(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
B60R 25/24 20130101AFI20221212BHJP
E05B 49/00 20060101ALN20221212BHJP
【FI】
B60R25/24
E05B49/00 K
(21)【出願番号】P 2018216635
(22)【出願日】2018-11-19
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】竹内 啓太
【審査官】川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-062764(JP,A)
【文献】特開2017-220759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/24
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、搭乗者が任意に操作可能な操作手段を有するとともに、前記操作手段を操作することによりアクセス信号を無線送信可能な車載ユニットと、
搭乗者が携帯可能とされ、前記アクセス信号を受信したことを条件として、車両固有の認証コードを無線送信可能な携帯機と、
前記認証コードを受信したことを条件として、当該認証コードが正規の認証コードか否か判定し得る判定手段と、
を具備し、前記判定手段により前記認証コードが正規の認証コードであると判定された場合に、車両の駆動源の始動を許可又は車両の走行を可能とし得る無線通信システムにおいて、
所定の設定操作によって、前記携帯機による前記認証コードの送信又は前記車載ユニットによる前記アクセス信号の送信に代えて正規の信号とは異なる偽装信号を送信する防犯モードを設定可能とされ
るとともに、所定の解除操作が行われることにより、前記防犯モードを解除可能とされ、且つ、前記防犯モードを設定する際、乱数コードを生成して前記車載ユニット及び携帯機の記憶手段にそれぞれ記憶させるとともに、前記解除操作が行われた場合、前記携帯機の記憶手段で記憶された乱数コードと前記車載ユニットの記憶手段で記憶された乱数コードとを照合し、これら乱数コードが一致した場合に限って前記防犯モードを解除することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記防犯モードは、前記携帯機による前記認証コードに代えて前記偽装信号を送信するとともに、前記車載ユニットによる正規の前記アクセス信号を送信することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記防犯モードは、前記車載ユニットによる前記アクセス信号に代えて前記偽装信号を送信するとともに、前記携帯機による正規の前記認証コードを送信することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記防犯モードは、前記携帯機による前記認証コード及び前記車載ユニットによる前記アクセス信号の両方に代えて前記偽装信号を送信することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記防犯モードの設定操作又は解除操作は、前記携帯機が有する操作部により行われ得ることを特徴とする請求項1~4の何れか1つに記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記防犯モードの設定操作又は解除操作は、前記車載ユニットが有する前記操作手段により行われ得ることを特徴とする請求項1~4の何れか1つに記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記車載ユニット又は携帯機による前記偽装信号の受信を記録可能な記憶手段を具備したことを特徴とする請求項1~6の何れか1つに記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記車載ユニット又は携帯機による前記偽装信号の受信を報知する報知手段を具備したことを特徴とする請求項1~7の何れか1つに記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載ユニットで取得された認証コードが正規の認証コードである場合に、車両の駆動源の始動を許可又は車両の走行を可能とし得る無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
搭乗者が携帯するとともに車両固有の認証コードを電波にて送信し得る携帯機と、その送信された認証コードを受信可能な車載ユニットとを具備し、携帯機から無線送信された認証コードが正規の認証コードである場合に限り、車両の各種ロックの解除、及び駆動源の始動を許可し得る無線通信システム(所謂、スマートキーシステム)が普及している。このような無線通信システムは、車載ユニットに配設されたアクセスボタンを押圧操作すると、アクセス信号が低周波にて無線送信され、そのアクセス信号を受信した携帯機が高周波にて認証コードを無線送信するとともに、当該認証コードが車載ユニットにて受信されると、当該認証コードが正規の認証コードであるか否か判定し得るよう構成されている。
【0003】
しかるに、上記の如き無線通信システムにおいては、携帯機と車載ユニットとの間の通信を第三者が中継器にて不正に行ってしまう所謂リレーアタックなる行為について有効な対策を講じることができないという問題があった。すなわち、携帯機と車載ユニットとの間の通信において、第三者が変調された信号を容易に復調することができるため、中継器等を使って不正に携帯機から車載ユニットに正規の認証コードを送信させ、車両の各種ロックの解除及び車両の駆動源の始動が可能となってしまうのである。
【0004】
上記のようなリレーアタックなる不正行為を防止するため、従来、種々の対策が提案されており、例えば低周波信号が携帯機にて受信されるまでの時間を計測する、高周波信号の周波数を変更する、送信する電波の強度を変更するなどの対策が挙げられる。また、従来技術として、例えば特許文献1にて開示されているように、認証コードを複数の変調方式によって変調し得る携帯機とすることにより、リレーアタックなる不正行為を防止することも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の無線通信システムにおいては、車載ユニットと携帯機とで通信される信号の処理構成が極めて複雑となってしまい、正規の携帯機を持つ搭乗者の認証処理に長時間を要してしまう、或いは認証処理の精度が低下してしまう虞があるとともに、所謂リレーアタックなる不正行為をより確実に防ぐには不十分であるという問題があった。
