IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーディーエムバイオサイエンス インコーポレイテッドの特許一覧

特許7191346核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置
<>
  • 特許-核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置 図1
  • 特許-核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置 図2
  • 特許-核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置 図3
  • 特許-核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置 図4
  • 特許-核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置 図5
  • 特許-核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置 図6
  • 特許-核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置 図7
  • 特許-核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置 図8
  • 特許-核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置 図9
  • 特許-核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置 図10
  • 特許-核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置 図11
  • 特許-核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置 図12
  • 特許-核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20221212BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20221212BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20221212BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
A61M37/00 505
A61M37/00 520
A61K9/70 401
A61K31/7088
A61P17/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021166239
(22)【出願日】2021-10-08
(62)【分割の表示】P 2018553442の分割
【原出願日】2017-04-14
(65)【公開番号】P2022008985
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-11-08
(31)【優先権主張番号】10-2016-0046275
(32)【優先日】2016-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0117332
(32)【優先日】2016-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518356279
【氏名又は名称】エーディーエムバイオサイエンス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジュン-ホ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ユン ウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ソ ヒ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジュンヒョク
(72)【発明者】
【氏名】チェ,デ-グン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジ ヘ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジュ ヨン
【審査官】大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-278444(JP,A)
【文献】特開2015-217043(JP,A)
【文献】特表2013-532997(JP,A)
【文献】特表2004-531578(JP,A)
【文献】特開2011-156370(JP,A)
【文献】特開2011-172968(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0027837(US,A1)
【文献】Journal of Controlled Release,2012年,Vol.161,p.645-655
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M、A61K、A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
100重量部の蒸留水又は100重量部の脱イオン水に0.5重量部~5重量部の核酸をパウダー形態で投入することによって混合液を形成する混合段階;
前記混合段階を経た混合液を撹拌する撹拌段階;
完成する核酸フィルムの形態に対応する成形モールドに前記混合液を塗布する混合液塗布段階;及び
前記成形モールドに塗布された前記混合液が前記核酸フィルムに変化するように前記成形モールドに塗布された前記混合液を乾燥させる乾燥段階;を含み、
前記成形モールドには、厚さ方向に向かって陥没する溝部が形成され、
前記乾燥段階を経た前記核酸フィルムには、前記溝部に対応して前記核酸フィルムの一側表面から人体の皮膚に向かって突出する突出部が形成され、
前記乾燥段階後、前記成形モールドから前記核酸フィルムを分離させるフィルム獲得段階;をさらに含む製造方法によって製造される核酸フィルム;
前記核酸フィルムに積層される仕上げフィルム;及び
前記核酸フィルムと前記仕上げフィルムとの間に充填される薬物;を含む、核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
【請求項2】
前記核酸フィルムと前記仕上げフィルムとの間に積層される境界フィルム;及び
前記境界フィルムと前記仕上げフィルムとの間に充填され、蒸留水又は脱イオン水からなる分解液;をさらに含み、
前記仕上げフィルムには、前記境界フィルムに向かって前記境界フィルムを穿孔する穿孔針が突出形成され、
前記薬物は、前記核酸フィルムと前記の境界フィルムとの間に充填される、請求項に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
【請求項3】
100重量部の蒸留水又は100重量部の脱イオン水に0.5重量部~5重量部のパウダー形態の核酸及び1重量部~100重量部の液状、パウダー又はカプセルの形態の薬物を投入することによって混合液を形成する混合段階;
前記混合段階を経た混合液を撹拌する撹拌段階;
完成する核酸フィルムの形態に対応する成形モールドに前記混合液を塗布する混合液塗布段階;及び
前記成形モールドに塗布された前記混合液が前記核酸フィルムに変化するように前記成形モールドに塗布された前記混合液を乾燥させる乾燥段階;を含み、
前記成形モールドには、厚さ方向に向かって陥没する溝部が形成され、
前記乾燥段階を経た前記核酸フィルムには、前記溝部に対応して前記核酸フィルムの一側表面から人体の皮膚に向かって突出する突出部が形成され、
前記乾燥段階後、前記成形モールドから前記核酸フィルムを分離させるフィルム獲得段階であって、ここで、当該フィルム獲得段階における前記核酸フィルムは、核酸と薬物から構成される、フィルム獲得段階;
をさらに含む製造方法によって製造される核酸フィルムを含む、核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
【請求項4】
前記核酸フィルムに積層される境界フィルム;
前記境界フィルムに積層され、前記境界フィルムを穿孔する穿孔針が前記境界フィルムに向かって突出形成される仕上げフィルム;及び
前記境界フィルムと前記仕上げフィルムとの間に充填され、蒸留水又は脱イオン水からなる分解液;をさらに含む、請求項に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
【請求項5】
前記核酸フィルムの一側には、人体の皮膚に向かうようにマイクロニードルが突出する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
【請求項6】
前記核酸フィルムの他側には、前記マイクロニードルに対応してバッファ溝が陥没形成される、請求項に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
