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特許7191373光学装置、分光センサモジュール、撮像モジュール、及び光学装置の製造方法
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  • 特許-光学装置、分光センサモジュール、撮像モジュール、及び光学装置の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】光学装置、分光センサモジュール、撮像モジュール、及び光学装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20221212BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20221212BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20221212BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221212BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20221212BHJP
   H01L 31/02 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
G02B7/02 Z
G02B7/02 A
G03B11/00
G03B17/02
H04N5/225 400
H04N5/225 700
H01L31/02 D
H01L31/02 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018216034
(22)【出願日】2018-11-16
(65)【公開番号】P2020085976
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】312011154
【氏名又は名称】マイクロモジュールテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】原園 文一
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-218918(JP,A)
【文献】国際公開第2017/094777(WO,A1)
【文献】特開2016-184082(JP,A)
【文献】特開2018-040623(JP,A)
【文献】特開平09-145601(JP,A)
【文献】特開2008-216055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G03B 11/00
G03B 17/02
H04N 5/225
H01L 31/0232
H01L 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物からの光が入射する光学部品と、
前記光学部品を透過した光のうち所定の波長の光を透過させる選択的透過部材と、
前記選択的透過部材を透過した光を受光する受光部と、
前記受光部に通電する不透明な立体配線基板と、
を備え、
前記立体配線基板は、貫通孔を有し、
前記貫通孔の内部には、前記光学部品、前記選択的透過部材、及び前記受光部が保持されており、
前記貫通孔は、前記貫通孔の軸と略直交する第1当接面と、前記貫通孔の軸と略直交する第2当接面を有し、
前記第1当接面は、前記立体配線基板の第1面の方を向いており、
前記第2当接面は、前記立体配線基板の前記第1面と異なる第2面の方を向いており、
前記光学部品は、前記光が出射する出射面が前記第1当接面に当接することで前記貫通孔の内部に設けられており、
前記選択的透過部材は、ガラス基板と、前記ガラス基板上に設けられた配線パターンと、を含み、
前記選択的透過部材は、前記ガラス基板が前記第2当接面に当接することで前記貫通孔の内部に設けられ、
前記受光部は、前記選択的透過部材の前記第2当接面と接する面と反対側の面に設けられ、
前記配線パターンは、前記立体配線基板及び前記受光部と当接する
ことを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記受光部は、当該受光部の電極上に設けられた突起を有し、
前記突起が前記配線パターンと当接する
ことを特徴とする請求項に記載の光学装置。
【請求項3】
前記貫通孔の内部に設けられたスペーサをさらに備え、
前記光学部品は、少なくとも第1光学部品及び第2光学部品を含み、
前記第1光学部品は、前記第1当接面に当接し、
前記第2光学部品は、前記スペーサに当接し、
前記スペーサの先端は、前記第1光学部品の近傍に位置する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記選択的透過部材には、前記選択的透過部材に入射した光のうちの所定の範囲の波長の光を透過させる回折格子が形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の光学装置。
【請求項5】
前記受光部又は前記選択的透過部材には、前記受光部の各画素毎に異なる波長の光を受光させる回折格子が形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の光学装置。
【請求項6】
前記選択的透過部材には、前記受光部の各画素毎に異なる波長の光を受光させるプラズモンフィルタが形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の光学装置。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の光学装置を有する分光センサモジュールであって、
