(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】トルクセンサのモーメントアーム構造及びトルクセンサ
(51)【国際特許分類】
G01L 3/10 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
G01L3/10 311
(21)【出願番号】P 2021093542
(22)【出願日】2021-06-03
【審査請求日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】202110114546.X
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521242303
【氏名又は名称】松諾盟科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Song Nuo Meng Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】4th Floor, A5 Building, Changsha E Center, No. 18 Xiangtai Road, Liuyang Economic and Technological Development Zone, Changsha City, Hunan Province, China, 410300
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【氏名又は名称】藤井 健一
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】徐承義
(72)【発明者】
【氏名】雷衛武
(72)【発明者】
【氏名】劉永年
(72)【発明者】
【氏名】張剣波
(72)【発明者】
【氏名】劉素夫
【審査官】後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-132442(JP,A)
【文献】特開2019-035637(JP,A)
【文献】国際公開第2019/163258(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0064015(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクセンサのモーメントアーム構造であって、
環状を呈する外輪と、幾何学的中心に対して中心対称である連結部材と、少なくとも2つのモーメントアームとを含み、
前記外輪には第1連結箇所があり、
前記連結部材は、前記外輪内に位置し、かつ、前記外輪と同軸に設置され、前記連結部材には第2連結箇所があり、
各前記モーメントアームの両端は、それぞれ前記外輪の内壁及び前記連結部材に固定連結され、前記少なくとも2つの前記モーメントアームの数は偶数であり、少なくとも2つの前記モーメントアームは、前記外輪の中心に対して中心対称になるように設置され、
各前記モーメントアームには、対応する前記モーメントアームのひずみ情報を検出するためのひずみゲージが設置され、
前記トルクセンサのモーメントアーム構造の荷重入力点が前記第1連結箇所又は前記第2連結箇所にあり、
前記荷重入力点が前記第1連結箇所にある場合、荷重が前記第1連結箇所から前記モーメントアームの前記ひずみゲージが設置されている部位に伝達される伝達ルートは、非直線状を呈し、
前記荷重入力点が前記第2連結箇所にある場合、荷重が前記第2連結箇所から前記モーメントアームの前記ひずみゲージが設置されている部位に伝達される伝達ルートは、非直線状を呈
し、
前記連結部材は、連結部及び2つの作用部を含み、前記連結部が2つの前記作用部の間に連結されて、前記連結部材は長尺状を呈する板状構造になり、前記第2連結箇所は、前記作用部の前記連結部から離れた一端に位置し、前記モーメントアームの一端は前記連結部の側壁に固定連結される、
ことを特徴とするトルクセンサのモーメントアーム構造。
【請求項2】
前記モーメントアームの長さは、その幅より大きく、前記モーメントアームの厚さは、それぞれ前記外輪の厚さ及び前記連結部材の厚さより小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載のトルクセンサのモーメントアーム構造。
【請求項3】
前記連結部の向かい合う2つの側面は、いずれも外側に突出する弧状面であり、各前記モーメントアームの前記外輪の内壁から離反する一端は、対応する前記弧状面に連結される、
ことを特徴とする請求項
1に記載のトルクセンサのモーメントアーム構造。
【請求項4】
各前記モーメントアームは、第1アーム板と、前記第1アーム板の一端に連結される第2アーム板とを含み、前記第1アーム板の延在方向と、前記第2アーム板の延在方向とが交差するように設置し、前記ひずみゲージは、前記第1アーム板又は前記第2アーム板の表面に設置され、
前記第1アーム板及び前記第2アーム板のうちの1方は、前記外輪の内壁に固定連結され、他方は、前記連結部材に固定連結される、
ことを特徴とする請求項1に記載のトルクセンサのモーメントアーム構造。
【請求項5】
前記第1アーム板の幅は前記第2アーム板の幅より大きく、前記ひずみゲージは前記第2アーム板の表面に設置される、
ことを特徴とする請求項
4に記載のトルクセンサのモーメントアーム構造。
【請求項6】
前記第2アーム板は2つあり、2つの前記第2アーム板は、平行にかつ間隔を置いて設置され、各前記第2アーム板には、前記ひずみゲージが設置され、及び/又は前記第1アーム板は、前記外輪の軸線に垂直な平面内で非直線方向に沿って延在する、
ことを特徴とする請求項
5に記載のトルクセンサのモーメントアーム構造。
【請求項7】
