(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】通信中継装置及びその接続設定方法
(51)【国際特許分類】
H04L 67/00 20220101AFI20221209BHJP
H04L 41/34 20220101ALI20221209BHJP
【FI】
H04L67/00
H04L41/34
(21)【出願番号】P 2022523327
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(86)【国際出願番号】 JP2020021965
(87)【国際公開番号】W WO2021245845
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-04-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 康次
(72)【発明者】
【氏名】横田 守真
(72)【発明者】
【氏名】三輪 剛久
(72)【発明者】
【氏名】岩村 光貴
(72)【発明者】
【氏名】榎本 嵩久
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-086563(JP,A)
【文献】特開2003-264646(JP,A)
【文献】特開2012-253658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
H04L 41/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現地機器と前記現地機器を遠隔監視する監視サーバとを中継する通信中継装置であって、
監視サーバと、通信回線と、接続可能な通信回線のハードウェア情報と、を関連付けて格納した通信回線データベースを備え、
前記通信回線データベースを参照し、前記通信回線データベース中の接続可能な通信回線のハードウェア情報と、接続されている通信回線のハードウェア情報
と、に基づいて、接続可能な通信回線候補と監視サーバ候補とを少なくとも1つずつ抽出する予測部と、
抽出した一の通信回線候補を用いて抽出した一の監視サーバ候補との間で試験通信を実行し、前記一の監視サーバ候補との通信に成功したら前記一の通信回線候補と前記一の監視サーバ候補をそれぞれ使用通信回線と使用監視サーバとに特定する判定部と、
前記使用監視サーバとの接続設定を行う設定部と、
を備えることを特徴とする通信中継装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の通信中継装置であって、
前記判定部は、外部機器から外部情報を取得し、
前記外部情報と
、接続されている通信回線のハードウェア情報と
、に基づいて、接続可能な通信回線候補と監視サーバ候補とを少なくとも1つずつ抽出すること、
を特徴とする通信中継装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の通信中継装置であって、
前記外部情報は、通信回線の契約情報と前記外部機器の位置情報とのいずれか一方又は両方を含むこと、
を特徴とする通信中継装置。
【請求項4】
現地機器と前記現地機器を遠隔監視する監視サーバとを中継する通信中継装置の監視サーバとの接続設定方法であって、
前記通信中継装置は、監視サーバと、通信回線と、接続可能な通信回線のハードウェア情報と、を関連付けて格納した通信回線データベースを備え、
前記通信回線データベースを参照し、前記通信回線データベース中の接続可能な通信回線のハードウェア情報と、接続されている通信回線のハードウェア情報
と、に基づいて、接続可能な通信回線候補と監視サーバ候補とを少なくとも1つずつ抽出する予測ステップと、
抽出した一の通信回線候補を用いて抽出した一の監視サーバ候補との間で試験通信を実行し、前記一の監視サーバとの通信に成功したら前記一の通信回線候補と前記一の監視サーバ候補をそれぞれ使用通信回線と使用監視サーバとに特定する判定ステップと、
前記使用監視サーバとの接続設定を行う設定ステップと、
を含むことを特徴とする接続設定方法。
【請求項5】
請求項
4に記載の接続設定方法であって、
前記判定ステップは、外部機器から外部情報を取得し、
前記外部情報と
、接続されている通信回線のハードウェア情報と