【0007】
一方、本出願人は、所定の設定操作によって、携帯機による認証コードの送信又は車載ユニットによるアクセス信号の送信を停止する防犯モードを設定可能とし、その防犯モードが解除されるまで認証コード又はアクセス信号の送信の停止状態を維持する構成について検討したが、その場合、信号処理が複雑化してしまうのを回避することができるものの、不正行為を行う第三者が信号の停止状態によって防犯モードの存在に気づいてしまう虞があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、信号処理が複雑化してしまうのを回避しつつ信号の送受信を維持して防犯効果をより一層向上させることができる無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、車両に搭載され、搭乗者が任意に操作可能な操作手段を有するとともに、前記操作手段を操作することによりアクセス信号を無線送信可能な車載ユニットと、搭乗者が携帯可能とされ、前記アクセス信号を受信したことを条件として、車両固有の認証コードを無線送信可能な携帯機と、前記認証コードを受信したことを条件として、当該認証コードが正規の認証コードか否か判定し得る判定手段とを具備し、前記判定手段により前記認証コードが正規の認証コードであると判定された場合に、車両の駆動源の始動を許可又は車両の走行を可能とし得る無線通信システムにおいて、所定の設定操作によって、前記携帯機による前記認証コードの送信又は前記車載ユニットによる前記アクセス信号の送信に代えて正規の信号とは異なる偽装信号を送信する防犯モードを設定可能とされるとともに、所定の解除操作が行われることにより、前記防犯モードを解除可能とされ、且つ、前記防犯モードを設定する際、乱数コードを生成して前記車載ユニット及び携帯機の記憶手段にそれぞれ記憶させるとともに、前記解除操作が行われた場合、前記携帯機の記憶手段で記憶された乱数コードと前記車載ユニットの記憶手段で記憶された乱数コードとを照合し、これら乱数コードが一致した場合に限って前記防犯モードを解除することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の無線通信システムにおいて、前記防犯モードは、前記携帯機による前記認証コードに代えて前記偽装信号を送信するとともに、前記車載ユニットによる正規の前記アクセス信号を送信することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の無線通信システムにおいて、前記防犯モードは、前記車載ユニットによる前記アクセス信号に代えて前記偽装信号を送信するとともに、前記携帯機による正規の前記認証コードを送信することを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の無線通信システムにおいて、前記防犯モードは、前記携帯機による前記認証コード及び前記車載ユニットによる前記アクセス信号の両方に代えて前記偽装信号を送信することを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1~4の何れか1つに記載の無線通信システムにおいて、 前記防犯モードの設定操作又は解除操作は、前記携帯機が有する操作部により行われ得ることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1~4の何れか1つに記載の無線通信システムにおいて、前記防犯モードの設定操作又は解除操作は、前記車載ユニットが有する前記操作手段により行われ得ることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項1~6の何れか1つに記載の無線通信システムにおいて、前記車載ユニット又は携帯機による前記偽装信号の受信を記録可能な記憶手段を具備したことを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項1~7の何れか1つに記載の無線通信システムにおいて、前記車載ユニット又は携帯機による前記偽装信号の受信を報知する報知手段を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、所定の設定操作によって、携帯機による認証コードの送信又は車載ユニットによるアクセス信号の送信に代えて正規の信号とは異なる偽装信号を送信する防犯モードを設定可能とされたので、信号処理が複雑化してしまうのを回避しつつ信号の送受信を維持して防犯効果をより一層向上させることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、防犯モードは、携帯機による認証コードに代えて偽装信号を送信するとともに、車載ユニットによる正規のアクセス信号を送信するので、車載ユニット側の信号処理機能をほとんど変えることなく防犯モードの設定を行わせることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、防犯モードは、車載ユニットによるアクセス信号に代えて偽装信号を送信するとともに、携帯機による正規の認証コードを送信するので、携帯機側の信号処理機能をほとんど変えることなく防犯モードの設定を行わせることができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、防犯モードは、携帯機による認証コード及び車載ユニットによるアクセス信号の両方に代えて偽装信号を送信するので、認証コード及びアクセス信号の何れか一方を偽装信号に代えて送信するものに比べて、防犯効果をより高めることができる。
【0021】
請求項5の発明によれば、防犯モードの設定操作又は解除操作は、携帯機が有する操作部により行われ得るので、携帯機を携帯した運転者が防犯モードの設定又は解除を遠隔操作にて行わせることができ、操作性を向上させることができる。
【0022】
請求項6の発明によれば、防犯モードの設定操作又は解除操作は、車載ユニットが有する操作手段により行われ得るので、アクセス信号を送信するための操作手段を防犯モードの設定又は解除のための手段として流用することができ、装置構成を簡素化することができる。
【0023】
請求項7の発明によれば、車載ユニット又は携帯機による偽装信号の受信を記録可能な記憶手段を具備したので、偽装信号の受信の記録に基づいてリレーアタック等の不正行為を監視することができ、防犯性をより向上させることができる。
