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  • 特許-積層構造体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】積層構造体
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/12 20060101AFI20221212BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20221212BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20221212BHJP
   C08L 23/04 20060101ALI20221212BHJP
   C08L 23/10 20060101ALI20221212BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20221212BHJP
【FI】
B32B3/12
B32B27/32 E
B32B27/18 Z
C08L23/04
C08L23/10
C08K3/013
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022100410
(22)【出願日】2022-06-22
【審査請求日】2022-06-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】311018921
【氏名又は名称】株式会社TBM
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】多田 貴則
(72)【発明者】
【氏名】水野 英二
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-358928(JP,A)
【文献】特開2021-016993(JP,A)
【文献】特開2010-058482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C08L 23/04
C08L 23/10
C08K 3/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に中空板状体が配列した中空板状体コアの両面に、熱可塑性樹脂からなる表面シートを貼り合わせた積層構造体であって、
前記中空板状体コアが、ポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂と、無機物質粉末とを含み、前記ポリプロピレン系樹脂及び/又は前記ポリエチレン系樹脂と、前記無機物質粉末との質量比が、10:90~50:50であり、かつ
前記表面シートがポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂からなる、積層構造体。
【請求項2】
前記中空板状体コアが、ラウリン酸ジエタノールアミドを含み、前記ラウリン酸ジエタノールアミドの含有量が、前記中空板状体コアの全質量に対して0.1質量%以上1.0質量%以下である、請求項1の積層構造体。
【請求項3】
前記中空板状体コアの前記ポリプロピレン系樹脂は、ポリプロピレンホモポリマー及び/又はプロピレンブロックポリマーである、請求項2の積層構造体。
【請求項4】
前記中空板状体コアが、前記ポリプロピレン系樹脂と前記ポリエチレン系樹脂との両者を含む、請求項1の積層構造体。
【請求項5】
前記表面シートはポリプロピレン系樹脂シートである、請求項1の積層構造体。
【請求項6】
前記無機物質粉末が、重質炭酸カルシウムである、請求項1の積層構造体。
【請求項7】
前記重質炭酸カルシウムの平均粒子径が、0.7μm以上6.0μm以下である、請求項6の積層構造体。
【請求項8】
前記中空板状体コアと前記表面シートが、接着層を介して貼り合わされている、請求項1の積層構造体。
【請求項9】
前記中空板状体コアが、ハニカムコア、中空円柱状コア、波型コルゲートコア、及びハーモニカ状コアからなる群より選択される、請求項1の積層構造体。
【請求項10】
請求項1~9の何れかに記載の積層構造体で構成されるパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハニカム、中空円柱状、波型コルゲート、ハーモニカ状等の形状の中空板状体をコアとする積層構造体が、民生用品、工業用品、さらには自動車や航空機等の輸送機用の物品として使用されている。
【0003】
ハニカムコアに代表される中空板状体は、質量当たりの強度が極めて大である。特に、樹脂ベースの中空板状体は、軽量かつ高強度の材料を形成でき、航空機用部品等として有用である。中空板状体はまた、強い外力が加わって破損する場合も、中空セルの座屈によってエネルギーを吸収するので、衝撃吸収材として使用し得る。中空板状体コアの両面にシート状物が接合された積層構造体は、空気を含んだセルを多数有するので、熱伝導率が低く、断熱材として有用である。そうした積層構造体はまた、シート状物の表面に小さな穴を開けることで吸音効果も奏する。そのため、中空板状体やそれをベースとする積層構造体は、容器、棚、パレット、パネル、バッグ等の民生用品や、断熱材、吸音材、フィルター、衝撃吸収材等の工業用品として多用されて来た(例えば特許文献1~6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-247448号公報
【文献】特開2013-233796号公報
【文献】特開2018-108740号公報
【文献】特開2017-65810号公報
【文献】特開平6-320652号公報
【文献】特開2021-53899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら中空板状体をベースとする積層構造体、特に特許文献1~4記載のような汎用樹脂に基づく積層構造体は、中空コア構造に起因する機械的強度の不足が、課題として露呈する場合がある。こうした課題は、特許文献5や6記載のように高い機械的強度を有する樹脂を中空板状体に用いることによって回避し得るが、こうした樹脂は汎用性が低く、コスト面で不利である。また、非汎用の樹脂はしばしば成形性が低く、得られる中空板状体やその積層構造体の外観に悪影響が及ぶ場合もある。
【0006】
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、強度等の機械特性に優れ、成形加工が容易で、良好な外観を呈する積層構造体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、無機物質粉末を高充填したポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂組成物に基づく中空板状体コアの両面に、ポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂組成物からなる表面シートを接合した積層構造体であれば、機械特性及び成形加工性に優れ、良好な外観を呈するという知見を得て本発明を完成させた。より具体的には、本発明は以下を提供する。
【0008】
(1) 厚さ方向に中空板状体が配列した中空板状体コアの両面に、熱可塑性樹脂からなる表面シートを貼り合わせた積層構造体であって、
前記中空板状体コアが、ポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂と、無機物質粉末とを含み、前記ポリプロピレン系樹脂及び/又は前記ポリエチレン系樹脂と、前記無機物質粉末との質量比が、10:90~50:50であり、かつ
