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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】車載装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 37/00 20060101AFI20221212BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20221212BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
B60K37/00 Z
B60R11/02 Z
H05K5/02 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022096741
(22)【出願日】2022-06-15
【審査請求日】2022-06-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522240173
【氏名又は名称】CENTLESS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】村竹 昌人
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-131176(JP,U)
【文献】米国特許第05104071(US,A)
【文献】特開2010-143403(JP,A)
【文献】実開平05-067108(JP,U)
【文献】特開昭60-117798(JP,A)
【文献】特表2010-501383(JP,A)
【文献】実開昭60-17040(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2021/0170956(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第113002433(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 37/00
B60R 11/02
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載装置本体と、
前記車載装置本体を収納するとともに、車両のインストルメントパネルに着脱可能な筐体と、を備え、
前記筐体は、
前記車両の前後方向に沿った平面状に設けられ、互いに対向する一対の筐体側面と、
前記筐体側面から一対の前記筐体側面の互いに近接する方向に突出し、かつ、前記前後方向に沿って延設される支持部と、
前記筐体の前記前後方向の車両後方側の端部に設けられ、前記前後方向に直交する方向に延出する取付片と、を備え、
前記車載装置本体は、
電子部品を収納する箱状の内部筐体と、前記内部筐体の前記前後方向の車両後方側の端部に接続されて前記インストルメントパネル上で露出する正面パネルと、を有し、
前記内部筐体は、前記筐体側面に対向する内部側面と、前記内部側面から前記筐体側面に向かって突出し、かつ前記前後方向に沿って延出し、突出先端が前記支持部に支持される支持片を有し、
前記正面パネルは、前記車両の後方側が前記インストルメントパネルから露出し、前記車両の前方側が前記取付片に対向して前記前後方向に貫通する挿通孔を有し、当該挿通孔から止め具を挿通して前記取付片に固定することで前記筐体に固定される、車載装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記筐体側面から一対の前記筐体側面の互いに近接する方向に突出する第一支持部と、前記第一支持部の前記筐体側面とは反対側の端部から上方に向かって突出するフック部と、を含み、
前記支持片は、前記内部側面から前記筐体側面に向かって延出する延出部と、前記延出部の前記内部側面とは反対側の端部から上方に向かって突出し、下方が開く断面略U字状に形成されて、前記フック部に沿って摺動可能に支持される係合部と、を含む、請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記車両の前後方向に沿い、前記筐体側面に対して直交する平面状に設けられ、一対の前記筐体側面の上端を連結する筐体天面をさらに有し、
前記支持部は、前記筐体側面の前記筐体天面とは反対側の端部に設けられ、
前記支持片は、前記内部側面において、前記正面パネルから離間した位置から、前記内部側面の車両前方側の端部に亘って設けられており、前記支持片から前記正面パネルの間には、前記筐体側面と前記内部側面との隙間に連通する通気部が設けられている、請求項1に記載の車載装置。
【請求項4】
前記内部側面には、前記内部筐体の内外を連通するスリットが設けられ、
前記通気部から、前記内部側面と前記筐体側面との前記隙間である通気空間を通って、前記内部筐体の前記車両の前方側に抜ける通気路が形成される、
