(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】シャリ玉処理装置
(51)【国際特許分類】
A47G 23/08 20060101AFI20221212BHJP
A23L 7/10 20160101ALN20221212BHJP
【FI】
A47G23/08 Z
A23L7/10 G
(21)【出願番号】P 2018195052
(22)【出願日】2018-10-16
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】小根田 育冶
(72)【発明者】
【氏名】橋本 晃佳
(72)【発明者】
【氏名】田中 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】野中 陽平
(72)【発明者】
【氏名】吉田 卓也
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-096160(JP,A)
【文献】特開2018-140074(JP,A)
【文献】特開2003-070433(JP,A)
【文献】特開2017-144360(JP,A)
【文献】特開平10-328626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 23/08
A23L 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャリ玉が載せられた皿を搬送する搬送路と、
前記搬送路に沿って設けられ
、相互に異なる前記シャリ玉の向きとそれぞれ対応付けされた複数の作業領域と、
前記作業領域単位で生産指示が出された前記シャリ玉が相互に同一の向きに載せられて各生産指示分が混在した前記皿を前記搬送路へと供給する供給手段と、
前記搬送路における複数の前記作業領域よりも搬送方向上流側に設けられ、前記
皿を水平方向に回転させる回転手段と、
前記作業領域と対応付けされた
方向に前記シャリ玉が向くように前記皿を前記回転手段によって選択的に回転させる制御を実行する制御手段と、
を有することを特徴とする
シャリ玉処理装置。
【請求項2】
前記
皿の搬送方向に沿って前記搬送路に設けられ、
皿の搬送をガイドするガイドレールをさらに有し、
前記回転手段は、前記
皿を搬送方向と交差する方向に傾斜させるように前記搬送路上に出没可能となった第1の回転ローラであり、
前記
皿は、傾斜による前記ガイドレールとの接触部位を支点として、前記搬送路上に突出した前記第1の回転ローラで回転されることで回転する、
ことを特徴とする請求項1記載の
シャリ玉処理装置。
【請求項3】
前記回転手段は、前記
皿に対して接離可能となって前記搬送路を介して互いに対向配置され、相互に同一方向に回転する一対の第2の回転ローラであり、
前記
皿は、前記一対の第2の回転ローラに挟まれて回転する、
ことを特徴とする請求項1記載の
シャリ玉処理装置。
【請求項4】
前記回転手段は、前記
皿を搬送方向と交差する方向に傾斜させるように前記
皿と前記搬送路との間に挿抜可能となった挿抜部材であり、
前記
皿は、前記挿抜部材が前記
皿と前記搬送路との間に挿入された状態で前記搬送路を搬送されることで回転する、
ことを特徴とする請求項1記載の
シャリ玉処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャリ玉処理装置に関し、特に食材であるシャリ玉が載せられた皿の搬送に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば回転寿司店等においては、寿司の注文に応じてシャリ玉成形機(シャリ玉供給手段)から供給されたシャリ玉を、皿供給機(皿供給手段)から供給された皿に載せて厨房コンベア(搬送路)で搬送している。そして、厨房コンベアから当該厨房コンベアに沿って設置された作業台に移しかえて魚介類などの寿司ネタが盛り付けられ、その後、客席沿いに設けられた配膳コンベア上に載せられて来店客へ提供している。
【0003】
なお、シャリ玉を皿に載せて搬送する装置としては、例えば特開2018-082623号公報に記載された装置が知られている。
【0004】
ここで、従来の
シャリ玉処理装置A10の一例を示す
