(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】画像形成システムおよびシート搬送装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20221209BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20221209BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
B41J29/38 206
B41J29/00 H
B41J29/38 102
G03G21/00 384
G03G21/00 398
(21)【出願番号】P 2022061960
(22)【出願日】2022-04-01
(62)【分割の表示】P 2018155686の分割
【原出願日】2018-08-22
【審査請求日】2022-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 直樹
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-091065(JP,A)
【文献】特開2007-320049(JP,A)
【文献】特開2010-036360(JP,A)
【文献】特開2005-008311(JP,A)
【文献】特開2007-290821(JP,A)
【文献】特開2005-246870(JP,A)
【文献】特開2008-122655(JP,A)
【文献】特開2007-069439(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0091602(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0128385(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって前記画像形成装置の電源がオンになったことに基づいて第1の信号を出力する第1の出力手段を備える画像形成装置と、
前記画像形成装置が設けられた筐体とは異なる筐体に設けられた第1の搬送装置であって、前記画像形成装置から搬送されてくる記録媒体を搬送する第1の搬送手段と、前記第1の信号に基づいて商用電源から入力される電力により動作し且つ当該電力を前記第1の搬送手段に供給する第1の電源手段と、前記第1の信号を第2の信号として出力する第2の出力手段と、を備える第1の搬送装置と、
前記画像形成装置が設けられた筐体及び前記第1の搬送装置が設けられた筐体とは異なる筐体に設けられた第2の搬送装置であって、前記第1の搬送装置から搬送されてくる記録媒体を搬送する第2の搬送手段と、前記第2の信号に基づいて前記商用電源から入力される電力により動作し且つ当該電力を前記第2の搬送手段に供給する第2の電源手段を備える第2の搬送装置と、
を有し、
前記第1の搬送装置は、ユーザによる操作に応じて第1の状態と第2の状態との間で切り替わる第1のスイッチ手段を備え、
前記画像形成装置の電源がオフであり且つ前記第1のスイッチ手段が前記第1の状態である状態においては前記第1の電源手段に前記商用電源から電力が入力され、前記画像形成装置の電源がオフであり且つ前記第1のスイッチ手段が前記第2の状態である状態においては前記第1の電源手段に前記商用電源から電力が入力されず、
前記画像形成装置の電源がオフである状態において前記第1のスイッチ手段が前記第2の状態から前記第1の状態に切り替わると、前記第2の出力手段は前記第2の信号を出力し、
前記画像形成装置の電源がオフである状態において前記第2の信号が前記第2の出力手段から出力されると、前記商用電源から入力される電力が前記第2の電源手段に供給されることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記第1の搬送装置は、
前記記録媒体が積載される積載手段と、
前記積載手段に積載された記録媒体を給送する給送手段と、
前記画像形成装置から搬送されてくる記録媒体をガイドする第1の搬送ガイドと、
前記給送手段によって給送された記録媒体をガイドする第2の搬送ガイドであって前記第1の搬送ガイドと合流する第2の搬送ガイドと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第1の搬送装置は、搬送されてくる記録媒体に形成された画像を読み取る読取手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記読取手段は、前記記録媒体が搬送される搬送方向において前記第1の搬送ガイドと前記第2の搬送ガイドとが合流する位置よりも下流の位置において前記記録媒体に形成された画像を読み取ることを特徴とする請求項2を引用する請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記第1の搬送装置は、前記商用電源から入力される電力が前記第1の電源手段に供給される第3の状態と、前記商用電源から入力される電力が前記第1の電源手段に供給されない第4の状態と、の間で切り替わる第2のスイッチ手段を備え、
前記第2のスイッチ手段は、前記第1のスイッチ手段が前記第2の状態である状態において前記第1の信号が前記第1の出力手段から出力されると前記第4の状態から前記第3の状態に切り替わり、
前記第1の信号が前記第1の出力手段から出力されていない状態において前記第1のスイッチ手段が前記第2の状態から前記第1の状態に切り替わると前記第4の状態から前記第3の状態に切り替わることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記第2の搬送装置は、前記商用電源から入力される電力が前記第2の電源手段に供給される第5の状態と、前記商用電源から入力される電力が前記第2の電源手段に供給されない第6の状態と、の間で切り替わる第3のスイッチ手段を備え、
前記第3のスイッチ手段は、前記第1のスイッチ手段が前記第2の状態である状態において前記第2の信号が前記第2の出力手段から出力されると前記第6の状態から前記第5の状態に切り替わり、
前記第2の信号が前記第2の出力手段から出力されていない状態において前記第1のスイッチ手段が前記第2の状態から前記第1の状態に切り替わると前記第6の状態から前記第5の状態に切り替わることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記第1の搬送装置は、前記商用電源に接続された第1の電源コネクタを備え、
前記第1の電源手段は、前記第1の電源コネクタを介して前記商用電源から入力される電力により動作することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記第2の搬送装置は、前記商用電源に接続された第2の電源コネクタを備え、
前記第2の電源手段は、前記第2の電源コネクタを介して前記商用電源から入力される電力により動作することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記第2の搬送装置は、搬送されてくる記録媒体にパンチ処理を行う後処理部を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項10】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって前記画像形成装置の電源がオンになったことに基づいて第1の信号を出力する第1の出力手段を備える画像形成装置と、
