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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】サーバ、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20221212BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20221212BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20221212BHJP
【FI】
G06Q40/04
G06Q10/00
G06Q50/10
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018213246
(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公開番号】P2020080067
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】519392627
【氏名又は名称】株式会社黒須情報システム技研
(74)【代理人】
【識別番号】110002103
【氏名又は名称】弁理士法人にじいろ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 雅人
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-170736(JP,A)
【文献】特開2008-276692(JP,A)
【文献】特開2019-191631(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0140371(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器と複数の仮想通貨取引所とに、ネットワークを介して接続されたサーバであって、
仮想通貨に対する売買取引を第1基軸通貨により実施する第1仮想通貨取引所から前記仮想通貨に対する前記第1基軸通貨による複数の第1指値ごとの売買注文数量を含む第1板情報、及び前記仮想通貨に対する売買取引を第2基軸通貨により実施する第2仮想通貨取引所から前記仮想通貨に対する前記第2基軸通貨による複数の第2指値ごとの売買注文数量を含む第2板情報を受信する情報受信部と、
前記第1基軸通貨と前記第2基軸通貨との為替レートに基づいて、前記第2指値を前記第1基軸通貨の第3指値に変換する変換部と、
前記第1指値と前記第3指値とを結合した第4指値毎に、前記第1板情報と前記第2板情報の売買注文数量を合算した合算注文数量を算出する合算部と、
前記第1板情報と前記第2板情報の前記第4指値に対応する前記合算注文数量を含む第3板情報を前記電子機器において表示させる表示部と、を有するサーバ。
【請求項2】
前記第4指値を予め決められた一定の価格帯で区分し、前記区分に含まれる前記第4指値に対応する合算注文数量を合算した区分注文数量を前記区分毎に集計する集計部をさらに有し、
前記表示部は、前記区分に含まれる1つの指値と、当該区分に対応する前記区分注文数量とを対応づけた前記第3板情報を前記電子機器において表示させる請求項1記載のサーバ。
【請求項3】
前記第1板情報における前記仮想通貨の取引価格を示す基準価格に近いほど狭くなる価格帯で前記第4指値を区分し、前記区分に含まれる前記第4指値に対応する合算注文数量を合算した区分注文数量を集計する集計部をさらに有し、
前記表示部は、前記区分に含まれる1つの指値と、当該区分に対応する前記区分注文数量とを対応づけた前記第3板情報を前記電子機器において表示させる請求項1記載のサーバ。
【請求項4】
前記合算注文数量が予め設定された基準値以上の前記第4指値のみを集計する集計部をさらに有し、
前記表示部は、前記合算注文数量が前記基準値以上の前記第4指値と、当該第4指値に対応する前記合算注文数量のみを含む前記第3板情報を前記電子機器において表示させる請求項1記載のサーバ。
【請求項5】
電子機器と複数の仮想通貨取引所とに、ネットワークを介して接続されたサーバであって、
仮想通貨に対する売買取引を第1基軸通貨により実施する第1仮想通貨取引所から前記仮想通貨に対する前記第1基軸通貨による複数の指値ごとの売買注文数量を含む第1板情報、及び前記仮想通貨に対する売買取引を第2基軸通貨により実施する第2仮想通貨取引所から前記仮想通貨に対する前記第2基軸通貨による複数の指値ごとの売買注文数量を含む第2板情報を受信する情報受信部と、
前記第1板情報における前記仮想通貨の取引価格を示す第1基準価格をもとに、前記第1板情報の指値を前記第1基準価格に対する比に変換し、前記第2板情報における前記仮想通貨の取引価格を示す第2基準価格をもとに、前記第2板情報の指値を前記第2基準価格に対する比に変換する変換部と、
前記第1板情報の指値に対応する比と、前記第2板情報に対応する比とを結合した統合比毎に、前記第1板情報と前記第2板情報の売買注文数量を合算した合算注文数量を算出する合算部と、
前記第1板情報及び前記第2板情報の前記統合比に対応する前記合算注文数量を含む第3板情報を前記電子機器において表示させる表示部と、を有するサーバ。
【請求項6】
前記統合比を予め決められた一定幅で区分し、前記区分に含まれる比に対応する合算注文数量を合算した区分注文数量を前記区分毎に集計する集計部をさらに有し、
前記表示部は、前記区分に含まれる1つの比と、当該区分に対応する前記区分注文数量とを対応づけた前記第3板情報を前記電子機器において表示させる請求項5記載のサーバ。
【請求項7】
前記第1板情報における前記仮想通貨の取引価格を示す基準価格に近いほど狭くなる幅で、前記統合比を区分し、前記区分に含まれる比に対応する合算注文数量を合算した区分注文数量を前記区分毎に集計する集計部をさらに有し、
前記表示部は、前記区分に含まれる1つの比と、当該区分に対応する前記区分注文数量を対応づけた前記第3板情報を前記電子機器において表示させる請求項5記載のサーバ。
【請求項8】
前記合算注文数量が予め設定された基準値以上の前記第1板情報の指値に対応する比を抽出する集計部をさらに有し、
前記表示部は、前記合算注文数量が前記基準値以上の前記第1板情報の指値に対応する比と、当該比に対応する前記合算注文数量のみを含む前記第3板情報を前記電子機器において表示させる請求項5記載のサーバ。
【請求項9】
電子機器と複数の仮想通貨取引所とに、ネットワークを介して接続されたサーバであって、
仮想通貨に対する売買取引を第1基軸通貨により実施する第1仮想通貨取引所から前記仮想通貨に対する前記第1基軸通貨による複数の第1指値ごとの売買注文数量を含む第1板情報、及び前記仮想通貨に対する売買取引を第2基軸通貨により実施する第2仮想通貨取引所から前記仮想通貨に対する前記第2基軸通貨による複数の第2指値ごとの売買注文数量を含む第2板情報を受信する情報受信部と、
前記第1指値を、前記第2板情報における前記仮想通貨の取引価格を示す基準価格に対する第1相対値に変換する第1変換手段と、
前記第1基軸通貨と前記第2基軸通貨との為替レートに基づいて、前記第1相対値を前記第1基軸通貨における第2相対値に変換する第2変換部と、
前記第1指値と、前記第1指値の基準価格に前記第2相対値を加算した第3指値とを結合した第4指値毎に、前記第1板情報と前記第2板情報の前記第2相対値に対応する売買注文数量を合算した合算注文数量を算出する合算部と、
前記第1板情報と前記第2板情報の前記第4指値に対応する前記合算注文数量を含む第3板情報を前記電子機器において表示させる表示部と、を有するサーバ。
【請求項10】
前記第4指値を予め決められた一定の価格帯で区分し、前記区分に含まれる前記第4指値に対応する合算注文数量を合算した区分注文数量を前記区分毎に集計する集計部をさらに有し、
前記表示部は、前記区分に含まれる1つの指値と、当該区分に対応する前記区分注文数量とを対応づけた前記第3板情報を前記電子機器において表示させる請求項9記載のサーバ。
【請求項11】
前記第1板情報における前記仮想通貨の取引価格を示す基準価格に近いほど狭くなる価格帯で前記第4指値を区分し、前記区分に含まれる前記第4指値に対応する合算注文数量を合算した区分注文数量を集計する集計部をさらに有し、
前記表示部は、前記区分に含まれる1つの指値と、当該区分に対応する前記区分注文数量とを対応づけた前記第3板情報を前記電子機器において表示させる請求項9記載のサーバ。
