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特許7191306クラッチ、モータ装置及びカーテン制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】クラッチ、モータ装置及びカーテン制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 41/08 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
F16D41/08 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021105417
(22)【出願日】2021-06-25
(65)【公開番号】P2022013795
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2021-06-25
(31)【優先権主張番号】202010601197.X
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520129447
【氏名又は名称】寧波森瑞機電技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】NINGBO SUNFREE MOTOR TECHNOLOGY COMPANY LIMITED
【住所又は居所原語表記】202, No. 418, Qihang North Road, Yinzhou Economic Development Zone, Ningbo City, Zhejiang Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】周 永強
(72)【発明者】
【氏名】譚 宝国
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-174543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 41/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッチであって、
駆動力受け部と、
前記駆動力受け部の片側に設けられたクラッチ制御部と、を含み、
前記クラッチ制御部は、前記駆動力受け部から離れた側に第1方向駆動位置及び前記第1方向駆動位置と連接する第1方向脱離位置が設けられており、前記駆動力受け部に接続される第1制御部材と、
前記第1方向駆動位置又は前記第1方向脱離位置に位置するクラッチ部材と、
前記第1制御部材及び前記クラッチ部材の径方向外側スリーブ接続される第2制御部材と、を含み、前記クラッチはさらに、
前記クラッチ制御部の前記駆動力受け部から離れた側に設けられ、駆動力伝達部材を備えた駆動力出力部を含み、
前記クラッチ部材が前記第1方向駆動位置に位置するとき、前記クラッチ部材は前記駆動力伝達部材と嵌合し、前記クラッチ部材が前記第1方向脱離位置に位置するとき、前記クラッチ部材は前記駆動力伝達部材との嵌合から脱離することを特徴とする、クラッチ。
【請求項2】
前記第1制御部材は、前記駆動力受け部から離れた側に前記第1方向駆動位置に対応する第2方向駆動位置、前記第2方向駆動位置と連接する第2方向脱離位置、及び前記第1方向駆動位置と前記第2方向駆動位置とに連絡している変位路がさらに設けられており、
前記クラッチ部材は、前記変位路を通過して前記第1方向駆動位置又は前記第2方向駆動位置に切り替え可能に位置することを特徴とする、請求項1に記載のクラッチ。
【請求項3】
前記第2制御部材は、前記第1制御部材に近い内部にガイド位置が設けられており、
前記クラッチ部材が前記変位路を通過して前記第1方向駆動位置又は前記第2方向駆動位置に切り替え可能に位置するとき、前記クラッチ部材は前記ガイド位置と前記変位路との間に介設されていることを特徴とする、請求項2に記載のクラッチ。
【請求項4】
前記第1制御部材は、前記駆動力受け部に近い側に方向転換位置が設けられており、前記方向転換位置は前記変位路に設けられ、
前記クラッチ部材が前記変位路を通過して前記第1方向駆動位置又は前記第2方向駆動位置に切り替え可能に位置するとき、前記クラッチ部材は前記方向転換位置を通過することを特徴とする、請求項2に記載のクラッチ。
【請求項5】