図12において、2系統(複数系統)の配膳コンベアSC1,SC2が設置された場合には、これらの配膳コンベアSC1,SC2に対応するために、シャリ玉搬送装置(搬送装置)A11を構成する厨房コンベアKCに沿って設置された作業台Wには、2箇所(複数箇所)の作業領域WA1,WA2が設けられる。また、図示するように、厨房コンベアKCの搬送方向上流側には、シャリ玉Rが載せられた皿(被搬送体)Dを厨房コンベアKCに供給するためのシャリ玉供給装置
(供給手段)A12が設置されている。なお、シャリ玉供給装置A12は、シャリ玉成形機11および皿供給機12で構成される。
【0005】
そして、シャリ玉Rの生産指示は各配膳コンベアSC1,SC2単位で出されるが、厨房コンベアKCを流れるシャリ玉Rが載せられた皿Dは、配膳コンベアSC1に対応した生産指示分と配膳コンベアSC2に対応した生産指示分とが混在したものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した
図12に示すような機構において、配膳コンベアSC1,SC2から注文がランダムに出され、これに応じてシャリ玉Rの載せられた皿Dがシャリ玉供給装置A12から供給されてシャリ玉搬送装置A11の厨房コンベアKCで搬送される場合、搬送方向上流側の作業者P1が必要分の皿Dをピックアップすると、搬送方向下流側の作業者P2に対する必要分の皿Dの搬送が遅れるという事態が発生する。このため、配膳コンベアSC2沿いの客席にいる来店客への寿司の提供が遅くなってしまう。
【0008】
これは、厨房コンベアKCを流れるシャリ玉Rの総数は生産指示総数(つまり、寿司の注文総数)と一致するものの、時間的に先に出した配膳コンベアSC2から注文に対応したシャリ玉Rの載った皿Dまでをも作業者P1がピックアップしてしまうからである。そして、前述した事態を回避するためには、作業者P2が追加の生産指示を出すしかなく、食材のロスが発生することになる。
【0009】
また、
図12に示すような機構において、配膳コンベアSC2から変則的な注文として例えば3貫盛り2皿が出され、これに対応したシャリ玉Rが3貫載せられた皿Dが厨房コンベアKCを流れて作業者P1の前を通過中に作業者P1が別の3貫盛り1皿の注文に対応する必要が発生した場合、通過中の3貫盛りの2皿の内の1皿を作業者P1が勘違いしてピックアップすることがある。すると、作業者P2は3貫盛りが1皿しか搬送されてこないために追加の生産指示を出してしまい、これにより、同様に食材のロスが発生することになる。
【0010】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、搬送路を搬送されるシャリ玉の載せられた皿を、当該搬送路に沿って設けられた複数の作業領域のそれぞれに対応付けさせることのできるシャリ玉処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明のシャリ玉処理装置は、シャリ玉が載せられた皿を搬送する搬送路と、前記搬送路に沿って設けられ、相互に異なる前記シャリ玉の向きとそれぞれ対応付けされた複数の作業領域と、前記作業領域単位で生産指示が出された前記シャリ玉が相互に同一の向きに載せられて各生産指示分が混在した前記皿を前記搬送路へと供給する供給手段と、前記搬送路における複数の前記作業領域よりも搬送方向上流側に設けられ、前記皿を水平方向に回転させる回転手段と、前記作業領域と対応付けされた方向に前記シャリ玉が向くように前記皿を前記回転手段によって選択的に回転させる制御を実行する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の本発明のシャリ玉処理装置は、上記請求項1に記載の発明において、前記皿の搬送方向に沿って前記搬送路に設けられ、皿の搬送をガイドするガイドレールをさらに有し、前記回転手段は、前記皿を搬送方向と交差する方向に傾斜させるように前記搬送路上に出没可能となった第1の回転ローラであり、前記皿は、傾斜による前記ガイドレールとの接触部位を支点として、前記搬送路上に突出した前記第1の回転ローラで回転されることで回転する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の本発明のシャリ玉処理装置は、上記請求項1に記載の発明において、前記回転手段