【請求項12】
前記合算注文数量が予め設定された基準値以上の前記第4指値のみを集計する集計部をさらに有し、
前記表示部は、前記合算注文数量が前記基準値以上の前記第4指値と、当該第4指値に対応する前記合算注文数量のみを含む前記第3板情報を前記電子機器において表示させる請求項9記載のサーバ。
【請求項13】
電子機器と複数の仮想通貨取引所とに、ネットワークを介して接続されたサーバであって、
仮想通貨に対する売買取引を第1基軸通貨により実施する第1仮想通貨取引所から前記仮想通貨に対する前記第1基軸通貨による複数の第1指値ごとの売買注文数量を含む第1板情報、及び前記仮想通貨に対する売買取引を第2基軸通貨により実施する第2仮想通貨取引所から前記仮想通貨に対する前記第2基軸通貨による複数の第2指値ごとの売買注文数量を含む第2板情報を受信する情報受信部と、
前記第1基軸通貨と前記第2基軸通貨との為替レートに基づいて、前記第1板情報における前記仮想通貨の取引価格を示す第1基準価格に対応する、前記第2板情報における前記仮想通貨の取引価格を示す第2基準価格を判別する判別部と、
前記第1基準価格と前記第2基準価格との対応に応じて、前記第1指値と前記第2指値とをそれぞれ対応付け、前記第1指値の売買注文数量と前記第2指値の売買注文数量とを対応づけて前記電子機器において表示させる表示部と、を有するサーバ。
【請求項14】
電子機器と複数の仮想通貨取引所とに、ネットワークを介して接続されたコンピュータを、
仮想通貨に対する売買取引を第1基軸通貨により実施する第1仮想通貨取引所から前記仮想通貨に対する前記第1基軸通貨による複数の第1指値ごとの売買注文数量を含む第1板情報、及び前記仮想通貨に対する売買取引を第2基軸通貨により実施する第2仮想通貨取引所から前記仮想通貨に対する前記第2基軸通貨による複数の第2指値ごとの売買注文数量を含む第2板情報を受信する情報受信部と、
前記第1基軸通貨と前記第2基軸通貨との為替レートに基づいて、前記第2指値を前記第1基軸通貨の第3指値に変換する変換部と、
前記第1指値と前記第3指値とを結合した第4指値毎に、前記第1板情報と前記第2板情報の売買注文数量を合算した合算注文数量を算出する合算部と、
前記第1板情報と前記第2板情報の前記第4指値に対応する前記合算注文数量を含む第3板情報を前記電子機器において表示させる表示部として機能させるためのプログラム。
【請求項15】
電子機器と複数の仮想通貨取引所とに、ネットワークを介して接続されたコンピュータを、
仮想通貨に対する売買取引を第1基軸通貨により実施する第1仮想通貨取引所から前記仮想通貨に対する前記第1基軸通貨による複数の指値ごとの売買注文数量を含む第1板情報、及び前記仮想通貨に対する売買取引を第2基軸通貨により実施する第2仮想通貨取引所から前記仮想通貨に対する前記第2基軸通貨による複数の指値ごとの売買注文数量を含む第2板情報を受信する情報受信部と、
前記第1板情報における前記仮想通貨の取引価格を示す第1基準価格をもとに、前記第1板情報の指値を前記第1基準価格に対する比に変換し、前記第2板情報における前記仮想通貨の取引価格を示す第2基準価格をもとに、前記第2板情報の指値を前記第2基準価格に対する比に変換する変換部と、
前記第1板情報の指値に対応する比と、前記第2板情報の指値に対応する比とを結合した統合比毎に、前記第1板情報と前記第2板情報の売買注文数量を合算した合算注文数量を算出する合算部と、
前記第1板情報及び前記第2板情報の前記統合比に対応する前記合算注文数量を含む第3板情報を前記電子機器において表示させる表示部として機能させるためのプログラム。
【請求項16】
電子機器と複数の仮想通貨取引所とに、ネットワークを介して接続されたコンピュータを、
仮想通貨に対する売買取引を第1基軸通貨により実施する第1仮想通貨取引所から前記仮想通貨に対する前記第1基軸通貨による複数の第1指値ごとの売買注文数量を含む第1板情報、及び前記仮想通貨に対する売買取引を第2基軸通貨により実施する第2仮想通貨取引所から前記仮想通貨に対する前記第2基軸通貨による複数の第2指値ごとの売買注文数量を含む第2板情報を受信する情報受信部と、
前記第1指値を、前記第2板情報における前記仮想通貨の取引価格を示す基準価格に対する第1相対値に変換する第1変換手段と、
前記第1基軸通貨と前記第2基軸通貨との為替レートに基づいて、前記第1相対値を前記第1基軸通貨における第2相対値に変換する第2変換部と、
前記第1指値と、前記第1指値に前記第2相対値を加算した第3指値とを結合した第4指値毎に、前記第1板情報と前記第2板情報の前記第2相対値に対応する売買注文数量を合算した合算注文数量を算出する合算部と、
前記第1板情報と前記第2板情報の前記第4指値に対応する前記合算注文数量を含む第3板情報を前記電子機器において表示させる表示部として機能させるためのプログラム。
【請求項17】
電子機器と複数の仮想通貨取引所とに、ネットワークを介して接続されたコンピュータを、
仮想通貨に対する売買取引を第1基軸通貨により実施する第1仮想通貨取引所から前記仮想通貨に対する前記第1基軸通貨による複数の第1指値ごとの売買注文数量を含む第1板情報、及び前記仮想通貨に対する売買取引を第2基軸通貨により実施する第2仮想通貨取引所から前記仮想通貨に対する前記第2基軸通貨による複数の第2指値ごとの売買注文数量を含む第2板情報を受信する情報受信部と、
前記第1基軸通貨と前記第2基軸通貨との為替レートに基づいて、前記第1板情報における前記仮想通貨の取引価格を示す第1基準価格に対応する、前記第2板情報における前記仮想通貨の取引価格を示す第2基準価格を判別する判別部と、
前記第1基準価格と前記第2基準価格との対応に応じて、前記第1指値と前記第2指値とをそれぞれ対応付け、前記第1指値の売買注文数量と前記第2指値の売買注文数量とを対応づけて前記電子機器において表示させる表示部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想通貨取引所における板情報の表示を制御するサーバ、及び板情報の表示を制御するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
仮想通貨取引所は、インターネット上に開設され、仮想通貨の売買等のサービスを提供する。仮想通貨取引所が提供するサービスは、パーソナルコンピュータやスマートフォンなどの電子機器により、インターネットを通じて利用することができる。
【0003】
一般に、1つの仮想通貨に対して、複数の仮想通貨取引所が開設されている。また、複数の仮想通貨取引所は、共通する仮想通貨を取り扱う場合であっても、互いに独立して、仮想通貨に対する売買などの取引を実行する。さらに、複数の仮想通貨取引所は、仮想通貨に対する売買に用いる基軸通貨が異なる場合がある。
【0004】
仮想通貨取引所は、ユーザからの売り指値注文と買い指値注文の取引状況に応じて、仮想通貨と基軸通貨との間の取引価格を示す基準価格を決定する。基準価格は、1つの仮想通貨取引所における仮想通貨と基軸通貨間のある時刻における取引価格を示すもので、例えば最も安い売り指値注文と最も高い買い指値注文の間の何れか一点を示す価格である。なお、何れか一点を示す価格としては、例えば各仮想通貨取引所ごとに、最終取引価格や、最も安い売り指値と最も高い買い指値の平均など、異なる基準で決定される。例えば、日本円を基軸通貨としている仮想通貨取引所の場合、基準価格は、「1仮想通貨=835000円」のように表現される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、複数の仮想通貨取引所は、共通する仮想通貨を取り扱う場合であっても、独立して基準価格を決定して仮想通貨に対する売買をする。しかし、現実には、何れかの仮想通貨取引所において、例えば、大きな売り注文あるいは買い注文が発生した場合、同じ仮想通貨を扱う他の仮想通貨取引所の相場(基準価格)に影響を及ぼす。従って、1つの仮想通貨取引所において、仮想通貨の売買をする場合であっても、他の仮想通貨取引所における取引状況を確認する必要がある。しかしながら、他の仮想通貨取引所は、独立して仮想通貨の取引をしているため、複数の仮想通貨取引所における各基軸通貨による売り指値注文と買い指値注文の状況を統合して確認することは容易ではない。
【0006】