各前記第2アーム板は、横板及び2つの縦板を含み、2つの前記縦板は、それぞれ前記横板の両端に連結され、各前記縦板の延在方向と、前記横板の延在方向とが交差するように設置し、前記第1アーム板は、前記縦板の前記横板から離反する一側に固定連結され、前記横板の幅は、それぞれ前記縦板の幅及び前記第1アーム板の幅より小さく、前記ひずみゲージは前記横板の表面に設置される、
ことを特徴とする請求項
4に記載のトルクセンサのモーメントアーム構造。
【請求項8】
前記第1アーム板は、前記横板の中間部位に位置し、前記第1アーム板の両側に位置する前記横板の部位には、いずれも前記ひずみゲージが設置されている、
ことを特徴とする請求項
7に記載のトルクセンサのモーメントアーム構造。
【請求項9】
前記モーメントアームは、長尺状の板状構造であり、前記第1連結箇所は、前記モーメントアームと前記外輪及び連結箇所とずれて設置され、前記第2連結箇所は、前記モーメントアーム及び前記連結部材の連結箇所とずれて設置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のトルクセンサのモーメントアーム構造。
【請求項10】
前記モーメントアームの幅は、前記連結部材の前記外輪を向かう方向に沿って徐々に減少し、前記ひずみゲージは、前記モーメントアームの前記外輪に近い一端の表面に設置される、
ことを特徴とする請求項
9に記載のトルクセンサのモーメントアーム構造。
【請求項11】
前記外輪の内壁に連結される遷移板をさらに含み、前記遷移板の幅は、前記外輪の内壁の前記連結部材を向かう方向に沿って徐々に減少し、前記モーメントアームの一端は前記遷移板の傾斜面に連結される、
ことを特徴とする請求項1に記載のトルクセンサのモーメントアーム構造。
【請求項12】
前記遷移板は、長尺状を呈する曲線板であり、前記遷移板の両端は、いずれも前記外輪の内壁に固定連結され、前記遷移板は、台形輪郭の曲線方向に沿って延在する、
ことを特徴とする請求項1
1に記載のトルクセンサのモーメントアーム構造。
【請求項13】
前記モーメントアームの横断面の形状は、長方形、T字状、H字状又はU字状であり、又は、前記モーメントアームの材質は、沈降性マルテンサイト系ステンレス鋼であり、又は、前記ひずみゲージは、スパッタリング薄膜技術により前記モーメントアームの表面に形成された薄膜ひずみゲージである、
ことを特徴とする請求項1に記載のトルクセンサのモーメントアーム構造。
【請求項14】
請求項1~請求項1
3のいずれか1項に記載のトルクセンサのモーメントアーム構造を含む、
ことを特徴とするトルクセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクセンサ技術の分野に関し、特に、トルクセンサのモーメントアーム構造及びトルクセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
トルクセンサは、トルク検出デバイスとして、ロボットの関節、医療機器、軍用機器などの力又はねじりを密接に測定する必要のある応用状況に適用できる。従来のトルクセンサのほとんどは、モーメントアームに設置されているひずみゲージを介してモーメントアームのひずみ情報を検出し、続いてひずみ情報からトルク値を取得する。しかし、従来のトルクセンサのモーメントアーム構造は、配置スペースの制限から、検出感度に大きな影響を与える。したがって、一部の感度に対する要求が高い応用状況では、従来のトルクセンサは測定要件を満たすのが非常に困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに基づき、従来のトルクセンサの測定感度が低いという問題について、トルクセンサの測定感度を向上できるトルクセンサのモーメントアーム構造及びトルクセンサを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
環状を呈する外輪と、幾何学的中心に対して中心対称である連結部材と、少なくとも2つのモーメントアームとを含み、
前記外輪には第1連結箇所があり、
前記連結部材は、前記外輪内に位置し、かつ、前記外輪と同軸に設置され、前記連結部材には第2連結箇所があり、
各前記モーメントアームの両端は、それぞれ前記外輪の内壁及び前記連結部材に固定連結され、前記少なくとも2つの前記モーメントアームの数は偶数であり、少なくとも2つの前記モーメントアームは、前記外輪の中心に対して中心対称になるように設置され、
各前記モーメントアームには、対応する前記モーメントアームのひずみ情報を検出するためのひずみゲージが設置され、
前記トルクセンサのモーメントアーム構造の荷重入力点が前記第1連結箇所又は前記第2連結箇所にあり、
前記荷重入力点が前記第1連結箇所にある場合、荷重が前記第1連結箇所から前記モーメントアームの前記ひずみゲージが設置されている部位に伝達される伝達ルートは、非直線状を呈し、
前記荷重入力点が前記第2連結箇所にある場合、荷重が前記第2連結箇所から前記モーメントアームの前記ひずみゲージが設置されている部位に伝達される伝達ルートは、非直線状を呈する、
ことを特徴とするトルクセンサのモーメントアーム構造を提供する。
【0005】
さらに、前記モーメントアームの長さは、その幅より大きく、前記モーメントアームの厚さは、それぞれ前記外輪の厚さ及び前記連結部材の厚さより小さい。
さらに、前記連結部材は、連結部及び2つの作用部を含み、前記連結部が2つの前記作用部の間に連結されて、前記連結部材は長尺状を呈する板状構造になり、前記第2連結箇所は、前記作用部の前記連結部から離れた一端に位置し、前記モーメントアームの一端は前記連結部の側壁に固定連結される。
【0006】
さらに、前記連結部の向かい合う2つの側面は、いずれも外側に突出する弧状面であり、各前記モーメントアームの前記外輪の内壁から離反する一端は、対応する前記弧状面に連結される。
【0007】