、に基づいて、接続可能な通信回線候補と監視サーバ候補とを少なくとも1つずつ抽出すること、
を特徴とする接続設定方法。
【請求項6】
請求項
5に記載の接続設定方法であって、
前記外部情報は、通信回線の契約情報と前記外部機器の位置情報とのいずれか一方又は両方を含むこと、
を特徴とする接続設定方法。
【請求項7】
請求項
5又は
6に記載の接続設定方法であって、
前記判定ステップは、
前記外部情報と
、接続されている通信回線のハードウェア情報と
、の間に矛盾がある場合には、処理を中断して警報を発報すること、
を特徴とする接続設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
現地機器と、現地機器を遠隔監視する監視サーバとを中継する通信中継装置及び、通信中継装置と監視サーバとの接続設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現地に設置された設備等の機器と、監視サーバとを通信回線で接続して現地に設置された機器の遠隔監視を行う遠隔監視システムが用いられている(例えば、特許文献1参照)。このような遠隔監視システムでは、通信回線に異常が発生した場合には、早期に通信回線を復旧させることが求められる。このため、特許文献1では、機器監視装置が現地の機器と接続された通信装置との無線通信状態を一定周期で監視し、一定期間信号を受信しない場合に機器監視装置との間の通信経路を再確立するための所定の復旧用信号を機器監視装置に送信する方法が提案されている。
【0003】
また、スマホ等の端末装置と外部ネットワークとの通信中継装置において、接続設定等の端末装置の情報と、通信強度等の外部ネットワークの情報に基づいて最適な接続回線を選択する装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-113627号公報
【文献】特開2010-183376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、現地機器と監視サーバとを中継する通信中継装置が監視サーバと通信を行う場合、使用できる通信回線と接続先の監視サーバとは契約内容等により一意的に定められている。しかし、通信回線と接続先の監視サーバの候補は多数存在するので、通信中継装置の初期設定を行う場合には、各通信回線を用いて各監視サーバとの間で通信試験を行って、使用可能な通信回線を特定することが必要であった。このため、通信中継装置の初期設定に時間が掛かってしまうと共に、不要な通信を行うためセキュリティ上の問題が発生する場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、効率的に通信中継装置の初期設定を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の通信中継装置は、現地機器と前記現地機器を遠隔監視する監視サーバとを中継する通信中継装置であって、監視サーバと、通信回線と、接続可能な通信回線のハードウェア情報と、を関連付けて格納した通信回線データベースを備え、前記通信回線データベースを参照し、前記通信回線データベース中の接続可能な通信回線のハードウェア情報と、接続されている通信回線のハードウェア情報と、に基づいて、接続可能な通信回線候補と監視サーバ候補とを少なくとも1つずつ抽出する予測部と、抽出した一の通信回線候補を用いて抽出した一の監視サーバ候補との間で試験通信を実行し、前記一の監視サーバ候補との通信に成功したら前記一の通信回線候補と前記一の監視サーバ候補をそれぞれ使用通信回線と使用監視サーバとに特定する判定部と、前記使用通信回線と前記使用監視サーバとの接続設定を行う設定部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
このように、予測部で接続可能な通信回線候補と監視サーバ候補とを抽出し、絞り込んだ通信回線候補と監視サーバ候補について通信試験を行い、その結果に基づいて接続設定を行うので、通信試験の回数を低減することができ、効率的に通信中継装置の初期設定を行うことができる。また、データベースを用いることにより、短時間に通信回線候補と監視サーバ候補を抽出することができる。
【0011】