目的は、基軸通貨が同じ又は異なる複数の仮想通貨取引所における共通する仮想通貨に対する取引状況を容易に確認できるようにするサーバ、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係るサーバは、電子機器と複数の仮想通貨取引所とに、ネットワークを介して接続されたサーバであって、仮想通貨に対する売買取引を第1基軸通貨により実施する第1仮想通貨取引所から前記仮想通貨に対する前記第1基軸通貨による複数の第1指値ごとの売買注文数量を含む第1板情報、及び前記仮想通貨に対する売買取引を第2基軸通貨により実施する第2仮想通貨取引所から前記仮想通貨に対する前記第2基軸通貨による複数の第2指値ごとの売買注文数量を含む第2板情報を受信する情報受信部と、前記第1基軸通貨と前記第2基軸通貨との為替レートに基づいて、前記第2指値を前記第1基軸通貨の第3指値に変換する変換部と、前記第1指値と前記第3指値とを結合した第4指値毎に、前記第1板情報と前記第2板情報の売買注文数量を合算した合算注文数量を算出する合算部と、前記第1板情報と前記第2板情報の前記第4指値に対応する前記合算注文数量を含む第3板情報を前記電子機器において表示させる表示部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基軸通貨が異なる複数の仮想通貨取引所における共通する仮想通貨に対する取引状況を容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態におけるシステムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本実施形態における統合サーバの構成を示すブロック図である。
図3図3は、本実施形態における統合サーバにより実行される統合板情報表示処理を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、本実施形態における板情報データの一例を示す図である。
図5図5は、本実施形態における統合設定用画面の一例を示す図である。
図6図6は、本実施形態における単純統合方法による統合処理を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、本実施形態における単純統合方法により統合した統合板情報の一例を示す図である。
図8図8は、本実施形態における第1統合方法による統合処理を説明するためのフローチャートである。
図9図9は、仮想通貨取引所から受信される板情報の一例を示す図である。
図10図10は、基軸通貨が米国ドルの板情報の指値を日本円の指値に変換する例を示す図である。
図11図11は、基軸通貨を変換した板情報の一例を示す図である。
図12図12は、本実施形態における第1統合方法により統合した統合板情報の一例を示す図である。
図13図13は、本実施形態における第2統合方法による統合処理を説明するためのフローチャートである。
図14図14は、仮想通貨取引所の板情報の指値の変換例を示す図である。
図15図15は、板情報の各指値を基準価格に対する比を示す指値に変換した板情報の一例を示す図である。
図16図16は、板情報の指値に対応する比をもとに統合した統合板情報の一例を示す図である。
図17図17は、本実施形態における第2統合方法により統合した統合板情報の一例を示す図である。
図18図18は、本実施形態における第3統合方法による統合処理を説明するためのフローチャートである。
図19図19は、仮想通貨取引所から受信される板情報の一例を示す図である。
図20図20は、指値を基準価格からの相対値に変換した例を示す図である。
図21図21は、仮想通貨取引所の板情報を示す図である。
図22図22は、板情報の基準価格に対する指値の相対値をもとに統合した統合板情報の一例を示す図である。
図23図23は、本実施形態における第1集計処理による板情報の指値の区分例を示す図である。
図24図24は、本実施形態における第1集計処理後の統合板情報に含まれるデータの一例を示す図である。
図25図25は、本実施形態における第2集計処理による板情報の指値の区分例を示す図である。
図26図26は、本実施形態における第3集計処理による統合板情報の生成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態におけるシステムの構成を示すブロック図である。図1に示すシステムは、統合サーバ10によって、複数の取引所サーバ12(12-1,12-2,…,12-n)から受信される複数の仮想通貨取引所における板情報を統合して、ユーザが使用する電子機器14(14-1,…,14-k)において表示させる。統合サーバ10は、為替レート提供サーバ16から複数の仮想通貨取引所が用いる基軸通貨間の為替レートを受信して、為替レートをもとに複数の仮想通貨取引所における板情報の指値を対応づけて板情報を統合する。
【0012】
統合サーバ10、取引所サーバ12、電子機器14、及び為替レート提供サーバ16は、インターネットを含むネットワーク18を通じて相互に接続される。
【0013】
取引所サーバ12(12-1,12-2,…,12-n)は、インターネット上に仮想通貨取引所を開設するもので、仮想通貨の売買に関係する各種のサービスを提供する。仮想通貨取引所が提供するサービスは、パーソナルコンピュータやスマートフォンなどの電子機器14により、インターネットを通じて利用することができる。以下の説明では、取引所サーバ12により開設される複数の仮想通貨取引所は、共通する仮想通貨を取り扱うものとする。以下、複数の仮想通貨取引所によって共通して扱われる仮想通貨を「BTC」と表記する場合がある。また、複数の仮想通貨取引所は、互いに独立して、仮想通貨に対する売買などの取引を実行する。さらに、複数の仮想通貨取引所は、仮想通貨に対する売買に用いる基軸通貨が異なる場合があるものとする。
【0014】
取引所サーバ12は、電子機器14から受信される売り指値注文と買い指値注文の取引状況を板情報として集計し、電子機器14及び統合サーバ10に提供する。電子機器14は、取引所サーバ12から提供される板情報を表示させて、ユーザが仮想通貨の売買注文を入れるための参考にさせる。
【0015】
為替レート提供サーバ16は、為替マーケットに関する情報を提供するサーバであり、通貨間の為替レートの情報を提供する。
【0016】
統合サーバ10は、複数の取引所サーバ12から提供される板情報を示す板情報データ、及び統合サーバ10から提供される複数の仮想通貨取引所における基軸通貨間の為替レートのデータを受信し、複数の仮想通貨取引所の板情報を統合する処理を実行する。
【0017】
図2は、本実施形態における統合サーバ10の構成を示すブロック図である。図1に示す統合サーバ10は、例えばコンピュータにより実現されるもので、プロセッサ10A、メモリ10B、記憶装置10C、入力装置10D、出力装置10E及び通信装置10Fを有する。
【0018】
プロセッサ10Aは、システムバスを介して接続される各装置を統括的に制御する。プロセッサ10Aは、例えばCPU(Central Processing Unit)、及びGPU(Graphics Processing Unit)により構成することができる。プロセッサ10Aは、メモリ10Bに記憶されたプログラムを実行して各種の機能を実現する。プロセッサ10Aは、本実施形態に係る統合板情報表示処理プログラムを実行することで、複数の仮想通貨取引所の板情報を統合して、統合板情報を電子機器14に提供する統合板情報表示処理を実行する。統合板情報表示処理プログラムは、プロセッサ10Aにより実行されることで、コンピュータを、例えば、情報受信部、変換部、合算部、表示部、判別部等の機能部を実現する。
【0019】
情報受信部は、基軸通貨が異なる複数の仮想通貨取引所から、共通する仮想通貨(BTC)に対する売買取引を各仮想通貨取引所で用いる基軸通貨による複数の指値ごとの売買注文数量を含む板情報(板情報データ)を受信する(図4参照)。すなわち、情報受信部は、仮想通貨に対する売買取引を第1基軸通貨(例えば、日本円)により実施する仮想通貨取引所Aから仮想通貨に対する第1基軸通貨(日本円(JPY))による複数の指値ごとの売買注文数量を含む板情報を受信し、仮想通貨に対する売買取引を第2基軸通貨(例えば、米国ドル)により実施する仮想通貨取引所Bから仮想通貨に対する第2基軸通貨(米国ドル(USD))による複数の指値ごとの売買注文数量を含む板情報を受信する。同様にして、他の基軸通貨が異なる仮想通貨取引所から、それぞれ板情報を受信する。
【0020】
変換部は、為替レート提供サーバ16から受信される各仮想通貨取引所が使用する基軸通貨間の為替レートに基づいて、板情報における指値を他の基軸通貨の指値へ変換する処理、板情報における指値を基準価格に対する比、又は基準価格からの相対値に変換する処理を実行する。
