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特許7191457マスターギヤ、該マスターギヤを備えた打痕検査装置及び該マスターギヤを用いた打痕検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】マスターギヤ、該マスターギヤを備えた打痕検査装置及び該マスターギヤを用いた打痕検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 13/02 20190101AFI20221212BHJP
   F16H 55/17 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
G01M13/02
F16H55/17 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018128271
(22)【出願日】2018-07-05
(65)【公開番号】P2020008371
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 栄二郎
【審査官】奥野 尭也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0060903(US,A1)
【文献】特開平04-289427(JP,A)
【文献】米国特許第02815581(US,A)
【文献】米国特許第02715998(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0338309(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0249633(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103722355(CN,A)
【文献】特開平02-036330(JP,A)
【文献】実開平03-088139(JP,U)
【文献】特開昭47-002339(JP,A)
【文献】特開2009-250954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00-13/045
G01M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査用ギヤの歯の打痕の有無を検査するために前記被検査用ギヤと噛合するマスターギヤであって、
前記被検査用ギヤの歯数に対して少なくとも2倍以上の歯数のギヤ歯を有し、
該ギヤ歯が形成される外周領域の軸方向の長さが、前記被検査用ギヤの歯の軸方向の長さとほぼ同等の長さであり、
該ギヤ歯の歯筋方向の一部の領域をギヤ周方向に少なくとも前記被検査用ギヤの歯数分、連続して欠落させたギヤ欠落部を有し、
該マスターギヤは、歯筋方向でギヤ歯をほぼ等間隔に一端部、中央部及び他端部の3つに区分した区分領域のうち、
前記中央部及び前記他端部の区分領域にギヤ欠落部を有して前記一端部の区分領域にギヤ歯が存在する第1の検査域と、
前記一端部及び前記中央部の区分領域にギヤ欠落部を有して前記他端部の区分領域にギヤ歯が存在する第2の検査域と、
前記第1の検査域と前記第2の検査域との間にそれぞれ設けられ、前記一端部、前記中央部及び前記他端部の区分領域にギヤ歯が存在する通常検査域と、
をギヤ周方向に有し、
各通常検査域の歯数は、前記検査用ギヤの歯数の半分の数に設定されていることを特徴とするマスターギヤ。
【請求項2】
被検査用ギヤの歯の打痕の有無を検査するために前記被検査用ギヤと噛合するマスターギヤであって、
前記被検査用ギヤの歯数に対して少なくとも2倍以上の歯数のギヤ歯を有し、
該ギヤ歯が形成される外周領域の軸方向の長さが、前記被検査用ギヤの歯の軸方向の長さとほぼ同等の長さであり、
該ギヤ歯の歯筋方向の一部の領域をギヤ周方向に少なくとも前記被検査用ギヤの歯数分、連続して欠落させたギヤ欠落部を有し、
該マスターギヤは、歯筋方向でギヤ歯をほぼ等間隔に一端部、中央部及び他端部の3つに区分した区分領域のうち、
前記中央部及び前記他端部の区分領域にギヤ欠落部を有して前記一端部の区分領域にギヤ歯が存在する第1の検査域と、
前記一端部及び前記中央部の区分領域にギヤ欠落部を有して前記他端部の区分領域にギヤ歯が存在する第2の検査域と、
前記一端部及び前記他端部の区分領域にギヤ欠落部を有して前記中央部の区分領域にギヤ歯が存在する第3の検査域と
をギヤ周方向に有し、
該マスターギヤは、前記マスターギヤの全周を等間隔で複数に区分した検査区分領域を有し、