前記駆動力伝達部材は、前記第1方向駆動位置に対応する位置に第1係合位置が設けられており、前記駆動力伝達部材の前記第2方向駆動位置に対応する位置には第2係合位置が設けられており、
前記駆動力受け部が第1方向の駆動力を受けるとき、前記クラッチ部材は前記第1方向駆動位置と前記第1係合位置との間に介設され、前記駆動力受け部が前記第1方向と逆の第2方向の駆動力を受けるとき、前記クラッチ部材は前記第2方向駆動位置と前記第2係合位置との間に介設されることを特徴とする、請求項2に記載のクラッチ。
【請求項6】
前記駆動力伝達部材は、前記第1方向駆動位置に対応する位置に第1係合位置が設けられており、前記クラッチ部材が前記駆動力伝達部材と嵌合するとき、前記クラッチ部材は前記第1方向駆動位置と前記第1係合位置との間に介設されることを特徴とする、請求項1に記載のクラッチ。
【請求項7】
前記第1制御部材は、前記駆動力受け部から離れた側に2つ以上の前記第1方向駆動位置、及び対応する2つ以上の前記第1方向脱離位置がそれぞれ設けられることを特徴とする、請求項1に記載のクラッチ。
【請求項8】
前記第1制御部材は円柱状構造であり、前記クラッチ部材は球状構造であり、前記第2制御部材は、前記第1制御部材及び前記クラッチ部材の径方向外側に回転可能にスリーブ接続されることを特徴とする、請求項1に記載のクラッチ。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のクラッチと、
ドライブシャフトを有するモータ本体と、を含み、前記ドライブシャフトは、前記クラッチの前記駆動力受け部に接続されることを特徴とする、モータ装置。
【請求項10】
請求項9に記載のモータ装置と、
前記モータ装置の前記駆動力出力部に接続される第1巻取ディスクと、
第2巻取ディスクと、
前記第1巻取ディスクと前記第2巻取ディスクとの間に巻き付けられるカーテン制御ロープと、を含むことを特徴とする、カーテン制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクラッチ制御技術分野に関し、特にクラッチ、モータ装置及びカーテン制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クラッチは、メカトロニクスの機械駆動における基幹部品とされている。一般的にクラッチ機能の実現には磁気分離方式が採用されており、電磁原理又は磁性部材によってクラッチ機能を実現するのが従来のクラッチにおける主な方式である。特に機械クラッチでは、磁性ボールがクラッチ機能を実現するのに主に採用されている。そのようにすることで、クラッチの構造が比較的簡単になる。また、磁気は制御が比較的容易となる。
【0003】
しかし、電磁器を採用してクラッチ機能を実現したクラッチは、体積がやや大きく、縮小するのが難しい。また、磁性部材を採用してクラッチ機能を実現したクラッチの場合には、磁性部材の減磁という問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施例は、クラッチ、モータ装置及びカーテン制御装置を提供し、従来のクラッチが磁気分離方式を採用してクラッチ機能を実現しているために存在する問題を効果的に解決する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様として、本発明の実施例が提供するクラッチは、駆動力受け部と、駆動力受け部の片側に設置されるクラッチ制御部と、を含み、クラッチ制御部は、駆動力受け部から離れた側に第1方向駆動位置及び第1方向駆動位置と連接する第1方向脱離位置が設けられ、駆動力受け部に接続される第1制御部材と、第1方向駆動位置又は第1方向脱離位置に位置するクラッチ部材と、第1制御部材及びクラッチ部材の径方向外側スリーブ接続される第2制御部材と、を含み、クラッチはさらに、クラッチ制御部の駆動力受け部から離れた側に設けられる、駆動力伝達部材を備えた駆動力出力部を含み、クラッチ部材が第1方向駆動位置に位置するとき、クラッチ部材は駆動力伝達部材と嵌合し、クラッチ部材が第1方向脱離位置に位置するとき、クラッチ部材は駆動力伝達部材との嵌合から脱離する。
【0006】
本発明の1つの実施例中、第1制御部材は、駆動力受け部から離れた側に第1方向駆動位置に対応する第2方向駆動位置、第2方向駆動位置と連接する第2方向脱離位置、及び第1方向駆動位置と第2方向駆動位置とに連絡している変位路がさらに設けられており、クラッチ部材は、変位路を通過して第1方向駆動位置又は第2方向駆動位置に切り替え可能に位置する。