【0021】
合算部は、複数の仮想通貨取引所から受信した板情報における、指値毎、指値の基準価格に対する比毎、又は基準価格からの相対値毎に売買の注文数量を合算した合算注文数量を算出する処理を実行する。
【0022】
表示部は、複数の仮想通貨取引所から受信した板情報を統合した統合板情報を、電子機器14において表示させる処理を実行する。
【0023】
判別部は、複数の仮想通貨取引所で使用される基軸通貨間の為替レートに基づいて、複数の仮想通貨取引所から受信した板情報における、それぞれの基準価格の対応を判別する処理を実行する。
【0024】
メモリ10Bは、プロセッサ10Aの主メモリ、ワークエリア等として機能する。プロセッサ10Aは、処理の実行に際して必要なプログラム等を記憶装置10Cからメモリ10Bにロードして、ロードしたプログラムを実行することで各機能部を実現する。
【0025】
記憶装置10Cは、プロセッサ10Aにより実行されるBIOS(Basic Input Output System)、オペレーティングシステムプログラム(OS)、画像処理プログラムを含む各種アプリケーションプログラムなどの各種機能を実現するために必要な各種プログラム、各種プログラムで処理される各種ファイル、各種データ等が記憶される。記憶装置10Cに記憶されるデータには、複数の仮想通貨取引所(取引所サーバ12)から受信した板情報、為替レート提供サーバ16から受信した為替レートのデータ等を含む。
【0026】
入力装置10Dは、キーボード(KB)、マウスやタッチパネル等のポインティングデバイス等である。
【0027】
出力装置10Eは、ディスプレイ等である。
【0028】
通信装置10Fは、ネットワーク18介して接続された外部の装置(取引所サーバ12、電子機器14、為替レート提供サーバ16)との通信を制御する。
【0029】
次に、本実施形態における統合サーバ10の動作について説明する。
【0030】
図3は、本実施形態における統合サーバ10により実行される統合板情報表示処理を説明するためのフローチャートである。統合サーバ10のプロセッサ10Aは、メモリ10Bに記憶された統合板情報表示処理プログラムを実行することにより、以下に説明する処理を実現する。
【0031】
複数の取引所サーバ12は、それぞれ仮想通貨取引所を開設している。取引所サーバ12は、仮想通貨の売買に関係する各種のサービスを提供するためのWebサイトをネットワーク18に公開し、電子機器14からのアクセスを受け付ける。複数の仮想通貨取引所は、互いに独立して、仮想通貨に対する売買などの取引を実行しており、電子機器14から受信される売り指値注文と買い指値注文に応じた板情報を作成する。
【0032】
統合サーバ10は、取引所サーバ12から仮想通貨取引所における板情報を示す板情報データを受信し、為替レート提供サーバ16から複数の仮想通貨取引所で使用する基軸通貨間の為替レートのデータを受信し(ステップS1)する。統合サーバ10は、板情報データと為替レートを示すデータを記憶装置10Cに記憶させる(ステップS2)。統合サーバ10は、例えば、板情報と為替レートのデータを継続的に受信し、最新のデータを記憶装置10Cに記憶させる(ステップS1,S2)。
【0033】
図4は、本実施形態における板情報データの一例を示す図である。図4に示す板情報データは、基軸通貨を日本円(JPY)とする仮想通貨取引所から受信された例を示している。板情報データには、売り指値注文と買い指値注文について、指値毎の注文数量を示すデータが含まれる。
【0034】
統合サーバ10は、電子機器14から統合板情報の閲覧を要求するアクセスがあると(ステップS3、Yes)、統合板情報を表示する条件を設定するための統合設定用画面(Webページ)を電子機器14において表示させる(ステップS4)。なお、電子機器14は、統合サーバ10が公開する統合板情報用のWebサイトに対して、直接、アクセスしても良いし、仮想通貨取引所のWebサイトを通じてアクセスしても良い。
【0035】
なお、統合サーバ10に後述の処理手順を実行するプログラムをインストールして、板情報受信、為替情報の受信、統合処理を実行するものと説明するが、当該プログラムをユーザの電子機器14-kにインストールして、電子機器14-kにおいて板情報受信、為替情報の受信、統合処理、統合結果の表示処理を実行するものであってもよい。
【0036】
図5は、本実施形態における統合設定用画面の一例を示す図である。図5に示す統合設定用画面には、基準取引所選択エリア21、表示パターン選択ボタン22、統合板情報を表示させるための板情報表示エリア23が設けられている。
【0037】
基準取引所選択エリア21は、複数の仮想通貨取引所A,B,C,Dから基準取引所とする何れか1つの仮想通貨取引所を選択させるためのエリアである。基準取引所は、複数の仮想通貨取引所の板情報を統合する際に、基準取引所以外の仮想通貨取引所(参考取引所)の板情報を変換する場合の基準とする仮想通貨取引所を示す。すなわち、基準取引所を選択することで、基準取引所で使用される基軸通貨によって統合板情報の指値を表記させることができる。
【0038】
基準取引所選択エリア21には、複数の仮想通貨取引所A,B,C,Dが一覧表示され、それぞれに対応するチェックボックスが設けられる。電子機器14では、何れかのチェックボックスにチェックを入れる操作をすることで、基準取引所とする1つの仮想通貨取引所を任意に選択することができる。
【0039】
表示パターン選択ボタン22は、板情報表示エリア23に表示される統合板情報の表示パターンを指定させるためのボタンである。表示パターン選択ボタン22には、例えば4つの表示パターンのそれぞれに対応する表示パターンボタン22-1,22-2,22-3,22-4が設けられる。
【0040】
表示パターンボタン22-1は、表示パターン1を指定するためのボタンであり、後述する第1統合方法による統合処理によって生成された統合板情報の表示を指示することができる。表示パターンボタン22-2は、表示パターン2を指定するためのボタンであり、後述する第2統合方法による統合処理によって生成された統合板情報の表示を指示することができる。表示パターンボタン22-3は、表示パターン3を指定するためのボタンであり、後述する第3統合方法による統合処理によって生成された統合板情報の表示を指示することができる。表示パターンボタン22-4は、表示パターン4を指定するためのボタンであり、後述する単純統合方法による統合処理によって生成された統合板情報の表示を指示することができる。
【0041】
板情報表示エリア23は、表示パターン選択ボタン22において選択された表示パターンに応じた統合板情報を表示させるためのエリアである。
【0042】
統合サーバ10は、統合設定用画面を通じて、表示パターン選択ボタン22に対する操作による統合板情報の表示パターンの指定を入力し(ステップS5)、また基準取引所選択エリア21における基準取引所を選択するチェックボックスの設定を判別する(ステップS6)。
【0043】
統合サーバ10は、基準取引所と表示パターンに応じて、複数の仮想通貨取引所から受信した板情報を統合するための統合処理を実行する(ステップS7)。統合処理の詳細については後述する。
【0044】
統合サーバ10は、統合処理によって統合板情報を生成すると、電子機器14において統合設定用画面の板情報表示エリア23に統合板情報を表示させる(ステップS8)。
【0045】
統合サーバ10は、電子機器14から統合設定用画面を通じて、異なる基準取引所あるいは表示パターンの指定が入力されると(ステップS9、No、ステップS5,S6)、同様にして統合処理によって統合板情報を生成して(ステップS7)、電子機器14に統合板情報を表示させる(ステップS8)。
【0046】
統合サーバ10は、電子機器14から統合板情報の表示終了が指示されると(ステップS9、Yes)、電子機器14に対する統合板情報の提供を終了する。
【0047】
次に、本実施形態における統合処理の詳細について説明する。
【0048】
以下の説明では、日本円(JPY)を基軸通貨とする仮想通貨取引所Aの板情報A、米国ドル(USD)を基軸通貨とする仮想通貨取引所Bの板情報B、ユーロ(EUR)を基軸通貨とする仮想通貨取引所Cから受信する仮想通貨(BTC)にの板情報Cを統合する場合を例にして説明する。なお、統合する板情報の数は特に限定されるものではない。また、基軸通貨は、日本円(JPY)、米国ドル(USD)、ユーロ(EUR)に限るものではなく、その他の通貨を対象とすることもできる。さらに、異なる基軸通貨を扱う仮想通貨取引所からの板情報を統合するだけでなく、同じ基軸通貨(例えば、日本円(JPY))を扱う複数の仮想通貨取引所からの板情報を統合することも可能である。