前記表面シートがポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂からなる、積層構造体。
【0009】
(2) 前記中空板状体コアが、ラウリン酸ジエタノールアミドを含み、前記ラウリン酸ジエタノールアミドの含有量が、前記中空板状体コアの全質量に対して0.1質量%以上1.0質量%以下である、(1)の積層構造体。
【0010】
(3) 前記ポリエチレン系樹脂が、JIS K 6922-1(ISO1133)によるMFR(190℃、2.16kg)が5g/10分以上15g/10分以下である高密度ポリエチレンと、JIS K 6922-1(ISO1133)によるMFR(190℃、2.16kg)が0.5g/10分以上1.5g/10分以下である直鎖状低密度ポリエチレンとを含み、前記高密度ポリエチレンと前記直鎖状低密度ポリエチレンとの質量比が、90:10~50;50である、(1)又は(2)の積層構造体。
【0011】
(4) 前記中空板状体コアの前記ポリプロピレン系樹脂は、ポリプロピレンホモポリマー及び/又はプロピレンブロックポリマーである、(1)から(3)の何れかの積層構造体。
【0012】
(5) 前記中空板状体コアが、前記ポリプロピレン系樹脂と前記ポリエチレン系樹脂との両者を含む、(1)から(4)の何れかの積層構造体。
【0013】
(6) 前記表面シートはポリプロピレン系樹脂シートである、(1)から(5)の何れかの積層構造体。
【0014】
(7) 前記無機物質粉末が、重質炭酸カルシウムである、(1)から(6)の何れかの積層構造体。
【0015】
(8) 前記重質炭酸カルシウムの平均粒子径が、0.7μm以上6.0μm以下である、(7)の積層構造体。
【0016】
(9) 前記中空板状体コアと前記表面シートが、接着層を介して貼り合わされている、(1)から(8)の何れかの積層構造体。
【0017】
(10) 前記中空板状体コアが、ハニカムコア、中空円柱状コア、波型コルゲートコア、及びハーモニカ状コアからなる群より選択される、(1)から(9)の何れかの積層構造体。
【0018】
(11) (1)から(10)の何れかの積層構造体で構成されるパネル。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、強度等の機械特性に優れ、成形加工が容易で、良好な外観を呈する積層構造体、及びそれにより構成されるパネルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の積層構造体の、実施形態の幾つかを示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0022】
≪積層構造体≫
本発明の積層構造体は、厚さ方向に中空板状体が配列した中空板状体コアの両面に、熱可塑性樹脂からなる表面シートを貼り合わせた積層構造体であって;中空板状体コアは、ポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂と無機物質粉末とを特定の質量比で含み;表面シートはポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂からなる。
【0023】
図1は、本発明の積層構造体の、実施形態の幾つかを示す断面模式図である。本発明の積層構造体1において「厚さ方向に中空板状体が配列」とは、中空板状体コア2を構成する中空六角柱(ハニカム)や中空円柱等の側面が、積層構造体1の厚さ方向に延び、中空六角柱や中空円柱等の両端開口面が、側面とは垂直の方向、すなわち積層構造体の両主表面側に向くような配列を意味する。そのため、本発明の積層構造体1においては、中空板状体コア2中の各開口面が、両端で表面シート3及び4の各々に接する構造となる。
【0024】
図1に示した積層構造体1において、中空板状体コア2は、図1aでは六角柱ベースのハニカムコア、図1bでは中空円柱状コア、図1cでは波型コルゲートコア、図1dでは正方柱ベースのハーモニカ状コアとなっている。図1a~1dに示されるように中空板状体が厚さ方向に配列した構造であれば、質量当たりの強度が極めて大となり、航空機用部品等に好適な積層構造体となる。衝撃吸収材や断熱材としての特性も発現し易くなり、また、表面シート3及び/又は4の表面に小さな穴を開けた場合の吸音効果も大となる。
【0025】
積層構造体1の形状及びサイズに特に制限はなく、目的及び用途に応じた所望の形状及びサイズとすることができる。例えば何mもの縦横幅に広がった平板形状であってもよく、何mm幅サイズの平板形状としてもよい。目的によっては凹凸や湾曲を有する非平板形状とすることも可能である。積層構造体1の厚さにも特に制限はなく、例えば数mm~数十cmに設定し得る。また、複数の積層構造体1を接合又は積層することも可能である。
【0026】
積層構造体1として厚さの大きなものが求められる場合には、強度や製造容易性の観点から、厚さが例えば2~50mm程度、特に5~25mm程度のいわば予備成形体を複数製造し、それらを目標の厚さにまで積層することが好ましい。その際、各中空板状体コア2の両面に表面シート3及び4が貼り合わされた積層構造体1同士を積層することもでき、積層部の表面シートを1枚のみとする、例えば第1の表面シート3-第1の中空板状体コア2-第2の表面シート3-第2の中空板状体コア2-第2の表面シート4のような構造とすることも可能である。また、図1aに示したようなハニカムコアの積層構造体素材と、図1cに示したような波型コルゲートコアの積層構造体素材とを積層する等、中空板状体コア2の構造が異なる予備成形体を積層してもよい。
【0027】
中空板状体コア2を構成する六角柱や円柱等のピッチ(繰り返し間隔)にも、特に制限はない。例えば、一辺が0.2~10mm(対角間距離0.4~20mm)程度、特に1~6mm(対角間距離2~12mm)程度の正六角柱が連続して接するハニカム構造であってもよく、直径0.4~20mm程度、特に2~12mm程度の円柱同士が接する中空円筒状の構造であってもよい。尚、これら六角柱や円柱等の肉厚(非空隙部の厚さ)は、例えば50~2000μm程度、特に100~1000μm程度とすることができる。
【0028】
表面シート3及び4の厚さにも、特に制限はない。例えばそれぞれ5~1000μm、更には20~800μm、特に100~500μm程度の厚さとすることができる。また、表面シート3と4とは、同一の厚さであっても異なっていてもよい。これら表面シートは、所望により接着層を介して中空板状体コア2に貼り合わされる場合もあるが、その場合の接着層の厚さも、特に限定されない。表面シート3及び/又は4の表面に塗装やさらに別のシートやフィルムを添付し、多層構造とすることも可能である。
【0029】
<中空板状体コア>
本発明の積層構造体における中空板状体コアは、上記のように厚さ方向に中空板状体が配列した構造を有し、ポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂と無機物質粉末とを、質量比10:90~50:50で含む。本発明者らは鋭意検討の結果、第一に中空板状体コアをこうした構造及び組成とすることにより、低コストの汎用樹脂をベースとしているにも拘らず、強度等の機械特性に優れ、成形加工が容易で、良好な外観を呈する積層構造体が得られることを見出した。以下、中空板状体コアを構成する原材料について説明する。
【0030】
[ポリプロピレン系樹脂]
