、例えばネットワークアタッチドストレージ(NAS)、ストレージエリアネットワーク(SAN)、又は他の形式のコンピューター若しくは機械可読媒体、及び、デバイスにクロック基準を与えるようにクロックカウンターも含むことができる。ネットワーク内で使用される種々のアーキテクチャ又はプロトコルのための相互運用能力を提供するために種々のタイプのデバイス、例えばゲートウェイを利用可能とすることができる。本明細書による一コンピューターネットワーク内で、任意の数のノード、デバイス、装置、リンク、相互接続等を使用することができる。
【0095】
ネットワークのコンピューティングデバイス、例えばセンサーノード又はアクチュエーターノードは、例えば有線又はワイヤレスネットワークを介して、信号を送信又は受信することが可能とすることができ、及び/又は、データを処理及び/又は記憶することが可能とすることができる。
【0096】
本主題開示の実施形態は、種々の応用、特に、限定されるものではないが、産業ネットワーク、例えば産業バス、又は潜在的に多数のセンサーが異なるロケーションにおいて(例えば、工場又は原子力発電所施設内で)物理的条件又は環境条件を協働してモニタリングするセンサーネットワークにおいて使用することができることが理解されるべきである。本主題開示は以下の点において限定されないが、本明細書において開示される方法は、種々のトポロジーを有する多くのタイプのコンピューターネットワーク、例えば、任意のLLNネットワーク、任意のデイジーチェーントポロジーネットワーク、任意の車両バスネットワーク、任意の多ホップシステム、例えば、メッシュネットワーク、任意のモノのインターネット(IoT:Internet of Things)ネットワーク若しくはシステム、任意のマシンツーマシン(M2M:Machine-to-Machine)ネットワーク若しくはシステム、例えば、スマートオブジェクトネットワーク、例えばセンサーネットワーク、又はこれらの任意の組み合わせにおいて使用することができ、また、コンピューターネットワークの任意のネットワークノード、例えばルートノード、ゲートウェイノード、センサーノード、アクチュエーターノード、又はコンピューターネットワークに接続されるか又は含まれる任意のサーバー等の多くの装置において使用することができる。
【0097】
好ましい実施形態に関して本発明が説明されたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本発明に種々の変更及び/又は修正を行うことができることを容易に理解するであろう。
【0098】
或る特定の好ましい実施形態の状況において本発明が開示されたが、種々の他の実施形態においてシステム、デバイス、及び方法の或る特定の利点、特徴及び態様を実現することができることが理解されるべきである。加えて、本明細書において説明された種々の態様及び特徴は、別個に、組み合わせてともに、又は互いに置換して実施することができること、及び特徴及び態様の種々の組み合わせ及び部分組み合わせを行うことができるとともにそれらは依然として本発明の範囲内とすることができることが企画される。さらに、上記で説明されたシステム及びデバイスは、好ましい実施形態において説明されるモジュール及び機能の全てを含む必要はない。
【0099】
本明細書において説明された情報及び信号は、種々の異なる技術及び技法の任意のものを使用して表すことができる。例えば、データ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁場若しくは磁気粒子、光場若しくは光粒子、又はこれらの任意の組み合わせによって表すことができる。
【0100】
実施形態に応じて、本明細書において説明された方法のうちの任意のものの或る特定の行為、イベント、又は機能は、異なるシーケンスにおいて実行することができ、追加、併合、又は全て省略することができる(例えば、方法の実践のために全ての説明された行為又はイベントが必要であるとは限らない)。その上、或る特定の実施形態において、行為又はイベントは、順次的にではなく同時に実行することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9