【0024】
請求項8の発明によれば、車載ユニット又は携帯機による偽装信号の受信を報知する報知手段を具備したので、リレーアタック等の不正行為を容易且つリアルタイムに把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る無線通信システムを示す概念図(第2の実施形態と共通)
【
図3】同無線通信システムにおける防犯モードの設定時の制御を示すフローチャート
【
図4】同無線通信システムにおける認証コードの認証時の制御を示すフローチャート(専ら携帯機により偽装信号を送信する場合)
【
図5】同無線通信システムにおける認証コードの認証時の制御を示すフローチャート(専ら車載ユニットにより偽装信号を送信する場合)
【
図6】同無線通信システムにおける認証コードの認証時の制御を示すフローチャート(携帯機及び車載ユニットの両方により偽装信号を送信する場合)
【
図7】同無線通信システムにおける防犯モードの解除時の制御を示すフローチャート
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る無線通信システムを示すブロック図
【
図9】同無線通信システムにおける防犯モードの設定時の制御を示すフローチャート
【
図10】同無線通信システムにおける防犯モードの解除時の制御を示すフローチャート
【
図11】本発明の他の実施形態に係る無線通信システムにおける車両側の操作手段を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1の実施形態に係る無線通信システムは、
図1、2に示すように、搭乗者が携帯した携帯機2(電子キー)と、二輪車等の車両に搭載された車載ユニット1との間で無線通信を行い、車載ユニット1で取得された認証コードが正規の認証コードである場合に、車両の駆動源であるエンジンの始動を許可又は車両の走行を可能とし得る所謂、スマートキーシステムから成るものである。
【0027】
携帯機2は、搭乗者が携帯可能とされ、車載ユニット1からのアクセス信号を受信したことを条件として、車両固有の認証コードを無線送信可能なもので、
図2に示すように、操作ボタン2a(操作部)と、報知手段としてのLED2bと、車載ユニット1からのアクセス信号(低周波信号)を無線受信し得るコイルから成る低周波アンテナG1と、車載ユニット1に認証コード(高周波信号)を無線送信し得る高周波アンテナG2と、低周波アンテナG1及び高周波アンテナG2と電気的に接続された制御手段14と、電池Dとを有して構成されている。
【0028】
制御手段14は、車両固有の認証コードを記憶可能な記憶手段15が形成されるとともに、電池D又はイモビライザ機能が作動した際に低周波アンテナG1から電力供給されて作動し得るもので、車載ユニット1からのアクセス信号を低周波アンテナG1にて受信したことを条件として、高周波アンテナG2にて車両固有の認証コードを無線送信し得るようになっている。
【0029】
車載ユニット1は、車両(本実施形態においては二輪車の車体)に搭載され、
図1に示すように、運転者等の搭乗者が任意に操作可能なアクセスボタン1a(操作手段)及びロックバーLを有するとともに、アクセスボタン1aを操作することにより携帯機2に対してアクセス信号を無線送信可能なものである。かかる車載ユニット1は、
図2に示すように、アクセスボタン1a及びロックバーLの他、制御手段3と、ロックバーL(
図1参照)を駆動可能なモータMと、低周波アンテナF1と、高周波アンテナF2とを有して構成されている。
【0030】
モータMは、電源制御ドライバ10を介して車両に搭載されたバッテリ9と電気的に接続されており、モータドライバ11により制御可能とされ、ロックバーLを移動可能とされている。ロックバーLは、車両のハンドルバーに形成されたロック孔(不図示)に挿入して当該ハンドルバーをロックするロック位置と、当該ロック孔から後退してハンドルバーのロックを解除するアンロック位置との間を移動可能とされている。
【0031】
すなわち、ロックバーLがロック位置にあるとき、ハンドルバーがロックされて車両の走行が不可能とされるとともに、ロックバーLがアンロック位置にあるとき、ハンドルバーのロックが解除されて車両の走行を可能とするのである。また、ロックバーLの位置は、位置検出センサ16にて検出可能とされており、当該位置検出センサ16で検出されたロックバーLの位置(ロック位置又はアンロック位置)が制御手段3に送信可能とされている。
【0032】
制御手段3は、低周波ドライバ12を介して低周波アンテナF1と電気的に接続されるとともに、高周波ドライバ13を介して高周波アンテナF2と電気的に接続され、低周波アンテナF1による低周波信号の送信及び高周波アンテナF2による高周波信号の受信に基づく制御が可能とされている。また、制御手段3は、アクセスボタン1a(操作手段)と電気的に接続されるとともに、車両に搭載されたECU(エンジン制御ユニット)17及び左右のターンシグナルS(方向指示灯)に対し、IPD(インテリジェントパワーデバイス)18等を介して電気的に接続されている。
【0033】
さらに、本実施形態に係る制御手段3は、アクセスボタン1aが押圧操作されたことを条件として、低周波信号から成るアクセス信号を低周波アンテナF1から携帯機2に対して無線送信し得るとともに、携帯機2から無線送信された高周波信号から成る認証コードを高周波アンテナF2にて受信したことを条件として、その受信した認証コードが正規の認証コードか否か判定し得るもので、認証コードの判定を行い得る判定手段4と、防犯モードを設定させ得る設定手段5と、防犯モードを解除させ得る解除手段6と、イモビライザ機能を起動させ得るイモビ制御手段7と、乱数コード等を記憶し得る記憶手段8とを有して構成されている。
【0034】
判定手段4は、車載ユニット1に配設された制御手段3に形成されるとともに、携帯機2から送信された認証コードを高周波アンテナF2にて受信したことを条件として、当該認証コードが正規の認証コードか否か判定し得るものである。そして、判定手段4にて受信した認証コードが正規のものであると判定されると、制御手段3による制御によって、ロックバーLがロック位置にあるとき、モータMを駆動させて当該ロックバーLをアンロック位置に移動させるとともに、ECU17に許可信号を送信し、エンジン(駆動源)の始動を許可する(例えば、スタータの作動を許可する)ようになっている。一方、判定手段4にて受信した認証コードが正規のものではないと判定されると、モータMの駆動が行われず、且つ、ECU17に対する許可信号が送信されないようになっている。