【0049】
まず、統合設定用画面において、表示パターンボタン22-4により表示パターン4が指定された場合の単純統合方法による統合処理について説明する。図6は、本実施形態における単純統合方法による統合処理を説明するためのフローチャートである。
【0050】
単純統合方法による統合処理では、複数の仮想通貨取引所A,B,Cからの板情報A,B,Cを、各板情報A,B,Cの基準価格を対応づけて、板情報A,B,Cの内容を並列に配置して統合する。
【0051】
プロセッサ10Aは、記憶装置10Cに記憶された複数の仮想通貨取引所A,B,Cからの板情報データをもとに、各板情報A,B,Cの基準価格を検出する(ステップA1)。
【0052】
基準価格は、各仮想通貨取引所における仮想通貨と基軸通貨間のある時刻における取引価格を示すもので、例えば最も安い売り指値注文と最も高い買い指値注文の間の何れか一点を示す価格である。なお、何れか一点を示す価格としては、例えば各仮想通貨取引所ごとに、最終取引価格や、最も安い売り指値と最も高い買い指値の平均など、異なる基準で決定される。本実施形態では、各取引所が提供する情報のうち、前述した何れかに該当する価格を基準価格として説明する。
【0053】
プロセッサ10Aは、各板情報A,B,Cのそれぞれの基準価格を基準にして、各板情報A,B,Cの指値を対応づけ、板情報A,B,Cを統合する(ステップA2)。
【0054】
さらに、プロセッサ10Aは、統合した板情報のデータ(板情報A,B,Cの全てのデータを含む)をもとに、統合板情報として表示するデータを集計する集計処理を実行する(ステップA3)。集計処理は、複数の仮想通貨取引所における取引状況を容易に確認できるように、統合した板情報のデータのうち、統合板情報として表示するデータを集計する。データの集計には、例えば、注文数量の合算、指値区分の変更、不要データの間引きなどがある。
【0055】
集計処理は、必ずしも実行する必要は無い。ここでは、集計処理を実行せずに、板情報A,B,Cの全てのデータを統合板情報として表示させるものとして説明する。集計処理詳細については後述する(図23図26)。
【0056】
プロセッサ10Aは、基準価格を基準に対応づけた各板情報A,B,Cの指値と対応づけて、注文数量に応じたグラフを生成する(ステップA4)。ここでは、板情報A,B,Cの指値に対応するグラフを並列させる。
【0057】
図7は、本実施形態における単純統合方法により統合した統合板情報の一例を示す図である。
【0058】
図7に示す例では、板情報Aの基準価格「80000(JPY)」、板情報Bの基準価格「7304.00(USD)」、板情報Cの基準価格「6200.00(EUR)」とを横方向に並べて配置し、基準位置から板情報A,B,Cの各指値を縦方向にそれぞれ対応づけて配置している。また、板情報A,B,Cの指値に対応するグラフを並列させて配置している。
【0059】
このようにして、単純統合方法により統合した統合板情報では、複数の仮想通貨取引所A,B,Cの板情報を同時に確認することができる。従って、通常使用する仮想通貨取引所とは異なる他の仮想通貨取引所において、例えば大きな指値注文があった場合でも、この指値注文をすぐに認識することができる。また、各板情報A,B,Cの基準価格を基準にして指値が対応づけて配置されているため、指値毎の売り指値注文と買い指値注文の注文数量を容易に把握できる。従って、何れの指値での大きな指値注文であるかを容易に把握することができる。
【0060】
なお、単純統合方法による統合方法では、仮想通貨取引所毎の板情報A,B,Cの基準価格を対応づけているため、同じ価格で対応づけられていない場合がある。すなわち、仮想通貨取引所A,B,Cは、互いに独立して仮想通貨の売買をしているため、基準価格が同じあるとは限らない。このため、各仮想通貨取引所の基軸通貨間の為替レートをもとに基準価格を換算したとしても、板情報A,B,Cの基準価格が同じ価格とならない場合がある。例えば、図7に示す統合板情報では、板情報A,B,Cの基準価格とする「8000000(JPY)=7304.00(USD)=6200.00(EUR)」とは限らない。
【0061】
また、仮想通貨の売買取引において、売買する際の価格の刻み幅である呼値が、複数の仮想通貨取引所の間で異なる場合がある。例えば、基軸通貨が異なれば、為替レートの変動によって呼値に相当する価格幅の対応が変化する。また、基軸通貨が同じ仮想通貨取引所からの板情報であっても、仮想通貨取引所毎に呼値が異なる場合がある。
【0062】
従って、単純統合方法による統合方法によって、複数の板情報A,B,Cの基準価格及び指値を対応づけても、同じ価格で対応づけられていない可能性がある。
【0063】
以下に説明する第1~第3統合方法による統合処理では、複数の板情報A,B,Cの基準価格及び指値の対応づけを、単純統合方法よりも適切にすることができる。
【0064】
次に、統合設定用画面において、表示パターンボタン22-1により表示パターン1が指定された場合の第1統合方法による統合処理について説明する。図8は、本実施形態における第1統合方法による統合処理を説明するためのフローチャートである。
【0065】
第1統合方法による統合処理は、絶対的な価格(指値)に対する為替レートによる変換をした上で統合をする。すなわち、第1統合方法による統合処理では、複数の仮想通貨取引所A,B,Cからの板情報A,B,Cを、基準取引所の基軸通貨に合わせて、参考取引所の指値を為替レートに基づいて変換してから、板情報A,B,Cを対応づけて統合する。第1統合方法は、複数の仮想通貨取引所を含む市場全体が十分に効率的である場合に有効な統合方法である。
【0066】
十分に効率的である市場とは、例えば、為替レートが1(USD)=100(JPY)の状況の場合に、基軸通貨を日本円とする仮想通貨取引所Aでは、1BTC=1,000,000円の時、米国ドルを基軸通貨とする仮想通貨取引所Bでは、1BTC≒10,000ドルとなる市場である。すなわち、仮想通貨の価格が基軸通貨が異なる仮想通貨取引所の間で、ほぼ一致する市場である。
【0067】
プロセッサ10Aは、記憶装置10Cに記憶された複数の仮想通貨取引所A,B,Cからの板情報データをもとに、参考取引所の板情報の指値を基準取引所の基軸通貨ベースの指値に変換する(ステップB1)。例えば、仮想通貨取引所Aが基準取引所として指定されている場合、仮想通貨取引所B,Cが参考取引所となる。
【0068】
図9(A)(B)(C)には、仮想通貨取引所A,B,Cから受信される板情報A,B,Cの一例を示している。プロセッサ10Aは、仮想通貨取引所Aの基軸通貨である日本円(JPY)と仮想通貨取引所Bの基軸通貨である米国ドル(USD)との為替レートに基づいて、板情報Bの指値を日本円(JPY)の指値に変換する。同様にして、プロセッサ10Aは、日本円(JPY)と仮想通貨取引所Cの基軸通貨であるユーロ(EUR)との為替レートに基づいて、板情報Cの指値(基準価格を含む)を日本円(JPY)に変換する。
【0069】
図10(A)(B)には、基軸通貨が米国ドル(USD)の板情報Bの指値を、日本円(JPY)の指値に変換する例を示している。例えば、為替レートが1(USD)=110(JPY)の場合、板情報Bの「7272.00(USD)」の指値(基準価格に相当する)は「799920(JPY)」に変換される。プロセッサ10Aは、図10(A)に示す米国ドル(USD)の板情報Bの指値について、それぞれ為替レートに基づいて、図10(B)に示すように、日本円(JPY)の指値に変換する。
【0070】
図11(A)は、基準取引所の仮想通貨取引所Aの板情報Aを示し、図11(B)(C)は、仮想通貨取引所Aの基軸通貨(日本円(JPY))に変換した、板情報B,Cを示している。プロセッサ10Aは、基準取引所の板情報Aの指値に、基軸通貨(日本円(JPY))に変換された板情報B,Cの指値を対応付ける(ステップB2)。すなわち、板情報A,B,Cの各指値を結合して、統合板情報の指値を生成する。
【0071】