各検査区分領域は、前記第1、第2及び第3の検査域を有することを特徴とするマスターギヤ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のマスターギヤを備え、該マスターギヤを被検査用ギヤと噛み合わせて、被検査用ギヤの歯の打痕の有無を検査する打痕検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載のマスターギヤに被検査用ギヤを噛み合わせて該被検査用ギヤの歯の打痕の有無を検査する打痕検査方法であって、
前記被検査用ギヤを前記マスターギヤに噛み合せた状態で、前記被検査用ギヤを回転させる検査工程を含み
記検査工程において、前記被検査用ギヤは、前記マスターギヤの前記第1の検査領域、前記第2の検査領域及び前記各通常検査領域を通過するように回転することを特徴とする打痕検査方法。
【請求項5】
請求項2に記載のマスターギヤに被検査用ギヤを噛み合わせて該被検査用ギヤの歯の打痕の有無を検査する打痕検査方法であって、
前記被検査用ギヤを前記マスターギヤに噛み合せた状態で、前記被検査用ギヤを回転させる検査工程を含み、
前記検査工程において、前記被検査用ギヤは、前記マスターギヤの前記検査区分領域を通過するように回転することを特徴とする打痕検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査用ギヤと噛み合わせて打痕検査を行うマスターギヤ、該マスターギヤを備えた打痕検査装置及び該マスターギヤを用いた打痕検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ギヤは、動力を伝達する機械要素として様々な分野で利用されている。ギヤの製造工程では、一般に、歯面加工後の運搬時等に歯面に打痕が生じる虞があり、打痕がある場合には、使用時の異音発生や振動発生の原因となることから、ギヤに対して打痕検査が行われている。
【0003】
従来、打痕検査方法として、マスターギヤに被検査用ギヤを噛み合わせて、マスターギヤと被検査用ギヤとの軸間距離の変化を検出することによって、打痕の有無を検査する方法が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、被検査用ギヤ及びマスターギヤのギヤ歯の歯筋方向の長さがほぼ同じ大きさに設定された打痕検査装置が記載されており、被検査用ギヤをマスターギヤに噛み合わせた状態で1回転させ、回転時の被検査用ギヤとマスターギヤとの軸間距離の変化を検出することにより、打痕の有無を検出している。
【0005】
また、特許文献2には、被検査用ギヤに対し、マスターギヤのギヤ歯の歯筋方向の長さが短く設定された打痕検査装置が記載されている。この打痕検査装置では、被検査用ギヤに対し、ギヤ歯の長さが短いマスターギヤを被検査用ギヤの軸方向に移動させながら被検査用ギヤとマスターギヤとの軸間距離の変化を検出し、打痕の有無を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平4-289427号公報
【文献】特開平7-12685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
被検査品であるギヤは、一般に、使用時の噛合い誤差を吸収して動力伝達がスムーズに行われるように、歯筋方向で歯の高さが僅かに変化しており、例えば、歯の高さが歯筋方向の中央部で高くなり、両端部で低くなるように形成されている。一方、マスターギヤは、多種のギヤに対応させるために、歯の高さが歯筋方向で等しく形成されており、マスターギヤと被検査用ギヤとを噛み合わせると、被検査用ギヤの歯筋の中央部が主にマスターギヤのギヤ歯と噛合った状態となる。
【0008】
それ故、特許文献1に記載の打痕検査装置では、同じ大きさの打痕が被検査用ギヤの歯筋方向の中央部にあるものと、歯筋方向の端部にあるものとを検査した場合に、中央部にある打痕はマスターギヤのギヤ歯に当たって検出できても、端部にある打痕はマスターギヤのギヤ歯と噛み合わずに検出されないという事態が発生していた。
【0009】
一方、特許文献2に記載の打痕検査装置では、被検査用ギヤよりもギヤ歯の長さが短いマスターギヤを被検査用ギヤが1回転する毎に軸方向に移動させて検査を行うことで、被検査用ギヤの歯筋方向の端部と中央部とを別々に検査して、それぞれの打痕を検出することができる。
【0010】