【0007】
本発明の1つの実施例中、第2制御部材は、第1制御部材に近い内側にガイド位置が設けられており、クラッチ部材が変位路を通過して第1方向駆動位置又は第2方向駆動位置に切り替え可能に位置するとき、クラッチ部材はガイド位置と変位路との間に介設されている。
【0008】
本発明の1つの実施例中、第1制御部材は、駆動力受け部に近い側に方向転換位置が設けられており、方向転換位置は変位路に設けられ、クラッチ部材が変位路を通過して第1方向駆動位置又は第2方向駆動位置に切り替え可能に位置するとき、クラッチ部材は方向転換位置を通過する。
【0009】
本発明の1つの実施例中、駆動力伝達部材は、第1方向駆動位置に対応する位置に第1係合位置が設けられており、駆動力伝達部材の第2方向駆動位置に対応する位置には第2係合位置が設けられており、駆動力受け部が第1方向の駆動力を受けるとき、クラッチ部材は第1方向駆動位置と第1係合位置との間に介設され、駆動力受け部が第1方向と逆の第2方向の駆動力を受けるとき、クラッチ部材は第2方向駆動位置と第2係合位置との間に介設される。
【0010】
本発明の1つの実施例中、駆動力伝達部材は、第1方向駆動位置に対応する位置に第1係合位置が設けられており、クラッチ部材が駆動力伝達部材と嵌合するとき、クラッチ部材は第1方向駆動位置と第1係合位置との間に介設される。
【0011】
本発明の1つの実施例中、第1制御部材は、駆動力受け部から離れた側の異なる位置に2つ以上の第1方向駆動位置、及び対応する2つ以上の第1方向脱離位置がそれぞれ設けられている。
【0012】
本発明の1つの実施例中、第1制御部材は円柱状構造であり、クラッチ部材は球状構造であり、第2制御部材は、第1制御部材及びクラッチ部材の径方向外側に回転可能にスリーブ接続される。
【0013】
別の態様として、本発明の実施例が提供するモータ装置は、上述の任意の1つの実施例に記載のクラッチと、ドライブシャフトを有するモータ本体と、を含み、ドライブシャフトは、クラッチの駆動力受け部に接続される。
【0014】
さらに別の態様として、本発明の実施例が提供するカーテン制御装置は、上述の任意の1つの実施例に記載のモータ装置と、モータ装置の駆動力出力部に接続される第1巻取ディスクと、第2巻取ディスクと、第1巻取ディスクと第2巻取ディスクとの間に巻き付けられるカーテン制御ロープと、を含む。
【発明の効果】
【0015】
要約すると、本出願における各実施例は、以下の1つ以上の優位点又は有益な効果を有し得る。i)クラッチ部材が第1方向駆動位置と第1方向駆脱離位置とに切り替え可能に位置することにより、クラッチ部材と駆動力伝達部材との嵌合又は嵌合からの脱離が実現され、クラッチ機能が実現する。当該方式は、純粋な機械的方式によってクラッチ機能を実現しており、磁性部材を使用していないため、磁性部材に起因する問題が発生しない。ii)第1方向駆動位置というベースに第2方向駆動位置を追加し、クラッチ部材が変位路を通して第1方向駆動位置と第2方向駆動位置との間で切り替えられることにより、クラッチが第1方向(例えば時計回り方向)又は第2方向(例えば反時計回り方向)の駆動力下においてそれぞれクラッチ機能を実現することができる。iii)駆動力伝達部材に第1方向駆動位置及び/又は第2方向駆動位置とそれぞれ対応する第1係合位置及び/又は第2係合位置がそれぞれ設けられており、クラッチ部材と駆動力伝達部材との嵌合強度を高めることができ、嵌合した状態において、クラッチが動力をより効果的に出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下では実施例の記述において用いる必要がある図面について簡単に紹介するが、以下の記述中の図面は本発明の幾つかの実施例に過ぎず、本分野の当業者であれば、創造的な労働をすることなくこれらの図面に基づいて他の図面を取得し得ることは明らかである。
図1】本発明の第1実施例が提供するクラッチ100の構造概略図である。
図2図1に示したクラッチ100トの分解図である。
図3図2に示した駆動力受け部10及び第1制御部材30の構造概略図である。
図4図2に示したクラッチ部材50がそれぞれ第2方向駆動位置33に置かれている構造概略図である。
図5図2に示したクラッチ部材50がそれぞれ第2方向脱離位置34に置かれている構造概略図である。
図6図2に示した第2制御部材40の構造概略図である。