は、前記皿に対して接離可能となって前記搬送路を介して互いに対向配置され、相互に同一方向に回転する一対の第2の回転ローラであり、前記皿は、前記一対の第2の回転ローラに挟まれて回転する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の本発明のシャリ玉処理装置は、上記請求項1に記載の発明において、前記回転手段は、前記皿を搬送方向と交差する方向に傾斜させるように前記皿と前記搬送路との間に挿抜可能となった挿抜部材であり、前記皿は、前記挿抜部材が前記皿と前記搬送路との間に挿入された状態で前記搬送路を搬送されることで回転する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、作業領域と対応付けされた方向にシャリ玉が向くように搬送路を搬送される皿を回転手段によって選択的に回転させてグループ分けしているので、シャリ玉を複数の作業領域のそれぞれに対応付けさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るシャリ玉搬送装置を備えたシャリ玉処理装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1のシャリ玉処理装置に対してシャリ玉が載せられた皿である被搬送体を表した斜視図である。
【
図3】シャリ玉搬送装置を構成する厨房コンベアの要部を示す斜視図である。
【
図4】
図1のシャリ玉処理装置の制御系を示すブロック図である。
【
図5】本実施の形態の厨房コンベアで搬送される皿と第1の回転ローラとの関係を搬送方向と直交した断面で示す断面図である。
【
図6】本実施の形態の厨房コンベアで搬送される皿が第1の回転ローラで回転される状態を搬送方向と直交した断面で示す断面図である。
【
図7】本実施の形態の厨房コンベアで搬送される皿における第1の回転ローラによる回転前後を示す平面図である。
【
図8】本実施の形態の厨房コンベアで搬送される皿を水平方向に回転させる第2の回転ローラを搬送方向と直交した断面で示す断面図である。
【
図9】
図8の第2の回転ローラによる皿の回転前後を示す平面図である。
【
図10】本実施の形態の厨房コンベアで搬送される皿を水平方向に回転させる挿抜部材を搬送方向と直交した断面で示す断面図である。
【
図11】
図10の挿抜部材による皿の回転前後を示す平面図である。
【
図12】従来のシャリ玉処理装置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】
図1は本発明の一実施の形態に係るシャリ玉搬送装置を備えたシャリ玉処理装置を示す斜視図、
図2は
図1のシャリ玉処理装置に対してシャリ玉が載せられた皿である被搬送体を表した斜視図、
図3はシャリ玉搬送装置を構成する厨房コンベアの要部を示す斜視図である。
【0021】
図1および
図2に示すように、本実施の形態の
シャリ玉処理装置Aは、シャリ玉Rが載せられた
皿Dを搬送するシャリ玉搬送装置(搬送装置)A1と、シャリ玉搬送装置A1に被搬送体である皿Dを供給するためのシャリ玉供給装置(
供給手段)A2とで構成されている。また、シャリ玉供給装置A2は、シャリ玉成形機(シャリ玉供給手段)11と皿供給機(皿供給手段)12とを備えている。
【0022】
なお、皿Dには、皿供給機12からシャリ玉成形機11に至るまでのシャリ玉Rが載せられていない皿Dと、シャリ玉成形機11で成形されたシャリ玉Rが載せられた皿Dとがあるが、被搬送体とは後者の皿Dを指している。
【0023】
シャリ玉成形機11は、米飯塊を押圧してシャリ玉Rを自動成形する機能を備えており、シャリ玉成形機11の前面(液晶パネル11aが配置された面)をシャリ玉搬送装置A1側に向けた状態で設置されている。
【0024】
シャリ玉成形機11の上部には、投入蓋11bを開いて開口部から米飯(酢飯等)が投入されるホッパ11cが設置されている。このホッパ11cの下方には、ホッパ11cから供給された米飯をほぐして所定重量に計量分割して米飯塊とし、これをさらに下方のターンテーブル11dの成形孔に投入する機構部(図示せず)が設けられている。
【0025】