プロセッサ10Aは、板情報A,B,Cの各指値を統合した統合板情報の指値毎に、板情報A,B,Cの買い注文と売り注文の注文数量をそれぞれ合算した合算注文数量を算出する(ステップB3)。例えば、板情報Aの指値と、基軸通貨(日本円(JPY))に変換した板情報B,Cの指値に同じ値がある場合、同じ値の指値に対応する各板情報の注文数量が合算される。例えば、図11(B)(C)に示すように、板情報A,Bに共通する指値「799981(JPY)」があるため、板情報Aの指値「799981(JPY)」に対応する注文数量と、板情報Bの指値「799981(JPY)」に対応する注文数量とを合算し、統合板情報における当該指値の注文数量とする。また、複数の板情報に共通しない指値については、各指値に対応する何れかの板情報の注文数量を統合板情報の注文数量とする。これにより、板情報A,B,Cを統合した統合板情報が生成される。
【0072】
さらに、プロセッサ10Aは、統合した板情報のデータをもとに、統合板情報として表示するデータを集計する集計処理を実行する(ステップB4)。集計処理は、単純結合方法の場合と同様にして、必ずしも実行する必要は無い。集計処理の詳細については後述する。
【0073】
プロセッサ10Aは、統合板情報の指値(板情報A,B,Cの指値を結合した指値)と対応づけて、注文数量に応じたグラフを生成する(ステップB5)。
【0074】
図12は、本実施形態における第1統合方法により統合した統合板情報の一例を示す図である。図12に示すように、板情報Aの指値と、為替レートに基づいて板情報Aと同じ基軸通貨の指値に変換した板情報B,Cの指値が結合されている。図12に示す例では、指値「799981(JPY)」に対応する注文数量が、板情報A,Bの注文数量を合算したことを表している。その他の指値に対応する注文数量は、それぞれの板情報A,B,Cにおける注文数量であることを表している。
【0075】
また、図12に示す例では、板情報Aの基準価格に相当する指値「800000」については注文数量がないが、板情報B,Cの指値を為替レートに基づいて変換した結果、指値「800000」が存在した場合には、板情報B,Cの指値「800000」に対応する注文数量が表記される。
【0076】
このようにして、第1統合方法により統合した統合板情報では、単純統合方法と同様の効果に加えて、基準取引所として指定した仮想通貨取引所の基軸通貨により統合板情報を表示させることができる。従って、仮想通貨の売買に使用する基軸通貨の指値に対応する、他の基軸通貨が使用される仮想通貨取引所における注文数量を容易に把握することができる。また、第1統合方法による統合処理は、仮想通貨取引所A,B,Cの基準価格が異なる場合には、図12の統合板情報に示すように、売り注文がある売り指値の範囲と、買い注文がある買い指値の範囲とが重複(オーバーラップ)して表される。従って、統合板情報を参照することにより、仮想通貨取引所A,B,Cの基準価格の違い(ズレの大きさ)、仮想通貨に対する複数の仮想通貨取引所の全体における売り/買いの指値範囲を容易に把握することができる。
【0077】
なお、第1統合処理による統合処理では、為替変換をしているため絶対価格のずれが生じる事態は避けられず、取引実態の取引所間比較が直感的ではない。また第1統合処理による統合処理は、市場が十分に効率的である場合に有効としているが、市場が十分に効率的でない状況においては、複数の仮想通貨取引所の板情報を適切に結合した、統合板情報を得ることができない場合がある。
【0078】
十分に効率的でない市場とは、例えば、為替レートが1(USD)=100(JPY)の状況の場合に、基軸通貨を日本円とする仮想通貨取引所Aでは、1BTC=1,000,000円の時、米国ドルを基軸通貨とする仮想通貨取引所Bでは、1BTC≒10,000ドルであるとは限らず、例えば1BTC=9,000ドルといった状況があり得る市場である。これは、「米国でドルを用いてBTCを買って、日本でBTCを売り、円を取得し、その後、円からドルに両替えすることでサヤ取りの利益を得る(アービトラージを行う)」といったことが何らかの要因(各国の法規制など)によって行えない場合などに発生し得る。各国(仮想通貨取引所)ごとに仮想通貨に対する規制状況が異なる場合には、規制が厳しい国などでは国内でのBTC価格がその他の国を含めた市場全体に対して大きくかけ離れてしまう場合がある。こうした場合、絶対価格に対する為替レート変換では意図した通りの統合板情報を得ることができない。
【0079】
次に説明する第2統合処理あるいは第3統合処理では、十分に効率的でない市場であっても有効な統合方法である。
【0080】
次に、統合設定用画面において、表示パターンボタン22-2により表示パターン2が指定された場合の第2統合方法による統合処理について説明する。図13は、本実施形態における第2統合方法による統合処理を説明するためのフローチャートである。
【0081】
第2統合方法による統合処理は、複数の仮想通貨取引所の板情報の指値を、それぞれの基準価格から見た比(割合)に変換し、各板情報の指値に対応する比を対応づけて統合する。
【0082】
プロセッサ10Aは、記憶装置10Cに記憶された複数の仮想通貨取引所A,B,Cからの板情報データをもとに、各仮想通貨取引所A,B,Cの板情報A,B,Cの各指値を、それぞれの基準価格に対する比(N%)を示す指値に変換する(ステップC1)。
【0083】
図14(A)(B)には、仮想通貨取引所Aの板情報Aの指値の変換例を示している。図14は、変換前の板情報Aを示し、図14(B)は、板情報Aの各指値を基準価格に対する比に変換した例を示している。図14(A)に示すように、板情報Aの基準価格を「800000円」とする。この時、例えば指値「800800円」の基準価格(100%)に対する比は100.1%となる。すなわち、「800800円」の価格に対する売り指値注文は、「基準価格に対して100.1%の価格に対する売り指値注文」に変換される。
【0084】
図15(A)(B)(C)には、板情報A,B,Cの各指値を、それぞれの基準価格に対する比(N%)を示す指値に変換した板情報を示している。
【0085】
プロセッサ10Aは、板情報A,B,Cの基準価格に対する指値の比を結合する(ステップC2)。すなわち、板情報A,B,Cの各指値に対応する比を配列して、統合板情報の指値に対応する比(統合比)を生成する。
【0086】
プロセッサ10Aは、板情報A,B,Cの各指値の比を統合した統合板情報の統合比毎に、板情報A,B,Cの買い注文と売り注文の注文数量をそれぞれ合算した合算注文数量を算出する(ステップC3)。例えば、板情報Aの指値に対応する比と板情報Bの指値に対応する比に同じ値がある場合、同じ値の比に対応する各板情報の注文数量が合算される。例えば、図15(A)(C)に示すように、板情報A,Cに共通する指値に対する比「+0.0003%」があるため、板情報Aの指値の比「+0.0003%」に対応する注文数量と、板情報Cの指値の比「+0.0003%」に対応する注文数量とを合算し、統合板情報における統合比に対応する指値の注文数量とする。また、複数の板情報に共通しない指値に対応する比ついては、各指値に対応する何れかの板情報の注文数量を統合板情報の注文数量とする。これにより、板情報A,B,Cが指値に対応する比をもとに統合される。
【0087】
図16は、板情報A,B,Cの指値に対応する比をもとに統合した統合板情報の一例を示している。図16に示す統合板情報では、基軸通貨による指値ではなく、基準価格に対する比(統合比)を示す数値毎の注文数量を示している。プロセッサ10Aは、図16に示す基準価格に対する比を示す数値を、仮想通貨取引所の基軸通貨の指値に変換して、基軸通貨による指値を用いた統合板情報を生成する(ステップC4)。
【0088】
さらに、プロセッサ10Aは、統合した板情報のデータをもとに、統合板情報として表示するデータを集計する集計処理を実行する(ステップC5)。集計処理は、単純結合方法の場合と同様にして、必ずしも実行する必要は無い。集計処理の詳細については後述する。
【0089】
プロセッサ10Aは、統合板情報の指値(結合した板情報A,B,Cの指値)と対応づけて、注文数量に応じたグラフを生成する(ステップC6)。
【0090】
図17(A)(B)は、本実施形態における第2統合方法により統合した統合板情報の一例を示す図である。図17(A)に示す統合板情報は、仮想通貨取引所Aの基軸通貨の日本円により指値を表記した例を示し、図17(B)に示す統合板情報は、仮想通貨取引所Bの基軸通貨の米国ドルにより指値を表記した例を示している。
【0091】