請求項3に記載の車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に車載装置を搭載する場合、車両内部の運転席から助手席に亘る前面であるインストルメントパネル(ダッシュボード)に車載装置を搭載することが多い。このようなインストルメントパネルへの車載装置の取り付けは、通常、インストルメントパネルを取り外して所定の装着部位に車載装置を固定する(例えば特許文献1参照)。この際、特許文献1に記載のように、車載装置を別途用意されたブラケットに固定し、ブラケットを車両の装着部位に固定する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-140065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような従来の車載装置の取付構造では、車両のインストルメントパネルを取り外す作業が発生して煩雑である。また、インストルメントパネルには、オーディオ機器やカーナビゲーション装置、空調装置等のその他の装置が隣接して配置されることが多く、これらの他の装置の位置によっては車載装置を固定するねじ位置に手が届きにくい場合や、他の装置を取り外す必要がある場合も生じる。車載装置を交換する等のメンテナンス作業を行う場合、メンテナンスの度に上記のような煩雑な作業が発生する。
特に、日本国等においては、トラック、バス、タクシー等の車両を用いた運送業では、車両にタコグラフの装着が義務化されている。タコグラフの方式の一つであるデジタルタコグラフ(以降、デジタコと略す)の交換等のメンテナンスを行う場合、上記のような煩雑な作業によってメンテナンスに係る時間が長くなり、運送業務に支障が出る、との問題もある。また、デジタコのメンテナンスを他業者に依頼する場合では、デジタコの着脱に係る工賃も発生し、経済的にも負担が大きくなる。
【0005】
本発明は、以上のような問題に鑑み、メンテナンスを簡易に実施可能な車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一態様の車載装置は、車載装置本体と、前記車載装置本体を収納するとともに、車両のインストルメントパネルに着脱可能な筐体と、を備え、前記筐体は、前記車両の前後方向に沿った平面状に設けられ、互いに対向する一対の筐体側面と、前記筐体側面から一対の前記筐体側面の互いに近接する方向に突出し、かつ、前記前後方向に沿って延設される支持部と、前記筐体の前記前後方向の車両後方側の端部に設けられ、前記前後方向に直交する方向に延出する取付片と、を備え、前記車載装置本体は、電子部品を収納する箱状の内部筐体と、前記内部筐体の前記前後方向の車両後方側の端部に接続されて前記インストルメントパネル上で露出する正面パネルと、を有し、前記内部筐体は、前記筐体側面に対向する内部側面と、前記内部側面から前記筐体側面に向かって突出し、かつ前記前後方向に沿って延出し、突出先端が前記支持部に支持される支持片を有し、前記正面パネルは、前記取付片に対向して前記前後方向に貫通する挿通孔を有し、当該挿通孔から止め具を挿通して前記取付片に固定することで前記筐体に固定される。
【0007】
第一態様の車載装置において、前記支持部は、前記筐体側面から一対の前記筐体側面の互いに近接する方向に突出する第一支持部と、前記第一支持部の前記筐体側面とは反対側の端部から上方に向かって突出するフック部と、を含み、前記支持片は、前記内部側面から前記筐体側面に向かって延出する延出部と、前記延出部の前記内部側面とは反対側の端部から上方に向かって突出し、下方が開く断面略U字状に形成されて、前記フック部に沿って摺動可能に支持される係合部と、を含む。
【0008】
第一態様の車載装置において、前記筐体は、車両の前後方向に沿い、前記筐体側面に対して直交する平面状に設けられ、一対の前記筐体側面の上端を連結する筐体天面をさらに有し、前記支持部は、前記筐体側面の前記筐体天面とは反対側の端部に設けられ、前記支持片は、前記内部側面において、前記正面パネルから離間した位置から、前記内部側面の車両前方側の端部に亘って設けられており、前記支持片から前記正面パネルの間には、前記筐体側面と前記内部側面との隙間に連通する通気部が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る一実施形態のデジタルタコグラフが装着された車両のインストルメントパネルを示す図。
図2】本実施形態のデジタルタコグラフの全体斜視図。
図3】本実施形態のデジタルタコグラフにおける本体部の斜視図。
図4】本実施形態のデジタルタコグラフにおける筐体の斜視図。
図5】本実施形態のデジタルタコグラフにおける筐体を-Zから+Zに向かって見た平面図。
図6】本実施形態のデジタルタコグラフにおける筐体の筐体側面を拡大した拡大斜視図。