しかしながら、特許文献2に記載の打痕検査装置では、マスターギヤ及び被検査用ギヤを回転させる動力機構に加え、マスターギヤを軸方向に移動させるための動力機構を別途設ける必要があるため、打痕検査装置の製造コストが大幅に増加するという問題があった。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、マスターギヤを軸方向に移動させることなく、被検査用ギヤの歯筋方向において異なる部位にある打痕を検出することが可能なマスターギヤを提供すること、並びに該マスターギヤを備えた打痕検査装置及び該マスターギヤを用いた打痕検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、被検査用ギヤの歯の打痕の有無を検査するために前記被検査用ギヤと噛合するマスターギヤであって、前記被検査用ギヤの歯数に対して少なくとも2倍以上の歯数のギヤ歯を有し、該ギヤ歯が形成される外周領域の軸方向の長さが、前記被検査用ギヤの歯の軸方向の長さとほぼ同等の長さであり、該ギヤ歯の歯筋方向の一部の領域をギヤ周方向に少なくとも前記被検査用ギヤの歯数分、連続して欠落させたギヤ欠落部を有し、該マスターギヤは、歯筋方向でギヤ歯をほぼ等間隔に一端部、中央部及び他端部の3つに区分した区分領域のうち、前記中央部及び前記他端部の区分領域にギヤ欠落部を有して前記一端部の区分領域にギヤ歯が存在する第1の検査域と、前記一端部及び前記中央部の区分領域にギヤ欠落部を有して前記他端部の区分領域にギヤ歯が存在する第2の検査域と、前記第1の検査域と前記第2の検査域との間にそれぞれ設けられ、前記一端部、前記中央部及び前記他端部の区分領域にギヤ歯が存在する通常検査域と、をギヤ周方向に有し、各通常検査域の歯数は、前記検査用ギヤの歯数の半分の数設定されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、マスターギヤのギヤ周方向でギヤ欠落部を有する領域において、マスターギヤが被検査用ギヤと噛合った際に、被検査用ギヤの歯が、マスターギヤのギヤ歯が欠落せずに存在している部分で噛合うこととなる。これにより、被検査用ギヤの歯筋方向において異なる部位にある打痕を検査することが可能となり、被検査用ギヤの歯の高さが歯筋方向で変化している場合に、歯の高さの高い部位とマスターギヤのギヤ欠落部とを対向させて噛み合いを回避し、被検査用ギヤの歯の高さの低い部位のみが噛み合うようにして、歯の高さが低い部位の打痕検査を適切に行うことができる。また、マスターギヤのギヤ周方向でギヤ欠落部が形成されていない領域では、被検査用ギヤの歯が歯筋方向の全域で噛合うことから、歯筋方向で歯の高さが高い部分についても適切に打痕検査を行うことが可能となる。
【0014】
また、本発明の一実施形態は、被検査用ギヤの歯の打痕の有無を検査するために前記被検査用ギヤと噛合するマスターギヤであって、前記被検査用ギヤの歯数に対して少なくとも2倍以上の歯数のギヤ歯を有し、該ギヤ歯が形成される外周領域の軸方向の長さが、前記被検査用ギヤの歯の軸方向の長さとほぼ同等の長さであり、該ギヤ歯の歯筋方向の一部の領域をギヤ周方向に少なくとも前記被検査用ギヤの歯数分、連続して欠落させたギヤ欠落部を有し、該マスターギヤは、歯筋方向でギヤ歯をほぼ等間隔に一端部、中央部及び他端部の3つに区分した区分領域のうち、前記中央部及び前記他端部の区分領域にギヤ欠落部を有して前記一端部の区分領域にギヤ歯が存在する第1の検査域と、前記一端部及び前記中央部の区分領域にギヤ欠落部を有して前記他端部の区分領域にギヤ歯が存在する第2の検査域と、前記一端部及び前記他端部の区分領域にギヤ欠落部を有して前記中央部の区分領域にギヤ歯が存在する第3の検査域とをギヤ周方向に有し、該マスターギヤは、前記マスターギヤの全周を等間隔で複数に区分した検査区分領域を有し、各検査区分領域は、前記第1、第2及び第3の検査域を有することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、第1、第2及び第3の検査域において被検査用ギヤをマスターギヤに噛み合わせることにより、被検査用ギヤの歯筋方向の一端部、中央部及び他端部のそれぞれの区分領域について個別に打痕検査を行うことができる。
【0019】
この構成によれば、被検査用ギヤが、マスターギヤのギヤ周方向において1つの検査区分領域と噛合うことで、被検査用ギヤの歯筋方向の一端部、中央部及び他端部のそれぞれについて打痕検査を行うことができる。マスターギヤがこのような検査区分領域をギヤ周方向に複数有することで、マスターギヤを1回転させる間に、複数個の被検査用ギヤの打痕検査を行うことが可能となる。
【0020】