前記光学部品としてデフューザーを含み、
前記受光部は、前記選択的透過部材を透過する光の強さを波長ごとに計測可能な分光センサである
ことを特徴する分光センサモジュール。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載の光学装置を有する撮像モジュールであって、
前記光学部品として複数枚のレンズを有するレンズユニットを含み、
前記受光部は、撮像素子である
ことを特徴する撮像モジュール。
【請求項9】
第1面及び第2面に開口する貫通孔であって、前記貫通孔の軸と略直交する第1当接面及び第2当接面を有する立体配線基板を、前記第2面を上にして載置する第1ステップと、
所定の波長の光を透過させる選択的透過部材であって、面上に形成された配線パターンを有する選択的透過部材を前記貫通孔に挿入して前記第2当接面に当接させて、前記選択的透過部材を前記貫通孔の内部に設け、前記配線パターンと前記立体配線基板とを電気的に導通させる第2ステップと、
前記選択的透過部材を透過する光を受光する受光部を前記貫通孔に挿入し、前記受光部を前記選択的透過部材に当接させて、前記配線パターンと前記受光部とを電気的に導通させる第3ステップと、
前記立体配線基板を前記第1面を上にして載置する第4ステップと、
光学部品を前記貫通孔に挿入して前記第1当接面に当接させて、前記光学部品を前記貫通孔の内部に設ける第5ステップと、
上端部材を前記貫通孔に挿入して前記光学部品に当接させて、かつ、前記上端部材と前記貫通孔との間に接着剤を封入して、前記上端部材を前記貫通孔の内部に設ける第6ステップと、
を含むことを特徴とする光学装置の製造方法。
【請求項10】
前記光学部品は少なくとも第1光学部品及び第2光学部品を含み、
前記第5ステップは、
前記第1光学部品を前記貫通孔に挿入して前記第1当接面に当接させて、前記第1光学部品を前記貫通孔の内部に設けるステップと、
スペーサを前記貫通孔に挿入して前記第1光学部品に当接させて、前記スペーサを前記貫通孔の内部に設けるステップと、
前記第2光学部品を前記貫通孔に挿入して前記スペーサに当接させて、前記第2光学部品を前記貫通孔の内部に設けるステップと、
を含むことを特徴とする請求項に記載の光学装置の製造方法。
【請求項11】
前記立体配線基板は、前記貫通孔の軸と略直交する第3当接面を有し、
前記第3ステップでは、前記受光部を前記第3当接面に当接させて、前記受光部と前記立体配線基板とを電気的に導通させる
ことを特徴とする請求項又は1に記載の光学装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置、分光センサモジュール、撮像モジュール、及び光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、透明樹脂で形成されるハウジングと、コリメータレンズ部と、立上げミラー部と、ホログラムレーザ取り付け部とを備え、これらが一体成形される光ピックアップ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-141853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の光ピックアップ装置は、ハウジングが透明であるため、光ピックアップ装置の内部の光路に不要な光(対象物からの光以外の光)が入り込み、対象物からの光と不要な光が混ざってしまうおそれがある。
【0005】
また、不透明であっても、複数の部材を接合して1つの筐体とする場合には、複数の部材の接合部から不要な光(特に赤外光)が筐体の内部に入り込み、対象物からの光と不要な光が混ざってしまうおそれがある。
【0006】
本発明はこのような事情を鑑みてなされたもので、対象物からの光が通過する光路に不要な光が入り込むことを防止することができる学装置、分光センサモジュール、撮像モジュール、及び光学装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る光学装置は、対象物からの光が入射する光学部品と、前記光学部品を透過した光のうち所定の波長の光を透過させる選択的透過部材と、前記選択的透過部材を透過した光を受光する受光部と、前記受光部に通電する不透明な立体配線基板と、を備え、前記立体配線基板は、貫通孔を有し、前記貫通孔の内部には、前記光学部品、前記選択的透過部材、及び前記受光部が保持されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、つなぎ目のない立体配線基板の内部に光学部品、選択的透過部材、及び受光部が保持されるため、立体配線基板の外部から不要な光が入り込むことがない。これにより、光学装置の測定精度や撮像された画像の精度を高くすることができる。
【0009】
前記貫通孔は、前記貫通孔の軸と略直交する第1当接面を有し、前記第1当接面は、前記立体配線基板の第1面の方を向いており、前記光学部品は、前記光が出射する出射面が前記第1当接面に当接することで前記貫通孔の内部に設けられていてもよい。これにより、光学部品と立体配線基板との位置関係を容易に決定することができ、組み立てが容易である。また、経年により光路部品と光路筐体との位置関係が変化することが少なく、長期間に渡って信頼性の高い光学装置を実現できる。
【0010】
前記貫通孔は、前記貫通孔の軸と略直交する第2当接面を有し、前記第2当接面は、前記立体配線基板の前記第1面と異なる第2面の方を向いており、前記受光部は、光が入射する入射面が前記第2当接面に当接することで前記貫通孔の内部に設けられていてもよい。これにより、受光部と立体配線基板との位置関係を容易に決定することができ、組み立てが容易である。また、受光部を立体配線基板に当接させるだけで受光部に電気を供給することができる。