本発明におけるポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの繰り返し単位を少なくとも一部に含む樹脂であれば特に限定されない。例えば、本発明におけるポリプロピレン系樹脂は、プロピレン成分単位が50質量%以上、特に60質量%以上である樹脂を包含する。例として、プロピレン単独重合体(プロピレンホモポリマー)、又はプロピレンと共重合可能な他のモノマーとの共重合体(プロピレンコポリマー)等が挙げられる。これらのポリプロピレン系樹脂は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0031】
ポリプロピレン系樹脂の分子量にも特に制限はない。例えば質量平均分子量が50,000以上500,000以下程度、特に100,000以上400,000以下程度の樹脂を使用することができるが、これらに限定されない。一般に分子量が高いほど強度等の機械特性に優れ、分子量が低いほど成形性に優れる。質量平均分子量が50,000以上200,000未満程度のものと200,000以上500,000以下程度のものとを、併用することもできる。異なる分子量のポリプロピレン系樹脂を併用することにより、成形性を改善し、成形品の外観不良を低減させることも可能となる。
【0032】
ポリプロピレン系樹脂はまた、メルトマスフローレート(MFR)等の溶融特性が、どのようなものであっても良い。例えば、MFR(230℃)が0.3~3.0g/10分程度のものを使用することができる。また、MFR(230℃)が1.0~3.0g/10分で、溶融張力(230℃)が5~30gのものと、MFR(230℃)が0.3~1.0g/10分のものとを併用することもできる。溶融特性の異なるポリプロピレン系樹脂を併用することにより、成形加工性を改善することも可能である。
【0033】
プロピレンと他のモノマーとの共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であっても良く、更に二元共重合体のみならず三元共重合体であっても良い。共重合成分(他のモノマー)としては、テトラフロロエチレンや酢酸ビニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
本発明においては、好ましくはプロピレンホモポリマー、もしくは他のモノマーが少量、例えば5質量%未満共重合した樹脂、及び/又はプロピレンブロックポリマーを使用する。なお、プロピレンのホモポリマーにおいても、重合の結果として例えばヘキセン等のα-オレフィンが共重合したかのような構造が一部に含まれる場合があるが、本発明においてはそうした重合体をも、広くプロピレンホモポリマーとして包含する。
【0035】
(プロピレンホモポリマー)
プロピレンホモポリマー(以下、「PP」と略す場合がある。)は、実質的にプロピレンのみを重合したポリマーであり、剛性や耐熱性に優れている。様々な製品が市販されており、例として日本ポリプロ株式会社のウィンテック(登録商標)及びノバテック(登録商標)、住友化学株式会社のノーブレン(登録商標)、株式会社プライムポリマーのプライムポリプロ(登録商標)、東レ株式会社のトレカ(登録商標)、SABICペトロケミカルズのSABIC(登録商標)PP、並びにサンアロマー株式会社のサンアロマー(登録商標)等が挙げられるが、本発明においてはこれらに限定されず、どのようなPPが含まれていても良い。複数種のPPを併用することもできる。
【0036】
プロピレンホモポリマーは、立体規則性の違いにより、アイソタクチックPP、シンジオタクチックPP、アタクチックPP、ヘミアイソタクチックPP等に分類される。本発明の積層シートはこれらのいずれを含んでいても良く、分岐構造、例えば長鎖分岐構造を有するものであっても良い。また、アイソタクチックトライアッド分率(mm)が、例えば90%以上の立体規則性の高い構造であっても良く、ランダムな構造のものや、更には重合時に副生する微量成分を含んだものであっても良い。これらプロピレンホモポリマーを、複数種併用することも可能である。
【0037】
(プロピレンブロックコポリマー・プロピレンブロックポリマー)
プロピレンブロックコポリマーは、プロピレンモノマーが連続したブロックと、他のモノマー成分が連続したブロックとからなる共重合体である。ここで、プロピレンと共重合するモノマー成分に特に制限はなく、また、ブロックコポリマーは二元系に限らず、三元系、四元系等であっても良い。各モノマーの共重合比や、各ブロックの長さ、全体の分子量等にも、特に制限はない。本発明においては、プロピレンとその他のα-オレフィン等からなるブロックコポリマーが好ましい。プロピレンとα-オレフィンとのブロックコポリマーであれば、機械特性や成形性により優れた積層構造体を構成することができる。
【0038】
プロピレンとα-オレフィンとのブロックコポリマーは公知であり、種々の品種が市販されている。例として日本ポリプロ株式会社のノバテック(登録商標)、株式会社プライムポリマーのプライムポリプロ(登録商標)、三洋化成工業株式会社のユーメックス(登録商標)、サンアロマー株式会社のサンアロマー(登録商標)等が挙げられるが、本発明においてはこれらに限定されず、どのようなプロピレンブロックコポリマーが含まれていても良い。2種以上のブロックコポリマーを併用することも可能である。プロピレンとの共重合モノマーにも特に制限はなく、例えばエチレン及び炭素数4~10のα-オレフィンから選択される1種又は2種以上のモノマー成分であっても良い。例としてエチレンや、1-ブテン、イソブチレン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3,4-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘキセン、1-オクテン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
これらブロックコポリマーの中でも、エチレン、1-ブテン、イソブチレン、1-ヘキセン、及び/又は1-オクテン、特にエチレンとの共重合体が好ましい。共重合比や分子量についても特に制限はないが、共重合モノマーであるα-オレフィン由来の構成単位が好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、特に好ましくは8質量%以上の共重合体、また、同構成単位が好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、特に好ましくは18質量%以下等の共重合体を使用することができる。これらブロックコポリマーは柔軟性に富むので、特に優れた機械特性や成形加工性を発現する。
【0040】
上記のようなブロックコポリマーの特性は多岐に亘り、例えば質量平均分子量が20,000~5,000,000、典型的には50,000~1,000,000、特に70,000~400,000程度の範囲に;密度が0.84~0.92g/cm、典型的には0.85~0.91g/cm程度の範囲に;結晶化度が0.5~40%、典型的には5~25%程度の範囲に;メルトフローレート(ASTM D1238に従う2.16kg、230℃でのMFR)が0.1~90g/10分、典型的には0.5~30g/10分程度の範囲に;融解温度が120~180℃、典型的には150~170℃、特に160~165℃程度の範囲に、それぞれ亘り得るが、これらに限定されず、本発明ではどのような特性のプロピレン-α-オレフィン共重合体をも使用することができる。
【0041】
本発明においてブロックコポリマーは、プロピレンブロックとエチレン-プロピレン共重合ブロックからなる、プロピレン-エチレンブロックコポリマーであることが好ましい。より好ましくは、プロピレン由来の構成単位が80質量%以上、エチレン由来の構成単位が20質量%以下のブロックコポリマー;特にプロピレン由来の構成単位が82~92質量%、エチレン由来の構成単位が8~18質量%のブロックコポリマー;中でも、プロピレン由来の構成単位が84~90質量%、エチレン由来の構成単位が10~16質量%のブロックコポリマーを使用する。