図7】本発明の第2実施例が提供するモータ装置200の構造概略図である。
図8】本発明の第2実施例が提供するモータ装置200の別の構造概略図である。
図9】本発明の第3実施例が提供するカーテン制御装置300の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例中の図面に基づき、本発明の実施例中の技術案について明解且つ十分に詳述するが、記載する実施例は本発明の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではないことは明らかである。本発明中の実施例に基づき、本分野の当業者が創造的な労働を行っていないという前提において得たその他の実施例は、すべて本発明の保護範囲に属する。
【実施例1】
【0018】
図1を参照して、それは本発明の第1実施例が提供するクラッチの構造概略図であり、クラッチ100は例えば、駆動力受け部10、駆動力出力部60及び駆動力受け部10と駆動力出力部60との間に介設されたクラッチ制御部20を含む。
【0019】
駆動力受け部10は、クラッチ制御部20から離れた側に、モータドライブシャフトの接続に用いられる駆動力受け部材11が設けられている。駆動力出力部60は、クラッチ制御部20から離れた側に出力接続位置61が設けられており、出力接続位置61は駆動力を出力し、且つ他の回転軸又は回転ディスクに接続される。
【0020】
具体的には、図2を参照して、クラッチ制御部20は例えば、第1制御部材30を含み、第1制御部材30は駆動力受け部10に接続され、且つ駆動力受け部10と駆動力出力部60との間に位置している。第1制御部材30は、駆動力出力部60に近い側(即ち駆動力受け部10から離れた側)に第1方向駆動位置31及び第1方向駆動位置31と連接する第1方向脱離位置32が設けられている。例を挙げると、第1制御部材30は円柱状構造でよく、第1制御部材30の直径が比較的大きい場合には、第1制御部材30の駆動力出力部60に近い側に、2つ以上の第1方向駆動位置31及び対応する2つ以上の第1方向脱離位置32を均一に分布させることができる。
【0021】
クラッチ制御部20は例えば、クラッチ部材50及び第2制御部材40をさらに含む。クラッチ部材50は、第1方向駆動位置31又は第1方向脱離位置32に設けられる。第2制御部材40は、第1制御部材30及びクラッチ部材50の径方向外側スリーブ接続され、第2制御部材40は、クラッチ部材50が第1方向駆動位置31又は第1方向脱離位置32に位置することができるように保証し、クラッチ部材50が第1方向駆動位置31又は第1方向脱離位置32から脱落するのを防止するのに用いられる。
【0022】
駆動力出力部60は、クラッチ制御部20に近い側に駆動力伝達部材62がさらに設けられている。クラッチ部材50が第1方向駆動位置31に位置するとき、駆動力伝達部材62はクラッチ部材50と嵌合して接続される。クラッチ部材50が第1方向脱離位置32に位置するとき、駆動力伝達部材62はクラッチ部材50との嵌合関係から脱離する。例を挙げると、第1方向駆動位置31と第1方向脱離位置32は、いずれも第1制御部材30の駆動力出力部60に近い側の深溝に設けられており、第1方向脱離位置32の深さは第1方向駆動位置31の深さよりも深い。これにより、クラッチ部材50が第1方向駆動位置31に位置するとき、駆動力伝達部材62、第1制御部材30及び第2制御部材40の三者が協働してクラッチ部材50を第1方向駆動位置31に介設させる。クラッチ部材50が第1方向脱離位置32に位置するときには、駆動力伝達部材62とクラッチ部材50との間に隙間があり、駆動力伝達部材62はクラッチ部材50と接触しない。
【0023】
好適には、駆動力伝達部材62は、第1方向駆動位置31に対応する位置に第1係合位置63が設けられている。クラッチ部材50が第1方向駆動位置31に位置するとき、クラッチ部材50は第1方向駆動位置31と第1係合位置63との間に介設される。好適には、クラッチ部材50は例えば球状構造に設けられ、第1係合位置63は球状構造と対応し合うように凹ませた弧面溝とすることができる。
【0024】