さらに、各前記モーメントアームは、第1アーム板と、前記第1アーム板の一端に連結される第2アーム板とを含み、前記第1アーム板の延在方向と、前記第2アーム板の延在方向とが交差するように設置し、前記ひずみゲージは、前記第1アーム板又は前記第2アーム板の表面に設置され、
前記第1アーム板及び前記第2アーム板のうちの1方は、前記外輪の内壁に固定連結され、他方は、前記連結部材に固定連結される。
【0008】
さらに、前記第1アーム板の幅は前記第2アーム板の幅より大きく、前記ひずみゲージは前記第2アーム板の表面に設置される。
【0009】
さらに、前記第2アーム板は2つあり、2つの前記第2アーム板は、平行にかつ間隔を置いて設置され、各前記第2アーム板には、前記ひずみゲージが設置され、及び/又は
前記第1アーム板は、前記外輪の軸線に垂直な平面内で非直線方向に沿って延在する。
【0010】
さらに、各前記第2アーム板は、横板及び2つの縦板を含み、2つの前記縦板は、それぞれ前記横板の両端に連結され、各前記縦板の延在方向と、前記横板の延在方向とが交差するように設置し、前記第1アーム板は、前記縦板の前記横板から離反する一側に固定連結され、前記横板の幅は、それぞれ前記縦板の幅及び前記第1アーム板の幅より小さく、前記ひずみゲージは前記横板の表面に設置される。
【0011】
さらに、前記第1アーム板は、前記横板の中間部位に位置し、前記第1アーム板の両側に位置する前記横板の部位には、いずれも前記ひずみゲージが設置されている。
【0012】
さらに、前記モーメントアームは、長尺状の板状構造であり、前記第1連結箇所は、前記モーメントアームと前記外輪及び連結箇所とずれて設置され、前記第2連結箇所は、前記モーメントアーム及び前記連結部材の連結箇所とずれて設置される。
【0013】
さらに、前記モーメントアームの幅は、前記連結部材の前記外輪を向かう方向に沿って徐々に減少し、前記ひずみゲージは、前記モーメントアームの前記外輪に近い一端の表面に設置される。
【0014】
さらに、前記外輪の内壁に連結される遷移板をさらに含み、前記遷移板の幅は、前記外輪の内壁の前記連結部材を向かう方向に沿って徐々に減少し、前記モーメントアームの一端は前記遷移板の傾斜面に連結される。
【0015】
さらに、前記遷移板は、長尺状を呈する曲線板であり、前記遷移板の両端は、いずれも前記外輪の内壁に固定連結され、前記遷移板は、台形輪郭の曲線方向に沿って延在する。
【0016】
さらに、前記モーメントアームの横断面の形状は、長方形、T字状、H字状又はU字状であり、又は、
前記モーメントアームの材質は、沈降性マルテンサイト系ステンレス鋼であり、又は、
前記ひずみゲージは、スパッタリング薄膜技術により前記モーメントアームの表面に形成された薄膜ひずみゲージである。
【0017】
さらに、第1連結板と、前記第1連結板に積層設置される第2連結板と、を含み、前記第1連結板には第1連結箇所があり、
前記第2連結板は、固定板、4つのモーメントアーム、及び向かい合い且つ間隔を置いて設置される2つの作用板を含み、前記モーメントアーム、作用板及び前記固定板は、同じ平面に位置し、
前記固定板は、2つの前記作用板の間に位置し、各前記作用板は、2つの前記モーメントアームを介して前記固定板に固定連結され、4つの前記モーメントアームは、前記固定板の幾何学的中心に対して中心対称になるように設置されて、4つの前記モーメントアームはX字状を呈するように設置され、前記作用板には第2連結箇所があり、
前記固定板は、前記第1連結箇所に固定連結され、各前記モーメントアームの側面には、前記モーメントアームのひずみ情報をリアルタイムに検出するためのひずみゲージが設置され、
前記トルクセンサのモーメントアーム構造の荷重入力点が前記第1連結箇所にある場合、荷重が前記第1連結箇所から前記モーメントアームの前記ひずみゲージが設置されている部位に伝達される伝達ルートは非直線状を呈する、
ことを特徴とするトルクセンサのモーメントアーム構造を提供する。
【0018】
さらに、前記第1連結板は、長尺状を呈する板状構造であり、前記固定板は、前記第1連結板の中間部位に固定連結され、前記第1連結板の延在方向と、前記固定板の前記作用板を向かう方向とが交差するように設置し、前記第1連結箇所は、前記第1連結板の前記固定板から離れた端部に設置される。
【0019】
さらに、前記モーメントアームの厚さは、その幅より大きく、前記ひずみゲージは、前記モーメントアームの、前記モーメントアームの厚さ方向に平行な平面に位置し、又は、
前記モーメントアームの、前記モーメントアーム長手方向に垂直な断面の形状は長方形、T字状、H字状又はU字状であり、又は、
前記第2連結板及び前記第2連結板の材質は、沈降性マルテンサイト系ステンレス鋼であり、又は、
前記ひずみゲージは、スパッタリング薄膜技術により前記モーメントアームの表面に形成された薄膜ひずみゲージである。
【0020】
さらに、請求項1~請求項17のいずれか1項に記載のトルクセンサのモーメントアーム構造を含む、
ことを特徴とするトルクセンサ
上記トルクセンサのモーメントアーム構造及びトルクセンサは、実際に使用する際に、荷重が荷重入力点からモーメントアームのひずみゲージが設置されている部位に伝達される伝達ルートは、非直線状を呈するため、荷重が荷重入力点からモーメントアームのひずみゲージが設置されている部位に伝達される伝達長が長く、荷重入力点に小さな回転荷重が負荷されても、モーメントアームのひずみゲージが設置されている部位に大きなひずみ量が生じ、それにより、ひずみゲージがひずみ情報を収集するのに有利である。したがって、上記トルクセンサのモーメントアーム構造の設置により、トルクセンサの体積を小さくするとともに、高い測定感度を両立させる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例1のトルクセンサのモーメントアーム構造の構造模式図である。
【
図2】本発明の実施例2のトルクセンサのモーメントアーム構造の構造模式図である。
【
図3】本発明の実施例3のトルクセンサのモーメントアーム構造の構造模式図である。