また、本発明の一実施形態は、前記マスターギヤを備えた打痕検査装置であって、該マスターギヤを被検査用ギヤと噛み合わせて、被検査用ギヤの歯の打痕の有無を検査することを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、マスターギヤのギヤ周方向でギヤ欠落部を有する領域において、マスターギヤが被検査用ギヤと噛合った際に、被検査用ギヤの歯が、マスターギヤのギヤ歯が欠落せずに存在している部分で噛合うこととなる。これにより、被検査用ギヤの歯筋方向において異なる部位にある打痕を検査することができる。
【0022】
また、本発明の一実施形態は、前記マスターギヤに被検査用ギヤを噛み合わせて該被検査用ギヤの歯の打痕の有無を検査する打痕検査方法であって、前記被検査用ギヤを前記マスターギヤに噛み合せた状態で、前記被検査用ギヤを回転させる検査工程を含み、前記検査工程において、前記被検査用ギヤは、前記マスターギヤの前記第1の検査領域、前記第2の検査領域及び前記各通常検査領域を通過するように回転することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、マスターギヤのギヤ周方向でギヤ欠落部を有する領域において、マスターギヤが被検査用ギヤと噛合った際に、被検査用ギヤの歯が、マスターギヤのギヤ歯が欠落せずに存在している部分で噛合うこととなる。これにより、被検査用ギヤの歯筋方向において異なる部位にある打痕を検査することができる。
【0024】
また、本発明の一実施形態は、前記マスターギヤに被検査用ギヤを噛み合わせて該被検査用ギヤの歯の打痕の有無を検査する打痕検査方法であって、前記被検査用ギヤを前記マスターギヤに噛み合せた状態で、前記被検査用ギヤを回転させる検査工程を含み、前記検査工程において、前記被検査用ギヤは、前記マスターギヤの前記検査区分領域を通過するように回転することを特徴とする。

【0025】
この構成によれば、被検査用ギヤの歯筋方向の一端部、中央部及び他端部のそれぞれの区分領域について個別に打痕検査を行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るマスターギヤ、該マスターギヤを備えた打痕検査装置及び該マスターギヤを用いた打痕検査方法によれば、被検査用ギヤの歯筋方向において異なる部位にある打痕を検出することが可能であって、打痕検査装置の製造コストの増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1の実施の形態のマスターギヤを備えた打痕検査装置の説明図。
図2】マスターギヤの斜視図。
図3図2に示すマスターギヤの平面図。
図4】マスターギヤと被検査用ギヤの噛合い状態を説明する図。
図5】本発明の第2の実施の形態であるマスターギヤの斜視図。
図6図5に示すマスターギヤの平面図。
図7】本発明の第3の実施の形態であるマスターギヤの斜視図。
図8図7に示すマスターギヤの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態のマスターギヤを備えた打痕検査装置10の説明図であり、図2は、マスターギヤ20の斜視図、図3は、マスターギヤ20の平面図である。本発明に係るマスターギヤ20は、打痕検査装置10に装着され、被検査品であるギヤ(以下、被検査用ギヤ50という)と噛み合わせて、マスターギヤ20と被検査用ギヤ50との軸間距離の変化を検出することによって、打痕の有無を検査する。
【0029】
打痕検査装置10は、打痕検査装置10の基台となるベース11と、マスターギヤ20と、マスターギヤ20が装着される支持軸12と、被検査用ギヤ50が装着される検査ギヤ支持軸13と、回転変位量検出手段14と、スライドユニット15と、付勢手段16と、変位センサ17と、制御部18とを備える。
【0030】
支持軸12は、図示していない駆動装置により回転し、支持軸12の回転に伴って、マスターギヤ20が回転する。支持軸12の下部には、回転変位量検出手段14が連結されている。回転変位量検出手段14は、例えば、ロータリエンコーダによって構成され、マスターギヤ20の回転数や回転量(角度)を検出する。回転変位量検出手段14による検出信号は、制御部18に入力される。
【0031】
検査ギヤ支持軸13は、支持軸12と平行に配置されており、被検査用ギヤ50は、検査ギヤ支持軸13に回転自在に支持される。
【0032】
支持軸12及び回転変位量検出手段14は、スライドユニット15上に立設されている。スライドユニット15は、ベース11に固定されたスライドベース11a上を支持軸12及び検査ギヤ支持軸13の軸心距離が接近・離間する方向に摺動可能に構成されている。付勢手段16は、例えば、付勢力を付与するバネであり、支持軸12が検査ギヤ支持軸13に近接する方向にスライドユニット15を付勢している。