図3を参照して、第1制御部材30は、駆動力受け部10から離れた側に、第2方向駆動位置33及び第2方向駆動位置33と連接する第2方向脱離位置34がさらに設けられており、さらに第1制御部材30には、第1方向駆動位置31と第2方向駆動位置33とに連絡している変位路36がさらに設けられている。クラッチ部材50は変位路36内で移動可能であり、第1方向駆動位置31の場所から第2方向脱離位置33まで移動することができ、第2方向駆動位置33の場所から第1方向駆動位置31まで移動することも当然可能である。例を挙げると、変位路36は第1制御部材30の側壁に設けられた溝でよく、第1方向駆動位置31及び第2方向駆動位置33は、それぞれ第1制御部材30の側壁と第1制御部材30の駆動力出力部60に近い側との連接部に設けられる。
【0025】
さらに、変位路36には方向転換位置35がさらに設けられており、方向転換位置35は、第1制御部材30の駆動力受け部10に近い側に位置しているが、方向転換位置35を第1制御部材30と駆動力受け部10との連接部に設けることも当然可能である。例を挙げると、第1方向駆動位置31、第1方向脱離位置32、第2方向駆動位置33及び第2方向脱離位置34は、それぞれ第1制御部材30の駆動力出力部60に近い側に設けられ、方向転換位置35は、第1制御部材30の駆動力受け部10に近い側に設けられる。当然ながら、第1方向駆動位置31、第1方向脱離位置32、第2方向駆動位置33及び第2方向脱離位置34は、それぞれ変位路36の異なる位置に位置することができ、且つ第1方向脱離位置32は第1方向駆動位置31と方向転換位置35との間に位置し、第2方向脱離位置34は第2方向駆動位置33と方向転換位置35との間に位置することにより、第1方向脱離位置32及び第2方向脱離位置34の第1制御部材30の駆動力出力部60に近い側における深溝の深さを第1方向駆動位置31及び第2方向駆動位置33よりも深くさせることができる。
【0026】
当然ながら、第1制御部材30は、2つ以上の相対的に設置された第1方向駆動位置31及び第2方向駆動位置33、並びに対応する2つ以上の変位路36を設けると同時に、クラッチ制御部20に2つ以上のクラッチ部材50を設けることができる。具体的には、1つのクラッチ部材50は、第1方向駆動位置31と第2方向駆動位置33との一対に対応している。
【0027】
例を挙げると、第1制御部材30の駆動力出力部60に近い側における寸法サイズは、2つの第1方向駆動位置31及びそれらとそれぞれ連接する2つの第1方向脱離位置32を設け、さらに2つの第1方向駆動位置31とそれぞれ対応する第2方向駆動位置33、及び2つの第2方向駆動位置33とそれぞれ連接する2つの第2方向脱離位置34を設けることが可能である。図4及び図5を参照して、第1制御部材30は円柱状構造であり、その駆動力出力部60に近い側の半分の領域に1つの第1方向駆動位置31、1つの第1方向脱離位置32、1つの第2方向駆動位置33及び1つの第2方向脱離位置34が設けられている。第1制御部材30の駆動力出力部60に近い側の他の半分の領域もやはり、1つの第1方向駆動位置31、1つの第1方向脱離位置32、1つの第2方向駆動位置33及び1つの第2方向脱離位置34が設けられている。図4中、2つのクラッチ部材50は、それぞれ2つの第2方向駆動位置33に位置している。図5中、2つのクラッチ部材50は、それぞれ2つの第2方向脱離位置34に位置している。
【0028】
さらに、図6を参照して、第2制御部材40は、第1制御部材30と対応し合う円筒状構造でよく、第2制御部材40は、第1制御部材30及びクラッチ部材50の径方向外側スリーブ接続され、第2制御部材40は、第1制御部材30に対してクラッチ部材50と回転することができる。具体的には、第2制御部材40の第1制御部材30に近い内側にはガイド位置41が設けられており、ガイド位置41は、変位路36に対応してクラッチ部材50を変位路36内で移動せしめる。もちろん、第1制御部材30に複数(例えば2つ)の変位路36を設けた場合には、それに対応して、第2制御部材40に複数(例えば2つ)のガイド位置41を対応させて設けることができる。
【0029】
さらに、第2制御部材40が第1制御部材30に正しく合わせて取り付けられることを保証するために、駆動力受け部10の側面に第1制限位置12を設け、対応して第2制御部材40の第1制御部材30から離れた径方向外側に第2制限位置42を設けることができる。第2制御部材40を第1制御部材30及びクラッチ部材50の径方向外側スリーブ接続するとき、第2制限位置42を第1制限位置12と対応させると、第2制御部材40が第1制御部材30上に正確にスリーブ接続される。
本実施例をより明解にするため、以下では本実施例のクラッチの具体的な実施過程について詳述する。
【0030】