図7】本実施形態のデジタルタコグラフにおいて、筐体に本体を支持させた際の支持部及び支持片の係合構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る一実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態のデジタルタコグラフ(以下、デジタコ20と略す)が装着された車両のインストルメントパネル10を示す図である。
本実施形態の車両は、業務用車両であり、一例として運送業に用いられる業務用トラックを例示する。
一般に販売されている車両には、通常、インストルメントパネル10には、デジタコ20等の車載装置を搭載する装着部が設けられている。この装着部の寸法は、幅180mm×高さ50mmのシングルDIN(1DIN)として規格化されており、多くの車両で採用されている。車載装置は、当該規格に従ってその寸法が設定されており、規格に合致しない装置は、インストルメントパネル10に装着することが困難であるため、適していない。また、車両運行時の振動によって、装着された車載装置の固定が外れたり、車載装置と装着部とが衝突したりしないように、従来では、1DINの装着部に対してできるだけ隙間なく嵌め込めるように車載装置を装着し、装着部の側方からねじ止めにより、車載装置を固定していた。
このような車載装置では、上述したように、インストルメントパネル10を取り外して、車載装置の取付けや取り外しを行う必要があるので、作業工程が煩雑であり、メンテナンスに係るコストが増大するとの課題がある。
これに対して、本実施形態では、規格化されている1DINの装着部に対して、前面からデジタコ20を固定することが可能な構成となっているものであり、その取外し、及び取付けが容易となる車載装置(デジタコ20)を提供するものである。
以下、詳細に、本実施形態のデジタコ20について説明する。
【0011】
図2は、本実施形態のデジタコ20の全体斜視図である。図3は、本体部30の斜視図である。図4は、筐体40の斜視図、図5は、筐体40を-Zから+Zに向かって見た平面図、図6は、筐体40の一方の筐体側面42を拡大した拡大斜視図である。また、図7は、筐体40に本体部30を支持させた際の支持部44及び支持片33の係合構造を示す断面図である。
なお、以降の説明において、車両の前後方向をZ方向とし、車両前方を+Z、車両後方を-Zとする。Z方向に直交する方向をX方向とし、-Zから+Zを見た際に左方から右方に向かう方向を+Xとし、下方から上方に向かう方向を+Yとする。
図2に示すように、デジタコ20は、本体部30と、筐体40とを備える。
本体部30は、車両の走行速度、走行時間、及び走行距離を含む各種車両の運行状態を計測又は取得して、SDカード等の記録媒体又はインターネットを介して通信可能となるクラウドストレージに記録する。
筐体40は、インストルメントパネル10の所定の装着部に固定される。また、筐体40は、本体部30をインストルメントパネル10の正面から挿通可能に構成されている。挿通された本体部30は、インストルメントパネル10の正面方向から、例えばねじ等の止め具314Aを用いて筐体40に固定することができる。
【0012】
図3に示すように、本体部30は、正面パネル31と、正面パネル31の裏側(車両前方側)に伸びる箱型の内部筐体32とを備える。
正面パネル31は、インストルメントパネル10から車両室内に露出する部分であり、ユーザーによる操作を受け付ける入力操作部311(操作ボタン等)や、表示ディスプレイ312等が配置される。また、メモリーカード等の記録媒体やスピーカー等の外部機器を接続可能な入出力コネクタ313が設けられていてもよい。正面パネル31に配置される各種構成は、デジタコ20が提供する機能により適宜変更される。
【0013】
そして、正面パネル31には、Z方向に沿って貫通する挿通孔314が設けられている。この挿通孔314は、本体部30を筐体40に固定する際に、たとえば固定ねじ等の止め具314A(図2参照)を挿通する孔となる。この挿通孔314は、例えば、正面パネルの4隅にそれぞれ設けられている。
なお、正面パネル31は、1DINまたは2DINに対応した寸法に形成されている。例えば、1DINに装着されるデジタコ20である場合、正面パネル31は、X方向寸法(幅)180mm×Y方向寸法(高さ)50mmのサイズに形成されている。また、正面パネル31のZ方向寸法(奥行寸法)は、本体部30を筐体40に固定した場合に、正面パネル31の表面がインストルメントパネル10の表面と略面一となるように、つまり、正面パネル31が突出しすぎず、インストルメントパネル10の内部に入り込みすぎない寸法に形成される。
【0014】
内部筐体32は、デジタコ20の機能を提供する電子部品(図示略)が収納されるケーシングである。
図示は省略するが、内部筐体32の正面パネル31とは反対側(裏側であり、車両前方側)には、入出力インターフェース(図示略)が設けられており、例えば車両に搭載されたコンピュータ等の各種外部機器と通信可能に接続されている。