【0033】
変位センサ17は、マスターギヤ20と被検査用ギヤ50の軸間距離を検出するものであり、検査ギヤ支持軸13を保持するホルダ19に取付けられている。変位センサ17の検出信号は、制御部18に入力される。
【0034】
制御部18は、例えば、CPU等の情報処理手段、RAMやROM等の記憶手段、入出力インターフェイス等からなるマイクロコンピュータを備えて構成される電子制御装置であり、回転変位量検出手段14及び変位センサ17の検出結果に基づいて、被検査用ギヤ50の打痕の有無の検出を行う。
【0035】
マスターギヤ20及び被検査用ギヤ50のそれぞれは、支持軸12及び検査ギヤ支持軸13のそれぞれに対し着脱自在であって、被検査用ギヤ50の歯数や歯形状等に応じて、マスターギヤ20が取り換えられる。
【0036】
被検査用ギヤ50は、例えば、自動車等の車両の変速機に用いられるギヤであり、本実施の形態において、被検査用ギヤ50の歯の高さは、歯筋方向の中央部が両端部よりも僅かに高く(例えば、中央部の方が両端部よりも5μm~20μm程度高く)形成されている。
【0037】
マスターギヤ20は、支持軸12に固定され、支持軸12とともに回転する。図2に示すように、マスターギヤ20と被検査用ギヤ50とは、ギヤ歯が形成される外周領域の軸方向の長さL1,L2がほぼ同等の長さに形成されている。マスターギヤ20の歯数は、被検査用ギヤ50の歯数に対して少なくとも2倍以上であり、本実施の形態では3倍の歯数を有している。マスターギヤ20のギヤ歯の高さは、歯筋方向で等しく設定されている。
【0038】
マスターギヤ20には、ギヤ歯の歯筋方向の一部の領域をギヤ周方向に少なくとも被検査用ギヤ50の歯数分、連続して欠落させたギヤ欠落部28が少なくとも1箇所形成されており、本実施の形態では、ギヤ欠落部28が2箇所有しており、ギヤ周方向でギヤ欠落部28が形成された各領域は、被検査用ギヤ50の歯の歯筋方向において異なる部位を検査する第1の検査域25Aと第2の検査域25Bとを形成している。
【0039】
第1及び第2の検査域25A,25Bは、それぞれ、マスターギヤ20のギヤ歯を歯筋方向で複数に区分した区分領域のうち、1つの区分領域にのみギヤ歯が存在するように、ギヤ歯の一部を欠落させた領域であり、各検査域25A,25Bのギヤ周方向の長さは、マスターギヤ20と被検査用ギヤ50との歯数が同じ又はマスターギヤ20の方が僅かに多くなるように、被検査用ギヤ50の全周長さと同等の長さに設定されている。
【0040】
第1の検査域25Aは、マスターギヤ20のギヤ歯を歯筋方向の一端部側となる上部領域21と、他端部側となる下部領域22と、上部及び下部領域21,22の間の中央部領域23と、の3つに区分した区分領域のうち、下部及び中央部領域22,23にギヤ欠落部28を有し、上部領域21にギヤ歯が存在する検査域である。第2の検査域25Bは、上部及び中央部領域21,23にギヤ欠落部28を有し、下部領域22にギヤ歯が存在する検査域である。なお、本実施の形態では、上部、下部及び中央部21,22,23領域の軸方向の長さをほぼ同じ長さに設定しているが、異なる長さに設定することも可能である。
【0041】
ギヤ周方向において、第1の検査域25Aと第2の検査域25Bとの間には、それぞれ、ギヤ欠落部28が形成されていない通常検査域27-1,27-2が設けられている。本実施の形態では、被検査用ギヤ50が2分割された通常検査域27-1及び27-2を通過することで、被検査用ギヤ50の全歯が通常検査域27と噛合うように各通常検査域27-1,27-2の歯数が検査用ギヤ50の歯数の半分の数に設定されている。
【0042】
次に、上述したマスターギヤ20を用いた被検査用ギヤ50の打痕検査方法について説明する。
【0043】
まず、マスターギヤ20及び検査用ギヤ50のそれぞれを打痕検査装置10の支持軸12及び検査ギヤ支持軸13のそれぞれに装着する。次に、これらのギヤ20,50を噛み合わせ、駆動装置によって支持軸12を回転させてマスターギヤ20及び検査用ギヤ50を回転させることで打痕検査を行う(検査工程)。なお、以下の説明では、被検査用ギヤ50がマスターギヤ20に噛み合った状態で、マスターギヤ20の第1の検査域25A、通常検査域27-1、第2の検査域25B及び通常検査域27-2の順で各検査域を通過する様子を説明する。
【0044】