本発明の通信中継装置において、前記判定部は、外部機器から外部情報を取得し、前記外部情報と、接続されている通信回線のハードウェア情報と、に基づいて、接続可能な通信回線候補と監視サーバ候補とを少なくとも1つずつ抽出してもよい。ここで、前記外部情報は、通信回線の契約情報と前記外部機器の位置情報とのいずれか一方又は両方を含んでもよい。
【0012】
外部情報を用いることにより、通信回線候補と監視サーバ候補とより大きく絞り込むことができ、通信試験を行う回数をより低減することができる。これにより、より効率的に通信中継装置の初期設定を行うことができる。
【0013】
本発明の接続設定方法は、現地機器と前記現地機器を遠隔監視する監視サーバとを中継する通信中継装置の監視サーバとの接続設定方法であって、前記通信中継装置は、監視サーバと、通信回線と、接続可能な通信回線のハードウェア情報と、を関連付けて格納した通信回線データベースを備え、前記通信回線データベースを参照し、前記通信回線データベース中の接続可能な通信回線のハードウェア情報と、接続されている通信回線のハードウェア情報と、に基づいて、接続可能な通信回線候補と監視サーバ候補とを少なくとも1つずつ抽出する予測ステップと、抽出した一の通信回線候補を用いて抽出した一の監視サーバ候補との間で試験通信を実行し、前記一の監視サーバとの通信に成功したら前記一の通信回線候補と前記一の監視サーバ候補をそれぞれ使用通信回線と使用監視サーバとに特定する判定ステップと、前記使用通信回線と前記使用監視サーバとの接続設定を行う設定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
これにより、通信試験の回数を低減することができ、効率的に通信中継装置の初期設定を行うことができる。
【0015】
本発明の接続設定方法において、前記判定ステップは、外部機器から外部情報を取得し、前記外部情報と、接続されている通信回線のハードウェア情報と、に基づいて、接続可能な通信回線候補と監視サーバ候補とを少なくとも1つずつ抽出してもよい。ここで、前記外部情報は、通信回線の契約情報と前記外部機器の位置情報とのいずれか一方又は両方を含んでもよい。また、前記判定ステップは、前記外部情報と、接続されている通信回線のハードウェア情報と、の間に矛盾がある場合には、処理を中断して警報を発報してもよい。
【0016】
これにより、より通信試験の回数を低減することができ、より効率的に通信中継装置の初期設定を行うことができる。また、外部情報により通信回線の間違いを早期に発見することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、効率的に通信中継装置の初期設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態の通信中継装置を用いたビル設備の遠隔監視システムを示す系統図である。
【
図2】実施形態の通信中継装置の機能ブロック図であって、通信中継装置を第K監視サーバに接続した状態を示す。
【
図3】実施形態の通信中継装置の機能ブロック図であって、通信中継装置を第M監視サーバに接続した状態を示す。
【
図4】通信回線データベースのデータ構造を示す図である。
【
図5】通信設定データベースのデータ構造を示す図である。
【
図6】実施形態の通信中継装置の初期設定動作を示すフローチャートである。
【
図7】他の実施形態の通信中継装置の機能ブロック図であって、他の通信中継装置を第K監視サーバに接続した状態を示す。
【
図8】他の実施形態の通信中継装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら実施形態の通信中継装置10について説明する。最初に
図1を参照しながら実施形態の通信中継装置10を用いたビル設備67の遠隔監視システム100について説明する。遠隔監視システム100は、ビル60に設置されている現地機器である空調機64、照明器65、入退出管理装置66等のビル設備67を監視サーバ40で遠隔監視するシステムである。なお、以下の説明では、監視サーバ40、通信回線21,22、通信回線網30は複数存在し、各監視サーバ40、通信回線21,22,通信回線網30を区別して説明する際には、各符号の後に括弧付で番号を示し、区別しない場合には、各監視サーバ40、通信回線21,22,通信回線網30と表記する。
【0020】