【0042】
上記のようなプロピレン-エチレンブロックコポリマーは例えば、プロピレンを単独で重合させ、次いでエチレンを共重合させることによって製造することができ、プロピレンブロックポリマー又はブロックポリプロピレンとも呼ばれる。一般にプロピレン-エチレンブロックポリマーにおいては、専らプロピレンが重合した連続相中に、エチレンブロックやエチレン-プロピレン共重合ブロックの相が分散した、いわゆる海島構造が発現する。エチレン-プロピレン共重合物は一般に柔軟なので、中空板状体コアに柔軟性をもたらす。そのため、本発明で使用すると、成形加工性や外観、機械特性がより優れた積層構造体を提供することが可能となる。
【0043】
[ポリエチレン系樹脂]
本発明におけるポリエチレン系樹脂は、エチレンの繰り返し単位を少なくとも一部に含む樹脂であれば特に限定されない。例えば、本発明におけるポリエチレン系樹脂は、エチレン成分単位が50質量%超、特に70質量%以上である樹脂を包含する。ポリエチレン系樹脂は1種単独で使用しても良く、2種以上を組み合わせて使用しても良い。ポリエチレン系樹脂の由来は特に限定されず、合成されたものであっても、植物由来の原料等から製造されたものであっても良い。
【0044】
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、以下が挙げられる。
・高密度ポリエチレン(HDPE):0.942g/cm以上の密度を有するポリエチレン
・中密度ポリエチレン:0.930g/cm以上0.942g/cm未満の密度を有するポリエチレン
・低密度ポリエチレン(LDPE):0.910g/cm以上0.930g/cm未満の密度を有するポリエチレン
・直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE):0.911g/cm以上0.940g/cm未満の密度を有する直鎖状のポリエチレン
・超低密度ポリエチレン(ULDPE):0.910g/cm未満の密度を有するポリエチレン
【0045】
本発明におけるポリエチレン系樹脂は、官能基含有ポリエチレン系樹脂(エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体の金属塩(アイオノマー)、エチレン-アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン-メタクリル酸アルキルエステル共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン等)も包含する。
【0046】
本発明の効果を奏し易いという観点から、ポリエチレン系樹脂は、下記の高密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの両方を含むことが好ましい。より好ましくは、高密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの質量比を90:10~50:50、更には85:15~55:45、特に80:20~60:40とする。なお、「MFR」とは、「メルトマスフローレイト」の略記である。
・JIS K 6922-1(ISO1133)によるMFR(190℃、2.16kg)が5g/10分以上15g/10分以下である高密度ポリエチレン
・JIS K 6922-1(ISO1133)によるMFR(190℃、2.16kg)が0.5g/10分以上1.5g/10分以下である直鎖状低密度ポリエチレン
【0047】
[無機物質粉末]
本発明における無機物質粉末は、樹脂とともに配合され得る任意の成分を包含し、例えば充填剤として知られるものを好適に使用できる。無機物質粉末は1種単独で使用しても良く、2種以上を組み合わせて使用しても良い。無機物質粉末は、合成されたものも、天然鉱物由来のもの(鉱物等の粉砕物)も包含する。
【0048】
無機物質粉末としては、例えば、金属(カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛等)の塩(炭酸塩、硫酸塩、珪酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩)、酸化物、又は水和物の粉末が挙げられる。
【0049】
具体的には、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、カオリン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、リン酸マグネシウム、硫酸バリウム、珪砂、カーボンブラック、ゼオライト、モリブデン、珪藻土、セリサイト、シラス、亜硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、チタン酸カリウム、ベントナイト、ウォラストナイト、ドロマイト、黒鉛等の粉末が挙げられる。
【0050】
無機物質粉末の形状は、特に限定されないが、粒子状(球形、不定形状等)、フレーク状、顆粒状、繊維状等の何れであっても良い。
【0051】
無機物質粉末の粒径の下限は、特に限定されないが、平均粒子径が、好ましくは0.7μm以上、より好ましくは1.0μm以上である。無機物質粉末の粒径の上限は、特に限定されないが、平均粒子径が、好ましくは6.0μm以下、より好ましくは5.0μm以下である。本発明において「平均粒子径」とは、JIS M-8511に準じた空気透過法による比表面積の測定結果から計算した値を意味する。平均粒子径の測定機器としては、例えば、島津製作所社製の比表面積測定装置「SS-100型」を好ましく用いることができる。
【0052】
(重質炭酸カルシウム)
本発明における無機物質粉末は、炭酸カルシウム、特に重質炭酸カルシウムを含むことが好ましく、専ら重質炭酸カルシウムからなることがより好ましい。
【0053】
本発明において「重質炭酸カルシウム」とは、天然炭酸カルシウムを機械的に粉砕等することで得られるものであり、化学的沈殿反応等によって製造される合成炭酸カルシウム(すなわち、軽質炭酸カルシウム)とは明確に区別されるものである。重質炭酸カルシウムは、例えば、方解石(石灰石、チョーク、大理石等)、貝殻、サンゴ等の天然炭酸カルシウムを粉砕、及び分級することで得られる。
【0054】
重質炭酸カルシウムは、幅広い粒径の粒子を含み、一般的に成形加工性に劣ることが知られる。しかし、本発明によれば、重質炭酸カルシウムを含む中空板状体コアであっても、成形加工性が良好であり、成形品の外観が優れ得る。
【0055】
重質炭酸カルシウムの製造方法における粉砕方法としては、湿式粉砕、及び乾式粉砕のうち何れも採用できる。経済的な観点から、脱水工程や乾燥工程等が不要な乾式粉砕が好ましい。重質炭酸カルシウムの粉砕に用いる粉砕機は特に限定されず、衝撃式粉砕機、粉砕メディア(ボールミル等)を用いた粉砕機、ローラーミル等が挙げられる。重質炭酸カルシウムの製造方法における分級は、空気分級、湿式サイクロン、デカンター等の従来知られる手段を採用できる。
【0056】
重質炭酸カルシウムは、表面処理が施されていても良く、施されていなくとも良い。表面処理は、重質炭酸カルシウムの製造方法における任意の時点(粉砕前、粉砕中、分級前、分級後等)で行い得る。
【0057】
重質炭酸カルシウムの表面処理としては、物理的方法(プラズマ処理等)や、化学的方法(カップリング剤、界面活性剤等を用いた方法)が挙げられる。
【0058】