まず、被検査用ギヤ50は、第1の検査域25Aを通過する間に1回転する。この間、被検査用ギヤ50は、図4(a)に示すように、歯を歯筋方向で上部領域51、中央部領域53、下部領域52の3つに区分した区分領域のうち、上部領域51の歯のみがマスターギヤ20と噛合うこととなる。これにより、打痕検査装置10は、被検査用ギヤ50の歯の上部領域51のみの打痕検査を行うことができる。
【0045】
次に、被検査用ギヤ50が通常検査域27-1を通過する間、被検査用ギヤ50は、図4(b)に示すように、上部領域51、下部領域52及び中央部領域53の歯がマスターギヤ20と噛合った状態で半回転する。この時、検査用ギヤ50の歯の高さが上部領域51及び下部領域52よりも高い中央部領域53の打痕検査が主に行われることとなる。
【0046】
次に、被検査用ギヤ50は、第2の検査域25Aを通過して1回転する。この間、被検査用ギヤ50は、図4(c)に示すように、下部領域52の歯のみがマスターギヤ20と噛合うことなる。これにより、打痕検査装置は、被検査用ギヤ50の歯の下部領域52のみの打痕検査を行うことができる。
【0047】
被検査用ギヤ50が通常検査領域27-2を通過する間、被検査用ギヤ50は、図4(b)に示すように、上部領域51、下部領域52及び中央部領域53の歯がマスターギヤ20と噛合った状態で半回転し、ギヤ周方向で、通常検査領域27-1において噛み合っていない残りの半周分の歯がマスターギヤ20と噛合う。この時、検査用ギヤ50の歯の高さが上部領域51及び下部領域52よりも高い中央部領域53の打痕検査が主に行われることとなる。
【0048】
上述したように、マスターギヤ20が1回転する間に、被検査用ギヤ50が3回転して、マスターギヤ20の第1の検査域25A、通常検査域27-1,27-2及び第2の検査域25Bを通ることで、被検査用ギヤ50の打痕検査を行うことができ、特に、マスターギヤ20にギヤ欠落部28を形成したことで、マスターギヤ20を被検査用ギヤ50に対して軸方向に移動させることなく、被検査用ギヤ50の歯筋方向において歯の高さが低くなる上部領域51及び下部領域52の打痕検査を個別に行うことができる。また、マスターギヤ20の通常検査域27-1,27-2では、被検査用ギヤ50の歯が歯筋方向の全域で噛合うことから、歯筋方向で歯の高さが高い部分についても適切に打痕検査を行うことができる。
【0049】
なお、被検査用ギヤ50の打痕検査は、マスターギヤ20のギヤ周方向のいずれの位置から開始してもよく、被検査用ギヤ50がマスターギヤ20と噛み合って3回転することで歯筋方向の各区分領域21,22,23の打痕検査が完了する。
【0050】
(第2の実施の形態)
次に、図5及び図6を用いて本発明の第2の実施の形態のマスターギヤ30について説明する。なお、本実施の形態のマスターギヤ30が装着される打痕検査装置及びマスターギヤ30と噛合う被検査用ギヤは、第1の実施の形態に記載した打痕検査装置10及び被検査用ギヤ50と同様の構成であるため、ここではその説明を省略する。
【0051】
マスターギヤ30は、打痕検査装置10の支持軸12に固定され、支持軸12とともに回転する。マスターギヤ30と被検査用ギヤ50とは、ギヤ歯が形成される外周領域の軸方向の長さL3,L2がほぼ同等の長さに形成されている。マスターギヤ30の歯数は、被検査用ギヤ50の歯数の約9倍の歯数を有している。マスターギヤ30のギヤ歯の高さは、歯筋方向で等しく設定されている。
【0052】
マスターギヤ30には、ギヤ歯の歯筋方向の一部の領域をギヤ周方向に少なくとも被検査用ギヤ50の歯数分、連続して欠落させたギヤ欠落部38が複数形成されている。ギヤ周方向でギヤ欠落部38が形成された各領域は、被検査用ギヤ50の歯の歯筋方向において異なる部位を検査する第1の検査域35A、第2の検査域35B及び第3の検査域35Cを形成している。
【0053】
第1の検査域35Aは、マスターギヤ30のギヤ歯を歯筋方向の一端部側となる上部領域31と、他端部側となる下部領域32と、上部及び下部領域31,32の間の中央部領域33との3つにほぼ同じ長さで区分した区分領域のうち、下部及び中央部領域32,33にギヤ欠落部38を有し、上部領域31にギヤ歯が存在する検査域である。第2の検査域35Bは、上部及び中央部領域31,33にギヤ欠落部38を有し、下部領域32にギヤ歯が存在する検査域である。第3の検査域35Cは、上部及び下部領域31,32にギヤ欠落部38を有し、中央部領域33にギヤ歯が存在する検査域である。各検査域35A,35B,35Cのギヤ周方向の長さは、マスターギヤ30と被検査用ギヤ50との歯数が同じ又はマスターギヤ30の方が僅かに多くなるように、被検査用ギヤ50の全周長さと同等の長さに設定されている。
【0054】