このようにして、第2統合方法により統合した統合板情報では、単純統合方法と同様の効果に加えて、複数の仮想通貨取引所の板情報の指値を、それぞれの基準価格から見た比(割合)に変換し、各板情報の指値に対応する比を対応づけて統合する。これにより、仮想通貨取引所A,B,Cにおける仮想通貨の基準価格が異なっていても、基準価格に対して相対的に同じ価値の注文数量を統合して提示することができる。また為替変換による絶対価格のずれによる取引実態の取引所間比較を直感的に把握することが容易でない事態を軽減することができる。
【0092】
なお、第2統合方法を用いた場合には、図16に示す基準価格に対する比(統合比)により表記した統合板情報と、図17(A)(B)に示す基軸通貨による指値により表記した統合板情報の何れを用いても良い。
【0093】
次に、統合設定用画面において、表示パターンボタン22-3により表示パターン3が指定された場合の第3統合方法による統合処理について説明する。図18は、本実施形態における第3統合方法による統合処理を説明するためのフローチャートである。
【0094】
第3統合方法による統合処理は、複数の仮想通貨取引所の板情報の指値を、それぞれの基準価格に対する相対値に変換し、各板情報の指値に対応する相対値を基準取引所の基軸通貨における基準価格に対する相対値に為替レートをもとに変換して統合する。
【0095】
プロセッサ10Aは、記憶装置10Cに記憶された複数の仮想通貨取引所A,B,Cからの板情報データをもとに、参考取引所の板情報の指値を基準価格からの相対値に変換する(ステップD1)。例えば、仮想通貨取引所Aが基準取引所として指定されている場合、仮想通貨取引所B,Cが参考取引所となる。
【0096】
図19(A)(B)(C)には、仮想通貨取引所A,B,Cから受信される板情報A,B,Cの一例を示している。図20(A)は、参考取引所の板情報B,Cについて、指値を基準価格からの相対値に変換した例を示している。図19(B)に示す板情報Bの基準価格は「7304.00(USD)」であるため、指値「7304.03(USD)」の基準価格に対する相対値は、図20(A)に示すように「+0.03」に変換される。すなわち、「7304.00(USD)」の価格に対する売り指値注文は、「基準価格に対して「+0.03」の価格に対する売り指値注文に変換され。プロセッサ10Aは、板情報Bの各指値について、基準価格からの相対値に変換する。同様にして、プロセッサ10Aは、図19(C)に示す板情報Cについても、板情報Cの各指値を、基準価格「6200.00(EUR)」からの相対値に変換する。
【0097】
次に、プロセッサ10Aは、仮想通貨取引所Aの基軸通貨である日本円(JPY)と仮想通貨取引所Bの基軸通貨である米国ドル(USD)との為替レートに基づいて、板情報Bの基準価格からの相対値を日本円(JPY)の相対値に変換する(ステップD2)。同様にして、プロセッサ10Aは、日本円(JPY)と仮想通貨取引所Cの基軸通貨であるユーロ(EUR)との為替レートに基づいて、板情報Cの基準価格からの相対値を日本円(JPY)の相対値に変換する。
【0098】
図20(B)は、板情報Bの基準価格からの相対値を日本円(JPY)の相対値に変換した例を示している。例えば、為替レートが1(USD)=110(JPY)の場合、板情報Bの基準価格からの相対値「+0.03」は日本円の相対値「+3」に変換される。すなわち、板情報Bの基準価格からの相対値「+0.03」の売り指値注文は、板情報Aの基準価格に対して「+3」の価格に対する売り指値注文に変換される。
【0099】
プロセッサ10Aは、図20(A)に示す板情報Bの基準値からの各相対値について、それぞれ為替レートに基づいて、図20(B)に示すように、日本円(JPY)の相対値に変換する。
【0100】
図21(A)は、基準取引所の仮想通貨取引所Aの板情報Aを示し、図21(B)(C)は、仮想通貨取引所Aの基軸通貨(日本円(JPY))の相対値に変換した、板情報B,Cを示している。図21(C)に示す板情報Cは、為替レートが1(EUR)=130(JPY)とした例を示している。プロセッサ10Aは、基準取引所の板情報Aの指値に、板情報Aの指値と基軸通貨(日本円(JPY))に変換された参考取引所の板情報B,Cの指値情報を対応づける(ステップD3)。すなわち、板情報Aの指値と、板情報B,Cの基軸通貨(日本円(JPY))に変換された相対値と板情報Aの基準価格とを加算した値とを対応づけて結合し、統合板情報の指値を生成する。例えば、図21(B)に示す板情報Bの相対値「+6」について、板情報Aの基準価格「800000」と加算した値「800006」を算出し、板情報Aの指値と結合する。また、図21(C)に示す板情報Cの相対値「-7」について、板情報Aの基準価格「800000」と加算した値「799993」を算出し、板情報Aの指値と結合する。
【0101】
プロセッサ10Aは、板情報A,B,Cの各指値を統合した統合板情報の指値毎に、板情報A,B,Cの買い注文と売り注文の注文数量をそれぞれ合算した合算注文数量を算出する(ステップD4)。例えば、板情報Aの指値と、板情報B,Cの相対値を基軸通貨に変換した値に同じ値がある場合、同じ値の指値に対応する各板情報の注文数量が合算される。例えば、図21(B)(C)に示すように、板情報B,Cに共通する相対値「+3」があるため、板情報Aの指値「800003(JPY)」に対応する注文数量と、板情報Bの相対値「+3」に対応する指値「7304.03(USD)」に対応する注文数量と、板情報Cの相対値「+3」に対応する指値「6200.02(EUR)」に対応する注文数量とを合算し、統合板情報における当該指値の注文数量とする。また、複数の板情報に共通しない指値については、各指値に対応する何れかの板情報の注文数量を統合板情報の注文数量とする。これにより、板情報A,B,Cが統合される。
【0102】
さらに、プロセッサ10Aは、統合した板情報のデータをもとに、統合板情報として表示するデータを集計する集計処理を実行する(ステップD5)。集計処理は、単純結合方法の場合と同様にして、必ずしも実行する必要は無い。集計処理の詳細については後述する。
【0103】
プロセッサ10Aは、統合板情報の指値(結合した板情報A,B,Cの指値)と対応づけて、注文数量に応じたグラフを生成する(ステップD6)。
【0104】
図22は、板情報Aに対して、板情報B,Cの基準価格に対する指値の相対値をもとに統合した統合板情報の一例を示している。図22に示す統合板情報は、板情報B,Cの基準価格に対する指値の相対値を、板情報Aの基軸通貨の指値に変換して、板情報Aの指値と結合している。
【0105】
このようにして、第3統合方法により統合した統合板情報では、第2統合方法と同様にして、仮想通貨取引所A,B,Cにおける仮想通貨の基準価格が異なっていても、基準価格に対して相対的に同じ価値の注文数量を統合して提示することができる。
【0106】
次に、本実施形態における集計処理について説明する。
【0107】
前述した単純統合方法及び第1~第3統合方法では、統合対象とする複数の板情報A,B,Cの全ての指値を含む統合板情報を生成しているが、集計処理をすることにより、複数の仮想通貨取引所における仮想通貨の売買の状況を確認し易くするため板情報データを集計する。
【0108】
本実施形態の統合サーバ10は、次に説明する第1集計処理、第2集計処理、第3集計処理の何れかの集計処理を実行することができる。以下、第1~第3集計処理のそれぞれについて説明する。
【0109】
第1集計処理では、板情報の指値を一定価格帯で区分して、区分毎に注文数量をまとめて表示する方法を用いる。
【0110】
図23(A)(B)には、本実施形態における第1集計処理による板情報の指値の区分例を示している。図23(A)は、基軸通貨を日本円にした統合板情報の指値を区分した例を示している。図23(A)に示す例では、予め決められた金額(5円)毎に指値を区分している。図23(B)は、基軸通貨を米国ドルにした統合板情報の指値を区分した例を示している。図23(B)に示す例では、予め決められた金額(0.5ドル)毎に指値を区分している。
【0111】
プロセッサ10Aは、複数の板情報A,B,Cを統合した板情報について、区分された価格帯に含まれる各指値に対応する注文数量を合算した区分注文数量を区分毎に集計する。また、プロセッサ10Aは、各区分に含まれる何れか1つの指値と、当該区分に対応する区分注文数量とを対応づけて、集計処理後の統合板情報を生成する。
【0112】
図24は、本実施形態における第1集計処理後の統合板情報に含まれるデータの一例を示す図である。図24には、図23(A)に示す区分に応じた統合板情報において表記する指値と、当該指値(区分)に対応する区分注文数量を示している。