重質炭酸カルシウムの表面処理のうち、化学的方法において用いられるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等が挙げられる。
【0059】
重質炭酸カルシウムの表面処理のうち、化学的方法において用いられる界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤が挙げられる。より具体的には、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩等が挙げられる。
【0060】
上記のような表面処理を施すことで、重質炭酸カルシウムの分散性等を高めることができる。但し、表面処理を施されていない重質炭酸カルシウムは、成形時における表面処理剤の熱分解等による臭気の発生リスクを低減できる点で好ましい。
【0061】
重質炭酸カルシウムの形態は特に限定されないが、中空板状体コア中における分散性が良好であるという観点から、好ましくは粒子状である。
【0062】
重質炭酸カルシウムが粒子状である場合、その平均粒子径は、好ましくは0.7μm以上6.0μm以下、より好ましくは1.0μm以上5.0μm以下、更に好ましくは1.5μm以上3.0μm以下である。また、その粒径分布において、粒子径45μm以上の粒子が含まれないことが好ましい。
【0063】
重質炭酸カルシウムの平均粒子径が上記範囲であると、中空板状体コア中での分散性が良好であり、積層構造体製造時の過度な粘度上昇を防ぐことができる。更に、中空板状体コアや積層構造体の表面から重質炭酸カルシウム粒子が突出して脱落したり、表面性状や機械強度等を損なったりし難く、本発明の効果をより奏し易くなる。
【0064】
重質炭酸カルシウムが粒子状である場合、その不定形性は、形状の球形化の度合い、すなわち真円度によって表すことができる。真円度が低いほど、不定形性が高いことを意味する。重質炭酸カルシウムが粒子状である場合、その真円度は、好ましくは0.50以上0.95以下、より好ましくは0.55以上0.93以下、更に好ましくは0.60以上0.90以下である。
【0065】
本発明において「真円度」とは、粒子の投影面積を、粒子の投影周囲長と同一周囲長を持つ円の面積で割った値((粒子の投影面積)/(粒子の投影周囲長と同一周囲長を持つ円の面積))を意味する。真円度の測定方法は特に限定されないが、例えば、走査型顕微鏡や実体顕微鏡等で得られる粒子の投影図を、市販の画像解析ソフトで解析することで特定できる。具体的には、粒子の投影面積(A)、粒子の投影周囲長と同一周囲長を持つ円の面積(B)、粒子の投影周囲長と同一周囲長を持つ円の半径(r)、粒子の投影周囲長(PM)の測定結果に基づき、下式によって算出できる。
「真円度」=A/B=A/πr=A×4π/(PM)
【0066】
[中空板状体コアの材質]
本発明における中空板状体コアは、上記のようにポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂と無機物質粉末とを含み、ポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂と、無機物質粉末との質量比が10:90~50:50である。ここで、中空板状体コアは、樹脂成分としてポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との両者を含んでいてもよい。中空板状体コアがポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とを含有する場合、ポリプロピレン系樹脂:ポリエチレン系樹脂の質量比は50:50~95:5程度、特に55:45~90:10程度であることが好ましい。
【0067】
より好ましくは、中空板状体コアの全質量に対して、5.0~47.5質量%程度、特に5.5~45.0質量%程度のポリプロピレン系樹脂;及び/又は0.5~25.0質量%程度、特に1.0~22.5質量%程度のポリエチレン系樹脂;並びに、50.0~90.0質量%程度、特に55.0~80.0質量%程度の無機物質粉末、特に重質炭酸カルシウムを含有する。所望により、これら以外の成分を、中空板状体コアの全質量に対して例えば0.1~5.0質量%程度、特に3.0質量%程度含有していてもよい。
【0068】
[ラウリン酸ジエタノールアミド]
本発明における中空板状体コアはさらに、上記原材料に加えて、ラウリン酸ジエタノールアミドを含有していることが好ましい。ラウリン酸ジエタノールアミドは界面活性剤や帯電防止剤として機能し、各種の化粧品や樹脂製品中に配合されている。本発明を構成する中空板状体コアにおいても、ラウリン酸ジエタノールアミドの含有によって成形時の帯電が防止され易くなると共に各成分の混和性がより良好となり、成形性や機械特性がさらに改善され得る。また、ラウリン酸ジエタノールアミドによる成形性や機械特性の改善効果は、第4アンモニウム塩やポリオキシエチレンアルキルアミン等の他の帯電防止剤や界面活性剤に比べて概して大である。ラウリン酸ジエタノールアミドの含有量は、中空板状体コアの全質量に対して0.1質量%以上1.0質量%以下程度、中でも0.2質量%以上1.0質量%未満、特に0.3質量%以上0.8質量%以下とすることが好ましい。
【0069】
本発明における中空板状体コアは例えば、ポリプロピレン系樹脂と、ポリエチレン系樹脂と、無機物質粉末と、ラウリン酸ジエタノールアミドとを含み、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂の総和と無機物質粉末との質量比が10:90~50:50であり、ラウリン酸ジエタノールアミドの含有量が中空板状体コアの全体質量に対して0.1質量%以上1.0質量%以下である組成であってもよい。
【0070】
[中空板状体コア中のその他の成分]
本発明の積層構造体における中空板状体コアには、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記の成分に加えて、任意の成分が更に含まれ得る。この様な成分は、単独又は2種以上の組み合わせで使用できる。また、この様な成分の種類や配合量は、得ようとする効果等に応じて適宜設定し得る。
【0071】
中空板状体コアに含まれ得る成分としては、滑剤、分散剤、可塑剤及び軟化剤、ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂以外の樹脂、ラウリン酸ジエタノールアミド以外の帯電防止剤や界面活性剤、色剤、酸化防止剤等の劣化防止剤、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。
【0072】
(滑剤)
滑剤としては、汎用の樹脂組成物に配合し得る任意のものを使用でき、例えばパラフィンワックス、ソルビタンエステル、グリセリンエステル、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアロアミド等が挙げられる。
【0073】
(分散剤)
分散剤としては、ステアリン酸等の長鎖脂肪酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0074】
(可塑剤)
可塑剤としては、例えば、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジアリール、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ-2-メトキシエチル、酒石酸ジブチル、o-ベンゾイル安息香酸エステル、ジアセチン、エポキシ化大豆油、ポリエチレン系ワックス等が挙げられる。
【0075】
(軟化剤)