マスターギヤ30は、さらに、全周を等間隔で3つに区分した第1、第2及び第3の検査区分領域39A,39B,39Cを有し、各検査区分領域39A,39B,39Cは、第1、第2及び第3の検査域35A,35B,35Cをそれぞれ1つずつ有している。なお、図示例では、各検査区分領域39A,39B,39Cにおいて、各検査域35A,35B,35Cが、時計回りに第1の検査域35A、第3の検査域35C、第2の検査域35Bの順に配置されているが、順番はこれに限られず、適宜設定することが可能である。
【0055】
次に、上述したマスターギヤ30を用いた被検査用ギヤ50の打痕検査方法について説明する。
【0056】
まず、マスターギヤ30及び検査用ギヤ50のそれぞれを打痕検査装置10の支持軸12及び検査ギヤ支持軸13のそれぞれに装着し、次に、これらのギヤ30,50を噛み合わせ、駆動装置によって支持軸12を回転させてマスターギヤ30及び検査用ギヤ50を回転させることで打痕検査を行う(検査工程)。なお、以下の説明では、被検査用ギヤ50がマスターギヤ30に噛み合った状態で、マスターギヤ30の第1の検査区分領域39Aにおいて第1の検査域35A、第3の検査域35C、第2の検査域35Bの順で各検査域を通過する様子を説明する。
【0057】
まず、被検査用ギヤ50は、第1の検査域35Aを通過する間に1回転し、この間、被検査用ギヤ50は、歯を歯筋方向で上部領域51、中央部領域53、下部領域52の3つに区分した区分領域のうち、上部領域51の歯のみがマスターギヤ30と噛合うこととなる。これにより、打痕検査装置10は、被検査用ギヤ50の歯の上部領域51のみの打痕検査を行うことができる。
【0058】
さらに、被検査用ギヤ50は、第3の検査域35Cを通過する間に1回転し、この間、被検査用ギヤ50は、中央部領域53の歯のみがマスターギヤ30と噛合うこととなる。これにより、打痕検査装置10は、被検査用ギヤ50の歯の中央部領域52のみの打痕検査を行うことができる。
【0059】
さらに、被検査用ギヤ50は、第2の検査域35Bを通過する間に1回転し、この間、被検査用ギヤ50は、下部領域52の歯のみがマスターギヤ30と噛合うこととなる。これにより、打痕検査装置10は、被検査用ギヤ50の歯の下部領域52のみの打痕検査を行うことができる。
【0060】
上述したように、本実施の形態の打痕検査方法では、被検査用ギヤ50が3回転して、マスターギヤ30の1つの検査区分領域39Aを通過することで、被検査用ギヤ50の上部、下部及び中央部領域51,52,53について、個別に打痕検査を行うことができる。また、マスターギヤ30には、3つの検査区分領域39A,39B,39Cが形成されているため、マスターギヤ30が1回転する間に、3つの被検査用ギヤについて打痕検査を行うことが可能である。
【0061】
(第3の実施の形態)
次に、図7及び図8を用いて本発明の第3の実施の形態のマスターギヤ40について説明する。なお、本実施の形態のマスターギヤ40が装着される打痕検査装置及びマスターギヤ40と噛合う被検査用ギヤは、第1の実施の形態に記載した打痕検査装置10及び被検査用ギヤ50と同様の構成であるため、ここではその説明を省略する。
【0062】
マスターギヤ40は、打痕検査装置10の支持軸12に固定され、支持軸12とともに回転する。マスターギヤ40と被検査用ギヤ50とは、ギヤ歯が形成される外周領域の軸方向の長さL4,L2がほぼ同等の長さに形成されている。マスターギヤ40のギヤ歯の高さは、歯筋方向で等しく設定されている。
【0063】
マスターギヤ40には、ギヤ歯の歯筋方向の一部の領域をギヤ周方向に少なくとも被検査用ギヤ50の歯数分、連続して欠落させたギヤ欠落部48が複数形成されている。ギヤ周方向でギヤ欠落部48が形成された各領域は、被検査用ギヤ50の歯の歯筋方向において異なる部位を検査する第1の検査域45A、第2の検査域45B及び第3の検査域45Cを形成している。
【0064】
第1の検査域45Aは、マスターギヤ40のギヤ歯を歯筋方向で上部領域41と、下部領域42と、中央部領域43との3つにほぼ同じ長さで区分した区分領域のうち、下部及び中央部領域42,43にギヤ欠落部48を有し、上部領域41にギヤ歯が存在する検査域である。第2の検査域45Bは、上部及び中央部領域41,43にギヤ欠落部48を有し、下部領域42にギヤ歯が存在する検査域である。第3の検査域45Cは、上部及び下部領域41,42にギヤ欠落部48を有し、中央部領域43にギヤ歯が存在する検査域である。各検査域45A,45B,45Cのギヤ周方向の長さは、マスターギヤ30と被検査用ギヤ50との歯数が同じ又はマスターギヤ30の方が僅かに多くなるように、被検査用ギヤ50の全周長さと同等の長さに設定されている。