【
図4】本発明の実施例4のトルクセンサのモーメントアーム構造の構造模式図である。
【
図5】本発明の実施例5のトルクセンサのモーメントアーム構造の構造模式図である。
【
図6】本発明の実施例6のトルクセンサのモーメントアーム構造の構造模式図である。
【
図7】本発明の実施例7のトルクセンサのモーメントアーム構造の構造模式図である。
【
図8】本発明の実施例8のトルクセンサのモーメントアーム構造の構造模式図である。
【
図9】本発明の実施例9のトルクセンサのモーメントアーム構造の構造模式図である。
【
図10】本発明の実施例10のトルクセンサのモーメントアーム構造の構造模式図である。
【
図12a】
図1から
図10に示すトルクセンサのモーメントアーム構造のモーメントアームの断面図である。
【
図12b】
図1から
図10に示すトルクセンサのモーメントアーム構造のモーメントアームの断面図である。
【
図12c】
図1から
図10に示すトルクセンサのモーメントアーム構造のモーメントアームの断面図である。
【
図12d】
図1から
図10に示すトルクセンサのモーメントアーム構造のモーメントアームの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の理解を容易にするため、図面を参照しながら、本発明についてより全面的に説明する。図面に本発明の好ましい実施例を示した。しかし、本発明は、本明細書に記述した実施例に限定されず、多くの異なる形態で実施することができる。むしろ、これらの実施例を提供した目的は、本発明に開示された内容の理解をより完全かつ包括的にすることである。
【0023】
特に定義しない限り、本明細書に使用される全ての技術用語と科学用語の意味は、当業者が一般的に理解する意味と同じである。本発明の明細書に使用される用語は、具体的な実施例を説明することを目的とするだけで、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書に使用される用語「及び/又は」は、1つ又は複数の列挙された関連項目の任意の組合せやすべての組合せを含む。
【0024】
位置関係を説明する場合、特に規定しない限り、ある素子が別の素子の「上」にあると見なされる場合、それが直接他の素子の上にあってもよく、介在素子があってもよい。又、素子が2つの素子「の間」にあると見なされる場合、それは、2つの素子の間の唯一のものであってもよく、1つ又は複数の介在素子があってもよいということは理解できる。
【0025】
本明細書の説明に「含む(consist of)」、「有する」、及び「含む(including)」を使用した場合、「のみ」、「......から構成される」などの明確な限定用語を使用しないかぎり、別の部材を追加することができる。逆に言及されない限り、単数形の用語は複数形を含んでもよく、その数が1つあると理解することができない。
【0026】
背景技術の記載のように、トルクセンサは、モーメントアーム構造に設けられたひずみゲージによってモーメントアームのひずみ情報を検出し、ひずみ情報からトルク値を取得する。しかし、従来のトルクセンサのモーメントアーム構造は、配置スペースの制限から、検出感度に大きな影響を与える。検出感度を向上させようとする場合、既存技術の多くはモーメントアーム構造の体積を増加することによりこの問題を解決する。だから、従来のトルクセンサは、検出感度と体積との間に矛盾がある。
【0027】
本発明は、上記の理由に基づき、トルクセンサのモーメントアーム構造及びトルクセンサを開示した。ここで、トルクセンサは、トルクセンサのモーメントアーム構造を含む。
図1から
図10のそれぞれに、実施例1から実施例10におけるトルクセンサのモーメントアーム構造の構造模式図を示した。説明の便宜上、
図1から
図10に、本発明の実施例に関連する構造のみを示した。
【0028】
図1から
図9を参照すると、本発明の好ましい一実施例におけるトルクセンサのモーメントアーム構造100は、環状を呈する外輪110と、連結部材120と、少なくとも2つのモーメントアーム130とを含む。
【0029】
外輪110に第1連結箇所111がある。具体的に、外輪110は、円環状を呈する板状構造である。第1連結箇所111は、1つあってもよいし、複数あってもよい。第1連結箇所111が複数ある場合、複数の第1連結箇所111は、外輪110の周方向に沿って間隔を置いて設置される。なお、第1連結箇所111は、外輪110に開けられた連結穴、係合溝、突出支柱などの、検出対象部材を取り付けるための連結構造であってもよいし、外輪110に形成された検出対象部材を取り付けるための仮想取り付け位置又は領域であってもよい。
【0030】
図11も一緒に参照すると、連結部材120は、自体の幾何学的中心に対して中心対称になるように設置された構造である。連結部材120は、外輪110内に位置し、かつ、外輪110と同軸に設置される。具体的に、連結部材120は、外輪110と同じ平面に位置する。連結部材120に第2連結箇所121がある。なお、第2連結箇所121は、連結部材120に開けられた連結穴、係合溝、突出支柱などの検出対象部材を取り付けるための連結構造であってもよいし、連結部材120に形成された検出対象部材を取り付けるための仮想取り付け位置又は領域であってもよい。
【0031】
再び
図1から
図10を参照すると、各モーメントアーム130の両端は、それぞれ外輪110の内壁及び連結部材120に固定連結される。少なくとも2つのモーメントアーム130の数は偶数である。少なくとも2つのモーメントアーム130は、外輪110の中心が中心対称になるように設置する。これにより、連結部材120は、モーメントアーム130を介して外輪110に固定連結される。モーメントアーム130は、それぞれ溶接、螺接、かしめなどの方法により、外輪110と連結部材120との間に固定連結されてもよいし、それぞれ外輪110及び連結部材120と一体成型されてもよい。