軟化剤としては、炭化水素系のオイル、例えばパラフィンオイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイル;植物油、例えば、ひまし油、亜麻仁油、エポキシ化大豆油;さらにはシリコーンオイルやポリエチレン系ワックス等が挙げられるが、これらに限定されない。これら軟化剤を、中空板状体コア全体に対して例えば0.5~5質量%、特に1~2質量%程度の量配合することにより、中空板状体コアに柔軟性を付与し、積層構造体全体の成形加工性及び機械強度を更に改善することが可能となる。
【0076】
(ポリプロピレン系樹脂、及びポリエチレン系樹脂以外の樹脂)
ポリプロピレン系樹脂、及びポリエチレン系樹脂以外の樹脂としては、
ポリプロピレン系樹脂、ポリメチル-1-ペンテン、エチレン-環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;
ナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-6,10、ナイロン-6,12等のポリアミド系樹脂;
ポリエチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂;
アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン(AS)共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)共重合体等のポリスチレン系樹脂;
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリ塩化ビニル系樹脂;
ポリフェニレンスルフィド;
ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のポリエーテル系樹脂等
が挙げられる。
但し、本発明の効果を奏し易いという観点から、本発明の積層構造体における中空板状体コアには、ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂以外の樹脂を含まないか、含むとしても少量(例えば、中空板状体コア全体に対して1.0質量%以下)であることが好ましい。
【0077】
色剤としては、従来知られる有機顔料、無機顔料又は染料の何れも使用できる。有機顔料としては、アゾ系、アンスラキノン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、ジオオサジン系、ペリノン系、キノフタロン系、ペリレン系顔料等が挙げられる。無機顔料としては、群青、酸化チタン、チタンイエロー、酸化鉄(弁柄)、酸化クロム、亜鉛華、カーボンブラック等が挙げられる。
【0078】
酸化防止剤としては、例えば、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ペンタエリスリトール系酸化防止剤等が挙げられる。
【0079】
難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、金属水和物等の非リン系非ハロゲン系難燃剤等が挙げられる。
【0080】
発泡剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等)、脂環式炭化水素類(シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等)、ハロゲン化炭化水素類(クロロジフルオロメタン、ジフロオロメタン、トリフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、ジクロロペンタフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ジフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、トリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロジフルオロエタン、パーフルオロシクロブタン等)、無機ガス(二酸化炭素、窒素、空気等)、水等が挙げられる。
【0081】
[中空板状体コアの製造方法]
本発明の積層構造体における中空板状体コアは例えば、上記の成分を用いて一旦シート状物を製造し、そのシート状物を折り曲げる等して加工した後、接着、融着、機械的縫合等の手法で接合することによって製造することができる。
【0082】
シート状物の製造には、汎用のシート製造方法を用いることができる。例えば、成分の混合及び溶融混練、シート状物・フィルム状物への成形等を経て、製造することができる。混合や溶融混練のタイミングは、採用しようとする成形方法(押出成形、射出成形、真空成形等)に応じて適宜設定できる。例えば、混合は、成形機のホッパーから投入する前や、成形と同時に行っても良い。溶融混練は、例えば、二軸混練機等によって行っても良い。また、共押出等の製造法により、中空板状体コア用シートの製造と共に、後記する接着層の形成を同時に行うこともできる。
【0083】
製造したシートを、次いで凹凸形状や波形に加工する。例えばシートに半円の円筒形状の凹凸を付し、同様に加工したシートと接合することにより、中空円柱状コアを製造することができる。あるいはシートを所望のサイズに切り分けた後に、六角柱や円筒等の形状に成形し、それらを接合してもよい。接合は、簡便さの観点から接着又は融着により行うことが好ましく、特に接着剤や接着層を介して接合することが好ましい。
【0084】
(接着剤)
中空板状体コアの製造に使用し得る接着剤に特に制限はなく、汎用の各種接着剤から選定することができる。例としてポリ酢酸ビニルやポリ(メタ)アクリル酸(エステル)等のポリエステル系接着剤、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)系接着剤、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等の変性ポリオレフィン系接着剤、ポリアミド系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、ポリ塩化ビニル系接着剤、テルペン系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エラストマー系接着剤、例えばスチレン-ブタジエン共重合体やSEBS等の水素化物、天然ゴム、クロロプレンゴム、ニトリル-ブタジエン共重合体等が挙げられるが、これらに限定されない。複数の接着剤を併用することもできる。また、これら接着剤をシート状又はリボン状に成形し、例えば熱融着用の接着層として使用することも可能である。
【0085】
<表面シート>
本発明の積層構造体は、上記中空板状体コアの両面に、熱可塑性樹脂からなる表面シートを貼り合わせた構造を有する。ここで、熱可塑性樹脂はポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂である。すなわち、本発明における表面シートは、ポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂からなる。こうした表面シートを中空板状体コアの両面に備えることにより、本発明の積層構造体は軽量性や機械強度、断熱性等の物性に優れ、外観も良好なものとなる。
【0086】