ターンテーブル11dは、例えば円柱板状に形成されており、その円形上面を上に向けた状態で、一方向(例えば反時計回りの方向)に間欠的に回転可能な状態で設けられている。このターンテーブル11dの円形上面には、その周方向に沿って予め決められた間隔毎に複数個の成形孔が形成されている。そして、この成形孔に投入された米飯塊が、ターンテーブル11dの回転に伴って成形孔内の成形下型とその上方の成形上型とによって押圧されることで略俵形のシャリ玉Rが成形されるようになっている。
【0026】
ターンテーブル11dの回転領域上には、ターンテーブル11dで成形されたシャリ玉Rを皿供給機12から供給された皿に移載するための移載機構11eが設置されている。この移載機構11eにより、注文に応じた数のシャリ玉Rが皿に盛り付けられる。
【0027】
そして、以上に説明したシャリ玉成形機11における一連の動作は、後述する制御部(制御手段)13に制御されている。
【0028】
なお、シャリ玉成形機11は、米飯塊を押圧してシャリ玉Rを成形することができれば足り、本実施の形態のようにターンテーブル11dを備えた構造に限定されるものではない。また、成形されるシャリ玉Rの形状は本実施の形態のような略俵形である必要はなく、例えば、手まり寿司と呼ばれる略球形のシャリ玉であってもよい。また、成形孔での成形後のシャリ玉Rの外周側面に海苔を巻き付ける軍艦巻装置をターンテーブル11d上に設けてもよい。
【0029】
皿供給機12は、複数枚の皿(シャリ玉Rを載せる容器)をストックして1枚ずつ供給する機能を備えており、ストック部12aと、皿供給コンベア12bとを備えている。
【0030】
ストック部12aには、例えば、3列の皿供給列が設けられており、各皿供給列には、複数枚の皿が高さ方向に積み重ねられた状態でストックされている。皿は、ストック部12aの皿取出機構(図示せず)によって最下部から順に1枚ずつ皿供給コンベア12bに落下され、シャリ玉成形機11で成形されたシャリ玉Rが供給された後、シャリ玉Rが載せられた皿Dとしてシャリ玉搬送装置A1へ送り出されるようになっている。なお、ここでは、丸皿が例示されているが、角皿等、種々の平面形状の皿を用いることができる。
【0031】
そして、以上に説明した皿供給機12における一連の動作も、後述する制御部13に制御されている。
【0032】
なお、ストック部12aには、例えば、来店客に提供される寿司の価格が皿の色で判別できるように、3色の皿が色別になって各々の皿供給列にストックされている。但し、ストック部12aの皿供給列の数は3列に限定されるものではない。
【0033】
図1および
図2において、シャリ玉搬送装置A1は、シャリ玉供給装置A2から供給された被搬送体であるシャリ玉Rが載せられた皿Dを搬送する厨房コンベア(搬送路)KCが、シャリ玉供給装置A2の前面から伸びた状態で設置されている。この厨房コンベアKCもまた、後述する制御部13に制御されて搬送動作を行うようになっている。
【0034】
図3に示すように、厨房コンベアKCの搬送上流端および搬送下流端には、無端状の搬送ベルトVが掛け渡されたローラVrが、回転可能に設けられている。一方のローラVrは図示しないモータにより回転駆動されるようになっており、また、搬送ベルトVの上面は厨房コンベアKCの表面よりも僅かに上になっている。さらに、厨房コンベアKCには、皿Dの搬送をガイドするガイドレールKC-1が、当該皿Dの搬送方向に沿って設けられている。したがって、皿Dは、ガイドレールKC-1によって厨房コンベアKCから逸脱しないようにガイドされながら、搬送ベルトVに載せられて搬送されていく。なお、
図3では、厨房コンベアKCの搬送上流端が示されている。
【0035】
図1および
図2に示すように、厨房コンベアKCの一方側に沿って、前述したシャリ玉供給装置A2を載せる台と一体になった作業台Wが設置されている。また、厨房コンベアKCの他方側には、来店客に寿司を提供するための配膳コンベアSC1,SC2の一部が延在している。つまり、本実施の形態では、2系統の配膳コンベアSC1,SC2が設けられており、それぞれの配膳コンベアSC1,SC2に沿って多数の客席が設置されている。なお、配膳コンベアの設置系統数は2系統に限定されず、3系統以上であってもよい。
【0036】