前記画像形成装置が設けられた筐体とは異なる筐体に設けられた第1の搬送装置であって、前記画像形成装置から搬送されてくる記録媒体を搬送する第1の搬送手段と、前記第1の信号に基づいて商用電源から入力される電力により動作し且つ当該電力を前記第1の搬送手段に供給する第1の電源手段と、前記第1の信号を第2の信号として出力する第2の出力手段と、を備える第1の搬送装置と、
前記画像形成装置が設けられた筐体及び前記第1の搬送装置が設けられた筐体とは異なる筐体に設けられた第2の搬送装置であって、前記画像形成装置から搬送されてくる記録媒体を搬送する第2の搬送手段と、前記第2の信号に基づいて前記商用電源から入力される電力により動作し且つ当該電力を前記第2の搬送手段に供給する第2の電源手段を備える第2の搬送装置と、
を有し、
前記第1の搬送装置は、ユーザによる操作に応じて第1の状態と第2の状態との間で切り替わる第1のスイッチ手段を備え、
前記画像形成装置の電源がオフであり且つ前記第1のスイッチ手段が前記第1の状態である状態においては前記第1の電源手段に前記商用電源から電力が入力され、前記画像形成装置の電源がオフであり且つ前記第1のスイッチ手段が前記第2の状態である状態においては前記第1の電源手段に前記商用電源から電力が入力されず、
前記画像形成装置の電源がオフである状態において前記第1のスイッチ手段が前記第2の状態から前記第1の状態に切り替わると、前記第2の出力手段は前記第2の信号を出力し、
前記画像形成装置の電源がオフである状態において前記第2の信号が前記第2の出力手段から出力されると、前記商用電源から入力される電力が前記第2の電源手段に供給されることを特徴とする画像形成システム。
【請求項11】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置が設けられた筐体とは異なる筐体に設けられたシート搬送装置であって、前記画像形成装置から搬送されてくる記録媒体を、前記画像形成装置が設けられた筐体及び前記シート搬送装置が設けられた筐体とは異なる筐体に設けられた装置へ搬送するシート搬送装置において、
前記画像形成装置から搬送されてくる記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記画像形成装置から出力される第1の信号に基づいて商用電源から入力される電力により動作し且つ当該電力を前記搬送手段に供給する第1の電源手段と、
前記第1の信号を、前記装置に設けられた第2の電源手段に前記商用電源から電力を供給するための第2の信号として出力する出力手段と、
ユーザによる操作に応じて第1の状態と第2の状態との間で切り替わる第1のスイッチ手段と、
を有し、
前記画像形成装置の電源がオフであり且つ前記第1のスイッチ手段が前記第1の状態である状態においては前記第1の電源手段に前記商用電源から電力が入力され、前記画像形成装置の電源がオフであり且つ前記第1のスイッチ手段が前記第2の状態である状態においては前記第1の電源手段に前記商用電源から電力が入力されず、
前記出力手段は、前記画像形成装置の電源がオフである状態において前記第1のスイッチ手段が前記第2の状態から前記第1の状態に切り替わると、前記第2の信号を出力することを特徴とするシート搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は後処理装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には様々な後処理をシートに施す一つ以上の後処理装置が接続される。後処理としては、シートに穴をあけるパンチ処理、シートを製本する製本処理、シートをステイプルするステイプル処理、シート束に表紙や仕切り紙などを挿入する挿入処理などがある。また、画像がシートに正しく形成されたことを検査する後処理装置もある。特許文献1が示すように、これらの後処理装置は画像形成装置によって制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像形成装置を停止させたまま、画像形成装置に接続された後処理装置を単独で使用したいとのユーザーニーズが存在する。たとえば、画像形成装置を起動することなく、後処理装置だけを起動することで、シートの検査やパンチ処理、ステイプル処理を実行できれば便利であろう。しかし、従来の後処理装置は、画像形成装置から起動信号を入力されることで起動するように設計されているため、ユーザーは後処理装置だけを起動して使用することができなかった。一般に画像形成装置の起動に必要となる待ち時間は、後処理装置の起動に必要となる時間よりも長いため、ユーザーは長い時間にわたり待たなければならなかった。そこで、本発明は、画像形成装置の電源がオフである状態において第1の搬送装置及び第2の搬送装置を起動可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、たとえば、
記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって前記画像形成装置の電源がオンになったことに基づいて第1の信号を出力する第1の出力手段を備える画像形成装置と、
前記画像形成装置が設けられた筐体とは異なる筐体に設けられた第1の搬送装置であって、前記画像形成装置から搬送されてくる記録媒体を搬送する第1の搬送手段と、前記第1の信号に基づいて商用電源から入力される電力により動作し且つ当該電力を前記第1の搬送手段に供給する第1の電源手段と、前記第1の信号を第2の信号として出力する第2の出力手段と、を備える第1の搬送装置と、
前記画像形成装置が設けられた筐体及び前記第1の搬送装置が設けられた筐体とは異なる筐体に設けられた第2の搬送装置であって、前記第1の搬送装置から搬送されてくる記録媒体を搬送する第2の搬送手段と、前記第2の信号に基づいて前記商用電源から入力される電力により動作し且つ当該電力を前記第2の搬送手段に供給する第2の電源手段を備える第2の搬送装置と、
を有し、
前記第1の搬送装置は、ユーザによる操作に応じて第1の状態と第2の状態との間で切り替わる第1のスイッチ手段を備え、
前記画像形成装置の電源がオフであり且つ前記第1のスイッチ手段が前記第1の状態である状態においては前記第1の電源手段に前記商用電源から電力が入力され、前記画像形成装置の電源がオフであり且つ前記第1のスイッチ手段が前記第2の状態である状態においては前記第1の電源手段に前記商用電源から電力が入力されず、
前記画像形成装置の電源がオフである状態において前記第1のスイッチ手段が前記第2の状態から前記第1の状態に切り替わると、前記第2の出力手段は前記第2の信号を出力し、
前記画像形成装置の電源がオフである状態において前記第2の信号が前記第2の出力手段から出力されると、前記商用電源から入力される電力が前記第2の電源手段に供給されることを特徴とする画像形成システムを提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像形成装置の電源がオフである状態において第1の搬送装置及び第2の搬送装置を起動可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】第一動作モードにおける起動シーケンスを示す図
【
図6】第二動作モードにおける起動シーケンスを示す図
【
図8】画像形成システム内で実行される信号シーケンスを示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では発明を実施するための形態が図面を用いて説明される。なお、以下で説明される実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態で説明される複数の特徴のすべてが解決手段として必須ではない。
【0009】
<画像形成システム>