ビル60に設置された、空調機64、照明器65、入退出管理装置66等のビル設備67は、それぞれローカルコントローラ63(以下、LCC63という)を介してビル中央監視システム61に接続されている。ビル中央監視システム61と各LCC63との間は、ローカルエリアネットワーク62(以下、LAN62という)で接続されている。通信中継装置10の一端は、LAN62に接続されている。また、通信中継装置10の他端は、第K通信回線21(K),22(K)、第K通信回線網30(K)を介して第K監視サーバ40(K)に接続されている。通信中継装置10は、第K監視サーバ40(K)に接続されている第K通信回線21(K),22(K)、第K通信回線網30(K)とLAN62とのプロトコルの変換を行い、第K通信回線21(K),22(K)、第K通信回線網30(K)とLAN62とを接続する機器である。
【0021】
ビル60のビル設備67を監視可能な監視サーバ40は、複数存在する。そして、各監視サーバ40にはそれぞれ各通信回線21、22、各通信回線網30が接続されている。
図1では、第1から第NまでN個の監視サーバ40、通信回線21、22、通信回線網30が存在する場合を示す。
【0022】
ここで、通信中継装置10は、契約により、使用できる通信回線21,22、通信回線網30と、接続可能な監視サーバ40はそれぞれ1つに限定されている。
図1では、例として、通信中継装置10が第K通信回線21(K),22(K)、第K通信回線網30(K)を介して第K監視サーバ40(K)に接続されている。従って、通信中継装置10は、第K以外の一点鎖線で示す他の各通信回線21、22、各通信回線網30、監視サーバ40には接続することはできない。
【0023】
通信中継装置10は、プロトコルの変換を行う通信中継器11と、通信中継器11に接続されて情報処理を行うプロセッサであるCPU51と、CPU51に接続される記憶部52とを含んでいる。
図2に示す様に、通信中継装置10は、内部に予測部12、判定部13、設定部14の3つの機能ブロックと通信回線データベース15、通信設定データベース16の2つのデータベースを備えている。予測部12、判定部13、設定部14の3つの機能ブロックは、プロセッサであるCPU51が記憶部52に格納されている動作プログラムを実行することにより実現される。また、通信回線データベース15、通信設定データベース16は記憶部52に所定のデータを格納することにより実現される。
【0024】
図2に示す様に、通信中継装置10は、3つの外部通信ポート17a,17b,17cと、1つのLAN側ポート18aと、を備えている。外部通信ポート17aは、イーサネットケーブル接続用のポートである。外部通信ポート17bは同軸ケーブルを接続するための同軸ケーブル用ポートである。また、外部通信ポート17cは、
図3に示す様に、WiFiアダプタ用の無線通信器25(M)を接続可能な、例えば、USB接続ポートである。このように、外部通信ポート17a,17bは有線の通信回線を接続するポートであり、外部通信ポート17cは無線の通信回線を接続するためのポートである。
【0025】
ここで、
図3は、通信中継装置10の外部通信ポート17cにWiFiアダプタ用の無線通信器25(M)を接続し、WiFiによって通信回線網30(M)を介して第M監視サーバ40(M)と接続した状態を示している。なお、通信中継装置10を第M監視サーバ40(M)に接続した場合には、通信中継装置10は、先に説明した第K監視サーバ40(K)には接続されない。
【0026】
予測部12は、外部通信ポート17a~17cに接続されている。そして、どの外部通信ポート17a~17cに通信回線が接続されているかによって通信回線ハードウェア情報を取得し、後で説明する通信回線データベース15を参照しながら取得した通信回線ハードウェア情報に基づいて、
図1に示すN個の監視サーバ40、通信回線21、22、通信回線網30の中から、通信中継装置10が接続機能な少なくとも1つの通信回線候補と、少なくとも1つの監視サーバ候補のデータを抽出して判定部13に出力する。
【0027】
判定部13は、通信中継器11に予測部12から入力された通信回線候補と監視サーバ候補の内の一の通信回線候補を用いて一の監視サーバ候補との間で試験通信を実行させる。そして、通信中継器11から試験通信に成功した信号を受信したらその通信回線候補と監視サーバとを使用通信回線と使用監視サーバに特定して設定部14に出力する。