作業台Wには、2系統の配膳コンベアSC1,SC2に対応した2箇所の作業領域WA1,WA2が、厨房コンベアKCに沿って設けられている。また、それぞれの作業領域WA1,WA2には、作業者P1,P2が割り当てられている。したがって、作業領域WA1が割り当てられた作業者P1は、配膳コンベアSC1に供給する寿司の作成を担当し、作業領域WA2が割り当てられた作業者P2は、配膳コンベアSC2に供給する寿司の作成を担当する。
【0037】
作業領域WA1,WA2は、皿Dに盛り付けられたシャリ玉Rに作業者P1,P2が寿司ネタを載せる作業(ネタ載せ作業)を実行するため領域である。ネタ載せ作業は、作業台W上に様々な魚介類等の寿司ネタを用意しておき、作業者P1,P2が、厨房コンベアKCを搬送される皿Dを作業領域WA1,WA2に降ろし、注文に応じた寿司ネタをシャリ玉Rに載せる作業である。なお、ネタ載せ作業が終了したならば、作業者P1,P2は、来店客に寿司を提供するために、皿Dを担当の配膳コンベアSC1,SC2に載せる。
【0038】
ここで、寿司の注文は各配膳コンベアSC1,SC2単位で出され、よって、当該注文に対応したシャリ玉供給装置A2へのシャリ玉Rの生産指示も各配膳コンベアSC1,SC2単位で出される。また、シャリ玉供給装置A2から厨房コンベアKCへは、配膳コンベアSC1,SC2から入った注文順にシャリ玉Rが載せられた皿Dが供給される。したがって、厨房コンベアKCには、各配膳コンベアSC1,SC2の注文に対応したシャリ玉Rが載せられた皿Dが混在して流れる。
【0039】
そこで、本実施の形態では、厨房コンベアKCにおける作業領域WA1,WA2よりも搬送方向上流側に、被搬送体である皿Dを水平方向に回転させる第1の回転ローラ(回転手段)21が設けられており、当該第1の回転ローラ21を制御部13により動作制御することで、皿Dを選択的に回転させるようにしている。
【0040】
ここで、
図4は、
図1のシャリ玉処理装置の制御系を示すブロック図である。図示するように、シャリ玉処理装置Aには、シャリ玉成形機11、皿供給機12、厨房コンベアKCおよび第1の回転ローラ21の動作を司る制御部13を備えている。また、制御部13には、タッチパネル(図示せず)や液晶パネル11aなどで構成される入力部14が接続されている。なお、タッチパネルは、配膳コンベアSC1,SC2に沿って設置された各客席に設けられており、来店客によって寿司注文が入力される。また、液晶パネル11aは、前述のようにシャリ玉成形機11に設けられており、成形されるシャリ玉Rの属性(重量や柔らかさなど)が作業者P1,P2により入力される。
【0041】
そして、制御部13は、シャリ玉成形機11、皿供給機12および厨房コンベアKCに対しては前述した動作を実行するように制御するとともに、第1の回転ローラ21に対しては、作業領域WA1,WA2と対応付けされた角度だけ皿Dを選択的に回転させるように制御する。
【0042】
具体的には、厨房コンベアKCに供給されるシャリ玉Rが皿Dに2貫(複数貫)盛り付けられている場合において、例えば、配膳コンベアSC1から出された注文分が、シャリ玉Rが搬送方向に対して横並びになる盛付パターン(以下、「第1の盛付パターン」)に対応し、配膳コンベアSC2から出された注文分が、シャリ玉Rが搬送方向の前後になる盛付パターン(以下、「第2の盛付パターン」)に対応すると関連づけしておく。なお、
図2において、拡大して示した左側の皿Dが第1の盛り付けパターンであり、拡大して示した右側の皿Dが第2の盛り付けパターンである。
【0043】
そして、シャリ玉供給装置A2から、シャリ玉Rの載せられた皿Dが第1の盛付パターン(つまり、配膳コンベアSC1の注文分の盛付パターン)で供給される場合、制御部13は、配膳コンベアSC1からの注文分の皿Dについては、第1の回転ローラ21で回転させることなくそのまま厨房コンベアKCに流す。一方、配膳コンベアSC2からの注文分の皿Dについては、第1の回転ローラ21で90°回転させて第2の盛付パターンにしてから厨房コンベアKCに流す。
【0044】
前述のように、配膳コンベアSC1から出された注文は作業者P1により作業領域WA1でネタ載せ作業が行われ、配膳コンベアSC2から出された注文は作業者P2により作業領域WA2でネタ載せ作業が行われるようになっている。したがって、搬送方向上流側の作業者P1は、第1の盛付パターンになった皿Dを厨房コンベアKCから作業領域WA1に降ろしてネタ載せ作業を行うようにし、第2の盛付パターンになった皿Dについては、そのまま搬送されるのを見送ればよい。また、搬送方向下流側の作業者P2は、第2の盛付パターンになった皿Dしか搬送されて来ないので、これを厨房コンベアKCから作業領域WA2に降ろしてネタ載せ作業を行うようにする。