図1(A)は画像形成装置101と一つ以上の後処理装置とを含む画像形成システム100を示す正面図である。一つ以上の後処理装置として、インサータ102とフィニッシャ103とが例示されている。シートの搬送方向において、画像形成装置101の下流側にはインサータ102が接続されている。インサータ102の下流側にはフィニッシャ103が接続されている。インサータ102とフィニッシャ103は、画像形成装置101から出力されたシートに後処理を施す。インサータ102は、画像形成装置101から出力されるシート群に対して挿入紙(例:表紙や中紙、裏表紙)を挿入する。フィニッシャ103は、画像形成装置101から出力されるシート群にパンチ処理やステイプル処理を実施する。また、フィニッシャ103は、インサータ102により挿入された挿入紙を含むシート群に対して後処理を施してもよい。
【0010】
不図示のメインスイッチがオフからオンに切り替えられると、画像形成装置101が起動する。さらに、画像形成装置101がインサータ102とフィニッシャ103に起動信号を出力することで、インサータ102とフィニッシャ103が起動する。画像形成装置101が電源オフ状態または節電状態にある場合、画像形成装置101は起動信号を出力できない。電源オフ状態および節電状態は起動信号の出力不可状態と呼ばれてもよい。以下では、説明の簡略化のために、出力不可状態は電源オフ状態と表記される。
【0011】
画像形成装置101が電源オフ状態であってもインサータ102とフィニッシャ103を起動できるようにするために、インサータ102は、メカニカルスイッチSW1を有している。メカニカルスイッチSW1はユーザー操作に基づきオンおよびオフするスイッチであればよく、シーソースイッチや半導体スイッチであってもよい。なお、半導体スイッチの場合はユーザー操作に応じて制御信号を印加するための電源などが別途必要となる。インサータ102は、メカニカルスイッチSW1の操作に基づき、画像形成装置101の代わりに擬似的な起動信号を生成する生成回路を有している。これにより、インサータ102およびフィニッシャ103が起動可能となる。なお、インサータ102およびフィニッシャ103が起動した状態とは後処理を実行な状態である。なお、画像形成装置101が電源オフ状態にあるときの後処理装置の状態はオフライン状態と呼ばれてもよい。画像形成装置101が電源オン状態にあるときの後処理装置の状態はオンライン状態と呼ばれてもよい。
【0012】
インサータ102とフィニッシャ103はオフライン状態で動作可能であるため、画像形成装置101を起動しなくても、後処理を実行できる。たとえば、ユーザーはすでに画像を形成されたシート群(成果物)をインサータ102からフィニッシャ103に給送することで、シート群に後処理を実行することが可能となる。ここで成果物は、画像形成装置101により生成されたものであってもよいし、他の画像形成装置により生成されたものであってもよい。
【0013】
図1(B)は画像形成システム100の背面図である。通信ケーブル141aは画像形成装置101とインサータ102とを通信可能に接続する通信線や起動信号を伝送するための信号線などを含む。通信ケーブル141bはインサータ102とフィニッシャ103とを通信可能に接続する通信線や起動信号を伝送するための信号線などを含む。さらに、通信ケーブル141aおよび通信ケーブル141bは画像形成装置101とフィニッシャ103とを通信可能にする。通信ケーブル141a、141bは、シリアル信号またはパラレル信号を伝送する一つ以上の通信線を含んでいてもよい。
【0014】
<シート搬送>
●画像形成装置101における搬送動作
図2(A)を用いて画像形成システム100のシート搬送動作が説明される。画像形成装置101はシートを搬送路へ給送する給紙段111、112を有している。画像形成部110は、シートに画像を形成する。画像形成部110の画像形成方式としては、電子写真方式やインクジェット方式など、どのようなものであってもよい。画像形成部110により画像を形成されたシートはインサータ102へ出力される。画像形成装置101は両面印刷モードを有していてもよい。両面印刷モードが指示されると、画像形成部110は、シートの第一面に画像を形成し、反転パス116へ搬送する。反転パス116は、シートの搬送方向を反転し、両面パス117に搬送する。両面パス117はシートを再び画像形成部110へ供給する。画像形成部110はシートの第二面に画像を形成して、インサータ102へ出力する。
【0015】
●インサータ102における搬送動作
インサータ102は画像形成装置101からシートを受け取り、搬送し、フィニッシャ103に排出する。インサータ102は、画像形成装置101から受け取ったシートの前または後に、挿入紙を挿入するインサータトレイ121を有している。インサータトレイ121は、一つ以上の挿入紙を積載している。給送ローラ124は、インサータトレイ121に積載されている挿入紙を一枚ずつ合流部122へ供給する。これにより、画像形成装置101から出力されるシート群のうちの任意の位置(ページ)に挿入紙が挿入される。インサータ102は、画像形成装置101からシートと、合流部122で挿入された挿入紙とをそれぞれ搬送し、フィニッシャ103へ排出する。このように、インサータトレイ121および給送ローラ124はシート挿入機構を形成している。
【0016】
●フィニッシャ103における搬送動作
フィニッシャ103はインサータ102から搬送されてきたシートや挿入紙を受け取り、必要に応じてこれらに後処理を施し、上排出トレイ132または下排出トレイ133に排出する。切り替え部131はシートの排出先(上排出トレイ132または下排出トレイ133)を切り替えるフラッパなどである。
【0017】
パンチ部134は、インサータ102から出力されたシートにパンチ処理を行う。ステイプラ136は、インサータ102から出力され、ステイプルトレイ135に積載されたシート束(シート群)にステイプル処理を実行し、下排出トレイ133に排出する。
【0018】
●検査装置
図2(B)が示すように、インサータ102は、シートに形成された画像を検査する検査装置123を有していてもよい。検査装置123は、たとえば、シートに形成された画像の形成位置と目標位置とのずれ量や、画像の濃度と目標濃度とのずれ量などを測定して検査する。検査装置123は、画像を読み取る撮像素子などを有している。インサータ102は撮像素子の読み取り結果に基づき、成果物を検査し、成果物が合格基準を満たしているかどうかを判定し、判定結果に応じてフィニッシャ103の切り替え部131を制御してもよい。たとえば、合格基準を満たした成果物は上排出トレイ132に排出され、合格基準を満たしていない成果物は下排出トレイ133に排出されてもよい。
【0019】
<コントローラ>
図3を用いて画像形成システムの制御部が説明される。画像形成装置101は、画像形成装置101に対して直接的にまたは間接的に接続された一つ以上の後処理装置を制御する。画像形成装置101が起動していないとき(電源オフ状態)のときは、シートの搬送方向において最も上流に位置する後処理装置がマスターとなる。マスターとなった後処理装置は、より下流側に位置する他の後処理装置を起動して制御する。
【0020】
●画像形成装置101のコントローラ