内部筐体32のXY方向の寸法は、正面パネル31よりも小さく形成されている。内部筐体32の内部側面321には、複数のスリット322が内部筐体32の内外を連通して設けられている。これらのスリット322により、内部筐体32の内部の電子部品の冷却効果を向上できる。なお、冷却に関して詳細は後述する。
【0015】
また、図3に示すように、内部筐体32の内部側面321の下端(-Y)には、内部筐体32を筐体40にスライドさせて挿入するための支持片33が設けられている。具体的には、支持片33は、図3,7に示すように、内部筐体32の内部側面321から外側に突出する延出部331、延出部331の先端から+Yに立ち上がる立上部332、立上部332から外側に突出する係止部333、及び係止部333から-Yに伸びる挟持部334を備える。立上部332及び挟持部334は略平行であり、後述する筐体40のフック部442を挟み込み係合される。
【0016】
また、支持片33は、内部筐体32の内部側面321の下端(-Y端部)において、Z方向に延びて設けられている。支持片33の正面パネル31側の端部(-Z)と、正面パネル31の背面(+Z)との間には、所定の隙間の通気部34が設けられている。
【0017】
筐体40は、図2図4~6に示すように、筐体天面41、及び一対の筐体側面42を有する略コ字状に形成されている。すなわち、筐体天面41は、内部筐体32の上面に対向するXZ平面であり、矩形状に形成されており、一対の筐体側面42の上端(+Y端縁)同士を連結する。筐体側面42は、内部筐体32の内部側面321に対向するYZ平面であり、筐体天面のZ方向に沿う側縁から-Y側に延出して設けられる。すなわち、筐体40は、Z方向において内部筐体32を挿通可能に開口し、-Y側において内部筐体32が露出するように形成されている。
筐体天面41及び筐体側面42の-Z側端部には、正面パネル31の挿通孔314に対向する取付片43が設けられており、取付片43には、挿通孔314に挿通された止め具314Aが係合される固定孔431が設けられている。
筐体40は、車両の所定の装着部、つまり、1DIN又は2DINに対応する寸法に形成されている。また、筐体40には、装着部に装着可能な固定構造45が設けられている。例えば、本実施形態では、図6に示すように、筐体側面42に複数の雌ネジ部が設けられており、固定ねじによって装着部に筐体40を固定することができる。なお、固定構造45としては当該構成に限定されず、例えば、筐体側面42の+Z側に別途固定構造が設けられていてもよい。
【0018】
さらに、一対の筐体側面42は、矩形状に形成され、下端(-Y側)には、それぞれ、内部筐体32側に向かう支持部44が設けられている。
支持部44は、筐体側面42から内部筐体32側に突出する第一支持部441と、第一支持部441から+Y側に立ち上がるフック部442とを備える。
支持部44は、筐体側面42の-Z側端部から+Z側端部に亘って長手に形成されており、内部筐体32に設けられた支持片33を摺動可能に支持する。
すなわち、支持片33の立上部332及び挟持部334によってフック部442を挟み込む。この際、フック部442の+Y側先端に係止部333が載置されてもよく、第一支持部441に挟持部334の-Y側先端が載置されてもよく、その双方であってもよい。
【0019】
また、上述したように、支持片33は、延出部331を備えているため、支持片33と支持部44との係合位置は、内部筐体32から僅かに離れている。つまり、内部筐体32の内部側面321と、筐体側面42とは、X方向で所定の間隔を開けて配置され、通気空間Aを構成する。さらに、本体部30において、支持片33と正面パネル31との間には、通気部34が形成されている。このため、通気部34から、通気空間A、を通って+Z側にぬける通気路が形成されることで、スリット322から排出された熱を+Z側に逃がすことが可能となる。
【0020】
[デジタコ20の取付]
次に、上述したようなデジタコ20のインストルメントパネル10へ取付方法について説明する。
デジタコ20を初めてインストルメントパネル10に取り付ける場合、作業者は、まず、インストルメントパネル10を外す。インストルメントパネル10を取り外すことで、デジタコ20等の車載装置を取り付ける装着部が露出される。
【0021】
この後、露出された装着部に対して、筐体40を固定する。例えば、筐体40を1DINの装着部に挿入し、側方(±X側)から固定ねじを雌ネジ部に螺合させて固定する。
【0022】
次に、筐体40に対して、本体部30を挿入する。
この際、内部筐体32の支持片33の立上部332及び挟持部334で、支持部44のフック部442を挟み、内部筐体32を+Z側にスライドさせる。例えば、フック部442の+Y側先端に係止部333を載置してスライドさせてもよく、第一支持部441に挟持部334の-Y側先端を載置してスライドさせてもよい。