そのうち、駆動力受け部10が駆動力を受け、且つクラッチ制御部20を介して駆動力出力部60を駆動して駆動力を出力する過程は、例えば以下の通りである。
【0031】
1つの態様として、駆動力受け部10が例えば第1方向(反時計回り方向)の駆動力を受けて回転するとき、第1制御部材30が駆動力受け部10の駆動下で第1方向に沿って回転する。このとき、クラッチ部材50はガイド位置41、第1方向駆動位置31及び第1係合位置63の間に介設されており、且つ三者の協働作用下において、クラッチ部材50は第1方向駆動位置31に固定されて位置しており、クラッチ部材50は第1係合位置63によって駆動力を駆動力伝達部材62に伝達することができ、これによって駆動力出力部60を第1方向に沿って回転させることが実現する。
【0032】
別の態様として、駆動力受け部10が第2方向(時計回り方向)の駆動力を受けたとき、クラッチ部材50はガイド位置41、第2方向駆動位置33及び第2係合位置64の間に介設されており、且つ三者の協働作用下において、クラッチ部材50は第2方向駆動位置33に固定されて位置しており、クラッチ部材50は第2係合位置64によって駆動力を駆動力伝達部材62に伝達することができ、これによってクラッチ部材50が駆動力出力部60を駆動して第2方向に沿って回転させる。
【0033】
駆動力受け部10が駆動力を受け、且つクラッチ制御部20を介して駆動力出力部60を駆動して駆動力を出力する過程中、クラッチ制御部20が駆動力出力部60から脱離することによって駆動力の出力を停止することを実現する過程には、例えば以下が含まれる。
【0034】
クラッチ部材50が第1方向駆動位置31に位置し、駆動力出力部60を駆動して第1方向の駆動力を出力している場合に、駆動力受け部10が第1方向の駆動力を受けるのを一時的に停止し、さらに、対向して駆動力受け部10が逆方向の第2方向に沿って一定の距離回転し、このとき、第1制御部材30も第2方向に沿って一定の距離回転し、このとき、クラッチ部材50が第1制御部材30に対して第1方向脱離位置32まで移動し、これによりクラッチ制御部20と駆動力出力部60との分離が実現する。当然ながら、クラッチ部材50が第2方向駆動位置33に位置し、駆動力出力部60を駆動して第2方向の駆動力を出力している場合に、クラッチ制御部20と駆動力出力部60との分離を実現する過程は、上述の過程と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0035】
当然ながら、クラッチ制御部20と駆動力出力部60との分離を実現する過程は、駆動力受け部10が逆方向の駆動力を受ける方式によらずとも実現することができる。例えば、駆動力受け部10が第1方向(又は第2方向)の駆動力を受けるのを一時的に停止したときに、第2方向(又は第1方向)にそって第2制御部材40が回転し、第2制御部材40がガイド位置41によってクラッチ部材50を駆動し、対応する脱離位置まで移動せしめるなどであり、ここでは説明を省略する。
【0036】
駆動力受け部10が第1方向の駆動力を受け、且つクラッチ制御部20を介して駆動力出力部60を駆動して第1方向の駆動力を出力している場合に、駆動力受け部10が逆方向の第2方向の駆動力を受け、クラッチ制御部20を介して駆動力出力部60を駆動して第2方向の駆動力を出力する過程には、例えば以下が含まれる。
【0037】
クラッチ部材50が第1方向駆動位置31に位置しているとき、駆動力受け部10がクラッチ制御部20を介して駆動力出力部60を駆動して第1方向の駆動力を出力する。ここで、駆動力受け部10が第1方向の駆動力を受けるのを一時的に停止し、逆方向である第2方向の駆動力を受けたとき、駆動力受け部10が第1制御部材30を駆動して逆方向である第2方向に沿って回転し、これによって第1制御部材30が第2制御部材40に対して回転し、さらに第2制御部材40がガイド位置41によってクラッチ部材50を変位路36に沿って第2方向駆動位置33まで動かす。これにより、駆動力受け部10が第2方向の駆動力を受けた後、クラッチ制御部20を介して駆動力出力部60を駆動し、第2方向の駆動力を出力することが実現する。当然ながら、駆動力受け部10が受ける駆動力が第2方向から第1方向に変わる過程は、上述の過程と同じであり、ここでは説明を省略する。
【実施例2】
【0038】
図7を参照して、それは本発明の第2実施例で提供するモータ装置であって、モータ装置20は例えば、第1実施例に記載のクラッチ100及びクラッチ100に接続されるモータ本体210を含む。