プリンタ制御部310はCPU301a、ROM302a、RAM303a、ASIC304aを有している。CPUは中央演算処理装置の略称である。ROMはリードオンリーメモリの略称である。RAMはランダムアクセスメモリの略称である。ASICは特定用途集積回路の略称である。CPU301aはROM302aに格納された制御プログラムを実行することで画像形成装置101、インサータ102およびフィニッシャ103を制御する。ROM302aは不揮発性のメモリである。RAM303aは揮発性のメモリである。ASIC304aはCPU301bからの命令にしたがって負荷307aを制御する。負荷307aは、画像形成部110や給紙搬送部などを駆動するためのモータなどである。操作部306aは入力装置と表示装置とを有している。ユーザーは入力装置を通じてCPU301aに指示を入力する。CPU301aは指示の実行結果を表示装置に表示する。通信IF305aは通信回路や信号入出力回路を含む。CPU301aは、通信IF305aを通じてインサータ102やフィニッシャ103と通信する。CPU301aはユーザーにより指定されたジョブに従った命令を、通信IF305aを通じてインサータ102やフィニッシャ103に送信する。通信IF305aに接続された通信ケーブル141aは、ハイ/ローを伝送するための信号線や、通信信号を伝送する通信線などを有する。通信IF305aの通信方式としてはシリアル通信方式やパラレル通信方式など任意の通信方式を採用可能である。通信IF305aはROM302aに記憶されているID(識別情報)を付与してデータやコマンドをインサータ102やフィニッシャ103に送信する。コマンドとしては、インサータ102やフィニッシャ103を起動するための起動信号などがある。起動信号は電源オン信号や電源リモート信号と呼ばれてもよい。
【0021】
●インサータ102のコントローラ
インサータ制御部320はCPU301b、ROM302b、RAM303b、ASIC304bを有している。CPU301bはROM302bに格納された制御プログラムを実行することでインサータ102を制御する。ROM302bは不揮発性のメモリである。RAM303bは揮発性のメモリである。ASIC304bはCPU301bからの命令にしたがって負荷307bを制御する。負荷307bは、挿入紙を給紙する給紙部や、この挿入紙と画像形成装置101からのシートを搬送する搬送部などを駆動するためのモータなどである。操作部306bは入力装置と表示装置とを有している。ユーザーは入力装置を通じてCPU301bに指示を入力する。CPU301bは指示の実行結果を表示装置に表示する。なお、メカニカルスイッチSW1も操作部306bの一部であってもよい。通信IF305bは通信回路や信号入出力回路を含む。CPU301bは通信IF305bを通じて画像形成装置101やフィニッシャ103と通信する。CPU301bはユーザーにより指定されたジョブに従った命令を、通信IF305bを通じてフィニッシャ103に送信する。通信IF305bに接続された通信ケーブル141a、141bは、ハイ/ローを伝送するための信号線や、通信信号を伝送する信号線などを有する。通信IF305bの通信方式としてはシリアル通信方式やパラレル通信方式など任意の通信方式を採用可能である。通信IF305bはROM302bに記憶されているID(識別情報)を付与してデータやコマンドを画像形成装置101やフィニッシャ103に送信する。コマンドとしてはフィニッシャ103を起動するための起動信号(電源オン信号)などがある。また、通信IF305cはインサータ102を起動するための起動信号(電源オン信号)を画像形成装置101から受信する。データとしてはROM302bに記憶されているインサータ102の構成情報などである。構成情報とは、インサータ102の機能(例:インサータトレイの数)を識別するための情報である。
【0022】
●フィニッシャ103のコントローラ
フィニッシャ制御部330はCPU301c、ROM302c、RAM303c、ASIC304cを有している。CPU301cはROM302cに格納された制御プログラムを実行することでフィニッシャ103を制御する。ROM302cは不揮発性のメモリである。RAM303cは揮発性のメモリである。ASIC304cはCPU301cからの命令にしたがって負荷307cを制御する。負荷307cは、パンチ部134やステイプラ136、切り替え部131を駆動するソレノイド、搬送ローラを駆動するモータなどである。通信IF305cは通信回路や信号入出力回路を含む。CPU301cは、通信IF305cを通じて画像形成装置101やインサータ102と通信する。通信IF305cの通信方式としてはシリアル通信方式やパラレル通信方式など任意の通信方式を採用可能である。通信IF305cはROM302cに記憶されているID(識別情報)を付与したデータを画像形成装置101やインサータ102に送信する。通信IF305cはフィニッシャ103を起動するための起動信号(電源オン信号)を画像形成装置101またはインサータ102から受信する。データとしてはROM302cに記憶されているフィニッシャ103の構成情報などである。構成情報とは、フィニッシャ103の機能(例:実行可能な後処理の種類、排出トレイの数)を識別するための情報である。
【0023】
<電源構成>
図4を用いて画像形成システム100の電源構成が説明される。画像形成装置101とインサータ102とを接続する通信ケーブル141aには電源リモート信号Sr1を伝送するための信号線409aが設けられている。インサータ102とフィニッシャ103を接続する通信ケーブル141bには電源リモート信号Sr1を伝送するための信号線409bが設けられている。
【0024】
CPU301aにより生成された電源リモート信号Sr1は、通信IF305aに設けられたダイオードD1および信号出力端子401aを介して出力される。ダイオードD1のアノードはCPU301aに接続されており、ダイオードD1のカソードは信号出力端子401aに接続されている。ダイオードD1は、インサータ102から逆流してくる信号を規制するための整流素子である。信号出力端子401aは信号線409aに接続されている。
【0025】
インサータ102の通信IF305bは、電源リモート信号Sr1を入力するための信号入力端子402bと、電源リモート信号Sr1を出力するための信号出力端子401bとを有している。信号入力端子402bは、信号線409aに接続されており、画像形成装置101から出力される電源リモート信号Sr1を受け取る。信号入力端子402bはダイオードD2のアノードに接続されている。ダイオードD2のカソードは信号出力端子401bに接続されている。ダイオードD2は、信号入力端子402bから入力された電源リモート信号Sr1を信号出力端子401bに通過させるが、フィニッシャ103から信号出力端子401bへ流入してくる信号を規制する整流素子である。
【0026】
ACドライバ400bは交流電源408から交流を入力するための回路である。交流電源408は商用交流電源であってもよいし、商用交流電源と接続される電源コネクタであってもよい。DC電源403bはACドライバ400bを介して供給された交流を直流に変換してインサータ制御部320や負荷307bに供給する電源回路である。DC電源403bは、電源リモート信号Sr1を入力するためのリモート入力部406bと、ACドライバ400bから出力される交流を入力するためのAC入力部404bと、直流を出力するためのDC出力部405bを有している。DC電源403bは、交流を直流に変換する変換回路407bを有している。
【0027】
ACドライバ400bはリレーRL1を有している。リレーRL1の制御端子は信号入力端子402bに接続されている。リレーRL1の制御端子に、画像形成装置101により生成された電源リモート信号Sr1が入力されると、リレーRL1はオフ(非導通状態)からオン(導通状態)に切り替わり、交流をDC電源403bに供給する。つまり、電源リモート信号Sr1はリレーRL1の駆動コイルを励磁するための駆動信号として機能する。リレーRL1の制御端子に電源リモート信号Sr1が入力さていないときは、リレーRL1はオフとなり、交流をDC電源403bに供給しない。
【0028】