【0032】
具体的に、モーメントアーム130の材質は、モーメントアーム130の耐疲労性及び耐食性を向上させるために、沈降性マルテンサイト系ステンレス鋼であり、モーメントアーム130の耐用年数を効果的に延長し、さらに、トルクセンサの耐用年数を延長することができる。
【0033】
図12a、
図12b、
図12c及び
図12dも一緒に参照すると、具体的に、モーメントアーム130の横断面の形状は、長方形、T字状、H字状又はU字状である。ここで、モーメントアーム130の横断面は、その長手方向に垂直な断面である。モーメントアーム130の横断面の形状を長方形、T字状、H字状又はU字状に設置することは、モーメントアーム130に応力が集中するのに有利である。
【0034】
他の実施例において、モーメントアーム130の横断面の形状は、応力の集中に有利な他の形状であってもよい。
【0035】
再び
図1から
図11を参照すると、各モーメントアーム130には、ひずみゲージ140が設置されている。ひずみゲージ140は、対応するモーメントアーム130のひずみ情報を検出するために用いられる。ここで、各モーメントアーム13に、ひずみゲージ140が1つ設置されてもよく、ひずみゲージ140が複数設置されてもよい。各モーメントアーム130にひずみゲージ140を複数設置する場合、各モーメントアーム130のひずみゲージ140の数は同じである。トルクセンサでは、ひずみ情報から検出対象部材のトルク値を取得する。
【0036】
具体的に、ひずみゲージ140は、スパッタリング薄膜技術によりモーメントアーム130の表面に形成された薄膜ひずみゲージ140である。これにより、スパッタリング薄膜技術により、ひずみゲージ140とモーメントアーム130との間の結合力が大幅に強化され、ひずみゲージ140がモーメントアーム130から外れる確率を低減し、トルクセンサの耐用年数を効果的に延長した。
【0037】
トルクセンサのモーメントアーム構造100の荷重入力点は第1連結箇所111又は第2連結箇所121にある。具体的には、第1連結箇所111を荷重入力点とする場合、第2連結箇所121は固定配置され、第1連結箇所111に回転荷重が入力されると、外輪110は連結部材120に対して回転する傾向があり、モーメントアーム130が連動されてひずみを発生し、第2連結箇所121を荷重入力点とする場合、第1連結箇所111は固定配置され、第2連結箇所121に回転荷重が入力されると、連結部材120は外輪110に対して回転する傾向があり、モーメントアーム130が連動されてひずみを発生する。
【0038】
荷重入力点が第1連結箇所111である場合、荷重が第1連結箇所111からモーメントアーム130のひずみゲージ140が設置されている部位に伝達される伝達ルートは、非直線状を呈する。荷重入力点が第2連結箇所121にある場合、荷重が第2連結箇所121からモーメントアーム130のひずみゲージ140が設置されている部位に伝達される伝達ルートは、非直線状を呈する。
【0039】
これにより、トルクセンサのモーメントアーム構造100において、荷重が荷重入力点からモーメントアーム130のひずみゲージ140が設置されている部位に伝達される伝達ルートは、非直線状を呈するため、荷重が荷重入力点からモーメントアーム130のひずみゲージ140が設置されている部位に伝達される伝達長が長く、荷重入力点に小さな回転荷重が負荷されても、モーメントアーム130のひずみゲージ140が設置されている部位には大きなひずみ量が発生し、それにより、ひずみゲージ140がひずみ情報を収集するのに有利である。したがって、上記トルクセンサのモーメントアーム構造100の設置により、トルクセンサの体積を小さくするとともに、高い検出感度を両立させる。
【0040】
一部の実施例では、モーメントアーム130の長さは、その幅より大きい。モーメントアーム130の厚さは、それぞれ外輪110の厚さ及び連結部材120の厚さより小さい。ここで、モーメントアーム130の長さとは、モーメントアーム130のその延在方向に沿った寸法をいい、モーメントアーム130の幅とは、外輪110の周方向に沿ったモーメントアーム130の寸法をいい、モーメントアーム130の厚さとは、外輪110の軸線方向に沿ったモーメントアーム130の寸法をいい、連結部材120及び外輪110の厚さは、いずれも外輪110の軸線方向に沿った寸法である。これにより、モーメントアーム130は、薄い長棒構造であることにより、モーメントアーム130にひずみがより生じやすく、トルクセンサの測定感度がさらに向上する。
【0041】
再び
図11を参照すると、一部の実施例では、連結部材120は、連結部122及び2つの作用部123を含む。連結部122は、2つの作用部123の間に連結されるため、連結部材120は長尺状を呈する板状構造になる。第1連結箇所111は、作用部123の連結部122から離れた一端に位置する。モーメントアーム130の一端は、連結部122の側壁に固定連結される。
【0042】
第2連結箇所121が1つある場合、第2連結箇所121は、そのうちの1つの作用部123に位置し、第1連結箇所111が複数ある場合、複数の第2連結箇所121は、そのうちのいずれかの作用部123に位置してもよいし、2つの組に分けられて、それぞれ2つの作用部123に位置してもよい。
【0043】
これにより、トルクセンサのモーメントアーム構造100の荷重入力点が第2連結箇所121にある場合、連結部材120を長尺状の板状構造に設置し、かつ、第2連結箇所121を作用部123の連結部122から離れた一端に設置し、荷重が荷重入力点からモーメントアーム130のひずみゲージ140が設置されている部位に伝達される伝達長をさらに長くすることができ、トルクセンサの測定感度がさらに向上することができる。
【0044】