【0011】
前記貫通孔は、前記貫通孔の軸と略直交する第2当接面を有し、前記第2当接面は、前記立体配線基板の前記第1面と異なる第2面の方を向いており、前記選択的透過部材は、ガラス基板と、前記ガラス基板上に設けられた配線パターンと、を含み、前記選択的透過部材は、前記ガラス基板が前記第2当接面に当接することで前記貫通孔の内部に設けられ、前記受光部は、前記選択的透過部材の前記第2当接面と接する面と反対側の面に設けられ、前記配線パターンは、前記立体配線基板及び前記受光部と当接してもよい。これにより、選択的透過部材をインターポーザとし、様々なセンサデバイスを受光部として使用することができる。
【0012】
前記受光部は、当該受光部の電極上に設けられた突起を有し、前記突起が前記配線パターンと当接してもよい。これにより、選択的透過部材と受光部との間隔を一定に保つことができる。
【0013】
前記貫通孔の内部に設けられたスペーサをさらに備え、前記光学部品は、少なくとも第1光学部品及び第2光学部品を含み、前記第1光学部品は、前記第1当接面に当接し、前記第2光学部品は、前記スペーサに当接し、前記スペーサの先端は、前記第1光学部品の近傍に位置していてもよい。これにより、第1及び第2光学部品間の距離をスペーサにより決定することができる。また、第2光学部品の大きさにかかわらず、第2光学部品を貫通孔の内部に保持することができる。さらに、スペーサを用いることで組み立てが容易であり、かつ第1光学部品及び第2光学部品の位置決めも容易である。
【0014】
前記選択的透過部材には、前記選択的透過部材に入射した光のうちの所定の範囲の波長の光を透過させる回折格子が形成されていてもよい。この場合は、選択的透過部材全体で所定の波長の範囲の光を通過させるため、赤外光、紫外光を分光等する場合に有用である。
【0015】
前記受光部又は前記選択的透過部材には、前記受光部の各画素毎に異なる波長の光を受光させる回折格子が形成されていてもよい。また、前記選択的透過部材には、前記受光部の各画素毎に異なる波長の光を受光させるプラズモンフィルタが形成されていてもよい。これにより、受光部において、画素毎に異なる波長の光を受光することができる。
【0016】
本発明の別の観点に係る分光センサモジュールは、上述のいずれかに記載の光学装置を有する分光センサモジュールであって、前記光学部品としてデフューザーを含み、前記受光部は、前記選択的透過部材を透過する光の強さを波長ごとに計測可能な分光センサであることを特徴する。本構成によれば、対象物からの光を効率的に受光部に導光する分光センサモジュールを提供することができる。
【0017】
本発明のさらに別の観点に係る撮像モジュールは、上述のいずれかに記載の光学装置を有する撮像モジュールであって、前記光学部品として複数枚のレンズを有するレンズユニットを含み、前記受光部は、撮像素子であることを特徴する。本構成によれば、対象物からの光を効率的に受光部に導光する撮像装置を提供することができる。
【0018】
本発明に係る光学装置の製造方法は、第1面及び第2面に開口する貫通孔であって、前記貫通孔の軸と略直交する第1当接面及び第2当接面を有する立体配線基板を、前記第2面を上にして載置する第1ステップと、所定の波長の光を透過させる選択的透過部材を前記貫通孔に挿入して前記第2当接面に当接させて、前記選択的透過部材を前記貫通孔の内部に設ける第2ステップと、前記選択的透過部材を透過する光を受光する受光部を前記貫通孔に挿入する第3ステップと、前記立体配線基板を前記第1面を上にして載置する第4ステップと、光学部品を前記貫通孔に挿入して前記第1当接面に当接させて、前記光学部品を前記貫通孔の内部に設ける第5ステップと、上端部材を前記貫通孔に挿入して前記光学部品に当接させて、かつ、前記上端部材と前記貫通孔との間に接着剤を封入して、前記上端部材を前記貫通孔の内部に設ける第6ステップと、を含むことを特徴とする。これにより、立体配線基板の外部から不要な光が入り込むことがない光学装置を、容易に組み立てることができる。また、各部材を貫通孔に挿入するだけで互いの距離を容易に決定することができる。
【0019】
前記光学部品は少なくとも第1光学部品及び第2光学部品を含み、前記第5ステップは、前記第1光学部品を前記貫通孔に挿入して前記第1当接面に当接させて、前記第1光学部品を前記貫通孔の内部に設けるステップと、スペーサを前記貫通孔に挿入して前記第1光学部品に当接させて、前記スペーサを前記貫通孔の内部に設けるステップと、前記第2光学部品を前記貫通孔に挿入して前記スペーサに当接させて、前記第2光学部品を前記貫通孔の内部に設けるステップと、を含んでいてもよい。これにより、第1光学部品及び第2光学部品の距離をスペーサで規定することができる。また、第2光学部品の大きさにかかわらず、部品を順番に貫通孔に挿入するだけで光学装置の組み立てが可能となる。
【0020】
前記立体配線基板は、前記貫通孔の軸と略直交する第3当接面を有し、前記第3ステップでは、前記受光部を前記第3当接面に当接させて、前記受光部と前記立体配線基板とを電気的に導通させてもよい。このように、受光部を直接立体配線基板に搭載することで、シンプルな構造とすることができる。
【0021】
前記選択的透過部材は、面上に形成された配線パターンを有し、前記第2ステップでは、前記配線パターンと前記立体配線基板とを電気的に導通させ、前記第3ステップは、前記受光部を前記選択的透過部材に当接させて、前記配線パターンと前記受光部とを電気的に導通させてもよい。このように、選択的透過部材をインターポーザとすることで、様々なセンサデバイスを受光部として選択的透過部材に搭載することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、対象物からの光が通過する光路に不要な光が入り込むことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】光学装置1の概略を示す縦断面図である。