【請求項7】
前記核酸フィルムの一側には、前記マイクロニードルの端部が露出するコーティング層をさらに含む、請求項に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
【請求項8】
前記核酸フィルムの他側には、前記マイクロニードルに対応する部分が開口されたコーティング層をさらに含む、請求項に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
【請求項9】
前記核酸フィルムの一側には、人体の皮膚に向かうように薬物伝達部が突出し、
前記薬物伝達部には、前記薬物が排出されるように薬物注入ホールが貫通形成される、請求項に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
【請求項10】
前記核酸フィルムの一側には、前記薬物伝達部の端部が露出するコーティング層をさらに含む、請求項に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
【請求項11】
前記核酸フィルムの他側には、前記薬物注入ホールに対応する部分が開口されたコーティング層をさらに含む、請求項に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
【請求項12】
前記核酸フィルムの一側には、薬物注入ホールが開閉されるように前記核酸フィルムの一側に着脱可能な保護フィルムをさらに含む、請求項に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置に関し、より詳細には、皮膚を横切って薬物の拡散に依存する経皮伝達技術で核酸フィルムを適用することによって、皮膚トラブルを防止し、薬物の皮膚への浸透度を向上できる核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ほとんどの薬物は経口投与される。しかし、一部の薬物、特にタンパク質及びペプチド薬物は、胃腸管内での激しい分解、腸細胞膜での貧弱な吸収及び/又は肝臓による初回通過の中断のため、この方法では効果的に吸着できない。
【0003】
別の薬物投与技術は、標準シリンジ又はカテーテルを使用する非経口注入である。注射針注入は、多くの患者らに注射針恐怖症、実質的な痛み、皮膚への局所的な損傷を起こす。診断目的のための血液などの体液の回収も類似する不安を引き起こす。また、注射針注入は、薬物の持続的な伝達又は継続的な診断のためには理想的でない。
【0004】
更に他の薬物伝達技術は、通常、皮膚を横切って薬物の拡散に依存する経皮伝達である。この方法は、多くの薬物において皮膚透過性が不足するため広く適用されていない。皮膚の最外層である角質層は経皮薬物浸透に対する主な障壁を示す。一旦、薬物が真皮の深さ(上皮層の下側)に到達すると、薬物は、血液循環を通じて深い組織層及び身体の他の部分に迅速に拡散される。
【0005】
皮膚を介したタンパク質薬物伝達速度を改善するための試みにおいて、化学的エンハンサー、イオン浸透療法(iontophoresis)、電気穿孔法(electroporation)、超音波及び熱素子が薬物伝達を補充する際に使用された。しかし、これらの技術は、一部の薬物の形態に適しておらず、しばしば治療的水準の伝達を提供できない。これらの技術は、時々所望しない皮膚反応を引き起こし、数時間又は数日の期間にわたって薬物を伝達するにおいて、薬物伝達の制御に実用的でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一側面は、皮膚を横切って薬物の拡散に依存する経皮伝達技術で核酸フィルムを適用することによって、皮膚トラブルを防止し、薬物の皮膚への浸透度を向上できる核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例に係る核酸フィルムの製造方法は、蒸留水又は脱イオン水に核酸をパウダーの形態で投入することによって混合液を形成する混合段階;前記混合段階を経た混合液を撹拌する撹拌段階;完成する核酸フィルムの形態に対応する成形モールドに前記混合液を塗布する混合液塗布段階;及び前記成形モールドに塗布された前記混合液が前記核酸フィルムに変化するように前記成形モールドに塗布された前記混合液を乾燥させる乾燥段階;を含み、前記成形モールドには、厚さ方向に向かって陥没する溝部が形成され、前記乾燥段階を経た前記核酸フィルムには、前記溝部に対応して前記核酸フィルムの一側表面から人体の皮膚に向かって突出する突出部が形成される。
【0008】
前記乾燥段階後、前記突出部の端部が露出するように前記核酸フィルムの一側にコーティング層を形成する傾斜蒸着段階をさらに含んでもよい。
【0009】
前記混合液塗布段階前に、前記溝部の端部を除いて前記成形モールドにコーティング層を形成する傾斜蒸着段階をさらに含んでもよい。
【0010】
前記乾燥段階後、前記突出部に対応する部分が開口されるように前記核酸フィルムの他側にコーティング層を形成する傾斜蒸着段階をさらに含んでもよい。
【0011】
前記傾斜蒸着段階後、前記コーティング層を覆うように仕上げ液を塗布する仕上げ塗布段階;及び前記仕上げ液が仕上げ層に変化するように前記仕上げ液を乾燥させる仕上げ乾燥段階;をさらに含んでもよい。
【0012】
前記乾燥段階後、前記成形モールドから前記核酸フィルムを分離させるフィルム獲得段階;前記混合液塗布段階前に、完成する前記核酸フィルムの形態に対応して前記成形モールドを加工するモールド準備段階;及び前記混合液塗布段階前に、前記成形モールドの表面に対して疎水性処理を施す表面処理段階;のうち少なくともいずれか一つをさらに含んでもよい。
【0013】
前記混合段階には、前記混合液に1重量部~100重量部の薬物を液状、パウダー又はカプセルの形態でさらに投入してもよい。
【0014】
前記核酸は、水産物の加工によって形成される水産加工副産物、及び植物の加工によって形成される農産加工副産物のうち少なくともいずれか一つから抽出されてもよい。
【0015】
本発明の一実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置は、人体の皮膚と接触するように上述した製造方法によって製造される核酸フィルム;前記核酸フィルムに積層される仕上げフィルム;及び前記核酸フィルムと前記仕上げフィルムとの間に充填される薬物;を含む。
【0016】
前記核酸フィルムと前記仕上げフィルムとの間に積層される境界フィルム;及び前記境界フィルムと前記仕上げフィルムとの間に充填され、蒸留水又は脱イオン水からなる分解液;をさらに含み、前記仕上げフィルムには、前記境界フィルムに向かって前記境界フィルムを穿孔する穿孔針が突出形成され、前記薬物は、前記核酸フィルムと前記境界フィルムとの間に充填されてもよい。
【0017】
本発明の一実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置は、前記混合段階において、前記混合液に1重量部~100重量部の薬物を液状、パウダー又はカプセルの形態でさらに投入する製造方法によって製造される核酸フィルムを含む。
【0018】
前記核酸フィルムに積層される境界フィルム;前記境界フィルムに積層され、前記境界フィルムを穿孔する穿孔針が前記境界フィルムに向かって突出形成される仕上げフィルム;及び前記境界フィルムと前記仕上げフィルムとの間に充填され、蒸留水又は脱イオン水からなる分解液;をさらに含んでもよい。
【0019】
前記核酸フィルムの一側には、人体の皮膚に向かうようにマイクロニードルが突出してもよい。
【0020】
前記核酸フィルムの他側には、前記マイクロニードルに対応してバッファ溝が陥没形成されてもよい。
【0021】
前記核酸フィルムの一側には、前記マイクロニードルの端部が露出するコーティング層をさらに含んでもよい。
【0022】
前記核酸フィルムの他側には、前記マイクロニードルに対応する部分が開口されたコーティング層をさらに含んでもよい。
【0023】
前記核酸フィルムの一側には、人体の皮膚に向かうように薬物伝達部が突出し、前記薬物伝達部には、前記薬物が排出されるように薬物注入ホールが貫通形成されてもよい。
【0024】
前記核酸フィルムの一側には、前記薬物伝達部の端部が露出するコーティング層をさらに含んでもよい。
【0025】
前記核酸フィルムの他側には、前記薬物注入ホールに対応する部分が開口されたコーティング層をさらに含んでもよい。
【0026】
前記核酸フィルムの一側には、薬物注入ホールが開閉されるように前記核酸フィルムの一側に着脱可能な保護フィルムをさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一実施例に係る核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置によると、皮膚を横切って薬物の拡散に依存する経皮伝達技術で核酸フィルムを適用することによって、皮膚トラブルを防止し、薬物の皮膚への浸透度を向上させることができる。
【0028】
また、核酸フィルムにおいてマイクロニードル、バッファ溝及び薬物注入ホールが貫通形成された薬物伝達部を簡単に形成することができ、核酸フィルムの厚さを一定に形成することができる。
【0029】
また、核酸フィルムの形状を長期間維持させることができる。
【0030】