さらに、一部の実施例では、連結部122の向かい合う2つの側面は、いずれも外側に突出する弧状面1221である。各モーメントアーム130の外輪110の内壁から離反する内壁の一端は、対応する弧状面1221に連結される。具体的に、弧状面1221は円弧面である。
【0045】
トルクセンサのモーメントアーム構造100の荷重入力点が第2連結箇所121にある場合、連結部122のモーメントアーム130に連結される側面が弧状面1221であるため、荷重が第2連結箇所121からモーメントアーム130のひずみゲージ140が設置されている部位に伝達される伝達ルートは、より屈曲であり、荷重が第2連結箇所121からモーメントアーム130のひずみゲージ140が設置されている部位に伝達される伝達長をより一層長くし、トルクセンサの測定感度をより一層向上させた。
【0046】
無論、別の実施例では、連結部材120は、環状又は他の形状を呈する板状構造であってもよい。連結部材120が環状を呈する板状構造である場合、モーメントアーム130は、連結部材120の外壁に連結され、第2連結箇所121が複数ある場合、複数の第2連結箇所121は、連結部材120の周方向に沿って間隔を置いて設置される。
【0047】
以下の実施例I及び実施例IIは、上記実施例のモーメントアーム130の異なる構造形態を示し、具体的には、次のとおりである。
【0048】
図1から
図7を参照すると、実施例Iは次のとおりである。
【0049】
各モーメントアーム130は、第1アーム板131と、与第1アーム板131の一端に連結される第2アーム板132と、を含む。第1アーム板131の延在方向と第2アーム板132の延在方向とが交差するように設置する。そのため、モーメントアーム130は、折曲線に沿って延在する長尺状の板状構造である。ひずみゲージ140は、第1アーム板131又は第2アーム板132の表面に設置される。第1アーム板131及び第2アーム板132のうちの一方は、外輪110の内壁に固定連結され、他方は、連結部材120に固定連結される。
【0050】
そのため、モーメントアーム130は、折曲線の方向に沿って延在する板状構造であり、トルクセンサのモーメントアーム構造100の荷重入力点を第1連結箇所111に設置するか、又は第2連結箇所121に設置するかに関わらず、折曲線の方向に沿って延在するモーメントアーム130は、いずれも荷重が荷重入力点からモーメントアーム130のひずみゲージ140が設置されている部位に伝達される伝達長を長くすることができ、トルクセンサ測定感度を向上させるのに有利である。
【0051】
さらに、一実施例では、第1アーム板131の幅は第2アーム板132の幅より大きい。ひずみゲージ140は、第2アーム板132の表面に設置される。これにより、モーメントアーム130は、幅がその長手方向で変化する板状構造である。荷重入力点に回転荷重が負荷されるとき、幅が小さい第2アーム板132に、ひずみがより生じやすく、トルクセンサの測定感度をより一層向上させた。
【0052】
再び
図1、
図2、
図5及び
図6を参照すると、具体的に、第2アーム板132は2つあり、2つの第2アーム板132は、平行にかつ間隔を置いて設置される。各第2アーム板132のそれぞれには、ひずみゲージ140が設置されている。第2アーム板132の延在方向と第1アーム板131の延在方向との間の夾角は、0度より大きく180度未満の夾角である。
【0053】
2つの第2アーム板132の設置により、モーメントアーム130の剛性要件を保証するとともに、各モーメントアーム130の幅を減少して、トルクセンサの測定感度をより一層向上させルことができ、そして、ひずみゲージ140の数を増やして、トルクセンサの測定精度を向上させることができる。
【0054】
より具体的に、各第2アーム板132は、第1アーム板131に垂直に設置されることで、モーメントアーム130はF字状を呈する。
【0055】
より一層、一部の実施例では、第1アーム板131は、外輪110の軸線に垂直な平面内で非直線方向に沿って延在する。これにより、第1アーム板131は折曲線の方向に沿って延在する板状構造であり、トルクセンサのモーメントアーム構造100の体積を増加せずに、モーメントアーム130の長さを長くすることができ、それにより、トルクセンサの測定感度をより一層向上させる。
【0056】
無論、他の実施例において、第1アーム板131は、直線方向に沿って延在する板状構造である。
【0057】
再び
図7を参照すると、さらに、別の実施例では、各第2アーム板132は、横板1321及び2つの縦板1322を含む。2つの縦板1322は、それぞれ横板1321の両端に連結される。各縦板1322の延在方向と横板1321の延在方向とが交差するように設置する。具体的に、第2アーム板132はガントリ形状を呈する。第1アーム板131は、縦板1322の横板1321から離反する一側に固定連結される。横板1321の幅は、それぞれ縦板1322の幅及び第1アーム板131の幅より小さい。ひずみゲージ140は、横板1321の表面に設置される。
【0058】
これにより、第2アーム板132には、横板1321及び2つの縦板1322が設置されており、トルク測定中のモーメントアーム130の剛性を保証できる。横板1321の幅が縦板1322の幅及び第1アーム板131の幅より小さくなるように設置するとともに、ひずみゲージ140を横板1321に設置して、横板1321にひずみがより生じやすく、トルクセンサの測定感度をより一層向上させる。
【0059】
より一層、第1アーム板131は、横板1321の中間部位に位置する。第1アーム板131の両側に位置する横板1321の部位には、いずれもひずみゲージ140が設置されている。ひずみゲージ140の数を増やすとともに、モーメントアーム130が対称構造なるように、第1アーム板131の両側に位置する横板1321の部位にいずれもひずみゲージ140が設置され、トルクセンサの測定精度を保証する。
【0060】
再び
図8及び
図9を参照すると、実施例IIはつぎのとおりである。
【0061】