【0028】
設定部14は、後で説明する通信設定データベース16を参照して、通信中継器11の使用監視サーバとの接続設定を行う。
【0029】
図4に示す様に、通信回線データベース15は、監視サーバ40と、通信回線21,22と、通信回線ハードウェア情報とを関連付けて格納したデータベースである。監視サーバ名のフィールドには、「第1監視サーバ」、「第2監視サーバ」等の監視サーバの名称が格納されている。使用回線のフィールドには「A社A回線」、「B社B回線」のように、通信回線のサービスを提供している企業の名前と回線の名前とを組み合わせた使用回線名称が格納されている。通信回線ハードウェア情報は、有線と無線の区別と、使用されるケーブル、無線通信器等の種類を示す通信回線ハードウェアの情報とを含んでいる。通信回線データベース15を参照すると、例えば、第1監視サーバ40(1)は、イーサネットケーブルで有線による通信回線であるA社A回線を用いて接続可能である。また、第3監視サーバは、WiFiアダプタで無線による通信回線であるC社C回線を用いて接続可能である。なお、
図4では、一種類の通信回線ハードウェアが接続可能な監視サーバ40が一つずつ存在するように記載してあるが、実際には、一種類の通信回線ハードウェアで接続可能な監視サーバ40は複数存在し、通信回線データベース15には、
図1に示す第1監視サーバ40(1)~第N監視サーバ40(N)までのN個の監視サーバ40使用回線と通信回線ハードウェア情報とが格納されている。
【0030】
図5に示す様に、通信設定データベース16は、監視サーバと、プロトコルと、IPアドレスと、アカウント名、パスワードを関連付けて格納したデータベースである。
【0031】
次に
図6を参照しながら
図1に示す通信中継装置10の初期設定動作について説明する。
【0032】
図6のステップS101に示す様に、予測部12は、外部通信ポート17a~17cのいずれのポートに通信回線が接続されているかの情報を取得する。そして、この外部通信ポート17a~17cの接続情報に基づいて通信回線ハードウェア情報を取得する。例えば、
図2に示す様に、外部通信ポート17aから通信回線が接続されているとのデータを取得した場合、外部通信ポート17aはイーサネットケーブル接続用のポートであるから通信回線ハードウェアはイーサネットケーブルで、有線による通信回線に接続されているという通信回線ハードウェア情報を取得する。また、
図3に示す様に、外部通信ポート17cから通信回線が接続されているとのデータを取得した場合、外部通信ポート17cはWiFi用の無線通信器25の接続されるポートであるから通信回線ハードウェアはWiFiアダプタで、無線による通信回線に接続されているという通信回線ハードウェア情報を取得する。
【0033】
次に予測部12は、
図6のステップS102において、通信回線データベース15を参照しながら通信回線ハードウェア情報に基づいて通信回線候補と監視サーバ候補とを抽出する。先に説明した外部通信ポート17aに通信回線が接続されている場合には、予測部12は、通信回線データベース15中で、イーサネットケーブルで有線による通信回線であるA社A回線と、A社A回線を介して接続される第1監視サーバ40(1)をそれぞれ通信回線候補、監視サーバ候補として抽出する。また、外部通信ポート17cに通信回線が接続されている場合には、予測部12は、通信回線データベース15中で、WiFiアダプタで無線による通信回線であるC社C回線と、C社C回線を介して接続される第3監視サーバ40(3)をそれぞれ通信回線候補、監視サーバ候補として抽出する。
【0034】
そして、予測部12は、少なくとも1つの通信回線候補と、少なくとも1つの監視サーバ候補が抽出できた場合には、
図6のステップS103でYESと判断してステップS104に進んで通信回線候補、監視サーバ候補を判定部13に出力する。なお、以下の説明では、Jend個の候補を抽出したとして説明する。
【0035】
一方、予測部12は、
図6のステップS103でNOと判断した場合には、処理を終了する。
【0036】
判定部13は、予測部12から通信回線候補、監視サーバ候補が入力されたら
図6のステップS105でカウンタJを初期値の1にセットして