また、核酸フィルムに異物が混合されることを防止し、核酸フィルムの分解度を向上させることができる。
【0031】
また、核酸フィルムに分解液を安定的に供給し、薬物の供給を安定化させることができる。
【0032】
また、薬物の投入形態によるパターンを形成することができ、パターンによって薬物の投入量を調節することができる。
【0033】
また、薬物注入ホールから薬物が漏れることを防止し、且つ薬物に異物が混入することを防止し、核酸フィルムを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第1実施例に係る核酸フィルムの製造方法を示したフローチャートである。
図2】本発明の第1実施例に係る核酸フィルムの製造方法による工程状態を示した図である。
図3】本発明の第1実施例に係る核酸フィルムの製造方法に使用される成形モールドを示した断面図である。
図4】本発明の第1実施例に係る核酸フィルムに備えられるマイクロニードルを示した写真である。
図5】本発明の第1実施例に係る核酸フィルムの製造方法において核酸フィルムに直接コーティング層を形成する工程状態を示した図である。
図6】本発明の第2実施例に係る核酸フィルムの製造方法を示したフローチャートである。
図7】本発明の第2実施例に係る核酸フィルムの製造方法において成形モールドにコーティング層を形成し、核酸フィルムにコーティング層を形成する工程状態を示した図である。
図8】本発明の第3実施例に係る核酸フィルムの製造方法を示したフローチャートである。
図9】本発明の第3実施例に係る核酸フィルムの製造方法において核酸フィルムにコーティング層が内蔵される工程状態を示した図である。
図10】本発明の第1実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置を示した断面図である。
図11】本発明の第2実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置を示した断面図である。
図12】本発明の第3実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置を示した断面図である。
図13】本発明の第4実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付の図面を参考にして、本発明の実施例について、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態に具現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0036】
図面において、本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略しており、明細書全体にわたって同一又は類似する構成要素については同一の参照符号を付した。
【0037】
明細書全体において、一つの部分が他の部分と「連結」されているとした場合、これは、「直接連結」されている場合のみならず、他の部材を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。また、一つの部分が一つの構成要素を「含む」とした場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0038】
明細書全体にわたって層、膜、領域、板などの部分が他の部分「~上に」あるとした場合、他の部分の「真上上に」ある場合のみならず、その中間に他の部分がある場合も含む。そして、「~上に」ということは、対象部分の上側又は下側に位置することを意味し、必ずしも重力方向を基準にして上側に位置することを意味するのではない。
【0039】
以下では、本発明の第1実施例に係る核酸フィルムの製造方法について説明する。図1は、本発明の第1実施例に係る核酸フィルムの製造方法を示したフローチャートで、図2は、本発明の第1実施例に係る核酸フィルムの製造方法による工程状態を示した図で、図3は、本発明の第1実施例に係る核酸フィルムの製造方法に使用される成形モールドを示した断面図で、図4は、本発明の第1実施例に係る核酸フィルムに備えられるマイクロニードルを示した写真で、図5は、本発明の第1実施例に係る核酸フィルムの製造方法で核酸フィルムに直接コーティング層を形成する工程状態を示した図である。
【0040】
ここで、図3の(a)は、成形モールド5のうち針溝311が形成された第1モールド301を示す図で、図3の(b)は、成形モールド5のうちバッファ形成溝312及び針溝311が形成された第2モールド302を示す図で、図3の(c)は、成形モールド5のうち伝達溝313及び注入突起314が形成された第3モールド303を示す図である。
【0041】
また、図5の上部は、完成した核酸フィルム10にコーティング層15を形成する傾斜蒸着工程を示す図で、図5の下部は、完成した核酸フィルム10にコーティング層15が固定された状態を示す図である。
【0042】
図1図5を参照すると、本発明の第1実施例に係る核酸フィルムの製造方法は、パウダー形態の核酸1bを用いて核酸フィルム10を製造する方法である。
【0043】
ここで、前記核酸1bは、水産物の加工によって形成される水産加工副産物、及び植物の加工によって形成される農産加工副産物のうち少なくともいずれか一つから抽出される。
【0044】
一例として、水産加工副産物は、サケの精巣、サケの皮、スケソウダラの精巣、カニの甲殼、イカの墨、これらの混合物などからなってもよい。
【0045】
他の例として、農産加工副産物は、ビール酵母、米酵母、小麦酵母などの穀物又は種の酵母、これらの混合物などからなってもよい。
【0046】
ここで、核酸1bは、水産加工副産物のうちサケから抽出されるサケ核酸を含んでもよい。核酸1bがサケ核酸を含む場合、サケ核酸に含有されたPDRN(Poly Deoxy Ribo Nucleotide)成分により、特定薬物の混合がなくても、傷及び傷跡の治療、皮膚再生の役に立つ。また、人体の皮膚から薬物注入装置を除去した後、マイクロニードルによる皮膚の傷を迅速に治癒する際に役立つ。
【0047】
本発明の第1実施例に係る核酸フィルムの製造方法は、混合段階(S1)、撹拌段階(S2)、混合液塗布段階(S3)及び乾燥段階(S4)を含む。
【0048】
前記混合段階(S1)は、混合容器1において水溶液1aに核酸1bを投入することによって混合液を形成する。
【0049】
混合容器1は、底に行くほど幅が狭くなる形態を示すことによって、水溶液1a及び核酸1bを安定的に撹拌させることができる。このとき、水溶液1aは、蒸留水又は脱イオン水からなり、核酸1bはパウダー形態からなる。
【0050】
そうすると、100重量部の水溶液1a(蒸留水又は脱イオン水)に0.5重量部~5重量部の核酸1bを投入することによって混合液を形成するようになる。前記核酸1bの投入量は、最終的に完成する前記核酸フィルム10の厚さによって調節することができる。
【0051】
一例として、核酸1bの投入量は、0.5重量部~2重量部であってもよく、1重量部~3重量部であってもよく、0.5重量部~3重量部であってもよい。換言すると、核酸1bの投入量は0.5重量部~5重量部の範囲で0.5重量部単位で変更可能である。
【0052】
核酸1bの投入量が既に設定された数値限定範囲から逸脱する場合は、最終的に完成する核酸フィルム10に穴が発生したり、フィルム形状を示さなかったり、最終的に完成する核酸フィルム10に亀裂が発生し得る。また、最終的に完成する核酸フィルム10を使用するにおいて分解時間を延長させ、薬物の皮膚への浸透を遅延させるという問題が発生し得る。
【0053】
しかし、核酸1bの投入量が既に設定された数値限定範囲内である場合は、最終的に完成する核酸フィルム10が安定したフィルム形状を示し、最終的に完成する核酸フィルム10で亀裂が発生することを防止することができ、既に設定された時間内に最終的に完成する核酸フィルム10を後述する分解液50で簡単に分解することができ、薬物の皮膚への浸透度を向上させることができる。
【0054】
混合容器1は、脱イオン水、イソプロピルアルコール、アセトン及び脱イオン水の順に洗浄した後、水溶液1aと核酸1bとを混合することによって、水溶液1a及び核酸1bの汚染を防止することができる。
【0055】
特に、混合段階(S1)において、混合液には1重量部~100重量部の薬物40を液状、パウダー又はカプセルの形態でさらに投入してもよい。すなわち、薬物40の投入量は、1重量部~100重量部の範囲で0.5重量部単位で変更可能である。薬物40の投入量は、人体の皮膚に浸透される量によって調節できる。
【0056】
そうすると、水溶液1aには核酸1bと薬物40が全て混合され、最終的に完成する核酸フィルム10には核酸1bと薬物40とが一体に構成され得る。
【0057】
前記撹拌段階(S2)は、混合段階(S1)を経た前記混合液を撹拌する。撹拌段階(S2)は、混合容器1の入口をパラフィルム(parafilm)などの封印材4で密封し、撹拌ユニット2で混合液を撹拌する。
【0058】
一例として、撹拌ユニット2として磁石撹拌機を使用することによって、混合容器1には脱イオン水で洗浄されたマグネット3を浸漬させてもよい。このとき、マグネット3は封印材4によって密封されてもよい。
【0059】