モーメントアーム130は、長尺状の板状構造である。第1連結箇所111は、モーメントアーム130及び外輪110の連結箇所とずれて設置される。第2連結箇所121は、モーメントアーム130及び連結部材120の連結箇所とずれて設置される。これにより、トルク測定中に、長尺状を呈する板状に設置されたモーメントアーム130にひずみがより生じやすく、ひずみ情報の収集に有利である。そして、荷重入力点を第1連結箇所111に設置するか、又は第2連結箇所121に設置するかに関わらず、荷重が荷重入力点からモーメントアーム130のひずみゲージ140が設置されている部位に伝達される伝達ルートは、いずれも非直線状を呈し、トルクセンサ測定感度の向上により有利である。
【0062】
さらに、一部の実施例では、モーメントアーム130の幅は、連結部材120の外輪110を向く方向に沿って徐々に減少する。ひずみゲージ140は、モーメントアーム130の外輪110に近い一端の表面に設置される。トルク検出中に、モーメントアーム130の幅が小さい一端にひずみがより生じやすいため、ひずみゲージ140をモーメントアーム130の幅が小さい一端に設置すると、トルクセンサの測定感度がさらに向上することができる。
【0063】
再び
図1から
図4を参照すると、一部の実施例では、トルクセンサのモーメントアーム構造100は、外輪110の内壁に連結される遷移板150をさらに含む。遷移板150の幅は、外輪110の内壁の連結部材120を向く方向に沿って徐々に減少する。モーメントアーム130の一端は、遷移板150の傾斜面に連結される。
【0064】
なお、遷移板150の幅とは、外輪110の周方向における遷移板150の寸法をいい、遷移板150の傾斜面は、遷外輪110の内壁に連結される移板150の表面であるので、遷移板150の形状は、台形或者三角形の板状構造である。したがって、トルクセンサのモーメントアーム構造100の荷重負荷点は第1連結箇所111に位置し、遷移板150の設置により、荷重が第1連結箇所111からモーメントアーム130のひずみゲージ140が設置されている部位に伝達される伝達ルートがより屈曲になり、荷重が荷重負荷点からモーメントアーム130のひずみゲージ140が設置されている部位に伝達される伝達長をさらに延長し、トルクセンサの測定感度をさらに向上させた。
【0065】
さらに、一部の実施例では、遷移板150は長尺状を呈する曲線板である。具体的に、遷移板150は、台形を呈する折曲線の方向に沿って延在する。遷移板150の両端は、いずれも外輪110の内壁に固定連結される。モーメントアーム130の一端は、遷移板150の側面に連結される。
【0066】
荷重負荷点が第1連結箇所111に位置する場合、遷移板150を、長尺状を呈する曲線板に設置し、荷重が第1連結箇所111からモーメントアーム130のひずみゲージ140が設置されている部位に伝達される伝達ルートの屈曲度をさらに向上できることにより、トルクセンサのモーメントアーム構造100は、体積が変化せず、荷重が第1連結箇所111からモーメントアーム130のひずみゲージ140が設置されている部位に伝達される伝達長が長くなり、トルクセンサの測定感度をより一層向上させた。
【0067】
図10を参照すると、本発明の別の好ましい実施例のトルクセンサのモーメントアーム構造100は、第1連結板160と、第1連結板160に積層設置される第2連結板170と、を含む。
【0068】
第1連結板160の端部には、第1連結箇所111がる。ここで、第1連結箇所111は、1つあってもよいし、複数あってもよい。第1連結箇所111が複数ある場合、複数の第1連結箇所111は、第1連結板160に間隔を置いて設置される。
【0069】
第2連結板170は、固定板171、4つのモーメントアーム130、及び向かい合い且つ間隔を置いて設置される2つの作用板172を含む。モーメントアーム130、作用板172及び固定板171は、同じ平面に位置する。固定板171は、2つの作用板172の間に位置する。各作用板172は、2つのモーメントアーム130を介して固定板171に固定連結される。
【0070】
4つのモーメントアーム130は、固定板171の幾何学的中心に対して中心対称になるように設置されて、4つのモーメントアーム130は、X字状を呈するように設置される。そのため、第2連結板170は、X字状を呈する板状構造であり、2つの作用板172は、固定板171に対して対称的に設置される。ここで、モーメントアーム130は、それぞれ溶接などの方式により、固定板171と作用板172との間に固定連結されてもよいし、一体成型方式により形成されてもよい。
【0071】
作用板172には、第2連結箇所121がある。具体的に、作用板172は、長尺状を呈する弧状板である。第2連結箇所121は、1つあってもよいし、複数あってもよい。第2連結箇所121が複数ある場合、複数の第2連結箇所121は、作用板172の延在方向に沿って間隔を置いて設置される。
【0072】
ここで、第1連結箇所111及び第2連結箇所121の構造の形態は、上記実施例のトルクセンサのモーメントアーム構造100の第1連結箇所111及び第2連結箇所121のそれぞれと同じであり、例えば、第1連結箇所111及び第2連結箇所121は連結穴などである。
【0073】
固定板171は、第1連結板160に固定連結される。具体的に、第1連結板160は、その幾何学的中心に対して中心対称である板状構造であり、固定板171は、第1連結板160の中間部位に固定連結される。
【0074】
各モーメントアーム130の側面には、ひずみゲージ140が設置されている。ひずみゲージ140は、モーメントアーム130のひずみ情報をリアルタイムに検出するために用いられる。ここでのひずみゲージ140の作用、構造、及び形成技術は、いずれも上記実施例のトルクセンサのモーメントアーム構造100のひずみゲージ140と完全に同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0075】