【0045】
ここで、第1の盛付パターンになった皿Dが作業領域WA2まで搬送されて来た場合、この皿Dは作業者P1が厨房コンベアKCから降ろし損ねたものであることが分かる。そこで、作業者P2がこれをピックアップして作業者P1へ返すことで、誤った注文処理を防止することができる。
【0046】
このように、本実施の形態によれば、厨房コンベアKCを搬送される皿Dを、作業領域WA1,WA2と対応付けされた角度だけ(ここでは、90°)第1の回転ローラ21によって選択的に回転させてグループ分けしているので、各配膳コンベアSC1,SC2の注文に対応した皿Dが混在した状態で厨房コンベアKCで搬送されていても、作業領域WA1,WA2のそれぞれに対応付けさせることができる。よって、シャリ玉Rの載せられた皿Dがどちらの作業領域WA1,WA2に対応したものかを、視覚的に判別することが可能になる。
【0047】
これにより、搬送方向上流側の作業者P1と搬送方向下流側の作業者P2とが、注文の入った順番で皿Dを厨房コンベアKCから作業領域WA1,WA2に降ろしてネタ載せ作業を行うことができるので、来店客への寿司の提供をタイムリーに行うことが可能になるとともに、食材のロスの発生を防止することが可能になる。
【0048】
なお、皿Dを回転させる角度は90°に限定されるものではなく、自由に設定することができる。また、配膳コンベアが3系統以上あって、そのために作業領域が3つ以上ある場合には、皿Dを回転させる角度を2種類以上設定すればよい。
【0049】
さらに、本実施の形態では、シャリ玉Rが略俵形の形状であることから、シャリ玉Rが搬送方向に沿った向きか、あるいは搬送方向と直交した向きかなど、シャリ玉Rの向きが特定できる。したがって、このような場合には、シャリ玉Rの向きを基準にグループ分けしてもよい。このようにすれば、シャリ玉Rが1貫だけしか皿Dに盛り付けられていなくても、皿Dを、作業領域WA1,WA2と対応付けされた角度に回転させてグループ分けすることができる。
【0050】
さて、ここで、本実施の形態の第1の回転ローラ21による皿Dの回転について、
図5~
図7を用いて説明する。ここで、
図5は本実施の形態の厨房コンベアで搬送される皿と第1の回転ローラとの関係を搬送方向と直交した断面で示す断面図、
図6は本実施の形態の厨房コンベアで搬送される皿が第1の回転ローラで回転される状態を搬送方向と直交した断面で示す断面図、
図7は本実施の形態の厨房コンベアで搬送される皿における第1の回転ローラによる回転前後を示す平面図である。
【0051】
ここで、第1の回転ローラ21は、厨房コンベアKCの幅方向側方に配置されており、図示しないモータにより回転駆動されるとともに、上下動して厨房コンベアKC上に出没可能となっている。また、前述のように、搬送ベルトVの上面は厨房コンベアKCの表面よりも僅かに上になっている。
【0052】
したがって、第1の回転ローラ21が厨房コンベアKCの下にあるときには、
図5に示すように、シャリ玉Rが載せられた皿Dは、ガイドレールKC-1によって厨房コンベアKCから逸脱しないようにガイドされながら、搬送ベルトVに載せられて搬送される。
【0053】
本実施の形態では、シャリ玉Rの載せられた皿Dが、シャリ玉供給装置A2から第1の盛付パターンで供給されるので、供給された皿Dが配膳コンベアSC1の注文分の場合には、
図5に示すように、第1の回転ローラ21は厨房コンベアKCの下になり、皿Dを水平方向に回転させない。つまり、皿Dは第1の盛り付けパターンで厨房コンベアKCを搬送される。
【0054】
一方、供給された皿Dが配膳コンベアSC2の注文分の場合には、
図6に示すように、第1の回転ローラ21が上昇し、回転面が厨房コンベアKC上に突出する。これにより、第1の回転ローラ21は、皿Dの糸尻端に接触して当該皿Dの片側を搬送面から浮かせ、搬送方向と交差する方向に傾斜させる。すると、皿Dは、搬送ベルトVによる搬送状体が解除されるとともに、第1の回転ローラ21と反対側がガイドレールKC-1に接触する。そして、傾斜によるガイドレールKC-1との接触部位を支点として第1の回転ローラ21の回転で水平方向に90°回転し、