撹拌段階(S2)において、混合液は一方向のみに回転しながらコーン形状を維持することによって、混合液において核酸1bを均一に混合させる。
【0060】
撹拌段階(S2)は、600rpm~1000rpmの回転速度で10時間~24時間にわたって撹拌する。一例として、撹拌段階(S2)は、700rpmの回転速度で1時間~1.5時間にわたって撹拌し、900rpmの回転速度で9時間~10時間にわたってさらに撹拌してもよい。
【0061】
そして、撹拌段階(S2)は、紫外線及び太陽光が遮断された空間で残りの時間放置し、混合液の混合状態を安定化させることができる。
【0062】
前記混合液塗布段階(S3)は、撹拌段階(S2)を経て撹拌された混合液を成形モールド5に塗布する。成形モールド5は、最終的に完成する核酸フィルム10の形態に対応して必要な形状を示すことができる。
【0063】
成形モールド5に塗布される混合液の量は、最終的に完成する核酸フィルム10の大きさ及び厚さによって調節され得る。
【0064】
混合液塗布段階(S3)では、混合液を成形モールド5に塗布した状態で約1時間ほど(55分~70分)真空処理することによって、成形モールド5で混合液の塗布状態を安定化させ、混合液の乾燥を促進させることができる。
【0065】
前記乾燥段階(S4)は、成形モールド5に塗布された混合液が核酸フィルム10に変化するように成形モールド5に塗布された混合液を乾燥させる。乾燥段階(S4)は、混合液が塗布された成形モールド5を乾燥ユニット7で一定温度で一定時間にわたって乾燥させる。
【0066】
乾燥段階(S4)は、40℃~60℃を維持する乾燥ユニット7で2日~4日間乾燥させてもよい。一例として、乾燥段階(S4)は、45℃~50℃を維持する乾燥ユニット7で3日~4日間乾燥させてもよい。ここで、乾燥段階(S4)の温度が臨界温度より低い場合は乾燥にかかる時間が増加し、乾燥段階(S4)の温度が臨界温度より高い場合は完成した核酸フィルム10に亀裂などの不良の原因が発生し得る。
【0067】
したがって、乾燥段階(S4)は、上述した臨界温度範囲内で一定時間にわたって乾燥することによって、安定した核酸フィルム10を完成することができる。
【0068】
乾燥段階(S4)は、ピペッティングユニット8を通じて成形モールド5で乾燥する混合液からバブルを除去することができる。
【0069】
本発明の第1実施例に係る核酸フィルムの製造方法は、表面処理段階(S5)、モールド準備段階(S6)、フィルム獲得段階(S7)及び傾斜蒸着段階(S8)のうち少なくともいずれか一つをさらに含んでもよい。
【0070】
前記表面処理段階(S5)は、混合液塗布段階(S3)前に、成形モールド5の表面に対して疎水性処理を施す。表面処理段階(S5)は、酸素プラズマが発生する表面処理ユニット6を通じて成形モールド5の表面に対して疎水性処理を施してもよい。表面処理段階(S5)は、表面処理ユニット6を経た成形モールド5を1日ほど室温で乾燥させてもよい。
【0071】
表面処理段階(S5)を経ることによって成形モールド5の表面を親水性から疎水性に変化させ、混合液を成形モールド5に均一な厚さで塗布させる。
【0072】
成形モールド5の表面が疎水性を示すことによって、混合液と成形モールド5との間に仮想の膜を形成し、完成する核酸フィルム10を成形モールド5から安全に分離させることができる。
【0073】
前記モールド準備段階(S6)は、混合液塗布段階(S3)前に、より詳細には、表面処理段階(S5)前に、完成する核酸フィルム10の形態に対応して成形モールド5を加工する。
【0074】
一例として、モールド準備段階(S6)は、表面が平らな成形モールド5を加工してもよい。
【0075】
他の例として、モールド準備段階(S6)は、成形モールド5に針溝311を陥没形成してもよい。このような成形モールド5は第1モールド301で構成され得る。すなわち、第1モールド301の表面には、図3の(a)に示したように、厚さ方向に沿って幅が狭くなる針溝311を陥没形成してもよい。これによって、最終的に完成する核酸フィルム10にはマイクロニードル11が突出形成される。
【0076】
更に他の例として、モールド準備段階(S6)は、成形モールド5にバッファ形成溝312を陥没形成してもよい。このような成形モールド5は第2モールド302で構成され得る。すなわち、第2モールド302の表面には、図3の(b)に示したように、後述する薬物40が収容される最終的に完成する核酸フィルム10の一部に対応するバッファ形成溝312を陥没形成してもよい。そして、バッファ形成溝312には針溝311がさらに陥没形成されてもよい。これによって、最終的に完成する核酸フィルム10には、人体の皮膚に向かってバッファ溝12が凸状に形成される一方、バッファ溝12の外周面に人体の皮膚に向かってマイクロニードル11が突出形成される。
【0077】
更に他の例として、モールド準備段階(S6)は、成形モールド5に伝達溝313を陥没形成する一方、伝達溝313に注入突起314を突出形成してもよい。このような成形モールド5は第3モールド303で構成され得る。すなわち、第3モールド303の表面には、図3の(c)に示したように、厚さ方向に沿って幅が狭くなる伝達溝313を陥没形成する一方、伝達溝313から注入突起314が突出形成されてもよい。これによって、最終的に完成する核酸フィルム10には、薬物伝達部13が突出形成される一方、薬物伝達部13に薬物注入ホール14が貫通形成される。
【0078】
前記フィルム獲得段階(S7)は、乾燥段階(S4)を経ることによって成形モールド5から核酸フィルム10を分離させる。フィルム獲得段階(S7)を経ることによって、既に設定された厚さの核酸フィルム10を獲得することができる。ここで、核酸フィルム10は、10nm~数百μmの厚さで形成してもよい。一例として、核酸フィルム10は数百nmの厚さで形成してもよい。
【0079】
前記傾斜蒸着段階(S8)は、最終的に完成する核酸フィルム10にコーティング層15を形成する。コーティング層15は、無機物又は有機物を含み、後述する分解液50で分解されず、人体に無害な物質で構成され得る。一例として、コーティング層15は、金、銀などの物質を主原料として含んでもよい。傾斜蒸着段階(S8)を経ることによって、核酸フィルム10の形状を安定的に維持させることができる。特に、傾斜蒸着段階(S8)を経ることによって、核酸フィルム10から突出形成されるマイクロニードル11、バッファ溝12及び薬物伝達部13の形状を長時間維持させることができ、核酸フィルム10の平らな状態又は核酸フィルム10が人体に密着した状態を長時間維持させることができる。
【0080】
傾斜蒸着段階(S8)は、図1及び図5に示したように、成形モールド5のうち第1モールド301、第2モールド302又は第3モールド303に対して乾燥段階(S4)又はフィルム獲得段階(S7)を経て最終的に完成する核酸フィルム10に対して実施する。
【0081】
このとき、乾燥段階(S4)又はフィルム獲得段階(S7)を経て最終的に完成する核酸フィルム10には、人体の皮膚に向かって延長形成されるマイクロニードル11又は薬物伝達部13が含まれる。
【0082】
そうすると、傾斜蒸着段階(S8)は、マイクロニードル11の端部が露出するように少なくともマイクロニードル11を覆ったり、薬物伝達部13の端部が露出するように少なくとも薬物伝達部13を覆うコーティング層15を形成する。特に、薬物伝達部13が形成された核酸フィルム10では、コーティング層15によって後述する薬物注入ホール14が塞がれることを防止する。
【0083】
傾斜蒸着段階(S8)には、第1蒸着補助部材15aでマイクロニードル11の端部を覆った状態でコーティング層15が少なくともマイクロニードル11を覆ってもよい。また、傾斜蒸着段階(S8)には、第1蒸着補助部材15aで薬物伝達部13の端部を覆った状態でコーティング層15が少なくとも薬物伝達部13を覆ってもよい。そして、傾斜蒸着段階(S8)でコーティング層15を形成した後、核酸フィルム10から第1蒸着補助部材15aを分離する。
【0084】
第一、マイクロニードル11の端部又は薬物伝達部13の端部が露出することは、第1モールド301を用いて完成した核酸フィルム10に対してコーティング層15が次のように形成されることを含む。コーティング層15は、マイクロニードル11の端部を除いたマイクロニードル11のみを覆ってもよく、マイクロニードル11の端部を除いたマイクロニードル11及びこれを含む核酸フィルム10の一側面の一部を覆ってもよく、マイクロニードル11の端部を除いたマイクロニードル11及びこれを含む核酸フィルム10の一側面全体を覆ってもよい。
【0085】
第二、マイクロニードル11の端部又は薬物伝達部13の端部が露出することは、第2モールド302を用いて完成した核酸フィルム10に対してコーティング層15が次のように形成されることを含む。コーティング層15は、バッファ溝12の外周面のみを覆ってもよく、バッファ溝12の外周面及びマイクロニードル11の端部を除いたマイクロニードル11のみを覆ってもよく、少なくともバッファ溝12の外周面及びこれを含む核酸フィルム10の一側面の一部を覆ってもよく、少なくともバッファ溝12の外周面及びこれを含む核酸フィルム10の一側面全体を覆ってもよい。
【0086】