そして、正面パネル31の挿通孔314から、固定ねじ等の止め具314Aを挿通させ、取付片43の固定孔431に螺合させる。
以上の後、インストルメントパネル10を装着する。
【0023】
[デジタコ20のメンテナンス]
本実施形態では、上記のように、デジタコ20を最初に取り付ける際に、インストルメントパネル10の着脱が必要となる。しかしながら、以降、デジタコ20の交換等のメンテナンス時において、正面パネル31から止め具314Aを取り外す。この後、本体部30を-Z側にスライドさせて引き抜く。これにより、インストルメントパネル10を取り外すことなく、本体部30のみを取り外すことができる。
また、メンテナンス後の本体部30を装着する場合、筐体40に内部筐体32を+Z側にスライド移動させて挿入する。そして、正面パネル31を取付片43に固定する。
以上のように、本実施形態のデジタコ20では、メンテナンス時において、インストルメントパネル10の取り外しを行うことなく、簡単にデジタコ20の装着が可能となる。
【0024】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態のデジタコ20は、車載装置本体である本体部30と、デジタコ20を収納するとともに、車両のインストルメントパネル10に着脱可能な筐体40と、を備える。筐体40は、Z方向に沿った平面状に設けられてZ方向に平行な一対の側縁を有する筐体天面41と、筐体天面41の一対の側縁から、-Y側に延出するYZ平面と平行な筐体側面42とを備える。また、筐体側面42の-Y側端部から、一対の筐体側面42の互いに近接する方向、つまり、内部筐体32の内部側面321に向かう方向に突出し、かつ、Z方向に沿って延設される支持部44を備える。さらに、筐体40の筐体天面41及び筐体側面42の-Z側端部には、XY平面に平行な取付片43を備える。
一方、本体部30は、デジタコ20の電子部品を収納する内部筐体32と、内部筐体32の-Z側の端部に接続されてインストルメントパネル10上で露出する正面パネル31と、を備える。内部筐体32は、筐体側面42に対向する内部側面321と、内部側面321から筐体側面42に向かって突出し、かつZ方向に沿って延出し、突出先端が支持部44に支持される支持片33を有する。そして、正面パネル31は、Z方向において取付片43に対向し、かつ、Z方向に沿って挿通される止め具314Aにより取付片43に固定されている。
【0025】
このような構成では、初回のデジタコ20の装着においては、インストルメントパネル10を取り外した後、筐体40を車両の装着部に固定し、本体部30を筐体40に挿入した後正面パネル31を筐体40の取付片43に固定する。一方、本体部30のメンテナンス時には、止め具314Aを取り外すことで、容易に筐体40から本体部30をスライドさせて引き抜くことができ、本体部30を筐体40にスライドさせて挿入することもできる。したがって、メンテナンス時におけるインストルメントパネル10の取り外しを不要にできる。
したがって、デジタコ20に不都合が生じた場合等、本体部30のメンテナンスが必要となった場合に、交換作業に係る作業時間が大幅に削減ることができ、インストルメントパネル10の取外しに係る費用も抑えることができる。
【0026】
本実施形態では、支持部44は、筐体側面42の-Y側端部から、内部筐体32側に突出する第一支持部441と、第一支持部441の筐体側面42とは反対側の端部から+Y側に向かって突出するフック部442と、を含む。支持片33は、内部筐体32の内部側面321から筐体側面42に向かって延出する延出部331と、延出部331の端部から+Y側に向かって突出する立上部332、立上部332から外方に突出する係止部333、及び係止部333から-Yに伸びる挟持部334を備える。
これにより、立上部332及び挟持部334でフック部442を挟み込み、内部筐体32を筐体40内にスライドさせて挿通させることができ、デジタコ20の装着やメンテナンス作業を容易にできる。
【0027】
本実施形態では、支持片33は、内部筐体32において、正面パネル31から離間した位置からZ方向に沿って設けられており、支持片33と正面パネル31との間には、内部筐体32の内部側面321と筐体側面42との隙間である通気空間Aに連通する通気部34が設けられている。
これにより、デジタコ20の放熱効率を向上させることができる。
つまり、従来の車載装置では、車両の装着部に車載装置の側面がねじ止め等によって固定されるため、車載装置の側面にスリットが設けられていても放熱効率が低下する。これに対して、本実施形態では、筐体側面42が車両の装着部と接するように固定される場合でも、内部側面321と、筐体側面42との間に通気空間Aを確保できるため、この部分を用いて、デジタコ20から放出される熱を逃がすことができる。これに加え、本実施形態では、この通気空間Aの-Z側に通気部34が設けられており、通気部34から、通気空間Aを介して、車両前方(+Z)側の空間に空気を流すことができる。インストルメントパネル10の+Z側には、通常、空調装置等の空気が流出入する機構が設けられているため、デジタコ20で発生した熱を好適に放熱することができる。