【0035】
ここで、本実施形態に係る無線通信システムは、所定の設定操作によって、携帯機2による認証コードの送信又は車載ユニット1によるアクセス信号の送信に代えて正規の信号とは異なる偽装信号を送信する防犯モードを設定可能とされている。具体的には、車載ユニット1が有するアクセスボタン1a(操作手段)に対して特定の操作(例えば、通常の操作とは異なる「長押し操作」や「連続押圧操作」等)が行われると、設定手段5にて防犯モードが設定され、車載ユニット1によるアクセス信号又は携帯機2による認証コードに代えて、正規の信号とは意図的に相違する偽装信号を送信するよう構成されている。
【0036】
防犯モードは、所定の設定操作によって、携帯機2による認証コードの送信又は車載ユニット1によるアクセス信号の送信に代えて正規の信号とは異なる偽装信号を送信するものであれば足り、携帯機2による認証コードに代えて偽装信号を送信するとともに、車載ユニット1による正規のアクセス信号を送信する第1無線通信システム、車載ユニット1によるアクセス信号に代えて偽装信号を送信するとともに、携帯機2による正規の認証コードを送信する第2無線通信システム、携帯機2による認証コード及び車載ユニット1によるアクセス信号の両方に代えて偽装信号を送信する第3無線通信システムの何れであってもよい。
【0037】
また、防犯モードを設定するための所定の操作は、本実施形態の如く車載ユニット1のアクセスボタン(操作手段)に対する特定の操作に限らず、携帯機2が有する操作ボタン2a(操作部)に対する特定の操作(例えば、通常の操作とは異なる「長押し操作」や「連続押圧操作」等)としてもよい。なお、操作ボタン2a(操作部)は、専ら防犯モードを設定するための操作手段として機能するものであってもよい。
【0038】
解除手段6は、携帯機2が有する操作ボタン2a(操作部)に対して所定の解除操作が行われることにより、防犯モードを解除し得るものである。そして、防犯モードが解除されることにより、偽装信号の送信は行われず、携帯機2による正規の認証コード及び車載ユニット1による正規のアクセス信号が送信されることとなる。
【0039】
また、防犯モードを解除するための所定の操作は、本実施形態の如く携帯機2の操作ボタン2a(操作部)に対する特定の操作に限らず、車載ユニット1のアクセスボタン1a(操作手段)に対する特定の操作(例えば、通常の操作とは異なる「長押し操作」や「連続押圧操作」等)や、車載ユニット1或いは車両に別個設けられた操作手段(第三者による視認が困難な隠れた位置に配設された操作手段が好ましい)に対する操作であってもよい。
【0040】
さらに、本実施形態においては、防犯モードを設定する際、制御手段3により乱数コードを生成して車載ユニット1の記憶手段8及び携帯機2の記憶手段15にそれぞれ記憶させるとともに、解除操作が行われた場合、携帯機2の記憶手段15で記憶された乱数コードと車載ユニット2の記憶手段8で記憶された乱数コードとを照合し、これら乱数コードが一致した場合に限って防犯モードを解除するようになっている。
【0041】
また、本実施形態に係る記憶手段8及び記憶手段15は、車載ユニット1又は携帯機2による偽装信号の受信を記録可能とされている。例えば、防犯モードが設定された状態において、携帯機2による偽装信号の受信或いは車載ユニット1による偽装信号の受信を記憶手段8や記憶手段15で記録して記憶させた後にログとして利用すれば、リレーアタック等の不正行為を時系列的に監視することができる。
【0042】
イモビ制御手段7は、例えば車載ユニット1のアクセスボタン1aに対して所定の操作(アクセス信号の送信時の操作や防犯モードの設定時の操作とは異なる特有の操作)が行われたことを条件として、イモビライザ機能を有効にするためのものである。すなわち、例えば携帯機2の電池Dが消耗して電力供給が不可能になった際、当該携帯機2を車載ユニット1に近接させた状態でアクセスボタン1aに対して特有の操作が行われると、イモビ制御手段7が作動し、携帯機2に対して低周波を送信して低周波アンテナG1にて電力を生じさせ、その電力にて認証コードを無線送信させ得るようになっている。
【0043】
また、本実施形態に係る携帯機2は、報知手段としてのLED2bが取り付けられており、防犯モードが設定された状態において、当該LED2bが点灯又は点滅し得るようになっている。これにより、LED2bの点灯又は点滅によって防犯モードが設定されていることを報知することができる。このように、LED2b(報知手段)によって、防犯モードの設定の有無を報知するものの他、エラー(乱数等の生成時のエラーや車載ユニット1と携帯機2との間の通信時のエラー等を含む)の発生を報知するようにしてもよい。
【0044】
またさらに、本実施形態に係る報知手段としてのLED2bは、車載ユニット1又は携帯機2による偽装信号の受信を報知するものとされている。この場合、上記の如く防犯モードの設定を報知しつつ偽装信号の受信を報知するものであってもよく、或いはLED2bとは別個の報知手段にて偽装信号の受信を報知するものであってもよい。報知手段は、車載ユニット1に設けられたものであってもよく、LED2bの点灯又は点滅による報知に代えて音声による報知、別個の図示しない表示手段(例えば、メータパネルや別個の液晶表示パネル等)による報知等であってもよく、或いはモデムにより特定のネットワークへ信号を送信する報知であってもよい。
【0045】
次に、本実施形態に係る無線通信システムにおける防犯モードを設定する際の制御内容について、
図3のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、S1にて、防犯モードを設定するための所定の設定操作(本実施形態においては、アクセスボタン1aに対する特定の操作)が行われたか否か判定され、当該所定の設定操作があると判断されると、S2に進み、制御手段3にて乱数コードが生成されるとともに、その乱数コードが低周波アンテナF1にて携帯機2に無線送信される。
【0046】
そして、S3にて、車載ユニット1の記憶手段8及び携帯機2の記憶手段15に乱数コードがそれぞれ記憶された後、S4にて、車載ユニット1の記憶手段8に乱数コードが正常に記憶されたか否か判定され、S5にて、携帯機2の記憶手段15に乱数コードが正常に記憶されたか否か判定される。S4及びS5の何れかにて乱数コードが正常に記憶されないと判定されると、S7にて防犯モードの設定が中止されるとともに、S4及びS5の両方にて乱数コードが正常に記憶されたと判定されると、S6に進み、設定手段5による防犯モードの設定が行われる。
【0047】