図2】光学装置1の製造方法の流れを示すフローチャートである。
図3】光学装置1Aの概略を示す縦断面図である。
図4】光学装置1Bの概略を示す縦断面図である。
図5】光学装置1Bの製造方法の流れを示すフローチャートである。
図6】光学装置1Cの概略を示す縦断面図である。
図7】選択的透過部材7Bの概略を示す平面図である。
図8】受光部8Cが選択的透過部材7Bに設けられる様子を模式的に示す図である。
図9】光学装置1Cの製造方法の流れを示すフローチャートである。
図10】受光部8Cが選択的透過部材7Cに設けられる様子を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る光学装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本発明に係る光学装置は、対象物からの光を受光部に受光させる装置である。以下、対象物から受光部に至る光路上において、対象物側を上、受光部側を下という。また、上側を+z側、下側を-z側とし、z方向と略直交する方向をx方向及びy方向とする。
【0025】
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態にかかる光学装置1は、例えば、受光部に分光センサを用いた分光センサモジュールである。
【0026】
図1は、光学装置1の概略を示す縦断面図である。光学装置1は、主として、立体配線基板2と、上端部材3と、光学部品4と、スペーサ5と、光学部品6と、選択的透過部材7と、受光部8と、を備える。対象物(図示せず)は光学装置1の上側に設けられており、対象物からの光(図1白抜き矢印参照)は、上端部材3側から光学装置1に入射する。
【0027】
立体配線基板2は、厚みを有する平板状の部材であり、平面視において(z方向から見て)略矩形形状である。立体配線基板2は、平面視における形状が略長方形でもよいし略正方形状でもよい。立体配線基板2は、受光部8に給電して、受光部8が受光した光を計測するための回路を含む。立体配線基板2は、立体配線基板2に受光部8が収容されると、受光部8と立体配線基板2とが導通するように構成されている。
【0028】
立体配線基板2の平面視略中央には、立体配線基板2を貫通する貫通孔21が設けられている。貫通孔21の開口の形状は、例えば略長方形状であるが、略正方形状や略円形等任意である。貫通孔21は、立体配線基板2をz方向に貫通し、立体配線基板2の平行な2つの面、すなわち上面2a及び底面2bに開口している。貫通孔21の上面2a側の開口部が第1開口端22であり、貫通孔21の底面2b側の開口部が第2開口端23である。
【0029】
なお本実施の形態では、貫通孔21の軸axがz方向と略平行であるが、貫通孔21内部に適宜の光学部品を配置することにより軸axを屈曲させて、貫通孔の各開口端を上面2a、底面2b以外に設けてもよい。ただし、貫通孔21が上面2a及び底面2bに開口している構成によれば、光路を短くし、光学装置1を薄くすることができる。
【0030】
貫通孔21の内部には、上端部材3と、光学部品4と、光学部品6と、選択的透過部材7と、受光部8とが上から順に配置されている。第1開口端22の近傍には上端部材3が配置されている。第2開口端23の近傍には受光部8が配置されている。立体配線基板2の内部に各部材を保持する構成については、後述する。
【0031】
上端部材3は、環状の部材である。上端部材3の底面のうち外周側の少なくとも一部の領域3bは、内周側の領域3aよりも下側に突出している。領域3aは光学部品4の入射面4aに当接し、領域3bはスペーサ5の上面5aに当接している。上端部材3は、接着部材(図示せず)により立体配線基板2に固定されている。
【0032】
上端部材3の略中央には貫通孔3cが設けられており、貫通孔3cを介して光学部品4に光が入射する。
【0033】
光学部品4は、対象物からの光が入射する光学部品である。本実施の形態では、光学部品4はディフューザー(光拡散板)である。光学部品4は、対象物からの光に含まれる波長を均一にして、光学部品6に出射する。
【0034】
スペーサ5は、光学部品4と光学部品6との間に配置される。スペーサ5の上面5a側には、光学部品4を収容する光学部品収容部51が形成されている。光学部品収容部51は、光学部品4の外周に対応する凹形状であり、たとえば略円筒形の凹部である。
【0035】
スペーサ5の下面5c側には、光路上下流へ向かうに従って内径が大きくなっている導光部52が形成されている。導光部52は、略円錐台状の凹部であってもよいし、略四角錐台状の凹部であってもよい。
【0036】
光学部品収容部51と導光部52とは、貫通孔53により連通している。光学部品収容部51に収容されている光学部品4から出射する光は、貫通孔53及び導光部52を通ってスペーサ5の下側へ導かれ、光学部品6に入射する。
【0037】
光学部品収容部51の底面51aは光学部品4の出射面4bに当接している。また、先端面5bが光学部品6の入射面6bに当接している。すなわち、スペーサ5は、光学部品4と光学部品6との間隔を規定している。
【0038】
光学部品6は、光学部品4から出射される光が入射する光学部品である。本実施の形態では、光学部品6はコリメータレンズである。光学部品6は、入射された光を平行光にする。
【0039】
選択的透過部材7は、例えば光学フィルタであり、光学部品6から出射される光のうち所定の波長の光を透過させる部材である。選択的透過部材7は、回折格子やプラズモンフィルタ等の選択的透過部71を有する。
【0040】