上述されたように、画像形成装置101を起動することなく、後処理装置を起動したいというユーザーニーズが存在する。電源リモート信号Sr1は、画像形成装置101が電源ON状態であるときに生成される。従来であれば、後処理装置を使用するためには、必ず画像形成装置101を起動しなければならなかった。そこで、本実施例では、メカニカルスイッチSW1と生成回路421が追加されている。メカニカルスイッチSW1は交流電源408から供給される交流を生成回路421に供給したり、遮断したりするためのスイッチである。生成回路421は、メカニカルスイッチSW1を介して供給された交流を変換して擬似的な電源リモート信号Sr2を生成する回路である。電源リモート信号Sr2は、画像形成装置101により生成される電源リモート信号Sr1と同等の電気的特性を有している。そのため、電源リモート信号Sr2は電源リモート信号Sr1と表記されてもよい。生成回路421は、電源リモート信号Sr2をリレーRL1の制御端子、DC電源403bのリモート入力部406b、および、信号出力端子401bへ出力する。擬似的な電源リモート信号Sr2を供給されると、リレーRL1はオフからオンに切り替わり、交流をDC電源403bに供給する。DC電源403bは、擬似的な電源リモート信号Sr2を入力されると、交流を直流に変換する処理を開始する。これにより、インサータ102が起動する。また、信号出力端子401bは、信号線409bを介してフィニッシャ103に擬似的な電源リモート信号Sr2を供給するため、フィニッシャ103も起動する。
【0029】
ダイオードD3のアノードは生成回路421に接続されている。ダイオードD3のカソードは、信号入力端子402b、信号出力端子401b、リレーRL1の制御端子およびリモート入力部406bに接続されている。とりわけ、ダイオードD3は、画像形成装置101から信号入力端子402bに印加された電源リモート信号が生成回路421へ流入することを規制する整流素子である。このように、生成回路421は、画像形成装置101の代わりに電源リモート信号Sr1を生成する。
【0030】
フィニッシャ103の通信IF305cは、電源リモート信号Sr1を入力するための信号入力端子402cと、電源リモート信号Sr1、Sr2を出力するための信号出力端子401cとを有している。信号出力端子401cは、フィニッシャ103よりも下流側に位置する他の後処理装置に電源リモート信号Sr1、Sr2を出力する際に、使用される。信号入力端子402cは、信号線409bに接続されており、画像形成装置101により生成される電源リモート信号Sr1またはインサータ102により生成される電源リモート信号Sr2を受け取る。信号入力端子402cはダイオードD4のアノードに接続されている。ダイオードD4のカソードは信号出力端子401cに接続されている。ダイオードD4は、信号入力端子402cから入力された電源リモート信号Sr1や電源リモート信号Sr2を信号出力端子401cに通過させるが、他の後処理装置から信号出力端子401cへ流入してくる信号を規制する整流素子である。
【0031】
ACドライバ400cは交流電源408から交流を入力するための回路である。DC電源403cはACドライバ400cを介して供給された交流を直流に変換してフィニッシャ制御部330や負荷307cに供給する電源回路である。DC電源403cは、電源リモート信号Sr1、Sr2を入力するためのリモート入力部406cと、ACドライバ400cから出力される交流を入力するためのAC入力部404cと、直流を出力するためのDC出力部405cを有している。変換回路407cは、電源リモート信号Sr1、Sr2が入力されている期間において交流を直流に変換する回路である。
【0032】
ACドライバ400cはリレーRL2を有している。リレーRL2の制御端子は信号入力端子402cが接続されている。リレーRL2の制御端子に、画像形成装置101またはインサータ102により生成された電源リモート信号Sr1、Sr2が入力されると、リレーRL2はオフ(非導通状態)からオン(導通状態)に切り替わり、交流をDC電源403cに供給する。つまり、電源リモート信号Sr1、Sr2はリレーRL2の駆動コイルを励磁するための駆動信号として機能する。リレーRL2の制御端子に電源リモート信号Sr1、Sr2が入力さていないときは、リレーRL2はオフとなり、交流をDC電源403cに供給しない。
【0033】
信号入力端子402cとリモート入力部406cは内部信号線を介して接続されている。内部信号線はダイオードD4のアノード、リレーRL2の駆動コイル(制御端子)、および、リモート入力部406cに接続されている。DC電源403cは、画像形成装置101またはインサータ102により生成された電源リモート信号Sr1を入力されると、交流を直流に変換する処理を開始する。これにより、フィニッシャ103が起動する。
【0034】
<起動シーケンス>
以下では動作モードごとの画像形成システム100の起動シーケンスが説明される。第一動作モードは、画像形成装置101が起動することで生成される電源リモート信号Sr1によって後処理装置が起動する動作モードである。第二動作モードは、画像形成装置101が起動せずに後処理装置が起動する動作モードである。
【0035】
●第一動作モード
図5は第一動作モード(第一起動シーケンス)を示している。画像形成装置101のCPU301aは商用電源から電力を供給されて起動すると、電源リモート信号Sr1の出力を開始する。
【0036】
画像形成装置101から電源リモート信号Sr1が出力されると、インサータ102に電源リモート信号Sr1が入力される。電源リモート信号Sr1はインサータ102のDC電源403bのリモート入力部406bとリレーRL1の駆動コイルに供給される。(a)が示すように、電源リモート信号Sr1がリレーRL1をオフからオンに切り替える。(b)が示すように、DC電源403bに交流電圧が供給される。DC電源403bのリモート入力部406bには電源リモート信号Sr1が入力されている。(c)が示すように、DC電源403bのDC出力部405bが直流(DC)電圧の出力を開始する。DC電源403bが起動すると、インサータ制御部320が起動するため、ユーザーはインサータ102を使用できるようになる。
【0037】
画像形成装置101により生成された電源リモート信号Sr1はフィニッシャ103のDC電源403cのリモート入力部406bとリレーRL2の駆動コイルにも供給される。(d)が示すように、電源リモート信号Sr1はリレーRL2をオフからオンに切り替える。これにより、(e)が示すように、DC電源403cにも交流電圧が供給される。DC電源403cのリモート入力部406cには電源リモート信号Sr1が入力されている。そのため、(f)が示すように、DC電源403cのDC出力部405cは直流電圧を出力する。DC電源403cが起動すると、フィニッシャ制御部330が起動する。これにより、ユーザーはフィニッシャ103を使用できるようになる。このように、第一動作モードでは、画像形成装置101から出力される電源リモート信号Sr1によってインサータ102とフィニッシャ103が起動する。
【0038】
●第二動作モード
画像形成装置101が電源オフ状態にあるときに、インサータ102のメカニカルスイッチSW1がオンに切り替えられると、インサータ102は第二動作モードで動作する。以下では、画像形成装置101が起動していない、つまり、画像形成装置101が停止している。
【0039】
図6が示すように、メカニカルスイッチSW1がオフからオンに切り替えられる。(a)が示すように、メカニカルスイッチSW1を介して交流が生成回路421に供給される。(b)が示すように、生成回路421は、交流に基づき擬似的な電源リモート信号Sr2の生成を開始する。電源リモート信号Sr2はDC電源403bのリモート入力部406b、リレーRL1の駆動コイルおよび信号出力端子401bに入力される。
【0040】