次に、本実施形態に係る無線通信システムにおける認証コードを認証する場合であって、第1の無線通信システム(携帯機2による認証コードに代えて偽装信号を送信するとともに、車載ユニット1による正規のアクセス信号を送信するもの)の制御内容について、
図4のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、車載ユニット1側において、アクセスボタン1aに対する操作(1回の押圧操作)が行われたか否か判定され(S1a)、当該操作があると判断されると、S2aに進み、低周波アンテナF1によりアクセス信号(予め設定した正規のアクセス信号)を無線送信する。
【0048】
その後、S3aにて携帯機2側から送信された認証コード(予め設定した正規の認証コード及び偽装信号としての認証コード含む)を高周波アンテナF2により受信すると、S4aに進んで、判定手段4によって携帯機2からの認証コードが正規の認証コードか否か判定される。そして、S4aにて正規の認証コードであると判定されると、S5aに進み、ECU17に許可信号を送信し、エンジン(駆動源)の始動を許可する。
【0049】
また、S4aにて正規の認証コードであると判定されない場合、S5aを行うことなく一連の制御が終了することとなる。これにより、携帯機2からの認証コードが偽装信号である場合、エンジンの始動が許可されてしまうのを防止することができる。なお、本実施形態においては、S5aにおいて、ECU17に対する許可信号の送信に加え、ロックバーLがロック位置にあるとき、モータMを駆動させてロックバーLをアンロック位置とし、車両の走行を可能にしている。
【0050】
一方、携帯機2側において、予め設定した正規のアクセス信号を受信したか否か判定され(S1b)、正規のアクセス信号を受信したと判定されると、S2bに進み、防犯モードが設定されているか否か判定される。そして、S2bにて防犯モードが設定されていないと判定されると、認証コード(予め設定した正規の認証コード)を送信するとともに、S2bにて防犯モードが設定されていると判定されると、正規の認証コードの代わりに偽装信号(正規の認証コードとは意図的に異ならせた偽装の認証コード)を送信する。
【0051】
これにより、防犯モードが設定されていると、携帯機2から正規の認証コードとは異なる偽装信号が送信されるので、その偽装信号を受信した車載ユニット1側において、S4aにて正規の認証コードであると判定されず、S5aを行うことなく一連の制御が終了することとなる。これにより、防犯モードが設定された状態において、リレーアタック等の不正行為によってエンジンの始動が許可されてしまうのを防止することができる。
【0052】
次に、本実施形態に係る無線通信システムにおける認証コードを認証する場合であって、第2の無線通信システム(車載ユニット1によるアクセス信号に代えて偽装信号を送信するとともに、携帯機2による正規の認証コードを送信するもの)の制御内容について、
図5のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、車載ユニット1側において、アクセスボタン1aに対する操作(1回の押圧操作)が行われたか否か判定され(S1a)、当該操作があると判断されると、S2aに進み、防犯モードが設定されているか否か判定される。そして、S2aにて防犯モードが設定されていないと判定されると、アクセス信号(予め設定した正規のアクセス信号)を送信するとともに、S2aにて防犯モードが設定されていると判定されると、正規のアクセス信号の代わりに偽装信号(正規のアクセス信号とは意図的に異ならせた偽装のアクセス信号)を送信する。
【0053】
これにより、防犯モードが設定されていると、車載ユニット1から正規のアクセス信号とは異なる偽装信号が送信されるので、その偽装信号を受信した車載ユニット1側において、S1bにて正規のアクセス信号を受信したと判定されず、携帯機2から認証コードを送信することがない。これにより、防犯モードが設定された状態において、リレーアタック等の不正行為によってエンジンの始動が許可されてしまうのを防止することができる。
【0054】
その後、S5aにて携帯機2側から送信された認証コード(予め設定した正規の認証コード)を高周波アンテナF2により受信すると、S6aに進んで、判定手段4によって携帯機2からの認証コードが正規の認証コードか否か判定される。そして、S6aにて正規の認証コードであると判定されると、S7aに進み、ECU17に許可信号を送信し、エンジン(駆動源)の始動を許可する。なお、S4aにて正規の認証コードであると判定されない場合、S6aを行うことなく一連の制御が終了することとなる。
【0055】
一方、携帯機2側において、予め設定した正規のアクセス信号を受信したか否か判定され(S1b)、正規のアクセス信号を受信したと判定されると、S2bに進み、認証コード(予め設定した正規の認証コード)を送信する。すなわち、防犯モードが設定されていると、車載ユニット1から正規のアクセス信号とは異なる偽装信号が送信されるので、その偽装信号を受信した携帯機2側において、認証コード(正規の認証コード)を送信することがない。したがって、防犯モードが設定された状態において、リレーアタック等の不正行為によってエンジンの始動が許可されてしまうのを防止することができる。
【0056】
次に、本実施形態に係る無線通信システムにおける認証コードを認証する場合であって、第3の無線通信システム(携帯機2による認証コード及び車載ユニット1によるアクセス信号の両方に代えて偽装信号を送信するもの)の制御内容について、
図6のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、車載ユニット1側において、アクセスボタン1aに対する操作(1回の押圧操作)が行われたか否か判定され(S1a)、当該操作があると判断されると、S2aに進み、防犯モードが設定されているか否か判定される。そして、S2aにて防犯モードが設定されていないと判定されると、アクセス信号(予め設定した正規のアクセス信号)を送信するとともに、S2aにて防犯モードが設定されていると判定されると、正規のアクセス信号の代わりに偽装信号(正規のアクセス信号とは意図的に異ならせた偽装のアクセス信号)を送信する。
【0057】
これにより、防犯モードが設定されていると、車載ユニット1から正規のアクセス信号とは異なる偽装信号が送信されるので、その偽装信号を受信した車載ユニット1側において、S1bにて正規のアクセス信号を受信したと判定されず、携帯機2から認証コードを送信することがない。これにより、防犯モードが設定された状態において、リレーアタック等の不正行為によってエンジンの始動が許可されてしまうのを防止することができる。