図6のステップS106に進んで、通信部に1番目の通信回線候補を用いて1番目の監視サーバ候補との間の試験通信を通信中継器11に実行させ、試験通信の結果を通信中継器11から受信する。
【0037】
判定部13は、通信中継器11から試験通信成功との信号が入力された場合には、
図6のステップS107でYESと判断して
図6のステップS108に進み、試験通信に成功した1番目の通信回線候補と1番目の監視サーバ候補をそれぞれ使用通信回線、使用監視サーバに特定して設定部14に出力する。
【0038】
設定部14は、判定部13から使用通信回線、使用監視サーバが入力されたら
図6のステップS109において、
図5に示す通信設定データベース16を参照して、使用監視サーバとの間のプロトコル、IPアドレス、アカウント名、パスワードを通信中継器11に設定する。設定が終了したら、通信中継装置10の初期設定が終了する。
【0039】
ここで、先に通信回線候補、監視サーバ候補として抽出したイーサネットケーブルで有線による通信回線であるA社A回線を用いて、A社A回線を介して接続される第1監視サーバ40(1)との試験通信を行い、試験通信に成功した場合、設定部14は、
図5に示す様に、プロトコルをP1、IPアドレスを121.1125.253、アカウント名をAAA、パスワードをV3yGBYZと初期設定し、第1監視サーバ40(1)とのデータ通信を可能にする。また、先に通信回線候補、監視サーバ候補として抽出したWiFiアダプタで無線通信回線であるC社C回線を用いて、C社C回線を介して接続される第3監視サーバ40(3)との試験通信を行い、試験通信に成功した場合、設定部14は、
図5に示す様に、プロトコルをP3、IPアドレスを151.1287.256、アカウント名をCCC、パスワードをz4RcPW9と初期設定し、第3監視サーバ40(3)とのデータ通信を可能にする。
【0040】
一方、
図6のステップS107でNOと判断した場合には、判定部13は、
図6のステップS110に進んでカウンタJが抽出した通信回線候補、監視センタ候補の数のJendになったかどうかを判断する。そして、
図6のステップS110でNOと判断した場合には、
図6のステップS111に進んでJを1だけインクレメントして
図6のステップS106に戻り、通信部に2番目の通信回線候補を用いて2番目の監視サーバ候補との間の試験通信を通信中継器11に実行させ、試験通信の結果を通信中継器11から受信する。
【0041】
そして、判定部13は、通信試験に成功するまで、順次通信試験を継続する。そして、通信試験に成功した場合には、
図6のステップS107でYESと判断して
図6のステップS108に進んで通信試験に成功した通信回線候補と監視サーバ候補とをそれぞれ使用通回線と使用監視サーバとに特定して設定部14に出力する。設定部14は、
図6のステップS109で、
図5に示す通信設定データベース16を参照して、使用監視サーバとの間のプロトコル、IPアドレス、アカウント名、パスワードを通信中継器11に設定する。
【0042】
また、判定部13は、
図6のステップS110でYESと判断した場合には、使用通回線と使用監視サーバとを特定せずに処理を終了する。
【0043】
以上、説明したように、実施形態の通信中継装置10は、予測部12で接続可能な通信回線候補と監視サーバ候補とを抽出し、絞り込んだ通信回線候補と監視サーバ候補について判定部13で通信試験を行い、その結果に基づいて設定部14で接続設定を行うので、通信試験の回数を低減することができ、効率的に通信中継装置10の初期設定を行うことができる。
【0044】
以上説明した実施形態の通信中継装置10では、予測部12は、外部通信ポート17a~17cのいずれのポートに通信回線が接続されているかの情報を取得して、この外部通信ポート17a~17cの接続情報に基づいて通信回線ハードウェア情報を取得することとして説明したがこれに限らない。例えば、接続されている回線の通信回線ハードウェア情報を記憶部52の中に格納しておき、記憶部52から通信回線ハードウェア情報を読み出して、通信回線データベース15を参照しながら通信回線候補、監視サーバ候補の抽出を行うようにしてもよい。
【0045】
また、実施形態の通信中継装置10は、
図1に示すように、ハードウェアとして通信中継器11と、CPU51と、記憶部52とで構成されるものとして説明したが、これに限らない。例えば、通信中継器11に代えて、記憶部52に格納されたプログラムをCPU51が実行することにより、通信中継器11の機能を実現する通信中継部の機能ブロックを含む構成としてもよい。