第三、マイクロニードル11の端部又は薬物伝達部13の端部が露出することは、第3モールド303を用いて完成した核酸フィルム10に対してコーティング層15が次のように形成されることを含む。コーティング層15は、薬物伝達部13の端部を除いた薬物伝達部13のみを覆ってもよく、薬物伝達部13の端部を除いた薬物伝達部13及びこれを含む核酸フィルム10の一側面の一部を覆ってもよく、薬物伝達部13の端部を除いた薬物伝達部13及びこれを含む核酸フィルム10の一側面全体を覆ってもよい。
【0087】
そうすると、本発明の第1実施例に係る核酸フィルムの製造方法は、最終的に完成する核酸フィルム10において、マイクロニードル11、バッファ溝12、及び薬物注入ホール14が形成された薬物伝達部13にコーティング層を形成することができる。
【0088】
傾斜蒸着段階(S8)は、傾斜蒸着、部分めっき、部分コーティング、スパッタリングなどの多様な形態を通じてマイクロニードル11の端部又は薬物伝達部13の端部を露出させ得る。本発明の第1実施例では、傾斜蒸着を通じてマイクロニードル11の端部又は薬物伝達部13の端部を露出させてもよい。これによって、傾斜蒸着段階(S8)には、コーティング層15を硬化させる工程が含まれる。
【0089】
そうすると、最終的に完成する核酸フィルム10には、マイクロニードル11の端部又は薬物伝達部13の端部が露出するようにコーティング層15が形成される。
【0090】
以下では、本発明の第2実施例に係る核酸フィルムの製造方法について説明する。図6は、本発明の第2実施例に係る核酸フィルムの製造方法を示したフローチャートで、図7は、本発明の第2実施例に係る核酸フィルムの製造方法で成形モールドにコーティング層を形成し、核酸フィルムにコーティング層を形成する工程状態を示した図である。
【0091】
ここで、図7の上部は、成形モールド5にコーティング層15が形成された状態を示す図で、図7の中間は、コーティング層15が形成された成形モールド5に核酸フィルム10が積層された状態を示す図で、図7の下部は、核酸フィルム10にコーティング層15が固定された状態で成形モールド5から核酸フィルム10及びコーティング層15が分離された状態を示す図である。
【0092】
図6及び図7を参照すると、本発明の第2実施例に係る核酸フィルムの製造方法は、混合段階(S1)、撹拌段階(S2)、混合液塗布段階(S3)及び乾燥段階(S4)を含む。
【0093】
また、本発明の第2実施例に係る核酸フィルムの製造方法は、表面処理段階(S5)、モールド準備段階(S6)、フィルム獲得段階(S7)及び傾斜蒸着段階(S8)のうち少なくともいずれか一つをさらに含んでもよい。
【0094】
本発明の第2実施例に係る核酸フィルムの製造方法において、本発明の第1実施例に係る核酸フィルムの製造方法と同一の構成については同一の図面符号を付し、これに対する説明は省略する。
【0095】
但し、前記傾斜蒸着段階(S8)は、成形モールド5にコーティング層15を形成した後、核酸フィルム10にコーティング層15を固定させる。
【0096】
傾斜蒸着段階(S8)は、図6及び図7に示したように、成形モールド5のうち第1モールド301又は第2モールド302に対して混合液塗布段階(S3)前に実施される。換言すると、傾斜蒸着段階(S8)は、成形モールド5のうち第1モールド301、第2モールド302又は第3モールド303に対して表面処理段階(S5)と混合液塗布段階(S3)との間に実施される。
【0097】
このとき、モールド準備段階(S6)を経ることによって、成形モールド5には、厚さ方向に沿って幅が狭くなるように陥没形成された針溝311が含まれる。
【0098】
そうすると、傾斜蒸着段階(S8)は、混合液塗布段階(S3)前に、針溝311の端部を除いて少なくとも針溝311の入口部にコーティング層15を形成する。
【0099】
一例として、針溝311の端部を除くことは、第1モールド301に対してコーティング層15が次のように形成されることを含む。コーティング層15は、針溝311の入口部にのみ形成されてもよく、針溝311の入口部及びこれを含む成形モールド5の一側面の一部に形成されてもよく、針溝311の入口部及びこれを含む成形モールド5の一側面全体に形成されてもよい。
【0100】
他の例として、針溝311の端部を除くことは、第2モールド302に対してコーティング層15が次のように形成されることを含む。コーティング層15は、バッファ形成溝312に形成されてもよい。コーティング層15は、バッファ形成溝312にのみ形成されてもよく、バッファ形成溝312及び針溝311の入口部に形成されてもよく、少なくともバッファ形成溝312及びこれを含む成形モールド5の一側面の一部に形成されてもよく、少なくともバッファ形成溝312及びこれを含む成形モールド5の一側面全体に形成されてもよい。
【0101】
更に他の例として、針溝311の端部を除くことは、第3モールド303に対してコーティング層15が次のように形成されることを含む。コーティング層15は伝達溝313に形成されてもよい。コーティング層15は、伝達溝313にのみ形成されてもよく、少なくとも伝達溝313及びこれを含む成形モールド5の一側面の一部に形成されてもよく、少なくとも伝達溝313及びこれを含む成形モールド5の一側面全体に形成されてもよい。このとき、注入突起314はコーティング層15の形成過程に干渉されない。
【0102】
図面に示していないが、傾斜蒸着段階(S8)には、別途の蒸着補助部材(図示せず)を用いて針溝311の端部、バッファ形成溝312の端部、伝達溝313の端部を閉鎖した状態でコーティング層15を針溝311又は伝達溝313の入口部に形成した後、別途の蒸着補助部材(図示せず)を分離してもよい。
【0103】
傾斜蒸着段階(S8)は、傾斜蒸着、部分めっき、部分コーティング、スパッタリングなどの多様な形態を通じて針溝311の端部、バッファ形成溝312の端部及び伝達溝313の端部を除外させることができる。本発明の第2実施例では、傾斜蒸着を通じてコーティング層15を形成してもよい。傾斜蒸着段階(S8)には、コーティング層15を硬化させる工程が含まれる。
【0104】
そして、混合液塗布段階(S3)を経ることによって、混合液は、針溝311に充填されることはもちろん、成形モールド5に塗布される。また、乾燥段階(S4)を経ることによって、最終的に完成する核酸フィルム10にはコーティング層15が一体に形成される。これによって、フィルム獲得段階(S7)は、成形モールド5から一体化された核酸フィルム10とコーティング層15を同時に分離させる。
【0105】
そうすると、最終的に完成する核酸フィルム10には、針溝311によって形成されたマイクロニードル11の端部が露出するようにコーティング層15が形成される。
【0106】
以下では、本発明の第3実施例に係る核酸フィルムの製造方法について説明する。図8は、本発明の第3実施例に係る核酸フィルムの製造方法を示したフローチャートで、図9は、本発明の第3実施例に係る核酸フィルムの製造方法で核酸フィルムにコーティング層が内蔵される工程状態を示した図である。
【0107】
ここで、図9の最上部は、核酸フィルム10にバッファ溝12が形成された状態を示す図で、図9の中間上部は、バッファ溝12が形成された核酸フィルム10にコーティング層15が積層された状態を示す図で、図9の中間下部は、核酸フィルム10にコーティング層15が積層された状態で仕上げ層100が積層された状態を示す図で、図9の最下部は、核酸フィルム10にコーティング層15及び仕上げ層100が固定された状態で核酸フィルム10から成形モールド5が分離された状態を示す図である。
【0108】
図8及び図9を参照すると、本発明の第3実施例に係る核酸フィルムの製造方法は、混合段階(S1)、撹拌段階(S2)、混合液塗布段階(S3)及び乾燥段階(S4)を含む。
【0109】
また、本発明の第3実施例に係る核酸フィルムの製造方法は、表面処理段階(S5)、モールド準備段階(S6)及びフィルム獲得段階(S7)のうち少なくともいずれか一つをさらに含んでもよい。
【0110】
本発明の第3実施例に係る核酸フィルムの製造方法において、本発明の第1実施例又は第2実施例に係る核酸フィルムの製造方法と同一の構成については同一の図面符号を付し、これに対する説明は省略する。
【0111】
但し、本発明の第3実施例に係る核酸フィルムの製造方法は、傾斜蒸着段階(S8)をさらに含み、仕上げ塗布段階(S9)及び仕上げ乾燥段階(S10)をさらに含んでもよい。
【0112】
本発明の第3実施例では、核酸フィルム10にコーティング層15を積層し、これに仕上げ層100を積層することによって核酸フィルム10と仕上げ層100との間にコーティング層15を内蔵させる。
【0113】
一例として、最終的に完成する核酸フィルム10の一側面にはマイクロニードル11又は薬物伝達部13が形成される。これによって、傾斜蒸着段階(S8)は、マイクロニードル11又は薬物伝達部13に対応する部分が開口されるように核酸フィルム10の他側面にコーティング層15を形成する。次に、仕上げ塗布段階(S9)を通じてコーティング層15が形成された核酸フィルム10の他側面に仕上げ液を塗布し、仕上げ乾燥段階(S10)を通じて核酸フィルム10に塗布された仕上げ液が仕上げ層100に変わるように仕上げ液を乾燥させてもよい。そうすると、フィルム獲得段階(S7)では、コーティング層15と仕上げ層100が一体に形成された核酸フィルム10を獲得することができる。
【0114】