【0058】
その後、S5aにて携帯機2側から送信された認証コード(予め設定した正規の認証コード)を高周波アンテナF2により受信すると、S6aに進んで、判定手段4によって携帯機2からの認証コードが正規の認証コードか否か判定される。そして、S6aにて正規の認証コードであると判定されると、S7aに進み、ECU17に許可信号を送信し、エンジン(駆動源)の始動を許可する。なお、S4aにて正規の認証コードであると判定されない場合、S6aを行うことなく一連の制御が終了することとなる。
【0059】
一方、携帯機2側において、予め設定した正規のアクセス信号を受信したか否か判定され(S1b)、正規のアクセス信号を受信したと判定されると、S2bに進み、防犯モードが設定されているか否か判定される。そして、S2bにて防犯モードが設定されていないと判定されると、認証コード(予め設定した正規の認証コード)を送信するとともに、S2bにて防犯モードが設定されていると判定されると、正規の認証コードの代わりに偽装信号(正規の認証コードとは意図的に異ならせた偽装の認証コード)を送信する。
【0060】
これにより、防犯モードが設定されていると、携帯機2から正規の認証コードとは異なる偽装信号が送信されるので、その偽装信号を受信した車載ユニット1側において、S6aにて正規の認証コードであると判定されず、S7aを行うことなく一連の制御が終了することとなる。これにより、防犯モードが設定された状態において、リレーアタック等の不正行為によってエンジンの始動が許可されてしまうのを防止することができる。
【0061】
次に、本実施形態に係る無線通信システムにおける防犯モードを解除する際の制御内容について、
図7のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、S1にて、携帯機2が有する操作ボタン2aに対する押圧操作(所定の解除操作)が行われたか否か判定され、当該操作があると判断されると、S2に進み、携帯機2に記憶された乱数コードを受信する。すなわち、携帯機2の操作ボタン2aが操作されると、当該携帯機2の記憶手段15に記憶された乱数コードが高周波アンテナG2にて無線送信され、その乱数コードを車載ユニット1の高周波アンテナF2にて受信可能とされているのである。
【0062】
その後、S3にて、車載ユニット1の記憶手段8で記憶された乱数コードと、携帯機2から送信された乱数コードとが制御手段3により照合され、これら乱数コードが一致してか否か判定される。そして、乱数コードの照合の結果、乱数コードが一致していると判定されると、S4に進み、解除手段6により防犯モードが解除されるとともに、乱数コードが一致していないと判定されると、S5に進み、解除手段6による防犯モードの解除は行われず、防犯モードの設定が継続される。
【0063】
しかして、防犯モードが解除された後、車載ユニット1のアクセスボタン1aに対する通常の操作(1回の押圧操作)が行われると、車載ユニット1の低周波アンテナF1からアクセス信号が送信され、携帯機2からの認証コードを判定手段4にて判定するようにしてもよく、或いは防犯モードが解除されると、自動的に車載ユニット1の低周波アンテナF1からアクセス信号が送信され、携帯機2からの認証コードを判定手段4にて判定するようにしてもよい。
【0064】
このように、防犯モードが解除された後、アクセスボタン1aに対する操作を必要とする場合、防犯効果を高めることができるとともに、自動的に認証コードの判定が行われる場合、操作性を向上させることができる。また、防犯モードが解除された後、アクセスボタン1aに対する操作を必要とする制御と、自動的に認証コードの判定が行われる制御とを任意に選択可能とするのが好ましい。
【0065】
次に、本発明の第2の実施形態に係る無線通信システムについて説明する。
第2の実施形態に係る無線通信システムは、第1の実施形態と同様、
図1、8に示すように、搭乗者が携帯した携帯機2(電子キー)と、二輪車等の車両に搭載された車載ユニット1との間で無線通信を行い、車載ユニット1で取得された認証コードが正規の認証コードである場合に、車両の駆動源であるエンジンの始動を許可又は車両の走行を可能とし得る所謂、スマートキーシステムから成るものである。なお、第1の実施形態と同様の構成部品には、同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0066】
本実施形態に係る無線通信システムは、第1の実施形態における設定手段5及び解除手段6が携帯機2(電子キー)の制御手段14に形成されている。ここで、本実施形態に係る無線通信システムは、所定の設定操作によって、携帯機2による認証コードの送信又は車載ユニット1によるアクセス信号の送信に代えて正規の信号とは異なる偽装信号を送信する防犯モードを設定可能とされている。具体的には、携帯機2が有する操作ボタン2a(操作部)に対して特定の操作(例えば、通常の操作とは異なる「長押し操作」や「連続押圧操作」等)が行われると、設定手段5にて防犯モードが設定され、車載ユニット1によるアクセス信号又は携帯機2による認証コードに代えて、正規の信号とは意図的に相違する偽装信号を送信するよう構成されている。
【0067】
防犯モードは、所定の設定操作によって、携帯機2による認証コードの送信又は車載ユニット1によるアクセス信号の送信に代えて正規の信号とは異なる偽装信号を送信するものであれば足り、携帯機2による認証コードに代えて偽装信号を送信するとともに、車載ユニット1による正規のアクセス信号を送信する第1無線通信システム、車載ユニット1によるアクセス信号に代えて偽装信号を送信するとともに、携帯機2による正規の認証コードを送信する第2無線通信システム、携帯機2による認証コード及び車載ユニット1によるアクセス信号の両方に代えて偽装信号を送信する第3無線通信システムの何れであってもよい。
【0068】
また、防犯モードを設定するための所定の操作は、本実施形態の如く車載ユニット1のアクセスボタン(操作手段)に対する特定の操作に限らず、携帯機2が有する操作ボタン2a(操作部)に対する特定の操作(例えば、通常の操作とは異なる「長押し操作」や「連続押圧操作」等)としてもよい。なお、操作ボタン2a(操作部)は、専ら防犯モードを設定するための操作手段として機能するものであってもよい。
【0069】
解除手段6は、携帯機2が有する操作ボタン2a(操作部)に対して所定の解除操作が行われることにより、防犯モードを解除し得るものである。そして、防犯モードが解除されることにより、偽装信号の送信は行われず、携帯機2による正規の認証コード及び車載ユニット1による正規のアクセス信号が送信されることとなる。