(c)が示すように、電源リモート信号Sr2がリレーRL1をオフからオンに切り替える。(d)が示すように、リレーRL1はDC電源403bに交流電圧を供給する。DC電源403bのリモート入力部406bには生成回路421により生成された電源リモート信号Sr2が入力されている。そのため、(e)が示すように、DC電源403bのDC出力部405cは直流電圧の出力を開始する。DC電源403bが起動するとインサータ制御部320が起動する。これにより、ユーザーはインサータ102を使用できるようになる。
【0041】
生成回路421は、ダイオードD3、D2を介して電源リモート信号Sr2をフィニッシャ103に供給する。フィニッシャ103に供給された電源リモート信号Sr2はDC電源403cのリモート入力部406cとリレーRL2の駆動コイルにも供給される。(f)が示すように、電源リモート信号Sr2はリレーRL2をオフからオンに切り替える。(g)が示すように、リレーRL2はDC電源403cに交流電圧を供給する。DC電源403cのリモート入力部406cには、インサータ102により生成された電源リモート信号Sr2が入力されている。そのため、(h)が示すように、DC電源403cのDC出力部405cは直流電圧の出力を開始する。DC電源403cが起動すると、フィニッシャ制御部330が起動するため、ユーザーはフィニッシャ103を使用可能となる。このように、画像形成装置101が電源OFF状態であっても、後処理装置が起動可能となる。
【0042】
<インサータによるフィニッシャの制御>
●第一動作モード
図7(A)は画像形成装置101、インサータ102、およびフィニッシャ103がそれぞれ起動した状態における処理命令の送受信を示している。通信ケーブル141a、141bに含まれている通信線は通信バスを形成している。電源リモート信号Sr1によって起動したインサータ102およびフィニッシャ103はそれぞれ画像形成装置101から送信される処理命令に基づき後処理を実行する。画像形成装置101のCPU301aは操作部306aに入力された情報に基づいて処理命令を生成し、処理対象の後処理装置に処理命令を送信する。インサータ制御部320のCPU301bは、インサータ102宛の処理命令を受信すると、処理命令にしたがって負荷307bを制御して後処理(例:挿入紙の挿入や成果物検査)を実行する。同様に、フィニッシャ制御部330のCPU301cはフィニッシャ103宛の処理命令を受信すると、処理命令にしたがって負荷307cを制御して後処理(例:パンチ処理やステイプル処理)を実行する。
【0043】
●第二動作モード
図7(B)は画像形成装置101が未接続状態または未起動状態であるが、インサータ102とフィニッシャ103が起動状態であるケースを示している。このケースは、インサータ102のメカニカルスイッチSW1がオフからオンに切り替えられたことで、電源リモート信号Sr2によってインサータ102とフィニッシャ103が起動したケースである。
【0044】
画像形成装置101は未起動または未接続であるため、インサータ102は画像形成装置101の代わりに処理命令を生成し、フィニッシャ103に送信する。なお、インサータ制御部320のCPU301bは操作部306bから入力された情報に基づき処理命令を作成する。フィニッシャ103のCPU301cはフィニッシャ103宛の処理命令を受信すると、処理命令にしたがって負荷307cを制御して後処理(例:パンチ処理やステイプル処理)を実行する。
【0045】
●信号シーケンス
図8(A)は画像形成装置101、インサータ102、フィニッシャ103が接続された画像形成システム100における信号シーケンスを示している。以下のシーケンスは画像形成装置101が起動したときに開始される。
・Sq801で画像形成装置101のCPU301aは、通信IF305aを制御し、通信確立要求を含むデータと自己のID(画像形成装置101の識別情報)とを通信バス上で送信する。このIDは通信アドレスと呼ばれてもよい。通信バスは画像形成装置101、インサータ102およびフィニッシャ103を接続している。よって、データとIDは、通信バスに接続されているすべての後処理装置に伝送される。インサータ102のCPU301bは通信IF305bにより、データとIDを受信する。同様に、フィニッシャ103のCPU301cも通信IF305cにより、データとIDを受信する。
・Sq802でインサータ102のCPU301bは、通信IF305bを制御し、接続要求を含むデータとインサータ102のIDとを画像形成装置101に送信する。画像形成装置101のCPU301aは通信IF305aにより、インサータ102から送信されたIDおよびデータを受信する。なお、インサータ102の構成情報は接続要求に含まれていてもよいし、接続要求の後で送信されてもよい。CPU301aはインサータ102の構成情報をRAM303aに記憶する。
・Sq803で画像形成装置101のCPU301aは、通信IF305aを制御し、画像形成装置101のIDと、接続要求を正常に受信したことを示すデータとをインサータ102に送信する。
・Sq804でフィニッシャ103のCPU301cは、通信IF305cを制御し、接続要求を含むデータとフィニッシャ103のIDとを画像形成装置101に送信する。画像形成装置101のCPU301aは通信IF305aにより、フィニッシャ103から送信されたIDおよびデータを受信する。なお、フィニッシャ103の構成情報は接続要求に含まれていてもよいし、接続要求の後で送信されてもよい。CPU301aはフィニッシャ103の構成情報をRAM303aに記憶する。
・Sq805で画像形成装置101のCPU301aは、通信IF305aを制御し、画像形成装置101のIDと、接続要求を正常に受信したことを示すデータとをフィニッシャ103に送信する。
【0046】
図8(B)は画像形成装置101が未接続(未起動)であり、インサータ102およびフィニッシャ103が接続された画像形成システム100における信号シーケンスを示している。ここでは、メカニカルスイッチSW1によりインサータ102が起動したことが想定されている。インサータ102のCPU301bは、所定時間内に画像形成装置101から通信確立要求を含むデータを受信したかどうかを判定する。所定時間内に画像形成装置101から通信確立要求を含むデータを受信できなければ、CPU301bは、インサータ102の上流側には画像形成装置101が接続されていない(起動していない)と判定し、以下のシーケンスを実行する。CPU301bはインサータ102をマスターに設定する。これに対してCPU301cはフィニッシャ103をスレーブに設定する。
・Sq811でインサータ102のCPU301bは、通信IF305bを制御し、通信確立要求を含むデータと自己のID(インサータ102の識別情報)とを通信バス上で送信する。フィニッシャ103のCPU301cは通信IF305cにより、データとIDを受信する。
・Sq812でフィニッシャ103のCPU301cは、通信IF305cを制御し、接続要求を含むデータとフィニッシャ103のIDとをインサータ102に送信する。インサータ102のCPU301bは通信IF305bにより、フィニッシャ103から送信されたIDおよびデータを受信する。なお、フィニッシャ103の構成情報は接続要求に含まれていてもよいし、接続要求の後で送信されてもよい。CPU301bはフィニッシャ103の構成情報をRAM303bに記憶する。
【0047】
●フローチャート
図9はインサータ102のCPU301bにより実行される起動処理を示している。電源リモート信号Sr1,Sr2が入力されて、CPU301bが起動すると、CPU301bは以下の起動処理を実行する。
図10はCPU301bがプログラムを実行することで実現する機能を示している。
【0048】