【0046】
以上の説明では、通信回線データベース15の通信回線ハードウェア情報は、有線と無線の区別と、使用されるケーブル、無線通信器等の種類を示す通信回線ハードウェアの情報とを含んでいることとして説明したがこれに限らず、接続可能な通信回線候補と監視サーバ候補を絞り込むことができる通信回線の他の情報であってもよい。例えば、ケーブルやアダプタの製品番号等を格納しておき、この情報に基づいて接続可能な通信回線候補と監視サーバ候補を絞り込んでもよい。
【0047】
次に、
図7を参照しながら他の実施形態の通信中継装置70について説明する。先に、
図1~
図6を参照して説明した通信中継装置10と同様の部分には、同様の符号を付して説明は省略する。
【0048】
図7に示す様に、通信中継装置70は、予測部72に外部機器71から外部情報が入力される点で異なる他は、先に説明した通信中継装置10と同一である。
【0049】
外部機器71とは、例えば、通信中継装置70の初期設定行う技術者が携帯する携帯電話等の携帯端末である。外部情報とは、初期設定しようとしている通信中継装置70と通信サービスを提供する通信会社との間の通信回線の契約情報と、外部機器71の位置情報等とのいずれか一方または両方を含む情報である。ここで、通信回線の契約情報とは、例えば、契約している通信回線がイーサネットケーブルを用いた有線の通信回線、或いは、WiFiアダプタを用いた無線通信回線等の情報である。
【0050】
次に、
図8を参照しながら通信中継装置70の初期設定動作について説明する。
【0051】
図8のステップS201に示す様に、予測部72は、先に説明した通信中継装置10の予測部12と同様、外部通信ポート17a~17cの通信回線の接続状態の情報から通信回線ハードウェア情報を取得する。また、
図8のステップS202で予測部72は、外部機器71から外部情報を取得する。
【0052】
予測部72は、
図8のステップS203で取得した外部情報に通信回線の契約情報が含まれているかどうか判断する。そして、
図8のステップS203でYESと判断した場合には、
図8のステップS204に進んで、通信回線の契約情報と通信回線ハードウェア情報との間に矛盾がないかどうかを判断する。先に説明したように、通信回線の契約情報は、契約している通信回線がイーサネットケーブルを用いた有線の通信回線、或いは、WiFiアダプタを用いた無線通信回線等の情報である。予測部72は、取得した通信回線ハードウェア情報がイーサネットケーブルで有線による通信回線に接続されており、通信回線の契約情報もイーサネットケーブルを用いた有線の通信回線である場合には、
図8のステップS204でYESと判断して
図8のステップS205に進む。
【0053】
一方、通信回線の契約情報がWiFiアダプタを用いた無線通信回線である場合には、
図8のステップS204でNOと判断してステップS208に進んで警報を発報して処理を終了する。これにより、通信回線の契約情報と異なる通信回線が接続されている場合に通信回線候補、監視サーバ候補の抽出、試験通信の実行等を行わずに処理を終了し、通信回線の接続をやり直すことができ、効率的に通信中継装置70の設置工事を進めることができる。
【0054】
また、予測部72は、
図8のステップS203でNOと判断した場合には、
図8のステップS205に進む。
【0055】
予測部72は、
図8のステップS205において、外部情報は外部機器71の位置情報を含むかどうか判断する。そして、位置情報を含む場合には、
図8のステップS206に進んで、通信回線ハードウェア情報と位置情報とに基づいて通信回線データベース15を参照しながら通信回線候補、監視サーバ候補を抽出する。例えば、位置情報が
図4に示すA社のサービスエリア内である場合には、
図1に示す第1から第NまでのN個の監視サーバ40の内で、A社の回線を用いて接続されている監視サーバ40を監視サーバ候補として一次抽出し、次にその中から、通信回線ハードウェア情報と一致する通信回線を用いて接続されている監視サーバ40を監視サーバ候補として二次抽出する。これにより、最終的に抽出される通信回線候補と監視サーバ候補の数を少なくすることができ、