【0028】
[変形例]
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で、以下に示される変形をも含むものである。
【0029】
[変形例1]
上記実施形態では、車載装置としてデジタコ20を例示したが、これに限定されない。車載装置における車載装置本体として、例えば、カーナビゲーション、オーディオ機器等の他の装置であってもよい。
【0030】
[変形例2]
上記実施形態では、内部筐体32の+X側の内部側面321に1つの支持片33が設けられ、これに対応して+X側の筐体側面42に1つの支持部44が設けられる構成とし、内部筐体32の-X側の内部側面321に1つの支持片33が設けられ、これに対応して-X側の筐体側面42に1つの支持部44が設けられる構成とした。
これに対して、内部筐体32の+X側の内部側面321に2つ以上の支持片33が設けられ、これに対応して+X側の筐体側面42に2つ以上の支持部44が設けられる構成としてもよい。同様に、内部筐体32の-X側の内部側面321に2つ以上の支持片33が設けられ、これに対応して-X側の筐体側面42に2つ以上の支持部44が設けられる構成としてもよい。
【0031】
[変形例3]
上記実施形態では、筐体40が筐体天面41及び一対の筐体側面42を有する断面略コ字状に形成される例を示したが、これに限定されない。
例えば、筐体として、筐体天面41が設けられておらず、一対の筐体側面42がそれぞれ別体として設けられる構成としてもよい。この場合でも、別体であるそれぞれの筐体側面42を車両の所定の装着部に固定した後、各筐体側面42の支持部44に本体部30の支持片33を摺動させて挿入し、筐体側面42に設けられた取付片43に正面パネル31を固定すればよい。
【0032】
[変形例4]
上記実施形態において、筐体側面42の下端(-Y側端部)に支持部44が設けられる例を示したが、これに限定されない。支持部44は、筐体側面42におけるいかなる高さ位置(Y方向に位置)に設けられていてもよい。
ただし、筐体側面42の下端から+Y側の位置に支持部44を設ける場合、筐体側面42に対して、別途支持部44を溶接などによって固定する必要がある。これに対して、上記実施形態では、筐体側面42の下端を折り曲げることで容易に支持部44を形成することができ、製造コストの低減を図れる。また、筐体側面42の下端に支持部44を設けることで、内部側面321と筐体側面42との通気空間Aを大きくでき、通気効率を高めることができる。
【0033】
[変形例5]
上記実施形態では、支持片33として、内部側面321から筐体側面42に向かう延出部331の先端に、立上部332、係止部333、及び挟持部334により構成される断面略U字状の係合部が設けられる例を示したが、これに限定されない。
例えば、延出部331の先端が下方(-Y側)に折り曲げられることで係合部が形成されていてもよい。この場合、延出部331の先端が下方に折り曲げられた係合部が、支持部44のフック部442と筐体側面42との間に挟み込まれるように、支持部44に対して支持片33を係合させればよい。
【符号の説明】
【0034】
10…インストルメントパネル、20…デジタコ(デジタルタコグラフ;車載装置)、30…本体部(車載装置本体)、31…正面パネル、32…内部筐体、33…支持片、34…通気部、40…筐体、41…筐体天面、42…筐体側面、43…取付片、44…支持部、314…挿通孔、314A…止め具、321…内部側面、322…スリット、331…延出部、332…立上部、333…係止部、334…挟持部、431…固定孔、441…第一支持部、442…フック部、A…通気空間。



【要約】
【課題】メンテナンスを簡易に実施可能な車載装置を提供する。
【解決手段】デジタコ20は、本体部30と、車両のインストルメントパネルに着脱可能で本体部30を収納する筐体40と、を備え、筐体40は、筐体天面41と、筐体天面41に直交する筐体側面42と、筐体側面42の端部に設けられてZ方向に沿って延設される支持部と、取付片と、を備える。本体部30は、電子部品を収納する箱状の内部筐体と、内部筐体の-Z側の端部に接続されてインストルメントパネル上で露出する正面パネル31と、を有する。内部筐体は、筐体側面42に対向する側面と、当該側面から筐体側面に向かって突出してZ方向に長手に形成され、突出先端が支持部に支持される支持片を有する。正面パネル31は、Z方向において取付片に対向し、かつ、Z方向に沿って挿通される止め具により取付片に固定されている。
【選択図】図2
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図7