選択的透過部材7には、選択的透過部材7に入射した光のうちの所定の範囲の波長の光(例えば赤外光、紫外光)を透過させる回折格子が形成されていてもよい。また、選択的透過部材7には、受光部8の各画素毎に異なる波長の光を受光させるカラーフィルタ(例えば、回折格子やプラズモンフィルタ)が形成されていてもよい。
【0041】
選択的透過部71は、選択的透過部材7の受光部8側の面7aに設けられる。選択的透過部71とセンサ部82とが離れると、光が拡散して隣接する画素と光が干渉するため、選択的透過部71を面7aに設けて選択的透過部71とセンサ部82とを極力近づけるようにする。面7aと反対側の面7bには、反射防止膜が設けられる。
【0042】
受光部8は、選択的透過部材7を透過した光を受光する部材である。受光部8の立体配線基板2と当接する入射面8aには、光が入射するセンサ部82(例えばフォトダイオード)が設けられている。また、入射面8aには電極(図示せず)が露出しており、立体配線基板2と当接することで給電が行われる。
【0043】
センサ部82は、選択的透過部材7全体で所定の波長の範囲の光を通過した場合には、全画素が所定範囲の波長の光を受光する。また、センサ部82は、選択的透過部71がカラーフィルタの場合には、画素毎に異なる波長の光を受光する。
【0044】
次に、貫通孔21の内部に各部材が保持されている構成について説明する。貫通孔21は、第1孔部21aと、第2孔部21bと、第3孔部21cと、第4孔部21dと、第5孔部21eと、第6孔部21fとを有し、これらは+z側から順に設けられている。第1孔部21aの内径は第2孔部21bの内径より大きく、第2孔部21bの内径は第3孔部21cの内径より大きく、第3孔部21cの内径は第4孔部21dの内径より大きい。また、第6孔部21fの内径は第5孔部21eの内径より大きく、第5孔部21eの内径は第4孔部21dの内径より大きい。
【0045】
第1孔部21aと第2孔部21bとの間には、貫通孔21の軸axと略直交する当接面26aが、上面2aの方向を向くように形成されている。当接面26aに上端部材3の領域3bが当接することで、上端部材3が第1孔部21aの内部に設けられる。第1孔部21aの形状は上端部材3の外周形状に対応しており、上端部材3の外周面の大きさと第1孔部21aの内周面の大きさとは略一致している。
【0046】
第2孔部21bと第3孔部21cとの間には、貫通孔21の軸axと略直交する当接面26bが、上面2aの方向を向くように形成されている。当接面26bにスペーサ5の下面5cが当接することで、スペーサ5が第2孔部21bの内部に設けられる。第2孔部21bの形状はスペーサ5の外周形状に対応しており、スペーサ5の外周面の大きさと第2孔部21bの内周面の大きさとは略一致している。
【0047】
そして、光学部品収容部51に光学部品4が設けられることで、光学部品4が第1孔部21a及び第1孔部21aの内部に設けられる。
【0048】
第3孔部21cと第4孔部21dとの間には、貫通孔21の軸axと略直交する当接面26cが、上面2aの方向を向くように形成されている。当接面26cに光学部品6の出射面6aが当接することで、光学部品6が第3孔部21cの内部に設けられる。第3孔部21cの形状は光学部品6の外周形状に対応しており、光学部品6の外周面の大きさと第3孔部21cの内周面の大きさとは略一致している。
【0049】
また、第3孔部21cの内部には、第2孔部21bの内部に設けられたスペーサ5に下向きに設けられた凸部5dが挿入されている。凸部5dの先端面5bは、光学部品6の入射面6bの近傍に位置している。なお、先端面5bと入射面6bとは当接していてもよいし、当接していなくてもよい。
【0050】
第4孔部21dと第5孔部21eとの間には、貫通孔21の軸axと略直交する当接面26dが、底面2bの方向を向くように形成されている。当接面26dに選択的透過部材7の面7aが当接することで、選択的透過部材7が第5孔部21eの内部に設けられる。第5孔部21eの形状は選択的透過部材7の外周形状に対応しており、選択的透過部材7の外周面の大きさと第5孔部21eの内周面の大きさとは略一致している。
【0051】
第5孔部21eと第6孔部21fとの間には、貫通孔21の軸axと略直交する当接面26eが、底面2bの方向を向くように形成されている。当接面26eに受光部8の入射面8aが当接することで、受光部8が第6孔部21fの内部に設けられる。受光部8の下側にはヒートシンク9が設けられる。第6孔部21fの形状は受光部8の外周形状に対応しており、受光部8の外周面の大きさと第6孔部21fの内周面の大きさとは略一致している。
【0052】
図2は、光学装置1の製造方法の流れを示すフローチャートである。まず、底面2bを上にして立体配線基板2を載置する(ステップS1)。次に、第2開口端23側から貫通孔21に選択的透過部材7を挿入し、選択的透過部材7を当接面26dに当接させる(ステップS2)。これにより、選択的透過部材7が第5孔部21eの内部に設けられる。
【0053】
次に、第2開口端23側から貫通孔21に受光部8を挿入し、受光部8を当接面26dに当接させる(ステップS3)。これにより、受光部8が第6孔部21fの内部に設けられる。また、ステップS3では、受光部8と立体配線基板2とを当接させて受光部8と立体配線基板2とを電気的に導通させる。
【0054】
その後、立体配線基板2の上下を返し、上面2aを上にして立体配線基板2を載置する(ステップS4)。次に、第1開口端22側から貫通孔21に光学部品6を挿入し、光学部品6を当接面26cに当接させる(ステップS5)。これにより光学部品6が第3孔部21cの内部に設けられる。
【0055】
次に、第1開口端22側から貫通孔21にスペーサ5を挿入し、スペーサ5を当接面26cに当接させる(ステップS6)。これにより、スペーサ5が第2孔部21bの内部に設けられる。また、スペーサ5の先端面5bが光学部品6の入射面6bの近傍に位置することで、貫通孔21の内部で光学部品6がz方向に位置決めされる。