なお、モーメントアーム130の側面は、第1連結板160の厚さ方向に平行なモーメントアーム130の表面である。
【0076】
再び
図12a、
図12b、
図12c及び
図12dを参照すると、具体的に、モーメントアーム130の横断面の形状は、長方形、T字状、H字状又はU字状である。ここで、モーメントアーム130の横断面は、その長手方向に垂直な断面である。モーメントアーム130の横断面の形状を長方形、T字状、H字状又はU字状に設置すると、モーメントアーム130に応力が集中するのに有利である。
【0077】
他の実施例において、モーメントアーム130の横断面の形状は、応力の集中に有利な他の形状であってもよい。
【0078】
具体的に、ひずみゲージ140は、スパッタリング薄膜技術によりモーメントアーム130の表面に形成された薄膜ひずみゲージ140である。ここで、薄膜ひずみゲージ140の形成方法及びそれで達成できる有益な効果の詳細については、上記実施例の薄膜ひずみゲージ140についての説明を参照されたい。
【0079】
トルクセンサのモーメントアーム構造100の荷重入力点は、第1連結箇所111にある。荷重が第1連結箇所111からモーメントアーム130のひずみゲージ140が設置されている部位に伝達される伝達ルートは、非直線状を呈する。
【0080】
これにより、トルクセンサのモーメントアーム構造100の荷重入力点が第1連結箇所111にある場合、第2連結箇所121は固定配置され、荷重が第1連結箇所111からモーメントアーム130のひずみゲージ140が設置されている部位に伝達される伝達ルートを屈曲状に設置することにより、荷重が荷重入力点からモーメントアーム130のひずみゲージ140が設置されている部位に伝達される伝達長が長くなり、第1連結箇所111に小さな回転荷重が負荷されても、モーメントアーム130のひずみゲージ140が設置されている部位には大きなひずみ量が生じ、それにより、ひずみゲージ140がひずみ情報を収集するのに有利である。したがって、上記トルクセンサのモーメントアーム構造100の設置により、トルクセンサの体積を小さくするとともに、高い測定感度を両立させる。
【0081】
さらに、ひずみゲージ140をモーメントアーム130の側面に設置することにより、ひずみゲージ140がモーメントアーム130のひずみ情報をより容易に検出し、トルクセンサの測定感度をさらに向上させた。
【0082】
一部の実施例では、第1連結板160は、長尺状を呈する板状構造である。固定板171は、第1連結板160の中間部位に固定連結される。第1連結板160の延在方向と、固定板171の作用板172を向かう方向とが交差するように設置する。第1連結箇所111は第1連結板160の固定板171から離れた端部に位置する。
【0083】
ここで、第1連結板160の延在方向と、固定板171の作用板172を向かう方向との間の夾角は、0度より大きく180度未満である。第1連結板160を、長尺状を呈する板状構造に設置し、かつ、第1連結箇所111を第1連結板160の2つの端部に設置して、荷重が第1連結箇所111からモーメントアーム130のひずみゲージ140が設置されている部位に伝達される伝達ルートの屈曲度さらに増加させ、トルクセンサの測定感度をより一層向上させた。
【0084】
ここで、第1連結箇所111が複数ある場合、複数の第1連結箇所111は、第1連結板160の一端に全部設置されてもよいし、2つのグルプに分けられ、それぞれ第1連結板160の両端に設置されてもよい。
【0085】
一部の実施例では、モーメントアーム130の厚さは、その幅より大きい。ひずみゲージ140は、モーメントアーム130の、平行なモーメントアーム130の厚さ方向に表面に設置される。なお、モーメントアーム130の幅方向は、第1連結箇所111に負荷される回転荷重の方向と一致する。ひずみゲージ140を厚さ方向に平行な表面に設置することにより、モーメントアーム130がひずみゲージ140の処で大きなひずみ量を有することを保証できるため、ひずみゲージ140がひずみ情報を収集することがより容易になり、トルクセンサの測定感度をさらに向上させた。
【0086】
一部の実施例では、第2連結板170及び第2連結板170の耐疲労性と耐食性を向上させるために、第2連結板170及び第2連結板170の材質は、沈降性マルテンサイト系ステンレス鋼であり、第2連結板170及び第2連結板170の耐用年数を効果的に延長し、さらに、トルクセンサの耐用年数も延長することができる。
【0087】
以上に記載した実施例の各技術特徴は、任意に組み合わせることができるが、説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術特徴の可能な組み合わせを全部説明していないが、これらの技術特徴の組合せが矛盾しない限り、いずれも本明細書に記載の範囲であると見なすべきである。
【0088】
以上に記載した実施例は、本発明のいくつかの実施形態のみを表し、それらを具体的で、詳細に説明したが、本発明の特許の範囲を限定するものとして理解するべきではない。当業者にとって、本発明の構想から逸脱することなく、いくつかの変形や改良を行うことができ、これらはいずれも本発明の保護範囲に属することを理解されたい。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に準じる。
【符号の説明】
【0089】
100...トルクセンサのモーメントアーム構造、110...外輪、111...第1連結箇所、120...連結部材、121...第2連結箇所、122...連結部、1221...弧状面、123...作用部、130...モーメントアーム、131...第1アーム板、132...第2アーム板、1321...横板、1322...縦板、140...ひずみゲージ、150...遷移板、160...第1連結板、170...第2連結板、171...固定板、172...作用板。