【0070】
また、防犯モードを解除するための所定の操作は、本実施形態の如く携帯機2の操作ボタン2a(操作部)に対する特定の操作に限らず、車載ユニット1のアクセスボタン1a(操作手段)に対する特定の操作(例えば、通常の操作とは異なる「長押し操作」や「連続押圧操作」等)や、車載ユニット1或いは車両に別個設けられた操作手段(第三者による視認が困難な隠れた位置に配設された操作手段が好ましい)に対する操作であってもよい。
【0071】
さらに、第1の実施形態のように、防犯モードを設定する際、制御手段3により乱数コードを生成して車載ユニット1の記憶手段8及び携帯機2の記憶手段15にそれぞれ記憶させるとともに、解除操作が行われた場合、携帯機2の記憶手段15で記憶された乱数コードと車載ユニット2の記憶手段8で記憶された乱数コードとを照合し、これら乱数コードが一致した場合に限って防犯モードを解除するようにしてもよい。加えて、本実施形態においては、第1の実施形態と同様の記憶手段8、15を具備するとともに、イモビライザ機能及び報知手段としてのLED2bを有している。
【0072】
ここで、本実施形態においては、防犯モードを設定するための所定の設定操作を予め有効又は無効とし得る選択手段19が配設されている。かかる選択手段19は、例えば車載ユニット1、携帯機2又は車両に設けられた操作スイッチ等から成り、当該操作スイッチ等をユーザが予め操作することにより、防犯モードを設定するための所定の設定操作の有効又は無効を予め設定することができる。
【0073】
次に、本実施形態に係る無線通信システムにおける防犯モードを設定する際の制御内容について、
図9のフローチャートに基づいて説明する。
防犯モードを設定するための所定の設定操作(本実施形態においては、携帯機2の操作ボタン2a(操作部)に対する特定の操作)が行われると、車載ユニット1側において、選択手段19によって設定操作が有効とされているか否か判断され(S1)、有効である場合、S2に進み、防犯コード信号が低周波アンテナF1にて携帯機2に無線送信される。
【0074】
そして、携帯機2側においては、S3にて携帯機2の低周波アンテナG1にて防犯コード信号が受信されると、その受信した防犯コード信号が正しいか否か判定され(S4)、正しいと判定されると、S5に進み、携帯機2の高周波アンテナG2にて防犯モード設定信号を送信する。その後、S6に進んで、設定手段5により防犯モードが設定され、S7に進んで、携帯機2に配設されたLED2bや別個の表示手段等により防犯モードが設定された旨の報知が行われる。なお、S4にて防犯コード信号が正しくないと判定されると、S8に進み、防犯モードの設定が中止されることとなる。この場合、防犯モードの設定を中止した旨を報知するようにしてもよい。
【0075】
一方、S5にて防犯モード設定信号が送信されると、車載ユニット1側において、防犯モード設定信号を受信したか否かが判定され(S9)、当該防犯モード設定信号を正しく受信すると、S10に進んで、車載ユニット1に配設されたLEDや別個の表示手段等により防犯モードが設定された旨の報知が行われる。なお、S1にて選択手段19によって設定操作が無効とされていると判定された場合、S2、S9、S10をスキップするとともに、S9にて防犯モード設定信号を正しく受信していないと判定された場合、S10をスキップするようになっている。
【0076】
次に、本実施形態に係る無線通信システムにおける防犯モードを解除する際の制御内容について、
図10、
図4のフローチャートに基づいて説明する。
携帯機2が有する操作ボタン2aに対する押圧操作(所定の解除操作)が行われると、Saにて解除操作が行われてか否か判定され、解除操作がある場合、Sbに進んで解除手段6によって防犯モードが解除されるとともに、解除操作がない場合、Scに進んで防犯モードが継続される。そして、Sbにて防犯モードが解除された後、アクセスボタン1aに対する操作が行われると、第1の実施形態と同様の制御Aが行われる。
【0077】
すなわち、制御Aは、
図4のフローチャートに示すように、S1aにて、アクセスボタン1aに対する操作(1回の押圧操作)が行われたか否か判定され、当該操作があると判断されると、S2aに進み、低周波アンテナF1によりアクセス信号を無線送信する。その後、S3aにて携帯機2側から送信された認証コードを高周波アンテナF2により受信すると、S4aに進んで、判定手段4によって携帯機2からの認証コードが正規の認証コードか否か判定される。そして、S4aにて正規の認証コードであると判定されると、S5aに進み、ECU17に許可信号を送信し、エンジン(駆動源)の始動を許可する。また、S4aにて正規の認証コードであると判定されない場合、S5aを行うことなく一連の制御が終了することとなる。
【0078】
一方、携帯機2側において、予め設定した正規のアクセス信号を受信したか否か判定され(S1b)、正規のアクセス信号を受信したと判定されると、S2bに進み、防犯モードが設定されているか否か判定される。この場合、防犯モードが設定されていないので、S3bにて認証コード(予め設定した正規の認証コード)を送信することとなり、車載ユニット1側にてエンジン始動が許可される(S5a)こととなる。
【0079】
上記第1及び第2の実施形態によれば、所定の設定操作によって、携帯機2による認証コードの送信又は車載ユニット1によるアクセス信号の送信に代えて正規の信号とは異なる偽装信号を送信する防犯モードを設定可能とされたので、信号処理が複雑化してしまうのを回避しつつ信号の送受信を維持して防犯効果をより一層向上させることができる。特に、防犯モードを設定する際、乱数コードを生成して車載ユニット1及び携帯機2の記憶手段(8、15)にそれぞれ記憶させるとともに、解除操作が行われた場合、携帯機2の記憶手段15で記憶された乱数コードと車載ユニット1の記憶手段8で記憶された乱数コードとを照合し、これら乱数コードが一致した場合に限って防犯モードを解除するので、乱数コードの照合によって防犯効果を維持することができる。
【0080】
また、本実施形態のうち第1無線通信システム(
図4の制御)によれば、防犯モードは、携帯機2による認証コードに代えて偽装信号を送信するとともに、車載ユニット1による正規のアクセス信号を送信するので、車載ユニット1側の信号処理機能をほとんど変えることなく防犯モードの設定を行わせることができる。さらに、本実施形態のうち第2無線通信システム(