他の例として、傾斜蒸着段階(S8)前に、混合液塗布段階(S3)及び乾燥段階(S4)を経ることによって、核酸フィルム10の一側には人体の皮膚に向かって延長形成されるマイクロニードル11が含まれ、核酸フィルム10の他側にはマイクロニードル11に対応してバッファ溝12が陥没形成される。
【0115】
このとき、バッファ溝12は、上述したように、成形モールド5のうち第2モールド302を用いて形成してもよい。
【0116】
また、バッファ溝12は、図9の最上部に示したように、混合液塗布段階(S3)を経た後又は乾燥段階(S4)過程で、針溝311、バッファ形成溝312又は伝達溝313に針溝311、バッファ形成溝312又は伝達溝313の形態に対応する形態の溝形成部材(図示せず)を挿入してから、乾燥段階(S4)を経た後、溝形成部材10aを核酸フィルム10から分離することによって形成してもよい。このとき、溝形成部材10aの使用状態によって、核酸フィルム10にはバッファ溝12及びマイクロニードル11が形成されてもよく、薬物注入ホール14が形成された薬物伝達部13が形成されてもよい。
【0117】
そうすると、傾斜蒸着段階(S8)は、図8及び図9に示したように、乾燥段階(S4)を経た後、バッファ溝12の端部を除いて少なくともバッファ溝12の入口部にコーティング層15を形成する。
【0118】
ここで、バッファ溝12の端部を除くことは、バッファ溝12の端部を開口させることを意味し、核酸フィルム10に対して次のようにコーティング層15が形成されることを含む。コーティング層15は、バッファ溝12の入口部にのみ形成されてもよく、バッファ溝12の入口部及びこれを含む核酸フィルム10の他側面の一部に形成されてもよく、バッファ溝12の入口部及びこれを含む核酸フィルム10の他側面全体に形成されてもよい。
【0119】
図面に示していないが、バッファ溝12の端部を除くことは、薬物注入ホール14の開口状態を維持するように少なくとも薬物注入ホール14の内壁にコーティング層15を形成することを含む。
【0120】
図面に示していないが、傾斜蒸着段階(S8)には、別途の蒸着補助部材(図示せず)でバッファ溝12の端部を閉鎖した状態でコーティング層15をバッファ溝12の入口に形成した後、別途の蒸着補助部材(図示せず)を分離してもよい。
【0121】
傾斜蒸着段階(S8)は、傾斜蒸着、部分めっき,部分コーティング、スパッタリングなどの多様な形態を通じてバッファ溝12の端部を除外させることができる。本発明の第3実施例では、傾斜蒸着を通じてコーティング層15を形成してもよい。傾斜蒸着段階(S8)には、コーティング層15を硬化させる工程が含まれる。
【0122】
これに加えて、前記仕上げ塗布段階(S9)は、傾斜蒸着段階(S8)を経た後、核酸フィルム10にバッファ溝12を充填することはもちろん、コーティング層15を覆うように仕上げ液を塗布する。ここで、仕上げ液は、仕上げ層100を形成するためのものであって、核酸フィルムを形成するために上述した混合液を含んでもよく、水溶性機能性フィルムを形成するためにビタミン、コラーゲンなどが含有された混合液を含んでもよい。このとき、仕上げ液には、人体に吸収させるための薬物が含まれてもよい。
【0123】
前記仕上げ乾燥段階(S10)は、成形モールド5に塗布された仕上げ液が仕上げ層100に変化するように核酸フィルム10に塗布された仕上げ液を乾燥させる。これによって、仕上げ層100は、上述した核酸フィルムに形成されてもよく、別途の水溶性機能性フィルムに形成されてもよい。
【0124】
そうすると、フィルム獲得段階(S7)を経ることによって、最終的に完成した核酸フィルム10は、コーティング層15と仕上げ層100が一体化された状態になり得る。ここで、仕上げ層100と核酸フィルム10との間にコーティング層15が内蔵される構造を有するようになる。
【0125】
図面に示していないが、本発明の第3実施例のように核酸フィルム10にバッファ溝12を形成する方法を用いる場合、仕上げ層100にもバッファ溝12又は薬物注入ホール14が形成された薬物伝達部13を具現することができる。
【0126】
一例として、仕上げ層100のバッファ溝12又は薬物注入ホール14は、仕上げ塗布段階(S9)を経た後又は仕上げ乾燥段階(S10)過程で、仕上げ層100より先に核酸フィルム10に挿入した溝形成部材と異なる大きさの溝形成部材(図示せず)を挿入してから、仕上げ乾燥段階(S10)を経た後、溝形成部材を仕上げ層100から分離することによって形成してもよい。
【0127】
以下では、本発明の第1実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置について説明する。図10は、本発明の第1実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置を示した断面図である。図1図9及び図10を参照すると、本発明の第1実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置には、上述した製造方法によって製造された核酸フィルム10が適用される。
【0128】
本発明の第1実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置は、核酸フィルム10、仕上げフィルム30及び薬物40を含む。
【0129】
前記核酸フィルム10は、上述した核酸フィルムの製造方法によって製造され、人体の皮膚に接触させる。このとき、核酸フィルム10には、成形モールド5に形成された針溝311によってマイクロニードル11が突出形成されてもよい。マイクロニードル11は、人体の皮膚に向かうように核酸フィルム10の表面から延長形成されてもよい。
【0130】
ここで、マイクロニードル11は、核酸フィルム10の表面から断面積が次第に小さくなるようにし、上広下狭のコーン形状であってもよい。マイクロニードル11の最大直径、すなわち、核酸フィルム10の表面に隣接するマイクロニードルのベースの直径(マイクロニードル11の断面積が内接する仮想円の直径)は200μm~400μmで、マイクロニードル11の端部の直径は20μm~30μmで、マイクロニードル11の突出長さは200μm~300μmであってもよい。マイクロニードル11の限定数値範囲から逸脱する場合、マイクロニードル11の形状が崩れたり、核酸フィルム10で曲がるなどの問題が発生し得る。しかし、本発明の第1実施例でマイクロニードル11の大きさの数値を限定することによって、核酸フィルム10での突出形状を安定化させ、薬物40が皮膚へ浸透しやすくし、マイクロニードル11が曲がったり折れることを防止することができ、成形モールド5から核酸フィルム10を分離するとき、マイクロニードル11が折れることを防止することができる。
【0131】
図面に示していないが、核酸フィルム10には、マイクロニードル11の端部が露出するようにコーティング層15が形成される。ここで、核酸フィルム10に形成されるコーティング層15は、上述した核酸フィルムの製造方法で具現することができる。
【0132】
また、核酸フィルム10には、コーティング層15と共に仕上げ層100が形成されてもよい。ここで、核酸フィルム10に形成されるコーティング層15及び仕上げ層100は、上述した核酸フィルムの製造方法で具現することができる。
【0133】
コーティング層15が形成されることによってマイクロニードル11の強度を補強し、マイクロニードル11が曲がったり折れることを防止することができる。
【0134】
前記仕上げフィルム30は、核酸フィルム10に積層・支持される。ここで、仕上げフィルム30を限定することはなく、様々な形態を通じて前記薬物40が変質することを防止する。
【0135】
前記薬物40は、核酸フィルム10と仕上げフィルム30との間に充填される。薬物40は核酸フィルム10を分解しない。薬物40は、ホルモン調節、麻酔、皮膚老化防止、シワ除去、入れ墨除去、入れ墨形成、皮脂吸着などを含む治療用又は健康補助用薬品から選ばれるいずれか一つの物質からなってもよい。一例として、薬物40は、皮膚老化防止又はシワ除去のためのヒアルロン酸を含んでもよい。
【0136】
そうすると、核酸フィルム10を人体の皮膚に付着すると、核酸フィルム10の表面に残留する水分、人体の皮膚に残留する水分又は核酸フィルム10及び人体の皮膚のうち少なくともいずれか一つに塗布される蒸留水又は脱イオン水によって核酸フィルム10が分解されながら薬物40が人体の皮膚に浸透され得る。
【0137】
本発明の第1実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置は、境界フィルム20をさらに含んでもよい。前記境界フィルム20は、核酸フィルム10と仕上げフィルム30との間に積層・支持される。そうすると、核酸フィルム10と境界フィルム20との間には前記薬物40が充填される。また、境界フィルム20と前記仕上げフィルム30との間には分解液50が充填される。分解液50は蒸留水又は脱イオン水からなってもよい。このとき、仕上げフィルム30には、境界フィルム20を穿孔する穿孔針31が突出形成される。
【0138】
これによって、核酸フィルム10に別途の蒸留水又は脱イオン水を塗布しなくても、薬物注入装置を人体の皮膚に付着して加圧すると、穿孔針31が境界フィルム20を穿孔することによって分解液50が薬物40側に移動し、分解液50によって核酸フィルム10が分解されながら薬物40が人体の皮膚に浸透され得る。
【0139】