ここで、「ポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂からなる」とは、表面シートの例えば95質量%以上、さらには97質量%以上、特に99質量%以上がポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂により構成され、他の樹脂や無機物質粉末充填剤を実質的に含有しないことを意味する。少量添加剤の含有までを排除する意味ではなく、中空板状体コアに配合される上記した添加剤を、表面シートにも配合することが可能である。例えば表面シートは、滑剤、可塑剤、帯電防止剤等の加工助剤、酸化防止剤等の劣化防止剤、カーボンブラックや顔料を始めとする色剤等を、0.1~2.0質量部、特に0.2~1.0質量部程度含有していても良い。
【0087】
(表面シートのポリプロピレン系樹脂・ポリエチレン系樹脂)
表面シートを構成するポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂に制限はなく、中空板状体コアの成分として上記したポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂と同様のものを使用することができる。例えば、中空板状体コアの成分として選定したポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂と同一の樹脂を使用しても良く、また、別種のポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂を使用しても良い。複数種のポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂を併用することもでき、また、2枚の表面シートを別々の材料とすることも可能である。
【0088】
本発明の積層構造体において、表面シートを構成する熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。すなわち、本発明における表面シートは、ポリプロピレン系樹脂シートであることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂は一般に比重が軽いため、軽量かつ高強度という本発明の積層構造体の利点を、さらに顕著なものとすることができる。特に、ポリプロピレンホモポリマーからなる表面シートが好ましい。
【0089】
表面シートを構成するポリプロピレン系樹脂はまた、MFR(230℃)が0.3~5.0g/10分程度であることが、特にMFR(230℃)が0.3~3.0g/10分で、溶融張力(230℃)が5~30g程度であることが好ましい。表面シートを構成する樹脂がこうした溶融特性のものであれば、上記中空板状体コアとの接合性に優れ、本発明の積層構造体を、より容易に製造することが可能となる。
【0090】
≪積層構造体の製造方法≫
本発明の積層構造体は、上記の中空板状体コア及び表面シートから、任意の公知の方法で製造することができる。例えば中空板状体コアの両面に表面シートを融着してもよく、接着剤を用いて貼り合わせることもできる。ここで使用する接着剤にも特に制限はなく、種々の公知のものを使用することが可能である。例えば、中空板状体コアの製造についての説明で例示したものを用いることができる。また、市販の両面粘着シートや両面接着シート等を介して、中空板状体コアの両面に表面シートを貼り合わせてもよい。表面シートの片側又は両面に予め接着層を付しておき、熱融着することも可能である。接着層は例えば、熱融着型の接着剤と、表面シート原料との2層押出によって得ることができる。
【0091】
≪積層構造体の用途≫
本発明の積層構造体は、汎用樹脂をベースとするにも拘らず高強度で、しかも構造材料全体としては軽量である。そのため、建材や航空機等の輸送機用材料として有用である。本発明の積層構造体は、汎用樹脂をベースとするために低コストで、しかも成形性に優れる。そのため、各種の容器体や日用品、消耗品、電気電子部品等、様々な各種民生用品や工業用品として使用することができる。
【0092】
≪パネル≫
本発明の積層構造体はまた、良好な外観を呈するため、パネルとしての使用に特に適している。本発明のパネルは軽量かつ高強度で外観も良好なため、家屋や店舗の内装用パネル、イベント会場での展示用パネル、建造物の外壁等に設置される広告用パネル等として有用である。本発明のパネルは断熱性にも優れるので、天井や壁面に設置する建材パネルとしても好適である。コア部が中空板状体からなるため、画鋲等を用いてポスター類を簡便に貼り付けることもできる。また、表面シートの一部に小さな穴を開け、吸音パネルとして使用することも可能である。本発明のパネルはまた、中空板状体コアが多量の無機物質粉末を含有しているため、燃焼し難いという利点も有する。こうした点からも、本発明のパネルは建材や展示ボード等に好適である。
【実施例
【0093】
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0094】
[実施例1]
<中空板状体コアの作製>
HTM50型異方向回転式二軸押出機((株)シーティーシー製)を用いて、40.0質量部のポリプロピレン系樹脂-1、60.0質量部の重質炭酸カルシウム-1、及び1.0質量部のラウリン酸ジエタノールアミド(LEDA)を混練し、中空板状体コア用原料ペレットを調製した。得られた原料ペレットを次に、接着用樹脂と共に、フィードブロックタイプT-ダイを備えた押出機から共押出し、冷却ロール上にて急冷して、内層厚さ約0.36mm、各外層(接着層)厚さ約0.02mmの3層シートを得た。尚、使用した原材料の特性は、以下のとおりである。
・ポリプロピレン系樹脂-1(PP):プロピレンホモポリマー、MFR(230℃):0.5g/10分
・重質炭酸カルシウム-1(CC-1):平均粒径:平均粒径1.5μm、比表面積1.5m/g、表面処理なし
・接着用樹脂:東ソー(株)製のメルセン(登録商標)M(EVAベース)
【0095】
得られた3層シート10枚を、間に一辺4mmの正六角柱のPTFE棒からなる治具を挟んで積層し、約110℃でプレスした。尚、この治具は、1体当たり20本のPTFE棒が、片端で櫛状に接合された構造を有し、各PTFE棒には、積層に先立って低粘度シリコーンオイルをスプレーしておいた。プレス成形体からPTFE棒を抜き取った後、20mm幅に切断し、約160×35×20tmmサイズの、ピッチ約8mmのハニカムコアを作製した。
【0096】
<表面シートの作製>
ポリプロピレン系樹脂-1と上記接着用樹脂とを、スクリュー押出機を用いて溶融し、フィードブロックタイプT-ダイから共押出後、冷却ロール上にて急冷して、ポリプロピレン層厚さ約0.40mm、接着層厚さ約0.02mmの2層シートを得た。
【0097】
<積層構造体の作製>
上記で得られた中空板状体コアの両面に、2枚の表面シートを、接着層が中空板状体コアに面するように積層し、約100℃でプレスして、図1aに示すような形状の積層構造体を作製した。
【0098】
<積層構造体の物性評価>
上記で製造した積層構造体について、成形加工性と外観を以下の基準にて評価し、また、曲げ強度を以下の条件で測定した。それらの結果を、後記する表1に示す。
・成形加工性
A:中空板状体コアが目的の形状とおりに成形でき、ハニカムコアへの切断も容易で、表面シート積層時にもハニカムコアの変形を来さなかった。
B:ハニカムコアの目立った変形は生じなかったものの、3層シートからの中空板状体コアの作製やハニカムコアへの切断が容易ではなかった。
C:中空板状体コア作製時や表面シート積層時のプレスの際に、3層シートのフローや中空板状体コアの変形が生じた。
・外観
A:中空板状体コア部に欠けや変形が観察されなかった。
B:中空板状体コアの一部に、欠けや変形が生じていた。
C:中空板状体コア部の変形が目立った。
・曲げ強度