図5の制御)によれば、防犯モードは、車載ユニット1によるアクセス信号に代えて偽装信号を送信するとともに、携帯機2による正規の認証コードを送信するので、携帯機2側の信号処理機能をほとんど変えることなく防犯モードの設定を行わせることができる。またさらに、本実施形態のうち第3無線通信システム(
図6の制御)によれば、防犯モードは、携帯機2による認証コード及び車載ユニット1によるアクセス信号の両方に代えて偽装信号を送信するので、認証コード及びアクセス信号の何れか一方を偽装信号に代えて送信するものに比べて、防犯効果をより高めることができる。
【0081】
また、防犯モードの設定操作又は解除操作を携帯機2が有する操作ボタン2a(操作部)により行われるようにすれば、携帯機2を携帯した運転者が防犯モードの設定又は解除を遠隔操作にて行わせることができ、操作性を向上させることができる。一方、防犯モードの設定操作又は解除操作を車載ユニット1が有する操作手段により行われるようにすれば、アクセス信号を送信するためのアクセスボタン1a(操作手段)を防犯モードの設定又は解除のための手段として流用することができ、装置構成を簡素化することができる。
【0082】
さらに、記憶手段8、15にて車載ユニット1又は携帯機2による偽装信号の受信を記録するように構成すれば、偽装信号の受信の記録に基づいてリレーアタック等の不正行為を監視することができ、防犯性をより向上させることができる。またさらに、車載ユニット又は携帯機による偽装信号の受信を報知する報知手段(LED2b)を具備することにより、リレーアタック等の不正行為を容易且つリアルタイムに把握させることができる。
【0083】
加えて、本実施形態に係る車載ユニット1は、携帯機2に対して低周波を送信して電力を生じさせ、その電力にて認証コードを無線送信させ得るイモビライザ機能を有するので、携帯機2の電池切れ等、緊急時の対応を円滑に行わせることができる。また、携帯機2(車載ユニット1であってもよい)は、LED2bの点灯又は点滅によって防犯モードが設定されていることを報知可能とされたので、搭乗者が車両を離れる際、防犯モードの設定状態を視認して把握することができる。
【0084】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば車両に取り付けられた車両側の操作手段に対して、防犯モードを設定する所定の設定操作、又は防犯モードを解除する所定の解除操作が可能とされたものであってもよい。この場合、車両側の操作手段として、
図11に示すように、車両のハンドルバーHに取り付けられたハンドルスイッチケースCに配設されたスイッチM1又はスイッチM2であってもよい。なお、同図中符号Gは、運転者が把持可能な把持グリップを示している。また、
図11は、ハンドルバーHの左側に取り付けられたハンドルスイッチケースCを示しているが、ハンドルバーHの右側に取り付けられたハンドルスイッチケースにスイッチM1又はスイッチM2を設けるようにしてもよい。
【0085】
スイッチM1は、左右及び上下に押圧操作可能な十字キーから成り、例えば車両が具備する表示手段(メータパネルや別個の液晶表示手段等)にメニューを表示させるとともに、そのメニューから防犯モードに関する項目をスイッチM1にて選択及び決定することにより、防犯モードの設定又は解除を行わせるようにしてもよい。また、スイッチM2は、押圧操作可能な操作ボタンから成り、かかる操作ボタンを押圧操作することにより、防犯モードの設定又は解除を行わせるようにしてもよい。
【0086】
このように、車両に取り付けられた車両側の操作手段に対して、防犯モードを設定する所定の設定操作、又は防犯モードを解除する所定の解除操作が可能とされた場合、防犯モードを設定する所定の設定操作又は防犯モードを解除する所定の解除操作を車両の任意位置で行わせることができ、操作性を向上させることができる。特に、車両側の操作手段は、車両のハンドルバーHに取り付けられたハンドルスイッチケースCに配設されたので、防犯モードを設定する所定の設定操作又は防犯モードを解除する所定の解除操作の操作性をより向上させることができる。
【0087】
加えて、例えば判定手段4により認証コードが正規の認証コードであると判定された場合、本実施形態の如くECU17に許可信号を送信して車両のエンジン(駆動源)の始動を許可し、且つ、ロックバーLをアンロック位置として車両の走行を可能とし得るものに代え、専ら、ECU17に許可信号を送信して車両のエンジン(駆動源)の始動を許可するもの、或いは、専ら、ロックバーLをアンロック位置として車両の走行を可能とし得るものとしてもよい。
【0088】
また、携帯機2の操作ボタン2aに対する解除操作が行われた際、防犯モードを解除するとともに、車両のターンシグナルを点滅させて、アンサーコールバックを作動させるものとしてもよい。さらに、イモビライザ機能を有さないもの、或いはLED2b等、報知手段を有さないものとしてもよい。なお、本実施形態においては、二輪車に適用されているが、ATV、スノーモービル、建機若しくは農機、さらには自動車等、他の車両に適用するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
所定の設定操作によって、携帯機による認証コードの送信又は車載ユニットによるアクセス信号の送信に代えて正規の信号とは異なる偽装信号を送信する防犯モードを設定可能とされるとともに、所定の解除操作が行われることにより、防犯モードを解除可能とされ、且つ、防犯モードを設定する際、乱数コードを生成して車載ユニット及び携帯機の記憶手段にそれぞれ記憶させるとともに、解除操作が行われた場合、携帯機の記憶手段で記憶された乱数コードと車載ユニットの記憶手段で記憶された乱数コードとを照合し、これら乱数コードが一致した場合に限って防犯モードを解除する無線通信システムであれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等であってもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 車載ユニット
1a アクセスボタン(操作手段)
2 携帯機
2a 操作ボタン(操作部)
2b LED(報知手段)
3 制御手段
4 判定手段
5 設定手段
6 解除手段
7 イモビ制御手段
8 記憶手段
9 バッテリ
10 電源制御ドライバ
11 モータドライバ
12 低周波ドライバ
13 高周波ドライバ
14 制御手段
15 記憶手段
16 位置検出センサ
17 ECU
18 IPD(半導体デバイス)
19 選択手段
S ターンシグナル
M モータ
F1 低周波アンテナ
F2 高周波アンテナ
G1 低周波アンテナ
G2 高周波アンテナ
D 電池