【0065】
図8に示すように、マスターギヤ40は、さらに、全周を等間隔で4つに区分した第1、第2、第3及び第4の検査区分領域49A,49B,49C,49Dを有し、各検査区分領域49A,49B,49C,49Dは、第1、第2及び第3の検査域45A,45B,45Cをそれぞれ1つずつ有している。また、各検査区分領域49A,49B,49C,49Dにおいて、第3の検査域45Cは、ギヤ周方向で第1の検査域45Aと第2の検査域45Bとの間に位置している。さらに、ギヤ周方向で隣り合う検査区分領域49A,49B,49C,49Dは、第1の検査域45A又は第2の検査域45Bが連続するように配置されている。すなわち、周方向で連続する第1の検査域45A及び第2の検査域45Bは、それぞれ、歯数が被検査用ギヤ50の歯数の約2倍となっている。
【0066】
次に、上述したマスターギヤ40を用いた被検査用ギヤ50の打痕検査方法について説明する。
【0067】
まず、マスターギヤ40及び検査用ギヤ50のそれぞれを打痕検査装置10の支持軸12及び検査ギヤ支持軸13のそれぞれに装着し、次に、これらのギヤ40,50を噛み合わせ、駆動装置によって支持軸12を回転させてマスターギヤ40及び検査用ギヤ50を回転させることで打痕検査を行う(検査工程)。なお、以下の説明では、被検査用ギヤ50がマスターギヤ40に噛み合った状態で、マスターギヤ30の第1の検査区分領域49Aにおいて第1の検査域35A、第3の検査域35C、第2の検査域35Bの順で各検査域を通過する様子を説明する。
【0068】
まず、被検査用ギヤ50は、第1の検査域45Aを通過する間に1回転し、この間、被検査用ギヤ50は、歯を歯筋方向で上部領域51、中央部領域53、下部領域52の3つに区分した区分領域のうち、上部領域51の歯のみがマスターギヤ30と噛合うこととなる。これにより、打痕検査装置10は、被検査用ギヤ50の歯の上部領域51のみの打痕検査を行うことができる。
【0069】
さらに、被検査用ギヤ50は、第3の検査域45Cを通過する間に1回転し、この間、被検査用ギヤ50は、中央部領域53の歯のみがマスターギヤ40と噛合うこととなる。これにより、打痕検査装置10は、被検査用ギヤ50の歯の中央部領域52のみの打痕検査を行うことができる。
【0070】
さらに、被検査用ギヤ50は、第2の検査域45Bを通過する間に1回転し、この間、被検査用ギヤ50は、下部領域52の歯のみがマスターギヤ40と噛合うこととなる。これにより、打痕検査装置10は、被検査用ギヤ50の歯の下部領域52のみの打痕検査を行うことができる。
【0071】
上述したように、本実施の形態の打痕検査方法では、被検査用ギヤ50が3回転して、マスターギヤ40の1つの検査区分領域39Aを通過することで、被検査用ギヤ50の上部、下部及び中央部領域51,52,53について、個別に打痕検査を行うことができる。また、マスターギヤ40には、4つの検査区分領域49A,49B,49C,49Dが形成されているため、マスターギヤ40が1回転する間に、4つの被検査用ギヤについて打痕検査を行うことが可能である。
【0072】
また、マスターギヤ40と被検査用ギヤ50との噛合いは、歯筋方向で上部領域41,から中央部領域43を介して下部領域42へと移動する、又は、下部領域42から中央部領域43を介して上部領域41へと移動するので、異なる領域へ移行する際に噛み合いが途切れることなくスムーズに行われる。特に、図7に示すように、マスターギヤ40の周方向で隣り合う第1の検査域45Aと第3の検査域45Cとの間に上部領域41から中央部領域43まで伸びるギヤ歯を設け、周方向で隣り合う第3の検査域45Cと第2の検査域45Bとの間に中央部領域43から下部領域42まで伸びるギヤ歯を設けることで、各検査域への移行がよりスムーズになる。
【0073】
なお、本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
10 打痕検査装置
11 ベース
12 支持軸
13 検査ギヤ支持軸
14 回転変位量検出手段
15 スライドユニット
16 付勢手段
17 変位センサ
18 制御部
20,30,40 マスターギヤ
21,31,41 上部領域
22,32,42 下部領域
23,33,43 中央部領域
25A,35A,45A 第1の検査域
25B,35B,45B 第2の検査域
27 通常検査域
35C,45C 第3の検査域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8