JIS K7171:2016に従い、23℃、50%RHの条件下で、オートグラフAG-100kNXplus((株)島津製作所)を用いて速度2mm/分で測定した。
【0099】
[比較例1]
中空板状体コア用3層シートの作製を、重質炭酸カルシウム-1を用いずに、100.0質量部のポリプロピレン系樹脂-1と1.0質量部のラウリン酸ジエタノールアミドのみを用いて行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を、後記する表1に示す。
【0100】
[比較例2]
中空板状体コア用3層シートの作製を、ポリプロピレン系樹脂-1:重質炭酸カルシウム-1の質量比を60:40として行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を、後記する表1に示す。
【0101】
[比較例3]
中空板状体コア用3層シートの作製を、7.0質量部のポリプロピレン系樹脂-1、93.0質量部の重質炭酸カルシウム-1、及び1.0質量部のラウリン酸ジエタノールアミドを用いて試みたが、混練・押出ができず、中空板状体コア用の3層シート自体を作製することができなかった。
【0102】
[比較例4]
表面シートを、ハニカム構造の配列方向と並行になるように積層し、短手方向(サイズ約35mmの方向)に中空板状体が配列した積層構造体を作製した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を、後記する表1に示す。
【0103】
[実施例2]
ラウリン酸ジエタノールアミドの代わりにポリオキシエチレンアルキルアミン(POEA)を1.0質量部使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を、後記する表1に示す。
【0104】
[実施例3]
中空板状体コア用3層シートの作製を、30.0質量部のポリプロピレン系樹脂-2、70.0質量部の重質炭酸カルシウム-2、及び0.5質量部のラウリン酸ジエタノールアミドを用いて行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を、後記する表1に示す。尚、本実施例で使用した原材料の特性は、以下のとおりである。
・ポリプロピレン系樹脂-2(b-PP):ブロックポリプロピレン(ホモポリプロピレンの中にポリエチレン及びエチレン-プロピレン共重合ブロックの相が分散した構造)、MFR(230℃):0.5g/10分
・重質炭酸カルシウム-2(CC-2):平均粒径:2.2μm、BET比表面積:1.0m/g、表面処理なし
【0105】
[比較例5]
中空板状体コア用3層シートの作製を、重質炭酸カルシウム-2を用いずに、100.0質量部のポリプロピレン系樹脂-2と0.5質量部のラウリン酸ジエタノールアミドのみを用いて行った以外は、実施例2と同様の操作を試みた。3層シートは製造できたものの、これらを積層してプレスする際にシートの一部がフローしてしまい、目的とした形状の中空板状体コアを作製することができなかった。
【0106】
[実施例4]
中空板状体コア用3層シートの作製を、20.0質量部のポリプロピレン系樹脂-1、6.7質量部のポリエチレン系樹脂-1、3.3質量部のポリエチレン系樹脂-2、70.0質量部の重質炭酸カルシウム-1、及び0.5質量部のラウリン酸ジエタノールアミドを用いて行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を、後記する表1に示す。尚、本実施例で使用したポリエチレン系樹脂の特性は、以下のとおりである。
・ポリエチレン系樹脂-1(PE-1):高密度ポリエチレン、密度:0.950g/cm、MFR(190℃、2.16kg):7.5g/10分
・ポリエチレン系樹脂-2(PE-2):直鎖状低密度ポリエチレン、密度:0.918g/cm、MFR(190℃、2.16kg):1.0g/10分
【0107】
[実施例5]
中空板状体コア用3層シートの作製を、20.0質量部のポリエチレン系樹脂-1、10.0質量部のポリエチレン系樹脂-2、70.0質量部の重質炭酸カルシウム-1、及び0.5質量部のラウリン酸ジエタノールアミドを用いて行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を、後記する表1に示す。
【0108】
[比較例6]
中空板状体コア用3層シートの作製を、重質炭酸カルシウム-1を用いずに、66.7質量部のポリエチレン系樹脂-1、33.3質量部のポリエチレン系樹脂-2、及び0.5質量部のラウリン酸ジエタノールアミドのみを用いて行った以外は、実施例3と同様の操作を試みた。3層シートは製造できたものの、これらを積層してプレスする際にシートの一部がフローしてしまい、目的とした形状の中空板状体コアを作製することができなかった。
【0109】
[比較例7]
ポリプロピレン系樹脂-1の代わりにポリエチレンテレフタレート(PET)を使用し、比較例1と同様の操作を行った。但し、3層シートからの中空板状体コアのプレス成形は、約160℃で行った。実施例1や比較例1の時よりも成形温度を高めとしたが、目的形状の中空板状体コアは得難く、また、ハニカムコアへの切断が容易ではなかった。評価結果を、表1に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
表1に示すように、本発明に従う実施例1~5の積層構造体は、いずれも成形加工性に優れ、外観も良好であった。特にラウリン酸ジエタノールアミドを配合した実施例1及び3~5では、中空板状体コアの作製が容易であった。一方で無機充填剤不含の比較例1、5、及び6の積層構造体は、概して成形加工性に劣り、外観も不良であった。樹脂:無機物質粉末との質量比が60:40の比較例2の積層構造体でも、同様の傾向であった。また、中空板状体コア部の無機物質粉末量が90質量%超の比較例3では、(表1には記載していないが上記したように)試料を成形すること自体が不可能であった。
【0112】
中空板状体コア部の配合が本発明の要件を満たさない比較例1等の積層構造体は、外観が比較的良好な試料が得られた場合にも、その強度は小であった。また、中空板状体コア部の配合が同一であっても、比較例4のように積層構造体の厚さ方向に配列していない場合は、曲げ強度がかなり低下した。
【0113】
上記のような曲げ強度の低下は、比較例7におけるように中空板状体コア部の樹脂成分としてPETを使用することによって防止できたが、この場合、成形性が低下し、外観も良好とは言い難いものとなった。一方で本発明に従う実施例1~5の積層構造体、特にポリプロピレン系樹脂と、ポリエチレン系樹脂と、重質炭酸カルシウムと、ラウリン酸ジエタノールアミドとを含む実施例4の積層構造体は、成形加工性及び外観が良好なだけでなく、曲げ強度も大であった。本発明が顕著な効果を奏することが示された。
【符号の説明】
【0114】
1 積層構造体
2 中空板状体コア
3 表面シート
4 表面シート
【要約】
【課題】強度等の機械特性に優れ、成形加工が容易で、良好な外観を呈する積層構造体を提供すること。
【解決手段】厚さ方向に中空板状体が配列した中空板状体コアの両面に、熱可塑性樹脂からなる表面シートを貼り合わせた積層構造体であって、前記中空板状体コアが、ポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂と、無機物質粉末とを含み、前記ポリプロピレン系樹脂及び/又は前記ポリエチレン系樹脂と、前記無機物質粉末との質量比が、10:90~50:50であり、かつ前記表面シートがポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂からなる、積層構造体。
【選択図】図1
図1