S901でCPU301b(前段判定部1001)は画像形成装置101から通信確立要求を受信したかどうかを判定する。画像形成装置101から通信確立要求を受信していれば、CPU301bは処理をS902に進める。一方、画像形成装置101から通信確立要求を受信していなければ、CPU301bは処理をS911に進める。このようにCPU301bは前段判定部1001として機能するか、前段判定部1001を有している。
【0049】
S902でCPU301b(設定部1002)はインサータ102をスレーブ装置(スレーブモード)に設定する。これにより、CPU301bは画像形成装置101の下流装置として動作する。つまり、CPU301bは、画像形成装置101から送信される処理命令にしたがって負荷307bを制御する。このようにCPU301bはスレーブ装置の設定部1002として機能するか、設定部1002を有している。
【0050】
S911でCPU301b(設定部1002)はインサータ102をマスター装置(マスターモード)に設定する。これにより、CPU301bは画像形成装置101の代わりにマスター装置として動作する。つまり、CPU301bは、操作部306bから入力される処理命令にしたがって負荷307bを制御する。マスターモードで、CPU301bは、インサータ102の下流側に接続された他の後処理装置に処理命令を送信して制御する。このようにCPU301bはマスター装置の設定部1002として機能するか、設定部1002を有している。
【0051】
S912でCPU301b(後段判定部1003)はインサータ102の下流側に他の後処理装置が接続されているかどうかを判定する。たとえば、後段判定部1003は通信IF305bを制御し、通信確立要求を送信する。通信確立要求を含むデータと、インサータ102のIDとが通信バス上で送信される後段判定部1003は所定期間内に下流側の後処理装置(例:フィニッシャ103)から応答信号を受信できた場合、下流側に他の後処理装置が接続されていると判定する。この場合、CPU301bは処理をS913に進める。応答信号には、他の後処理装置のIDと、接続要求を含むデータとが含まれている。一方、後段判定部1003は所定期間内に下流側の後処理装置(例:フィニッシャ103)から応答信号を受信できなかった場合、下流側に他の後処理装置が接続されていないと判定する。この場合、CPU301bは起動処理を終了する。このように、このようにCPU301bは後段判定部1003として機能するか、後段判定部1003を有している。
【0052】
S913でCPU301b(取得部1004)は他の後処理装置の構成情報を取得する。取得部1004は他の後処理装置から受信したデータから構成情報を取得する。あるいは、取得部1004は、構成情報の送信要求を含むデータを他の後処理装置へ送信することで、他の後処理装置の構成情報を取得してもよい。構成情報には、他の後処理装置が実行可能な後処理の種類を示す種類情報が含まれていてもよい。なお、複数の他の後処理装置が接続されている場合、取得部1004は、複数の他の後処理装置の数をカウントし、カウント結果をRAM303bに格納する。このようにCPU301bは構成情報の取得部1004として機能するか、取得部1004を有している。
【0053】
S914でCPU301b(後段判定部1003)はさらに他の後処理装置が接続されているかどうかを判定する。後段判定部1003は通信IF305bを制御し、通信確立要求を送信する。後段判定部1003は所定期間内に下流側の後処理装置(例:フィニッシャ103に下流側に接続された他の後処理装置)から応答信号を受信できた場合、下流側にさらに他の後処理装置が接続されていると判定する。この場合、CPU301bは処理をS913に進める。S913でCPU301bはさらに他の後処理装置の構成情報を取得する。一方、後段判定部1003は所定期間内にさらに他の後処理装置から応答信号を受信できなかった場合、さらに他の後処理装置が接続されていないと判定する。この場合、CPU301bは起動処理を終了する。このように、CPU301bは、インサータ102の下流側に接続されているすべて後処理装置から構成情報を取得する。
【0054】
図10が示すように、CPU301bは後処理制御部1005を有していてもよい。命令実行部1006は画像形成装置101から受信した命令にしたがってインサータ102のシート挿入処理や検査処理を制御する。指示受付部1007は、構成情報にしたがってインサータ102やフィニッシャ103で実行可能な後処理を操作部306bに表示してもよい。また、指示受付部1007は、操作部306bを通じてユーザーに後処理を選択させてもよい。処理命令部1008は、ユーザーにより選択された後処理を実行するための処理命令を作成し、処理命令を送信する。たとえば、処理命令部1008は、検査処理の実行を指示されると、命令実行部1006にシートの給送と、検査装置123による検査の実行とを指示する。命令実行部1006は、給送ローラ124を回転させ、検査対象のシートを検査装置123へ搬送する。命令実行部1006は、検査装置123を起動してシートに対する検査を実行する。処理命令部1008は検査装置123から検査結果を受け取り、操作部306bに表示してもよい。一方、処理命令部1008は、パンチ処理の実行を指示されると、パッチ処理命令を作成し、通信IF305bを通じてフィニッシャ103にパッチ処理命令を送信する。また、処理命令部1008は、命令実行部1006にシートの給送を指示する。命令実行部1006は、給送ローラ124を回転させ、パンチ処理対象のシートを検査装置123へ搬送する。
【0055】
このように、画像形成装置101が起動していなくても、インサータ102やフィニッシャ103などの後処理装置を単独(スタンドアローン)で起動可能かつ使用可能となる。また、画像形成装置101がスリープしていても、インサータ102やフィニッシャ103などの後処理装置を起動可能かつ使用可能となる。さらに、画像形成装置101が接続されていなくても、インサータ102やフィニッシャ103などの後処理装置を起動可能かつ使用可能となる。
【0056】
<実施例から導き出される技術思想>
上述されたように、インサータ102およびフィニッシャ103は画像形成装置101に接続可能な後処理装置の一例である。信号入力端子402bは画像形成装置101から出力される第一起動信号(例:電源リモート信号Sr1)が入力される入力手段の一例である。生成回路421は後処理装置の内部に設けられ、第一起動信号と同等の第二起動信号(例:電源リモート信号Sr2)を生成する生成手段の一例である。DC電源403bは入力手段に入力された第一起動信号または生成手段により生成された第二起動信号に応答して起動する電源手段との一例である。インサータ102のシート挿入機構や検査装置123は、電源手段から供給される電力を用いてシートに後処理を実行する後処理手段の一例である。このように、第一起動信号と同等の第二起動信号を生成することで、画像形成装置101が起動していなくても後処理装置が起動可能となる。たとえば、画像形成装置101がインサータ102に接続されていなかったり、画像形成装置101が起動していなかったりしても、インサータ102を起動可能となる。また、画像形成装置101が省電力状態にあって電源リモート信号Sr1を出力できないケースにおいても、インサータ102を起動可能となる。
【0057】
後処理装置は第一動作モードと第二動作モードとを有してもよい。第一動作モードは、画像形成装置101が第一起動信号を出力できる状態にあるときに、当該第一起動信号にしたがって電源手段が起動し、画像形成装置101と協働して後処理装置が動作するモードである。画像形成装置101と協働して後処理装置が動作することは、画像形成装置101から出力される処理命令にしたがって後処理装置が動作することを含む。第二動作モードは、画像形成装置101が第一起動信号を出力できない状態にあるときに、第二起動信号にしたがって電源手段が起動し、画像形成装置101と協働せずに後処理装置が動作するモードである。