【0056】
次に、第1開口端22側から貫通孔21に光学部品4を挿入し、スペーサ5の光学部品収容部51に光学部品4を収容する(ステップS7)。次に、第1開口端22側から貫通孔21に上端部材3を挿入し、当接面26aに上端部材3を当接させて、かつ、上端部材3と貫通孔21との間に接着剤を封入して、上端部材3を貫通孔21の内部に固定する(ステップS8)。
【0057】
ステップS8において、上端部材3の外周面に接着剤を塗布し、これを貫通孔21に挿入することで上端部材3と立体配線基板2とを接着してもよいし、第1孔部21aの内周面に接着剤を塗布してから貫通孔21に上端部材3を挿入して上端部材3と立体配線基板2とを接着してもよい。なお、接着剤の態様は任意であり、例えば液体状又は粘性体状の接着剤を塗布してもよいし、シート状の接着剤を貼付してもよい。また、上端部材3と立体配線基板2とを接着するのに加え、上端部材3とスペーサ5とを接着してもよい。
【0058】
これにより、上端部材3及び光学部品4が第1孔部21a及び第2孔部21bの内部に設けられる。また、上端部材3が光学部品4の入射面4a及びスペーサ5の上面5aに当接し、貫通孔21の内部で光学部品4及びスペーサ5がz方向に位置決めされる。
【0059】
なお、ステップS1~S3より前に、ステップS4~S8を実行してもよい。
【0060】
本実施の形態によれば、上端部材3、光学部品4、スペーサ5、光学部品6、選択的透過部材7、及び受光部8が立体配線基板2の貫通孔21に挿入されて収容されるため、立体配線基板2を不透明な立体配線基板とすることで、対象物からの光が通過する光路(上端部材3から受光部8までの光路)に不要な光が入り込むことを防止することができる。この結果、対象物からの光のみを受光部8で受光させることができ、光学装置1の測定精度を高くすることができる。
【0061】
特に本実施の形態によれば、立体配線基板2を不透明な立体配線基板とすることで、立体配線基板2に配線基板等を設ける必要がなく、立体配線基板2を一部品とし、接合部をなくすことができる。したがって、複数の部材の接合部から不要な光(特に赤外光)が筐体の内部に入り込まないようにすることができる。
【0062】
また、本実施の形態によれば、貫通孔21内部の当接面26a~26eを基準にして上端部材3、光学部品4、スペーサ5、光学部品6、選択的透過部材7、及び受光部8を貫通孔21の内部に設けるため、各部材を貫通孔21に挿入するだけで各部材を容易に決定することができ、組み立てが容易である。また、時間が経過したとしても各部材の位置関係が変化することが少なく、長期間に渡って信頼性の高い光学装置1を実現することができる。さらに、スペーサ5を用いることで、光学部品4の大きさにかかわらず、各部材を順番に貫通孔に挿入するだけで光学装置1の組み立てが可能となる。
【0063】
なお、本実施の形態では、光学部品4と光学部品6との間にスペーサ5を設けたが、スペーサ5は必須ではない。例えば、光学部品4の平面視における大きさを光学部品6の平面視における大きさよりも大きくし、当接面26aに直接光学部品4を載置するようにすることで、スペーサ5は不要となる。
【0064】
<第1の実施の形態の変形例>
本実施の形態では、選択的透過部材7に回折格子やプラズモンフィルタ等の選択的透過部71が設けられていたが、受光部8の入射面8aに選択的透過部を設けてもよい。図3は、第1の実施の形態の変形例かかる光学装置1Aの縦断面図である。
【0065】
光学装置1Aは、主として、立体配線基板2と、上端部材3と、光学部品4と、スペーサ5と、光学部品6と、選択的透過部材7Aと、受光部8Aと、を備える。
【0066】
選択的透過部材7Aは、光学フィルタであり、受光部8Aに入射する光の波長範囲を絞る。光学フィルタとしては、例えば回折格子である。
【0067】
受光部8の上側の入射面8aには、選択的透過部として、受光部8に入射される光を分光させて出射する回折格子81が形成される。回折格子81は、受光部8にナノインプリントされている。この構成によれば、受光部8とは別に回折格子を設ける場合と比較して部品点数が少なくなり、光学装置1を薄く構成することができる。受光部8Aは、回折格子81以外は受光部8と同様である。
【0068】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態にかかる光学装置1Bは、例えば、受光部に撮像素子を用いた撮像モジュールである。以下、第2の実施形態にかかる光学装置1Bについて、光学装置1と異なる点を中心に説明する。なお、光学装置1と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0069】
図4は、光学装置1Bの概略を示す縦断面図である。光学装置1Bは、主として、立体配線基板2と、上端部材3と、光学部品4Aと、選択的透過部材7と、受光部8Bと、を備える。対象物は光学装置1Bの上側に設けられており、対象物からの光は上端部材3側から光学装置1Bに入射する。
【0070】
光学部品4Aは、略円柱形状であり、筐体の内部に複数のレンズ及び絞りが設けられたレンズユニットである。光学部品4Aの側面4dには雄ねじ(図示せず)が形成されており、第3孔部21cの内周面に雌ねじ(図示せず)が形成されている。この雄ねじと雌ねじとを螺合させて、当接面26cに光学部品4Aの下端面4cを当接させることで、光学部品4Aが第3孔部21cの内部に設けられる。雄ねじ及び雌ねじは、機械加工により形成してもよいし、立体配線基板2や光学部品4Aの筐体の成型時に形成してもよい。
【0071】
光学部品4Aは、光軸方向の長さが長い部品であるため、スペーサ5は不要である。上端部材3は、光学部品4Aの上端面4eに当接している。上端部材3は、接着部材(図示せず)により立体配線基板2に固定されている。