図6のステップS106で実施する通信試験の回数を少なくすることができる。このため、より効率的に通信中継装置70の初期設定を行うことができる。
【0056】
一方、予測部72は、
図8のステップS205でNOと判断した場合には、
図8のステップS207に進んで、通信回線ハードウェア情報に基づいて通信回線候補、監視サーバ候補を抽出する。
【0057】
予測部72は、
図8のステップS206又はS207で通信回線候補、監視サーバ候補を抽出したら、
図6のステップS103に進む。そして、先に説明したと同様 、判定部13が使用通信回線と使用監視サーバとを特定し、設定部14が使用監視サーバとの通信設定を行う。
【0058】
以上説明した通信中継装置70は、通信回線の契約情報と通信回線ハードウェア情報との間に矛盾がある場合には、通信回線の接続に間違いがあると判断して通信回線候補、監視サーバ候補の抽出、試験通信の実行等を行わずに処理を終了し、通信回線の接続をやり直すことができる。これにより、効率的に通信中継装置70の設置工事を進めることができる。また、通信回線ハードウェア情報と位置情報とに基づいて通信回線候補、監視サーバ候補を抽出するので最終的に抽出する通信回線候補、監視サーバ候補の数を絞り込めるので、実施する通信試験の回数を少なくすることができる。このため、より効率的に通信中継装置70の初期設定を行うことができる。
【0059】
以上の説明では、外部情報は、通信回線の契約情報と外部機器71の位置情報とのいずれか一方又は両方を含むこととて説明したが、通信回線の接続の間違いを発見できたり、通信回線候補、監視サーバ候補の数を絞り込むことができたりする情報であればこれに限らない。例えば、初期設定を行う技術者の情報等の他の情報であってもよい。
【0060】
以上の説明では、通信中継装置10、70は、それぞれ予測部12又は72、判定部13、設定部14の3つの機能ブロックを備えることとして説明したが、通信中継装置10,70のCPU51が実行する接続設定方法も実施形態の一つである。この場合、プロセッサであるCPU51は、接続されている通信回線のハードウェア情報に基づいて、接続可能な通信回線候補と監視サーバ候補とを少なくとも1つずつ抽出する予測ステップと、抽出した一の通信回線候補を用いて抽出した一の監視サーバ候補との間で試験通信を実行し、一の監視サーバとの通信に成功したら一の通信回線候補と一の監視サーバ候補をそれぞれ使用通信回線と使用監視サーバとに特定する判定ステップと、使用監視サーバとの接続設定を行う設定ステップとを実行する。また、CPU51は、判定ステップにおいて、外部機器71から外部情報を取得し、外部情報と接続されている通信回線のハードウェア情報とに基づいて、接続可能な通信回線候補と監視サーバ候補とを少なくとも1つずつ抽出する。ここで、外部情報は、通信回線の契約情報と外部機器71の位置情報とのいずれか一方又は両方を含むものでもよい。また、CPU51は、判定ステップにおいて、外部情報と接続されている通信回線のハードウェア情報との間に矛盾がある場合には、処理を中断して警報を発報する。
【0061】
このような、CPU51の実行する接続設定方法は、通信中継装置10,70と同様の動作を実行して同様の効果を奏する。
【0062】
なお、以上の説明では、外部情報は、通信回線の契約情報と外部機器71の位置情報とのいずれか一方又は両方を含むものとして説明したが、これに限らず、初期設定を行う技術者の情報等の他の情報を含んでいてもよい。そして、CPU51は、判定ステップにおいてこのような他の情報を外部機器71から取得し、他の情報と通信回線のハードウェア情報とに基づいて、接続可能な通信回線候補と監視サーバ候補とを少なくとも1つずつ抽出してもよい。
【符号の説明】
【0063】
10,70 通信中継装置、11 通信中継器、12,72 予測部、13 判定部、14 設定部、15 通信回線データベース、16 通信設定データベース、17a~17c 外部通信ポート、18a LAN側ポート、21、22 通信回線、25 無線通信器、30 通信回線網、40 監視サーバ、51 CPU、52 記憶部、60 ビル、61 ビル中央監視システム、62 LAN(ローカルエリアネットワーク)、63 LCC(ローカルコントローラ)、64 空調機、65 照明器、66 入退出管理装置、67 ビル設備、71 外部機器、100 遠隔監視システム。