【0058】
図4が示すように、交流電源408は交流入力部の一例である。DC電源403bは交流入力部に入力された交流を直流に変換する変換手段の一例である。リレーRL1は第一起動信号および第二起動信号にしたがって交流入力部と変換手段とを接続する接続状態と、交流入力部と変換手段とを接続しない非接続状態とを切り替える第一スイッチの一例である。第一スイッチは、第一起動信号および第二起動信号がともに入力されていなければ、交流入力部と変換手段とを接続しないように構成されている。第一スイッチは、第一起動信号または第二起動信号が入力されていれば、交流入力部と変換手段とを接続するように構成されている。
【0059】
メカニカルスイッチSW1は、交流入力部と生成手段とを接続する接続状態と、交流入力部と生成手段とを接続しない非接続状態とを切り替える第二スイッチの一例である。生成回路421は、第二スイッチを介して交流入力部と接続されると、交流入力部から供給された交流を使用して第二起動信号を生成して第一スイッチに供給するように構成されている。生成回路421は、第二スイッチを介して交流入力部と接続されていなければ、第二起動信号を生成しないように構成されている。なお、生成回路421は、交流入力部に入力された交流を直流に変換するAC/DC変換回路であってもよい。
【0060】
信号出力端子401bは、後処理装置に接続された他の後処理装置(例:フィニッシャ103)に第一起動信号を出力する出力手段の一例である。ダイオードD2は、入力手段から入力された第一起動信号を出力手段に出力し、他の後処理装置から出力手段に印加された第一起動信号を入力手段に出力しない第一整流手段の一例である。これにより、下流側の後処理装置から上流側の後処理装置へ信号が逆流することが抑制される。
【0061】
ダイオードD3は、生成手段と電源手段とに間に設けられ、生成手段により生成された第二起動信号を電源手段に印加し、入力手段から入力された第一起動信号を生成手段に印加しない第二整流手段の一例である。これにより、生成回路421が保護される。
【0062】
信号入力端子402bは、第一整流手段のアノード、第二整流手段のカソード、第一スイッチの制御端子および電源手段の信号入力部に接続されていてもよい。つまり、第一整流手段のアノードは第二整流手段のカソードと接続されている。信号出力端子401bには第一整流手段のカソードが接続されている。よって、第二起動信号は第二整流手段および第一整流手段を経由して信号出力端子401bに供給される。このように、第一整流手段が出力手段に第二起動信号を出力することで、他の後処理装置を起動してもよい。これにより、画像形成装置101が第一起動信号を出力できない状態にあるときにも、上流側の後処理装置は下流側の後処理装置を起動することが可能となる。
【0063】
通信IF305bは、画像形成装置101および他の後処理装置と通信する通信手段の一例である。CPU301bや前段判定部1001は、通信手段を介して画像形成装置101と通信を試行することに基づき画像形成装置101が後処理装置に接続されているかどうかを判定する判定手段として機能する。上述したように、CPU301bは、画像形成装置101から通信確立要求を受信したかどうかに基づき、画像形成装置101がインサータ102に接続されているかどうかを判定してもよい。画像形成装置101が後処理装置に接続されていると判定手段が判定すると、CPU301bや命令実行部1006は、通信手段を介して画像形成装置101から受信される命令を実行する命令手段として機能する。CPU301bや処理命令部1008は、画像形成装置101が後処理装置に接続されていないと判定手段が判定すると、画像形成装置101の代わりに他の後処理装置に命令を送信する命令手段として機能する。これにより、上流側の後処理装置が下流側の後処理装置を制御することが可能となる。
【0064】
CPU301bや前段判定部1001は、通信手段を介して画像形成装置101と通信できるかどうかに基づき画像形成装置101が起動しているかどうかを判定する判定手段として機能してもよい。CPU301bや命令実行部1006は画像形成装置101が起動していると判定手段が判定すると、通信手段を介して画像形成装置101から受信される命令を実行する。CPU301bや処理命令部1008は、画像形成装置101が起動していないと判定手段が判定すると、画像形成装置101の代わりに他の後処理装置を制御するための命令を他の後処理装置に送信する。
【0065】
CPU301bや前段判定部1001は、通信手段を介して画像形成装置101から接続要求(通信確立要求)を受信したかどうかを判定する判定手段として機能してもよい。CPU301bや命令実行部1006は、画像形成装置101から接続要求を受信したと判定手段が判定すると、通信手段を介して画像形成装置101から受信される命令を実行する。CPU301bや処理命令部1008は、画像形成装置101から接続要求を受信していないと判定手段が判定すると、画像形成装置101の代わりに他の後処理装置を制御するための命令を他の後処理装置に送信する。
【0066】
CPU301bは、画像形成装置101から接続要求を受信していないと判定手段が判定すると、他の後処理装置に接続要求を送信してもよい。CPU301bは、他の後処理装置から当該他の後処理装置の構成情報を受信し、当該他の後処理装置に当該構成情報に応じた命令を送信するように構成されていてもよい。
【0067】
図7(A)が示すように、画像形成装置101、後処理装置および他の後処理装置はバス接続されていてもよい。操作部306bおよび指示受付部1007は後処理手段により実行される後処理を設定するための設定情報を受け付ける受付手段として機能してもよい。CPU301bや処理命令部1008は受付手段により受け付けられた設定情報にしたがって後処理手段を制御する制御手段として機能してもよい。
【0068】
インサータ102は画像形成装置101に接続可能な第一後処理装置の一例である。フィニッシャ103は、第一後処理装置に接続された第二後処理装置の一例である。信号出力端子401aは第一後処理装置を起動するための第一起動信号を出力する第一出力手段の一例である。信号入力端子402bは画像形成装置101から出力される第一起動信号が入力される第一入力手段の一例である。DC電源403bは第一入力手段に入力された第一起動信号または生成手段により生成された第二起動信号に応答して起動する第一電源手段の一例である。インサータ102のシート挿入機構や検査装置123は、第一電源手段から供給される電力を用いてシートに後処理を実行する第一後処理手段の一例である。信号出力端子401bは第二後処理装置に第一起動信号または第二起動信号を出力する第二出力手段の一例である。信号入力端子402cは第一後処理装置から出力される第一起動信号または第二起動信号が入力される第二入力手段の一例である。DC電源403cは第二入力手段に入力された第一起動信号または第二起動信号に応答して起動する第二電源手段の一例である。ステイプラ136およびパンチ部134などは第二電源手段から供給される電力を用いてシートに後処理を実行する第二後処理手段の一例である。
【0069】
ダイオードD1は、第一出力手段を通じて第一後処理装置から画像形成装置101へ第二起動信号が流れ込むことを規制する整流手段の一例である。これにより、第二起動信号から画像形成装置101が保護されてもよい。
【符号の説明】
【0070】
100…画像形成システム、101…画像形成装置、102…インサータ、402b…入力手段、421…生成回路、403b…DC電源、123…検査装置