【0039】
具体的には、モータ本体210は、駆動力を出力するためのドライブシャフト211を有しており、ドライブシャフト211は、クラッチ100の駆動力受け部10に接続される。例を挙げると、駆動力受け部10に設けられた駆動力受け部材11は軸受孔であり、ドライブシャフト211を軸受孔内に挿入することにより、モータ本体210が順方向又は逆方向の駆動力を駆動力受け部10へ出力することが実現する。
【0040】
クラッチ100の駆動力出力部60には例えば、出力接続位置61(図1及び図2を参照)がさらに設けられてもよく、出力接続位置61は、駆動力出力軸65を接続することによって駆動力を出力することができる。例を挙げると、出力接続位置61は、雌ねじ山を備えた接続孔でよく、駆動力出力軸65は、それと螺合するねじ接続端を有し、ねじ接続端を接続孔内に挿入することによって上述の目的が達成される。
【0041】
図8を参照して、モータ装置200は例えば、減速器220をさらに含む。減速器220は、モータ本体210とクラッチ100との間に接続される。具体的には、減速器220は遊星減速器でよいが、当然ながらその他の減速器でもよく、ここでは説明を省略する。
【実施例3】
【0042】
図9を参照して、それは本発明の第3実施例で提供するカーテン制御装置であって、カーテン制御装置300は例えば、第2実施例に記載のモータ装置200、第1巻取ディスク310、第2巻取ディスク320及びカーテン制御ロープ330を含む。
【0043】
具体的には、第1巻取ディスク310はモータ装置200の駆動力出力部60に接続され、具体的には、第1巻取ディスク310は駆動力出力軸65に接続することができる。第2巻取ディスク320と第1巻取ディスク310の間には一定の距離が設けられており、カーテン制御ロープ330は、第1巻取ディスク310と第2巻取ディスク320との間に巻き付けられている。例を挙げると、モータ装置200は、駆動力出力部60を介して第1巻取ディスク310を駆動して回転させ、第1巻取ディスク310は、カーテン制御ロープ330を介して第2巻取ディスク320を駆動して回転させる。
【0044】
例を挙げると、第1巻取ディスク310と第2巻取ディスク320は例えば、各々が歯車ディスクであり、カーテン制御ロープ330は、歯車ディスクの歯車と合致する歯付ベルトであり、歯付ベルトと2つの歯車ディスクとは噛み合うことができ、モータ装置200は、第1巻取ディスク310となる歯車ディスクを駆動して回転させ、それと噛み合う歯付ベルトを介してもう1つの歯付ベルトと噛み合う歯車ディスクを駆動して回転させるが、ここでは説明を省略する。
【0045】
カーテン制御装置の使用方法は例えば、第1巻取ディスク310と第2巻取ディスク320をそれぞれ窓の両端に固定して、カーテン制御ロープ330を第1巻取ディスク310と第2巻取ディスク320との間に巻き架け、さらにモータ装置200を第1巻取ディスク310又は第2巻取ディスク320に接続してから、カーテン制御ロープ330上にカーテンを掛着する。
【0046】
なお、最後に、以上の実施例は本発明の技術案を説明したに過ぎず、本発明を限定するものではない。前述の実施例を参照して本発明の詳細な説明を行ったとしても、当業者であれば、前述の各実施例に記載の技術案に対する修正を行うか、又はそのうちの一部の技術的特徴に対して均等物による置換を行い得るものと理解されるべきである。それらの修正又は置換に該当する技術案の本質は、本発明の各実施例における技術案の精神及び範囲を決して逸脱しない。
【符号の説明】
【0047】
100 クラッチ
10 駆動力受け部
11 駆動力受け部材
12 第1制限位置
20 クラッチ制御部
30 第1制御部材
31 第1方向駆動位置
32 第1方向脱離位置
33 第2方向駆動位置
34 第2方向脱離位置
35 方向転換位置
36 変位路
40 第2制御部材
41 ガイド位置
42 第2制限位置
50 クラッチ部材
60 駆動力出力部
61 出力接続位置
62 駆動力伝達部材
63 第1係合位置
64 第2係合位置
65 駆動力出力軸
200 モータ装置
210 モータ本体
211 ドライブシャフト
220 減速器
300 カーテン制御装置
310 第1巻取ディスク
320 第2巻取ディスク
330 カーテン制御ロープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9