【0072】
図5は、光学装置1Bの製造方法の流れを示すフローチャートである。まず、底面2bを上にして立体配線基板2を載置する(ステップS1)。次に、第2開口端23側から貫通孔21に選択的透過部材7を挿入し、選択的透過部材7を当接面26dに当接させる(ステップS2)。次に、第2開口端23側から貫通孔21に受光部8Bを挿入し、受光部8Bを当接面26dに当接させる(ステップS3)。受光部8Bは、可視光又は赤外光を受光して画像を撮像する撮像素子である。
【0073】
その後、立体配線基板2の上下を返し、上面2aを上にして立体配線基板2を載置する(ステップS4)。次に、第1開口端22側から貫通孔21に光学部品4Aを挿入し、光学部品4Aを当接面26cに当接させる(ステップS15)。これにより光学部品4Aが第3孔部21cの内部に設けられる。
【0074】
次に、第1開口端22側から貫通孔21に上端部材3を挿入して、当接面26aに上端部材3を当接させ、かつ、上端部材3と貫通孔21との間に接着剤を封入して、上端部材3を貫通孔21の内部に固定する(ステップS16)。
【0075】
これにより、上端部材3及び光学部品4Aが第1孔部21a及び第2孔部21bの内部に設けられる。なお、ステップS1~S3より前に、ステップS4~S16を実行してもよい。
【0076】
本実施の形態によれば、光学装置1Bを用いて対象物を撮像することができる。例えば、赤外光で物体の動きを検知して動体を撮像するモーションカメラにも適用可能である。立体配線基板2を一部品として接合部をなくすため、接合部から不要な光(特に赤外光)が立体配線基板2の内部に入り込まないため、高精度の画像を撮像することができる。
【0077】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態にかかる光学装置1Cは、選択的透過部材に回路が設けられた形態である。以下、第3の実施形態にかかる光学装置1Cについて、光学装置1と異なる点を中心に説明する。なお、光学装置1と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。また、光学装置1Cは、受光部に分光センサを用いた分光センサモジュールであっても良いし、受光部に撮像素子を用いた撮像モジュールであってもよい。
【0078】
図6は、光学装置1Cの概略を示す縦断面図である。光学装置1Cは、主として、立体配線基板2Aと、上端部材3と、光学部品4と、スペーサ5と、光学部品6と、選択的透過部材7Bと、受光部8Cと、を備える。
【0079】
立体配線基板2Aは、厚みを有する平板状の部材であり、平面視において(z方向から見て)略矩形形状である。立体配線基板2Aに選択的透過部材7B及び受光部8Cが収容されると、選択的透過部材7Bを介して立体配線基板2Aと受光部8Cとが導通する。
【0080】
立体配線基板2Aの平面視略中央には、立体配線基板2を貫通する貫通孔21Aが設けられている。貫通孔21Aは、第1孔部21aと、第2孔部21bと、第3孔部21cと、第4孔部21dと、第5孔部21gとを有し、これらは+z側から順に設けられている。第5孔部21gの内径は第4孔部21dの内径より大きい。
【0081】
第4孔部21dと第5孔部21gとの間には、貫通孔21の軸axと略直交する当接面26fが、底面2bの方向を向くように形成されている。当接面26fに選択的透過部材7Bの面7bが当接することで、選択的透過部材7Bが第5孔部21gの内部に設けられる。
【0082】
選択的透過部材7Bは、光学部品6から出射される光のうち所定の波長の光を透過させる部材である。図7は、選択的透過部材7Bの概略を示す平面図である。
【0083】
選択的透過部材7Bは、ガラス基板72と、選択的透過部73と、配線パターン74と、を有する。選択的透過部73及び配線パターン74は、ガラス基板72に設けられる。選択的透過部73は、受光部8B側の面7aに設けられる。配線パターン74は、面7a及び面7bに設けられる。面7bには、反射防止膜が設けられていてもよい。
【0084】
選択的透過部73は、受光部8Bの各画素毎に異なる波長の光を受光させるカラーフィルタである。本実施の形態では、選択的透過部73にプラズモンフィルタを用いる。プラズモンフィルタは、表面プラズモン原理を用いたカラーフィルタである。本実施の形態では、直径が1μm以下の穴が周期的にガラス基板72上に形成されており、穴径や穴のピッチを変えることで通す波長を変化させる。ただし、選択的透過部73はプラズモンフィルタに限られない。
【0085】
配線パターン74は、AuやCuを用いた導体膜である。配線パターン74は、主として面7bに設けられ、一部が面7aに設けられる。また、ガラス基板72には、貫通電極75(TGV、Through-Glass Via)が形成されている。貫通電極75は、面7aに形成された配線パターン74と、面7bに形成された配線パターン74とを導通させる。
【0086】
図6の説明に戻る。選択的透過部材7Bが貫通孔21Aの内部に設けられると、面7bに形成された配線パターン74と立体配線基板2Aとが当接し、立体配線基板2A上の回路と配線パターン74とが導通する。
【0087】
受光部8Cは、選択的透過部材7Bを透過した光を受光する部材である。受光部8Cの選択的透過部材7Bと当接する入射面8aには、光が入射するセンサ部82が設けられている。受光部8Cは、入射面8aが面7aに隣接するように選択的透過部材7Bに設けられる。
【0088】
図8は、受光部8Cが選択的透過部材7Bに設けられる様子を模式的に示す図である。受光部8Cの入射面8aには、突起(以下、バンプ83という)が設けられている。バンプ83は、アルミニウム、金、銅等の導電体用いて形成されている。
【0089】