図7に示すように、第1の盛付パターンから第2の盛付パターンになる。これにより、皿Dは第2の盛り付けパターンで厨房コンベアKCを搬送される。
【0055】
なお、皿Dを水平方向に回転させる回転手段は、以上に説明した第1の回転ローラ21に限定されるものではない。つまり、回転手段は、被搬送体である皿Dを水平方向に回転させることが可能な様々な機構を適用することができる。以下、回転手段の変形例について説明する。
【0056】
ここで、
図8は本実施の形態の厨房コンベアで搬送される皿を水平方向に回転させる第2の回転ローラを搬送方向と直交した断面で示す断面図、
図9は
図8の第2の回転ローラによる皿の回転前後を示す平面図である。
【0057】
図8に示すように、被搬送体である皿Dを水平方向に回転させる回転手段は、厨房コンベアKCを介して互いに対向配置された一対の第2の回転ローラ22,22である。図示するように、当該第2の回転ローラ22,22は、皿Dに対して接離(接触・離間)可能となっており、相互に同一の方向に回転する。
【0058】
このような第2の回転ローラ22,22によれば、供給された皿Dが配膳コンベアSC1の注文分の場合には、皿Dから離間することで当該皿Dを水平方向に回転させず、第1の盛付パターンのままとする。一方、供給された皿Dが配膳コンベアSC2の注文分の場合には、
図9に示すように、両側から皿Dに接触する。これにより、皿Dが一対の第2の回転ローラ22,22に挟まれて水平方向に90°回転し、第1の盛付パターンから第2の盛付パターンになる。
【0059】
次に、
図10は本実施の形態の厨房コンベアで搬送される皿を水平方向に回転させる挿抜部材を搬送方向と直交した断面で示す断面図、
図11は
図10の挿抜部材による皿の回転前後を示す平面図である。
【0060】
図10に示すように、被搬送体である皿Dを水平方向に回転させる回転手段は、皿Dと厨房コンベアKCとの間に挿抜可能とされ、皿Dを搬送方向と交差する方向に傾斜させる挿抜部材23である。図示するように、挿抜部材23は、水平方向に揺動する揺動アーム23aの先端に取り付けられた円板状の部材であり、皿Dと厨房コンベアKCとの間にスムーズに挿入できるように、先端が傾斜面になっている。なお、ここでは、厨房コンベアKCの搬送ベルトVは、挿抜部材23が挿入されたときにも皿Dの搬送を行うことができるように、皿Dの底面全体が接触できる幅となっている。
【0061】
このような挿抜部材23によれば、供給された皿Dが配膳コンベアSC1の注文分の場合には、皿Dと厨房コンベアKCとの間に挿入されないようにすることで当該皿Dを水平方向に回転させず、第1の盛付パターンのままとする。一方、供給された皿Dが配膳コンベアSC2の注文分の場合には、
図10に示すように、皿Dと厨房コンベアKCとの間に挿入して皿Dを搬送方向と交差する方向に傾斜させる。これにより、皿Dの一方側は挿抜部材23により搬送にブレーキがかかるとともに、他方側は厨房コンベアKCによって搬送が継続されるので、皿Dは挿抜部材23を支点にして水平方向に90°回転し、第1の盛付パターンから第2の盛付パターンになる。
【0062】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上においては、本発明の搬送装置や被搬送体処理装置を、皿に載せられたシャリ玉に適用した場合が説明されていたが、皿に載せられるものはシャリ玉に限定されるものではなく、例えば、軍艦巻きやおむすびなど、皿に盛り付けが可能な様々な食品とすることができる。
【符号の説明】
【0064】
11 シャリ玉成形機(シャリ玉供給手段)
12 皿供給機(皿供給手段)
13 制御部(制御手段)
14 入力部
21 第1の回転ローラ(回転手段)
22 第2の回転ローラ(回転手段)
23 挿抜部材(回転手段)
A シャリ玉処理装置
A1 シャリ玉搬送装置(搬送装置)
A2 シャリ玉供給装置(供給手段)
A10 シャリ玉処理装置
A11 シャリ玉搬送装置(搬送装置)
A12 シャリ玉供給装置(供給手段)
D 皿
KC 厨房コンベア(搬送路)
KC-1 ガイドレール
P1,P2 作業者
R シャリ玉
SC1,SC2 配膳コンベア
V 搬送ベルト
Vr ローラ
W 作業台
WA1,WA2 作業領域