【0113】
例えば、統合板情報の指値「800000円」以上~「800005円」未満の価格帯の区分については、区分内で最も大きい値の指値「800005」円を同区分の指値として用いている。なお、区分に対応する指値は、例えば中央の値、区分内で最も小さい値にするなど、他の指値を用いるようにしても良い。また、図24に示す例では、指値「800000円」以上~「800005円」未満の価格帯に含まれる各指値に対応する注文数量の合計P1が「5」であることを示している。また、第1集計処理では、例えば指値「799980」円に対応する注文数量のように、合計P2が「0」である場合も統合板情報に含めている。
【0114】
なお、区分する幅(価格帯)は、予め設定された固定値としても良いし、ユーザが統合設定用画面を通じて、集計処理を制御するためのパラメータとして指定できるようにしても良い。
【0115】
また、第1統合方法と第3統合方法では、板情報の指値を区分するが、第2統合方法では、統合対象とする板情報の指値に対応する基準価格との比を結合した統合比を一定幅で区分するものとする。プロセッサ10Aは、区分に含まれる比に対応する注文数量を合算した区分注文数量を算出し、区分に含まれる1つの比と、当該区分に対応する区分注文数量とを対応づけて統合板情報を生成する。
【0116】
このようにして、第1集計処理では、一定価格帯で区分して、区分に含まれる指値に対応する注文数量を合算するので、統合板情報において表示する指値の数を少なくすることができる。従って、複数の板情報A,B,Cの各指値を結合することにより全体の指値数が多くなる場合であっても、統合板情報における指値数を確認が容易な数に抑制することができる。
【0117】
次に、第2集計処理について説明する。第2集計処理は、板情報の基準価格に近いほど狭くなる価格帯で区分して、区分毎に注文数量をまとめて表示する方法を用いる。
【0118】
図25(A)(B)には、本実施形態における第2集計処理による板情報の指値の区分例を示している。図25(A)は、基軸通貨を日本円にした統合板情報の指値を区分した例を示している。
【0119】
本実施形態における第2集計処理では、板情報の基準価格に近いほど狭くなる価格帯で区分するため、例えばフィボナッチ数列に基づく区切りで価格帯を区分する。例えば、基準価格に最も近い最初の価格帯を1(N=1)とした場合、基準価格から1,1,2,3,5,8,…の価格帯で区分する。また、最初の価格帯を5(N=5)とした場合、基準価格から5,5,10,15,25,40,…の価格帯で区分する。
【0120】
図25(A)に示す例では、予め決められた基準価格に最も近い最初の価格帯を「3円」として、基準価格「800000円」に隣接する価格帯を「7999997円」以上~「800005円」未満、「800000円」以上~「800003円」未満とし、基準価格から離れるほど1区分における価格幅を大きくしている。
【0121】
図25(B)は、基軸通貨を米国ドルにした統合板情報の指値を区分した例を示している。図25(B)に示す例では、予め決められた基準価格に最も近い最初の価格帯を「0.2ドル」として、基準価格「7000.0ドル」に隣接する価格帯を「6999.8ドル」以上~「7000.0ドル」未満、「7000.0ドル」以上~「7000.2ドル」未満とし、基準価格から離れるほど1区分における価格幅を大きくしている。
【0122】
プロセッサ10Aは、第1集計処理と同様にして、区分された価格帯に含まれる各指値に対応する注文数量を合算した区分注文数量を区分毎に集計し、各区分に含まれる何れか1つの指値と、当該区分に対応する区分注文数量とを対応づけて、集計処理後の統合板情報を生成する。
【0123】
なお、基準価格に最も近い最初の価格帯を、予め設定された固定値としても良いし、ユーザが統合設定用画面を通じて、集計処理を制御するためのパラメータとして指定できるようにしても良い。
【0124】
また、第1統合方法と第3統合方法では、板情報の指値を区分するが、第2統合方法では、統合対象とする板情報の指値に対応する基準価格との比を結合した統合比を一定幅で区分するものとする。プロセッサ10Aは、区分に含まれる比に対応する注文数量を合算した区分注文数量を算出し、区分に含まれる1つの比と、当該区分に対応する区分注文数量とを対応づけて統合板情報を生成する。
【0125】
このようにして、第2集計処理では、板情報の基準価格に近いほど狭くなる価格帯で区分して、区分毎に注文数量をまとめた統合板情報を生成することができる。従って、仮想通貨の売買を判断するために重要な基準価格に近い価格帯については、狭い価格帯毎に詳細な売買値注文数量を確認することができ、また基準価格から離れた価格帯を含めた全体の売買値注文数量(売り指値と買い指値のバランス)の状況を容易に確認することができる。
【0126】
次に、第3集計方法について説明する。第3集計処理は、注文数量が一定値(基準値)以上の指値のみを抽出して表示する方法を用いる。
【0127】
図26(A)(B)には、本実施形態における第3集計処理による統合板情報の生成例を示している。図26(A)は、基軸通貨を日本円に統合した統合板情報の指値と注文数量を示している。ここで、指値を抽出する条件とする基準値Nが「10」である場合、プロセッサ10Aは、図26(A)に示す各指値に対応する注文数量のうち「10」以上の注文数量を検出する。図26(A)では、注文数量P3~P7が該当する。
【0128】
プロセッサ10Aは、図26(B)に示すように、注文数量P3~P7に対応する指値のみを抽出して統合板情報の指値とし、各指値に対応する注文数量とを含む統合板情報を生成する。
【0129】
このようにして、第3集計処理では、注文数量が一定値(基準値)以上の指値のみを含む統合板情報を生成するので、大きな注文数量による売買注文を容易に把握することができる。ここでは、複数の仮想通貨取引所A,B,Cを統合した統合板情報から注文数量が一定値以上の指値を抽出するので、個々の仮想通貨取引所A,B,Cでは注文数量が一定値以上でない注文であっても、市場全体において注文数量が一定値以上の指値を把握できる。
【0130】
なお、一定値(基準値)は、予め設定された固定値としても良いし、ユーザが統合設定用画面を通じて、集計処理を制御するためのパラメータとして指定できるようにしても良い。
【0131】
なお、前述した説明では、板情報を表示する場合に、各指値における売買の注文数量をグラフによって表しているが、単に数値のみによって表示するようにしても良い。また、前述した板情報の表示におけるグラフを棒グラフとしているが、他の形態のグラフを用いることも可能である。
【0132】
また、前述した説明では、統合サーバ10は、単純統合方法及び第1~第3統合方法から選択された何れかの統合方法により統合した統合板情報を提供するとしているが、何れか1つの統合方法により統合した統合板情報を提供するようにしても良い。また、統合サーバ10は、単純統合方法と第1~第3統合方法のうち、何れかの組み合わせの中から選択された統合方法により統合した統合板情報を提供するようにしても良い。
【0133】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0134】
また、実施形態に記載した処理の手法は、コンピュータに実行させることができるプログラムとして、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。画像処理装置を実現するコンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、プログラムによって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、記録媒体は、頒布用に限らず、コンピュータ内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含む。
【符号の説明】
【0135】
10…統合サーバ、10A…プロセッサ、10B…メモリ、10C…記憶装置、10D…入力装置、10E…出力装置、10F…通信装置、12(12-1,12-2,…,12-n)…取引所サーバ、14(14-1,…,14-k)…電子機器、16…為替レート提供サーバ、18…ネットワーク、21…基準取引所選択エリア、22(22-1,22-2,22-3,22-4)…表示パターン選択ボタン、23…板情報表示エリア。
図1
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