以下では、本発明の第2実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置について説明する。図11は、本発明の第2実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置を示した断面図である。図1図9及び図11を参照すると、本発明の第2実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置には、上述した製造方法によって製造された核酸フィルム10が適用される。
【0140】
本発明の第2実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置は、核酸フィルム10、境界フィルム20、仕上げフィルム30、薬物40及び分解液50を含んでもよい。
【0141】
前記核酸フィルム10は、上述した核酸フィルムの製造方法によって製造され、人体の皮膚に接触させる。このとき、核酸フィルム10には、成形モールド5に形成されるバッファ形成溝312によってバッファ溝12が陥没形成されてもよい。バッファ溝12は薬物40の収容空間を形成する。また、針溝311により、バッファ溝12にはマイクロニードル11が突出形成されてもよい。そうすると、バッファ溝12は人体の皮膚に向かって凸状に突出形成され、マイクロニードル11は人体の皮膚に向かってバッファ溝12から延長形成され得る。
【0142】
前記境界フィルム20は核酸フィルム10に積層・支持される。ここで、境界フィルム20を限定することはなく、多様な形態を通じて薬物40と分解液50とを分離させ、仕上げフィルム30に突出形成される穿孔針31によって穿孔されてもよい。
【0143】
図面に示していないが、核酸フィルム10には、マイクロニードル11の端部が露出するようにコーティング層15が形成される。ここで、核酸フィルム10に形成されるコーティング層15は、上述した核酸フィルムの製造方法で具現することができる。
【0144】
また、核酸フィルム10には、コーティング層15と共に仕上げ層100が形成されてもよい。ここで、核酸フィルム10に形成されるコーティング層15及び仕上げ層100は、上述した核酸フィルムの製造方法で具現することができる。
【0145】
コーティング層15が形成されることによってマイクロニードル11の強度を補強し、マイクロニードル11が曲がったり折れることを防止することができる。
【0146】
前記仕上げフィルム30は境界フィルム20に積層・支持される。ここで、仕上げフィルム30を限定することはなく、多様な形態を通じて薬物40が変質することを防止する。このとき、仕上げフィルム30には、境界フィルム20を穿孔する穿孔針31が突出形成される。
【0147】
前記薬物40は核酸フィルム10と境界フィルム20との間に充填される。薬物40は前記核酸フィルム10を分解しない。薬物40は、ホルモン調節、麻酔、皮膚老化防止、シワ除去、入れ墨除去、入れ墨形成、皮膚吸着などを含む治療用又は健康補助用薬品から選ばれるいずれか一つの物質からなってもよい。一例として、薬物40は、皮膚老化防止又はシワ除去のためのヒアルロン酸を含んでもよい。
【0148】
前記分解液50は境界フィルム20と仕上げフィルム30との間に充填される。分解液50は蒸留水又は脱イオン水からなってもよい。
【0149】
これによって、核酸フィルム10に別途の蒸留水又は脱イオン水を塗布しなくても、薬物注入装置を人体の皮膚に付着して加圧すると、穿孔針31が境界フィルム20を穿孔することによって分解液50が薬物40側に移動し、分解液50によって核酸フィルム10が分解されながら薬物40が人体の皮膚に浸透され得る。
【0150】
以下では、本発明の第3実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置について説明する。図12は、本発明の第3実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置を示した断面図である。図1図9及び図12を参照すると、本発明の第3実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置には、上述した製造方法によって製造された核酸フィルム10が適用される。
【0151】
本発明の第3実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置は、核酸フィルム10、境界フィルム20、仕上げフィルム30、薬物40及び分解液50を含む。
【0152】
前記核酸フィルム10は、上述した核酸フィルムの製造方法によって製造され、人体の皮膚に接触させる。このとき、核酸フィルム10には、成形モールド5に形成される伝達溝313によって薬物伝達部13が突出形成されてもよい。また、注入突起314により、薬物伝達部13には薬物注入ホール14が貫通形成されてもよい。そうすると、薬物伝達部13は、人体の皮膚に向かって核酸フィルム10から延長形成され、薬物注入ホール14は、薬物40の表面張力によって薬物40が漏れることを防止する。
【0153】
図面に示していないが、核酸フィルム10には、マイクロニードル11の端部が露出するようにコーティング層15が形成される。ここで、核酸フィルム10に形成されるコーティング層15は、上述した核酸フィルムの製造方法で具現することができる。
【0154】
また、核酸フィルム10には、コーティング層15と共に、仕上げ層100が形成されてもよい。ここで、核酸フィルム10に形成されるコーティング層15及び仕上げ層100は、上述した核酸フィルムの製造方法で具現することができる。
【0155】
コーティング層15が形成されることによってマイクロニードル11の強度を補強し、マイクロニードル11が曲がったり折れることを防止することができる。
【0156】
前記境界フィルム20は核酸フィルム10に積層・支持される。ここで、境界フィルム20を限定することはなく、多様な形態を通じて薬物40と分解液50とを分離させ、仕上げフィルム30に突出形成される穿孔針31によって穿孔されてもよい。
【0157】
前記仕上げフィルム30は境界フィルム20に積層・支持される。ここで、仕上げフィルム30を限定することはなく、多様な形態を通じて薬物40が変質することを防止する。このとき、仕上げフィルム30には、境界フィルム20を穿孔する穿孔針31が突出形成される。
【0158】
前記薬物40は核酸フィルム10と境界フィルム20との間に充填される。薬物40は核酸フィルム10を分解しない。薬物40は、ホルモン調節、麻酔、皮膚老化防止、シワ除去、入れ墨除去、入れ墨形成、皮膚吸着などを含む治療用又は健康補助用薬品から選ばれるいずれか一つの物質からなってもよい。一例として、薬物40は、皮膚老化防止又はシワ除去のためのヒアルロン酸を含んでもよい。
【0159】
前記分解液50は境界フィルム20と仕上げフィルム30との間に充填される。分解液50は蒸留水又は脱イオン水からなってもよい。
【0160】
これによって、核酸フィルム10に別途の蒸留水又は脱イオン水を塗布しなくても、薬物注入装置を人体の皮膚に付着して加圧すると、穿孔針31が境界フィルム20を穿孔することによって分解液50が薬物40側に移動し、前記分解液50によって核酸フィルム10が分解されながら薬物40が人体の皮膚に浸透され得る。
【0161】
本発明の第3実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置は、保護フィルム60をさらに含み、分離層70をさらに含んでもよい。
【0162】
前記保護フィルム60は、薬物注入ホール14が開閉されるように核酸フィルム10に着脱可能に結合される。また、分離層70は、核酸フィルム10に着脱可能に保護フィルム60に固定される。分離層70は薬物40と混合されないようにする。
【0163】
そうすると、保護フィルム60又は分離層70は、薬物注入装置の運搬又は保管上で薬物注入ホール14から薬物40が漏れることをさらに遮断し、薬物注入ホール14に異物が流入することを防止することができる。
【0164】
以下では、本発明の第4実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置について説明する。図13は、本発明の第4実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置を示した断面図である。図1図9及び図13を参照すると、本発明の第4実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置には、上述した製造方法のうち水溶液1aに核酸1bと前記薬物40を全て混合して製造された核酸フィルム10が適用される。
【0165】
本発明の第4実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置は核酸フィルム10からなる。核酸フィルム10は、上述した製造方法のうち水溶液1aに核酸1bと薬物40を全て混合して製造された核酸フィルム10からなる。核酸フィルム10には、本発明の第1実施例に係るマイクロニードル11が突出形成されてもよい。
【0166】
図面に示していないが、核酸フィルム10には、マイクロニードル11の端部が露出するようにコーティング層15が形成される。ここで、核酸フィルム10に形成されるコーティング層15は、上述した核酸フィルムの製造方法で具現することができる。