バンプ83は、中央部が他の部分より高くなるように形成されている。バンプ83の先端(ここでは他の部分より高い中央部の先端)は、配線パターン74に当接する。バンプ83は受光部8Cの電極84上に設けられており、バンプ83と配線パターン74とが当接することで、立体配線基板2Aと受光部8Cとが導通し、受光部8Cに給電が行われる。
【0090】
また、受光部8Cにバンプ83が設けられているため、選択的透過部材7Bの面7aと受光部8Cの入射面8aとの間隔が一定に保たれる。本実施の形態では、面7aと入射面8aとの間隔は略10μm以下である。
【0091】
図9は、光学装置1Cの製造方法の流れを示すフローチャートである。まず、底面2bを上にして立体配線基板2Aを載置する(ステップS21)。次に、第2開口端23側から貫通孔21Aに選択的透過部材7Bを挿入し、選択的透過部材7を当接面26fに当接させる(ステップS2)。これにより、選択的透過部材7が第5孔部21gの内部に設けられる。
【0092】
次に、第2開口端23側から貫通孔21に受光部8Cを挿入し、受光部8Cを選択的透過部材7Bに当接させる(ステップS23)。これにより、受光部8Cが第5孔部21gの内部に設けられる。また、ステップS23では、受光部8と選択的透過部材7Bとを当接させて受光部8Cと立体配線基板2Aとを電気的に導通させる。
【0093】
その後、立体配線基板2Aの上下を返し、上面2aを上にして立体配線基板2Aを載置する(ステップS24)。次に、第1開口端22側から貫通孔21に光学部品6を挿入し、光学部品6を当接面26cに当接させる(ステップS25)。次に、第1開口端22側から貫通孔21Aにスペーサ5を挿入し、スペーサ5を当接面26cに当接させる(ステップS26)。次に、第1開口端22側から貫通孔21Aに光学部品4を挿入し、スペーサ5の光学部品収容部51に光学部品4を収容する(ステップS27)。次に、第1開口端22側から貫通孔21Aに上端部材3を挿入して当接面26aに上端部材3を当接させる。また、上端部材3と貫通孔21Aとの間に接着剤を封入して、上端部材3を貫通孔21の内部に固定する(ステップS28)。
【0094】
ステップS24~S28の処理は、ステップS4~S8と同様である。なお、ステップS21~S23より前に、ステップS24~S28を実行してもよい。
【0095】
本実施の形態によれば、立体配線基板2Aに選択的透過部材7Bを設け、選択的透過部材7Bに受光部8Cを設け、選択的透過部材7Bをインターポーザとすることで、様々なセンサデバイスを受光部8Cとして使用することができる。
【0096】
例えば、立体配線基板に直接受光部を設ける場合には、立体配線基板に形成された電極の位置に対応する位置に電極が設けられた受光部以外は使用することができない。それに対し、本実施の形態のように選択的透過部材に配線パターンを設け、選択的透過部材をインターポーザとする場合には、選択的透過部材に設ける配線パターンを変えることで、ガラス基板上で電極の位置を再配置することができる。そのため、様々なセンサデバイスに適用させることができる。
【0097】
なお、本実施の形態では、ガラス基板72に貫通電極75を設けることで、面7aに形成された配線パターン74と、面7bに形成された配線パターン74とを導通させたが、面7aに形成された配線パターン74と、面7bに形成された配線パターン74とを導通させる方法はこれに限られない。
【0098】
図10は、変形例にかかる選択的透過部材7Cに受光部8Cが設けられる様子を模式的に示す図である。選択的透過部材7Cには、ガラス基板72に沿ってフレキシブル基板76が設けられている。フレキシブル基板76は、面7aに形成された配線パターン74と、面7bに形成された配線パターン74とを導通させる。
【0099】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0100】
例えば、本発明の技術思想は、分光センサや撮像装置に限られるものではなく、対象物からの光を集光して受光部に導光する他の光学装置にも適用することができる。
【0101】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、略平行、略直交とは、厳密に平行、直交の場合には限られない。また、例えば、単に平行、直交等と表現する場合においても、厳密に平行、直交等の場合のみでなく、略平行、略直交等の場合を含むものとする。また、本発明において「近傍」とは、例えばAの近傍であるときに、Aの近くであって、Aを含んでも含まなくてもよいことを示す概念である。
【符号の説明】
【0102】
1、1A、1B、1C:光学装置
2、2A :立体配線基板
2a :上面
2b :底面
3 :上端部材
3a :領域
3b :領域
3c :貫通孔
4、4A、4B:光学部品
4a :入射面
4b :出射面
4c :下端面
4d :側面
4e :上端面
5 :スペーサ
5a :上面
5b :先端面
5c :下面
5d :凸部
6 :光学部品
6a :出射面
6b :入射面
7、7A、7B、7C:選択的透過部材
7a、7b:面
8、8A、8B、8C:受光部
8a :入射面
9 :ヒートシンク
21、21A:貫通孔
21a :第1孔部
21b :第2孔部
21c :第3孔部
21d :第4孔部
21e、21g:第5孔部
21f :第6孔部
22 :第1開口端
23 :第2開口端
26a、26b、26c、26d、26e、26f:当接面
51 :光学部品収容部
51a :底面
52 :導光部
53 :貫通孔
71 :選択的透過部
72 :ガラス基板
73 :選択的透過部
74 :配線パターン
75 :貫通電極
76 :フレキシブル基板
81 :回折格子
82 :センサ部
83 :バンプ
84 :電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10