【0167】
また、核酸フィルム10には、コーティング層15と共に、仕上げ層100が形成されてもよい。ここで、核酸フィルム10に形成されるコーティング層15及び仕上げ層100は、上述した核酸フィルムの製造方法で具現することができる。
【0168】
コーティング層15が形成されることによってマイクロニードル11の強度を補強し、マイクロニードル11が曲がったり折れることを防止することができる。
【0169】
本発明の第4実施例に係る核酸フィルムを用いた薬物注入装置は、境界フィルム20、仕上げフィルム30及び分解液50をさらに含んでもよい。
【0170】
本発明の第4実施例に係る境界フィルム20、仕上げフィルム30及び分解液50は、それぞれ本発明の第1実施例から第3実施例のいずれか一つに記載された薬物注入装置と同一の構成であるので、これに対する説明は省略する。
【0171】
上述した核酸フィルムの製造方法及び核酸フィルムを用いた薬物注入装置によると、人体の皮膚を横切って薬物の拡散に依存する経皮伝達技術で核酸フィルム10を適用することによって、皮膚トラブルを防止し、薬物40の皮膚への浸透度を向上させることができる。また、核酸フィルム10においてマイクロニードル11、バッファ溝12及び薬物注入ホール14が貫通形成された薬物伝達部13を簡単に形成することができ、核酸フィルム10の厚さを一定に形成することができる。
【0172】
また、核酸フィルム10に異物が混合されることを防止し、核酸フィルム10の分解度を向上させることができる。また、核酸フィルム10に分解液50を安定的に供給し、薬物40の供給を安定化させることができる。また、薬物40の投入形態によるパターンを形成することができ、パターンによって薬物40の投入量を調節することができる。
【0173】
また、薬物注入ホール14から薬物40が漏れることを防止し、薬物40に異物が混入することを防止し、核酸フィルム10を保護することができる。
【0174】
上述したように、図面を参照して本発明の好適な実施例を説明したが、当該技術分野で熟練した当業者であれば、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正又は変更可能である。
【符号の説明】
【0175】
S1:混合段階、S2:撹拌段階
S3:混合液塗布段階、S4:乾燥段階
S5:表面処理段階、S6:モールド準備段階
S7:フィルム獲得段階、S8:傾斜蒸着段階
S9:仕上げ塗布段階、S10:仕上げ乾燥段階
1:混合容器、1a:水溶液
1b:核酸、2:攪拌ユニット
3:マグネット、4:封印材
5:成形モールド、301:第1モールド
302:第2モールド、303:第3モールド
311:針溝、312:バッファ形成溝
313:伝達溝、314:注入突起
6:表面処理ユニット、7:乾燥ユニット
8:ピペッティンユニット、10:核酸フィルム
100:仕上げ層、10a:溝形成部材
11:マイクロニードル、12:バッファ溝
13:薬物伝達部、14:薬物注入ホール
15:コーティング層、15a:第1蒸着補助部材
20:境界フィルム、30:仕上げフィルム
31:穿孔針、40:薬物
50:分解液、60:保護フィルム
70:分離層
本発明は下記の態様を含む。
<1>
蒸留水又は脱イオン水に核酸をパウダー形態で投入することによって混合液を形成する混合段階;
前記混合段階を経た混合液を撹拌する撹拌段階;
完成する核酸フィルムの形態に対応する成形モールドに前記混合液を塗布する混合液塗布段階;及び
前記成形モールドに塗布された前記混合液が前記核酸フィルムに変化するように前記成形モールドに塗布された前記混合液を乾燥させる乾燥段階;を含み、
前記成形モールドには、厚さ方向に向かって陥没する溝部が形成され、
前記乾燥段階を経た前記核酸フィルムには、前記溝部に対応して前記核酸フィルムの一側表面から人体の皮膚に向かって突出する突出部が形成される、核酸フィルムの製造方法。
<2>
前記乾燥段階後、前記突出部の端部が露出するように前記核酸フィルムの一側にコーティング層を形成する傾斜蒸着段階をさらに含む、<1>に記載の核酸フィルムの製造方法。
<3>
前記混合液塗布段階前に、前記溝部の端部を除いて前記成形モールドにコーティング層を形成する傾斜蒸着段階をさらに含む、<1>に記載の核酸フィルムの製造方法。
<4>
前記乾燥段階後、前記突出部に対応する部分が開口されるように前記核酸フィルムの他側にコーティング層を形成する傾斜蒸着段階をさらに含む、<1>に記載の核酸フィルムの製造方法。
<5>
前記傾斜蒸着段階後、前記コーティング層を覆うように仕上げ液を塗布する仕上げ塗布段階;及び
前記仕上げ液が仕上げ層に変化するように前記仕上げ液を乾燥させる仕上げ乾燥段階;をさらに含む、<4>に記載の核酸フィルムの製造方法。
<6>
前記乾燥段階後、前記成形モールドから前記核酸フィルムを分離させるフィルム獲得段階;
前記混合液塗布段階前に、完成する前記核酸フィルムの形態に対応して前記成形モールドを加工するモールド準備段階;及び
前記混合液塗布段階前に、前記成形モールドの表面に対して疎水性処理を施す表面処理段階;のうち少なくともいずれか一つをさらに含む、<1>に記載の核酸フィルムの製造方法。
<7>
前記混合段階には、前記混合液に1重量部~100重量部の薬物を液状、パウダー又はカプセルの形態でさらに投入する、<1>に記載の核酸フィルムの製造方法。
<8>
前記核酸は、水産物の加工によって形成される水産加工副産物、及び植物の加工によって形成される農産加工副産物のうち少なくともいずれか一つから抽出される、<1>から7のいずれか1項に記載の核酸フィルムの製造方法。
<9>
人体の皮膚と接触するように<1>に記載の製造方法によって製造される核酸フィルム;
前記核酸フィルムに積層される仕上げフィルム;及び
前記核酸フィルムと前記仕上げフィルムとの間に充填される薬物;を含む、核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
<10>
前記核酸フィルムと前記仕上げフィルムとの間に積層される境界フィルム;及び
前記境界フィルムと前記仕上げフィルムとの間に充填され、蒸留水又は脱イオン水からなる分解液;をさらに含み、
前記仕上げフィルムには、前記境界フィルムに向かって前記境界フィルムを穿孔する穿孔針が突出形成され、
前記薬物は、前記核酸フィルムと前記の境界フィルムとの間に充填される、<9>に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
<11>
人体の皮膚と接触するように<7>に記載の製造方法によって製造される核酸フィルムを含む、核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
<12>
前記核酸フィルムに積層される境界フィルム;
前記境界フィルムに積層され、前記境界フィルムを穿孔する穿孔針が前記境界フィルムに向かって突出形成される仕上げフィルム;及び
前記境界フィルムと前記仕上げフィルムとの間に充填され、蒸留水又は脱イオン水からなる分解液;をさらに含む、<11>に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
<13>
前記核酸フィルムの一側には、人体の皮膚に向かうようにマイクロニードルが突出する、<9>から<11>のいずれか1項に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
<14>
前記核酸フィルムの他側には、前記マイクロニードルに対応してバッファ溝が陥没形成される、<13>に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
<15>
前記核酸フィルムの一側には、前記マイクロニードルの端部が露出するコーティング層をさらに含む、<13>に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
<16>
前記核酸フィルムの他側には、前記マイクロニードルに対応する部分が開口されたコーティング層をさらに含む、<13>に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
<17>
前記核酸フィルムの一側には、人体の皮膚に向かうように薬物伝達部が突出し、
前記薬物伝達部には、前記薬物が排出されるように薬物注入ホールが貫通形成される、<9>に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
<18>
前記核酸フィルムの一側には、前記薬物伝達部の端部が露出するコーティング層をさらに含む、<17>に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
<19>
前記核酸フィルムの他側には、前記薬物注入ホールに対応する部分が開口されたコーティング層をさらに含む、<17>に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
<20>
前記核酸フィルムの一側には、薬物注入ホールが開閉されるように前記核酸フィルムの一側に着脱可能な保護フィルムをさらに含む、<17>に記載の核酸フィルムを用いた薬物注入装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13